(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041423
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】短絡保護装置
(51)【国際特許分類】
H02H 3/087 20060101AFI20240319BHJP
H02H 7/20 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
H02H3/087
H02H7/20 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146241
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】辻 敏和
【テーマコード(参考)】
5G004
5G053
【Fターム(参考)】
5G004AA04
5G004AB02
5G004BA03
5G004DA02
5G004DC07
5G004DC14
5G053AA02
5G053BA04
5G053CA01
5G053EA01
5G053EA09
(57)【要約】
【課題】短絡発生時、短絡発生ラインにおける電流の流れを直ちに停止できる短絡保護装置を提供する。
【解決手段】短絡保護装置7は、制御装置3から出力される制御信号Saに基づき負荷2を駆動する負荷駆動装置1を、短絡から保護するために設けられる。スイッチ回路9は、ロジック回路8の論理演算の結果に基づいてスイッチング状態が制御されることにより、負荷2の駆動のオンオフを切り替える。このスイッチ回路9は、負荷2との間に発生する電圧信号Svをロジック回路8にフィードバック出力する。ロジック回路8は、制御信号Sa及び電圧信号Svを論理演算の入力とし、これら信号を論理演算した結果によって、スイッチ回路9を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置から出力される制御信号に基づき負荷を駆動する負荷駆動装置を、短絡から保護する短絡保護装置であって、
少なくとも前記制御信号を論理演算の入力とするロジック回路と、
前記ロジック回路の論理演算の結果に基づいてスイッチング状態が制御されることにより、前記負荷の駆動のオンオフを切り替えるスイッチ回路と、を備え、
前記スイッチ回路は、前記負荷との間に発生する電圧信号を前記ロジック回路にフィードバック出力し、
前記ロジック回路は、前記制御信号及び前記電圧信号を論理演算の入力とし、これら信号を論理演算した結果によって、前記スイッチ回路を制御する、短絡保護装置。
【請求項2】
前記電圧信号を前記スイッチ回路から前記ロジック回路にフィードバックする信号線に接続され、前記ロジック回路に入力される前記電圧信号の信号レベルを、前記負荷を駆動させるために強制的に反転させる初期駆動回路を備える
請求項1に記載の短絡保護装置。
【請求項3】
前記電圧信号を分圧して前記ロジック回路に入力する分圧抵抗を備える
請求項1に記載の短絡保護装置。
【請求項4】
前記ロジック回路は、論理積を演算するAND回路であり、
前記スイッチ回路は、前記負荷と電源との間に接続されたハイサイドスイッチである
請求項1に記載の短絡保護装置。
【請求項5】
前記ロジック回路は、否定論理和を演算するNOR回路であり、
前記スイッチ回路は、電源に接続された前記負荷とグランドとの間に接続されたローサイドスイッチである
請求項1に記載の短絡保護装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷駆動装置を短絡から保護する短絡保護装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されるように、リレーに駆動電流を出力するリレー駆動出力回路を短絡から保護する短絡保護回路が周知である。この短絡保護回路においては、リレー駆動出力回路の出力側で生じる短絡の有無を短絡検出回路で検知した場合に、リレー駆動出力回路の出力動作を停止させる。