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特開2024-41358結束バンド回収装置および結束バンド回収方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041358
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】結束バンド回収装置および結束バンド回収方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 69/00 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
B65B69/00 102
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146117
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000168551
【氏名又は名称】鋼鈑工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡山 智将
(72)【発明者】
【氏名】高永 洋平
(72)【発明者】
【氏名】下野 政広
(72)【発明者】
【氏名】徳本 貴紀
(72)【発明者】
【氏名】中島 新吾
(72)【発明者】
【氏名】大村 泰弘
【テーマコード(参考)】
3E058
【Fターム(参考)】
3E058AA08
3E058BA10
3E058CA03
3E058EA10
3E058FA06
(57)【要約】
【課題】バンドの進行不良を削減することのできる結束バンド回収装置および方法を提供する。
【解決手段】積層された板材またはコイル状に巻かれた板材に巻回された複数の結束バンドを切断する複数のバンド切断手段と、切断された前記結束バンドを回収するバンド処理手段と、切断された前記結束バンドを前記バンド処理手段に向けて送り出すピンチロールおよび誘導ガイドと、前記結束バンドの送りに対し前記誘導ガイドの入口より上流側に設置されたバンド位置検出手段およびバンド位置調整手段と、を備え、前記バンド位置検出手段が検出した前記結束バンドの位置に基づき、前記バンド位置調整手段が前記結束バンドを把持して、該結束バンドを所定の位置に移動させて前記ピンチロールに受け渡すように構成されている、結束バンド回収装置である。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された板材またはコイル状に巻かれた板材に巻回された複数の結束バンドを切断する複数のバンド切断手段と、
切断された前記結束バンドを回収するバンド処理手段と、
切断された前記結束バンドを前記バンド処理手段に向けて送り出すピンチロールおよび誘導ガイドと、
前記結束バンドの送りに対し前記誘導ガイドの入口より上流側に設置されたバンド位置検出手段およびバンド位置調整手段と、
を備え、
前記バンド位置検出手段が検出した前記結束バンドの位置に基づき、前記バンド位置調整手段が前記結束バンドを把持して、該結束バンドを所定の位置に移動させて前記ピンチロールに受け渡すように構成されている、結束バンド回収装置。
【請求項2】
さらに、制御手段を備え、
制御手段は、前記バンド位置検出手段が正常に機能していることを認識したうえで、
1)前記バンド位置検出手段が前記結束バンドを検出できないとき、および、
2)前記バンド位置調整手段が前記結束バンドを把持できないとき
のいずれかまたは両方のときに異常と判定するように構成されている、請求項1に記載の結束バンド回収装置。
【請求項3】
前記制御手段は、異常と判定したときに、自動ライン停止および警報出力する機能を備えている、請求項2に記載の結束バンド回収装置。
【請求項4】
積層された板材またはコイル状に巻かれた板材に巻き付けられた複数の結束バンドを複数のバンド切断手段により切断するバンド切断工程と、
切断された前記結束バンドをピンチロールおよび誘導ガイドで送り出すバンド送出工程と、
送り出された前記結束バンドを回収するバンド処理工程と、
を含み、
前記バンド切断工程後誘導ガイドに送り出されるまでの間に結束バンドの位置を検出し、バンド位置調整手段により前記結束バンドを把持して、前記結束バンドを所定の位置に移動してピンチロールに受け渡す、結束バンド回収方法。
【請求項5】
前記結束バンドの位置を検出する装置が正常に機能することを確認したうえで、
