(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004137
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】ドア枠材
(51)【国際特許分類】
E06B 1/62 20060101AFI20240109BHJP
E06B 1/52 20060101ALI20240109BHJP
E06B 1/60 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
E06B1/62 B
E06B1/52
E06B1/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103636
(22)【出願日】2022-06-28
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000145437
【氏名又は名称】株式会社ウッドワン
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】中本 祐昌
(72)【発明者】
【氏名】池岡 知紀
(72)【発明者】
【氏名】角田 敦
(72)【発明者】
【氏名】前田 知彦
(72)【発明者】
【氏名】高蔵 潤
【テーマコード(参考)】
2E011
【Fターム(参考)】
2E011EA01
2E011EB03
2E011ED05
2E011JA03
2E011KB01
2E011KC02
2E011KC04
2E011KD23
2E011KF01
2E011LB02
2E011LD02
2E011LD04
2E011LE04
(57)【要約】
【課題】特に、縦枠材を、施工現場にて加工不要であって、その外観上の違和感無く、左吊元及び右吊元に共用することができるドア枠材を提供する。
【解決手段】本ドア枠材1は、特に、上横枠材8に設けられ、各縦枠材7、7への上横枠材8の取付状態において、縦ケーシング嵌入溝部17の縦方向に沿う延長線上に配置される切欠き部20と、縦枠材7の縦ケーシング嵌入溝部17に嵌入され、切欠き部20に達し、その上端が上横枠材8の上方まで延びる縦ケーシング材9と、を備えている。そして、左右一対の縦枠材7及び上横枠材8を横勝ちのスタイルにて、また各縦ケーシング材9及び上横ケーシング材10を縦勝ちのスタイルにて設置することができる。これにより、左右一対の縦枠材7を、施工現場にて加工不要であって、その外観上の違和感無く、左吊元及び右吊元に共用することができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部に設けられるドア枠材であって、
板材で構成され、前記開口部の左右の壁に取り付けられる左右一対の縦枠材と、
板材で構成され、該左右一対の縦枠材の上端面に載置されて取り付けられる上横枠材と、
前記縦枠材の木端面に設けられ、縦方向に延びる縦ケーシング嵌入溝部と、
前記上横枠材に設けられ、前記各縦枠材への前記上横枠材の取付状態において、前記縦枠材の縦ケーシング嵌入溝部の縦方向に沿う延長線上に配置される切欠き部と、
前記縦枠材の縦ケーシング嵌入溝部に嵌入され、前記切欠き部に達し、その上端が前記上横枠材の上方まで延びる縦ケーシング材と、
を備えることを特徴とするドア枠材。
【請求項2】
前記上横枠材の木端面に設けられ、横方向に延びる横ケーシング嵌入溝部と、
該横ケーシング嵌入溝部に嵌入される上横ケーシング材と、を備え、
前記切欠き部は、前記上横枠材の木端面であって、少なくとも前記上横枠材の下側面から前記横ケーシング嵌入溝部に至る範囲に設けられることを特徴とする請求項1に記載のドア枠材。
【請求項3】
前記切欠き部が、前記取付状態において、前記縦ケーシング嵌入溝部以上の深さで設けられることを特徴とする請求項1に記載のドア枠材。
【請求項4】
前記切欠き部は、前記上横枠材の平面視四隅に設けられ、前記上横枠材の全厚みを切り欠いて構成されることを特徴とする請求項1に記載のドア枠材。
【請求項5】
前記縦枠材は、その端部が、床材の上面に当接するように設置できるとともに、前記上横枠材の端部に連結できる形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のドア枠材。
【請求項6】
前記左右一対の縦枠材のうち少なくとも一方の縦枠材は、設置状態において欠損部が外部に露出することのない上下対称形状に形成されることを特徴とする請求項1に記載のドア枠材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の開口部に設けられるドア枠材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ドア枠材は、建物の開口部の左右の壁に取り付けられる左右一対の縦枠材と、左右一対の縦枠材の上端に接続される上横枠材と、を備えている。そこで、左右一対の縦枠材については、上下対称の構成として、上下反転させることで、左吊元及び右吊元に共用可能にしてきた。しかしながら、上枠材や下枠材との連結構造や、ドアから下方の隙間寸法等の諸事情に対応して、施工現場にて縦枠材の端部に加工が必要な場合があり、施工現場にて加工不要の完全な左右兼用縦枠材(左吊元及び右吊元に共用可能)は存在しておらず、改善する必要があった。
【0003】
