(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041446
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】疲労検出装置、支援システム、及び疲労検出方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/16 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
A61B5/16 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146271
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 美緒
(72)【発明者】
【氏名】清瀬 摂内
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038PP01
4C038PQ06
4C038PR00
4C038VC14
(57)【要約】
【課題】非侵襲的な手法でより精度よく対象組織に疲労を検出可能な疲労検出装置、疲労検出装置を備えた支援システム、及び疲労検出方法を提供する。
【解決手段】疲労検出装置は、生体内に超音波を送信し、前記生体内の組織で反射された前記超音波を受信して受信信号を出力する超音波デバイスと、1つ又は複数のプロセッサーと、を備え、前記プロセッサーは、前記超音波デバイスから出力された前記受信信号を取得し、前記生体に負荷が加えられた際の前記受信信号の変化から前記組織の疲労状態を検出する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内に超音波を送信し、前記生体内の組織で反射された前記超音波を受信して受信信号を出力する超音波デバイスと、
1つ又は複数のプロセッサーと、を備え、
前記プロセッサーは、
前記超音波デバイスから出力された前記受信信号を取得し、
前記生体に負荷が加えられた際の前記受信信号の変化から前記組織の疲労状態を検出する、疲労検出装置。
【請求項2】
前記プロセッサーは、
前記受信信号から前記組織の変化を検出する組織状態検出部と、
前記組織状態検出部が検出した前記組織の変化に基づいて、前記組織の疲労状態を検出する疲労検出部と、
を備える、請求項1に記載の疲労検出装置。
【請求項3】
前記組織の変化は、前記組織に負荷が加えられた際の前記組織の厚みの変化率である、
請求項2に記載の疲労検出装置。
【請求項4】
前記受信信号は、第一時間に取得された第一受信信号と、第一時間とは異なる第二時間に取得された第二受信信号とを含み、
前記プロセッサーは、前記第一受信信号及び前記第二受信信号を入力とし、前記組織の疲労状態を出力する機械学習モデルに、前記第一受信信号及び前記第二受信信号を入力して前記疲労状態を取得する、
請求項1に記載の疲労検出装置。
【請求項5】
請求項1に記載の疲労検出装置と、疲労情報処理部と、報知部と、を備える支援システムであって、
前記疲労検出装置は、疲労状態についての情報を含む疲労情報を前記疲労情報処理部に出力し、
前記疲労情報処理部は、前記疲労情報に基づいてユーザーの健康状態を判定し、
前記報知部は、前記疲労情報処理部が判定した前記健康状態に関する情報を前記ユーザーに報知する、支援システム 。
【請求項6】
生体内に超音波を送信し、前記生体内の組織で反射された前記超音波を受信する超音波デバイスを用いて前記組織の疲労状態を検出する疲労検出方法であって、
前記超音波デバイスから前記生体内に送信され、前記組織で反射されて前記超音波デバイスで受信された前記超音波に対応する受信信号を出力し、
前記生体に負荷が加えられた際の前記受信信号の変化から前記組織の疲労状態を検出する、疲労検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、疲労検出装置、支援システム、及び疲労検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、筋肉の疲労状態を測定する場合、生体から血液を採取し、血液中の乳酸値を測定する。しかしながら、このような侵襲的な方法では、一般のユーザーが手軽に筋肉の疲労を測定することができない。
一方、非侵襲的に疲労状態を測定する方法として、生体電気インピーダンス法により疲労情報を測定する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、電極を用いて生体に微弱な電流を送受して生体電気インピーダンスを測定し、生体電気インピーダンスの変化によって浮腫みが解消方向に向かっているか、浮腫みが解消されたかを評価する。これにより、浮腫みに伴う疲労を検出することが可能となる。また、ユーザーにより入力された身長、体重、年齢、性別等の生体情報と、測定された生体電気インピーダンスとを合わせて、ユーザーの体脂肪率、筋肉量、水分量等を求める。そして、体組成値から推定した体表面の硬さや、体表面硬度計を用いて測定した生体表面の硬さにもとづいて、生体の凝り(疲れ)を評価する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の疲労検出装置は非侵襲的な手法により生体インピーダンスを測定しているが、浮腫みが解消されたか否かを判定するもの、つまり浮腫みに由来する疲労に限られる。また、凝りの評価を行う場合には、体表面硬度計が別途必要となり、構成が複雑化する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第一態様に係る疲労検出装置は、生体内に超音波を送信し、前記生体内の組織で反射された前記超音波を受信して受信信号を出力する超音波デバイスと、1つ又は複数のプロセッサーと、を備え、前記プロセッサーは、前記超音波デバイスから出力された前記受信信号を取得し、前記生体に負荷が加えられた際の前記受信信号の変化から前記組織の疲労状態を検出する。
【0006】
本開示の第二態様に係る支援システムは、上述したような疲労検出装置と、疲労情報処理部と、報知部と、を備える支援システムであって、前記疲労検出装置は、疲労状態についての情報を含む疲労情報を前記疲労情報処理部に出力し、前記疲労情報処理部は、前記疲労情報に基づいてユーザーの健康状態を判定し、前記報知部は、前記疲労情報処理部が判定した前記健康状態に関する情報を前記ユーザーに報知する。
【0007】
本開示の第三態様に係る疲労検出方法は、生体内に超音波を送信し、前記生体内の組織で反射された前記超音波を受信する超音波デバイスを用いて前記組織の疲労状態を検出する疲労検出方法であって、前記超音波デバイスから前記生体内に送信され、前記組織で反射されて前記超音波デバイスで受信された前記超音波に対応する受信信号を出力し、前記生体に負荷が加えられた際の前記受信信号の変化から前記組織の疲労状態を検出する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第一実施形態の支援システムの概略構成を示すブロック図。
【
図2】第一実施形態の健康支援装置の概略構成を模式的に示した斜視図。
【
図3】第一実施形態の健康支援装置の装着例を示す図。
【
図4】第一実施形態の健康支援装置の他の装着例を示す図。
【
図5】第一実施形態の健康支援装置の人体に密着させる面の構成例を示す図。
【
図6】第一実施形態の健康支援装置の人体に密着させる面の他の構成例を示す図。
【
図7】第一実施形態の健康支援装置の人体に密着させる面の他の構成例を示す図。
【
図8】第一実施形態における超音波デバイスを構成する超音波基板の一例を示す平面図。
【
図9】第一実施形態の超音波デバイスを
図8のB-B線で切断した際の概略断面図。
