(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041413
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】運転者サポートシステム、運転者支援方法、および運転者支援プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/0245 20060101AFI20240319BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
A61B5/0245 C
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146229
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】酒井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】光澤 茂信
(72)【発明者】
【氏名】新川 智
(72)【発明者】
【氏名】今井 友裕
(72)【発明者】
【氏名】中村 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】小野 浩
【テーマコード(参考)】
4C017
5H181
【Fターム(参考)】
4C017AA02
4C017AA08
4C017AA09
4C017AA20
4C017AB02
4C017BB01
4C017BB12
4C017BC11
4C017BC23
4C017BD04
4C017BD06
4C017CC01
4C017DD14
4C017FF05
5H181AA01
5H181AA21
5H181BB04
5H181CC04
5H181CC27
5H181FF04
5H181FF10
5H181LL01
5H181LL04
5H181LL06
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】移動体の運転者の健康状態を適切に判断して、安全運転のための適切なサポートを運転者に提供する。
【解決手段】運転者サポートシステムは、対象者の心拍数を取得する取得部と、対象者の心拍数に基づいて対象者の健康状態を評価する評価部と、対象者が運転者として乗り込む移動体の動作設定を行う設定部と、を備え、評価部は、対象者の平常時の心拍数である平時心拍数と、移動体に到着したときの対象者の心拍数である運転前心拍数と、に基づいて、対象者の健康状態を評価し、設定部は、対象者が運転者として移動体に乗り込んだときに、評価部における対象者の健康状態についての評価結果に基づいて移動体の動作設定を行う。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の心拍数を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記対象者の心拍数に基づいて前記対象者の健康状態を評価する評価部と、
前記対象者が運転者として乗り込む移動体の動作設定を行う設定部と、
を備え、
前記評価部は、前記対象者の平常時の心拍数である平時心拍数と、前記移動体に到着したときの前記対象者の心拍数である運転前心拍数と、に基づいて、前記対象者の健康状態を評価し、
前記設定部は、前記対象者が運転者として前記移動体に乗り込んだときに、前記評価部における前記対象者の健康状態についての評価結果に基づいて前記移動体の動作設定を行う、
運転者サポートシステム。
【請求項2】
前記評価部は、前記運転前心拍数から前記平時心拍数を減算して得られる心拍数差が所定の閾値未満であるときは、前記対象者の健康状態を良好と判断し、前記心拍数差が所定の閾値以上であるときは、前記対象者の健康状態を不良と判断する、
請求項1に記載の運転者サポートシステム。
【請求項3】
前記取得部は、前記移動体へ接近する際の前記対象者の移動運動に係る運動データを取得し、
前記評価部は、前記心拍数差が所定の閾値以上であっても、前記運動データに基づき、前記対象者が自身の脚を使った脚移動により所定の閾値速度以上の速度で前記移動体へ接近したと判断される場合には、前記対象者の健康状態を良好と判断する、
請求項2に記載の運転者サポートシステム。
【請求項4】
前記評価部は、前記心拍数差が所定の閾値以上であって、前記対象者が脚移動により所定の閾値速度以上の速度で前記移動体へ接近したと判断される場合であっても、前記移動体の運転開始から所定の時間が経過するまでの間に、前記対象者の心拍数が所定の範囲内まで減少しないときは、前記対象者の健康状態を不良と判断する、
請求項3に記載の運転者サポートシステム。
【請求項5】
前記設定部は、前記評価部において前記対象者の健康状態が良好であると判断されたときは、前記移動体の動作設定に、予め定められた第1設定を適用し、前記評価部において前記対象者の健康状態が不良であると判断されたときは、前記移動体の動作設定に、前記第1設定と異なる、予め定められた第2設定を適用する、
請求項2に記載の運転者サポートシステム。
【請求項6】
前記移動体に乗り込んだ前記対象者に通知を行う通知部を備え、
前記通知部は、前記評価部が前記対象者の健康状態を不良と判断したときは、前記移動体の運転者である前記対象者に、運転支援のための通知である第1通知を行う、
請求項2に記載の運転者サポートシステム。
【請求項7】
前記通知部は、前記心拍数差が所定の閾値以上であって、前記移動体の運転開始から所定の時間が経過するまでの間に、前記対象者の心拍数が所定の範囲内まで減少しないときは、前記対象者に対し健康状態についての通知である第2通知を行う、
請求項6に記載の運転者サポートシステム。
【請求項8】
前記移動体の現在位置の位置情報を前記移動体の外部のサーバへ送信する情報送信部を備え、
前記情報送信部は、前記心拍数差が所定の閾値以上であって、前記移動体の運転開始から所定の時間が経過するまでの間に、前記対象者の心拍数が所定の範囲内まで減少しないときは、前記移動体の前記位置情報を所定の時間間隔で前記サーバへ送信する、
請求項2に記載の運転者サポートシステム。
【請求項9】
前記取得部は、前記対象者の身体に装着されたウェアラブル端末から、前記対象者の前記心拍数を取得する、
請求項1に記載の運転者サポートシステム。
【請求項10】
前記取得部は、前記移動体のドアハンドルに設けられた心拍センサから、前記ドアハンドルを握ったときの前記対象者の心拍数を取得し、
前記評価部は、前記取得部が前記ドアハンドルに設けられた前記心拍センサから取得した心拍数を、前記対象者の前記運転前心拍数とする、
請求項1ないし9のいずれか一項に記載の運転者サポートシステム。
【請求項11】
前記設定部は、前記評価部が、前記ドアハンドルに設けられた前記心拍センサから取得した心拍数を前記運転前心拍数として用いて前記対象者の健康状態を不良と判断したときは、前記移動体の機能の一部を制限する、
請求項10に記載の運転者サポートシステム。
【請求項12】
コンピュータが実行する運転者支援方法であって、
対象者の心拍数を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得した前記対象者の心拍数に基づいて前記対象者の健康状態を評価する評価ステップと、
前記対象者が運転者として乗り込む移動体の動作設定を行う設定ステップと、
を有し、
前記評価ステップでは、前記対象者の平常時の心拍数である平時心拍数と、前記移動体に到着したときの前記対象者の心拍数である運転前心拍数と、に基づいて、前記対象者の健康状態を評価し、
