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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041345
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】成形材料の搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 31/00 20060101AFI20240319BHJP
   B29B 11/06 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B29C31/00
B29B11/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146098
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 耕治
【テーマコード(参考)】
4F201
【Fターム(参考)】
4F201AG08
4F201AG13
4F201AM32
4F201BA06
4F201BC02
4F201BD02
4F201BM06
4F201BM12
4F201BQ05
4F201BQ09
4F201BQ12
4F201BQ14
4F201BQ37
(57)【要約】
【課題】成形材料の搬送性能を高め、かつ汎用性にも優れた成形材料の搬送装置を提供する。
【解決手段】第1搬送機構200は、外周面に成形材料を保持する第1保持部材と、筒状の第1押圧部材と、を有し、第1保持部材における外周面のうち前記成形材料を保持する部分は、第1押圧部材の押圧方向に向かうにつれて太くなるように構成されると共に、第2搬送機構300は、外周面に前記成形材料を保持する第2保持部材と、筒状の第2押圧部材と、を有し、第2保持部材における外周面のうち前記成形材料を保持する部分は、第2押圧部材の押圧方向に向かうにつれて太くなるように構成されることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状の成形材料を形成する環状材料形成装置により形成された前記成形材料を受け取って、前記成形材料を受け取る第1位置から第2位置まで搬送する第1搬送機構と、
第2位置で前記成形材料を受け取って、前記成形材料を金型に受け渡す第3位置まで搬送する第2搬送機構と、
を備える成形材料の搬送装置であって、
第1搬送機構は、外周面に前記成形材料を保持する第1保持部材と、第1保持部材と同心的に設けられ、かつ第1保持部材に保持された前記成形材料を押し出して第1保持部材から離脱させる筒状の第1押圧部材と、を有し、第1保持部材における外周面のうち前記成形材料を保持する部分は、第1押圧部材の押圧方向に向かうにつれて太くなるように構成されると共に、
第2搬送機構は、外周面に前記成形材料を保持する第2保持部材と、第2保持部材と同心的に設けられ、かつ第2保持部材に保持された前記成形材料を押し出して第2保持部材から離脱させる筒状の第2押圧部材と、を有し、第2保持部材における外周面のうち前記成形材料を保持する部分は、第2押圧部材の押圧方向に向かうにつれて太くなるように構成されることを特徴とする成形材料の搬送装置。
【請求項2】
環状の成形材料を形成する環状材料形成装置により形成された前記成形材料を受け取って、前記成形材料を受け取る第1位置から第2位置まで搬送する第1搬送機構と、
第2位置で前記成形材料を受け取って、前記成形材料を金型に受け渡す第3位置まで搬送する第2搬送機構と、
を備える成形材料の搬送装置であって、
第1搬送機構は、外周面に前記成形材料を保持する第1保持部材と、第1保持部材と同心的に設けられ、かつ第1保持部材に保持された前記成形材料を押し出して第1保持部材から離脱させる筒状の第1押圧部材と、を有し、第1保持部材における外周面のうち前記成形材料を保持する部分は、第1押圧部材の押圧方向に向かうにつれて太くなるように構成されることを特徴とする成形材料の搬送装置。
【請求項3】
環状の成形材料を形成する環状材料形成装置により形成された前記成形材料を受け取って、前記成形材料を受け取る第1位置から第2位置まで搬送する第1搬送機構と、
