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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041450
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240319BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20240319BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
H01L29/78 652M
H01L29/78 653A
H01L29/78 652T
H01L29/78 658F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146279
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】藤田 康晴
(57)【要約】
【課題】バリア層の密着性を確保しつつ、電極から絶縁膜への金属の拡散を効果的に抑制できる半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置は、第1主面を有する基板と、前記第1主面の上に設けられる絶縁膜と、前記絶縁膜の上に設けられ、チタン及び窒素を含むバリア層と、前記バリア層の上に設けられる電極と、を有し、前記バリア層は、前記絶縁膜の側から前記電極の側に向かうにつれて前記窒素の濃度が連続的に高くなる第1領域と、前記第1領域の上に設けられ、前記電極の側に向かうにつれて前記窒素の濃度が連続的に低くなる第2領域と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面を有する基板と、
前記第1主面の上に設けられる絶縁膜と、
前記絶縁膜の上に設けられ、チタン及び窒素を含むバリア層と、
前記バリア層の上に設けられる電極と、
を有し、
前記バリア層は、
前記絶縁膜の側から前記電極の側に向かうにつれて前記窒素の濃度が連続的に高くなる第1領域と、
前記第1領域の上に設けられ、前記電極の側に向かうにつれて前記窒素の濃度が連続的に低くなる第2領域と、
を有する、
半導体装置。
【請求項2】
前記バリア層は、前記第1領域と前記第2領域との間に設けられ、前記窒素の濃度が一定である第3領域を有する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第3領域における前記窒素の含有量は、38atm%以上62atm%以下である、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記バリア層は、
前記絶縁膜と前記第1領域との間に設けられ、前記窒素を含まない第4領域と、
前記第2領域の上に設けられ、前記窒素を含まない第5領域と、
を有する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記基板は炭化珪素基板である
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
第1主面を有する基板の前記第1主面の上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜の上に、ターゲットとしてチタンを用い、かつスパッタガスとして窒素ガス及びアルゴンガスを用いるスパッタリング法により、チタン及び窒素を含むバリア層を形成する工程と、
前記バリア層の上に電極を形成する工程と、
を有し、
前記バリア層を形成する工程は、
前記アルゴンガスに対する前記窒素ガスの流量比を第1値から第2値まで連続的に増加させる工程と、
前記増加させる工程の後に、前記アルゴンガスに対する前記窒素ガスの流量比を前記第2値から前記第1値まで連続的に減少させる工程と、
を有する、
半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記増加させる工程と前記減少させる工程との間に、前記アルゴンガスに対する前記窒素ガスの流量比を前記第2値に維持する工程を有する、
請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記電極を形成する工程の後に、前記バリア層を900℃以上1100℃以下の温度で加熱する工程を有する、
請求項6又は請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記加熱する工程の後に、前記バリア層の比抵抗を測定する工程を有する、
請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置において、層間絶縁膜とソース電極との間に窒化チタンからなるバリア層を設ける技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/123826号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の半導体装置では、バリア層が加熱された場合に層間絶縁膜の表面からバリア層が剥離する場合がある。