前記設定ステップでは、前記対象者が運転者として前記移動体に乗り込んだときに、前記評価ステップにおける前記対象者の健康状態についての評価結果に基づいて前記移動体の動作設定を行う、
運転者支援方法。
【請求項13】
運転者サポートシステムのコンピュータを、
対象者の心拍数を取得する取得部、
前記取得部が取得した前記対象者の心拍数に基づいて前記対象者の健康状態を評価する評価部、および、
前記対象者が運転者として乗り込む移動体の動作設定を行う設定部、
として機能させる運転者支援プログラムであって、
前記評価部は、前記対象者の平常時の心拍数である平時心拍数と、前記移動体に到着したときの前記対象者の心拍数である運転前心拍数と、に基づいて、前記対象者の健康状態を評価し、
前記設定部は、前記対象者が運転者として前記移動体に乗り込んだときに、前記評価部における前記対象者の健康状態についての評価結果に基づいて前記移動体の動作設定を行う、
運転者支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転者サポートシステム、運転者支援方法、および運転者支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、着座者の心電位を安定して検出可能な静電容量式センサを備える車両用シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人の健康状態を診断する場合、人の活動が比較的安定している着座状態での生体データのみでは適切に診断を行えない場合があり得る。
【0005】
本発明の目的は、移動体の運転者の健康状態を適切に判断して、安全運転のための適切なサポートを運転者に提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様は、対象者の心拍数を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記対象者の心拍数に基づいて前記対象者の健康状態を評価する評価部と、前記対象者が運転者として乗り込む移動体の動作設定を行う設定部と、を備え、前記評価部は、前記対象者の平常時の心拍数である平時心拍数と、前記移動体に到着したときの前記対象者の心拍数である運転前心拍数と、に基づいて、前記対象者の健康状態を評価し、前記設定部は、前記対象者が運転者として前記移動体に乗り込んだときに、前記評価部における前記対象者の健康状態についての評価結果に基づいて前記移動体の動作設定を行う、運転者サポートシステムである。
本発明の他の態様によると、前記評価部は、前記運転前心拍数から前記平時心拍数を減算して得られる心拍数差が所定の閾値未満であるときは、前記対象者の健康状態を良好と判断し、前記心拍数差が所定の閾値以上であるときは、前記対象者の健康状態を不良と判断する。
本発明の他の態様によると、前記取得部は、前記移動体へ接近する際の前記対象者の移動運動に係る運動データを取得し、前記評価部は、前記心拍数差が所定の閾値以上であっても、前記運動データに基づき、前記対象者が自身の脚を使った脚移動により所定の閾値速度以上の速度で前記移動体へ接近したと判断される場合には、前記対象者の健康状態を良好と判断する。
本発明の他の態様によると、前記評価部は、前記心拍数差が所定の閾値以上であって、前記対象者が脚移動により所定の閾値速度以上の速度で前記移動体へ接近したと判断される場合であっても、前記移動体の運転開始から所定の時間が経過するまでの間に、前記対象者の心拍数が所定の範囲内まで減少しないときは、前記対象者の健康状態を不良と判断する。
本発明の他の態様によると、前記設定部は、前記評価部において前記対象者の健康状態が良好であると判断されたときは、前記移動体の動作設定に、予め定められた第1設定を適用し、前記評価部において前記対象者の健康状態が不良であると判断されたときは、前記移動体の動作設定に、前記第1設定と異なる、予め定められた第2設定を適用する。
本発明の他の態様によると、前記移動体に乗り込んだ前記対象者に通知を行う通知部を備え、前記通知部は、前記評価部が前記対象者の健康状態を不良と判断したときは、前記移動体の運転者である前記対象者に、運転支援のための通知である第1通知を行う。
本発明の他の態様によると、前記通知部は、前記心拍数差が所定の閾値以上であって、前記移動体の運転開始から所定の時間が経過するまでの間に、前記対象者の心拍数が所定の範囲内まで減少しないときは、前記対象者に対し健康状態についての通知である第2通知を行う。
本発明の他の態様によると、前記移動体の現在位置の位置情報を前記移動体の外部のサーバへ送信する情報送信部を備え、前記情報送信部は、前記心拍数差が所定の閾値以上であって、前記移動体の運転開始から所定の時間が経過するまでの間に、前記対象者の心拍数が所定の範囲内まで減少しないときは、前記移動体の前記位置情報を所定の時間間隔で前記サーバへ送信する。
本発明の他の態様によると、前記取得部は、前記対象者の身体に装着されたウェアラブル端末から、前記対象者の前記心拍数を取得する。
本発明の他の態様によると、前記取得部は、前記移動体のドアハンドルに設けられた心拍センサから、前記ドアハンドルを握ったときの前記対象者の心拍数を取得し、前記評価部は、前記取得部が前記ドアハンドルに設けられた前記心拍センサから取得した心拍数を、前記対象者の前記運転前心拍数とする。
本発明の他の態様によると、前記設定部は、前記評価部が、前記ドアハンドルに設けられた前記心拍センサから取得した心拍数を前記運転前心拍数として用いて前記対象者の健康状態を不良と判断したときは、前記移動体の機能の一部を制限する。
本発明の他の態様は、コンピュータが実行する運転者支援方法であって、対象者の心拍数を取得する取得ステップと、前記取得ステップにおいて取得した前記対象者の心拍数に基づいて前記対象者の健康状態を評価する評価ステップと、前記対象者が運転者として乗り込む移動体の動作設定を行う設定ステップと、を有し、前記評価ステップでは、前記対象者の平常時の心拍数である平時心拍数と、前記移動体に到着したときの前記対象者の心拍数である運転前心拍数と、に基づいて、前記対象者の健康状態を評価し、前記設定ステップでは、前記対象者が運転者として前記移動体に乗り込んだときに、前記評価ステップにおける前記対象者の健康状態についての評価結果に基づいて前記移動体の動作設定を行う、運転者支援方法である。
本発明の他の態様は、運転者サポートシステムのコンピュータを、対象者の心拍数を取得する取得部、前記取得部が取得した前記対象者の心拍数に基づいて前記対象者の健康状態を評価する評価部、および、前記対象者が運転者として乗り込む移動体の動作設定を行う設定部、として機能させる運転者支援プログラムであって、前記評価部は、前記対象者の平常時の心拍数である平時心拍数と、前記移動体に到着したときの前記対象者の心拍数である運転前心拍数と、に基づいて、前記対象者の健康状態を評価し、前記設定部は、前記対象者が運転者として前記移動体に乗り込んだときに、前記評価部における前記対象者の健康状態についての評価結果に基づいて前記移動体の動作設定を行う、運転者支援プログラムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、移動体の運転者の健康状態を適切に判断して、安全運転のための適切なサポートを運転者に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る運転者サポートシステムの構成を示す図である。
