(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041318
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】冷却システム
(51)【国際特許分類】
F25B 5/02 20060101AFI20240319BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
F25B5/02 510L
F25D11/00 101E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146060
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川合 泰史
(72)【発明者】
【氏名】石原 雄大
【テーマコード(参考)】
3L045
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045LA05
3L045LA17
3L045MA00
3L045MA12
3L045NA16
3L045PA02
3L045PA03
3L045PA04
3L045PA05
(57)【要約】
【課題】圧縮機が高圧異常で駆動停止してしまうことを防止すること。
【解決手段】吸引した冷媒を圧縮する圧縮機31及び圧縮機31で圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器32を有した冷凍機11と、凝縮器32で凝縮した冷媒の一部を断熱膨張させる膨張機構33A等及び膨張機構33A等で断熱膨張した冷媒を蒸発させて圧縮機31に吸引させる蒸発器34A等を有した複数のショーケース12A等とを備え、複数のショーケース12A等にて蒸発器34A等での冷媒の蒸発により所定の冷却領域を冷却する冷却システム1であって、複数のショーケース12A等に対する予め設定された低負荷条件を満足する低負荷ショーケースの割合が予め決められた駆動停止閾値以上となる場合に、圧縮機31を駆動停止にさせるコントローラ制御部42を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引した冷媒を圧縮する圧縮機及び該圧縮機で圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器を有した冷凍機と、
前記凝縮器で凝縮した冷媒の一部を断熱膨張させる膨張機構及び該膨張機構で断熱膨張した冷媒を蒸発させて前記圧縮機に吸引させる蒸発器を有した複数の要冷設備と
を備え、
前記複数の要冷設備にて前記蒸発器での冷媒の蒸発により所定の冷却領域を冷却する冷却システムであって、
前記複数の要冷設備に対する予め設定された低負荷条件を満足する低負荷要冷設備の割合が予め決められた駆動停止閾値以上となる場合に、前記圧縮機を駆動停止にさせる制御部を備えたことを特徴とする冷却システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記圧縮機が駆動停止中において、前記低負荷要冷設備の割合が前記駆動停止閾値よりも小さい駆動再開閾値以上となる場合に、前記圧縮機を駆動させることを特徴とする請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
吸引した冷媒を圧縮する圧縮機及び該圧縮機で圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器を有した冷凍機と、
前記凝縮器で凝縮した冷媒の一部を断熱膨張させる膨張機構及び該膨張機構で断熱膨張した冷媒を蒸発させて前記圧縮機に吸引させる蒸発器を有した複数の要冷設備と
を備え、
前記複数の要冷設備にて前記蒸発器での冷媒の蒸発により所定の冷却領域を冷却する冷却システムであって、
前記複数の要冷設備のうち予め設定された低負荷条件を満足する低負荷要冷設備以外の対象要冷設備について、それぞれの対象要冷設備の冷却負荷の大きさにより設定された冷却負荷値の合計値が予め決められた駆動停止基準値以下となる場合に、前記圧縮機を駆動停止にさせる制御部を備えたことを特徴とする冷却システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記圧縮機が駆動停止中において、前記対象要冷設備の冷却負荷値の合計値が前記駆動停止基準値よりも大きい駆動再開基準値以上となる場合に、前記圧縮機を駆動させることを特徴とする請求項3に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記複数の要冷設備のそれぞれにおいて、前記蒸発器に付着した霜を除去する除霜運転時を除いた所定時間の前記膨張機構の開度の平均値に基づいて前記冷却負荷値を設定することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の冷却システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記膨張機構の開度が許容範囲の最低値で継続して所定時間経過した要冷設備を、前記低負荷要冷設備とすることを特徴とする請求項1~4のいずれか1つに記載の冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばコンビニエンスストアやスーパーマーケット等の店舗に設置された冷却システムとして、冷凍機及び複数のショーケースを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
