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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041351
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】エルボカバー
(51)【国際特許分類】
   F16L 57/00 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
F16L57/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146110
(22)【出願日】2022-09-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-26
(71)【出願人】
【識別番号】519162042
【氏名又は名称】サエン アルン オーバーシー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SAENG AROON OVERSEA COMPANY LIMITED.
【住所又は居所原語表記】33/9 Moo 3,Omyai,Samphran,Nakhonpathom 73160 THAILAND
(74)【代理人】
【識別番号】110002424
【氏名又は名称】ケー・ティー・アンド・エス弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】チャロエンチャイ アーワノン
【テーマコード(参考)】
3H024
【Fターム(参考)】
3H024AA02
3H024AB06
3H024AC05
(57)【要約】
【課題】エルボカバーを配管の屈曲部に取り付ける過程での不具合の発生を防止するための技術を提供すること。
【解決手段】配管の屈曲部をその軸線方向に延びる所定の対象範囲にわたって、前記軸線周りに包囲して保護するエルボカバーであって、前記屈曲部をその屈曲方向外側から前記軸線周りの正負方向に所定の角度範囲にわたって包囲する円弧状の断面形状で、前記屈曲部に沿って屈曲しながら延びる外側包囲部材と、前記外側包囲部材における前記軸線周りの端部それぞれに連結され、その端部の屈曲形状に沿った円弧状の扇形をなし、かつ、前記軸線周りに前記屈曲部の屈曲方向内側まで包囲可能な長さで延びる一対の内側包囲部材と、を備えており、前記外側包囲部材における前記軸線周りの端部と、前記内側包囲部材において扇形の円弧をなす端部とが、ハゼ折カシメによって連結されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の屈曲部をその軸線方向に延びる所定の対象範囲にわたって、前記軸線周りに包囲して保護するエルボカバーであって、
前記屈曲部をその屈曲方向外側から前記軸線周りの正負方向に所定の角度範囲にわたって包囲する円弧状の断面形状で、前記屈曲部に沿って屈曲しながら延びる外側包囲部材と、
前記外側包囲部材における前記軸線周りの端部それぞれに連結され、その端部の屈曲形状に沿った円弧状の扇形をなし、かつ、前記軸線周りに前記屈曲部の屈曲方向内側まで包囲可能な長さで延びる一対の内側包囲部材と、を備えており、
前記外側包囲部材における前記軸線周りの端部と、前記内側包囲部材において扇形の円弧をなす端部とが、ハゼ折カシメによって連結されている、
エルボカバー。
【請求項2】
前記外側包囲部材は、
前記対象範囲の一端側および他端側それぞれにおいて、前記屈曲部に沿って延びる一対の第1外側包囲部材と、
一対の前記第1外側包囲部材間において、前記屈曲部に沿って延びる第2外側包囲部材と、を備え、
前記内側包囲部材と前記外側包囲部材との連結部分は、前記第1外側包囲部材との連結部分のなす屈曲形状の曲率半径が、前記第2外側包囲部材との連結部材における曲率半径よりも大きい、
請求項1に記載のエルボカバー。
【請求項3】