【0005】
本開示は、バリア層の密着性を確保しつつ、電極から絶縁膜への金属の拡散を効果的に抑制できる半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の半導体装置は、第1主面を有する基板と、前記第1主面の上に設けられる絶縁膜と、前記絶縁膜の上に設けられ、チタン及び窒素を含むバリア層と、前記バリア層の上に設けられる電極と、を有し、前記バリア層は、前記絶縁膜の側から前記電極の側に向かうにつれて前記窒素の濃度が連続的に高くなる第1領域と、前記第1領域の上に設けられ、前記電極の側に向かうにつれて前記窒素の濃度が連続的に低くなる第2領域と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、バリア層の密着性を確保しつつ、電極から絶縁膜への金属の拡散を効果的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図2図2は、バリアメタル膜の厚さ方向における窒素濃度分布の第1例を示す図である。
図3図3は、バリアメタル膜の厚さ方向における窒素濃度分布の第2例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
図5図5は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
図6図6は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
図7図7は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その4)である。
図8図8は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その5)である。
図9図9は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その6)である。
図10図10は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その7)である。
図11図11は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その8)である。
図12図12は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その9)である。
図13図13は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その10)である。
図14図14は、バリアメタル膜を形成する際のスパッタガス流量と時間との関係の第1例を示す図である。
図15図15は、バリアメタル膜を形成する際のスパッタガス流量と時間との関係の第2例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施するための形態について、以下に説明する。
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。以下の説明では、同一又は対応する要素には同一の符号を付し、それらについて同じ説明は繰り返さない。
【0011】
〔1〕 本開示の一態様に係る半導体装置は、第1主面を有する基板と、前記第1主面の上に設けられる絶縁膜と、前記絶縁膜の上に設けられ、チタン及び窒素を含むバリア層と、前記バリア層の上に設けられる電極と、を有し、前記バリア層は、前記絶縁膜の側から前記電極の側に向かうにつれて前記窒素の濃度が連続的に高くなる第1領域と、前記第1領域の上に設けられ、前記電極の側に向かうにつれて前記窒素の濃度が連続的に低くなる第2領域と、を有する。この場合、バリア層の密着性を確保しつつ、電極から絶縁膜への金属の拡散を効果的に抑制できる。
【0012】
〔2〕 〔1〕において、前記バリア層は、前記第1領域と前記第2領域との間に設けられ、前記窒素の濃度が一定である第3領域を有していてもよい。この場合、チタンリッチの領域が増えるので、電極から絶縁膜への金属の拡散を抑制しやすい。
【0013】
〔3〕 〔2〕において、前記第3領域における前記窒素の含有量は、38atm%以上62atm%以下であってもよい。第3領域における窒素の含有量が38atm%以上62atm%以下の場合に(111)配向のTiN膜となる。第3領域における窒素の含有量が62atm%を超えると(111)配向から(200)配向が強くなり膜応力が高く密着性の低下につながる。第3領域における窒素の含有量が38atm%未満では、(111)配向の結晶ではなくなるので、所望のバリア性が担保できない。第3領域における窒素の含有量が38atm%以上62atm%以下の膜は上下に(001)配向のTi膜に挟まれる為に(111)配向をもつTiN膜は安定となる。
【0014】
〔4〕 〔1〕から〔3〕のいずれかにおいて、前記バリア層は、前記絶縁膜と前記第1領域との間に設けられ、前記窒素を含まない第4領域と、前記第2領域の上に設けられ、前記窒素を含まない第5領域と、を有していてもよい。この場合、バリア層と、絶縁膜及び電極との間の密着性を高めやすい。