第2位置で前記成形材料を受け取って、前記成形材料を金型に受け渡す第3位置まで搬送する第2搬送機構と、
を備える成形材料の搬送装置であって、
第2搬送機構は、外周面に前記成形材料を保持する第2保持部材と、第2保持部材と同心的に設けられ、かつ第2保持部材に保持された前記成形材料を押し出して第2保持部材から離脱させる筒状の第2押圧部材と、を有し、第2保持部材における外周面のうち前記成形材料を保持する部分は、第2押圧部材の押圧方向に向かうにつれて太くなるように構成されることを特徴とする成形材料の搬送装置。
【請求項4】
第1保持部材の外周面には、第1押圧部材の押圧方向と平行に伸びる複数の凹部が設けられ、かつ、第1押圧部材の内周面には前記複数の凹部に入り込むように配される複数の凸部が設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の成形材料の搬送装置。
【請求項5】
第2保持部材の外周面には、第2押圧部材の押圧方向と平行に伸びる複数の凹部が設けられ、かつ、第2押圧部材の内周面には前記複数の凹部に入り込むように配される複数の凸部が設けられることを特徴とする請求項1または3に記載の成形材料の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形材料の搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
環状の成形品を製造する場合において、環状の成形材料を形成し、形成した成形材料を金型まで搬送する搬送装置が知られている。図9を参照して、従来技術に係る成形材料の搬送装置について説明する。図9は従来技術に係る搬送装置による成形材料の搬送動作の説明図である。
【0003】
搬送装置は、第1搬送機構600と第2搬送機構700とを備えている。環状材料形成装置100により形成された環状の成形材料Aは、第1搬送機構600に設けられた第1保持部材610に受け渡される。第1保持部材610の外周面は円柱面で構成されており、この外周面に成形材料Aが保持される(図9(a)参照)。その後、第1搬送機構600によって、成形材料Aは第2搬送機構700が設けられた位置まで搬送される(図9(b)参照)。そして、第1搬送機構600に設けられた第1押圧部材620によって、成形材料Aは押し出されて、第2搬送機構700に設けられた第2保持部材710に保持される。第2保持部材710の外周面は円柱面で構成されており、この外周面に成形材料Aが保持される(図9(c)参照)。
【0004】
なお、特に図示はしないが、第2保持部材710に保持された成形材料Aは、金型が配置された位置まで搬送され、第2搬送機構700に設けられた第2押圧部材720により押し出されて、金型に受け渡される。
【0005】
以上のように構成される搬送装置においては、環状材料形成装置100により形成された際に高温状態にある成形材料Aが、第1保持部材610に受け渡された直後から自然冷却されることで収縮する。この収縮によって、第1保持部材610及び第2保持部材710に保持される保持力が得られる。
【0006】
このように、成形材料Aを保持する保持力は熱収縮力に依存するため、環状の成形材料Aを形成する際の温度、材料の材質、環状の成形材料Aの形状寸法などにより保持力に差が生じる。そのため、品目によっては、成形材料Aが第1押圧部材620に粘着してしまい第2保持部材710に受け渡しできなかったり、第2保持部材710から成形材料Aが落下したりするといった不具合が発生し易くなることがある。このような不具合を解消するために、品目に応じた形状寸法の第1保持部材610及び第2保持部材710等を用意すると、コストも増加してしまう。
【0007】
以上のように、従来技術に係る搬送装置においては、成形材料Aの搬送中に不具合が発生し易く、汎用性も低かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000-43065号公報
【特許文献2】特許第5446560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、成形材料の搬送性能を高め、かつ汎用性にも優れた成形材料の搬送装置を提
供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0011】