1)前記結束バンドの位置が検出されないとき、および、
2)バンド位置調整手段が前記結束バンドを把持しないとき
のいずれかまたは両方のときに異常と判定する、請求項4に記載の結束バンド回収方法。
【請求項6】
前記異常と判定したとき、制御手段により自動でラインを停止し、警報を出力する、請求項5に記載の結束バンド回収方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層された板材またはコイル状に巻かれた板材に巻き付けられた結束バンドを切断して回収する装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コイル状鋼板のスプリングバックや巻緩みを防止するために、結束バンドがコイル状鋼板に巻回されている。コイル状鋼板を次ラインへ装入する前に、その結束バンドを除去し回収する必要がある。
【0003】
たとえば図2に示す設備配置において結束バンドを切断し、切断した結束バンドの回収までを自動で実施する設備を有するラインがある。アンコイラ14へ装入するまでの間に結束バンドをオンライン上で処理している。
【0004】
次コイル装入までの時間が短い場合,切断から回収までの時間が生産能力に直結するため結束バンド回収装置は重要な設備となっている。
【0005】
図3に示すように生産ロスを低減することを目的として,2条掛けの結束バンドを1回の動作で切断・回収するためにカッターヘッド15を2つ有している設備がある。
【0006】
しかしながら結束バンド回収装置において結束バンドの回収不良が発生して、結束バンドがライン下方に落下しケーブルベア(登録商標)12を故障させる原因の1つになっている。
【0007】
回収不良の主な原因は図4に示すように、結束バンドの進行不良によって、切断後の結束バンドが誘導ガイド3に突っかかるものである。これまで突っかけリスクを低減するための対策を行ってきているが撲滅できていない。
【0008】
たとえば、特許文献1には、入側能力向上を目的として結束バンド数に依らず1組の装置で処理できる装置が開示されている。特許文献2には、結束バンドの切断時に、板材の疵付き対策のために刃の駆動構成を変更する技術が開示されている。特許文献3には、結束バンドの回収後にスクラップバック容積占有率を改善する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2016-033063号公報
【特許文献2】特開2013-147291号公報
【特許文献3】特開平04-327316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来技術には、以下のような課題があった。
すなわち、特許文献1~3に記載の技術では、結束バンドの切断から回収までのフローでの結束バンドの回収不良が改善されていない問題がある。
【0011】
誘導ガイドへの結束バンドの突っかかり頻度はカッターヘッドが1つの設備と2つの設備で大きく異なっていることが分かっている。
【0012】
そこで図5に示すように誘導ガイドとカッターヘッドの位置関係を検討した。その結果2つのカッターヘッドを有する場合は、バンド送り時に、衝突位置IPで示す誘導ガイドの側面に接触することで突っかけによる回収不良が発生していることが推定された。
【0013】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、バンドの進行不良を削減することのできる結束バンド回収装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明者らは、結束バンドを誘導ガイドの中央に位置させることで回収不良の低減が見込まれることからバンドを移動させる手段を設置することで結束バンドの回収率が向上することを見出し、発明を完成させた。
【0015】
上記課題を有利に解決する本発明にかかる結束バンド回収装置は、積層された板材またはコイル状に巻かれた板材に巻回された複数の結束バンドを切断する複数のバンド切断手段と、切断された前記結束バンドを回収するバンド処理手段と、切断された前記結束バンドを前記バンド処理手段に向けて送り出すピンチロールおよび誘導ガイドと、前記結束バンドの送りに対し前記誘導ガイドの入口より上流側に設置されたバンド位置検出手段およびバンド位置調整手段と、を備え、前記バンド位置検出手段が検出した前記結束バンドの位置に基づき、前記バンド位置調整手段が前記結束バンドを把持して、該結束バンドを所定の位置に移動させて前記ピンチロールに受け渡すように構成されていることを特徴とする。