前記内側包囲部材と前記外側包囲部材との連結部分は、前記第1外側包囲部材との連結部分のなす屈曲形状の曲率半径が、前記第2外側包囲部材との連結部材における曲率半径の3倍以上となっている、
請求項2に記載のエルボカバー。
【請求項4】
前記内側包囲部材と前記外側包囲部材との連結部分は、前記内側包囲部材において扇形の円弧をなす端部領域と、前記外側包囲部材において前記軸線周りの端部領域とを折り曲げたハゼ部を形成し、このハゼ部を前記外側包囲部材側に倒すことにより構成されている、
請求項1または請求項2に記載のエルボカバー。
【請求項5】
前記外側包囲部材は、
それぞれ前記軸線方向に隣接する部材が、前記軸線周りの一端側から他端側に至る範囲にわたり、ハゼ折カシメによって連結されており、この連結部分が、前記軸線周りの一端から他端に至る範囲にわたって隣接する領域を折り曲げたハゼ部を形成し、このハゼ部を前記外側包囲部材の表面に沿って倒すことにより構成されている、
請求項1または請求項2に記載のエルボカバー。
【請求項6】
前記外側包囲部材は、
一対の前記第1外側包囲部材間を前記軸線方向に分割した複数の範囲それぞれにおいて、前記屈曲部に沿って延びる複数の前記第2外側包囲部材が備えられている、
請求項5に記載のエルボカバー。
【請求項7】
前記外側包囲部材は、
前記第1外側包囲部材において前記軸線方向に延びる範囲が、前記第2外側包囲部材において前記軸線方向に延びる範囲よりも長い、
請求項1または請求項2に記載のエルボカバー。
【請求項8】
前記内側包囲部材それぞれを前記屈曲部の屈曲方向内側で連結する連結部材と、を備える、
請求項1または請求項2に記載のエルボカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管の屈曲部をその軸線周りに包囲して保護するエルボカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、配管の屈曲部をエルボカバーにより包囲して保護することが行われている。この種のエルボカバーは、屈曲部をその屈曲方向外側から内側に向けて包囲するように拡がることで収容空間が形成された部材であり、屈曲部の屈曲方向外側を包囲する部位と、屈曲方向内側を包囲する部位とが、リベットやハンダで連結されていることが一般的である(特許文献1参照)。
【0003】
このような構成のエルボカバーでは、その収容空間に屈曲部を収めた状態で、その屈曲方向内側にまで到達した端部同士を連結することによって、屈曲部への取付が実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特7028461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ただ、上述したエルボカバーは、配管の屈曲部に取り付ける過程で、端部同士を開いて開口および収容空間を拡げ、ここに屈曲部を収めた後で、この端部同士を閉じて連結することになるが、その開閉に伴う応力が意図しない変形や損傷などの不具合につながる懸念がある。例えば、収容空間が配管の屈曲部に合わない形状になってしまったり、エルボカバーを構成する各部位の連結部分が部分的に外れてしまうといった不具合である。
【0006】
このような不具合は、屈曲部を保護するというエルゴカバー本来の機能を損なうものであり、望ましいものではない。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、エルボカバーを配管の屈曲部に取り付ける過程での不具合の発生を防止するための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため第1局面のエルボカバーは、配管の屈曲部をその軸線方向に延びる所定の対象範囲にわたって、前記軸線周りに包囲して保護するエルボカバーであって、前記屈曲部をその屈曲方向外側から前記軸線周りの正負方向に所定の角度範囲にわたって包囲する円弧状の断面形状で、前記屈曲部に沿って屈曲しながら延びる外側包囲部材と、前記外側包囲部材における前記軸線周りの端部それぞれに連結され、その端部の屈曲形状に沿った円弧状の扇形をなし、かつ、前記軸線周りに前記屈曲部の屈曲方向内側まで包囲可能な長さで延びる一対の内側包囲部材と、を備えており、前記外側包囲部材における前記軸線周りの端部と、前記内側包囲部材において扇形の円弧をなす端部とが、ハゼ折カシメによって連結されている。
