(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004143
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】プリンタ、制御方法、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01 401
B41J2/01 451
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103642
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100213687
【弁理士】
【氏名又は名称】平松 大輝
(72)【発明者】
【氏名】川北 彬広
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB06
2C056EB29
2C056EC06
2C056EC28
2C056EE18
2C056FA02
2C056FA10
2C056FB03
2C056HA60
(57)【要約】
【課題】振動子の噴霧能力が低下した状態になることを抑制するという利点に貢献するプリンタ、制御方法、および制御プログラムを提供する。
【解決手段】プリンタは、底面を含み、液体が収容される容器と、容器に収容された液体を振動させることで空気を加湿する振動子と、第一バルブおよび第一ポンプの少なくとも一方を含み、容器に収容された液体の液位を、第一バルブおよび第一ポンプの少なくとも一方によって変動させる第一変動部と、液位が第一高さになったことを示す第一検知信号を出力する第一センサと、制御部とを備える。制御部は、第一変動部を制御し、液位を変動させる(S82)。その後、制御部は、第一変動部を制御し、第一高さよりも低く底面よりも高い維持位置に液位を維持する(S86)。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットヘッドによって印刷を行うプリンタであって、
底面を含み、液体が収容される容器と、
前記容器に収容された前記液体を振動させることで空気を加湿する振動子と、
第一バルブおよび第一ポンプの少なくとも一方を含み、前記容器に収容された前記液体の液位を、前記第一バルブおよび前記第一ポンプの少なくとも一方によって変動させる第一変動部と、
前記液位が第一高さになったことを示す第一検知信号を出力する第一センサと、
制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記第一変動部を制御し、前記液位を変動させる変動処理を行い、
前記変動処理が行われた後、前記第一変動部を制御し、前記第一高さよりも低く前記底面よりも高い維持位置に前記液位を維持する第一維持処理を行う
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
前記液位が前記第一高さよりも低い第二高さになったことを示す第二検知信号を出力する第二センサを備え、
前記制御部は、
前記振動子を振動させることで前記空気を加湿する加湿処理を行い、
前記加湿処理の実行中に、前記第二センサによって前記第二検知信号が出力された場合、前記第一変動部を制御し、前記液位を上昇させる前記変動処理を行い、
前記第一維持処理において、記憶部に記憶されたパラメータであって、前記第一維持処理において前記液位を前記維持位置に維持するための液位制御パラメータに基づいて前記第一変動部を制御し、前記液位を前記維持位置に維持する
ことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項3】
前記制御部は、
前記変動処理が行われた後、前記第一維持処理によって前記液位制御パラメータに基づいて前記第一変動部が制御され、前記液位が前記維持位置に維持されるよりも前に、前記第一センサによって前記第一検知信号が出力された場合、前記第一変動部を制御し、前記液位を前記第一高さに維持する第二維持処理を行い、
前記制御部は、
前記加湿処理の実行中に前記第二維持処理が実行された場合、前記加湿処理を継続して行う
ことを特徴とする請求項2に記載のプリンタ。
【請求項4】
前記制御部は、
前記変動処理が行われた後、前記第一維持処理によって前記液位制御パラメータに基づいて前記第一変動部が制御され、前記液位が前記維持位置に維持されるよりも前に、前記第一センサによって前記第一検知信号が出力された場合、前記第一変動部を制御し、前記液位を前記第一高さに維持する第二維持処理を行い、
前記第一センサによって前記第一検知信号が出力されたことに基づいて、前記液位制御パラメータを前記記憶部に記憶する記憶処理を行う
ことを特徴とする請求項2に記載のプリンタ。
【請求項5】
前記制御部は、
前記容器に前記液体を供給する初期導入を行う指示を受け付ける受付処理を行い、
前記受付処理によって前記指示が受け付けられた場合、前記第一変動部を制御し、前記液位を上昇させる上昇処理を行い、
前記第一センサによって前記第一検知信号が出力されたことに基づいて、前記液位制御パラメータを前記記憶部に記憶する記憶処理を行う
ことを特徴とする請求項2に記載のプリンタ。
【請求項6】
第二バルブおよび第二ポンプの少なくとも一方を含み、前記第二バルブおよび前記第二ポンプの少なくとも一方によって、前記液位を下降させる第二変動部を備え、
前記第一変動部は、前記第一バルブおよび前記第一ポンプの少なくとも一方によって、前記液位を上昇させ、
前記制御部は、
前記容器に収容された前記液体を入れ替える指示を受け付ける受付処理を行い、
前記受付処理によって前記指示が受け付けられた場合、前記第二変動部を制御し、前記液位を下降させる下降処理を行い、
前記下降処理が行われた後、前記第二センサによって前記第二検知信号が出力されたことに基づいて、前記第一変動部を制御し、前記液位を上昇させる上昇処理を行い、
前記第一センサによって前記第一検知信号が出力されたことに基づいて、前記液位制御パラメータを前記記憶部に記憶する記憶処理を行う
ことを特徴とする請求項2に記載のプリンタ。
【請求項7】
第二バルブおよび第二ポンプの少なくとも一方を含み、前記第二バルブおよび前記第二ポンプの少なくとも一方によって、前記液位を下降させる第二変動部を備え、
前記第一変動部は、前記第一バルブおよび前記第一ポンプの少なくとも一方によって、前記液位を上昇させ、
前記制御部は、
前記第一変動部を制御し、前記液位を上昇させる上昇処理を行い、
前記上昇処理が行われた後、前記第一センサによって前記第一検知信号が出力された場合、前記第二変動部を制御し、前記液位を下降させる下降処理を行い、
前記下降処理が行われた後、前記第一変動部を制御し、前記液位を上昇させる前記変動処理を行い、
前記第一維持処理において、記憶部に記憶されたパラメータであって、前記第一維持処理において前記液位を前記維持位置に維持するための液位制御パラメータに基づいて前記第一変動部を制御し、前記液位を前記維持位置に維持する
ことを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第一変動部を制御し、前記液位を上昇させる上昇処理を行い、
前記上昇処理が行われた後、前記第一センサによって前記第一検知信号が出力されたことに基づいて、または前記第二センサによって前記第二検知信号が出力されたことに基づいて、前記液位制御パラメータを特定する特定処理を行い、
前記特定処理によって特定された前記液位制御パラメータを前記記憶部に記憶する記憶処理を行う
ことを特徴とする請求項2に記載のプリンタ。
【請求項9】
底面を含み、液体が収容される容器と、
前記容器に収容された前記液体を振動させることで空気を加湿する振動子と、
第一バルブおよび第一ポンプの少なくとも一方を含み、前記容器に収容された前記液体の液位を、前記第一バルブおよび前記第一ポンプの少なくとも一方によって変動させる第一変動部と
を備え、インクジェットヘッドによって印刷を行うプリンタの制御方法であって、
前記第一変動部を制御し、前記液位を変動させる変動処理を行い、
前記変動処理が行われた後、前記第一変動部を制御し、第一高さよりも低く前記底面よりも高い維持位置に前記液位を維持する第一維持処理を行う
ことを特徴とする制御方法。
【請求項10】
底面を含み、液体が収容される容器と、
前記容器に収容された前記液体を振動させることで空気を加湿する振動子と、
第一バルブおよび第一ポンプの少なくとも一方を含み、前記容器に収容された前記液体の液位を、前記第一バルブおよび前記第一ポンプの少なくとも一方によって変動させる第一変動部と
を備え、インクジェットヘッドによって印刷を行うプリンタのコンピュータに、
前記第一変動部を制御し、前記液位を変動させる変動処理を実行させ、
前記変動処理が行われた後、前記第一変動部を制御し、第一高さよりも低く前記底面よりも高い維持位置に前記液位を維持する第一維持処理を実行させる
ことを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、制御方法、および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の画像形成装置は、画像形成部を備え、画像形成部によって媒体に画像を印刷する。さらに、画像形成装置は、加湿部と貯水タンクとフロートセンサと供給部と補給部とを備える。加湿部は空気を加湿する。貯水タンクは液体を貯留する。フロートセンサは貯水タンク内の液量が満杯とみなす量になったことを検知する。供給部は液体を貯水タンクから加湿部に供給する。補給部は液体を貯水タンクに補給する。画像形成装置は、貯水タンク内の液量が減少すると、液体を補給部から貯水タンクに補給する。その後、画像形成装置は、貯水タンク内の液量が満杯とみなす量になったことがフロートセンサによって検知された場合、補給部から貯水タンクへの液体の補給を停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記画像形成装置において、加湿部が例えば振動子によって構成される場合がある。この場合、振動子から液面までの距離が大きくなると、振動子の噴霧能力が低下した状態になる可能性がある。理由は、振動子から液面までの距離が大きくなると、振動子による振動が液面まで伝わりにくくなるためである。
【0005】
上記画像形成装置では、貯水タンク内の液量が満杯とみなす量になったことがフロートセンサによって検知された場合に、補給部から貯水タンクへの液体の補給が停止される。このため、例えば補給部から貯水タンクへの液体の補給が停止された直後では、貯水タンク内の液位が比較的高くなり、振動子から液面までの距離が大きくなる。よって、上記画像形成装置において、加湿部が振動子によって構成される場合、補給部から貯水タンクへの液体の補給が停止された直後では、振動子の噴霧能力が低下した状態になる可能性がある。
【0006】
インクジェットプリンタにおいて、振動子の噴霧能力が低下した状態から加湿が開始されると、実際の湿度が目標の湿度に達するまでの加湿時間が延びる可能性がある。実際の湿度が目標の湿度に達するまでの加湿時間が延びた場合、例えば、印刷開始に遅れが生じる可能性がある。あるいは、例えば、印刷開始までに実際の湿度が目標の湿度に達しない可能性がある。さらに、例えば、印刷中に実際の湿度が目標の湿度に達しない可能性がある。実際の湿度が目標の湿度に達していない状態で印刷が行われると、インクの不吐出が生じる可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、振動子の噴霧能力が低下した状態になることを抑制するという利点に貢献するプリンタ、制御方法、および制御プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一態様に係るプリンタは、インクジェットヘッドによって印刷を行うプリンタであって、底面を含み、液体が収容される容器と、前記容器に収容された前記液体を振動させることで空気を加湿する振動子と、第一バルブおよび第一ポンプの少なくとも一方を含み、前記容器に収容された前記液体の液位を、前記第一バルブおよび前記第一ポンプの少なくとも一方によって変動させる第一変動部と、前記液位が第一高さになったことを示す第一検知信号を出力する第一センサと、制御部とを備え、前記制御部は、前記第一変動部を制御し、前記液位を変動させる変動処理を行い、前記変動処理が行われた後、前記第一変動部を制御し、前記第一高さよりも低く前記底面よりも高い維持位置に前記液位を維持する第一維持処理を行うことを特徴とする。
