IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 凸版印刷株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-光輝性積層体及び包装袋 図1
  • 特開-光輝性積層体及び包装袋 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041431
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】光輝性積層体及び包装袋
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/00 20060101AFI20240319BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20240319BHJP
   B65D 30/02 20060101ALI20240319BHJP
   B41M 3/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B32B27/00 E
B32B27/20 A
B65D30/02
B41M3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146250
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 操
(72)【発明者】
【氏名】佐々 志歩
(72)【発明者】
【氏名】清水 暢之
【テーマコード(参考)】
2H113
3E064
4F100
【Fターム(参考)】
2H113AA06
2H113BB08
2H113BB22
2H113BB32
2H113CA25
2H113CA46
3E064AA05
3E064AA09
3E064AA11
3E064BA36
3E064BA54
3E064BB03
3E064BC13
3E064BC18
3E064EA05
3E064EA06
3E064EA30
3E064HH04
4F100AB01E
4F100AB01H
4F100AK01E
4F100AK03E
4F100AK06E
4F100AK42A
4F100AK42E
4F100AK46E
4F100AK51B
4F100AK51E
4F100AT00A
4F100AT00E
4F100BA05
4F100BA07
4F100CA02E
4F100CA13C
4F100CA13D
4F100CA13E
4F100CB00B
4F100CB00E
4F100CB03E
4F100DE01E
4F100DE02E
4F100EH66E
4F100EJ37E
4F100GB15
4F100HB00C
4F100HB31C
4F100HB31D
4F100JL10D
4F100JL12E
4F100JN01E
4F100JN21E
4F100JN24E
(57)【要約】
【課題】金属粒子を含む印刷インキを使用した光沢層と白色インキ層とを有するにも拘わらず、白色インキ層がくすんで見えることのない光輝性積層体と、この積層体を使用した包装袋を提供すること。
【解決手段】少なくとも、外層フィルム12a、第1の接着剤層12b、絵柄印刷層12c、白色印刷層12d、透明フィルム12e、光沢層12f、第2の接着剤層12g、シーラント層12hが、この順に積層されている構造を有する積層体であって、前記光沢層が金属粒子を含み、前記絵柄印刷層12cと白色印刷層12dとが前記透明フィルム12eの一方の面に印刷されており、前記光沢層12fが前記透明フィルム12eの他方の面に配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、外層フィルム、第1の接着剤層、絵柄印刷層、白色印刷層、透明フィルム、光沢層、第2の接着剤層、シーラント層が、この順に積層されている構造を有する積層体であって、
前記光沢層が金属粒子を含み、
前記絵柄印刷層と白色印刷層とが前記透明フィルムの一方の面に印刷されており、前記光沢層が前記透明フィルムの他方の面に配置されていることを特徴とする光輝性積層体。
【請求項2】
前記金属粒子が金属鱗粉から成り、この金属鱗粉に加えてバインダー樹脂を含む印刷インキを印刷して前記光沢層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光輝性積層体。
