IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 前田 和幸の特許一覧

<>
  • 特開-アンモニアの燃焼システムと燃焼方法 図1
  • 特開-アンモニアの燃焼システムと燃焼方法 図2
  • 特開-アンモニアの燃焼システムと燃焼方法 図3
  • 特開-アンモニアの燃焼システムと燃焼方法 図4
  • 特開-アンモニアの燃焼システムと燃焼方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004144
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】アンモニアの燃焼システムと燃焼方法
(51)【国際特許分類】
   F02M 25/00 20060101AFI20240109BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20240109BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20240109BHJP
   F02D 19/08 20060101ALI20240109BHJP
【FI】
F02M25/00 F
F02M25/00 S
F01N3/08 B
F02M37/00 301Z
F02D19/08 Z
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103644
(22)【出願日】2022-06-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-25
(71)【出願人】
【識別番号】517271935
【氏名又は名称】前田 和幸
(72)【発明者】
【氏名】前田 和幸
【テーマコード(参考)】
3G091
3G092
【Fターム(参考)】
3G091AA18
3G091AB04
3G091BA14
3G091CA08
3G091CA17
3G091EA11
3G092AB03
3G092AB12
3G092AB19
3G092FA17
3G092FA24
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ディーゼルエンジンやボイラーにおいて、アンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成される窒素酸化物を低減することが可能なシステムに関する。
【解決手段】主に、アンモニアタンク、石油系燃料タンク、水タンク、流体混合装置及び排ガスの後処理装置(NOx低減装置)から構成されるシステムにおいて、流体混合気を用いて、液体アンモニアを石油系燃料と微粒化・混合して噴射することにより、石油系燃料が有する優れた着火(点火)・燃焼特性を用いて、アンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、液体アンモニアに水を加えることにより燃焼時に生成される窒素酸化物を低減し、気化したアンモニアを用いてアンモニアタンクを冷却するとともに排ガスの後処理装置(NOx低減装置)の還元剤とすることにより、排ガス中の窒素酸化物を低減できることを特徴とする、アンモニアの燃焼を改善し窒素酸化物を低減させるシステム。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成される窒素酸化物を低減することを目的として、液体アンモニアタンクからエンジンやボイラーに至る液体アンモニアの供給系統において、流体混合装置を用いて液体アンモニアを石油系燃料と混合することにより、液体の状態で噴射したアンモニアを、燃焼室内において良好に燃焼させることが可能になることを特徴とする、アンモニア(NH3)の燃焼を改善し窒素酸化物(NOx)を低減するシステム。
【請求項2】
ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成される窒素酸化物を低減することを目的として、液体アンモニアタンクからエンジンやボイラーに至る液体アンモニアの供給系統において、流体混合装置を用いて液体アンモニアを水及び石油系燃料と混合することにより、液体の状態で噴射したアンモニアを、燃焼室内において良好に燃焼させることが可能になるとともに、NOx及びPMの同時低減が得られることを特徴とする、アンモニア(NH3)の燃焼を改善し窒素酸化物(NOx)を低減するシステム。
【請求項3】
ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成される窒素酸化物を低減することを目的として、アンモニア水タンクからエンジンやボイラーに至るアンモニア水の供給系統において、流体混合装置を用いてアンモニア水を石油系燃料と混合することにより、液体の状態で噴射したアンモニアを、燃焼室内において良好に燃焼させることが可能になるとともに、NOx及びPMの同時低減が得られることを特徴とする、アンモニア(NH3)の燃焼を改善し窒素酸化物(NOx)を低減するシステム。
【請求項4】
ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成される窒素酸化物を低減することを目的として、液体アンモニアタンクを断熱構造にするとともに冷却し、液体アンモニアタンクからエンジンやボイラーに至る液体アンモニア及び石油系燃料の供給系統を断熱構造として、液体アンモニアタンクからエンジンやボイラーに至る液体アンモニア及び石油系燃料の供給系統の温度を低く保つことにより、アンモニアの飽和蒸気圧力を低下させて液体アンモニアの状態を保つための圧力を低く設定することが可能になることを特徴とする、請求項1に記載されたアンモニア(NH3)の燃焼を改善し窒素酸化物(NOx)を低減するシステム。
【請求項5】
ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成される窒素酸化物を低減することを目的として、液体アンモニアタンクを断熱構造にするとともに冷却し、液体アンモニアタンクからエンジンやボイラーに至る液体アンモニア及び石油系燃料の供給系統を断熱構造として、液体アンモニアタンク、水の供給系統及び石油系燃料タンクからエンジンやボイラーに至る液体アンモニア、水及び石油系燃料の供給系統の温度を低く保つことにより、アンモニアの飽和蒸気圧力を低下させて液体アンモニアの状態を保つための圧力を低く設定することが可能になることを特徴とする、請求項2に記載されたアンモニア(NH3)の燃焼を改善し窒素酸化物(NOx)を低減するシステム。
【請求項6】
ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成される窒素酸化物を低減することを目的として、アンモニア水タンク及び石油系燃料タンクを断熱構造にするとともに冷却し、アンモニア水タンク及び石油系燃料タンクからエンジンやボイラーに至るアンモニア水及び石油系燃料の供給系統を断熱構造として、アンモニア水タンク及び石油系燃焼タンクからエンジンやボイラーに至るアンモニア水及び石油系燃料の供給系統において、アンモニア水タンク及び石油系燃料タンクからエンジンやボイラーに至るアンモニア水及び石油系燃料供給系統の温度を低く保つことにより、燃料供給系統においてアンモニア水中のアンモニア成分が気化するのを防止できることを特徴とする、請求項3に記載されたアンモニア(NH3)の燃焼を改善し窒素酸化物(NOx)を低減するシステム。
【請求項7】
ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成される窒素酸化物を低減することを目的として、液体アンモニアタンクからエンジンやボイラーに至る液体アンモニア及び石油系燃料の供給系統を断熱構造にして、液体アンモニアの気化熱により液体アンモニアタンクを冷却するとともに、気化したアンモニアを排ガス中の窒素酸化物(NOx)を還元するシステム(SCRシステム)に供給することを特徴とする、請求項1又は請求項4に記載された、アンモニア(NH3)の燃焼を改善し窒素酸化物(NOx)を低減するシステム。