そして、短絡発生から所定時間経過後、リレー駆動出力回路に復帰信号を送信することにより、リレー駆動出力回路の出力動作を復帰させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、短絡を検出してリレー駆動出力回路の出力動作を停止させる処理は、CPU(マイクロコンピュータ)が実行する。このため、短絡検出して回路動作を停止する動作は、CPUの性能によるところとなる。よって、CPUの性能によっては短絡検出から回路動作の停止までに時間を要してしまう可能性があるため、対策が必要とされていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決する短絡保護装置は、制御装置から出力される制御信号に基づき負荷を駆動する負荷駆動装置を、短絡から保護する構成であって、少なくとも前記制御信号を論理演算の入力とするロジック回路と、前記ロジック回路の論理演算の結果に基づいてスイッチング状態が制御されることにより、前記負荷の駆動のオンオフを切り替えるスイッチ回路と、を備え、前記スイッチ回路は、前記負荷との間に発生する電圧信号を前記ロジック回路にフィードバック出力し、前記ロジック回路は、前記制御信号及び前記電圧信号を論理演算の入力とし、これら信号を論理演算した結果によって、前記スイッチ回路を制御する。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、短絡発生時、短絡発生ラインにおける電流の流れを直ちに停止できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態の短絡保護装置の構成図である。
【
図3】短絡保護装置の動作の仕方をまとめた表である。
【
図5】第2実施形態の短絡保護装置の構成図である。
【
図7】短絡保護装置の動作の仕方をまとめた表である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
以下、本開示の第1実施形態を説明する。
(負荷駆動装置1)
図1に示すように、負荷駆動装置1は、負荷2の動作を制御する制御装置3を備える。制御装置3は、例えば、MCU(Micro Controller Unit)である。負荷2は、例えば、一端が負荷駆動装置1の端子4に接続され、他端がGNDに接続されている。負荷2は、例えば、ヒータ、モータ、リレー、ソレノイド、ランプ、コンデンサ、トランスなどである。負荷駆動装置1は、例えば、1つの集積回路から構成されることが好ましい。
【0009】
(短絡保護装置7、ロジック回路8、及びスイッチ回路9)
図1に示す通り、負荷駆動装置1は、負荷駆動装置1を短絡から保護する短絡保護装置7を備える。本例の場合、対象とする短絡は、負荷2が地面に接触して大地に電流が流れてしまう地絡である。短絡保護装置7は、デジタル信号を処理して論理演算を実行するロジック回路8と、負荷2の駆動のオンオフを切り替えるスイッチ回路9と、を備える。制御装置3、ロジック回路8、及びスイッチ回路9は、1つの集積回路内に構成されることが好ましい。
【0010】
地絡を検出する場合、ロジック回路8は、例えば、論理積を演算するAND回路12である。ロジック回路8は、2つの入力端子13(本例は、第1入力端子13a及び第2入力端子13b)と、1つの出力端子14と、を有する。第1入力端子13aは、制御装置3の出力制御端子15に接続されている。ロジック回路8は、制御装置3の出力制御端子15から入力する制御信号Saを第1入力端子13aで入力する。このように、ロジック回路8は、少なくとも制御信号Saを論理演算の入力とする。制御信号Saは、Hiレベル又はLoレベルの2値化信号である。出力端子14は、スイッチ回路9に接続されている。
【0011】
図2に示すように、地絡を検出する場合、スイッチ回路9は、例えば、負荷2と電源16との間に接続されたハイサイドスイッチ17である。ハイサイドスイッチ17の場合、制御装置3から「Hi」の制御信号Saが出力されるとき、負荷2が駆動する。スイッチ回路9は、例えば、トランジスタ(PNP型トランジスタ)である。スイッチ回路9がトランジスタの場合、エミッタ端子が電源16に接続され、コレクタ端子が負荷2に接続され、ベース端子がロジック回路8に接続される。なお、スイッチ回路9は、例えば、FET(Field Effect Transistor)でもよい。
