(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041304
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】親子見守りシステム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/10 20060101AFI20240319BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20240319BHJP
G01S 5/02 20100101ALI20240319BHJP
【FI】
G08B25/10 A
G08B21/02
G01S5/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146029
(22)【出願日】2022-09-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-15
(71)【出願人】
【識別番号】516387750
【氏名又は名称】株式会社Fam’s
(71)【出願人】
【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
(74)【代理人】
【識別番号】100117558
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 和之
(72)【発明者】
【氏名】根本 靖久
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 明
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5J062
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086AA52
5C086CA06
5C086CB27
5C086EA40
5C086EA45
5C086FA06
5C086FA17
5C086FA18
5C087AA09
5C087AA10
5C087AA21
5C087AA37
5C087BB20
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF16
5C087GG08
5C087GG66
5J062BB05
5J062CC18
(57)【要約】
【課題】適切なスキンシップが確保されるように、子供と主にその親との接触の状況に応じた注意喚起を発することによって親子をさりげなく見守る親子見守り装置、親子見守りシステムおよび親子見守りプログラムを提供する。
【解決手段】親子見守り装置1は、CPU31を有し、そのCPU31によって、子供とその親との接触の状況を検出する接触状況検出手段、検出された接触の状況に応じた接触レベルにしたがい子供との接触を親に促す接触リマインダが必要か否かを判定するリマインダ判定手段、接触リマインダが必要であると判定されたときに、接触リマインダを発出させるリマインダ発出制御手段が実現される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
子供とその親との接触の状況を検出する接触状況検出手段と、
前記接触状況検出手段によって検出された前記接触の状況に応じた接触レベルにしたがい前記子供との接触を前記親に促す接触リマインダが必要か否かを判定するリマインダ判定手段と、
該リマインダ判定手段によって前記接触リマインダが必要であると判定されたときに、前記接触リマインダを発出させるリマインダ発出制御手段とを有する親子見守り装置。
【請求項2】
前記子供と前記親との距離である親子間距離を算出する親子間距離算出手段を更に有し、
前記接触状況検出手段は、前記親子間距離算出手段によって算出された前記親子間距離を用いて、前記接触レベルを決定する請求項1記載の親子見守り装置。
【請求項3】
前記子供と前記親との距離である親子間距離を一定期間ごとに算出する親子間距離算出手段を更に有し、
前記接触状況検出手段は、前記親子間距離検出手段によって算出された前記親子間距離と、該親子間距離が一定の大きさで変化することなく連続している期間である接触保持時間とを用いて、前記接触レベルを決定する請求項1記載の親子見守り装置。
【請求項4】
前記リマインダ判定手段は、前記接触リマインダが必要か否かの判定に用いられるリマインダ距離よりも、前記親子間距離が一定期間継続して大きいときに前記接触リマインダが必要であると判定し、該リマインダ距離よりも、前記親子間距離が一定期間継続して小さいときは前記接触リマインダが不要であると判定する請求項2または3記載の親子見守り装置。
【請求項5】
前記子供に装着されるRFIDタグである子供タグおよび前記親に装着されるRFIDタグである親タグとの無線通信によって、該子供タグに記憶されている子供タグデータおよび該親タグに記憶されている親タグデータを読み取るRFIDリーダから、該RFIDリーダから前記子供タグまでの距離を示す子供距離および該RFIDリーダから前記親タグまでの距離を示す親距離を取得する距離取得手段を更に有し、
該距離取得手段によって取得した前記子供距離および親距離を用いて、前記親子間距離検出手段が前記親子間距離を算出する請求項2または3記載の親子見守り装置。
【請求項6】
前記接触レベルが出現した回数を該接触レベルごとにカウントする接触レベルカウント手段を更に有する請求項2または3記載の親子見守り装置。
【請求項7】
基準位置から子供とその親それぞれまでの距離を計測する距離計測装置と、子供とその親の見守り処理を実行する親子見守り装置とを有し、
前記距離計測装置は、該親子見守り装置からの読取要求があったときに、前記基準位置から、前記子供、親それぞれまでの距離である子供距離および親距離を計測する距離計測手段と、前記距離計測手段によって計測された前記子供距離および前記親距離を前記親子見守り装置宛てに送信させる距離送信制御手段とを有し、
前記親子見守り装置は、前記距離計測装置から送信される前記子供距離および前記親距離を用いて前記子供と前記親との距離である親子間距離を算出する親子間距離算出手段と、
該親子間距離算出手段によって算出された前記親子間距離を用いて、前記子供とその親との接触の状況を検出する接触状況検出手段と、
該接触状況検出手段によって検出された前記接触の状況に応じた接触レベルにしたがい前記子供との接触を前記親に促す接触リマインダが必要か否かを判定するリマインダ判定手段と、
該リマインダ判定手段によって前記接触リマインダが必要であると判定されたときに、前記接触リマインダを発出させるリマインダ発出制御手段とを有する親子見守りシステム。
【請求項8】
前記接触状況検出手段は、前記親子間距離算出手段によって算出された前記親子間距離を用いて、前記接触レベルを決定する請求項7記載の親子見守りシステム。
【請求項9】
前記接触状況検出手段は、前記親子間距離検出手段によって算出された前記親子間距離と、該親子間距離が一定の大きさで変化することなく連続している期間である接触保持時間とを用いて、前記接触レベルを決定する請求項7記載の親子見守りシステム。
【請求項10】
前記リマインダ判定手段は、前記接触リマインダが必要か否かの判定に用いられるリマインダ距離よりも、前記親子間距離が一定期間継続して大きいときに前記接触リマインダが必要であると判定し、該リマインダ距離よりも、前記親子間距離が一定期間継続して小さいときは前記接触リマインダが不要であると判定する請求項8または9記載の親子見守りシステム。
【請求項11】
前記子供に装着されるRFIDタグである子供タグおよび前記親に装着されるRFIDタグである親タグとの無線通信によって前記子供距離および親距離を計測するRFIDリーダが前記距離計測装置として用いられている請求項7~9のいずれか一項記載の親子見守りシステム。
【請求項12】
前記子供に装着されるRFIDタグである子供タグおよび前記親に装着されるRFIDタグである親タグとの無線通信によって前記子供距離および親距離を計測する第1、第2のRFIDリーダを有し、該第1、第2のRFIDリーダの配置間隔が固定されているデュアルリーダ構造を有するRFIDリーダユニットが前記距離計測装置として用いられている請求項7~9のいずれか一項記載の親子見守りシステム。
【請求項13】
前記親子間距離算出手段は、前記第1、第2のRFIDリーダによってそれぞれ計測される前記基準位置から前記子供までの距離である第1、第2の子供距離および前記配置間隔を三辺として有する子供三角形の該三辺の長さを三辺測量によって計測し、該三辺の長さを用いて前記子供タグの座標である子供座標を算出する子供座標算出手段と、前記第1、第2のRFIDリーダによってそれぞれ計測される前記基準位置から前記親までの距離である第1、第2の親距離および前記配置間隔を三辺として有する親三角形の該三辺の長さを三辺測量によって計測し、該三辺の長さを用いて前記親タグの座標である親座標を算出する親座標算出手段とを有し、前記子供座標および親座標を用いて前記親子間距離を算出する請求項12記載の親子見守りシステム。
