(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041404
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】回転弁
(51)【国際特許分類】
F16K 11/076 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
F16K11/076 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146212
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 衛
(72)【発明者】
【氏名】河井 伸二
【テーマコード(参考)】
3H067
【Fターム(参考)】
3H067AA12
3H067CC01
3H067DD12
3H067DD32
3H067DD42
3H067EA02
3H067EA05
3H067EA15
3H067EA24
3H067EA32
3H067EB07
3H067EC13
3H067FF11
3H067GG13
(57)【要約】
【課題】流路の切り替えパターンを多くすることができる回転弁を提供すること。
【解決手段】本開示の一態様は、回転弁1において、ロータリバルブ12は、流路の一部を形成する内部流路30を4つ備え、4つの内部流路30は、それぞれ、ロータリバルブ12の中心軸方向について異なる位置に配置され、ハウジング11は、流路の一部を形成するものであって内部流路30と連通する流入口ポートおよび流出口ポートをそれぞれ2つ備え、2つの流入口ポートおよび2つの流出口ポートは、それぞれ、ロータリバルブ12の中心軸方向について異なる位置に配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の孔を備えるハウジングと、
前記筒状の孔に収容される柱状の弁本体と、を有し、
前記弁本体が当該弁本体の中心軸を中心にして回転することにより、前記ハウジングと前記弁本体により形成される流路を切り替える
回転弁において、
前記弁本体は、前記流路の一部を形成する内部流路を複数備え、
複数の前記内部流路は、それぞれ、前記弁本体の中心軸方向について異なる位置に配置され、
前記ハウジングは、前記流路の一部を形成するものであって前記内部流路と連通する流入口ポートおよび流出口ポートをそれぞれ複数備え、
複数の前記流入口ポートおよび複数の前記流出口ポートは、それぞれ、前記弁本体の中心軸方向について異なる位置に配置されていること、
を特徴とする回転弁。
【請求項2】
請求項1の回転弁において、
前記弁本体の外周面おける前記内部流路の開口部の周囲をシールするシール部材と、
前記シール部材を前記弁本体の外周面に押し当てる押し当て部材と、を有すること、
を特徴とする回転弁。
【請求項3】
請求項2の回転弁において、
前記弁本体の径方向について前記シール部材と対向する位置または略対向する位置に設けられ、前記弁本体の外周面を押圧する押圧部材を有すること、
を特徴とする回転弁。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1つの回転弁において、
前記弁本体の中心軸方向について、前記弁本体の外周面における前記内部流路の開口部が存在する各層を区切るようにシールするものであって、前記弁本体の周方向に環状に形成されるリングシール部材を有すること、
を特徴とする回転弁。
【請求項5】
請求項4の回転弁において、
前記リングシール部材は、前記弁本体の中心軸に垂直な平面と交差するように配置されること、
を特徴とする回転弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハウジング内に収容される弁本体が回転することにより、ハウジングと弁本体により形成される流路を切り替える回転弁に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハウジング(ブッシング)と、このハウジングの筒状の孔の内部に回転可能に収容される筒状の弁本体(スプール)と、を有する回転弁が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される回転弁は、弁本体に形成される2つの流路について、切り替え可能なパターンが2つの流路のうちの1つの流路が流通するか、あるいは、2つの流路共が流通しないかに限られるので、流路の切り替えパターンが少ない。
【0005】
そこで、本開示は上記した課題を解決するためになされたものであり、流路の切り替えパターンを多くすることができる回転弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本開示の一形態は、筒状の孔を備えるハウジングと、前記筒状の孔に収容される柱状の弁本体と、を有し、前記弁本体が当該弁本体の中心軸を中心にして回転することにより、前記ハウジングと前記弁本体により形成される流路を切り替える回転弁において、前記弁本体は、前記流路の一部を形成する内部流路を複数備え、複数の前記内部流路は、それぞれ、前記弁本体の中心軸方向について異なる位置に配置され、前記ハウジングは、前記流路の一部を形成するものであって前記内部流路と連通する流入口ポートおよび流出口ポートをそれぞれ複数備え、複数の前記流入口ポートおよび複数の前記流出口ポートは、それぞれ、前記弁本体の中心軸方向について異なる位置に配置されていること、を特徴とする。
