(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004133
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】運搬台車
(51)【国際特許分類】
B62B 5/00 20060101AFI20240109BHJP
B62B 3/02 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
B62B5/00 F
B62B3/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103627
(22)【出願日】2022-06-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年7月20日 WTC既存本館撤去工事現場において運搬台車を貸渡 令和4年1月 8日 日比谷U1ビル内装RN・地上建物解体工事現場において運搬台車を貸渡 令和4年6月14日 プロロジスパークつくば3プロジェクト工事事務所において運搬台車を貸渡
(71)【出願人】
【識別番号】597144484
【氏名又は名称】ジー・オー・ピー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】319015348
【氏名又は名称】株式会社川野
(74)【代理人】
【識別番号】100117857
【弁理士】
【氏名又は名称】南林 薫
(72)【発明者】
【氏名】千田 豊治
(72)【発明者】
【氏名】清水 基博
(72)【発明者】
【氏名】川端 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】河野 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 隆寛
(72)【発明者】
【氏名】柴原 史和
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB02
3D050DD03
3D050EE15
3D050GG05
3D050HH01
(57)【要約】
【課題】付着物を付着しにくくすること、そして付着した付着物を容易に取り除くことを目的とする。
【解決手段】本発明は、運搬物を積載する台車本体部20と、台車本体部20に取り付けられ走行面を走行する走行部40と、を備える運搬台車1である。台車本体部20は、底面が略平面であるために、付着物を付着しにくくでき、また付着した付着物も容易に取り除くことができる。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬物を積載する台車本体部と、
前記台車本体部に取り付けられ走行面を走行する走行部と、
を備える運搬台車であって、
前記台車本体部は、底面が略平面であることを特徴とする運搬台車。
【請求項2】
前記台車本体部は、四方のフレーム枠と、下側の面が略平面な底板とを有し、
前記底板は、前記四方のフレーム枠の下側から前記四方のフレーム枠に結合されていることを特徴とする請求項1に記載の運搬台車。
【請求項3】
前記走行部は、少なくとも4つのキャスターを有し、
前記4つのキャスターは、1つのキャスターまたは複数のキャスターに対して1つの取付部材を用いて前記台車本体部に取り付けられ、
前記取付部材は、
前記底板と重なり合わずに前記底板に隣接した状態で前記台車本体部に結合されていることを特徴とする請求項2に記載の運搬台車。
【請求項4】
前記底板は、底面視において、矩形の4つの角部が切り欠かれた形状であることを特徴とする請求項3に記載の運搬台車。
【請求項5】
前記台車本体部は、底面視において、外形が略矩形状であり、
前記底板は、底面視において、前記台車本体部の外形よりも小さい略矩形状であることを特徴とする請求項3に記載の運搬台車。
【請求項6】
前記走行部は、少なくとも4つのキャスターを有し、
前記4つのキャスターは、1つのキャスターまたは複数のキャスターに対して1つの取付部材を用いて前記台車本体部に取り付けられ、
前記取付部材は、
前記底板と重なり合った状態で前記台車本体部に結合されていることを特徴とする請求項2に記載の運搬台車。
【請求項7】
前記底板は、底面視において、前記台車本体部を下側から隙間なく覆う形状であることを特徴とする請求項6に記載の運搬台車。
【請求項8】
前記四方のフレーム枠は、複数のフレーム部と、前記複数のフレーム部のうち隣接するフレーム部を角部で結合する複数のコーナ部材とを有し、
前記コーナ部材は、前記運搬台車を走行させるために手で押し引きするための手押部材が上側から挿入される筒部を有し、
前記筒部は、下端が前記底板よりも下側に突出せず、上端が前記複数のフレーム部よりも上側に突出していることを特徴とする請求項2に記載の運搬台車。
【請求項9】
前記底板は、前記筒部の孔を下側から覆う状態で前記四方のフレーム枠に結合されていることを特徴とする請求項8に記載の運搬台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬台車に関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場等では運搬物を運搬するために運搬台車が用いられている。
特許文献1には、載置部の上面から上方に伸びるように載置部に取り付けられた柱部と、柱部の側方に伸び板状の部材が取り付けられる側壁取付部と、を備える支持部と、支持部の側壁取付部に端部が取り付けられた側壁とを有する運搬台車が開示されている。この運搬台車の載置部はフレーム部を有しており、フレーム部は各種枠部材を前後左右方向に付き合わせて結合することで、底部が格子状に凹凸形状となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、建築物には耐火、断熱、防音等を目的として石綿が使用されていた時期がある。石綿の繊維は、肺線維症、悪性中皮腫の原因となるおそれがあるために、現在では石綿の使用は禁止されている。石綿が使用された建築物を解体または改修する場合には、石綿の除去業者が石綿を除去して、除去した石綿を袋で二重に梱包し、産業廃棄物として廃棄する。石綿の除去業者は、建築物内で効率的に作業を行うために石綿が梱包された袋を運搬台車に積載させて運搬する。また、石綿を運搬するのに用いた運搬台車を石綿除去の作業場外に持ち出す場合には、運搬台車に付着した石綿を取り除くことが定められている。