【
図10】第一実施形態の支援システム1を用いた疲労検出方法及び健康の支援方法を示すフローチャート。
【
図11】第二実施形態の支援システムの概略構成を示すブロック図。
【
図12】第二実施形態の支援システム1を用いた疲労検出方法及び健康の支援方法を示すフローチャート。
【
図13】第二実施形態の支援システムの概略構成を示すブロック図。
【
図14】第二実施形態の支援システム1を用いた疲労検出方法及び健康の支援方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第一実施形態]
以下、本開示の第一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の支援システムの概略構成を示すブロック図である。
本実施形態の支援システム1は、健康支援装置10と、健康支援装置10に対して通信可能に設けられる端末装置100とを備える。
健康支援装置10は、本開示の疲労検出装置としても機能し、生体(本実施形態では人体)に装着されて生体の所定の組織の疲労を検出する。
具体的には、健康支援装置10は、人体内の組織に対する超音波測定を実施して組織の厚み(組織厚)の変化を測定し、その組織厚の変化率に基づいて疲労を検出する。さらに、健康支援装置10は、筋疲労に関する疲労情報を端末装置100に送信する。
なお、組織としては、例えば、筋肉、血管、胃等の内臓が例示できるが、本実施形態では、筋肉の疲労を検出する装置を例示して、以下説明する。具体的には、本実施形態では、健康支援装置10は、人体内の所定部位の筋肉に対して電流を流すことで筋肉に刺激を与えて収縮運動させ、当該収縮運動の前後における筋肉厚の変化を測定することで、疲労状態を検出する。
【0010】
端末装置100は、健康支援装置10から送信される疲労情報を受信し、疲労情報に基づいた健康状態を判定し、判定した健康状態をユーザーに報知する。例えば筋肉の疲労を検出した疲労情報を用いる場合、筋肉に疲労がない場合にはより負荷の大きい運動を案内したり、筋疲労の状況に応じて負荷の低減や休憩を報知したりする。
以下、支援システム1を構成する各種構成について詳細に説明する。
【0011】
[健康支援装置10の構成]
図2は、本実施形態の健康支援装置10の概略構成を模式的に示した斜視図である。
図3及び
図4は、健康支援装置10の装着例を示す図である。
図5から
図7は、健康支援装置10において人体に密着させる面の一例を示す模式図である。
健康支援装置10は、
図1に示すように、超音波デバイス20と、電気刺激デバイス40と、制御部50と、これらの超音波デバイス20、電気刺激デバイス40、及び制御部50を収納する筐体60とを含んで構成されている。
【0012】
本実施形態では、薄型の箱状の筐体60内に超音波デバイス20、電気刺激デバイス40、及び制御部50が収納される。なお、ここでは一例として、筐体60内に超音波デバイス20,電気刺激デバイス40、及び制御部50が収納される例を示すが、例えば、可撓性のシート部材に超音波デバイス20や電気刺激デバイス40が配置され、シート部材の一部に制御部50を収納した筐体60が設けられる構成としてもよい。
【0013】
本実施形態の健康支援装置10は、
図3及び
図4に示すように、人体の所望の位置に装着可能であり、例えば、腕部、脚部、腹部等が例示できる。
人体に対する健康支援装置10の装着方法は、例えば
図3のように、筐体60を人体に密着させ、医療用テープやバンド等を固定する。或いは、
図4のように、人体に密着する密着型スーツの裏面(人体側の面)に健康支援装置10を設ける構成としてもよく、複数の健康支援装置10が設けられていてもよい。
【0014】
筐体60の人体に密着させる面には、超音波デバイス20の超音波送受信面20S、電気刺激デバイス40の電気パッド41が露出する。人体に対して健康支援装置10を装着する際には、超音波送受信面20Sや電気パッド41と人体との間にジェルや水等の仲介層を介在させ、気泡が入らないように密着させる。
【0015】
本実施形態では、
図5から
図7に示すように、超音波送受信面20Sと電気パッド41とが近接して配置されている。超音波送受信面20Sと電気パッド41との配置位置の関係は、特に限定されない。例えば、
図5に示すように、超音波送受信面20Sを挟むように、一対の電気パッド41が設けられていてもよい。または、
図6のように、単一の超音波送受信面20Sと単一の電気パッド41とが隣り合って配置されてもよい。或いは、
図7のように、超音波送受信面20Sの周囲を囲うように電気パッド41が配置される構成としてもよい。これらの超音波送受信面20Sと電気パッド41との相対位置関係は、人体に対する健康支援装置10の貼着位置に応じて適宜設定されていてもよい。
このような構成により、電気パッド41によって電気刺激を与えた人体内の組織の状態を、超音波デバイス20により測定することが可能となる。
【0016】
[超音波デバイス20の構成]
超音波デバイス20は、超音波の送信及び受信を実施する複数の超音波トランスデューサーTr(
図8,
図9参照)がアレイ状に配置される超音波基板21を備えて構成されている。
図8は、本実施形態における超音波基板21の一例を示す平面図であり、
図9は、超音波基板21を
図8のB-B線で切断した際の概略断面図である。
超音波基板21には、X方向及びY方向に沿って、複数の超音波トランスデューサーTrが2次元アレイ状に配置されている。ここで、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向とし、Z方向(+Z)は、超音波が送信される本開示の送信方向に相当する。
本実施形態では、Y方向に配置された複数の超音波トランスデューサーTrにより、1CH(チャンネル)の送受信列Chが構成される。また、当該1CHの送受信列ChがX方向に沿って複数並んで配置されることで、1次元アレイ構造の超音波アレイAr1が構成される。本実施形態では、個々の送受信列Chは本開示の超音波素子を構成する。
なお、
図8は、説明の便宜上、超音波トランスデューサーTrの配置数を減らしているが、実際には、より多くの超音波トランスデューサーTrが配置されていてもよい。
【0017】
超音波基板21は、
図9に示すように、素子基板211と、素子基板211上に設けられた振動板212と、振動板212上に設けられた圧電素子213と、を備えて構成されている。
素子基板211は、例えばSi等の半導体基板により構成されている。この素子基板211は、各々の超音波トランスデューサーTrに対応した基板開口部211Aが設けられている。本実施形態では、各基板開口部211Aは、素子基板211の基板厚み方向(Z方向)を貫通した貫通孔であり、当該貫通孔の-Z側に振動板212が設けられる。
また、基板開口部211Aの振動板212が設けられない側(+Z)には、生体に近い音響インピーダンスを有する音響層215が充填されている。音響層215としては、例えば、シリコーン等の樹脂材を用いることができる。
また、素子基板211の+Z側には、例えばシリコーン等の樹脂材により構成された保護層216を設けてもよく、音響レンズを設けてもよい。
【0018】
振動板212は、例えばSiO2及びZrO2の積層体等より構成され、素子基板211の一方側の面全体を覆って設けられている。すなわち、振動板212は、基板開口部211Aを構成する隔壁211Bにより支持され、基板開口部211Aの-Z側を閉塞する。この振動板212の厚み寸法は、素子基板211に対して十分小さい厚み寸法となる。
【0019】
圧電素子213は、各基板開口部211Aを閉塞する振動板212上にそれぞれ設けられている。この圧電素子213は、例えば、振動板212から-Z側に向かって下部電極213A、圧電膜213B、及び上部電極213Cを積層した積層体により構成されている。