【請求項3】
官能基を2以上含むイソシアネート以上含む印刷インキを印刷して前記光沢層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光輝性積層体。
【請求項4】
一部に透視できる窓部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光輝性積層体。
【請求項5】
前記積層体の層構成のうち、透明フィルムの両面にそれぞれ白色印刷層及び光沢層を配置した三層構造のフィルムを光輝性フィルムとするとき、この光輝性フィルムの白色印刷層側から拡散光線を照射して、正反射光を除く反射光の分光スペクトルから、色座標を算出した場合、L*a*b*色空間におけるL*が80以上であることを特徴とする請求項1に記載の光輝性積層体。
【請求項6】
表裏のフィルムを互に重ね、周囲をヒートシールして形成された包装袋であって、
表裏の前記フィルムのうち、少なくとも一方のフィルムが前記請求項1~5のいずれかに記載の光輝性積層体から成ることを特徴とする包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高輝度の金属光沢を有する積層体と、これを使用して作成した包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品等の商品の中には、これを包装する包装材によってその高級感や豪華さを演出して、商品の魅力をアピールすることで、消費者の購買意欲を高めるという観点から、包装材に高輝度の金属光沢を施すことがある。
【0003】
これらの商品の多くは、例えば、ボトル等に収容し、このボトルをブリスターパックやスキンパックを包装材として包装されてきた。そして、このような場合には、ブリスターパックやシュリンクパックの台紙に金属光沢を付与することが通常であった。なお、ブリスターパックは、プラスチックシートを真空成型などの方法で成形して商品収容用凹部を形成し、この凹部に商品を収容して、台紙を重ねて固定したものであり、シュリンクパックは台紙上に商品を載置し、この商品を台紙と共にシュリンクフィルムでシュリンク包装したものである。そして、このように金属光沢のある台紙の上に商品を載置して包装された包装体は、商品を透視することができ、こうして透視できる商品を中心として、その周囲に広がる台紙が豪華な金属光沢を有しているため、高級感や豪華さを演出し、購買意欲を高めるのである。
【0004】
近年、包装コストの低下、ごみの減容などの課題に対応するため、ブリスターパックやシュリンクパックに代えて、包装袋に前記ボトル等に収容するという要請が生じてきている。このようにブリスターパックやシュリンクパックに代えて包装袋を使用する場合にも、この包装袋には、前述のブリスターパックやシュリンクパックと同様に、高輝度の金属光沢が要求される。また、高輝度の金属光沢に加えて、その一部に透明な窓を設けて、収容したボトル等が透視できるようにするという要請もある。
【0005】
このような包装袋においては、透明な窓を通して商品を透視することができ、こうして透視できる商品を中心として、その周囲に広がり、包装袋の内面側が豪華な金属光沢を有しているため、前述のブリスターパックやシュリンクパックと同様に、高級感や豪華さを演出し、購買意欲を高めることができる。
【0006】
ところで、包装袋に高輝度の金属光沢を付与する方法には様々な方法が知られているが、例えば、包装袋を構成するフィルム(包装フィルム)に金属蒸着膜を設ける方法がある。この方法によれば、高い輝度の金属光沢を付与することができるが、金属蒸着膜は包装フィルムの全面に設けられるため、内容物透視用の透明窓を設けるためにはその一部を除去する必要がある。金属蒸着膜上にレジスト膜をパターン状に印刷し、アルカリエッチング液でエッチングして金属蒸着膜を除去することにより、この除去部分を前記透明窓とすることもできるが、この方法によれば、金属蒸着膜上にレジスト膜を印刷するためその着肉性や絵柄再現性が劣る。印刷絵柄と前記透明窓との見当合わせが困難である。あらかじめ印刷しておいた絵柄がアルカリエッチング液に犯される等の種々の弊害がある。
【0007】
一方、金属粒子を含む印刷インキを使用して、この印刷インキで包装フィルムに印刷することにより、包装フィルムに高輝度の金属光沢を付与すると共に、内容物透視用の透明窓を設けることが可能である。
【0008】