【0009】
第一態様によれば、制御部は、第一維持処理において、液位を維持位置に維持する。維持位置が第一高さよりも低いので、第一維持処理が行われた後の液位は第一高さよりも低くなる。よって、制御部は、第一維持処理後の液位が第一高さの場合に比べて、振動子の噴霧能力が低下した状態になることを抑制するという利点に貢献する。
【0010】
前記プリンタは、前記液位が前記第一高さよりも低い第二高さになったことを示す第二検知信号を出力する第二センサを備え、前記制御部は、前記振動子を振動させることで前記空気を加湿する加湿処理を行い、前記加湿処理の実行中に、前記第二センサによって前記第二検知信号が出力された場合、前記第一変動部を制御し、前記液位を上昇させる前記変動処理を行い、前記第一維持処理において、記憶部に記憶されたパラメータであって、前記第一維持処理において前記液位を前記維持位置に維持するための液位制御パラメータに基づいて前記第一変動部を制御し、前記液位を前記維持位置に維持してもよい。
【0011】
この場合、制御部は、第一維持処理において、液位制御パラメータに基づいて第一変動部を制御する。よって、制御部は、第一維持処理において、液位を維持位置に維持しやすいという利点に貢献する。
【0012】
前記プリンタにおいて、前記制御部は、前記変動処理が行われた後、前記第一維持処理によって前記液位制御パラメータに基づいて前記第一変動部が制御され、前記液位が前記維持位置に維持されるよりも前に、前記第一センサによって前記第一検知信号が出力された場合、前記第一変動部を制御し、前記液位を前記第一高さに維持する第二維持処理を行い、前記制御部は、前記加湿処理の実行中に前記第二維持処理が実行された場合、前記加湿処理を継続して行ってもよい。
【0013】
この場合、加湿処理の実行中に第二維持処理が実行されても、制御部は加湿処理を継続して行う。よって、制御部は、加湿処理の実行中に第二維持処理が実行されても、実際の湿度が目標の湿度になるまで加湿するのにかかる時間を短縮するという利点に貢献する。
【0014】
前記プリンタにおいて、前記制御部は、前記変動処理が行われた後、前記第一維持処理によって前記液位制御パラメータに基づいて前記第一変動部が制御され、前記液位が前記維持位置に維持されるよりも前に、前記第一センサによって前記第一検知信号が出力された場合、前記第一変動部を制御し、前記液位を前記第一高さに維持する第二維持処理を行い、前記第一センサによって前記第一検知信号が出力されたことに基づいて、前記液位制御パラメータを前記記憶部に記憶する記憶処理を行ってもよい。
【0015】
この場合、第一センサによる実際の検知結果に基づいて液位制御パラメータを記憶する。よって、制御部は、第一維持処理において液位が目標の維持位置からずれることを抑制するという利点に貢献する。
【0016】
前記プリンタにおいて、前記制御部は、前記容器に前記液体を供給する初期導入を行う指示を受け付ける受付処理を行い、前記受付処理によって前記指示が受け付けられた場合、前記第一変動部を制御し、前記液位を上昇させる上昇処理を行い、前記第一センサによって前記第一検知信号が出力されたことに基づいて、前記液位制御パラメータを前記記憶部に記憶する記憶処理を行ってもよい。
【0017】
この場合、制御部は、第一センサによる実際の検知結果に基づいて液位制御パラメータを記憶する。よって、制御部は、第一維持処理において液位が目標の維持位置からずれることを抑制するという利点に貢献する。
【0018】
前記プリンタは、第二バルブおよび第二ポンプの少なくとも一方を含み、前記第二バルブおよび前記第二ポンプの少なくとも一方によって、前記液位を下降させる第二変動部を備え、前記第一変動部は、前記第一バルブおよび前記第一ポンプの少なくとも一方によって、前記液位を上昇させ、前記制御部は、前記容器に収容された前記液体を入れ替える指示を受け付ける受付処理を行い、前記受付処理によって前記指示が受け付けられた場合、前記第二変動部を制御し、前記液位を下降させる下降処理を行い、前記下降処理が行われた後、前記第二センサによって前記第二検知信号が出力されたことに基づいて、前記第一変動部を制御し、前記液位を上昇させる上昇処理を行い、前記第一センサによって前記第一検知信号が出力されたことに基づいて、前記液位制御パラメータを前記記憶部に記憶する記憶処理を行ってもよい。
【0019】
この場合、制御部は、第一センサによる実際の検知結果によって液位制御パラメータを記憶する。よって、制御部は、第一維持処理において液位が目標の維持位置からずれることを抑制するという利点に貢献する。
【0020】
前記プリンタは、第二バルブおよび第二ポンプの少なくとも一方を含み、前記第二バルブおよび前記第二ポンプの少なくとも一方によって、前記液位を下降させる第二変動部を備え、前記第一変動部は、前記第一バルブおよび前記第一ポンプの少なくとも一方によって、前記液位を上昇させ、前記制御部は、前記第一変動部を制御し、前記液位を上昇させる上昇処理を行い、前記上昇処理が行われた後、前記第一センサによって前記第一検知信号が出力された場合、前記第二変動部を制御し、前記液位を下降させる下降処理を行い、前記下降処理が行われた後、前記第一変動部を制御し、前記液位を上昇させる前記変動処理を行い、前記第一維持処理において、記憶部に記憶されたパラメータであって、前記第一維持処理において前記液位を前記維持位置に維持するための液位制御パラメータに基づいて前記第一変動部を制御し、前記液位を前記維持位置に維持してもよい。
【0021】
この場合、制御部は、下降処理が行われた後、第一維持処理において液位制御パラメータに基づいて第一変動部を制御する。よって、制御部は、第一維持処理において液位が目標の維持位置からずれることを抑制するという利点に貢献する。
【0022】
前記プリンタにおいて、前記制御部は、前記第一変動部を制御し、前記液位を上昇させる上昇処理を行い、前記上昇処理が行われた後、前記第一センサによって前記第一検知信号が出力されたことに基づいて、または前記第二センサによって前記第二検知信号が出力されたことに基づいて、前記液位制御パラメータを特定する特定処理を行い、前記特定処理によって特定された前記液位制御パラメータを前記記憶部に記憶する記憶処理を行ってもよい。
【0023】
この場合、制御部は、特定処理において、第一センサによって第一検知信号が出力されたことに基づいて、または第二センサによって第二検知信号が出力されたことに基づいて、液位制御パラメータを特定する。このため、プリンタは、液位制御パラメータを特定するためのセンサを、第一センサまたは第二センサとは別に備える必要がない。よって、制御部は、プリンタの部品点数が増加することを抑制しつつ、振動子の噴霧能力が低下した状態になることを抑制するという利点に貢献する。
【0024】
本発明の第二態様に係る制御方法は、底面を含み、液体が収容される容器と、前記容器に収容された前記液体を振動させることで空気を加湿する振動子と、第一バルブおよび第一ポンプの少なくとも一方を含み、前記容器に収容された前記液体の液位を、前記第一バルブおよび前記第一ポンプの少なくとも一方によって変動させる第一変動部とを備え、インクジェットヘッドによって印刷を行うプリンタの制御方法であって、前記第一変動部を制御し、前記液位を変動させる変動処理を行い、前記変動処理が行われた後、前記第一変動部を制御し、第一高さよりも低く前記底面よりも高い維持位置に前記液位を維持する第一維持処理を行うことを特徴とする。
【0025】
第二態様は、第一態様と同様の利点に貢献する。
【0026】
本発明の第三態様に係る制御プログラムは、底面を含み、液体が収容される容器と、前記容器に収容された前記液体を振動させることで空気を加湿する振動子と、第一バルブおよび第一ポンプの少なくとも一方を含み、前記容器に収容された前記液体の液位を、前記第一バルブおよび前記第一ポンプの少なくとも一方によって変動させる第一変動部とを備え、インクジェットヘッドによって印刷を行うプリンタのコンピュータに、前記第一変動部を制御し、前記液位を変動させる変動処理を実行させ、前記変動処理が行われた後、前記第一変動部を制御し、第一高さよりも低く前記底面よりも高い維持位置に前記液位を維持する第一維持処理を実行させることを特徴とする。
【0027】
第三態様は、第一態様と同様の利点に貢献する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図4】供給タンク81および排出タンク91のそれぞれと加湿器7との間の流路構成図である。
【
図5】プリンタ1の電気的構成を示すブロック図である。
【
図10】初期導入処理の実行時における液位LLの状態遷移図である。
【
図12】入替処理の実行時における液位LLの状態遷移図である。
【
図14】供給処理の実行時における液位LLの状態遷移図である。
【
図15】供給処理の実行時における液位LLの状態遷移図である。
【
図16】入替処理の実行時における液位LLの状態遷移図である。
【
図17】入替処理の実行時における液位LLの状態遷移図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図面を参照して、本発明の一実施形態に係るプリンタ1を説明する。
図1の上方、下方、左下方、右上方、右下方、および左上方が、それぞれ、プリンタ1の上方、下方、前方、後方、右方、および左方である。本実施形態において図面中の機械的要素は、実際のスケールを示す。
【0030】
図1に示すプリンタ1はインクジェットプリンタであり、布帛、紙等の印刷媒体にインクを吐出して印刷を行う。プリンタ1は、白インクと、カラーインク(黒、イエロー、シアン、およびマゼンタのインク)とを用いて、印刷媒体にカラー画像を印刷できる。
【0031】
図1を参照し、プリンタ1の外観構成を説明する。プリンタ1は筐体8を備える。筐体8は直方体状であり、下カバー10と蓋11とを備える。下カバー10は正面視U字状である。下カバー10の前面には開口13が形成される。開口13は正面視で矩形状であり、前後方向および上方に開口する。蓋11は下カバー10の上側に設けられ、蓋11の後端を軸として回転することで、下カバー10の上面を覆う位置と下カバー10の上面を開放する位置とに開閉する。以下では、下カバー10の左面、右面、底面、および蓋11によって囲まれる空間を「筐体8の内部」という。
【0032】
下カバー10の前面のうち開口13の右側には、操作ボタン15と表示画面16とが設けられる。操作ボタン15は、作業者による操作に応じて各種情報をプリンタ1に入力する。表示画面16は各種情報を表示する。
【0033】
開口13内にはプラテン12が配置される。プラテン12は板状であり、支持部14によって下方から、前後方向に移動可能に支持される。支持部14は開口13内で
図2に示す枠体2に固定される。プラテン12は、
図5に示す副走査モータ121の駆動により、開口13を介して筐体8の外部と筐体8の内部との間で前後方向に移動する。したがって、本実施形態では前後方向が副走査方向となる。
【0034】
図2、
図3を参照し、プリンタ1の内部構造を説明する。
図2に示すように、
図1に示す筐体8の内部には枠体2が設けられる。枠体2は複数のシャフトで格子状に構成され、シャフト21、22、23、24、25、26を含む。
【0035】