【0016】
なお、本発明にかかる結束バンド回収装置は、
(a)さらに、制御手段を備え、制御手段は、前記バンド位置検出手段が正常に機能していることを認識したうえで、1)前記バンド位置検出手段が前記結束バンドを検出できないとき、および、2)前記バンド位置調整手段が前記結束バンドを把持できないときのいずれかまたは両方のときに異常と判定するように構成されていること、
(b)前記制御手段は、異常と判定したときに、自動ライン停止および警報出力する機能を備えていること、
などがより好ましい解決手段になり得るものと考えられる。
【0017】
上記課題を有利に解決する本発明にかかる結束バンド回収方法は、積層された板材またはコイル状に巻かれた板材に巻き付けられた複数の結束バンドを複数のバンド切断手段により切断するバンド切断工程と、切断された前記結束バンドをピンチロールおよび誘導ガイドで送り出すバンド送出工程と、送り出された前記結束バンドを回収するバンド処理工程と、を含み、前記バンド切断工程後誘導ガイドに送り出されるまでの間に結束バンドの位置を検出し、バンド位置調整手段により前記結束バンドを把持して、前記結束バンドを所定の位置に移動してピンチロールに受け渡すことを特徴とする。
【0018】
なお、本発明にかかる結束バンド回収方法は、
(c)前記結束バンドの位置を検出する装置が正常に機能することを確認したうえで、1)前記結束バンドの位置が検出されないとき、および、2)バンド位置調整手段が前記結束バンドを把持しないときのいずれかまたは両方のときに異常と判定すること、
(d)前記異常と判定されたとき、制御手段により自動でラインを停止し、警報を出力すること、
などがより好ましい解決手段になり得るものと考えられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明にかかる結束バンド回収装置および方法によれば、バンドの進行不良を抑止しバンド回収率の向上が可能となる。それにより、ケーブルベア(登録商標)破損によるライン休止の抑止とバンド回収に伴う外注作業の費用削減、定修頻度削減に伴う生産量増加といった効果が見込まれるので産業上有用である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態にかかる結束バンド回収装置の模式図であって、(a)は模式側面図を示し、(b)は(a)のA-A’視概略図を示す。
図2】上記実施形態にかかる結束バンド回収装置を適用するコイル状板材の処理ライン内における設備位置関係を示す模式図である。
図3】カッターヘッドを2つ有する結束バンドの切断手段を例示する模式図であって、(a)は模式平面図を示し、(b)は模式側面図を示す。
図4】結束バンドの回収不良(回収失敗)の割合、およびその原因の内訳を示すグラフである。
図5】カッターヘッドの数による結束バンドの進行不良発生要因を示す図であって、(a)はカッターヘッドが2個の場合を示し、(b)はカッターヘッドが1個の場合を示す。
図6】(a)~(d)は上記実施形態にかかる結束バンド回収装置を用いて、結束バンドの切断から回収までのフローを例示する模式図である。
図7】(a)~(f)は上記実施形態に係るクランプ装置の動作フローを示す模式図である。
図8】本実施形態適用後の結束バンド回収成功率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。また、以下の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための設備や方法を例示するものであり、構成を下記のものに特定するものでない。すなわち、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0022】
図1(a)は、一実施形態にかかる結束バンド回収装置の拡大模式図である。図1(b)は、図1(a)の結束バンドの送りに対しピンチロールより上流側から見たA-A’視模式図である。図2はコイル状板材の処理ライン内における設備位置関係を示す模式図である。
【0023】