【
図2】
図2は、運転者サポートシステムを構成する支援装置を搭載した車両の、車室内から視た構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、運転者サポートシステムを構成する携帯端末の構成を示す図である。
【
図4】
図4は、運転者サポートシステムを構成する支援装置の構成を示す図である。
【
図5】
図5は、運転者サポートシステムが実行する運転者支援方法の処理の手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態]
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る運転者サポートシステム1の構成を、その利用シーンの一例と共に説明するための図である。運転者サポートシステム1は、移動体である車両2に対象者Pが乗り込む際に、対象者Pの健康状態を評価する。
【0010】
運転者サポートシステム1は、対象者Pが利用するウェアラブル端末3および携帯端末4と、対象者Pが運転者として利用する車両2に搭載された支援装置5とを含む。ウェアラブル端末3と携帯端末4、および携帯端末4と支援装置5とは、Bluetooth(登録商標)等の近距離通信により通信可能に接続される。また、携帯端末4及び支援装置5は、インターネット等の通信ネットワーク10を介して、車両2の外部のサーバ11と通信可能に接続されている。また、車両2は、車両2のドアロック動作の制御や、走行動作の制御を行う車両制御装置6を備える。車両制御装置6は、例えば、走行動作の制御として、前車追従走行や自動ブレーキ等のADAS(先進運転支援システム)機能を実現する。車両制御装置6は、本開示における、運転者サポートシステム1が車両2の動作設定を行う車載装置の一例である。
【0011】
携帯端末4は、例えば、スマートフォンであり、カメラ、加速度センサ、及び又はGNSS(Global Navigation Satellite System)センサ等を備える。ウェアラブル端末3は、例えば腕時計型の端末装置であり、従来技術に従い、脈波センサ、心拍センサ、血圧センサ、加速度センサ、及び又はGNSSセンサ等の種々のセンサを備えて、対象者Pの生体データを計測し、計測した生体データを、携帯端末4へ送信する。
【0012】
図2は、車室内から視た車両2の構成の一例を示す図である。運転席20の前方のインストルメントパネル21には、車幅方向のほぼ中央に、AV(Audio-Visual)装置22と、室内カメラ24と、が配されている。AV装置22は、例えばディスプレイ・オーディオであり、第1タッチパネル23に画像や映像(以下、単に画像という)を表示すると共に、第1タッチパネル23に対するタッチ操作により入力される情報を取得する。また、AV装置22は、インストルメントパネル21の運転席側の部分に設けられたスピーカ25及びマイク26により、音声を出力し及び音声入力を受信する。室内カメラ24は、例えばDMC(Driver Monitoring Camera)であり、運転者の画像を含む車室内の画像を撮像する。
【0013】
また、車両2は、運転席20側のドアミラー27に設けられた外部カメラ28を備える。外部カメラ28は、車両2の右側外部の周囲環境の画像を撮像する。例えば、外部カメラ28は、車両2の右側外部から運転席20側の車両ドア(不図示)に接近する人物の画像を撮像する。なお、外部カメラ28は、一つに限らず、車両2の車体に分布して配された複数のカメラで構成されて、車両2の周囲環境の全体または一部を撮像してもよい。
【0014】
車両2には、また、ステアリングハンドル29に第2心拍センサ30が設けられていてもよく、運転席20に人の着座を検知する着座センサ31が設けられていてもよい。
【0015】
なお、
図1において、複数の対象者Pの表示は、様々な活動場面における同一の対象者Pを示しているものと理解されたい。ウェアラブル端末3は、常に又は1日のうちほとんどの時間帯において対象者Pの腕に装着され、自宅Hにおける就寝、食事等のほか、運動(例えば、散歩、ランニング、ジムでの身体トレーニング)、買い物、通勤等々の様々な日常活動における対象者Pの生体データを、例えば所定の時間間隔で、継続的に又は時間的に連続して計測する。ウェアラブル端末3は、計測した生体データを携帯端末4へ送信し、携帯端末4は、これを受信して取得する。
【0016】
そして、携帯端末4は、ウェアラブル端末3から受信した日常活動における対象者Pの生体データから、対象者Pの平常時における心拍数である平時心拍数を算出して記憶する。例えば、携帯端末4は、直近の所定日数(例えば、1か月)における上記生体データの心拍数に基づき、上記所定日数毎に平時心拍数を算出して記憶する。
【0017】
本実施形態では、特に、携帯端末4は、上記平時心拍数と、運転者として乗り込むため車両2に到着したときの対象者Pの心拍数である運転前心拍数と、に基づいて、対象者Pの健康状態を評価する。そして、携帯端末4は、対象者Pが運転者として車両2に乗り込む際に、対象者Pの健康状態についての上記評価の結果に基づいて、支援装置5に指示して車両2の動作設定を行う。
【0018】
例えば、携帯端末4は、運転前心拍数から平時心拍数を減算して得られる心拍数差が所定の閾値未満であるときは、対象者Pの健康状態を良好と判断し、上記心拍数差が所定の閾値以上であるときは、対象者Pの健康状態を不良と判断する。
【0019】
本実施形態では、特に、携帯端末4は、車両2に到着するまでの間の対象者Pの運動状態に起因した正常な心拍数の上昇(例えば、走って来た場合の心拍上昇)を、健康不良の兆候として取り扱わないようにするために、車両2へ接近する際の対象者Pの移動運動に係る運動データを考慮する。
【0020】
すなわち、携帯端末4は、例えば携帯端末4の位置の変化速度や歩数カウントの変化速度等を運動データとして用いて、心拍数差が所定の閾値以上であっても、上記運動データに基づき対象者Pが自身の脚を使った脚移動により所定の閾値速度以上の速度で車両2へ接近したと判断される場合には、対象者Pの健康状態を良好と判断する。
【0021】
ただし、車両2の運転を開始した後も対象者Pの心拍数が平時心拍数近くまで戻らない場合には、健康状態は不良と考えられる。このため、携帯端末4は、上記のように運動データを勘案して対象者Pの健康状態を良好と判断した場合であっても、車両2の運転開始から所定の時間が経過するまでの間に対象者Pの心拍数が所定の範囲内まで減少しないときは、対象者Pの健康状態を不良と判断する。
【0022】
そして、携帯端末4は、対象者Pが運転者として車両2に乗り込んだときに、車両2の支援装置5と協働して、対象者Pの健康状態についての評価結果(例えば、健康状態が良好か不良かについての判断の結果)に基づき、車両2の動作設定を行う。
具体的には、携帯端末4と支援装置5は、対象者の健康状態が良好であると判断されるときは、車両2の動作設定を予め定めた第1設定とし、対象者Pの健康状態が不良であると判断されたときは、車両2の動作設定を、第1設定と異なる、予め定めた第2設定に変更する。例えば、第2設定は、第1設定と比較して、より安全に配慮した安全設定であるものとすることができる。具体的には、例えば、携帯端末4と協働する支援装置5は、車両2が備える車両制御装置6が実行する前車追従走行における車間距離の設定を、第2設定においては第1設定よりも長く設定する。あるいは、支援装置5は、車両2が備える車両制御装置6が実行する自動ブレーキの開始条件を、第2設定においては第1設定よりも早く減速が開始されるように設定する。