【0005】
石綿が梱包された袋を運搬するときに特許文献1に開示された運搬台車を用いる場合、運搬台車の底部が凹凸形状であるために、底部に石綿が付着しやすく、更に付着された石綿を取り除くのに手間が掛かるという問題がある。
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、付着物を付着しにくくすること、そして一度付着した付着物を容易に取り除くことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、運搬物を積載する台車本体部と、前記台車本体部に取り付けられ走行面を走行する走行部と、を備える運搬台車であって、前記台車本体部は、底面が略平面であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、付着物を付着しにくくし、一度付着した付着物も容易に取り除くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態の運搬台車の構成の一例を示す斜視図である。
【
図3】運搬台車の構成の一例を示す分解斜視図である。
【
図4】台車ユニットの構成の一例を示す平面図である。
【
図5】台車ユニットの構成の一例を示す正面図である。
【
図6】台車ユニットの構成の一例を示す側面図である。
【
図7】台車ユニットの構成の一例を示す底面図である。
【
図8】台車ユニットの構成の一例を底面側から見た斜視図である。
【
図9】取付部材を台車本体部に結合する前の状態の一例を示す斜視図である。
【
図10】運搬台車にフレキシブルコンテナバック等を設置する前の状態の一例を示す概略図である。
【
図11】外袋と内袋を折り返した状態の一例を示す概略図である。
【
図12】第2の実施形態の台車ユニットの構成の一例を底面側から見た斜視図である。
【
図13】取付部材を台車本体部に結合する前の状態の一例を示す斜視図である。
【
図14】第3の実施形態の台車ユニットの構成の一例を底面側から見た斜視図である。
【
図15】取付部材を台車本体部に結合する前の状態の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施形態に係る運搬台車について図面を参照して説明する。以下の実施形態では、建築物から除去した石綿を運搬するのに好適な運搬台車について説明する。
[第1の実施形態]
図1は第1の実施形態の運搬台車1の構成を示す斜視図である。
図2は運搬台車1の構成を示す正面図である。
図3は運搬台車1の構成を示す分解斜視図である。以下の図面では便宜上、矢印Frを前側、矢印Rrを後側、矢印Rを右側、矢印Lを左側として図示する。ただし、運搬台車1は、走行面上を前後左右の何れの方向にも走行することができる。また、中心線Cは、運搬台車1の左右方向の長さにおける中心であり、運搬台車1は中心線Cに対して左右対称である。
【0010】
運搬台車1は、台車ユニット10と、手押部材60と、側壁70とを備える。
台車ユニット10は、運搬物を積載して走行する。手押部材60および側壁70は、台車ユニット10に対して着脱可能に取り付けられる。手押部材60および側壁70を台車ユニット10に対して取り付けられることにより、側壁70により囲まれる収容空間に運搬物を収容することができ、大量の運搬物を運搬することができる。
【0011】
まず、台車ユニット10について説明する。
図4は台車ユニット10の構成を示す平面図である。
図5は台車ユニット10の構成を示す正面図である。
図6は台車ユニット10の構成を示す側面図である。
図7は台車ユニット10の構成を示す底面図である。
【0012】
台車ユニット10は、台車本体部20と、走行部40とを有する。
台車本体部20は、複数のフレーム部等が結合して構成され、運搬物を積載する。台車本体部20は、平面視および底面視において、外形が略矩形状であり、具体的には略正方形状である。本実施形態の台車本体部20は、前後方向の長さが略900~1100mm(ここでは略1000mm)、左右方向の長さが略900~1100mm(ここでは略1000mm)である。本実施形態の台車本体部20は、使用を予定する後述するフレキシブルコンテナバック80の大きさに合わせて設計されている。
台車本体部20は、前側フレーム部21a、後側フレーム部21b、右側フレーム部21c、左側フレーム部21d、複数のコーナ部材22、複数の補強フレーム部(補強部)27a~27b、底板30を有する。
【0013】
前側フレーム部21a、後側フレーム部21b、右側フレーム部21c、左側フレーム部21dは、台車本体部20の外形を構成する。この4つのフレーム部21a~21dは、コーナ部材22により4つの角部で結合されることで、略矩形状の四方のフレーム枠を構成する。4つのフレーム部21a~21dは、例えばアルミニウム合金製の角状の中空状パイプ等を用いることができる。
【0014】
コーナ部材22は、台車本体部20の4つの角部で、上述した4つのフレーム部21a~21dのうち隣接するフレーム部同士を結合する。コーナ部材22は、筒部23、結合部25、支持部26を有する。筒部23は内部に上下方向に沿った孔24が形成される。孔24に上側から手押部材60を挿入することで台車本体部20に手押部材60が取り付けられる。ここで、筒部23は、下端が底板30あるいは4つのフレーム部21a~21dよりも下側に突出せず、上端が4つのフレーム部21a~21dよりも上側に突出している。結合部25は、筒部23の外周から略水平方向に一対で略直交する方向に延出され、4つのフレーム部21a~21dのうち隣接するフレーム部をボルト、リベット、溶接等を用いて結合する。支持部26は、孔24に挿入された手押部材60の下端部を支持する。支持部26は、略板状であり、筒部23の孔24の下側の開口縁に位置する。支持部26の中央には上下方向に貫通する水抜き穴が形成される。コーナ部材22は、例えば、押出し成形により形成されるアルミニウム合金製の部材等を用いることができる。