【0015】
〔5〕 〔1〕から〔4〕のいずれかにおいて、前記基板は炭化珪素基板であってもよい。この場合、優れた耐圧を得やすい。
【0016】
〔6〕 本開示の他の一態様に係る半導体装置の製造方法は、第1主面を有する基板の前記第1主面の上に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜の上に、ターゲットとしてチタンを用い、かつスパッタガスとして窒素ガス及びアルゴンガスを用いるスパッタリング法により、チタン及び窒素を含むバリア層を形成する工程と、前記バリア層の上に電極を形成する工程と、を有し、前記バリア層を形成する工程は、前記アルゴンガスに対する前記窒素ガスの流量比を第1値から第2値まで連続的に増加させる工程と、前記増加させる工程の後に、前記アルゴンガスに対する前記窒素ガスの流量比を前記第2値から前記第1値まで連続的に減少させる工程と、を有していてもよい。この場合、バリア層の密着性を確保しつつ、電極から絶縁膜への金属の拡散を効果的に抑制できる。
【0017】
〔7〕 〔6〕において、前記増加させる工程と前記減少させる工程との間に、前記アルゴンガスに対する前記窒素ガスの流量比を前記第2値に維持する工程を有していてもよい。この場合、バリア層においてチタンリッチの領域が増えるので、電極から絶縁膜への金属の拡散を抑制しやすい。
【0018】
〔8〕 〔6〕又は〔7〕において、前記電極を形成する工程の後に、前記バリア層を900℃以上1100℃以下の温度で加熱する工程を有していてもよい。この場合、基板とオーミック接合する電極を形成できる。
【0019】
〔9〕 〔8〕において、前記加熱する工程の後に、前記バリア層の比抵抗を測定する工程を有していてもよい。この場合、加熱後のバリア層の比抵抗を管理できるので、半導体装置の歩留りを安定化できる。
【0020】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の実施形態について詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。
【0021】
(半導体装置)
実施形態に係る半導体装置100について説明する。図1は、実施形態に係る半導体装置100を示す断面図である。
【0022】
図1に示されるように、実施形態に係る半導体装置100は、炭化珪素基板10と、ゲート絶縁膜81と、ゲート電極82と、層間絶縁膜83と、バリアメタル膜84と、ソース電極60と、ドレイン電極70とを主に有する。
【0023】
炭化珪素基板10は、基板の一例である。炭化珪素基板10を用いる場合、優れた耐圧を得やすい。炭化珪素基板10は、炭化珪素単結晶基板50と、炭化珪素単結晶基板50上にある炭化珪素エピタキシャル層40とを含む。炭化珪素基板10は、第1主面1と、第1主面1と反対の第2主面2とを有する。炭化珪素エピタキシャル層40は第1主面1を構成し、炭化珪素単結晶基板50は第2主面2を構成する。炭化珪素単結晶基板50及び炭化珪素エピタキシャル層40は、例えばポリタイプ4Hの六方晶炭化珪素から構成される。炭化珪素単結晶基板50は、例えば窒素(N)等のn型不純物を含み、n型を有する。炭化珪素基板10には、半導体素子の一例として電界効果トランジスタが形成されている。
【0024】
炭化珪素エピタキシャル層40は、ドリフト領域11と、ボディ領域12と、ソース領域13と、コンタクト領域18とを主に有する。
【0025】
ドリフト領域11は、例えば窒素又はリン(P)等のn型不純物を含み、n型を有する。
【0026】
ボディ領域12は、ドリフト領域11上に設けられている。ボディ領域12は、例えばアルミニウム(Al)等のp型不純物を含み、p型を有する。
【0027】
ソース領域13は、ボディ領域12によってドリフト領域11から隔てられるようにボディ領域12上に設けられている。ソース領域13は、例えば窒素又はリン等のn型不純物を含み、n型を有する。ソース領域13は、第1主面1を構成する。
【0028】
コンタクト領域18は、例えばアルミニウム等のp型不純物を含み、p型を有する。コンタクト領域18は、第1主面1を構成する。コンタクト領域18は、ソース領域13を貫通し、ボディ領域12に接する。
【0029】
第1主面1には、複数のゲートトレンチ5が設けられている。各ゲートトレンチ5は、例えば第1主面1に平行な第1方向に延びる。複数のゲートトレンチ5は、例えば第1主面1に平行かつ第1方向と直交する第2方向に並んでいる。各ゲートトレンチ5は、ドリフト領域11からなる底面4を有する。各ゲートトレンチ5は、ソース領域13及びボディ領域12を貫通して底面4に連なる側面3を有する。底面4は、例えば第2主面2と平行な平面である。底面4を含む平面に対する側面3の角度は、例えば50°以上65°以下である。この角度は、例えば55°以上であってもよい。この角度は、例えば60°以下であってもよい。底面4を含む平面に対する側面3の角度が90°であってもよい。
【0030】