【請求項8】
ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成される窒素酸化物を低減することを目的として、液体アンモニアタンクからエンジンやボイラーに至る液体アンモニア及び石油系燃料の供給系統を断熱構造にして、液体アンモニアの気化熱により液体アンモニアタンクを冷却するとともに、気化したアンモニアの一部を排ガス中の窒素酸化物(NOx)を還元するシステム(SCRシステム)に供給し、残りの気化したアンモニアを圧縮機及び凝縮器から構成される気液変換装置によって液化した後、液体アンモニアタンクに戻すことを特徴とする、請求項1又は請求項4に記載された、アンモニア(NH3)の燃焼を改善し窒素酸化物(NOx)を低減するシステム。
【請求項9】
アンモニアの「沸点が低い」という特性と、「気化熱(蒸発熱)が大きい」という特性を活かして、液体アンモニアの一部を気化(蒸発)させて貯蔵・移送過程における液体アンモニアの温度を低温に保つとともに、気化(蒸発した)アンモニアを、燃焼過程において生成された窒素酸化物の低減に活用することが可能となることを特徴とする、請求項1又は請求項4に記載された、アンモニア(NH3)の燃焼を改善し窒素酸化物(NOx)を低減するシステム。
【請求項10】
液体アンモニアの貯蔵・移送過程において温度を低温に保つために必要な熱量(気化熱)が、排ガスの後処理装置(NOx低減装置)に必要なアンモニアの量に相当する熱量以上に必要な場合、液体アンモニアの貯蔵・移送過程において温度を低温に保つために気化させたアンモニアの量から、排ガスの後処理装置(NOx低減装置)に必要なアンモニアの量を差し引いた量のアンモニアを、主に圧縮機と凝縮器から構成される気液変換装置を用いて液化させ、再び液体アンモニアタンクに戻すことが可能となることを特徴とする、請求項1又は請求項4に記載された、アンモニア(NH3)の燃焼を改善し窒素酸化物(NOx)を低減するシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニアをディーゼルエンジンやボイラーの燃焼室において、効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成される窒素酸化物を低減するためのシステムの提供に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素成分(C)を多量に含む化石燃料の燃焼が地球温暖化を促進しているとの観点から、炭素成分を含まない燃料として水素とアンモニアが注目されている。水素は貯蔵や輸送面で解決すべき課題が多いが、アンモニアは主に肥料の原料として、既に生産・運搬・貯蔵に関する技術が確立されており、世界的に流通しているため、アンモニアをディーゼルエンジンやボイラーの燃料として活用する研究が実施されている。しかし、アンモニアは、現在のディーゼルエンジンやボイラーの主燃料である化石燃料に比べ、着火性が悪い、燃焼速度が遅い、燃焼時に他の大気汚染物質である窒素酸化物(NOx)を生成する可能性が高いなどの燃焼に関する解決すべき課題を持つだけではなく、単位質量(容積)当たりの発熱量が極端に小さい(石油系燃料の約2.5分の1)という物理的な特性を持っているため、これをディーゼルエンジンやボイラーの燃料として使用できる状態にするには多くの技術的な課題を克服する必要がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、「アンモニアの燃焼率を高めて未燃アンモニアを減少させ、CO2削減を図るために、燃焼室内に点火源となる燃料油とガス状のアンモニアとを投入する燃料投入手段とを有する、燃焼室内でアンモニア予混合気を形成して混合燃焼させるディーゼルエンジンに関する技術」が記載されている。
特許文献2には、「アンモニア燃焼エンジンにおいて効率よくアンモニアを燃焼させるために、アンモニア分解触媒を用いて分解したアンモニアガスを、アンモニア分解ガスに含まれる水素の当量比が所定の下限値以上となるように調節した後に、主燃焼室に噴出孔を介して連通した副燃焼室に提供し、燃料過剰条件下で点火して燃焼させ、未燃水素の混じる可能燃焼ガスを噴出孔から噴流トーチ火炎として主燃焼室に噴出させ、噴流トーチ火炎による未燃水素の燃焼により、主燃焼室に供給されたアンモニアと空気の予混合気体に点火して燃焼させる技術」が記載されている。
特許文献3には、「燃料としてアンモニアを用いた内燃機関では、燃焼室に供給したアンモニアの一部が燃焼室内で燃焼せずに排出される可能性があるとともに、燃焼室内での混合気の燃焼に伴ってNOxが生成される可能性があるため、燃焼室から排出された排気ガス中に含まれる未燃アンモニア及びNOxを後処理装置によって良好に浄化する技術」が記載されている。
しかし、いずれの技術も既存のディーゼルエンジンやボイラーへの転用は困難であるため、新たな構造を持つ機器を開発する必要があるとともに、センサーを含む複雑な制御装置を開発する必要がある。
【0004】
これに対し、特許文献4には、「流体混合機を用いて水を微粒化するとともに、これを燃料に混合することにより、燃料消費量(CO2排出量)を増加させることなく排ガス中に含まれるNOxとPMを同時に低減可能な技術」が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6702475号公報
【特許文献2】特開2021-161921号公報
【特許文献3】特願2012-512766
【特許文献4】特許第5941224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アンモニア(NH3)は炭素成分(C)を含まないため、燃焼(酸化反応)に際してCO2を排出しない燃料とされているが、着火性、燃焼速度、燃焼時に大気汚染物質であるNOxを多く生成する可能性があるなどの燃焼に係わる特性を石油系燃料と比較した場合、技術的に改善すべき課題が多い。また、単位質量当たりの発熱量が石油系燃料(軽油やA重油)の約40%(2.5分の1)と大幅に少ないため、ディーゼルエンジンやボイラーにおいて同一の性能(出力)を得るためには、約2.5倍の燃料タンクと燃料噴射装置を必要とする。
【0007】
そこで本発明は、下記の要素を備えた、汎用性が高く、容積や重量の増加も比較的少ない構造を持ち、既存のディーゼルエンジンやボイラーの燃焼装置にも適用可能な、アンモニア(NH3)の燃焼を改善し窒素酸化物(NOx)を低減するシステムを提供することを目的とする。
1.アンモニアを石油系燃料と混合して噴射するとことにより、同時に噴射された石油系燃料が約1ms後に着火して、着火性に劣るアンモニア燃料のパイロット噴射的な役割を果たして、アンモニアの着火性が悪いという特性(課題)を補うことができる。
2.アンモニアを石油系燃料と混合して噴射するとことにより、石油系燃料が先に燃焼し、燃焼速度も速いため、アンモニアの助燃剤の役割を果たして、アンモニアの燃焼速度が遅いという特性(課題)を補うことができる。
3.アンモニアを液体の状態で石油系燃料と混合して噴射するとことにより、アンモニアを気体で噴射する場合に比べて、アンモニアのエネルギー密度(単位体積当たりの発熱量)を高めることが可能となり、燃焼室において効果的・効率的な燃焼が可能になる。
4.常温・常圧においても、アンモニアの水に対する溶解度は気体としては非常に大きいという特性と、濃厚水溶液が存在し(濃度25から28%の市販の濃アンモニア水がある)という市場性を活用して、アンモニア水を石油系燃料と混合して噴射することにより、ディーゼルエンジンやボイラーの燃料貯蔵・移送系及び燃料噴射系の圧力をアンモニアの常温における飽和蒸気圧力(例えば、20℃においては0.86MPa、30℃においては1.17MPa)まで高める必要がないため、既存のディーゼルエンジンやボイラーの燃料噴射系統に使用されている設備がそのまま転用できる。