ここで、振動板212のうち、基板開口部211Aを閉塞する部分は振動部212Aを構成し、この振動部212Aと、圧電素子213とにより、1つの超音波トランスデューサーTrが構成される。
このような超音波トランスデューサーTrでは、下部電極213A及び上部電極213Cの間に所定周波数の矩形波電圧(駆動信号)が印加されることで、圧電膜213Bが撓んで振動部212Aが振動して+Z側に超音波が送出される。また、生体から反射された超音波(反射波)により振動部212Aが振動されると、圧電膜213Bの上下で電位差が発生する。これにより、下部電極213A及び上部電極213Cの間に発生する電位差を検出することで、受信した超音波を検出することが可能となる。
【0020】
本実施形態では、
図8に示すように、下部電極213Aは、Y方向に沿って直線状に形成されており、1CHの送受信列Chを構成する複数の超音波トランスデューサーTrを接続する。この駆動端子213Dは、例えば、フレキシブルプリント基板等を介して制御部50に電気的に接続されている。
【0021】
また、上部電極213Cは、X方向に沿って直線状に形成されており、X方向に並ぶ超音波トランスデューサーTrを接続する。そして、上部電極213Cの±X側端部は共通電極線214に接続される。この共通電極線214は、X方向に沿って複数配置された上部電極213C同士を結線し、その端部には共通端子214Aが設けられている。この共通端子214Aは、例えば、フレキシブルプリント基板等を介して制御部50に電気的に接続されている。
また、本実施形態では、超音波基板21に、1次元アレイ構造の超音波アレイAr1が構成される例を示すが、Y方向に配置される超音波トランスデューサーTr、X方向に配置される超音波トランスデューサーTrをそれぞれ個別駆動させる構成として、2次元アレイ構造の超音波アレイを構成してもよい。
上述したような超音波基板21には、基板強度を向上させるために、さらに補強板が設けられる構成としてもよい。補強板を設ける場合、振動板212の素子基板211とは反対側の面に設ける。この際、各振動部212Aの振動スペースを確保できるように、振動部212A以外の領域にスペーサー(接合層)を設け、当該スペーサーを介して補強板を接合することが好ましい。
【0022】
[電気刺激デバイス40の構成]
電気刺激デバイス40は、人体内の組織に対して電気刺激を与えて収縮運動させる装置である。本実施形態では、一例として、筋肉に対して電気刺激を与える例を示す。
電気刺激デバイス40の具体的な構成は省略するが、リハビリテーション用の電気刺激装置や電気刺激を用いた骨格筋トレーニング機器の構成を備える。すなわち、電気刺激デバイス40は、人体に対してジェルや水等の仲介層を介して密着させる電気パッド41を備え、制御部50の制御により、電気パッド41から所定周波数、所定強度の電流を人体内に流す。
【0023】
なお、本実施形態では、電気刺激デバイス40によって、人体内の筋肉を収縮運動させる例を示すが、電気刺激デバイス40は必須ではなく、設けられていなくてもよい。つまり、本実施形態の健康支援装置10は、測定対象の組織である筋肉の運動前後や運動中の筋肉厚の変化を測定することで疲労を検出するものであり、ユーザー自身が、組織が動くように行動すればよい。例えば、ユーザーは、ダンベル等の運動器具を用いて自ら運動を行うことで、筋肉を収縮運動させてもよく、この場合電気刺激デバイス40の構成を不要にできる。また、測定対象の組織が胃である場合には、ユーザーが食事の前後に健康支援装置10を腹部の胃近傍に装着すれば、食事中及び食事前後の胃の状態を測定できる。或いは、測定対象が血管である場合では、ユーザーが意図せずとも血管が脈打って運動しているため、電気刺激デバイス40の構成を不要にできる。
【0024】
[制御部50の構成]
制御部50は、超音波デバイス20及び電気刺激デバイス40を制御する。そして、制御部50は、電気刺激デバイス40の使用前、使用中、及び使用後において、超音波デバイス20を用いて対象とする組織の変化を検出し、その組織の変化から、当該組織の疲労状態を検出する。例えば、本実施形態では、制御部50は、電気刺激デバイス40を制御して筋肉に周期的な電気刺激を与えることで、筋肉に周期的な筋収縮を起こさせる。また、制御部50は、超音波デバイス20を制御して、筋収縮前の筋肉の厚みと、筋収縮時の筋肉の厚みとをそれぞれ測定するとともに、筋収縮前後の筋肉の厚みの差(変化量)または筋収縮前後の筋肉の厚みの比(変化率)を算出する。電気刺激デバイス40を継続して使用することで、筋肉が徐々に疲労し、筋収縮時の変化量や変化率も徐々に低下する。
したがって、制御部50は、これらの変化量または変化率を監視することで、筋肉の疲労状態を判定することが可能となる。
【0025】
具体的には、制御部50は、
図1に示すように、刺激制御回路51、超音波送信回路52、超音波受信回路53、入力操作部54、通信モジュール55、メモリー56、及び、1つ又は複数のプロセッサー57等を備えて構成されている。
【0026】
刺激制御回路51は、電気パッド41に電圧を印加して人体内に電流を流す。また、刺激制御回路51は、プロセッサー57の制御の元、人体に流す電流量や周波数を適宜調整する。
【0027】
超音波送信回路52は、プロセッサー57からの指令に基づいて、各送受信列Chに駆動信号を出力して駆動させ、超音波を送信させる。超音波送信回路52は、それぞれの送受信列Ch毎に設けられてもよく、1つの超音波送信回路52と複数の送受信列Chとをスイッチ回路によって接続して、スイッチ回路により駆動信号を出力する送受信列Chを選択可能な構成としてもよい。
【0028】
超音波受信回路53は、送受信列Chから出力された受信信号を処理し、処理された受信信号をプロセッサー57に出力する。超音波受信回路53は、各送受信列Chに対してそれぞれ設けられていてもよく、1つの超音波受信回路53と複数の送受信列Chとがスイッチ回路を介して接続されていてもよい。
超音波受信回路53は、所定のサンプリング間隔で送受信列Chから出力される受信信号の信号値を取り込み、時系列に沿った信号値の変化を含む受信信号がプロセッサー57に入力される。
超音波受信回路53により受信信号を得る時間は、超音波送信回路52によって送受信列Chから超音波を送信する送信タイミングから予め設定された所定の時間であり、以降、当該時間を判定時間と称する。判定時間は、超音波測定を実施する深さ範囲によって適宜設定することができる。
【0029】
入力操作部54は、ユーザーによる入力操作を受け付ける。入力操作部54としては、例えば、操作ボタンや操作つまみ等を備えて構成されていてもよく、別途設けられたディスプレイと一体的に構成されたタッチパネルであってもよい。
なお、入力操作部54が設けられず、制御部50と通信可能に接続される端末装置100からの各種入力操作が入力される構成としてもよい。
【0030】
通信モジュール55は、端末装置100と通信する。通信モジュール55の通信方式は特に限定されない。例えば、赤外線通信やBluetooth(登録商標)等の無線通信であってもよく、無線LANのアクセスポイントを介して端末装置100と通信してもよく、当該アクセスポイントからインターネットを介して端末装置100と通信する構成としてもよい。
【0031】
メモリー56は、超音波デバイス20を用いた組織厚の変化の算出や疲労状態を検出するための支援プログラムを含む各種プログラム、各種プログラムで使用される各種データが記録される記録媒体である。
具体的には、メモリー56には、測定対象となるユーザーに係るユーザー情報、超音波の測定結果から所望の組織の境界を判定するための境界判定モデル、超音波の測定結果に基づいて、所望の組織の変化から疲労状態を判定する疲労判定プログラム等が記憶されている。なお、ユーザー情報は、例えば、ユーザーの年齢や性別、身長や体重等のユーザーの身体に係る情報である。