【請求項14】
コンピュータを親子見守り装置として機能させるための親子見守りプログラムであって、該コンピュータを
子供とその親との接触の状況を検出する接触状況検出手段と、
前記接触状況検出手段によって検出された前記接触の状況に応じた接触レベルにしたがい前記子供との接触を前記親に促す接触リマインダが必要か否かを判定するリマインダ判定手段と、
該リマインダ判定手段によって前記接触リマインダが必要であると判定されたときに、前記接触リマインダを発出するリマインダ発出制御手段として機能させる親子見守りプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子供(主に乳幼児)と主にその親との接触(触れ合い)の状況を求めて、その接触の状況に応じた注意喚起を発する親子見守り装置、親子見守りシステムおよび親子見守りプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、子育て中の親を対象とした育児に関する支援サービスが知られている。例えば、家事援助、育児に関するアドバイスを提供する育児支援ヘルパーサービス、未就学児を預かる保育サービスや一時預かりサービス、育児用品のレンタルサービスが知られている。
【0003】
また、インターネットを利用したサービスとして、育児関連情報を提供するサービスや、利用者の状況に応じて、子育てに必要な施設や費用に関する情報提供が行われる子育て支援システム(例えば、特許文献1参照)、育児用品の購入支援サービス(例えば、特許文献2参照)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-284844号公報
【特許文献2】特許第7002087号公報
【特許文献3】特開2021-108996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、育児に関して、子供とその親とが直接肌を触れ合うこと(いわゆるスキンシップ)がとても重要な要素であることが知られている。スキンシップによって、子供と親との関係性が形成され、それによって、子供(特に乳幼児)が親とつながっていることを実感し、その結果、子供の健全な成長が促進されることになるからである。
【0006】
しかし、従来の育児支援では、育児に携わる親の負担を軽減させることが重視されており、子供の健全な成長という観点が考慮されていなかった。そのため、スキンシップが育児に関する重要な要素であっても、従来、スキンシップに関する育児支援、例えば、スキンシップが足りているのか否かを調べ、スキンシップが不足しているときにスキンシップを促すといったシステムやサービスが無かった。
【0007】
一方、スキンシップが足りているのか否かは、子供と主にその親との接触(触れ合い)の状況によって把握することができる。それには、子供と主にその親との距離を計測することが有効である。
【0008】
この点に関し、例えば特許文献3には、乳幼児の個人識別情報が記録されたRFIDタグが乳幼児の存在する場所に設けられ、そのRFIDタグを読み取る読み取り装置が室内に設けられ、それによって、乳幼児の位置が特定されることが開示されている。
【0009】
しかし、特許文献3では、乳幼児の位置に加えて、その親の位置が特定されることがない。つまり、親が計測の対象とされていないため、子供と親との距離が計測されることがなく、それ故、スキンシップの状況が把握されることがなかった。したがって、特許文献3の従来技術では、たとえ親子のスキンシップが不足していても、スキンシップが促されることがないから、かかる従来技術は、子供の健全な成長を促進するために有効ではなかった。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、子供と主にその親との接触(触れ合い)の状況を求めて、適切なスキンシップが確保されるように、その接触状況に応じた注意喚起を発することによって親子をさりげなく見守る親子見守り装置、親子見守りシステムおよび親子見守りプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は、子供とその親との接触の状況を検出する接触状況検出手段と、接触状況検出手段によって検出された接触の状況に応じた接触レベルにしたがい子供との接触を親に促す接触リマインダが必要か否かを判定するリマインダ判定手段と、そのリマインダ判定手段によって接触リマインダが必要であると判定されたときに、接触リマインダを発出させるリマインダ発出制御手段とを有する親子見守り装置を特徴とする。
【0012】
上記親子見守り装置において、子供と親との距離である親子間距離を算出する親子間距離算出手段を更に有し、接触状況検出手段は、親子間距離算出手段によって算出された親子間距離を用いて、接触レベルを決定することが好ましい。
【0013】
また、上記親子見守り装置において、子供と親との距離である親子間距離を一定期間ごとに算出する親子間距離算出手段を更に有し、接触状況検出手段は、親子間距離検出手段によって算出された親子間距離と、その親子間距離が一定の大きさで変化することなく連続している期間である接触保持時間とを用いて、接触レベルを決定することが好ましい。
【0014】
上記親子見守り装置において、リマインダ判定手段は、接触リマインダが必要か否かの判定に用いられるリマインダ距離よりも、親子間距離が一定期間継続して大きいときに接触リマインダが必要であると判定し、そのリマインダ距離よりも、親子間距離が一定期間継続して小さいときは接触リマインダが不要であると判定するようにすることができる。
【0015】
さらに、子供に装着されるRFIDタグである子供タグおよび親に装着されるRFIDタグである親タグとの無線通信によって、その子供タグに記憶されている子供タグデータおよびその親タグに記憶されている親タグデータを読み取るRFIDリーダから、そのRFIDリーダから子供タグまでの距離を示す子供距離およびそのRFIDリーダから親タグまでの距離を示す親距離を取得する距離取得手段を更に有し、その距離取得手段によって取得した子供距離および親距離を用いて、親子間距離検出手段が親子間距離を算出するようにすることができる。
【0016】
上記親子見守り装置は、接触レベルが出現した回数をその接触レベルごとにカウントする接触レベルカウント手段を更に有することが好ましい。
【0017】
そして、本発明は、基準位置から子供とその親それぞれまでの距離を計測する距離計測装置と、子供とその親の見守り処理を実行する親子見守り装置とを有し、距離計測装置は、その親子見守り装置からの読取要求があったときに、基準位置から、子供、親それぞれまでの距離である子供距離および親距離を計測する距離計測手段と、距離計測手段によって計測された子供距離および親距離を親子見守り装置宛てに送信させる距離送信制御手段とを有し、親子見守り装置は、距離計測装置から送信される子供距離および親距離を用いて子供と親との距離である親子間距離を算出する親子間距離算出手段と、その親子間距離算出手段によって算出された親子間距離を用いて、子供とその親との接触の状況を検出する接触状況検出手段と、その接触状況検出手段によって検出された接触の状況に応じた接触レベルにしたがい子供との接触を親に促す接触リマインダが必要か否かを判定するリマインダ判定手段と、そのリマインダ判定手段によって接触リマインダが必要であると判定されたときに、接触リマインダを発出させるリマインダ発出制御手段とを有する親子見守りシステムを提供する。
【0018】
上記親子見守りシステムの場合、接触状況検出手段は、親子間距離算出手段によって算出された親子間距離を用いて、接触レベルを決定することが好ましい。
【0019】
また、接触状況検出手段は、親子間距離検出手段によって算出された親子間距離と、その親子間距離が一定の大きさで変化することなく連続している期間である接触保持時間とを用いて、接触レベルを決定することが好ましい。
【0020】
リマインダ判定手段は、接触リマインダが必要か否かの判定に用いられるリマインダ距離よりも、親子間距離が一定期間継続して大きいときに接触リマインダが必要であると判定し、そのリマインダ距離よりも、親子間距離が一定期間継続して小さいときは接触リマインダが不要であると判定するようにすることもできる。
【0021】
上記親子見守りシステムの場合、子供に装着されるRFIDタグである子供タグおよび親に装着されるRFIDタグである親タグとの無線通信によって子供距離および親距離を計測するRFIDリーダが距離計測装置として用いられているようにすることもできる。
【0022】
また、子供に装着されるRFIDタグである子供タグおよび親に装着されるRFIDタグである親タグとの無線通信によって子供距離および親距離を計測する第1、第2のRFIDリーダを有し、その第1、第2のRFIDリーダの配置間隔が固定されているデュアルリーダ構造を有するRFIDリーダユニットが距離計測装置として用いられていることが好ましい。