5.アンモニア水燃料を石油系燃料として混合することにより、特許文献4に示す水混合燃料の、排ガス中のNOxとPMを同時に低減できるという特性を活用できる。
6.アンモニアに石油系燃料と水を混合して噴射することにより、石油系燃料の燃焼特性によりアンモニアの着火性と燃焼性における課題を補うことが可能になるとともに、水の混合による窒素酸化物(NOx)と粒子状物質(PM)の同時低減効果を活用することが可能になる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
アンモニアは、現在のディーゼルエンジンやボイラーの主燃料である化石燃料に比べ、着火性が悪い、燃焼速度が遅い、燃焼時に他の大気汚染物質である窒素酸化物(NOx)を生成する可能性が高いなどの燃焼に関する解決すべき課題を持つだけではなく、単位質量(容積)当たりの発熱量が極端に小さい(石油系燃料の約2.5分の1)という物理的な特性を持っている。また、燃焼時に多くの窒素酸化物(NOx)を生成する可能性があるため、これに対応する技術を開発する必要がある。
本発明は、これらの課題を解決するために、次に示すようなシステムを提供する。
【0009】
請求項1に記載の発明は、ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成される窒素酸化物を低減することを目的として、液体アンモニアタンクからエンジンやボイラーに至る液体アンモニアの供給系統において、流体混合装置を用いて液体アンモニアを石油系燃料と混合することにより、液体の状態で噴射したアンモニアを、燃焼室内において良好に燃焼させることが可能になることを特徴とする。
【0010】
なお、この発明は、ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成される窒素酸化物を低減することを目的として、液体アンモニアタンクからエンジンやボイラーに至る液体アンモニアの供給系統において、流体混合装置を用いて液体アンモニアを石油系燃料と混合するという方法を用いることにより、液体の状態で噴射したアンモニアを、燃焼室内において良好に燃焼させることが可能になることを特徴とする、アンモニア(NH3)の燃焼を改善し窒素酸化物(NOx)を低減する方法としても活用できる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成される窒素酸化物を低減することを目的として、液体アンモニアタンクからエンジンやボイラーに至る液体アンモニアの供給系統において、流体混合装置を用いて液体アンモニアを水及び石油系燃料と混合することにより、液体の状態で噴射したアンモニアを、燃焼室内において良好に燃焼させることが可能になるとともに、NOx及びPMの同時低減が得られることを特徴とする。
【0012】
なお、この発明は、ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成される窒素酸化物を低減することを目的として、液体アンモニアタンクからエンジンやボイラーに至る液体アンモニアの供給系統において、流体混合装置を用いて液体アンモニアを水及び石油系燃料と混合するという方法を用いることにより、液体の状態で噴射したアンモニアを、燃焼室内において良好に燃焼させることが可能になるとともに、NOx及びPMの同時低減が得られることを特徴とする、アンモニア(NH3)の燃焼を改善し窒素酸化物(NOx)を低減する方法としても活用可能である。
【0013】
請求項3に記載の発明は、ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成される窒素酸化物を低減することを目的として、アンモニア水タンクからエンジンやボイラーに至るアンモニア水の供給系統において、流体混合装置を用いてアンモニア水を石油系燃料と混合することにより、液体の状態で噴射したアンモニアを、燃焼室内において良好に燃焼させることが可能になるとともに、NOx及びPMの同時低減が得られることを特徴とする。
【0014】
なお、この発明は、ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成される窒素酸化物を低減することを目的として、アンモニア水タンクからエンジンやボイラーに至るアンモニア水の供給系統において、流体混合装置を用いてアンモニア水を石油系燃料と混合するという方法を用いることにより、液体の状態で噴射したアンモニアを、燃焼室内において良好に燃焼させることが可能になるとともに、NOx及びPMの同時低減が得られることを特徴とする、アンモニア(NH3)の燃焼を改善し窒素酸化物(NOx)を低減する方法としても活用可能である。
【0015】
請求項4に記載の発明は、ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成される窒素酸化物を低減することを目的として、液体アンモニアタンクを断熱構造にするとともに冷却し、液体アンモニアタンクからエンジンやボイラーに至る液体アンモニア及び石油系燃料の供給系統を断熱構造として、液体アンモニアタンクからエンジンやボイラーに至る液体アンモニア及び石油系燃料の供給系統の温度を低く保つことにより、アンモニアの飽和蒸気圧力を低下させて液体アンモニアの状態を保つための圧力を低く設定することが可能になることを特徴とする。
【0016】
なお、この発明は、ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成される窒素酸化物を低減することを目的として、液体アンモニアタンクを断熱構造にするとともに冷却し、液体アンモニアタンクからエンジンやボイラーに至る液体アンモニア及び石油系燃料の供給系統を断熱構造として、液体アンモニアタンクからエンジンやボイラーに至る液体アンモニア及び石油系燃料の供給系統の温度を低く保つという方法を用いることにより、アンモニアの飽和蒸気圧力を低下させて液体アンモニアの状態を保つための圧力を低く設定することが可能になることを特徴とする、アンモニア(NH3)の燃焼を改善し窒素酸化物(NOx)を低減する方法としても活用可能である。
【0017】
請求項5に記載の発明は、ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成される窒素酸化物を低減することを目的として、液体アンモニアタンクを断熱構造にするとともに冷却し、液体アンモニアタンクからエンジンやボイラーに至る液体アンモニア及び石油系燃料の供給系統を断熱構造として、液体アンモニアタンク、水の供給系統及び石油系燃料タンクからエンジンやボイラーに至る液体アンモニア、水及び石油系燃料の供給系統の温度を低く保つことにより、アンモニアの飽和蒸気圧力を低下させて液体アンモニアの状態を保つための圧力を低く設定することが可能になることを特徴とする。
【0018】
なお、この発明は、ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成される窒素酸化物を低減することを目的として、液体アンモニアタンクを断熱構造にするとともに冷却し、液体アンモニアタンクからエンジンやボイラーに至る液体アンモニア及び石油系燃料の供給系統を断熱構造として、液体アンモニアタンク、水の供給系統及び石油系燃料タンクからエンジンやボイラーに至る液体アンモニア、水及び石油系燃料の供給系統の温度を低く保つという方法を用いることにより、アンモニアの飽和蒸気圧力を低下させて液体アンモニアの状態を保つための圧力を低く設定することが可能になることを特徴とする、アンモニア(NH3)の燃焼を改善し窒素酸化物(NOx)を低減する方法としても活用可能である。
