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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041448
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】電源制御回路及びメモリシステム
(51)【国際特許分類】
   G11C 5/14 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
G11C5/14 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146276
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100213654
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 晃樹
(72)【発明者】
【氏名】松本 肇
(57)【要約】
【課題】電力をより適切に供給することができる電源制御回路及びメモリシステムを提供する。
【解決手段】本実施形態による電源制御回路は、入力部と、出力部と、電源制御部と、を備える。入力部は、ホストから入力電圧の供給を受ける。出力部と、入力電圧に基づいて、第1出力電圧を出力する。電源制御部は、入力電圧が第1所定電圧から第2所定電圧になるまでの第1時間に応じて、第1出力電圧の出力開始タイミングを変更するように、出力部を制御する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホストから入力電圧の供給を受ける入力部と、
前記入力電圧に基づいて、少なくとも一つの第1出力電圧を出力する出力部と、
前記入力電圧が第1電圧から第2電圧になるまでの第1時間に応じて、前記第1出力電圧の出力開始タイミングを変更するように、前記出力部を制御する電源制御部と、
を備える、電源制御回路。
【請求項2】
前記電源制御部は、前記第1時間が第3時間より長い場合における前記出力開始タイミングを、前記第1時間が前記第3時間以下である場合における前記出力開始タイミングよりも遅くする、請求項1に記載の電源制御回路。
【請求項3】
前記出力部は、前記入力部から出力される第2出力電圧の供給を受けて、前記第1出力電圧を出力し、
前記電源制御部は、
前記第1時間が前記第3時間以下である場合、前記第2出力電圧が第3電圧に達してから第1遅延時間経過後に、前記第1出力電圧の出力を開始させ、
前記第1時間が前記第3時間より長い場合、前記第2出力電圧が前記第3電圧に達してから第2遅延時間経過後に、前記第1出力電圧の出力を開始させ、
前記第2遅延時間は、前記第1遅延時間よりも長い、請求項2に記載の電源制御回路。
【請求項4】
前記出力部は、所定時間間隔及び所定順番で、前記第1出力電圧に応じたそれぞれの電圧の出力を開始する、複数のチャネルを有し、
前記複数のチャネルは、異なる前記出力開始タイミングに対して、前記所定時間間隔及び前記所定順番が略同じになるように、前記第1出力電圧に応じたそれぞれの電圧の出力を開始する、請求項1に記載の電源制御回路。
【請求項5】
前記出力部は所定時間間隔および所定順番で、前記第1出力電圧に応じたそれぞれの電圧の出力を開始する、複数のチャネルを有し、
前記複数のチャネルは前記所定順番のうち最も始めの順番である第1のチャネルを含み、
前記異なる出力開始タイミングで前記第1チャネルから前記第1出力電圧に応じて電圧の出力を開始した後、前記複数のチャネルは、前記所定時間間隔及び前記所定順番が略同じになるように、前記第1出力電圧に応じてそれぞれの電圧の出力を開始する、
請求項1に記載の電源制御回路。
【請求項6】
前記出力部は、異なる前記出力開始タイミングに対して、前記第1出力電圧の上昇速度が略同じになるように、前記第1出力電圧を出力する、請求項1に記載の電源制御回路。
【請求項7】
前記電源制御部は、前記第1時間を逓倍した時間に基づいて、前記出力開始タイミングを変更する、請求項1に記載の電源制御回路。
【請求項8】
前記電源制御部は、前記第1時間を複数の閾時間と比較し、複数の比較結果ごとに予め設定された遅延時間に基づいて、前記出力開始タイミングを変更する、請求項1に記載の電源制御回路。
【請求項9】
前記出力部は、前記入力部から出力される第2出力電圧の供給を受けて、前記第1出力電圧を出力し、
前記電源制御部は、
前記第1時間が第4時間以下である場合、前記第2出力電圧が第3電圧に達してから第3遅延時間経過後に、前記第1出力電圧の出力を開始させ、
前記第1時間が前記第4時間より長く、第5時間以下である場合、前記第2出力電圧が前記第3電圧に達してから第4遅延時間経過後に、前記第1出力電圧の出力を開始させ、
前記第1時間が前記第5時間より長い場合、前記第2出力電圧が前記第3電圧に達してから第5遅延時間経過後に、前記第1出力電圧の出力を開始させ、
前記第4遅延時間は、前記第3遅延時間よりも長く、
前記第5遅延時間は、前記第4遅延時間よりも長い、
請求項1に記載の電源制御回路。
【請求項10】
ホストに接続可能なメモリシステムであって、