冷凍機は、例えば店舗の外部に設置されており、圧縮機及び凝縮器を有している。圧縮機は、吸引した冷媒を圧縮するものである。凝縮器は、圧縮機で圧縮された冷媒を凝縮させるものである。
【0004】
複数のショーケースは、商品を載置する商品載置棚が上下方向に沿って複数段設けられた収納室を有し、かつ冷凍機とともに冷媒回路を構成する膨張弁及び蒸発器を有している。膨張弁は、凝縮器で凝縮した冷媒の一部、すなわち凝縮器で凝縮して分配供給された冷媒を断熱膨張させるものである。蒸発器は、膨張弁で断熱膨張した冷媒を蒸発させて圧縮機に吸引させるものである。そのようなショーケースでは、蒸発器で冷媒が蒸発することにより冷却された空気を収納室に導入することにより商品載置棚に載置された商品を冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記特許文献1に提案されている冷却システムにおいては、複数のショーケースのうち特定のショーケースの運転モードの変更時に圧縮機の駆動周波数を増減させるようにしていたが、冷媒回路を構成する同一系統のすべてのショーケースの冷却負荷については監視していないので、次のような問題があった。
【0007】
すなわち、上記冷媒回路を形成するすべてのショーケースの冷却負荷がまだ十分に大きいものではない場合でも、圧縮機を駆動させてしまうことにより圧縮機が高圧異常で駆動停止してしまう虞れがあった。特に冷媒が例えば二酸化炭素等のように冷媒回路内で高圧にする必要がある場合には、圧縮機の高圧異常による駆動停止が顕著なものとなる。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑みて、圧縮機が高圧異常で駆動停止してしまうことを防止することができる冷却システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る冷却システムは、吸引した冷媒を圧縮する圧縮機及び該圧縮機で圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器を有した冷凍機と、前記凝縮器で凝縮した冷媒の一部を断熱膨張させる膨張機構及び該膨張機構で断熱膨張した冷媒を蒸発させて前記圧縮機に吸引させる蒸発器を有した複数の要冷設備とを備え、前記複数の要冷設備にて前記蒸発器での冷媒の蒸発により所定の冷却領域を冷却する冷却システムであって、前記複数の要冷設備に対する予め設定された低負荷条件を満足する低負荷要冷設備の割合が予め決められた駆動停止閾値以上となる場合に、前記圧縮機を駆動停止にさせる制御部を備えたことを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上記冷却システムにおいて、前記制御部は、前記圧縮機が駆動停止中において、前記低負荷要冷設備の割合が前記駆動停止閾値よりも小さい駆動再開閾値以上となる場合に、前記圧縮機を駆動させることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上記冷却システムにおいて、吸引した冷媒を圧縮する圧縮機及び該圧縮機で圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器を有した冷凍機と、前記凝縮器で凝縮した冷媒の一部を断熱膨張させる膨張機構及び該膨張機構で断熱膨張した冷媒を蒸発させて前記圧縮機に吸引させる蒸発器を有した複数の要冷設備とを備え、前記複数の要冷設備にて前記蒸発器での冷媒の蒸発により所定の冷却領域を冷却する冷却システムであって、前記複数の要冷設備のうち予め設定された低負荷条件を満足する低負荷要冷設備以外の対象要冷設備について、それぞれの対象要冷設備の冷却負荷の大きさにより設定された冷却負荷値の合計値が予め決められた駆動停止基準値以下となる場合に、前記圧縮機を駆動停止にさせる制御部を備えたことを特徴とする。
【0012】
また本発明は、上記冷却システムにおいて、前記制御部は、前記圧縮機が駆動停止中において、前記対象要冷設備の冷却負荷値の合計値が前記駆動停止基準値よりも大きい駆動再開基準値以上となる場合に、前記圧縮機を駆動させることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、上記冷却システムにおいて、前記制御部は、前記複数の要冷設備のそれぞれにおいて、前記蒸発器に付着した霜を除去する除霜運転時を除いた所定時間の前記膨張機構の開度の平均値に基づいて前記冷却負荷値を設定することを特徴とする。
