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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041395
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 19/02 20210101AFI20240319BHJP
   G02B 5/08 20060101ALI20240319BHJP
   G02B 17/00 20060101ALI20240319BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240319BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20240319BHJP
   H04N 23/55 20230101ALI20240319BHJP
【FI】
G03B19/02
G02B5/08 Z
G02B17/00
G03B15/00
G01N21/84 Z
H04N5/225 400
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146194
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】古谷 祥雄
【テーマコード(参考)】
2G051
2H042
2H054
2H087
5C122
【Fターム(参考)】
2G051AA01
2G051AB20
2G051BA20
2G051CA03
2G051CA04
2G051CB01
2G051CB02
2G051CB05
2G051CC09
2G051CC11
2H042DB01
2H042DB14
2H054BB02
2H087KA01
2H087KA02
2H087LA01
2H087NA02
2H087TA02
5C122DA12
5C122FB02
5C122FB03
5C122FB11
(57)【要約】
【課題】ミラーを介してワークを撮像する装置において、撮像角度および撮像倍率を維持しつつ、ミラー配置の制約を緩和することができる技術を提供する。
【解決手段】撮像装置13は、ワーク9を複数の方向から撮像する。撮像装置13は、単一のカメラ20と、ワーク9からカメラ20に至る第1光路LP1上に位置するミラー41と、第1光路LP1とは異なる光路であって、ワーク9からカメラ20に至る第2光路LP2上に位置するミラー51およびミラー52とを備える。第2光路LP2上において、ミラー52は、ワーク9とミラー51との間に位置する。第1光路LP1の光路長と第2光路LP2の光路長とが等しい。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを複数の方向から撮像する撮像装置であって、
単一のカメラと、
前記ワークから前記カメラに至る第1光路上に位置する第1ミラーと、
前記第1光路とは異なる光路であって、前記ワークから前記カメラに至る第2光路上に位置する第2ミラーおよび第3ミラーと、
を備え、
前記第2光路上において、前記第3ミラーは、前記ワークと前記第2ミラーとの間に位置し、
前記第1光路の光路長と前記第2光路の光路長とが等しい、撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記第2光路上に位置し、前記第2光路上において、前記第3ミラーと前記第2ミラーとの間に位置する第4ミラー、
をさらに備える、撮像装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の撮像装置であって、
前記第1光路および前記第2光路の始点は、前記撮像ワークにおける同じ部位に設定される、撮像装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の撮像装置であって、
前記第1光路および前記第2光路の始点は、前記撮像ワークにおける異なる部位に設定される、撮像装置。
【請求項5】
請求項1または請求項2に記載の撮像装置であって、
前記カメラは、
イメージセンサと、
前記イメージセンサに結像する撮像レンズと、
を備え、
前記撮像レンズは、前記物体側テレセントリックレンズを含む、撮像装置。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の撮像装置であって、
前記ワークを照明する反射照明光源、
をさらに備え、
前記第1ミラーおよび前記第2ミラーは、前記ワークから第1方向に離れて位置し、
前記反射照明光源は、前記第1方向において、前記ワークと前記第1ミラーとの間、かつ、前記ワークと前記第2ミラーとの間に位置する、撮像装置。
【請求項7】
請求項1または請求項2に記載の撮像装置であって、