【0019】
請求項6に記載の発明は、ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成される窒素酸化物を低減することを目的として、アンモニア水タンク及び石油系燃料タンクを断熱構造にするとともに冷却し、アンモニア水タンク及び石油系燃料タンクからエンジンやボイラーに至るアンモニア水及び石油系燃料の供給系統を断熱構造として、アンモニア水タンク及び石油系燃焼タンクからエンジンやボイラーに至るアンモニア水及び石油系燃料の供給系統において、アンモニア水タンク及び石油系燃料タンクからエンジンやボイラーに至るアンモニア水及び石油系燃料供給系統の温度を低く保つことにより、燃料供給系統においてアンモニア水中のアンモニア成分が気化するのを防止できることを特徴とする。
【0020】
なお、この発明は、ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成される窒素酸化物を低減することを目的として、アンモニア水タンク及び石油系燃料タンクを断熱構造にするとともに冷却し、アンモニア水タンク及び石油系燃料タンクからエンジンやボイラーに至るアンモニア水及び石油系燃料の供給系統を断熱構造として、アンモニア水タンク及び石油系燃焼タンクからエンジンやボイラーに至るアンモニア水及び石油系燃料の供給系統において、アンモニア水タンク及び石油系燃料タンクからエンジンやボイラーに至るアンモニア水及び石油系燃料供給系統の温度を低く保つという方法を用いることにより、燃料供給系統においてアンモニア水中のアンモニア成分が気化するのを防止できることを特徴とする、アンモニア(NH3)の燃焼を改善し窒素酸化物(NOx)を低減する方法としても活用可能である。
【0021】
請求項7に記載の発明は、ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成される窒素酸化物を低減することを目的として、液体アンモニアタンクからエンジンやボイラーに至る液体アンモニア及び石油系燃料の供給系統を断熱構造にして、液体アンモニアの気化熱により液体アンモニアタンクを冷却するとともに、気化したアンモニアを排ガス中の窒素酸化物(NOx)を還元するシステム(SCRシステム)に活用することを特徴とする。
【0022】
請求項8に記載の発明は、ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成される窒素酸化物を低減することを目的として、液体アンモニアタンクからエンジンやボイラーに至る液体アンモニア及び石油系燃料の供給系統を断熱構造にして、液体アンモニアの気化熱により液体アンモニアタンクを冷却するとともに、気化したアンモニアの一部を排ガス中の窒素酸化物(NOx)を還元するシステム(SCRシステム)に活用し、残りの気化したアンモニアを圧縮機及び凝縮器によって液化して液体アンモニアタンクに戻すことを特徴とする。
【0023】
請求項9に記載の発明は、アンモニアの「沸点が低い」という特性と、「気化熱(蒸発熱)が大きい」という特性を活かして、液体アンモニアの一部を気化(蒸発)させて貯蔵・移送過程における液体アンモニアの温度を低温に保つとともに、気化(蒸発した)アンモニアを、燃焼過程において生成された窒素酸化物の低減に活用することが可能となることを特徴とする。
【0024】
請求項10に記載の発明は、液体アンモニアの貯蔵・移送過程において温度を低温に保つために必要な熱量(気化熱)が、排ガスの後処理装置(NOx低減装置)に必要なアンモニアの量に相当する熱量以上に必要な場合、液体アンモニアの貯蔵・移送過程において温度を低温に保つために気化させたアンモニアの量から、排ガスの後処理装置(NOx低減装置)に必要なアンモニアの量を差し引いた量のアンモニアを、主に圧縮機と凝縮器から構成される気液変換装置を用いて液化させ、再び液体アンモニアタンクに戻すことが可能となることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明を用いることにより、ディーゼルエンジンやボイラーの燃焼室において、アンモニアを効果的・効率的に燃焼させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施の形態に係る基本構成の例を示したものである。
図2】本発明の実施の形態に係る具体的な構成の例を示したものである。
図3】本発明の実施の形態に係る具体的な構成の例を示したものである。
図4】本発明の実施の形態に係る具体的な構成の例を示したものである。
図5】本発明の実施の形態に係る具体的な構成の例を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る基本構成の例を示したものである。
図において、液体アンモニア又はアンモニア水タンク(1)には、液体アンモニア又はアンモニア水が貯蔵されている。燃料タンク(2)には軽油、A重油(1種1号重油)などの石油系燃料が貯蔵されている。水タンク(3)には水が貯蔵されている。なお、水タンク(1)の代わりに、工場、船舶、発電所などの施設に設置されている給水ラインから水を供給してもよい。
液体アンモニア又はアンモニア水は、流体混合気(4)において微粒化されるとともに、燃料と混合され、アンモニア混合燃料又はアンモニア水混合燃料として、ディーゼルエンジン又はボイラー(5)に供給される。
なお、タンク(1)から出た液体アンモニアに、タンク(3)から出た水を合流させた後にアンモニアと水を、体混合気(4)において微粒化して燃料と混合することにより、アンモニア・水混合燃料をディーゼルエンジン又はボイラー(5)に供給することができる。本発明の装置を用いて生成される「アンモニア混合燃料」、「アンモニア水混合燃料」、「アンモニア・水混合燃料」を用いることにより、ディーゼルエンジンやボイラーの燃焼室においてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させることが可能となる。
また、各燃料がディーゼルエンジン又はボイラー(5)の燃焼室において燃焼する際に、大気汚染物質である窒素酸化物(NOx)と粒子状物質(PM)が生成され、排ガスとともに大気に放出されるが、本発明を用いることにより窒素酸化物(NOx)と粒子状物質(PM)を燃焼室及び排気管系統に設置された「排ガスの後処理装置(NOx低減装置)(6)を用いて低減(削減)することが可能となる。
【0028】
まず、本発明の装置を用いて生成される「アンモニア混合燃料」、「」アンモニア水混合燃料」、「アンモニア・水混合燃料」を用いることにより、ディーゼルエンジンやボイラーの燃焼室においてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させることが可能となる原理について説明する。
アンモニアは、着火性が悪く燃焼速度が遅い(難燃性)とされている。これに対し、軽油やA重油(1種1号重油)のような石油系燃料を液体の状態で噴射した場合、約350℃以上で気化し、雰囲気温度が約500℃においては噴射後約1msで自己着火して、その火炎温度は1000℃以上になる。この石油系燃料の特性を活かしてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させることが可能となる。すなわち、アンモニアと石油系燃料を混合して、雰囲気温度が約500℃以上のディーゼルエンジンの燃焼室に噴射又は、ボイラの燃焼室に噴射してボイラーの点火システムを用いて点火すると、ディーゼルエンジンの燃焼室又はボイラーの燃焼室内には1000℃以上の火炎が存在する。
ディゼルエンジンの燃焼室又はボイラーの燃焼室に石油系燃料として噴射された大気圧下における沸点が約マイナス33℃のアンモニアは、燃焼室内ですぐに気化し、可燃性ガスとなるが、その時既に石油系燃焼は着火(発火)・燃焼過程にあり、雰囲気温度は1000℃を超えているため、容易に着火(発火)し、燃焼することが可能である。
