(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041352
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/20 20180101AFI20240319BHJP
F21V 11/08 20060101ALI20240319BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20240319BHJP
B60Q 1/26 20060101ALN20240319BHJP
F21W 103/60 20180101ALN20240319BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240319BHJP
【FI】
F21S43/20
F21V11/08
F21S43/14
B60Q1/26 Z
F21W103:60
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146111
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大久保 泰宏
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA24
3K339AA25
3K339AA43
3K339BA03
3K339BA22
3K339BA28
3K339CA12
3K339CA30
3K339DA01
3K339EA05
3K339GB01
3K339GB21
3K339HA01
3K339KA37
(57)【要約】
【課題】路面に照射されるパターンの外観が低下することを抑制することが可能な車両用灯具を提供する。
【解決手段】車両用灯具は、光を出射する光源と、光源から出射された光を集光する集光レンズと、集光レンズで集光された光の一部を通過させるスリットを有する遮光部材と、スリットを通過した光を路面に照射して照射パターンを形成する投影レンズとを備え、集光レンズは、光源からの光が入射する入射面と、入射面から入射した光を出射する出射面とを有する平板状であり、光源からの光の波面を収束方向の湾曲波面に変換するメタサーフェス部を入射面に有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する光源と、
前記光源から出射された前記光を集光する集光レンズと、
前記集光レンズで集光された前記光の一部を通過させるスリットを有する遮光部材と、
前記スリットを通過した前記光を路面に照射して照射パターンを形成する投影レンズと
を備え、
前記集光レンズは、前記光源からの光が入射する入射面と、前記入射面から入射した前記光を出射する出射面とを有する平板状であり、前記光源からの前記光の波面を収束方向の湾曲波面に変換するメタサーフェス部を前記入射面に有する
車両用灯具。
【請求項2】
前記光源は、単一色の光を出射し、
前記メタサーフェス部は、所定方向の寸法が前記光の波長の2倍以下である複数の突起部がマトリクス状に配置される
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記メタサーフェス部は、前記遮光部材に向けて集光される前記光の集光角度が光軸に対して15°以下となるように複数の前記突起部が形成される
請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記メタサーフェス部は、前記光源から前記光軸に対して60°以下の出射角度で出射される前記光が入射する範囲に複数の前記突起部が設けられる
請求項3に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
路面にパターンを照射することが可能な車両用灯具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の車両用灯具は、光源からの光を遮光部材のスリットに向けて集光レンズで集光し、スリットを通過した光を投影レンズにより路面に照射する構成である。この構成では、集光レンズとして凸レンズが用いられる。そのため、凸レンズの厚さの分、凸レンズの出射面を遮光部材側に配置する必要があり、スリットに向けた集光角度を大きくする必要がある。集光レンズの集光角度が大きくなると、スリットを通過した光が投影レンズの外周側まで入射するため、投影レンズの収差の影響を受けやすくなる。この場合、路面に形成されるパターンのエッジ部分がぼやけたり、カラーフリンジが発生したりする等、パターンの外観が低下する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、路面に照射されるパターンの外観が低下することを抑制することが可能な車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両用灯具は、光を出射する光源と、前記光源から出射された前記光を集光する集光レンズと、前記集光レンズで集光された前記光の一部を通過させるスリットを有する遮光部材と、前記スリットを通過した前記光を路面に照射して照射パターンを形成する投影レンズとを備え、前記集光レンズは、前記光源からの光が入射する入射面と、前記入射面から入射した前記光を出射する出射面とを有する平板状であり、前記光源からの前記光の波面を収束方向の湾曲波面に変換するメタサーフェス部を前記入射面に有する。