なお、左右兼用ドア枠の従来技術として、特許文献1には、ドアのラッチが係合するストライカを取り付ける穴を貫通して設けるとともに両面に化粧シートを貼着したラッチ側縦枠材と、上下対称位置に丁番を固着し、片面に化粧シートを貼着した吊元側縦枠材及び両縦枠材の上端部を連結する上横枠材から成り、左側にドアハンドルを設けた左タイプドアを組み付けるときはドアの左側にラッチ側縦枠材を配置するとともにドアの右側に吊元側縦枠材を配置し、右側にドアハンドルを設けた右タイプドアを組み付けるときは、ドアの右側にラッチ側縦枠材を配置すると共に、吊元側縦枠材を左タイプドアのときとは上下逆にしてドアの左側に配置するようにした左右兼用ドア枠が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に係る左右兼用ドア枠は、施工現場にて各縦枠材の下端を加工不要であるものと理解できるが、左右一対の縦枠材及び上横枠材が、いわゆる縦勝ちのスタイルにて設置されているために、吊元側縦枠材を上下反転させて、左吊元及び右吊元に共用する場合、吊元側縦枠材の上端部及び下端部の内側面に、上横枠材連結用のボルトの挿通孔やビスの下孔、ダボ穴等をそれぞれ設ける必要があり(特許文献1では、挿通孔や下孔、ダボ穴等が図示されていない)、設置状態で吊元側縦枠材の下端部の内側面に位置するボルトの挿通孔やビスの下孔、ダボ穴等が外部に露出することになり、人目に付きやすく外観上の問題がある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、特に、縦枠材を、施工現場にて加工不要であって、その外観上の違和感無く、左吊元及び右吊元に共用することができるドア枠材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段として、請求項1の発明は、建物の開口部に設けられるドア枠材であって、板材で構成され、前記開口部の左右の壁に取り付けられる左右一対の縦枠材と、板材で構成され、該左右一対の縦枠材の上端面に載置されて取り付けられる上横枠材と、前記縦枠材の木端面に設けられ、縦方向に延びる縦ケーシング嵌入溝部と、前記上横枠材に設けられ、前記各縦枠材への前記上横枠材の取付状態において、前記縦枠材の縦ケーシング嵌入溝部の縦方向に沿う延長線上に配置される切欠き部と、前記縦枠材の縦ケーシング嵌入溝部に嵌入され、前記切欠き部に達し、その上端が前記上横枠材の上方まで延びる縦ケーシング材と、を備えることを特徴とするものである。
【0008】
請求項1の発明では、左右一対の縦枠材及び上横枠材を、いわゆる横勝ちのスタイルにて設置でき、左右一対の縦枠材及び上横枠材に沿って配置される左右一対の縦ケーシング材及び上横ケーシング材を、いわゆる縦勝ちのスタイルにて設置することができる。すなわち、左右一対の縦枠材及び上横枠材を縦勝ちのスタイルとして、縦枠材を左吊元及び右吊元に共用する場合、上述したように、当該縦枠材の上端部及び下端部の内側面に、上横枠材連結用のボルトの挿通孔やビスの下孔、ダボ穴等をそれぞれ設ける必要があり、設置状態で、縦枠材の下端部の内側面に位置する挿通孔や下孔、ダボ穴等が外部に露出することになり、人目に付きやすく外観上の問題が発生する。これに鑑みて、請求項1の発明では、左右一対の縦枠材及び上横枠材を横勝ちのスタイルにすることで、縦枠材の下端部の内側面など、設置状態で外部に露出する面に上横枠材連結用のボルトの挿通孔やビスの下孔、ダボ穴等をそれぞれ設ける必要はなく、外観上の問題が無くなり、縦枠材を左吊元及び右吊元に共用することができる。
【0009】
また、左右一対の縦枠材及び上横枠材を横勝ちのスタイルとすると、今度は、上横枠材が、特に、木質材料等の基材表面に樹脂製シートや化粧単板等の化粧材を貼った枠材、あるいは表面を元の木材の色とは異なる色彩に化粧してなる枠材などにて構成される場合、見栄えが好ましくない左右の端面が人目に付きやすい外方に露出する新たな問題が発生する。これに鑑みて、請求項1の発明では、左右一対の縦枠材及び上横枠材に沿って、左右一対の縦ケーシング材、及び例えば上横ケーシング材を配置して、左右一対の縦ケーシング材及び上横ケーシング材を縦勝ちのスタイルにすることで、上横枠材の、見栄えが好ましくない左右の端面を外部に露出させず、縦ケーシング材の、見栄えの好ましくない上端面を人目に付きにくい上部に位置させることができ、外観上の問題が無くなる。要するに、請求項1の発明では、上横枠材に関して、端面と表面が違和感のない同様の意匠となる枠材などではなく、特に、上述した、木質材料等の基材表面に樹脂製シートや化粧単板等の化粧材を貼った枠材、あるいは表面を元の木材の色とは異なる色彩に化粧してなる枠材などの、内部やそれが露出した端面が化粧面とは異なる意匠の材からなる枠材が採用される場合に、特に、有効となる。
【0010】
請求項2のドア枠材に係る発明は、請求項1の発明において、前記上横枠材の木端面に設けられ、横方向に延びる横ケーシング嵌入溝部と、該横ケーシング嵌入溝部に嵌入される上横ケーシング材と、を備え、前記切欠き部は、前記上横枠材の木端面であって、少なくとも前記上横枠材の下側面から前記横ケーシング嵌入溝部に至る範囲に設けられることを特徴とするものである。
【0011】
そこで、上横枠材に切欠き部を一切設けず、縦ケーシング材の上端部に上横枠材との干渉を防ぐための側面視L字状の逃げ切欠き部を形成すると、設置状態において、縦ケーシング材の逃げ切欠き部と枠材との間の隙間のうち、上横ケーシング材より下方に位置する隙間が大きく露出する懸念があり、外観上の問題が発生する。これに鑑みて、請求項2の発明では、少なくとも上横枠材の下側面から横ケーシング嵌入溝部に至る範囲に切欠き部を形成し、また、縦ケーシング材の上端部に形成される側面視L字状の逃げ切欠き部の下端を設置状態で上横ケーシング材の下側面より下方には達さない高さにすることで、前記逃げ切欠き部と上横枠材との間の隙間が露出することはなくなり、良好な見栄えとなる。
【0012】
請求項3のドア枠材に係る発明では、請求項1の発明において、前記切欠き部が、前記取付状態において、前記縦ケーシング嵌入溝部以上の深さで設けられることを特徴とするものである。
請求項3の発明では、縦枠材と上横枠材との取付位置がその幅方向に多少ずれた場合でも、縦ケーシング材が縦枠材の縦ケーシング嵌入溝部に十分に嵌り、縦ケーシング材の、開口部側方の壁表面を覆う部分と、当該壁表面との間に隙間が生じ難くなる。
【0013】
請求項4のドア枠材に係る発明は、請求項1の発明において、前記切欠き部は、前記上横枠材の平面視四隅に設けられ、前記上横枠材の全厚みを切り欠いて構成されることを特徴とするものである。
【0014】