本発明の成形材料の搬送装置は、
環状の成形材料を形成する環状材料形成装置により形成された前記成形材料を受け取って、前記成形材料を受け取る第1位置から第2位置まで搬送する第1搬送機構と、
第2位置で前記成形材料を受け取って、前記成形材料を金型に受け渡す第3位置まで搬送する第2搬送機構と、
を備える成形材料の搬送装置であって、
第1搬送機構は、外周面に前記成形材料を保持する第1保持部材と、第1保持部材と同心的に設けられ、かつ第1保持部材に保持された前記成形材料を押し出して第1保持部材から離脱させる筒状の第1押圧部材と、を有し、第1保持部材における外周面のうち前記成形材料を保持する部分は、第1押圧部材の押圧方向に向かうにつれて太くなるように構成されると共に、
第2搬送機構は、外周面に前記成形材料を保持する第2保持部材と、第2保持部材と同心的に設けられ、かつ第2保持部材に保持された前記成形材料を押し出して第2保持部材から離脱させる筒状の第2押圧部材と、を有し、第2保持部材における外周面のうち前記成形材料を保持する部分は、第2押圧部材の押圧方向に向かうにつれて太くなるように構成されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の成形材料の搬送装置は、
環状の成形材料を形成する環状材料形成装置により形成された前記成形材料を受け取って、前記成形材料を受け取る第1位置から第2位置まで搬送する第1搬送機構と、
第2位置で前記成形材料を受け取って、前記成形材料を金型に受け渡す第3位置まで搬送する第2搬送機構と、
を備える成形材料の搬送装置であって、
第1搬送機構は、外周面に前記成形材料を保持する第1保持部材と、第1保持部材と同心的に設けられ、かつ第1保持部材に保持された前記成形材料を押し出して第1保持部材から離脱させる筒状の第1押圧部材と、を有し、第1保持部材における外周面のうち前記成形材料を保持する部分は、第1押圧部材の押圧方向に向かうにつれて太くなるように構成されることを特徴とする。
【0013】
更に、本発明の成形材料の搬送装置は、
環状の成形材料を形成する環状材料形成装置により形成された前記成形材料を受け取って、前記成形材料を受け取る第1位置から第2位置まで搬送する第1搬送機構と、
第2位置で前記成形材料を受け取って、前記成形材料を金型に受け渡す第3位置まで搬送する第2搬送機構と、
を備える成形材料の搬送装置であって、
第2搬送機構は、外周面に前記成形材料を保持する第2保持部材と、第2保持部材と同心的に設けられ、かつ第2保持部材に保持された前記成形材料を押し出して第2保持部材から離脱させる筒状の第2押圧部材と、を有し、第2保持部材における外周面のうち前記成形材料を保持する部分は、第2押圧部材の押圧方向に向かうにつれて太くなるように構成されることを特徴とする。
【0014】
これらの発明によれば、保持部材(第1保持部材と第2保持部材)における外周面のうち成形材料を保持する部分は、押圧部材(第1押圧部材と第2押圧部材)の押圧方向に向かうにつれて太くなるように構成されている。そのため、保持部材に受け渡された環状の成形材料は、その収縮後の内径に応じた位置で保持部材に保持される。そして、成形材料
が保持部材から離脱する方向に行くほど、保持部材の外周面は太いため、保持部材から成形材料が抜け出してしまうことを抑制することができる。
【0015】
第1保持部材の外周面には、第1押圧部材の押圧方向と平行に伸びる複数の凹部が設けられ、かつ、第1押圧部材の内周面には前記複数の凹部に入り込むように配される複数の凸部が設けられるとよい。また、第2保持部材の外周面には、第2押圧部材の押圧方向と平行に伸びる複数の凹部が設けられ、かつ、第2押圧部材の内周面には前記複数の凹部に入り込むように配される複数の凸部が設けられるとよい。
【0016】
以上のように構成することで、保持部材と押圧部材との間の環状隙間に成形材料の一部が入り込んでしまうことを抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、成形材料の搬送性能を高め、かつ汎用性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は本発明の実施例に係る成形材料の搬送装置の概略構成図である。