【0015】
補強フレーム部27a、27bは、4つのフレーム部21a~21d(四方のフレーム枠)内で前後左右方向に突き合わされ、ボルト、リベット、溶接等で結合されることで台車本体部20を補強する。本実施形態では、前後方向に長尺な3本の補強フレーム部27aに対して左右方向に短尺な12本の補強フレーム部27bを結合することで、平面視において前後方向に4列、左右方向に4列に区分けされた複数の略矩形状の空間28が形成される。補強フレーム部27a、27bは、例えば、アルミニウム合金製の角状の中空状パイプや断面凹凸状のプレート等を用いることができる。
【0016】
底板30は、4つのフレーム部21a~21d(四方のフレーム枠)の下側から4つのフレーム部21a~21d(および補強フレーム部27a、27b)にボルト、リベット、溶接等を用いて結合される。底板30は、下側の面が略平面であって、上側の面が略平面な略板状である。底板30は、例えば、アルミニウム合金製の金属板等を用いることができる。底板30は、板厚が略一定であり、後述する取付部材50a~50dに比べて強度が必要ないため取付部材50a~50dの板厚よりも薄い。底板30は、4つのフレーム部21a~21dに結合することで、下側の面が台車本体部20の底面として構成される。したがって、台車本体部20の底面が略平面となる。
【0017】
底板30は、複数の空間28のうち4隅に位置する空間28以外を下側から覆うことができる形状である。具体的に、底板30は、底面視において、矩形の4つの角部が切り欠かれたような切欠部を有する形状であって、略十字状の形状である。
また、底板30は、中央から前側に突出する前側部31a、中央から後側に突出する後側部31b、中央から右側に突出する右側部31c、中央から左側に突出する左側部31dを有する。底板30は、底面視において、前側部31aの前端が前側フレーム部21aと重なり合い、後側部31bの後端が後側フレーム部21bと重なり合う。更に、前側部31aの前端の位置が前側フレーム部21aの前端と略一致し、後側部31bの後端の位置が後側フレーム部21bの後端と略一致する。また、底板30は、底面視において、右側部31cの右端が右側フレーム部21cと重なり合い、左側部31dの左端が左側フレーム部21dと重なり合う。更に、右側部31cの右端の位置が右側フレーム部21cの右端と略一致し、左側部31dの左端の位置が左側フレーム部21dの左端と略一致する。
【0018】
走行部40は、運搬物の荷重を支持しながら走行面を走行する。走行部40は、台車本体部20に取り付けられる。走行部40は、4つのキャスター41、4つのキャスター41を台車本体部20に取り付けるための取付部材50a~50dを有する。
【0019】
4つのキャスター41は、台車本体部20の4隅に取付部材50a~50dを介して配置される。キャスター41は、上下方向に沿った旋回軸Oを中心として旋回可能である。キャスター41は、使用者の操作に応じてブレーキを掛けたり、ブレーキを解除したりすることができるブレーキ付キャスターである。キャスター41は、車輪42、支持部43、ペダル46、旋回部48を有する。
【0020】
車輪42は、走行面と接地しながら回転する。車輪42は内部にベアリングが内蔵される。本実施形態の車輪42は、ウレタン樹脂等の軟質な合成樹脂ではなく、例えばナイロン等の硬質な合成樹脂を用いることができる。このように硬質な合成樹脂を用いることにより、車輪42のうち走行面と接地する外周面に細かい切れ目が発生するのを抑制することができ、生じた切れ目に石綿が挟まったり絡みついたりすることを防ぐことができる。
【0021】
支持部43は、車軸を介して車輪42を回転可能に支持する。また、支持部43は、ペダル46を揺動可能に保持する。
ペダル46は、支持部43に対して上下に揺動可能である。ペダル46は、使用者の足等で上下の揺動が操作される。
【0022】
ブレーキを解除した状態では、ペダル46は上昇した位置にある(
図6に示す状態を参照)。一方、使用者が足でペダル46を下側に踏み込むように操作することで、ペダル46はバネの付勢に抗して下側に向かって揺動する。ペダル46の移動に伴って、ペダル46が直接または間接的に車輪42の外周面を強固に押圧するために、車輪42が回転できない、ブレーキが掛けられた状態となる。また、ペダル46はブレーキが掛けられた状態で保持されるためにストッパとして機能する。
旋回部48は、車輪42、支持部43、ペダル46を旋回軸O回りに旋回させる。
【0023】
取付部材50a~50dは、キャスター41を台車本体部20に取り付けるための部材である。本実施形態の走行部40では、1つのキャスター41が1つの取付部材を用いて台車本体部20に取り付けられる。取付部材50a~50dは、下側の面が略平面であって、上側の面が略平面な略板状である。取付部材50a~50dは、例えば、アルミニウム合金製の金属板等を用いることができる。取付部材50a~50dは、板厚が略一定であり、キャスター41を支持する強度が必要であるために底板30の板厚よりも厚い。取付部材50a~50dは、中央にキャスター41の旋回軸Oが位置しており、旋回部48を介して、キャスター41が取り付けられる。したがって、キャスター41の車輪42、支持部43、ペダル46は取付部材50a~50dに対して旋回する。
【0024】
図8は台車ユニット10の構成を底面側から見た斜視図である。
図9は取付部材50cを台車本体部20に結合する前の状態を示す斜視図である。
