(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041365
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】バンドおよび時計
(51)【国際特許分類】
A44C 5/14 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
A44C5/14 K
A44C5/14 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146133
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096699
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿嶋 英實
(74)【代理人】
【識別番号】100171882
【弁理士】
【氏名又は名称】北庄 麗絵子
(72)【発明者】
【氏名】平田 哲朗
(72)【発明者】
【氏名】横尾 一将
(57)【要約】
【課題】 簡単に交換できるバンドおよびそれを備えた時計を提供する。
【解決手段】 バンド本体4と、このバンド本体4が連結されるバンド連結部材5と、このバンド連結部材5を腕時計ケース1に着脱可能に取り付けるバンド取付装置6と、を備え、このバンド取付装置6が、腕時計ケース1の第1凹部13に嵌合する固定突起部15と、腕時計ケース1の第2凹部14に出没可能に嵌合する可動突起部16と、この可動突起部16を第2凹部14内に挿脱させる挿脱機構17と、を備えている。従って、挿脱機構17によって可動突起部16をバンド取付部2の第2凹部14から抜き出すことにより、バンド連結部材5を簡単に取り外すことができるので、バンド本体4を簡単に交換することができる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バンド本体と、
前記バンド本体が連結されるバンド連結部材と、
前記バンド連結部材を被連結体に着脱可能に取り付けるバンド取付装置と、
を備え、
前記バンド取付装置は、前記被連結体に設けられた第1凹部に嵌合する第1突起部と、前記被連結体に設けられた第2凹部に出没可能に嵌合する第2突起部と、前記第2突起部を前記第2凹部内に挿脱させる挿脱機構と、を備えている
ことを特徴とするバンド。
【請求項2】
請求項1に記載のバンドにおいて、
前記第1突起部は、前記バンド連結部材に固定された固定突起部である
ことを特徴とするバンド。
【請求項3】
請求項1に記載のバンドにおいて、
前記第1突起部と前記第2突起部とは、異なる角度で前記第1凹部と前記第2凹部とに嵌合する
ことを特徴とするバンド。
【請求項4】
請求項1に記載のバンドにおいて、
前記挿脱機構は、前記第2突起部が設けられて前記バンド連結部材に、前記第1突起部の突出方向に対して傾斜した状態でスライド可能に取り付けられたスライド部材と、前記スライド部材をスライドさせる操作部材と、を備えている
ことを特徴とするバンド。
【請求項5】
請求項4に記載のバンドにおいて、
前記スライド部材には、スライド孔が形成されており、
前記操作部材は、前記バンド連結部材に保持されて前記スライド部材のスライド方向とほぼ直交する方向に移動可能な操作本体部と、前記操作本体部に連結され、前記操作本体部の移動に伴って前記スライド部材の前記スライド孔に挿入しながら前記スライド部材をスライドさせる操作挿入部と、を備えている
ことを特徴とするバンド。
【請求項6】
請求項5に記載のバンドにおいて、
前記スライド孔の内面には、前記スライド部材のスライド方向および前記操作部材の移動方向に対して傾斜する第1ガイド面が設けられており、
前記操作挿入部は、前記第1ガイド面と同じ角度で傾斜して前記第1ガイド面に当接する第1操作面を備え、
前記第1操作面は、前記第1ガイド面に押し当てられた状態で、前記スライド孔に挿入されながら前記第1ガイド面を斜め方向にスライドさせるように構成されている
ことを特徴とするバンド。
【請求項7】
請求項6に記載のバンドにおいて、
前記スライド孔の内面には、前記スライド部材のスライド方向に対して前記第1ガイド面と対向して配置された第2ガイド面が設けられており、
前記操作挿入部は、前記第2ガイド面に離接可能な第2操作面を備えている
ことを特徴とするバンド。
【請求項8】
請求項7に記載のバンドにおいて、
前記操作挿入部が前記スライド部材を前記被連結体から離れる方向にスライドさせるに従って、
前記第2ガイド面は、前記第2操作面に近づくように移動するように構成されている
ことを特徴とするバンド。
【請求項9】
請求項5に記載のバンドにおいて、
前記操作本体部は、前記バンド連結部材に設けられたガイド部に移動可能に配置されて前記バンド連結部材の外部から押圧操作可能に露出している
ことを特徴とするバンド。
【請求項10】
請求項4に記載のバンドにおいて、
前記挿脱機構は、前記第2突起部を前記第2凹部に嵌合させる方向に向けて、前記スライド部材を付勢する付勢部材を備えている
ことを特徴とするバンド。
【請求項11】
請求項1に記載されたバンドを備え、
前記被連結体は、時計ケースである
ことを特徴とする時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、腕時計やネックレス、ブレスレットなどの装身具に用いられるバンドおよびそれを備えた時計に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、腕時計のバンドにおいては、特許文献1に記載されているように、腕時計ケースのバンド取付部にバンド本体の端部をバンド取付装置によって着脱可能に取り付けるようにした構造のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
この種のバンド取付装置は、バンド本体の端部に固定された装置本体と、この装置本体に回動可能に取り付けた操作部材と、を備えている。このバンド取付装置は、装置本体に設けられた半円筒状の固定部と、操作部材に設けられて装置本体の固定部に対向する半円筒状の可動部とが、腕時計ケースのバンド取付部に設けられた連結棒を包むように保持して、バンド本体の端部を腕時計ケースのバンド取付部に取り付けるように構成されている。
【0005】
このようなバンド取付装置では、操作部材を回動させて半円筒状の可動部を装置本体の半円筒状の固定部から離して開放させ、この状態で腕時計ケースのバンド取付部に設けられた連結棒を装置本体の固定部内に配置させ、操作部材を回動操作させて可動部を固定部に対応させ、バンド取付部の連結棒を固定部と可動部とで包み込んで操作部材をロックすることにより、バンド本体の端部が腕時計ケースのバンド取付部に取り付けられる。