不揮発性メモリと、
前記不揮発性メモリを制御するコントローラと、
前記不揮発性メモリ及び前記コントローラに電力を供給する電源制御回路と、
を備え、
前記電源制御回路は、
前記ホストから入力電圧の供給を受ける入力部と、
前記入力電圧に基づいて、少なくとも一つの第1出力電圧を出力する出力部と、
前記入力電圧が第1電圧から第2電圧になるまでの第1時間に応じて、前記第1出力電圧の出力開始タイミングを変更するように、前記出力部を制御する電源制御部と、
を有する、メモリシステム。
【請求項11】
前記出力部は、
前記不揮発性メモリに、前記第1出力電圧に応じた電圧を出力する第1チャネルと、
前記コントローラに、前記第1出力電圧に応じた電圧を出力する第2チャネルと、
を有する、請求項10に記載のメモリシステム。
【請求項12】
ホストに接続可能なメモリシステムであって、
不揮発性メモリと、
前記不揮発性メモリを制御するコントローラと、
前記不揮発性メモリ及び前記コントローラに電力を供給する電源制御回路と、
を備え、
前記電源制御回路は、入力電圧の上昇速度が異なる前記ホストに応じた異なるタイミングで電力の供給を開始する、メモリシステム。
【請求項13】
複数のホストと接続可能であり、
前記複数のホストの少なくともひとつから入力電圧の供給を受ける入力部と、
前記入力電圧に基づいて、第1出力電圧を出力する出力部と、
前記第1出力電圧を供給される第1チャネルを備え、
前記入力電圧が第1電圧から第2電圧になるまでの起動時間に応じて、前記第1出力電圧の出力開始時間を設定し、
前記複数のホストは前記起動時間が第1時間である第1ホストと、前記起動時間が第2時間である第2ホストを含み、
前記第1ホストが接続された場合、前記第1時間に応じた第1遅延時間経過後、前記第1チャネルに前記第1出力電圧を供給し、
前記第2ホストが接続された場合、前記第2時間に応じた第2遅延時間経過後、前記第1チャネルに前記第1出力電圧を供給する、
電源制御回路。
【請求項14】
前記第1時間は前記第2時間よりも長く、
前記第1遅延時間は前記第2遅延時間よりも長い、
請求項13に記載の電源制御回路。
【請求項15】
前記第1出力電圧を供給される第2チャネルをさらに備え、
前記第1ホストが接続された場合、前記第1チャネルに前記第1出力電圧を供給してから第3時間経過後に、前記第2チャネルに第1出力電圧を供給し、
前記第2ホストが接続された場合、前記第1チャネルに前記第1出力電圧を供給してから前記第3時間経過後に前記第2チャネルに第1出力電圧を供給する、
請求項13に記載の電源制御回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、電源制御回路及びメモリシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ホストからの電力供給を受け、電源ICを含んだ電源回路がコントローラ、NANDメモリ等に電力(電圧)を供給するメモリシステムが提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第9755508号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電力をより適切に供給することができる電源制御回路及びメモリシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態による電源制御回路は、入力部と、出力部と、電源制御部と、を備える。入力部は、ホストから入力電圧の供給を受ける。出力部と、入力電圧に基づいて、第1出力電圧を出力する。電源制御部は、入力電圧が第1所定電圧から第2所定電圧になるまでの第1時間に応じて、第1出力電圧の出力開始タイミングを変更するように、出力部を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係るメモリシステムのシステム構成の一例を示した図である。
図2】第1実施形態に係る電源ICの構成を示したブロック図である。
図3】第1実施形態に係るメモリシステムの動作の一例を示すタイミングチャートである。
図4】第1実施形態に係る遅延時間の決定のための立ち上がり時間の測定方法の一例を示す図である。
図5】第1実施形態に係るメモリシステムの動作の一例を示すタイミングチャートである。
図6】第1実施形態に係るメモリシステムの動作の一例を示すフロー図である。
図7】比較例に係るメモリシステムの動作の一例を示すタイミングチャートである。
図8】第2実施形態に係るメモリシステムの動作の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
本明細書では、いくつかの要素に複数の表現の例を付している。なおこれら表現の例はあくまで例示であり、上記要素が他の表現で表現されることを否定するものではない。また、複数の表現が付されていない要素についても、別の表現で表現されてもよい。
【0009】