シャフト21は、枠体2の左端に設けられ、上下方向に延びる。シャフト22は、枠体2の右端に設けられ、上下方向に延びる。シャフト23は、左右方向において、枠体2の中央とシャフト21との間の位置に設けられ、上下方向に延びる。シャフト24は、左右方向において、枠体2の中央とシャフト22との間に設けられ、上下方向に延びる。シャフト25は、シャフト23の上端から後方に延びる。シャフト26は、シャフト24の上端から後方に延びる。
【0036】
シャフト25、26には一対のガイドレール28、29が固定される。ガイドレール28はシャフト25、26のそれぞれの前端に位置し、シャフト21からシャフト22まで左右方向に延びる。ガイドレール29は枠体2の前後方向の略中央に配置され、シャフト21からシャフト22まで左右方向に延びる。
【0037】
ガイドレール28、29はキャリッジ6を支持する。キャリッジ6は板状であり、ガイドレール28からガイドレール29まで延びる。キャリッジ6には一または複数のヘッド3が搭載される。本実施形態では、3つのヘッド3が前後方向に並んだ列が、左右方向に2つ並ぶ。
図2では、左方に配置されたヘッド3の列が示される。ヘッド3はインクジェットヘッドであり、直方体状を有する。
【0038】
図3に示すように、ヘッド3は下面30を含む。下面30は、キャリッジ6から下方に露出する。下面30は、プラテン12よりも上方に配置される。下面30には、複数のノズル(図示略)が形成される。ヘッド3は、
図5に示すヘッド駆動部31の駆動により、複数のノズルからインクを吐出する。ヘッド駆動部31は、圧電素子または発熱素子である。本実施形態では、複数のヘッド3のいずれかは、複数のノズルから白インクを吐出する。複数のヘッド3の他のいずれかは、複数のノズルからカラーインクを吐出する。ヘッド3は、特色インク、前処理剤、後処理剤、抜染剤等の液体をノズルから吐出してもよい。
【0039】
図2に示すように、左右方向において、シャフト21とシャフト23との間には、メンテナンス機構4が設けられる。メンテナンス機構4は、キャップ、ワイパ、フラッシングボックス等を含む。メンテナンス機構4では、キャップによる下面30へのキャッピング、ワイパによる下面30のワイピング、ヘッド3によるフラッシングボックスへのフラッシング等が行われる。
【0040】
キャリッジ6の後端部には駆動ベルト62の一端が連結する。駆動ベルト62は左右方向に延びる。駆動ベルト62の他端は主走査モータ61に連結する。主走査モータ61はガイドレール29の左端に設けられる。主走査モータ61が駆動することで、駆動ベルト62は、キャリッジ6をシャフト21、22に沿って左右方向に移動させる。したがって、本実施形態では、左右方向が主走査方向となる。
【0041】
図3に示すように、左右方向において、キャリッジ6の移動範囲は、ガイドレール28と
図2に示すガイドレール29のそれぞれの左端と右端の間である。
図3は、キャリッジ6が移動範囲の右端に位置する状態を示す(
図2も同様。)。以下では、
図1に示す筐体8の内部において、平面視でキャリッジ6の移動経路とプラテン12の移動経路とが重なる領域を含む空間を、「印刷空間S1」という。印刷空間S1は筐体8の内部において、正面視でシャフト23とシャフト24の間の空間である。
【0042】
図1に示す筐体8の内部において、平面視でキャリッジ6の移動経路のうち印刷空間S1よりも左方の空間を「メンテナンス空間S2」という。メンテナンス空間S2は筐体8の内部において、正面視でシャフト21とシャフト23の間の空間である。
図1に示す筐体8の内部において、平面視でキャリッジ6の移動経路のうち印刷空間S1よりも右方の空間を「待機空間S3」という。待機空間S3は筐体8の内部において、正面視でシャフト22とシャフト24の間の空間である。
【0043】
プリンタ1は、キャリッジ6がメンテナンス空間S2に配置された状態で、メンテナンス機構4によって複数のヘッド3のメンテナンスを行う。プリンタ1は、プリンタ1による印刷が行われておらず、且つメンテナンス機構4によるメンテナンスが行われていない場合、キャリッジ6が待機空間S3に配置された状態で待機する。
【0044】
プリンタ1は、キャリッジ6およびプラテン12が印刷空間S1に配置された状態で、印刷を行う。すなわち、プリンタ1は、
図5に示す副走査モータ121と主走査モータ61を駆動する。副走査モータ121の駆動によってプラテン12が前後方向(副走査方向)に移動する。主走査モータ61の駆動によってキャリッジ6が左右方向(主走査方向)に移動する。これにより、印刷媒体が複数のヘッド3に対して前後方向および左右方向に搬送される。
【0045】
例えば、プリンタ1は、印刷媒体を複数のヘッド3に対して左右方向に搬送しながら
図5に示すヘッド駆動部31を駆動し、複数のヘッド3からインクを吐出する。その後、プリンタ1は印刷媒体を複数のヘッド3に対して前後方向に移動させる。これらの動作が繰り返されることにより、印刷媒体への印刷が行われる。
【0046】
プリンタ1は、さらに加湿器7を備える。加湿器7は、プリンタ1の右下方に配置され、超音波方式で空気を加湿する。
図4に示すように、加湿器7は、容器71、レベルセンサ78、振動子75、チューブ731、732、ファン76、77(
図5参照)、およびファンモータ761、771(
図5参照)を備える。
【0047】
容器71は直方体状のタンクであり、カバー70によって覆われる。容器71は底面711を含む。底面711は、容器71の下端に位置し、前後左右方向に延びる。容器71内には液体が収容される。液体は特定の物質に限定されないが、本実施形態では水である。
【0048】
以下では、容器71内の液面のレベルを「液位LL」といい、「上限レベルL1」および「下限レベルL2」を定義する。液位LLは、上下方向において、容器71の底面711から容器71内の液面までの高さである。上限レベルL1は、容器71の底面711からの高さが高さH1となるレベルである。上限レベルL1は、特定のレベルに限定されないが、例えば容器71内の液量が満杯または満杯に近い場合のレベルである。
【0049】
下限レベルL2は、容器71の底面711からの高さが高さH2となるレベルであり、容器71の底面711よりも上方のレベルである。高さH2は高さH1よりも低い。下限レベルL2は、特定のレベルに限定されないが、例えば容器71内の液量が、後述の振動子75によって容器71内の液体が噴霧されることが困難な液量の場合のレベルである。
【0050】
レベルセンサ78は、容器71内に設けられ、液位LLが上限レベルL1以上であることを検知し、液位LLが下限レベルL2以下であることを検知する。レベルセンサ78は、軸781、上限ストッパ782、下限ストッパ783、およびフロート784を含む。軸781は、上下方向に延び、容器71に固定される。
【0051】
上限ストッパ782は、上限レベルL1の位置に設けられ、軸781に固定される。上限ストッパ782は、軸781から径方向外側に突出し、後述のフロート784が上限ストッパ782よりも上方に移動することを規制する。下限ストッパ783は、下限レベルL2の位置に設けられ、軸781に固定される。下限ストッパ783は、上限ストッパ782から下方に離れた位置に位置する。下限ストッパ783は、軸781から径方向外側に突出し、後述のフロート784が下限ストッパ783よりも下方に移動することを規制する。
【0052】
詳しくは後述するが、レベルセンサ78は、フロート784内の後述のマグネットの磁力によって、液位LLの高さを検知する。このため、仮に上限ストッパ782と下限ストッパ783との間が極端に狭いと、フロート784内のマグネットが誤作動し、液位LLの高さがレベルセンサ78によって誤検知される可能性がある。このため、上限ストッパ782を下限ストッパ783に近づけるようにレベルセンサ78を構成することは困難である。よって、本実施形態では、上限ストッパ782と下限ストッパ783とは、マグネットが誤作動しない程度の距離分、互いに上下方向に離れる。
【0053】
フロート784はマグネット(図示略)、
図5に示す第一リードスイッチ785、および第二リードスイッチ786を含み、軸781によって支持される。フロート784は、上限ストッパ782と下限ストッパ783との間で軸781に沿って上下方向に移動する。フロート784は、容器71内の液体(本実施形態では、水)上に浮く。このため、フロート784は液位LLの上昇に応じて上昇し、液位LLの低下に応じて下降する。
【0054】
液位LLが上限レベルL1よりも低く、且つ下限レベルL2よりも高い場合、フロート784は上限ストッパ782から下方に離れ、且つ下限ストッパ783から上方に離れる。液位LLが上限レベルL1以上になると、フロート784は上限ストッパ782に下方から接触する。これにより、上限ストッパ782は、フロート784が上限ストッパ782よりも上方に移動することを規制する。液位LLが下限レベルL2以下になると、フロート784は、下限ストッパ783に上方から接触する。これにより、下限ストッパ783は、フロート784が下限ストッパ783よりも下方に移動することを規制する。
【0055】
振動子75は容器71の底面711に設けられる。振動子75は振動子75に入力された電力を超音波振動に変換する。振動子75は超音波振動することで、容器71内の液体を底面711側から振動させ、液面から噴霧させる。これにより、容器71内の空気が加湿される。
【0056】
チューブ731、732のそれぞれの一端7311、7321は、容器71の上部に接続される。
図3に示すように、チューブ731の他端7312は、メンテナンス空間S2内に配置される。チューブ732の他端7322は、待機空間S3内に配置される。
【0057】
図5に示すファン76はチューブ731に設けられる。ファン76は回転することで、容器71内からチューブ731を介してメンテナンス空間S2に向けて気流を発生させる。
図5に示すファン77はチューブ732に設けられる。ファン77は回転することで、容器71内からチューブ732を介して待機空間S3に向けて気流を発生させる。
図5に示すファンモータ761、771は、それぞれ、駆動することで、ファン76、77を回転させる。
【0058】
図4に示すように、本実施形態では、容器71には、供給チューブ82を介して供給タンク81が接続される。なお、容器71には、供給チューブ82を介して水道(図示略)が接続されてもよい。供給タンク81内には、容器71に供給するための液体(本実施形態では、水)が収容される。供給タンク81は台80上に配置される。つまり、供給タンク81は容器71の底面711よりも高い位置に配置される。
【0059】
供給チューブ82には供給バルブ83が設けられる。供給バルブ83は、開状態と閉状態とに、例えばソレノイドによって切り替わる。供給バルブ83は、開状態において、供給チューブ82の中を、供給バルブ83を介して液体が流れることを許容する。供給バルブ83は、閉状態において、供給チューブ82の中を、供給バルブ83を介して液体が流れることを遮断する。
【0060】
上述したように、本実施形態では、供給タンク81が容器71の底面711よりも高い位置に配置される。このため、供給バルブ83が開状態の場合、供給タンク81内の液体と容器71内の液体との水頭差によって、供給タンク81から供給チューブ82を介して容器71に液体が供給される。供給バルブ83が閉状態の場合、供給タンク81から供給チューブ82を介して容器71に液体が供給されない。
【0061】
さらに、容器71には、排出チューブ92を介して排出タンク91が接続される。排出タンク91内には、容器71から排出された液体(本実施形態では、水)が収容される。排出チューブ92には排出ポンプ93が設けられる。排出ポンプ93は駆動することで容器71から排出チューブ92を介して排出タンク91に液体を排出させる。排出ポンプ93が駆動を停止した状態では、容器71から排出チューブ92を介して排出タンク91に液体が排出されない。
【0062】
図3を参照し、加湿器7による加湿動作を説明する。加湿動作では、
図4に示す振動子75が駆動し、且つ
図5に示すファンモータ761、771の一方または両方が駆動する。振動子75が駆動することで、