ここで、本実施形態の取付部材50a~50dは、底板30とは重なり合わずに底板30に隣接した状態で台車本体部20に結合されている。本実施形態の取付部材50a~50dは、複数の空間28のうち4隅に位置する空間28を下側から覆うことができる形状である。具体的には、4つの取付部材50a~50dは、底板30の4つの角部の切欠部の位置で、4つのフレーム部21a~21d(四方のフレーム枠)の下側から4つのフレーム部21a~21d(および補強フレーム部27a、27b)にボルト、リベット、溶接等を用いて結合される。このとき、取付部材50a~50dと底板30との間には隙間が生じないように取付部材50a~50dが結合される。
【0025】
取付部材50a~50dは、底面視において、取付部材50a、50bの前端が前側フレーム部21aと重なり合い、取付部材50c、50dの後端が後側フレーム部21bと重なり合う。更に、取付部材50a、50bの前端の位置が前側フレーム部21aの前端と略一致し、取付部材50c、50dの後端の位置が後側フレーム部21bの後端と略一致する。また、取付部材50a~50dは、底面視において、取付部材50a、50cの右端が右側フレーム部21cと重なり合い、取付部材50b、50dの左端が左側フレーム部21dと重なり合う。更に、取付部材50a、50cの右端の位置が右側フレーム部21cの右端と略一致し、取付部材50b、50dの左端の位置が左側フレーム部21dの左端と略一致する。
【0026】
また、本実施形態の取付部材50a~50dは、コーナ部材22の筒部23と重なり合わないように、矩形のうち1つの角部が筒部23の形状に合わせて切り欠かれたような形状である。
更に、本実施形態の取付部材50a~50dは、第1の取付部材51と第2の取付部材52とにより構成される。第1の取付部材51と第2の取付部材52は、板厚が略同一の略板状である。まず、第1の取付部材51は、矩形のうち1つの角部を斜めに切り欠いたような3つの直角を有する略五角形である。また、第1の取付部材51は、略五角形を構成する辺のうち斜めの辺に第2の取付部材52に向かって略台形状に突出した形状である。キャスター41は、第1の取付部材51に旋回可能に取り付けられる。第1の取付部材51は、底部が凹凸形状である従来の運搬台車の台車本体部にキャスターを取り付けるときの取付部材と部品を共通にすることができる。一方、第2の取付部材52は、直角三角形のうち1つの角部が切り欠かれるとともに、斜めの辺が略台形状に凹んだ形状である。第2の取付部材52は、第1の取付部材51では空間28を下側から覆いきれない領域を覆うための部材である。
ただし、取付部材50a~50dはそれぞれ、1つの部材であってもよく、コーナ部材22の筒部23の形状に合わせて切り欠かれていなくてもよい。
【0027】
このように、台車本体部20に取付部材50a~50dを介してキャスター41を取り付けることにより、キャスター41を大きな底板30に直接、取り付ける場合に比べて、キャスター41を取り付けるときの取り回しが容易になる。また、取付部材50a~50dを、底板30とは重なり合わずに底板30に隣接した状態で台車本体部20に取り付けることで、底板30と重なり合うように取り付ける場合に比べて、底板30の面積を小さくことができる。更に、取付部材50a~50dと底板30との境界で両者の板厚が異なることにより生じる段差を小さくすることができる。
【0028】
次に、手押部材60および側壁70について
図1~
図3を参照して説明する。
手押部材60は、運搬台車1を走行させるときに使用者が手で掴むための部材である。使用者は手押部材60を手で掴み押し引きすることで運搬台車1を走行させる。手押部材60は下端をコーナ部材22の筒部23の孔24に上側から挿入することで、台車本体部20に取り付けられる。また、運搬台車1は4つの手押部材60を有し、各コーナ部材22の筒部23の孔24に挿入される。4つの手押部材60は、何れも略同一の構成である。また、手押部材60はコーナ部材22の筒部23の孔24から上側に抜き出すことで、台車本体部20から取り外される。手押部材60は、本体部材61、保護部材63、側壁支持部64を有する。
【0029】
本体部材61は、棒状、または、長尺状かつパイプ状の部材である。本体部材61のうち保護部材63よりも上側は使用者が手を掴むグリップ部として機能する。本体部材61は、例えばアルミニウム合金製であって、押し出し成形により形成される。本実施形態の本体部材61は、上下方向の高さが略900~1100mm(ここでは略1000mm)である。なお、本体部材61の上端には、後述する外袋82aと内袋82bとを折り返した部分が破損しないように合成樹脂製のキャップ62が取り付けられている。
【0030】
保護部材63は、使用者が手押部材60を掴んだときに使用者の手が周囲の物体に接触したり、周囲の物体と手押部材60により挟まれたりしないように保護するための突出部材である。また、保護部材63は、運搬物を積載するときの最大積載高さを示す指標となる。保護部材63は、本体部材61の上側であって、上端から所定の距離離れた位置にボルトやリベット等で固定される。保護部材63は、本体部材61の外周面よりも外側に突出しており、側壁70と干渉しないように円形の一部を扇状に切り欠いたような形状である。保護部材63は、例えばナイロン等の合成樹脂製であって、射出成形により形成される。
【0031】
側壁支持部64は、側壁70を起立した状態に支持する。側壁支持部64は、本体部材61のうち保護部材63の下側にボルトやリベット等で固定される。側壁支持部64は、一対の挟持部65を有する。一対の挟持部65は、本体部材61から略水平方向にそれぞれ略直交する方向に延出して形成される。挟持部65は、1つの側壁70を挟み込むことにより側壁70を支持する。本実施形態では1つの本体部材61に対して2つの側壁支持部64が上下に離れて固定されているが、1つの本体部材61に対して、1つの側壁支持部64が固定されていてもよく、3つ以上の側壁支持部64が固定されていてもよい。
【0032】
