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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041383
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】車両構造
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/00 20060101AFI20240319BHJP
   B60H 1/34 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B60H1/00 102R
B60H1/34 651B
B60H1/00 102L
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146166
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003465
【氏名又は名称】弁理士法人OHSHIMA&ASSOCIATES
(72)【発明者】
【氏名】丸山 晃佑
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211BA52
3L211DA14
3L211DA96
(57)【要約】
【課題】空調装置へのダクトの装着を容易にすることのできる車両構造の提供。
【解決手段】空調装置3の吹出し開口部4にダクト5を装着する。空調装置3側に組付けガイド8を設ける。ダクト5側に組付けガイド8に沿って摺動するダクトリブ9を設ける。組付けガイド8及びガイドリブ9で、ダクト開口部7を吹出し開口部4に合わせるようダクト5をガイドする。空調装置3側周辺部材及びダクト5側に空調装置側周辺部材係合部11a、11b及びダクト側係合部12a、12bを設ける。吹出し開口部4にダクト開口部7を合わせた状態で、空調装置側周辺部材係合部11a、11b及びダクト側係合部12a、12bを係合させる。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調装置の吹出し開口部に、前記空調装置とは別体のダクトが装着される車両構造において、
空調装置側に、前記ダクトをそのダクト開口部を前記吹出し開口部に合わせるようガイドするガイド部が設けられると共に、ダクト側に、前記ガイド部に沿って摺動する被ガイド部が設けられ、空調装置側又は空調装置側周辺部材とダクト側とに、前記吹出し開口部に前記ダクト開口部を合わせた状態で、互いに係合する空調装置側係合部又は空調装置側周辺部材係合部とダクト側係合部とが設けられたことを特徴とする車両構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置の吹出し開口部に、その空調装置とは別体のダクトが装着される車両構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両に装備される空調装置(HVAC)は、インストルメントパネルの内側に配置されることが多く、そのインストルメントパネルの意匠に応じて、例えばパネル中央にカーナビゲーションが配置されるような場合には、空調装置のダクトを別体に設け、このダクトをガイドに沿って押し込んで、空調装置の吹出し開口部に後付けすることがある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-249920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、空調装置の吹出し開口部にダクトを装着するには、ガイドに沿ってダクトを押し込んで、例えば、吹出し開口部とダクト開口部との間に配置したパッキンを押し潰し、このダクトを押し込んだ状態を維持したまま固定する必要があり、ダクトの組付け作業が煩雑になりやすい。
【0005】
本発明は、空調装置へのダクトの装着を容易にすることのできる車両構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両構造は、空調装置の吹出し開口部に、空調装置とは別体のダクトを装着したものであり、空調装置側に、ダクトをそのダクト開口部を吹出し開口部に合わせるようガイドするガイド部を設けると共に、ダクト側に、ガイド部に沿って摺動する被ガイド部を設け、空調装置側又は空調装置側周辺部材とダクト側とに、吹出し開口部にダクト開口部を合わせた状態で、互いに係合する空調装置側係合部又は空調装置側周辺部材係合部とダクト側係合部とを設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