ゲート絶縁膜81は、側面3及び底面4に接する。ゲート絶縁膜81は、底面4においてドリフト領域11と接する。ゲート絶縁膜81は、側面3においてソース領域13、ボディ領域12及びドリフト領域11の各々と接する。ゲート絶縁膜81は、第1主面1においてソース領域13と接していてもよい。ゲート絶縁膜81は、例えば酸化膜である。ゲート絶縁膜81は、例えば二酸化珪素を含む材料により構成される。
【0031】
ゲート電極82は、ゲート絶縁膜81上に設けられている。ゲート電極82は、例えば導電性不純物を含むポリシリコン(ポリSi)から構成される。ゲート電極82は、ゲートトレンチ5の内部に配置されている。ゲート電極82の一部は、第1主面1上に配置されていてもよい。
【0032】
層間絶縁膜83は、ゲート絶縁膜81及びゲート電極82に接して設けられている。層間絶縁膜83は、例えば二酸化珪素を含む材料から構成される。層間絶縁膜83は、ソース電極60とゲート電極82とを電気的に絶縁する。層間絶縁膜83の一部は、ゲートトレンチ5の内部に設けられていてもよい。
【0033】
ゲート絶縁膜81及び層間絶縁膜83には、第2方向に一定の間隔でコンタクトホール90が形成されている。コンタクトホール90は、第1主面1に垂直な方向から平面視したときに、第2方向で隣り合うコンタクトホール90の間にゲートトレンチ5が位置するように設けられている。コンタクトホール90は、第1方向に延びる。コンタクトホール90を通じて、ソース領域13及びコンタクト領域18がゲート絶縁膜81及び層間絶縁膜83から露出する。
【0034】
バリアメタル膜84は、ゲート絶縁膜81の側面と、層間絶縁膜83の上面及び側面とを覆う。バリアメタル膜84は、ゲート絶縁膜81及び層間絶縁膜83の各々と接する。バリアメタル膜84は、例えば窒化チタン(TiN)を含む材料から構成される。バリアメタル膜84は、バリア層の一例である。
【0035】
図2は、バリアメタル膜84の厚さ方向における窒素濃度分布の第1例を示す図である。図2中、横軸はバリアメタル膜84の厚さ方向の位置を示し、縦軸はバリアメタル膜84の窒素濃度を示す。図2に示されるように、バリアメタル膜84は、層間絶縁膜83の側からソース電極60の側に向かって順に、第1Ti領域84aと、第1TiN領域84bと、第2TiN領域84cと、第2Ti領域84dとを有する。
【0036】
第1Ti領域84aは、層間絶縁膜83の上に設けられている。第1Ti領域84aは、ゲート絶縁膜81の側面と、層間絶縁膜83の上面及び側面とに接する。第1Ti領域84aは、チタン(Ti)を含みかつ窒素を含まない。第1Ti領域84aは、例えばチタンから構成される。チタンは絶縁膜に対する密着性が高いので、バリアメタル膜84とゲート絶縁膜81及び層間絶縁膜83との間の密着性を高めやすい。第1Ti領域84aの厚さは、例えば10nm以上50nm以下であってよい。第1Ti領域84aは、第4領域の一例である。
【0037】
第1TiN領域84bは、第1Ti領域84aの上に設けられている。第1TiN領域84bは、第1Ti領域84aと第2TiN領域84cとの間に設けられている。第1TiN領域84bは、チタンと窒素とを含む。第1TiN領域84bは、例えば窒化チタンから構成される。窒化チタンは金属に対するバリア性が高いので、ソース電極60からゲート絶縁膜81及び層間絶縁膜83への金属の拡散を効果的に抑制できる。第1TiN領域84bは、層間絶縁膜83の側からソース電極60の側に向かうにつれて窒素濃度が連続的に高くなる。この場合、第1Ti領域84aとの密着性を確保すると共に内部応力を低減できるので、バリアメタル膜84の剥離を抑制できる。第1TiN領域84bの第1Ti領域84aとの境界における窒素濃度は、例えば0atm%であってよい。第1TiN領域84bの第2TiN領域84cとの境界における窒素濃度は、例えば38atm%以上62atm%以下であってもよい。この場合、TiNは(111)配向性を持つ。第1TiN領域84bの厚さは、例えば100nm以上200nm以下であってよい。第1TiN領域84bは、第1領域の一例である。
【0038】
第2TiN領域84cは、第1TiN領域84bの上に設けられている。第2TiN領域84cは、第1TiN領域84bと第2Ti領域84dとの間に設けられている。第2TiN領域84cは、チタンと窒素とを含む。第2TiN領域84cは、例えば窒化チタンから構成される。窒化チタンは金属に対するバリア性が高いので、ソース電極60からゲート絶縁膜81及び層間絶縁膜83への金属の拡散を効果的に抑制できる。第2TiN領域84cは、層間絶縁膜83の側からソース電極60の側に向かうにつれて窒素濃度が連続的に低くなる。この場合、第2Ti領域84dとの密着性を確保すると共に内部応力を低減できるので、バリアメタル膜84の剥離を抑制できる。第2TiN領域84cの第2Ti領域84dとの境界における窒素濃度は、例えば0atm%であってよい。第2TiN領域84cは、例えば100nm以上200nm以下であってよい。第2TiN領域84cは、第2領域の一例である。
【0039】