【0007】
この態様によれば、複数の流入口ポートおよび複数の流出口ポートと、弁本体に備わる内部流路とが、それぞれ、弁本体の中心軸方向について異なる位置に配置されるので、内部流路を介して流入口ポートと流出口ポートとを自在に組み合わせることができる。そのため、流入口ポートおよび流出口ポートの全ての組み合わせで流路の形成が可能となる。したがって、流路の切り替えパターンを多くすることができる。
【0008】
上記の態様においては、前記弁本体の外周面おける前記内部流路の開口部の周囲をシールするシール部材と、前記シール部材を前記弁本体の外周面に押し当てる押し当て部材と、を有すること、が好ましい。
【0009】
この態様によれば、シール部材が弁本体の外周面に押し当てられるので、弁本体の外周面おける内部流路の開口部のシール性を確保できる。
【0010】
上記の態様においては、前記弁本体の径方向について前記シール部材と対向する位置または略対向する位置に設けられ、前記弁本体の外周面を押圧する押圧部材を有すること、が好ましい。
【0011】
この態様によれば、シール部材が弁本体の外周面に押し当てられることにより弁本体の軸ズレが生じようとしても、押圧部材により、弁本体の軸ズレの発生を抑制できる。そのため、より効果的に、弁本体の外周面における内部流路の開口部について、シール部材によりシール性を確保できる。
【0012】
上記の態様においては、前記弁本体の中心軸方向について、前記弁本体の外周面における前記内部流路の開口部が存在する各層を区切るようにシールするものであって、前記弁本体の周方向に環状に形成されるリングシール部材を有すること、が好ましい。
【0013】
この態様によれば、少なくとも弁本体の中心軸方向の両端にある流入口ポートまたは流出口ポートに連通する内部流路の開口部において、個々のシール部材を廃止できる。そのため、弁本体の回転時にハウジングと弁本体との間に生じる摺動抵抗を低減できる。
【0014】
上記の態様においては、前記リングシール部材は、前記弁本体の中心軸に垂直な平面と交差するように配置されること、が好ましい。
【0015】
この態様によれば、流体が液体である場合に、リングシール部材の周方向の全体に亘ってリングシール部材の摺動部に液膜が形成され易くなる。そのため、潤滑効果により弁本体やハウジングの耐摩耗性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本開示の回転弁によれば、流路の切り替えパターンを多くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】本実施形態の回転弁の外観斜視図(
図1とは異なる角度から見た図)であって、アクチュエータを取り除いて示す図である。
【
図4】第1の流路の切り替えパターンにおいて、並行型の流路仕様とUターン型の流路仕様を示すイメージ図である。
【
図5】第1の流路の切り替えパターンにおいて、並行型の流路仕様にて形成される流路を示すイメージ図(ロータリバルブの上面側から見たときの図)である。
【
図6】第1の流路の切り替えパターンにおいて、並行型の流路仕様での流路の形成状態を示すイメージ図(ロータリバルブの側面側から見たときの図)である。
【
図7】ハウジングとロータリバルブの断面図であって、並行型の流路仕様における第1層の内部流路の位置での断面図である。
【
図8】ハウジングとロータリバルブの断面図であって、並行型の流路仕様における第2層の内部流路の位置での断面図である。
【
図9】ハウジングとロータリバルブの断面図であって、並行型の流路仕様における第3層の内部流路の位置での断面図である。
【
図10】ハウジングとロータリバルブの断面図であって、並行型の流路仕様における第4層の内部流路の位置での断面図である。
【
図11】第1の流路の切り替えパターンにおいて、Uターン型の流路仕様での流路の形成状態を示すイメージ図(ロータリバルブの上面側から見たときの図)である。
【
図12】第1の流路の切り替えパターンにおいて、Uターン型の流路仕様での流路の形成状態を示すイメージ図(ロータリバルブの側面側から見たときの図)である。
【
図13】ハウジングとロータリバルブの断面図であって、Uターン型の流路仕様における第1層の内部流路の位置での断面図である。
【
図14】ハウジングとロータリバルブの断面図であって、Uターン型の流路仕様における第2層の内部流路の位置での断面図である。
【
図15】ハウジングとロータリバルブの断面図であって、Uターン型の流路仕様における第3層の内部流路の位置での断面図である。
【
図16】ハウジングとロータリバルブの断面図であって、Uターン型の流路仕様における第4層の内部流路の位置での断面図である。
【
図17】第2の流路の切り替えパターンにおいて、並行型の流路仕様と交差型の流路仕様を示すイメージ図である。
【
図18】第2の流路の切り替えパターンにおいて、並行型の流路仕様での流路の形成状態を示すイメージ図(ロータリバルブの上面側から見たときの図)である。
【
図19】第2の流路の切り替えパターンにおいて、並行型の流路仕様での流路の形成状態を示すイメージ図(ロータリバルブの側面側から見たときの図)である。
【
図20】第2の流路の切り替えパターンにおいて、交差型の流路仕様での流路の形成状態を示すイメージ図(ロータリバルブの上面側から見たときの図)である。
【
