(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041421
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】重量物運搬器具
(51)【国際特許分類】
B65G 7/12 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
B65G7/12 A
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146239
(22)【出願日】2022-09-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-12-13
(71)【出願人】
【識別番号】522345401
【氏名又は名称】北田 泉
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】北田 泉
(72)【発明者】
【氏名】北田 透
(57)【要約】
【課題】重量物に対して運搬棒が容易に着脱可能となり、作業効率を向上させた重量物運搬器具を提供する。
【解決手段】棒状体11に形成され、この棒状体11の両端部がそれぞれ作業者によって把持又は担持される運搬棒10と、運搬棒10に取り付けられる取付部21、及び重量物30の上部に着脱自在に取り付けられる係止部22を有する吊下げ部材20と、を備え、重量物30に係止部22を係止させて運搬棒10に重量物30を吊り下げた状態で重量物30を運搬可能とした。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状体に形成され、該棒状体の両端部がそれぞれ作業者によって把持又は担持される運搬棒と、
前記運搬棒に取り付けられる取付部、及び重量物の上部に着脱自在に取り付けられる係止部を有する吊下げ部材と、を備え、
前記重量物に前記係止部を係止させて前記運搬棒に前記重量物を吊り下げた状態で前記重量物を運搬可能としたことを特徴とする重量物運搬器具。
【請求項2】
前記吊下げ部材は、前記運搬棒の長さ方向中央に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の重量物運搬器具。
【請求項3】
前記取付部は、スイベルジョイントであって、該スイベルジョイントによって前記係止部が前記運搬棒に対して回転可能に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の重量物運搬器具。
【請求項4】
前記スイベルジョイントが逆U字状に形成された逆U字部を有し、該逆U字部の上部内側に前記運搬棒が挿通され、該運搬棒と前記逆U字部が溶接により固定されていることを特徴とする請求項3に記載の重量物運搬器具。
【請求項5】
前記運搬棒には、作業者によって把持又は担持される前記両端部を被覆する弾性部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の重量物運搬器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業者によって重量物を運搬するときに使用される重量物運搬器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、作業者によって重量物を運搬する器具には、例えば特許文献1に記載された圧縮機運搬治具がある。この圧縮機運搬治具は、運搬棒中央のネジ穴に吊りボルトを螺合して固定し、重量物である密閉形圧縮機上部の吊り金具の穴にシャックルのU字部を通した後、シャックルのピンを吊りボルトのピン穴に通してU字部を留める。これにより、密閉形圧縮機がシャックル及び吊りボルトを介して運搬棒から吊り下げられる状態となる。そして、2人の作業者がそれぞれ上記運搬棒の前後を肩で担いで上記密閉形圧縮機を運搬するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した圧縮機運搬治具では、運搬棒中央のネジ穴に吊りボルトを螺合して固定し、密閉形圧縮機上部の吊り金具の穴にシャックルのU字部を通した後、シャックルのピンを吊りボルトのピン穴に通してU字部を留めるようにしているので、重量物である密閉形圧縮機に対して運搬棒を取り付けるための取付工数が多く、極めて作業効率が低いという問題がある。