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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041427
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】カラーフィルタ基板用修正装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20240319BHJP
   B08B 7/04 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
G02B5/20 101
B08B7/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146246
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】井口 正士
【テーマコード(参考)】
2H148
3B116
【Fターム(参考)】
2H148BC76
2H148BC77
2H148BC79
2H148BC80
2H148BG01
2H148BH02
3B116AA46
3B116AB03
3B116BC01
(57)【要約】
【課題】従来のディスプレイ用カラーフィルタの修正装置は、レーザーで異物除去する際、飛散したデブリ(煤)をノズルで吸引する方式の為、吸引した煤を装置外に排出する配管が必要であった。配管はレーザー照射ユニットが照射位置に移動する際の動作に干渉しないよう、引き回しに考慮が必要である。
本発明は上記問題を解決するため、排気用配管を用いることなく、発生した煤を基板上に付着しないように回収する機能を備えたカラーフィルタ用修正装置を提供する。
【解決手段】本発明は、ディスプレイ用カラーフィルタに存在する欠陥をレーザー照射により修正するカラーフィルタ修正装置に関し、少なくとも、カラーフィルタ基板の指定の位置にレーザー照射するレーザーアブレーションユニットと、煤を吸着する煤吸着電極と、煤吸着電極側に煤が付着するように、煤吸着電極との間に電位差を発生させる対向電極を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーフィルタ基板用修正装置であって、
少なくとも、
カラーフィルタ基板を搬送する機構と、
異物検出機能と、
レーザー照射機構と、
煤吸着用電極と、
対向電極と、
着色レジスト塗布機構と、
を有し、
前記レーザー照射機構が
レーザー照射部と煤吸着用電極を備えることを特徴とするカラーフィルタ基板用修正装
置。
【請求項2】
前記煤吸着電極は、前記レーザー照射機構の周辺に配置され、
前記対向電極は前記カラーフィルタ基板を搬送する機構のカラーフィルタ基板を挟ん
で前記煤吸着電極と対向する位置に配置されたことを特徴とする請求項1に記載のカラ
ーフィルタ基板用修正装置。
【請求項3】
カラーフィルタ基板用修正装置であって、
少なくとも、
カラーフィルタ基板を搬送する機構と、
異物検出機能と、
レーザー照射機構と、
煤吸着用電極と、
対向電極と、
着色レジスト塗布機構と、
を有し、
前記レーザー照射機構が
レーザー照射部と煤吸着用電極と対向電極を備えることを特徴とするカラーフィルタ基
板用修正装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディスプレイ用カラーフィルタの修正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスプレイ装置用カラーフィルタ基板は、その製造工程において、3色以上の種類の着色レジストを透明基板上に形成する着色画素形成工程があり、この工程はフォトリソ方式、インクジェット方式が用いられている。
【0003】
そして、上記いずれの方式で着色画素が形成された後、検査工程として画素ごとに着色画素となる部分に光学特性に影響をおよぼすような異物がないことを検査している。
【0004】
異物が検出されたカラーフィルタ基板は規格外、出荷不可となるが、異物を取り除き、着色レジストの状態を正常の部分と同じくすれば良品として認められる場合がある。
【0005】
このため、文献1のように異物検査機で異物が検出されたカラーフィルタ基板から、着色レジスト上の異物を除去し、異物を除去したあとの凹みを着色レジストで平たんに修復する修正装置がある。