【0032】
プロセッサー57は、メモリー56に記憶された各種プログラムを読み込み実行することで各種演算処理を実施し、ユーザー情報取得部571、刺激制御部572、測定制御部573、厚み算出部574、組織状態検出部575、疲労検出部576等として機能する。
【0033】
ユーザー情報取得部571は、入力操作部54を介してユーザーの身体情報を取得する。なお、制御部50と通信可能に接続された端末装置100から、通信モジュール55を介して身体情報を取得してもよい。また、ユーザー情報取得部571は、ユーザーを識別するユーザーIDに関連付けて、取得された身体情報をメモリー56に記憶する。
【0034】
刺激制御部572は、刺激制御回路51に電気パッド41から電流を流す旨の刺激指令を出力する。刺激指令には、人体に流す電流の電流値、及び周波数を含み、刺激制御回路51は、刺激指令に基づく電流値に対応した電圧を、刺激指令に基づく周波数で電気パッド41に印加して、人体に電流を流す。
【0035】
測定制御部573は、超音波送信回路52に超音波の送信指令を出力することで、各送受信列Chから超音波を送信させ、各送受信列Chから超音波受信回路53を介して入力される受信信号を取得する。測定制御部573は、例えば複数の送受信列Chを独立して順次駆動させて、それぞれの送受信列Chからの受信信号を取得する。
【0036】
厚み算出部574は、各送受信列Chから得られた受信信号に基づいて、人体における対象の組織の厚みを算出する。
【0037】
具体的には、厚み算出部574は、各送受信列Chから得られたそれぞれの受信信号から、人体における組織の境界を特定し、特定した境界から組織厚を算出する。
境界の特定としては、例えば、機械学習によって生成された境界判定モデルを利用できる。例えば、受信信号には、信号値がピークとなる時間、ピーク信号値、ピークから所定範囲内における信号値のばらつき(標準偏差)、受信信号全体における信号値の平均値や中央値等の特徴情報が含まれる。受信信号のピークは、人体内のいずれかの組織の境界に対応するものである可能性が高く、これらのピーク位置は組織の境界候補となる。したがって、特徴情報、身体情報、及び境界候補を入力とし、境界候補が所望の組織の境界であるか否かを示すフラグ情報(境界情報)を出力とする境界判定モデルに入力することで、各境界候補が測定対象となる組織の境界であるか否かを判定することができる。
そして、厚み算出部574は、境界候補の中から境界判定モデルによって境界が判定されると、これらの境界から所望の組織の厚み(組織厚)を算出する。
【0038】
組織状態検出部575は、組織の変化として、組織厚の変化率を検出する。
例えば、筋肉に対して電気刺激等の外部刺激を与えることで筋肉が収縮して筋肉厚が変化する。したがって、組織状態検出部575は、筋肉に刺激が与えられた際の筋肉厚と、刺激が取り除かれた後の筋肉厚との比(変化率)を検出する。
なお、組織の変化としては、筋肉に刺激が与えられた際の筋肉の筋肉厚と、刺激が取り除かれた後の筋肉厚との差である変化量であってもよい。ただし、筋肉量が多いユーザーでは筋収縮による筋肉厚の変化量が大きく、筋肉量が少ないユーザーでは筋収縮による筋肉厚の変化量が小さくなる。したがって、筋肉の疲労を判定する際の閾値をユーザー毎に設定する必要が生じる。これに対して、筋肉厚の変化率の場合では、上記のような個人差による影響が小さく、筋肉の疲労を判定する際の閾値を設定しやすい。
【0039】
疲労検出部576は、検出された組織厚の変化率に基づいて疲労状態を判定する。
例えば、組織厚の変化率が予め設定された閾値以下である場合に、「疲労」として判定する。また、疲労検出部576は、組織厚の変化率に基づいて複数の疲労レベルのいずれに属するかを判定してもよい。例えば、変化率が第一閾値未満である場合に「極度の疲労」と判定し、第一閾値以上第二閾値未満である場合に「疲労」と判定し、第二閾値以上第三閾値未満である場合に「やや疲労」と判定し、第三閾値以上である場合に「疲労なし」と判定してもよい。これらの閾値は、ユーザー情報に基づいて適宜変更されてもよい。例えばユーザー情報に記録されるユーザーの年齢が20代である場合、50代である場合に比べて閾値を低く設定してもよい。
【0040】
[端末装置100の構成]
端末装置100は、例えばスマートフォンやタブレット端末、パーソナルコンピューター等の一般的なコンピューターにより構成することができる。
この端末装置100は、支援システム1を利用する際の専用の健康支援アプリケーションをインストールし、当該健康支援アプリケーションを実行することで、健康支援装置10と通信し、ユーザーの健康支援を行う。
【0041】
具体的には、端末装置100は、一般的なコンピューターの構成を有し、
図1に示すように、通信部101、ディスプレイ102、スピーカー103、操作部104、記憶部105,及びプロセッサー等を備える。健康支援装置10が備えるプロセッサー57と区別するため、端末装置100が備えるプロセッサーを、以降端末プロセッサー106と称する。
【0042】
通信部101は、健康支援装置10と通信する。上述したように、健康支援装置10との通信方式は特に限定されず、赤外線やBluetooth、無線LAN等を例示できる。また、通信部101は、インターネットを介して他の外部機器と通信する。
【0043】
ディスプレイ102は、端末プロセッサー106の制御により、各種情報を画像として表示させる。
スピーカー103は、端末プロセッサー106の制御により、各種情報を音声として出力する。
操作部104は、ユーザーによる入力操作を受け付ける。操作部104としての構成は特に限定されず、例えばディスプレイ102と一体化したタッチパネルであってもよく、キーボードやマウス等であってもよい。
【0044】
記憶部105には、上述した健康支援アプリケーションを含む各種プログラムや、各種データを記憶する。また、記憶部105には、健康支援装置10を使用するユーザーに関するユーザー情報が記憶される。
端末プロセッサー106は、記憶部105に記憶された各種プログラムを読み込み実行することで、疲労情報処理部107、及び報知部108として機能する。
【0045】
疲労情報処理部107は、健康支援装置10から組織の疲労状態に関する疲労情報を受信し、疲労状態に応じた各種処理を実施してユーザーの健康状態を判定する。
報知部108は、疲労情報処理部107で判定された健康状態、または健康状態に応じた各種情報を報知する。報知部108による報知方法としては、ディスプレイ102に報知情報を画像として表示させてもよく、スピーカー103から音声出力してもよい。
【0046】
例えば、本実施形態では、健康支援装置10は、筋肉に対して電気刺激を与えることで筋肉を収縮させる筋肉トレーニング装置としても機能する。この場合、疲労情報処理部107は、対象となる筋肉の疲労情報を受信し、当該疲労情報に応じて、筋肉トレーニングの推奨負荷や、トレーニングの継続時間や休憩を判定し、報知部108は判定された推奨負荷や、継続時間、休憩等を報知する。
【0047】
[支援システム1による疲労検出方法及び支援方法]
次に、上述したような支援システム1を用いた疲労検出方法及び健康の支援方法について説明する。
図10は、本実施形態の支援システム1を用いた疲労検出方法及び健康の支援方法を示すフローチャートである。
ここでは、本実施形態の健康支援装置10が、電気刺激デバイス40により筋肉に電気刺激を与えて、筋肉のトレーニングを行うことを一例として説明する。