【0023】
さらに、親子間距離算出手段は、第1、第2のRFIDリーダによってそれぞれ計測される基準位置から子供までの距離である第1、第2の子供距離および配置間隔を三辺として有する子供三角形の該三辺の長さを三辺測量によって計測し、その三辺の長さを用いて子供タグの座標である子供座標を算出する子供座標算出手段と、第1、第2のRFIDリーダによってそれぞれ計測される基準位置から親までの距離である第1、第2の親距離および配置間隔を三辺として有する親三角形のその三辺の長さを三辺測量によって計測し、その三辺の長さを用いて親タグの座標である親座標を算出する親座標算出手段とを有し、子供座標および親座標を用いて親子間距離を算出することが好ましい。
【0024】
さらに、本発明は、コンピュータを親子見守り装置として機能させるための親子見守りプログラムであって、そのコンピュータを子供とその親との接触の状況を検出する接触状況検出手段と、接触状況検出手段によって検出された前記接触の状況に応じた接触レベルにしたがい子供との接触を親に促す接触リマインダが必要か否かを判定するリマインダ判定手段と、そのリマインダ判定手段によって接触リマインダが必要であると判定されたときに、接触リマインダを発出するリマインダ発出制御手段として機能させる親子見守りプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0025】
以上詳述したように、本発明によれば、子供と主にその親との接触(触れ合い)の状況を求めて、適切なスキンシップが確保されるように、その接触状況に応じた注意喚起を発することによって親子をさりげなく見守る親子見守り装置、親子見守りシステムおよび親子見守りプログラムが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の実施の形態に係る親子見守りシステムのシステム構成図である。
【
図2】RFIDリーダユニット、子供タグ、親タグの位置関係を模式的に示した図である。
【
図3】親子見守り装置の内部の構成を中心に示すブロック図である。
【
図4】RFIDリーダユニット、子供タグおよび親タグの主要な構成を親子見守り装置とともに示す機能ブロック図である。
【
図5】親子見守り処理の動作手順の一例を示したフローチャートである。
【
図6】距離検出処理の動作手順の一例を示したフローチャートである。
【
図7】接触状況検出処理の動作手順の一例を示したフローチャートである。
【
図8】リマインダ発出制御処理の動作手順の一例を示したフローチャートである。
【
図9】距離テーブルのデータベース構造の一例を示す図である。
【
図10】リマインダテーブルのデータベース構造の一例を示す図である。
【
図11】親子見守り装置とRFIDリーダユニットとの通信手順を模式的に示した図である。
【
図12】親子見守り装置によるデータ読み取り期間および親子間距離算出期間を模式的に示した図である。
【
図13】RFIDリーダユニット、子供タグ、親タグの位置関係とともに、それぞれの距離を示した図である。
【
図14】子供タグ、親タグそれぞれの座標と、子供タグと親タグとの距離を示した図である。
【
図15】RFIDリーダユニット、子供タグからなる三角形の三辺を三辺測量によって求めるための説明図である。
【
図16】親子間距離の変化の仕方の一例を示した図で、(a)は親子間距離が0.1mの場合、(b)は親子間距離が3.0mで一時的に0.1mになる場合の図である。
【
図17】親子間距離の変化の仕方の一例を示した図で、(a)は親子間距離が3.0mの場合、(b)は親子間距離が3.0mで一時的に0.1mになる場合の図である。
【
図18】変形例に係る親子見守り処理の動作手順の一例を示したフローチャートである。
【
図19】変形例に係る接触状況記録処理の動作手順の一例を示したフローチャートである。
【
図20】CLカウントテーブルのデータベース構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、同一要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
【0028】
(親子見守りシステムの全体構成)
まず、
図1、
図2を参照して、本発明の実施の形態に係る親子見守り装置1を含む親子見守りシステム100の構成について説明する。
【0029】
図1は、本発明の実施の形態に係る親子見守りシステム100のシステム構成図である。
図2は、親子見守りシステム100を構成するRFID(Radio Frequency IDentification)リーダユニット70、子供タグ81、親タグ82の位置関係を模式的に示した図である。
図1に示すように、親子見守りシステム100は、親子見守り装置1と、スピーカ2と、RFIDリーダユニット70と、子供タグ81、親タグ82とを有している。
【0030】
親子見守りシステム100では、
図2に示すように、RFIDリーダユニット70によって、子供タグ81、親タグ82のそれぞれのRFIDリーダユニット70からの距離D1,D2(D1,D2は、RFIDリーダユニット70から子供タグ81、親タグ82までの距離であって、後述する子供距離,親距離)が検出される。その結果を用いて、親子見守り装置1によって、親子間距離D3(子供タグ81と、親タグ82との距離であり、詳しくは後述する)が算出され、それに応じて、子供タグ81が装着されている子供Aと、親タグ82が装着されている親Bとの接触の状況が検出される。その接触の状況に応じて、子供Aとの接触を親Bに促す後述する接触リマインダがスピーカ2から出力される。
【0031】
その接触リマインダは、子供Aとの接触を促す親Bへの注意喚起であって、これによって、親Bに対して、子供Aとの接触が促されるため、親Bと子供Aとの適切なスキンシップが確保されるようになる。そのため、親子見守りシステム100によって、子供Aの健全な成長が促進される。なお、本発明において親(実施の形態に係る親B)とは、子供(実施の形態に係る子供A)の実の親(母親及び父親)はもちろん、実の親の代わりにその子供の世話ないし相手をする祖父母や兄弟、ベビーシッターも含まれる。
【0032】
(親子見守り装置1の構成)
親子見守り装置1は、無線LAN(Local Area Network)(例えば、Wi-Fi(Wireless Fidelity,登録商標)、Bluetooth(近距離無線通信、登録商標)によるデータ通信を行う無線通信手段を有し、スピーカ2およびRFIDリーダユニット70と無線で通信を行うことができる。なお、以下の説明では、親子見守り装置1として、高機能携帯電話機(スマートフォンともいう)が用いられているが、持ち運び可能なノート型のパーソナルコンピュータ、タブレット型の端末装置が用いられてもよい。
【0033】
親子見守り装置1は、
図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)31、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)33、データ記憶部34、液晶表示部35を有している。また、親子見守り装置1は、音声処理部36、バッテリー37、無線モジュール38、内蔵スピーカ39、マイク40および画像処理部41を有している。
【0034】
CPU31は、ROM32に記憶されているプログラムにしたがい作動して親子見守り装置1全体の動作制御を司る。CPU31は、後述する親子見守りプログラムにしたがい親子見守り処理を実行する。ROM32はCPU31が実行するOS(Operating System)などの制御プログラム、親子見守りプログラム等のアプリケーションプログラム、後述する距離テーブル51,リマインダテーブル52及びその他の恒久的なデータが記憶されている。RAM33には、CPU31が作動する際に用いるデータやプログラムが一時的に記憶される。
【0035】
データ記憶部34は、NAND型フラッシュメモリを用いた内部ストレージ(好ましくは、SDカードを用いた外部ストレージを含む)によって構成されている。データ記憶部34には、種々の静止画データ、動画データ、音声データなどが記憶されている。液晶表示部35は、LCD(Liquid Crystal Display)とその駆動部を有し、文字、図形、記号などの画像表示を行う画像表示手段である。その表面には図示しないタッチパネルが形成されている。音声処理部36は、音声データを伸張して内蔵スピーカ39に出力する一方、マイク40から入力するアナログ音声信号をデジタルの音声データに変換および圧縮して、CPU31に入力する。バッテリー37は、親子見守り装置1に電力を供給する電力供給手段であって、リチウムイオン電池を用いて構成されている。無線モジュール38は、無線通信に必要とされる部品が揃えられている電子部品である。無線モジュール38は、無線チップ、電波を検出するアンテナ、無線通信を制御するコントローラ(およびそのソフトウェア)がまとめて図示しない小型基板に実装された構造を有している。内蔵スピーカ39は、音声を出力する音声出力手段であり、マイク40はユーザの会話内容等の音声を入力し、電気信号に変換する。画像処理部41は、静止画、動画に関する画像処理を実行する。
