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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041385
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】縦型ブラインド
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/36 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
E06B9/36 D
E06B9/36 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146168
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000109923
【氏名又は名称】トーソー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】金子 敦
(57)【要約】
【課題】室内に取り入れられる外光の量を段階的に調整可能な技術を提供する。
【解決手段】本発明に係る縦型ブラインド1は、ヘッドレール内で軸線20x周りに回転可能に支持されたチルトシャフト20と、チルトシャフト20に支持されていて、ヘッドレールの短手方向FBにおいてそれぞれ異なる位置にランナーフック55,65を有する複数のランナー50,60と、各ランナーフック55,65に吊り下げられているルーバー70,80と、チルトシャフト20の回転を各ランナー50,60のランナーフック55,65にそれぞれ伝達する少なくとも2種類のウォームギア51,61と、を備え、一方のウォームギア61は、一方のランナー60のランナーフック65を他方のランナー50のランナーフック55に対して回転角度差をもって回転させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドレール内で軸線周りに回転可能に支持されたチルトシャフトと、
前記チルトシャフトに支持されていて、前記ヘッドレールの短手方向においてそれぞれ異なる位置に回転軸部を有する複数のランナーと、
各回転軸部に吊り下げられているルーバーと、
前記チルトシャフトの回転を各ランナーの前記回転軸部にそれぞれ伝達する少なくとも2種類の伝動機構と、
を備え、
一方の伝動機構は、一方のランナーの前記回転軸部を他方のランナーの前記回転軸部に対して回転角度差をもって回転させる
ことを特徴とする縦型ブラインド。
【請求項2】
前記複数のランナーは、少なくとも2種類のランナーを含み、
前記一方の伝動機構は、前記一方のランナーに設けられており、
他方の伝動機構は、前記他方のランナーに設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の縦型ブラインド。
【請求項3】
前記2種類の伝動機構は、同一のランナーに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の縦型ブラインド。
【請求項4】
前記2種類の伝動機構は、前記チルトシャフトに嵌挿されたウォームと、前記ウォームに係合するウォームホイールと、前記ウォームホイールと係合しかつ前記回転軸部に同軸上に取り付けられた補助ホイールと、を有し、
前記ウォームホイールと前記補助ホイールとは前記チルトシャフトに交差して並び、それぞれ中間歯車を有し、互いに中間歯車を介して互いに係合している
ことを特徴とする請求項1に記載の縦型ブラインド。
【請求項5】
前記回転角度差は、前記2種類の伝動機構における異なるギア比により形成されることを特徴とする請求項4に記載の縦型ブラインド。
【請求項6】
前記回転角度差は、全閉状態における前記ルーバーを開く場合、前記他方の回転軸部の回転よりも遅れて前記一方の回転軸部を回転させる前記一方の伝動機構の前記補助ホイールと前記中間歯車との間に設けられた回転遅延部により形成されることを特徴とする請求項4に記載の縦型ブラインド。
【請求項7】
前記一方の伝動機構における前記補助ホイールは、前記中間歯車に対して係合する係合部を有し、前記中間歯車は、前記補助ホイールに対して係合する係合部を有し、
前記回転遅延部は、前記補助ホイールの係合部と前記中間歯車の係合部との間に、回転方向において前記補助ホイールと前記中間歯車との相対的な移動を可能にする空間を設けることにより形成されていることを特徴とする請求項6に記載の縦型ブラインド。
【請求項8】
前記回転角度差は、90°であることを特徴とする請求項1に記載の縦型ブラインド。
【請求項9】
前記回転軸部と当該回転軸部を回転自在に支持する前記ランナーのケースとの間には、互いに係合して前記回転軸部の回転を規制する回転規制部が設けられており、
前記回転規制部により前記回転軸部の回転が規制された状態において、前記一方の伝達機構の前記補助ホイールは、前記回転軸部に対して相対的に回転する
ことを特徴とする請求項4に記載の縦型ブラインド。
【請求項10】
前記回転軸部は、当該回転軸部を回転自在に支持する前記ランナーのケースに、回転抵抗が生じるように当接していることを特徴とする請求項1に記載の縦型ブラインド。
【請求項11】
前記ケースは、前記回転軸部が当接する近傍に切欠き部を有することを特徴とする請求項10に記載の縦型ブラインド。
【請求項12】
前記ルーバーは、前記回転軸部に対してオフセットした位置で支持されているルーバーを含むことを特徴とする請求項1に記載の縦型ブラインド。
【請求項13】
前記チルトシャフトに支持されていて、前記ヘッドレールの短手方向において前記2種類のランナーとは異なる位置に回転軸部を有するさらに別のランナーと、
前記チルトシャフトの回転を前記さらに別のランナーの前記回転軸部に伝達するさらに別の伝動機構と、
を備え、
前記さらに別の伝動機構は、前記2種類のランナーの前記回転軸部に対して、回転角度差をもって前記さらに別のランナーの前記回転軸部を回転させる
ことを特徴とする請求項2に記載の縦型ブラインド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦型ブラインドに関する。
【背景技術】
【0002】
軸部(チルトシャフト)を有し、ヘッドレール内を長手方向に移動可能な複数のキャリア(ランナー)と、各キャリアに吊り下げられたルーバーと、を備え、各キャリアがルーバーを吊下げ可能な複数の支持部をそれぞれ有し、軸部に回転可能に接続された吊下部材(ランナーフック)を有し、支持部が軸部を境とした両側で2つのルーバーを異なる角度で支持している縦型ブラインドが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の縦型ブラインドにおいては、2つのルーバーが互いに略90度となるように吊下部材に取り付けられている。2つのルーバーのうち一方のルーバーは、不透明生地により形成されており、他方のルーバーは、シースルー生地により形成されている。ユーザによって回転操作が行われた場合、不透明生地により形成された不透明なルーバーと、シースルー生地により形成された半透明なルーバーとは、互いの相対角度を維持したまま同時にかつ一緒に回転しており、半透明なルーバーを通じて窓等から外光を取り入れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-92103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、縦型ブラインドにおいては、遮光性の観点から、太陽の位置に合わせて室内に進入してくる光の量を多段階に調整したいという需要がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、室内に取り入れられる外光の量を段階的に調整可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る縦型ブラインドは、ヘッドレール内で軸線周りに回転可能に支持されたチルトシャフトと、前記チルトシャフトに支持されていて、前記ヘッドレールの短手方向においてそれぞれ異なる位置に回転軸部を有する複数のランナーと、各回転軸部に吊り下げられているルーバーと、前記チルトシャフトの回転を各ランナーの前記回転軸部にそれぞれ伝達する少なくとも2種類の伝動機構と、を備え、一方の伝動機構は、一方のランナーの前記回転軸部を他方のランナーの前記回転軸部に対して回転角度差をもって回転させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、室内に取り入れられる外光の量を段階的に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】2つのルーバーが全閉状態にある第1の実施の形態に係る縦型ブラインドの正面図である。
