(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041299
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】回路基板、及び、半導体装置、並びに、半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20240319BHJP
H01L 25/00 20060101ALI20240319BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
H01L23/12 Q
H01L25/00 B
H05K1/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146022
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 貴志
(72)【発明者】
【氏名】茨木 聡一郎
【テーマコード(参考)】
5E338
【Fターム(参考)】
5E338CC10
5E338CD12
5E338CD33
5E338EE32
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コンデンサと回路基板との接続不良を効率よく検出することができる回路基板及び半導体装置並びに半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】コンデンサと電気的に接続されるランド41a、41bが第1表面40sに形成された配線基板40が複数並べて配置された配線基板フレーム4であって、配線基板40の第1表面40sに、ランド41a、41bの間をランド41a、41bを結ぶ線と交差する方向に延伸し、両端に検査用端子を有する検査用配線42が形成されている。ランド41a、41bにコンデンサが搭載された状態において、その経路中にコンデンサが直列に配置されるように検査用配線42が形成されている。また、検査用配線42は、ランド41a、41bの間において切断部CRを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と前記第1面に対して反対側にある第2面とを有し、コンデンサと電気的に接続される一対の電極が前記第1面に形成された配線基板を複数有する回路基板であって、
前記複数の配線基板は、それぞれの第1面を同一平面に並べて配置されており、
前記第1面と前記第2面との間に複数の配線層が積層されており、
各々の前記配線基板の前記第1面に形成された前記一対の電極の間を、前記一対の電極を結ぶ線と交差する方向に延伸し、両端に検査用端子を有する検査用配線が形成されており、
前記一対の電極に前記コンデンサが搭載された状態において、その経路中に前記コンデンサが直列に配置されるように前記検査用配線が形成されており、
前記検査用配線は、前記一対の電極の間において断線部を有する、回路基板。
【請求項2】
前記配線基板には、前記一対の電極が複数形成されており、
前記検査用配線は、前記一対の電極に前記コンデンサが搭載された状態において、前記配線基板ごとに、その経路中に前記コンデンサが直列に配置されるように形成されている、請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記一対の電極に前記コンデンサが接続されており、
前記コンデンサは、誘電体層と内部電極とが積層して形成された積層体と、前記積層体の両端に前記配線基板に設けられた前記一対の電極と電気的に接続される一対の外部電極を有し、前記積層体の前記配線基板の前記第1面と対向する面に、前記一対の外部電極の間に薄膜状の検査用導電体が形成されており、前記検査用導電体は、前記断線部の全体を覆うことが可能な平面形状を有する、請求項1に記載の回路基板。
【請求項4】
前記検査用配線の、異なる2つの前記配線基板の前記切断部を接続する経路中に、前記検査用端子が形成されている、請求項1に記載の回路基板。
【請求項5】
前記複数の配線層の最上層は前記第1面から露出して形成されており、前記検査用配線の少なくとも前記一対の電極間に形成された部分は、前記最上層に形成されている、請求項1に記載の回路基板。
【請求項6】
前記第1平面と平行な面内において、前記配線基板の周囲には間隙領域が形成されており、前記検査用端子は前記間隙領域に形成されている、請求項1に記載の回路基板。
【請求項7】
前記複数の配線層の最下層は前記第2面から露出して形成されており、前記検査用端子は、前記最下層に形成されている、請求項6に記載の回路基板。
【請求項8】
第1面と前記第1面に対して反対側にある第2面とを有する配線基板と、前記配線基板の前記第1面上に設けられた半導体チップと、前記配線基板の前記第1面上に設けられた一対の電極と接続されたコンデンサと、前記配線基板の第1面と前記半導体チップ及び前記コンデンサの表面とを覆う封止樹脂と、前記配線基板の前記第2面上に設けられた外部機器接続用端子と、
を有する半導体装置であって、
前記配線基板の前記第1面と前記第2面との間に複数の配線層が積層されており、
前記配線基板の前記第1面および前記第2面と直交する側面に終端部を有し、前記配線基板の前記第1面において、前記一対の電極の間を前記一対の電極を結ぶ線と交差する方向に延伸する部分を備える検査用配線が形成されている、半導体装置。
【請求項9】
前記検査用配線は、前記一対の電極の間において断線部を有する、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記複数の配線層の最上層は前記第1面から露出して形成されており、前記検査用配線の少なくとも前記一対の電極間に形成された部分は、前記最上層に形成されている、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記コンデンサは、誘電体層と内部電極とが積層して形成された積層体と、前記積層体の両端に前記配線基板に設けられた前記一対の電極と電気的に接続される一対の外部電極を有し、前記積層体の前記配線基板の前記第1面と対向する面に、前記一対の外部電極の間に薄膜状の検査用導電体が形成されており、前記検査用導電体は、前記断線部の全体を覆うことが可能な平面形状を有する、請求項9に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記検査用配線は、前記コンデンサの前記検査用導電体とのみ電気的に接続される、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
第1面と前記第1面に対して反対側にある第2面とを有し、前記第1面に形成された一対の電極にコンデンサが電気的に接続されている複数の配線基板を、それぞれの前記第1面を同一平面に並べて配置してなる回路基板であって、それぞれの配線基板に形成された前記一対の電極の間を、前記一対の電極を結ぶ線と交差する方向に延伸し、両端に検査用端子を有する検査用配線が形成された回路基板に、接着材を用いて半導体チップを物理的に接着することと、
前記接着材を熱硬化させることと、
前記半導体チップの端子と前記回路基板の端子とを電気的に接続することと、