【0036】
(RFIDリーダユニット70、子供タグ81、親タグ82の構成)
図4に示すように、RFIDリーダユニット70は、本発明に係る距離計測装置であって、2つのRFIDリーダ(第1のRFIDリーダ71および第2のRFIDリーダ72)を有している。また、RFIDリーダユニット70は、第1のRFIDリーダ71と第2のRFIDリーダ72との間隔(配置間隔)が固定されている構造(本発明にかかるデュアルリーダ構造)を有している。図示のRFIDリーダユニット70では、第1のRFIDリーダ71と第2のRFIDリーダ72との間隔が一定の配置間隔70dに設定されている。
【0037】
第1のRFIDリーダ71、第2のRFIDリーダ72は、それぞれ子供タグ81、親タグ82と無線通信を行い、子供タグ81に記憶されているデータ(子供タグデータ)、親タグ82に記憶されているデータ(親タグデータ)を反射波81c,82cによって受信する。第1、第2のRFIDリーダ71,72は、それぞれコントローラ71a,72aと、アンテナ71b,72bとを有している。コントローラ71aとアンテナ71bとが配線71cにより接続され、コントローラ72aとアンテナ72bとが配線72cにより接続されている。コントローラ71a,72aは、それぞれアンテナ71b,72bによる搬送波71d,72dの送信と、反射波81c,82cの受信およびその信号処理を行う制御回路を有している。コントローラ71a,72aは、本発明に係る距離計測手段および距離送信制御手段として機能する。アンテナ71b,72bは、コントローラ71a,72aの指示にしたがい搬送波71d,72dを送信し、それぞれの反射波81c,82cを受信して、その反射波81c,82cをコントローラ71a,72aに出力する。
【0038】
子供タグ81、親タグ82は、搬送波71d,72dから電力を受けて作動するパッシブタグである。例えば、帯状の樹脂製部材にラベル状のICタグが貼り付けられ、その樹脂製部材を面ファスナを用いて着脱可能にした部材(図示せず)が子供タグ81、親タグ82に相当する。
【0039】
子供タグ81、親タグ82は、アクティブタグでもよい。そうすると、電波到達距離が拡大されるため、より広範囲で子供A,親Bを検出できる。しかし、アクティブタグはパッシブタグに比べて高価であり、定期的な電池交換が必要であるから、親タグ82だけをアクティブタグとし、子供タグ81はパッシブタグとするのが好ましい。
【0040】
子供タグ81、親タグ82は、それぞれアンテナ81a,82aと、ICチップ81b,82bとを有している。アンテナ81a,82aは、搬送波71d,72dを受信する。そのとき、アンテナ81a,82aに電力が発生する。その電力を用いてICチップ81b,82bが作動する。ICチップ81b,82bは、図示しない制御回路とメモリとを有する。その制御回路がメモリに記憶されているデータの読み出し、計算などのデータ処理を行い、その処理後のデータのメモリへの書き込みを行う。また、ICチップ81b,82b(制御回路)はメモリに記憶されている機器識別データ(子供タグ81、親タグ82に固有の識別データ)、受信した電力の強度、処理後のデータなどを載せた反射波81c,82cをアンテナ81a,82aから送信する。
【0041】
(親子見守りシステムの動作内容)
次に、
図5、
図6を参照して、親子見守りシステム100の動作内容について説明する。
【0042】
親子見守りシステム100では、後述する親子見守り処理が実行されるにあたり、予めペアリングが親子見守り装置1とRFIDリーダユニット70との間で実行されている。ペアリングが実行されることによって、親子見守り装置1とRFIDリーダユニット70とにおいて、Bluetooth(近距離無線通信)によるデータ通信に必要な機器情報が交換され、その機器情報がそれぞれのROM(Read Only Memory)32と、コントローラ71a,72aとに記憶(登録)される。
【0043】
ペアリングでは、例えば、親子見守り装置1において、RFIDリーダユニット70の電源が投入されている状態で、Bluetooth(近距離無線通信)を作動させてRFIDリーダのサーチ処理が実行される。そのサーチ処理で見つかったRFIDリーダ(RFIDリーダユニット70)が親子見守り装置1において選択され、所定の入力操作が行われると、ペアリングが完了する。
【0044】
そして、親子見守り装置1において、液晶表示部35を用いた入力操作によって親子見守りプログラムに応じたアイコンが選択されると、親子見守りプログラムが作動する。親子見守りプログラムは、高機能携帯電話機を親子見守り装置1として機能させるためのプログラムであって、親子見守り装置1のCPU31が実行する。その親子見守りプログラムが初めて起動されたときは、図示しない初期設定プログラムが作動する。初期設定プログラムでは、親子見守りプログラムが作動する条件(例えば、作動する時間帯)が設定される。ここで設定された条件が後述する終了条件に反映される。CPU31は親子見守りプログラムにしたがい、
図5に示すフローチャートに沿って親子見守り処理を実行する。なお、
図5,
図6等において、Sはステップを略記したものである。
【0045】
(親子見守り処理)
CPU31は親子見守り処理を開始すると、ステップ1に処理を進め、後述する距離検出処理を実行する。次に、CPU31はステップ2に処理を進めて後述する接触状況検出処理を実行する。その後、CPU31はステップ3に処理を進めて本発明に係るリマインダ判定手段としての動作を行い、接触リマインダ要否判定を実行する。接触リマインダ要否判定では、接触リマインダが必要か否かが判定される。接触リマインダは子供Aとの接触を親Bに促す音声の出力、文字や画像の表示であって、本実施の形態では、音声の出力によって実現される(詳しくは後述する)。
【0046】
ステップ3の接触リマインダ要否判定では、CPU31は後述する接触レベルCLが"0"ではないのか否かによって、接触リマインダが必要な否かを判定する。接触レベルCLが"0"ではないときは、接触リマインダが必要であると判定されてステップ4に処理が進むが、接触レベルCLが"0"であれば接触リマインダは必要ではないと判定されてステップ5に処理が進む。後述するように、本実施の形態では、接触レベルCLとして、"0"、"9"、"8"、"7"の4種類の数値が設定されている。接触レベルCLがそのうちの"9"、"8"、"7"の3種類であったときに接触リマインダが必要であると判定される。
【0047】
そして、CPU31はステップ4に処理を進めると本発明に係るリマインダ発出制御手段としての動作を行い、後述するリマインダ発出制御処理を実行する。CPU31は、その後、ステップ5に処理を進める。
【0048】
次に、CPU31は、ステップ5に処理を進めると、終了条件が成立しているか否かを判定する。CPU31は終了条件が成立していると判定したときは親子見守り処理を終了するが、終了条件が成立していないと判定したときはステップ1に戻り、ステップ1以降の処理を再び実行する。
【0049】
(距離検出処理)
CPU31は
図6に示すフローチャートに沿って、距離検出処理を実行する。この場合、CPU31は本発明に係る親子間距離算出手段としての動作を実行する。
【0050】
そして、CPU31が距離検出処理を実行するときは、
図11に示すようにして、親子見守り装置1とRFIDリーダユニット70とがデータ通信処理を実行している。
【0051】
距離検出処理において、読取要求I0が親子見守り装置1からRFIDリーダユニット70に送信される。RFIDリーダユニット70は、読取要求I0に応じた読取データJ0を親子見守り装置1に送信する。図示の場合、親子見守り装置1において、予め、RFIDリーダユニット70によるデータ読取周期が1秒に設定され、単位読取時間(unit time)が10分間、基本計測時間(Tu)が1時間(正確には1時間+6秒)に設定されている。データ読取周期は、RFIDリーダユニット70によるデータ読取が実行される周期である。データ読取周期が1秒に設定されているので、距離検出処理では、毎秒繰返し、読取要求I0の送信、(RFIDリーダユニット70による)データ読取、読取データJ0の送信が実行される。単位読取時間(unit time)はデータ読取が継続して実行される期間である。単位読取時間(unit time)が10分間に設定されているので、距離検出処理では、10分間継続して毎秒、読取要求I0の送信、データ読取、読取データJ0の送信が実行される。基本計測時間(Tu)は、接触リマインダ要否判定が実行されるまでにRFIDリーダユニット70によるデータ読取が継続される期間である。基本計測時間(Tu)が1時間に設定されているので、読取要求I0の送信、データ読取、読取データJ0の送信が1時間(正確には1時間+6秒)実行されたあと、接触リマインダ要否判定が実行される。