図2図2は本発明の実施例に係る成形材料の搬送装置の動作説明図である。
図3図3は本発明の実施例に係る成形材料の搬送装置の動作説明図である。
図4図4は本発明の実施例に係る環状材料形成装置の動作説明図である。
図5図5は本発明の実施例に係る第1搬送機構の主要構成の概略構成図である。
図6図6は本発明の実施例に係る第2搬送機構の主要構成の概略構成図である。
図7図7は本発明の実施例に係る第2搬送機構の主要構成の動作説明図である。
図8図8は本発明の実施例に係る第2搬送機構の主要構成の動作説明図である。
図9図9は従来技術に係る搬送装置による成形材料の搬送動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0020】
(実施例)
図1図8を参照して、本発明の実施例に係る成形材料の搬送装置について説明する。図1は本発明の実施例に係る成形材料の搬送装置の概略構成図であり、搬送装置の構成を簡略的に示している。図2及び図3は本発明の実施例に係る成形材料の搬送装置の動作説明図である。なお、これらの図においては、搬送装置の構成を簡略的に示している。図4は本発明の実施例に係る環状材料形成装置の動作説明図である。なお、この図においては、環状材料形成装置の構成を模式的断面図にて示している。図5は本発明の実施例に係る第1搬送機構の主要構成の概略構成図である。なお、図5(a)は第1搬送機構の主要構成の平面図であり、同図(b)は同図(a)のV1-V1断面図であり、同図(c)は動作説明図である。図6は本発明の実施例に係る第2搬送機構の主要構成の概略構成図である。なお、図6(a)は第2搬送機構の主要構成の平面図であり、同図(b)は第2搬送機構の主要構成の模式的断面図であり、その一部の構成は同図(a)のV2-V2断面図に相当する。図7及び図8は本発明の実施例に係る第2搬送機構の主要構成の動作説明図である。これらの図においては、第2搬送機構の主要構成を模式的断面図にて示している。なお、図1図3中の矢印Zは鉛直方向を示し、矢印X,Yは鉛直方向に対して垂直で互いに直交する方向を示している。
【0021】
<成形材料の搬送装置の全体構成>
特に図1図3を参照して、本実施例に係る成形材料の搬送装置(以下、「搬送装置10」と称する)の全体構成について説明する。本実施例に係る搬送装置10は、第1搬送機構200と、第2搬送機構300とを備えている。第1搬送機構200は、環状材料形成装置100により形成された環状の成形材料を受け取って、この成形材料を受け取る第1位置から第2位置まで搬送する機能を備えている。第2搬送機構300は、第2位置で上記の成形材料を受け取って、金型400に受け渡す第3位置まで搬送する機能を備えている。
【0022】
<環状材料形成装置>
特に図4を参照して、環状材料形成装置100について説明する。環状材料形成装置100は、例えば、Oリングなどのシールリングを成形するために、環状の成形材料(本実施例においては環状のゴム材料(ゴム生地))を形成するための装置である。この環状材料形成装置100は、加熱筒110と、加熱筒110の先端に設けられるノズル120と、加熱筒内部からノズル内部に至るように設けられるスクリュー130と、ノズル120の先端に配される成形治具とを備えている。成形治具は、筒状の第1治具141と、第1治具141の内部に設けられ外周面がテーパ面で構成される第2治具142とを備えている。そして、第1治具141の内壁面と第2治具142の外壁面との間の隙間により成形材料の流路が形成され、第1治具141の下端面と第2治具142の下端に設けられたフランジ上面との間に形成された環状隙間によって成形材料の出口が形成される。
【0023】
また、環状材料形成装置100は、上記の出口から環状に押し出される成形材料を切断するカッター150と、カッター150を往復移動させるための往復移動機構161と、カッター150を支持し、かつ往復移動機構161により往復移動する支持軸162とを備えている。往復移動機構161としては、油圧シリンダー、空圧シリンダー、ボールねじ機構など、所望の部材を往復移動させることのできる各種公知技術を採用することができる。
【0024】