【0006】
また、このバンド取付装置では、操作部材のロックを解除して操作部材を回動させて可動部を固定部から離して開放させると、可動部と固定部とによる連結棒の包み込みが解除されることにより、連結棒を固定部から離脱させて、バンド本体の端部を腕時計ケースのバンド取付部から取り外すことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような腕時計のバンドでは、ユーザがバンド取付装置の操作部材を操作することにより、腕時計ケースのバンド取付部に対してバンドの端部を着脱することができるが、構造が複雑で、交換作業が面倒であるという問題がある。
【0008】
この発明が解決しようとする課題は、簡単に交換できるバンドおよびそれを備えた時計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、バンド本体と、
前記バンド本体が連結されるバンド連結部材と、前記バンド連結部材を被連結体に着脱可能に取り付けるバンド取付装置と、を備え、前記バンド取付装置は、前記被連結体に設けられた第1凹部に嵌合する第1突起部と、前記被連結体に設けられた第2凹部に出没可能に嵌合する第2突起部と、前記第2突起部を前記第2凹部内に挿脱させる挿脱機構と、を備えていることを特徴とするバンドである。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、簡単に交換できるバンドおよびそれを備えた時計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】この発明を腕時計に適用した一実施形態を示した要部の拡大正面図である。
【
図2】
図1に示された腕時計の腕時計ケースを示した外観斜視図である。
【
図3】
図1に示された腕時計ケースのバンド取付部とバンド連結部材との裏面側を示した要部の拡大斜視図である。
【
図4】
図3に示された腕時計ケースのバンド取付部とバンド連結部材とのA-A矢視における要部を示した拡大断面図である。
【
図5】
図4に示された腕時計ケースのバンド取付部とバンド連結部材との連結を解除した状態を示した要部の拡大断面図である。
【
図6】
図3に示されたバンド連結部材の連結本体を示した拡大斜視図である。
【
図7】
図3に示されたバンド連結部材の連結取付部を示した拡大斜視図である。
【
図8】
図4に示されたバンド取付装置のスライド部材を示した拡大斜視図である。
【
図9】
図4に示されたバンド取付装置の操作部材を示した拡大斜視図である。
【
図10】
図3に示された腕時計ケースのバンド取付部とバンド連結部材とのB-B矢視における付勢部材を示した要部の拡大断面図である。
【
図11】
図10に示された腕時計ケースのバンド取付部とバンド連結部材との連結が解除されて付勢部材が圧縮された状態を示した要部の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、
図1~
図11を参照して、この発明を腕時計に適用した一実施形態について説明する。
この腕時計は、
図1および
図2に示すように、被連結体である腕時計ケース1を備えている。この腕時計ケース1は、金属によって形成されているが、剛性の高い合成樹脂によって形成されていても良い。この腕時計ケース1の12時側と6時側とには、バンド取付部2がそれぞれ設けられており、これらバンド取付部2には、
図1に示すように、バンド3がそれぞれ取り付けられている。
【0013】
バンド取付部2は、
図1~
図3に示すように、腕時計ケース1の12時側と6時側とにそれぞれ設けられた一対の取付突起部2aを備えている。バンド3は、バンド本体4とバンド連結部材5とバンド取付装置6(
図4参照)とを備えている。このバンド3は、バンド本体4がバンド連結部材5によって腕時計ケース1のバンド取付部2に取り付けられるように構成されている。バンド本体4は、金属または合成樹脂によって形成されている。
【0014】
このバンド本体4は、
図1に示すように、その端部4aがバンド連結部材5の後述する連結部であるピン連結部7aに連結ピン(図示せず)によって取り付けられるように構成されている。バンド連結部材5は、
図1、
図3および
図4に示すように、バンド連結駒(エンドピース)であり、腕時計ケース1のバンド取付部2の一対の取付突起部2a間に配置されてバンド取付部2にバンド取付装置6によって取り付けられるように構成されている。
【0015】
このバンド連結部材5は、
図3、
図4~
図7に示すように、連結本体7と連結取付部8とを備えている。連結本体7と連結取付部8とは、それぞれチタンやステンレスなどの金属によって形成されている。連結本体7は、腕時計ケース1の12時側と6時側との各バンド取付部2の各一対の取付突起部2a間に配置されるものである。
【0016】
この連結本体7の外端面には、
図3および
図6に示すように、バンド本体4の端部4aが連結ピン(図示せず)によって取り付けられるピン連結部7aが突出して設けられている。このピン連結部7aには、連結ピンが挿入するピン挿入孔7bがバンド本体4の長手方向と直交する幅方向に貫通して設けられている。
【0017】
バンド本体4の端部4aには、
図1に示すように、ピン連結部7aが配置される凹部4bが設けられていると共に、この凹部4bの両側に連結ピン(図示せず)の両端部が挿入するピン取付孔(図示せず)が設けられている。これにより、連結本体7は、ピン連結部7aが凹部4bに配置された状態で、上記ピン取付孔から連結ピンが挿入されて、バンド本体4の端部4aが取り付けられるように構成されている。
【0018】
また、この連結本体7の内端面は、
図3および
図6に示すように、腕時計ケース1の外周面と同じ形状の凹部状に窪んだ円弧面に形成されている。この連結本体7の裏面である下面には、連結取付部8が配置される切欠き部10(
図6参照)が下側および側方に開放されて設けられている。この切欠き部10内の上面における両側部には、ねじ穴11がそれぞれ設けられている。これらねじ穴11は、連結本体7の表面である上面に貫通することなく連結本体7の切欠き部10の上面部に設けられている。
【0019】
連結取付部8は、
図3、
図4および
図7に示すように、連結本体7の切欠き部10に配置されるものであり、連結本体7の切欠き部10とほぼ同じ形状に形成されている。この場合、この連結取付部8における腕時計ケース1側に位置する内側面には、