側壁70は、台車本体部20の上側に運搬物の収容空間を形成するための部材である。側壁70は、略板状の部材である。本実施形態の側壁70は、例えば、内部に中空の領域を備える合成樹脂製であるプラスチックダンボールが用いられる。本実施形態の側壁70は、上下方向の高さが略600~800mm(ここでは略700mm)であり、水平方向の長さが略800~900mm(ここでは略880mm)である。側壁70は、隣り合う手押部材60の間に配置され、手押部材60の側壁支持部64によって支持される。側壁70は側壁支持部64の挟持部65の隙間に上側から挿入することで台車本体部20に取り付けられる。また、側壁70は側壁支持部64の挟持部65から上側に抜き出すことで、台車本体部20から取り外される。運搬台車1は、4つの側壁70を備える。4つの側壁70は、平面視において、それぞれ台車本体部20の4つのフレーム部21a~21dに重なり合うように配置される。4つの側壁70と台車本体部20とにより、上側が開口した収容空間が形成され、収容空間に運搬物を収容できる。
【0033】
次に、石綿の除去業者(作業者)が上述したように構成される運搬台車1を組み立て、フレキシブルコンテナバック80、外袋82aおよび内袋82bを設置するまでの方法について説明する。
まず、作業者は、台車本体部20の下端の外周縁を接着テープで接着して養生したり、取付部材50a~50dの下側の面のうちキャスター41の周囲を接着テープで接着して養生したりする。次に、作業者は、台車本体部20の角部に位置するコーナ部材22の筒部23の孔24にそれぞれ上側から手押部材60を挿入することで4つの手押部材60を台車本体部20に取り付ける。次に、作業者は、隣り合う手押部材60の側壁支持部64の挟持部65の隙間に上側から側壁70を挿入することで台車本体部20に4つの側壁70を取り付ける。このようにして、台車本体部20に手押部材60および側壁70を取り付けることにより、運搬台車1を組み立てる。
【0034】
図10は運搬台車1の凹部にフレキシブルコンテナバック80、外袋82aおよび内袋82bを設置する前の状態を示す概略図である。
作業者は、組み立てた運搬台車1の4つの側壁70と台車本体部20とにより形成された収容空間に、フレキシブルコンテナバック80を広げた状態で底面がだぶついたり重なり合ったりしないように設置する。フレキシブルコンテナバック80は、荷物を保管したり運搬したりするための上側が開口する袋状の包材であり、取っ手81を有する。フレキシブルコンテナバック80を用いることにより、除去した石綿の運搬、車両の積み込み、産業廃棄物処分場での埋め立てを円滑に行うことができる。本実施形態のフレキシブルコンテナバック80は、例えば、合成樹脂製であって、横幅略1000mm×奥行略1000mm×高さ略1000mmの略立方体である。
【0035】
なお、運搬台車1の収容空間に広げた状態で収容したフレキシブルコンテナバック80は、高さが側壁70の高さよりも高いために側壁70の上端よりも上側に、はみ出る。作業者は、フレキシブルコンテナバック80のうち側壁70の上端よりも上側にはみ出た部位は、側壁70の上端で外側に折り返して、接着テープを用いて側壁70の外側面に接着することにより、フレキシブルコンテナバック80のズレ落ちを防止する。
【0036】
更に、作業者は、運搬台車1の収容空間に収容したフレキシブルコンテナバック80の内部に、まず外袋82aを広げた状態で設置した後、外袋82aの内部に内袋82bを重ね合わせて広げた状態で設置する。このとき、外袋82aおよび内袋82bは、それぞれ底面がだぶついたり重なり合ったりしないように設置する。外袋82aおよび内袋82bは、建築物から除去して湿潤化した石綿を梱包するための上側が開口する袋状の略透明な包材である。外袋82aと内袋82bを重ね合わせることにより二重袋となる。二重袋にするのは、廃棄物処理法施行令等により、除去した石綿は耐水性の材料で二重梱包することが定められているためである。内袋82bは除去した石綿が詰め込まれ、外袋82aは内袋82bを外側から保護する。
【0037】
また、外袋82aと内袋82bとは同一サイズであり、フレキシブルコンテナバック80に合わせた大きさである。外袋82aと内袋82bとを同一サイズにすることにより、作業者が外袋82aと内袋82bとを取り間違わないようにすることができる。本実施形態の外袋82aおよび内袋82bは、例えば、合成樹脂製であって、厚み0.15mm、横幅略1000mm×奥行略1000mm×高さ略2600mmの略直方体である。なお、作業者は、外袋82aと内袋82bを別々に設置する場合に限られず、予め外袋82aと内袋82bとを重ね合わせた状態でフレキシブルコンテナバック80の内部に設置してもよい。
【0038】
外袋82aと内袋82bの横幅および奥行をフレキシブルコンテナバック80の横幅および奥行に合わせるように大きくしたことで、内袋82b内に石綿を詰め込んだ後に内袋82bの開口および外袋82aの開口を別々に閉じるときに、作業者が容易に行うことができる。また、廃棄物処理場にフレキシブルコンテナバック80を持ち込む場合にはフレキシブルコンテナバック80の一袋ごとに処分費用が生じる。したがって、外袋82aと内袋82bの横幅および奥行をフレキシブルコンテナバック80の横幅および奥行に合わせるように大きくしたことで、内袋82bに除去した石綿を密実に詰め込むことが可能になり、必然的にフレキシブルコンテナバック80内でも隙間が生じることなく目一杯に石綿を詰め込むことができる。そのために、外袋82aと内袋82bの大きさがフレキシブルコンテナバック80に比べて小さい場合よりも廃棄物処理場に持ち込む場合に掛かる処分費用を削減することができる。
【0039】
なお、フレキシブルコンテナバック80の内部に広げた状態で収容した外袋82aと内袋82bは、高さが側壁70および手押部材60の高さよりも高いために側壁70および手押部材60の上端よりも上側に、はみ出る。作業者は、外袋82aおよび内袋82bのうち手押部材60の上端からはみ出た部位は、手押部材60の上端で外側に折り返すことにより、側壁70の外側面を外側から被覆する。
【0040】
図11はフレキシブルコンテナバック80の内部に設置した外袋82aと内袋82bを折り返した状態を示す概略図である。