前記第3ミラーは、前記第1ミラーよりも、前記ワークの近くに位置する、撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示される主題は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークをカメラで撮像することによって得られる撮像画像に基づいて、ワークの外観を検査する検査装置が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1では、検査対象の周辺に2つのミラーを配置される。2つミラーは、カメラの撮像画像に検査対象の外観の鏡像が含まれるようにそれぞれ配置される。これにより、撮像画像に基づいて、ワークの外観が複数の方向から観察される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-148735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数のミラーを同時に視野に入れて撮像する場合、撮像角度と撮像倍率とにより、ミラー配置は一意に決まってしまう。このため、装置の設計自由度は比較的低くなってしまう。例えば、所望の撮像角度および所望の撮像倍率を得るためにワークとミラーと間の距離が短くなってしまう場合には、これらの間に反射照明光源などを設置するためのクリアランスを確保することが困難となる。このため、撮像角度や撮像倍率を維持しつつ、ミラー配置の制約を緩和することができる技術が求められている。
【0005】
本発明の目的は、ミラーを介してワークを撮像する装置において、撮像角度および撮像倍率を維持しつつ、ミラー配置の制約を緩和することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、第1態様は、ワークを複数の方向から撮像する撮像装置であって、単一のカメラと、前記ワークから前記カメラに至る第1光路上に位置する第1ミラーと、前記第1光路とは異なる光路であって、前記ワークから前記カメラに至る第2光路上に位置する第2ミラーおよび第3ミラーと、を備え、前記第2光路上において、前記第3ミラーは、前記ワークと前記第2ミラーとの間に位置し、前記第1光路の光路長と前記第2光路の光路長とが等しい。
【0007】
第2態様は、第1態様の撮像装置であって、前記第2光路上に位置し、前記第2光路上において、前記第3ミラーと前記第2ミラーとの間に位置する第4ミラーをさらに備える。
【0008】
第3態様は、第1態様または第2態様の撮像装置であって、前記第1光路および前記第2光路の始点は、前記撮像ワークにおける同じ部位に設定される。
【0009】
第4態様は、第1態様または第2態様の撮像装置であって、前記第1光路および前記第2光路の始点は、前記撮像ワークにおける異なる部位に設定される。
【0010】
第5態様は、第1態様から第4態様のいずれか1つの撮像装置であって、前記カメラは、イメージセンサと、前記イメージセンサに結像する撮像レンズと、を備え、前記撮像レンズは、前記物体側テレセントリックレンズを含む。
【0011】
第6態様は、第1態様から第5態様のいずれか1つの撮像装置であって、前記ワークを照明する反射照明光源、をさらに備え、前記第1ミラーおよび前記第2ミラーは、前記ワークから第1方向に離れて位置し、前記反射照明光源は、前記第1方向において、前記ワークと前記第1ミラーとの間、かつ、前記ワークと前記第2ミラーとの間に位置する。
【0012】
第7態様は、第1態様から第6態様のいずれか1つの撮像装置であって、前記第3ミラーは、前記第1ミラーよりも、前記ワークの近くに位置する。
【発明の効果】
【0013】
第1態様から第7態様の撮像装置によれば、第2光路について、ワークから第2ミラーまでの光路長を、第3ミラーによって延長できる。これにより、第2ミラーの位置を変更しても、第3ミラーの位置を調整することによって、第2光路の光路長を一定に維持できる。このため、撮像角度および撮像倍率を維持しつつ、ミラー配置の制約を緩和できる。
【0014】
第2態様の撮像装置によれば、第4ミラーを設けることによって、第2光路の光路長の調整が容易になる。また、撮像画像において、ミラー内によりワークを大きく捉えるためには、光路上において、できるだけミラーの面同士が向き合うような配置(すなわち、ミラー上における光路の折り返し角が45°にできるだけ近い配置)とすることが好ましい。第4ミラーを設けることにより、このような配置を取ることがより容易となる。
【0015】
第3態様の撮像装置によれば、ワークの一部位を複数の方向から同じ倍率で同時に撮像できる。
【0016】
第4態様の撮像装置によれば、ワークの異なる部位を同時に同じ倍率で撮像できる。
【0017】