【0007】
上記の車両用灯具において、前記光源は、単一色の光を出射し、前記メタサーフェス部は、所定方向の寸法が前記光の波長の2倍以下である複数の突起部がマトリクス状に配置される。
【0008】
上記の車両用灯具において、前記メタサーフェス部は、前記遮光部材に向けて集光される前記光の集光角度が光軸に対して15°以下となるように複数の前記突起部が形成される。
【0009】
上記の車両用灯具において、前記メタサーフェス部は、前記光源から前記光軸に対して60°以下の出射角度で出射される前記光が入射する範囲に複数の前記突起部が設けられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、路面に照射されるパターンの外観が低下することを抑制することが可能な車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る車両用灯具の一例を示す分解斜視図である。
【
図2】
図2は、車両用灯具を前方から見た状態を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る車両用灯具の動作の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、車両用灯具により路面に形成される照射パターンの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、変形例に係る車両用灯具の動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る車両用灯具の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0013】
図1は、本実施形態に係る車両用灯具100の一例を示す分解斜視図である。
図2は、車両用灯具100を前方から見た状態を示す図である。
図1及び
図2に示すように、車両用灯具100は、光源部10と、集光レンズ20と、遮光部材30と、投影レンズ40と、支持部材50とを備える。
【0014】
光源部10は、光源11及び基板12を有する。光源11は、例えばLED等の半導体型光源である。光源11は、光を出射する発光面11aを有する。発光面11aは、集光レンズ20の入射面20aに対向して配置される。光源11は、発光面11aから単一色の光、例えば橙色(アンバー)の光を出射する。光源11は、例えば1つ配置される。なお、光源11は、複数設けられてもよい。また、発光面11aから出射される光の色は、橙色に限定されない。
【0015】
基板12は、光源11が実装される。基板12は、光源11に信号を伝達する配線、回路等が形成される。基板12は、後述する支持部材50のベース部51に固定される。
【0016】
集光レンズ20は、光源11から出射される光を遮光部材30側に集光して出射する。集光レンズ20は、例えば石英ガラス等、光を透過可能な材料を用いて平板状に形成される。集光レンズ20は、厚さ(前後方向の寸法)を0.1mm~1mm程度に形成することができる。集光レンズ20は、基板12に固定されてもよいし、後述する支持部材50のベース部51に固定されてもよい。
図3は、集光レンズ20の一例を示す図である。なお、
図3では、集光レンズ20に加えて、光源部10及び後述する遮光部材30についても示している。
【0017】
図3に示すように、集光レンズ20は、入射面20a及び出射面20bを有する。入射面20a及び出射面20bは、例えば平面状である。なお、入射面20a及び出射面20bは、湾曲した面であってもよい。集光レンズ20は、入射面20aが光源11に対向し、出射面20bが遮光部材30に対向するように配置される。
【0018】
集光レンズ20は、入射面20aにメタサーフェス部21を有する、いわゆるメタレンズである。メタサーフェス部21は、光源11からの入射波面を収束(クロス)方向の湾曲波面に変換する。メタサーフェス部21は、例えばGaN(窒化ガリウム)、Si3N4(窒化ケイ素)等を用いて形成される。入射面20aに設けられるメタサーフェス部21の作用により、入射面20aから入射した光の波面が収束方向の湾曲波面に変換されて出射面20bから出射される。このため、出射面20bから出射される光は、凸レンズのレンズ面から出射される場合と同様に、遮光部材30の後述するスリット33に向けて光軸AX側に収束するように集光された状態となる。
【0019】