図21】第2の流路の切り替えパターンにおいて、交差型の流路仕様での流路の形成状態を示すイメージ図(ロータリバルブの側面側から見たときの図)である。
【
図22】第3の流路の切り替えパターンにおいて、Uターン型の流路仕様と交差型の流路仕様を示すイメージ図である。
【
図23】第3の流路の切り替えパターンにおいて、Uターン型の流路仕様での流路の形成状態を示すイメージ図(ロータリバルブの上面側から見たときの図)である。
【
図24】第3の流路の切り替えパターンにおいて、Uターン型の流路仕様での流路の形成状態を示すイメージ図(ロータリバルブの側面側から見たときの図)である。
【
図25】第3の流路の切り替えパターンにおいて、交差型の流路仕様での流路の形成状態を示すイメージ図(ロータリバルブの上面側から見たときの図)である。
【
図26】第3の流路の切り替えパターンにおいて、交差型の流路仕様での流路の形成状態を示すイメージ図(ロータリバルブの側面側から見たときの図)である。
【
図27】4つの流路口ポートを集約して配置した例を示すイメージ図(ロータリバルブの上面側から見たときの図)である。
【
図28】4つの流路口ポートを集約して配置した例を示すイメージ図(ロータリバルブの側面側から見たときの図)である。
【
図29】ハウジングの流路口ポートとロータリバルブの内部流路とが連通している部分において、ポートシール部材とリップシール部材とポートパイプ部材が設けられていることを示す図である。
【
図30】ハウジングの流路口ポートとロータリバルブの内部流路とが連通していない部分において、ポートシール部材とリップシール部材とポートプラグ部材が設けられていることを示す図である。
【
図31】ロータリバルブの径方向についてポートシール部材と対向する位置または略対向する位置を示す図である。
【
図32】ロータリバルブの径方向についてポートシール部材と対向する位置または略対向する位置に、ストッパ部材とリップシール部材とポートプラグ部材が設けられていることを示す図である。
【
図33】ロータリバルブをその中心軸方向の層ごとに区切るように、リングシール部材を設けることを示す図である。
【
図34】リングシール部材およびその周辺の断面図である。
【
図35】リングシール部材のリップの先端を微少角度傾斜させることを示す図である。
【
図36】リングシール部材のリップの先端を波形状にすることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示の回転弁の実施形態について説明する。
【0019】
<回転弁の全体の概要説明>
まず、本実施形態の回転弁1の全体の概要について説明する。
【0020】
図1と
図2に示すように、回転弁1は、ハウジング11と、ロータリバルブ12と、アクチュエータ13を有する。なお、ロータリバルブ12は、本開示の「弁本体」の一例である。また、ハウジング11とロータリバルブ12は、ともに、樹脂(例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド))により形成されている。
【0021】
ハウジング11は、
図2に示すように、円筒状に形成されている。このハウジング11は、筒状の孔14と、流路口ポート20を備えている。
【0022】
筒状の孔14は、ハウジング11の中心軸L1と一致する中心軸LHを中心に円筒状に形成されている孔であって、ハウジング11にて円筒状に形成される内周面11aの内側に形成されている。
【0023】
流路口ポート20は、円筒状に形成されており、ハウジング11の内周面11aと外周面11bを貫通するように形成されている。流路口ポート20は、ハウジング11とロータリバルブ12により形成される流路の一部を形成するものであって、後述するロータリバルブ12の内部流路30と連通可能である。
【0024】
ここでは、4つの流路口ポート20として、第1流路口ポート21と、第2流路口ポート22と、第3流路口ポート23と、第4流路口ポート24が設けられている。なお、4つの流路口ポート20のうち、2つが流入口ポートとなり、残りの2つが流出口ポートとなる。ここで、流入口ポートは、ロータリバルブ12の内部流路30へ流体を流入する流路口を形成するものである。また、流出口ポートは、ロータリバルブ12の内部流路30から流体を流出する流路口を形成するものである。そして、第1流路口ポート21と第2流路口ポート22と第3流路口ポート23と第4流路口ポート24は、それぞれ、流入口ポートにも、流出口ポートにもなる。
【0025】
そして、この4つの流路口ポート20は、それぞれ、ハウジング11の中心軸方向(すなわち、中心軸L1が形成される方向であり、ロータリバルブ12の中心軸方向でもある)について異なる位置に配置されている。具体的には、ハウジング11の中心軸方向について、上側(アクチュエータ13側、
図1や
図2の上側)から下側(アクチュエータ13とは反対側、
図1や
図2の下側)に向って順に、第1流路口ポート21と、第2流路口ポート22と、第3流路口ポート23と、第4流路口ポート24が設けられている。なお、
図1と
図2に示す例においては、第1流路口ポート21と、第2流路口ポート22と、第3流路口ポート23と、第4流路口ポート24は、ハウジング11の周方向について異なる位相の位置に配置されている。
【0026】
ロータリバルブ12は、
図3に示すように円柱状に形成されており、
図2に示すようにハウジング11の筒状の孔14の内部に収容されている。このロータリバルブ12は、その中心軸L2が筒状の孔14の中心軸LHと一致するようにして、筒状の孔14の内部に配置されている。