図7に示すように、連結本体7と同様、腕時計ケース1の外周面と同じ形状の凹部状に窪んだ円弧面に形成されている。
【0020】
この連結取付部8の両側部には、
図3および
図7に示すように、ねじ部材9のねじ部(図示せず)が挿入するねじ挿入孔8aがそれぞれ表裏面である上下面に貫通して設けられている。この連結取付部8における裏面側である下部側に位置するねじ挿入孔8aの各下端部には、ねじ部材9のねじ頭部9aが配置される座ぐり部8bがそれぞれ設けられている。
【0021】
これにより、連結取付部8は、
図3、
図6および
図7に示すように、連結本体7の切欠き部10に配置された状態で、ねじ部材9のねじ部(図示せず)が連結取付部8のねじ挿入孔8aを通して連結本体7のねじ穴11に螺着することにより、
図4および
図5に示すように、後述する挿脱機構17のスライド部材20および操作部材21を連結本体7との間に挟んでバンド連結部材5に取り付けられるように構成されている。この場合、この連結取付部8は、ねじ部材9のねじ部が連結本体7のねじ穴11に螺入して締め付けられた際に、ねじ部材9のねじ頭部9aが連結取付部8のねじ挿入孔8aの座ぐり部8b内に配置されるように構成されている。
【0022】
ところで、バンド3は、
図1、
図4および
図5に示すように、バンド連結部材5を腕時計ケース1のバンド取付部2に着脱可能に取り付けるバンド取付装置6を備えている。このバンド取付装置6は、バンド取付部2に設けられた第1凹部13に嵌合する第1突起部である固定突起部15と、バンド取付部2に設けられた第2凹部14に出没可能に嵌合する第2突起部である可動突起部16と、この可動突起部16を第2凹部14内に挿脱させる挿脱機構17と、を備えている。
【0023】
固定突起部15は、
図4~
図6に示すように、バンド連結部材5の連結本体7の内端面に固定されている。言い換えれば、固定突起部15は、バンド連結部材5の連結本体7の内端面における上部に一体に形成されている。この固定突起部15は、連結本体7の内端面から腕時計ケース1の外周面に向けて腕時計ケース1の表裏面(上下面)とほぼ平行に突出して設けられている。この固定突起部15は、連結本体7の内端面の円弧面と異なる形状、つまり連結本体7の内端面に先端が直線的な板状に形成されている。
【0024】
すなわち、この固定突起部15は、
図4~
図6に示すように、連結本体7の円弧状の内端面における円弧方向の中間部の突出長さが最も長く、その中間部から両側に向かう従って突出長さが徐々に短くなるように、先端が直線的な板状に形成されている。この板状の固定突起部15が嵌合する第1凹部13は、バンド取付部2の一対の取付突起部2a間に位置する腕時計ケース1の外周面における上部側に腕時計ケース1の上下面とほぼ平行に窪んで設けられている。
【0025】
この場合、第1凹部13は、
図2、
図4および
図5に示すように、一対の取付突起部2a間に位置する腕時計ケース1の外周面における外周方向の中間部の深さが最も深く、その中間部から両側に向かうに従って深さが徐々に浅くなるように形成されている。また、この第1凹部13は、その深さが固定突起部15の突出長さよりも少し深く形成されている。このため、第1凹部13は、固定突起部15が嵌め込まれた際に、固定突起部15の先端面が第1凹部13の奥側の端面に当接しないように、隙間をもって固定突起部15が嵌合するように構成されている。
【0026】
これにより、固定突起部15は、
図2、
図4および
図5に示すように、バンド取付部2の一対の取付突起部2a間にバンド連結部材5の連結本体7が配置された際に、バンド取付部2における腕時計ケース1の外周面に設けられた第1凹部13に対応して嵌め込まれるように構成されている。
【0027】
この場合、固定突起部15は、
図2、
図4および
図5に示すように、バンド本体4の長手方向と直交する幅方向における中間部が第1凹部13に最も深く嵌合し、その中間部から両側に向かうに従って第1凹部13に嵌合する深さが徐々に浅くなるように構成されている。また、この固定突起部15は、第1凹部13に嵌め込まれた際に、固定突起部15の先端面が第1凹部13の奥側の端面に当接しないように構成されている。
【0028】
可動突起部16は、
図4、
図5および
図8に示すように、第2凹部14に挿脱可能に嵌合するものであり、挿脱機構17の後述するスライド部材20に一体に形成されている。すなわち、この可動突起部16は、平板状に形成されたスライド部材20における腕時計ケース1のバンド取付部2側に位置する端部に設けられている。この可動突起部16は、バンド連結部材5の連結本体7と連結取付部8との間から腕時計ケース1の外周面に向けて傾斜して突出するように構成されている。
【0029】
この場合、可動突起部16は、
図4および
図5に示すように、固定突起部15に対して傾斜した状態でスライドして、連結本体7と連結取付部8との間から出没可能に突出するように構成されている。この可動突起部16は、固定突起部15と同様、連結本体7と連結取付部8との各内端面の円弧面と異なる形状、つまり先端が直線的な板状をなしてスライド部材20に形成されている。
【0030】
すなわち、この可動突起部16は、
図4および
図5に示すように、連結本体7の円弧状の内端面における円弧方向の中間部の突出長さが最も長く、その中間部から両側に向かう従って突出長さが徐々に短くなるように、先端が直線的な板状に形成されている。この可動突起部16が嵌合する第2凹部14は、
図2、
図4および
図5に示すように、バンド取付部2の一対の取付突起部2a間に位置する腕時計ケース1の外周面における下部側に第1凹部13と平行(腕時計ケース1の外周方向において平行)で、且つ第1凹部13に対してその深さ方向に傾斜した状態、つまり可動突起部16と同じ傾斜角度で傾斜した状態で窪んで設けられている。
【0031】
この場合にも、第2凹部14は、
図2、
図4および
図5に示すように、バンド取付部2の一対の取付突起部2a間に位置する腕時計ケース1の外周面における外周方向の中間部の深さが最も深く、その中間部から両側に向かうに従って深さが徐々に浅くなるように形成されている。
【0032】
また、この第2凹部14は、
図2、
図4および
図5に示すように、その深さがバンド連結部材5から突出する可動突起部16の突出長さよりも少し深く形成されている。このため、第2凹部14は、可動突起部16が嵌め込まれた際に、可動突起部16の先端面が第2凹部14の奥側の端面に当接しないように、隙間をもって可動突起部16が嵌合するように構成されている。
【0033】