図4に示す容器71内の空気が加湿される。ファンモータ761が駆動することで
図5に示すファン76が回転する。これにより、容器71内の加湿された空気がチューブ731を介してメンテナンス空間S2に送られる。よって、メンテナンス空間S2内の空気が加湿される。ファンモータ771が駆動することで
図5に示すファン77が回転する。これにより、容器71内の加湿された空気がチューブ732を介して待機空間S3に送られる。よって、待機空間S3内の空気が加湿される。
【0063】
メンテナンス空間S2内の加湿された空気および待機空間S3内の加湿された空気は、それぞれ、
図1に示す筐体8の内部の所定の位置に設けられたファン(図示略)によって印刷空間S1に送られる。これにより、筐体8の内部が全体的に加湿される。したがって、本実施形態では、キャリッジ6が印刷空間S1、メンテナンス空間S2、および待機空間S3のいずれに配置されても、加湿器7によって加湿されていない空気に
図3に示すヘッド3が触れることが抑制される。
【0064】
図5を参照し、プリンタ1の電気的構成を説明する。プリンタ1は制御基板40を備える。制御基板40にはCPU41、ROM42、RAM43、およびフラッシュメモリ44が設けられる。CPU41はプリンタ1の制御を司り、ROM42、RAM43、およびフラッシュメモリ44と電気的に接続する。ROM42は、CPU41がプリンタ1の動作を制御するための制御プログラム、各種プログラムの実行時にCPU41が必要な情報等を記憶する。RAM43は、制御プログラムで用いられる各種データ等を一時的に記憶する。フラッシュメモリ44は、不揮発性であり、印刷を行うための印刷データ等を記憶する。
【0065】
CPU41には主走査モータ61、副走査モータ121、ヘッド駆動部31、振動子75、ファンモータ761、771、第一リードスイッチ785、第二リードスイッチ786、供給バルブ83、排出ポンプ93、湿度センサ36、37、操作ボタン15、および表示画面16が電気的に接続される。主走査モータ61、副走査モータ121、ヘッド駆動部31、振動子75、ファンモータ761、771、供給バルブ83、排出ポンプ93、および表示画面16はCPU41による制御によって駆動する。
【0066】
操作ボタン15は、ユーザの操作に応じた信号をCPU41に出力する。湿度センサ36は、メンテナンス空間S2に設けられ、本実施形態では、ガイドレール28の左端に位置する(
図3参照)。湿度センサ36は、メンテナンス空間S2内の湿度を検知し、検知した湿度に応じた信号をCPU41に出力する。湿度センサ37は、待機空間S3に設けられ、本実施形態では、ガイドレール28の右端に位置する(
図3参照)。湿度センサ37は、待機空間S3内の湿度を検知し、検知した湿度に応じた信号をCPU41に出力する。
【0067】
レベルセンサ78は、液位LLに応じて検知信号をCPU41に出力する。具体的には、レベルセンサ78では、フロート784が上限ストッパ782および下限ストッパ783のいずれにも接触しない場合、第一リードスイッチ785および第二リードスイッチ786は、いずれもOFFされて通電しない。このため、レベルセンサ78は、検知信号をCPU41に出力しない。
【0068】
レベルセンサ78では、フロート784が上限ストッパ782に接触すると、フロート784内のマグネットの磁力の作用によって第一リードスイッチ785がONされて、通電する。これにより、レベルセンサ78は液位LLが上限レベルL1以上であることを示す検知信号(以下では、「上限信号」という。)をCPU41に出力する。CPU41は、例えば、レベルセンサ78から上限信号を受信していない状態において、レベルセンサ78から上限信号を受信した場合、液位LLが上限レベルL1よりも低い状態から上昇して上限レベルL1になったこと検知する。
【0069】
レベルセンサ78では、フロート784が下限ストッパ783に接触すると、フロート784内のマグネットの磁力の作用によって第二リードスイッチ786がONされて、通電する。これにより、レベルセンサ78は液位LLが下限レベルL2以下であることを示す検知信号(以下、「下限信号」という。)をCPU41に出力する。CPU41は、例えば、下限信号を受信していない状態において、下限信号を受信した場合、液位LLが下限レベルL2よりも高い状態から低下して下限レベルL2になったこと検知する。CPU41は、例えば、下限信号を受信している状態において、下限信号を受信しなくなった場合、液位LLが下限レベルL2からまたは下限レベルL2よりも低い状態から上昇して下限レベルL2よりも高くなったこと検知する。
【0070】
図6を参照し、加湿制御処理を説明する。プリンタ1の電源が投入されると、CPU41は、ROM42から制御プログラムを読み出して動作することで、加湿制御処理を実行する。
【0071】
加湿制御処理が開始されると、CPU41は
図4に示すレベルセンサ78からの下限信号に基づいて、
図3に示す液位LLが下限レベルL2以下であるかを判断する(S11)。例えば加湿制御処理の開始時に液位LLが下限レベルL2以下の場合がある。例えば後述の加湿制御によって加湿制御処理の実行中に液位LLが下限レベルL2以下になる場合がある。これらの場合、レベルセンサ78は、下限信号をCPU41に出力する。CPU41は、レベルセンサ78から下限信号を受信している場合、液位LLが下限レベルL2以下であると判断する(S11:YES)。この場合、CPU41は、レベルセンサ78からの下限信号に基づいて、液位LLが下限レベルL2よりも高くなるまでS11の判断を繰り返す。
【0072】
例えば、加湿動作によって
図4に示す液位LLが下限レベルL2まで低下すると、後述の供給処理によって容器71への液体の供給が行われることで、液位LLが上昇する。例えば、後述の初期導入処理または入替処理によって容器71への液体の供給が行われることで、液位LLが下限レベルL2以下から上昇する。液位LLが下限レベルL2よりも高くなると、レベルセンサ78は下限信号のCPU41への出力を停止する。CPU41は、レベルセンサ78から下限信号を受信しない場合、液位LLが下限レベルL2よりも高いと判断する(S11:NO)。この場合、CPU41は加湿制御を開始する(S12)。加湿制御では、CPU41は加湿動作を制御する。
【0073】
加湿制御の一例を説明する。CPU41は
図5に示す湿度センサ36からの検知信号に基づいて、
図3に示すメンテナンス空間S2内の湿度が基準湿度を超えているかを判断する。メンテナンス空間S2内の湿度が基準湿度よりも低い場合、CPU41は、メンテナンス空間S2内の湿度が基準湿度を超えるまで、
図4に示す振動子75を駆動し、且つ
図5に示すファンモータ761を駆動する。メンテナンス空間S2内の湿度が基準湿度を超えた場合、CPU41は、振動子75の駆動を停止し、且つファンモータ761の駆動を停止する。
【0074】
CPU41は
図5に示す湿度センサ37からの検知信号に基づいて、
図3に示す待機空間S3内の湿度が基準湿度を超えているかを判断する。待機空間S3内の湿度が基準湿度よりも低い場合、CPU41は、待機空間S3内の湿度が基準湿度を超えるまで、
図4に示す振動子75を駆動し、且つ
図5に示すファンモータ771を駆動する。待機空間S3内の湿度が基準湿度を超えた場合、CPU41は、振動子75の駆動を停止し、且つファンモータ771の駆動を停止する。
【0075】
基準湿度は、ROM42またはフラッシュメモリ44に記憶され、
図3に示すヘッド3によるインクの不吐出のしやすさ等によって定められる。例えば、メンテナンス空間S2内の湿度が基準よりも高い場合、メンテナンス空間S2内の湿度が基準湿度よりも低い場合に比べて、ヘッド3によるインクの不吐出が生じにくい。
【0076】
加湿制御において、振動子75から容器71内の液面までの距離が大きいと、振動子75の噴霧能力が低下した状態に可能性がある。本実施形態では、CPU41は、後述の供給制御処理を行うことで、液位LLが上限レベルL1の状態、つまり、振動子75の噴霧能力が低下した状態で加湿制御が行われることを抑制する。
【0077】
加湿制御処理の説明に戻る。例えば、S12の処理で開始された加湿制御によって
図4に示す液位LLは低下する。CPU41は
図4に示すレベルセンサ78からの検知信号に基づいて、
図4に示す液位LLが下限レベルL2となったかを判断する(S13)。液位LLが下限レベルL2よりも高い場合(S13:NO)、CPU41は液位LLが下限レベルL2に達するまでS13の判断を繰り返す。つまり、CPU41は液位LLが下限レベルL2に達するまでS12の処理で開始された加湿制御を継続する。
【0078】
液位LLが下限レベルL2になった場合(S13:YES)、CPU41は加湿制御を停止する(S14)。これにより、加湿動作が停止される。CPU41は処理をS11の判断に戻す。この場合、
図4に示す容器71への液体の供給によって液位LLが下限レベルL2よりも高くなると(S11:NO)、CPU41は、加湿制御を再開する(S12)。
【0079】
図7を参照し、印刷制御処理を説明する。プリンタ1の電源が投入されると、CPU41は、ROM42から制御プログラムを読み出して動作することで、加湿制御処理と並行して印刷制御処理を実行する。
【0080】
印刷制御処理が開始されると、CPU41は、
図1に示す操作ボタン15からの信号に基づいて、プリンタ1による印刷を開始するための印刷指示を受け付けたかを判断する(S21)。CPU41は、印刷指示を受け付けていない場合(S21:NO)、印刷指示を受け付けるまでS21の判断を繰り返す。
【0081】
CPU41は、印刷指示を受け付けた場合(S21:YES)、
図5に示す湿度センサ36からの検知信号および湿度センサ37からの検知信号に基づいて、印刷可能条件が満たされているかを判断する(S22)。本実施形態では、CPU41は、湿度センサ36からの検知信号に基づいて
図3に示すメンテナンス空間S2内の湿度が基準湿度範囲内であるかを判断する。CPU41は、湿度センサ37からの検知信号に基づいて
図3に示す待機空間S3内の湿度が基準湿度範囲内であるかを判断する。基準湿度範囲は、ROM42またはフラッシュメモリ44に記憶され、
図3に示すヘッド3によるインクの不吐出のしやすさ等によって定められる。基準湿度範囲の下限は基準湿度よりも低い。基準湿度範囲の上限は基準湿度よりも高い。
【0082】
メンテナンス空間S2内の湿度および待機空間S3内の湿度の一方または両方が基準湿度範囲内でない場合、CPU41は印刷可能条件が満たされていないと判断する(S22:NO)。この場合、CPU41は印刷可能条件が満たされるまでS22の判断を繰り返す。例えば、メンテナンス空間S2内の湿度が基準湿度範囲の下限よりも低い場合、CPU41は、S12の処理(
図6参照)で開始された加湿制御によってメンテナンス空間S2内の湿度が基準湿度範囲の下限よりも高くなるまでS22の判断を繰り返す。
【0083】
メンテナンス空間S2内の湿度および待機空間S3内の湿度の両方が基準湿度範囲内の場合、CPU41は印刷可能条件が満たされていると判断する(S22:YES)。この場合、CPU41は
図5に示す主走査モータ61、副走査モータ121、およびヘッド駆動部31を制御し、プリンタ1による印刷を行う(S23)。印刷が終了すると、CPU41は処理をS21の判断に戻す。
【0084】
図8を参照し、供給制御処理を説明する。プリンタ1の電源が投入されると、CPU41は、ROM42から制御プログラムを読み出して動作することで、加湿制御処理および印刷制御処理のそれぞれと並行して供給制御処理を実行する。
【0085】
供給制御処理が開始されると、CPU41は
図1に示す操作ボタン15からの信号に基づいて、初期導入を行うための初期導入指示を受け付けたかを判断する(S31)。初期導入は、例えば空の状態の容器71に供給タンク81から供給チューブ82を介して液体を供給する動作である(