【0027】
ロータリバルブ12は、内部流路30を4つ備えている。この内部流路30は、ロータリバルブ12の内部に形成されており、ハウジング11とロータリバルブ12により形成される流路の一部を形成するものである。ここでは、ロータリバルブ12がその中心軸方向について4つの層の領域に区切られたと仮定したときに、4つの内部流路30として、1層目に設けられる第1層の内部流路31と、2層目に設けられる第2層の内部流路32と、3層目に設けられる第3層の内部流路33と、4層目に設けられる第4層の内部流路34が設けられている。
【0028】
このようにして、4つの内部流路30は、それぞれ、ロータリバルブ12の中心軸方向について異なる位置に、すなわち、ロータリバルブ12の中心軸方向について区切られる各層に、配置されている。そして、ロータリバルブ12の中心軸方向について、上側(アクチュエータ13側)から下側(アクチュエータ13とは反対側)に向って順に、第1層の内部流路31と、第2層の内部流路32と、第3層の内部流路33と、第4層の内部流路34が設けられている。
【0029】
アクチュエータ13は、不図示のモータを備えており、ロータリバルブ12をその中心軸L2を中心に回転させる駆動部である。
【0030】
このような構成の回転弁1は、ロータリバルブ12が当該ロータリバルブ12の中心軸L2および筒状の孔14の中心軸LHを中心にして回転して、ハウジング11の4つの流路口ポート20とロータリバルブ12の4つの内部流路30との組み合わせを切り替えることにより、ハウジング11とロータリバルブ12により形成される流路を切り替えることができる。
【0031】
<流路の切り替えパターンに関して>
本実施形態では、ハウジング11の4つの流路口ポート20を、すなわち、2つ流入口ポートおよび2つの流出口ポートを、それぞれ、ハウジング11の中心軸方向(すなわち、ロータリバルブ12の中心軸方向)について異なる位置に配置している。また、ロータリバルブ12の4つの内部流路30を、それぞれ、ロータリバルブ12の中心軸方向について異なる位置に配置している。そして、ロータリバルブ12の内部流路30の仕様を変えることにより、様々な流路の切り替えパターンを実現できるようにしている。
【0032】
流路の切り替えパターンとしては、例えば、以下に示す3つのパターンがある。なお、ここでは、流路の切り替えパターンとして3つのパターンを示すが、流路の切り替えパターンとしてはこの3つのパターン以外のパターンも実現可能である。
【0033】
(第1の流路の切り替えパターン)
まず、第1の流路の切り替えパターンは、ロータリバルブ12を当該ロータリバルブ12の中心軸L2を中心にして回転させることにより、
図4に示すように、並行型の流路仕様とUターン型の流路仕様に切り替えるパターンである。
【0034】
(並行型の流路仕様について)
並行型の流路仕様では、
図4~
図6に示すように、第1流路口ポート21と第2流路口ポート22を連通させる流路と、第3流路口ポート23と第4流路口ポート24を連通させる流路とを形成している。そして、第1流路口ポート21と第3流路口ポート23を流入口ポートとし、第2流路口ポート22と第4流路口ポート24を流出口ポートとしている。なお、
図5と
図6において、内部流路30が流路口ポート20と直接的に連通している部分を実線で示し、内部流路30が流路口ポート20と直接的に連通していない部分を破線で示す。
【0035】
そこで、並行型の流路仕様について、ロータリバルブ12の内部流路30の仕様を含めて、以下に詳しく説明する。
【0036】
図7に示すように、ロータリバルブ12をその中心軸方向について4つの層の領域で区切ったと仮定したときの1層目において、第1流路口ポート21と第1層の内部流路31について、ハウジング11の第1流路口ポート21と、ロータリバルブ12の第1層の内部流路31の第1流路部31Aを直接的に連通させている。これにより、第1流路部31Aは、流れ流路(すなわち、流体の流れが生じる流路)になっている。また、第1層の内部流路31の第2流路部31Bは、第1流路口ポート21と直接的に連通しておらず、閉塞流路(すなわち、流体の流れが生じない流路)になっている。なお、第1流路部31Aは、第1連通路41を介して、第2層の内部流路32の第1流路部32Aと連通している。
【0037】
また、
図8に示すように、ロータリバルブ12をその中心軸方向について4つの層の領域で区切ったと仮定したときの2層目において、第2流路口ポート22と第2層の内部流路32について、ハウジング11の第2流路口ポート22と、ロータリバルブ12の第2層の内部流路32の第1流路部32Aを直接的に連通させている。これにより、第1流路部32Aは、流れ流路になっている。また、第2層の内部流路32の第2流路部32Bは、第2流路口ポート22と直接的に連通しておらず、閉塞流路になっている。なお、第1流路部32Aは、第1連通路41を介して、第1層の内部流路31の第1流路部31Aと連通している。
【0038】
以上のようにして、
図7に示すハウジング11の第1流路口ポート21は、ロータリバルブ12の第1層の内部流路31の第1流路部31Aと、第1連通路41と、第2層の内部流路32の第1流路部32Aを介して、