特許文献1は、このように金属粒子を含む印刷インキ(銀インキ)を使用して高輝度の
金属光沢を付与すると共に、内容物透視用の透明窓を設けた積層体や包装袋を提案している。すなわち、特許文献1の包装袋では、三種類のインキ層が設けられている。一種類目は銀インキで形成した銀インキ層である。また、2種類目は、絵柄の背景を構成する白色インキ層である。そして、3種類目は、絵柄インキ層であり、通常、多数色のカラー印刷によって印刷される。これら三種類のインキ層は、包装袋のもっとも内側、すなわち、シーラント層寄りに銀インキ層が配置されており、これを覆ってその外面側に白色インキ層が配置されている。そして、この白色インキ層を背景として、前記絵柄インキ層が白色インキ層の外面側に配置されている。なお、これら銀インキ層、絵柄インキ層及び白色インキ層のいずれもが印刷されていない部分が設けられており、この印刷されていない部分から包装袋内部を透視できる。
【0009】
しかしながら、特許文献1においては、銀インキで印刷した光沢層と、白色インキで印刷した白色インキ層とが互に隣接して重ねられているために、光沢層を構成する銀インキが白色インキ層の凹凸部に入り込み、外面側、すなわち、白色インキ層から見ると、この白色インキ層がグレーがかって見えるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2018-108860号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明は、金属粒子を含む印刷インキを使用した光沢層と白色インキ層とを有するにも拘わらず、白色インキ層がくすんで見えることのない光輝性積層体と、この積層体を使用した包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、請求項1に記載の発明は、少なくとも、外層フィルム、第1の接着剤層、絵柄印刷層、白色印刷層、透明フィルム、光沢層、第2の接着剤層、シーラント層が、この順に積層されている構造を有する積層体であって、
前記光沢層が金属粒子を含み、
前記絵柄印刷層と白色印刷層とが前記透明フィルムの一方の面に印刷されており、前記光沢層が前記透明フィルムの他方の面に配置されていることを特徴とする光輝性積層体である。
【0013】
前記金属粒子としては金属鱗粉から成るものが好ましい。そして、この金属鱗粉に加えてバインダー樹脂を含む印刷インキを印刷して前記光沢層を形成することが可能である。
【0014】
また、官能基を2以上含むイソシアネート以上含む印刷インキを印刷して前記光沢層を形成することもできる。光沢層を構成する印刷インキとして、官能基を2以上含むイソシアネート以上含む印刷インキを使用することにより、光沢層の密着性を高めることが可能である。
【0015】
この積層体には、一部に透視できる窓部が設けることも可能である。このように窓部を設けることにより、この積層体を使用して包装袋を製袋したとき、この窓部を通して内容物を透視することが可能となる。
【0016】
また、積層体の層構成のうち、透明フィルムの両面にそれぞれ白色印刷層及び光沢層を配置した三層構造のフィルムを光輝性フィルムとするとき、その白色印刷層側から拡散光線を照射して、正反射光を除く反射光の分光スペクトルから、色座標を算出した場合、L
*a*b*色空間におけるL*が80以上であることが好ましい。L*a*b*色空間におけるL*は明度に対応している。そして、白色印刷層側から拡散光線を照射して、その反射光の分光スペクトルから算出したL*が80以上であることは、白色印刷層又は白色印刷層を透して観察される光沢層の明度が高く、グレーにくすんでいないことを意味する。そして、このため、前記光沢層の輝度も高くなるのである。
【0017】
そして、包装袋を構成する表裏のフィルムのうち、少なくとも一方のフィルムとして前記積層体を使用して、表裏のフィルムを互に重ね、周囲をヒートシールして包装袋を形成することもできる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、白色印刷層と金属粒子を含む光沢層とが透明フィルムの表裏に形成されているため、これら白色印刷層と光沢層とが直接接触していない。このため、白色印刷層の凹凸に光沢層が入り込むことがなく、光沢層側から観察した場合はもちろん、白色印刷層から観察した場合にも、光沢層本来の高輝度の光沢を観察することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は本発明の実施の形態に係り、その包装袋の斜視図である。
