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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041306
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】メモリシステム、制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 12/00 20060101AFI20240319BHJP
   G11C 5/14 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
G06F12/00 564A
G06F12/00 597U
G11C5/14 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146033
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001092
【氏名又は名称】弁理士法人サクラ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江口 陽平
(72)【発明者】
【氏名】木村 直樹
【テーマコード(参考)】
5B160
【Fターム(参考)】
5B160CC01
(57)【要約】
【課題】電源供給を無効とする要求信号を受けた場合にデータ退避を実現することのできるメモリシステムを提供することを目的とする。
【解決手段】実施形態のメモリシステムは、データを記憶可能な不揮発性のメモリと、メモリに対するコマンドを実行可能なメモリコントローラと、外部から供給される第1の電源を用いてメモリ及びメモリコントローラに供給する第2の電源を生成する電源回路と、を備える。メモリコントローラは、第2の電源の供給を第1の期間の間無効化する要求信号を受信し、要求信号の受信から第1の期間よりも短い第2の期間経過後、電源回路による第2の電源の供給を無効化し、要求信号の受信から第1の期間経過後に電源回路による第2の電源の供給を再開させることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを記憶可能な不揮発性メモリと、
前記メモリに対するコマンドを実行可能なメモリコントローラと、
外部から供給される第1の電源を用いて前記メモリ及び前記メモリコントローラに供給する第2の電源を生成する電源回路と、を備え、
前記メモリコントローラは、
前記第2の電源の供給を第1の期間の間無効化する要求信号を受信し、
前記要求信号の受信から前記第1の期間よりも短い第2の期間経過後、前記電源回路による前記第2の電源の供給を無効化し、
前記要求信号の受信から前記第1の期間経過後に前記電源回路による前記第2の電源の供給を再開させること
を特徴とするメモリシステム。
【請求項2】
前記要求信号を前記電源回路に伝送する接続線と、該接続線を開閉するスイッチング素子とをさらに備え、
前記メモリコントローラは、
前記要求信号の受信から前記第2の期間経過後に前記スイッチング素子を閉じて前記要求信号を前記電源回路に供給し、
前記電源回路は、
前記要求信号の受信に応じて前記第2の電源の供給を無効化すること
を特徴とする請求項1記載のメモリシステム。
【請求項3】
前記メモリコントローラは、
前記要求信号の受信から前記第2の期間経過後、前記電源回路に対して無効化信号を送信し、
前記電源回路は、
前記要求信号を受信し、
前記要求信号及び前記無効化信号に基づいて前記第2の電源の供給を無効化すること
を特徴とする請求項1記載のメモリシステム。
【請求項4】
前記メモリコントローラは、
電源喪失を通知する電源喪失信号を受信し、
前記電源喪失信号の受信から前記第2の期間経過後、前記電源喪失を確認する電源喪失確認信号を前記電源回路に送信し、
前記電源回路は、
前記要求信号を受信し、
前記要求信号の受信に応じて前記電源喪失信号を前記メモリコントローラに送信し、
前記電源喪失確認信号の受信し、
前記要求信号及び前記電源喪失確認信号に基づいて前記第2の電源の供給を無効化すること
を特徴とする請求項1記載のメモリシステム。
【請求項5】
前記要求信号は、ホスト装置から送られるPWRDIS信号であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のメモリシステム。
【請求項6】
データを記憶する不揮発性のメモリと、
前記メモリに対するコマンドを実行可能なメモリコントローラと、