第5態様の撮像装置によれば、物体側の光学系の設計を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態に係る検査装置の側面図である。
図2図1に示されるカメラによって得られる撮像画像を示す図である。
図3】実施形態に係る撮像装置における光路図を示す図である。
図4図1に示される第2光路において、迂回用のミラーがない場合の第1ミラー配置を示す図である。
図5図4に示される第2光路において、迂回用のミラーが追加された第2ミラー配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張又は簡略化して図示されている場合がある。
【0020】
図1および以降の各図においては、各要素の位置関係の理解を容易にするため、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印が付されている場合がある。X方向およびY方向は、好ましくは水平方向であり、Z方向は、好ましくは鉛直方向である。
【0021】
<1. 実施形態>
図1は、実施形態に係る検査装置1の側面図である。検査装置1は、ワーク9を撮像して得られる画像に基づいて、ワーク9を検査する装置である。ワーク9は、例えば、レンズまたは金属部品である。レンズとしては、例えば、生体に着用されるレンズ(眼内レンズ、コンタクトレンズなど)、カメラなどに使用される光学部品としてのレンズが挙げられる。また、金属部品としては、例えば、自動車などの工業製品に用いられる部品が挙げられる。
【0022】
図1に示されるように、検査装置1は、ワーク保持部11と、撮像装置13と、制御部15とを有する。
【0023】
ワーク保持部11は、ワーク9の側面を露出させつつ、ワーク9を下方から保持する。撮像装置13は、ワーク保持部11に保持されているワーク9を撮像する。制御部15は、撮像装置13が撮像した画像を処理する。制御部15は、例えば、CPU、ROM、RAM、記憶装置等がバスラインを介して相互接続された一般的なコンピュータを含む。ROMは基本プログラム等を格納しており、RAMはCPUが所定の処理を行う際の作業領域として供される。記憶装置は、フラッシュメモリ、あるいは、ハードディスク装置等の不揮発性の記憶装置を含む。記憶装置にはプログラムが格納されており、このプログラムに記述された手順に従って、主制御部としてのCPUが演算処理を行うことにより、各種処理(例えば、画像生成処理、画像診断)が実行される。
【0024】
撮像装置13は、カメラ20と、反射照明光源30と、複数個(ここでは、5個)のミラー41,51,52,53,61とを有する。各ミラー41,51~53,61は、光を反射する平坦な反射面(鏡面)を有する。
【0025】
カメラ20は、イメージセンサ21と、鏡筒22と、撮像レンズ23とを有する。イメージセンサ21は、CCDまたはCMOSなどの撮像素子により構成される。カメラ20は、ミラー41、ミラー51およびミラー61のそれぞれに映るワーク9を、同一の視野内に捉えて撮像する。これにより、カメラ20は、1つのイメージセンサ21によって、ワーク9を同時に複数の方向から撮像する。
【0026】
図2は、図1に示されるカメラ20によって得られる撮像画像91を示す図である。図2に示される例では、1枚の撮像画像91中には、ミラー41に映るワーク9の像9aと、ミラー51に映るワーク9の像9b、ミラー61に映るワーク9の像9cとが含まれる。
【0027】
図1に示されるように、鏡筒22は、撮像レンズ23を含む撮像光学系を保持する。撮像レンズ23は、ミラー41,51,61に映る各ワーク9をイメージセンサ21に結像する。本例では、撮像レンズ23は、物体側テレセントリックレンズである。
【0028】
反射照明光源30は、ワーク9におけるカメラ20によって撮像する部位(ここでは、ワーク9の側部)を照明する。反射照明光源30は、スポットライトであってもよいし、あるいはライン照明やリング照明であってもよい。反射照明光源30は、X方向において、ワーク9から離れて位置する。
【0029】
図1に示されるように、撮像装置13においては、ワーク9からの反射もしくは透過散乱光は、第1光路LP1、第2光路LP2および第3光路LP3をそれぞれ経由して、カメラ20に入射する。ミラー41は、ワーク9からカメラ20に至る第1光路LP1上に位置する。すなわち、ワーク9からの光は、ミラー41で反射して、カメラ20に入射する。
【0030】
ミラー51~53は、ワーク9からイメージセンサ21に至る第2光路LP2上に位置する。第2光路LP2において、ミラー52およびミラー53は、ワーク9とミラー51との間に位置する。第2光路LP2において、ミラー52は、ミラー53よりも上流側(ワーク9に近い側)に位置する。すなわち、ワーク9からの光は、順に、ミラー52、ミラー53で反射した後、ミラー51で反射して、カメラ20に入射する。ミラー52,53は、ワーク9からミラー51へ進む光の光路長を延長するために設けられた、迂回用のミラーである。
