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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041340
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】コンデンサ
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20240319BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146091
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100210240
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 友幸
(72)【発明者】
【氏名】秋山 浩慶
(72)【発明者】
【氏名】徳永 翔平
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕加
(72)【発明者】
【氏名】小林 透典
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 優
(72)【発明者】
【氏名】沢木 勇人
(72)【発明者】
【氏名】友田 侑希
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA05
5H770AA21
5H770BA01
5H770DA03
5H770DA41
5H770FA13
5H770HA02Y
5H770PA22
5H770PA24
5H770PA41
5H770PA43
5H770QA01
5H770QA22
5H770QA28
5H770QA33
5H770QA35
(57)【要約】
【課題】冷却性能を向上させつつ組立容易性を兼ね備えたコンデンサを提供する。
【解決手段】略直方体形状のコンデンサケース3にコンデンサ素子と冷却プレート7を収納する。冷却プレート7は、コンデンサ素子と共にコンデンサケース3内に収納された本体部7aと、コンデンサケース3から露出した端子部7bと、有する。コンデンサケース3内には樹脂が充填され、コンデンサ素子と冷却プレート7を絶縁した状態で固定する。直方体形状のコンデンサケース3の1つの面である接合面は、電力変換装置の筐体5に直接または伝熱部材4を介して接合させる。コンデンサケース3の接合面と反対側の面の近傍に冷却プレート7の本体部7aを配置する。冷却プレート7の端子部7bと電力変換装置の筐体5とを接続する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換装置に設けられたコンデンサであって、
コンデンサ素子と、
前記コンデンサ素子を収納する略直方体形状のコンデンサケースと、
前記コンデンサ素子と共に前記コンデンサケース内に収納された本体部と、前記コンデンサケースから露出した端子部と、有する冷却プレートと、
前記コンデンサケース内に充填され、前記コンデンサ素子と前記冷却プレートを絶縁した状態で固定する樹脂と、
を備え、
直方体形状の前記コンデンサケースの1つの面である接合面は、前記電力変換装置の筐体に直接または伝熱部材を介して接合させ、
前記コンデンサケースの前記接合面と反対側の面の近傍に前記冷却プレートの前記本体部を配置し、
前記冷却プレートの前記端子部と前記電力変換装置の前記筐体とを接続することを特徴とするコンデンサ。
【請求項2】
前記コンデンサケースの前記接合面と反対側の面の4つの辺において、
前記冷却プレートの前記端子部を露出させる辺と前記コンデンサ素子の電極端子を露出させる辺が異なっていることを特徴とする請求項1記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記冷却プレートに基板取付用のスタッドを設けることを特徴とする請求項1記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記コンデンサ素子に並列接続される放電抵抗を前記冷却プレート上に配置することを特徴とする請求項1記載のコンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置(インバータユニットなど)に設けられたコンデンサの冷却技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図7に、一般的なインバータユニットの電気回路図を示す。図7に示すように、P端子とN端子との間にコンデンサ(例えばフィルムコンデンサ)Cが接続される。また、P端子とN端子との間にスイッチング素子Su,Sx、スイッチング素子Sv,Sy、スイッチング素子Sw,Szが直列接続される。スイッチング素子は例えばIGBTであり、スイッチング素子Su~Szで逆変換器(IGBTパッケージ)1を構成している。
【0003】
逆変換器1の交流側(スイッチング素子Su,Sxの接続点、スイッチング素子Sv,Syの接続点、スイッチング素子Sw,Szの接続点)にはモータMが接続される。また、逆変換器1とモータMとの間には電流センサ2が設けられている。
【0004】
コンデンサCはDCリンク電圧を平滑する役目を担う。また、コンデンサCに対して並列に放電抵抗Rが接続される。放電抵抗Rは、インバータユニットの入力電源オフ時にコンデンサCの電荷を放電させるために設けている。これにより感電事故を防止している。
【0005】