【0014】
また本発明は、上記冷却システムにおいて、前記制御部は、前記膨張機構の開度が許容範囲の最低値で継続して所定時間経過した要冷設備を、前記低負荷要冷設備とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、制御部が、複数の要冷設備に対する予め設定された低負荷条件を満足する低負荷要冷設備の割合が予め決められた駆動停止閾値以上となる場合に、圧縮機を駆動停止にさせるので、複数の要冷設備の状態を監視しながら冷却負荷の不足による圧縮機の高圧異常の発生を抑制することができ、圧縮機が高圧異常で駆動停止してしまうことを防止することができるという効果を奏する。
【0016】
また本発明によれば、制御部が、複数の要冷設備のうち予め設定された低負荷条件を満足する低負荷要冷設備以外の対象要冷設備について、それぞれの対象要冷設備の冷却負荷の大きさにより設定された冷却負荷値の合計値が予め決められた駆動停止基準値以下となる場合に、圧縮機を駆動停止にさせるので、複数の要冷設備の状態を監視しながら冷却負荷の不足による圧縮機の高圧異常の発生を抑制することができ、圧縮機が高圧異常で駆動停止してしまうことを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態1である冷却システムの構成を模式的に示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した冷凍システムの構成を模式的に示す説明図である。
【
図3】
図3は、
図1に示したコントローラ制御部が冷凍システム毎に行う圧縮機駆動制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態2である冷却システムの構成を模式的に示すブロック図である。
【
図5】
図5は、
図4に示した冷凍システムの構成を模式的に示す説明図である。
【
図6】
図6は、
図4に示したコントローラ制御部が冷凍システム毎に行う圧縮機駆動制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る冷却システムの好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1である冷却システムの構成を模式的に示すブロック図である。ここで例示する冷却システム1は、例えばコンビニエンスストアやスーパーマーケット等の店舗に適用されるもので、系統Aである冷凍システム10及び系統Bである冷凍システム20がコントローラ40に接続されて構成されている。
【0020】
冷凍システム10は、冷凍機11と複数のショーケース(要冷設備)12A,12B,…12Nとを有しており、冷凍機11が各ショーケース12A,12B,…12Nを所定の温度帯に維持するシステムである。冷凍システム20は、冷凍機21と複数のショーケース22A,22B,…22Nとを有しており、冷凍機21が各ショーケース22A,22B,…22Nを所定の温度帯に維持するシステムである。尚、以下においては、1つの系統Aである冷凍システム10を対象として説明するものとし、系統Bである冷凍システム20、並びにこれに対する制御については、説明を適宜割愛する。
【0021】
図2は、
図1に示した冷凍システム10の構成を模式的に示す説明図である。この
図2を用いて冷凍システム10の構成について説明する。
【0022】
この
図2に示すように、冷凍システム10は、冷凍機11と複数のショーケース12A,12B,…12Nとを備えている。以下においては、ショーケース12A,12B,…12Nに設けられる要素について符号に「A」、「B」、…「N」を適宜付して説明することとする。
【0023】
冷凍機11は、例えば店舗の外部に設置されており、圧縮機31及び凝縮器32を備えている。圧縮機31は、凝縮器32とともに後述する膨張機構33A,33B,…33N及び蒸発器34A,34B,…34Nと冷媒管路35で接続されることで内部に冷媒が封入された冷媒回路30を構成している。ここで冷媒としては、例えば二酸化炭素が用いられている。
【0024】
この圧縮機31は、コントローラ40から与えられる指令に応じて駆動するものであり、駆動する場合に、冷媒を吸引して圧縮し高温高圧の冷媒として吐出するものである。凝縮器32は、圧縮機31で圧縮された冷媒を周囲空気と熱交換させて凝縮させるものである。
【0025】
複数のショーケース12A,12B,…12Nは、それぞれ店舗の内部に設置されており、商品を載置する商品載置棚(図示せず)が上下方向に沿って複数段設けられた収納室13A,13B,…13N及びショーケース制御部14A,14B,…14Nを備えている。これら複数のショーケース12A,12B,…12Nは、膨張機構33A,33B,…33N及び蒸発器34A,34B,…34Nをそれぞれ有している。
【0026】