【0052】
そして、
図11に示すように、親子見守り装置1とRFIDリーダユニット70とで、毎秒、読取要求I
0の送信、読取データJ
0の送信が実行される。読取データJ
0には、子供距離D1,親距離D2が含まれることが可能である。
【0053】
単位読取時間(unit time)が10分間、基本計測時間(Tu)が1時間に設定されているので、
図11,
図12に示すように、基本計測時間(Tu)には、6つの単位読取時間(unit time)、u1、u2,u3,u4,u5,u6が含まれている(
図11では、u3,u4,u5は図示省略)。u1~u6の各単位読取時間において、読取要求I
0と読取データJ
0の送信が合計で600回(=60回×10分間)実行される。
【0054】
なお、
図12において、nは回数カウンタ、uはユニットカウンタである。回数カウンタは基本計測時間(Tu)における読取回数を示すカウンタ、ユニットカウンタは単位読取時間(unit time)の回数を示すカウンタである。また、R1は、読取要求I
0の送信、データ読取、読取データJ
0の送信が実行されている期間(データ読取期間)、R2は親子見守り装置1による親子間距離の算出が行われている期間(親子間距離算出期間)に相当する。
【0055】
そして、親子見守り装置1において、CPU31が距離検出処理を開始すると、
図6において、処理がステップ11に進み、回数カウンタn、ユニットカウンタuにそれぞれ初期値として、"1"がセットされる。
【0056】
次に、処理がステップ12に進み、CPU31が無線モジュール38を作動させて読取要求I
0を送信する。続くステップ13では、CPU31が距離取得手段としての動作を行い、読取データJ
0から読取時刻(検出時刻)Snの子供距離D1,親距離D2を取得する。次のステップ14で、CPU31がその取得した子供距離D1,親距離D2を後述する距離テーブル51の子供距離フィールド51b、親距離フィールド51cにセットする。その後、ステップ15に処理が進み、回数カウンタnに"1"が加算される。ステップ12からステップ15までがデータ読取期間R1で実行される。距離テーブル51は、
図9に示すように、読取時刻フィールド51aと、子供距離フィールド51b、親距離フィールド51c、親子間距離フィールド51dとを有し、読取時刻Snに関連付けて、子供距離D1,親距離D2、親子間距離D3が記憶される。
【0057】
続いて、処理がステップ16に進み、以下の式1で求められる回数カウンタFが"600"を越えているか否かが判定され、回数カウンタFが"600"を越えているときは処理がステップ17に進むが、回数カウンタFが"600"を越えていないときは処理がステップ12に戻る。
式1:F=n-(u-1)×600
【0058】
ステップ17に処理が進むと、CPU31が親子間距離算出手段としての動作を行い、子供距離D1,親距離D2を用いて基本計測時間Tuの親子間距離D3を算出する。親子間距離D3は、単位読取時間(unit time)中に計測された子供距離D1,親距離D2(本実施の形態では、全部で600回分)を対象に実行される。親子間距離D3の算出について後に詳しく説明されるが、ステップ17では、親子間距離D3について、集約処理が実行される。集約処理によって、算出された親子間距離D3が一定間隔の数値に集約される。集約される間隔が集約間隔に相当する。本実施の形態では、集約間隔が5cm間隔に設定される。すると、例えば、算出された親子間距離D3が51cm、52cm、53cm、54cmであった場合、51cm、52cmが50cmに集約され、53cm、54cmが55cmに集約される(この例では、親子間距離D3が50cmと55cmの中間点52.5cmで分けられて、中間点以下の親子間距離D3が50cmに集約され、中間点よりも大きい親子間距離D3が55cmに集約される)。次のステップ18では、CPU31が親子間距離D3を距離テーブル51の親子間距離フィールド51dにセットする。その後のステップ19では、ユニットカウンタuに"1"が加算される。
【0059】
続くステップ20では、ユニットカウンタuが"6"を越えているか否かが判定される。ユニットカウンタuが"6"を越えているときは距離検出処理が終了するが、ユニットカウンタuが"6"を越えていないきは処理がステップ12に戻り、以上の処理が繰り返し実行される。ステップ17からステップ19までが親子間距離算出期間R2で実行される。
【0060】
(接触状況検出処理)
距離検出処理が終了すると、CPU31は
図7に示すフローチャートに沿って接触状況検出処理を実行する。この場合、CPU31は本発明に係る接触状況検出手段としての動作を実行する。
【0061】
CPU31は接触状況検出処理を開始すると、ステップ31に処理を進め、距離テーブル51から、セットされている親子間距離D3(読取時刻S1からS3600まで)を順次読み出す。続いて、ステップ32に処理が進み、読み出された親子間距離D3について、後述するリマインダ距離dgよりも小さい親子間距離D3があるか否かを判定する。リマインダ距離dgよりも小さい親子間距離D3があるときはステップ33に処理が進むが、リマインダ距離dgよりも小さい親子間距離D3が無いときはステップ36に処理が進む。リマインダ距離dgは、親子の接触がある程度確保されて接触リマインダは必要ないと判定可能な距離である。本実施の形態では、リマインダ距離dgが0.3m(メートル)に設定されている。
【0062】
ステップ33に処理が進むと、CPU31は、まず、基本計測時間(Tu)の中で親子間距離D3が一定の大きさのまま変化しない期間(例えば、
図16(a)に示すように、親子間距離D3が0.1mで変化していない期間、これを"定距離期間"ともいう)をサーチする。また、CPU31は、見つかった定距離期間に含まれている親子間距離D3の個数(出現した回数)をカウントし、その個数(定距離期間が複数見つかった場合は個数の最大値)を後述する接触保持時間CH timeにセットする。なお、親子間距離D3が毎秒算出されるので、親子間距離D3の個数をカウントすると、その個数から親子間距離D3が変化しない期間が決定される。
【0063】
その後、ステップ34に処理が進み、接触保持時間CH timeがunit timeよりも大きいか否かが判定される。接触保持時間CH timeがunit timeよりも大きいときは処理がステップ37に進むが、接触保持時間CH timeがunit timeよりも大きくないときは処理がステップ35に進む。ステップ35では、接触保持時間CH timeが5分間よりも大きいか否かが判定される。接触保持時間CH timeが5分間よりも大きいときは処理がステップ38に進むが、接触保持時間CH timeがunit timeよりも大きくないときは処理がステップ39に進む。
【0064】
そして、ステップ36,37,38,39に処理が進むと、後述する接触レベルCLにそれぞれ"9","0","7","8"がセットされる。ステップ36,37,38,39が実行されると、接触状況検出処理が終了する。
【0065】
接触レベルCLは、時々刻々変化する親子の接触の状況を複数個に区切り、そのそれぞれに数値が割り当てられることによって構成されている。接触レベルCLは、飛び飛びで離散的な値を複数有する。接触レベルCLの個々のデータが後述するリマインダテーブル52に登録されている。
図10に示すように、リマインダテーブル52は、接触レベルフィールド52a,音声パターンフィールド52b、出力音声フィールド52cを有し、接触レベルCL、音声パターンSP、出力音声が関連付けて記憶されている。本実施の形態では、接触レベルCLとして、"0"、"9"、"8"、"7"の4種類の数値が設定されている。
【0066】
(リマインダ発出制御処理)
そして、CPU31は
図8に示すフローチャートに沿ってリマインダ発出制御処理を実行する。この場合、CPU31は本発明に係るリマインダ発出制御手段としての動作を実行する。
【0067】
CPU31はリマインダ発出制御処理を開始すると、ステップ41に処理を進め、接触状況検出処理で設定された接触レベルCLをサーチキーに設定してリマインダテーブル52をサーチする。続くステップ42では、CPU31が接触レベルCLに応じた音声パターンSPをリマインダテーブル52から取得して、その後、ステップ43に処理を進める。ステップ43に処理が進むと、CPU31が音声パターンSPに応じた音声データを生成してステップ44に処理を進める。そして、ステップ44では、CPU31が音声処理部36を作動させて、スピーカ2に音声データを送信し、対応する音声をスピーカ2に発生させる(または内蔵スピーカ39に音声を発生させてもよい)。ステップ44が終了すると、リマインダ発出制御処理が終了する。なお、接触レベルCLが"0"であれば接触リマインダは必要ではないと判定されるため(ステップ3において)、リマインダ発出制御処理が実行されない。接触レベルCLが"0"のときにも、該当する音声パターンSPがリマインダテーブル52から取得されて、対応する音声がスピーカ2から出力されてもよい(この場合の音声出力は接触リマインダではない)。