外部から供給される第1の電源を用いて前記メモリ及び前記メモリコントローラに供給する第2の電源を生成する電源回路と、を備えたメモリシステムの制御方法であって、
前記メモリコントローラが、
前記第2の電源の供給を第1の期間の間無効化する要求信号を受信し、
前記要求信号の受信から前記第1の期間よりも短い第2の期間経過後、前記電源回路による前記第2の電源の供給を無効化し、
前記要求信号の受信から前記第1の期間経過後に前記電源回路による前記第2の電源の供給を再開させること
を特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、メモリシステムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばSSDメモリなどのメモリシステムのインタフェース規格として、PCIe(PCI Express)、NVMe(Non-Volatile Memory Express)が知られている。NVMeは、不揮発性メモリを使用したストレージのためのプロトコル規格である。
【0003】
PCIeにおいては、電源無効信号(以下、PWRDIS(Power DISable)信号と称する)と呼ばれる信号が規定されている。PWRDIS信号は、メモリシステム内で用いられる電源管理用のIC(以下、PMIC(電源管理IC:Power Management IC)と称する)の出力を所定時間オフにする要求信号である。例えば、PWRDIS信号は、ホストからの電源供給を継続した状態でメモリシステム内の電源を一時的にオフしSSDメモリシステムの再起動を行わせる場合等に用いられている。
【0004】
SSDメモリシステムの再起動を行う場合、ホストからPWRDIS信号が送出された際、メモリコントローラにおいてもPWRDIS信号の受信に対する対応が必要となる。また、ホストから送出されたPWRDIS信号を直接的にPMICに供給し、PMICがPWRDIS信号に応じて電源出力をオフする制御を行うとすると、メモリコントローラはデータを退避させることができず、不正電源断状態となってしまう。これはメモリシステムのデータ消失の原因となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2021/0318815号明細書
【特許文献2】米国特許第10,551,897号明細書
【特許文献3】米国特許第2020/0411068号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
実施形態のメモリシステムは、電源供給を無効とする要求信号を受けた場合にデータ退避を実現することのできるメモリシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態のメモリシステムは、データを記憶可能な不揮発性のメモリと、メモリに対するコマンドを実行可能なメモリコントローラと、外部から供給される第1の電源を用いてメモリ及びメモリコントローラに供給する第2の電源を生成する電源回路と、を備える。メモリコントローラは、第2の電源の供給を第1の期間の間無効化する要求信号を受信し、要求信号の受信から第1の期間よりも短い第2の期間経過後、電源回路による第2の電源の供給を無効化し、要求信号の受信から第1の期間経過後に電源回路による第2の電源の供給を再開させることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係るメモリシステムとホスト装置を含む情報処理システム全概要を示すブロック図である。
図2】第1実施形態に係るメモリシステムの構成を示す回路構成図である。
図3】第1実施形態に係るメモリシステムの動作を示すタイミングチャートである。
図4】第1実施形態に係るメモリシステムの動作を示すフローチャートである。
図5】第2実施形態に係るメモリシステムの構成を示す回路構成図である。
図6】第2実施形態に係るメモリシステムの動作を示すタイミングチャートである。
図7】第2実施形態に係るメモリシステムの動作を示すフローチャートである。
図8】第3実施形態に係るメモリシステムの構成を示す回路構成図である。
図9】第3実施形態に係るメモリシステムの動作を示すタイミングチャートである。