ユーザーは、筋肉トレーニングを行うにあたり、まず、健康支援装置10を、人体の所望の部位に装着する。例えば、健康支援装置10の装着部位にジェルを塗布し、超音波デバイス20の超音波送受信面20Sや、電気刺激デバイス40の電気パッド41がジェルを介して人体に密着するように固定する。
【0048】
この後、ユーザーは、健康支援装置10の電源をオンにする。また、ユーザーは、端末装置100を操作して、健康支援アプリケーションを実行する。なお、健康支援装置10に対して、予め使用するユーザーを特定するユーザーIDは予め設定入力されており、当該ユーザーに関するユーザー情報は登録されているものとする。
これにより、健康支援装置10の測定制御部573は、超音波デバイス20を制御して超音波測定を実施し(ステップS1)、厚み算出部574は測定対象となる組織である筋肉の厚み(組織厚)を算出する(ステップS2)。
ステップS1の超音波デバイス20による超音波測定では、超音波デバイス20から所定波数の超音波を人体内に送信した後、予め設定された所定時間の間で超音波を受信し、所定のサンプリング周期で超音波デバイス20から出力される受信信号を取得する。所定時間としては、人体内に送信した超音波が所望の組織で反射されて超音波デバイス20に戻るために要する時間以上に設定されていればよい。これにより、1回の超音波測定によって得られる受信信号には、皮下組織と筋肉との境界で反射される超音波による第一ピーク値と、筋肉と下層組織(内臓や骨等)との境界で反射された超音波による第二ピーク値とが含まれる。なお、第一ピーク値が得られる第一タイミングと、第二ピーク値が得られる第二タイミングとの時間差に人体内を進行する超音波の速度を掛け合わせることで筋肉厚を求めることができる。
以上により、筋肉に外部刺激が与えられる前の筋肉厚が測定される。
【0049】
この後、刺激制御部572は、電気刺激デバイス40を制御し電気パッド41から人体内の筋肉に電流を流す(ステップS3)。なお、ステップS3により流す電流値や周波数は、例えばユーザーが予め入力した初期値に設定されている。これにより、設定された周波数で継続して筋肉に電気刺激が与えられ、筋収縮が繰り返されて、筋肉のトレーニングが開始される。
なお、ステップS1及びステップS2の処理は、以降も継続して一定周期で実施される。つまり、上記ステップS1の超音波測定が一定周期で実施され、超音波測定が実施される毎に、ステップS2の筋肉厚の算出が実施される。超音波測定の周期は、ステップS3で実施される電気刺激を与える周期よりも短く、少なくとも、電気刺激デバイス40から電流を流したタイミングと、電気刺激デバイス40から電流を流していないタイミングとで超音波測定を実施する。これにより、時系列に沿った筋肉厚の推移を得ることができる。
【0050】
そして、組織状態検出部575は、一定周期で継続して得られる筋肉厚から筋肉厚(組織厚)の変化率を検出する(ステップS4)。本実施形態では、ステップS3により、周期的に筋肉に電気刺激が与えられ、電流刺激による筋肉の収縮と、電流刺激が停止することによる筋肉の膨張(元に戻る動き)とが繰り返される。よって、筋肉厚の推移に注目すると、極大値と極小値とが交互に現れる。組織状態検出部575は、この極大値と、当該極大値に続いて現れる極小値との比、つまり、筋肉厚の変化率を算出する。
【0051】
そして、疲労検出部576はステップS4で検出される筋肉の変化率に基づいて、筋肉の疲労状態を検出する(ステップS5)。
本実施形態では、疲労検出部576は、検出された筋肉厚の変化率と、所定の閾値とを比較して疲労状態を検出する。例えば、上述したように、設定された閾値以下である場合に「疲労」状態であると検出してもよい。或いは、変化率が第一閾値未満である場合に「極度の疲労」状態として検出し、第一閾値以上第二閾値未満である場合に「疲労」状態として検出し、第二閾値以上第三閾値未満である場合に「やや疲労」状態として検出し、第三閾値以上である場合に「疲労なし」状態として検出してもよい。
そして、疲労検出部576は、検出した疲労状態を含む疲労情報を、端末装置100に送信する(ステップS6)。
【0052】
端末装置100の疲労情報処理部107が、健康支援装置10から疲労情報を受信すると(ステップS11)、疲労情報処理部107は、疲労状態に応じた健康状態の判定を行う(ステップS12)。
例えば、本実施形態では、疲労情報処理部107は、疲労状態に応じて、電気刺激デバイス40の出力に関する推奨トレーニング情報を生成する。
例えば、疲労情報として筋肉が「疲労」状態である旨を受信した場合に、トレーニングの中止を案内する推奨トレーニング情報を生成し、「疲労」状態ではない旨を受信した場合に、トレーニングの継続を案内する推奨トレーニング情報を生成する。
或いは、疲労状態としてより詳細な状態が検出されている場合、各状態に応じてより詳細な推奨トレーニング情報を生成してもよい。例えば「極度の疲労」状態である場合にトレーニングの中止を案内し、「疲労」状態である場合にトレーニングの軽減を案内し、「やや疲労」状態である場合にトレーニングの継続を案内し、「疲労なし」状態である場合にトレーニングの強化を案内する推奨トレーニング情報を生成してもよい。
【0053】
その後、報知部108は、判定された健康状態の報知を行う(ステップS13)。
例えば、本実施形態では、報知部108は、生成された推奨トレーニング情報をディスプレイ102に表示させたり、スピーカー103から音声出力させたりする。
【0054】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態の健康支援装置10は、超音波デバイス20と、1つ又は複数のプロセッサー57とを備える。超音波デバイス20は、人体(生体)内に超音波を送信し、人体内で反射された超音波を受信して、受信信号を出力する。プロセッサー57は、超音波デバイス20から出力された受信信号を取得し、人体に負荷が加えられた際の受信信号の変化から組織の疲労状態を検出する。
これにより、本実施形態の健康支援装置10では、非侵襲的な方法により組織の疲労状態を検出することができ、医学的な専門知識を有さない一般的なユーザーでも、容易に自身の疲労状態を確認することができる。また、例えば、血液中の乳酸値の値や、浮腫みに由来する生体インピーダンスの変化を検出して疲労を判定する場合では、筋肉の状態を直接検出するものでなく、疲労の疲労に由来する他の要素に基づいた疲労判定となるため、疲労状態の検出精度は決して高くなく、個人差も大きくなる。これに対して、本実施形態のように、超音波測定では、組織の厚みや動作を直接検出することができ、疲労状態の検出精度をより高くすることができる。
【0055】
本実施形態の健康支援装置10では、プロセッサー57は、組織状態検出部575及び、疲労検出部576として機能する。組織状態検出部575は、受信信号に基づいて算出される組織厚から組織の変化を検出する。疲労検出部576は、検出した組織の変化に基づいて、組織の疲労状態を検出する。
これにより、超音波測定により得られた測定データである受信信号から、直接組織の状態を検出することができ、疲労状態の検出精度を高めることができる。
【0056】
ここで、組織状態検出部575は、組織の変化として、組織に負荷が加えられた際の組織の厚みの変化率を検出する。
組織の変化として、組織に外部刺激が加えられた時の組織厚と、当該外部刺激から解放された時の組織厚との差(変化量)を検出してもよいが、このような組織厚の変化量は、個人差が大きくなる。例えば、筋肉の疲れを検出する場合、元の筋肉量が多い人では、外部刺激を加えた時と外部刺激から解放された時とで変化量が大きく、逆に筋肉量が少ない人では小さくなる。これに対して、組織に外部刺激が加えられた時の組織厚と、当該外部刺激から解放された時の組織厚との変化率を検出する場合では、上記のような個人差による差を小さくでき、疲労検出の検出精度を向上できる。
【0057】