また、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係や各層の厚みの比率などは現実のものと異なることがある。また、図面相互間において互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれることもある。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るメモリシステム1のシステム構成の一例を示す。尚、本実施形態に係るメモリシステムは例えばSSD(Solid State Drive)等のメモリシステムであるが、これに限られない。
【0011】
図1に示すように、メモリシステム1は、ホスト2と接続される。尚、本実施形態においてホスト2は、例えばノートブック型ポータブルコンピュータやタブレット端末、その他デタッチャブルノートPC、携帯電話のような種々の電子機器である。また、ホスト2は、データセンタ等に用いられるサーバ装置でも良い。メモリシステム1は、例えばこれらホスト2の外部メモリとして用いられ得る。
【0012】
図1に示すようにメモリシステム1は、基板11、不揮発性メモリ12、コントローラ13、不揮発性メモリ12よりも高速で動作可能な揮発性メモリ14、オシレータ(OSC)15、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)16、電源回路17、温度センサ18、コネクタ21、及び抵抗、コンデンサ等のその他の電子部品を有する。
【0013】
不揮発性メモリ12は例えばNAND型フラッシュメモリ(以下、NANDメモリと略す)である。以降の説明では、不揮発性メモリ12を、「NANDメモリ12」として説明するが、不揮発性メモリ12はこれに限らず、例えばMRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)等の、不揮発性の他のメモリでも良い。
【0014】
揮発性メモリ14は例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)である。以降の説明では、揮発性メモリ14を、「DRAM14」として説明するが、揮発性メモリ14はこれに限らず、揮発性の他のメモリでも良い。
【0015】
尚、本実施形態のNANDメモリ12やコントローラ13は、電子部品である半導体パッケージとして実装される。例えばNANDメモリ12の半導体パッケージは、複数の半導体チップ(メモリチップ)がスタックされ、1つのパッケージ内に封止されている。
【0016】
基板11は、例えばガラスエポキシ樹脂等の材料で構成された略矩形状の回路基板である。
【0017】
コネクタ21は、インターフェース部、基板インターフェース部、端子部または接続部とも称される。コネクタ21は、例えば複数の接続端子21a(金属端子)を有する。コネクタ21は、ホスト2と電気的に接続され、ホスト2との間で信号(制御信号及びデータ信号)をやり取りする。
【0018】
メモリシステム1は、インターフェース3を介してホスト2と電気的に接続される。ホスト2は、メモリシステム1に対してデータアクセス制御を実行し、例えばメモリシステム1に書き込み要求、読み出し要求、及び消去要求を送ることで、メモリシステム1に対してデータの書き込み、読み出し、及び消去を実行する。
【0019】
本実施形態に係るインターフェース3は、例えばPCIe(Peripheral Component Interconnect Express)である。すなわち、コネクタ21とホスト2との間には、PCIeの規格に則した高速信号(高速差動信号)が流れる。
【0020】
尚、インターフェース3は、SAS(Serial Attached SCSI)やSATA(Serial Advanced Technology Attachment)、NVMe(Non Volatile Memory Express)、USB(Universal Serial Bus)等の他の規格が用いられてもよい。
【0021】
メモリシステム1は電力線5を介して、ホスト電源部4(電源回路)に電気的に接続される。ホスト電源部4は、メモリシステム1で使用される各種電源を、電力線5及びコネクタ21を介して提供する。
【0022】
電源回路17は、コネクタ21及び電力線5を介してホスト電源部4に電気的に接続される。電源回路17は、ホスト電源部4からメモリシステム1の稼働に必要な電力を供給する。電源回路17は、NANDメモリ12、コントローラ13、及びDRAM14などの各電子部品に電力を供給する。
【0023】
電源回路17は、電源IC17aを含み、電源IC17aには、抵抗、コンデンサ、インダクタ、等の電子部品が接続されている。電源IC17aについては、後述する。尚、電源IC17aは、電源部、電源チップ、複合電源制御IC、と称されても良く、電源IC17aは例えばPMIC(Power Management Integrated Circuit)である。
【0024】
本実施形態に係る電源IC17aは、例えばWLCSP(Wafer Level Chip Size Package)であり、少なくとも1つのチップがパッケージング(封止)される。尚、電源IC17aはこれに限られない。
【0025】
コントローラ13は、NANDメモリ12の動作を制御する。すなわち、コントローラ13は、NANDメモリ12に対するデータの書き込み、読み出し、及び消去を制御する。コントローラ13はSoC、回路でもいいしファームでもいい。