本実施形態の結束バンド回収装置13は、バンド切断手段と、バンド処理手段と、ピンチロール2および誘導ガイド3と、バンド位置検出手段とおよびバンド位置調整手段と、を備える。図2の例では、バンド切断手段としてのカッターヘッド15は、コイル8に巻回された結束バンド1を切断する機能を有する。ピンチロール2は、カッターヘッド15によって切断された結束バンドを、誘導ガイド3を経由してバンド処理手段としての巻縮機4に向けて送り出す機能を有する。バンド処理手段としての巻縮機4を通過した結束バンド1を蓄積する図示しないストッカーなどを有していてもよい。また、バンド処理手段として、巻縮機4にかえて、裁断機を用いてもよい。バンド処理手段は、バンドの廃棄にあたり、容積を削減できる機能を有することが好ましい。
【0024】
本実施形態では、ピンチロール2への結束バンド1の送入位置を調整するために、バンド位置検出手段とバンド位置調整手段とを具えている。図1の例では、カーターヘッド1とピンチロール2との間に設けられたピンチロール入側ガイド上にレーザー距離計6とクランプ装置5とを設けている。バンド位置検出手段としてのレーザー距離計6はピンチロール入側ガイド上の結束バンド1の先端を検知する機能を有する。バンド位置調整手段としてのクランプ装置5は、結束バンド1を把持しピンチロール2の軸方向に移動させる機能を有する。バンド位置検出手段としては、発光器と受光器との組み合わせによる光電センサーなどによって結束バンドが光路を遮断することを検知するようにしてもよい。また、高解像度の撮像手段によって、結束バンド1を撮影してもよい。クランプ装置5を設置する位置は結束バンドの送りに対し誘導ガイド3の入口より上流であれば場所を選ばない。ピンチロール2の上流または下流に近接することが好ましい。バンド位置検出手段とバンド位置調整手段とは、別々に設置してもよい。図1に示すようにクランプ装置5にレーザー距離計6を設置して同時に移動するようにすることが好ましい。
【0025】
本実施形態の結束バンド回収装置13を適用して好適な設備を図2に例示する。この設備は、たとえば、コイル状に巻かれた鋼帯を圧延する設備の入側が例示される。コイル8はコイルコンベア9に載置されて運び込まれる。コイルコンベア9上のコイル8は移載機10によって、コイルカー11に移載される。コイルカー11上で結束バンド回収装置によって、コイル8に巻回された結束バンド1を切断し、回収する。結束バンド1を外されたコイル8はケーブルベア(登録商標)12によってコイルカー11に載置されたままアンコイラ14に運ばれて設置される。コイル8はアンコイラ14によって巻き戻されて圧延機などに送られて処理される。図2の例ではコイル8に巻回された結束バンド1を例に説明したが、本実施形態の結束バンド回収装置13は、積層した板状部材を梱包した結束バンド1にも適用できる。図3に示すようにコイル8には複数の結束バンド1が巻回されており、複数のカッターヘッドによりそれぞれの結束バンド1が切断される。
【0026】
本実施形態では、さらに、図1(b)に示すように、バンド位置検出手段からの検出値などを入力し、バンド位置調整手段に動作を指令する制御装置16をさらに備えることが好ましい。制御装置16はバンド位置検出手段が正常に機能しているか、自己診断する機能を有することが好ましい。たとえば、待機位置において、レーザー距離計6が事前に把握した所定の位置にある対象物の距離を検知し、得られた距離値が所望の値の範囲にあることを正常と判断することができる。レーザー距離計6が所定時間内に所定の距離値を制御装置16に送出してこなかったり、得られた距離値が所望値とかけ離れたりしている場合には、制御装置16レーザー距離計6が故障していると判断する。その場合、以降の自動処理を取りやめることができる。
【0027】
制御装置16は、クランプ装置5と一緒に移動したレーザー距離計6が所定の範囲内の移動で結束バンドを検出できなかったときに、異常と判定することが好ましい。また、制御装置16はクランプ装置5が結束バンド1を把持できないときに、異常と判定することが好ましい。結束バンド1のクランプ51による把持は、たとえば、上クランプ51aによって押し下げられた結束バンド1がリミッターに接触することなどで把握することができる。
【0028】
制御装置16は、上記のように結束バンドの回収作業が異常と判断したときに、アラームを出力するとともに、関連設備の自動ラインを停止する信号を出力することが好ましい。
【0029】
制御装置16は、タイマーと切替えスイッチ(リレー)、論理回路を含むシーケンサー(PLC)や中央演算処理装置(CPU)を含むコンピュータで構成することができる。また、制御装置16の出力は、上位のプロセスコンピュータなどにも送出されることが好ましい。