このように、アンモニアを石油系燃焼と混合して同時に噴射することにより、アンモニアの「着火しにくく燃えにくい」という燃焼特性上マイナスとなる要因を補い、アンモニアを効果的・効率的に燃焼させることが可能となる。
【0029】
次に、窒素酸化物(NOx)を低減(削減)するシステムについて説明する。
窒素酸化物は、特に、ディーゼルエンジン燃焼室内の高温域において、空気中の窒素(N2)と酸素(O2)が結合して生成されるが、その生成量は火炎温度と相関があるため、火炎温度を下げることにより低減可能である。
これに対し、水は約2200kJ/kgの気化熱(蒸発熱)を有する物質であるため、アンモニア及び石油系燃料と混合して、同時に、約500℃以上の雰囲気温度を持つディーゼルエンジンの燃焼室又はボイラーの燃焼室に噴射することにより、液体から気体へ相変化する際の気化熱(蒸発熱)により、火炎温度を下げて窒素酸化物の生成を低減することが可能となる。
このように、アンモニアを石油系燃料及び水と混合してディーゼルエンジンやボイラーの燃焼室に噴射することにより、効果的・効率的な燃焼が可能になるばかりではなく、窒素酸化物の生成を低減することが可能となる。
【0030】
さらに、アンモニアの代わりにアンモニア水を用いた場合の輸送・貯蔵及び燃焼・排ガス特性に関する利点について説明する。
アンモニアの大気圧下における沸点は約マイナス33℃であるため、エネルギー密度の高い液体の状態で輸送・貯蔵するためには、大気圧下における温度をそれ以下に保つ必要がある。また、大気温度下において液体状態を保つためには、例えば0℃においては0.43MPa、20℃においては0.86MPa、40℃においては1.55MPaという高い圧力を必要とする。このため、液体アンモニアをディーゼルエンジンやボイラーの燃料として用いる場合は、断熱された低温の貯蔵容器及び燃料供給系統、又は加圧された貯蔵容器及び燃料供給系統を必要とする。
一方、アンモニアは水に溶けやすいという特性を持つため、水に溶解させることより大気圧・大気温度下において液体の状態を保つことが可能となるため、既存の(断熱冷却又は加圧を必要としない)貯蔵容器及び燃料供給系統を使用することが可能である。また、既に水を含んでいるため、ディーゼルエンジンの燃焼過程における窒素酸化物低減を目的とした水との混合過程を必要としない。
このように、アンモニア水はハンドリング(貯蔵・輸送)及び燃焼過程における優位性を持つが、水を含む分だけエネルギー密度が小さくなる。このため、貯蔵・輸送過程においてはアンモニアと水を独立させ、ディーゼルエンジンやボイラーの燃料噴射系統の直前で混合するという方法を用いるのが有効である。
【0031】
最後に、水を混合するという方法を用いないで、排気系統において窒素酸化物を低減する方法について説明する。
アンモニアの大気圧下における沸点は約マイナス33℃と低いため、液化した状態を保つためにはそれ以下の温度を維持する必要がある。一方、アンモニアの気化熱(蒸発熱)は
約1370kJ/kgであり、水の約2250kJ/kgには及ばないものの、他の物質よりも高い値を示す。この特性を利用して、アンモニアが蒸発する際の気化熱(蒸発熱)を利用してアンモニア自身の温度を下げて液体の状態を維持するとともに、気体となったアンモニアをディーゼルエンジンやボイラーの排気管系統に設置された「排ガスの後処理装置(NOx低減装置)(7)」における窒素酸化物の還元剤として用いることにより、燃焼に際して生成された窒素酸化物を窒素と水に変換することが可能となる。
このように、アンモニアの「沸点が低い」という特性と、気化熱(蒸発熱)が大きいという特性を用いて、液体アンモニアの一部を気化(蒸発)させて貯蔵・移送過程における液体アンモニアの温度を低温に保つとともに、気化(蒸発した)アンモニアを、燃焼過程において生成された窒素酸化物の低減に活用することが可能となる。
【0032】
図2図6は、本発明の実施の形態に係る具体的な構成の例を示したものである。
図2は、タンク(1)に液体アンモニアを貯蔵した場合の、本発明の実施の形態に係る具体的な構成の例を示したものである。図に示すように、液体アンモニアタンク(1)に貯蔵されたアンモニアと石油系燃料(アンモニアの助燃用燃料)タンク(2)に貯蔵された石油系燃料を、流体混合気(4)により微粒化・混合することにより、アンモニアを効果的・効率的に燃焼させることが可能となる。また、液体アンモニアタンク(1)に貯蔵されたアンモニアの一部を気化(蒸発)させることにより液体アンモニアタンク(1)の温度を低温に保つとともに、気化したアンモニアを排ガスの後処理装置(NOx低減装置)(6)の還元剤として用いることにより、アンモニアの燃焼によって生成された窒素酸化物を低減することが可能となる。
【0033】
図3は、タンク(1)に液体アンモニア水を貯蔵した場合の、本発明の実施の形態に係る具体的な構成の例を示したものである。図に示すように、液体アンモニアタンク(1)から出た液体アンモニアは、流体混合気(4)において石油系燃料(アンモニアの助燃用燃料)タンク(2)から出た石油系燃料及び水タンク(3)から出た水と微粒化・混合されることにより、アンモニア・水混合燃料が生成される。このアンモニア・水混合燃料をディーゼルエンジンやボイラーの燃料として使用することにより、燃焼室内においてアンモニアを良好に燃焼させることが可能になるとともに、NOx及びPMの同時低減が得られる。
なお、本システムにおいては、液体アンモニアタンクにおいてアンモニアを液体の状態に保つためには、温度を低温に保つ及び、又は高圧を維持するなどの対応が必要である。
【0034】
図4は、タンク(1)にアンモニア水を貯蔵した場合の、本発明の実施の形態に係る具体的な構成の例を示したものである。図に示すように、アンモニア水タンク(1)に貯蔵されたアンモニアは常温・常圧において液体であるため、既存の貯蔵タンク及び燃料供給系統がそのまま使用可能である。アンモニア水タンク(1)から出たアンモニア水を、流体混合気(4)において石油系燃料(アンモニアの助燃用燃料)タンクから出た石油系燃料と微粒化・混合することにより、アンモニア水混合燃料を生成し、ディーゼルエンジンやボイラーの燃料として使用することにより、燃焼室内においてアンモニアを良好に燃焼させることが可能になるとともに、NOx及びPMの同時低減が得られる。
なお、本システムにおいては、アンモニア水は常温・常圧において液体であり、アンモニア水の燃焼に際しては、アンモニア水に含まれる水の気化熱により燃焼室内の火炎温度が下がり、窒素酸化物の生成が低減されるため、アンモニア水タンク(1)の冷却や排ガスの後処理装置(NOx低減装置)(6)へのアンモニアの供給を必要としない。
【0035】
図5は、図3に示すタンク(1)に液体アンモニア水を貯蔵した場合システムに、気液変換装置(7)を加えた場合の、本発明の実施の形態に係る具体的な構成の例を示したものである。
図に示すように、液体アンモニアタンク(1)から出た液体アンモニアは、流体混合気(4)において石油系燃料(アンモニアの助燃用燃料)タンク(2)から出た石油系燃料及び水タンク(3)から出た水と微粒化・混合されることにより、アンモニア・水混合燃料が生成される。このアンモニア・水混合燃料をディーゼルエンジンやボイラーの燃料として使用することにより、燃焼室内においてアンモニアを良好に燃焼させることが可能になるとともに、NOx及びPMの同時低減が得られる。