以上のように構成される環状材料形成装置100によれば、加熱筒110により加熱(70℃~90℃)されて流動可能な状態になった成形材料A1がスクリュー130の回転によりノズル120から射出される。そして、ノズル120から射出された成形材料A1は成形治具の流路を流れていく(図4(a)参照)。そして、成形治具の出口から所定量だけ成形材料A1が環状に押し出された状態(図4(b)参照)で、上方に待機していたカッター150が往復移動機構161によって下方に移動する。これにより、成形材料A1は切断され、環状の成形材料Aが形成される。本実施例においては、カッター150が下降する過程で、環状の成形材料Aが形成され、この成形材料Aは第1搬送機構200の第1保持ユニット210に保持される。なお、環状材料形成装置100によって形成された直後の成形材料Aは高温状態にあり、この成形材料Aは第1保持ユニット210に保持された後に自然冷却により温度が低下すると共に収縮する。
【0025】
<第1搬送機構>
第1搬送機構200について、より詳細に説明する。第1搬送機構200は、複数の第1保持ユニット210と、第1保持ユニット210を、それぞれZ軸方向に往復移動させる複数の往復移動機構220と、複数の往復移動機構220を支持する支持部材230とを備えている。往復移動機構220としては、油圧シリンダー、空圧シリンダー、ボールねじ機構など、所望の部材を往復移動させることのできる各種公知技術を採用することができる。また、第1搬送機構200は、支持部材230を回転させるための回転機構240と、回転機構240により回転し、かつ先端が支持部材230に固定された回転軸250とを備えている。本実施例においては、回転軸250はZ軸方向に伸びるように構成されている。回転機構240としては、モーターを利用した機構など、各種公知技術を採用
することができる。
【0026】
以上のように構成される第1搬送機構200によれば、第1保持ユニット210を、環状材料形成装置100の成形治具に対向させた位置で、往復移動機構220により上昇させて、環状の成形材料Aを受け取る第1位置に移動させることができる。そして、第1位置で成形材料Aを受け取った後に、往復移動機構220により第1保持ユニット210を下降させ、その後、回転機構240により第1保持ユニット210を回転させて、第2搬送機構300の第2保持ユニット310に対向する位置に移動させることができる。この状態で、往復移動機構220によって、第1保持ユニット210を上昇させて、第2保持ユニット310に成形材料Aを受け渡す第2位置に第1保持ユニット210を移動させることができる。つまり、成形材料Aを第1位置から第2位置に搬送することができる。
【0027】
<第2搬送機構>
第2搬送機構300について、より詳細に説明する。第2搬送機構300は、複数の第2保持ユニット310と、第2保持ユニット310の構成部品を、それぞれZ軸方向に往復移動させる往復移動機構320とを備えている。往復移動機構320としては、油圧シリンダー、空圧シリンダー、ボールねじ機構など、所望の部材を往復移動させることのできる各種公知技術を採用することができる。また、第2搬送機構300は、往復移動機構320の全体をX,Y方向に移動させる水平移動機構330も備えている。この水平移動機構330は、X方向とY方向のそれぞれに往復移動機構320の全体を移動させる機能の他に、往復移動機構320の全体をZ軸方向を中心に回転させる機能を備えるようにしてもよい。なお、X方向やY方向に往復移動機構320の全体を移動させる機構としては、例えば、ガイドレールに沿って往復移動機構320の全体を移動可能に構成した上で、油圧シリンダー、空圧シリンダー、ボールねじ機構などによって往復移動機構320の全体をガイドレールに沿って移動させる機構など各種公知技術を採用することができる。なお、X方向とY方向の両者に対して往復移動機構320の全体を移動させるためには、例えば、Y方向に往復移動機構320の全体を移動させるための機構全体を、X方向に伸びるガイドレールに沿って移動可能に構成するなどの機構を採用することができる。
【0028】