図8に示す第2流路口ポート22に連通している。そして、第1流路口ポート21を流入口ポートとし、第2流路口ポート22を流出口ポートとすることにより、流体は、第1流路口ポート21から、第1層の内部流路31の第1流路部31Aと、第1連通路41と、第2層の内部流路32の第1流路部32Aを介して、第2流路口ポート22へ流れる。
【0039】
また、
図9に示すように、ロータリバルブ12をその中心軸方向について4つの層の領域で区切ったと仮定したときの3層目において、第3流路口ポート23と第3層の内部流路33について、ハウジング11の第3流路口ポート23と、ロータリバルブ12の第3層の内部流路33の第1流路部33Aを直接的に連通させている。これにより、第1流路部33Aは、流れ流路になっている。また、第3層の内部流路33の第2流路部33Bは、第3流路口ポート23と直接的に連通しておらず、閉塞流路になっている。なお、第1流路部33Aは、第3連通路43を介して、第4層の内部流路34の第1流路部34Aと連通している。
【0040】
また、
図10に示すように、ロータリバルブ12をその中心軸方向について4つの層の領域で区切ったと仮定したときの4層目において、ハウジング11の第4流路口ポート24とロータリバルブ12の第4層の内部流路34について、第4流路口ポート24と、第4層の内部流路34の第1流路部34Aを直接的に連通させている。これにより、第1流路部34Aは、流れ流路になっている。また、第4層の内部流路34の第2流路部34Bは、第4流路口ポート24と直接的に連通しておらず、閉塞流路になっている。なお、第1流路部34Aは、第3連通路43を介して、第3層の内部流路33の第1流路部33Aと連通している。
【0041】
以上のようにして、
図9に示すハウジング11の第3流路口ポート23は、ロータリバルブ12の第3層の内部流路33の第1流路部33Aと、第3連通路43と、第4層の内部流路34の第1流路部34Aを介して、
図10に示す第4流路口ポート24に連通している。そして、第3流路口ポート23を流入口ポートとし、第4流路口ポート24を流出口ポートとすることにより、流体は、第3流路口ポート23から、第3層の内部流路33の第1流路部33Aと、第3連通路43と、第4層の内部流路34の第1流路部34Aを介して、第4流路口ポート24へ流れる。
【0042】
(Uターン型の流路仕様について)
Uターン型の流路仕様では、
図4と
図11と
図12に示すように、第1流路口ポート21と第3流路口ポート23を連通させる流路と、第4流路口ポート24と第2流路口ポート22を連通させる流路が形成されている。そして、第1流路口ポート21と第4流路口ポート24を流入口ポートとし、第3流路口ポート23と第2流路口ポート22を流出口ポートとしている。
【0043】
そこで、Uターン型の流路仕様について、ロータリバルブ12の内部流路30の仕様を含めて、以下に詳しく説明する。
【0044】
図13に示すように、ロータリバルブ12をその中心軸方向について4つの層の領域で区切ったと仮定したときの1層目において、ハウジング11の第1流路口ポート21とロータリバルブ12の第1層の内部流路31について、第1流路口ポート21と、第1層の内部流路31の第2流路部31Bを直接的に連通させている。これにより、第2流路部31Bは、流れ流路になっている。また、第1層の内部流路31の第1流路部31Aは、第1流路口ポート21と直接的に連通しておらず、閉塞流路になっている。なお、第2流路部31Bは、第1連通路41を介して、第3層の内部流路33の第2流路部32Bと連通している。
【0045】
また、
図15に示すように、ロータリバルブ12をその中心軸方向について4つの層の領域で区切ったと仮定したときの3層目において、ハウジング11の第3流路口ポート23とロータリバルブ12の第3層の内部流路33について、第3流路口ポート23と、第3層の内部流路33の第2流路部33Bを直接的に連通させている。これにより、第2流路部33Bは、流れ流路になっている。また、第3層の内部流路33の第1流路部33Aは、第3流路口ポート23と直接的に連通しておらず、閉塞流路になっている。なお、第2流路部33Bは、第1連通路41を介して、第1層の内部流路31の第2流路部31Bと連通している。
【0046】
以上のようにして、
図13に示すハウジング11の第1流路口ポート21は、ロータリバルブ12の第1層の内部流路31の第2流路部31Bと、第1連通路41と、第3層の内部流路33の第2流路部33Bを介して、
図15に示す第3流路口ポート23に連通している。そして、第1流路口ポート21を流入口ポートとし、第3流路口ポート23を流出口ポートとすることにより、流体は、第1流路口ポート21から、第1層の内部流路31の第2流路部31Bと、第1連通路41と、第3層の内部流路33の第2流路部33Bを介して、第3流路口ポート23へ流れる。
【0047】
また、
図16に示すように、ロータリバルブ12をその中心軸方向について4つの層の領域で区切ったと仮定したときの4層目において、ハウジング11の第4流路口ポート24とロータリバルブ12の第4層の内部流路34について、第4流路口ポート24と、第4層の内部流路34の第2流路部34Bを直接的に連通させている。これにより、第2流路部34Bは、流れ流路になっている。また、第4層の内部流路34の第1流路部34Aは、第4流路口ポート24と直接的に連通しておらず、閉塞流路になっている。なお、第2流路部34Bは、第4層の内部流路34の第3流路部34Cおよび第2連通路42を介して、第2層の内部流路32の第2流路部32Bと連通している。
【0048】
また、