膨張機構33A,33B,…33Nは、例えば電子膨張弁等で構成されるもので、入口が冷媒管路35を通じて凝縮器32に接続されている。この膨張機構33A,33B,…33Nは、凝縮器32で凝縮された冷媒の一部、すなわち凝縮器32で凝縮されて分配供給された冷媒を断熱膨張させるものである。
【0027】
蒸発器34A,34B,…34Nは、膨張機構33A,33B,…33Nで断熱膨張した冷媒と自身の周囲空気とを熱交換させることにより、該冷媒を蒸発させて圧縮機31に吸引させるものである。つまり、蒸発器34A,34B,…34Nで蒸発した冷媒は、他のショーケース12A,12B,…12Nに設置された蒸発器34A,34B,…34Nで蒸発した冷媒と合流して圧縮機31に吸引される。
【0028】
そのような蒸発器34A,34B,…34Nは、収納室13A,13B,…13Nと連通する図示せぬ空気通路に設置されている。これにより蒸発器34A,34B,…34Nで冷却された空気が収納室13A,13B,…13Nに供給されることにより、収納室13A,13B,…13Nの内部雰囲気が冷却されて各商品載置棚に載置された商品が冷却される。このように収納室13A,13B,…13Nは、ショーケース12A,12B,…12Nの所定の冷却領域に該当する。
【0029】
ショーケース制御部14A,14B,…14Nは、設置されたショーケース12A,12B,…12Nの収納室13A,13B,…13Nの温度情報や膨張機構33A,33B,…33Nの開度情報等を取得しつつ膨張機構33A,33B,…33Nの開度を調節してショーケース12A,12B,…12Nの運転状態を制御するものである。またショーケース制御部14A,14B,…14Nは、ショーケース12A,12B,…12Nの運転状態をステータスとしてコントローラ40に送出するものである。更にショーケース制御部14A,14B,…14Nは、取得した情報をコントローラ40に送出する機能を有している。
【0030】
かかるショーケース制御部14A等がコントローラ40に送出するステータスとしては、「冷却運転中」、「除霜運転中」、「低負荷状態」等がある。「冷却運転中」は、収納室13A等の温度を冷却運転している状態である。「除霜運転中」は、蒸発器に付着した霜を除去する状態である。
【0031】
「低負荷状態」は、膨張機構33A等の開度が許容範囲の最低値となる状態が継続して所定時間経過した場合の状態である。ここで「許容範囲の最低値」は、必ずしも開度が「0」ということではなく、取り得る開度の許容範囲の最低値という意味である。すなわち、膨張機構33A等の開度の許容範囲が例えば80~500パルスであった場合に、開度が最低値の80パルスで継続して所定時間経過した場合に「低負荷状態」となる。
【0032】
つまり、ショーケース制御部14A等が「低負荷状態」をステータスとして送出する場合には、該当するショーケース12A等は、予め設定された低負荷条件を満足する低負荷ショーケース(低負荷要冷設備)に該当する。
【0033】
コントローラ40は、入出力部41及びコントローラ制御部42を備えて構成されている。入出力部41は、例えばタッチパネル等の入出力デバイスであり、冷却システム1に対する各種設定情報を入力するとともに、冷却システム1の制御状態や制御結果等の各種データを出力するものである。
【0034】
コントローラ制御部42は、記憶部43に記憶されたプログラムやデータに従って冷凍システム10,20を個々に制御するものである。このコントローラ制御部42は、冷凍機制御部421、運転監視部422、運転データ取得部423、算出判定部424及び出力制御部425を有している。
【0035】
冷凍機制御部421は、圧縮機31の吸入圧力、吐出圧力、吸入温度、吐出温度及び運転周波数等のデータをリアルタイムで取得しつつ、該圧縮機31の駆動を制御するものである。
【0036】
運転監視部422は、各ショーケース12A等の運転状態を監視するもので、具体的には、各ショーケース12A等のショーケース制御部14A等から送出されるステータスが「冷却運転中」、「除霜運転中」若しくは「低負荷状態」であるかを監視するものである。
【0037】
運転データ取得部423は、各ショーケース12A等における庫内温度(収納室13A等の内部温度)、温調設定温度、膨張機構33A等の開度等の運転データを所定時間毎(例えば1分間毎)に取得するものである。
【0038】
算出判定部424は、後述する圧縮機駆動制御処理において圧縮機31を駆動又は駆動停止させるための判定処理を行うものである。より詳細には、運転監視部422を通じて取得した「低負荷状態」に該当するショーケース(低負荷ショーケース)の割合、すなわち系統Aの全ショーケース12A等に対する低負荷ショーケースの割合を算出し、算出した割合が記憶部43に記憶された駆動停止閾値情報43aに含まれる駆動停止閾値(例えば80%程度)以上であるか否か、あるいは系統Aの全ショーケース12A等に対する低負荷ショーケースの割合が、記憶部43に記憶された駆動再開閾値情報43bに含まれる駆動再開閾値(例えば60%程度)以上であるか否かを判定するものである。
【0039】
ここで駆動再開閾値は、駆動停止閾値よりも小さいことが好ましい。出力制御部425は、入出力部41に出力する制御を行うものである。