以上のように構成される第2搬送機構300によれば、第2保持ユニット310が第2位置で成形材料Aを受け取った後に、水平移動機構330によって、往復移動機構320の全体を移動させることで、成形材料Aを第3位置まで搬送することができる。ここで、第3位置は成形材料Aを金型400に受け渡す位置である。なお、本実施例の場合には、同時に複数の成形品を成形するために、金型400には複数のキャビティが設けられ、複数の成形材料Aが一括で金型400に受け渡されるように構成されている。そのため、第2搬送機構300に設けられた複数の第2保持ユニット310に、順次、成形材料Aが受け渡された後に、複数の成形材料Aが同時に第3位置に移動するように構成されている。なお、第2搬送機構300に設けられた全ての第2保持ユニット310に成形材料Aを保持させた後に、全ての成形材料Aを同時に金型400に受け渡すように構成することができる。また、全ての第2保持ユニット310のうちの一部の複数の第2保持ユニット310に成形材料Aを保持させて、これらを一括して金型400に受け渡すように構成することもできる。
【0029】
<成形材料の搬送動作の概要>
特に図2及び図3を参照して、搬送装置10による環状の成形材料Aの搬送動作の概要について説明する。まず、第1搬送機構200における第1保持ユニット210が第1位置に移動した状態で、環状材料形成装置100により形成された環状の成形材料Aが第1保持ユニット210に受け渡される(図2(a)参照)。その後、成形材料Aを保持した第1保持ユニット210は、往復移動機構220により下降した後に、回転機構240によって、第2搬送機構300における第2保持ユニット310に対向する位置(真下の位
置)に移動する(図2(b)参照)。そして、第1保持ユニット210により保持された成形材料Aは、往復移動機構220により上昇して第2位置に移動して、第2搬送機構300の第2保持ユニット310に受け渡される(図3(a)参照)。その後、第1搬送機構200における第1保持ユニット210は下降する。以上の動作が繰り返し行われることで、第2搬送機構300における複数の第2保持ユニット310に、順次、成形材料Aが保持される。なお、水平移動機構330によって、複数の第2保持ユニット310の位置を変更することで、第2位置に配した第2保持ユニット310に成形材料Aが保持された後に、別の第2保持ユニット310が第2位置に移動するように構成されている。所定の個数分の成形材料Aが複数の第2保持ユニット310にそれぞれ保持された後に、水平移動機構330によって、それぞれの成形材料Aは金型400の各キャビティに対向する位置に移動する(図3(b)参照)。その後、それぞれの成形材料Aは金型400の各キャビティに受け渡される。
【0030】
<第1保持ユニット>
特に図5を参照して、第1保持ユニット210について、詳細に説明する。第1保持ユニット210は、外周面に成形材料Aを保持する第1保持部材211と、第1保持部材211と同心的に設けられ、かつ第1保持部材211に保持された成形材料Aを押し出して第1保持部材211から離脱させる筒状の第1押圧部材212とを備えている。第1保持部材211は、外周面に成形材料Aを保持する保持部材本体部211aとフランジ部211bとを一体に有している。第1保持部材211(保持部材本体部211a)における外周面のうち成形材料Aを保持する部分は、第1押圧部材212の押圧方向(鉛直方向の上向き方向)に向かうにつれて太くなるように構成されている。本実施例の場合には、保持部材本体部211aは円錐台形状であり、その外周面211a1はテーパ面により構成されている。例えば、テーパ角度が16°以上32°以下の範囲で設定するとよい。なお、第1保持部材211(保持部材本体部211a)における外周面211a1は、テーパ面に限らず、第1押圧部材212の押圧方向に向けて太くなる形状であれば、断面で見た場合に曲線となるような湾曲面で構成してもよい。
【0031】
そして、第1保持部材211(保持部材本体部211a)の外周面211a1には、第1押圧部材212の押圧方向と平行に伸びる複数(本実施例では4個)の凹部211a2が設けられている。
【0032】
第1押圧部材212は、円筒部212aと、円筒部212aの上端に設けられる第1内向きフランジ部212bと、円筒部212aの下端に設けられる第2内向きフランジ部212cとを有している。そして、第1内向きフランジ部212bの内周面には、第1保持部材211に設けられた複数の凹部211a2にそれぞれ入り込むように配される複数の凸部212b1が設けられている。これら複数の凸部212b1の端面は、成形材料Aを押し出す面となっている。