【0031】
ミラー61は、ワーク9からカメラ20に至る第3光路LP3上に位置する。ワーク9からの光は、ミラー61で反射してカメラ20に入射する。
【0032】
ミラー41、51~53,61は、ワーク9に対して、X方向に離れて位置する。X方向は、「第1方向」の一例である。
【0033】
ミラー41,51~53、61は、第1光路LP1、第2光路LP2および第3光路LP3の光路長が等しくなるように配置されている。これにより、第1光路LP1、第2光路LP2および第3光路LP3について、フォーカスを合わせることができる。
【0034】
ミラー41は、Z方向において、ワーク9と同じ高さに位置する。ワーク9からミラー41へ向かう光(主光線)は、水平方向であるX方向と平行に進む。このため、ミラー41に映るワーク9をカメラ20で撮像することによって、ワーク9を水平方向から撮像した像9aを取得できる。ミラー41は、「第1ミラー」の一例である。
【0035】
ミラー52は、ワーク9に対して、上側(+Z側)に位置する。ミラー53およびミラー51を介して、ミラー52に映るワーク9をカメラ20で撮像することによって、ワーク9を見下ろす角度(俯角θ)で撮像した像9bを取得できる。
【0036】
ミラー61は、ワーク9に対して、下側(-Z側)に位置する。ミラー61に映るワーク9をカメラ20で撮像することによって、ワーク9を見上げる角度(仰角θ)で撮像した画像を取得できる。
【0037】
図2に示される例では、ミラー51~53は、Z方向において、ミラー41よりもカメラ20の近くに位置する。ミラー52,53は、X方向において、ワーク9とミラー51との間に位置する。ミラー53は、X方向において、ミラー52よりも、ミラー51の近くに位置する。また、ミラー52は、X方向において、ミラー41よりもワーク9に近くに位置する。なお、ミラー52,53の位置は、図2に示される位置に限定されるものではなく、適宜変更可能である。ミラー51は「第2ミラー」の一例であり、ミラー52は「第3ミラー」の一例であり、ミラー53は「第4ミラー」の一例である。
【0038】
ミラー61は、Z方向において、ミラー41よりもカメラ20から離れて位置する。ミラー61は、ワーク9からの光がカメラ20のイメージセンサ21に到達するまでに経由する第3光路LP3上に位置する。
【0039】
図1に示されるように、反射照明光源30は、X方向において、ワーク9とミラー41との間に位置する。また、反射照明光源30は、X方向において、ワーク9とミラー52との間に位置する。さらに、反射照明光源30は、X方向において、ワーク9とミラー61との間に位置する。また、反射照明光源30は、Z方向において、第2光路LP2よりもカメラ20の近くに位置する。
【0040】
図3は、実施形態に係る撮像装置13における光路図を示す図である。撮像レンズ23が物体側テレセントリックレンズであるため、撮像レンズ23に入射するときの第1光路LP1、第2光路LP2および第3光路LP3上の、主光線L1,L2,L3(物点から開口絞りの中心を通る光線)は、撮像レンズ23の光軸と平行となる。すなわち、主光線L1~L3は、互いに平行となる。
【0041】
<ミラー52,53の作用効果について>
次に、第2光路LP2上に迂回用のミラー52,53を設けることの作用効果について、図4および図5を参照しつつ説明する。ここでは理解容易のため、まず、ミラー52,53を設けない場合のミラー配置(以下、「第1ミラー配置」と称する。)について、図4を参照しつつ説明する。その後、ミラー52,53を設けた場合のミラー配置(以下、「第2ミラー配置」と称する。)について、図5を参照しつつ説明する。
【0042】
図4は、図1に示される第2光路LP2において、迂回用のミラー52,53がない場合の第1ミラー配置を示す図である。図4に示される各点P,P11,P12,P21,P22,C,Cは、以下のように定義される。
点P:ワーク9の位置
点P11:ミラー41に対する主光線L1の入射位置
点P12:撮像レンズ23に対する主光線L1の入射位置
点P21:ミラー51に対する主光線L2の入射位置
点P22:撮像レンズ23に対する主光線L2の入射位置
点C:線P21と線P1112との交点
点C:点P21から線P1112へ垂直に下ろした線と線P1112との交点
【0043】
また、図4に示される各変数L11,L21,D,D,θ,θ,a,b,c,dは、以下のように定義される。
11:P11間の直線距離
21:P1112間の直線距離
:X方向におけるP1121間の距離
:P1222間の直線距離
θ:俯角∠P2111
θ:点P11で反射した主光線L1が鉛直方向(Z方向)に対して成す角度
a:P11間の直線距離
b:P間の直線距離
c:C21間の直線距離
d:C間の直線距離
【0044】