【0012】
スイッチ回路9は、2値化信号の電圧信号Svを負荷2に印加することにより、負荷2の動作を制御する。具体的には、スイッチ回路9から負荷2にHiレベルの電圧信号Svが印加されると、負荷2が駆動する。一方、スイッチ回路9から負荷2にLoレベルの電圧信号Svが印加されると、負荷2が非駆動となる。
【0013】
(スイッチ回路9の電圧フィードバック)
図1に示す通り、スイッチ回路9は、負荷2との間に発生する電圧信号Svをロジック回路8にフィードバック出力する。具体的には、負荷2及びスイッチ回路9の中点19が、信号線20によってロジック回路8の第2入力端子13bに接続されている。このように、信号線20は、電圧信号Svをスイッチ回路9からロジック回路8にフィードバックするために設けられる。スイッチ回路9がトランジスタの場合、スイッチ回路9からロジック回路8にフィードバックする電圧は、例えば、トランジスタのコレクタ端子に発生する電圧である。
【0014】
短絡保護装置7は、例えば、電圧信号Svを分圧してロジック回路8に入力する分圧抵抗21を備える。分圧抵抗21は、例えば、抵抗R1、R2を有するとともに、信号線20上に配置されている。分圧抵抗21は、例えば、抵抗R1、R2の中点22がロジック回路8の第2入力端子13bに接続されている。中点19、22、信号線20、及び分圧抵抗21は、例えば、1つの集積回路内に構成されることが好ましい。
【0015】
(初期駆動回路25)
図1に示す通り、短絡保護装置7は、負荷2を駆動させるために電圧信号Svの信号レベルを強制的に反転させる初期駆動回路25を備える。初期駆動回路25は、電圧信号Svをスイッチ回路9からロジック回路8にフィードバックする信号線20に接続されている。初期駆動回路25は、例えば、トランジスタやFETが使用される。初期駆動回路25は、例えば、トランジスタの場合、コレクタ端子が電源26に接続され、エミッタ端子がロジック回路8の第2入力端子13b(中点22)に接続され、ベース端子が制御装置3の初期駆動制御端子27に接続されている。
【0016】
次に、本実施形態の短絡保護装置7の作用について説明する。
(負荷2を駆動する場合)
図3のステータス番号「4」に示すように、制御装置3は、負荷2の駆動を開始するとき、出力制御端子15から駆動要求として「Hi」の制御信号Saを出力するとともに、初期駆動制御端子27から「Hi」の初期駆動信号Sbを出力する。初期駆動制御端子27からロジック回路8に「Hi」の初期駆動信号Sbを出力するのは、第2入力端子13bをHi入力とすることにより、ロジック回路8の2入力をともに「Hi」とするためである。
【0017】
ロジック回路8は、AND回路12の場合、2入力がともに「Hi」となると、出力端子14からスイッチ回路9に「Hi」の演算値を出力する。スイッチ回路9は、ロジック回路8から「Hi」の演算値を入力すると、オン状態をとる。これにより、スイッチ回路9から負荷2に「Hi」の電圧信号Svが印加されるため、負荷2が駆動する。
【0018】
制御装置3は、負荷2の駆動をセンサ(図示略)などによって検出すると、初期駆動信号Sbを「Hi」から「Lo」に切り替えるとともに、制御信号Saの「Hi」の出力を継続する。このとき、初期駆動信号Sbが「Lo」に切り替えられるが、スイッチ回路9からフィードバックされる「Hi」の電圧信号Svによって、第2入力端子13bにおける「Hi」の入力は継続される。よって、負荷2の駆動状態が維持される。
【0019】
(負荷2の駆動を停止する場合)
図3のステータス番号「2」に示すように、制御装置3は、負荷2の駆動を停止するとき、出力制御端子15から停止要求として「Lo」の制御信号Saを出力する。このとき、AND回路12であるロジック回路8は、2入力の一方が「Lo」となるため、スイッチ回路9に「Lo」の演算値を出力する。スイッチ回路9は、ロジック回路8から「Lo」の演算値を入力すると、オフ状態となる。これにより、スイッチ回路9から負荷2に印加される電圧信号Svが「Lo」となるため、負荷2の駆動が停止する。
【0020】