前記配線基板の前記第1面と前記半導体チップ及び前記コンデンサの表面とを封止樹脂で覆うことと、
前記回路基板の前記第2面に、導電性接着材を用いて外部機器用接続端子を物理的かつ電気的に接続することと、
前記導電性接着材を熱硬化させることと、
前記回路基板を前記配線基板ごとに切断することと、
前記回路基板が切断されるまでの間に、前記検査用端子間の直流抵抗を測定して、前記コンデンサと前記配線基板との物理的接続状態を検査することと、
を含む、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、回路基板、及び、半導体装置、並びに、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高速動作時のノイズ対策として、半導体チップとともにコンデンサが配線基板に設けられた半導体装置が提案されている。しかしながら、コンデンサと配線基板との物理的な接続不良(ツームストーンや脱落など)の発生が問題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2020/0373306号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2005/0090041号明細書
【特許文献3】米国特許第10593480号明細書
【特許文献4】米国特許第8912802号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態は、コンデンサと回路基板との接続不良を効率よく検出することができる、回路基板、及び、半導体装置、並びに、半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の回路基板は、第1面と前記第1面に対して反対側にある第2面とを有し、コンデンサと電気的に接続される一対の電極が前記第1面に形成された配線基板を複数有する回路基板である。前記複数の配線基板は、それぞれの第1面を同一平面に並べて配置されており、前記第1面と前記第2面との間に複数の配線層が積層されている。各々の前記配線基板の前記第1面に形成された前記一対の電極の間を、前記一対の電極を結ぶ線と交差する方向に延伸し、両端に検査用端子を有する検査用配線が形成されている。前記一対の電極に前記コンデンサが搭載された状態において、その経路中に前記コンデンサが直列に配置されるように前記検査用配線が形成されている。前記検査用配線は、前記一対の電極の間において断線部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態の半導体装置の一例を説明する断面図である。
【
図2A】配線基板に搭載される半導体チップ及びコンデンサの配置の一例を説明する概略図であって、半導体チップとコンデンサとが配置された配線基板を第1表面の上方(Z方向正側)からみた上面図である。
【
図2B】配線基板に搭載される半導体チップ及びコンデンサの配置の一例を説明する概略図であって、半導体チップとコンデンサとが配置された配線基板をX方向正側からみた側面図である。
【
図3】配線基板における検査用配線の配置の一例を説明する平面図である。
【
図4】
図3の点線で囲まれた矩形領域Bを拡大した平面図である。
【
図5】配線基板フレームにおける検査用配線のレイアウトの一例を説明する平面図である。
【
図6】
図5に示す配線基板フレームのC-C'線に沿った断面図である。
【
図7】実施形態の半導体装置に搭載されるコンデンサの構成の一例を説明する図である。
【
図8】
図7のコンデンサの製造工程を説明する図である。
【
図9】コンデンサと配線基板との位置関係を説明するための平面図である。
【
図10】コンデンサと配線基板との接合部分の構成を説明するための断面図である。
【
図11A】実施形態の半導体装置の製造工程の一例を説明するフローチャートである。
【
図11B】配線基板フレーム上に搭載されたコンデンサの物理的な接続状態を検査する工程の一例を説明するフローチャートである。
【
図12】配線基板フレームにおける検査用配線の別の配置を説明する断面図である。
【
図13】配線基板フレームにおける検査用配線及び検査用端子の別の配置を説明する断面図である。
【
図14A】配線基板に搭載される半導体チップ及びコンデンサの配置の別の一例を説明する概略図であって、半導体チップとコンデンサとが配置された配線基板を第1表面の上方(Z方向正側)からみた上面図である。
【
図14B】配線基板に搭載される半導体チップ及びコンデンサの配置の別の一例を説明する概略図であって、半導体チップとコンデンサとが配置された配線基板をX方向正側からみた側面図である。
【
図15】配線基板における検査用配線の配置の別の一例を説明する平面図である。
【
図16】配線基板フレームにおける検査用配線のレイアウトの別の一例を説明する平面図である。
【
図17】コンデンサと配線基板との接合部分の別の構成を説明するための断面図である。
【
図18】コンデンサと配線基板との接合部分のさらに別の構成を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0008】
以下の説明では、直交座標系の一例であるXYZ座標系を用いる。すなわち、半導体装置100を構成する配線基板40の表面と平行な平面をXY平面とし、XY平面と直交する方向をZ軸とする。また、X軸とY軸は、XY平面内における直交する2方向とする。なお、以下においては、説明の便宜上、配線基板の上下方向は、Z軸正方向側(半導体チップが設けられる面)を上側とする相対的な上下関係を用いて説明するが、鉛直方向に従った上下関係を表すものではない。
【0009】
図1は、実施形態の半導体装置の一例を説明する断面図である。なお、
図1は実施形態の半導体装置の断面構造を模式的に示すものであり、構成要素間の比率は実際の比率とは異なる。実施形態の半導体装置100は、例えば、配線基板上に搭載された半導体チップやコンデンサなどの部品をモールド樹脂で封止してなる半導体パッケージである。半導体装置100は、半導体チップとしてのコントローラチップ20と、コンデンサ30と、配線基板40と、半田ボール50と、モールド樹脂60とを備えている。モールド樹脂60は、封止樹脂の一例である。また、半導体装置100は、コントローラチップ20のY方向正側(紙面奥側)に、半導体チップとしてのNAND型フラッシュメモリチップ(以下、メモリチップと示す)も備えている。
【0010】
配線基板40は、例えば表面や内部に配線層が設けられた絶縁樹脂配線基板やセラミックス配線基板などである。配線基板40は、第1表面40sと第2表面40bとを備える。第1表面40sには、コントローラチップ20、コンデンサ30、および、メモリチップ10が設けられている。第2表面40bには、BGAパッケージ用の外部端子としての半田ボール50が形成されている。半田ボール50は、外部機器接続用端子の一例である。配線基板40は積層された複数の配線層を有しており、最上層の配線層には検査用配線42が形成されている。検査用配線42は、コンデンサ30と配線基板40との物理的な接続状態を検査するために用いられる配線であり、コンデンサ30の下を横切るように形成される。