図2に示されるように、第1光路LP1の像9aと第2光路LP2の像9bとの間の距離は、主光線L1および主光線L2の入射位置(P1222)間の直線距離Dに、撮像レンズ23の倍率Mを掛けた値となる。
【0045】
本実施形態では、撮像レンズ23が物体側テレセントリックレンズであるため、点P21で反射した主光線L2が鉛直方向に対して成す角度も、θとなる。このように、撮像レンズ23を物体側テレセントリックレンズとすることによって、第1光路LP1、第2光路LP2および第3光路LP3について、角度θを同じとすることができるため、ミラー配置の設計を容易にすることができる。
【0046】
図4に示される左下の三角形P11について、正弦定理より以下の式(1)および式(2)が成り立つ。
【数1】
【数2】
【0047】
上記式(1)および(2)により、a,bは、次式(3)および(4)でそれぞれ表される。
【数3】
【数4】
【0048】
また、図4から、明らかに次式(5)が成り立つ。
【数5】
【0049】
上記式(4)および(5)より、次式(6)が導かれる。
【数6】
【0050】
続いて、図4に示される右上の三角形C21について、以下の式(7)が成り立つ。
【数7】
【0051】
式(6)および式(7)より、次式(8)が導かれる。
【数8】
【0052】
21間の距離(=b+c)は、P11間の距離(=L11)よりも大きい。P21間の距離とP11間の距離との差を「ΔL」とすると、ΔLは、次式(9)で表される。
【数9】
【0053】
第1光路LP1と第2光路LP2の光路長は等しいため、P1112間の直線距離は、P2122の直線距離よりも長い。P1112間の直線距離とP2122間の直線距離との差を「ΔL」とすると、ΔLは、次式(10)で表される。
【数10】
【0054】
第1光路LP1と第2光路LP2との光路長を一致させるため、次式(11)が成り立つ。
【数11】
【0055】
式(11)に式(9)および式(10)を代入すると、距離Dは、次式(12)で表される。
【数12】
【0056】
また、図4に示される右上の三角形C21について、距離Dは、次式(13)で導かれる。
【数13】
【0057】
式(6)および式(13)より、距離Dは次式で表される。
【数14】
【0058】
上記式(12)により、第1光路LP1および第2光路LP2についてのミラー配置が決まる。また、式(14)により、各光路のイメージセンサ21の撮像面上での配置が決まる。
【0059】
なお、図4に示されるように、第1光路LP1および第2光路LP2について、1枚のミラー41,51だけで撮像する場合、ワーク9とミラー41との間の距離、および、ワーク9とミラー51との間の距離が、撮像角度(俯角θ)および撮像レンズ23の光学倍率によって一意に決まる。このため、例えば、ミラー41とワーク9との間の距離が短い場合、反射照明光源などを設置するためのクリアランスを確保することが難しい場合がある。
【0060】
図5は、図4に示される第2光路LP2において、迂回用のミラー52,53が追加された第2ミラー配置を示す図である。図5に示される第2ミラー配置では、ワーク9とミラー41との間に空間を確保するため、図4に示される第1ミラー配置の場合よりも、ワーク9がミラー41から離れた位置に配置されている。一方で、第1光路LP1の光路長を維持するため、撮像レンズ23をミラー41に近づけている。また、第2光路LP2については、撮像角度(俯角θe)およびイメージセンサ21への入射位置を維持するためには、ミラー51の位置をカメラ20の近くへ移動させる必要がある(点P21→点Q22)。ただし、ミラー51を移動させると、第2光路LP2が短縮されるため、これを補正するために、ミラー51と撮像レンズ23との間に迂回用のミラー52,53が配置される。以下、図5を参照しつつ、ミラー52,53の配置について説明する。
【0061】
図5に示される各点Q,Q12,Q21,Q22,Q23,Q24,C,Cは、以下のように定義される。
点Q:第2ミラー配置におけるワーク9の位置
点Q12:第2ミラー配置における撮像レンズ23に対する主光線L1の入射位置
点Q21:第2ミラー配置におけるミラー51に対する主光線L2の入射位置
点Q22:第2ミラー配置における撮像レンズ23に対する主光線L2の入射位置
点Q23:ミラー52に対する主光線L2の入射位置
点Q24:ミラー53に対する主光線L2の入射位置
点C:点Pから線分Q23に対して垂直に下ろした直線と線分Q23との交点
点C:点P21から線分Q2321に対して垂直に下ろした直線と線分Q2321との交点
【0062】
また、図5に示される変数dz,dy′,dz′,dz′,dsは、以下のように定義される。
dz:Q間の直線距離
dy′:主光線L2のシフト量(P間の直線距離)
dz′:Q間の直線距離(第2ミラー配置における第2光路LP2の光路長の増加量)