【0023】
ここで、携帯端末4は、車両2外面のドアハンドル7に設けられた第1心拍センサ9から取得される心拍数を、運転前心拍数として用いることができる。携帯端末4は、第1心拍センサ9から得られた心拍数を運転前心拍数として用いて、対象者Pの健康状態を不良と判断したときは、支援装置5と連携し、車両制御装置6に指示して、車両2の機能の一部を制限するものとする。例えば、携帯端末4は、車両2のドアロックの解錠動作を禁止したり、車両2の電源オンを禁止して、対象者Pが車両2の運転を行うのを防止し得る。
【0024】
また、携帯端末4は、対象者Pの健康状態が不良であると判断したときは、対象者に対し運転支援のための通知である第1通知を行う。この第1通知は、例えば、「息が上がっています。一呼吸置いてから運転してください。」のような、運転者である対象者Pへの注意喚起の通知もしくは状態回復へのアドバイスの通知等であり得る。携帯端末4は、例えば、携帯端末4が備えるタッチパネルやスピーカ等により、又は車両2の支援装置5に指示して車載の第1タッチパネル23及び又はスピーカ25から、テキストメッセージ及び又は音声メッセージを出力することで、上記通知を行い得る。
【0025】
これにより、運転者サポートシステム1では、健康状態が良好でない場合に、対象者Pに対し車両2の運転について適切なアドバイスを行うことができる。
【0026】
携帯端末4は、上述した心拍数差が所定の閾値以上であって、車両2の運転開始から所定の時間が経過するまでの間に、対象者Pの心拍数が所定の範囲内まで減少しないときは、対象者Pに対し健康状態についての通知である第2通知を行う。この第2通知は、例えば、「心拍数が高い状態のままです。注意してください。」等の、現在の健康状態についての告知及び注意喚起の通知であり得る。
【0027】
また、上記のように心拍数差が所定の閾値以上であって、車両2の運転開始から所定の時間が経過するまでの間に、対象者Pの心拍数が所定の範囲内まで減少しないときは、携帯端末4は、支援装置5に指示にして、車両2の現在位置の位置情報をサーバ11へ送信する。これにより、運転者サポートシステム1では、対象者の家族や知人等の関係者Rは、自身の携帯端末12によりサーバ11へアクセスして、対象者Pの動向を見守ることができる。
なお、支援装置5に指示して車両2の位置情報をサーバ11へ送信することに代えて、携帯端末4は、支援装置5から車両2の位置情報を所定の時間間隔で受信してサーバ11へ送信するものとしてもよい。
【0028】
以下、携帯端末4および支援装置5の構成について説明する。
図3は、運転者サポートシステム1を構成する携帯端末4の構成を示す図である。
携帯端末4は、例えば、スマートフォンである。携帯端末4は、第1プロセッサ40と、第1メモリ41と、第1通信器42と、第2タッチパネル43と、第1GNSSセンサ44と、加速度センサ45と、を備える。加速度センサ45は、例えば9軸加速度センサである。
【0029】
第1メモリ41は、揮発性及び又は不揮発性の半導体メモリで構成され得る。第1通信器42は、携帯端末4が、ウェアラブル端末3、支援装置5、および又はサーバ11と通信するための送受信機である。例えば、第1通信器42は、ウェアラブル端末3および車両2の支援装置5との間でBluetooth(登録商標)通信規格に準拠した近距離通信を行うための近距離通信器と、通信ネットワーク10を介してサーバ11と通信するための遠距離通信器と、を含み得る。
【0030】
第1プロセッサ40は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等を備えるコンピュータである。第1プロセッサ40は、プログラムが書き込まれたROM(Read Only Memory)、データの一時記憶のためのRAM(Random Access Memory)等を有する構成であってもよい。そして、第1プロセッサ40は、機能要素又は機能ユニットとして、到着検知部50と、取得部51と、評価部52と、設定部53と、通知部54と、情報送信部55と、を備える。
【0031】
第1プロセッサ40が備えるこれらの機能要素は、例えば、コンピュータである第1プロセッサ40が第1メモリ41に記憶された第1プログラム59を実行することにより実現される。第1プログラム59は、コンピュータ読み取り可能な任意の記憶媒体に記憶させておくことができる。なお、これに代えて、第1プロセッサ40が備える上記機能要素の全部又は一部を、それぞれ一つ以上の電子回路部品を含むハードウェアにより構成してもよい。ここで、第1プログラム59は、支援装置5が実行する第2プログラム79と共に、本開示における運転者支援プログラムを構成する。
【0032】
到着検知部50は、対象者Pが車両2に到着したことを検知する。対象者Pが車両に到着したか否かは、第1GNSSセンサ44から得られる位置情報と車両2の位置情報とに基づいて、判断され得る。車両2の位置情報は、携帯端末4が第1通信器42を介して車両2の支援装置5との間で確立するBluetooth通信を介して、支援装置5から取得され得る。これに代えて、到着検知部50は、支援装置5との間で確立されたBluetooth通信の受信電波強度から、携帯端末4と車両2との間の距離を算出し、当該算出した距離が所定距離以内(例えば、1m以内)であれば、対象者Pが車両2に到着したものと判断してもよい。あるいは、到着検知部50は、対象者Pが、車両2のドアハンドル7に設けられたタッチセンサ8に触れたときに、対象者Pが車両2に到着したと判断してもよい。タッチセンサ8への接触があったか否かの情報は、Bluetooth通信を介して支援装置5から取得されるものとすることができる。
【0033】
取得部51は、対象者Pの心拍数を取得する。例えば、取得部51は、対象者Pが身に着けているウェアラブル端末3から、対象者Pの心拍数を取得する。また、取得部51は、対象者Pの平常時の心拍数である平時心拍数を取得する。例えば、取得部51は、ウェアラブル端末3から得られた日中における対象者Pの心拍数の度数分布を算出し、最も頻度の高い心拍数を平時心拍数として取得することができる。あるいは、取得部51は、ウェアラブル端末3から得られた対象者Pの心拍数の平均値や、ウェアラブル端末3から得られた心拍数のうち、対象者Pが自宅を出る前の心拍数(例えば、出発前の所定時間内における心拍数の平均値)を、平時心拍数として算出して取得してもよい。なお、対象者Pが自宅を出た時刻は、例えば、第1GNSSセンサ44から所定時間間隔で取得される位置情報に基づき、対象者Pが自宅位置を離れた時刻から特定されるものとすることができる。
【0034】
取得部51は、また、対象者Pが車両2のドアハンドル7を握ったときに、支援装置5を介して、ドアハンドル7に設けられた第1心拍センサ9が検知した対象者Pの心拍数を取得してもよい。
【0035】
取得部51は、さらに、車両2へ接近する際の対象者Pの移動運動に係る運動データを取得する。運動データは、少なくとも、対象者が自身の脚を使って移動しているか否かの情報、および対象者Pの移動速度の情報を含む。例えば、取得部51は、加速度センサ45から得られる加速度の時間変化に基づき、従来技術に従って歩数をカウントし、歩数がカウントアップされているときは、対象者が自身の脚を使って移動していると判断し得る。また、取得部51は、例えば、第1GNSSセンサ44から所定時間間隔で取得される位置情報に基づいて、対象者Pの移動速度を算出し得る。これに代えて、取得部51は、上記歩数のカウントの速度(例えば、1秒あたりのカウント数)と、人の(例えば、大人の)平均的な歩幅とに基づいて、対象者Pの移動速度を算出してもよい。