以上のとおり、本発明によると、ダクトをガイドに沿って押し込んで空調装置の吹出し開口部に組み付ける際、空調装置側に設けた空調装置側係合部又は空調装置側周辺部材に設けた空調装置側周辺部材係合部とダクト側に設けたダクト側係合部とを互いに係合させるので、吹出し開口部にダクト開口部を合わせた状態で仮止めすることができる。
【0008】
これにより、ダクトを本固定する際、ダクトを例えばパッキンが押し潰される所定の位置まで押し込んだ状態に維持する作業を不要にすることができ、例えば、片手で本固定の作業をしつつ、もう片方の手でダクトを押さえておく必要がない。しかも、ダクトの押し込みから仮止め及び本固定までを一連の動作で完遂できるので、作業性がよく、空調装置へのダクトの装着を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る車両構造に装備された空調装置及びダクトの側面図
図2】空調装置及びダクトの組付け前の状態を示す斜視図
図3図2のダクトに隠れて位置する係合部及び固定部を示す図で、(a)はダクト側の係合部及び固定部を示し、(b)は空調装置側周辺部材の係合部及び固定部を示す
図4】ピラートゥピラーメンバーを省略して、空調装置及びダクトの組付け前の状態を示す平面図
図5】空調装置へのダクトの組付けを示す図で、(a)は組付け前を示し、(b)は組付け後を示す
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る車両構造を実施するための形態について、図面を用いて説明する。
【0011】
図1図4に示すように、本発明に係る車両構造1は、インストルメントパネル2の内側に配置される空調装置(HVAC)3の吹出し開口部4にダクト5を後付けするようにしたものであり、その吹出し開口部4がピラートゥピラーメンバー6に隠れる位置に設定され、空調装置3側に、ダクト5をそのダクト開口部7を吹出し開口部4に合わせるようガイドするガイド部としての組付けガイド8を設けると共に、ダクト5側に、組付けガイド8に沿って摺動する被ガイド部としてのダクトリブ9を設けたものである。
【0012】
さらに、車両構造1では、吹出し開口部4の周囲をシールするパッキン10を押し潰しつつダクト開口部7を合わせた状態で、互いに係合して仮止めする空調装置側周辺部材係合部11a、11b及びダクト側係合部12a、12bを設けると共に、その仮止め状態で、ダクト5を本固定するピン孔13a、13b、14a、14b及び固定ピン15a、15bを設けている。
【0013】
吹出し開口部4は、空調装置3の車幅方向で中央から車両後方に突出するサブダクト16の先端に設定され、車両のフロント部分を補強するピラートゥピラーメンバー6の前方かつ下方の直視できない部位に隠れるように位置している。吹出し開口部4の周囲には、パッキン10が配置されると共に、その両側部からピラートゥピラーメンバー6の下方に向けて組付けガイド8が突出している。
【0014】
組付けガイド8は、上下一対の突出片8a、8bからなり、その先端に形成された傾斜面17a、17bがダクトリブ9を突出片8a、8bの間にガイドするようになっている。突出片8a、8bのうちの下側の突出片8bは、上側の突出片8aよりも幅広に設定され、その傾斜面17bで、車両後方かつ上方から差し込まれたダクト5のダクトリブ9を受けた後、車両前方かつ上方にガイドする。
【0015】
ダクト5は、空調装置3とは別に用意されて後付けされる筒状とされ、その前側のダクト開口部7でパッキン10を押し潰してシールしつつ吹出し開口部4に接続される。ダクト5の前端部の両側面には、ダクト長さ方向に延びるようにダクトリブ9が突設され、車両後方かつ上方からピラートゥピラーメンバー6の下方に向けてダクト5を差し込むことにより、組付けガイド8の突出片8a、8bの間にダクトリブ9を侵入させて、ダクト開口部7を吹出し開口部4に合わせるようになっている。
【0016】
空調装置側周辺部材係合部11a、11bは、ダクト5を車幅方向に挟んで両側に設けられ、例えば左側の空調装置側周辺部材係合部11aは、ピラートゥピラーメンバー6から車両後方に突出するセンターコンソール取付脚18に形成された係合孔とされ、右側の空調装置側周辺部材係合部11bは、ピラートゥピラーメンバー6に固定された係合金具19に形成された係合爪とされる。
【0017】