これにより、可動突起部16は、
図2、
図4および
図5に示すように、バンド取付部2の一対の取付突起部2a間にバンド連結部材5が配置された際に、腕時計ケース1の外周面に設けられた第2凹部14に対応するように構成されている。また、この可動突起部16は、腕時計ケース1の外周面に設けられた第2凹部14に対応した状態で、スライド部材20がバンド取付部2に向けてスライドした際に、バンド取付部2における腕時計ケース1の外周面に設けられた第2凹部14に嵌め込まれるように構成されている。
【0034】
この場合にも、可動突起部16は、
図2、
図4および
図5に示すように、バンド本体4の長手方向と直交する幅方向における中間部が第2凹部14に最も深く嵌合し、その中間部から両側に向かうに従って第2凹部14に嵌合する深さが徐々に浅くなるように構成されている。また、この可動突起部16は、第2凹部14に嵌め込まれた際に、可動突起部16の先端面が第2凹部14の奥側の端面に当接しないように構成されている。
【0035】
このため、バンド連結部材5は、
図4および
図5に示すように、固定突起部15がバンド取付部2の第1凹部13に嵌合し、可動突起部16がバンド取付部2の第2凹部14に嵌合した際に、固定突起部15と可動突起部16とが異なる角度(具体的には、上下方向において異なる角度)で第1凹部13と第2凹部14とに嵌合することにより、バンド取付部2から脱落することなく、バンド取付部2に確実に取り付けられるように構成されている。
【0036】
一方、可動突起部16を第2凹部14内に挿脱させる挿脱機構17は、
図4および
図5に示すように、可動突起部16が設けられてバンド連結部材5に傾斜した状態でスライド可能に取り付けられたスライド部材20と、バンド連結部材5の外部から操作されてスライド部材20をスライドさせる操作部材21と、を備えている。
【0037】
スライド部材20は、
図4、
図5および
図8に示すように、金属によってほぼ長方形の平板状に形成されている。このスライド部材20は、連結本体7の切欠き部10内に設けられた収納凹部18内に傾斜した状態、つまり可動突起部16が嵌合する第2凹部14と同じ傾斜角度で傾斜した状態で、バンド本体4の長手方向に沿う方向で、且つバンド取付部2に対する接離方向にスライド可能に配置されるように構成されている。
【0038】
この場合、このスライド部材20は、
図4、
図5および
図8に示すように、連結本体7の切欠き部10内に設けられた収納凹部18内に傾斜してスライド可能に配置された状態で、連結取付部8によって連結本体7に押え付けられて取り付けられるように構成されている。このスライド部材20の中央部には、四角形状のスライド孔22が表裏面に貫通して設けられている。
【0039】
このスライド孔22は、
図4、
図5および
図8に示すように、操作部材21の後述する操作挿入部24が挿入する孔である。このスライド孔22におけるバンド取付部2と反対側に位置する連結本体7のピン連結部7a側の内面には、スライド部材20のスライド方向に沿って上下方向に傾斜するガイド面である第1ガイド面22aが形成されている。
【0040】
すなわち、この第1ガイド面22aは、
図4、
図5および
図8に示すように、可動突起部16がバンド連結部材5から押し出されて第2凹部14に嵌合する方向に向けて高くなる(上下方向において固定突起部15に近づく)ように傾斜している。つまり、この第1ガイド面22aは、可動突起部16がバンド連結部材5内に引き込まれて第2凹部14から抜け出す方向に向けて低くなる(上下方向において固定突起部15から遠ざかる)ように傾斜している。
【0041】
また、このスライド孔22におけるバンド取付部2側の内面には、
図4、
図5および
図8に示すように、スライド部材20のスライド方向と直交する上下方向に沿って設けられた第2ガイド面22bが形成されている。これら第1ガイド面22aと第2ガイド面22bとは、スライド部材20のスライド方向に対向して設けられている。
【0042】
このスライド部材20の両側部、つまりスライド部材20のスライド方向と直交する左右方向の両側部には、
図8に示すように、規制突起20aがそれぞれ突出して設けられている。これら規制突起20aは、
図6および
図8に示すように、連結本体7に設けられた収納凹部18内にスライド部材20が配置される際に、収納凹部18内の両側部に設けられた規制凹部18a内にスライド部材20のスライド方向にスライド可能に配置されるように構成されている。
【0043】
これら規制突起20aと規制凹部18aとによってスライド部材20のスライドを規制する規制部が構成されている。これにより、スライド部材20は、
図6および
図8に示すように、両側の規制突起20aが連結本体7の収納凹部18における両側の規制凹部18a内でスライドすることにより、スライド部材20および可動突起部16のスライド範囲が規制されるように構成されている。
【0044】
一方、操作部材21は、
図4、
図5および
図9に示すように、バンド連結部材5に保持されてスライド部材20のスライド方向とほぼ直交する上下方向に移動する操作本体部23と、この操作本体部23の上下方向への移動に伴ってスライド部材20のスライド孔22に挿入しながらスライド部材20をスライドさせる操作挿入部24と、を備えている。これら操作本体部23と操作挿入部24とは、金属によって一体に形成されている。操作本体部23は、スライド部材20のスライド方向と直交する上下方向に移動するように構成されていても良い。
【0045】
操作本体部23は、
図4、
図5および
図9に示すように、スライド部材20のスライド方向と直交する上下方向の長さが、スライド孔22のスライド方向と直交する上下方向の長さよりも長い長さの直方体形状に形成されている。この操作本体部23は、連結本体7に取り付けられる連結取付部8に設けられたガイド部であるガイド溝25内に上下方向に移動可能に配置されるように構成されている。
【0046】
ガイド溝25は、
図4、
図5および
図7に示すように、連結取付部8の外端面にスライド部材20のスライド方向と直交する上下方向、つまり腕時計ケース1の表裏面方向である上下方向において少し傾いた状態、すなわち可動突起部16の傾きに対して直交する角度で傾いて設けられている。このガイド溝25は、連結取付部8が連結本体7の切欠き部10に配置された際に、連結本体7の切欠き部10の内壁10a(
図6参照)によって塞がれることによりガイド孔として形成されるように構成されている。
【0047】
この場合、ガイド溝25は、
図4、
図5および