【0036】
評価部52は、取得部51が取得した対象者Pの心拍数に基づいて、対象者Pの健康状態を評価する。本実施形態では、特に、評価部52は、対象者Pの平時心拍数と、車両2に到着したときの対象者Pの心拍数である運転前心拍数と、に基づいて、対象者Pの健康状態を評価する。評価部52は、到着検知部50が、対象者Pの車両2への到着を検知したときに取得部51が取得した対象者Pの心拍数を、運転前心拍数とすることができる。あるいは、評価部52は、取得部51がドアハンドル7に設けられた第1心拍センサ9から取得した心拍数を、運転前心拍数として用いてもよい。
【0037】
評価部52は、例えば、運転前心拍数と平時心拍数との差である心拍数差が所定の閾値未満であるときは、対象者Pの健康状態を良好と判断し、心拍数差が所定の閾値以上であるときは、対象者Pの健康状態を不良と判断する。
【0038】
ただし、車両2に到着するまでの間の対象者Pの運動状態に起因した正常な心拍数の上昇(例えば、走って来た場合の心拍上昇)を、健康不良の兆候として取り扱わないようにするため、評価部52は、心拍数差が所定の閾値以上であるときは、車両2へ接近する際の対象者Pの移動運動に係る運動データを考慮して、対象者Pの健康状態を判断する。
【0039】
具体的には、評価部52は、心拍数差が所定の閾値以上であっても、取得部51が取得した運動データに基づき、対象者Pが自身の脚を使った脚移動により所定の閾値速度以上の速度で車両2へ接近したと判断される場合には、対象者Pの健康状態を良好と判断する。
【0040】
この場合、対象者Pの実際の健康状態が不良であった場合には、車両2の運転を開始した後も対象者Pの心拍数が平時心拍数近くまで戻らず、平常時よりも高くなった運転前心拍数を維持し続けてしまうことがあり得る。このため、評価部52は、心拍数差が所定の閾値以上であって、対象者Pが脚移動により所定の閾値速度以上の速度で車両2へ接近したと判断される場合であっても、車両2の運転開始から所定の時間が経過するまでの間に、運転中の心拍数が所定の範囲内(例えば、平時心拍数の1.1倍以下の範囲内)まで減少しないときは、対象者Pの健康状態を不良と判断する。ここで、評価部52は、支援装置5から車両2が走行を開始したか否かについての情報(例えば、車速が所定速度以上となったか否かの情報)を取得するものとし、車両2が走行を開始したときに、対象者Pが運転を開始したものと判断することができる。
【0041】
設定部53は、対象者Pが運転者として乗り込む車両2の動作設定を行う。本実施形態では、特に、設定部53は、対象者Pが運転者として車両2に乗り込んだときに、評価部52における対象者Pの健康状態についての評価結果(例えば、健康状態が良好か不良かについての上記判断の結果)に基づき、支援装置5と協働して車両2の動作設定を行う。
【0042】
具体的には、設定部53は、評価部52において対象者Pの健康状態が良好であると判断されたときは、支援装置5に指示して車両2の動作設定に、予め定められた第1設定を適用する。また、設定部53は、評価部52において対象者Pの健康状態が不良であると判断されたときは、支援装置5に指示して、車両2の動作設定に、第1設定と異なる、予め定められた第2設定を適用する。上述したように、第2設定は、例えば、第1設定と比較して、より安全に配慮した安全設定であるものとすることができる。これにより、対象者Pの運転開始時の健康状態に応じて車両2の動作設定を切り替えて、安全運転のための適切なサポートを対象者Pに提供することができる。
【0043】
ここで、第1設定および第2設定の具体的な内容は、車両2が備える車両機能に応じて、支援装置5において予め定めておくものとすることができる。上述したように、本実施形態では、一例として、支援装置5は、車両2が備える車両制御装置6が実行する前車追従走行における車間距離の設定を、第2設定においては第1設定よりも長く設定する。また、支援装置5は、車両2が備える車両制御装置6が実行する自動ブレーキの開始条件を、第2設定においては第1設定よりも早く減速が開始されるように設定する。
【0044】
設定部53は、また、評価部52が、ドアハンドル7に設けられた第1心拍センサ9から取得した心拍数を運転前心拍数として用いて対象者Pの健康状態を不良と判断したときは、支援装置5と連携して、車両制御装置6により、車両2の機能の一部を制限する。上述したように、例えば、携帯端末4は、支援装置5を介して、車両制御装置6に車両2のドアロックの解錠動作を禁止させたり、車両2の電源オンを禁止させて、対象者Pが車両2の運転を行うのを防止し得る。あるいは、設定部53は、支援装置5を介して、車両制御装置6が実行するADAS機能に制限を設ける。この制限は、例えば、車両制御装置6が実行する前車追従走行における車間距離の下限値を、デフォルトの下限値よりも大きな値に制限すること、及び又は、車両制御装置6が実行する自動ブレーキの開始条件を、デフォルト設定よりも早く減速が開始されるように制限すること、であり得る。
これにより、健康状態が不良な対象者Pが車両2に乗車するに車両2の動作に制限を加えて、事故の未然防止や、危険走行の回避を図ることができる。
【0045】
通知部54は、車両2に乗り込んだ対象者Pに通知を行う。本実施形態では、特に、通知部54は、評価部52が対象者Pの健康状態を不良と判断したときに、車両2の運転者である対象者Pに、運転支援のための通知である第1通知を行う。この第1通知は、例えば、「息が上がっています。一呼吸置いてから運転してください。」のような、運転者である対象者Pへの注意喚起の通知もしくは状態回復へのアドバイスの通知であり得る。あるいは、第1通知は、積極的な休憩をとるように促す通知や、過去に交通事故が発生した位置を車両2通過しようとする際に、交通事故発生ポイントであること告知するための通知であり得る。
【0046】
これにより、運転者サポートシステム1では、例えば、健康状態が良好でない場合に限って当該健康状態についての通知が行われるので、健康状態についての不要な通知により、対象者Pを煩わせてしまうのを避けることができる。また、運転者サポートシステム1によれば、例えば、健康状態が良好でない場合に、対象者Pに対して通知を行うことで、その対象者Pは、自身の健康状態を適切なタイミングで客観的に把握することができる。このため、運転者サポートシステム1によれば、対象者Pに対し、車両2の運転を開始することについて適切な判断を促す等の、納得性の高い支援やアドバイスを行うことができる。
【0047】
通知部54は、また、評価部52が算出した上述の心拍数差が所定の閾値以上であって、車両2の運転開始から所定の時間が経過するまでの間に、対象者Pの心拍数が所定の範囲内(例えば、平時心拍数の1.1倍以下の範囲内)まで減少しないときは、対象者Pに対し健康状態についての通知である第2通知を行う。上述したように、第2通知は、例えば、「心拍数が高い状態のままです。注意してください。」等の、現在の健康状態についての告知及び注意喚起の通知であり得る。
【0048】
通知部54は、例えば、車両2の支援装置5に指示して、車載の第1タッチパネル23及び又はスピーカ25から、テキストメッセージ及び又は音声メッセージを出力することで、上記通知を行い得る。あるいは、通知部54は、携帯端末4が通常備えるタッチパネルやスピーカにより、上記通知を行っても良い。
【0049】