【0068】
(親子間距離の算出処理)
次に、
図2とともに、
図13、
図14を参照して、RFIDリーダユニット70によるD1
、D2の計測および親子見守り装置1による親子間距離D3の算出処理について説明する。ここで、
図2に示すように、D1はRFIDリーダユニット70から子供タグ81までの距離であり、本発明における子供距離に相当する。D2はRFIDリーダユニット70から親タグ82までの距離であり、本発明における親距離に相当する。子供距離、親距離が計測される場合、RFIDリーダユニット70から子供タグ81、親タグ82それぞれまでの距離が計測されるので、RFIDリーダユニット70の設置されている位置が基準となって計測される。そのため、RFIDリーダユニット70の設置されている位置が本発明における基準位置に相当する。
【0069】
RFIDリーダユニット70の第1、第2のRFIDリーダ71,72は、それぞれ子供タグ81、親タグ82に搬送波を送信してその反射波を子供タグ81、親タグ82から受信する。
【0070】
一般に、RFIDにおけるRSSI(Received Signal Strength Indicator)は、RFIDリーダの搬送波をタグが受信したときにタグからRFIDリーダに送信される反射波の強度を意味しており、その単位はdBm(デシベルミリワット)で表される。タグが記憶されているデータとともにRSSIの値をRFIDリーダに返信するので、RFIDリーダがRSSIの値を用いてRFIDリーダからタグまでの距離を計測することができる(RFIDリーダからタグまでの距離に応じてRSSIの値が変動するため)。RFIDリーダユニット70でも、子供タグ81、親タグ82から受け取るRSSIの値を用いてRFIDリーダユニット70から子供タグ81、親タグ82までの距離(本発明における子供距離、親距離)を計測することができる。
【0071】
また、子供タグ81、親タグ82がそれぞれ搬送波を介して受信する信号の電力(受信電力ともいう)は、RFIDリーダユニット70から子供タグ81、親タグ82までの距離(本発明における子供距離、親距離)と相関関係にある。そのため、子供タグ81、親タグ82が受信する信号の電力の大きさから、子供距離、親距離を計測することができる。例えば、搬送波の周波数にUHF帯が用いられている場合、受信電力は、子供距離、親距離の2乗に反比例するという関係が成り立つ。そして、その反射波には、子供タグ81、親タグ82において、搬送波を受信したときの受信電力に関するデータ(電流、電圧の大きさ)を含めることができる。この受信電力に関するデータを用いて、第1、第2のRFIDリーダ71,72のコントローラ71a,72aが距離計測手段としての動作を行い、子供距離D1、親距離D2を計測することができる。
【0072】
すると、
図2において、RFIDリーダユニット70と子供タグ81を結ぶラインと、RFIDリーダユニット70と親タグ82を結ぶラインとのなす角(角度θ)が求められると、以下の手順で親子間距離D3を算出することもできる。
【0073】
子供タグ81から、RFIDリーダユニット70と親タグ82とを結ぶラインに垂線h1が引かれる。そのラインと垂線h1との交点Gが形成される。垂線h1の長さはD1×sinθ、RFIDリーダユニット70から交点Gまでの長さm1はD1×cosθ,交点Gから親タグ82までの長さm2はD2-m1である。すると、子供タグ81、親タグ82、交点Gを有する三角形において、三平方の定理から、以下の式2によって、親子間距離D3を算出することができる。
式2:D3=√K
(K=(D1×sinθ)2+(D2-D1×cosθ)2)
【0074】
式2によって、親子間距離D3を算出するためには、上記の角度θを計測する必要があるが、RSSIの値や、受信電力を用いて角度θを計測することが困難な場合が考えられる。
【0075】
そこで、本実施の形態にかかる親子見守りシステム100では、RFIDリーダユニット70が、第1のRFIDリーダ71、第2のRFIDリーダ72を有し、その両者の配置間隔が既知の大きさ(
図13では、70d)を有している。すると、
図13に示すように、三角形tr1(子供タグ81,第1、第2のRFIDリーダ71,72を頂点とする三角形で本発明における子供三角形に相当する)において、第1、第2のRFIDリーダ71,72によって計測される第1、第2の子供距離D11、D21、配置間隔70dが三辺となる。その三辺のうち、配置間隔70dが既知の大きさであるから、第1、第2の子供距離D11、D21が第1、第2のRFIDリーダ71,72によって計測されることによって、三角形tr1の三辺すべての大きさが特定される。同様に、三角形tr2(親タグ82,第1、第2のRFIDリーダ71,72を頂点とする三角形で本発明における親三角形に相当する)において、第1、第2のRFIDリーダ71,72によって計測される第1、第2の親距離D12、D22、配置間隔70dが三辺となるが、その三辺すべての大きさも特定される。
【0076】
したがって、三角形tr1、tr2において、三辺測量が適用されることができる(詳しくは後述する)。三辺測量が適用されることによって、
図14に示すように、子供タグ81の座標(子供座標)P1(x1,y1)、親タグ82の座標(親座標)P2(x2,y2)が算出される。したがって、以下の式3によって、親子間距離D3が算出されることが可能である。
式3:D3=√Z (Z=(x1-x2)
2+(y1-y2)
2)
【0077】
(三辺測量)
三角形tr1を例にとって、三辺測量が適用されることによって、子供タグ81の座標(子供座標)P1が求められる手順について詳しく説明すると、次のとおりである。親タグ82の座標(親座標)P2も同様に求められる。この場合、CPU31が子供座標算出手段、親座標算出手段としての動作を行う。
【0078】
第1、第2のRFIDリーダ71,72の配置間隔70dが既知の大きさである。そのため、
図15に示すように、第1、第2のRFIDリーダ71,72がそれぞれx軸上の点(x座標がxa,y座標が0)、点(x座標がxb,y座標が0)に設定されることができる。
【0079】
そして、子供タグ81と第1のRFIDリーダ71の距離(第1の子供距離D11)、子供タグ81と第2のRFIDリーダ72の距離(第2の子供距離D21)とが計測されると、余弦定理により、子供タグ81、第1、第2のRFIDリーダ71,72(
図15の角度θ1)のcosθ1は以下の式4で算出される。
式4 cosθ1=(b
2+c
2-a
2)/2bc
(a=D21、b=D11、c=70d)
【0080】
したがって、座標P1のx成分xpはcosθ1を用いて以下の式5で算出される。
式5 xp=xa+xc
=xa+bcosθ1
=xa+(b2+c2-a2)/2c
また、座標P1のy成分ypは、三平方の定理から以下の式6で算出される。
式6 yp=√w (w=b2-xc2)
【0081】
以上のように、本発明の実施の形態にかかる親子見守り装置1を有する親子見守りシステム100では、子供と親との接触の状況が検出され、その検出された接触の状況に応じて、接触リマインダの要否判定が実行される。その結果、接触リマインダが必要であると判定されたときは、接触リマインダが発出される。すると、例えば、スピーカ2から、"そろそろ赤ちゃん抱っこしませんか"といった音声(スピーカ2から出力される接触リマインダとしての音声はリマインダサウンドともいう)。が出力される。その音声(リマインダサウンド)が親Bに届くことで、親Bに子供Aへの接触が促されるので、親Bと子供Aとの適切なスキンシップが確保されるようになる。したがって、例えば親Bが家事や在宅の仕事で多忙なために、親Bと子供Aとの接触が不十分なときでも、リマインダサウンドが出力されたあとで、親Bが子供Aを抱っこするなどの接触の機会が確保される。これにより、子供Aと親Bとのスキンシップが得られるため、子供Aの健全な成長が期待される。
【0082】
このように、親子見守りシステム100では、親Bに対して、リマインダサウンドを出力するという動作を通じて子供Aへの接触が促される。したがって、親Bに対する働きかけがとても緩やかである。親子見守りシステム100による親子の見守りは、監視カメラを用いた接触状況の録画のような堅苦しさがない。親子見守りシステム100によって、子供Aと親Bとがさりげなく見守られている状況が形成される。
【0083】