第2Ti領域84dは、第2TiN領域84cの上に設けられている。第2Ti領域84dは、ソース電極60と接する。第2Ti領域84dは、チタンを含みかつ窒素を含まない。第2Ti領域84dは、例えばチタンから構成される。チタンは金属に対する密着性が高いので、バリアメタル膜84とソース電極60との間の密着性を高めやすい。第2Ti領域84dの厚さは、例えば10nm以上50nm以下であってよい。第2Ti領域84dは、第5領域の一例である。
【0040】
図3は、バリアメタル膜84の厚さ方向における窒素濃度分布の第2例を示す図である。図3中、横軸はバリアメタル膜84の厚さ方向の位置を示し、縦軸はバリアメタル膜84の窒素濃度を示す。図3に示されるように、バリアメタル膜84は、層間絶縁膜83の側からソース電極60の側に向かって順に、第1Ti領域84aと、第1TiN領域84bと、第3TiN領域84eと、第2TiN領域84cと、第2Ti領域84dとを有する。
【0041】
第1Ti領域84a、第1TiN領域84b、第2TiN領域84c及び第2Ti領域84dは、図2に示される例と同じであってよい。
【0042】
第3TiN領域84eは、第1TiN領域84bの上に設けられている。第3TiN領域84eは、第1TiN領域84bと第2TiN領域84cとの間に設けられている。第3TiN領域84eは、チタンと窒素とを含む。第3TiN領域84eは、例えば窒化チタンから構成される。第3TiN領域84eは、厚さ方向において窒素濃度が一定である。この場合、チタンリッチの領域が増えるので、ソース電極60からゲート絶縁膜81及び層間絶縁膜83への金属の拡散を抑制しやすい。第3TiN領域84eの窒素濃度は、例えば38atm%以上62atm%以下であってもよい。この場合、TiNは(111)配向性を持つ。第3TiN領域84eの厚さは、例えば100nm以上200nm以下であってよい。第3TiN領域84eは、第3領域の一例である。
【0043】
ソース電極60は、第1主面1に接する。ソース電極60は、コンタクト電極61と、ソース配線62とを有する。コンタクト電極61は、第1主面1において、ソース領域13及びコンタクト領域18に接していてもよい。コンタクト電極61は、例えば第1電極領域61aと、第2電極領域61bとを有する。第1電極領域61aは、ソース領域13及びコンタクト領域18と接する。第1電極領域61aは、ソース領域13及びコンタクト領域18とオーミック接合する。第1電極領域61aは、例えばニッケルシリサイド(NiSi)を含む材料から構成される。第1電極領域61aは、チタンと、アルミニウムと、シリコンとを含む材料から構成されていてもよい。第2電極領域61bは、バリアメタル膜84の上面及び側面を覆う。第2電極領域61bは、設けられなくてもよい。第2電極領域61bは、例えばニッケルを含む材料から構成される。ソース配線62は、コンタクト電極61の上面及び側面を覆う。ソース配線62は、例えばアルミニウム又は銅(Cu)を含む材料から構成される。ソース配線62は、アルミニウム及び銅を含む材料から構成されていてもよい。ソース電極60は、層間絶縁膜83によりゲート電極82から電気的に絶縁されている。ソース電極60は、電極の一例である。
【0044】
ドレイン電極70は、第2主面2に接する。ドレイン電極70は、第2主面2において炭化珪素単結晶基板50と接する。ドレイン電極70は、ドリフト領域11と電気的に接続されている。ドレイン電極70は、例えばニッケルシリサイドを含む材料から構成される。ドレイン電極70は、チタンと、アルミニウムと、シリコンとを含む材料から構成されていてもよい。ドレイン電極70は、炭化珪素単結晶基板50とオーミック接合する。
【0045】
以上に説明したように、実施形態に係る半導体装置100は、層間絶縁膜83とソース電極60との間に、第1TiN領域84bと、第1TiN領域84bの上に設けられる第2TiN領域84cとを有するバリアメタル膜84を有する。第1TiN領域84bは、層間絶縁膜83の側からソース電極60の側に向かうにつれて窒素濃度が連続的に高くなる。第2TiN領域84cは、層間絶縁膜83の側からソース電極60の側に向かうにつれて窒素濃度が連続的に低くなる。この場合、バリアメタル膜84の密着性を確保しつつ、ソース電極60からゲート絶縁膜81及び層間絶縁膜83への金属の拡散を効果的に抑制できる。
【0046】
なお、バリアメタル膜84の窒素濃度は、例えば二次イオン質量分析法(secondary ion mass spectrometry:SIMS)、X線回折(X-ray diffraction:XRD)により測定できる。
【0047】
(半導体装置の製造方法)
実施形態に係る半導体装置100の製造方法について説明する。図4から図13は、実施形態に係る半導体装置100の製造方法を示す断面図である。
【0048】
まず、図4に示されるように、炭化珪素単結晶基板50を準備する。次に、炭化珪素単結晶基板50の上に炭化珪素エピタキシャル層40を形成する。例えば、炭化珪素単結晶基板50は、窒素等のn型不純物を含み、n型を有する。例えば、炭化珪素エピタキシャル層40は、窒素等のn型不純物を添加したエピタキシャル成長により形成できる。このようにして、第1主面1と、第2主面2とを有する炭化珪素基板10が得られる。
【0049】