ここで、外袋82aと内袋82bは高さがフレキシブルコンテナバック80の高さの2倍以上であり、側壁70の高さの2倍以上であり、手押部材60の本体部材61の高さの2倍以上である。したがって、外袋82aと内袋82bを手押部材60の上端から外側に折り返すことにより、外袋82aと内袋82bの開口縁が台車本体部20の下端、すなわち底板30まで到達する。外袋82aと内袋82bの開口縁が台車本体部20の下端まで到達することにより、4つの側壁70の外側面の全面が外袋82aと内袋82bによって覆われる。このように、4つの側壁70を覆うことにより外袋82aと内袋82bが運搬台車1を養生するカバーとして機能する。すなわち、作業者が建築物から石綿を除去する作業をしているときに、除去した石綿が側壁70や手押部材60あるいはフレキシブルコンテナバック80に付着することを外袋82aと内袋82b、特に内袋82bにより防止することができる。したがって、作業者は後述する、運搬台車1に付着した石綿を取り除く作業の手間を軽減することができる。
【0041】
ここで、内袋82bを折り返して側壁70を覆った場合に、側壁70の外側には内袋82bが露出してしまい、除去した石綿が内袋82bに付着するおそれがある。しかしながら、内袋82bのうち露出されている面は本来、内袋82bの内側面であって、除去した石綿を内袋82bに詰め込んで開口を閉じたときに詰め込んだ石綿と対向する面である。したがって、内袋82bの開口を閉じることにより、内袋82bに付着した石綿を取り除く作業を省略することができるとともに、石綿が飛散することを防止することができる。
【0042】
なお、作業者は、外袋82aと内袋82bを手押部材60の上端から外側に折り返して、底板30まで到達した外袋82aと内袋82bのそれぞれの開口縁を、底板30および取付部材50a~50dに接着テープで接着する。このとき、底板30の下側の面および取付部材50a~50dの下側の面は略平面であることから、接着テープの接着力が低下することを抑制することができる。このように、外袋82aと内袋82bのそれぞれの開口縁を底板30および取付部材50a~50dに接着することにより、石綿が外袋82aと内袋82bの開口を通して運搬台車1の台車本体部20、側壁70、手押部材60等に付着することを抑制することができる。
【0043】
作業者は、運搬台車1の収容空間にフレキシブルコンテナバック80、外袋82aおよび内袋82bを設置した上で、石綿除去の作業場で石綿を除去する作業を開始する。具体的に、作業者は、建築物から除去して湿潤化した石綿を運搬台車1の収容空間に設置した内袋82bに詰め込む作業を行う。このとき、作業者は、運搬台車1の手押部材60を手で掴んで押し引きして走行させることにより、運搬台車1を任意の位置に移動させることができる。なお、外袋82aと内袋82bとは略透明であることから、外袋82aと内袋82bに覆われていても手押部材60を視認できるために、作業者は容易に手押部材60を掴むことができる。一方、キャスター41は外袋82aと内袋82bに覆われていないために、作業者は必要に応じてキャスター41のペダル46を操作することができる。
【0044】
作業者は、内袋82b内に石綿を所定量まで詰め込んだ後、外袋82aと内袋82bとを底板30および取付部材50a~50dに接着させていた接着テープを取り外し、内袋82bの開口および外袋82aの開口を別々に閉じる。更に、作業者は、フレキシブルコンテナバック80を側壁70に接着させていた接着テープを取り外し、運搬台車1の収容空間からフレキシブルコンテナバック80ごと取り出して、一時的な保管場所に外袋82aと内袋82bを入れたままのフレキシブルコンテナバック80を保管する。その後、一時的に保管された複数のフレキシブルコンテナバック80を、まとめて車両に積み込み、廃棄物処理場に搬送する。
【0045】
一方、石綿除去の作業場内で除去した石綿を運搬するのに用いた運搬台車1を、石綿除去の作業場の外部、そして更に建築物外に持ち出したい場合がある。この場合には運搬台車1に付着した石綿を完全に取り除く必要がある。なお、作業者は予め、台車本体部20の下端の外周縁に接着した接着テープを取り外し、取付部材50a~50dの下側の面のうちキャスター41の周囲を接着した接着テープを取り除く。
【0046】
本実施形態の運搬台車1は、上述したように台車本体部20の底面が略平面である。このように、台車本体部20の底面を略平面にすることにより、従来のような凹凸形状である場合に比べて、石綿が底面に付着するのを抑制することができる。更に、台車本体部20の底面に石綿が付着した場合であっても略平面であるために、従来のような凹凸形状である場合に比べて、付着した石綿を容易に取り除くことができる。また、台車本体部20の底面を養生する場合でも、容易に石綿を取り除けることを考慮して比較的に簡易な養生にすることができ、養生の手間を軽減することができる。なお、石綿を取り除くには、エアを噴射することで吹き飛ばしたり、シート状の部材でふき取ったりする等、公知の方法で取り除くことができる。
【0047】
また、作業者が建築物から除去した石綿を内袋82bに詰め込むときに、外袋82aと内袋82bが運搬台車1を養生するカバーとして機能しているために、運搬台車1に付着する石綿を抑制することができ、付着した石綿を取り除く作業の手間を軽減することができる。
このように、作業者は運搬台車1に付着した石綿を容易に取り除くことができることから、運搬台車1を石綿除去の作業場の外部に持ち出すときの手間を軽減することができる。
【0048】
また、本実施形態の運搬台車1は、底板30が四方のフレーム枠の下側から四方のフレーム枠に結合されている。したがって、容易に台車本体部20の底面を略平面に構成することができる。
また、本実施形態の運搬台車1は、キャスター41を台車本体部20に取り付ける取付部材50a~50dは、底板30と重なり合わずに底板30に隣接した状態で台車本体部20に結合されている。取付部材50a~50dと底板30との板厚が同一であれば、取付部材50a~50dと底板30との境界で段差をほぼ無くすことができ、取付部材50a~50dと底板30との板厚が異なる場合であれば、取付部材50a~50dと底板30との境界で段差を小さくすることができる。したがって、取付部材50a~50dと底板30との境界に石綿が付着するのを抑制することができる。更に、取付部材50a~50dと底板30との境界に石綿が付着した場合であっても段差がほぼ無いあるいは小さいことにより、付着した石綿を容易に取り除くことができる。