図3においては、液体アンモニアタンクにおいてアンモニアを液体の状態に保つためには、温度を低温に保つ及び、又は高圧を維持するなどの対応が必要であったが、本システムにおいては、液体アンモニアタンク(1)に貯蔵されたアンモニアの一部を気化(蒸発)させることによって低温を維持するとともに、気化したアンモニアを排ガスの後処理装置(NOx低減装置)(6)の還元剤として用いることにより、アンモニアの燃焼によって生成された窒素酸化物を低減できるため、排ガスの後処理装置(NOx低減装置)(6)へ供給する気化したアンモニアの供給量と、水タンク(3)から供給されてアンモニアと石油系燃料の燃焼時に生成される窒素酸化物を低減する役割を持つ水の量を制御することにより、効果的・効率的な燃焼を維持するとともに、アンモニアの燃焼によって生成される窒素酸化物を低減することが可能となる。
【0036】
これに加え、図に示す、主に圧縮機と凝縮器から構成される気液変換装置(7)を用いることにより、液体アンモニアタンク(1)において気化(蒸発)したアンモニアを再び液化して液体アンモニアタンク(1)に戻すことが可能となる。
すなわち、本発明を用いることにより、液体アンモニアの貯蔵・移送過程において温度を低温に保つために必要な熱量(気化熱)が、排ガスの後処理装置(NOx低減装置)(6)に必要なアンモニアの量に相当する熱量以上に必要な場合、液体アンモニアの貯蔵・移送過程において温度を低温に保つために気化させたアンモニアの量から、排ガスの後処理装置(NOx低減装置)に必要なアンモニアの量を差し引いた量のアンモニアを、主に圧縮機と凝縮器から構成される気液変換装置を用いて液化させ、再び液体アンモニアタンクに戻すことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明(真空断熱装置)を、ディーゼルエンジンやボイラーに設置することにより、アンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、アンモニアの燃焼において生成された窒素酸化物を低減することが可能となる。
【符号の説明】
【0038】
1.液体アンモニア又はアンモニア水タンク
2.石油系燃料(アンモニアの助燃用燃料)タンク
3.水タンク
4.流体混合装置
5.ディーゼルエンジン又はボイラー
6.排ガスの後処理装置(NOx低減装置)
7.気液変換装置


図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2022-09-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させることを目的として、液体アンモニアタンクからエンジンやボイラーに至る液体アンモニアの供給系統において、流体混合装置を用いて液体アンモニアを石油系燃料と混合することにより、液体の状態で噴射したアンモニアを、燃焼室内において良好に燃焼させることが可能になることを特徴とする、アンモニアの燃焼システム。
【請求項2】
ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させることを目的として、液体アンモニアタンクからエンジンやボイラーに至る液体アンモニアの供給系統において、流体混合装置を用いて液体アンモニアを石油系燃料と混合するという方法を用いることにより、液体の状態で噴射したアンモニアを、燃焼室内において良好に燃焼させることが可能になることを特徴とする、アンモニアの燃焼方法。
【請求項3】
ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成されるNOx(窒素酸化物)及びPM(粒子状物質)を低減することを目的として、液体アンモニアタンクからエンジンやボイラーに至る液体アンモニアの供給系統において、流体混合装置を用いて液体アンモニアを水及び石油系燃料と混合することにより、液体の状態で噴射したアンモニアを、燃焼室内において良好に燃焼させることが可能になるとともに、NOx及びPMの同時低減が得られることを特徴とする、アンモニアの燃焼システム。
【請求項4】
ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成されるNOx(窒素酸化物)及びPM(粒子状物質)を低減することを目的として、液体アンモニアタンクからエンジンやボイラーに至る液体アンモニアの供給系統において、流体混合装置を用いて液体アンモニアを水及び石油系燃料と混合するという方法を用いることにより、液体の状態で噴射したアンモニアを、燃焼室内において良好に燃焼させることが可能になるとともに、NOx及びPMの同時低減が得られることを特徴とする、アンモニアの燃焼方法。
【請求項5】
ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成されるNOx(窒素酸化物)及びPM(粒子状物質)を低減することを目的として、アンモニア水(アンモニアを予め水に混合させた状態の液体)タンクからエンジンやボイラーに至るアンモニア水の供給系統において、流体混合装置を用いてアンモニア水を石油系燃料と混合することにより、液体の状態で噴射したアンモニアを、燃焼室内において良好に燃焼させることが可能になるとともに、NOx及びPMの同時低減が得られることを特徴とする、アンモニアの燃焼システム。
【請求項6】
ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成されるNOx(窒素酸化物)及びPM(粒子状物質)を低減することを目的として、アンモニア水(アンモニアを予め水に混合させた状態の液体)タンクからエンジンやボイラーに至るアンモニア水の供給系統において、流体混合装置を用いてアンモニア水を石油系燃料と混合するという方法を用いることにより、液体の状態で噴射したアンモニアを、燃焼室内において良好に燃焼させることが可能になるとともに、NOx及びPMの同時低減が得られることを特徴とする、アンモニアの燃焼方法。
【請求項7】
ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させることを目的として、液体アンモニアタンクにおいて、タンクを断熱構造にするとともに冷却することによりアンモニアの飽和蒸気圧を低下させて、液体アンモニアの状態を保つための圧力を低く設定することが可能になることを特徴とする、請求項1又は請求項3に記載されたアンモニアの燃焼システム。
【請求項8】
ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させることを目的として、液体アンモニアタンクにおいて、タンクを断熱構造にするとともに冷却するという方法を用いることにより、アンモニアの飽和蒸気圧を低下させて液体アンモニアの状態を保つための圧力を低く設定することが可能になることを特徴とする、請求項2又は請求項4に記載されたアンモニアの燃焼方法。
【請求項9】
ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させることを目的として、液体アンモニアの気化熱により液体アンモニアタンクを冷却するとともに、気化したアンモニアを排ガス中のNOxを還元するシステム(SCRシステム)に供給することを特徴とする、請求項1又は請求項3に記載されたアンモニアの燃焼システム。
【請求項10】
ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させることを目的として、液体アンモニアの気化熱により液体アンモニアタンクを冷却するとともに、気化したアンモニアを排ガス中のNOxを還元するシステム(SCRシステム)に供給するという方法を用いることを特徴とする、請求項2又は請求項4に記載されたアンモニアの燃焼方法。
【請求項11】
ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させることを目的として、液体アンモニアの気化熱により液体アンモニアタンクを冷却するとともに、気化したアンモニアの一部を排ガス中のNOxを還元するシステム(SCRシステム)に供給し、残りの気化したアンモニアを主に圧縮機及び凝縮器から構成される気液変換装置によって液化した後、液体アンモニアタンクに戻すことを特徴とする、請求項1又は請求項3に記載されたアンモニアの燃焼システム。