加えて、密閉形圧縮機に対して運搬棒を取り付けるための部品点数も多くなるという問題もある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、重量物に対して運搬棒が容易に着脱可能となり、作業効率を向上させた重量物運搬器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を達成するために、本発明は、棒状体に形成され、該棒状体の両端部がそれぞれ作業者によって把持又は担持される運搬棒と、前記運搬棒に取り付けられる取付部、及び重量物の上部に着脱自在に取り付けられる係止部を有する吊下げ部材と、を備え、前記重量物に前記係止部を係止させて前記運搬棒に前記重量物を吊り下げた状態で前記重量物を運搬可能としたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上記構成に加えて、前記吊下げ部材は、前記運搬棒の長さ方向中央に配設されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記構成に加えて、前記取付部は、スイベルジョイントであって、該スイベルジョイントによって前記係止部が前記運搬棒に対して回転可能に連結されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記構成に加えて、前記スイベルジョイントが逆U字状に形成された逆U字部を有し、該逆U字部の上部内側に前記運搬棒が挿通され、該運搬棒と前記逆U字部が溶接により固定されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記構成に加えて、前記運搬棒には、作業者によって把持又は担持される前記両端部を被覆する弾性部材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、吊下げ部材が運搬棒に取り付けられる取付部と、重量物の上部に着脱自在に取り付けられる係止部を有していることから、重量物の上部に係止部を取り付けるだけで、重量物を運搬可能としたので、重量物に対して運搬棒が容易に着脱可能となり、作業効率を向上させることが可能となる。また、重量物に対して運搬棒を取り付けるための部品点数も削減することができる。さらに、重量物が係止部に取り付けられているので、階段や足場の状況の不良な歩行路であっても、重量物が滑ることなく、安全かつ安定して運搬することが可能となる。
【0012】
また、本発明によれば、吊下げ部材は、運搬棒の長さ方向中央に配設されていることから、棒状体の両端部をそれぞれ作業者によって把持又は担持する際、運搬棒に対する重量物のバランスが取れるため、重量物を運搬し易くなる。
【0013】
また、本発明によれば、取付部がスイベルジョイントであって、このスイベルジョイントによって係止部が運搬棒に対して回転可能に連結されているので、係止部を介して重量物も回転可能となり、重量物の運搬に際しての作業性が良好となる。
【0014】
また、本発明によれば、スイベルジョイントが逆U字状に形成された逆U字部を有し、この逆U字部の上部内側に運搬棒が挿通され、この運搬棒と逆U字部が溶接により固定されていることから、運搬棒に取付部を取り付けるための貫通孔を設けることがなくなるので、運搬棒の強度を各段に高めることができる。そして、運搬棒と逆U字部とが溶接により固定されていることから、運搬棒から取付部が移動するか、あるいは外れることがなくなり、安全性も高めることができる。
【0015】
また、本発明によれば、運搬棒には、作業者によって把持又は担持される両端部を被覆する弾性部材が設けられているので、棒状体の両端部をそれぞれ作業者が把持又は担持したとき、滑ることがなく保持し易くなり、一段と安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施の形態に係る重量物運搬器具を示す正面図である。
【
図2】同実施の形態に係る重量物運搬器具における吊下げ部材の取付状態を示す拡大図である。
【
図3】同実施の形態に係る重量物運搬器具を用いて重量物を運搬している状態を示す正面図である。
【
図4】本発明の第2実施の形態に係る重量物運搬器具を示す正面図である。
【
図5】同実施の形態に係る重量物運搬器具における吊下げ部材の取付状態を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
[第1実施の形態]
図1は、本発明の第1実施の形態に係る重量物運搬器具を示す正面図である。
図2は、同実施の形態に係る重量物運搬器具における吊下げ部材の取付状態を示す拡大図である。
図3は、同実施の形態に係る重量物運搬器具を用いて重量物を運搬している状態を示す正面図である。
【0019】
図1及び
図2に示すように、本実施の形態の重量物運搬器具1は、棒状体11に形成された運搬棒10と、この運搬棒10に取り付けられる吊下げ部材20とから大略的に構成されている。
【0020】
図1に示すように、棒状体11は、全体が給湯用ライニング鋼管、ステンレス鋼管等の金属製円筒パイプからなり、全長が1036mmで、径が31mmである。棒状体11の両端部には、それぞれ開口端が形成されており、これらの開口端にそれぞれ閉止部材12を嵌め込むことにより開口端が閉止される。各閉止部材12の露出部分の長さは25mmである。
【0021】