図2A】一のルーバーが開状態にある第1の実施の形態に係る縦型ブラインドの正面図である。
図2B図2AのIIB-IIB線に沿った断面図である。
図3】第1の実施の形態におけるランナーを示す斜視図である。
図4A】ランナーの分解斜視図である。
図4B図3のIVB-IVB線に沿った断面図である。
図5A】別のランナーの分解斜視図である。
図5B図3のVB-VB線に沿った断面図である。
図6A】補助ホイール及び平歯車を上から見た分解斜視図である。
図6B図6AのVIB-VIB線に沿った断面図である。
図7A】ランナーフックの側面図である。
図7B図7AのVIIB-VIIB線に沿った断面図である。
図8A】ランナーケースを上方から見た斜視図である。
図8B】ランナーケースを下方から見た斜視図である。
図8C】ランナーケースの平面図である。
図9A】第1の実施の形態に係る縦型ブラインドにおける各ルーバーの一方向での回転経過を示す概略図である。
図9B】第1の実施の形態に係る縦型ブラインド1における各ルーバーの他方向での回転経過を示す概略図である。
図10】第2の実施の形態に係る縦型ブラインドにおける各ルーバーの一方向での回転経過を示す概略図である。
図11A】第3の実施の形態に係る縦型ブラインドにおける各ルーバーの一方向での回転経過(0°~120°)を示す概略図である。
図11B】第3の実施の形態に係る縦型ブラインドにおける各ルーバーの一方向での回転経過(135°~225°)を示す概略図である。
図11C】第3の実施の形態に係る縦型ブラインドにおける各ルーバーの一方向での回転経過(270°~360°)を示す概略図である。
図12】2つのウォームギアを収容する変形例に係るランナーの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施の形態の概要>
まず、本発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。なお、以下の説明では、一例として、発明の構成要素に対応する図面上の参照符号を、括弧を付して記載している。
【0011】
〔1〕本実施の形態に係る縦型ブラインド(1)は、ヘッドレール(10)内で軸線(20x)周りに回転可能に支持されたチルトシャフト(20)と、チルトシャフト(20)に支持されていて、ヘッドレール(10)の短手方向(FB)においてそれぞれ異なる位置にランナーフック(55,65)を有する複数のランナー(50,60)と、各ランナーフック(55,65,95)に吊り下げられているルーバー(70,80,100)と、チルトシャフト(20)の回転を各ランナー(50,60)のランナーフック(55,65)にそれぞれ伝達する少なくとも2種類のウォームギア(51,61)と、を備え、一方のウォームギア(61)は、一方のランナー(60)のランナーフック(65)を他方のランナー(50)のランナーフック(55)に対して回転角度差をもって回転させることを特徴とする。
【0012】
〔2〕本実施の形態に係る〔1〕に記載の縦型ブラインド(1)の一態様において、複数のランナー(50,60)は、少なくとも2種類のランナーを含み、一方のウォームギア(61)は、一方のランナー(60)に設けられており、他方のウォームギア(51)は、他方のランナー(50)に設けられている。
【0013】
〔3〕本実施の形態に係る〔1〕に記載の縦型ブラインドの一態様において、2種類のウォームギア(51,61)は、同一のランナー(50C)に設けられている。
【0014】
〔4〕本実施の形態に係る〔1〕から〔3〕までのいずれか一に記載の縦型ブラインド(1)の一態様において、2種類のウォームギア(51,61)は、チルトシャフト(20)に嵌挿されたウォーム(52,62)と、ウォーム(52,62)に係合するウォームホイール(53,63)と、ウォームホイール(53,63)と係合しかつランナーフック(55,65)に同軸上に取り付けられた補助ホイール(54,64)と、を有し、ウォームホイール(53,63)と補助ホイール(54,64)とはチルトシャフト(20)に交差して並び、それぞれ平歯車(53b,63b,54a,67)を有し、互いに平歯車(53b,63b,54a,67)を介して互いに係合している。
【0015】
〔5〕本実施の形態に係る〔1〕から〔4〕までのいずれか一に記載の縦型ブラインド(1)の一態様において、回転角度差は、2種類のウォームギア(51,61)における異なるギア比により形成される。
【0016】
〔6〕本実施の形態に係る〔1〕から〔3〕までのいずれか一に記載の縦型ブラインド(1)の一態様において、回転角度差は、全閉状態におけるルーバー(70,80,100)を開く場合、他方のランナーフック(55)の回転よりも遅れて一方のランナーフック(65)を回転させる一方のウォームギア(61)の補助ホイール(64)と平歯車(67)との間に設けられた空間(64s,67s)により形成される。
【0017】
〔7〕本実施の形態に係る〔6〕に記載の縦型ブラインド(1)の一態様において、一方のウォームギア(61)における補助ホイール(64)は、平歯車(67)に対して係合する係合部(67a)を有し、平歯車(67)は、補助ホイール(64)に対して係合する係合部(67a)を有し、空間(64s,67s)は、補助ホイール(64)の係合部(64a)と平歯車(67)の係合部(67a)との間で回転方向において補助ホイール(64)と平歯車(67)との相対的な移動を可能にする。
【0018】
〔8〕本実施の形態に係る〔1〕から〔7〕までのいずれか一に記載の縦型ブラインド(1)の一態様において、前記回転角度差は、90°である
【0019】
〔9〕本実施の形態に係る〔4〕に記載の縦型ブラインド(1)の一態様において、ランナーフック(55,65)と当該回転軸部(55,65)を回転自在に支持するランナー(50,60)のランナーケース(56,66)との間には、互いに係合してランナーフック(55,65)の回転を規制する回転規制部が設けられており、回転規制部によりランナーフック(55,65)の回転が規制された状態において、ウォームギア(61)の補助ホイール(64)は、ランナーフック(65)に対して相対的に回転する。
【0020】
〔10〕本実施の形態に係る〔1〕から〔9〕までのいずれか一に記載に記載の縦型ブラインド(1)の一態様において、ランナーフック(55,65)は、当該ランナーフック(55,65)を回転自在に支持するランナー(50,60)のランナーケース(56,66)に、回転抵抗が生じるように当接している。
【0021】
〔11〕本実施の形態に係る〔10〕に記載の縦型ブラインド(1)の一態様において、ランナーケース(56,66)は、ランナーフック(55,65)が当接する近傍にスリット(561b,661b)を有する。
【0022】
〔12〕本実施の形態に係る〔1〕から〔11〕までのいずれか一に記載に記載の縦型ブラインド(1)の一態様において、ルーバー(70,80)は、ランナーフック(55,65)に対してオフセットした位置で支持されているルーバーを含む。
【0023】
〔13〕本実施の形態に係る〔2〕に記載に記載の縦型ブラインド(1)の一態様において、チルトシャフト(20)に支持されていて、ヘッドレール(10)の短手方向(FB)において2種類のランナー(50,60)とは異なる位置にランナーフック(95)を有するさらに別のランナー(90B)と、チルトシャフト(20)の回転をさらに別のランナー(90B)のランナーフック(95)に伝達するさらに別の伝動機構と、を備え、さらに別の伝動機構は、2種類のランナー(50,60)のランナーフック(55,65)に対して、回転角度差をもって前記さらに別のランナー(90B)のランナーフック(95)を回転させる。
【0024】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率等が異なる部分が含まれている場合がある。
【0025】
本発明に係る縦型ブラインド1,1A,1Bは、複数のルーバー70,80を備え、ルーバー70,80の角度(正確にはルーバー70,80の水平断面における水平面内での回転角度)を調整可能とすることにより、例えば、室内からの外部の視認を可能にしたり、外部からの室内の視認を妨げたり、また、室内への入射する光の量を調整可能である日射遮蔽装置である。以下、縦型ブラインド1,1A,1Bの構成について具体的に説明する。