また、親子見守りシステム100(親子見守り装置1)では、親子間距離算出手段によって算出された親子間距離D3を用いて接触レベルが決定される。その接触レベルにしたがって接触リマインダの要否が判定される。一般に、親子の接触が十分なときは親子間距離D3が短く、親子の接触が十分でないときは親子間距離D3が長いと考えられる。そのため、親子の接触の状況は親子間距離D3に反映されると考えられる。
【0084】
この点、例えば、
図16(a)に示すように、親子間距離が0.1m(メートル)という近い距離で変化することなく連続しているときは、親子の接触が十分であると考えられる。これに対し、
図17(a)に示すように、親子間距離D3が3.0m(メートル)という長い距離で変化することなく連続しているときは、親子の接触が十分でないと考えられる。
【0085】
その一方、
図16(b)に示すように、親子間距離D3が3.0m(メートル)で連続していると、親子の接触が十分でない、とも考えられる。
【0086】
しかし、その途中で親子間距離D3が0.1m(メートル)という近い距離で変化することなく連続している時間が10分間存在している。これは、例えば、子供を笑わせるなどしてあやしている状況が推認される。したがって、一時的とはいえ、0.1m(メートル)という近い距離で変化することなく連続している期間が存在するときは、親子の接触が十分なときもある。
【0087】
とはいえ、
図17(b)に示すように、親子間距離D3が3.0m(メートル)で連続している途中で、親子間距離D3が0.1m(メートル)近い距離で連続している時間があっても、それが、120秒(2分)という短時間であるときは、例えば、親が子供の近くに来た後すぐに離れた場合が考えられる。この場合は、子供の求める接触が確保されてなく、子供の成長に有効ではない。
【0088】
以上のように、十分なスキンシップが確保されるには、親子間距離が近い距離で変化することなく連続している時間がある程度必要である。そのため、親子間距離D3とともに、その親子間距離D3が連続している時間を算出し、その両者を接触リマインダの要否判定に活用することが好ましい。
【0089】
そこで、親子見守りシステム100(親子見守り装置1)では、親子間距離が算出されるだけでなく、その算出された親子間距離がどの程度連続しているのか示す接触保持時間が算出され、親子間距離とともにその接触保持時間を用いて接触レベルが設定されている(
図7参照)。これにより、親子間距離が保持される時間が接触リマインダの要否に反映されるので、接触リマインダの要否に対し、親子の接触の状況がより的確に反映される。また、接触リマインダの要否を決めるためにリマインダ距離が設定されているので、接触リマインダ要否判定が定形的に行われる。リマインダ距離が設定されることによって、接触リマインダ要否判定から主観性が排除され、接触リマインダ要否判定に客観性が確保される。
【0090】
また、親子の接触の状況は時々刻々変化する場合が考えられるので、その接触の状況にしたがい接触リマインダ要否判定が実行されると、その要否判定が複雑化するおそれがある。
【0091】
この点、本発明では、離散的な値を有する接触レベルが設定されている。そのため、要否判定が簡略化され、接触リマインダが必要な場合に確実に発出されるように、親子見守りシステム100(親子見守り装置1)が構成されている。
【0092】
(変形例1)
上記親子見守りシステム100(親子見守り装置1)は、
図18に示すフローチャートに沿って、親子見守り処理を実行してもよい。
図18は、変形例1に係る親子見守り処理の動作手順の一例を示したフローチャートである。変形例1に係る親子見守り処理は、
図5に示した親子見守り処理と比較して、ステップ4とステップ5との間でステップ6が実行される点で相違している。
【0093】
そのステップ6では、接触状況記録処理が実行される。接触状況記録処理は
図19に示すフローチャートに沿って実行される。CPU31が接触状況記録処理を開始すると、ステップ51に処理が進む。ステップ51では、CPU31が接触レベルカウント手段としての動作を行い、接触レベルCLの個数(出現した回数)が接触レベルCLごとにカウントされ、接触レベルCLの個数がCLカウンタにセットされる。CLカウンタには、処理時刻とともに接触レベルCLの個数がCLごとにセットされる。本実施の形態では、"9","8","7","0"のそれぞれにつき、個数がセットされる。次に、ステップ52に処理が進み、CLカウンタの数値がCLカウントテーブル53にセットされる。CLカウントテーブル53は、
図20に示すように、CLカウンタフィールド53aと、出現回数フィールド53bとを有し、各接触レベル("9","8","7","0")と、それぞれの個数が処理時刻とともに記憶される。ステップ52が終了すると、接触状況記録処理が終了する。
【0094】
変形例1に係る親子見守り処理では、各接触レベルCLの個数が処理時刻とともにCLカウントテーブル53に記憶されるので、親子見守り処理が実行されていた期間中の接触状況が記録される。すると、例えば、親Bとして、実の親の代わりにベビーシッターが子供Aの世話を担当していたときに、そのベビーシッターによる接触の状況が適切であったかどうかなどを実の親が確認することができる。
【0095】
上記の実施形態では、親子見守り装置1による子供距離D1,親距離D2の取得が毎秒実行され、親子間距離D3の算出が10分間分の子供距離D1,親距離D2を対象に実行されていた。これとは異なり、親子見守り装置1による子供距離D1,親距離D2の取得が毎分実行され、その都度(毎分)親子間距離D3の算出が実行されてもよい。
【0096】
(変形例2)
上記の実施形態にかかる親子見守りシステム100、親子見守り装置1では、子供距離D1,親距離D2を用いて親子間距離D3が算出されているが、親子間距離D3が子供距離D1,親距離D2を用いることなく算出されることも可能である。
【0097】
ところで、第1のRFIDリーダ71または第2のRFIDリーダ72によって、子供タグ81と親タグ82とが同時に検出されたときは、子供タグ81と親タグ82とが同時に検出されなかったときと比べて、子供タグ81と親タグ82とが近い位置に配置されていると考えられる。そうすると、親子間距離D3が小さくなる、すなわち、子供タグ81と、親タグ82とが近い位置に配置されるほど、第1、第2のRFIDリーダ71,72によって、子供タグ81と、親タグ82とが同時に検出できる範囲(同時検出範囲)が大きくなる。子供タグ81と、親タグ82とが離れるほど、同時検出範囲は小さくなる。この点から、2つのタグを同時に検出できる立体空間の大きさと、2つのタグの間隔(子供タグ81と、親タグ82の場合は親子間距離D3)とが相関関係にあり、かかる立体空間の大きさから、親子間距離D3が擬似的に算出可能と考えられる。
【0098】
子供タグ81と、親タグ82は、それぞれを中心とする2つの球体(タグ球体ともいう)の範囲内において検出可能である。すると、その2つのタグ球体同士が重なった空間(重複空間ともいう)に第1のRFIDリーダ71(または第2のRFIDリーダ72)があるときは、第1のRFIDリーダ71(または第2のRFIDリーダ72)によって、子供タグ81と、親タグ82とが同時に検出されることが可能である。
【0099】
そして、2つのタグ球体の中心間の距離をqとし、タグ球体の半径をrとすると、重複空間の体積Vmは、以下の式7で表される。
式7: Vm=(π/12)×E (E=16r3-12r2q+q3)
【0100】
一方、子供タグ81または親タグ82の周囲でランダムに読み取りが多数行われた場合、子供タグ81のみが検出される回数K1、親タグ82のみが検出される回数K2、子供タグ81および親タグ82の両方が検出される回数K12の比はそれぞれが検出できる立体空間の大きさV1,V2,Vmの比と一致する。そのため、Vmは以下の式8で表される。
式8: Vm∝ K12/L (L=K1+K2+K12)
【0101】
式7に式8を代入し、qについての3次式を解くことでqの近似解をK1、K2、K12によって表すことができる。そのqによって、親子間距離D3が擬似的に算出される。
【0102】
このようにして、親子間距離D3が算出されるときは、RFIDリーダユニット70の代わりに第1のRFIDリーダ7、第2のRFIDリーダ72の一方だけを用いることによって、親子間距離D3が算出される。また、上記の実施形態では、子供距離D1,親距離D2を用いて親子間距離D3が算出される場合において、RSSIの値、子供タグ81、親タグ82が受信する信号の電力の大きさが用いられている。子供タグ81、親タグ82が室内で検出される場合、マルチパスが発生しやすく、それ故に、子供距離D1,親距離D2が十分な精度で検出できないおそれがある。この点、上記の変形例2のように、子供距離D1,親距離D2を用いないで親子間距離D3が算出されることが好ましい。
【0103】
(そのほかの変形例)