【0009】
この局面のエルボカバーは、外側包囲部材における軸線周りの端部と、内側包囲部材における扇形の円弧をなす端部とが、ハゼ折カシメによって連結されている。このハゼ折カシメでは、外側包囲部材および内側包囲部材それぞれの隣接する端部領域に、両者を折り曲げたハゼ部が軸線に沿って円弧上に形成される。
【0010】
これにより、その端部領域全体が強固に連結されるとともに、これがエルボカバーの骨格となって全体が補強される結果、エルボカバーを構成する各部位の連結部分が部分的に外れたり、収容空間が配管の屈曲部に合わない形状になってしまったり、といったことを効果的に予防できる。こうして、上記局面では、エルボカバーを配管の屈曲部に取り付ける過程での不具合の発生を防止することができる。
【0011】
また、上記局面は、以下に示す第2局面のようにしてもよい。
【0012】
第2局面のエルボカバーにおいて、前記外側包囲部材は、前記対象範囲の一端側および他端側それぞれにおいて、前記屈曲部に沿って延びる一対の第1外側包囲部材と、一対の前記第1外側包囲部材間において、前記屈曲部に沿って延びる第2外側包囲部材と、を備え、前記内側包囲部材と前記外側包囲部材との連結部分は、前記第1外側包囲部材との連結部分のなす屈曲形状の曲率半径が、前記第2外側包囲部材との連結部材における曲率半径よりも大きい。
【0013】
また、この局面は、以下に示す第3局面のようにしてもよい。
【0014】
第3局面のエルボカバーにおいて、前記内側包囲部材と前記外側包囲部材との連結部分は、前記第1外側包囲部材との連結部分のなす屈曲形状の曲率半径が、前記第2外側包囲部材との連結部材における曲率半径の3倍以上となっている。
【0015】
対象範囲の一端側および他端側、つまり第1外側包囲部材が包囲する屈曲部の範囲は、屈曲部としての曲がり初めおよび曲がり終わりであり、通常、その曲がり具合(曲率)の逆数である曲率半径が、対象範囲の中央部、つまり第2外側包囲部材が包囲する屈曲部の範囲よりも大きくなる。
【0016】
そのため、上記第2、第3局面のように、第1外側包囲部材と内側包囲部材との連結部分のなす屈曲形状の曲率半径が、第2外側包囲部材と内側包囲部材との連結部分のなす屈曲形状の曲率半径よりも大きくなっていることによって、収容空間をより屈曲部の形状に合わせやすくすることができる。
【0017】
また、上記各局面は、以下に示す第4局面のようにしてもよい。
【0018】
第4局面のエルボカバーにおいて、前記内側包囲部材と前記外側包囲部材との連結部分は、前記内側包囲部材において扇形の円弧をなす端部領域と、前記外側包囲部材において前記軸線周りの端部領域とを折り曲げたハゼ部を形成し、このハゼ部を前記外側包囲部材側に倒すことにより構成されている。
【0019】
この局面のエルボカバーは、内側包囲部材と外側包囲部材とを連結するハゼ部が外側包囲部材側に倒されている。これにより、このハゼ部が、外側包囲部材における部材同士の連結部を押さえた状態となるため、この部材同士をより強固に連結することができる。
【0020】
また、上記各局面は、以下に示す第5局面のようにしてもよい。
【0021】
第5局面のエルボカバーは、前記外側包囲部材は、それぞれ前記軸線方向に隣接する部材が、前記軸線周りの一端側から他端側に至る範囲にわたり、ハゼ折カシメによって連結されており、この連結部分が、前記軸線周りの一端から他端に至る範囲にわたって隣接する領域を折り曲げたハゼ部を形成し、このハゼ部を前記外側包囲部材の表面に沿って倒すことにより構成されている。
【0022】
この局面のエルボカバーは、外側包囲部材において隣接する部材それぞれが、ハゼ折カシメによって連結されている。このハゼ折カシメでは、外側包囲部材における部材それぞれの隣接する端部領域に、両者を折り曲げたハゼ部が軸線周りに延びるように形成される。