図10】第3実施形態に係るメモリシステムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態のメモリシステム1とホスト装置2を含む情報処理システム全体の概要を示すブロック図である。図1に示すように、メモリシステム1は、ホスト装置2と接続可能である。メモリシステム1は、例えば、SSD(Solid State Drive)又はUFS(Universal Flash Storage)デバイスである。ホスト装置2は、例えば、サーバ、パーソナルコンピュータ、車載デバイス、又はモバイル型の情報処理装置である。メモリシステム1は、ホスト装置2の外部記憶装置として機能する。ホスト装置2は、メモリシステム1に対して要求を発行することができる。要求は、リード要求及びライト要求を含む。
【0010】
メモリシステム1は、例えば、NAND型フラッシュメモリ(以下、NANDメモリとも称する)10と、メモリコントローラ(以下、SoC(System-On-a-Chip)と称することがある)20と、PMICなどからなる電源回路30とを備えている。NANDメモリ10は、1つまたはそれ以上のメモリチップを含む。メモリチップは、複数のメモリセルトランジスタを備え、データを不揮発に記憶することができる。NANDメモリ10のメモリチップは、メモリコントローラ20と接続されている。
【0011】
メモリコントローラ20は、NANDメモリ10に対して、プログラム処理、リード処理、及びイレース処理などを行う。メモリコントローラ20は、例えばSoCとして構成される半導体回路である。メモリコントローラ20は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)として構成されてもよい。メモリコントローラ20は、複数のチップによって構成されてもよい。メモリコントローラ20の各機能は、ソフトウェア(ファームウェア)を実行するCPU、専用ハードウェア、又はこれらの組み合わせによって実現され得る。
【0012】
電源回路30は、NANDメモリ10やメモリコントローラ20などのメモリシステム1に備えられる各回路要素に電源を供給する。電源回路30は、例えばPMICなどが例示される。電源回路30は、コネクタ35を介して、ホスト装置2又はメモリシステム1の外部から電源VIN(第1の電源)の供給を受け、1以上の定電圧を生成する。電源回路30は、複数の供給先(Ch*)に対応する定電圧の電源VCC(第2の電源)を
生成し供給する。複数の供給先は、例えば、NANDメモリ10やメモリコントローラ20である。
【0013】
電源回路30は、コネクタ35を介して、ホスト装置2からさらにPWRDIS信号を受信する。PWRDIS信号は、ホスト装置2からメモリシステム1に対して、所定時間の間電源供給を無効とする要求信号である。PWRDIS信号は、例えば5秒間High(H)となる信号である。しかし、電源回路30がPWRDIS信号に従って電源VCCのオンオフを制御すると、NANDメモリ10においてデータ消失が生ずる可能性がある。
【0014】
そこで、実施形態のメモリシステム1では、メモリコントローラ20がPWRDIS信号を受信すると、電源VCCをオフとするタイミングを遅らせるための制御信号CTRLを電源回路30に送信する。かかる構成により、メモリコントローラ20及びNANDメモリ10は、保存のためのデータを退避する時間を得ることができる。
【0015】
図2は、図1に示した情報処理システムに含まれる第1実施形態に係るメモリシステム1の構成をより詳細に示す回路構成図である。図2に示すように、第1実施形態のメモリシステム1は、コネクタ35を介して電源VINと、PWRDIS信号とを受け入れる。PWRDIS信号の信号線は、メモリコントローラ20の対応する入力端子PWRDIS_SoCに接続されている。PWRDIS信号は、ホスト装置2からメモリシステム1に対して電源回路30の電源VCC出力を所定期間(第1の期間)オフにする要求信号である。
【0016】
一方、PWRDIS信号の信号線は、スイッチング素子Qを介して、電源回路30の対応する入力端子PWRDIS_PMICにも接続されている。すなわち、メモリシステム1は、スイッチング素子Q、抵抗器R、コンデンサCを具備している。
【0017】
図2に示す例では、スイッチング素子Qは、P-MOSFETであるが、これには限定されない。スイッチング素子Qは、N-MOSFETであってもよい。スイッチング素子Qのソースは、PWRDIS信号の信号線に接続され、スイッチング素子Qのドレインは、抵抗器Rを介してグランドに接続されている。また、スイッチング素子Qのゲートは、メモリコントローラ20の制御信号CTRLの端子としての汎用入出力端子(以下、GPIO(General-Purpose Input/Output)端子と称する)に接続されている。スイッチング素子Qのドレイン端子は、さらに、電源回路30におけるPWRDIS信号の入力端子PWRDIS_PMICに接続されている。
【0018】