次に、図5に示されるように、炭化珪素エピタキシャル層40へのイオン注入を行う。例えば、イオン注入により、ボディ領域12、ソース領域13及びコンタクト領域18が形成される。炭化珪素エピタキシャル層40の残部がドリフト領域11として機能する。ボディ領域12又はコンタクト領域18を形成するためのイオン注入においては、例えばアルミニウム等のp型不純物をイオン注入する。ソース領域13を形成するためのイオン注入においては、例えばリン等のn型不純物をイオン注入する。
【0050】
次に、図6に示されるように、ソース領域13、ボディ領域12及びドリフト領域11に複数のゲートトレンチ5を形成する。ゲートトレンチ5は、次のようにして形成できる。
【0051】
まず、ゲートトレンチ5を形成しようとする領域上に開口を有するマスク(図示せず)を形成する。次に、マスクを用いて、ソース領域13の一部と、ボディ領域12の一部と、ドリフト領域11の一部とをエッチングにより除去する。エッチングは、例えば反応性イオンエッチング(reactive ion etching:RIE)である。エッチングにより、ゲートトレンチ5を形成しようとする領域に、第1主面1に対してほぼ垂直な側部と、側部と連続的に設けられ、かつ第1主面1とほぼ平行な底部とを有する凹部が形成される。
【0052】
次に、凹部において熱エッチングを行う。熱エッチングは、第1主面1上にマスクが形成された状態で、例えば、少なくとも1種類以上のハロゲン原子を有する反応ガスを含む雰囲気での加熱によって行い得る。少なくとも1種類以上のハロゲン原子は、塩素(Cl)原子及びフッ素(F)原子の少なくともいずれかを含む。当該雰囲気は、例えば、塩素(Cl)、三塩化ホウ素(BCl)、六フッ化硫黄(SF)又は四フッ化炭素(CF)を含む。例えば、塩素ガスと酸素(O)ガスとの混合ガスを反応ガスとして用い、熱処理温度を800℃以上900℃以下として、熱エッチングが行われる。なお、反応ガスは、上述した塩素ガスと酸素ガスとに加えて、キャリアガスを含んでいてもよい。キャリアガスとしては、例えば窒素(N)ガス、アルゴン(Ar)ガス、ヘリウム(He)ガスを利用できる。熱エッチングにより、第1主面1にゲートトレンチ5が形成される。ゲートトレンチ5は、ドリフト領域11からなる底面4と、ソース領域13及びボディ領域12を貫通して底面4に連なる側面3とを有する。熱エッチングの後、マスクが第1主面1から除去される。
【0053】
次に、図7に示されるように、ゲート絶縁膜81を形成する。例えば炭化珪素基板10を熱酸化することにより、ソース領域13と、ボディ領域12と、ドリフト領域11と、コンタクト領域18とに接するゲート絶縁膜81が形成される。具体的には、炭化珪素基板10を、酸素を含む雰囲気において、例えば1300℃以上1400℃以下の温度で加熱する。これにより、第1主面1と、側面3と、底面4とに接するゲート絶縁膜81が形成される。なお、ゲート絶縁膜81が熱酸化により形成された場合、厳密には、炭化珪素基板10の一部がゲート絶縁膜81に取り込まれる。このため、以降の処理では、熱酸化の後のゲート絶縁膜81と炭化珪素基板10との間の界面に第1主面1、側面3及び底面4が若干移動したものとする。
【0054】
次に、図8に示されるように、ゲート電極82を形成する。ゲート電極82は、ゲート絶縁膜81上に形成される。ゲート電極82は、例えば減圧CVD(low pressure - chemical vapor deposition:LP-CVD)法により形成される。ゲート電極82は、ソース領域13と、ボディ領域12と、ドリフト領域11との各々に対面するように形成される。
【0055】
次に、図9に示されるように、層間絶縁膜83を形成する。具体的には、ゲート電極82を覆い、かつゲート絶縁膜81と接するように層間絶縁膜83が形成される。層間絶縁膜83は、例えばCVD法により形成される。層間絶縁膜83は、例えば二酸化珪素を含む材料から構成される。層間絶縁膜83の一部がゲートトレンチ5の内部に形成されてもよい。
【0056】
次に、図10に示されるように、ゲート絶縁膜81及び層間絶縁膜83のエッチングを行うことで、ゲート絶縁膜81及び層間絶縁膜83にコンタクトホール90を形成する。この結果、ソース領域13及びコンタクト領域18がゲート絶縁膜81及び層間絶縁膜83から露出する。
【0057】
次に、図11に示されるように、ゲート絶縁膜81の側面と、層間絶縁膜83の上面及び側面とを覆うバリアメタル膜84を形成する。バリアメタル膜84は、例えば窒化チタンを含む材料から構成される。バリアメタル膜84は、例えばスパッタリング法により形成される。
【0058】
図14は、バリアメタル膜84を形成する際のスパッタガス流量と時間との関係の第1例を示す図である。図14中、横軸は時間を示し、縦軸はスパッタガス流量を示す。図14中、実線は窒素ガスの流量を示し、破線はアルゴンガスの流量を示す。
【0059】