図8に従来のコンデンサCの構成を示す。図8に示すように、コンデンサCは直方体形状のコンデンサケース3に収納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-169070号公報
【特許文献2】特開2021-197838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
コンデンサCは常時電流が流れるため発熱部品となる。そのコンデンサCの冷却を行うために、既存構成では熱伝導シート4をコンデンサCの上面及び底面に配置し、さらに熱伝導シート4を介してインバータユニットの筐体5と接させることにより冷却を実現していた。この技術に関する先行文献として、特許文献1が開示されている。
【0008】
ただし、実際の発熱部はモールドされたコンデンサ内部(コンデンサ素子や内部導体)であり、発生した熱を樹脂モールド→コンデンサケース3→熱伝導シート4→インバータユニットの筐体5を介して放熱しているため十分な冷却性能が得られない。
【0009】
また、コンデンサCは、インバータユニット内でも大型部品であるが、小型化をしようと思った際にコンデンサCの発熱がネックとなっていた。
【0010】
以上示したようなことから、冷却性能を向上させつつ組立容易性を兼ね備えたコンデンサを提供することが課題となる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記従来の問題に鑑み、案出されたもので、その一態様は、電力変換装置に設けられたコンデンサであって、コンデンサ素子と、前記コンデンサ素子を収納する略直方体形状のコンデンサケースと、前記コンデンサ素子と共に前記コンデンサケース内に収納された本体部と、前記コンデンサケースから露出した端子部と、有する冷却プレートと、前記コンデンサケース内に充填され、前記コンデンサ素子と前記冷却プレートを絶縁した状態で固定する樹脂と、を備え、直方体形状の前記コンデンサケースの1つの面である接合面は、前記電力変換装置の筐体に直接または伝熱部材を介して接合させ、前記コンデンサケースの前記接合面と反対側の面の近傍に前記冷却プレートの前記本体部を配置し、前記冷却プレートの前記端子部と前記電力変換装置の前記筐体とを接続することを特徴とする。
【0012】
また、その一態様として、前記コンデンサケースの前記接合面と反対側の面の4つの辺において、前記冷却プレートの前記端子部を露出させる辺と前記コンデンサ素子の電極端子を露出させる辺が異なっていることを特徴とする。
【0013】
また、その一態様として、前記冷却プレートに基板取付用のスタッドを設けることを特徴とする。
【0014】
また、他の態様として、前記コンデンサ素子に並列接続される放電抵抗を前記冷却プレート上に配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、冷却性能を向上させつつ組立容易性を兼ね備えたコンデンサを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】従来のコンデンサと実施形態1のコンデンサの構成を示す斜視図。
図2】実施形態1のコンデンサにおける冷却プレートのセット方法を示す図。
図3】実施形態1のコンデンサをインバータユニットの筐体に設置した状態を示す図。
図4】実施形態1のコンデンサの冷却経路を示す図。
図5】実施形態2のコンデンサの構成を示す斜視図。
図6】実施形態3のコンデンサの構成を示す斜視図。
図7】一般的なインバータユニットの電気回路図。
図8】従来のコンデンサの構成示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本願発明におけるコンデンサの実施形態1~3を図1図6に基づいて詳述する。
【0018】
[実施形態1]
本実施形態1では、電力変換装置に設けられるコンデンサについて説明する。図1(a)に既存のコンデンサを示し、図1(b)に本実施形態1のコンデンサを示す。
【0019】
図1(a)、図1(b)に示すように、コンデンサ素子Cは直方体形状のコンデンサケース3内に収納される。コンデンサケース3からコンデンサ素子の電極端子6が露出する。
【0020】
本実施形態1のコンデンサは、図1(b)に示すように、コンデンサケース3内部にコンデンサ素子Cと冷却プレート7を配置し、一体成型している。冷却プレート7は、略平板形状であり、コンデンサ素子Cと共にコンデンサケース3内に収納された本体部7aと、コンデンサケース3から露出した端子部7bと、有する。
【0021】
図1(b)、図2に示すように、コンデンサケース3内にコンデンサ素子Cと冷却プレート7を配置した状態で樹脂が充填され、コンデンサ素子Cの電極端子(P端子、N端子)6と冷却プレート7を電気的に絶縁した状態で固定する。
【0022】
図3に示すように、インバータユニットの筐体5の上にコンデンサケース3が載置される。コンデンサケース3とインバータユニットの筐体5との間には伝熱部材(例えば熱伝導シート、以下熱伝導シートと称する)4が設けられる。熱伝導シート4は省略してもよい。すなわち、直方体形状のコンデンサケース3の1つの面である接合面は、インバータユニットの筐体5に直接または熱伝導シート4を介して接合させ、接合面と反対側の面の近傍に冷却プレート7の本体部7aを配置する。なお、本明細書において、接合面と反対側の面の「近傍」とは、コンデンサケース3の上半分側とする。
【0023】
インバータユニットの筐体5は4本の円柱部8を立設している。この円柱部8にはネジ孔が形成されている。冷却プレート7の端子部7bと筐体5の円柱部8とをねじ9等により固定する。