図4参照)。したがって、ユーザは、プリンタ1への容器71の初期設置時、容器71の交換時等、容器71内に液体が収容されていない状態で、初期導入指示をプリンタ1に操作ボタン15を介して入力する。本実施形態において、「容器71が空の状態」とは、容器71内に液体が完全に存在しない状態と、容器71内に液体が実質的に存在しない状態とを含む。容器71内に液体が実質的に存在しない状態とは、下限レベルL2よりも低い液位LLの液体が容器71内に存在する状態をいう。
【0086】
CPU41は初期導入指示を受け付けた場合(S31:YES)、初期導入処理を行う(S32)。詳しくは後述するが、初期導入処理では、初期導入が制御される。CPU41は処理をS31の判断に戻す。CPU41は初期導入指示を受け付けていない場合(S31:NO)、操作ボタン15からの信号に基づいて、入替動作を行うための入替指示を受け付けたかを判断する(S33)。入替動作は、容器71に収容される液体を入れ替える動作である。したがって、ユーザは、容器71内に異物が入った場合、容器71内の液体が変質した場合等、または定期的に、入替指示をプリンタ1に操作ボタン15を介して入力する。
【0087】
CPU41は入替指示を受け付けた場合(S33:YES)、入替処理を行う(S34)。詳しくは後述するが、入替処理では、入替動作が制御される。CPU41は処理をS31の判断に戻す。CPU41は入替指示を受け付けていない場合(S33:NO)、供給処理を行う(S35)。詳しくは後述するが、供給処理では、供給タンク81から供給チューブ82を介する容器71への液体の供給が制御される。CPU41は処理をS31の判断に戻す。
【0088】
図9および
図10を参照し、初期導入処理を説明する。初期導入処理の開始時点では、状態A11(
図10参照)に示すように、容器71は例えば空の状態である。
図9に示すように、初期導入処理が開始されると、CPU41は、
図4に示す供給バルブ83を閉状態から開状態に切り替える(S41)。これにより、
図4に示す供給タンク81から供給チューブ82を介する容器71への液体の供給が開始され、液位LLが上昇する。
【0089】
CPU41は、
図4に示すレベルセンサ78からの下限信号に基づいて、
図4に示す液位LLが下限レベルL2以下であるかを判断する(S42)。CPU41は、レベルセンサ78から下限信号を受信している場合、液位LLがまだ下限レベルL2以下であると判断する(S42:YES)。この場合、CPU41は液位LLが下限レベルL2を超えるまでS42の判断を繰り返す。
【0090】
CPU41は、レベルセンサ78から下限信号を受信しなくなると、液位LLが下限レベルL2よりも高くなったと判断する(S42:NO)。この場合、CPU41は計時を開始する(S43)。計時方法は特定の方法に限定されないが、例えば、RAM43にタイマカウンタの値が記憶される。CPU41はタイマカウンタの値のカウントアップを開始する。
【0091】
CPU41は、
図4に示すレベルセンサ78からの上限信号に基づいて、
図4に示す液位LLが上限レベルL1に達したかを判断する(S44)。CPU41は、レベルセンサ78から上限信号を受信していない場合、液位LLが上限レベルL1よりも低いと判断する(S44:NO)。この場合、CPU41は、液位LLが上限レベルL1に達するまでS44の判断を繰り返す。
【0092】
CPU41は、レベルセンサ78から上限信号を受信した場合、液位LLが上限レベルL1に達したと判断する(S44:YES)。この場合、CPU41は
図4に示す供給バルブ83を開状態から閉状態に切り替える(S45)。これにより、
図4に示す供給タンク81から供給チューブ82を介する容器71への液体の供給が停止され、状態A12(
図10参照)に示すように、液位LLが上限レベルL1に維持される。
【0093】
CPU41は、S43の処理で開始された計時の結果をRAM43に記憶する(S46)。つまり、本実施形態では、CPU41は液位LLが上昇し、下限レベルL2を超えた時点から上限レベルL1に達した時点までの時間をRAM43に記憶する。CPU41は計時結果に基づいて液位制御時間を特定する(S47)。
【0094】
なお、本実施形態において、「液位LLが下限レベルL2を超えた時点」は、レベルセンサ78が下限信号を出力する状態から下限信号を出力しない状態に切り替わる時点をいう。「液位LLが上限レベルL1に達した時点」は、レベルセンサ78が上限信号を出力しない状態から上限信号を出力する状態に切り替わる時点をいう。
【0095】
液位制御時間は、後述のS65およびS86の処理において、液位LLを上限レベルL1と下限レベルL2との間のレベルに維持するためのパラメータである。本実施形態では、液位制御時間は、下限レベルL2を超えた時点から上限レベルL1に達した時点までの時間に所定の係数をかけた長さである。所定の係数は、特定の値に限定されないが、本実施形態では、0よりも大きく1よりも小さく、0.5である。このため、本実施形態では、液位制御時間は、下限レベルL2を超えた時点から上限レベルL1に達した時点までの時間よりも短い。CPU41は、S47の処理で特定された液位制御時間をフラッシュメモリ44に記憶する(S48)。
【0096】
上述したように、液位LLが上限レベルL1の状態では、振動子75の噴霧能力が低下した状態になっている可能性がある。したがって、CPU41は、液位LLを上限レベルL1のよりも低下させるため、容器71から排出チューブ92を介して排出タンク91に液体を排出する。CPU41は、
図4に示す排出ポンプ93の駆動を開始する(S51)。これにより、
図4に示す容器71から排出チューブ92を介する排出タンク91への液体の排出が開始され、液位LLが上限レベルL1から低下する。
【0097】
CPU41は、
図4に示すレベルセンサ78からの下限信号に基づいて、
図4に示す液位LLが下限レベルL2に達したかを判断する(S52)。CPU41は、レベルセンサ78から下限信号を受信していない場合、液位LLがまだ下限レベルL2よりも高いと判断する(S52:NO)。この場合、CPU41は液位LLが下限レベルL2に達するまでS52の判断を繰り返す。
【0098】
CPU41は、レベルセンサ78から下限信号を受信した場合、液位LLが下限レベルL2に達したと判断する(S52:YES)。この場合、CPU41は、
図4に示す排出ポンプ93を液位LLが下限レベルL2に達した時点から所定量駆動する(S53)。本実施形態において、「液位LLが下限レベルL2に達した時点」は、レベルセンサ78が下限信号を出力しない状態から下限信号を出力する状態に切り替わる時点をいう。
【0099】
CPU41は排出ポンプ93を所定量駆動すると、排出ポンプ93の駆動を停止する。例えば、CPU41は、液位LLが下限レベルL2に達した時点から排出ポンプ93の回転数の積算数が所定数になった場合に排出ポンプ93の駆動を停止してもよい。例えば、CPU41は、液位LLが下限レベルL2に達した時点からの経過時間が所定時間に達した場合に排出ポンプ93の駆動を停止してもよい。
【0100】
所定数または所定時間は、ROM42またはフラッシュメモリ44に記憶される。所定数または所定時間は、液位LLが下限レベルL2の状態から排出ポンプ93が駆動され、容器71から排出チューブ92を介して排出タンク91に液体が排出されることが困難または不能になるまでの回転数または時間の長さに設定される。本実施形態では、所定数または所定時間は、液位LLが下限レベルL2の状態から排出ポンプ93が駆動され、容器71が空の状態になるまでの回転数または時間の長さに設定される。このため、S53の処理によって、状態A13(
図10参照)に示すように、容器71が空の状態になる。これにより、容器71において、上限レベルL1以下の内壁に汚れ等が付着している場合には、その汚れが取り除かれる。
【0101】
CPU41は、
図4に示す供給バルブ83を閉状態から開状態に切り替える(S61)。これにより、
図4に示す供給タンク81から供給チューブ82を介する容器71への液体の供給が開始され、液位LLが上昇する。
【0102】
CPU41は、
図4に示すレベルセンサ78からの下限信号に基づいて、
図4に示す液位LLが下限レベルL2以下であるかを判断する(S62)。CPU41は、レベルセンサ78から下限信号を受信している場合、液位LLがまだ下限レベルL2以下であると判断する(S62:YES)。この場合、CPU41は液位LLが下限レベルL2を超えるまでS62の判断を繰り返す。
【0103】
CPU41は、レベルセンサ78から下限信号を受信しなくなると、液位LLが下限レベルL2よりも高くなったと判断する(S62:NO)。この場合、CPU41は計時を開始する(S63)。CPU41は、計測中の時間に基づいて、液位LLが下限レベルL2を超えた時点からの経過時間が、S48の処理でフラッシュメモリ44に記憶された液位制御時間に達したかを判断する(S64)。経過時間が液位制御時間に達していない場合(S64:NO)、CPU41は経過時間が液位制御時間に達するまでS64の判断を繰り返す。
【0104】
経過時間が液位制御時間に達した場合(S64:YES)、CPU41は
図4に示す供給バルブ83を開状態から閉状態に切り替える(S65)。CPU41は処理を
図8に示す供給制御処理に戻す。S65の処理によって、
図4に示す供給タンク81から供給チューブ82を介する容器71への液体の供給が停止され、状態A14(
図10参照)に示すように、液位LLが上限レベルL1と下限レベルL2との間のレベルに維持される。
【0105】
上述したように、本実施形態では、液位制御時間は、下限レベルL2を超えた時点から上限レベルL1に達するまでの時間に0.5をかけた長さである。このため、液位LLが下限レベルL2を超えた時点からの経過時間が液位制御時間に達した時点、つまりS65の処理の時点では、状態A14(
図10参照)に示すように、液位LLは上限レベルL1と下限レベルL2の中間程度のレベルとなる。
【0106】
なお、本実施形態において、「液位LLが上限レベルL1と下限レベルL2との間のレベルに維持される」とは、容器71への液体の供給および容器71からの液体の排出が完全に停止することで、液位LLが上限レベルL1と下限レベルL2との間にある状態で液位LLの変動が完全に停止することに限られない。「液位LLが上限レベルL1と下限レベルL2との間のレベルに維持される」とは、例えば、液位LLが上限レベルL1と下限レベルL2との間にある状態で変動する程度において、容器71への液体の供給および容器71からの液体の排出の一方または両方が行われることを含んでもよい。
【0107】
図11および
図12を参照し、入替処理を説明する。入替処理は、初期導入処理のS41~S65の処理と同等の処理を含む。以下では、入替処理の各処理のうち、初期導入処理と同等の処理については、初期導入処理と同じ符号を付して説明を省略または簡略化する。入替処理の開始時点では、状態A21(
図12参照)に示すように、液位LLは例えば下限レベルL2よりも高い。
【0108】
図11に示すように、入替処理が開始されると、CPU41は、
図4に示す排出ポンプ93の駆動を開始する(S71)。これにより、
図4に示す容器71から排出チューブ92を介する排出タンク91への液体の排出が開始され、液位LLが下限レベルL2よりも高いレベルから低下する。
【0109】
CPU41は、
図4に示すレベルセンサ78からの下限信号に基づいて、
図4に示す液位LLが下限レベルL2に達したかを判断する(S72)。CPU41は、レベルセンサ78から下限信号を受信していない場合、液位LLがまだ下限レベルL2よりも高いと判断する(S72:NO)。この場合、CPU41は液位LLが下限レベルL2に達するまでS72の判断を繰り返す。
【0110】
CPU41は、レベルセンサ78から下限信号を受信した場合、液位LLが下限レベルL2に達したと判断する(S72:YES)。この場合、CPU41は、
図4に示す排出ポンプ93を液位LLが下限レベルL2に達した時点から所定量駆動する(S73)。CPU41はS53の処理と同様にS73の処理を行う。S73の処理によって、状態A22(