【0033】
また、本実施例に係る第1保持ユニット210においては、第1押圧部材212における円筒部212aの内部にスプリング213が設けられている。このスプリング213は、上端が第1保持部材211の下端に接し、下端が第1押圧部材212における第2内向きフランジ部212cに接するように、円筒部212aの内部に配されている。
【0034】
図5(c)は第1保持ユニット210が第1位置に移動した状態を示している。図示のように、第1保持ユニット210の第1保持部材211の上端が、環状材料形成装置100の成形治具の下端に接した状態で、環状材料形成装置100により形成された環状の成形材料Aが第1保持部材211に受け渡される。
【0035】
<第2保持ユニット>
特に図6図8を参照して、第2保持ユニット310について、詳細に説明する。第2保持ユニット310は、外周面に成形材料Aを保持する第2保持部材311と、第2保持部材311と同心的に設けられ、かつ第2保持部材311に保持された成形材料Aを押し出して第2保持部材311から離脱させる筒状の第2押圧部材312とを備えている。第2保持部材311における外周面のうち成形材料Aを保持する部分は、第2押圧部材312の押圧方向(鉛直方向の下向き方向)に向かうにつれて太くなるように構成されている。本実施例の場合には、第2保持部材311における成形材料Aを保持する外周面311aはテーパ面により構成されている。例えば、テーパ角度が16°以上32°以下の範囲で設定するとよい。なお、この外周面311aは、テーパ面に限らず、第2押圧部材312の押圧方向に向けて太くなる形状であれば、断面で見た場合に曲線となるよう湾曲面で構成してもよい。
【0036】
そして、この外周面311aには、第2押圧部材312の押圧方向と平行に伸びる複数(本実施例では4個)の凹部311bが設けられている。
【0037】
第2押圧部材312は、円筒状の部材により構成されており、その内周面には、第2保持部材311に設けられた複数の凹部311bにそれぞれ入り込むように配される複数の凸部312aが設けられている。これら複数の凸部312aの端面は、成形材料Aを押し出す面となっている。
【0038】
以上のように構成される第2保持ユニット310は、往復移動機構320に設けられる。往復移動機構320は、第1支持板321と、第1支持板321と平行に配される第2支持板322と、第1支持板321に対して第2支持板322を近づけたり遠ざけたりする方向に移動させる駆動源323及び支持軸324とを備えている。駆動源323については、油圧シリンダー、空圧シリンダー、ボールねじ機構などの各種公知技術を採用することができる。
【0039】
そして、第2保持部材311は第1支持板321に固定され、第2押圧部材312は第2支持板322に固定されることで、駆動源323及び支持軸324によって、第2保持部材311と第2押圧部材312を相対的に往復移動させることができる。図7は第1保持部材211から第2保持部材311に成形材料Aを受け渡す際の様子を示している。往復移動機構220によって、成形材料Aを保持した第1保持部材211は、第1押圧部材212と共に上昇して、第2保持部材311に接した状態となる(図7(a)参照)。その後、第1保持部材211は第2保持部材311によって移動が規制されるのに対して、第1押圧部材212はスプリング213のバネ力に抗して更に上昇する。これにより、第1保持部材211に保持された成形材料Aは、第1押圧部材212によって押圧され、第1保持部材211から離脱して、第2保持部材311の外周面に保持される(図7(b)参照)。なお、その後、往復移動機構220によって、第1保持部材211と第1押圧部材212は下降する。このとき、スプリング213のバネ力によって、第1保持部材211に対して第1押圧部材212は下降するため、第1保持部材211は成形材料Aを保持可能な状態となる。
【0040】
図8は第2保持部材311から金型400に成形材料Aを受け渡す際の様子を示している。図示のように、第2保持部材311を第3位置に移動させた状態で、往復移動機構320によって、第2押圧部材312を下降させることで、第2保持部材311に保持された成形材料Aは、第2押圧部材312によって押圧され、第2保持部材311から離脱し、金型400のキャビティ410に受け渡される。なお、金型400は、例えば、圧縮成形用の金型の下型である。この金型400の全てのキャビティ410に成形材料Aが受け渡された後に、圧縮成形によって成形品を成形することができる。