【0026】
また、コントローラ13は、リセット入力を備えており、入力される信号に応じてコントローラ13自体の状態の初期化(リセット)や、リセット状態の解除を行い、メモリシステム1をシステムとして正常に起動させる。尚、リセット状態の解除に用いられる信号は、例えばPOWER ON RESETと称される。また、本明細書中の説明において、「リセット状態にする」と述べた場合、もともとリセット状態であるものをリセット状態に保つ場合も含むものとする。
【0027】
DRAM14は、前述のように揮発性メモリの一例であり、NANDメモリ12の管理情報の保管やデータのキャッシュなどに用いられる。オシレータ15は、所定周波数の動作信号をコントローラ13に供給する。EEPROM16は、制御プログラム等を固定情報として格納している。
【0028】
温度センサ18は、例えばコントローラ13の温度を監視する。尚、温度センサ18は、例えば基板11においてコントローラ13の近傍に搭載されるが、温度センサ18の位置はこれに限らない。さらに温度センサ18は、必ずしも基板11上に設けられる必要は無く、コントローラ13の機能として設けられても良い。
【0029】
また、温度センサ18は、温度センサ18が実装された位置の周辺の温度を計測するが、温度センサ18によって計測された温度を「メモリシステム1の温度」と称しても良い。また、温度センサ18がコントローラ13の近傍に実装された場合、温度センサ18によって計測された温度を「コントローラ13の温度」と称しても良い。
【0030】
図2は、本実施形態に係る電源IC17aの構成を示したブロック図である。本実施形態において電源IC(電源制御回路)17aは、ロードスイッチ170、電源制御部171、及び複数の電源チャネルCH1乃至電源チャネルCH4を備える。尚、各電源チャネルは、単に電源と称されても良い。尚、電源チャネルの数はこれに限らない。
【0031】
電源IC17aには、電位の基準を決めるグランド電圧(GND)が供給される。フレームグランドにより、ノイズを抑制することができる。
【0032】
ロードスイッチ170は、電子部品へ電力を供給する回路である。ロードスイッチ170は、後述する電源制御部171によって、ON状態/OFF状態を制御される。ロードスイッチ170の入力170iは、基板11に備えられた配線(配線層、内部配線)、コネクタ21、電力線5を介して、ホスト2(具体的には、ホスト電源部4)と接続される。ロードスイッチ(入力部)170の入力170iには、ホスト電源部4から電力(入力電圧VIN)が供給される。
【0033】
ロードスイッチ170の出力170oは、例えば電源IC17aの外部を経由して、各電源チャネルCHの入力CH1i乃至CH4iに電気的に接続される。換言すれば、ロードスイッチ170がON状態のとき、ロードスイッチ170の出力170oから、基板11に備えられた配線(配線層、内部配線)を経由して、再度電源IC17a内の各電源チャネルCHに電力が供給される。
【0034】
一方で、ロードスイッチ170がOFF状態の時、各電源チャネルCHへの電力の供給が停止(遮断、中断)される。
【0035】
本実施形態において電源チャネルCH1は、例えばLDO(Low Drop Out)である。また、電源チャネルCH2乃至電源チャネルCH4は、例えばDC/DCコンバータである。
【0036】
LDOは、リニア・レギュレータであり、パワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)やパワー・トランジスタといったパワー・デバイス(パス・トランジスタ)のオン抵抗を利用して、入力された電力を強制的に消費することで所望の出力電圧に変換する回路方式である。LDOとは、入力と出力の電位差が小さい場合においてもレギュレータとして動作するものを指す。
【0037】
また、DC/DCコンバータは、スイッチングレギュレータであり、入力された電圧をスイッチングすることによってスイッチングパルスを出力し、その出力パルスをインダクタとコイルによるフィルタで平滑化することによってDC電源として働く。
【0038】
本実施形態において、電源チャネルCH2の出力CH2oは、コントローラ13と接続され、コントローラ13に所定の電圧を供給する。電源チャネルCH3の出力CH3oは、DRAM14に接続され、DRAM14に所定の電圧を供給する。電源チャネルCH4の出力CH4oは、NANDメモリ12に接続され、NANDメモリ12に所定の電圧を供給する。尚、各電源チャネルCHの種類や接続関係は、前述したものに限定されず適宜変更可能である。
【0039】
以下では、複数の電源チャネルCH1~CH4は、出力部172とも呼ばれる場合がある。出力部172は、入力電圧VINに基づいて、第1出力電圧172_OUTを出力する。より詳細には、出力部172は、ロードスイッチ170から出力される第2出力電圧VOUTの供給を受けて、第1出力電圧172_OUTを出力する。
【0040】