図12参照)に示すように、容器71が空の状態になる。
【0111】
CPU41は、S41~S65の処理を行い、処理を
図8に示す供給制御処理に戻す。S45の処理によって、状態A23(
図12参照)に示すように、供給タンク81から供給チューブ82を介する容器71への液体の供給が停止され、液位LLが上限レベルL1に維持される。入替処理でも、初期導入処理と同様に、CPU41は液位制御時間を特定し(S47)、特定した液位制御時間をフラッシュメモリ44に記憶する(S48)。
【0112】
S53の処理によって、状態A24(
図12参照)に示すように、容器71が空の状態になる。これにより、容器71において、上限レベルL1以下の内壁に汚れ等が付着している場合には、その汚れが取り除かれる。入替処理でも、初期導入処理と同様に、CPU41はS48の処理でRAM43に記憶された液位制御時間に基づいて
図4に示す供給バルブ83を開状態から閉状態に切り替える(S65)。S65の処理により、
図4に示す供給タンク81から供給チューブ82を介する容器71への液体の供給が停止され、状態A25(
図12参照)に示すように、液位LLが上限レベルL1と下限レベルL2との間のレベルに維持される。
【0113】
図13~
図15を参照し、供給処理を説明する。
図13に示すように、CPU41は、
図4に示すレベルセンサ78からの下限信号に基づいて、
図4に示す液位LLが下限レベルL2に達したかを判断する(S81)。CPU41は、レベルセンサ78から下限信号を受信していない場合、液位LLがまだ下限レベルL2よりも高いと判断する(S81:NO)。この場合、CPU41は処理を
図8に示す供給制御処理に戻す。
【0114】
S12の処理で開始された加湿制御が行われることで、
図4に示す液位LLが下限レベルL2よりも高いレベルから低下する。これにより、状態A31(
図14および
図15参照)に示すように、液位LLが下限レベルL2よりも高い状態から、状態A32(
図14および
図15参照)に示すように、液位LLが下限レベルL2に達した状態になる。
【0115】
CPU41は、レベルセンサ78から下限信号を受信した場合、液位LLが下限レベルL2に達したと判断する(S81:YES)。この場合、CPU41は、
図4に示す供給バルブ83を閉状態から開状態に切り替える(S82)。これにより、
図4に示す供給タンク81から供給チューブ82を介する容器71への液体の供給が開始され、液位LLが上昇する。
【0116】
CPU41は計時を開始する(S84)。CPU41は、計測中の時間に基づいて、
図4に示す供給バルブ83が開状態に切り替わってから(液位LLが下限レベルL2を超えた時点から)の経過時間が液位制御時間に達したかを判断する(S85)。フラッシュメモリ44に複数の液位制御時間が記憶されている場合、CPU41は、S85の処理において、初期導入処理のS48の処理(
図9参照)、入替処理のS48の処理(
図11参照)、または後述のS93の処理でフラッシュメモリ44に記憶された複数の液位制御時間のうち最新の液位制御時間を参照する。CPU41は、液位制御時間をフラッシュメモリ44に記憶する場合、既に記憶されている液位制御時間を削除してもよい。
【0117】
経過時間が液位制御時間に達していない場合(S85:NO)、CPU41は、
図4に示すレベルセンサ78からの上限信号に基づいて、
図4に示す液位LLが上限レベルL1に達したかを判断する(S87)。CPU41は、レベルセンサ78から上限信号を受信していない場合、液位LLが上限レベルL1よりも低いと判断する(S87:NO)。この場合、CPU41は処理をS85の判断に戻す。
【0118】
液位LLが上限レベルL1に達するよりも前に経過時間が液位制御時間に達した場合(S85:YES)、CPU41は
図4に示す供給バルブ83を開状態から閉状態に切り替える(S86)。CPU41は処理を
図8に示す供給制御処理に戻す。S86の処理によって、
図4に示す供給タンク81から供給チューブ82を介する容器71への液体の供給が停止され、状態A331(
図14参照)に示すように、液位LLが上限レベルL1と下限レベルL2との間のレベルに維持される。
【0119】
例えば、初期導入処理のS48の処理(
図9参照)、入替処理のS48の処理(
図11参照)、または後述のS93の処理で液位制御時間がフラッシュメモリ44に記憶された時点から、以下のように構成が変更される場合がある。すなわち、
図4に示す台80の高さが高くなることで、供給タンク81内の液体と容器71内の液体との水頭差が大きくなる場合がある。
図4に示す供給チューブ82の内径が大きくなる場合がある。
図4に示す容器71が、供給チューブ82を介して、供給タンク81に代えて水道(図示略)に接続される場合がある。これらの場合、供給タンク81から供給チューブ82を介して容器71に向かって流れる液体の流速が大きくなる。このため、経過時間が液位制御時間に達するよりも前に液位LLが上限レベルL1に達する場合がある。
【0120】
経過時間が液位制御時間に達するよりも前に液位LLが上限レベルL1に達した場合(S87:YES)、CPU41は
図4に示す供給バルブ83を開状態から閉状態に切り替える(S88)。S88の処理によって、
図4に示す供給タンク81から供給チューブ82を介する容器71への液体の供給が停止され、状態A332(
図15参照)に示すように、液位LLが上限レベルL1に維持される。この場合、CPU41は、例えば
図4に示す排出ポンプ93を駆動せず、つまり
図4に示す液位LLを上限レベルL1から低下させない。S12の処理で開始された加湿制御の実行中にS88の処理が行われた場合、CPU41は液位LLが上限レベルL1の状態で加湿制御を継続して行う。
【0121】
CPU41は、S84の処理で開始された計時の結果をRAM43に記憶する(S91)。CPU41は、S47の処理と同様に、計時結果に基づいて液位制御時間を特定する(S92)。CPU41は、S92の処理で特定された液位制御時間をフラッシュメモリ44に記憶する(S93)。これにより、
図4に示す供給タンク81から供給チューブ82を介して容器71に向かって流れる液体の流速が大きくなるように構成が変更された状態に応じた液位制御時間が、フラッシュメモリ44に記憶される。CPU41は処理を
図8に示す供給制御処理に戻す。
【0122】
上記実施形態の主な作用効果を説明する。以下では、液位LLが上限レベルL1よりも低く底面711よりも高いレベルを「維持位置」という。上記実施形態では、維持位置は、上限レベルL1よりも低く下限レベルL2よりも高いレベルである。
【0123】
プリンタ1は、容器71と、振動子75と、供給バルブ83と、第一リードスイッチ785と、CPU41とを備える。容器71は底面711を含む。容器71には液体が収容される。振動子75は、容器71に収容された液体を振動させることで空気を加湿する。供給バルブ83は、容器71に収容された液体の液位LLを上昇させる。第一リードスイッチ785は、液位LLが上限レベルL1になったことを示す上限信号を出力する。CPU41は、供給バルブ83を制御し、液位LLを変動させる(S82)。S82の処理の後、CPU41は、供給バルブ83を制御し、液位LLを維持位置に維持する(S86)。
【0124】
これによれば、CPU41は、S86の処理において、液位LLを維持位置に維持する。維持位置が上限レベルL1よりも低いので、S86の処理が行われた後の液位LLは上限レベルL1よりも低くなる。よって、CPU41は、S86の処理後の液位LLが上限レベルL1の場合に比べて、振動子75の噴霧能力が低下した状態になることを抑制するという利点に貢献する。なお、初期導入処理のS61およびS65、入替処理のS61およびS65でも同様に、CPU41は、初期導入処理および入替処理のS65の処理後の液位LLが上限レベルL1の場合に比べて、振動子75の噴霧能力が低下した状態になることを抑制するという利点に貢献する。
【0125】
プリンタ1は、第二リードスイッチ786を備える。第二リードスイッチ786は、液位LLが下限レベルL2になったことを示す下限信号を出力する。下限レベルL2は、上限レベルL1よりも低い。CPU41は、加湿制御において、振動子75を振動させることで空気を加湿する(S12)。S12の処理の実行中(加湿制御の実行中)に、第二リードスイッチ786によって下限信号が出力された場合、CPU41は、供給バルブ83を制御し、液位LLを上昇させる(S82)。CPU41は、液位制御時間に基づいて供給バルブ83を制御し、液位LLを維持位置に維持する(S86)。液位制御時間は、液位LLを維持位置に維持するためのパラメータであって、フラッシュメモリ44に記憶される。
【0126】
これによれば、CPU41は、S86の処理において、液位制御時間に基づいて供給バルブ83を制御する。よって、CPU41は、S86の処理において、液位LLを維持位置に維持しやすいという利点に貢献する。
【0127】
CPU41は、S82の処理が行われた後、S86の処理によって液位制御時間に基づいて供給バルブ83が制御され、液位LLが維持位置に維持されるよりも前に、第一リードスイッチ785によって上限信号が出力された場合、供給バルブ83を制御し、液位LLを上限レベルL1に維持する(S88)。CPU41は、S12の処理の実行中(加湿制御の実行中)にS88の処理が実行された場合、S12の処理(加湿制御)を継続して行う。
【0128】
これによれば、S12の処理の実行中(加湿制御の実行中)にS88の処理が実行されても、CPU41はS12の処理を継続して行う。つまり、加湿制御の実行中に液位LLが上限レベルL1に達しても実行中の加湿制御が停止されない。よって、CPU41は、S12の処理の実行中にS88の処理が実行されても、実際の湿度が目標の湿度になるまで加湿するのにかかる時間を短縮するという利点に貢献する。
【0129】
CPU41は、S82の処理が行われた後、S86の処理によって液位制御時間に基づいて供給バルブ83が制御され、液位LLが維持位置に維持されるよりも前に、第一リードスイッチ785によって上限信号が出力された場合、供給バルブ83を制御し、液位LLを上限レベルL1に維持する(S88)。CPU41は、第一リードスイッチ785によって上限信号が出力されたことに基づいて、液位制御時間をフラッシュメモリ44に記憶する(S93)。
【0130】
これによれば、CPU41は、第一リードスイッチ785による実際の検知結果に基づいて液位制御時間を記憶する。よって、CPU41は、S86の処理において液位LLが目標の維持位置からずれることを抑制するという利点に貢献する。
【0131】
さらに、容器71への液体の供給流路の構成が、初期導入処理のS48の処理、入替処理のS48の処理、またはS93の処理で液位制御時間がフラッシュメモリ44に記憶された時点から変更される場合がある。例えば供給タンク81に代えて水道に供給チューブ82が接続される場合がある。この場合、例えば、S86の処理によって液位制御時間に基づいて供給バルブ83が制御され、液位LLが維持位置に維持されるよりも前に第一リードスイッチ785によって上限信号が出力される程度に、供給タンク81から供給チューブ82を介して容器71に向かって流れる液体の流速が大きくなる。このように構成が変更された場合でも、次回以降のS88の処理では、CPU41は、構成変更後に記憶された液位制御時間に基づいて供給バルブ83を制御する。よって、CPU41は、容器71への液体の供給流路の構成が変更された場合でも、S86の処理において液位LLが目標の維持位置からずれることを抑制するという利点に貢献する。
【0132】
CPU41は、初期導入指示を受け付ける(S31:YES)。CPU41は、初期導入指示が受け付けられた場合、供給バルブ83を制御し、液位LLを上昇させる(初期導入処理のS41)。CPU41は、第一リードスイッチ785によって上限信号が出力されたことに基づいて、液位制御時間をフラッシュメモリ44に記憶する(初期導入処理のS48)。