請求項4の発明では、縦ケーシング材が上横枠材と干渉しないため、縦ケーシング材の上端部に設ける逃げ切欠き部の上下方向の寸法を小さく抑えることができ、縦ケーシング材の上端部に生じる反りを最小限に抑えることができる。また、前記逃げ切欠き部の上下方向の寸法に誤差が生じても、前記逃げ切欠き部の下端が、上横枠材の上側面から上横ケーシング材の下側面の間の高さに納まっていればよく、建物の開口部上方の壁との干渉や隙間の露出といった問題が生じにくい。さらに、上横枠材に設ける切り欠きの加工も容易である。なお、縦ケーシング材は、上横枠材の上方まで延びており、該縦ケーシング材の上方には、壁が配置されることがあるために、縦ケーシング材の上端部には、少なくとも、設置状態で上横枠材の上側面より上方に位置する部分に、前記上方の壁を避けるための逃げ切欠き部を設ける必要がある。
【0015】
請求項5のドア枠材に係る発明は、請求項1の発明において、前記縦枠材は、その端部が、床材の上面に当接するように設置できるとともに、前記上横枠材の端部に連結できる形状に形成されていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項5の発明では、左右一対の縦枠材を、その下端及び上端を施工現場にて加工不要で、左吊元及び右吊元に共用することができる。なお、縦枠材の下端面全域が、床材の上面に当接しても良いし、縦枠材の下端面の一部が、床材の上面に当接しても良い。少なくとも、縦枠材の正面側及び背面側の下端面が床材の上面に当接する構成でもよい。
【0017】
請求項6のドア枠材に係る発明は、請求項1の発明において、前記左右一対の縦枠材のうち少なくとも一方の縦枠材は、設置状態において欠損部が外部に露出することのない上下対称形状に形成されることを特徴とするものである。
【0018】
請求項6の発明では、左右一対の縦枠材のうち少なくとも一方の縦枠材を、上下反転させることで、設置状態で外観上の違和感無く、左吊元及び右吊元に共用することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るドア枠材によれば、特に、縦枠材を、施工現場にて加工不要であって、その外観上の違和感無く、左吊元及び右吊元に共用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るドア枠材を示す正面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係るドア枠材における、左右一対の縦枠材への上横枠材の取付状態と、左右一対の縦ケーシング材及び上横ケーシング材とを示す斜視図である。
【
図7】
図7の(a)は、他の実施形態に係る上横枠材(切欠き部)を示す斜視図であり、(b)は、他の実施形態に係る縦ケーシング材の一部(逃げ切欠き部)を示す斜視図である。
【
図8】
図8の(a)は、さらに他の実施形態に係る上横枠材(切欠き部)を示す斜視図であり、(b)は、さらに他の実施形態に係る縦ケーシング材の一部(逃げ切欠き部)を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、さらに他の実施形態に係る上横枠材(切欠き部)を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態を
図1~
図9に基づいて詳細に説明する。なお、本発明の実施形態に係るドア枠材1の以下の詳細な説明で言及する縦方向または上下方向、横方向または左右方向、幅方向または前後方向は、設置状態における、縦枠材7の長手方向、上横枠材8の長手方向、縦枠材7及び上横枠材8の長手方向と直交する方向(いわゆる短手方向とも言う)に相当する。
【0022】
また、以下の詳細な説明において、縦枠材7の、面積が一番小さな面を、その総称を「端面」、あるいは「上下の端面」として、また各々を「上端面」及び「下端面」と言及する。縦枠材7の、一番細長い面を、「木端面」と言及する。縦枠材7の、面積が一番大きな面を、その総称を「側面」、あるいは「左右の側面」として、また化粧を要する内側(ドア側)の面を「内側面」及び化粧を要さない外側(壁側)の面を「外側面」として各々言及する。一方、上横枠材8の、面積が一番小さな面を、総称を「端面」、あるいは「左右の端面」として、また各々を「左端面」及び「右端面」と言及する。上横枠材8の、一番細長い面を、「木端面」と言及する。上横枠材8の、面積が一番大きな面を、その総称を「側面」、あるいは「上下の側面」)として、また化粧を要する下側(ドア側)の面を「下側面」及び化粧を要さない上側(壁側)の面を「上側面」と言及する。
【0023】
そして、本発明の実施形態に係るドア枠材1は、
図1に示すように、建物の開口部2に沿って、開閉自在のドア3の周りに配置されるものである。
図1~
図5に示すように、本実施形態に係るドア枠材1は、左右一対の縦枠材7、7と、該左右一対の縦枠材7、7の上端に連結される上横枠材8と、左右一対の縦枠材7、7の木端面に沿って配置される左右一対の縦ケーシング材9、9と、上横枠材8の木端面に沿って配置される上横ケーシング材10と、を備えている。
【0024】
なお、
図3及び
図4を参照して、本実施形態では、左右一対の縦枠材7、7の正面側及び背面側の木端面に左右一対の縦ケーシング材9、9が設けられ、上横枠材8の正面側及び背面側の木端面に上横ケーシング材10が設けられているが、左右一対の縦枠材7、7と上横枠材8の正面側及び背面側の木端面のいずれか一方に左右一対の縦ケーシング材9、9と上横ケーシング材10を設けてもよい。
【0025】
図5に示すように、縦枠材7は、板材であって、全体として、断面矩形状に形成される。縦枠材7の、正面側及び背面側の木端面、内側面及び外側面、上端面及び下端面は、平坦面にそれぞれ形成される。
図1も参照して、左右一対の縦枠材7、7は、その外方を向く外側面が、建物の開口部2を形成する縦方向に延びる内周側部にそれぞれ装着される。
【0026】
図1に示すように、本実施形態では、左右一対の縦枠材7、7は、その下端面全域が床材15の上面15Aにそれぞれ当接されるように設置される。なお、ドア枠材1として下枠材(図示略)が配置される場合には、例えば、左右一対の縦枠材7、7の下方全面に床材15を施工し、各縦枠材7、7を、その下端面全域が床材15の上面15Aに当接するようにそれぞれ設置して、左右一対の縦枠材7、7の間の床材15の上面15Aに薄い下枠材が設置される実施形態が採用される。また、各縦枠材7、7の下端面の一部が床材15の上面15Aに当接されるようにそれぞれ設置される実施形態も採用される。例えば、縦枠材7の幅方向略中央の下方に、床材15を貼らないように、縦枠材7の幅長より狭い間隔で床材15、15を離して施工し、縦枠材7の正面側及び背面側の下端面が床材15、15の上面15A、15Aに当接するようにそれぞれ設置して、左右一対の縦枠材7、7間で床材15が貼られていない箇所に嵌め込むように下枠材が設置される形態も採用される。