電源制御部171は、自発的に出力部172の電力出力シーケンスを行う。換言すると、電源制御部171は、所定の時間間隔及び所定の順番で、第1出力電圧172_OUTに応じた複数の電源チャネルCHそれぞれの電圧を出力部172に出力させる。また、電源制御部171は、ロードスイッチ170のON/OFF制御を行なう。また、電源制御部171は、タイマーを有する。電源制御部171は、タイマーを用いて、ロードスイッチ170及び電源チャネルCH1~CH4を動作させるために必要なクロック信号を用いて、後述する立ち上がり時間Tを計測する。
【0041】
ホスト2からメモリシステム1への電力供給開始時において、電源制御部171は、ホスト2の入力電圧VINの上昇速度に応じて、第1出力電圧172_OUTの出力開始タイミングが異なるように、出力部172を制御する。より詳細には、電源制御部171は、入力電圧VINが測定開始電圧V0(第3電圧)から測定終了電圧V1(第4電圧)になるまでの立ち上がり時間T(第1時間)に応じて、第1出力電圧172_OUTの出力開始タイミングの変更を出力部172に指示する。出力開始タイミングとは、電力出力シーケンスのうち、最初に電力を出力するように設定されている電源チャネルCHが電力を出力し始めるタイミングのことである。これにより、図3図6を参照して、後で説明するように、電力をより適切に供給することができる。
【0042】
次に、ホスト2からメモリシステム1への電力供給開始時における、メモリシステム1の動作について説明する。
【0043】
図3は、第1実施形態に係るメモリシステム1の動作の一例を示すタイミングチャートである。図3は、ソフトスタート動作を行うホスト2と接続される場合のメモリシステム1の動作の例を示す。ソフトスタート動作とは、ホスト2からメモリシステム1に電力を供給する際に、突入電流を避けるために電力出力を徐々に上昇させて電力を供給する動作のことである。
【0044】
図4は、第1実施形態に係る遅延時間Tdの決定のための立ち上がり時間の測定方法の一例を示す図である。図4は、図3に示す時刻taから時刻tbまでにおける入力電圧VINを拡大した図である。
【0045】
図3を参照する。ホスト2が、メモリシステム1へ電力の供給を開始すると、ホスト電源部4から、ロードスイッチ170の入力170iに電流が供給される。時刻t1において、入力電圧VINが上昇し始める(立ち上がる)。
【0046】
図3および図4を参照する。時刻taにおいて、入力電圧VINが測定開始電圧V0に達する。測定開始電圧V0は、例えば、2Vである。電源制御部171は、入力電圧VINの立ち上がり時間Tの測定を開始する。立ち上がり時間Tは、遅延時間Tdを設定するために用いられる。遅延時間Tdは、第2出力電圧VOUTが出力開始基準電圧に達してから、第1出力電圧172_OUTが出力され始めるまでの時間である。出力開始基準電圧とは、出力部172が動作可能になる電圧のことである。図3および図4に示す例では、遅延時間Tdは、時刻t4から時刻t5までの期間である。
【0047】
次に、時刻tbにおいて、入力電圧VINが測定終了電圧V1に達する。測定終了電圧V1は、例えば、2.3Vである。電源制御部171は、立ち上がり時間Tの測定を終了し、測定した立ち上がり時間Tを保存する。測定した立ち上がり時間Tは、例えば、電源IC17a内のメモリ(図示せず)に保存される。メモリは例えば不揮発性メモリである。尚、メモリは揮発性メモリであってもよい。
【0048】
次に、電源制御部171は、立ち上がり時間Tが閾時間N以下であるか否か判定する。閾時間Nは、メモリシステム1の出荷前に設定された値である。閾時間Nは例えば1msである。図3および図4に示すソフトスタート動作が行われる例では、立ち上がり時間Tは、閾時間Nよりも長い。この場合、電源制御部171は、遅延時間Tdを、遅延時間Tdよりも長い時間に変更する。遅延時間Tdは、例えば、遅延時間として設定可能な最小値である。電源制御部171は、遅延時間Tdを、遅延時間Td1に変更する。遅延時間Td1は、例えば立ち上がり時間Tの倍数である。これにより、電源制御部171は、立ち上がり時間Tに基づいて、第1出力電圧172_OUTの出力開始タイミングを変更する。
【0049】
次に、時刻t2において、入力電圧VINが出力開始閾値に達する。出力開始閾値とは、予め設定された値であり、入力電圧VINの値がこの閾値に達することで第2出力電圧VOUTの出力を開始する値である。これにより、電源制御部171がロードスイッチ170を制御し、第2出力電圧VOUTが立ち上がる。
【0050】
次に、時刻t3において、第2出力電圧VOUTの上昇速度は、入力電圧VINの上昇速度に追従(follow)する。
【0051】
次に、時刻t4において、第2出力電圧VOUTが出力開始基準電圧に達する。電源制御部171は、設定した遅延時間Td1の経過後に、出力開始タイミングを遅延させて、出力電力シーケンスを開始し、出力の開始を出力部172に指示する。出力部172は、時刻t4から遅延時間Td1が経過した後(時刻t5)に、第1出力電圧172_OUTの出力を開始する。
【0052】
尚、時刻t4の後、入力電圧VIN及び第2出力電圧VOUTが完全に立ち上がる。電圧が完全に立ち上がるとは、電圧値の上昇が完了して、電圧値が経過時間に対して略安定した値になることである。
【0053】