dz′:C21間の直線距離(第2ミラー配置における第2光路LP2の光路長の増加量)
ds:P2121間の直線距離(第2ミラー配置における第2光路LP2の光路長の減少量)
【0063】
第2ミラー配置では、ワーク9の位置が、点Pから、点Qへ移動する。点Qは、X方向において、点Pよりもミラー41(点P11)から遠い位置にある。また、図5に示されるように、撮像レンズ23の位置は、破線で示される位置からdzだけミラー41およびミラー51に近づく。これにより、撮像レンズ23に対する、主光線L1の入射位置が点P12から点Q12に、主光線L2の入射位置が点P22から点Q22に、それぞれ移動する。点Q12および点Q22は、点P12および点P22から主光線L1(または主光線L2)の進む方向にdzだけミラー41(点P11)に近づく。
【0064】
図5より、以下の式(15)~(18)が成り立つ。
【数15】
【数16】
【数17】
【数18】
【0065】
第1ミラー配置から第2ミラー配置に変更したことによる、第1光路LP1の増加量ΔLは、次式(19)で示されるように、ミラー41の前後で相殺される。
【数19】
【0066】
第1ミラー配置から第2ミラー配置に変更したことによる、第2光路LP2の増加量ΔLは、次式(20)で表される。
【数20】
【0067】
式(20)に式(15)~(18)を代入すると、増加量ΔLは、次式(21)で表される。
【数21】
【0068】
上記のΔLがゼロであれば、第1光路LP1および第2光路LP2の各光路長が一致するため、これらのフォーカスを一致させることができる。ただし、式(21)において、dz>0、θ>0の場合、ΔL2<0となる。このため、第1光路LP1および第2光路LP2の各光路長を一致させるためには、第2光路LP2の光路長をΔL(の絶対値)だけ延ばす必要がある。そこで、図5に示されるように、ミラー52,53によって、Q23→Q24→Q21の迂回路を設けることによって、直進時(Q23→Q21)に対してΔL(の絶対値)分増加させる。これにより、第1光路LP1と第2光路LP2との間の光路差が補正される。
【0069】
以上のように、第2光路LP2上にミラー52,53で迂回路を形成することによって、第2光路LP2のうち、ワーク9からミラー51までの光路長を延長できる。このため、ミラー52,53の位置を調整することによって、第2配置において、ミラー51を点P21から点Q21に移動させても、第1配置のときの撮像角度および撮像倍率を維持できる。したがって、ミラー配置の制約を緩和できる。
【0070】
<2. 変形例>
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0071】
例えば、ミラー52,53の位置(点Q23、点Q24の位置)は、一意ではなく、光路長補正が可能であり、かつ、光線の干渉等が起きない範囲で、自由に設定することができる。例えば、図5に示される例では、X方向において、Q11間の距離よりも、Q23間の距離を短くしている。しかしながら、X方向において、P11間の距離よりも、Q23間の距離を長くしてもよい。
【0072】
上記実施形態では、第1光路LP1、第2光路LP2の始点は、ワーク9の同じ部位(側部)に設定されている。このため、ワークの一部位を複数の方向から同じ倍率で撮像できる。ただし、第1光路LP1および第2光路LP2の始点は、ワーク9の異なる部位(例えば、側部と頂部)にそれぞれ設定されていてもよい。この場合、ワーク9の異なる部位を同じ倍率で撮像できる。
【0073】
また、上記実施形態では、第2光路LP2上に、2個の迂回用のミラー52,53が設けられている。しかしながら、1個のみまたは3個以上の迂回用のミラーが設けられてもよい。また、第1光路LP1または第3光路LP3に、迂回用のミラーが設けられてもよい。
【0074】
上記実施形態では、ミラー41はZ方向において、ワーク9と同じ高さに位置したが、必ずしもワーク9と同じ高さに位置するミラーを配置しなくてもよい。すなわち、必ずしもワーク9を水平方向から撮像した像9aを取得しなくてもよく、必要に応じて任意の方向から撮像した像を取得してよい。
【0075】
また、撮像レンズ23は、テレセントリックレンズではなく、非テレセントリックレンズであってもよい。撮像レンズ23が非テレセントリックレンズの場合、第1光路LP1、第2光路LP2,第3光路LP3ごとに、角度θをそれぞれ設定して、ミラー配置を設計するとよい。
【0076】
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【符号の説明】
【0077】
9 ワーク
13 撮像装置
20 カメラ
21 イメージセンサ
23 撮像レンズ
30 反射照明光源
41 ミラー(第1ミラー)
51 ミラー(第2ミラー)
52 ミラー(第3ミラー)
53 ミラー(第4ミラー)
図1
図2
図3
図4
図5