まず、スパッタリング装置のチャンバ内に炭化珪素基板10を収容する。スパッタリング装置は、チャンバと、基板保持部と、ターゲット保持部と、RF(Radio Frequency)電源と、DC(Direct Current)電源と、ガス供給部とを有する。基板保持部は、炭化珪素基板10を保持する。ターゲット保持部は、ターゲットを保持する。RF電源は、基板保持部にRF電圧を印加する。DC電源は、ターゲット保持部にDC電圧を印加する。ガス供給部は、チャンバ内にスパッタガスを供給する。ターゲットは、チタンターゲットであってよい。スパッタガスは、アルゴンガス及び窒素ガスであってよい。
【0060】
続いて、時刻t11において、チャンバ内にアルゴンガスを供給し、基板保持部にRF電圧を印加し、ターゲット保持部にDC電圧を印加することにより、層間絶縁膜83の上に、チタンから構成される第1Ti領域84aを形成する。チタンは絶縁膜に対する密着性が高いので、バリアメタル膜84とゲート絶縁膜81及び層間絶縁膜83との間の密着性を高めやすい。時刻t11から時刻t12までの期間において、例えばアルゴンガスの流量を一定に維持してもよい。
【0061】
続いて、時刻t12において、チャンバ内にアルゴンガスを供給し、基板保持部にRF電圧を印加し、ターゲット保持部にDC電圧を印加した状態で、チャンバ内への窒素ガスの供給を開始する。時刻t12から時刻t13までの期間において、アルゴンガスの流量を連続的に減少させると共に窒素ガスの流量を連続的に増加させることにより、アルゴンガスに対する窒素ガスの流量比を第1値から第2値まで連続的に増加させる。これにより、層間絶縁膜83の側からソース電極60の側に向かうにつれて窒素濃度が連続的に高くなる第1TiN領域84bが形成される。この場合、第1Ti領域84aとの密着性を確保すると共に内部応力を低減できるので、バリアメタル膜84の剥離を抑制できる。第1値は、例えば0であってよい。第2値は、例えば0.17以上6.0以下であってよい。時刻t12からt13までの期間において、例えばRF電圧やDC電圧を連続的に変化させてもよい。この場合、バリアメタル膜84の金属に対するバリア性を制御できる。時刻t12から時刻t13までの期間において、RF電圧やDC電圧を一定に維持してもよい。
【0062】
続いて、時刻t13から時刻t14までの期間において、アルゴンガスの流量を連続的に増加させると共に窒素ガスの流量を連続的に減少させることにより、アルゴンガスに対する窒素ガスの流量比を第2値から第1値まで連続的に減少させる。これにより、層間絶縁膜83の側からソース電極60の側に向かうにつれて窒素濃度が連続的に低くなる第2TiN領域84cが形成される。この場合、第2Ti領域84dとの密着性を確保すると共に内部応力を低減できるので、バリアメタル膜84の剥離を抑制できる。時刻t13から時刻t14までの期間において、例えばRF電圧やDC電圧を連続的に変化させてもよい。この場合、バリアメタル膜84の金属に対するバリア性を制御できる。時刻t13から時刻t14までの期間において、RF電圧やDC電圧を一定に維持してもよい。
【0063】
続いて、時刻t14において、チャンバ内にアルゴンガスを供給し、基板保持部にRF電圧を印加し、ターゲット保持部にDC電圧を印加した状態で、チャンバ内への窒素ガスの供給を停止する。これにより、第2TiN領域84cの上に、チタンから構成される第2Ti領域84dが形成される。チタンは金属膜に対する密着性が高いので、バリアメタル膜84とソース電極60との間の密着性を高めやすい。時刻t14から時刻t15までの期間において、例えばアルゴンガスの流量を一定に維持してもよい。
【0064】
図14に示される例では、第1Ti領域84a、第1TiN領域84b、第2TiN領域84c及び第2Ti領域84dを同じチャンバ内で連続して形成する。この場合、第1TiN領域84b及び第2TiN領域84cを形成する際にチャンバ内に付着する窒化チタンが、第2Ti領域84dを形成する際にチャンバ内に付着するチタンで被覆される。チタンは窒化チタンよりも内部応力が小さいので、チャンバ内に付着した窒化チタンの膜剥がれが抑制される。このため、チャンバ内でパーティクルが発生することを抑制できる。
【0065】
図15は、バリアメタル膜84を形成する際のスパッタガス流量と時間との関係の第2例を示す図である。図15中、横軸は時間を示し、縦軸はスパッタガス流量を示す。図15中、実線は窒素ガスの流量を示し、破線はアルゴンガスの流量を示す。
【0066】
まず、スパッタリング装置のチャンバ内に炭化珪素基板10を収容する。
【0067】
続いて、時刻t21から時刻t22までの期間において、時刻t11から時刻t12までの期間と同様の方法により、第1Ti領域84aを形成する。
【0068】
続いて、時刻t22から時刻t23までの期間において、時刻t12から時刻t13までの期間と同様の方法により、第1Ti領域84aの上に第1TiN領域84bを形成する。
【0069】
続いて、時刻t23から時刻t24までの期間において、アルゴンガスの流量及び窒素ガスの流量を一定に維持することにより、アルゴンガスに対する窒素ガスの流量比を第2値に維持する。これにより、厚さ方向において窒素濃度が一定の第3TiN領域84eが形成される。この場合、チタンリッチの領域が増えるので、ソース電極60からゲート絶縁膜81及び層間絶縁膜83への金属の拡散を抑制しやすい。
【0070】