【0011】
図2A、
図2Bは、配線基板に搭載される半導体チップ及びコンデンサの配置の一例を説明する図である。
図2Aは、半導体チップとコンデンサとが配置された配線基板を第1表面の上方(Z方向正側)からみた上面図である。
図2Bは、半導体チップとコンデンサとが配置された配線基板をX方向正側からみた側面図である。なお、
図1は、半導体装置100を、
図2AにおいてA-A'で示す位置で切断した場合の断面を示している。
【0012】
図2Aに示すように、配線基板40には、メモリチップ10と、コントローラチップ20と、コンデンサ30とが搭載される。複数のメモリチップ10は、平面が矩形形状を有する薄板である。複数のメモリチップ10は、薄板の厚さの方向がZ方向と平行、かつ、長辺がX方向と平行になるように、配線基板40の第1表面40s上に配置される。より具体的には、複数のメモリチップ10は、メモリチップ10のX方向正側の一辺と配線基板40のX方向正側の一辺との距離と、メモリチップ10のX方向負側の一辺と配線基板40のX方向負側の一辺との距離がほぼ等しくなり、かつ、メモリチップ10のY方向負側の一辺と配線基板40のY方向負側の一辺との距離が、メモリチップ10のY方向正側の一辺と配線基板40のY方向正側の一辺との距離よりも大きくなるように、配置される。複数のメモリチップ10は、Z方向に積層して配置される。例えば、
図2Bに示すように、Z方向において上下に隣り合って配置される2つのメモリチップ10は、Y方向に所定距離だけずらして配置されている。すなわち、それぞれのメモリチップ10の上面の一部は、他のメモリチップ10に覆われないように配置されている。なお、
図2A、2Bでは4つのメモリチップ10が積層されているが、メモリチップ10の積層数は特に限定されない。
【0013】
コントローラチップ20は矩形の平面形状を有する薄板である。コントローラチップ20は、薄板の厚さの方向がZ方向と平行、かつ、長辺がX方向と平行になるように、配線基板40の第1表面40sに配置される。より具体的には、コントローラチップ20は、Z方向においてメモリチップ10と重ならないように、メモリチップ10よりもY方向負側に配置される。すなわち、メモリチップ10のY方向負側の一辺からY方向負側に所定距離だけ離れた位置に、コントローラチップ20のY方向正側の一辺が位置するように、コントローラチップ20が配置される。X方向において、コントローラチップ20は、配線基板40の略中央に配置される。なお、コントローラチップ20の短辺の長さは、メモリチップ10の短辺の長さよりも短く形成されている。
【0014】
複数のコンデンサ30は、直方体の形状を有する。複数のコンデンサ30は、配線基板40の第1表面40sにおいて、個々のコンデンサ30の底面が第1表面40sと対向するように配置される。
図2Aに示す一例では、コントローラチップ20のX方向負側およびX方向正側のスペースに配置される。それぞれのコンデンサ30は、他のコンデンサ30や、コントローラチップ20、メモリチップ10とZ方向において重ならないように、隣接する部品と所定の距離をもって配置される。コントローラチップ20のX方向負側に配置されたコンデンサ30は、底面の長辺がY方向と平行になるように配置され、コントローラチップ20のX方向正側に配置されたコンデンサ30は、底面の長辺がX方向と平行になるように配置されている。
図2A、2Bに示すように、コントローラチップ20のX方向正側に配置された複数のコンデンサ30は、X方向に関して同じ位置であって、Y方向に所定の間隔を有するように配置されている。なお、
図2Aでは、コンデンサ30が3つ配置されている例を示しているが、コンデンサ30の個数は特に限定されない。コンデンサ30には、底面と直交する面であって、底面の長辺方向に相対する一対の面(以下、端面と示す)に、外部電極32が形成されている。外部電極32は、端面から延伸して底面や上面の一部にも形成されている。
【0015】
配線基板40の配線層には、コンデンサ30と配線基板40との物理的な接続状態を検査するための検査用配線42が設けられている。
図3は、配線基板における検査用配線の配置の一例を説明する平面図である。
図3は、半導体チップ及びコンデンサが、
図2A、2Bのように配置された配線基板における検査用配線の配置を示している。なお、配線基板40の第1表面40sには、メモリチップ10やコントローラチップ20と配線基板40とを電気的に接続するための端子なども設けられているが、
図3には、コンデンサ30と配線基板40とを電気的に接続するための端子41、および、検査用配線42のみを示し、その他の配線や端子については図示を省略している。
【0016】
配線基板40の第1表面40sには、コンデンサ30と配線基板40とを接続するための端子41_1、41_2、41_3が形成されている。以下、端子41_1、41_2、41_3の区別を要さない場合、単に端子41と示す。1つのコンデンサ30は、プラス側端子とマイナス側端子の2つの外部電極32を有するので、端子41は、それぞれの外部電極32に対応する2つの矩形状のランド41a、41bを有する。ランド41a、41bは、コンデンサ30と電気的に接続される一対の電極の一例である。ランド41a、41bは、第1表面40sにおいて、コンデンサ30の外部電極32が設置される位置に形成されている。ランド41a、41bは、上部に設置されるコンデンサ30の底面の長辺方向に沿って、離隔して配置されている。すなわち、コンデンサ30搭載前において、ランド41a、41bは、電気的にも物理的にも切断されている。コンデンサ30が配線基板40に搭載されて、2つの外部電極32がそれぞれランド41a、41bと接続されると、コンデンサ30を介してランド41aとランド41bとは電気的に接続される。
【0017】
配線基板40の第1表面40sには、検査用配線42も形成されている。検査用配線42は、コンデンサ30と配線基板40との物理的な接続状態を検査して接続不良を検出するために設けられている。検査用配線42は、ランド41aとランド41bの間を、ランド41a、41bが並ぶ方向(ランド41a、41bの上部に設置されるコンデンサ30の底面の長辺と平行な方向)に対して垂直な方向に延伸して形成される。例えば、
図3において、第1表面40sの左下隅の端子41_1を構成するランド41a、41bは、Y方向に並べて配置されている。ゆえに、これらのランド41a、41bの間には、検査用配線42がX方向に延伸して形成される。また、例えば
図3において、第1表面40sの右下隅には2つの端子41_2、41_3が配置されている。端子41_2のランド41a、41bはX方向に並べて配置されており、ランド41a、41bの間には、検査用配線42がY方向に延伸して形成される。また、端子41_3のランド41a、41bもX方向に並べて配置されており、ランド41a、41bの間には、検査用配線42がY方向に延伸して形成される。
【0018】
図4は、