【0040】
図3は、
図1に示したコントローラ制御部42が冷凍システム10,20毎に行う圧縮機駆動制御処理の処理内容を示すフローチャートである。この圧縮機駆動制御処理は、特定のタイミングで行われるものである。また冷凍システム10に対して行われるものについて説明し、冷凍システム20に対して行われるものについてはその説明を割愛する。
【0041】
圧縮機駆動制御処理においてコントローラ制御部42は、運転監視部422を通じて冷凍システム10を構成する各ショーケース12A等のショーケース制御部14A等からステータスを取得し、算出判定部424を通じて冷凍システム10を構成する系統Aの全ショーケース12A等に対する低負荷ショーケースの割合を算出する(ステップS101)。
【0042】
系統Aの全ショーケース12A等に対する低負荷ショーケースの割合を算出したコントローラ制御部42は、冷凍機制御部421を通じて圧縮機31が駆動中であるか否かを判断する(ステップS102)。
【0043】
圧縮機31が駆動中である場合(ステップS102:Yes)、コントローラ制御部42は、算出判定部424を通じて記憶部43から駆動停止閾値情報43aを読み出し、ステップS101で算出した割合が駆動停止閾値情報43aに含まれる駆動停止閾値以上であるか否かを判定する(ステップS103)。
【0044】
ステップS101で算出した割合が駆動停止閾値未満である場合(ステップS103:No)、コントローラ制御部42は、後述する処理を実施することなく、手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これによれば圧縮機31の駆動が継続されることとなる。
【0045】
一方、ステップS101で算出した割合が駆動停止閾値以上である場合(ステップS103:Yes)、コントローラ制御部42は、冷凍機制御部421を通じて圧縮機31を駆動停止にさせ(ステップS104)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0046】
これによれば、圧縮機31が駆動停止になることで、冷却負荷の不足による圧縮機31の高圧異常の発生を抑制することができる。
【0047】
上記ステップS102にて圧縮機31が駆動停止中である場合(ステップS102:No)、コントローラ制御部42は、算出判定部424を通じて記憶部43から駆動再開閾値情報43bを読み出し、ステップS101で算出した割合が駆動再開閾値情報43bに含まれる駆動再開閾値以上であるか否かを判定する(ステップS105)。
【0048】
ステップS101で算出した割合が駆動再開閾値未満である場合(ステップS105:No)、コントローラ制御部42は、後述する処理を実施することなく、手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これによれば圧縮機31の駆動停止が継続されることとなる。
【0049】
一方、ステップS101で算出した割合が駆動再開閾値以上である場合(ステップS105:Yes)、コントローラ制御部42は、冷凍機制御部421を通じて圧縮機31を駆動させ(ステップS106)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0050】
これによれば、圧縮機31が駆動することで、各ショーケース12A等の収納室13A等を良好に冷却することができる。
【0051】
以上説明したように、本発明の実施の形態1である冷却システム1によれば、コントローラ制御部42が、全ショーケース12A等に対する低負荷ショーケースの割合が駆動停止閾値以上となる場合に圧縮機31を駆動停止にさせるので、対象である系統Aの冷凍システム10を構成する全ショーケース12A等の状態を監視しながら冷却負荷の不足による圧縮機31の高圧異常の発生を抑制することができ、圧縮機31が高圧異常で駆動停止してしまうことを防止することができる。
【0052】
また上記冷却システム1によれば、コントローラ制御部42が、対象である系統Aの冷凍システム10を構成する全ショーケース12A等の状態を監視し、圧縮機31が駆動停止中において、全ショーケース12A等に対する低負荷ショーケースの割合が駆動再開閾値以上となる場合に、圧縮機31を駆動させるので、冷却負荷の変動に対応して各ショーケース12A等の収納室13A等を良好に冷却することができる。
【0053】
更に上記冷却システム1によれば、駆動再開閾値が駆動停止閾値よりも小さく設定されているので、比較的短期間に圧縮機31の駆動及び駆動停止を繰り返すことを回避することができる。
【0054】
<実施の形態2>
図4は、本発明の実施の形態2である冷却システムの構成を模式的に示すブロック図である。ここで例示する冷却システム2は、例えばコンビニエンスストアやスーパーマーケット等の店舗に適用されるもので、上述した実施の形態1である冷却システム1と同様に、系統Aである冷凍システム10及び系統Bである冷凍システム20に対し、コントローラ50が接続して構成されている。