メタサーフェス部21は、複数の突起部22を有する。突起部22は、柱状であり、入射面20aから光源11側に突出する。複数の突起部22は、例えば左右方向及び前後方向に沿って、所定のピッチでマトリクス状に配置される。複数の突起部22は、所定方向の寸法(幅)がそれぞれ光源11から出射される光の波長の2倍以下である。このように複数の突起部22の所定方向の寸法を光源11からの光の波長の2倍以下とすることで、位相への安定性が高くなり、より作り易くなるためコストを低減できる。本実施形態において、所定方向については、例えば前後方向又は左右方向のいずれかの寸法とすることができる。
【0020】
複数の突起部22は、例えば電子ビームリソグラフィ法、イオンエッチング法などの技術により形成することができる。なお、集光レンズ20は、メタサーフェス部21と当該メタサーフェス部21以外の部分とが誘電率及び透磁率の異なる材料で構成することができる。
【0021】
集光レンズ20において、メタサーフェス部21は、光源11から所定角度α以下の出射角度で出射される光が入射する範囲に設けられる。すなわち、集光レンズ20の入射面20aには、光源11から所定角度α以下の出射角度で出射される光が入射する範囲に複数の突起部22が形成される。また、集光レンズ20は、遮光部材30側に進行する光の集光角度が光軸AX側に対して所定角度β以下となるように、複数の突起部22が形成される。
【0022】
本実施形態において、基板12と集光レンズ20の入射面20aとの距離をD1、入射面20aから遮光部材30までの距離をD2、遮光部材30の後述するスリット33について光軸AXから左右方向の両端までの距離をD3、メタサーフェス部21について光軸AXから左右方向の両端までの寸法をD4とする。ここで、距離D1を2.5mm、距離D2を13.5mm、距離D3を2mm、距離D4を4.5mmとした場合、所定角度αを例えば60°とすることができ、所定角度βを例えば15°とすることができる。なお、距離D1から距離D4の各値、所定角度α、βの値については、上記に限定されない。
【0023】
図1及び
図2に戻り、遮光部材30は、スリット形成部31及びフレーム部32を有する。遮光部材30は、スリット形成部31及びフレーム部32が一つの部材として平板状に形成される。遮光部材30は、光を遮光可能な材料を用いて全体が形成される。このような材料としては、例えば金属等の材料が挙げられるが、他の材料が用いられてもよい。なお、遮光部材30は、スリット形成部31とフレーム部32とが別部材で形成された構成であってもよい。
【0024】
スリット形成部31は、例えば円形状に設けられる。スリット形成部31は、スリット33を有する。スリット33は、集光レンズ20で集光された光の一部を通過させる。スリット33は、例えば上下方向に3つ並んだ状態で形成される。スリット33の数及び配置については上記に限定されない。
【0025】
フレーム部32は、スリット形成部31から左右方向に直線状に突出する。フレーム部32は、左右方向の両側の角部は、丸みを帯びた形状となっている。フレーム部32は、前側及び後側の両面が平面状である。フレーム部32は、位置決め用開口部32a及び固定用開口部32bを有する。位置決め用開口部32aは、後述する支持部材50の位置決め用突出部53aが挿入される。固定用開口部32bは、後述する固定部材60が挿入される。
【0026】
遮光部材30は、前方から見て、集光レンズ20を覆うように形成される。この構成により、集光レンズ20を通過した光を遮光部材30により遮光することが可能となる。
【0027】
投影レンズ40は、レンズ部41と、筒状部42と、フレーム部43とを有する。レンズ部41は、スリット33を通過した光を車両前方の路面に投影して照射パターンを形成する。投影レンズ40は、レンズ部41、筒状部42及びフレーム部43が一つの部材として形成される。なお、投影レンズ40は、レンズ部41、筒状部42及びフレーム部43の少なくとも1つが別部材で形成された構成であってもよい。レンズ部41は、光源11からの光を透過可能な材料を用いて形成される。このような材料としては、例えばアクリル等の樹脂材料が挙げられるが、他の材料が用いられてもよい。この場合、レンズ部41を構成する材料を用いて一体成型することで、投影レンズ40の全体を容易に形成することができる。投影レンズ40は、集光レンズ20とは異なる材料により全体が形成された構成であるが、集光レンズ20と同一の材料を用いて全体が形成されてもよい。なお、投影レンズ40は、レンズ部41とは異なる部分、すなわち筒状部42及びフレーム部43のうちの少なくとも一部がレンズ部41とは異なる材料を用いて形成されてもよい。
【0028】
レンズ部41は、入射面41aと、出射面41bとを有する(
図4参照)。入射面41aは、スリット33を通過した光が入射する。出射面41bは、入射面41aから入射した光を前方に出射する。
【0029】
筒状部42は、レンズ部41を保持する。筒状部42は、例えば円筒状である。筒状部42は、レンズ部41とフレーム部43との間を接続する。筒状部42は、フレーム部43に対して前方に突出するように設けられる。この構成により、レンズ部41がフレーム部43に対して前方に配置された状態となる。