コネクタ35を介して受け入れた電源VINは、電源回路30の電源VINの入力端子VINに接続される。電源VINの接続線は、コンデンサCによりグランドにバイパスされている。
【0019】
電源回路30は、与えられた電源VINに基づいて、NANDメモリ10やメモリコントローラ20に供給する電源VCCを生成する。一方、図2に示す電源回路30は、PWRDIS信号を受信するPWRDIS_PMIC端子を備えており、電源回路30としてPWRDIS信号を受信可能である。電源回路30の入力端子PWRDIS_PMICがPWRDIS信号を受信すると、PWRDIS信号に従って電源VCCの出力を所定期間オフに制御する。
【0020】
この実施形態のメモリシステム1では、メモリコントローラ20は、PWRDIS信号を受けるPWRDIS_SoC端子、汎用入出力端子GPIO、電源VCCを受けるVCC端子、制御信号CTRLの出力を制御するCPUなどを備えている。また、NANDメモリ10は、電源VCCを受けるVCC端子を有している。
【0021】
次に、図3及び図4を参照して、第1実施形態のメモリシステムの動作を説明する。
【0022】
図3は、電源回路30に供給される電源VINの電圧レベル、電源回路30から出力される電源VCCの電圧レベル、ホスト装置2から送られるPWRDIS信号の電圧レベル、メモリコントローラ20の汎用入出力端子GPIOの電圧レベル、電源回路30のPWRDIS_PMIC端子の電圧レベルそれぞれについて、時間tの経過との関係を表すタイムチャートである。図4は、メモリシステム1の動作を示すフローチャートである。
【0023】
図3に示すように、電源回路30が時間tにおいてコネクタ35を介して電源VINを受けると、電源VINは所定の電圧レベルとなる。電源回路30は、電源VINの供給に応じて時間tにおいて各Ch*に対応する電源VCCを生成する(図4のS100。以下同様。)。
【0024】
図3に示すように、初期状態ではホスト装置2はPWRDIS信号を送信せず、PWRDIS信号の電圧レベルは時間tにおいてローレベル(「L」)である。したがって、電源回路30は、生成した電源VCCをメモリコントローラ20やNANDメモリ10に供給する(S105)。
【0025】
メモリコントローラ20のCPUは、電源VCCの供給を受けると初期化動作を行い、時間tにおいて汎用入出力端子GPIOの電圧レベルをハイレベル(「H」)とする(S110)。以後、メモリコントローラ20は、PWRDIS信号の受信を待機する(S115のNo)。
【0026】
ホスト装置2が時間tにおいてPWRDIS信号のレベルを「H」とし、メモリコントローラ20のPWRDIS_SoC端子のレベルが「H」となると(S115のYes)、メモリコントローラ20は、NANDメモリ10に処理中のデータの書き込みが終了するまで(データ退避時間)、汎用入出力端子GPIOのレベルを「H」に維持する(S120のNo)。図3に示す例では、時間tまで汎用入出力端子GPIOの電圧レベルが「H」に維持されている。メモリコントローラ20は、かかるデータ退避時間の間にNANDメモリ10の書き込み処理、フラッシュ処理、未保存データの退避などの処理を行うことができる。
【0027】
時間tからtまでのデータ退避時間(第2の期間)は、PWRDIS信号として規定される最低値である5秒間を超えない範囲で任意に決定される。データ退避時間は、予めNANDメモリ10の書き込み処理等の所要時間から設計してもよいし、実測により実験的に決定されてもよい。図3に示すように、データ退避時間(第2の期間)は、PWRDIS信号が要求する電源VCCをオフとする期間(第1の期間)よりも短い。
【0028】
時間tにおいてデータ退避時間が経過すると(S120のYes)、メモリコントローラ20のCPUは、時間tにおいて汎用入出力端子GPIOのレベルを「L」とする(S125)。
【0029】
時間tにおいて汎用入出力端子GPIOのレベルが「H」から「L」となると、図2のスイッチング素子Qがオンするので(S130)、PWRDIS_PMIC端子の電位は「L」から「H」となり(S135)、PWRDIS_SoC端子と同電位となる。
【0030】
時間tのタイミングで電源回路30は、PWRDIS信号の定義に従い電源VCCの出力をオフとする(S140)。すなわち、電源VCCの供給を無効化する。このときメモリコントローラ20への電源VCCの供給が停止するため、汎用入出力端子GPIOのレベルが「L」のまま維持される。
【0031】
汎用入出力端子GPIOのレベルが「L」でスイッチング素子Qはオンを維持するため、時間tにおいてPWRDIS信号のレベルが「L」となると(S145のYes)、電源回路30のPWRDIS_PMIC端子のレベルはローレベル「L」になる(S150)。