図3の点線で囲まれた矩形領域Bを拡大した平面図である。矩形領域Bは、ランド41a、41bと、検査用配線42との位置関係を説明する図である。検査用配線42は、ランド41aとランド41bとの間の領域において、物理的に切断されている。検査用配線42は、端子部42a、42bと、端子間接続部42cを有する。端子部42a、42bは、ランド41aとランド41bとの間の領域に形成された検査用配線42の部分配線である。端子部42a、42bの幅は、ランド41aとランド41bとの離隔距離よりも狭く形成されており、検査用配線42は、ランド41a、41bと離隔して配置されている。
図4では、検査用配線42は、ランド41a、41bのそれぞれから距離D2だけ離隔して形成されている。端子部42aの一端は、切断部CRをはさんで端子部42bの一端と対向している。切断部CRは、断線部の一例である。切断部CRの長さ、すなわち、端子部42aの端部と端子部42bの端部との距離は、距離D1に設定されている。距離D1、D2の決め方については、後に詳しく説明する。端子部42aの他端は、端子間接続部42cの一端に接続されている。端子部42bの他端は、別の端子間接続部42cの一端に接続されている。
【0019】
端子間接続部42cは、以下の2つのグループに分類される。1つめのグループは、一端が端子部42a(または端子部42b)と接続されており、他端が配線基板40の周縁に位置するものである。2つめのグループは、一端が端子部42a(または端子部42b)と接続されており、他端が当該端子部42a(または端子部42b)と切断部CRをはさんで対向する端子部42b(または端子部42a)とは別の端子部42b(または端子部42a)と接続されているものである。
【0020】
例えば、
図3において、第1表面40sの左下に位置する端子41_1を構成するランド41a、41bの間には、検査用配線42がX方向に延伸して形成されている。この検査用配線42は、ランド41aとランド41bの間の領域において切断されている。切断部CRよりX方向負側には端子部42a、切断部CRよりX方向正側には端子部42bが形成されている。端子部42aの一端は、切断部CRをはさんで端子部42bの一端と対向している。端子部42aの他端は、端子間接続部42cの一端に接続されている。この端子間接続部42cはX方向負側に延伸し、配線基板40の周縁(Y方向に平行な辺のうちX方向負側に位置する一辺)まで直線的に形成されている。すなわち、この端子間接続部42cは1つめのグループに属する。
【0021】
上述の端子部42bの一端は、切断部CRをはさんで端子部42aの一端と対向している。端子部42bの他端は、上述した端子間接続部42cとは別の端子間接続部42cの一端に接続されている。この端子間接続部42cはX方向正側に延伸し、途中に屈曲部を有する。この端子間接続部42cは、屈曲部において延伸方向を変え、屈曲部より先はY方向負側向かって延伸し、配線基板40の周縁(X方向に平行な辺のうちY方向負側に位置する一辺)まで形成されている。すなわち、この端子間接続部42cも1つめのグループに属する。このように、端子間接続部42cは、直線的に形成されていてもよいし、途中に屈曲部を有してもよい。
【0022】
また、例えば、
図3において、第1表面40sの右下に位置する端子41_2を構成するランド41a、41bの間には、検査用配線42がY方向に延伸して形成されている。この検査用配線42は、ランド41aとランド41bの間の領域において切断されている。切断部CRよりY方向負側には端子部42a、切断部CRよりY方向正側には端子部42bが形成されている。
【0023】
上述の端子部42bの一端は、切断部CRをはさんで端子部42aの一端と対向している。端子部42bの他端は、上述した端子間接続部42cとは別の端子間接続部42cの一端に接続されている。この端子間接続部42cはY方向正側に延伸し、端子41_3を構成するランド41a、41bの間に形成された端子部42aの一端と接続されている。すなわち、この端子間接続部42cは、2つめのグループに属する。なお、2つめのグループに属する端子間接続部42cも、1つめのグループに属する端子間接続部42cと同様に、直線的に形成されていてもよいし、途中に屈曲部を有してもよい。
【0024】
配線基板40に搭載されるコンデンサ30の数や位置によって、配置される端子間接続部42cの数や位置も異なる。ただし、コンデンサ30の数や位置によらず、配線基板40には1つめのグループに属する端子間接続部42cが2つ以上配置されている。
【0025】
実施形態の半導体装置は、複数の配線基板40がマトリクス状に配置された多数個取りの配線基板(以下、配線基板フレーム4と示す)を用いて製造される。
図5は、配線基板フレームにおける検査用配線のレイアウトの一例を説明する平面図である。配線基板フレーム4は、回路基板の一例である。1枚の配線基板フレーム4には、複数の配線基板40がマトリクス状に配置される。例えば、Y方向に5行、X方向に20列、合計100個の配線基板40が配置される。配線基板フレーム4において、それぞれの配線基板40の周囲は、間隙領域70で囲まれている。間隙領域70は、ダイシングにより半導体装置を個片化する際に切り捨てられる領域である。それぞれの配線基板40には、メモリチップが搭載される領域410、及び、コントローラチップが搭載される領域420を除く第1表面40s上に、コンデンサ30の外部電極32と接続される端子41と、検査用配線42とが形成されている。間隙領域70には、配線基板40の第1表面40sと同じ側に位置する面(以下、第1表面70sと示す)上に、検査用端子43と検査用配線42とが形成される。以下の説明において、間隙領域70において、配線基板40の第2表面40bと同じ側に位置する面を、第2表面70bと示す。また、第1表面40sと第1表面70sとを含む配線基板フレーム4の面を第1表面4sと示し、第2表面40bと第2表面70bとを含む配線基板フレーム4の面を第2表面4bと示す。
【0026】
検査用配線42は、配線基板フレーム4の第1表面4sにおいて、切断部CRと介して対向する端子部42a、42bを電気的に接続した場合に分岐のない1本の配線となるように形成される。また、検査用配線42は、その経路中において、各配線基板40に搭載される端子41が直列に配置されるように形成される。さらに、検査用配線42は、その経路中において、すべての配線基板40が直列に配置されるように形成される。検査用端子43は、検査用端子43aと検査用端子43bとを含む。検査用端子43aは、直列的に形成された検査用配線42の両端に形成される。また、検査用端子43bは、検査用配線42の途中にも形成される。具体的には、異なる配線基板40に配置されている2つの端子間接続部42cを接続する配線の途中に形成される。
【0027】
配線基板フレーム4の各配線基板40にコンデンサ30を搭載した後、配線基板40とコンデンサ30との物理的な接続不良の検査が行われる。具体的には、検査用配線42の両端に形成された検査用端子43a間の直流抵抗値の測定が行われる。コンデンサ30の底面(配線基板40の第1表面40sと対向する面)には、検査用電極33が形成されている。(コンデンサ30の構成については、後に詳述する。)配線基板40の第1表面40sに形成されたすべての端子41にコンデンサ30が接続されると、端子41のランド41a、41b間に形成されている端子部42aの一端と端子部42bの一端とが、検査用電極33を介して電気的に接続される。ツームストーンや脱落などにより、コンデンサ30と端子41との間で物理的な接続不良が生じている場合、端子部42aの一端と端子部42bの一端とは電気的に接続されない。