棒状体11におけるそれぞれの閉止部材12の中央寄りの両端部には、それぞれゴムやスポンジ等からなる弾性部材13が設けられている。これらの弾性部材13は、棒状体11の両端部を被覆するように設けられ、その長さは19.5mmで、径が36mmである。各弾性部材13は、それぞれの作業者の手によって把持されるか、あるいは肩に担ぐ(担持する)ために用いられる。
【0022】
棒状体11の長さ方向中央には、径方向に円形に貫通する貫通孔14が穿設されており、この貫通孔14の中心から運搬棒10の両端部までの長さは、518mmである。
【0023】
図1及び
図2に示すように、吊下げ部材20は、運搬棒10、すなわち棒状体11に取り付けられる取付部としての金属製のカラビナ21と、
図3に示す重量物30の上部に着脱自在に取り付けられる係止部としての金属製のラッチ付きフック22とを有する。
【0024】
カラビナ21は、
図2に示すように棒状体11の貫通孔14に引っ掛けるようにして係止される。このカラビナ21には、ラッチ付きフック22の取付リング22aが引っ掛けるようにして係止される。ラッチ付きフック22は、上記取付リング22aの他、フック部22b及びラッチ部22cを有している。このラッチ部22cは、フック部22bの開口部を常に閉止する方向にばねによる弾性力が付与されている。そして、重量物30の係止バンド31にラッチ付きフック22を引っ掛けるようにして係止することで、重量物30が吊下げ部材20を介して運搬棒10から吊り下げられる状態となる。ここで、ラッチ付きフック22のフック部22bを重量物30の係止バンド31に係止したとき、ラッチ部22cによって係止バンド31が容易に外れないようになっている。
【0025】
この状態で、
図3に示すように例えば二人の作業者が運搬棒10の一端及び他端に設けられた弾性部材13をそれぞれ手で把持することで、重量物30を持ち上げて運搬することができる。この場合、運搬棒10の一端及び他端の弾性部材13をそれぞれ二人の作業者が肩で担ぐようにして運搬するようにしてもよい。そして、所定の場所に重量物30を運搬した後は、重量物30の係止バンド31からラッチ付きフック22のフック部22bを離脱させることにより、重量物30を吊下げ部材20から容易に取り外すことができる。
【0026】
このように本実施の形態によれば、吊下げ部材20が運搬棒10に取り付けられるカラビナ21と、重量物30の上部の係止バンド31に着脱自在に取り付けられるラッチ付きフック22を有していることから、重量物30の上部にラッチ付きフック22を取り付けるだけで、重量物30を運搬可能としたので、重量物30に対して運搬棒10が容易に着脱可能となり、作業効率を向上させることが可能となる。また、重量物30に対して運搬棒10を取り付けるための部品点数も削減することができる。そして、重量物30がラッチ付きフック22に取り付けられているので、階段や足場の状況の不良な歩行路であっても、重量物30が滑ることなく、安全かつ安定して運搬することが可能となる。
【0027】
また、本実施の形態によれば、吊下げ部材20は、運搬棒10の長さ方向中央に配設されていることから、棒状体11の両端部をそれぞれ作業者によって把持又は担持する際、運搬棒10に対する重量物30のバランスが取れるため、重量物30が運搬し易くなる。
【0028】
さらに、本実施の形態によれば、運搬棒10には、作業者によって把持又は担持される両端部を被覆するための弾性部材13が設けられているので、棒状体10の両端部をそれぞれ作業者が把持又は担持したとき、滑ることがなく保持し易くなり、安全性を高めることができる。
【0029】
[第2実施の形態]
図4は、本発明の第2実施の形態に係る重量物運搬器具を示す正面図である。
図5は、同実施の形態に係る重量物運搬器具における吊下げ部材の取付状態を示す拡大図である。
図6は、
図5のA-A線による断面図である。なお、前記第1実施の形態と同一又は対応する部分には、同一の符号を用いて説明し、重複する説明は省略する。
【0030】
図4~
図6に示すように、本実施の形態の重量物運搬器具1Aの棒状体11は、前記第1実施の形態と同様に、全体が給湯用ライニング鋼管、ステンレス鋼管等の金属製円筒パイプからなり、全長が1040mmで、径が約27mmである。
【0031】
本実施の形態の重量物運搬器具1Aは、前記第1実施の形態と異なり、運搬棒10の長さ方向中央に貫通孔14が穿設されていない。具体的には、吊下げ部材20の取付部としての金属製のスイベル(寄り戻し)ジョイント23が逆U字状に形成された逆U字部24を有している。運搬棒10の長さ方向中央に逆U字部24を固定するとき、逆U字部24の上部内側に運搬棒10が挿通され、この運搬棒10の長さ方向中央(両端から520mm)と逆U字部24とが溶接により固定されることで、運搬棒10と逆U字部24との間に溶接部26が形成される。
【0032】
スイベルジョイント23は、
図5及び
図6に示すように上記逆U字部24と、固定ボルト24aと、ナット24bと、回転リング25とを備えている。この回転リング25は、取付孔が設けられた回転部25a及びU字部25bを有している。
【0033】