【0055】
冷凍システム10,20については上述した実施の形態1で説明したので、ここではその説明を割愛するものとし、以下においても、実施の形態1と同様に、1つの系統Aを対象として説明するものとする。
【0056】
コントローラ50は、入出力部51及びコントローラ制御部52を備えて構成されている。入出力部51は、例えばタッチパネル等の入出力デバイスであり、冷却システム2に対する各種設定情報を入力するとともに、冷却システム2の制御状態や制御結果等の各種データを出力するものである。
【0057】
コントローラ制御部52は、記憶部53に記憶されたプログラムやデータに従って冷凍システム10,20を個々に制御するものである。このコントローラ制御部52は、冷凍機制御部521、運転監視部522、運転データ取得部523、冷却負荷値設定部524、算出判定部525及び出力制御部526を有している。
【0058】
冷凍機制御部521は、圧縮機31の吸入圧力、吐出圧力、吸入温度、吐出温度及び運転周波数等のデータをリアルタイムで取得しつつ、該圧縮機31の駆動を制御するものである。
【0059】
運転監視部522は、各ショーケース12A等の運転状態を監視するもので、具体的には、各ショーケース12A等のショーケース制御部14A等から送出されるステータスが「冷却運転中」、「除霜運転中」若しくは「低負荷状態」であるかを監視するものである。
【0060】
運転データ取得部523は、各ショーケース12A等における庫内温度(収納室13A等の内部温度)、温調設定温度、膨張機構33A等の開度等の運転データを所定時間毎(例えば1分間毎)に取得するものである。
【0061】
冷却負荷値設定部524は、各ショーケース12A等の冷却負荷値を設定してこれを記憶部53に記憶させるものである。冷却負荷値は、各ショーケース12A等において、冷却負荷の大きさにより定まるものである。上記冷却負荷値設定部524は、運転データ取得部523を通じて取得した各ショーケース12A等の所定期間(例えば1日)における膨張機構33A等の1分毎の開度データから、除霜運転時を除いた各膨張機構33A等の開度の平均値を求め、各平均値に固定値(例えば100等)を除算して冷却負荷値を算出して設定し、これらを冷却負荷値情報53cとして記憶部53に記憶させている。つまり、冷却負荷値設定部524は、所定期間毎に各ショーケース12A等の冷却負荷値の更新を行っている。
【0062】
算出判定部525は、後述する圧縮機駆動制御処理において圧縮機31を駆動又は駆動停止させるための判定処理を行うものである。より詳細には、全ショーケース12A等のうち運転監視部522を通じて取得した「低負荷状態」に該当するショーケース(低負荷ショーケース)を除いた対象ショーケース(対象要冷設備)の冷却負荷値の合計値を算出し、算出した合計値が記憶部53に記憶された駆動停止基準値情報53aに含まれる駆動停止基準値以下であるか否か、あるいは対象ショーケースの冷却負荷値の合計値が記憶部53に記憶された駆動再開基準値情報53bに含まれる駆動再開基準値以上であるか否かを判定するものである。ここで駆動再開基準値は、駆動停止基準値よりも大きいことが好ましい。出力制御部526は、入出力部51に出力する制御を行うものである。
【0063】
図6は、
図4に示したコントローラ制御部52が冷凍システム10,20毎に行う圧縮機駆動制御処理の処理内容を示すフローチャートである。この圧縮機駆動制御処理は、特定のタイミングで行われるものである。また冷凍システム10に対して行われるものについて説明し、冷凍システム20に対して行われるものについてはその説明を割愛する。
【0064】
圧縮機駆動制御処理においてコントローラ制御部52は、運転監視部522を通じて冷凍システム10を構成する各ショーケース12A等のショーケース制御部14A等からステータスを取得し、低負荷ショーケースを除く対象ショーケースの冷却負荷値を記憶部53から読み出すことにより、対象ショーケースの冷却負荷値の合計値を算出する(ステップS111)。
【0065】
対象ショーケースの冷却負荷値の合計値を算出したコントローラ制御部52は、冷凍機制御部521を通じて圧縮機31が駆動中であるか否かを判断する(ステップS112)。
【0066】
圧縮機31が駆動中である場合(ステップS112:Yes)、コントローラ制御部52は、算出判定部525を通じて記憶部53から駆動停止基準値情報53aを読み出し、ステップS111で算出した合計値が駆動停止基準値情報53aに含まれる駆動停止基準値以下であるか否かを判定する(ステップS113)。
【0067】
ステップS111で算出した合計値が駆動停止基準値を超える場合(ステップS113:No)、コントローラ制御部52は、後述する処理を実施することなく、手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これによれば圧縮機31の駆動が継続されることとなる。
【0068】