図14に示すように、ロータリバルブ12をその中心軸方向について4つの層の領域で区切ったと仮定したときの2層目において、ハウジング11の第2流路口ポート22とロータリバルブ12の第2層の内部流路32について、第2流路口ポート22と、第2層の内部流路32の第2流路部32Bを直接的に連通させている。これにより、第2流路部32Bは、流れ流路になっている。また、第2層の内部流路32の第1流路部32Aは、第2流路口ポート22と直接的に連通しておらず、閉塞流路になっている。なお、第2流路部32Bは、第2連通路42および第4層の内部流路34の第3流路部34Cを介して、第4層の内部流路34の第2流路部34Bと連通している。
【0049】
以上のようにして、
図16に示すハウジング11の第4流路口ポート24は、ロータリバルブ12の第4層の内部流路34の第2流路部34Bと、第3流路部34Cと、第2連通路42と、第2層の内部流路32の第2流路部32Bを介して、
図14に示す第2流路口ポート22に連通している。そして、第4流路口ポート24を流入口ポートとし、第2流路口ポート22を流出口ポートとすることにより、流体は、第4流路口ポート24から、第4層の内部流路34の第2流路部34Bと、第3流路部34Cと、第2連通路42と、第2層の内部流路32の第2流路部32Bを介して、第2流路口ポート22へ流れる。
【0050】
(第2の切り替えパターン)
次に、第2の切り替えパターンは、ロータリバルブ12が当該ロータリバルブ12の中心軸L2を中心にして回転することにより、
図17に示すように、並行型の流路仕様と交差型の流路仕様に切り替えるパターンである。
【0051】
(並行型の流路仕様について)
並行型の流路仕様では、
図17~
図19に示すように、第1流路口ポート21と第2流路口ポート22を連通させる流路と、第3流路口ポート23と第4流路口ポート24を連通させる流路とを形成している。そして、第1流路口ポート21と第3流路口ポート23を流入口ポートとし、第2流路口ポート22と第4流路口ポート24を流出口ポートとしている。
【0052】
このようにして、流体は、ハウジング11の第1流路口ポート21から、ロータリバルブ12の第1層の内部流路31と第1連通路41と第2層の内部流路32を介して、ハウジング11の第2流路口ポート22へ流れる。また、流体は、ハウジング11の第3流路口ポート23から、ロータリバルブ12の第3層の内部流路33と第3連通路43と第4層の内部流路34を介して、ハウジング11の第4流路口ポート24へ流れる。なお、ロータリバルブ12の内部流路30の仕様の詳細については、説明を省略する。
【0053】
(交差型の流路仕様について)
交差型の流路仕様では、
図17と
図20と
図21に示すように、第1流路口ポート21と第4流路口ポート24を連通させる流路と、第3流路口ポート23と第2流路口ポート22を連通させる流路とが形成されている。そして、第1流路口ポート21と第3流路口ポート23を流入口ポートとし、第4流路口ポート24と第2流路口ポート22を流出口ポートとしている。
【0054】
このようにして、流体は、ハウジング11の第1流路口ポート21から、ロータリバルブ12の第1層の内部流路31と第4連通路44と第4層の内部流路34を介して、ハウジング11の第4流路口ポート24へ流れる。また、流体は、ハウジング11の第3流路口ポート23から、ロータリバルブ12の第3層の内部流路33と第2連通路42と第2層の内部流路32を介して、ハウジング11の第2流路口ポート22へ流れる。なお、ロータリバルブ12の内部流路30の仕様の詳細については、説明を省略する。
【0055】
(第3の流路の切り替えパターン)
次に、第3の流路の切り替えパターンは、ロータリバルブ12が当該ロータリバルブ12の中心軸L2を中心にして回転することにより、
図22に示すように、Uターン型の流路仕様と交差型の流路仕様に切り替えるパターンである。
【0056】
(Uターン型の流路仕様について)
Uターン型の流路仕様では、
図22~
図24に示すように、第1流路口ポート21と第3流路口ポート23を連通させる流路と、第4流路口ポート24と第2流路口ポート22を連通させる流路とが形成されている。そして、第1流路口ポート21と第4流路口ポート24を流入口ポートとし、第3流路口ポート23と第2流路口ポート22を流出口ポートとしている。
【0057】
このようにして、流体は、ハウジング11の第1流路口ポート21から、ロータリバルブ12の第1層の内部流路31と第1連通路41と第3層の内部流路33を介して、ハウジング11の第3流路口ポート23へ流れる。また、流体は、ハウジング11の第4流路口ポート24から、ロータリバルブ12の第4層の内部流路34と第3連通路43と第2層の内部流路32を介して、ハウジング11の第2流路口ポート22へ流れる。なお、ロータリバルブ12の内部流路30の仕様の詳細については、説明を省略する。
【0058】
(交差型の流路仕様について)
交差型の流路仕様では、
図22と
図25と
図26に示すように、第1流路口ポート21と第4流路口ポート24を連通させる流路と、第3流路口ポート23と第2流路口ポート22を連通させる流路とが形成されている。そして、第1流路口ポート21と第3流路口ポート23を流入口ポートとし、第4流路口ポート24と第2流路口ポート22を流出口ポートとしている。
【0059】