図3のステータス番号「1」に示すように、スイッチ回路9の電圧信号Svが「Lo」になると、ロジック回路8の2入力がともに「Lo」となる。よって、ロジック回路8からスイッチ回路9に出力される演算値が「Lo」に維持されるため、負荷2の停止が維持される。
【0021】
(地絡が発生した場合)
図4に示すように、負荷2が駆動中のときに、例えば負荷2の配線29が大地と接触すると、負荷2に地絡が発生する。地絡が発生した場合、電源16、スイッチ回路9、及び大地を結ぶラインが短絡発生ライン30となり、この短絡発生ライン30に電流が流れ続けてしまう。このとき、スイッチ回路9に大電流が流れてしまうと、スイッチ回路9の異常などの原因となるため、スイッチ回路9を直ちにオフに切り替える必要がある。なお、配線29は、例えば、負荷駆動装置1の端子4と負荷2とを繋ぐ線である。
【0022】
図3のステータス番号「3」に示すように、負荷2の駆動時に地絡が発生した場合、電圧信号Svが「Lo」に落ちる。このため、ロジック回路8の第2入力端子13bには、「Lo」の信号が入力される。よって、ロジック回路8の2入力のうち第2入力端子13bの入力が「Lo」となるため、ロジック回路8からスイッチ回路9には、「Lo」の演算結果が出力される。これにより、スイッチ回路9がオフ状態に切り替わる。従って、地絡発生時には、スイッチ回路9を直ちにオフして電流の流れが停止される。
【0023】
本例の場合、ロジック回路8は、負荷2の駆動時、スイッチ回路9から電圧信号Svとして「Lo」の信号をフィードバック入力すると、制御装置3からの指令を得ずとも、自ら「Lo」の演算結果をスイッチ回路9に出力してスイッチ回路9をオフ状態に切り替える。このため、負荷2の駆動時に地絡が発生したとき、電圧信号Svが「Lo」に落ちることを利用して、スイッチ回路9を直ちにオフ状態に切り替えることが可能となる。よって、地絡発生時のスイッチ回路9の動作停止を瞬時に実施することが可能となる。
【0024】
(実施形態の効果)
上記実施形態の短絡保護装置7によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1-1)短絡保護装置7は、制御装置3から出力される制御信号Saに基づき負荷2を駆動する負荷駆動装置1を、短絡から保護するために設けられる。短絡保護装置7は、ロジック回路8及びスイッチ回路9を備える。ロジック回路8は、少なくとも制御信号Saを論理演算の入力とする。スイッチ回路9は、ロジック回路8の論理演算の結果に基づいてスイッチング状態が制御されることにより、負荷2の駆動のオンオフを切り替える。スイッチ回路9は、負荷2との間に発生する電圧信号Svをロジック回路8にフィードバック出力する。ロジック回路8は、制御信号Sa及び電圧信号Svを論理演算の入力とし、これら信号を論理演算した結果によって、スイッチ回路9を制御する。
【0025】
本構成によれば、例えば、負荷駆動装置1に短絡が発生した場合には、矩形波が反転した電圧信号Svがスイッチ回路9からロジック回路8にフィードバック出力される。そして、この電圧信号Svの入力を契機に、ロジック回路8からスイッチ回路9には、スイッチ回路9をオフ状態にする論理演算の結果が出力される。このように、短絡発生時、MCUやCPUを介さずに、ロジック回路8の動作のみで、スイッチ回路9をオフ状態に切り替えることが可能となる。よって、短絡発生時、短絡発生ライン30における電流の流れを直ちに停止できる。
【0026】
(1-2)短絡保護装置7は、電圧信号Svをスイッチ回路9からロジック回路8にフィードバックする信号線20に接続された初期駆動回路25を備える。初期駆動回路25は、ロジック回路8に入力される電圧信号Svの信号レベルを、負荷2を駆動させるために強制的に反転させる。この構成によれば、負荷2及びスイッチ回路9の間の電圧信号Svをロジック回路8にフィードバックしてロジック回路8の入力とする構成とした場合に、初期駆動時において、ロジック回路8からスイッチ回路9に対し、スイッチ回路9をオン状態とするための論理演算の結果を出力することができる。
【0027】