一方、ステップS111で算出した合計値が駆動停止基準値以下である場合(ステップS113:Yes)、コントローラ制御部52は、冷凍機制御部521を通じて圧縮機31を駆動停止にさせ(ステップS114)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0069】
これによれば、圧縮機31が駆動停止になることで、冷却負荷の不足による圧縮機31の高圧異常の発生を抑制することができる。
【0070】
上記ステップS112にて圧縮機31が駆動停止中である場合(ステップS112:No)、コントローラ制御部52は、算出判定部525を通じて記憶部53から駆動再開基準値情報53bを読み出し、ステップS111で算出した合計値が駆動再開基準値情報53bに含まれる駆動再開基準値以上であるか否かを判定する(ステップS115)。
【0071】
ステップS111で算出した合計値が駆動再開基準値未満である場合(ステップS115:No)、コントローラ制御部52は、後述する処理を実施することなく、手順をリターンさせて今回の処理を終了する。これによれば圧縮機31の駆動停止が継続されることとなる。
【0072】
一方、ステップS111で算出した合計値が駆動再開基準値以上である場合(ステップS115:Yes)、コントローラ制御部52は、冷凍機制御部521を通じて圧縮機31を駆動させ(ステップS116)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0073】
これによれば、圧縮機31が駆動することで、各ショーケース12A等の収納室13A等を良好に冷却することができる。
【0074】
以上説明したように、本発明の実施の形態2である冷却システム2によれば、コントローラ制御部52が、低負荷ショーケースを除く対象ショーケースの冷却負荷値の合計値が駆動停止基準値以下となる場合に圧縮機31を駆動停止にさせるので、対象である系統Aの冷凍システム10を構成する全ショーケース12A等の状態を監視しながら冷却負荷の不足による圧縮機31の高圧異常の発生を抑制することができ、圧縮機31が高圧異常で駆動停止してしまうことを防止することができる。
【0075】
また上記冷却システム2によれば、コントローラ制御部52が、対象である系統Aの冷凍システム10を構成する全ショーケース12A等の状態を監視し、圧縮機31が駆動停止中において、対象ショーケースの冷却負荷値の合計値が駆動再開基準値以上となる場合に、圧縮機31を駆動させるので、冷却負荷の変動に対応して各ショーケース12A等の収納室13A等を良好に冷却することができる。
【0076】
更に上記冷却システム2によれば、駆動再開基準値が駆動停止基準値よりも大きく設定されているので、比較的短期間に圧縮機31の駆動及び駆動停止を繰り返すことを回避することができる。
【0077】
また更に上記冷却システム2によれば、コントローラ制御部52が冷却負荷値設定部524を通じて、所定期間毎に各ショーケース12A等の冷却負荷値の更新を行っているので、現状の冷凍システム10の状態に最適に対応して冷却負荷の有無を判断することができる。
【0078】
以上、本発明の好適な実施の形態1及び実施の形態2について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0079】
上述した実施の形態1及び2では、コントローラ制御部42,52が、各ショーケース12A等を構成するショーケース制御部14A等から膨張機構33A等の開度等のデータを取得していたが、本発明においては、制御部(コントローラ制御部)が各ショーケースから膨張機構の開度等を直接取得し、低負荷条件を満足するか否かを判断してもよい。
【0080】
上述した実施の形態2では、コントローラ制御部52が冷却負荷値設定部524を通じて冷却負荷値の更新を行っていたが、本発明においては、冷却負荷値を固定値として記憶部に記憶されていてもよい。
【0081】
上述した実施の形態1及び2では、要冷設備の一例としてショーケース12A等を例示したが、本発明においては、ショーケース12A等以外の機器を要冷設備としてもよい。
【0082】
上述した実施の形態1及び2で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置及び構成要素の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0083】
1,2…冷却システム、10,20…冷凍システム、11,21…冷凍機、12A,12B,…12N,22A,22B,…,22N…ショーケース、13A,13B,…13N…収納室、14A,14B,…14N…ショーケース制御部、30…冷媒回路、31…圧縮機、32…凝縮器、33A,33B,…33N…膨張機構、34A,34B,…34N…蒸発器、35…冷媒管路、40,50…コントローラ、41,51…入出力部、42,52…コントローラ制御部、421,521…冷凍機制御部、422,522…運転監視部、423,523…運転データ取得部、424,525…算出判定部、425,526…出力制御部、524…冷却負荷値設定部、43,53…記憶部。