図7に示すように、バンド連結部材5の裏面側(下面側)に設けられて操作本体部23が上下方向に移動可能に配置される小径孔部25aと、この小径孔部25aの上側に設けられて操作挿入部24が上下方向に移動可能に配置される大径孔部25b(
図5参照)と、が形成されている。
【0048】
これにより、操作本体部23は、
図4および
図5に示すように、ガイド溝25の小径孔部25a内に配置されて一端面23aが連結取付部8の下側に突出することなく露出するように構成されている。また、この操作本体部23は、下側に露出した一端面23aが押圧操作されると、スライド部材20のスライド方向と直交する上下方向、つまり腕時計ケース1の上下方向において少し傾いた状態で上方に移動するように構成されている。
【0049】
操作挿入部24は、
図4、
図5および
図9に示すように、スライド部材20のスライド孔22内に挿入しながらスライド部材20をスライドさせるものであり、ほぼ三角柱状に形成されている。この操作挿入部24は、スライド部材20のスライド孔22に挿入されてスライド孔22の第1ガイド面22aに押し当てられた状態で上下方向に移動して第1ガイド面22aをスライドさせる第1操作面24aと、上下方向に移動してスライド孔22の第2ガイド面22bに接離可能に当接する第2操作面24bと、を備えている。
【0050】
第1操作面24aは、
図4、
図5および
図9に示すように、スライド孔22の第1ガイド面22aと同じ傾斜角度で傾斜して形成されている。この第1操作面24aは、スライド孔22の第1ガイド面22aに傾斜した状態で押し当てられるように構成されている。また、この第1操作面24aは、操作挿入部24がスライド部材20のスライド孔22に徐々に挿入される際に、第1ガイド面22aを第1操作面24aの傾斜に沿って徐々に移動させることにより、スライド部材20をバンド取付部2から離れる方向に向けてスライドさせるように構成されている。
【0051】
第2操作面24bは、
図4、
図5および
図9に示すように、スライド部材20のスライド方向と直交する上下方向に沿って設けられていることにより、スライド孔22の第2ガイド面22bと平行に形成されている。これにより、第2操作面24bは、操作挿入部24がスライド部材20のスライド孔22に挿入される際に、スライド孔22の第2ガイド面22bに徐々に接近して当接するように構成されている。
【0052】
これにより、操作挿入部24は、
図4および
図5に示すように、操作本体部23によって押し上げられて、スライド部材20のスライド孔22に挿入される際に、第1操作面24aがスライド孔22の第1ガイド面22aに傾斜した状態で押し当てられて上側に移動するように構成されている。
【0053】
この操作挿入部24は、
図4および
図5に示すように、第1操作面24aがスライド孔22の第1ガイド面22aに傾斜した状態で押し当てられて上側に移動する際に、スライド孔22の第1ガイド面22aを第1操作面24aに沿って斜め下側にスライドさせるように構成されている。
【0054】
さらに、この操作挿入部24は、
図4および
図5に示すように、スライド孔22の第1ガイド面22aを第1操作面24aに沿って斜め下側にスライドさせる際に、第1操作面24aがスライド部材20をバンド取付部2の第2凹部14から離れる方向に向けて斜め下側にスライドさせながら、スライド孔22内に挿入するように構成されている。
【0055】
また、この操作挿入部24は、
図4および
図5に示すように、第1操作面24aがスライド孔22に挿入しながらスライド孔22の第1ガイド面22aを斜め下方にスライドさせた際に、操作挿入部24の第2操作面24bがスライド孔22の第2ガイド面22bに接近して当接するように構成されている。
【0056】
これにより、操作挿入部24は、
図4および
図5に示すように、第2操作面24bがスライド孔22の第2ガイド面22bに接近して当接した際に、スライド孔22に対する操作挿入部24の挿入が規制されて、スライド孔22に対する操作挿入部24の挿入が停止されると共に、スライド部材20のスライドが停止されるように構成されている。
【0057】
この場合、連結本体7の収納凹部18内の上面部には、
図4~
図6に示すように、操作挿入部24の先端部24cが挿入する逃し凹部19が設けられている。この逃し凹部19は、
図5に示すように、操作挿入部24の先端部24cがスライド部材20のスライド孔22に挿入されてスライド孔22内から上方に突出する際に、その突出した先端部24cが挿入するように形成されている。
【0058】
また、操作挿入部24には、
図4、
図5および
図9に示すように、操作本体部23がバンド連結部材5から抜け出すのを防ぐストッパ部26が設けられている。このストッパ部26は、操作挿入部24の下端部に操作本体部23の両側から突出して設けられている。このストッパ部26は、ガイド溝25の小径孔部25aと大径孔部25bとの段差部25cに接離可能に当接して、操作本体部23がバンド連結部材5から下側に抜け出さないように形成されている。
【0059】
ところで、挿脱機構17は、
図10および
図11に示すように、可動突起部16をバンド取付部2の第2凹部14に嵌合させる方向に向けて、スライド部材20を付勢する付勢部材27を備えている。この付勢部材27は、2つのコイルばねであり、連結本体7の切欠き部10の内壁10aの両側部とこの内壁10aに対向するスライド部材20の端部の両側部との間にそれぞれ配置されるように構成されている。
【0060】
この場合、連結本体7の切欠き部10の内壁10aの両側には、
図6、
図10および
図11に示すように、付勢部材27の一端部を収納するばね収納凹部28がそれぞれ設けられている。また、連結本体7の逃し凹部19の両側に位置する収納凹部18の上面部には、付勢部材27が配置される円弧状のばね凹部30がそれぞれ設けられている。
【0061】
これにより、付勢部材27は、
図6、
図10および
図11に示すように、連結本体7のばね凹部30にそれぞれ配置された状態で、付勢部材27の各一端部がばね収納凹部28の内面に弾接し、このばね収納凹部28の内面と対向するスライド部材20の端部に付勢部材27の各他端部が弾接することにより、スライド部材20を可動突起部16と共にバンド取付部2に向けて押し出す方向に付勢するように構成されている。
【0062】
次に、このようなバンド3を腕時計ケース1に取り付ける場合について説明する。
この場合には、予め、バンド連結部材5を組み立てる。このときには、まず、連結本体7の収納凹部18内に挿脱機構17のスライド部材20を傾斜させた状態で配置させて、スライド部材20のスライド孔22を収納凹部18の上面部に設けられた逃し凹部19に対応させる。