【0027】
上述したように、左右一対の縦枠材7、7の下端面全域が床材15の上面15Aに当接される実施形態の他に、左右一対の縦枠材7、7の下端面の一部、具体的には正面側及び背面側の下端面が床材15の上面15Aに当接される実施形態や、左右一対の縦枠材7、7の端面に設置状態で外部には露出しない欠損部を有する実施形態、左右一対の縦枠材7、7の端面の幅方向略中央が突出しており、その突出部が、床材15が貼られていない床材15、15の間であって、床下地面から床材15の上面15Aと同一平面上までの空間や上横枠材8の戸当たり装着用溝部12、12間に設けられた溝に納まる実施形態などが採用される場合もある。要するに、設置状態で欠損部が外部に露出せず、縦枠材7の両端が床材15に設置できるとともに上横枠材8の端部に連結できる同様の形状に形成しておけば、縦枠材7の端部を加工せずとも、そのまま設置することができる。さらに、
図3~
図5に示すように、縦枠材7には、正面側及び背面側の木端面に、縦方向に延びる縦ケーシング嵌入溝部17、17がそれぞれ形成される。縦ケーシング嵌入溝部17は、縦枠材7の縦方向全域に亘って形成される。縦ケーシング嵌入溝部17は、正面側または背面側を開放する断面コ字状に形成される。なお、本実施形態では、縦枠材7の正面側及び背面側の木端面に縦ケーシング嵌入溝部17、17がそれぞれ形成されているが、縦ケーシング材9の位置に対応して、縦枠材7の正面側及び背面側の木端面のうちいずれか一方に縦ケーシング嵌入溝部17、17を設けてもよい。
【0028】
縦枠材7の上端面及び下端面には、図示は省略するが、上横枠材8との連結のためのボルトの挿通孔やビスの下孔、ダボ穴等が設けられている。また、図示は省略するが、縦枠材7の上端部及び下端部には、その外側面(化粧されていない裏面)から、化粧されている内側面には到達しない穴が加工されており、その穴に縦枠材7の基材よりもボルトやビスの保持力が高く、ボルトやビスが捩じり込まれる螺合保持部材が埋設される。あるいは、縦枠材7の上端面及び下端面に設置状態では外部に露出しない穴が加工されており、その穴に螺合保持部材が埋設される。
【0029】
なお、前記螺合保持部材としては、雌ネジ加工を施した金属製のインサーナット、雌ネジ加工を施していない樹脂製の円筒状部材や埋め木等を用いることができる。いずれを用いる場合であっても、正しい位置に上横枠材8との連結用のボルトやビスが捩じ込まれ、螺合保持部材と螺合する必要があるので、縦枠材7の端面や上横枠材8の端部に予めボルトの挿通孔やビスの下孔を形成しておく必要がある。そのため、上横枠材8との連結に用いる螺合保持部材を埋設する縦枠材7において、設置状態でボルトの挿通孔やビスの下孔、ダボ穴等が外部に露出しない本願発明の構成は有効なものとなる。ちなみに、本実施形態に係る横勝ちスタイルの場合、縦枠材7に螺合保持部材を埋設することになるが、縦枠材7の上端部及び下端部の両方に予め螺合保持部材を埋設しておいてもよく、また、縦枠材7の上端部及び下端部の両方に予め螺合保持部材を埋設するための穴を加工しておき、設置状態で上端となる方の穴に、施工現場において螺合保持部材を埋設するようにしてもよい。
【0030】
図3~
図5を参照して、縦枠材7の、内方を向く内側面には、幅方向略中央部に戸当たり装着用溝部12、12が縦方向に延び、且つ幅方向に間隔を置いて一対形成される。一対の戸当たり装着用溝部12、12間には、縦枠材7を建物の開口部2を形成する躯体に接合するための金具14Aが挿通される孔14が縦方向に間隔を置いて複数形成される。なお、これら金具14A及び孔14は、戸当たり13が戸当たり装着用溝部12、12に装着されると外部に露出することはない。また、図示は省略するが、左右一対の縦枠材7、7のうち吊元側の縦枠材7の、内方を向く内側面には、その幅方向端部寄りであって、縦方向対称の位置に蝶番取付用凹部が複数形成されている。さらに、図示は省略するが、左右一対の縦枠材7、7のうちラッチ受け側の縦枠材7の、内方を向く内側面には、その幅方向端部寄りであって、縦方向中央の位置にラッチ受け取付用凹部が形成される。なお、これら蝶番取付用凹部及びラッチ受け取付用凹部も、蝶番、ラッチ受けがそれぞれ装着されると外部に露出することはない。
【0031】
左右一対の縦枠材7、7は、上下対称形状に形成される。詳しくは、左右一対の縦枠材7、7は、設置状態において欠損部が外部に露出することのない、すなわち、従来のような、設置状態で左右一対の縦枠材7、7の下端に位置する上横枠材8との連結用のボルトの挿通孔やビスの下孔、ダボ穴等の欠損部が外部に露出することのない上下対称形状に形成される。具体的に説明すると、左右一対の縦枠材7、7が、上下対称形状に形成されていても、設置状態で外部に露出する欠損部、すなわち、縦枠材7、7の化粧を要する面(内側面や、木端面の縦ケーシング嵌入溝部17より内側の面等のうち、縦ケーシング材9や戸当り13等を取り付けた設置状態においても外部に露出する面)に設けられたボルトの挿通孔やビスの下孔、ダボ穴、切欠き、枠材接合金具が挿通される孔等の欠損部を有しているものは望ましくない。
【0032】
一方、左右一対の縦枠材7、7が、欠損部を有していても、設置状態において外部に露出しない欠損部、すなわち、蝶番取付用凹部、ラッチ受け取付用凹部や、縦枠材7、7の化粧を要さない面(上端面、下端面、外側面、木端面の縦ケーシング嵌入溝部17よりも外側の面、あるいは、内側面とあわせて化粧してあることもあるが、戸当たり13等を取り付けてしまえば露出しない戸当たり装着用溝部12、12間の面等、設置状態においては外部に露出しない面)に設けられたボルトの挿通孔やビスの下孔、ダボ穴、切欠き、枠材接合金具14Aが挿通される孔14等の欠損部であれば、上下対称に形成しても最終的には露出しないわけであるから望ましい。