【0026】
<第1の実施の形態>
図1は、2つのルーバー70,80が全閉状態にある第1の実施の形態に係る縦型ブラインド1の正面図である。図2Aは、一のルーバー70が開状態にある第1の実施の形態に係る縦型ブラインド1の正面図である。図2Bは、図2AのIIB-IIB線に沿った断面図である。
【0027】
(縦型ブラインドの構成)
第1の実施の形態に係る縦型ブラインド1は、ヘッドレール10と、チルトシャフト20と、駆動機構(図示せず)と、操作棒30と、操作コード40と、複数のランナー(他方のランナー)50と、複数のランナー(一方のランナー)60と、2種類のルーバー70,80と、を備える。なお、説明の便宜上、図面において、図1に示すように、縦型ブラインド1のヘッドレール10の延び方向を長手方向LRとする。また、ヘッドレール10からルーバー70,80が垂れ下がる方向(吊下げ方向)を高さ方向UDとする。また、図2Bにおいて長手方向LRに直交して交差する方向を前後方向(幅方向)FBとする。なお、操作棒30が縦型ブラインド1に取り付けられている側が室内側Fであり、縦型ブラインド1が窓枠等に取り付けられる側を室外側Bとする。
【0028】
ヘッドレール10は、長手方向LRに沿って延びる中空の筺状部材であり、幅方向FBにおける断面形状が略矩形になっている。長手方向LRにおけるヘッドレール10の両端は、エンドキャップにより閉鎖されている。ヘッドレール10には、縦型ブラインド1が取り付けられた状態における高さ方向UDにおいて下側Dに向かって開口した開口11が形成されていて、ヘッドレール10から複数のルーバー70,80が吊り下げられている。
【0029】
チルトシャフト20は、ヘッドレール10の延び方向(長手方向LR)に沿ってヘッドレール10内に設けられている。チルトシャフト20は、その中心を長手方向LRに沿って延びる軸線20x周りに回転可能にヘッドレール10内で支持されている。チルトシャフト20は、その外周面に周方向に等間隔をあけて形成された複数のスプライン溝21(図3参照)を有する軸部材である。スプライン溝21は、軸線20xに沿って延びている。チルトシャフト20の一方の端部の側(例えば、右側R)には駆動機構が連結されている。
【0030】
ヘッドレール10の閉鎖された端部の一方の端部の側(右側R)には、操作棒30と、操作コード40と、駆動機構とが設けられている。操作棒30は、ヘッドレール10に支持されていて、ヘッドレール10から吊り下げられている。操作棒30を回転させることにより駆動機構のギア(図示せず)を介してチルトシャフト20が回転させられる。チルトシャフト20の回転に伴って後述するランナー50のランナーフック55及びランナー60のランナーフック65が回転し、ランナーフック55,65に支持されているルーバー70,80が回転するようになっている。
【0031】
一方のエンドキャップから垂れ下がった操作コード40は、ヘッドレール10内で周回可能に設けられており、具体的には複数の後述するランナー50及びランナー60のうち、他方のエンドキャップ側のランナー50又はランナー60に取り付けられている。
【0032】
図3は、第1の実施の形態におけるランナー50,60を示す斜視図である。複数のランナー50及び複数のランナー60は、長手方向LRに沿って交互に設けられている。隣り合うランナー50及びランナー60は、互いにスペーサリンクSLによって連結されており、スペーサリンクSLにより互いが最も離れる最大離間は制限されている。ランナー50及びランナー60は、同一のチルトシャフト20に長手方向LRに沿って相対的に移動可能に設けられている。
【0033】
図4Aは、ランナー50の分解斜視図である。図4Bは、図3のIVB-IVB線に沿った断面図である。ランナー(他方のランナー)50は、例えば、ウォームギア51と、ランナーフック(回転軸部)55と、ランナーケース56と、を有する。ウォームギア51は、チルトシャフト20の回転をルーバー70に伝達する伝動機構(他方の伝動機構)である。ウォームギア51は、チルトシャフト20とルーバー70との間に設けられていて、本実施の形態においては、ランナーケース56に収容されている。ウォームギア51は、ウォーム52と、ウォームホイール53と、補助ホイール54と、を有する。ウォームギア51においてはチルトシャフト20の側から、ウォーム52、ウォームホイール53、補助ホイール54の順に配置されている。
【0034】
ウォーム52は、例えば、樹脂等により中空の円筒状に形成されており、外周面に複数条の歯52aを有する。歯52aは、ウォーム52の中心を通り回転中心となる軸線52x周りに螺旋状に形成されている。ウォーム52は、チルトシャフト20に軸線20xに沿って摺動可能に嵌め合わされ、軸線52xは、チルトシャフト20の軸線20xに一致又は略一致する。ウォーム52における歯52aのねじれ方向は、例えば、左上がりになっているが、右上がりであってもよく、ランナーフック55と後述するランナーフック65とがチルトシャフト20の回転に応じて同一方向に回転するようになっていればよい。
【0035】
ウォーム52はそれぞれ、複数の突条部52bを有する。突条部52bはそれぞれ、ウォーム52の内周面において軸線52xに向かって凸状に形成されている。突条部52bは、周方向において互いに等間隔に配置されている。各突条部52bは、軸線52xに沿って延びており、チルトシャフト20の、例えば、スプライン溝21(図3参照)に係合する。ウォーム52は、チルトシャフト20の回転とともに回転し、かつ、スプライン溝21に沿ってチルトシャフト20の延び方向に移動可能である。
【0036】
ウォームホイール53は、例えば、樹脂等により中空の円筒状に形成されている。ウォームホイール53は、外周面に複数条の歯53aと、他端に平歯車(中間歯車)53bと、を有する。歯53aは、ウォームホイール53の中心を通り回転中心となる軸線53xに沿って斜めに延びている。ウォームホイール53における歯53aのねじれ方向は、例えば、左上がりになっているが、右上がりでもよい。本実施の形態において、ウォームホイール53は、チルトシャフト20に対して室内側Fに配置されている。ウォームホイール53とウォーム52とは、それぞれの歯52a,53aにおいて互いに係合する。
【0037】
補助ホイール54は、例えば、樹脂等により中空の円筒状に形成されていて、一端において後述するランナーフック55に同軸的に嵌め合わされる。補助ホイール54は、他端に相対回動不能に、例えば、一体に形成された平歯車(中間歯車)54aを有する。補助ホイール54は、平歯車54aにおいてウォームホイール53の平歯車53bと係合する。チルトシャフト20が回転するとその回転出力は、ウォーム52を介してウォームホイール53に伝達され、ウォームホイール53からの回転出力は、平歯車53b,54aの列を介して補助ホイール54に伝達されて、所定の力を超えた回転力が作用するまで互いに相対回動不能に連結された補助ホイール54及びランナーフック55は、それぞれの中心を通り回転中心となる軸線54x周りに回転する。ランナーフック55は、後述するランナーフック65と同じ方向に回転する。
【0038】
図5Aは、別のランナー60の分解斜視図である。図5Bは、図3のVB-VB線に沿った断面図である。ランナー(一方のランナー)60は、例えば、ウォームギア61と、ランナーフック(回転軸部)65と、ランナーケース66と、を有する。ウォームギア(一方の伝動機構)61は、チルトシャフト20の回転をルーバー80に伝達する伝動機構である。ウォームギア61は、チルトシャフト20とルーバー80との間に設けられていて、本実施の形態においては、ランナーケース66に収容されている。ウォームギア61は、ウォーム62と、ウォームホイール63と、補助ホイール64と、平歯車67と、を有する。ウォームギア61においてはチルトシャフト20の側から、ウォーム62、ウォームホイール63、補助ホイール64及び平歯車67の順に配置されている。
【0039】
ウォーム62は、例えば、樹脂等により中空の円筒状に形成されており、外周面に複数条の歯62aを有する。歯62aは、ウォーム62の中心を通り回転中心となる軸線62x周りに螺旋状に形成されている。ウォーム62は、チルトシャフト20に軸線20xに沿って摺動可能に嵌め合わされ、軸線62xは、チルトシャフト20の軸線20xに一致又は略一致する。ウォーム62における歯62aのねじれ方向は、例えば、右上がりでも左上がりであってもよく、ウォーム52における歯52aのねじれ方向とは逆になっていればよい。