【0133】
これによれば、CPU41は、第一リードスイッチ785による実際の検知結果に基づいて液位制御時間を記憶する。よって、CPU41は、S65およびS86の処理において液位LLが目標の維持位置からずれることを抑制するという利点に貢献する。
【0134】
プリンタ1は、排出ポンプ93を備える。排出ポンプ93は、液位LLを下降させる。CPU41は、入替指示を受け付ける(S33:YES)。CPU41は、入替指示が受け付けられた場合、排出ポンプ93を制御し、液位LLを下降させる(S71)。その後、CPU41は、第二リードスイッチ786によって下限信号が出力されたことに基づいて、供給バルブ83を制御し、液位LLを上昇させる(S41)。CPU41は、第一リードスイッチ785によって上限信号が出力されたことに基づいて、液位制御時間をフラッシュメモリ44に記憶する(S48)。
【0135】
これによれば、CPU41は、第一リードスイッチ785による実際の検知結果によって液位制御時間を記憶する。よって、CPU41は、S65およびS86の処理において液位LLが目標の維持位置からずれることを抑制するという利点に貢献する。
【0136】
CPU41は、供給バルブ83を制御し、液位LLを上昇させる(S41)。その後、CPU41は、第一リードスイッチ785によって上限信号が出力された場合、排出ポンプ93を制御し、液位LLを下降させる(S51)。その後、CPU41は、供給バルブ83を制御し、液位LLを上昇させる(S61)。CPU41は、液位制御時間に基づいて供給バルブ83を制御し、液位LLを維持位置に維持する(S65)。
【0137】
この場合、CPU41は、S51の処理が行われた後、S65の処理において液位制御時間に基づいて供給バルブ83を制御する。よって、CPU41は、S65の処理において液位LLが目標の維持位置からずれることを抑制するという利点に貢献する。
【0138】
CPU41は、供給バルブ83を制御し、液位LLを上昇させる(S41)。その後、CPU41は、第一リードスイッチ785によって上限信号が出力されたことに基づいて、液位制御時間を特定する(S47)。CPU41は、特定された液位制御時間をフラッシュメモリ44に記憶する(S48)。
【0139】
これによれば、CPU41は、特定処理において、第一リードスイッチ785によって上限信号が出力されたことに基づいて、液位制御時間を特定する。このため、プリンタ1は、液位制御時間を特定するためのセンサを、第一リードスイッチ785とは別に備える必要がない。よって、CPU41は、プリンタ1の部品点数が増加することを抑制しつつ、振動子75の噴霧能力が低下した状態になることを抑制するという利点に貢献する。
【0140】
上記実施形態において、ヘッド3が本発明の「インクジェットヘッド」に相当する。底面711が本発明の「底面」に相当する。容器71が本発明の「容器」に相当する。振動子75が本発明の「振動子」に相当する。供給バルブ83が本発明の「第一変動部」に相当する。高さH1が本発明の「第一高さ」に相当する。上限信号が本発明の「第一検知信号」に相当する。第一リードスイッチ785が本発明の「第一センサ」に相当する。CPU41が本発明の「制御部」に相当する。
図9および
図11に示すS61の処理および
図13に示すS82の処理が本発明の「変動処理」に相当する。
図9および
図11に示すS65の処理および
図13に示すS86の処理が本発明の「第一維持処理」に相当する。
【0141】
高さH2が本発明の「第二高さ」に相当する。下限信号が本発明の「第二検知信号」に相当する。第二リードスイッチ786が本発明の「第二センサ」に相当する。
図6に示すS12の処理が本発明の「加湿処理」に相当する。フラッシュメモリ44が本発明の「記憶部」に相当する。液位制御時間が本発明の「液位制御パラメータ」に相当する。
図13に示すS88の処理が本発明の「第二維持処理」に相当する。
図9および
図11に示すS48の処理および
図13に示すS93の処理が本発明の「記憶処理」に相当する。
図8に示すS31の処理およびS33の処理が本発明の「受付処理」に相当する。
図9および
図11に示すS41の処理が本発明の「上昇処理」に相当する。排出ポンプ93が本発明の「第二変動部」に相当する。
図11に示すS71の処理が本発明の「下降処理」に相当する。
図9および
図11に示すS47の処理および
図13に示すS92の処理が本発明の「特定処理」に相当する。
【0142】
本発明は、上記実施形態から種々変更されてもよい。以下説明する種々の変形例および上記実施形態は、矛盾が生じない範囲で互いに適宜組み合わされてもよい。CPU41はS22の判断を省略してもよい。つまり、CPU41はS21の処理によって印刷指示を受け付けた場合、メンテナンス空間S2内の湿度および待機空間S3内の湿度によらず、S23の処理によってプリンタ1による印刷を行ってもよい。
【0143】
印刷可能条件は上記実施形態に限定されない。例えば、CPU41はS22の判断において、湿度センサ36、37の一方からの検知信号のみに基づいて印刷可能条件が満たされているかを判断してもよい。CPU41はS22の判断において、S12の処理で加湿制御が開始されてからの経過時間が所定時間に達した場合、印刷可能条件が満たされたと判断してもよい。
【0144】
加湿制御は、上記実施形態に限定されない。例えば、加湿制御において、CPU41は湿度センサ36、37からの検知信号に基づくことなく、加湿動作を断続的に行ってもよい。例えば、ROM42またはフラッシュメモリ44には、温度ごとに基準湿度が記憶されていてもよい。この場合、加湿制御において、CPU41は、メンテナンス空間S2内の湿度および待機空間S3内の湿度に加えて、メンテナンス空間S2内の雰囲気の温度および待機空間S3内の雰囲気の温度に基づいて、加湿動作を制御してもよい。同様に、ROM42またはフラッシュメモリ44には、温度ごとに基準湿度範囲が記憶されていてもよい。CPU41は、メンテナンス空間S2内の湿度および待機空間S3内の湿度に加えて、メンテナンス空間S2内の雰囲気の温度および待機空間S3内の雰囲気の温度に基づいて、印刷可能条件が満たされているかを判断してもよい。この場合、温度センサがメンテナンス空間S2および待機空間S3に設けられてもよいし、印刷空間S1に設けられてもよい。
【0145】
湿度センサ36、37が設けられる位置は上記実施形態に限定されない。湿度センサ36はチューブ731の他端7312の近傍に設けられることが好ましい。湿度センサ37はチューブ732の他端7322の近傍に設けられることが好ましい。湿度センサ36、37に代えて、または加えて、印刷空間S1に湿度センサが設けられてもよい。この場合、湿度センサは印刷空間S1内の湿度を検知する。CPU41は印刷空間S1内の湿度に基づいて加湿制御をおこなってもよい。CPU41は印刷空間S1内の湿度に基づいて印刷可能条件が満たされているかを判断してもよい。
【0146】
上記実施形態において、加湿器7ではチューブ731、732のそれぞれにファン76、77が設けられる。これに対し、加湿器7は1つのファンを備えてもよい。この場合、加湿器7は、1つのファンの回転によって容器71内の加湿された空気を、チューブ731、732のそれぞれを介してメンテナンス空間S2および待機空間S3のそれぞれに送ってもよい。加湿器7は、チューブ731、732に代えて、または加えて、容器71内の加湿された空気を印刷空間S1に送るためのチューブを備えてもよい。加湿器7は、チューブ731、732に代えて、または加えて、容器71内の加湿された空気を、ヘッド3が通過しない空間に送るためのチューブを備えてもよい。
【0147】
プリンタ1は、レベルセンサ78の代わりに、または加えて流量計を備えてもよい。流量計は、供給チューブ82および排出チューブ92の一方に設けられてもよいし、両方に設けられてもよい。例えば供給チューブ82の流量計は、供給タンク81から容器71への液体の供給量を検知し、検知した供給量を示す信号をCPU41に出力する。排出チューブ92の流量計は、容器71から排出タンク91への液体の排出量を検知し、検知した排出量を示す信号をCPU41に出力する。
【0148】
この場合、ROM42は、液位LLが高さH1になるときの容器71内の液量をあらかじめ記憶してもよい。S65およびS86の処理において、液位LLを上限レベルL1と下限レベルL2との間のレベルに維持するためのパラメータとして、液位制御供給量を定義する。液位制御供給量は、0Lよりも多く、液位LLが高さH1になるときの容器71内の液量よりも少ない。CPU41はS85の判断において、供給チューブ82の流量計からの信号に基づいて、検知された供給量が液位制御供給量に達した場合、S86の処理において、供給バルブ83を開状態から閉状態に切り替えてもよい。
【0149】
さらに、CPU41は、供給タンク81から容器71への液体の供給量をフラッシュメモリ44に記憶してもよい。CPU41は排出チューブ92の流量計からの信号に基づいて、容器71から排出タンク91への液体の排出量をフラッシュメモリ44に記憶してもよい。ROM42は、振動子75の駆動時間に基づいて容器71内の液体の減少量を算出するための数式をあらかじめ記憶してもよい。CPU41は、数式に基づいて、振動子75の駆動時間の積算時間に応じた容器71内の液体の減少量を算出してもよい。CPU41は、供給量、排出量、および減少量に基づいて、容器71内の液量を特定してもよい。容器71内の液量は、液位LLに対応する。
【0150】
C プリンタ1は、レベルセンサ78の代わりに、または加えて重量計を備えてもよい。重量計は容器71内の液体の重量を検知し、検知した重量をCPU41に出力する。容器71内の液体の重量は、液位LLに対応する。このため、「重量計が容器71内の液体の重量を示す信号をCPU41に出力する」とは、重量計が液位LLを示す信号をCPU41に出力することを意味する。プリンタ1はレベルセンサ78および重量計に限らず、液位LLを示す信号をCPU41に出力するセンサを備えるとよい。
【0151】
レベルセンサ78の構成は上記実施形態に限定されない。例えば、レベルセンサ78は、光学式センサであってもよい。レベルセンサ78は、第二リードスイッチ786を省略してもよい。つまり、レベルセンサ78は、液位LLが下限レベルL2以下であることを検知しなくてもよい。この場合、CPU41は液位LLが上昇する場合に、容器71が空の状態から液位LLが上限レベルL1に達した時点までの時間に基づいて液位制御時間を特定してもよい。
【0152】
CPU41は、S13およびS81の判断において、例えば、S65、S86、またはS88の処理が行われてからの振動子75の駆動時間の積算時間が所定時間を超えたかを判断してもよい。例えばS13の判断において、S65、S86、またはS88の処理が行われてからの振動子75の駆動時間の積算時間が所定時間を超えた場合、CPU41は、S14の処理において加湿制御を停止してもよい。
【0153】
CPU41は、S42およびS62の判断を省略してもよい。つまり、CPU41はS41またはS61の処理で供給バルブ83が閉状態から開状態に切り替わった時点からS43またはS63の処理で計時を開始してもよい。
【0154】
CPU41は、S52およびS72の判断を省略してもよい。この場合、S51またはS71の処理で排出ポンプ93の駆動が開始された時点からの経過時間が所定時間に達した場合、または排出ポンプ93の回転数の積算数が所定数に達した場合に、CPU41は排出ポンプ93の駆動を停止してもよい。所定時間および所定数は、液位LLが上限レベルL1の状態から排出ポンプ93が駆動され、容器71から排出タンク91に液体が排出されることが困難または不能になる程度の液位になるように設定されることが好ましい。
【0155】