そして、本実施形態の支援システム1では、上記のような健康支援装置10と、端末装置100とを備える。健康支援装置10は、検出した疲労状態に関する疲労情報を端末装置100に送信する。端末装置100は、疲労情報処理部107及び報知部108として機能する。疲労情報処理部107は、疲労情報に基づいてユーザーの健康状態を判定する。報知部108は、疲労情報処理部が判定した健康状態に関する情報をユーザーに報知する。
これにより、ユーザーの疲労状態に関連した各種健康状態を報知することができ、ユーザーの健康支援を好適に行うことができる。
【0058】
[第二実施形態]
次に、第二実施形態について説明する。
第一実施形態では、疲労検出部576は、受信信号に基づいて算出された組織厚の変化率を検出し、当該変化率が所定の閾値未満であるか否かによって疲労状態を検出する、または、組織厚の変化率が、予め設定された複数の範囲のうちのいずれに属するかによって疲労状態を検出する例を示した。
これに対して、本実施形態では、超音波デバイス20によって得らえた受信信号と、疲労状態を判定する機械学習モデル(疲労検出モデル)とを用いて疲労状態を検出することで上記第一実施形態と相違する。
図11は第二実施形態における健康支援装置10Aの概略構成を示すブロック図である。
以降の説明にあたり、既に説明した構成については同符号を付し、その説明を省略または簡略化する。
【0059】
本実施形態では、
図11に示すように、健康支援装置10Aは、超音波デバイス20と、電気刺激デバイス40と、制御部50Aとを備える。
本実施形態の制御部50Aは、第一実施形態と同様、刺激制御回路51、超音波送信回路52、超音波受信回路53、入力操作部54、通信モジュール55、メモリー56、及び、1つ又は複数のプロセッサー57等を備える。
そして、本実施形態では、メモリー56に、疲労検出モデルが記録されている。この疲労検出モデルは、少なくとも受信信号を入力とし、疲労状態を出力とする機械学習モデルである。なお、入力するデータとしては、受信信号の他、ユーザー情報や、電気刺激デバイス40から出力される電流の電流値や周波数等を示す刺激駆動情報が含まれてもよい。
この疲労検出モデルは、健康支援装置10Aをユーザーの所定部位に装着した状態で、電気刺激デバイス40を連続駆動させ、超音波デバイス20による超音波の送受信処理を周期的に実施することで得られる受信信号を蓄積して作成される。
【0060】
また、本実施形態では、プロセッサー57は、メモリー56に記憶された各種プログラムを読み込み実行することで、ユーザー情報取得部571、刺激制御部572、測定制御部573、疲労検出部576A、及びモデル生成部577等として機能する。
【0061】
モデル生成部577は、機械学習により疲労検出モデルを作成する。
例えば、モデル生成部577は、筋肉に電気刺激を与え続けて、複数回の超音波測定を周期的に実施する測定セットを複数回実施し、各測定セットの受信信号をメモリー56に蓄積する。
筋肉に電気刺激を周期的に与えると、筋肉厚の収縮と膨張とが交互に繰り返される。上述したように、超音波デバイス20による1回の超音波測定で得られる受信信号には、皮下組織と筋肉との境界で反射される超音波による第一ピーク値、筋肉と下層組織(内臓や骨等)との境界で反射された超音波による第二ピーク値、第一ピーク値が得られる第一タイミング、及び第二ピーク値が得られる第二タイミングが含まれる。よって、超音波測定を所定周期で継続的に実施することで、電気刺激を筋肉に与え続けた場合の筋肉厚の変化を示す受信信号を得ることができる。
【0062】
本実施形態では、このような受信信号を複数蓄積することで、個々のユーザーごとの筋肉厚の変化を解析することが可能となる。例えば、電気刺激を与えた際の時系列に沿った筋肉厚の変化率の推移を解析すれば、筋肉トレーニングの開始時点では、疲労厚の変化率が大きく、徐々に変化率が小さくなり、最終的に略一定の変化率に収束する。時系列に沿った変化率の増減がほぼなくなることは、筋肉が疲労していることを示す。これにより、時系列に沿った変化率の増減が略一定となった場合の当該変化率を筋肉が非常に疲れた状態と判断することができる。
モデル生成部577は、上述のような各受信信号を、教師データとして、ユーザー毎の疲労検出モデルを生成し、メモリー56に記憶された疲労検出モデルを更新する。なお、教師データとしては、さらに、ユーザーの身体情報、及び電気刺激デバイス40から出力する電流の電流値や周波数を含む刺激データ等を含めてもよい。モデル生成部577による疲労検出モデルの生成及び更新は、例えば1週間毎等の所定の周期で実施されてもよく、所定数の受信信号が蓄積される毎に実施されてもよい。
【0063】
また、本実施形態では、疲労検出部576Aは、モデル生成部577により生成された疲労検出モデルに受信信号を入力することで、疲労検出モデルから出力される疲労状態を取得する。なお、疲労検出モデルに入力するデータとしては、さらにユーザー情報や刺激データを加えてもよい。
【0064】
次に、本実施形態の支援システムを用いた疲労検出方法及び健康の支援方法について説明する。
図12は、本実施形態の支援システム1を用いた疲労検出方法を示すフローチャートである。
本実施形態では、第一実施形態と同様、ステップS1を実施して、超音波デバイス20による超音波測定を実施し、受信信号を取得する。この後、本実施形態では、ステップS3を実施し、筋肉に対して電気刺激を与える。
第一実施形態と同様、ステップS1の超音波測定、及びステップS3の筋肉への電気刺激の付与は、それぞれ一定周期で実施される。ステップS1の超音波測定の周期は、ステップS3による電気刺激の付与の周期よりも短く、少なくとも、電気刺激デバイス40から電流を流したタイミング(第一時間)と、電気刺激デバイス40から電流を流していないタイミング(第二時間)とで超音波測定を実施する。
【0065】
この後、疲労検出部576Aは、得られた受信信号を疲労検出モデルに入力する(ステップS5A)。疲労検出部576Aは、少なくとも、電気刺激デバイス40から電流を流した第一時間での超音波測定で得られる第一受信信号と、電気刺激デバイス40から電流を流していない第二時間での超音波測定で得られる第二受信信号とを疲労検出モデルに入力する。これにより、疲労検出モデルから、筋肉の疲労状態に関する疲労情報が出力される。
その後、ステップS6を実施し、疲労検出部576Aは、端末装置100に疲労情報を送信する。以降は、第一実施形態と同様のステップS11からステップS13の処理を実施する。
【0066】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態の健康支援装置10Aでは、プロセッサー57は、モデル生成部577としても機能する。このモデル生成部577は、受信信号を蓄積し、蓄積された受信信号を教師データとして機械学習することで、受信信号を入力データとし、疲労状態を示す疲労情報を出力とする疲労検出モデルを生成する。
そして、疲労検出部576Aは、電気刺激デバイス40により筋肉に電気刺激を与えた時(第一時間)の超音波測定結果である第一受信信号と、筋肉に刺激を加えられていない時(第二時間)の超音波測定結果である第二受信信号と、を含む受信信号を疲労検出モデルに入力し、疲労情報を取得する。
このような構成では、筋肉厚を算出する処理や、疲労厚の変化率の算出処理を不要にでき、より簡素な構成で、より容易に疲労状態を検出することができる。
また、個々のユーザーでの超音波測定の結果に基づいて、疲労検出モデルを生成するため、各ユーザーの特徴に応じたパーソナライズ化された疲労検出モデルを生成することができ、疲労検出精度をより一層高めることができる。
【0067】
[第三実施形態]
次に、第三実施形態について説明する。