情報送信部55は、車両2の現在位置の位置情報を、所定の時間間隔で、車両2の外部にあるサーバ11へ送信する。この位置情報の送信は、情報送信部55が車両2の支援装置5に指示することにより、支援装置5の位置情報送信部75(後述)により行なわれ得る。あるいは、情報送信部55は、支援装置5から車両2の位置情報を所定の時間間隔で受信して、若しくは携帯端末4が備える第1GNSSセンサ44から所定の時間間隔で位置情報を取得して、サーバ11へ送信してもよい。
【0050】
本実施形態では、特に、情報送信部55は、評価部52が算出した上述の心拍数差が所定の閾値以上であって、車両2の運転開始から所定の時間が経過するまでの間に、対象者Pの心拍数が所定の範囲内(例えば、平時心拍数の1.1倍以下の範囲内)まで減少しないときに、上記位置情報の送信を行う。
【0051】
これにより、運転者サポートシステム1では、対象者の家族や知人等の関係者Rは、自身の携帯端末12によりサーバ11へアクセスして、健康状態が不良と判断された対象者Pの居場所や移動経路をトレースすることができるので、その対象者の動向を見守ることができる。また、位置情報の送信は、対象者Pの健康状態が不良であると評価部52が判断した場合に(例えば、そのような場合にのみ)行われるので、健康状態が良好である通常の場合には、対象者Pのプライバシーは保護され得る。
【0052】
図4は、車両2が備える支援装置5の構成を示す図である。
支援装置5は、第2プロセッサ60と、第2メモリ61と、第2通信器62と、第2GNSSセンサ63と、を備える。
【0053】
第2メモリ61は、揮発性及び又は不揮発性の半導体メモリで構成され得る。第2通信器62は、支援装置5が、携帯端末4、サーバ11、及び又は車両制御装置6等の車載装置と通信するための送受信機である。例えば、第2通信器62は、携帯端末4との間でBluetooth通信規格に準拠した近距離通信を行うための近距離通信器と、通信ネットワーク10を介してサーバ11と通信するための遠距離通信器と、車両制御装置6等の種々の車載装置との間で車載ネットワークを介した通信を行うためのネットワーク通信器と、を含み得る。
【0054】
第2プロセッサ60は、例えば、CPU等を備えるコンピュータである。第2プロセッサ60は、プログラムが書き込まれたROM、データの一時記憶のためのRAM等を有する構成であってもよい。そして、第2プロセッサ60は、機能要素又は機能ユニットとして、通信制御部70と、画像提供部71と、センサ情報提供部72と、動作設定部73と、AV制御部74と、位置情報送信部75と、を備える。
【0055】
第2プロセッサ60が備えるこれらの機能要素は、例えば、コンピュータである第2プロセッサ60が第2メモリ61に記憶された第2プログラム79を実行することにより実現される。第2プログラム79は、コンピュータ読み取り可能な任意の記憶媒体に記憶させておくことができる。なお、これに代えて、第2プロセッサ60が備える上記機能要素の全部又は一部を、それぞれ一つ以上の電子回路部品を含むハードウェアにより構成してもよい。上述したように、第2プログラム79は、携帯端末4が実行する第1プログラム59と共に、本開示における運転者支援プログラムを構成する。ここで、第1プログラム59は、支援装置5が実行する第2プログラム79と共に、本開示における運転者支援プログラムを構成する。
【0056】
通信制御部70は、第2通信器62の通信動作の制御及び監視を行う。本実施形態では、特に、通信制御部70は、第2通信器62が携帯端末4との間でBluetooth通信の接続を確立したことを検知する。
【0057】
画像提供部71は、携帯端末4からの要求を受信したことに応じて、室内カメラ24が撮像した車両2の室内の画像及び又は外部カメラ28が撮像した車両2の周囲の画像を、携帯端末4へ送信する。
【0058】
センサ情報提供部72は、携帯端末4からの要求を受信したことに応じて、着座センサ31、タッチセンサ8、第1心拍センサ9、および第2心拍センサ30のセンサ信号に基づき、運転席20に人が着座したこと、タッチセンサ8にタッチされたこと、第1心拍センサ9に触れた人の心拍数、及び又は第2心拍センサ30に触れた人の心拍数につての情報を、携帯端末4へ送信する。
【0059】
動作設定部73は、車両2の動作設定を行う。本実施形態では、一例として、動作設定部73は、携帯端末4からの指示により、車両2が備える車両制御装置6の動作設定に、予め定められた第1設定または第2設定を適用する。
【0060】
上述したように、第2設定は、第1設定と比較してより安全に配慮した安全設定であるものとすることができる。本実施形態では、第2設定においては、車両制御装置6が実行する前車追従走行における車間距離の設定が、第1設定よりも長く設定される。これに代えて又はこれに加えて、第2設定においては、車両制御装置6が実行する自動ブレーキの開始条件が、第1設定よりも早く減速が開始されるように設定される。
【0061】
AV制御部74は、AV装置22により、画像情報および音声情報を、第1タッチパネル23およびスピーカ25により出力する。また、AV制御部74は、第1タッチパネル23からの操作入力およびマイク26からの音声入力を受信して処理する。本実施形態では、特に、AV制御部74は、携帯端末4から受信する指示に従い、AV装置22により、上述した対象者Pに対する通知を出力する。この出力は、第1タッチパネル23へのテキスト等の画像出力、及び又はスピーカ25からの音声出力であり得る。
【0062】
位置情報送信部75は、携帯端末4から指示を受信することに応じて、所定の時間間隔で、第2GNSSセンサ63から車両2の現在位置を示す位置情報を取得してサーバ11へ送信する。また、位置情報送信部75は、携帯端末4からの要求を受信することに応じて、車両2の現在位置を示す上記位置情報を携帯端末4へ送信する。
【0063】
次に、運転者サポートシステム1における動作の手順について説明する。
図5は、運転者サポートシステム1が実行する運転者支援方法の処理の手順を示すフロー図である。
図5の処理は、繰り返し実行される。なお、本処理と並行して、携帯端末4の取得部51は、運転者支援方法の一部として、ウェアラブル端末3等から対象者Pの心拍数を取得する取得ステップを実行するものとする。
【0064】
処理を開始すると、まず、運転者サポートシステム1を構成する携帯端末4の到着検知部50は、携帯端末4を所持する対象者Pが車両2に到着したか否かを判断する(S100)。そして、対象者Pが車両2に到着していないときは(S100、NO)、到着検知部50は、ステップS100に戻って処理を繰り返し、対象者Pが車両2に到着するのを待機する。
【0065】
一方、対象者Pが車両2に到着したときは(S100、YES)、評価部52は、対象者Pの平時心拍数、運転前心拍数、及び車両2に到着するまでの運動データを取得する(S102)。次に、評価部52は、運転前心拍数から平時心拍数を減算して心拍数差を算出し、算出した心拍数差が所定の閾値以上であるか否かを判断する(S104)。
【0066】
そして、心拍数差が閾値未満であるときは(S104、NO)、評価部52は、対象者Pの健康状態は良好と判断し(S106)、設定部53は、車両2の支援装置5に指示して、車両2の動作に第1設定を適用する(S108)。その後、設定部53は、本処理を終了する。
【0067】
一方、ステップS104において心拍数差が閾値以上であるときは(S104、YES)、評価部52は、ステップS102で取得した運動データに基づき、車両2への接近の際に対象者Pが自身の脚を使って所定の閾値速度以上の速度で車両2へ接近したか否かを判断する(S110)。