【0030】
本発明の他の実施形態である結束バンド回収方法を図6および図7のフロー図に基づいて説明する。図6(a)~(d)は図2に例示した結束バンド回収装置13の部分拡大模式図である。それぞれ結束バンド1の切断から回収までのフローを示す。図7(a)~(f)は、クランプ装置5の動作をフロー図で示す模式図である。
【0031】
(1)結束バンドの切断(図6(a))
コイルカー11上に載置されたコイル8から、巻回した結束バンド1がバンド切断手段であるバンドカッター15によって切断される。このとき下ピンチロール2bは下方の待機位置にある。
(2)結束バンドの先頭送り(図6(b))
切断した結束バンド1の先頭部分をカッターヘッド15に保持して結束バンド1を引き抜き、ピンチロール2で挟持できる入りまで牽引する。
(3)結束バンドのピンチロール挟持(図6(c))
下ピンチロール2bを跳ね上げて、上ピンチロール2aとの間で結束バンド1の先頭部分を挟持する。結束バンド1はピンチロール2によって後退前進し、さらに、クランプ装置によって移動し、結束バンド1の位置調整したうえで誘導ガイド3に送られる。結束バンド1は誘導ガイド3を経由して、先頭部分が巻縮機4に送入される。
(4)結束バンドの巻縮および回収(図6(d))
結束バンド1は巻縮機4によって巻縮される。巻縮されたバンド1aはシュート17を経由してバンドバッグやストッカーなどに送られる。このとき、下ピンチロール2bは待機位置に後退している。
【0032】
本実施形態では、上記で説明した結束バンド1の先端部分をピンチロール2で巻縮機4に送るにあたり、クランプ装置5によって、ピンチロール2軸方向の中央に結束バンド1の先端を移動させる。以下、そのフローを図7に基づき説明する。
(ア)待機位置(図7(a))
クランプ装置5はクランプ後退限界位置BLに位置している。上クランプ51aは昇降装置52によって上昇限に位置している。ここで、制御装置16がレーザー距離計6が正常に機能するか確認することが好ましい。結束バンド1が切断され、カッターヘッド15によってピンチロール2で挟持できる位置に牽引される。切断された結束バンド1をピンチロール2によって挟持し、送り戻す。そして、クランプ装置5を起動する。また、結束バンド1を送り戻してその先端が誘導ガイドの入口より上流側に位置させることが好ましい。クランプ後退限界位置BLは、ピンチロール2の軸方向で、ピンチロール2が結束バンドを挟持できる範囲の外側にあることが好ましい。
(イ)クランプ装置の起動と結束バンドの検出(図7(b))
クランプ装置5がピンチロール2の軸方向であって、誘導ガイド中央CLに向かって前進FWを行う。レーザー距離計6は結束バンド1からのレーザー光LEの反射を検知し、その距離値を制御装置16に送出する。制御装置16は、結束バンド1の検知を入力されてから、所定の位置でクランプ装置5の移動を停止する。停止位置は、クランプ51が結束バンド1を確実に把持できる位置を選ぶことが好ましい。
(ウ)上クランプの下降とピンチロールの解放(図7(c))
昇降装置52により上クランプ51aの下降DWを行う。上クランプ51aで結束バンド1を押し下げ、下クランプ51bとの間に挟持し把持する。把持の完了は、押し下げられた結束バンド1がリミッターに接触することやレーザー距離計6により結束バンド1の位置を検出することで把握することができる。上クランプ51aの下降完了とともにピンチロール2を解放する。上記例では、下ピンチロール2bを下げることで行う。
(エ)クランプ装置の再前進とピンチロールの圧下(図7(d))
クランプ51で結束バンド1を把持したまま再びクランプ装置5の前進FWを行う。前進FWはクランプ装置5がクランプ前進限界位置FLに到達し、クランプ51の端が誘導ガイド中央位置CLに接するまでとする。クランプ装置5が停止したらピンチロール2で再び結束バンド1を挟持し圧下する。
(オ)上クランプ上昇(図7(e))
昇降装置52により上クランプ51aの上昇UWを行い、結束バンド1を解放する。
(カ)クランプ装置の後退(図7(f))
上昇UWが完了したら、クランプ後退限界位置BLまでクランプ装置5の後退BWを行う。
(キ)結束バンドの処理
ピンチロール2により結束バンド1を挟持し、結束バンド1を誘導ガイドに向けて送出する。結束バンド1の送出が所定時間進み、巻縮機4が所定長さの結束バンドを巻縮したら、あわせて、ピンチロール2をわずかに開き、結束バンド1の挟持を解放する。