【0040】
ウォーム62はそれぞれ、複数の突条部62bを有する。突条部62bはそれぞれ、ウォーム62の内周面において軸線62xに向かって凸状に形成されている。突条部62bは、周方向において互いに等間隔に配置されている。各突条部62bは、軸線62xに沿って延びており、チルトシャフト20の、例えば、スプライン溝21(図3参照)に係合する。ウォーム62は、チルトシャフト20の回転とともに回転し、かつ、スプライン溝21に沿ってチルトシャフト20の延び方向に移動可能である。
【0041】
ウォームホイール63は、例えば、樹脂等により中空の円筒状に形成されている。ウォームホイール63は、外周面に複数条の歯63aと、他端に平歯車(中間歯車)63bと、を有する。歯63aは、ウォームホイール63の中心を通り回転中心となる軸線63xに沿って斜めに延びている。ウォームホイール63における歯63aのねじれ方向は、例えば、右上がりになっているが、左上がりでもよい。本実施の形態において、ウォームホイール63は、チルトシャフト20に対して室外側Bに配置されている。ウォームホイール63と、ウォーム62とは、それぞれの歯62a,63aにおいて互いに係合する。
【0042】
図6Aは、補助ホイール64及び平歯車67を上から見た分解斜視図である。図6AのVIB-VIB線に沿った断面図である。補助ホイール64は、例えば、樹脂等により中空の円筒状に形成されていて、一端において後述するランナーフック65に同軸的に嵌め合わされる。補助ホイール64の他端には、別体の平歯車67(中間歯車)が相対的に回転するように取り付けられている。
【0043】
補助ホイール64は、2つの係合部64aを有する。2つの係合部64aは、平歯車67に面する面64bに設けられている。2つの係合部64aは、面64bから、補助ホイール64及び平歯車67の回転中心となる軸線64xに沿って延びている。2つの係合部64aは、周方向に互いに所定の間隔をあけて、径方向に対向して設けられている。つまり、2つの係合部64aの間には周方向に2つの空間(回転遅延部)64sが設けられている。
【0044】
平歯車67は、2つの係合部67aを有する。係合部67aは、平歯車67が補助ホイール64に取り付けられた状態において、平歯車67に面する補助ホイール64の面64bに向かって軸線64xに沿って延びている。2つの係合部67aは、周方向に互いに所定の間隔をあけて、径方向に対向して設けられていて、2つの係合部67aの間には周方向に2つの空間(回転遅延部)67sが設けられている。
【0045】
補助ホイール64に平歯車67が取り付けられた状態において、補助ホイール64の係合部64aは、平歯車67における空間67sに位置し、平歯車67の係合部67aは、補助ホイール64の空間64sに位置する。つまり、それぞれの係合部64a,67aは、それぞれの空間64s,67sを周方向に移動可能である。平歯車67の2つの係合部67aが補助ホイール64の空間64sを一方の係合部64aから他方の係合部64aに移動する間に、平歯車67は90°回転するようになっている。
【0046】
補助ホイール64は、平歯車67を介してウォームホイール63の平歯車63bと係合する。チルトシャフト20が回転するとその回転出力は、ウォーム62を介してウォームホイール63に伝達され、ウォームホイール63からの回転出力は、平歯車63b及び平歯車67に伝達される。平歯車67は、係合部67aが回転方向にある補助ホイール64の係合部64aに周方向において当接して、補助ホイール64の係合部64aと当接しながら回転することにより回転出力を補助ホイール64に伝達して、補助ホイール64及びランナーフック65は、軸線64x周りに回転する。ランナーフック65は、ランナーフック55と同じ方向に回転する。ウォームホイール63の平歯車63bと平歯車67とのギア比は「1」である。
【0047】
図7Aは、ランナーフック55;65の側面図である。図7Bは、図7AのVIIB-VIIB線に沿った断面図である。ランナーフック55;65は、例えば、樹脂等により形成された棒状の部材であり回転軸部である。ランナー50;60のランナーフック55;65は、互いに共通する部材である。ランナーフック55は、後述するランナーケース56に軸線54x周りに回転可能に収容され、一方の端部において、後述するルーバー70を支持する。ランナーフック65は、後述するランナーケース66に軸線64x周りに回転可能に収容され、一方の端部において、後述するルーバー80を支持する。
【0048】
ランナーフック55;65は、支持部分55a;65aと、取付部分55b;65bと、を有する。支持部分55a;65aは、ランナーフック55;65がランナーケース56;66に支持された状態において、部分的にランナーケース56;66から下側Dに突出する部分である。支持部分55a;65aは、ルーバー70;80を回転させるように支持する。支持部分55a;65aは、後述する取付部分55b;65bよりも大きな外形(直径)を有する。
【0049】
取付部分55b;65bは、後述するランナーケース56;66の収容空間S内に収容されている部分である。取付部分55b;65bに補助ホイール54;64が被せ嵌められる。取付部分55b;65bは、貫通孔55c;65cと、複数の凸部55d;65dと、を有する。貫通孔55c;65cは、軸線54x;64xに交差する方向に延びていて、平面視において矩形又は略矩形に形成されている。貫通孔55c;65cは、軸線54x;64xに沿って形成されている。
【0050】
凸部55d;65dは、取付部分55b;65bにおいて貫通孔55c;65cを挟んだ外周面にそれぞれ形成されている。具体的には、貫通孔55c;65cを挟んだ各外周面の側にそれぞれ3つの凸部55d;65dが形成されている。各凸部55d;65dは、周方向に互いに所定の間隔をあけて設けられており、ランナーフック55;65の中心を通る軸線55x;65xに沿って延びている。凸部55d;65dは、取付部分55b;65bの外周面から凸に形成された部分であり、軸線55x;65xに交差した断面において先が尖るように形成されている。
【0051】
取付部分55b;65bに補助ホイール54;64が同軸上に嵌められた状態において、補助ホイール54;64及びランナーフック55;65は互いに相対的に回動しないようになっている。しかしながら、補助ホイール54;64及びランナーフック55;65との間に所定の力を超えた回転力が作用すると、補助ホイール54;64及びランナーフック55;65は互いに相対的に回動する。取付部分55b;65bは、補助ホイール54;64内に圧入されており、凸部55d;65dにおいて補助ホイール54;64の内周面と当接している。凸部55d;65dで補助ホイール54;64の内周面と当接した状態において、凸部55d;65dが設けられた取付部分55b;65bの部分は、互いに貫通孔55c;65cに向かって変形(弾性変形)する。
【0052】
支持部分55a;65aと取付部分55b;65bとの間にはフランジ部57;68が設けられている。フランジ部57;68は、取付部分55b;65bよりも拡径した環状の部分である。支持部分55a;65aに面するフランジ部57;68の側には2つの係合部57a;68aが設けられている。各係合部57a;68aは、周方向において所定の間隔をあけて設けられた、支持部分55a;65aの外周面から径方向外側に突出した部分である。係合部57a;68aは、後述するランナーケース56;66と回転規制部を形成する。
【0053】
図8Aは、ランナーケース56;66を上方から見た斜視図である。図8Bは、ランナーケース56;66を下方から見た斜視図である。図8Cは、ランナーケース56;66の平面図である。ランナー50;60のランナーケース56;66は、互いに共通する部材である。ランナーケース56;66は、ヘッドレール10内においてチルトシャフト20に対して長手方向LRに沿って摺動可能に支持されている。ランナーケース56;66は、ウォームギア51;61と、ランナーフック55;65と、を収容する筺状部材である。ランナーケース56;66は、チルトシャフト20の延び方向に互いに所定の間隔をあけてチルトシャフト20に交互に支持されている(図3参照)。
【0054】