続いて、時刻t24から時刻t25までの期間において、時刻t13から時刻t14までの期間と同様の方法により、第3TiN領域84eの上に第2TiN領域84cを形成する。
【0071】
続いて、時刻t25から時刻t26までの期間において、時刻t14から時刻t15までの期間と同様の方法により、第2TiN領域84cの上に第2Ti領域84dを形成する。
【0072】
図15に示される例では、第1Ti領域84a、第1TiN領域84b、第3TiN領域84e、第2TiN領域84c及び第2Ti領域84dを同じチャンバ内で連続して形成する。この場合、第1TiN領域84b、第3TiN領域84e及び第2TiN領域84cを形成する際にチャンバ内に付着する窒化チタンが、第2Ti領域84dを形成する際にチャンバ内に付着するチタンで被覆される。チタンは窒化チタンよりも内部応力が小さいので、チャンバ内に付着した窒化チタンの膜剥がれが抑制される。このため、チャンバ内でパーティクルが発生することを抑制できる。
【0073】
次に、図12に示されるように、第1主面1においてソース領域13及びコンタクト領域18に接するコンタクト電極61用の金属膜(図示せず)を形成する。コンタクト電極61用の金属膜は、例えばスパッタリング法により形成される。コンタクト電極61用の金属膜は、例えばニッケルを含む材料から構成される。次に、第2主面2において炭化珪素単結晶基板50に接するドレイン電極70用の金属膜を形成する。ドレイン電極70用の金属膜は、例えばニッケルを含む材料から構成される。
【0074】
次に、合金化アニールを行う。コンタクト電極61用の金属膜及びドレイン電極70用の金属膜が、例えば900℃以上1100℃以下の温度で5分間程度保持される。これにより、コンタクト電極61用の金属膜の少なくとも一部及びドレイン電極70用の金属膜の少なくとも一部が、炭化珪素基板10が含む珪素と反応してシリサイド化する。これにより、ソース領域13及びコンタクト領域18とオーミック接合する第1電極領域61aと、炭化珪素単結晶基板50とオーミック接合するドレイン電極70が形成される。また、バリアメタル膜84の上面及び側面に、シリサイド化していない第2電極領域61bが形成される。第1電極領域61aは、チタンと、アルミニウムと、シリコンとを含む材料から構成されてもよい。ドレイン電極70は、チタンと、アルミニウムと、シリコンとを含む材料から構成されてもよい。
【0075】
次に、図13に示されるように、ソース配線62を形成する。具体的には、コンタクト電極61を覆うソース配線62が形成される。ソース配線62は、例えばスパッタリング法により形成される。ソース配線62は、例えばアルミニウム又は銅を含む材料から構成される。ソース配線62は、アルミニウム及び銅を含む材料から構成されてもよい。このようにして、コンタクト電極61とソース配線62とを有するソース電極60が形成される。
【0076】
次に、バリアメタル膜84の比抵抗を測定してもよい。この場合、合金化アニールによる加熱後のバリアメタル膜84の比抵抗を管理できるので、半導体装置100の歩留りを安定化できる。
【0077】
このようにして、電界効果トランジスタを含む半導体装置100を製造できる。
【0078】
以上に説明したように、実施形態に係る半導体装置100の製造方法は、層間絶縁膜83の上に、ターゲットとしてチタンを用い、スパッタガスとして窒素ガス及びアルゴンガスを用いるスパッタリング法により、バリアメタル膜84を形成する工程を有する。バリアメタル膜84を形成する工程は、アルゴンガスに対する窒素ガスの流量比を第1値から第2値まで連続的に増加させる工程と、アルゴンガスに対する窒素ガスの流量比を第2値から第1値まで連続的に減少させる工程とをこの順に行う。これにより、層間絶縁膜83とソース電極60との間に、第1TiN領域84bと、第1TiN領域84bの上に設けられる第2TiN領域84cとを有するバリアメタル膜84が形成される。第1TiN領域84bは、層間絶縁膜83の側からソース電極60の側に向かうにつれて窒素濃度が連続的に高くなる。第2TiN領域84cは、ソース電極60の側に向かうにつれて窒素濃度が連続的に低くなる。この場合、バリアメタル膜84の密着性を確保しつつ、ソース電極60からゲート絶縁膜81及び層間絶縁膜83への金属の拡散を効果的に抑制できる。
【0079】
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0080】
1 第1主面
2 第2主面
3 側面
4 底面
5 ゲートトレンチ
10 炭化珪素基板
11 ドリフト領域
12 ボディ領域
13 ソース領域
18 コンタクト領域
40 炭化珪素エピタキシャル層
50 炭化珪素単結晶基板
60 ソース電極
61 コンタクト電極
62 ソース配線
70 ドレイン電極
81 ゲート絶縁膜
82 ゲート電極
83 層間絶縁膜
84 バリアメタル膜
84a 第1Ti領域
84b 第1TiN領域
84c 第2TiN領域
84d 第2Ti領域
84e 第3TiN領域
90 コンタクトホール
100 半導体装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15