【請求項12】
ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させることを目的として、液体アンモニアの気化熱により液体アンモニアタンクを冷却するとともに、気化したアンモニアの一部を排ガス中のNOxを還元するシステム(SCRシステム)に供給し、残りの気化したアンモニアを主に圧縮機及び凝縮器から構成される気液変換装置によって液化した後、液体アンモニアタンクに戻すという方法を用いることを特徴とする、請求項2又は請求項4に記載されたアンモニアの燃焼方法。

【手続補正書】
【提出日】2022-12-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体アンモニアタンク、石油系燃料(アンモニアの助燃用燃料)タンク、流体混合装置、
ディーゼルエンジン又はボイラー、排ガスの後処理装置(NOx低減装置)及び気液変換装置(圧縮機と凝縮器)から構成されるシステムにおいて、アンモニアを液体の状態で石油系燃料と混合して噴射することにより、アンモニアを気体で噴射する場合に比べて、アンモニアのエネルギー密度(単位体積当たりの発熱量)を高めて、燃焼室において効果的・効率的に燃焼させるために、アンモニアの貯蔵・移送過程において、アンモニアが蒸発する際の気化熱(蒸発熱)を利用してアンモニア自身の温度を下げて液化した状態を保つことにより、ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、気体となったアンモニアをディーゼルエンジンやボイラーの排気管系統に設置された排ガスの後処理装置(NOx低減装置)における窒素酸化物の還元剤として用いることにより、燃焼に際して生成された窒素酸化物を窒素と水に変換して燃焼時に生成されるNOx(窒素酸化物)を低減するために、液体アンモニアの貯蔵・移送過程において温度を低温に保つために必要な熱量(気化熱)が、排ガスの後処理装置(NOx低減装置)に必要なアンモニアの量に相当する熱量以上に必要な場合、液体アンモニアの貯蔵・移送過程において温度を低温に保つために気液変換装置を用いて(アンモニアを圧縮機に吸引することにより)気化させたアンモニアの量から、排ガスの後処理装置(NOx低減装置)に必要なアンモニアの量を差し引いた量のアンモニアを、気液変換装置の構成要素である凝縮器を用いて液化させ、再び液体アンモニアタンクに戻すことを特徴とするアンモニアの燃焼システム。
【請求項2】
液体アンモニアタンク、石油系燃料(アンモニアの助燃用燃料)タンク、流体混合装置、
ディーゼルエンジン又はボイラー、排ガスの後処理装置(NOx低減装置)及び気液変換装置(圧縮機と凝縮器)から構成されるシステムにおいて、アンモニアを液体の状態で石油系燃料と混合して噴射することにより、アンモニアを気体で噴射する場合に比べて、アンモニアのエネルギー密度(単位体積当たりの発熱量)を高めて、燃焼室において効果的・効率的に燃焼させるために、アンモニアの貯蔵・移送過程において、アンモニアが蒸発する際の気化熱(蒸発熱)を利用してアンモニア自身の温度を下げて液化した状態を保つという方法を用いることにより、ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、気体となったアンモニアをディーゼルエンジンやボイラーの排気管系統に設置された「排ガスの後処理装置(NOx低減装置)」における窒素酸化物の還元剤として用いるという方法を用いることにより、燃焼に際して生成された窒素酸化物を窒素と水に変換して燃焼時に生成されるNOx(窒素酸化物)を低減するために、液体アンモニアの貯蔵・移送過程において温度を低温に保つために必要な熱量(気化熱)が、排ガスの後処理装置(NOx低減装置)に必要なアンモニアの量に相当する熱量以上に必要な場合、液体アンモニアの貯蔵・移送過程において温度を低温に保つために気液変換装置を用いて(アンモニアを圧縮機に吸引することにより)気化させたアンモニアの量から、排ガスの後処理装置(NOx低減装置)に必要なアンモニアの量を差し引いた量のアンモニアを、気液変換装置の構成要素である凝縮器を用いて液化させ、再び液体アンモニアタンクに戻すという方法を用いることを特徴とするアンモニアの燃焼方法。
【請求項3】
液体アンモニアタンク、石油系燃料(アンモニアの助燃用燃料)タンク、水タンク、流
体混合装置、ディーゼルエンジン又はボイラー、排ガスの後処理装置(NOx低減装置)及び気液変換装置(圧縮機と凝縮器)から構成されるシステムにおいて、ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成されるNOx(窒素酸化物)及びPM(粒子状物質)を低減するために、液体アンモニアタンクからエンジンやボイラーに至る液体アンモニアの供給系統において、流体混合装置を用いて液体アンモニアを水及び石油系燃料と混合することにより、液体の状態で噴射したアンモニアを、燃焼室内において良好に燃焼させることが可能になるとともに、NOx及びPMの同時低減が得られるという機能を有することを特徴とする、請求項1に記載されたアンモニアの燃焼システム。
【請求項4】
液体アンモニアタンク、石油系燃料(アンモニアの助燃用燃料)タンク、水タンク、流
体混合装置、ディーゼルエンジン又はボイラー、排ガスの後処理装置(NOx低減装置)及び気液変換装置(圧縮機と凝縮器)から構成されるシステムにおいて、ディーゼルエンジンやボイラーでアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成されるNOx(窒素酸化物)及びPM(粒子状物質)を低減するために、液体アンモニアタンクからエンジンやボイラーに至る液体アンモニアの供給系統において、流体混合装置を用いて液体アンモニアを水及び石油系燃料と混合するという方法を用いることにより、液体の状態で噴射したアンモニアを、燃焼室内において良好に燃焼させることが可能になるとともに、NOx及びPMの同時低減が得られることを特徴とする、請求項2に記載されたアンモニアの燃焼方法。
【請求項5】
液体アンモニアタンク、石油系燃料(アンモニアの助燃用燃料)タンク、水タンク、流
体混合装置、ディーゼルエンジン又はボイラー、排ガスの後処理装置(NOx低減装置)及び気液変換装置(圧縮機と凝縮器)から構成されるシステムにおいて、排ガスの後処理装置(NOx低減装置)へ供給する気化したアンモニアの供給量と、水タンクから供給されてアンモニアと石油系燃料の燃焼時に生成される窒素酸化物を低減する役割を持つ水の量を制御することにより、効果的・効率的な燃焼を維持するとともに、アンモニアの燃焼によって生成される窒素酸化物を低減することが可能となることを特徴とする、請求項1又は請求項3に記載された、アンモニアの燃焼システム。
【請求項6】
液体アンモニアタンク、石油系燃料(アンモニアの助燃用燃料)タンク、水タンク、流
体混合装置、ディーゼルエンジン又はボイラー、排ガスの後処理装置(NOx低減装置)及び気液変換装置(圧縮機と凝縮器)から構成されるシステムにおいて、排ガスの後処理装置(NOx低減装置)へ供給する気化したアンモニアの供給量と、水タンクから供給されてアンモニアと石油系燃料の燃焼時に生成される窒素酸化物を低減する役割を持つ水の量を制御するという方法を用いることにより、効果的・効率的な燃焼を維持するとともに、アンモニアの燃焼によって生成される窒素酸化物を低減することが可能となることを特徴とする、請求項2又は請求項4に記載された、アンモニアの燃焼方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
1.液体アンモニア又はアンモニア水タンク
2.石油系燃料(アンモニアの助燃用燃料)タンク
3.水タンク
4.流体混合装置