【0033】
なお、縦枠材7、7を左吊元及び右吊元に共用するためには、ボルトの挿通孔やビスの下孔、ダボ穴等、上横枠材8と連結するために必要な欠損部や、蝶番やラッチ受け等、ドアと係合するために必要な欠損部といった、ドア等(上下反転させないもの)の構成に対応する位置に設ける必要のある欠損部は、上下対称に設ける必要があるが、例えば柱、まぐさ等の任意の位置に固定すればよい枠材接合金具14Aが挿通される孔14等は、必ずしも上下対称に形成する必要はなく、上下対称形状から対象外となる。また、本実施形態では、左右一対の縦枠材7、7が、上述したような上下対称形状に形成されているが、左右一対の縦枠材7、7のうち少なくとも一方の縦枠材7を、上述したような上下対称形状に形成してもよい。また、本実施形態の説明にて言及している欠損部は、例えば、ボルトの挿通孔やビスの下孔、ダボ穴、凹部、切欠き部等を形成することで、枠材の表面が欠損している部位のことを意味している。
【0034】
図3~
図5に示すように、上横枠材8は、板材であって、全体として、断面矩形状に形成される。上横枠材8の、正面側及び背面側の木端面、左端面及び右端面、上側面及び下側面は、平坦面にそれぞれ形成される。上横枠材8は、その上側面が、建物の開口部2を形成する横方向に延びる内周上部に装着される。上横枠材8には、正面側及び背面側の木端面に、横方向に延びる横ケーシング嵌入溝部18、18がそれぞれ形成される。横ケーシング嵌入溝部18は、上横枠材8の横方向全域に亘って形成される。横ケーシング嵌入溝部18は、正面側または背面側を開放する断面コ字状に形成される。なお、本実施形態では、上横枠材8の正面側及び背面側の木端面に横ケーシング嵌入溝部18、18がそれぞれ形成されているが、上横ケーシング材10の位置に対応して、上横枠材8の正面側及び背面側の木端面のうちいずれか一方に横ケーシング嵌入溝部19を設けてもよい。
【0035】
縦枠材7に設けた縦ケーシング嵌入溝部17の深さと、上横枠材8に設けた横ケーシング嵌入溝部18の深さとは略同じである。なお、
図4及び
図5を参照して、上横枠材8の下側面には、縦枠材7と同様に、幅方向略中央部に戸当たり装着用溝部12、12が横方向に延び、且つ幅方向に間隔を置いて一対形成される。一対の戸当たり装着用溝部12、12間には、上横枠材8を建物の開口部2を形成する躯体に接合するための金具14Aが挿通される孔14が横方向略中央に形成される。この金具14A及び孔14は、戸当たり13が戸当たり装着用溝部12、12に装着されると外部に露出することはない。また、
図5では、上横枠材8の幅長は、縦枠材7の幅長と同じであるが、後述するが、一対の縦枠材7、7及び上横枠材8が横勝ちスタイルで設置されるので、上横枠材8の幅長を、縦枠材7の幅長よりも数mm程度幅広に設定してもよい。そのようにしておけば、縦枠材7と上横枠材8との取付位置が幅方向(前後方向)に多少ずれた場合であっても、化粧していない縦枠材7の上端面が露出し難くなる。
【0036】
図5に示すように、上横枠材8の平面視四隅には、正面及び端面を切り欠いた平面視L字状の切欠き部20が形成される。切欠き部20は、上横枠材8の全厚さを切り欠くように構成される。言い換えれば、切欠き部20は、上横枠材8の縦方向(厚さ方向)全域に亘って形成される。そして、
図5及び
図6に示すように、上横枠材8の左右の端部が左右一対の縦枠材7、7の上端面それぞれに載置されて、ボルト、ビス(本実施形態)、ダボ(本実施形態)及び接着剤(本実施形態)等により固定される。なお、本実施形態では、上横枠材8の左右の端部に、幅方向に間隔を開けてビスが捩じ込まれる下孔22、22が複数形成される。各下孔22は縦方向に貫通される。
【0037】
なお、左右一対の縦枠材7、7への上横枠材8の取付状態において、
図5から解るように、左右一対の縦枠材7、7の外方を向く左右の外側面と、上横枠材8の左右の端面とは同一平面上に位置する。また、
図5では、左右一対の縦枠材7、7の正面側及び背面側の木端面と、上横枠材8の正面側及び背面側の木端面とが同一平面上に位置しているが、上述したように、左右一対の縦枠材7、7の正面側及び背面側の木端面が、上横枠材8の正面側及び背面側の木端面よりも数mm程度幅方向内側に位置するようにしてもよい。そのようにしておけば、縦枠材7と上横枠材8との取付位置が幅方向(前後方向)に多少ずれた場合であっても、化粧していない縦枠材7の上端面が露出し難くなる。そして、左右一対の縦枠材7、7及び上横枠材8は、いわゆる横勝ちのスタイルにて設置される。
【0038】
また、
図6から解るように、左右一対の縦枠材7、7への上横枠材8の取付状態において、上横枠材8の切欠き部20は、縦枠材7の縦ケーシング嵌入溝部17の縦方向に沿う延長線上に位置する。具体的には、上横枠材8の切欠き部20を形成する一方の面(端面から所定深さの面)20Aは、縦ケーシング嵌入溝部17の一対の対向面のうち内側の対向面と同一平面上に位置する。一方、上横枠材8の切欠き部20を形成する他方の面(木端面から所定深さの面)20Bは、縦ケーシング嵌入溝部17(横ケーシング嵌入溝部18)の底面と同一平面上に位置する。
【0039】
なお、切欠き部20を形成する他方の面20Bは、縦ケーシング嵌入溝部17の底面より若干深く形成してもよい。このように、切欠き部20を形成する他方の面20Bを、縦ケーシング嵌入溝部17の底面より若干深く形成すると、縦枠材7と上横枠材8との取付位置が幅方向(前後方向)に多少ずれた場合であっても、後述する縦ケーシング材9の嵌入板状部24が縦枠材7の縦ケーシング嵌入溝部17に十分に嵌り、後述する縦ケーシング材9の被覆板状部25と、開口部2側方の壁表面との間に隙間が生じ難くなる。
【0040】
図2~
図5に示すように、左右一対の縦枠材7、7の縦ケーシング嵌入溝部17、17には、左右一対の縦ケーシング材9、9がそれぞれ嵌入される。なお、
図5では、左右一対の縦枠材7、7の正面側に設けた縦ケーシング嵌入溝部17、17に嵌入される縦ケーシング材9、9しか図示されていない。
図5では図示が省略されているが、本実施形態では、