図2図2は本発明の実施の形態に係り、包装袋を構成する光輝性積層体の断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の実施の形態に係る包装袋の斜視図であり、図2はその包装袋を構成する積層体の断面説明図である。
【0021】
この包装袋10は、表裏のフィルム11,12を互に重ね、周囲をヒートシールして形成されている。図1において、1xは、包装袋10周囲のシール線を示している。この包装袋10は四周の全部をヒートシールした四方シール袋であるが、1枚のフィルムを折り曲げて表裏のフィルム11,12とし、その折り曲げ線を除く三方をシールした三方シール袋であってもよいし、ピロー袋やガゼット袋、あるいはいわゆるスタンディングパウチであってもよい。
【0022】
そして、これら表裏のフィルム11,12のうち、少なくとも一方は、光輝性積層体で構成されている。この実施の形態では、裏側フィルム12が光輝性積層体で構成されている。
【0023】
この裏側のフィルム12、すなわち光輝性積層体は、図2に示すような層構成を有している。すなわち、まず、透明フィルム12eを中間層とし、その包装袋10外面側には白色印刷層12dが印刷され、内面側には光沢層12fが配置されている。このように白色印刷層12dと金属粒子を含む光沢層12fとが透明フィルム12eの表裏に形成されているため、これら白色印刷層と光沢層とが直接接触していない。このため、白色印刷層の凹凸に光沢層が入り込むことがなく、光沢層側から観察した場合はもちろん、白色印刷層から観察した場合にも、光沢層本来の高輝度の光沢を観察することができる。
【0024】
そして、このように透明フィルム12eの両面にそれぞれ白色印刷層12d及び光沢層12fを配置した三層構造のフィルムを光輝性フィルムとするとき、この光輝性フィルムの包装袋外面側、すなわち白色印刷層側から拡散光線を照射して、正反射光を除く反射光の分光スペクトルから、色座標を算出した場合、L*a*b*色空間におけるL*が80以上であることが望ましい。L*a*b*色空間におけるL*が80以上である場合には
白色印刷層12d又は白色印刷層12dを透して観察される光沢層12fがグレーにくすんでおらず、輝度の高い光沢を持っていることを意味する。
【0025】
次に、前記光輝性フィルムの包装袋10外面側には、白色印刷層12dに重ねて絵柄印刷層12cが印刷されている。この絵柄印刷層12cは、包装袋10内部に収容した商品を消費者に説明あるいはアピールするためのもので、商品名、商品の種類、製造者や販売者の表示などを含むカラーの印刷絵柄であることが通常である。そして、この絵柄印刷層12cと外層フィルム12aとの間に第1の接着剤層12bを介在させて、この第1の接着剤層12bにより、中間層と外層フィルム12aとを接着している。
【0026】
一方、前記光輝性フィルムの包装袋10内面側には、第2の接着剤層12gを介して、シーラント層12hが接着されている。
【0027】
そして、光輝性積層体から成るこの裏側のフィルム12には、その一部に窓部1yが設けられている。この窓部1yは、絵柄印刷層12c、白色印刷層12d及び光沢層12fのいずれも設けられておらず、裏側のフィルム12の一方の側から他方が透視できる領域である。このため、この裏側のフィルム12を使用して製袋した包装袋10では、この窓部を通して、包装袋10内部の製品を透視できる。
【0028】
次に、外層フィルム12a及び中間層の透明フィルム12eとしては、は単層構造又は多層構造の樹脂フィルムで構成することができる。単層構造の樹脂フィルムとしては、ポリエステルフィルムやポリアミドフィルムが例示できる。また、多層構造の樹脂フィルムとしては、これらポリエステルフィルムやポリアミドフィルムに他の樹脂層を積層して多層構造としたものを使用することもできる。また、透明な真空蒸着層を一部に含む多層構造のフィルムを外層としてもよい。透明な真空蒸着層としては、無機酸化物の真空蒸着層が例示できる。例えば、酸化ケイ素又は酸化アルミニウムの真空蒸着層である。
【0029】
白色印刷層12dは、透明フィルム12eの包装袋10外面側に常用の白色インキを印刷して形成することができる。その印刷パターンは、窓部1yを除く全領域である。印刷方法としては、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の方法によってよい。