【0030】
フレーム部43は、筒状部42を介してレンズ部41を保持する。フレーム部43は、平板状である。フレーム部43は、筒状部42から上下方向に突出する環状部45と、筒状部42から左右方向に突出する帯状部46とを有する。環状部45は、筒状部42の外周に沿って環状に設けられる。帯状部46は、筒状部42から左右方向に直線状に設けられる。帯状部46の左右方向の両側の角部は、丸みを帯びた形状となっている。帯状部46は、位置決め用開口部46a及び固定用開口部46bを有する。位置決め用開口部46aは、後述する支持部材50の位置決め用突出部53aが挿入される。固定用開口部46bは、後述する固定部材60が挿入される。帯状部46は、接触部46c、46dを有する。接触部46cは、位置決め用開口部46aの外周に沿って配置され、帯状部46から後方に突出する。接触部46dは、固定用開口部46bの外周に沿って配置され、帯状部46から後方に突出する。接触部46c、46dは、突出方向の先端面が平面状に形成される。フレーム部43は、接触部46c、46dにおいて遮光部材30に接触する。この構成により、帯状部46のうち接触部46c、46dの突出方向の高さ等の寸法を適切に規定することで、フレーム部43の位置精度を確保することができる。
【0031】
支持部材50は、ベース部51と、フィン52と、固定部53とを有する。ベース部51は、平板状である。ベース部51は、光源部10を支持する支持面51aを有する。支持面51aは、ベース部51の前側の面であり、基板12を支持する。
【0032】
フィン52は、ベース部51から後方に突出する。フィン52は、複数設けられる。フィン52は、光源11において発生する熱を放出する。
【0033】
固定部53は、ベース部51の支持面51aから前方に突出している。固定部53は、フレーム部32及びフレーム部43を固定する。固定部53は、位置決め用突出部53aと、固定用開口部53bとを有する。位置決め用突出部53a及び固定用開口部53bは、固定部53の前方の端面53cに設けられる。
【0034】
位置決め用突出部53aは、前方に突出し、フレーム部32に設けられる位置決め用開口部32a、フレーム部43の帯状部46に設けられる位置決め用開口部46aを前後方向に貫通する。固定用開口部53bは、後述する固定部材60が挿入される。
【0035】
端面53cは、例えば平面状に形成される。端面53cは、光軸AXに垂直又はほぼ垂直となるように形成される。
【0036】
固定部材60は、フレーム部32及びフレーム部43を固定部53に固定する。固定部材60は、例えばねじ等の締結部材が用いられる。固定部材60は、フレーム部32に設けられる固定用開口部32b、フレーム部43の帯状部46に設けられる固定用開口部46bを貫通して、固定部53の固定用開口部53bに挿入される。
【0037】
次に、上記のように構成された車両用灯具100の動作の一例を説明する。
図4は、本実施形態に係る車両用灯具100の動作の一例を示す図である。運転者による方向指示器等の操作に応じて、又はハザードランプ等の点灯に連動して、車両用灯具100は、光源11の発光面11aから光を出射する。
【0038】
発光面11aから出射された光Lは、集光レンズ20の入射面20aに入射し、入射面20aに設けられるメタサーフェス部21の作用により入射波面が収束方向の湾曲波面に変換される。波面が変換された光Lは、光軸AX側に集光された状態で出射面20bから前方に出射される。
【0039】
出射面20bから前方に出射された光Lは、遮光部材30のスリット形成部31に到達する。スリット形成部31に到達した光Lの一部は、遮光部材30のスリット33を通過し、残りは遮光部材30により遮光される。スリット33を通過した光Lは、レンズ部41の入射面41aに入射し、出射面41bから車両前方に出射される。
【0040】
図5は、車両用灯具100により路面に形成される照射パターンの一例を示す図である。
図5に示すように、車両前方に出射された光Lにより、車両前方の路面上に照射パターンPが形成される。
【0041】
図6は、変形例に係る車両用灯具150の動作の一例を示す図である。
図6に示す車両用灯具150は、集光レンズとして凸レンズ120が設けられた構成である。集光レンズとして凸レンズ120が用いられる場合、光源11と遮光部材30との間において、凸レンズ120の厚さがあるため、本実施形態に係る集光レンズ20の出射面20bに比べて、出射面120bが遮光部材30側に配置される。このため、凸レンズ120を用いる場合、本実施形態に係る集光レンズ20よりも光LAの集光角度γを大きくする必要がある。集光角度γが大きくなると、スリット33を通過した光LAが、投影レンズ40の入射面41aの外周側まで到達する。投影レンズ40の外周側は、光軸AX側に比べて収差の影響を受けやすい。このため、照射パターンPのエッジ部分がぼやけたり、カラーフリンジが発生したりする等、照射パターンPの外観が低下する可能性がある。