スイベルジョイント23は、逆U字部24の両下端に固定ボルト24aが溶着され、この固定ボルト24aに回転リング25の回転部25aの取付孔が挿通された状態で、固定ボルト24aにナット24bを締結することにより、回転リング25を運搬棒10に対して正方向及び逆方向に回転可能に保持している。
【0034】
スイベルジョイント23と係止部としてのラッチ付きフック22との間には、シャックル27が設けられている。運搬棒10には、スイベルジョイント23によりシャックル27及びラッチ付きフック22が正方向及び逆方向に回転可能に連結されている。このように本実施の形態におけるスイベルジョイント23とは、相対回転可能な回転連結部材の機能を有している。すなわち、スイベルジョイント23とは、2つの部材の接続点を持って相対的に回転することができるようにした接続部品のことである。
ここで、棒状体11へのスイベルジョイント23の取付下端部からラッチ付きフック22の先端部までの長さは、約200mmである。
【0035】
スイベルジョイント23は、一端(上端)に上記逆U字部24が設けられている一方、他端(下端)に回転リング25のU字部25bが設けられている。このU字部25bにシャックル27の円弧部27aが引っ掛かるように係止される。
【0036】
シャックル27は、円弧部27aに対向する部分にボルト27bが架け渡されるように設けられ、このボルト27bの先端部にナット27cが締結される。シャックル27のボルト27bがラッチ付きフック22の取付リング22aを挿通した状態で、ボルト27bの先端部にナット27cを締結させることにより、シャックル27にラッチ付きフック22が係止される。シャックル27にラッチ付きフック22を係止した後には、ナット27cがボルト27bの軸部に溶接によって固着されることで、ボルト27bの軸部とナット27cとの間に溶接部26が形成される。
【0037】
上記のように構成された吊下げ部材20を運搬棒10に取り付けるには、まずスイベルジョイント23の逆U字部24の上部内側に運搬棒10を挿通し、逆U字部24を運搬棒10に溶接により固定することで、運搬棒10にスイベルジョイント23を回転可能に取り付ける。
【0038】
そして、スイベルジョイント23の回転リング25のU字部25bにシャックル27の円弧部27aを引っ掛かるように係止する。次いで、シャックル27のボルト27bをラッチ付きフック22の取付リング22aに挿通させ、ボルト27bの先端にナット27cを締結させることにより、シャックル27にラッチ付きフック22を係止する。さらに、ナット27cをボルト27bの軸部に溶接によって固着することにより、吊下げ部材20が組み立てられる。
【0039】
次に、上記のように組み立てられた重量物運搬器具1Aを前記第1実施の形態と同様に、重量物30の係止バンド31にラッチ付きフック22のフック部22bを引っ掛けるようにして係止することで、重量物30が吊下げ部材20を介して運搬棒10から吊り下げられる状態となる。
【0040】
また、本実施の形態では、前記第1実施の形態と同様に、吊下げ部材20をあらかじめ運搬棒10に取り付けた状態で使用されることで、重量物30の係止バンド31にラッチ付きフック22を引っ掛けて係止するだけで、重量物30を運搬することが可能となる。その結果、作業効率を著しく高めることができる。その他の構成及び作用は、前記第第1実施の形態と同様であるのでその説明を省略する。
【0041】
このように本実施の形態によれば、スイベルジョイント23が逆U字状に形成された逆U字部24を有し、この逆U字部24の上部内側に運搬棒10が挿通され、この運搬棒10と逆U字部24が溶接により固定されていることから、運搬棒10にスイベルジョイント23を取り付けるための貫通孔を設けることがなくなるので、運搬棒10の強度を各段に高めることができる。そして、運搬棒10と逆U字部24とが溶接により固定されていることから、運搬棒10の長さ方向中央から取付部23が移動するか、あるいは外れることがなくなり、安全性も高めることができる。
【0042】
加えて、本実施の形態によれば、シャックル27にラッチ付きフック22を係止した状態で、ナット27cをボルト27bの軸部に溶接によって固着しているので、シャックル27からラッチ付きフック22が外れることがなくなり、安全性を一段と高めることができる。
【0043】
また、本実施の形態によれば、スイベルジョイント23が設けられ、このスイベルジョイント23によりラッチ付きフック22が運搬棒10に対して回転可能に連結されているので、ラッチ付きフック22を介して重量物30も回転可能となり、重量物30の運搬に際しての作業性が良好となる。
【0044】
[発明の他の実施形態]
本発明の各実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これらの実施の形態は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0045】