【0032】
電源回路30は、PWRDIS信号の変化に応じて時間tにおいて電源VCCの出力をオンとする(S155)。すなわち、電源VCCの供給が再開される。
【0033】
メモリコントローラ20は、電源VCCが再度供給される事により初期化動作を行い、メモリコントローラ20のCPUは、時間t10において汎用入出力端子GPIOのレベルを「H」として(S160)、スイッチング素子Qをオフし(S165)、PWRDIS_SoC端子のレベルを監視する。
【0034】
この実施形態によれば、メモリコントローラ20がPWRDIS信号の変化を検出すると、NANDメモリ10におけるデータ退避時間を経過した後、スイッチング素子Qを介して電源回路30にPWRDIS信号のレベルを伝送する。すなわち、ホスト装置2、メモリコントローラ20、電源回路30がPWRDIS信号に対応する場合に、簡易な構成でデータ退避時間を確保することができる。
【0035】
(第2実施形態)
続いて、図5を参照して、第2実施形態のメモリシステムについて説明する。この実施形態のメモリシステム1aは、電源回路30へのPWRDIS信号の伝送制御をメモリコントローラ20から直接行うように構成したものである。以下の説明において、第1実施形態と共通する要素や動作について共通の符号を付して示し、重複する説明を省略する。
【0036】
図5に示すように、この実施形態のメモリシステム2は、コネクタ35を介して電源VINと、PWRDIS信号とを受け入れる。PWRDIS信号の信号線は、メモリコントローラ21の対応する入力端子PWRDIS_SoCに接続されている。同様に、PWRDIS信号の信号線は、電源回路30の対応する入力端子PWRDIS_PMICにも接続されている。
【0037】
この実施形態のメモリシステム1aでは、メモリコントローラ21は、PWRDIS信号を受信する入力端子PWRDIS_SoC、外部電源を制御する制御信号CTRLの端子としての出力端子Ex_PWR、電源VCCを受けるVCC端子、Ex_PWR端子の出力を制御するCPUなどを備えている。また、NANDメモリ10は、電源VCCを受けるVCC端子を有している。
【0038】
図5に示す電源回路31は、PWRDIS信号を受信する入力端子PWRDIS_PMICを備えており、電源回路31としてPWRDIS信号を受信可能である。また、電源回路31は、電源VCCの出力の制御を可能にする入力端子Ex_PWRを有している。
【0039】
次に、図6及び図7を参照して、第2実施形態のメモリシステム1aの動作を説明する。
【0040】
図6は、電源回路31に供給される電源VINの電圧レベル、電源回路31から出力される電源VCCの電圧レベル、ホスト装置2から送られるPWRDIS信号の電圧レベル、外部電源を制御するメモリコントローラ21の出力端子Ex_PWRの電圧レベル、電源VCCの制御状態それぞれについて、時間tの経過との関係を表すタイムチャートである。図7は、メモリシステム1aの動作を示すフローチャートである。
【0041】
図6に示すように、電源回路31が時間tにおいてコネクタ35を介して電源VINを受けると、電源VINは所定の電圧レベルとなる。電源回路31は、電源VINの供給に応じて時間tにおいて各Ch*に対応する電源VCCを生成する(図7のS100)。
【0042】
図6に示すように、初期状態ではホスト装置2はPWRDIS信号を送信せず、PWRDIS信号の電圧レベルは時間tにおいて「L」である。したがって、電源回路31は、生成した電源VCCをメモリコントローラ21やNANDメモリ10に供給する(S105)。
【0043】
メモリコントローラ21のCPUは、電源VCCの供給を受けると初期化動作を行い、時間t3aにおいて出力端子Ex_PWRの信号をハイレベル「H」とする(S111)。以後、メモリコントローラ21は、PWRDIS信号の受信を待機する(S115のNo)。
【0044】
ホスト装置2が時間tにおいてPWRDIS信号を「H」とし、メモリコントローラ21のPWRDIS_SoC端子のレベルが「H」となると(S115のYes)、メモリコントローラ21は、NANDメモリ10に処理中のデータの書き込みが終了するまで(データ退避時間)、出力端子Ex_PWRのレベルを「H」に維持する(S120のNo)。図6に示す例では、時間t5aまで出力端子Ex_PWRの電圧レベルが「H」に維持されている。メモリコントローラ21は、かかるデータ退避時間の間にNANDメモリ10の書き込み処理、フラッシュ処理、未保存データの退避などの処理を行うことができる。