図3を参照して、左右一対の縦枠材7、7の背面側に設けた縦ケーシング嵌入溝部17、17にも縦ケーシング材9、9が嵌入される。縦ケーシング材9は、嵌入板状部24と被覆板状部25とからなる断面L字状に形成される。なお、被覆板状部25は角部を含む範囲までの部位である。一方、嵌入板状部24は、被覆板状部25に対して直交する方向(前後方向)に延びる部位である。
【0041】
縦ケーシング材9の嵌入板状部24の上端部には、設置状態で開口部2上方の壁を構成する石膏ボード等の面材50との干渉を避けるための逃げ切欠き部26が形成される。該逃げ切欠き部26は、側面視L字状に形成される。逃げ切欠き部26の、被覆板状部25に向かう方向(前後方向)の寸法については、設置状態において、被覆板状部25の外側の開口部2側方の壁表面に当接する部位を含み前記壁表面と平行となる平面上まで切り欠いて形成される。この平面まで逃げ切欠き部26が達さない場合は、逃げ切欠き部26が前記上方の壁(面材50)に干渉し、被覆板状部25の外側と、開口部2側方の壁表面との間に隙間が生じるため、望ましくない。
【0042】
また、逃げ切欠き部26を前記平面以上に切り欠いた場合、設置状態で上から見ると、多少、被覆板状部25の内側と開口部2上方の壁表面との間に隙間が空くことになる。ただし、被覆板状部25の外側に生じる隙間ほど目立つものではないため、逃げ切欠き部26がこの平面以上に達する場合であっても、上横ケーシング材10の端部によって隠される部分に納まる範囲内であれば、許容できる可能性がある。しかし、上横ケーシング材10の端部によって隠される部分以上に及ぶ場合は、設置状態で逃げ切欠き部26が露出することになるため、望ましくない。また、逃げ切欠き部26の上下方向の寸法については、その上端から、設置状態で、少なくとも上横枠材8の切欠き部20に達し、且つ、上横枠材8の横ケーシング嵌入溝部18の下面より下には達さないように切り欠いて形成される。上横枠材8の切欠き部20に達さない場合、前記上方の壁に干渉して嵌まらないため、望ましくない。また、上横枠材8の横ケーシング嵌入溝部18の下面より下に達してしまう場合、上横ケーシング材10の端部で隠すことができず、上横ケーシング材10より下の部分に逃げ切り欠き部26が露出してしまうため、望ましくない。
【0043】
縦ケーシング材9の嵌入板状部24が、縦枠材7の縦ケーシング嵌入溝部17に嵌入される。このように、左右一対の縦枠材7、7への上横枠材8の取付状態で、左右一対の縦ケーシング材9、9の嵌入板状部24、24が、左右一対の縦枠材7、7の縦ケーシング嵌入溝部17、17にそれぞれ嵌入されると、各縦ケーシング材9は、その嵌入板状部24が上横枠材8と干渉することなく、上横枠材8に設けた切欠き部20に達し、縦ケーシング材9に設けた逃げ切欠き部26により、前記上方の壁(石膏ボード等の面材50)との干渉を避けるようにして、各縦ケーシング材9の上端が上横枠材8の上側面から所定距離の位置に配される。具体的には、縦ケーシング材9の嵌入板状部24が、縦枠材7の縦ケーシング嵌入溝部17に嵌入されると、縦ケーシング材9の嵌入板状部24が上横枠材8に設けた切欠き部20に達し、縦ケーシング材9に設けた逃げ切欠き部26により、前記上方の壁との干渉を避け、各縦ケーシング材9、具体的には各縦ケーシング材9の被覆板状部25の上端が少なくとも上横ケーシング材10の上側面と同一平面上の位置まで配される。
【0044】
図2及び
図3を参照して、このとき、左右一対の縦ケーシング材9、9の被覆板状部25、25は、横方向であって、ドア3側とは反対側に向かって延びる。そして、左右一対の縦ケーシング材9、9の被覆板状部25、25により、上横枠材8の見栄えが好ましくない左右の端面、上横枠材8の切欠き部20、及び各縦枠材7、7と建物の開口部2側方の壁表面との境目等を被覆する。
【0045】
なお、
図3及び
図4に示すように、縦ケーシング材9の嵌入板状部24が、縦枠材7の縦ケーシング嵌入溝部17に嵌入された際には、縦ケーシング材9の嵌入板状部24と、縦枠材7の縦ケーシング嵌入溝部17の底面との間に大小の隙間が現出する寸法のものを採用するのが好ましい。そのような寸法のものを用いれば、壁の厚さなどに多少の誤差が生じていても、縦ケーシング材9の被覆板状部25と、建物の開口部2側方の壁表面との間に隙間が生じないように設置することができる。また、
図1を参照して、左右一対の縦ケーシング材9、9の下端面は、各縦枠材7、7の下端面と同一平面上に位置して、床材15の上面15Aに当接される。
【0046】
一方、
図2~
図5に示すように、上横枠材8の横ケーシング嵌入溝部18には、上横ケーシング材10が嵌入される。なお、
図5では、上横枠材8の正面側に設けた横ケーシング嵌入溝部18に嵌入される上横ケーシング材10しか図示されていない。
図5では図示が省略されているが、本実施形態では、
図4を参照して、上横枠材8の背面側に設けた横ケーシング嵌入溝部18にも上横ケーシング材10が嵌入される。上横ケーシング材10は、嵌入板状部27と被覆板状部28とからなる断面L字状に形成される。なお、被覆板状部28は角部を含む範囲の部位である。一方、嵌入板状部27は、被覆板状部28に対して直交する方向(前後方向)に延びる部位である。上横ケーシング材10の嵌入板状部27が、上横枠材8の横ケーシング嵌入溝部18に嵌入される。上横ケーシング材10の嵌入板状部27が、上横枠材8の横ケーシング嵌入溝部18に嵌入された際、上横ケーシング材10の嵌入板状部27と、上横枠材8の横ケーシング嵌入溝部18の底面との間に大小の隙間が現出する寸法のものを採用するのが好ましい。
【0047】
上横ケーシング材10の嵌入板状部27が、上横枠材8の横ケーシング嵌入溝部18に嵌入されると、上横ケーシング材10の被覆板状部28は、縦方向であって、ドア3側とは反対側(上方)に向かって延びる。そして、上横ケーシング材10の被覆板状部28により、上横枠材8と建物の開口部2上方の壁表面との境目等を被覆する。なお、上横ケーシング材10の嵌入板状部27と、上横枠材8の横ケーシング嵌入溝部18の底面との間に大小の隙間が現出する寸法のものを用いれば、壁の厚さなどに多少の誤差が生じていても、上横ケーシング材10の被覆板状部28と建物の開口部2上方の壁表面との間に隙間が生じないように設置することができる。左右一対の縦ケーシング材9、9及び上横ケーシング材10の設置状態においては、