上記第二実施形態では、個々のユーザー毎にパーソナライズ化した疲労検出モデルを用いて疲労を検出する例を示した。
これに対して、第三実施形態では、複数のユーザーの超音波測定結果に基づいて疲労検出モデルを生成する例を説明する。
【0068】
図13は、第三実施形態の支援システム1Aの概略を示す模式図である。
本実施形態の支援システムは、健康支援装置10Bと、健康支援装置10Bに対応する端末装置100と、サーバー装置600とを備える。
健康支援装置10Bは、第一実施形態や第二実施形態と同様、刺激制御回路51、超音波送信回路52、超音波受信回路53、入力操作部54、通信モジュール55、メモリー56、及び、1つ又は複数のプロセッサー57を備える。
そして、本実施形態では、プロセッサー57は、メモリー56に記憶された各種プログラムを読み込み実行することで、刺激制御部572、測定制御部573、及び信号送信部578として機能する。
つまり、本実施形態の健康支援装置10Bは、測定制御部573の制御により超音波デバイス20を用いた超音波測定を実施すると、信号送信部578が、その結果である受信信号を端末装置100に送信する。
【0069】
また、端末装置100の端末プロセッサー106は、疲労情報処理部107A及び報知部108として機能する。ここで、本実施形態の疲労情報処理部107Aは、健康支援装置10Bから受信信号を受信すると、当該受信信号と、ユーザー情報と、受信信号に対応する疲労情報を要求する要求情報と、をサーバー装置600に送信する。
【0070】
サーバー装置600は、例えばパーソナルコンピューター等の一般的なコンピューターにより構成され、端末装置100と通信可能に接続されている。
サーバー装置600は、
図13に示すように、サーバー側通信部601、サーバー側記憶部602,及びサーバー側プロセッサー603等を備える。
サーバー側通信部601は、インターネットを介して複数の端末装置100と通信する。なお、インターネットを介して、複数の健康支援装置10Bと通信可能な構成としてもよい。
【0071】
サーバー側記憶部602には、各端末装置100から送信される受信信号を蓄積する。この際、受信信号に関連付けて、ユーザー情報、つまり、ユーザーの身長、体重、年齢、性別などのユーザーの身体に係る情報が記録される。
サーバー側プロセッサー603は、サーバー側記憶部602に記憶された各種プログラムを読み込み実行することで、ユーザグループ選択部604,モデル生成部605、疲労検出部606、及び疲労情報送信部607として機能する。
【0072】
ユーザグループ選択部604は、各ユーザーを複数のユーザーグルーブのいずれかに分類する。具体的には、ユーザグループ選択部604は、各ユーザーのユーザー情報に基づいて、本システムを利用する複数のユーザーをクラスタリングして複数のグループに分割する。そして、ユーザグループ選択部604は、端末装置100から要求情報を受信すると、要求情報を送信したユーザーのユーザー情報に基づいて、そのユーザーが属するグループを選択(特定)する。
【0073】
モデル生成部605は、第二実施形態におけるモデル生成部577と略同様、疲労検出モデルを生成する。ここで、本実施形態では、グループ毎にそれぞれ疲労検出モデルを生成する。つまり、サーバー側記憶部602に蓄積される複数の受信信号から、対象のグループに属するユーザーの受信信号を抽出し、抽出した複数の受信信号に基づいて、疲労検出モデルを生成する。
【0074】
疲労検出部606は、第二実施形態の疲労検出部576Aと同様、疲労検出モデルを用いて疲労情報を取得する。
具体的には、疲労検出部606は、ユーザグループ選択部604によって選択されたグループに対応する疲労検出モデルに対して、受信信号を入力して疲労情報を取得する。
疲労情報送信部607は、疲労検出部606で得られた疲労情報を端末装置100に送信する。
このような本実施形態では、健康支援装置10とサーバー装置600とにより本開示の疲労検出装置が構成される。
【0075】
次に、本実施形態の支援システムを用いた疲労検出方法及び健康の支援方法について説明する。
図14は、本実施形態の支援システム1を用いた疲労検出方法及び健康の支援方法を示すフローチャートである。
本実施形態では、第一実施形態及び二実施形態と同様、ステップS1を実施して、超音波デバイス20による超音波測定を実施し、受信信号を取得し、ステップS3を実施して筋肉に対して電気刺激を与える。
第一実施形態及び第二実施形態と同様、ステップS1の超音波測定、及びステップS3の筋肉への電気刺激の付与は、それぞれ一定周期で実施される。ステップS1の超音波測定の周期は、ステップS3による電気刺激の付与の周期よりも短く、少なくとも、電気刺激デバイス40から電流を流したタイミング(第一時間)と、電気刺激デバイス40から電流を流していないタイミング(第二時間)とで超音波測定を実施する。
【0076】
そして、健康支援装置10は、得られた受信信号を端末装置100に送信し(ステップS21)、端末装置100は、受信した受信信号と、ユーザー情報とを含む要求情報をサーバー装置600に送信する(ステップS22)。
サーバー装置600のユーザグループ選択部604は、要求情報を受信すると、要求情報に含まれるユーザー情報に基づいて、ユーザーに対応するグループを選択する(ステップS23)。そして、疲労検出部606は、選択されたグループに対応する疲労検出モデルに、ステップS22により送信された受信信号を入力することで、疲労検出モデルから出力される疲労情報を取得する(ステップS24)。
この後、疲労情報送信部607は、要求情報を送信した端末装置100に対して、ステップS24で得られた疲労情報を送信する(ステップS25)。
以降は、第一実施形態と同様のステップS11からステップS13の処理を実施する。
【0077】
本実施形態では、複数のユーザーの端末装置100から送信される受信信号を蓄積し、ユーザー情報に基づいてクラスタリングされたグループ毎の疲労検出モデルを生成する。
ユーザーが健康支援装置10Bの電気刺激デバイス40を用いて筋肉等の組織に対して外部刺激を与えた際の受信信号は、ユーザー情報とともにサーバー装置600に送信され、サーバー装置600において、ユーザー情報に対応するグループの疲労検出モデルが選択されて、その疲労検出モデルに受信信号が入力されることで、疲労情報が得られる。
この場合、健康支援装置10Bを入手したばかりのユーザーでも、当該ユーザーに類似するユーザーの受信信号に基づいて生成された疲労検出モデルを用いることで、精度の高い疲労状態の判定を行うことができる。
【0078】
[変形例]
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で、以下に示される変形をも含むものである。
[変形例1]
第二実施形態において、健康支援装置10Aのプロセッサー57が、モデル生成部577として機能し、メモリー56に疲労検出モデルや、受信信号が記録される例を示したがこれに限定されない。
例えば、端末装置100の記憶部105に、健康支援装置10Aより超音波測定を実施した際の受信信号が蓄積されてもよい。
この場合、端末プロセッサー106がモデル生成部として機能し、記憶部105に蓄積された受信信号に基づいて疲労検出モデルを生成してもよい。生成した疲労検出モデルは、健康支援装置10Aに送信され、メモリー56に記憶されてもよく、記憶部105に記憶されてもよい。記憶部105に疲労検出モデルを記録する場合、端末プロセッサー106が疲労検出部として機能するように構成されていてもよい。
このような構成では、健康支援装置10A及び端末装置100により、本開示の疲労検出装置が構成される。
【0079】
[変形例2]