【0045】
第2実施形態では、電源回路31は、PWRDIS信号のレベルと入力端子Ex_PWRのレベルを監視しており、PWRDIS_PMIC端子のレベルが「H」であり、かつ入力端子Ex_PWRのレベルが「L」である場合に、電源VCCの出力をオンからオフへと制御する。
【0046】
時間tから時間t5aまでのデータ退避時間が経過すると(S120のYes)、メモリコントローラ21のCPUは、時間t6aにおいて出力端子Ex_PWRのレベルを「H」から「L」とする(S126)。
【0047】
メモリコントローラ21の出力端子Ex_PWRのレベルが「L」、即ち、電源回路31の入力端子Ex_PWRのレベルが「L」となる時、PWRDIS_PMIC端子のレベルは「H」である。これにより、電源回路31は、時間tにおいて電源VCCの出力をオンからオフへと制御する。(S141)。すなわち、電源VCCの供給を無効化する。
【0048】
電源回路31は、時間tにおけるPWRDIS_PMICのレベル変化に応じて(S145のYes)、時間t9aにおいて電源VCCの出力をオンとする(S155)。すなわち、電源VCCの供給が再開される。
【0049】
メモリコントローラ21は、電源VCCが再度供給される事により初期化動作を行い、メモリコントローラ21のCPUは、時間t10において出力端子Ex_PWRのレベルを「H」とする(S161)。
【0050】
この実施形態によれば、メモリコントローラ21がPWRDIS信号の変化を検出すると、NANDメモリ10におけるデータ退避時間を経過した後、直接電源回路31に対して電源VCCの出力を制御するEx_PWR信号のレベルを伝送する。すなわち、外部回路等を付加することなく簡易な構成でデータ退避時間を確保することができる。
【0051】
(第3実施形態)
続いて、図8を参照して、第3実施形態のメモリシステムについて説明する。この実施形態のメモリシステム3は、電源回路32へのPWRDIS信号の伝送制御を、電源喪失通知信号(以下、PLN(Power Loss Notification)信号と称する)と電源喪失確認信号(以下、PLA(Power Loss Acknowledge)信号と称する)を用いて実現したものである。以下の説明において、第1実施形態や第2実施形態と共通する要素や動作について共通の符号を付して示し、重複する説明を省略する。
【0052】
図8に示すように、この実施形態のメモリシステム1bは、コネクタ35を介して電源VINと、PWRDIS信号とを受け入れる。PWRDIS信号の信号線は、電源回路32の対応する入力端子PWRDIS_PMICに接続されている。
【0053】
この実施形態のメモリシステム1bでは、メモリコントローラ22は、PLN信号を受けるPLN端子、制御信号CTRLとしてのPLA信号を発信するPLA端子、電源VCCを受けるVCC端子、PLN信号、PLA信号を制御するCPUなどを備えている。また、NANDメモリ10は、電源VCCを受けるVCC端子を有している。
【0054】
PLN端子は、電源喪失を通知する機能を実現する。PLA端子は、PLN端子への信号入力に対して確認信号を返信する機能を実現する。
【0055】
図8に示す電源回路32は、PWRDIS信号を受信するPWRDIS_PMIC端子を備えており、電源回路32としてPWRDIS信号を受信可能である。また、電源回路32は、電源VCCの出力の制御を可能にする入力端子Ex_PWRを有している。さらに、電源回路32は、電源喪失保護信号を送出可能なOMP端子(OMP;Off Module Power Loss Protection)を有している。
【0056】
次に、図9及び図10を参照して、第3実施形態のメモリシステム1bの動作を説明する。
【0057】
図9は、電源回路32に供給される電源VINの電圧レベル、電源回路32から出力される電源VCCの電圧レベル、ホスト装置2から送られるPWRDIS信号の電圧レベル、電源回路32のOMP端子(メモリコントローラ22のPLN端子)における電圧レベル、電源回路32の入力端子Ex_PWR(メモリコントローラ22のPLA端子)における電圧レベル、電源VCCの制御状態それぞれについて、時間tの経過との関係を表すタイムチャートである。図10は、メモリシステム1bの動作を示すフローチャートである。
【0058】
図9に示すように、電源回路32が時間tにおいてコネクタ35を介して電源VINを受けると、電源VINは所定の電圧レベルとなる。電源回路32は、電源VINの供給に応じて時間tにおいて各Ch*に対応する電源VCCを生成する(図10のS100)。
【0059】