図2及び
図3から解るように、上横ケーシング材10の左右の端面は、左右一対の縦ケーシング材9、9の嵌入板状部24、24及び被覆板状部25、25にそれぞれ当接される。
【0048】
また、
図2及び
図4から解るように、左右一対の縦ケーシング材9、9の上端面は、上横ケーシング材10の被覆板状部28の上側面と同一平面上に位置する。さらに、左右一対の縦ケーシング材9、9が、上横ケーシング材10よりも、ドア3の正面に対して直交する方向(前後方向)であって、ドア3から遠ざかる方向に突出するように配置される。このように、左右一対の縦ケーシング材9、9及び上横ケーシング材10は、いわゆる縦勝ちのスタイルにて、左右一対の縦枠材7、7及び上横枠材8にそれぞれ取り付けられる。
【0049】
なお、
図3~
図5に示す金具14Aは、ドア枠材1を壁内(開口部2内)の柱、まぐさ等に固定し、ドア枠材1の反り具合やドア3との距離等を微調整するためのものである。ドア枠材1の戸当たり装着用溝部12、12間の孔14から、六角レンチ(図示略)などの工具を通して回すと、ドア枠材1に対して金具14Aが外側に突出する。その状態で、前後方向の位置や傾きが適切になるように調整して、ドア枠材1の固定位置を決める。そして、金具14Aの中央の孔からビスを通して、柱、まぐさ等に捩じ込んで固定する。その後、金具14Aを回し、柱、まぐさ等からドア枠材1までの距離を変えることにより、ドア枠材1の反り具合やドアとの距離等の微調整を行う。
【0050】
また、縦ケーシング材9及び上横ケーシング材10は、開口部2の壁の厚さ(幅長)と、縦枠材7及び上横枠材8の幅長とに差がある場合、あるいは、開口部2の寸法と、一対の縦枠材7、7への上横枠材8の取付状態における外形寸法とに差がある場合に、開口部2周辺の壁表面と、縦枠材7及び上横枠材8との間を覆う見切材に相当するものである。より詳細には、開口部2周辺の壁を構成する石膏ボード等の面材50(
図3及び
図4参照)の表面と、縦枠材7及び上横枠材8との間の隙間、あるいは、その面材50の表面に貼着した壁紙等の化粧材と、縦枠材7及び上横枠材8との間の隙間を覆う見切材に相当するものである。
【0051】
そして、本実施形態に係るドア枠材1では、左右一対の縦枠材7、7及び上横枠材8を横勝ちのスタイルにて設置することで、縦枠材7、7を左吊元及び右吊元に共用する場合、従来のように、縦枠材7、7の下端部の内側面など、設置状態で外部に露出する面に上横枠材8連結用のボルトの挿通孔やビスの下孔、ダボ穴等をそれぞれ設ける必要はなく、外観上の問題が無くなる。また、左右一対の縦枠材7、7への上横枠材8の取付状態において、上横枠材8に、縦ケーシング嵌入溝部17の縦方向に沿う延長線上に配置される切欠き部20、言い換えれば、縦ケーシング材9の嵌入板状部24との干渉を避けるための切欠き部20を設けることで、左右一対の縦ケーシング材9、9及び上横ケーシング材10を縦勝ちのスタイルにて設置することができる。これにより、上横枠材8の、見栄えが好ましくない左右の端面が外部に露出せず、縦ケーシング材9の、見栄えの好ましくない上端面を人目に付きにくい上部に位置させることができ、外観上の問題が無くなり、ドア枠材1全体の見栄えが良好となる。
【0052】
また、本実施形態に係るドア枠材1では、切欠き部20は、上横枠材8の平面視四隅に設けられ、全厚みを切り欠いて構成される。これにより、縦ケーシング材9の嵌入板状部24の上端部に、開口部2上方の壁(例えば石膏ボード等の面材50)との干渉を防ぐための逃げ切欠き部26は必要であるものの、上横枠材8との干渉を防ぐための逃げ切欠き部を設ける必要がなく、
図5のように最低限の逃げ切欠き部26を設ければよいので、逃げ切欠き部を形成することによる縦ケーシング材9の上端部の反りの問題を最小限に止めることができる。
【0053】
さらに、本実施形態に係るドア枠材1では、左右一対の縦枠材7、7の下端面が床材15の上面15Aに当接するように設置される。これにより、縦枠材7、7を、その下端及び上端を施工現場にて加工することなく、左吊元及び右吊元に共用することができる。左右一対の縦枠材7、7を、施工現場で加工する必要がないので、左右誤って加工することもなく、また、左右誤って途中まで取り付けてしまっても、その縦枠材7、7を、左右を変えて取り付け直すことも可能であり、その施工性を向上させることができる。
【0054】
さらにまた、本実施形態に係るドア枠材1では、左右一対の縦枠材7、7は、設置状態において欠損部が外部に露出することのない上下対称形状に形成される。すなわち、例えば、従来のような、左吊元及び右吊元に共用すべく、縦枠材7、7の上端部及び下端部に設けた上横枠材8との連結用のボルトの挿通孔やビスの下孔、ダボ穴等(欠損部)が、設置状態で現出されることがない上下対称形状に形成される。これにより、左右一対の縦枠材7、7を、上下反転させることで、左吊元及び右吊元に共用することができ、設置状態でドア枠材1全体の見栄えが損なわれることはない。
【0055】
なお、本実施形態では、左右一対の縦枠材7、7が、上述したような上下対称形状に形成されているが、左右一対の縦枠材7、7のうち少なくとも一方の縦枠材7を、上述したような上下対称形状に形成し、他方の縦枠材7は、表裏対称構成、あるいは幅方向対称構成等、他の構成で、左吊元及び右吊元に共用することができるようにしてもよい。このような構成であっても、上下対称形状に形成した、一方の縦枠材7の設置状態で露出する部位に欠損部を有する場合は、外観上の問題が生じるので、本実施形態の構成が有効なものとなる。
【0056】
次に、他の実施形態に係る上横枠材8及び縦ケーシング材9を
図7に基づいて説明する。上横枠材8の木端面であって、その横ケーシング嵌入溝部18の下側に位置する下部板状部31の左右の端部には、正面側または背面側を開放する底面視コ字状の切欠き部20、20がそれぞれ形成される。当該切欠き部20の木端面からの深さは、左右一対の縦枠材7、7への上横枠材8の取付状態において、縦枠材7の縦ケーシング嵌入溝部17の深さと略同じ、またはそれ以上に設定される。これらの切欠き部20は、左右一対の縦枠材7、7への上横枠材8の取付状態において、縦枠材7の縦ケーシング嵌入溝部17の縦方向に沿う延長線上に位置する(