【0030】
また、絵柄印刷層12cは、この白色印刷層12d上に重ねて印刷することで形成できる。白色印刷層12dと同様に、絵柄印刷層12cは窓部1yを除く部位に印刷形成する必要があるが、白色印刷層12d形成領域の全てに印刷形成する必要はない。前述のように、この絵柄印刷層12cは、包装袋10内部に収容した商品を消費者に説明あるいはアピールするためのもので、多色刷りとすることが可能である。
【0031】
次に、光沢層12fは、光輝性積層体から成る表側フィルム12に高輝度の光沢を与え、高級感や豪華さを演出して、商品の魅力をアピールするものである。この光沢層12fは、金属粒子にバインダー樹脂を配合して印刷インキとし、これを透明フィルム12eの包装袋10内面側に印刷することによって形成することができる。その印刷パターンは、窓部1yを除く全領域である。そして、透明フィルム12eを挟んで、白色印刷層12dと光沢層12fとが、いずれも、窓部1yを除く全領域に印刷形成されるため、包装袋10内面側から見た場合はもちろん、外面側から見た場合にも、光沢層本来の高輝度の光沢を観察することができるのである。
【0032】
ところで、前記金属粒子としては、金属鱗粉を好ましく使用することができる。金属鱗粉を使用して光沢層12fを形成することにより、一層高い輝度の光沢を表現できる。
【0033】
また、この印刷インキに官能基を2以上含むイソシアネート以上含む硬化剤を配合して
印刷することにより、形成された光沢層12fと透明フィルム12eとの密着性を高めることができる。
【0034】
なお、光沢層12fも、グラビア印刷法、スクリーン印刷法等の方法によって印刷形成することができる。
【0035】
次に、シーラント層12hとしては、ポリオレフィン系樹脂が使用できる。例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン-アクリル酸エチル共重合体(EAA)、アイオノマー、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂である。これらの樹脂を押出し機により製膜してフィルム状として使用すればよい。
【0036】
第1の接着剤層12b及び第2の接着剤層12gとしては、ドライラミネート用接着剤が使用できる。例えば、二液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステルウレタン系接着剤、ポリエーテルウレタン系接着剤、アクリル系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、エポキシ系接着剤等である。
【0037】
次に、この光輝性積層体から成るこの裏側のフィルム12は、次のような工程で製造することができる。
【0038】
すなわち、まず、透明フィルム12eの一方の面に、順次、白色印刷層12dと絵柄印刷層12cとを印刷形成する。次に、この白色印刷層12dに位置合わせして、透明フィルム12eの他方の面に光沢層12fを形成する。なお、これら各層の形成順序は、合理的な順序である限り、任意である。例えば、透明フィルム12eの他方の面に光沢層12fを形成した後、一方の面に白色印刷層12dと絵柄印刷層12cとを印刷形成することもできる。また、白色印刷層12dと光沢層12fとを形成した後絵柄印刷層12c形成することもできる。
【0039】
次に、その絵柄印刷層12cの面と外層フィルム12aとを第1の接着剤層12bを介して接着する。また、光沢層12fの面とシーラント層12hとを第2の接着剤層12gを介して接着する。これら接着の順序も任意である。
【0040】
なお、この光輝性積層体12を使用して包装袋を製造する方法も周知である。
【実施例0041】
(実施例1)
この例は、包装袋10を構成する裏側フィルム12のみを光輝性積層体としたものである。なお、表側フィルム11は、窓部を設けていない点を除き、裏側フィルム12と同じ層構成を有している。
【0042】
まず、裏側フィルム12の外層フィルム12a及び中間層の透明フィルム12eとしては、厚さ12μmのポリエステルフィルムを使用した。
【0043】
そして、透明フィルム12eの一方の面に、白色印刷層12dを印刷形成した。白色印刷層12dは、その一部に窓部1yを残して、これ以外の全面に印刷した。
【0044】