【0023】
これにより、その端部領域全体が強固に連結されるとともに、これがエルボカバーの骨格となって全体が補強される結果、外側包囲部材における各部材の連結部分が部分的に外れたり、収容空間が配管の屈曲部に合わない形状になってしまったり、といったことを効果的に予防できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本開示のエルボカバーを示す斜視図
図2】本開示のエルボカバーを配管の屈曲部に取り付けた状態を示す正面図
図3】本開示のエルボカバーにおけるハゼ折カシメ部分の要部断面図(1/2)
図4】本開示のエルボカバーを示す背面図または正面図
図5】本開示のエルボカバーを示す背面図(a)および正面図(b)
図6】本開示のエルボカバーにおけるハゼ折カシメ部分の要部断面図(2/2)
図7】別の実施形態におけるエルボカバーを示す正面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
(1)全体構成
【0026】
エルボカバー1は、図1図2に示すように、配管10の屈曲部11をその軸線13方向に延びる所定の対象範囲15にわたって、軸線13周りに包囲して保護するものである。このエルボカバー1は、屈曲部11に沿って屈曲しながら軸線13に沿って延びる外側包囲部材20と、外側包囲部材20における軸線13周りの端部それぞれに連結された一対の内側包囲部材30と、内側包囲部材30それぞれを屈曲部11の屈曲方向内側で連結する連結部材40と、を備える。
【0027】
外側包囲部材20は、屈曲部11をその屈曲方向外側から軸線13周りの正負方向に所定の角度範囲(本実施形態では120度~150度)にわたって包囲する円弧状の断面形状で、屈曲部11に沿って屈曲しながら延びている。
【0028】
この外側包囲部材20は、対象範囲15の一端側および他端側それぞれにおいて屈曲部11に沿って延びる一対の第1外側包囲部材21と、一対の第1外側包囲部材21間において屈曲部11に沿って延びる第2外側包囲部材23と、を備える。
【0029】
また、外側包囲部材20は、それぞれ軸線13方向に隣接する部材同士が、軸線13周りの一端側から他端側に至る範囲にわたり、ハゼ折カシメによって連結されている。この連結部分は、図3に示すように、軸線13周りの一端から他端に至る範囲にわたって隣接する領域を折り曲げたハゼ部25が形成され、このハゼ部25が外側包囲部材20の表面に沿って倒された構成となっている。本実施形態において、ハゼ部25は、外側包囲部材20の表面に沿ってそれぞれ同じ方向に倒されている。
【0030】
また、外側包囲部材20は、一対の第1外側包囲部材21間を軸線13方向に分割した複数の範囲それぞれにおいて、屈曲部11に沿って延びる複数の第2外側包囲部材23が備えられている。本実施形態では、一対の第1外側包囲部材21間を3分割した範囲それぞれに、屈曲部11に沿って延びる3つの第2外側包囲部材23が備えられている。
【0031】
また、外側包囲部材20は、図4に示すように、第1外側包囲部材21において軸線13方向に延びる範囲L1が、第2外側包囲部材23において軸線13方向に延びる範囲L2よりも長くなるように構成されている(L2<L1)。本実施形態では、第1外側包囲部材21における範囲L1(=75mm)が、第2外側包囲部材23における範囲L2(=15mm×3)以上となっている。
【0032】
内側包囲部材30は、図5に示すように、外側包囲部材20における軸線13周りの端部(図2において円弧状に延びる端部)にそれぞれ連結されており、その端部の屈曲形状に沿った円弧の扇形をなし、かつ、軸線13周りに屈曲部11の屈曲方向内側まで包囲可能な長さで半径方向に延びている。
【0033】
この内側包囲部材30において扇形の円弧をなす端部は、外側包囲部材20における軸線13周りの端部とハゼ折カシメによって連結されている。この連結部分は、図6に示すように、内側包囲部材30において扇形の円弧をなす端部領域と、外側包囲部材20において軸線13周りの端部領域とを折り曲げたハゼ部31が形成され、このハゼ部31が外側包囲部材20の表面に沿って外側包囲部材20側に倒された構成となっている。ここで、外側包囲部材20側に形成されているハゼ部25と重なる部分は、このハゼ部25を上から押さえるようにしてハゼ部31が倒されている。