【0049】
また、本実施形態の運搬台車1は、台車本体部20が使用を予定するフレキシブルコンテナバック80の大きさに合わせて設計されている。したがって、除去した石綿をフレキシブルコンテナバック80に積載したまま運搬することができるので、運搬効率を向上させることができる。
また、本実施形態の運搬台車1は、キャスター41の車輪42に硬質の合成樹脂を用いている。したがって、車輪42のうち走行面と接地する外周面に細かい切れ目が発生するのを抑制することができるので、車輪42の切れ目に入り込んだ石綿を取り除く作業を無くすことができる。
【0050】
以上のように、本実施形態の運搬台車1によれば、付着物を付着しにくくでき、また付着した付着物も容易に取り除くことができることから、石綿の除去に掛かる費用を削減できるとともに、石綿の除去の作業の効率化を図ることができる。
【0051】
[第2の実施形態]
第1の実施形態の運搬台車1は、取付部材50a~50dが底板30とは重なり合わずに底板30に隣接した状態で台車本体部20に取り付けられる。一方、本実施形態の運搬台車2は、取付部材150a~150dが底板130と重なり合った状態で台車本体部120に取り付けられる。以下では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明し、同一の構成は同一符号を付す等して適宜、説明を省略する。
【0052】
図12は第2の実施形態の運搬台車2の台車ユニット110の構成を底面側から見た斜視図である。
図13は取付部材150a~150dを台車本体部120に結合する前の状態を示す斜視図である。
底板130は、下側の面が略平面であって、上側の面が略平面な略板状である。底板130は、4つのフレーム部21a~21dに結合することで、下側の面が台車本体部120の底面として構成される。したがって、台車本体部120の底面が略平面となる。
底板130は、全ての空間28を下側から覆うことができる形状、換言すると四方のフレーム枠を下側から隙間なく覆う形状である。本実施形態の底板130は、底面視において、略矩形状であり、具体的には略正方形状である。
【0053】
底板130は、底面視において、前端が前側フレーム部21aと重なり合い、後端が後側フレーム部21bと重なり合い、右端が右側フレーム部21cと重なり合い、左端が左側フレーム部21dと重なり合う。更に、底板130は、前端の位置が前側フレーム部21aの前端と略一致し、後端の位置が後側フレーム部21bの後端と略一致し、右端の位置が右側フレーム部21cの右端と略一致し、左端の位置が左側フレーム部21dの左端と略一致する。
また、底板130は、底面視において4つの角部がコーナ部材22と重なり合っており、底板130がコーナ部材22の筒部23の孔24を下側から覆っている。
【0054】
取付部材150a~150dは、キャスター41を台車本体部120に取り付けるための部材である。本実施形態の走行部140では、1つのキャスター41が1つの取付部材を用いて台車本体部120に取り付けられる。取付部材150a~150dは、下側の面が略平面であって、上側の面が略平面な略板状である。
【0055】
本実施形態の取付部材150a~150dは、底板130と重なり合った状態で台車本体部120に結合される。具体的には、4つの取付部材150a~150dは、底板130の4つの角部の位置で、底板130の下側から底板130を通して4つのフレーム部21a~21d(および補強フレーム部27a、27b)にボルト、リベット、溶接等を用いて結合される。
【0056】
取付部材150a~150dは、底面視において、取付部材150a、150bの前端の位置が前側フレーム部21aの前端と略一致し、取付部材150c、150dの後端の位置が後側フレーム部21bの後端と略一致する。また、取付部材150a~150dは、底面視において、取付部材150a、150cの右端の位置が右側フレーム部21cの右端と略一致し、取付部材150b、150dの左端の位置が左側フレーム部21dの左端と略一致する。また、取付部材150a~150dは、底面視において、コーナ部材22の筒部23と重なり合っている。
【0057】
本実施形態の運搬台車2は、上述したように台車本体部120の底面が略平面であることから、第1の実施形態と同様に、石綿が底面に付着するのを抑制したり、付着した石綿を容易に取り除いたりすることができる。
また、本実施形態の運搬台車2は、取付部材150a~150dが底板130と重なり合った状態で台車本体部120に結合されることにより、取付部材150a~150を台車本体部120に結合するときの位置にズレが生じたとしても、取付部材150a~150dと底板130との間で隙間が生じることを防止することができる。
【0058】
また、本実施形態の運搬台車2は、底板130および取付部材150a~150dが、底面視においてコーナ部材22の筒部23と重なり合っている。したがって、コーナ部材22の支持部26に加えて、底板130および取付部材150a~150dで手押部材60の支持を補助することができる。あるいは、コーナ部材22の支持部26を無くして、底板130および取付部材150a~150dにより手押部材60を支持することができる。
【0059】
[第3の実施形態]
第1の実施形態の運搬台車1の走行部40では、1つのキャスター41が1つの取付部材を用いて台車本体部20に取り付けられる。一方、本実施形態の運搬台車3の走行部240では、2つのキャスター41が1つの取付部材を用いて台車本体部220に取り付けられる。本実施形態の走行部240は、2つの取付部材250a、250bを有する。以下では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明し、同一の構成は同一符号を付す等して適宜、説明を省略する。