第二実施形態と第三実施形態とを組み合わせ、ユーザーが健康支援装置10Bを入手してからの経過時間や、ユーザーが実施した超音波測定の回数(蓄積される受信信号の蓄積数)等に応じて、疲労検出モデルを切り替えてもよい。
例えば、ユーザーが健康支援装置10Bを購入して間もない時には、当該ユーザーに対して実施された超音波測定の回数が少なく、受信信号の蓄積数が少ない。或いは、前回の超音波測定を実施タイミングから所定期間(例えば3か月や1年等)が空いている場合、蓄積した受信信号の信頼性が低下する。この場合、第三実施形態のように、疲労検出部606は、超音波測定によって得られた受信信号を、ユーザーが属するグループに対応した疲労検出モデルに入力して疲労情報を取得する。
一方、直近所定期間の間で得られた受信信号の蓄積数が一定数以上である場合に、第二実施形態のように、疲労検出部576Aが、メモリー56に記録された疲労検出モデルを用いて、疲労情報を取得する。なお、変形例1のように、パーソナライズ化された疲労検出モデルは、サーバー装置600のサーバー側記憶部602に記憶されていてもよく、この場合、疲労検出部606が端末装置100から送信された受信信号を当該疲労検出モデルに入力する。
【0080】
[変形例3]
上記第二実施形態、及び第三実施形態では、受信信号を入力とし、疲労状態を示す疲労情報を出力とする疲労検出モデルを用いる例を示した。これに対して、厚み算出部574により算出された組織厚を入力とし、疲労情報を出力とする疲労検出モデルを用いてもよい。或いは、組織状態検出部575により検出される組織厚の変化率を入力とし、疲労情報を出力とする疲労検出モデルを用いてもよい。
【0081】
[変形例4]
第一実施形態では、疲労検出部576は、組織状態検出部575により検出される組織厚の変化率と、所定の閾値を比較して疲労状態を検出する例を示した。ここで、第一実施形態では、当該閾値として、ユーザー情報に基づいて予め設定された値とする例を示した。
これに対して、受信信号を蓄積し、これらの受信信号に基づいて、閾値を更新するように構成してもよい。
【0082】
[変形例5]
第一実施形態において、組織状態検出部575は、組織厚の変化率を検出する例を示したが、組織厚の変化量を検出するようにしてもよい。
【0083】
[変形例6]
上記実施形態では、電気刺激デバイス40によって筋肉に対して電気刺激を与えることで、筋肉を伸縮させ、その筋肉厚を測定する健康支援装置10、10A,10Bを例示したが、上述したように、電気刺激デバイス40が設けられていなくてもよい。
ユーザーが自主的に運動することで筋肉を伸縮させ、その際の疲労厚の変化を超音波デバイス20で測定してもよい。または、電気刺激以外の外部刺激を疲労に与えてもよい。
【0084】
さらに、対象とする組織も筋肉に限定されるものではなく、例えば、胃等の内臓や、血管を対象としてもよい。胃を対象とする場合では、食事後の胃の伸縮を超音波デバイス20で測定することで、胃の疲労状態を判定し、消化に係る健康状態を判定することができる。また、血管を対象とする場合では、血管の疲労(老化)を判定し、動脈硬化などの健康状態を判定することができる。
【0085】
[本開示のまとめ]
本開示の第一態様に係る疲労検出装置は、生体内に超音波を送信し、前記生体内の組織で反射された前記超音波を受信して受信信号を出力する超音波デバイスと、1つ又は複数のプロセッサーと、を備え、前記プロセッサーは、前記超音波デバイスから出力された前記受信信号を取得し、前記生体に負荷が加えられた際の前記受信信号の変化から前記組織の疲労状態を検出する。
【0086】
これにより、非侵襲的な方法により組織の疲労状態を検出することができ、医学的な専門知識を有さない一般的なユーザーでも、容易に自身の疲労状態を確認することができる。また、例えば、超音波測定により組織の厚み等の状態を検出することができるので、例えば、血液中の乳酸値等の疲労に関連する成分量を測定する場合や、浮腫みの状態を測定することで浮腫みに由来する疲労を検出する場合に比べて、対象となる組織の疲労状態をより精度よく検出できる。
【0087】
本態様の疲労検出装置において、前記プロセッサーは、前記受信信号から前記組織の変化を検出する組織状態検出部と、前記組織状態検出部が検出した前記組織の変化に基づいて、前記組織の疲労状態を検出する疲労検出部と、を備えることが好ましい。
本態様では、超音波デバイスによる超音波測定によって得られる受信信号に基づいて、組織の変化を直接的に検出することができるので、当該組織の変化に基づいて精度の高い疲労状態の検出が可能となる。
【0088】
本態様の疲労検出装置において、前記組織の変化は、前記組織に負荷が加えられた際の前記組織の厚みの変化率であることが好ましい。
これにより、個々のユーザーの個人差による誤差を低減でき、疲労検出の精度を向上できる。
【0089】
本態様の疲労検出装置において、前記受信信号は、第一時間に取得された第一受信信号と、第一時間とは異なる第二時間に取得された第二受信信号とを含み、前記プロセッサーは、前記第一受信信号及び前記第二受信信号を入力とし、前記組織の疲労状態を出力する機械学習モデルに、前記第一受信信号及び前記第二受信信号を入力して前記疲労状態を取得する構成としてもよい。
このような構成では、受信信号を機械学習モデルに入力することで組織の疲労状態を検出することができる。したがって、構成の簡略化、処理の高速化を図ることができる。
また、個々のユーザーの受信信号を蓄積することで、機械学習モデルの精度を向上でき、高度にパーソナライズ化された機械学習モデルを用いて、より精度の高い疲労状態の検出を実施できる。
【0090】
本開示の第二態様に係る支援システムは、上述したような疲労検出装置と、疲労情報処理部と、報知部と、を備える支援システムであって、前記疲労検出装置は、疲労状態についての情報を含む疲労情報を前記疲労情報処理部に出力し、前記疲労情報処理部は、前記疲労情報に基づいてユーザーの健康状態を判定し、前記報知部は、前記疲労情報処理部が判定した前記健康状態に関する情報を前記ユーザーに報知する。
これにより、上記のように対象となる組織に対する疲労状態を高精度に検出することができ、当該疲労状態に応じてユーザーの健康状態を適正に判定し、報知することができる。
【0091】
本開示の第三態様に係る疲労検出方法は、生体内に超音波を送信し、前記生体内の組織で反射された前記超音波を受信する超音波デバイスを用いて前記組織の疲労状態を検出する疲労検出方法であって、前記超音波デバイスから前記生体内に送信され、前記組織で反射されて前記超音波デバイスで受信された前記超音波に対応する受信信号を出力し、前記生体に負荷が加えられた際の前記受信信号の変化から前記組織の疲労状態を検出する。
これにより、上記第一態様と同様の作用効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0092】
1,1A…支援システム、10,10A,10B…健康支援装置、20…超音波デバイス、20S…超音波送受信面、40…電気刺激デバイス、41…電気パッド、50,50A…制御部、51…刺激制御回路、52…超音波送信回路、53…超音波受信回路、54…入力操作部、55…通信モジュール、56…メモリー、57…プロセッサー、100…端末装置、101…通信部、102…ディスプレイ、103…スピーカー、104…操作部、105…記憶部、106…端末プロセッサー、107,107A…疲労情報処理部、108…報知部、571…ユーザー情報取得部、572…刺激制御部、573…測定制御部、574…厚み算出部、575…組織状態検出部、576,576A…疲労検出部、577…モデル生成部、578…信号送信部、600…サーバー装置、601…サーバー側通信部、602…サーバー側記憶部、603…サーバー側プロセッサー、604…ユーザグループ選択部、605…モデル生成部、606…疲労検出部、607…疲労情報送信部。