このようにして、流体は、ハウジング11の第1流路口ポート21から、ロータリバルブ12の第1層の内部流路31と第4連通路44と第4層の内部流路34を介して、ハウジング11の第4流路口ポート24へ流れる。また、流体は、ハウジング11の第3流路口ポート23から、ロータリバルブ12の第3層の内部流路33と第2連通路42と第2層の内部流路32を介して、ハウジング11の第2流路口ポート22へ流れる。なお、ロータリバルブ12の内部流路30の仕様の詳細については、説明を省略する。
【0060】
以上のように、ロータリバルブ12は、ハウジング11とロータリバルブ12により形成される流路の一部を形成する内部流路30を4つ備えている。そして、4つの内部流路30(すなわち、第1層の内部流路31と、第2層の内部流路32と、第3層の内部流路33と、第4層の内部流路34)は、それぞれ、ロータリバルブ12の中心軸方向について異なる位置に配置されている。
【0061】
また、ハウジング11は、ハウジング11とロータリバルブ12により形成される流路の一部を形成するものであって内部流路30と連通する流路口ポート20として、流入口ポートおよび流出口ポートをそれぞれ2つ備えている。そして、2つの流入口ポートおよび2つの流出口ポート(すなわち、第1流路口ポート21と第2流路口ポート22と第3流路口ポート23と第4流路口ポート24のうちの2つずつのポート)は、それぞれ、ロータリバルブ12の中心軸方向について異なる位置に配置されている。
【0062】
このようにして、2つの流入口ポートおよび2つの流出口ポートと、ロータリバルブ12に備わる内部流路30とが、それぞれ、ロータリバルブ12の中心軸方向について異なる位置に配置されるので、内部流路30を介して流入口ポートと流出口ポートとを自在に組み合わせることができる。そのため、流入口ポートおよび流出口ポートの全ての組み合わせで流路の形成が可能となる。したがって、流路の切り替えパターンを多くすることができる。
【0063】
また、ハウジング11の4つの流路口ポート20を、ロータリバルブ12の周方向における所定の範囲内(例えば、半周分の範囲内)に集約して配置することもできる。これにより、4つの流路口ポート20に接続させる外部の配管の取り回しが容易になる。
【0064】
例えば、
図27と
図28に示すように、第1流路口ポート21、第2流路口ポート22、第3流路口ポート23、第4流路口ポート24の位置を、ロータリバルブ12の周方向における所定の範囲内に集約して配置することができる。なお、
図27と
図28に示す例では、ロータリバルブ12の周方向について、第1流路口ポート21と第2流路口ポート22を同じ位相の位置に、第3流路口ポート23と第4流路口ポート24の位置を同じ位相の位置に配置している。
【0065】
なお、第1流路口ポート21、第2流路口ポート22、第3流路口ポート23、第4流路口ポート24を、ハウジング11の中心軸方向(すなわち、ロータリバルブ12の中心軸方向)について、一直線上に配置してもよい。
【0066】
また、本実施形態では、ハウジング11の流路口ポート20とロータリバルブ12の内部流路30が直接的に連通している部分(例えば、
図31において、第1流路口ポート21と第1層の内部流路31の第1流路部31Aが連通している部分X1)に、
図29に示すように、ポートシール部材51とリップシール部材52が、ロータリバルブ12の外周面12aにおける内部流路30の開口部30aの周囲をシール(封止)している。そして、流路口ポート20と連通するようにして繋がる筒状のポートパイプ部材53が、リップシール部材52を介して、ポートシール部材51をロータリバルブ12の外周面12aに押し当てている。なお、ポートシール部材51は本開示の「シール部材」の一例であり、ポートパイプ部材53は本開示の「押し当て部材」の一例である。また、ポートシール部材51とポートパイプ部材53は樹脂により形成され、リップシール部材52はゴムにより形成されている。
【0067】
また、ハウジング11の流路口ポート20とロータリバルブ12の内部流路30が直接的に連通していない部分(例えば、
図31において、第1流路口ポート21と第1層の内部流路31の第2流路部31Bが連通していない部分X2)に、
図30に示すように、ポートシール部材51とリップシール部材52が、ロータリバルブ12の外周面12aおける内部流路30の開口部30aの周囲をシールしている。そして、ハウジング11の外部と閉塞させる蓋状のポートプラグ部材54が、リップシール部材52を介して、ポートシール部材51をロータリバルブ12の外周面12aに押し当てている。なお、ポートプラグ部材54は、本開示の「押し当て部材」の一例である。また、ポートプラグ部材54は、樹脂により形成されている。
【0068】
このように、本実施形態の回転弁1は、ロータリバルブ12の外周面12aおける内部流路30の開口部30aの周囲をシールするポートシール部材51およびリップシール部材52と、ポートシール部材51をロータリバルブ12の外周面12aに押し当てるポートパイプ部材53およびポートプラグ部材54と、を有する。なお、リップシール部材52の代わりに、Oリングとしてもよい。
【0069】
これにより、ポートシール部材51がロータリバルブ12の外周面12aに押し当てられるので、ロータリバルブ12の外周面12aおける内部流路30の開口部30aのシール性を確保できる。
【0070】