親子見守り装置は高機能携帯電話機ではなく、ノートパソコンでもよい。なお、CPU31が実行する親子見守りプログラムは、磁気記録媒体、CD-ROM,DVD等の各種記録媒体に記録することができるし、ネットワークを介して図示しないサーバからダウンロードすることもできる。
【0104】
以上の説明は、本発明の実施の形態についての説明であって、この発明の装置及び方法を限定するものではなく、様々な変形例を容易に実施することができる。また、各実施形態における構成要素、機能、特徴あるいは方法ステップを適宜組み合わせて構成される装置又は方法も本発明に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明を適用することにより、子供と主にその親との接触(触れ合い)の状況を求めて、その接触状況に応じた注意喚起をスキンシップが適切に行われるように発することで、親子をさりげなく見守ることができる。本発明は、親子見守り装置、親子見守りシステムおよび親子見守りプログラムの分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0106】
1…親子見守り装置、2…スピーカ、31…CPU、38…無線モジュール、70…RFIDリーダユニット、71…第1のRFIDリーダ、72…第2のRFIDリーダ、81…子供タグ、82…親タグ、51…距離テーブル、52…リマインダテーブル、53…CLカウントテーブル、D1…子供距離、D2…親距離、D3…親子間距離。
【手続補正書】
【提出日】2023-02-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準位置から子供とその親それぞれまでの距離を計測する距離計測装置と、子供とその親の見守り処理を実行する親子見守り装置とを有し、
前記距離計測装置は、該親子見守り装置からの読取要求があったときに、前記基準位置から、前記子供、親それぞれまでの距離である子供距離および親距離を計測する距離計測手段と、前記距離計測手段によって計測された前記子供距離および前記親距離を前記親子見守り装置宛てに送信させる距離送信制御手段とを有し、
前記親子見守り装置は、前記距離計測装置から送信される前記子供距離および前記親距離を用いて前記子供と前記親との距離である親子間距離を算出する親子間距離算出手段と、
該親子間距離算出手段によって算出された前記親子間距離を用いて、前記子供とその親との接触の状況を検出する接触状況検出手段と、
該接触状況検出手段によって検出された前記接触の状況に応じた接触レベルにしたがい前記子供との接触を前記親に促す接触リマインダが必要か否かを判定するリマインダ判定手段と、
該リマインダ判定手段によって前記接触リマインダが必要であると判定されたときに、前記接触リマインダを発出させるリマインダ発出制御手段とを有し、
前記子供に装着されるRFIDタグである子供タグおよび前記親に装着されるRFIDタグである親タグとの無線通信によって前記子供距離および親距離を計測する第1、第2のRFIDリーダを有し、該第1、第2のRFIDリーダの配置間隔が固定されているデュアルリーダ構造を有するRFIDリーダユニットが前記距離計測装置として用いられ、
前記親子間距離算出手段は、前記第1、第2のRFIDリーダによってそれぞれ計測される前記基準位置から前記子供までの距離である第1、第2の子供距離および前記配置間隔を三辺として有する子供三角形の該三辺の長さを三辺測量によって計測し、該三辺の長さを用いて前記子供タグの座標である子供座標を算出する子供座標算出手段と、前記第1、第2のRFIDリーダによってそれぞれ計測される前記基準位置から前記親までの距離である第1、第2の親距離および前記配置間隔を三辺として有する親三角形の該三辺の長さを三辺測量によって計測し、該三辺の長さを用いて前記親タグの座標である親座標を算出する親座標算出手段とを有し、前記子供座標および親座標を用いて前記親子間距離を算出する親子見守りシステム。
【請求項2】
前記接触状況検出手段は、前記親子間距離算出手段によって算出された前記親子間距離を用いて、前記接触レベルを決定する請求項1記載の親子見守りシステム。
【請求項3】
前記接触状況検出手段は、前記親子間距離検出手段によって算出された前記親子間距離と、該親子間距離が一定の大きさで変化することなく連続している期間である接触保持時間とを用いて、前記接触レベルを決定する請求項1記載の親子見守りシステム。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、子供(主に乳幼児)と主にその親との接触(触れ合い)の状況を求めて、その接触の状況に応じた注意喚起を発する親子見守りシステムに関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、子供と主にその親との接触(触れ合い)の状況を求めて、適切なスキンシップが確保されるように、その接触状況に応じた注意喚起を発することによって親子をさりげなく見守る親子見守りシステムを提供することを目的とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明は、基準位置から子供とその親それぞれまでの距離を計測する距離計測装置と、子供とその親の見守り処理を実行する親子見守り装置とを有し、距離計測装置は、その親子見守り装置からの読取要求があったときに、基準位置から、子供、親それぞれまでの距離である子供距離および親距離を計測する距離計測手段と、距離計測手段によって計測された子供距離および親距離を親子見守り装置宛てに送信させる距離送信制御手段とを有し、親子見守り装置は、距離計測装置から送信される子供距離および親距離を用いて子供と親との距離である親子間距離を算出する親子間距離算出手段と、その親子間距離算出手段によって算出された親子間距離を用いて、子供とその親との接触の状況を検出する接触状況検出手段と、その触状況検出手段によって検出された接触の状況に応じた接触レベルにしたがい子供との接触を親に促す接触リマインダが必要か否かを判定するリマインダ判定手段と、そのリマインダ判定手段によって接触リマインダが必要であると判定されたときに、接触リマインダを発出させるリマインダ発出制御手段とを有し、子供に装着されるRFIDタグである子供タグおよび親に装着されるRFIDタグである親タグとの無線通信によって子供距離および親距離を計測する第1、第2のRFIDリーダを有し、その第1、第2のRFIDリーダの配置間隔が固定されているデュアルリーダ構造を有するRFIDリーダユニットが距離計測装置として用いられ、親子間距離算出手段は、第1、第2のRFIDリーダによってそれぞれ計測される基準位置から子供までの距離である第1、第2の子供距離および配置間隔を三辺として有する子供三角形のその三辺の長さを三辺測量によって計測し、その三辺の長さを用いて子供タグの座標である子供座標を算出する子供座標算出手段と、第1、第2のRFIDリーダによってそれぞれ計測される基準位置から親までの距離である第1、第2の親距離および配置間隔を三辺として有する親三角形のその三辺の長さを三辺測量によって計測し、その三辺の長さを用いて親タグの座標である親座標を算出する親座標算出手段とを有し、子供座標および親座標を用いて親子間距離を算出する親子見守りシステムを特徴とする。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
上記親子見守りシステムにおいて、接触状況検出手段は、親子間距離算出手段によって算出された親子間距離を用いて、接触レベルを決定することが好ましい。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
また、上記親子見守りシステムにおいて、接触状況検出手段は、親子間距離検出手段によって算出された親子間距離と、その親子間距離が一定の大きさで変化することなく連続している期間である接触保持時間とを用いて、接触レベルを決定することが好ましい。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0018
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
以上詳述したように、本発明によれば、子供と主にその親との接触(触れ合い)の状況を求めて、適切なスキンシップが確保されるように、その接触状況に応じた注意喚起を発することによって親子をさりげなく見守る親子見守りシステムが得られる。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0105
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0105】
本発明を適用することにより、子供と主にその親との接触(触れ合い)の状況を求めて、その接触状況に応じた注意喚起をスキンシップが適切に行われるように発することで、親子をさりげなく見守ることができる。本発明は、親子見守りシステムの分野で利用することができる。