ダクト側係合部12a、12bは、ダクト5の両側面から突出する左右の翼部20a、20bに形成され、左側のダクト側係合部12aは、翼部20aに形成された係合爪とされ、右側のダクト側係合部12bは、翼部20aに形成された係合孔とされる。翼部20a、20bは、例えばブロー形成によって形成することができる。
【0018】
翼部20a、20bは、ダクト5を押し込んで、パッキン10を押し潰しつつダクト開口部7を吹出し開口部4に合わせた際、センターコンソール取付脚18及び係合金具19と面接触する位置に形成される。その面接触により、空調装置側周辺部材係合部11aとしての係合孔にダクト側係合部12aとしての係合爪が係合し、空調装置側周辺部材係合部11bとしての係合爪にダクト側係合部12bとしての係合孔が係合する。
【0019】
ピン孔13a、13b、14a、14bは、そのうちのピン孔13a、13bを空調装置側に設けて、ピン孔14a、14bをダクト5側に設け、それらを重ねて固定ピン15a、15bを貫通させることにより、ダクト5を本固定するものである。
【0020】
ピン孔13aは、左側の空調装置側周辺部材係合部11aとしての係合孔と隣接するようセンターコンソール取付脚18に形成され、ピン孔13bは、右側の空調装置側周辺部材係合部11bとしての係合爪と隣接するよう係合金具19に形成される。ピン孔14aは、左側のダクト側係合部12aとしての係合爪と隣接するよう翼部20aに形成され、ピン孔14bは、右側のダクト側係合部12bとしての係合孔と隣接するよう翼部20bに形成される。
【0021】
次に、空調装置3にダクト5を装着する様子を説明する。
【0022】
まず、図5(a)に示すように、車両後方かつ上方からピラートゥピラーメンバー6の下方に向けてダクト5を差し込む。
【0023】
ダクト5を前方に押し込むことにより、ダクト5がガイド8によってガイドされ、ダクト開口部7が吹出し開口部4の周囲のパッキン10に接触する。具体的には、ダクトリブ9の先端が組付けガイド8の下側の突出片8bの傾斜面17bに当接し、そのダクトリブ9が傾斜面17bに沿って車両前方かつ上方に摺動して組付けガイド8の突出片8a、8bの間に侵入して、ダクト開口部7がパッキン10に接触する。
【0024】
ダクト5をさらに押し込んでパッキン10を押し潰すことにより、ダクト開口部7と吹出し開口部4との間がシールされ、それと同時に、空調装置側周辺部材係合部11a、11b及びダクト側係合部12a、12bが互いに係合して、パッキン10を押し潰した状態で、ダクト5が仮止めされる。このように、ダクト5の差し込みから仮止めまでを一連の動作で完遂することにより、作業性が高められる。
【0025】
図5(b)に示すように、ダクト5を押し込む力を加えることなく、ダクト5を仮止めした状態で、手放し作業で、ピン孔13a、13b及びピン孔14a、14bに固定ピン15a、15bを押し込んで本固定することにより、ダクト5の装着が完了する。
【0026】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において、適宜変更を加えることができる。例えば、空調装置側周辺部材係合部11a、11bとして、センターコンソール取付脚18に係合孔を形成すると共に、ピラートゥピラーメンバー6に固定する係合金具19に係合爪を形成し、これらに係合する係合爪及び係合孔をダクト側係合部12a、12bとする代わりに、その係合孔及び係合爪を反対にしたり、あるいは、空調装置3又は、センターコンソール取付脚18及び係合金具19とは別の空調装置3側周辺部材に係合孔又は係合爪を形成して、これに係合する係合爪又は係合孔をダクト5に形成したりすることができる。
【0027】
また、空調装置3側に上下一対の突出片8a、8bからなるガイド部としての組付けガイド8を設けて、ダクト5側に被ガイド部としてのダクトリブ9を設ける代わりに、空調装置3側にガイド部としてのリブを設けて、ダクト5側に上下一対の突出片からなる被ガイド部を設けることもできる。
【符号の説明】
【0028】
1 車両構造
2 インストルメントパネル
3 空調装置
4 吹出し開口部
5 ダクト
6 ピラートゥピラーメンバー
7 ダクト開口部
8 組付けガイド
8a、8b 突出片
9 ダクトリブ
10 パッキン
11a、11b 空調装置側周辺部材係合部
12a、12b ダクト側係合部
13a、13b ピン孔
14a、14b ピン孔
15a、15b 固定ピン
16 サブダクト
17a、17b 傾斜面
18 センターコンソール取付脚
19 係合金具
20a、20b 翼部
図1
図2
図3
図4
図5