次に、時刻t5において、出力部172は、電圧の出力を開始する。換言すれば、出力部172(より詳しくは複数の電源チャネルCH1~CH4)は、遅延時間Tdが経過した後、電源制御部171の指示に応じて、所定の時間間隔Ts及び所定の順番で、第1出力電圧172_OUTに応じたそれぞれの電圧の出力を開始する。時刻t5において、電源制御部171がLDOに電圧の出力を指示し、第3出力電圧LDO_OUTが立ち上がる。第3出力電圧LDO_OUTは、時刻t6で完全に立ち上がる。尚、第3出力電圧LDO_OUTは、第1出力電圧172_OUTの一部である。
【0054】
次に、時刻t6において、電源制御部171がDC/DC2及びDC/DC3に電圧の出力を指示し、第4出力電圧DC/DC2_OUT、第5出力電圧DC/DC3_OUTが立ち上がる。第4出力電圧DC/DC2_OUT、第5出力電圧DC/DC3_OUTは、時刻t7で完全に立ち上がる。尚、第4出力電圧DC/DC2_OUT、第5出力電圧DC/DC3_OUTは、第1出力電圧172_OUTの一部である。
【0055】
次に、時刻t7において、電源制御部171がDC/DC1に電圧の出力を指示し、第6出力電圧DC/DC1_OUTが立ち上がる。第6出力電圧DC/DC1_OUTは、時刻t8で完全に立ち上がる。尚、第6出力電圧DC/DC1_OUTは、第1出力電圧172_OUTの一部である。
【0056】
以上のように、ソフトスタート動作が行われ、入力電圧VINが徐々に上昇する場合、入力電圧VINが十分に上昇した後に、出力部172は第1出力電圧172_OUTの出力を開始することができる。
【0057】
次に、ソフトスタート動作が行われない場合や、ソフトスタート動作継続時間が短い場合について説明する。ソフトスタート動作継続時間とは、ソフトスタート動作が行われてから入力電圧VINが完全に立ち上がるまでの時間のことである。
【0058】
図5は、第1実施形態に係るメモリシステム1の動作の一例を示すタイミングチャートである。図5は、ソフトスタート動作継続時間が短いホスト2と接続される場合のメモリシステム1の動作の例を示す。
【0059】
図5に示す時刻t11から時刻t12は、図3に示す時刻t1から時刻t2に対応する。
【0060】
ソフトスタート動作継続時間が短い例では、入力電圧VINは、図3に示す例と比較して、急峻に上昇する。従って、図5に示す立ち上がり時間Tは、図3に示す立ち上がり時間Tよりも短い。
【0061】
ソフトスタート動作継続時間が短い例では、立ち上がり時間Tは、閾時間N以下である。この場合、電源制御部171は、遅延時間Tdの設定を変更しない。
【0062】
また、入力電圧VINの上昇が速いため、時刻t12において上昇を開始する第2出力電圧VOUTは、入力電圧VINの上昇には追従していない。すなわち、第2出力電圧VOUTは入力電圧VINの上昇速度より遅い。
【0063】
尚、時刻t12の後、入力電圧VINが完全に立ち上がる。
【0064】
次に、時刻t13において、第2出力電圧VOUTが出力開始基準電圧に達する。電源制御部171は、時刻t13から遅延時間Tdの経過後(時刻t14)に、電圧の出力をするように出力部172に指示する。
【0065】
次に、出力部172は、第1出力電圧172_OUTの出力を開始する。すなわち、各電源チャネルCH1~CH4において、立ち上げ間隔、立ち上げ順等は、出力開始タイミングが変更されるか否かによらず、同じである。この結果、各電源チャネルCH1~CH4の出力電圧は、一律に遅延される。図5に示す時刻t14から時刻t17は、図3に示す時刻t5から時刻t8に対応する。
【0066】
図5に示すように、入力電圧VINが急峻に立ち上がる場合、第1出力電圧172_OUTの出力開始タイミングを遅延させないようにすることができる。すなわち、遅延時間Tdを短くすることができる。
【0067】
以上により、必要な電流が急に増えることによる入力電圧VIN及び第2出力電圧VOUTの電圧ドロップを抑制することができる。
【0068】
また、出力部172は、異なる出力開始タイミングに対して、第1出力電圧172_OUTの上昇速度が略同じになるように、第1出力電圧172_OUTを出力する。すなわち、各電源チャネルCH1~CH4のソフトスタート時間は、出力開始タイミングが変更されるか否かによらず、変更されない。各電源チャネルCH1~CH4のソフトスタート時間とは、各電源チャネルCH1~CH4の出力電圧(第1出力電圧172_OUT)が立ち上がり始めてから完全に立ち上がるまでの時間である。図3に示す時刻t5から時刻t6までの期間は、図5に示す時刻t14から時刻t15までの期間と略同じである。図3に示す時刻t6から時刻t7までの期間は、図5に示す時刻t15から時刻t16までの期間と略同じである。図3に示す時刻t7から時刻t8までの期間は、図5に示す時刻t16から時刻t17までの期間と略同じである。
【0069】
また、図5では、第2出力電圧VOUTの上昇速度が入力電圧VINの上昇速度よりも遅い場合を記している。第2出力電圧VOUTの上昇速度が入力電圧VINの上昇速度よりも速い場合でも、第2出力電圧VOUTが完全に立ち上がった時に、入力電圧VINが完全に立ち上がっていれば、同様に、電源制御部171は第1出力電圧172_OUTの出力開始を遅延させない。