【0034】
また、内側包囲部材30と外側包囲部材20との連結部分は、図4に示すように、第1外側包囲部材21との連結部分のなす屈曲形状の曲率半径R1が、第2外側包囲部材23との連結部材における曲率半径R2よりも大きい(R2<R1)。本実施形態では、第1外側包囲部材21との連結部分のなす屈曲形状の曲率半径R1(=185mm)が、第2外側包囲部材23との連結部材における曲率半径R2(=55mm)の3倍以上(具体的には55/185≒3.36)となっている。
【0035】
これにより、内側包囲部材30と外側包囲部材20との連結部分は、曲率半径R2となる範囲において、内側包囲部材30とすべての第2外側包囲部材23が連結された構成となっている。
【0036】
連結部材40は、一対の内側包囲部材30のうちの一方における先端側に設けられた係合部41と、他方における先端側に設けられた被係合部43と、を備え、これらを係合させることで内側包囲部材30それぞれを屈曲部11の屈曲方向内側で連結する。
【0037】
(2)変形例
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態をとり得ることはいうまでもない。
【0038】
例えば、上記実施形態では、外側包囲部材20が、一対の第1外側包囲部材21間を軸線13方向に3分割した範囲それぞれにおいて、屈曲部11に沿って延びる3つの第2外側包囲部材23が備えられている構成を例示した。しかし、この第2外側包囲部材23は、図7に示すように、屈曲部11の屈曲角度などに応じて1つのものであってもよいし、4つ以上のものであってもよい。
【0039】
また、上記実施形態では、第1外側包囲部材21において軸線13方向に延びる範囲L1が、第2外側包囲部材23において軸線13方向に延びる範囲L2よりも長くなるように構成されている(L2<L1)ものを例示した。しかし、第1外側包囲部材21における範囲L1は、第2外側包囲部材23における範囲L2と同じ長さとなっていてもよい。
【0040】
(3)作用,効果
上記実施形態のエルボカバー1は、外側包囲部材20における軸線周りの端部と、内側包囲部材30における扇形の円弧をなす端部とが、ハゼ折カシメによって連結されている。このハゼ折カシメでは、外側包囲部材20および内側包囲部材30それぞれの隣接する端部領域に、両者を折り曲げたハゼ部31が軸線に沿って円弧上に形成される。
【0041】
これにより、その端部領域全体が強固に連結されるとともに、これがエルボカバー1の骨格となって全体が補強される結果、エルボカバー1を構成する各部位の連結部分が部分的に外れたり、屈曲部11の収容される収容空間が配管の屈曲部に合わない形状になってしまったり、といったことを効果的に予防できる。こうして、エルボカバー1を配管10の屈曲部11に取り付ける過程での不具合の発生を防止することができる。
【0042】
また、対象範囲15の一端側および他端側、つまり第1外側包囲部材21が包囲する屈曲部11の範囲は、屈曲部11としての曲がり初めおよび曲がり終わりであり、通常、その曲がり具合(曲率)の逆数である曲率半径が、対象範囲15の中央部、つまり第2外側包囲部材23が包囲する屈曲部11の範囲よりも大きくなる。
【0043】
そのため、上記実施形態のように、第1外側包囲部材21と内側包囲部材30との連結部分のなす屈曲形状の曲率半径R1が、第2外側包囲部材23と内側包囲部材30との連結部分のなす屈曲形状の曲率半径R2よりも大きくなっていることによって、収容空間をより屈曲部11の形状に合わせやすくすることができる。
【0044】
また、上記実施形態のエルボカバー1は、内側包囲部材30と外側包囲部材20とを連結するハゼ部31が外側包囲部材20側に倒されている。これにより、このハゼ部31が、外側包囲部材20における部材同士の連結部(特にハゼ部25)を押さえた状態となるため、この部材同士をより強固に連結することができる。