ランナーケース56,66は、一対の側壁部561;661と、一対の張出部562;662と、底壁部563;663と、を有する。ランナーケース56;66はそれぞれ、一対の側壁部561;661と、底壁部563;663と、によって確定された収容空間Sに、ウォームギア51,61及びランナーフック55,65などを収容する。ランナーケース56;66は、チルトシャフト20に取り付けられた状態において、高さ方向UDにおいて上側Uに開放されているが、別体のカバー59;69(図5A及び図6A等参照)によって閉鎖されている。
【0055】
側壁部561;661は、ランナーケース56,66がチルトシャフト20に支持された状態において、長手方向LRに面する壁部であり、チルトシャフト20に対して交差して(前後方向FBに)延びている。側壁部561;661はそれぞれ、挿通孔561a;661aを有しており、挿通孔561a;661aにチルトシャフト20が挿通される。挿通孔561a,661aに対して同心的にウォーム52,62が配置される。
【0056】
各側壁部561;661は、2つのスリット(切欠き部)561b;661bを有する。スリット561b;661bは、平面視において逆T字形状又は略逆T字形状に形成されている。スリット561b;661bは、貫通孔として形成されており、挿通孔561a;661aを挟んで設けられている。スリット561b;661bは、挿通孔561a;661aに対して後述する底壁部563;653の側で、かつ、後述する孔部563a;663a,563b;663bに対応する位置に設けられている。側壁部561;661は、スリット561b;661bの高さ方向UDに延びる部分と前後方向FBに延びる部分とにより挟まれた角部561c;661cが、ランナーケース56;66の収容空間Sに対して内外に弾性変形可能になっている。
【0057】
張出部562;662は、室内側F及び室外側Bに面する側にそれぞれ設けられている。張出部562;662は、側壁部561;661から離れる方向(室内側F及び室外側B)に所定の量だけ延びている。張出部562;662は、対向壁部562a;662aを有している。対向壁部562a;662aは、側壁部561;661から離れた張出部562;662の先端から底壁部563;663とは反対の側に延びている。張出部562;662は、側壁部561;661と対向壁部562a;662aとの間のスペースにおいて、スペーサリンクSLを保持する。
【0058】
側壁部561;661とは反対側を向く対向壁部562a;662aの面には保持部562b;662bが形成されている。保持部562b;662bは、逆C字状又は略逆C字状に形成されている。保持部562b;662bには操作コード40が通される。
【0059】
底壁部563;663は、ランナーケース56,66を高さ方向UDにおいて下側Dで閉鎖している。底壁部563;663は、孔部563a;663aと、孔部563b;663bと、を有する。孔部563a;663aは、ランナーケース56,66がチルトシャフト20に支持された状態において、チルトシャフト20に対して室内側Fにある。孔部563b;663bは、ランナーケース56,66がチルトシャフト20に支持された状態において、チルトシャフト20に対して室外側Bにある。
【0060】
ランナー50においてランナーフック55は、孔部563aに挿通されていて、ランナーケース56から落下しないようにフランジ部57において底壁部563と当接する。また、ランナーフック55は、支持部分55aがランナーケース56の一対の側壁部561の間で回転抵抗が生じるように当接して回転自在に支持されている。ランナー60においてランナーフック65は、孔部663bに挿通されていて、ランナーケース66から落下しないようにフランジ部68において底壁部663と当接する。また、ランナーフック65は、支持部分65aがランナーケース66の一対の側壁部661の間で回転抵抗が生じるように当接して回転自在に支持されている。ランナーフック55,65は、スリット561b,661bが形成されている付近でランナーケース56,66の側壁部561,661に当接している。ランナーフック55、65の回転に伴い側壁部561,661は、ランナーフック55,65との当接状態を維持して回転抵抗を形成しつつ、角部561c,661cが内外に弾性的に変形する。
【0061】
ランナーケース56;66は、2つの係合部563c;663cを有する。係合部563c;663cは、孔部563a;663a及び孔部563b;663bの縁部で、前後方向FDにおいて互いに向かい合う位置に設けられている。係合部563c;663cは、カバー59,69によって閉鎖される開口に面する底壁部563;553の面から当該開口に向かって突出しかつ孔部563a;663a及び孔部563b;663b内に延出している。係合部563c;663cと、ランナーフック55;65の係合部57a;68aが係合とは、互いに周方向において係合して、ランナーフック55;65の回転を規制する回転規制部を形成する。
【0062】
本実施の形態に係る縦型ブラインド1において、ルーバー70は、平面視において矩形又は略矩形に形成されており、ランナー50のランナーフック55によって幅方向において中心位置で支持されてる。ルーバー80は、平面視において矩形に形成されており、ランナー60のランナーフック65によって幅方向において中心位置で支持されてる。なお、ルーバー70がランナー60に支持されており、ルーバー80がランナー50に支持されていてもよい。本実施の形態に係る縦型ブラインド1においては、長手方向LRにおける両端部にルーバー70が配置されるように、各ルーバー70,80が交互に配置されている(図2A参照)。
【0063】
本実施の形態において、ルーバー70は、例えば、光を通さない非透光性(非透過性)の材料により形成されており、ルーバー80は、光を通す透光性(透過性)の材料により形成されているが、ルーバー70は、光を一部通す半透光性(半透過性)の材料により形成されていてもよい。なお、ルーバー80が光を通さない非透光性(非透過性)の材料により形成されており、ルーバー70が光を通す透光性(透過性)の材料により形成されていてもよく、この場合、ルーバー80は、光を一部通す半透光性(半透過性)の材料により形成されていてもよい。
【0064】
(縦型ブラインドの開閉動作)
次に、本実施の形態に係る縦型ブラインド1の開閉動作について説明する。チルトシャフト20には複数のウォーム52,62が一のチルトシャフト20の延び方向に沿って等間隔に交互に同軸上に取り付けられている。例えば、ランナー50のランナーフック55は、時計回りに回転し、ランナー60のランナーフック65は、ランナーフック55に対して遅れて時計回りに回転し始める。
【0065】
図9Aは、第1の実施の形態に係る縦型ブラインド1における各ルーバー70,80の一方向での回転経過を示す概略図である。図9Bは、第1の実施の形態に係る縦型ブラインド1における各ルーバー70,80の他方向での回転経過を示す概略図である。ランナー50,60は、ルーバー70,80の全閉(0°及び270°)時に隣接するルーバー70,80の端部同士が重なるような間隔において、チルトシャフト20に取り付けられている。つまり、ルーバー70,80の全閉状態において、縦型ブラインド1の両端部を除いた一のルーバー70の端部は、隣接する他のルーバー70の端部と重なっており、一のルーバー80の端部は、隣接する他のルーバー80の端部と重なっている。
【0066】
図において、ルーバー70の閉状態(0°)、つまりランナーフック55が回転していない状態においては、ランナーフック55の一方の係合部57aがランナーケース56の係合部563cと周方向において係合している。操作棒30を一方向に回転させると、チルトシャフト20が回転し、チルトシャフト20の回転は、ランナー50のウォーム52を介してウォームホイール53に伝達されてウォームホイール53が回転する。ウォームホイール53の回転は、それぞれの平歯車53b,54aを介して補助ホイール54に伝達されて補助ホイール54が回転し、ルーバー70がランナーフック55と一緒に時計回りに回転する。
【0067】
チルトシャフト20の回転に伴いランナー50のランナーフック55が回転し始めると、ランナーフック55の一方の係合部57aが、ランナーケース56の係合部563cから離れ始め、他方の係合部57aがランナーケース56の係合部563cに接近し始める。ランナーフック55又はルーバー70が180°回転した状態においては、他方の係合部57aがランナーケース56の係合部563cと係合している。この係合状態において、ランナーフック55の回転は、ランナーフック55の係合部57aと、ランナーケース56の係合部563cとにより形成された回転規制部により規制されており、ルーバー70も静止する。