【0006】
このように、修正装置で修正することにより、出荷不可となるカラーフィルタ基板が修正により、製品とすることができるので、特に大型のカラーフィルタ基板の生産性向上には欠かせない装置となっている。
【0007】
この修正工程では、異物の除去においては、レーザーを異物の検出された場所に照射して、異物の周辺の着色レジストを局所的に熱分解することで、異物を除去している。この時、熱分解した着色レジストはデブリと呼ばれる煤状なり、周辺の空間に放出される。
【0008】
このデブリを放置するとカラーフィルタ基板に落下して付着する。
【0009】
このデブリが付着したカラーフィルタ基板は洗浄してもデブリの除去は難しく、修正した基板がまた不良品となることがあった。
【0010】
この煤状のデブリの回収方法として、レーザー照射した近辺にノズルを接近させて吸引して、配管を経由して装置外で回収する方法が用いられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第5556001号公報(特開2010-102063)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来のディスプレイ用カラーフィルタの修正装置において、レーザーで異物除去する際、飛散したデブリ(煤)をノズルにより吸引する方式は、ノズルで吸引した煤を装置外に排出するため配管が必要で、装置としては、配管の引き回しを考慮したうえで、レーザー照射ユニットの照射位置に移動する際の動作においても配管の引き回しに配慮した動きとする必要があった。
【0013】
このため、本発明は、上記問題を解決するため、排気用の配管を用いることなく、レー
ザー照射により発生した煤を基板上に付着しないように回収する機能を備えたカラーフィルタ用修正装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に記載の発明は、
カラーフィルタ基板用修正装置であって、
少なくとも、
カラーフィルタ基板を搬送する機構と、
異物検出機能と、
レーザー照射機構と、
煤吸着用電極と、
対向電極と、
着色レジスト塗布機構と、
を有し、
前記レーザー照射機構が
レーザー照射部と煤吸着用電極を備えることを特徴とするカラーフィルタ基板用修正装置としたものである。
【0015】
そして、本発明の請求項2に記載の発明は、
前記煤吸着電極は、前記レーザー照射機構の周辺に配置され、
前記対向電極は前記カラーフィルタ基板を搬送する機構のカラーフィルタ基板を挟んで
前記煤吸着電極と対向する位置に配置されたことを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ基板用修正装置としたものである。
【0016】
また、本発明の請求項3に記載の発明は、
カラーフィルタ基板用修正装置であって、
少なくとも、
カラーフィルタ基板を搬送する機構と、
異物検出機能と、
レーザー照射機構と、
煤吸着用電極と、
対向電極と、
着色レジスト塗布機構と、
を有し、
前記レーザー照射機構が
レーザー照射部と煤吸着用電極と対向電極を備えることを特徴とするカラーフィルタ基板用修正装置としたものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明のカラーフィルタ基板用修正装置よれば、廃棄用ホースの引き回しが不要であるため、修正箇所への移動の制約が少ないため、作業時間の短縮が図れるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】画素上に異物のあるカラーフィルタ基板の概要を示した断面図である。
図2】本発明のカラーフィルタ基板用修正装置の機器構成図である。
図3】本発明のカラーフィルタ基板用修正装置の修正動作の手順を示したフロー図である。
図4】本発明のカラーフィルタ基板用修正装置において、レーザー加工した際に生成する煤の吸着の状態を示した模式図である。
図5】本発明のカラーフィルタ基板用修正装置にて(a)異物検出部分をレーザーで加工した状態を、(b)レーザーで加工した部分に修正用レジストを注入する状態を、(c)修正用レジストを注入完了した状態を、(d)注入した修正用レジストの上面を平坦にした状態を、それぞれ示した断面図である。
図6】本発明のカラーフィルタ基板用修正装置の別の実施形態の機器構成図である。