【0068】
そして、ステップS110において、車両2への接近の際に対象者Pが脚移動により所定の閾値速度以上の速度で車両2へ接近していたと判断されるときは(S110、YES)、評価部52は、対象者Pの健康状態は良好と判断し(S112)、設定部53は、車両2の支援装置5に指示して、車両2の動作に第1設定を適用する(S114)。
【0069】
その後、評価部52は、運転開始から所定時間の間に対象者Pの心拍数が所定範囲まで減少したか否かを判断する(S116)。そして、運転開始から所定時間の間に対象者Pの心拍数が所定範囲まで減少したときは(S116、YES)、評価部52は、本処理を終了する。一方、運転開始から所定時間の間に対象者Pの心拍数が所定範囲まで減少しないときは(S116、NO)、評価部52は、対象者Pの健康状態は不良と判断し(S118)、設定部53は、車両2の支援装置5に指示して、車両2の動作に第2設定を適用する(S120)。
【0070】
続いて、通知部54は、対象者Pへの第2通知を行い(S128)、情報送信部55は、支援装置5に指示して、車両2の位置情報の定期送信を開始して(S130)、本処理を終了する。
【0071】
一方、ステップS110において、車両2への接近の際に対象者Pが自身の脚を使った脚移動により所定の閾値速度以上の速度で車両2へ接近していなかったと判断されるときは(S110、NO)、評価部52は、対象者Pの健康状態は不良と判断し(S126)、設定部53は、車両2の支援装置5に指示して、車両2の動作に第2設定を適用する(S128)。続いて、通知部54は、対象者Pへの第1通知を行い(S130)、処理をステップS116に移す。なお、この場合、ステップS116に処理を移した後のステップS118の処理では、ステップS126で行った不良判断を維持し、ステップS120の処理では、ステップS128で行った第2設定の適用を維持する。
【0072】
ここで、
図5に示すステップS102、S104、S106、S110、S112、S116、S118、及びS126は、本開示における評価ステップに相当する。また、ステップS108、S114、S120、及びS128は、本開示における設定ステップに相当する。
【0073】
[他の実施形態]
上述した実施形態では、移動体の一例として車両2を示したが、対象者Pが乗り込む移動体は、車両に限らず、船舶や航空機などを含む任意の移動体であり得る。
【0074】
また、上述の実施形態では、取得部51は、対象者Pの身体に装着されたウェアラブル端末3や、車両2のドアハンドル7に設けられた第1心拍センサ9から、対象者Pの心拍数を取得するものとしたが、心拍数の取得手段は、これらには限られない。例えば、取得部51は、車両2に設けられた外部カメラ28が撮像した車両2の周囲にいる対象者Pの顔画像や、室内カメラ24が撮像した車両2の室内の対象者Pの顔撮像から、従来技術に従い、対象者Pの心拍数を取得するものとすることができる。なお、外部カメラ28および室内カメラ24の撮像画像は、支援装置5を介して取得されるものとすることができる。
【0075】
また、取得部51は、ウェアラブル端末3から得られる日常生活の心拍数に基づいて、平時心拍数を算出して取得するものとしたが、平時心拍数の取得方法は、これには限られない。例えば、取得部51は、対象者Pが第2タッチパネル43により携帯端末4に入力した平時心拍数を取得してもよい。対象者Pは、例えば、自宅において毎日一定時刻に測定した平時心拍数や、定期通院中の医療施設で測定した平時心拍数を、携帯端末4に入力することができる。
【0076】
また、本実施形態の携帯端末4が備える機能要素の一部は、携帯端末4と通信可能に接続された支援装置5等の他の装置に分散して備えられるものとしてもよい。例えば、
図3に示す携帯端末4が備える取得部51、評価部52、設定部53、通知部54、及び又は情報送信部55は、支援装置5に備えられるものとしてもよい。
【0077】
あるいは、運転者サポートシステム1は、携帯端末4および支援装置5と通信可能に接続された、情報処理のための追加のサーバを含むものとし、取得部51、評価部52、設定部53、通知部54、及び又は情報送信部55が、上記追加のサーバのコンピュータにおいて実現されるものとしてもよい。もしくは、取得部51、評価部52、設定部53、通知部54、及び又は情報送信部55は、携帯端末4と支援装置5と追加のサーバとに分散して実現されてもよい。これらの場合には、携帯端末4が実行する第1プログラム59と、支援装置5が実行する第2プログラム79と、上記追加のサーバのコンピュータが実行するプログラムと、の全体が、本開示における運転者支援プログラムに相当する。
【0078】
なお、本発明は上記の実施形態の構成に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
【0079】
[上記実施形態によりサポートされる構成]
上述した実施形態は、以下の構成をサポートする。
【0080】
(構成1)対象者の心拍数を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記対象者の心拍数に基づいて前記対象者の健康状態を評価する評価部と、前記対象者が運転者として乗り込む移動体の動作設定を行う設定部と、を備え、前記評価部は、前記対象者の平常時の心拍数である平時心拍数と、前記移動体に到着したときの前記対象者の心拍数である運転前心拍数と、に基づいて、前記対象者の健康状態を評価し、前記設定部は、前記対象者が運転者として前記移動体に乗り込んだときに、前記評価部における前記対象者の健康状態についての評価結果に基づいて前記移動体の動作設定を行う、運転者サポートシステム。
構成1の運転者サポートシステムによれば、移動体の運転者である対象者の健康状態を平時心拍数と運転前心拍数とに基づいて適切に評価し、その評価結果に基づいて移動体の動作設定を行うので、安全運転のための適切なサポートを運転者に提供することができる。
【0081】
(構成2)前記評価部は、前記運転前心拍数から前記平時心拍数を減算して得られる心拍数差が所定の閾値未満であるときは、前記対象者の健康状態を良好と判断し、前記心拍数差が所定の閾値以上であるときは、前記対象者の健康状態を不良と判断する、構成1に記載の運転者サポートシステム。
構成2の運転者サポートシステムによれば、平時心拍数と運転前心拍数と心拍差に基づいて対象者Pの健康状態を評価するので、移動体の運転開始時における対象者Pの健康状態を的確に評価することができる。
【0082】
(構成3)前記取得部は、前記移動体へ接近する際の前記対象者の移動運動に係る運動データを取得し、前記評価部は、前記心拍数差が所定の閾値以上であっても、前記運動データに基づき、前記対象者が自身の脚を使った脚移動により所定の閾値速度以上の速度で前記移動体へ接近したと判断される場合には、前記対象者の健康状態を良好と判断する、構成2に記載の運転者サポートシステム。
構成3の運転者サポートシステムによれば、移動体に到着するまでの間の対象者の運動状態に起因した正常な心拍数の上昇(例えば、走って来た場合の心拍上昇)を、健康不良の兆候として取り扱わないようにすることができるので、対象者の健康状態をより適切に評価することができる。
【0083】
(構成4)前記評価部は、前記心拍数差が所定の閾値以上であって、前記対象者が脚移動により所定の閾値速度以上の速度で前記移動体へ接近したと判断される場合であっても、前記移動体の運転開始から所定の時間が経過するまでの間に、前記対象者の心拍数が所定の範囲内まで減少しないときは、前記対象者の健康状態を不良と判断する、構成3に記載の運転者サポートシステム。