【0041】
<本実施例に係る搬送装置の優れた点>
本実施例に係る搬送装置10によれば、保持部材(第1保持部材211と第2保持部材311)における外周面のうち成形材料Aを保持する部分は、押圧部材(第1押圧部材212と第2押圧部材312)の押圧方向に向かうにつれて太くなるように構成されている。そのため、保持部材に受け渡された環状の成形材料Aは、自然冷却によって収縮した後の内径に応じた位置で保持部材に保持される。そして、成形材料Aが保持部材から離脱する方向に行くほど、保持部材の外周面は太いため、保持部材から成形材料Aが抜け出してしまうことを抑制することができる。これにより、環状材料形成装置100により形成された環状の成形材料Aが第1保持部材211に受け渡された後に、第1保持部材211が環状材料形成装置100から離れる際に、成形材料Aがカッター150に粘着して第1保持部材211から抜け出してしまうといった不具合を抑制することができる。同様に、第1押圧部材212により成形材料Aを押し出して第2保持部材311に受け渡した後に、第1押圧部材212が離れていく際に、第1押圧部材212に成形材料Aが粘着して、第2保持部材311から成形材料Aが抜け出してしまうといった不具合を抑制することもできる。以上のように、本実施例に係る搬送装置10によれば、成形材料Aの搬送性能を高めることができる。
【0042】
また、上記の通り、保持部材に受け渡された環状の成形材料Aは、自然冷却によって収縮した後の内径に応じた位置で保持部材に保持される。そのため、寸法形状が近い各種品目の成形品について、共通の保持ユニット(第1保持ユニット210及び第2保持ユニット310)を用いることができる。これにより、汎用性を高めることができる。
【0043】
以上のように、成形材料Aの搬送性能を高めることができるため、生産性を高めることができる。また、複数の品目の成形を行う場合においても、保持ユニットの交換が不要であるため、生産性を高めることができる。
【0044】
また、第1保持部材211の外周面211a1には、第1押圧部材212の押圧方向と平行に伸びる複数の凹部211a2が設けられ、かつ、第1押圧部材212の内周面には複数の凹部211a2に入り込むように配される複数の凸部212b1が設けられている。同様に、第2保持部材311の外周面311aには、第2押圧部材312の押圧方向と平行に伸びる複数の凹部311bが設けられ、かつ、第2押圧部材312の内周面には複数の凹部311bに入り込むように配される複数の凸部312aが設けられている。
【0045】
以上のような構成をすることで、保持部材と押圧部材との間の環状隙間に成形材料の一部が入り込んでしまうことを抑制することができる。これにより、環状の成形材料Aの一部が欠損したり、保持部材や押圧部材に成形材料が付着したりすることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0046】
10:搬送装置
100:環状材料形成装置
110:加熱筒
120:ノズル
130:スクリュー
141:第1治具
142:第2治具
150:カッター
161:往復移動機構
162:支持軸
200:第1搬送機構
210:第1保持ユニット
211:第1保持部材
211a:保持部材本体部
211a1:外周面
211a2:凹部
211b:フランジ部
212:第1押圧部材
212a:円筒部
212b:第1内向きフランジ部
212b1:凸部
212c:第2内向きフランジ部
213:スプリング
220:往復移動機構
230:支持部材
240:回転機構
250:回転軸
300:第2搬送機構
310:第2保持ユニット
311:第2保持部材
311a:外周面
311b:凹部
312:第2押圧部材
312a:凸部
320:往復移動機構
321:第1支持板
322:第2支持板
323:駆動源
324:支持軸
330:水平移動機構
400:金型
410:キャビティ
A:成形材料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9