図7】従来のカラーフィルタ基板用修正装置の機器構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明のカラーフィルタ基板用修正装置について、図を用いて説明する。
【0020】
図1を用いて本発明のカラーフィルタ基板用修正装置の修正するカラーフィルタの状態を説明する。
【0021】
カラーフィルタ基板10は透明基板14上にブラックマトリクス15、着色画素13が形成される。
【0022】
着色画素の形成工程においては、カラーフィルタ基板10上、着色画素13上異物11が付着することがある。
【0023】
この様な異物11に関しては、カラーフィルタ基板形成後、検査装置にて欠陥部分の有無を調べ、その検査の結果にて、レーザーによる修正が必要な欠陥と判定された場合には、その位置、修正する範囲に関する情報が図示しない記憶手段に記録される。
【0024】
図1に示す異物11は先端にニードル形状のアタッチメントを取り付けたマニュピレータ等で取り除くことがあるが、埋まっている異物はこの方法では取れないものもある。
【0025】
この場合、異物のある画素13付近の着色レジストごと、レーザーで焼灼することで異物11をカラーフィルタ基板10から切り離すことが可能となる。
【0026】
図1には異物11は着色画素13に半分埋まっている状態のものを示しているが、この他にも異物11が完全に埋まってしまっている場合も同様である。
【0027】
図2を用いて本発明のカラーフィルタ基板用修正装置におけるレーザー照射ヘッドの機器構成を説明する。
【0028】
カラーフィルタ修正装置1は、修正が必要なカラーフィルタ基板10を載置する基板ステージ100と、修正機構200と、修正機構200の動作を制御する制御部300を備える。
【0029】
基板ステージ100は、図示しない、基板の位置決め機構を備えていて、図示しない基板ハンドラーが基板のロード、アンロードを行う。
【0030】
次に修正機構200は、レーザー照射ヘッド20と煤吸着用電極30と対向電極31とディスペンサ40とベルトサンダー50とを備える。
【0031】
レーザー照射ヘッド20は、検査機で検出された異物のあった部分の周辺も含めてレーザーを照射して異物を着色レジストごと除去するものである。着色レジストの除去が可能な炭酸ガスレーザー、UV-YAGレーザー等を用いることが可能である。
【0032】
煤吸着用電極30、対向電極31は、一対でレーザー加工時に出る煤を吸着するもので
、図示しない電源と接続した対向電極31が放電し、接地された煤吸着用電極30を適当な距離に設置されている。この電極間の電気的な流れに沿って煤22が移動し、煤吸着用電極30上に集められる。
【0033】
なお、本発明ではレーザー照射により発生した煤の拡散を意図的に制御することはしていないが、必要に応じて煤吸着用電極30側に移動を促進するため、ファンを修正機構に設けてもよい。
【0034】
ディスペンサ40は図示しない容器から修正用着色レジストの供給を受けて、制御部300から受け取った吐出条件に基づき吐出するものである。
【0035】
また、図示しないが、カラーフィルタ基板10に吐出した修正用着色レジスト41を硬化させるための紫外光照射機構を有している。
【0036】
ベルトサンダー50は、ディスペンサ40からカラーフィルタ基板10に吐出した修正用着色レジスト41の表面を平たんにするため、修正用着色レジスト41を硬化させたのち、表面を削るため、ベルト状のサンドペーパーで修正用着色レジスト41の表面を削る。
図3を用いて発明のカラーフィルタ基板用修正装置の修正動作の手順を示したフロー図を、そして、図4図5を用いてカラーフィルタ基板用修正装置を用いて修正動作中の着色レジストの状態を説明する。
【0037】
1.(修正動作の)開始
修正作業開始の信号を受け付けると修正動作が始まる。
【0038】
2.ジョブデータ読み込み
修正するカラーフィルタ基板の情報、さらには修正位置、範囲、着色レジストの注入
、形状を整える条件を図示しない記憶装置からロードする。
【0039】
3.レーザー照射ヘッド初期位置移動
レーザー照射ヘッドを図示しない待機位置から初期位置(原点)に移動する。
【0040】
4.カラーフィルタ基板ロード
修正加工するカラーフィルタ基板10をステージ100上に載置する。
【0041】
5.レーザー照射ヘッド移動、位置決め