構成4の運転者サポートシステムによれば、一旦高くなった心拍数の平時心拍数への復帰時間が所定時間より長くなってしまうような、良好でない健康状態も検出し得るので、対象者の健康状態を更に適切に評価することができる。
【0084】
(構成5)前記設定部は、前記評価部において前記対象者の健康状態が良好であると判断されたときは、前記移動体の動作設定に、予め定められた第1設定を適用し、前記評価部において前記対象者の健康状態が不良であると判断されたときは、前記移動体の動作設定に、前記第1設定と異なる、予め定められた第2設定を適用する、構成2ないし4のいずれかに記載の運転者サポートシステム。
構成5の運転者サポートシステムによれば、対象者の運転開始時の健康状態に応じて移動体の動作設定を切り替えて、安全運転のための適切なサポートを対象者に提供することができる。
【0085】
(構成6)前記移動体に乗り込んだ前記対象者に通知を行う通知部を備え、前記通知部は、前記評価部が前記対象者の健康状態を不良と判断したときは、前記移動体の運転者である前記対象者に、運転支援のための通知である第1通知を行う、構成2ないし5のいずれかに記載の運転者サポートシステム。
構成6の運転者サポートシステム1によれば、健康状態が良好である場合には不要な通知により対象者を煩わせず、健康状態が不良である場合には対象者に対し移動体の運転についての適切なアドバイスを行うことができる。
【0086】
(構成7)前記通知部は、前記心拍数差が所定の閾値以上であって、前記移動体の運転開始から所定の時間が経過するまでの間に、前記対象者の心拍数が所定の範囲内まで減少しないときは、前記対象者に対し健康状態についての通知である第2通知を行う、構成6に記載の運転者サポートシステム。
構成7の運転者サポートシステム1によれば、対象者の健康状態が、運転開始後も不良なまま変化しない場合に、その旨を対象者本人に通知することで、対象者に対し適切な対応を促すことができる。
【0087】
(構成8)前記移動体の現在位置の位置情報を前記移動体の外部のサーバへ送信する情報送信部を備え、前記情報送信部は、前記心拍数差が所定の閾値以上であって、前記移動体の運転開始から所定の時間が経過するまでの間に、前記対象者の心拍数が所定の範囲内まで減少しないときは、前記移動体の前記位置情報を所定の時間間隔で前記サーバへ送信する、構成2ないし7のいずれかに記載の運転者サポートシステム。
構成8の運転者サポートシステムによれば、対象者の健康状態が運転開始後も不良なまま変化しない場合には、対象者の家族や知人等の関係者は、自身の携帯端末によりサーバへアクセスして対象者の居場所や移動経路をトレースすることができるので、その対象者の動向を見守ることができる。
【0088】
(構成9)前記取得部は、前記対象者の身体に装着されたウェアラブル端末から、前記対象者の前記心拍数を取得する、構成1ないし8のいずれかに記載の運転者サポートシステム。
構成9の運転者サポートシステムによれば、対象者の日常生活における平常時の心拍数のデータを容易に取得することができる。また、身体に装着されてその身体の直近で生体データを取得し得るウェアラブル端末を用いて心拍数を取得するので、血圧値の測定精度を高めて、健康状態をより的確に評価することができる。
【0089】
(構成10)前記取得部は、前記移動体のドアハンドルに設けられた心拍センサから、前記ドアハンドルを握ったときの前記対象者の心拍数を取得し、前記評価部は、前記取得部が前記ドアハンドルに設けられた前記心拍センサから取得した心拍数を、前記対象者の前記運転前心拍数とする、構成1ないし9のいずれかに記載の運転者サポートシステム。
構成10の運転者サポートシステムによれば、移動体に到着したときの対象者の心拍数を確実に取得することができる。
【0090】
(構成11)前記設定部は、前記評価部が、前記ドアハンドルに設けられた前記心拍センサから取得した心拍数を前記運転前心拍数として用いて前記対象者の健康状態を不良と判断したときは、前記移動体の機能の一部を制限する、構成10に記載の運転者サポートシステム。
構成11の運転者サポートシステムによれば、移動体への搭乗直前に対象者の健康状態を把握し得るので、健康状態が不良な対象者が移動体に搭乗して運転を開始するのを防止したり、対象者の搭乗前に移動体の動作に制限を加えて、事故の未然防止や、危険走行の回避を図ることができる。
【0091】
(構成12)コンピュータが実行する運転者支援方法であって、対象者の心拍数を取得する取得ステップと、前記取得ステップにおいて取得した前記対象者の心拍数に基づいて前記対象者の健康状態を評価する評価ステップと、前記対象者が運転者として乗り込む移動体の動作設定を行う設定ステップと、を有し、前記評価ステップでは、前記対象者の平常時の心拍数である平時心拍数と、前記移動体に到着したときの前記対象者の心拍数である運転前心拍数と、に基づいて、前記対象者の健康状態を評価し、前記設定ステップでは、前記対象者が運転者として前記移動体に乗り込んだときに、前記評価ステップにおける前記対象者の健康状態についての評価結果に基づいて前記移動体の動作設定を行う、運転者支援方法。
構成12の運転者支援方法によれば、移動体の運転者である対象者の健康状態を平時心拍数と運転前心拍数とに基づいて適切に評価し、その評価結果に基づいて移動体の動作設定を行うので、安全運転のための適切なサポートを運転者に提供することができる。
【0092】
(構成13)運転者サポートシステムのコンピュータを、対象者の心拍数を取得する取得部、前記取得部が取得した前記対象者の心拍数に基づいて前記対象者の健康状態を評価する評価部、および、前記対象者が運転者として乗り込む移動体の動作設定を行う設定部、として機能させる運転者支援プログラムであって、前記評価部は、前記対象者の平常時の心拍数である平時心拍数と、前記移動体に到着したときの前記対象者の心拍数である運転前心拍数と、に基づいて、前記対象者の健康状態を評価し、前記設定部は、前記対象者が運転者として前記移動体に乗り込んだときに、前記評価部における前記対象者の健康状態についての評価結果に基づいて前記移動体の動作設定を行う、運転者支援プログラム。
構成13の運転者支援プログラムによれば、移動体に運転者として乗り込む際の対象者の健康状態を適切に評価して、その移動体での安全運転のための適切なサポートを運転者に提供することのできる運転者サポートシステムを実現し得る。
【符号の説明】
【0093】
1…運転者サポートシステム、2…車両、3…ウェアラブル端末、4、12…携帯端末、5…支援装置、6…車両制御装置、7…ドアハンドル、8…タッチセンサ、9…第1心拍センサ、10…通信ネットワーク、11…サーバ、20…運転席、21…インストルメントパネル、22…AV装置、23…第1タッチパネル、24…室内カメラ、25…スピーカ、26…マイク、27…ドアミラー、28…外部カメラ、29…ステアリングハンドル、30…第2心拍センサ、31…着座センサ、40…第1プロセッサ、41…第1メモリ、42…第1通信器、43…第2タッチパネル、44…第1GNSSセンサ、45…加速度センサ、50…到着検知部、51…取得部、52…評価部、53…設定部、54…通知部、55…情報送信部、59…第1プログラム、60…第2プロセッサ、61…第2メモリ、62…第2通信器、63…第2GNSSセンサ、70…通信制御部、71…画像提供部、72…センサ情報提供部、73…動作設定部、74…AV制御部、75…位置情報送信部、79…第2プログラム。