また、ポートシール部材51とロータリバルブ12の外周面12aとの摺動範囲がポートシール部材51の位置に限定されて狭いので、ポートシール部材51とロータリバルブ12の外周面12aとの間の摺動抵抗が低減する。そのため、アクチュエータ13に備わる例えばモータについて、駆動力を小さなものにでき、小型化を図ることができる。
【0071】
また、ポートシール部材51の押し当てによりロータリバルブ12の軸ズレ(ロータリバルブ12の中心軸L2が筒状の孔14の中心軸LHからズレること)が生じ、内部流路30の開口部30aにおけるポートシール部材51のシール性が悪化するおそれがある。特に、4つの流路口ポート20を集約して配置した場合に、このようなことが起こり易いと考えられる。
【0072】
そこで、
図31に示すように、ロータリバルブ12の径方向についてポートシール部材51と対向する位置または略対向する位置(
図31におけるY1やY2の部分)に、
図32に示すように、ロータリバルブ12の外周面12aを押圧するストッパ部材55を設けることが考えられる。そして、ハウジング11の外部と閉塞させる蓋状のポートプラグ部材54が、リップシール部材52を介して、ストッパ部材55をロータリバルブ12の外周面12aに押し当てている。なお、ストッパ部材55は、本開示の「押圧部材」の一例である。また、ストッパ部材55は、樹脂により形成されている。
【0073】
このように、回転弁1は、ロータリバルブ12の径方向についてポートシール部材51と対向する位置または略対向する位置に設けられ、ロータリバルブ12の外周面12aを押圧するストッパ部材55を有していてもよい。
【0074】
このようにして、ポートシール部材51がロータリバルブ12の外周面12aに押し当てられることによりロータリバルブ12の軸ズレが生じようとしても、ストッパ部材55により、ロータリバルブ12の軸ズレの発生を抑制できる。そのため、より効果的に、ロータリバルブ12の外周面12aおける内部流路30の開口部30aについて、ポートシール部材51によるシール性を確保できる。
【0075】
なお、ストッパ部材55の数が少ない場合(例えば、ポートシール部材51が2個設けられているのに対して、ストッパ部材55が1個の場合)には、リップシール部材52(または、Oリング)の面圧を大きくして、ストッパ部材55の反発力を増やして対応する。
【0076】
また、
図33に示すように、ロータリバルブ12の中心軸方向についてロータリバルブ12の外周面12aにおける内部流路30の開口部30aが存在する各層を区切るようにシールするリングシール部材56を設けてもよい。このリングシール部材56は、ロータリバルブ12の周方向に環状に形成されるシール部材である。また、リングシール部材56は、ゴムにより形成されている。
【0077】
このリングシール部材56は、
図34に示すように、リップ56aを備えている。
図34に示す例では、リングシール部材56は、そのリップ56aがハウジング11の内周面11aに接するようにして、ロータリバルブ12の外周面12aに取り付けられている。なお、リングシール部材56は、そのリップ56aがロータリバルブ12の外周面12aに接するようにして、ハウジング11の内周面11aに取り付けられていてもよい。
【0078】
これにより、少なくともロータリバルブ12の中心軸方向の両端にある内部流路30の開口部30aについて、個々のポートシール部材51を廃止できる。そのため、ロータリバルブ12の回転時にハウジング11とロータリバルブ12との間に生じる摺動抵抗を低減できる。
【0079】
また、リングシール部材56は、ロータリバルブ12の中心軸L2に垂直な平面PLと交差するように配置されていてもよい。具体的には、例えば、
図35に示すように、リングシール部材56を、平面PLに対して微少角度θ(例えば、1°以下)傾斜させて配置してもよい。あるいは、
図36に示すように、リングシール部材56を波形状にして配置してもよい。
【0080】
これにより、流体が液体である場合に、リングシール部材56の周方向の全体に亘ってリングシール部材56の摺動部(すなわち、リップ56aとハウジング11の内周面11aまたはロータリバルブ12の外周面12aとが摺動する部分)に液膜が形成され易くなる。そのため、潤滑効果によりロータリバルブ12やハウジング11の耐摩耗性を向上させることができる。
【0081】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本開示を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。
【0082】
例えば、ロータリバルブ12は、内部流路30を複数備えていればよく、内部流路30を4つ備えていることに限定されない。また、ハウジング11は、流入口ポートおよび流出口ポートをそれぞれ複数備えていればよく、流入口ポートおよび流出口ポートをそれぞれ2つ備えていることに限定されない。
【符号の説明】
【0083】
1 回転弁
11 ハウジング
12 ロータリバルブ
13 アクチュエータ
14 筒状の孔
20 流路口ポート
21 第1流路口ポート
22 第2流路口ポート
23 第3流路口ポート
24 第4流路口ポート
30 内部流路
30a 開口部
31 第1層の内部流路
32 第2層の内部流路
33 第3層の内部流路
34 第4層の内部流路
51 ポートシール部材
53 ポートパイプ部材
54 ポートプラグ部材
55 ストッパ部材
56 リングシール部材
56a リップ
L1 (ハウジングの)中心軸
L2(ロータリバルブの)中心軸
LH(筒状の孔の)中心軸
PL 平面