上記第1実施の形態では、棒状体11の全長を1036mm、第2実施の形態では、棒状体11の全長を1040mmとしたが、それよりも長く形成して例えば四人以上の作業者が運搬棒10の一端及び他端に設けられた弾性部材13をそれぞれ二人以上の手で把持するようにしてもよい。
【0046】
また、上記各実施の形態では、棒状体11に円筒パイプを用いた例について説明したが、運搬棒10を作業者が肩で担いで運搬する場合には、棒状体11にR面取りされた角筒パイプを使用すれば、作業者が肩で担ぎ易くなり、作業効率を一段と高めることが可能となる。
【0047】
さらに、上記各実施の形態では、重量物30を運搬する場合について説明したが、これに限らず、既に設置した状態の重量物30を取り外す場合にも使用することができる。具体的には、設置した状態の重量物30の上部にラッチ付きフック22を取り付け、二人の作業者が運搬棒10の一端及び他端をそれぞれ手で把持して持ち上げることで、重量物30を設置場所から容易に取り外すことが可能となる。
【0048】
そして、上記各実施の形態では、吊下げ部材20を運搬棒10の長さ方向中央に1つだけ配設した例について説明したが、これ以外に運搬棒10の全長を上記各実施の形態よりも長く形成し、運搬棒10の長さ方向中央から両端部に向けて一定間隔を空けて吊下げ部材20を複数配設するようにしてもよい。この場合、前記第1実施の形態のように貫通孔14を複数形成し、貫通孔14に吊下げ部材20を取り付けるようにすると、運搬棒10の強度が低下することから、前記第2実施の形態のように吊下げ部材20の取付部を溶接により固定することが望ましい。
【0049】
このように構成することで、複数の重量物30を吊り下げることができるとともに、1つの長尺な重量物でも長さ方向に沿って複数係止することにより、安定して吊り下げることができるようになる。
【0050】
また、上記各実施の形態では、運搬棒10からの吊下げ部材20の先端部までの長さが一定のものを用いたが、取付部と係止部との間にチェーンやターンバックル等の長さ調整部材を介在させることにより、運搬棒10からの吊下げ部材20の先端部までの長さを調整することが可能となる。これにより、重量物運搬器具としての汎用性を高めることができる。また、上記長さ調整部材を上述した吊下げ部材20を複数配設する場合に適用すれば、使い勝手が特に良好となる。
【符号の説明】
【0051】
1 重量物運搬器具
1A 重量物運搬器具
10 運搬棒
11 棒状体
12 閉止部材
13 弾性部材
14 貫通孔
20 吊下げ部材
21 カラビナ(取付部)
22 ラッチ付きフック(係止部)
22a 取付リング
22b フック部
22c ラッチ部
23 スイベルジョイント(取付部)
24 逆U字部
24a 固定ボルト
24b ナット
25 回転リング
25a 回転部
25b U字部
26 溶接部
27 シャックル
27a 円弧部
27b ボルト
27c ナット
30 重量物
31 係止バンド
【手続補正書】
【提出日】2023-09-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状体に形成され、該棒状体の両端部がそれぞれ作業者によって把持又は担持される運搬棒と、
前記運搬棒に取り付けられる取付部、及び重量物の上部に着脱自在に取り付けられる係止部を有する吊下げ部材と、を備え、
前記取付部は、スイベルジョイントであって、該スイベルジョイントによって前記係止部が前記運搬棒に対して回転可能に連結され、
前記スイベルジョイントが逆U字状に形成された逆U字部を有し、該逆U字部の上部内側に前記運搬棒が挿通され、該運搬棒と前記逆U字部が溶接により固定されており、
前記重量物に前記係止部を係止させて前記運搬棒に前記重量物を吊り下げた状態で前記重量物を運搬可能としたことを特徴とする重量物運搬器具。
【請求項2】
前記吊下げ部材は、前記運搬棒の長さ方向中央に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の重量物運搬器具。
【請求項3】
前記運搬棒には、作業者によって把持又は担持される前記両端部を被覆する弾性部材が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の重量物運搬器具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
このように本実施の形態によれば、スイベルジョイント23が逆U字状に形成された逆U字部24を有し、この逆U字部24の上部内側に運搬棒10が挿通され、この運搬棒10と逆U字部24が溶接により固定されていることから、運搬棒10にスイベルジョイント23を取り付けるための貫通孔を設けることがなくなるので、運搬棒10の強度を各段に高めることができる。そして、運搬棒10と逆U字部24とが溶接により固定されていることから、運搬棒10の長さ方向中央から取付部としてのスイベルジョイント23が移動するか、あるいは外れることがなくなり、安全性も高めることができる。