【0068】
ルーバー70が静止した状態において操作棒30が一方向にさらに回転させられても、チルトシャフト20からの回転は補助ホイール54に伝達される。しかしながら、ランナーフック55の回転は規制されているので、補助ホイール54はランナーフック55に対して相対的に回転するようになり、補助ホイール54だけが回転してランナーフック55は回転しない。チルトシャフト20の回転は、ランナーフック55及びルーバー70には伝達されない。
【0069】
図において、ルーバー80の閉状態(0°)、つまりランナーフック65が回転していない状態においては、ランナーフック65の一方の係合部68aがランナーケース66の係合部663cと周方向において係合していると同時に、平歯車67の2つの係合部67aがそれぞれ補助ホイール64の2つの係合部64aと周方向において一方の面で係合している。操作棒30を一方向に回転させると、チルトシャフト20が回転し、チルトシャフト20の回転は、ランナー60のウォーム62を介してウォームホイール63に伝達されてウォームホイール63が回転する。ウォームホイール63の回転は、それぞれの平歯車63b,67を介して及び補助ホイール64に伝達されて補助ホイール64が回転する。
【0070】
操作棒30を一方向に回転させると、ウォームホイール63の平歯車63bを介して伝達される回転により平歯車67だけが回転する。具体的には、平歯車67の2つの係合部67aが補助ホイール64における2つの係合部64aから離れて、それぞれ空間64sを周方向に移動する。これにより、平歯車67は、ウォームホイール63からの回転を伝達することなく補助ホイール64に対して相対的に90°回転する。ルーバー70が0°~90°まで回転している間、平歯車67は、補助ホイール64に対して空転しているので補助ホイール64及びランナーフック65は回転しない。つまり、ルーバー70が回転している一方でルーバー80は回転しない。
【0071】
第1の実施の形態においては、ルーバー70が90°回転すると、つまり、ルーバー70がルーバー80に対して垂直又は略垂直をなした状態になると、平歯車67の各係合部67aが補助ホイール64の先に接触していた係合部64aとは異なる係合部64aに接触する。この状態において、チルトシャフト20の回転は、平歯車67を介して補助ホイール64に伝達され、ランナーフック65及びルーバー80がルーバー70と同じ方向に回転し始める。つまり、ルーバー80は、補助ホイール64における空間64s及び平歯車67における空間67sにより形成される回転遅延部により、ルーバー70に対して遅れて回転し始める。ルーバー70に対するルーバー80の回転角度差は、90°である。
【0072】
ルーバー80は、ルーバー70に対して垂直又は略垂直状態を維持して同じ方向に回転する。ルーバー80は、ルーバー70が閉鎖した状態(180°)になり回転しなくなってもさらに90°だけ回転し閉状態(270°)になる。この状態においては、ランナーフック65の他方の係合部68aがランナーケース66の係合部663cと係合している。この係合状態において、ランナーフック65の回転は、ランナーフック65の係合部68aと、ランナーケース66の係合部663cとにより形成された回転規制部により規制されており、ルーバー80も静止する。
【0073】
ルーバー80が静止した状態において操作棒30が一方向にさらに回転させられても、チルトシャフト20からの回転は補助ホイール64に伝達される。しかしながら、ランナーフック65の回転は規制されているので、補助ホイール64はランナーフック65に対して相対的に回転するようになり、補助ホイール64だけが回転してランナーフック65は回転しない。チルトシャフト20の回転は、ランナーフック65及びルーバー80には伝達されない。
【0074】
操作棒30を他方向に回転させると、チルトシャフト20が先の回転とは逆に回転し、チルトシャフト20の回転は、ランナー50のウォーム52を介してウォームホイール53に伝達されてウォームホイール53が回転する。さらに、ウォームホイール53は、補助ホイール54をそれぞれの平歯車53b,54aを介して回転させて、ルーバー70がランナーフック55と一緒に反時計回りに0°~180°回転する。
【0075】
ランナーフック65は、チルトシャフト20の回転は、ランナー60のウォーム62を介してウォームホイール63に伝達されて、回転遅延部により、ルーバー70の回転に対して遅れて回転し始める。ランナー60においては、平歯車67が90°回転した後にランナーフック65及びルーバー80が回転する。平歯車67が0°~270°の範囲にわたって回転することによりルーバー80が180°回転する。
【0076】
第1の実施の形態に係る縦型ブラインド1においては、チルトシャフト20が回転すると、まず、ルーバー70が回転し始めて、ルーバー80に対する角度を段階的に、ランナーフック55の回転角度0°~90°の間にわたって調整する。これにより、窓から室内に正面から入射する光の量を細かく調整(調光)することができる。
【0077】
さらに、ルーバー70の全閉状態以外にルーバー70,80が平行になることはない。そのため、ルーバー70,80の間から光が直接的に室内へ進入することは防がれ、かつ、室外から室内への視認性を妨げることができ、プライバシー性を維持することができる。
【0078】
さらに、ルーバー70,80の全閉状態(0°及び270°)において、例えば、室内側Fからは非透光性のルーバー70のみが見える状態、つまり、透光性のルーバー80が室内側Fから見えない状態になっており縦型ブラインド1の意匠の統一感が高められる。
【0079】
さらに、ルーバー70,80の全閉状態(0°及び270°)において、ルーバー70とルーバー80との間には、室内外方向(FB)において所定の空間が設けられる。これにより、全閉時のルーバー70,80間に空気層が形成され、断熱効果を奏することができる。
【0080】
以上のような縦型ブラインド1によれば、ルーバー80を支持するランナー60における伝動機構であるウォームギア61において、平歯車67が補助ホイール64に対して空転するようになっているので、全閉状態からルーバー70を先に回転させてルーバー80に対して角度調整することができる。太陽の位置や室外から室内への視認方向に応じてルーバー80に対するルーバー70の開閉角度を段階的に調整することができる。具体的には、透過性のルーバー80を閉鎖した状態において、非透過性のルーバー70を、太陽の位置等に応じてルーバー80に対する角度を調整するので、直射日光が室内に入らないようにすることができる。また、ルーバー70,80のいずれも全閉状態とすることができるので、室内側F及び室外側Bからの意匠性を高めることができる。
【0081】
さらに、ランナー50,60におけるウォームギア51,61において、ウォームホイール53,63と補助ホイール54,64とは、チルトシャフト20に交差して並び互いに平歯車63b,67を介して、チルトシャフト20からの回転をランナーフック55,65に伝達するようになっている。これにより、各ランナー50,60は、その幅(長手方向LR)においてコンパクトに形成されている。
【0082】
さらに、ルーバー80は、ルーバー70に対して遅れて回転させることを可能にする回転遅延部を有しているので、ルーバー70とルーバー80とが回転時に互いに干渉することを防ぐことができる。また、回転遅延部は、補助ホイール64及び平歯車67に空間64s,67sを形成することにより達成されているので、別途、回転遅延部のための部材を必要としないので、ランナー60を全体的にコンパクトに構成することができる。
【0083】
さらに、ランナー50,60において、補助ホイール54,64とランナーフック55,65とは、所定のトルク以上がかかった場合に互いに相対的に回転するように構成されている。これにより、例えば、それぞれ複数あるルーバー70,80のいずれかのルーバーを手で回すなどして、他のルーバーに対して回転位置(角度)が乱れた状態となっても、全閉状態からさらに操作棒30を回転させることで、乱れたルーバーを他のルーバーと同じ角度に整列させることができる。
【0084】