(1-3)短絡保護装置7は、電圧信号Svを分圧してロジック回路8に入力する分圧抵抗21を備える。この構成によれば、負荷2及びスイッチ回路9の間の電圧信号Svをロジック回路8にフィードバックする場合に、ロジック回路8に適した値の電圧信号Svを、ロジック回路8に入力することができる。
【0028】
(1-4)ロジック回路8は、論理積を演算するAND回路12である。スイッチ回路9は、負荷2と電源16との間に接続されたハイサイドスイッチ17である。この構成によれば、負荷駆動装置1の地絡を検出できる。
【0029】
(1-5)地絡発生時に、例えば、転極制御によって短絡発生ライン30に電流を流さない対策をとることも考えられる。しかし、この構成の場合、同系統の出力ラインが必要になり、更には、転極制御のための回路が必要となるため、回路規模が大きくなる懸念があった。一方、本例の構成の場合、スイッチ回路の出力である電圧信号Svをロジック回路8に単にフィードバック入力する構成を追加するだけでよいので、回路規模が大きくなってしまうことがない。
【0030】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態は、第1実施形態の地絡を天絡に変更した実施例である。よって、第1実施形態と同一部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
【0031】
(短絡保護装置7)
図5に示すように、短絡保護装置7は、負荷2の短絡として地絡を検出する。このように、本例の短絡保護装置7は、負荷2を天絡から保護する。天絡は、負荷2が電源16にショートしてしまう現象である。天絡を検出する場合、ロジック回路8は、例えば、否定論理和を演算するNOR回路35である。NOR回路35も2つの入力端子36と1つの出力端子37とを有する。具体的には、第1入力端子36aが出力制御端子15に接続され、第2入力端子36bが中点22(初期駆動回路25)に接続され、出力端子37がスイッチ回路9に接続されている。
【0032】
図6に示すように、天絡を検出する場合、スイッチ回路9は、例えば、電源16に接続された負荷2とグランドとの間に接続されたローサイドスイッチ38である。ローサイドスイッチ38の場合、制御装置3から「Lo」の制御信号Saが出力されるとき、負荷2が駆動する。スイッチ回路9は、例えば、トランジスタ(NPN型トランジスタ)である。スイッチ回路9がトランジスタの場合、コレクタ端子が負荷2に接続され、エミッタ端子がGNDに接続され、ベース端子がロジック回路8に接続される。なお、スイッチ回路9は、例えば、FET(Field Effect Transistor)でもよい。
【0033】
図5に示す通り、初期駆動回路25は、負荷2を駆動するときに第2入力端子36bの信号レベルを強制的に「Lo」に落とすためのスイッチ部39である。スイッチ部39は、例えば、FETが使用される。
【0034】
次に、本実施形態の短絡保護装置7の作用について説明する。
(負荷2を駆動する場合)
図7のステータス番号「1」に示すように、制御装置3は、負荷2の駆動を開始するとき、出力制御端子15から駆動要求として「Lo」の制御信号Saを出力する。このとき、制御装置3は、初期駆動制御端子27から出力する初期駆動信号Sbにより、スイッチ部39を通じてロジック回路8の第2入力端子36bを強制的に「Lo」にする。このようにして、ロジック回路8の2入力をともに「Lo」にする。
【0035】
ロジック回路8は、NOR回路35の場合、2入力がともに「Lo」となると、出力端子37からスイッチ回路9に「Hi」の演算値を出力する。スイッチ回路9は、ロジック回路8から「Hi」の演算値を入力すると、オン状態をとる。これにより、負荷2の回路が閉ループとなるため、負荷2が駆動する。
【0036】
制御装置3は、負荷2の駆動をセンサ(図示略)などによって検出すると、初期駆動信号Sbによるスイッチ部39の駆動を停止するとともに、制御信号Saの「Lo」の出力を継続する。このとき、スイッチ部39による強制的な「Lo」への電位降下が実施されなくなるが、スイッチ回路9からフィードバックされる「Lo」の電圧信号Svによって、第2入力端子36bにおける「Lo」の入力は継続される。よって、負荷2の駆動状態が維持される。