【0060】
図14は第3の実施形態の運搬台車3の台車ユニット210の構成を底面側から見た斜視図である。
図15は取付部材250a、250bを台車本体部220に結合する前の状態を示す斜視図である。
底板230は、下側の面が略平面であって、上側の面が略平面な略板状である。底板230は、4つのフレーム部21a~21dのうちフレーム部21c、21dに結合することで、下側の面が台車本体部220の底面として構成される。したがって、台車本体部220の底面が略平面となる。
【0061】
底板230は、前側の4つの空間28および後側の4つの空間28を除いた空間28を下側から覆うことができる形状、換言すると四方のフレーム枠を下側から一部に隙間がある状態で覆う形状である。本実施形態の底板230は、底面視において、台車本体部220の外形よりも小さい略矩形状であり、具体的には左右方向に長い略長方形である。
【0062】
底板230は、底面視において、前端および後端がそれぞれ前側フレーム部21aおよび後側フレーム部21bまで至らずに前側フレーム部21aおよび後側フレーム部21bと重なり合わず、右端が右側フレーム部21cと重なり合い、左端が左側フレーム部21dと重なり合う。更に、底板230は、右端の位置が右側フレーム部21cの右端と略一致し、左端の位置が左側フレーム部21dの左端と略一致する。
【0063】
取付部材250a、250bは、キャスター41を台車本体部220に取り付けるための部材である。本実施形態の走行部240では、複数(ここでは2つ)のキャスター41が1つの取付部材250a、250bを用いて台車本体部220に取り付けられる。取付部材250a、250bは、下側の面が略平面であって、上側の面が略平面な略板状である。
【0064】
本実施形態の取付部材250a、250bは、底板230と重なり合わず底板230に隣接した状態で台車本体部220に結合されている。具体的には、2つの取付部材250a、250bは、底板230を挟んだ前後の位置で、4つのフレーム部21a~21d(および補強フレーム部27a、27b)にボルト、リベット、溶接等を用いて結合される。
【0065】
取付部材250aは、底面視において、前端の位置が前側フレーム部21aの前端と略一致し、右端の位置が右側フレーム部21cの右端と略一致し、左端の位置が左側フレーム部21dの左端と略一致する。また、取付部材250bは、底面視において、後端の位置が後側フレーム部21bの後端と略一致し、右端の位置が右側フレーム部21cの右端と略一致し、左端の位置が左側フレーム部21dの左端と略一致する。また、取付部材250a、250bは、底面視において、コーナ部材22の筒部23と重なり合っている。
【0066】
本実施形態の運搬台車3は、上述したように台車本体部220の底面が略平面であることから、第1の実施形態と同様に、石綿が底面に付着するのを抑制したり、付着した石綿を容易に取り除いたりすることができる。
また、本実施形態の運搬台車3は、複数(ここでは2つ)のキャスター41が1つの取付部材を用いて台車本体部220に結合されることにより、運搬台車3の部品点数を削減することができる。
【0067】
また、本実施形態の運搬台車3は、取付部材250a、250bが、底面視においてコーナ部材22の筒部23と重なり合っている。したがって、コーナ部材22の支持部26に加えて、取付部材250a、250bで手押部材60の支持を補助することができる。あるいは、コーナ部材22の支持部26を無くして、取付部材250a、250bにより手押部材60を支持することができる。
なお、本実施形態において、底板230を第2の実施形態の底板130に置き換えるように変更して、取付部材250a、250bを底板130と重なり合った状態で台車本体部220に結合してもよい。
【0068】
以上、本発明を上述した実施形態により説明したが、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能であり、上述した各実施形態あるいは変形例の構成の一部を他の実施形態に組み合わせてもよい。
【0069】
上述した実施形態では、運搬台車1~3に建築物から除去した石綿を運搬させる場合について説明したが、この場合に限られず、石綿以外の運搬物を運搬するのに用いてもよい。また、運搬台車1~3には石綿が付着する場合について説明したが、この場合に限られず、石綿以外の付着物、例えば、塵、埃、砂、泥、セメント等が付着するような作業場で使用されてもよい。このような場合であっても、台車本体部20、120、220の底面を略平面にすることにより、台車本体部20、120、220の底面に付着物が付着した場合に付着物を容易に取り除くことができる。
【0070】
上述した実施形態では、運搬台車1~3について詳細に説明したが、運搬台車1~3を構成する部材の具体的な寸法、形状、材質は特に限定されるものではない。
上述した実施形態では、運搬台車1~3は組み立てることができる場合について説明したが、この場合に限られず、予め一体化されており作業者が組み立ておよび分解できないように構成されていてもよい。
上述した実施形態では、走行部40、140、240は4つのキャスター41を有する場合について説明したが、この場合に限られず、4つ以上のキャスターを有していてもよい。
【0071】
上述した実施形態では、フレキシブルコンテナバック80を運搬台車1の台車本体部20上に直接、載置することで設置する場合について説明したが、この場合に限られず、台車本体部20とフレキシブルコンテナバック80との間に図示しない載置板を設置してもよい。載置板は、側壁70と同様な合成樹脂製であってもよく、底板30と同様な金属板であってもよい。
【符号の説明】
【0072】
1、2、3:運搬台車 20、120、220:台車本体部 21a:前側フレーム部 21b:後側フレーム部 21c:右側フレーム部 21d:左側フレーム部 22:コーナ部材 23:筒部 24:孔 30、130、230:底板 40、140、240:走行部 41:キャスター 42:車輪 50a~50d、150a~150d、250a、250b:取付部材