また、金属鱗粉をバインダー樹脂に配合し、更に多感応イソシアネート化合物から成る硬化剤を添加して印刷インキとし、透明フィルム12eの他方の面に、印刷して光沢層12fを形成した。光沢層12fは、白色印刷層12dと位置合わせして、窓部1yを残して、これ以外の全面に印刷形成することにより、透明フィルム12eの両面にそれぞれ白色印刷層12d及び光沢層12fを配置した三層構造の光輝性フィルムを製造した。
【0045】
この光輝性フィルムの包装袋外面側、すなわち、白色印刷層12d側から拡散光線を照射して、正反射光を除く反射光の分光スペクトルから、色座標を算出したところ、L*a*b*色空間におけるL*は80.4であった。この結果から、この光輝性フィルムは、白色印刷層12d側から観察した場合にもグレーにくすむことなく、高い輝度の光沢を示すことが分った。
【0046】
次に、絵柄印刷層12cを白色印刷層12d上に印刷した。絵柄印刷層12cは多色刷りで、窓部1yに懸らないように、白色印刷層12dの上に部分的に印刷した。
【0047】
そして、白色印刷層12d、絵柄印刷層12c及び光沢層12fを設けた透明フィルム12eの絵柄印刷層12c側の面と外層フィルム12aとを向かい合わせ、第1の接着剤層12bを介して接着積層すると共に、前記透明フィルム12eの光沢層12f側の面とシーラント層12hとを向かい合わせ、第2の接着剤層12gによって接着積層して、裏側フィルム12を製造した。シーラント層12hとしては、厚さ70μmのポリオレフィン系フィルムを使用した。
【0048】
層と層との間を「/」で表現して、こうして得られた裏側フィルム12の層構成を、「PET/接着剤層/絵柄/白/PET/光沢層/接着剤層/シーラント」と表現する。但し、この表現においては、窓部1yの有無を表現していない。
【0049】
次に、表側フィルム11も、窓部を設けていない点を除き、裏側フィルム12と同じ層構成を有している。すなわち、表側フィルム11の層構成も「PET/接着剤層/絵柄/白/PET/光沢層/接着剤層/シーラント」である。
【0050】
そして、これら表側フィルム11と裏側フィルム12とを重ね、四周を互にヒートシールして、図1に示す四方シール袋を製造した。
【0051】
(実施例2)
この例も、包装袋10を構成する裏側フィルム12のみを光輝性積層体としたものである。なお、表側フィルム11は、白色印刷層及び光沢層を設けていない点を除き、裏側フィルム12と同じ層構成を有している。
【0052】
裏側フィルム12の層構成は、実施例1の裏側フィルム12と同じ「PET/接着剤層/絵柄/白/PET/光沢層/接着剤層/シーラント」である。この裏側フィルム12には窓部1yを設けている。
【0053】
また、表側フィルム11の層構成は、「PET/接着剤層/絵柄/PET/接着剤層/シーラント」である。
【0054】
(実施例3)
この例も、包装袋10を構成する裏側フィルム12のみを光輝性積層体としたものである。
【0055】
裏側フィルム12は、中間層の透明フィルム12eとして、延伸ポリアミドフィルム(ONy)を使用した他は、実施例1の裏側フィルム12と同じである。その層構成は、「PET/接着剤層/絵柄/白/ONy/光沢層/接着剤層/シーラント」である。この裏側フィルム12には窓部1yを設けている。
【0056】
また、表側フィルム11は、実施例2の表側フィルム11と同じである。その層構成は、「PET/接着剤層/絵柄/PET/接着剤層/シーラント」である。
【0057】
(実施例4)
この例も、包装袋10を構成する裏側フィルム12のみを光輝性積層体としたものである。
【0058】
裏側フィルム12の層構成は、実施例1の裏側フィルム12と同じ「PET/接着剤層/絵柄/白/PET/光沢層/接着剤層/シーラント」である。この裏側フィルム12には窓部1yを設けている。
【0059】
表側フィルム11は、中間層の透明フィルム11eとして、延伸ポリアミドフィルム(ONy)を使用した他は、実施例2の表側フィルム11と同じである。その層構成は、「PET/接着剤層/絵柄/ONy/接着剤層/シーラント」である。
【0060】
(実施例5)
この例は、裏側フィルム12の光沢層に硬化剤を添加しなかった点を除き、実施例2と同様である。
【0061】
したがって、裏側フィルム12の層構成は「PET/接着剤層/絵柄/白/PET/光沢層/接着剤層/シーラント」である。
【0062】
また、表側フィルム11の層構成は、「PET/接着剤層/絵柄/PET/接着剤層/シーラント」である。