さらに、ランナーフック55,65は、ランナーケース56,66の側壁部561,661の内面に当接しているので、回転抵抗をもって回転するようになっている。これにより、例えば、ルーバー70,80が風などにより意図せず回転することを抑制することができる。また、側壁部561,661においてランナーフック55,65が当接する部分の近傍には、スリット561b,661bが形成されている。これにより、側壁部561,661は、ランナーフック55,65の回転に伴い適度に弾性変形することができ、ランナーフック55,65の回転が過度に側壁部561,661によって抑制されることを回避することができる。
【0085】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態に係る縦型ブラインド1Aについて説明する。以下では、第1の実施の形態に係る縦型ブラインド1と異なる部分についてのみ主に説明し、同じ部分については、同じ符号を用いて説明することもある。
【0086】
第2の実施の形態におけるウォームギア61は、補助ホイール64と平歯車67とが一体に形成されている。つまり、第2の実施の形態においては、補助ホイール64及び平歯車67には、空間64s,67sは設けられておらず、補助ホイール64と平歯車67とが相対的に回動することはない。
【0087】
第2の実施の形態におけるウォームギア51,61は、互いに異なるギア比を有している。ウォームギア51におけるウォームホイール53の平歯車53bと、補助ホイール54の平歯車54aとのギア比を、例えば、「1」とした場合、ウォームギア61におけるウォームホイール63の平歯車63bと補助ホイール64の平歯車67とのギア比は、「1/X」(X>1)となっていて、例えば、「1/4」である。
【0088】
次に、第2の実施の形態に係る縦型ブラインド1Aの開閉動作について説明する。図10は、第2の実施の形態に係る縦型ブラインド1Aにおける各ルーバー70,80の一方向での回転経過を示す概略図である。第2の実施の形態に係る縦型ブラインド1Aにおいては、ルーバー70,80は、同時に回転し始める。ルーバー70の全閉状態は、図において、例えば、ウォームホイール53及び補助ホイール54が0°及び180°回転した状態であり、ルーバー80の全閉状態は、図において、例えば、ウォームホイール63又は補助ホイール64、平歯車67が0°及び180°回転した状態である。ただし、ルーバー80の回転速度は、ルーバー70の回転速度に対して遅く、ルーバー70が720°回転したときに、ルーバー80は180°回転する。
【0089】
ルーバー70,80の全閉状態において、操作棒30を一方向に回転させると、チルトシャフト20が回転し、チルトシャフト20の回転は、ランナー50,60のウォーム52,62を介してウォームホイール53,63に伝達されてウォームホイール53,63が回転する。ウォームホイール53,63の回転は、それぞれの平歯車53b,54a,63b,67を介して及び補助ホイール54,64に伝達され補助ホイール54,64が回転して、ルーバー70,80がランナーフック55,65と一緒に時計回りに回転し始める。
【0090】
ルーバー80を回転させるウォームギア61は、ルーバー70を回転させるウォームギア51に対してギア比が「1/4」になっているので、ルーバー70とルーバー80とは、0°の状態から同時に回転し始めるものの、互いの相対角度は、操作棒30の回転に伴い次第に広がっていき、ランナーフック55とランナーフック65との間に回転角度差が生じる。つまり、ルーバー80の回転速度は、ルーバー70の回転速度に対して遅くなっている。
【0091】
ルーバー70が180°回転すると、ランナー50においては、ランナーフック55の一方の係合部57aと、ランナーケース56の係合部563cとが係合してルーバー70はそれ以上回転せず、補助ホイール54に対してランナーフック55は相対的に回転し続ける。一方で、ルーバー80は、さらに回転し続ける。ルーバー80は、ウォームホイール63又は補助ホイール64が720°回転すると、ランナー60においては、ランナーフック65の係合部68aと、ランナーケース66の係合部663cとが係合するので、ルーバー80はそれ以上回転しない。
【0092】
以上のような縦型ブラインド1Aによれば、縦型ブラインド1と同様の効果を奏することができる。
【0093】
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態に係る縦型ブラインド1Bについて説明する。以下では、第1及び第2の実施の形態に係る縦型ブラインド1,1Aと異なる部分についてのみ主に説明し、同じ部分については、同じ符号を用いて説明することもある。
【0094】
第3の実施の形態に係る縦型ブラインド1Bは、3種類のランナー50B,60B,ランナー(さらに別のランナー)90Bを有する。ランナー50B,60B,90Bは、チルトシャフト20に、例えば、ランナー50B、ランナー60B、ランナー90B、ランナー60B、ランナー50B、ランナー60B、ランナー90Bの順で取り付けられている。ランナー50B,60B,90Bは、それぞれルーバー70,80,100を支持している。なお、ルーバー100は、透光性のルーバー又は非透光性ルーバーのいずれであってもよい。
【0095】
ランナー50B,60B,90Bは、それぞれウォームギアを有してる。ランナー50Bが有するウォームギアは、第1の実施の形態におけるウォームギア51と同じである。ランナー60Bが有するウォームギアは、第1の実施の形態におけるウォームギア61と同じである。
【0096】
ランナー90Bにおいてルーバー100を支持するランナーフック95は、チルトシャフト20に対してランナー60Bと同じ側にあり、ランナー60Bにおけるランナーフック65に対して、チルトシャフト20とは反対の側にある。ランナー90Bは、第1の実施の形態におけるウォームギア61の構成に対して、ウォームホイール63と補助ホイール64との間に、さらに2つの中間補助ホイール(補助ホイール54に相当する)が設けられている点において異なる。この構成により、ランナー90Bにおけるランナーフック95は、他のランナーフック55,65と同じ方向に回転する。
【0097】
ランナー90Bのウォームギアにおいて、補助ホイールに対して同軸上に取り付けられる平歯車は、1つの係合部を有し、補助ホイールが1つの係合部を有する。周方向において互いに面する補助ホイールの係合部の2つの面の間に設けられた空間(回転遅延部)において、平歯車の係合部が一の面から他の面に向かって移行する間に平歯車が180°回転するようになっている。
【0098】
次に、第3の実施の形態に係る縦型ブラインド1Bの開閉動作について説明する。図11Aは、第3の実施の形態に係る縦型ブラインド1Bにおける各ルーバー70,80,100の一方向での回転経過(0°~120°)を示す概略図である。図11Bは、第3の実施の形態に係る縦型ブラインド1Bにおける各ルーバー70,80,100の一方向での回転経過(135°~225°)を示す概略図である。図11Cは、第3の実施の形態に係る縦型ブラインド1Bにおける各ルーバー70,80,100の一方向での回転経過(270°~360°)を示す概略図である。ランナー50B,60B,90Bは、ルーバー70,80,100の全閉(0°及び360°)時に、ルーバー80の端部は、隣接するルーバー80の端部に重なるような間隔において、チルトシャフト20に取り付けられている一方で、ルーバー70,100の端部は、それぞれ隣接するルーバー70,100の端部に重ならない間隔において、チルトシャフト20に取り付けられている。
【0099】
図において、ルーバー70の閉状態(0°)、つまりランナーフック55が回転していない状態においては、ランナーフック55の一方の係合部57aがランナーケース56の係合部563cと周方向において係合している。操作棒30を一方向に回転させると、チルトシャフト20が回転し、チルトシャフト20の回転は、ランナー50Bのウォーム52を介してウォームホイール53に伝達されてウォームホイール53が回転する。ウォームホイール53の回転は、それぞれの平歯車53b,54aを介して補助ホイール54に伝達されて補助ホイール54が回転し、ルーバー70がランナーフック55と一緒に時計回りに回転する。
【0100】
図において、ルーバー80の閉状態(0°)、つまりランナーフック65が回転していない状態においては、ランナーフック65の一方の係合部68aがランナーケース66の係合部663cと周方向において係合していると同時に、平歯車67の2つの係合部67aがそれぞれ補助ホイール64の2つの係合部64aと周方向において一方の面で係合している。操作棒30を一方向に回転させると、チルトシャフト20が回転し、チルトシャフト20の回転は、ランナー60Bのウォーム62を介してウォームホイール63に伝達されてウォームホイール63が回転する。さらに、ウォームホイール63は、補助ホイール64をそれぞれの平歯車63b,67を介して回転させる。