【0028】
配線基板フレーム4の各配線基板40にコンデンサ30を搭載した後、検査用配線42の両端に形成された検査用端子43a間の直流抵抗値を測定し、直流抵抗値が設定された閾値よりも低い場合は、配線基板フレーム4上に搭載されたすべてのコンデンサ30が、配線基板40(の端子41)と物理的に接続されていると判定される。直流抵抗値が設定された閾値以上である場合は、いずれかのコンデンサ30に物理的な接続不良が生じていると判定される。引き続き、検査用配線42の途中に形成されている検査用端子43bを用い、任意の端子間の直流抵抗値を測定することで、接続不良が生じているコンデンサ30が搭載されている配線基板40を特定することができる。配線基板40が特定されたら、例えば、画像検査などにより、物理的な接続不良が生じているコンデンサ30を検出する。
【0029】
一般的には、配線基板フレーム4の第1表面4sを上面から撮像した画像(または、X線などを用いた透過画像)を取得し、画像認識プログラムや目視によって、コンデンサ30の接続不良を検出する方法が用いられている。しかしながら、画像を用いた検査方法、特に、目視による方法では、検査者によって結果にばらつきが生じるという問題がある。また、配線基板フレーム4に搭載されるコンデンサ30の個数が多くなると、検査時間が長時間化し検査効率が低下するという問題がある。また、抜取検査を行う場合、検査していない箇所の接続不良は検出できないという問題も生じる。これに対し、実施形態の半導体装置100によれば、配線基板フレーム4に搭載されたコンデンサ30の個数によらず、すべてのコンデンサ30の物理的な接続不良の有無を、短時間に効率よく検出することができる。
【0030】
次に、配線基板フレーム4の構造について、
図6を用いて説明する。
図6は、
図5に示す配線基板フレームのC-C'線に沿った断面図である。配線基板フレーム4は、表面配線層L1、L3と、中間配線層L2を有する。
【0031】
表面配線層L1は、第1表面4sに形成される配線層であって、メモリチップ10やコントローラチップ20の図示しない端子と電気的に接続される端子や、コンデンサ30と電気的に接続される端子41など、配線基板40に搭載される部品と電気的に接続される端子や配線が形成されている。表面配線層L1には、検査用配線42や検査用端子43も形成されている。検査用端子43は、間隙領域70の第1表面70sにのみ形成される。検査用配線42は、配線基板40の第1表面40sと間隙領域70の第1表面70sの両方に形成される。なお、検査用配線42と検査用端子43とは、表面配線層L1において、他の配線や端子(例えば、メモリチップ10やコントローラチップ20の端子や、コンデンサ30の端子41など、配線基板40に搭載されている部品と電気的に接続されている配線や端子)とは電気的に接続されていない。表面配線層L1の下には、ソルダーレジスト層46を介して中間配線層L2が形成されている。
【0032】
中間配線層L2は、複数の配線層が積層されてなる多層配線層である。表面配線層L1に形成される端子や配線(配線基板40に搭載されている部品と電気的に接続されている端子や配線)と、中間配線層L2に形成される配線とは、ビア48を介して電気的に接続されている。中間配線層L2に積層して形成される配線間(上下に隣接する配線の間)には、絶縁層45、または、コア層44が形成されている。コア層44は、例えば、ガラス繊維とエポキシ樹脂とからなる硬質な板状部材である。コア層44の上面と下面に形成される配線は、複数のスルーホール配線47のいずれかを介して電気的に接続されている。スルーホール配線47は、コア層44を貫通して設けられた貫通孔(スルーホール)に埋め込まれている配線である。絶縁層45の上面と下面に形成される配線は、ビア48を介して電気的に接続されている。中間配線層L2の下には、ソルダーレジスト層46を介して表面配線層L3が形成されている。なお、
図5では、コア層44を有する配線基板フレーム4を示しているが、コア層44を有しない、所謂、コアレス基板フレームを用いることもできる。この場合、中間配線層L2に形成される複数の配線は、絶縁層45をはさんで積層され、配線間はビア48を介して電気的に接続される。
【0033】
表面配線層L3は、第2表面4bに形成される配線層であって、外部端子としての半田ボール50を接続するためのランド49が形成されている。中間配線層L2に形成される配線とランド49とは、ビア48を介して電気的に接続されている。このような構成により、配線基板40の各部位を介し、メモリチップ10やコントローラチップ20が半田ボール50と電気的に接続される。なお、表面配線層L1に形成されている検査用配線42と検査用端子43とは、中間配線層L2や表面配線層L3を介して、表面配線層L1に形成されている他の配線や端子(配線基板40に搭載されている部品と電気的に接続されている端子や配線)と電気的に接続されていない。また、半田ボール50とも電気的に接続されていない。
【0034】
このように構成された配線基板フレーム4の各配線基板40に、メモリチップ10やコントローラチップ20、コンデンサ30などの部品が搭載されて、これらの部品が配線基板40の表面配線層L1と電気的に接続される。各配線基板40がモールドされ、半田ボール50がランド49に接続された後に、ダイシングにより配線基板40の周縁が切断されて、半導体装置100が個片化される。ダイシングにより、
図6の太線を境として配線基板40と間隙領域70とが分離されることで、検査用配線42のうちの間隙領域70に形成された部分と、検査用端子43とが半導体装置100から分離される。すなわち、
図3に示した配線基板40の周縁に位置する端子間接続部42cの一端は、ダイシングによって生成される検査用配線42の配線基板40側の切断端である。切断端は、終端部の一例である。
【0035】
次に、コンデンサ30の構造について説明する。
図7は、実施形態の半導体装置に搭載されるコンデンサの構成の一例を説明する図である。実施形態のコンデンサ30は、誘電体層と内部電極が多層積層された構造を有する、所謂、積層セラミックコンデンサである。
図7には、コンデンサ30の側面図(上側の図)と底面図(下側の図)とを示している。コンデンサ30は、積層体31と、外部電極32と、検査用電極33とを有する。積層体31は、セラミック誘電体層と内部電極層とが交互に積層された積層体構造を有する焼成体である。積層体31は、直方体の形状であって、長方形の底面を有する。外部電極32は、積層体31の内部電極層と配線基板40に形成されたランド41a、41bとを電気的に接続する外部端子である。外部電極32は、積層体31の端面に形成されている。また、外部電極32は、端面から延伸して底面や上面の一部にも形成されている。外部電極32としては、例えば、銅(Cu)電極が用いられる。Cu電極の表面には、ニッケル(Ni)/すず(Sn)のメッキ層が形成されている。検査用電極33は、積層体31の底面中央に形成された電極であって、表面の形状が矩形状に形成されている。検査用電極33は、積層体31の底面の対向する短辺を含んで形成された2つの外部電極32の間に、これらと離隔して形成されている。積層体31の底面の短辺と平行な方向における検査用電極33の長さE1は、距離D1(対向する端子部42a、42b間の距離)よりも長い。また、積層体31の底面の長辺と平行な方向における検査用電極33の長さE2は、端子部42a、42bの幅よりも長い。後述するように、検査用電極33は半田61を介して配線基板40と接続される。コンデンサ30と配線基板40とを圧着する際に、半田61が検査用電極33からはみ出す可能性がある。このような場合においても、ランド41aとランド41bとが半田61を介して電気的に接続されないように、検査用電極33の長さE2は、ランド41a、41b間の距離よりも十分に短い。検査用電極33は、例えば、外部電極32と同じ材料で形成される。