【0063】
また、このときには、スライド部材20の両側部に設けられた規制突起20aを収納凹部18の両側部に設けられた規制凹部18a内にスライド可能に配置させる。この状態で、付勢部材27を収納凹部18の上面部に設けられた円弧状のばね凹部30に配置させて、付勢部材27の一端部を切欠き部10の内壁10aに設けられたばね収納凹部28に収納させる。
【0064】
このときには、付勢部材27の各一端部をばね収納凹部28の内面に弾接させ、このばね収納凹部28の内面と対向するスライド部材20の端部に付勢部材27の各他端部を弾接させる。これにより、付勢部材27がその付勢力によってスライド部材20を可動突起部16と共にバンド取付部2に向けて押し出すように付勢する。このときには、スライド部材20の規制突起20aが収納凹部18の両側部に設けられた規制凹部18aの内面に当接するので、スライド部材20が連結本体7の収納凹部18内から抜け出すことはない。
【0065】
そして、連結本体7の切欠き部10に連結取付部8を配置させて、スライド部材20および付勢部材27を連結本体7と連結取付部8との間に挟み付けた状態で、連結取付部8を連結本体7に取り付ける。このときには、予め、連結取付部8に設けられたガイド溝25の小径孔部25aに操作部材21の操作本体部23を配置させて、ガイド溝25の大径孔部25bに操作部材21の操作挿入部24を配置させる。
【0066】
この状態で、連結取付部8を連結本体7の切欠き部10に下側から配置させる。このときには、操作挿入部24の先端部24cをスライド部材20のスライド孔22に挿入させる。この状態で、ねじ部材9のねじ部(図示せず)を連結取付部8のねじ挿入孔8aに挿入させ、この挿入されたねじ部材9のねじ部を連結本体7のねじ穴11に螺入させて締め付ける。
【0067】
これにより、連結取付部8が挿脱機構17のスライド部材20および操作部材21を挟んで連結本体7に取り付けられる。このときには、ねじ部材9のねじ頭部9aが連結取付部8のねじ挿入孔8aの座ぐり部8b内に配置されるので、ねじ部材9のねじ頭部9aが連結取付部8の下側に突出することはない。このため、腕時計ケース1を腕に取り付けた際に、ねじ部材9のねじ頭部9aが腕に当接して腕を傷付けることがない。これにより、バンド連結部材5が組み立てられる。
【0068】
そして、上述の方法で、バンド連結部材5にバンド本体4を取り付ける。この状態で、バンド連結部材5を腕時計ケース1に取り付ける。このときには、予め、バンド取付装置6の挿脱機構17における操作部材21の操作本体部23を腕時計ケース1の下側から押圧操作する。すると、操作部材21の操作本体部23が付勢部材27の付勢力に抗して連結取付部8のガイド溝25の小径孔部25aから大径孔部25bに押し込まれる。
【0069】
これにより、操作部材21の操作挿入部24がスライド部材20のスライド孔22内に挿入されながらスライド部材20をバンド取付部2から離れる方向に向けてスライドさせて、スライド部材20に設けられた可動突起部16を連結本体7と連結取付部8との間に引き込む。
【0070】
この状態で、腕時計ケース1のバンド取付部2における一対の取付突起部2a間にバンド連結部材5を配置させて、バンド連結部材5の連結本体7に設けられた固定突起部15を一対の取付突起部2a間における腕時計ケース1の外周面に設けられた第1凹部13に対応させて嵌合させると共に、連結本体7と連結取付部8との間に配置されたスライド部材20の可動突起部16を一対の取付突起部2a間における腕時計ケース1の外周面に設けられた第2凹部14に対応させる。
【0071】
この状態で、操作部材21の操作本体部23に対する押圧操作を解除すると、付勢部材27がその付勢力によってスライド部材20をバンド取付部2に向けて斜め上方に押し出し、このスライド部材20の可動突起部16を腕時計ケース1の外周面に設けられた第2凹部14に嵌合させる。
【0072】
このときには、スライド部材20のスライドに伴って操作部材21の操作挿入部24がスライド孔22内から下側に向けて移動して、ガイド溝25の大径孔部25b内に配置される。これに伴って、操作本体部23がガイド溝25の小径孔部25a内に配置されて、操作本体部23の一端面23aが外部下側に露出する。
【0073】
このように、固定突起部15がバンド取付部2の第1凹部13に嵌合し、可動突起部16がバンド取付部2の第2凹部14に嵌合した際には、可動突起部16が固定突起部15に対し傾斜して、固定突起部15と可動突起部16とが異なる角度、つまり可動突起部16が固定突起部15に対して傾斜した状態で、固定突起部15と可動突起部16とが第1凹部13と第2凹部14とにそれぞれ嵌合する。
【0074】
このため、第1凹部13に対する固定突起部15の嵌合方向と、第2凹部14に対する可動突起部16の嵌合方向とが、異なる角度であることによって、バンド連結部材5の連結本体7が腕時計ケース1のバンド取付部2に確実に取り付けられる。これにより、バンド本体4がバンド連結部材5によって腕時計ケース1のバンド取付部2に確実に取り付けられる。
【0075】
次に、このように腕時計ケース1に取り付けられたバンド3をユーザが取り外して交換する場合について説明する。
この場合には、操作部材21の操作本体部23の露出した一端面23aをユーザが腕時計ケース1の下側から押圧操作する。すると、操作部材21の操作本体部23が付勢部材27の付勢力に抗して連結取付部8のガイド溝25の小径孔部25aから大径孔部25bに押し込まれ、操作部材21の操作挿入部24がスライド部材20のスライド孔22内に挿入される。
【0076】
このときには、操作挿入部24の第1操作面24aがスライド部材20のスライド孔22の第1ガイド面22aに押し当てられた状態で、第1操作面24aが押し上げられる。すると、操作挿入部24の第1操作面24aが付勢部材27の付勢力に抗してスライド孔22の第1ガイド面22aをバンド取付部2の第2凹部14から離れる方向に向けて斜め下側にスライドさせる。すなわち、スライド孔22の第1ガイド面22aは、操作挿入部24の第1操作面24aに沿って斜め下側に傾斜してスライドすることにより、そのスライドに伴ってスライド部材20を斜め下側に向けてスライドさせる。
【0077】
このときには、操作挿入部24の先端部24cがスライド孔22内から上方に突出し、この突出した先端部24cが連結本体7の逃し凹部19に挿入すると共に、操作挿入部24の第2操作面24bがスライド孔22の第2ガイド面22bに接近して当接する。また、このときには、スライド部材20の両側に設けられた規制突起20aが連結本体7の収納凹部18の両側に設けられた規制凹部18a内をスライドして規制凹部18aの内面に接近して当接する。