【0063】
(実施例6)
この例は、裏側フィルム12の光沢層に硬化剤を添加しなかったことに加え、中間層の透明フィルム11eとして、透明無機蒸着膜を設けたポリエステルフィルム(VMPET)を使用した点を除き、実施例2と同様である。
【0064】
すなわち、裏側フィルム12の層構成は「PET/接着剤層/絵柄/白/VMPET/光沢層/接着剤層/シーラント」である。
【0065】
また、表側フィルム11の層構成は、「PET/接着剤層/絵柄/PET/接着剤層/シーラント」である。
【0066】
(実施例7)
この例は、裏側フィルム12の白色印刷層12dと光沢層12fに窓部1yを設けなかた点を除き、実施例2と同様である。
【0067】
すなわち、裏側フィルム12の層構成は「PET/接着剤層/絵柄/白/PET/光沢層/接着剤層/シーラント」である。但し、窓部1yを設けていない。
【0068】
また、表側フィルム11の層構成は、「PET/接着剤層/絵柄/PET/接着剤層/シーラント」である。
【0069】
(比較例1)
この例は、光輝性フィルムの積層順序を変えたもので、この点を除き、実施例2と同様である。
【0070】
この例では、中間層の透明フィルムの包装袋内面側に光沢層を印刷形成し、この光沢層層上に白色印刷層を印刷形成して、光輝性フィルムとした。なお、これら光沢層と白色印刷層とは、いずれも、窓部を除く全面に形成した。そして、次に、中間層の透明フィルムの包装袋外面側に絵柄印刷層を形成した。
【0071】
そして、絵柄印刷層、光沢層及び白色印刷層を設けた透明フィルムの絵柄印刷層側の面と外層フィルムとを向かい合わせ、第1の接着剤層を介して接着積層すると共に、前記透明フィルムの白色印刷層側の面とシーラント層とを向かい合わせ、第2の接着剤層によって接着積層して、裏側フィルムを製造した。
【0072】
得られた裏側フィルムの層構成は「PET/接着剤層/絵柄/PET/光沢層/白/接着剤層/シーラント」である。
【0073】
なお、表側フィルムの層構成は、実施例2の表側フィルム11と同様で、「PET/接着剤層/絵柄/PET/接着剤層/シーラント」である。
【0074】
そして、これら表側フィルムと裏側フィルムとを重ね、四周を互にヒートシールして、四方シール袋を製造した。
【0075】
(比較例2)
この例も、光輝性フィルムの積層順序を変えたもので、この点を除き、実施例2と同様である。
【0076】
この例では、中間層の透明フィルムの包装袋外面側に光沢層を印刷形成し、この光沢層上に白色印刷層を印刷形成して、光輝性フィルムとした。なお、これら白色印刷層と光沢層とは、いずれも、窓部を除く全面に形成した。
【0077】
この光輝9フィルムの包装袋外面側、すなわち、白色印刷層12d側から拡散光線を照射して、正反射光を除く反射光の分光スペクトルから、色座標を算出したところ、L*a*b*色空間におけるL*は37.0であった。このように、光沢層と白色印刷層とが直接接触するように両層を重ねて形成すると、その明度が低下して、光沢の輝度が低下することが理解できる。
【0078】
次に、中間層の白色印刷層の上に絵柄印刷層を形成した。
【0079】
そして、絵柄印刷層、光沢層及び白色印刷層を設けた透明フィルムの絵柄印刷層側の面と外層フィルムとを向かい合わせ、第1の接着剤層を介して接着積層すると共に、前記透明フィルムの白色印刷層側の面とシーラント層とを向かい合わせ、第2の接着剤層によって接着積層して、裏側フィルムを製造した。
【0080】
得られた裏側フィルムの層構成は「PET/接着剤層/絵柄/白/光沢層/PET/接着剤層/シーラント」である。
【0081】
なお、表側フィルムの層構成は、実施例2の表側フィルム11と同様で、「PET/接着剤層/絵柄/PET/接着剤層/シーラント」である。
【0082】
そして、これら表側フィルムと裏側フィルムとを重ね、四周を互にヒートシールして、四方シール袋を製造した。
【0083】
次に、実施例1~7の包装袋を、その裏側から観察した際の視認性と輝度とを表1に示す。また、併せて、光沢層の密着性についても表1に示す。
【0084】
【表1】
【符号の説明】
【0085】
10:包装袋 1x:シール線 1y:窓部
11:表側フィルム
12:裏側フィルム 12a:外層フィルム 12b:第1の接着剤層 12c:絵柄印刷層 12d:白色印刷層 12e:透明フィルム 12f:光沢層 12g:第2の接着剤層 12h:シーラント層
図1
図2