供給チューブ82には、供給バルブ83に代えて、または加えて供給ポンプが設けられてもよい。供給ポンプは、駆動することで供給タンク81から供給チューブ82を介して容器71に液体を供給する。供給ポンプは、停止することで供給タンク81から供給チューブ82を介して容器71に液体が供給されることを停止する。この場合、プリンタ1は、供給タンク81から供給チューブ82を介して容器71に液体を供給するために、供給タンク81内の液体と容器71内の液体との水頭差を利用してもよいし、しなくてもよい。
【0156】
供給チューブ82に供給ポンプが設けられる場合、CPU41は、S43、S63、およびS84の処理において、供給ポンプの回転数のカウントを開始してもよい。CPU41は、S46およびS91の処理において、供給ポンプの回転数の積算数をRAM43に記憶してもよい。CPU41は、S47およびS92の処理において、カウントされた供給ポンプの回転数の積算数に基づいて、液位制御回転数を特定してもよい。液位制御回転数は、S65およびS86の処理において、液位LLを上限レベルL1と下限レベルL2との間のレベルに維持するためのパラメータである。液位制御回転数は、例えば下限レベルL2を超えた時点から上限レベルL1に達するまでの供給ポンプの回転数の積算数よりも少ない。
【0157】
CPU41は、S48およびS93の処理において、特定された液位制御回転数をフラッシュメモリ44に記憶してもよい。CPU41は、S64およびS85の判断において、カウントされた供給ポンプの回転数の積算数が液位制御回転数に達したかを判断してもよい。S64またはS85の処理において、カウントされた供給ポンプの回転数の積算数が液位制御回転数に達した場合、CPU41は、S65またはS86の処理において供給バルブ83を開状態から閉状態に切り替えてもよい。
【0158】
排出チューブ92には、排出ポンプ93に代えて、または加えて排水バルブが設けられてもよい。排出バルブは、開状態と閉状態とに、例えばソレノイドによって切り替わる。排出バルブは、開状態において、排出チューブ92の中を、排出バルブを介して液体が流れることを許容する。排出バルブは、閉状態において、排出チューブ92の中を、排出バルブを介して液体が流れることを遮断する。この場合、プリンタ1は、容器71から排出チューブ92を介して排出タンク91に液体を排出するために、排出タンク91内の液体と容器71内の液体との水頭差を利用してもよい。
【0159】
上記実施形態において、CPU41は、S82の処理とS84の処理との間に、S42の判断と同様に、レベルセンサ78からの下限信号に基づいて、液位LLが下限レベルL2以下であるかを判断してもよい。
【0160】
上記実施形態では、CPU41は液位LLが上昇する場合に、液位LLが下限レベルL2を超えた時点から液位LLが上限レベルL1に達するまでの時間に基づいて液位制御時間を特定する。これに対し、CPU41は液位LLが上昇する場合に、容器71が空の状態から液位LLが上限レベルL1に達した時点までの時間、高さH1、および高さH2に基づいて液位制御時間を特定してもよい。CPU41は液位LLが上昇する場合に、容器71が空の状態から液位LLが下限レベルL2を超えた時点までの時間、高さH1、および高さH2に基づいて液位制御時間を特定してもよい。
【0161】
さらに、CPU41は、加湿制御が停止された状態で排出ポンプ93が駆動することによって液位LLが低下する場合に、液位LLが上限レベルL1よりも低下した時点から下限レベルL2に達するまでの時間に基づいて液位制御時間を特定してもよい。例えば、CPU41は、排出ポンプ93の駆動によって容器71から排出チューブ92を介して排出タンク91へ流れる液体の流速と、供給バルブ83が開状態になった場合に供給タンク81から供給チューブ82を介して容器71へ流れる液体の流速とに基づいて、液位制御時間を補正してもよい。なお、「液位LLが上限レベルL1よりも低下した時点」は、レベルセンサ78が上限信号を出力する状態から上限信号を出力しない状態に切り替わる時点をいう。
【0162】
図16を参照し、第一変形例の入替処理(S34)を説明する。第一変形例の入替処理では、CPU41は
図11に示すS52~S62の処理を省略する。つまり、CPU41は、S51の処理で排出ポンプ93の駆動を開始した後、S63の処理で計時を開始する。S63の処理で計時が開始されてからの経過時間が液位制御時間に達した場合(S64:YES)、CPU41はS65の処理に代えて、排出ポンプ93の駆動を停止する。これにより、
図16に示すように、液位LLは状態A23から状態A251に変わる。状態A251に示すように、容器71から排出チューブ92を介する排出タンク91への液体の排出が停止され、液位LLが上限レベルL1と下限レベルL2との間のレベルに維持される。これによれば、CPU41は容器71からの液体の排出量を低減するという利点に貢献する。
【0163】
なお、初期導入処理でも、同様に、CPU41は
図9に示すS52~S62の処理を省略してもよい。供給処理において、液位LLが下限レベルL2に達した場合(S81:YES)、CPU41は、上記実施形態の入替処理を行ってもよいし、第一変形例の入替処理を行ってもよい。
【0164】
第一変形例の入替処理では、CPU41は補正した液位制御時間を参照してもよい。例えば、CPU41は、排出ポンプ93の駆動によって容器71から排出チューブ92を介して排出タンク91へ流れる液体の流速と、供給バルブ83が開状態になった場合に供給タンク81から供給チューブ82を介して容器71へ流れる液体の流速とに基づいて、液位制御時間を補正してもよい。CPU41は、加湿制御が停止された状態で排出ポンプ93が駆動することによって液位LLが低下する場合に、液位LLが上限レベルL1よりも低下した時点から下限レベルL2に達するまでの時間に基づいて特定された液位制御時間を参照してもよい。
【0165】
図17を参照し、第二変形例の入替処理(S34)を説明する。第二変形例の入替処理では、CPU41は
図11に示すS41~S53の処理を省略する。つまり、CPU41は、S73の処理で排出ポンプ93を所定量駆動した後、S63の処理で計時を開始する。これにより、
図17に示すように、液位LLは状態A22から状態A252に変わる。これによれば、CPU41は容器71からの液体の排出量を低減するという利点に貢献する。
【0166】
なお、初期導入処理でも、同様に、CPU41は
図9に示すS41~S53の処理を省略してもよい。この場合、例えばCPU41はS61の処理から液位LLが下限レベルL2に達するまでの時間に基づいて液位制御時間を特定してもよい。供給処理において、液位LLが下限レベルL2に達した場合(S81:YES)、CPU41は、第二変形例の入替処理を行ってもよい。
【0167】
上記実施形態では、ユーザが操作ボタン15を操作した場合、CPU41は入替指示を受け付ける。これに対し、CPU41は入替指示を定期的に受け付けてもよい。例えば、CPU41は、プリンタ1の電源が所定期間の間OFFされていた状態でプリンタ1の電源がONされて、供給制御処理が行われた場合、S33の判断において、入替指示を受け付けてもよい。所定期間は特定の長さに限定されないが、例えば2週間である。CPU41は、供給バルブ83が最後に開状態になってから所定期間経過した場合、S33の判断において、入替指示を受け付けてもよい。
【0168】
CPU41は、操作ボタン15を介して入替指示を受け付けた場合と、プリンタ1の電源が第一所定期間の間OFFされていた状態でプリンタ1の電源がONされて、供給制御処理が行われた場合に入替指示を受け付けた場合と、供給バルブ83が最後に開状態になってから第二所定期間経過した場合に入替指示を受け付けた場合とで、異なる入替処理を行ってもよい。なお、第二所定期間は、第一所定期間よりも短い。例えば、CPU41は、操作ボタン15を介して入替指示を受け付けた場合、およびプリンタ1の電源が第一所定期間の間OFFされていた状態でプリンタ1の電源がONされて、供給制御処理が行われた場合に入替指示を受け付けた場合には、上記実施形態の入替処理を行ってもよい。CPU41は、供給バルブ83が最後に開状態になってから第二所定期間経過した場合に入替指示を受け付けた場合、第一変形例の入替処理を行ってもよい。
【0169】
CPU41は、初期導入処理または入替処理において、S51~S65の処理を省略してもよい。つまり、CPU41は、初期導入処理において、液位LLが状態A12の状態で初期導入処理を終了し、処理を供給制御処理に戻してもよい。CPU41は、入替処理において、状態A23の状態で初期導入処理を終了し、処理を供給制御処理に戻してもよい。
【0170】
CPU41は、初期導入処理の開始時点または入替処理の開始時点でフラッシュメモリ44に液位制御時間が記憶されている場合、S41~S53の処理を省略してもよい。つまり、CPU41は、初期導入処理において、液位LLの状態を、状態A11から、状態A12、A13をスキップし、状態A14に遷移させてもよい。CPU41は、入替処理において、液位LLの状態を、状態A21から状態A22に遷移させ、状態A23、A24をスキップし、状態A25に遷移させてもよい。
【0171】
初期導入処理において、CPU41は、S53の処理で排出ポンプ93の駆動を停止してもよい。この場合、S53の処理が行われた時点の液位LLは下限レベルL2となる。同様に、入替処理において、CPU41は、S53またはS73の処理で、排出ポンプ93の駆動を停止してもよい。これによれば、CPU41は容器71からの液体の排出量を低減するという利点に貢献する。
【0172】
上記実施形態において、供給タンク81および排出タンク91の一方は省略されてもよい。例えば、プリンタ1は、容器71からの液体の排出がCPU41の制御によってできない構成でもよい。プリンタ1は、容器71への液体の供給がCPU41の制御によってできない構成でもよい。例えば容器71への液体の供給がCPU41の制御によってできない場合、ユーザは液位LLが上限レベルL1に達するまで手動で液体を容器71に供給する。この状態で、CPU41は、液位LLが上限レベルL1よりも低く且つ底面711よりも高くなるように、液位制御時間に基づいて排出ポンプ93を制御する。
【0173】
CPU41は、供給処理において、S85の処理を省略してもよい。つまり、CPU41は、S82の処理で供給バルブ83を開状態に切り替えた後、液位LLを上限レベルL1に達するまで上昇させてもよい。CPU41は、S91~S93の処理に代えて、またはS91~S93の処理の後、液位LLが上限レベルL1よりも低くなるように、液位制御時間に基づいて排出ポンプ93を制御してもよい。この場合、CPU41は容器71からの液体の排出量を低減するという利点に貢献する。
【0174】
容器71は、タンクに限定されず、液体を収容できれば、例えばビン等でもよい。底面711は平面でもよいし、湾曲していてもよい。底面711が湾曲する場合、液位LLは、底面711のうち特定の位置(例えば下端)からの高さによって規定される。
【0175】
CPU41の代わりに、マイクロコンピュータ、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が、プロセッサとして用いられてもよい。加湿制御処理、印刷制御処理、および供給制御処理は、それぞれ、複数のプロセッサによって分散処理されてもよい。ROM42、フラッシュメモリ44等の非一時的な記憶媒体は、情報を記憶する期間に関わらず、情報を留めておくことが可能な記憶媒体であればよい。非一時的な記憶媒体は、一時的な記憶媒体(例えば、伝送される信号)を含まなくてもよい。制御プログラムは、例えば、図示外のネットワークに接続されたサーバからダウンロードされて(すなわち、伝送信号として送信され)、ROM42またはフラッシュメモリ44に記憶されてもよい。この場合、制御プログラムは、サーバに備えられたHDD等の非一時的な記憶媒体に保存されていればよい。
【符号の説明】
【0176】
1 プリンタ
3 ヘッド
41 CPU
44 フラッシュメモリ
71 容器
75 振動子
83 供給バルブ
93 排出ポンプ
711 底面
785 第一リードスイッチ
786 第二リードスイッチ