【0078】
これにより、可動突起部16がバンド取付部2の第2凹部14内から抜け出す。この状態で、固定突起部15をバンド取付部2の第1凹部13から抜き出すと、バンド連結部材5の連結本体7がバンド取付部2から取り外される。そして、バンド連結部材5と共にバンド本体4をバンド取付部2から取り外し、このバンド本体4をバンド連結部材5から取り外すことにより、バンド本体4を交換することができる。
【0079】
このように、この腕時計のバンド3によれば、バンド本体4と、このバンド本体4が連結されるバンド連結部材5と、このバンド連結部材5を被連結体である腕時計ケース1に着脱可能に取り付けるバンド取付装置6と、を備え、このバンド取付装置6が、腕時計ケース1に設けられた第1凹部13に嵌合する第1突起部である固定突起部15と、腕時計ケース1に設けられた第2凹部14に出没可能に嵌合する第2突起部である可動突起部16と、この可動突起部16を第2凹部14内に挿脱させる挿脱機構17と、を備えていることにより、簡単にバンド本体4を交換することができる。
【0080】
すなわち、この腕時計のバンド3では、ユーザが挿脱機構17によって可動突起部16を腕時計ケース1の第2凹部14から挿脱可能に抜き出すことができるので、腕時計ケース1からバンド連結部材5を簡単に取り外すことができ、これによりバンド本体4を簡単に且つ容易に交換することができる。また、このバンド3では、バンド本体4をバンド連結部材5に連結させるだけであるから、ユーザがバンド本体4を自由に選択することができ、これにより汎用性に優れたものを提供することができる。
【0081】
この場合、この腕時計のバンド3では、固定突起部15がバンド連結部材5に固定されているので、固定突起部15を簡単に且つ容易にバンド連結部材5に設けることができると共に、固定突起部15を腕時計ケース1のバンド取付部2に設けられた第1凹部13に確実にかつ良好に嵌合させることができる。
【0082】
また、この腕時計のバンド3では、固定突起部15と可動突起部16とが異なる角度で第1凹部13と第2凹部14とに嵌合することにより、バンド取付部2の第1凹部13に嵌合する固定突起部15の嵌合方向と、バンド取付部2の第2凹部14に嵌合する可動突起部16の嵌合方向との角度を異ならせることができるので、バンド連結部材5を腕時計ケース1のバンド取付部2に確実に且つ良好に取り付けることができる。
【0083】
また、この腕時計のバンド3では、可動突起部16が固定突起部15に対して傾斜する方向にスライドすることにより、固定突起部15をバンド取付部2の第1凹部13に嵌合させた状態で、可動突起部16を固定突起部15に対して傾斜させてバンド取付部2の第2凹部14に嵌合させることができ、これによってもバンド連結部材5を腕時計ケース1のバンド取付部2に確実に且つ良好に取り付けることができる。
【0084】
また、この腕時計のバンド3では、挿脱機構17が、可動突起部16を有してバンド連結部材5に固定突起部15の突出方向に対して傾斜した状態でスライド可能に取り付けられたスライド部材20と、バンド連結部材5の外部から操作されてスライド部材20をスライドさせる操作部材21と、を備えていることにより、バンド連結部材5の外部から操作部材21を操作するだけで、スライド部材20をスライドさせることができ、このスライド部材20のスライドに伴って可動突起部16をバンド取付部2の第2凹部14に良好に挿脱させることができる。
【0085】
また、この腕時計のバンド3では、スライド部材20にスライド孔22が形成され、操作部材21が、バンド連結部材5に保持されてスライド部材20のスライド方向とほぼ直交する上下方向に移動可能な操作本体部23と、この操作本体部23に連結されて操作本体部23の移動に伴ってスライド部材20のスライド孔22に挿入しながらスライド部材20をスライドさせる操作挿入部24と、を備えていることにより、操作部材21によってスライド部材20を確実に且つ良好にスライドさせることができる。
【0086】
すなわち、この腕時計のバンド3では、操作本体部23を操作させてスライド部材20のスライド方向とほぼ直交する上下方向に移動させることにより、操作挿入部24をスライド部材20のスライド孔22に挿入させることができ、この操作挿入部24のスライド孔22への挿入に伴ってスライド部材20を確実にスライドさせることができるので、可動突起部16をバンド取付部2の第2凹部14に良好に挿脱させることができる。
【0087】
この場合、この腕時計のバンド3では、スライド部材20のスライド孔22の内面に、スライド部材20のスライド方向および操作部材21の移動方向に対して傾斜する第1ガイド面22aが設けられており、操作挿入部24は、スライド孔22の第1ガイド面22aと同じ角度で傾斜して第1ガイド面22aに当接する第1操作面24aを備え、第1操作面24aは、第1ガイド面22aに押し当てられた状態で、スライド孔22に挿入されながら第1ガイド面22aを斜め方向にスライドさせることにより、操作挿入部24がスライド孔22に挿入する際に、スライド部材20を良好にスライドさせることができる。
【0088】
すなわち、この腕時計のバンド3では、操作挿入部24がスライド孔22に挿入する際に、操作挿入部24の第1操作面24aがスライド孔22の第1ガイド面22aに傾斜した状態で押し当てられ、この状態で操作挿入部24がスライド孔22内に徐々に押し込まれると、スライド孔22の第1ガイド面22aを操作挿入部24の第1操作面24aに沿ってスライドさせることができるので、このスライド孔22の第1ガイド面22aのスライドに伴ってスライド部材20を確実にスライドさせることができる。
【0089】
この場合、この腕時計のバンド3では、スライド孔22の内面に、スライド部材20のスライド方向に対して第1ガイド面22aと対向して配置された第2ガイド面22bが設けられており、操作挿入部24は、スライド孔22の第2ガイド面22bに接離可能な第2操作面24bを備えていることにより、スライド孔22に対する操作挿入部24の挿入量を規制することができ、これによりスライド部材20のスライド長さを規制することができる。
【0090】
すなわち、この腕時計のバンド3では、操作挿入部24がスライド孔22に挿入しながらスライド孔22の第1ガイド面22aが操作挿入部24の第1操作面24aに沿って斜め方向にスライドした際に、操作挿入部24の第2操作面24bがスライド孔22の第2ガイド面22bに接近して当接することにより、スライド孔22に対する操作挿入部24の挿入を停止させることができると共に、スライド部材20のスライドを停止させることができる。