【0101】
操作棒30を一方向に回転させると、ウォームホイール63の平歯車63bを介して伝達されてくる回転により平歯車67だけが回転する。具体的には、平歯車67の各係合部67aが補助ホイール64における2つの係合部64aから離れて、それぞれ空間64sを周方向に移動する。これにより、平歯車67は、ウォームホイール63からの回転を伝達することなく補助ホイール64に対して相対的に90°回転する。ルーバー70が0°~90°まで回転している間、平歯車67は、補助ホイール64に対して空転しているので補助ホイール64及びランナーフック65は回転しない。つまり、ルーバー70が回転している一方でランナーフック65及びルーバー80は回転しない。
【0102】
第3の実施の形態においては、ルーバー70が90°回転すると、つまり、ルーバー70がルーバー80に対して垂直又は略垂直をなした状態になると、平歯車67の各係合部67aが補助ホイール64の先に接触していた係合部64aとは異なる係合部64aに接触する。この状態において、チルトシャフト20の回転は、平歯車67を介して補助ホイール64に伝達され、ランナーフック65及びルーバー80がルーバー70と同じ方向に回転し始める。つまり、ルーバー80は、補助ホイール64における空間64s及び平歯車67における空間67sにより形成される回転遅延部により、ルーバー70に対して遅れて回転し始める。ルーバー70に対するルーバー80の回転角度差は90°である。
【0103】
ルーバー80は、ルーバー70に対して垂直又は略垂直状態を維持して同じ方向に回転する。ルーバー80は、ルーバー70が閉鎖した状態(180°~)になり回転しなくなってもさらに90°だけ回転し閉状態(270°)になる。
【0104】
図において、ルーバー100の閉状態(0°)、つまりランナーフック95が回転していない状態においては、ランナーフックの係合部がランナーケースの係合部と周方向において一方の面で係合していると同時に、平歯車の係合部が補助ホイール64の係合部と周方向において一方の面で係合している。操作棒30を一方向に回転させると、チルトシャフト20が回転し、チルトシャフト20の回転は、ランナー90Bのウォームを介してウォームホイール及び2つの中間補助ホイールに伝達されてそれぞれ回転する。最終的に中間補助ホイールからの回転は、それぞれの平歯車を介して補助ホイールが回転させられる。
【0105】
操作棒30を一方向に回転させると、ウォームホイールの平歯車を介して伝達されてくる回転により、平歯車だけが回転する。具体的には、平歯車の係合部が補助ホイールにおける係合部の一方の面から離れて空間を周方向に移動する。これにより、平歯車は、ウォームホイールからの回転を伝達することなく補助ホイールに対して相対的に180°回転する。ランナーフック55が0°~180°まで回転している間、ランナー90Bにおける平歯車は、補助ホイールに対して空転しているので補助ホイールは回転することはなく、ルーバー80が回転している一方でランナーフック95及びルーバー100は回転しない。
【0106】
第3の実施の形態においては、ランナーフック55が180°回転し、ランナーフック65が90°回転すると、つまり、ルーバー80がルーバー100に対して垂直又は略垂直をなした状態になると、平歯車の係合部が補助ホイールの先に接触していた係合部の一方の面とは異なる他方の面において係合部に接触する。この状態において、チルトシャフト20の回転は、平歯車を介して補助ホイールに伝達され、ランナーフック95及びルーバー100がルーバー80と同じ方向に回転し始める。つまり、ルーバー100は、補助ホイールにおける空間及び平歯車における空間により形成される回転遅延部により、ルーバー70及びルーバー80に対して遅れて回転し始める。ルーバー70に対するルーバー100の回転角度差は180°であり、ルーバー80に対するルーバー100の回転角度差は90°である
【0107】
ルーバー100は、ルーバー80に対して垂直又は略垂直状態を維持して同じ方向に回転する。ルーバー100は、ルーバー80が閉鎖した状態(270°~)になり静止しても、ランナーフックが360°回転するまでさらに回転する。
【0108】
以上のような縦型ブラインド1Bによれば、縦型ブラインド1と同様の効果を奏することができる。さらに、ルーバー70,80,100の回転時に、ルーバー70の隙間から、ルーバー80及びルーバー100を視認することができ、奥行きのある立体的な意匠を表現することができる。さらに、例えば、3つのルーバー70が閉状態、ルーバー80が開状態、そしてルーバー100が閉状態となった場合(180°)、縦型ブラインド1において室内外に凹凸が形成されて、全体として立体的になる。
【0109】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。また、例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。例えば、第1の実施の形態においてウォームギア51,61は、それぞれ異なるランナー50,60に設けられていたが、同一のランナーに設けられていてもよい。図12は、2つのウォームギア51,61を収容する変形例に係るランナー50Cの分解斜視図である。なお、以下では、第1の実施の形態に係る縦型ブラインド1と異なる部分についてのみ主に説明し、同じ部分については、同じ符号を用いて説明することもある。
【0110】
変形例に係るランナー50Cは、ウォームギア51と、ランナーフック(回転軸部)55と、ウォームギア61と、ランナーフック(回転軸部)65と、ランナーケース56と、を有する。2つのウォームギア51,61は、共通のウォーム52を有している。つまり、チルトシャフト20からの回転は、共通のウォーム52を介して、それぞれ異なる側に位置するウォームホイール53,63に伝達される。ウォームホイール53,63にそれぞれ伝達された回転は、平歯車53b,63bを介して補助ホイール54,64にそれぞれ伝達される。補助ホイール64は、補助ホイール54に対して、平歯車67が補助ホイール64に対して空転する分だけ遅れて回転し始める。なお、ウォームギア51,61としては、第2の実施の形態におけるウォームギアを使用してもよい。
【0111】
また、上記の実施の形態においてランナー50,60には、透光性のルーバー70及び非透光性のルーバー80が支持されていたが、ルーバーの種類は特に限定されず、使用される2種類のルーバーは、色違い等、インテリア設計に応じて適宜決めることができる。
【0112】
また、第1及び第2の実施の形態においてウォームギア51,61は、平歯車53b,54a,63b,67を有していたが、傘歯車、冠歯車等の他の形式の歯車であってもよい。また、例えば、ウォームホイール53,63から補助ホイール54,64までの間にラック-ピニオンを設け、補助ホイール54,64までの距離を調節して回転を伝達してもよい。
【0113】
また、第1~第3の実施の形態において、ルーバー70,80,100は、ランナーフック55,65,95にそれぞれ中心位置で支持されていたが、オフセットされた位置でランナーフック55,65,95に支持されていてもよい。これにより、ランナーフック55,65,95に対してルーバー70,80,100をその中心位置で支持した場合と比べて室内外方向(FB)におけるランナーフック55,65,95の距離を小さくすることができ、ヘッドレール10を室内外方向(FB)において小さくすることができる。
【符号の説明】
【0114】
1・・・縦型ブラインド
10・・・ヘッドレール
20・・・チルトシャフト
30・・・操作棒
40・・・操作コード
50・・・ランナー(他方のランナー)、51・・・ウォームギア(他方の伝動機構)、52・・・ウォーム、53・・・ウォームホイール、54・・・補助ホイール、55・・・ランナーフック、56・・・ランナーケース
60・・・ランナー(一方のランナー)、61・・・ウォームギア(一方の伝動機構)、62・・・ウォーム、63・・・ウォームホイール、64・・・補助ホイール、65・・・ランナーフック、66・・・ランナーケース、67・・・平歯車
70,80,100・・・ルーバー
90B・・・ランナー(さらに別のランナー)
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図11C
図12