【0024】
また、コンデンサケース3の接合面と反対側の面(開口面)は四角形を形成する4辺から成る。コンデンサケース3の開口面の4辺のうち、冷却プレート7の端子部7bは、コンデンサCの電極端子6が露出する辺(2つの辺)とは異なる辺(2つの辺)から露出させている。
【0025】
以下、図4に基づいてコンデンサの冷却方法について説明する。
【0026】
冷却プレート7を配置することで、コンデンサCの内部(コンデンサ素子や内部導体)で発生した熱は、図4に示すように、樹脂モールド(近距離)→冷却プレート7→インバータユニットの筐体5を介して放熱する。
【0027】
従来構成では、コンデンサ内部で発生した熱は、樹脂モールド(遠距離)→コンデンサケース3→熱伝導シート4→インバータユニットの筐体5を介して放熱される。
【0028】
そのため、従来構成より冷却経路が短くなり(樹脂モールドの距離及びコンデンサケース3を省略)、かつ、冷却能力の高い冷却プレート7(熱伝導率の高い材質)を介することで効率よくインバータユニットの筐体5へ熱を排出することができる。
【0029】
また、図3では、コンデンサケース3の上面側は冷却プレート7を設置することで冷却し、コンデンサケース3の底面側は熱伝導シート4を介してインバータユニットの筐体5と接合することで冷却している。このように、コンデンサCの反対側の面各々に冷却機構を設けることで、コンデンサCを効率よく冷却できる。
【0030】
さらに、冷却プレート7の端子部7bとコンデンサCの電極端子6は、コンデンサケース3の開口面の異なる辺から露出している。これにより、インバータユニットの筐体5に対しての冷却プレート7の端子部7bの取付構造の設計および取付作業が容易となる。
【0031】
以上示したように、本実施形態1によれば、コンデンサCと冷却構造を一体しているため、コンデンサケース3の上面側の冷却時に、熱伝導シート4等の放熱機構を外部に追加する必要がない。
【0032】
インバータユニットの組み立て時、冷却プレート7の端子部7bの固定のみであり、熱伝導シート4等の貼付工程を削減できるため、組立が容易となる。
【0033】
コンデンサCの内部に冷却機構(冷却プレート7)を有することで、内部を積極的に冷却でき、冷却能力が向上する。
【0034】
そのため、冷却能力を向上させつつ組立容易性を兼ね備えたコンデンサを提供することが可能となる。
【0035】
[実施形態2]
本実施形態2のコンデンサは、図5(a)に示すように、実施形態1の構成に加え、冷却プレート7にスタット10を設け、スタット10の一部をコンデンサケース3の外側に露出させる。例えば、図5(a)に示すように、冷却プレート7の四隅に4つのスタット10を立設させる。スタット10にはネジ孔が設けられる。
【0036】
そして、図5(b)に示すように、例えば、インバータユニット内のスイッチング素子(IGBT等)のスイッチング動作の制御等を行う制御基板11をスタット10にネジ止めする。なお、制御基板11以外の部品をスタット10にネジ止めする構成としてもよい。
【0037】
本実施形態2はこのような構成により、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
【0038】
また、コンデンサCの上部に部品(制御基板11)を配置することが可能となり、小型化を図ることが可能となる。
【0039】
また、冷却プレート7によりコンデンサCのみだけでなく、コンデンサCの上部に配置した部品(制御基板11)で発生した熱もスタット10と冷却プレート7にて排熱することが可能となる。
【0040】
また、コンデンサCが発生するノイズを冷却プレート7により遮断することが可能となる。これにより、制御基板11のノイズ誤動作を低減でき、耐ノイズ性能の向上を図ることが可能となる。
[実施形態3]
本実施形態3のコンデンサは、図6に示すように実施形態1の構成に加え、冷却プレート7に放電抵抗Rを取り付ける構成である。
【0041】
図6に示すように、冷却プレート7上に放電抵抗Rを配置する。この放電抵抗Rは冷却プレート7と共に樹脂充填により固定される。
【0042】
本実施形態3はこのような構成により、実施形態1と同様の作用効果を奏する。
【0043】
従来、コンデンサC及び放電抵抗Rは別体構成で、それぞれ冷却が必要であった。図6に示すように、本実施形態3はコンデンサCと放電抵抗Rを一体構成とすることで冷却部を共有化でき、冷却構造を統一することが可能となる。
【0044】
また、放電抵抗RがコンデンサCの構成部品の一部となるため、別途放電抵抗Rの組立が不要となり、工程を削減でき、ユニット組立が容易となる。
【0045】
さらに、コンデンサCと放電抵抗Rとを接続するハーネスが不要となる。
【0046】
以上、本発明において、記載された具体例に対してのみ詳細に説明したが、本発明の技術思想の範囲で多彩な変形および修正が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、このような変形および修正が特許請求の範囲に属することは当然のことである。
【符号の説明】
【0047】
C…コンデンサ
R…放電抵抗
Su~Sz…スイッチング素子
1…逆変換器
2…電流センサ
3…コンデンサケース
4…熱伝導シート(伝熱部材)
5…インバータユニット(電力変換装置)の筐体
6…電極端子
7…冷却プレート
7a…本体部
7b…端子部
8…円柱部
9…ねじ
10…スタット
11…制御基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8