【0045】
また、上記実施形態のエルボカバー1は、外側包囲部材20において隣接する部材それぞれが、ハゼ折カシメによって連結されている。このハゼ折カシメでは、外側包囲部材20における部材それぞれの隣接する端部領域に、両者を折り曲げたハゼ部25が軸線周りに延びるように形成される。
【0046】
これにより、その端部領域全体が強固に連結されるとともに、これがエルボカバー1の骨格となって全体が補強される結果、外側包囲部材20における各部材の連結部分が部分的に外れたり、収容空間が配管の屈曲部に合わない形状になってしまったり、といったことを効果的に予防できる。
【符号の説明】
【0047】
1…エルボカバー、10…配管、11…屈曲部、13…軸線、15…対象範囲、20…外側包囲部材、25…ハゼ部、30…内側包囲部材、31…ハゼ部、40…連結部材、41…係合部、43…被係合部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-06-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の屈曲部をその軸線方向に延びる所定の対象範囲にわたって、前記軸線周りに包囲して保護するエルボカバーであって、
前記屈曲部をその屈曲方向外側から前記軸線周りの正負方向に所定の角度範囲にわたって包囲する円弧状の断面形状で、前記屈曲部に沿って屈曲しながら延びる外側包囲部材と、
前記外側包囲部材における前記軸線周りの端部それぞれに連結され、その端部の屈曲形状に沿った円弧状の扇形をなし、かつ、前記軸線周りに前記屈曲部の屈曲方向内側まで包囲可能な長さで延びる一対の内側包囲部材と、を備えており、
前記外側包囲部材における前記軸線周りの端部と、前記内側包囲部材において扇形の円弧をなす端部とが、ハゼ折カシメによって連結されており、
前記外側包囲部材は、それぞれ前記軸線方向に隣接する部材が、前記軸線周りの一端側から他端側に至る範囲にわたり、ハゼ折カシメによって連結されており、この連結部分が、前記軸線周りの一端から他端に至る範囲にわたって隣接する領域を折り曲げた外側ハゼ部を形成し、この外側ハゼ部を前記外側包囲部材の表面に沿って倒すことにより構成されており、
前記内側包囲部材と前記外側包囲部材との連結部分は、前記内側包囲部材において扇形の円弧をなす端部領域と、前記外側包囲部材において前記軸線周りの端部領域とを折り曲げた内側ハゼ部を形成し、この内側ハゼ部が前記外側包囲部材側に倒して前記外側ハゼ部を上から押さえるように構成されている、
エルボカバー。
【請求項2】
前記外側包囲部材は、
前記対象範囲の一端側および他端側それぞれにおいて、前記屈曲部に沿って延びる一対の第1外側包囲部材と、
一対の前記第1外側包囲部材間において、前記屈曲部に沿って延びる第2外側包囲部材と、を備え、
前記内側包囲部材と前記外側包囲部材との連結部分は、前記第1外側包囲部材との連結部分のなす屈曲形状の曲率半径が、前記第2外側包囲部材との連結部材における曲率半径よりも大きい、
請求項1に記載のエルボカバー。
【請求項3】
前記内側包囲部材と前記外側包囲部材との連結部分は、前記第1外側包囲部材との連結部分のなす屈曲形状の曲率半径が、前記第2外側包囲部材との連結部材における曲率半径の3倍以上となっている、
請求項2に記載のエルボカバー。
【請求項4】
前記外側包囲部材は、
一対の前記第1外側包囲部材間を前記軸線方向に分割した複数の範囲それぞれにおいて、前記屈曲部に沿って延びる複数の前記第2外側包囲部材が備えられている、
請求項に記載のエルボカバー。
【請求項5】
前記外側包囲部材は、
前記第1外側包囲部材において前記軸線方向に延びる範囲が、前記第2外側包囲部材において前記軸線方向に延びる範囲よりも長い、
請求項1または請求項2に記載のエルボカバー。
【請求項6】
前記内側包囲部材それぞれを前記屈曲部の屈曲方向内側で連結する連結部材と、を備える、
請求項1または請求項2に記載のエルボカバー。