図5及び
図6も参照)。
【0057】
一方、本実施形態においては、
図7(b)に示すように、縦ケーシング材9の嵌入板状部24の上端部に、上横枠材8の横ケーシング嵌入溝部18の上側に位置する上部板状部32及び上方の壁(石膏ボード等の面材50)との干渉を避けるための逃げ切欠き部35が形成される。逃げ切欠き部35は、側面視L字状に形成される。この逃げ切欠き部35の、被覆板状部25に向かう方向(前後方向)の寸法については、設置状態において、被覆板状部25の外側の開口部2側方の壁表面に当接する部位を含み前記壁表面と平行となる平面上まで切り欠いて形成される。あるいは、逃げ切欠き部35がこの平面以上に達する場合であっても、上横ケーシング材10の端部によって隠される部分に納まる範囲内であれば、許容できる可能性がある。
【0058】
また、逃げ切欠き部35の上下方向の寸法については、その上端から、設置状態で、少なくとも上横枠材8の横ケーシング嵌入溝部18に達し、且つ、上横枠材8の横ケーシング嵌入溝部18の下面(下部板状部31の上面)より下に位置する切欠き部20には達さないように切り欠いて形成される。そして、左右一対の縦枠材7、7、上横枠材8、左右一対の縦ケーシング材9、9及び上横ケーシング材10の設置状態において、上横枠材8の切欠き部20及び横ケーシング嵌入溝部18に縦ケーシング材9の嵌入板状部24が収まる。
【0059】
次に、さらに他の実施形態に係る上横枠材8及び縦ケーシング材9を
図8に基づいて説明する。上横枠材8の木端面であって、その横ケーシング嵌入溝部18の下側に位置する下部板状部31の左右の端部には、端面側、及び正面側または背面側を開放する底面視L字状の切欠き部20が形成される。当該切欠き部20の木端面からの深さは、左右一対の縦枠材7、7への上横枠材8の取付状態において、縦枠材7の縦ケーシング嵌入溝部17の深さと略同じ、またはそれ以上に設定される。切欠き部20は、左右一対の縦枠材7、7への上横枠材8の取付状態において、縦枠材7の縦ケーシング嵌入溝部17の縦方向に沿う延長線上に位置する(
図5及び
図6も参照)。
【0060】
一方、本実施形態においては、
図7(b)に示す縦ケーシング材9と同様であって、
図8(b)に示すように、縦ケーシング材9の嵌入板状部24の上端部に、上横枠材8の横ケーシング嵌入溝部18の上側に位置する上部板状部32及び上方の壁(石膏ボード等の面材50)との干渉を避けるための逃げ切欠き部35が形成される。逃げ切欠き部35は、側面視L字状に形成される。この逃げ切欠き部35の、被覆板状部25に向かう方向(前後方向)の寸法については、設置状態において、被覆板状部25の外側の開口部2側方の壁表面に当接する部位を含み前記壁表面と平行となる平面上まで切り欠いて形成される。あるいは、逃げ切欠き部がこの平面以上に達する場合であっても、上横ケーシング材10の端部によって隠される部分に納まる範囲内であれば、許容できる可能性がある。
【0061】
また、逃げ切欠き部35の上下方向の寸法については、その上端から、設置状態で、少なくとも上横枠材8の横ケーシング嵌入溝部18に達し、且つ、上横枠材8の横ケーシング嵌入溝部18の下面(下部板状部31の上面)より下に位置する切欠き部20には達さないように切り欠いて形成される。そして、左右一対の縦枠材7、7、上横枠材8、左右一対の縦ケーシング材9、9及び上横ケーシング材10の設置状態において、上横枠材8の切欠き部20及び横ケーシング嵌入溝部18に縦ケーシング材9の嵌入板状部24が収まる。
【0062】
そして、
図7及び
図8に示す実施形態では、上横枠材8の下側面から横ケーシング嵌入溝部18に至る範囲、すなわち、上横枠材8において、横ケーシング嵌入溝部18から下側の下部板状部31に切欠き部20を形成することで、設置状態において、上横ケーシング材10の下方には、縦ケーシング材9の逃げ切欠き部35が形成されないので、該逃げ切欠き部35が上横ケーシング材10の左右の端部の下に露出することはなく、外観上違和感が無く、見栄えが良好となる。
【0063】
次に、さらに他の実施形態に係る上横枠材8を
図9に基づいて説明する。上横枠材8の木端面であって、その左右の端部には、正面側または背面側を開放する平面視コ字状の切欠き部20がそれぞれ形成される。当該切欠き部20は、上横枠材8の縦方向(厚さ方向)全域に亘って形成される。よって、縦ケーシング材9の上端部の反りの問題を最小限に止めることができる。当該切欠き部20の木端面からの深さは、左右一対の縦枠材7、7への上横枠材8の取付状態において、縦枠材7の縦ケーシング嵌入溝部17の深さと略同じ、またはそれ以上に設定される。切欠き部20は、左右一対の縦枠材7、7への上横枠材8の取付状態において、縦枠材7の縦ケーシング嵌入溝部17の縦方向に沿う延長線上に位置する(
図5及び
図6も参照)。
【0064】
一方、本実施形態においては、縦ケーシング材9は、
図1~
図6に示す実施形態と同様のものが採用される。そして、左右一対の縦枠材7、7、上横枠材8、左右一対の縦ケーシング材9、9及び上横ケーシング材10の設置状態において、上横枠材8の切欠き部20及び横ケーシング嵌入溝部18に縦ケーシング材17の嵌入板状部24が収まる。
【0065】
そして、
図9に示す実施形態では、
図1~
図6に示す実施形態と同様に、縦ケーシング材9の嵌入板状部24の上端部に、上方の壁(石膏ボード等の面材50)との干渉を防ぐための逃げ切欠き部26は必要であるものの、上横枠材8との干渉を防ぐための逃げ切欠き部、すなわち、
図5の逃げ切欠き部26よりもその高さが高いものを設ける必要がないので、逃げ切欠き部を形成することによる縦ケーシング材9の上端部の反りの問題を解消することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 ドア枠材,2 開口部,7 縦枠材,8 上横枠材,9 縦ケーシング材,10 上横ケーシング材,15 床材,15A 上面,17 縦ケーシング嵌入溝部,18 横ケーシング嵌入溝部,20 切欠き部