【0036】
図8は、
図7のコンデンサの製造工程を説明する図である。まず、誘電体セラミックスの微細粉を溶剤や分散剤、バインダ(結合剤)などと混合して泥状のスラリーとし、これをキャリアフィルム上に薄く伸ばして誘電体のグリーンシートを形成する。
次にこのグリーンシートに内部電極パターンをスクリーン印刷したものを積み重ねて圧着してから、多数のチップ個片に切断し、これを焼成してセラミックス化し、積層体31を形成する(
図8(a)参照)。次に、積層体31の両端面の外部電極32を形成する領域と、底面の中央の検査用電極33を形成する領域に、Cu電極32aを塗布焼付する(
図8(b)参照)。最後に、電解メッキによりCu電極32aの表面にNiとSnを順に積層して外部電極32と検査用電極33を形成し、実施形態の半導体装置100に搭載されるコンデンサ30が完成する(
図8(c)参照)。
【0037】
上述の構造を有するコンデンサ30と配線基板40との接合領域について、
図9、
図10を用いて説明する。
図9は、コンデンサと配線基板との位置関係を説明するための平面図である。
図9は、配線基板40の第1表面40sに形成された構成要素と、コンデンサ30の底面に形成された構成要素との位置関係の一例を示しており、配線基板40の第1表面40sにおける
図3の点線で囲まれた矩形領域Bの平面図である。
図10は、コンデンサと配線基板との接合部分の構成を説明するための断面図である。
図10は、半田61によりコンデンサ30を配線基板40に接合した後の断面の一例であり、
図9のD-D'線に沿った断面図である。
【0038】
図9に示すように、配線基板40と接合する際に、コンデンサ30の底面の長辺に平行な方向(
図9におけるX方向)において、2つの外部電極32の下面がそれぞれランド41a、41bの表面に含まれ、かつ、検査用電極33のランド41aに対向する一辺が、ランド41aから検査用配線42までの間の第1表面40s上に位置し、かつ、検査用電極33のランド41bに対向する一辺が、検査用配線42からランド41bまでの間の第1表面40s上に位置するように、コンデンサ30の位置が決定される。また、配線基板40と接合する際に、コンデンサ30の底面の短辺に平行な方向(
図9のY方向)において、2つの外部電極32の下面がそれぞれランド41a、41bの表面に含まれ、かつ、検査用電極33の一辺が端子部42aを横切り、かつ、検査用電極33の対向する一辺が端子部42bを横切るように、コンデンサ30の位置が決定される。
【0039】
すなわち、2つの外部電極32のそれぞれは、ランド41a、41bとは物理的かつ電気的に接続されるが、端子部42a、42bとは物理的にも電気的にも接続されないように配置される。また、検査用電極33は、端子部42a、42bとは物理的かつ電気的に接続されるが、ランド41a、41bとは物理的にも電気的にも接続されないように配置される。
【0040】
コンデンサ30を配線基板40に搭載する際には、第1表面40sの面内において位置ずれが生じる可能性がある。端子部42aと端子部42bとの間の距離D1は、コンデンサ30が底面の短辺に平行な方向に位置ずれした場合にも、検査用電極33が端子部42a、42bの両方にまたがって配置されるように設定される。例えば、距離D1は、コンデンサ30の底面の短辺に平行な方向におけるランド41a、41bの幅の半分以下に設定される。また、端子部42aと端子部42bは、設計上の形状に対し、加工精度に応じた誤差が生じて形成される可能性がある。距離D1は、端子部42aや端子部42bが設計上の形状よりも長く形成される場合にも、端子部42aの一端と端子部42bの一端が接触し、意図せぬ導通が生じないように設定される。例えば、距離D1は、50μm以上に設定される。
【0041】
また、検査用配線42とランド41a、41bとの距離D2は、コンデンサ30が底面の短辺に垂直な方向(
図9のX方向)に位置ずれした場合にも、検査用電極33がランド41a、41bと接触しないように設定される。
【0042】
図9に示すように、配線基板40の第1表面40s上おいて、コンデンサ30底面の外部電極32の位置と検査用電極33とが位置決めされると、決定された接合位置に開口部を有するマスク材(例えば、スクリーン印刷版)を配線基板40の第1表面40sに覆い被せ、マスク材の上からペースト状のクリームはんだを塗布する。続いて、スキージなどにより圧力を加えてクリームはんだを開口部から押し出し、マスク材の開口部から露出している第1表面40sに印刷(塗布)する。マスク材を取り除き、クリームはんだ上にコンデンサ30を搭載し、リフロー方式で実装する。クリームはんだは導電性を有するので、コンデンサ30の外部電極32と配線基板40のランド41a、41bとは、電気的にも接続される。
【0043】
図10に示すように、配線基板40の第1表面40sに形成されたランド41a、ランド41bの表面上には、半田61(リフロー処理により溶融し凝固したクリームはんだ)を介してコンデンサ30の外部電極32が接続される。外部電極32の底面とランド41a、41bとの間、および、ランド41a、41bの表面からコンデンサ30の端面に沿って所定高さまでフィレット状に形成された半田61によって、一方の外部電極32とランド41aとが物理的かつ電気的に接続され、他方の外部電極32とランド41bとが物理的かつ電気的に接続される。また、コンデンサ30の底面に形成された検査用電極33と端子部42aとの間にも形成された半田61によって、検査用電極33と端子部42aとが物理的かつ電気的に接続される。さらに、検査用電極33の表面に形成された半田61によって、紙面奥方向に配置されている端子部42bと検査用電極33とが物理的かつ電気的に接続する。
【0044】
すなわち、半田61を介してコンデンサ30が端子41に接続されると、コンデンサ30の底面の長辺に直交する方向において対向して配置された端子部42aと端子部42bとが、半田61と検査用電極33とを介して電気的に接続される。一方、半導体装置100の製造過程において、加熱や応力などによってツームストーンや脱落などが生じ、コンデンサ30と端子41との間で物理的な接続不良が生じる場合、検査用電極33と端子部42a、および/または、検査用電極33と端子部42bは物理的に接続されなくなる。故に、コンデンサ30と端子41との間で物理的な接続不良が生じた場合、端子部42aの一端と端子部42bの一端とは電気的に接続されなくなる。