【0070】
図6は、第1実施形態に係るメモリシステム1の動作の一例を示すフロー図である。まず、ホスト2は、電力の入力供給を開始する(S10)。入力電圧VINが測定開始電圧V0に達する(S20)と、電源制御部171は、入力電圧VINの立ち上がり時間Tの測定を開始する(S30)。
【0071】
入力電圧VINが測定終了電圧V1に達する(S40)と、電源制御部171は、立ち上がり時間Tの測定を終了し、測定した立ち上がり時間Tをメモリに保存する(S50)。
【0072】
次に、電源制御部171は、立ち上がり時間Tが閾時間N以下であるか否か判定する(S60)。立ち上がり時間Tが閾時間Nよりも長い場合(S60のNo)、電源制御部171は、遅延時間Tdを、遅延時間Tdよりも長い遅延時間Td1に設定する(S70)。
【0073】
第2出力電圧VOUTが出力開始基準電圧に達する(S80)と、ステップS70で設定した遅延時間Td1が経過した後、電源制御部171は、電力出力シーケンスを開始し(S90)、第1出力電圧172_OUTの出力を開始するよう、出力部172に指示する。これにより、出力部172が第1出力電圧172_OUTを出力開始する(S100)。
【0074】
立ち上がり時間Tが閾時間N以下である場合(S60のYes)、電源制御部171は、遅延時間Tdの設定を変更しない(S110)。第2出力電圧VOUTが出力開始基準電圧に達する(S120)と、遅延時間Tdが経過した後、電源制御部171は、電力出力シーケンスを開始し(S130)、第1出力電圧172_OUTの出力を開始するよう、出力部172に指示する。これにより、出力部172が第1出力電圧172_OUTの出力を開始する(S100)。
【0075】
尚、時刻ta、tbのタイミングは、図3及び図5に示す例に限られない。時刻tbは、第2出力電圧VOUTが出力開始基準電圧に達する時刻の前の時刻であればよい。
【0076】
また、測定開始電圧V0、測定終了電圧V1、閾時間N、及び、遅延時間Td、Td1は、任意の値に設定可能である。
【0077】
以上のように、第1実施形態によれば、電源制御部171は、入力電圧VINが測定開始電圧V0から測定終了電圧V1になるまでの立ち上がり時間Tに応じて、第1出力電圧172_OUTの出力開始を遅延させるように、出力部172に指示する。これにより、電力をより適切に供給することができる。
【0078】
より詳細には、電源制御部171は、立ち上がり時間Tが閾時間N(第4時間)より長い場合における第1出力電圧172_OUTの出力開始タイミングを、立ち上がり時間Tが所定時間以下である場合における第1出力電圧172_OUTの出力開始タイミングよりも遅くする。
【0079】
より詳細には、電源制御部171は、立ち上がり時間Tが閾時間N以下である場合、第2出力電圧VOUTが所定電圧(第3電圧)に達してから遅延時間Td(第1遅延時間)後に、第1出力電圧172_OUTの出力を開始させる。また、電源制御部171は、立ち上がり時間が所定時間より長い場合、第2出力電圧VOUTが所定電圧に達してから遅延時間Td1(第2遅延時間)後に、第1出力電圧172_OUTの出力を開始させる。遅延時間Td1は、遅延時間Tdよりも長い。
【0080】
また、電源回路17は、ホスト2に応じた異なるタイミングで電力の供給を開始する。より詳細には、電源回路17は、入力電圧VINの上昇速度が異なるホスト2、例えば、入力電圧VINが完全に立ち上がるまでの時間の長さが異なるホスト2に応じた、異なるタイミングで各電子部品に電力の供給を開始する。これにより、ホスト2から供給される電圧の上昇速度によらず、電力を各電子部品に適切に供給することができる。出力開始タイミングの変更(遅延)は、メモリシステム1に接続されるホスト2によって、行われる場合があり、また、行われない場合もある。接続されるホスト2によって、例えば、第3出力電圧LDO_OUTの出力開始(立ち上がり)のタイミングは、所定時間(例えば、10ms)以上の差が生じる場合がある。
【0081】
(比較例)
図7は、比較例に係るメモリシステム1の動作の一例を示すタイミングチャートである。図7は、ソフトスタート動作継続時間の長いホスト2と接続される場合のメモリシステム1の動作の例を示す。比較例では、遅延時間は固定の遅延時間Tdaである。尚、ソフトスタート動作が行われないホスト2と接続される場合のタイミングチャートは、図5と略同じである。
【0082】
比較例では、出力開始タイミングの変更は行われない。すなわち、遅延時間Tdaは、固定の値である。遅延時間Tdaは、例えば、電源IC17aの製造時(メモリシステム1の出荷前)に設定される。また、遅延時間Tdaは、例えば、遅延時間Tdと略同じである。
【0083】
図7に示す時刻t21から時刻t24は、図3に示す時刻t1から時刻t4に対応する。
【0084】