5.ディーゼルエンジン又はボイラー
6.排ガスの後処理装置(NOx低減装置)
7.圧縮機
8.凝縮器
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正の内容】
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-02-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体アンモニアタンク、石油系燃料(アンモニアの助燃用燃料)タンク、流体混合装置、
ディーゼルエンジン又はボイラー、排ガスの後処理装置(NOx低減装置)及び気液変換装置(圧縮機と凝縮器)から構成されるシステムにおいて、アンモニアを液体の状態で石油系燃料と混合して噴射することにより、アンモニアを気体で噴射する場合に比べて、アンモニアのエネルギー密度(単位体積当たりの発熱量)を高めて、燃焼室において効果的・効率的に燃焼させるために、アンモニアの貯蔵・移送過程において、アンモニアが蒸発する際の気化熱(蒸発熱)を利用してアンモニア自身の温度を下げて液化した状態を保つことにより、ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、気体となったアンモニアをディーゼルエンジンやボイラーの排気管系統に設置された排ガスの後処理装置(NOx低減装置)における窒素酸化物の還元剤として用いることにより、燃焼に際して生成された窒素酸化物を窒素と水に変換して燃焼時に生成されるNOx(窒素酸化物)を低減するために、液体アンモニアの貯蔵・移送過程において温度を低温に保つために必要な熱量(気化熱)が、排ガスの後処理装置(NOx低減装置)に必要なアンモニアの量を気化させるために必要な熱量以上に必要な場合、液体アンモニアの貯蔵・移送過程において温度を低温に保つために気液変換装置を用いてアンモニアを圧縮機に吸引することにより気化させたアンモニアの量から、排ガスの後処理装置(NOx低減装置)に必要なアンモニアの量を差し引いた量のアンモニアを、気液変換装置の構成要素である凝縮器を用いて液化させ、再び液体アンモニアタンクに戻すことを特徴とするアンモニアの燃焼システム。
【請求項2】
液体アンモニアタンク、石油系燃料(アンモニアの助燃用燃料)タンク、流体混合装置、
ディーゼルエンジン又はボイラー、排ガスの後処理装置(NOx低減装置)及び気液変換装置(圧縮機と凝縮器)から構成されるシステムにおいて、アンモニアを液体の状態で石油系燃料と混合して噴射することにより、アンモニアを気体で噴射する場合に比べて、アンモニアのエネルギー密度(単位体積当たりの発熱量)を高めて、燃焼室において効果的・効率的に燃焼させるために、アンモニアの貯蔵・移送過程において、アンモニアが蒸発する際の気化熱(蒸発熱)を利用してアンモニア自身の温度を下げて液化した状態を保つという方法を用いることにより、ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、気体となったアンモニアをディーゼルエンジンやボイラーの排気管系統に設置された「排ガスの後処理装置(NOx低減装置)」における窒素酸化物の還元剤として用いるという方法を用いることにより、燃焼に際して生成された窒素酸化物を窒素と水に変換して燃焼時に生成されるNOx(窒素酸化物)を低減するために、液体アンモニアの貯蔵・移送過程において温度を低温に保つために必要な熱量(気化熱)が、排ガスの後処理装置(NOx低減装置)に必要なアンモニアの量を気化させるために必要な熱量以上に必要な場合、液体アンモニアの貯蔵・移送過程において温度を低温に保つために気液変換装置を用いてアンモニアを圧縮機に吸引することにより気化させたアンモニアの量から、排ガスの後処理装置(NOx低減装置)に必要なアンモニアの量を差し引いた量のアンモニアを、気液変換装置の構成要素である凝縮器を用いて液化させ、再び液体アンモニアタンクに戻すという方法を用いることを特徴とするアンモニアの燃焼方法。
【請求項3】
液体アンモニアタンク、石油系燃料(アンモニアの助燃用燃料)タンク、水タンク、流
体混合装置、ディーゼルエンジン又はボイラー、排ガスの後処理装置(NOx低減装置)及び気液変換装置(圧縮機と凝縮器)から構成されるシステムにおいて、ディーゼルエンジンやボイラーにおいてアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成されるNOx(窒素酸化物)及びPM(粒子状物質)を低減するために、液体アンモニアタンクからエンジンやボイラーに至る液体アンモニアの供給系統において、流体混合装置を用いて液体アンモニアを水及び石油系燃料と混合することにより、液体の状態で噴射したアンモニアを、燃焼室内において良好に燃焼させることが可能になるとともに、NOx及びPMの同時低減が得られるという機能を有することを特徴とする、請求項1に記載されたアンモニアの燃焼システム。
【請求項4】
液体アンモニアタンク、石油系燃料(アンモニアの助燃用燃料)タンク、水タンク、流
体混合装置、ディーゼルエンジン又はボイラー、排ガスの後処理装置(NOx低減装置)及び気液変換装置(圧縮機と凝縮器)から構成されるシステムにおいて、ディーゼルエンジンやボイラーでアンモニアを効果的・効率的に燃焼させるとともに、燃焼時に生成されるNOx(窒素酸化物)及びPM(粒子状物質)を低減するために、液体アンモニアタンクからエンジンやボイラーに至る液体アンモニアの供給系統において、流体混合装置を用いて液体アンモニアを水及び石油系燃料と混合するという方法を用いることにより、液体の状態で噴射したアンモニアを、燃焼室内において良好に燃焼させることが可能になるとともに、NOx及びPMの同時低減が得られることを特徴とする、請求項2に記載されたアンモニアの燃焼方法。
【請求項5】
液体アンモニアタンク、石油系燃料(アンモニアの助燃用燃料)タンク、水タンク、流
体混合装置、ディーゼルエンジン又はボイラー、排ガスの後処理装置(NOx低減装置)及び気液変換装置(圧縮機と凝縮器)から構成されるシステムにおいて、排ガスの後処理装置(NOx低減装置)へ供給する気化したアンモニアの供給量と、水タンクから供給されてアンモニアと石油系燃料の燃焼時に生成される窒素酸化物を低減する役割を持つ水の量を制御することにより、効果的・効率的な燃焼を維持するとともに、アンモニアの燃焼によって生成される窒素酸化物を低減することが可能となることを特徴とする、請求項1又は請求項3に記載された、アンモニアの燃焼システム。
【請求項6】
液体アンモニアタンク、石油系燃料(アンモニアの助燃用燃料)タンク、水タンク、流
体混合装置、ディーゼルエンジン又はボイラー、排ガスの後処理装置(NOx低減装置)及び気液変換装置(圧縮機と凝縮器)から構成されるシステムにおいて、排ガスの後処理装置(NOx低減装置)へ供給する気化したアンモニアの供給量と、水タンクから供給されてアンモニアと石油系燃料の燃焼時に生成される窒素酸化物を低減する役割を持つ水の量を制御するという方法を用いることにより、効果的・効率的な燃焼を維持するとともに、アンモニアの燃焼によって生成される窒素酸化物を低減することが可能となることを特徴とする、請求項2又は請求項4に記載された、アンモニアの燃焼方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0038
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0038】
1.液体アンモニア又はアンモニア水タンク
2.石油系燃料(アンモニアの助燃用燃料)タンク
3.水タンク
4.流体混合装置
5.ディーゼルエンジン又はボイラー
6.排ガスの後処理装置(NOx低減装置)
7.気液変換装置
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正の内容】
図5