【0045】
このように、本実施形態によれば、コンデンサ30底面の外部電極32間に検査用電極33を設けている。また、配線基板フレーム4の第1表面4sに検査用配線42を設けている。検査用配線42は、各配線基板40に搭載されるすべてのコンデンサ30が配線基板40に物理的に接続されている場合において、各コンデンサ30に形成された検査用電極33がデイジーチェーン方式で直列に接続されるように配置されている。このような構成により、検査用配線42の両端に設けられた検査用端子43a間の抵抗値を測定することにより、配線基板フレーム4に設けられたすべての配線基板40に搭載されたコンデンサ30について、接続不良(配線基板40に対する物理的な接続の不良)の有無を一括で検出することができる。従って、コンデンサと配線基板との接続不良を効率よく検出することができる。
【0046】
また、外部電極32とランド41a、41bだけでなく、検査用電極33と検査用配線42も半田61で物理的に接続されるので、コンデンサ30と配線基板40との接続強度が増し、コンデンサ30が配線基板40から脱落するのを防止することができる。故に、半導体装置の歩留まりが向上する効果も得られる。
【0047】
次に、実施形態の半導体装置100の製造方法について説明する。
図11Aは、実施形態の半導体装置の製造工程の一例を説明するフローチャートである。まず、配線基板フレーム4に形成された配線基板40のすべての端子41にコンデンサ30を半田付けして、配線基板40とコンデンサ30とを物理的に接続し、コンデンサ30の外部電極32と配線基板40の表面配線層L1とを電気的に接続する(S1)。コンデンサ30が搭載された配線基板フレーム4を用いて半導体装置を製造する場合、S1は省略される。
【0048】
次に、配線基板フレーム4に形成されたすべての配線基板40について、第1表面40sの領域410にメモリチップ10の裏面が接着され、第1表面40sの領域420にコントローラチップ20の裏面が接着される(S2)。S2は、所謂、ダイボンディングとよばれる工程である。配線基板40の第1表面40sの領域410とメモリチップ10の裏面、及び、領域420とコントローラチップ20の裏面とが、例えば、ダイアタッチフィルム(Die Attach Film;DAF)などの非導電性接着剤を用いて接着される。また、
図1Aに示すように、複数のメモリチップ10が積層して形成される場合、上下に隣り合うメモリチップ10間の接着にも、DAFが用いられる。
【0049】
続いて、配線基板フレーム4をオーブンにより加熱して、上記接着剤を硬化させる(S3)。さらに、メモリチップ10とコントローラチップ20の端子と、配線基板40の表面配線層L1の端子とを金(Au)などの金属ワイヤを用いて結線する(S4)。S4は、所謂、ワイヤボンディングと呼ばれる工程である。
【0050】
次に、配線基板フレーム4を樹脂で封止する(S5)。S5は、所謂、モールドと呼ばれる工程である。S5では、配線基板フレーム4に形成された複数の配線基板40の樹脂封止が、一括して行われる。続いて、配線基板フレーム4の表面配線層L3に形成されたランド49に、半田ペーストなどの導電性接着剤を用いて、外部端子である半田ボール50を接着する(S6)。続いてリフロー処理により配線基板フレーム4を加熱して、ランド49と半田ボール50とを固着させる(S7)。最後に、配線基板40と間隙領域70との間を切断し、個別の半導体装置100に切り分ける(S8)。S8は、所謂、ダイシングと呼ばれる工程である。以上の工程を実施することで、実施形態の半導体装置100が製造される。コンデンサ30が配線基板フレーム4に搭載されてから、配線基板フレーム4がダイシングされるまでの間であれば、配線基板フレーム4の間隙領域70に形成された検査用端子43を用いて直流抵抗値の計測を行うことが可能である。
【0051】
図11Bは、配線基板フレーム4上に搭載されたコンデンサ30の物理的な接続状態を検査する工程の一例を説明するフローチャートである。まず、検査用配線42の両端に形成された検査用端子43a間の直流抵抗値を測定する(S11)。直流抵抗値が設定された閾値よりも低い場合は(S12、YES)、配線基板フレーム4上に搭載されたすべてのコンデンサ30が、配線基板40と物理的に接続されていると判定し(S13)、検査を終了する。
【0052】
一方、直流抵抗値が設定された閾値以上である場合は(S12、NO)、いずれかのコンデンサ30に物理的な接続不良が生じていると判定する(S14)。検査用端子43aに加えて検査用配線42の途中に形成されている検査用端子43bも用い、任意の端子間の直流抵抗値を測定する(S15)。直流抵抗値が設定された閾値よりも低い場合は(S16、YES)、S15の測定で用いた端子間に位置する配線基板40上のコンデンサ30は、配線基板40と物理的に接続されていると判定する(S18)。接続不良が生じているコンデンサを検出するため、測定する検査用端子43a、43bを変更し(S19)、S15に戻って端子間の直流抵抗値を測定する。一方、直流抵抗値が設定された閾値以上である場合は(S16、NO)、S15の測定で用いた端子間に位置する配線基板40上のコンデンサ30の中に、物理的な接続不良が生じているものがあると判定し(S17)、検査を終了する。物理的な接続不良が生じているコンデンサ30が搭載された配線基板40をさらに絞り込む場合は、S19に戻って測定する検査用端子43a、43bを変更し、検査を継続する。
【0053】
このように、実施形態の半導体装置によれば、上述の製造工程において、S1実行後、S8実行前までの間の任意のタイミングで、コンデンサ30と配線基板40との物理的な接続不良を効率よく検出することができる。
【0054】
例えば、S1とS2のとの間に検査を行い、接続不良が生じているコンデンサ30があれば、その場所(どの配線基板40上に搭載されているか)を特定する。S2以降の工程において、コンデンサ30との接続不良が生じている配線基板40に対して、メモリチップ10やコントローラチップ20などの部材を搭載しないようにすることで、メモリチップ10やコントローラチップ20の使用量を削減することができ、コストを削減することができる。また、例えば、S7とS8との間に検査を行うことで、S7までの工程において、製品に加えられる熱履歴による応力等に起因して生じるコンデンサ30の接続不良(ツームストーンや脱落など)を検出することができる。接続不良が生じている場合、どの配線基板40において接続不良が生じているかを特定することができる。S8で半導体装置を個片化した後、接続不良が生じている半導体装置を排除することができるので、製品テストを行う半導体装置を絞り込むことができ、コスト削減やテスト時間の短縮を実現することができる。
【0055】
なお、上述した半導体装置は、検査用配線42を配線基板フレーム4の表面配線層L1にのみ形成しているが、端子部42a、42b以外は中間配線層L2に形成してもよい。
図12は、配線基板フレームにおける検査用配線の別の配置を説明する断面図である。
図12に示すように、例えば、端子間接続部42cを中間配線層L2の最上層に形成して、表面配線層L1に形成される端子部42a、42bや検査用端子43とビア48を介して電気的に接続するようにしてもよい。なお、端子間接続部42cは、