【0042】
これに対して、
図4に示すように、本実施形態に係る車両用灯具100は、集光レンズ20が平板状であり、入射面20aにメタサーフェス部21を有する構成である。そのため、凸レンズ120を用いる場合に比べて薄型化が可能であり、出射面20bの位置を光源11側に配置させることができる。したがって、凸レンズ120を用いる場合に比べて、集光角度βを小さくすることができる。この場合、スリット33を通過した光Lは、投影レンズ40の入射面41aの外周側には到達しない。したがって、投影レンズ40のうち収差の影響が大きい部分を利用することなく照射パターンPを形成できる。このため、照射パターンPを明瞭に形成することができる。また、
図4に示す例では、例えばレンズ部41のうちスリット33を通過した光Lの入射範囲に対応した光軸側部分41Sを残して、当該光軸側部分41Sの外周側を削除した構成とすることができる。この場合、投影レンズ40を小型化することができる。また、入射面41aの大きさがスリット33を通過した光Lの入射範囲に対応するように、投影レンズ40のレンズ部41を例えば相似形で縮小した構成としてもよい。
【0043】
以上のように、本実施形態に係る車両用灯具100は、光を出射する光源11と、光源11から出射された光を集光する集光レンズ20と、集光レンズ20で集光された光の一部を通過させるスリット33を有する遮光部材30と、スリット33を通過した光を路面に照射して照射パターンPを形成する投影レンズ40とを備え、集光レンズ20は、光源11からの光が入射する入射面20aと、入射面20aから入射した光を出射する出射面20bとを有する平板状であり、光源11からの光の波面を収束方向の湾曲波面に変換するメタサーフェス部21を入射面20aに有する。
【0044】
この構成によれば、集光レンズ20が入射面20a及び出射面20bを有する平板状であり、光源11からの光の波面を収束方向の湾曲波面に変換するメタサーフェス部21を入射面20aに有するため、凸レンズを用いる場合に比べて、厚さを薄くすることができる。このため、出射面20bの位置を光源11側に配置させる構成とすることができ、遮光部材30への集光角度を小さくすることができる。したがって、投影レンズ40のうち収差の影響が大きい部分を利用することなく照射パターンPを形成できるため、照射パターンPの外観の低下を抑制することができる。
【0045】
本実施形態に係る車両用灯具100において、光源11は、単一色の光を出射し、メタサーフェス部21は、所定方向の寸法が光の波長の2倍以下である複数の突起部22がマトリクス状に配置される。この構成によれば、単一色の光の波長に応じて、適切な突起部22を形成することができる。また、所定方向の寸法を光の波長の2倍以下とすることにより、位相への安定性が高くなり、より作り易くなるためコストを低減できる。
【0046】
本実施形態に係る車両用灯具100において、メタサーフェス部21は、遮光部材30に向けて集光される光の集光角度が光軸に対して15°以下となるように複数の突起部22が形成される。また、メタサーフェス部21は、光源11から光軸に対して60°以下の出射角度で出射される光が入射する範囲に複数の突起部22が設けられる。この構成によれば、スリット33を通過する光が投影レンズ40の周縁部に入射することをより確実に抑制することができる。
【0047】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記実施形態では、車両用灯具100が車両Mの前部に配置される構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。車両用灯具100は、車両Mの後部又は側部に配置される構成であり、車両Mの後方又は側方の路面に照射パターンを形成する構成であってもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、光源11が単一色の光を出射する構成を例に挙げて説明したが、この構成に限定されない。光源11は、単一色以外の光を出射する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0049】
AX…光軸、D1,D2,D3,D4…距離、M…車両、P…照射パターン、10…光源部、11…光源、11a…発光面、12…基板、20…集光レンズ、20a,41a…入射面、20b,41b,120b…出射面、21…メタサーフェス部、22…突起部、30…遮光部材、31…スリット形成部、32,43…フレーム部、32a,46a…位置決め用開口部、32b,46b,53b…固定用開口部、33…スリット、40…投影レンズ、41…レンズ部、41S…光軸側部分、42…筒状部、45…環状部、46…帯状部、46c,46d…接触部、50…支持部材、51…ベース部、51a…支持面、52…フィン、53…固定部、53a…位置決め用突出部、53c…端面、60…固定部材、100,150…車両用灯具、120…凸レンズ