図7の例では、誘導ガイド中央位置CLに対し、ピンチロール2の軸方向で片側のみ例示しているが、反対側でも同様の装置を配置し、同様の動作を行うことが好ましい。
【実施例0033】
本実施形態のバンド位置検出手段およびバンド位置調整手段を用いて、結束バンドの回収作業を行った発明例と、それらを用いずに結束バンドの回収を行った従来例とでバンド回収の成功率を比較した。結果を図8に示す。従来例は、89391回のバンド回収機会に対し、87%の成功率であったのに対し、発明例では、18819回のバンド回収機会に対し、97%の成功率と目標値の95%を超えた。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の結束バンド回収装置および方法によれば、バンドの進行不良を削減し高い成功率で結束バンドを回収できるので、板材の処理の生産性が向上し産業上有用である。
【符号の説明】
【0035】
1 バンド(結束バンド)
1a 巻縮されたバンド
2 ピンチロール
2a 上ピンチロール
2b 下ピンチロール
3 誘導ガイド
4 巻縮機
5 クランプ装置
51 クランプ
51a 上クランプ
51b 下クランプ
52 昇降装置
6 レーザー距離計
7 ピンチロール入側ガイド
8 コイル
9 コイルコンベア
10 移載機
11 コイルカー
12 ケーブルベア(登録商標)
13 結束バンド回収装置
14 アンコイラ
15 カッターヘッド
16 制御装置
17 シュート
FL クランプ前進限界位置
BL クランプ後退限界位置
FW 前進
BW 後退
DW 下降
UW 上昇
CL 誘導ガイド中央
LE レーザー光
IP 衝突位置

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2024-01-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された板材またはコイル状に巻かれた板材に巻回された複数の結束バンドを切断し、且つ切断したバンドを把持する複数のバンド切断手段と、
切断された前記結束バンドを回収するバンド処理手段と、
切断された前記結束バンドを前記バンド処理手段に向けて送り出すピンチロールおよび誘導ガイドと、
前記結束バンドの送りに対し前記誘導ガイドの入口より上流側に設置されたバンド位置検出手段およびバンド位置調整手段と、
を備え、
前記バンド位置検出手段が検出した前記結束バンドの位置に基づき、前記バンド位置調整手段が前記結束バンドを把持して、該結束バンドを前記ピンチロールの軸方向であって前記誘導ガイドの中央側の所定の位置に移動させて前記ピンチロールに受け渡すように構成されている、結束バンド回収装置。
【請求項2】
さらに、制御手段を備え、
前記制御手段は、前記バンド位置検出手段が正常に機能していることを認識したうえで、
1)前記バンド位置検出手段が前記結束バンドを検出できないとき、および、
2)前記バンド位置調整手段が前記結束バンドを把持できないとき
のいずれかまたは両方のときに異常と判定するように構成されている、請求項1に記載の結束バンド回収装置。
【請求項3】
前記制御手段は、異常と判定したときに、自動ライン停止および警報出力する機能を備えている、請求項2に記載の結束バンド回収装置。
【請求項4】
積層された板材またはコイル状に巻かれた板材に巻き付けられた複数の結束バンドを複数のバンド切断手段により切断し、把持するバンド切断工程と、
切断された前記結束バンドをピンチロールおよび誘導ガイドで送り出すバンド送出工程と、
送り出された前記結束バンドを回収するバンド処理工程と、
を含み、
前記バンド切断工程後誘導ガイドに送り出されるまでの間に結束バンドの位置を検出し、バンド位置調整手段により前記結束バンドを把持して、前記結束バンドを前記ピンチロールの軸方向であって前記誘導ガイドの中央側の所定の位置に移動してピンチロールに受け渡す、結束バンド回収方法。
【請求項5】
前記結束バンドの位置を検出する装置が正常に機能することを確認したうえで、
1)前記結束バンドの位置が検出されないとき、および、
2)バンド位置調整手段が前記結束バンドを把持しないとき
のいずれかまたは両方のときに異常と判定する、請求項4に記載の結束バンド回収方法。
【請求項6】
前記異常と判定したとき、制御手段により自動でラインを停止し、警報を出力する、請求項5に記載の結束バンド回収方法。