ソフトスタート動作継続時間の長いホスト2が接続された場合、入力電圧VINが完全に上がりきっていないうちに、すなわち、入力電圧VINが低いうちに、出力部172が第1出力電圧172_OUTの供給を開始する。この場合、入力電圧VINまたは第2出力電圧VOUTの電圧ドロップが生じてしまう場合がある。電圧ドロップが生じると、例えば、第1出力電圧172_OUTがOFF状態になる可能性がある。第1出力電圧172_OUTがOFF状態になると、入力電圧VINをゼロV近くまで下げて、再度立ち上げる必要がある場合がある。また、例えば、第2出力電圧VOUTが電圧ドロップを繰り返し、第1出力電圧172_OUTが上昇中に揺らいでしまう(すなわち、第1出力電圧172_OUTが短時間で頻繁に変動する)可能性がある。
【0085】
これに対して、第1実施形態では、ソフトスタート動作継続時間の長いホスト2が接続された場合には、電源制御部171は、第1出力電圧172_OUTの出力開始タイミングを遅延させる。これにより、入力電圧VINが十分に高くなってから第1出力電圧172_OUTの供給が開始される。この結果、電圧ドロップが発生しても、第1出力電圧172_OUTが出力停止となる閾値までの電位差が大きいため、第1出力電圧172_OUTの出力が停止したり、第1出力電圧172_OUTがオフ/オンを繰り返して揺らいだりすることを抑制することができる。この結果、電力をより適切に供給することができる。
【0086】
(第2実施形態)
図8は、第2実施形態に係るメモリシステム1の動作の一例を示すフロー図である。第2実施形態は、第1実施形態と比較して、遅延時間Tdの決定方法が異なっている。
【0087】
電源制御部171は、立ち上がり時間Tの複数の範囲ごとに予め設定された時間に基づいて、出力開始タイミングを変更する。図8に示す例では、T≦N、N<T≦N2、及び、N2<Tの3つの範囲ごとに、それぞれ異なる遅延時間が予め設定されている。閾時間Nは例えば1msである。閾時間N2は例えば5msである。
【0088】
図8に示すステップS10からステップS60は、図6に示すステップS10~S60と同じである。
【0089】
立ち上がり時間Tが閾時間Nよりも長い場合(S60のNo)、電源制御部171は、立ち上がり時間Tが閾時間Nより長く、閾時間N2以下であるか否かを判定する(S210)。立ち上がり時間Tが閾時間N2よりも長い場合(S210のNo、S220)、電源制御部171は、例えば、遅延時間Tdを遅延時間Td2に設定する(S230)。遅延時間Td2は、遅延時間Tdよりも長い時間である。
【0090】
第2出力電圧VOUTが出力開始基準電圧に達する(S240)と、電源制御部171は、ステップS230で設定した遅延時間Td2が経過した後、電力出力シーケンスを開始し(S250)、第1出力電圧172_OUTの出力を開始するよう、出力部172に指示する。これにより、出力部172が第1出力電圧172_OUTの出力を開始する(S260)。
【0091】
立ち上がり時間Tが閾時間Nより長く、閾時間N2以下である場合(S210のYes)、電源制御部171は、例えば、遅延時間Tdを遅延時間Td3に設定する(S270)。遅延時間Td3は、遅延時間Tdよりも長く、遅延時間Td2よりも短い時間である。
【0092】
第2出力電圧VOUTが出力開始基準電圧に達する(S280)と、電源制御部171は、ステップS270で設定した遅延時間Td3が経過した後、電力出力シーケンスを開始し(S290)、第1出力電圧172_OUTの出力を開始するよう、出力部172に指示する。これにより、出力部172が第1出力電圧172_OUTの出力を開始する(S260)。
【0093】
立ち上がり時間Tが閾時間N以下である場合(S60のYes)、電源制御部171は、遅延時間Tdの設定を変更しない(S300)。
【0094】
第2出力電圧VOUTが出力開始基準電圧に達する(S310)と、電源制御部171は、遅延時間Tdが経過した後、電力出力シーケンスを開始し(S320)、第1出力電圧172_OUTの出力を開始するよう、出力部172に指示する。これにより、出力部172が第1出力電圧172_OUTの出力を開始する(S260)。
【0095】
尚、図8に示す例では、ステップS60、S210において、立ち上がり時間Tを3つの時間範囲で区切っている。しかし、区切りの数は、任意に変更されてもよい。
【0096】
また、測定開始電圧V0、測定終了電圧V1、閾時間N、N2、及び、遅延時間Td、Td3、Td2等は、図8に示す例に限られず、任意の値に設定可能である。
【0097】
第2実施形態によるメモリシステム1は、立ち上がり時間Tに応じて遅延時間をより細かく設定し、第1出力電圧172_OUTの出力開始を遅延させる。このことで、電力をより適切に供給することができる。第2実施形態によるメモリシステム1は、第1実施形態と同様かそれ以上の効果を得ることができる。
【0098】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0099】
1 メモリシステム、2 ホスト、12 NANDメモリ、13 コントローラ、17 電源回路、17a 電源IC、170 ロードスイッチ、171 電源制御部、172 出力部、172_OUT 第1出力電圧、CH1~CH4 電源チャネル、VIN 入力電圧、VOUT 第2出力電圧、V0 測定開始電圧、V1 測定終了電圧、T 立ち上がり時間、Td 遅延時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8