【0037】
(負荷2の駆動を停止する場合)
図7のステータス番号「3」に示すように、制御装置3は、負荷2の駆動を停止するとき、出力制御端子15から停止要求として「Hi」の制御信号Saを出力する。このとき、NOR回路35であるロジック回路8は、2入力の一方が「Hi」となるため、スイッチ回路9に「Lo」の演算値を出力する。スイッチ回路9は、ロジック回路8から「Lo」の演算値を入力すると、オフ状態となる。これにより、スイッチ回路9から負荷2に印加される電圧信号Svが「Hi」となるため、負荷2の駆動が停止する。
【0038】
図7のステータス番号「4」に示すように、スイッチ回路9の電圧信号Svが「Hi」になると、ロジック回路8の2入力がともに「Hi」となる。よって、ロジック回路8からスイッチ回路9に出力される演算値が「Lo」に維持されるため、負荷2の停止が維持される。
【0039】
(天絡が発生した場合)
図8に示すように、負荷2が駆動中のときに、例えば負荷2の配線29が電源16にショートすると、負荷2に天絡が発生する。天絡が発生した場合、負荷2及び電源16を結ぶラインが短絡発生ライン30となり、この短絡発生ライン30に電圧が印加され続けてしまう。このとき、負荷2が駆動され続けてしまうため、スイッチ回路9を直ちにオフに切り替える必要がある。
【0040】
図7のステータス番号「2」に示すように、負荷2の駆動時に天絡が発生した場合、電圧信号Svが「Hi」に切り替わる。このため、ロジック回路8の第2入力端子36bには、「Hi」の信号が入力される。よって、ロジック回路8の2入力のうち第2入力端子36bの入力が「Hi」となるため、ロジック回路8からスイッチ回路9には、「Lo」の演算結果が出力される。これにより、スイッチ回路9がオフ状態に切り替わる。従って、天絡発生時には、スイッチ回路9を直ちにオフして電流の流れが停止される。
【0041】
(実施形態の効果)
上記実施形態の短絡保護装置7によれば、以下のような効果を得ることができる。
(2-1)ロジック回路8は、否定論理和を演算するNOR回路35である。スイッチ回路9は、電源16に接続された負荷2とグランドとの間に接続されたローサイドスイッチ38である。この構成によれば、負荷駆動装置1の天絡を検出できる。
【0042】
(他の実施形態)
なお、本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0043】
・各実施形態において、ロジック回路8は、AND回路12やNOR回路35以外の他の論理回路を用いてもよい。
・各実施形態において、スイッチ回路9は、ハイサイドスイッチ17やローサイドスイッチ38以外の他の回路を用いてもよい。
【0044】
・各実施形態において、制御装置3、ロジック回路8、及びスイッチ回路9は、それぞれ独立した集積回路から構成されてもよいし、或いは、これらの2つを有する集積回路から構成されてもよい。
【0045】
・各実施形態において、電源16、26は、同一電源としてもよいし、異なるものとしてもよい。
・各実施形態において、初期駆動回路25は、種々のスイッチング素子やスイッチを使用できる。
【0046】
・第2実施形態において、短絡保護装置7から初期駆動回路25を省略してもよい。すなわち、天絡から負荷2を保護する短絡保護装置7において、初期駆動回路25を省略してもよい。
【0047】
・各実施形態において、制御装置3は、例えば、MPU(Micro Processor Unit)、CPU(Central Processing Unit)などとしてもよい。
・各実施形態において、短絡保護装置7は、車載用に限定されず、他の機器やシステムに使用可能である。
【0048】
・各実施形態において、本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0049】
1…負荷駆動装置、2…負荷、3…制御装置、7…短絡保護装置、8…ロジック回路、9…スイッチ回路、12…AND回路、16…電源、17…ハイサイドスイッチ、20…信号線、21…分圧抵抗、25…初期駆動回路、35…NOR回路、38…ローサイドスイッチ、Sa…制御信号、Sv…電圧信号。