【0091】
また、この腕時計のバンド3では、操作本体部23がバンド連結部材5に設けられたガイド部であるガイド溝25内に移動可能に配置されてバンド連結部材5の外部から押圧操作可能に露出していることにより、バンド連結部材5の外部から操作本体部23を確実に且つ良好に押圧操作することができ、この操作部材21の押圧操作によって操作挿入部24をスライド部材20のスライド孔22に挿入させて、スライド部材20を確実にスライドさせることができる。
【0092】
また、この腕時計のバンド3では、操作挿入部24の先端部24cがスライド部材20のスライド孔22に挿入されてスライド孔22内から突出する際に、操作挿入部24の突出した先端部24cが挿入する逃し凹部19がバンド連結部材5に設けられていることにより、スライド孔22内から突出した操作挿入部24の先端部24cを逃し凹部19に挿入させることができる。
【0093】
すなわち、この腕時計のバンド3では、第1操作面24aを第1ガイド面22aに押し当てた状態で、第2操作面24bが第2ガイド面22bに当接する際に、スライド孔22内から突出した操作挿入部24の先端部24cを逃し凹部19に挿入させることができるので、操作挿入部24をスライド孔22内に完全に挿入させることができ、これによりスライド部材20のスライド長さを確保して、スライド部材20を十分に長くスライドさせることができる。
【0094】
また、この腕時計のバンド3では、スライド部材20がそのスライド方向におけるスライド範囲を規制する規制部である規制突起20aおよび規制凹部18aを備えていることにより、スライド部材20がバンド連結部材5から抜け出すことなく、規制突起20aおよび規制凹部18aによってスライド部材20のスライド範囲を確実に且つ良好に規制することができる。
【0095】
すなわち、このバンド3では、スライド部材20の両側部に規制突起20aが設けられ、連結本体7の収納凹部18の両側部に規制凹部18aが設けられ、これら規制凹部18a内にスライド部材20の各規制突起20aをスライド可能に配置させることができるので、規制突起20aおよび規制凹部18aによってスライド部材20のスライド範囲を良好に規制することができ、これによりバンド連結部材5からのスライド部材20の抜け出しを防ぐことができると共に、操作挿入部24がスライド孔22内に嵌り込んでしまうのを防ぐことができる。
【0096】
また、この腕時計のバンド3では、挿脱機構17が、可動突起部16をバンド取付部2の第2凹部14に嵌合させる方向に向けて、スライド部材20を付勢する付勢部材27を備えていることにより、付勢部材27の付勢力によってスライド部材20をスライドさせて可動突起部16をバンド取付部2の第2凹部14に嵌合させることができ、これによりバンド連結部材5を腕時計ケース1のバンド取付部2に確実に取り付けることができる。
【0097】
すなわち、この腕時計のバンド3では、可動突起部16をバンド連結部材5内に引き込んだ状態で、バンド連結部材5を腕時計ケース1のバンド取付部2に配置させて固定突起部15をバンド取付部2の第1凹部13に嵌め込んだ状態で、可動突起部16をバンド取付部2の第2凹部14に対応させた際に、付勢部材27の付勢力によってスライド部材20をスライドさせて、可動突起部16をバンド取付部2の第2凹部14に確実に嵌合させることができる。
【0098】
さらに、この腕時計のバンド3では、バンド連結部材5は、バンド本体4の端部4aが連結される連結部であるピン連結部7aと固定突起部15とが形成された連結本体7と、この連結本体7に挿脱機構17を挟んで取り付ける連結取付部8と、を備えていることにより、スライド部材20と操作部材21とを有する挿脱機構17を連結本体7と連結取付部8との間に簡単に且つ良好に配置させて取り付けることができる。
【0099】
すなわち、この腕時計のバンド3では、連結本体7に連結取付部8が配置される切欠き部10とスライド部材20がスライド可能に収納される収納凹部18とが設けられ、連結取付部8に操作部材21が配置されるガイド溝25が設けられていることにより、連結本体7の収納凹部18にスライド部材20を配置させ、連結取付部8のガイド溝25に操作部材21を配置させ、この状態で連結取付部8を連結本体7の切欠き部10に配置させてねじ部材9によって取り付けることにより、挿脱機構17を連結本体7と連結取付部8との間に簡単に且つ良好に配置させて取り付けることができる。
【0100】
この場合、この腕時計のバンド3では、連結本体7にバンド本体4の端部4aが連結されるピン連結部7aが設けられていることにより、このピン連結部7aにバンド本体4の端部4aを容易に且つ良好に連結させることができるので、バンド本体4を自由に選択してバンド連結部材5の連結本体7に連結させることができる。
【0101】
なお、上述した実施形態では、固定突起部15を腕時計ケース1の上下面と平行に突出させて設け、可動突起部16を固定突起部15に対して傾斜する方向にスライドさせるように設けた場合について述べたが、この発明は、これに限らず、可動突起部16を腕時計ケース1の上下面と平行な方向にスライドするように設け、固定突起部15を可動突起部16に対して傾斜するように突出させて設けても良い。
【0102】
また、上述した実施形態では、腕時計に適用した場合について述べたが、この発明は必ずしも腕時計である必要はなく、例えばネックレスやブレスレットなどの装身具に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0103】
1 腕時計ケース
2 バンド取付部
2a 取付突起部
3 バンド
4 バンド本体
4a 端部
5 バンド連結部材
6 バンド取付装置
7 連結本体
7a ピン連結部
7b ピン挿入孔
8 連結取付部
8a ねじ挿入孔
8b 座ぐり部
9 ねじ部材
9a ねじ頭部
10 切欠き部
11 ねじ穴
13 第1凹部
14 第2凹部
15 固定突起部
16 可動突起部
17 挿脱機構
18 収納凹部
18a 規制凹部
19 逃し凹部
20 スライド部材
20a 規制突起
21 操作部材
22 スライド孔
22a 第1ガイド面
22b 第2ガイド面
23 操作本体部
23a 一端面
24 操作挿入部
24a 第1操作面
24b 第2操作面
24c 先端部
25 ガイド溝
25a 小径孔部
25b 大径孔部
25c 段差部
26 ストッパ部
27 付勢部材
28 ばね収納凹部
30 ばね凹部