図12に示すように、表面配線層L1と中間配線層L2とにまたがって形成してもよいし、中間配線層L2のみに形成してもよい。さらに、中間配線層L2の最上層以外の層や、複数の層にまたがって端子間接続部42cを形成してもよい。このように、端子間接続部42cの少なくとも一部を中間配線層L2に形成することで、配線設計の自由度が増す。故に、配線基板40の第1表面40sに検査用配線42を形成するスペースが限られている場合にも、検査用配線42を確実に配置することができる。
【0056】
また、上述した半導体装置は、検査用端子43を配線基板フレーム4の表面配線層L1に形成しているが、表面配線層L3に形成してもよい。
図13は、配線基板フレームにおける検査用配線及び検査用端子の別の配置を説明する断面図である。
図13に示すように、検査用端子43を表面配線層L3に形成し、スルーホール配線471を介して表面配線層L1に形成されている端子間接続部42cと電気的に接続するようにしてもよい。このように、検査用端子43を表面配線層L3に形成し、配線基板フレーム4の第2表面4bから露出させることで、配線基板40の第1表面40sがモールド樹脂60で覆われた後においても、コンデンサ30と配線基板40との接続不良の有無の検査を確実に行うことができる。なお、検査用端子43を表面配線層L3に形成する場合においても、上述のように、端子間接続部42cの一部または全部を中間配線層L2に形成してもよい。
【0057】
さらに、配線基板40に搭載されるメモリチップ10やコンデンサ30の個数、および、第1表面40s上におけるメモリチップ10、コントローラチップ20、コンデンサ30の配置は、
図2A、2Bに示す個数や配置に限定されない。
図14A、14Bは、配線基板に搭載される半導体チップ及びコンデンサの配置の別の一例を説明する図である。
図14Aは、半導体チップとコンデンサとが配置された配線基板を第1表面の上方(Z方向正側)からみた上面図である。
図14Bは、半導体チップとコンデンサとが配置された配線基板をX方向正側からみた側面図である。
図2A、2Bでは、4枚のメモリチップ10が少しずつ互いにずらされながら積層されたメモリチップ群を、コントローラチップ20のY方向正側に配置し、コントローラチップ20のX方向正側にコンデンサ30を2つ配置し、X方向負側にコンデンサ30を1つ配置している。これに対し、
図14A、14Bに示す別の構成では、4枚のメモリチップ10が少しずつ互いにずらされながら積層されたメモリチップ群を、コントローラチップ20のY方向正側とY方向負側とに配置し、コントローラチップ20のX方向正側とX方向負側とにそれぞれ1つずつコンデンサ30を配置している。このように、コンデンサ30は、メモリチップ10やコントローラチップ20が配置されていない空きスペースに配置すればよく、配線基板40上に設置される位置は自由に設計可能である。また、コンデンサ30は、配線基板40の第1表面40s上に設置可能な空きスペースの面積や、半導体装置100の動作に必要とされる容量に応じて、任意の個数を搭載することができる。
【0058】
図15は、配線基板における検査用配線の配置の別の一例を説明する平面図である。
図15は、半導体チップ及びコンデンサが、
図14A、14Bに示すように配置された配線基板における検査用配線の配置を示している。
図15に示すように、配線基板40の第1表面40s上には、コンデンサ30を配線基板40と接続するためのランド41a、41bの組が2組形成されている。ランド41a、41bは、第1表面40sにおいて、コンデンサ30の外部電極32が設置される位置に形成されている。ランド41a、41bは、上部に設置されるコンデンサ30の底面の長辺方向に沿って、離隔して配置されている。検査用配線42は、ランド41aとランド41bの間を、ランド41a、41bが並ぶ方向(ランド41a、41bの上部に設置されるコンデンサ30の底面の長辺と平行な方向)に対して垂直な方向に延伸して形成される。検査用配線42は、ランド41aとランド41bとの間の領域において物理的に切断されており、切断部CRが形成されている。
【0059】
図16は、配線基板フレームにおける検査用配線のレイアウトの別の一例を説明する平面図である。
図16は、
図15に示す配線基板40がマトリクス状に配置された多数個取りの配線基板フレーム4である。配線基板40に搭載されるコンデンサ30の位置や数が異なっても、配線基板フレーム4の第1表面4sにおいて、切断部CRを介して対向する端子部42a、42bを電気的に接続した場合に分岐のない1本の配線となるように検査用配線42を形成することができる。
【0060】
また、上述した半導体装置100においては、端子部42aと端子部42bとを導通させる部品として、外部電極32と同じ材料でコンデンサ30の底面に検査用電極33を形成し、端子部42a、42bおよび第1表面40sとを、半田61を用いて接続したが、導電性を有する材料であれば、半田61以外の接着材を用いてもよい。
図17は、コンデンサと配線基板との接合部分の別の構成を説明するための断面図である。
図17に示す構成においては、コンデンサ30の底面に形成した検査用電極33と、端子部42a、42bおよび第1表面40sとを、異方性導電フィルム(Anisotropic Conducive Film;ACF)62を用いて接続している。異方性導電フィルム62は半田61に比べて、熱や圧力が印加されても形状が変化しづらい。故に、コンデンサ30を配線基板40に接着後に圧力や熱が印加されても、異方性導電フィルム62とランド41a、および、異方性導電フィルム62とランド41bとが離隔された状態を保持することができ、ランド41a、41bが電気的に接続されるのをより確実に防止することができる。なお、検査用電極33、および、異方性導電フィルム62は、検査用導電体の一例である。
【0061】
図18は、コンデンサと配線基板との接合部分のさらに別の構成を説明するための断面図である。
図18に示す構成においては、コンデンサ30は底面に検査用電極33を形成せずに、異方性導電フィルム62を介してコンデンサ30と端子部42a、42bおよび第1表面40sとを接続している。このように、コンデンサ30が配線基板40に物理的に接続された状態において、端子部42a、42bの間が電気的に接続されるようにコンデンサ30の底面に設ける部材は、導電性を有する他の材料に変更することができる。
【0062】
本発明の実施形態を説明したが、本実施形態は一例として示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
4…配線基板フレーム、
4s…第1表面、
4b…第2表面、
10…メモリチップ、
20…コントローラチップ、
30…コンデンサ、
31…積層体、
32…外部電極、
33…検査用電極、
40…配線基板、
41…端子、
41a、41b、49…ランド、
42…検査用配線、
42a、42b…端子部、
42c…端子間接続部、
43、43a、43b…検査用端子、
50…半田ボール、
60…モールド樹脂、
61…半田、
70…間隙領域、
100…半導体装置