ジョブデータが加工順に実行される。レーザー照射ヘッドをジョブデータに格納され
た座標位置まで移動して、位置決めする。
【0042】
6.煤吸着電極ON、レーザー照射
位置決めができたら、煤吸着電極を稼働させたのち、ジョブデータに格納されたレー
ザー照射条件で着色レジストにレーザーを照射する。この時、出てきた煤は、図4
示すように、煤吸着電極30に向かって電界が形成されるように設けた対向電極との
間に電位差が出るように電圧印加することで、煤22は煤吸着電極30の表面に付着
する。
【0043】
こうして、所定の時間レーザーを照射した後のカラーフィルタ基板は図5(a)に示
めすように表面が削られた形状となる。
【0044】
7.煤吸着電極OFF
レーザーが照射されてから、所定の時間後煤吸着電極をOFFにする。
【0045】
8.レーザー照射ヘッド移動、レジストワークヘッド移動
レーザー照射ヘッドが移動して、修正レジスト塗布機構が、レーザー照射位置に移動
する。
【0046】
9.リペアレジストの注入、硬化、表面研磨
レーザー照射位置に修正レジスト注入するためノズル40を移動して、修正用レジス
トをレーザー照射位置にジョブデータに格納された情報に基づいて、所定の量を注入
する。
【0047】
注入の状態を図5(b)に示す。
【0048】
注入後、図示しないUV照射機構で注入した修正用レジストを硬化させる。
【0049】
注入したレジストが熱硬化タイプであれば、UV照射機構に代えてヒーターで加熱し
てもよい。
【0050】
次に注入、硬化したレジストの表面は、図5(c)に示すように盛り上がっているの
で、小型のベルトサンダーで表面を均した状態を図5(d)に示す。
【0051】
ここまでが1か所の修正動作となる。
【0052】
10.次のリペアジョブの確認
ジョブデータを確認する。ジョブデータに次の修正ジョブがある場合は、5.に進み
、次の修正ジョブがない場合は、1枚の基板に対する作業終了したので、11.に進

11.レーザー照射機構を初期位置に移動
10.で次のジョブデータが無かった場合は、レーザー照射機構を初期位置に移動す
る。
【0053】
12.基板アンロード
基板ステージ100からカラーフィルタ基板10を払い出す。
【0054】
13.煤吸着電極クリーニング
煤吸着電極に付着した煤をブラシや布で除去する。
【0055】
14.終了
図6を用いて本発明のカラーフィルタ基板用修正装置の別の実施形態の機器構成に
ついて説明する。
【0056】
対向電極31が基板ステージ100に内蔵されているため、煤が上がる位置には煤吸
着電極30のみを配置することができるので、補修効率が高くなる。
【0057】
図7は従来のカラーフィルタ基板用修正装置におけるレーザー照射ヘッドの機器構成を示したものである。
【0058】
従来のカラーフィルタ基板用修正装置は基板ステージにカラーフィルタ基板を載置して、欠陥のある部分にレーザーを照射する点は本発明と同じ構造である。
【0059】
しかし、着色画素にレーザーを照射した際に出てくる煤がカラーフィルタ基板に落ちないようにする機構がちがっていて、レーザー照射ヘッドを囲う様にカバーが設けられ、そのカバー内を吸気して、装置外に排出することで煤を処理している。
【0060】
この装置外に排出するためには廃棄ダクトを設ける必要があり、修正作業の際にはレーザーヘッドの移動に合わせて廃棄ダクトも追従するようにするような搬送機構にすることや、ダクトの引き回し等に考慮する必要があった。
【0061】
本発明は、特にダクトに引き回しをする必要がなく、搬送機構が簡素化できるので、大型基板用の装置化する際には有利である。
【符号の説明】
【0062】
1 ・・・ カラーフィルタ修正装置
100 ・・・ 基板ステージ
200 ・・・ 修正機構
300 ・・・ 制御部
10 ・・・ カラーフィルタ基板
11 ・・・ 異物
12 ・・・ (異物のない)画素
13 ・・・ 異物のある画素
14 ・・・ 透明基板
15 ・・・ ブラックマトリクス
20 ・・・ レーザー照射ヘッド
21 ・・・ レーザー照射部
22、22’ ・・・ 煤
30 ・・・ 煤吸着用電極
31 ・・・ 対向電極
40 ・・・ ディスペンサ(のノズル)
41 ・・・ 修正用着色レジスト
50 ・・・ ベルトサンダー
60 ・・・ 排気ダクト
61 ・・・ カバー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7