図9に示すように、初期状態ではホスト装置2はPWRDIS信号を送信せず、PWRDIS信号の電圧レベルは時間tにおいて「L」である。したがって、電源回路32は、生成した電源VCCをメモリコントローラ22やNANDメモリ10に供給する(S105)。
【0060】
電源回路32は、電源VINを受けると、時間t3bにおいてOMP端子のレベルを「H」とする(S112)。電源回路32のOMP端子はメモリコントローラ22のPLN端子と接続されているから、PLN端子のレベルが「H」となる。メモリコントローラ22のCPUは、電源VCCを受けると初期化動作を行い、PLN端子を入力モードとし、時間t3cにおいてPLA端子を出力モードで「H」レベルとする。メモリコントローラ22のPLA端子は電源回路32のEx_PWR端子と接続されているから、Ex_PWR端子のレベルも「H」となる(S113)。以後、電源回路32は、PWRDIS信号の受信を待機する(S115のNo)。
【0061】
この実施形態では、電源回路32は、PWRDIS信号のレベルと入力端子Ex_PWRのレベルを監視しており、PWRDIS_PMIC端子のレベルが「H」であり、かつ入力端子Ex_PWRのレベルが「L」から「H」に変化した場合に、電源VCCの出力をオンからオフへと制御する。
【0062】
ホスト装置2が時間tにおいてPWRDIS信号を「H」とし、電源回路32のPWRDIS_PMIC端子のレベルが「H」となると(S115のYes)、電源回路32は、時間t4aにおいてOPM端子のレベルを「L」とする。OPM端子はPLN端子と接続されているから、OPM端子のレベルが「L」になるとPLN端子のレベルも「L」になる。メモリコントローラ22にプログラムされた動作に従い、NANDメモリ10に処理中のデータの書き込み(データ退避)が開始されると、時間t4bにおいてPLA端子のレベルを「L」とし、電源回路32のEx_PWR端子のレベルも「L」になる(S116)。
【0063】
メモリコントローラ22は、NANDメモリ10に処理中のデータの書き込みが終了するまで(データ退避時間)PLA端子のレベルを「L」とし、Ex_PWR端子のレベルを「L」に維持する(S120のNo)。図9に示す例では、時間t5bまでEx_PWR端子の電圧レベルが「L」に維持されている。メモリコントローラ22は、かかるデータ退避時間の間にNANDメモリ10の書き込み処理、フラッシュ処理、未保存データの退避などの処理を行うことができる。
【0064】
時間tから時間t5bまでのデータ退避時間が経過すると(S120のYes)、メモリコントローラ22のCPUは、時間t6bからtまでの期間においてPLA端子のレベルを一時的に「L」から「H」にする(S121)。これにより、電源回路32の入力端子Ex_PWRのレベルも「L」から「H」となる(S122)。
【0065】
電源回路32の入力端子Ex_PWRのレベルが「H」になる時、PWRDIS_PMIC端子のレベルは「H」である。これにより、電源回路32は、時間tにおいて電源VCCの出力をオンからオフへと制御する。(S140)。すなわち、電源VCCの供給を無効化する。
【0066】
電源回路32は、PWRDIS_PMIC端子のレベルを監視している(S146のNo)。時間tにおいてPWRDIS_PMIC端子のレベルが「H」から「L」になると(S146のYes)、電源回路32は、時間t9bにおいて電源VCCの出力をオンにし(S155)、時間t9cにおいてOMP端子のレベルを「L」から「H」にする(S166)。電源回路32のOMP端子はメモリコントローラ22のPLN端子と接続されているから、PLN端子のレベルが「H」となる。メモリコントローラ22のCPUは、時間t9bにおいて電源VCCを受けると初期化動作を行い、時間t10aにおいてPLN端子を入力モード、PLA端子を出力モードで「H」レベルとする。メモリコントローラ22のPLA端子は電源回路32のEx_PWR端子と接続されているから、Ex_PWR端子のレベルも「H」となる(S167)。
【0067】
この実施形態によれば、既存のPLN端子やPLA端子を用いて電源VCCの出力を制御するので、外部回路等を付加することなく簡易な構成でデータ退避時間を確保することができる。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
1…メモリシステム、2…ホスト装置、10…NANDメモリ、20…メモリコントローラ、30…電源回路、35…コネクタ、Q…スイッチング素子。
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