(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041453
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】開閉式ムービングハウス及びこれを複数連結した連結式集合ハウス
(51)【国際特許分類】
B60P 3/34 20060101AFI20240319BHJP
E04B 1/344 20060101ALI20240319BHJP
E04H 1/12 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B60P3/34 Z
E04B1/344 B
E04H1/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146283
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】520193725
【氏名又は名称】株式会社TAYASU
(74)【代理人】
【識別番号】100124718
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 建
(74)【代理人】
【識別番号】100136216
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 恵美
(72)【発明者】
【氏名】田安 繁晴
(57)【要約】
【課題】本発明は、トラックやトレーラーに載せたまま使用でき、単体でキャンプ場のキャンピングカーなどに使用でき、複数個を連結させて、多彩なバリエーションの居住空間を構成することができる開閉式ムービングハウス及び連結式集合ハウスを提供する。
【解決手段】本発明に係る開閉式ムービングハウスは、高さ方向の長さがH、前後方向の長さがLの左右の側板が、夫々、高さhの位置で屋根板とデッキ板とに分離されており、前記屋根板は、ヒンジにより天板と開閉可能に接続され、該ヒンジを軸にして上方向に開いて、該天板と面一の位置で支持機構により支持可能であり、前記デッキ板は、ヒンジにより床板と開閉可能に接続され、該ヒンジを軸にして下方向に開いて、該床板と面一の位置で支持機構により支持可能である。そして、前記屋根板と前記デッキ板を共に閉じた状態で、該屋根板の下端と該デッキ板の上端とを当接させて接続することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前板と後板、天板と床板、左右の側板から構成される直方体状の函体からなり、車台に載せて移動可能な、ムービングハウスであって、
共に、高さ方向の長さがH、前後方向の長さがLの左右の側板が、それぞれ、高さhの位置で屋根板とデッキ板とに分離されており、
前記屋根板は、ヒンジにより天板と開閉可能に接続され、ヒンジを軸にして上方向に開いて、該天板と面一の位置で支持機構により支持可能であり、
前記デッキ板は、ヒンジにより床板と開閉可能に接続され、該ヒンジを軸にして下方向に開いて、該床板と面一の位置で支持機構により支持可能であり、
前記屋根板と前記デッキ板を共に閉じた状態で、該屋根板の下端と該デッキ板の上端とを当接させて接続することができる、開閉式ムービングハウス。
【請求項2】
前記支持機構は、天板と略平行に開かれた前記屋根板と、床板と略平行に開かれた前記デッキ板とに上端と下端を当接させる棒状体である、請求項1に記載の開閉式ムービングハウス。
【請求項3】
請求項1に記載の開閉式ムービングハウスを複数個接続して構成する集合ハウスであって 、
各開閉式ムービングハウスの開いたデッキ板を接続して通路として用い、
各開閉式ムービングハウスの開いた屋根板を接続して屋根として用いることができ、
複数の前記開閉式ムービングハウスの個数、配置を自在に変更することにより、好みの居住空間を得ることができる連結式集合ハウス。
【請求項4】
一の開閉式ムービングハウスの開いたデッキ板の先端又は後端に、他の開閉式ムービングハウスの開いたデッキ板の先端又は後端を当接して、複数の開閉式ムービングハウスを、その前後方向に連結した、請求項3に記載の連結式集合ハウス。
【請求項5】
一の開閉式ムービングハウスの開いたデッキ板の側部に、他の開閉式ムービングハウスの開いたデッキ板の側部を当接して、複数の開閉式ムービングハウスを、その左右方向に連結した、請求項3に記載の連結式集合ハウス。
【請求項6】
一の開閉式ムービングハウスの開いたデッキ板の側部に、他の開閉式ムービングハウスの開いたデッキ板の先端又は後端を当接して、複数の開閉式ムービングハウスを、直角方向に連結した、請求項3に記載の連結式集合ハウス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉式ムービングハウスと、この開閉式ムービングハウスを複数連結して構成可能な連結式集合ハウスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、トレーラーハウスは、居住空間を広く拡張することが課題となっており、例えば特許文献1~特許文献4などに、種々の発明が開示されている。しかし、何れもトレーラーハウス単体の室内空間を拡張する発明にとどまっていた。
【0003】
これに対し、特許文献5に開示されたトレーラーハウスは、上部扉と下部扉とからなる扉を有し、上部扉が上部端部を軸として回動可能であり、下部扉が下部端部を軸として下部側へ回動可能であり、開いた下部扉及び上部扉を、それぞれ縁側及び屋根として使用することができる。このトレーラーハウスを連結したトレーラーハウス群は、開いた床部同士を連結することによって通路を形成することができ、例えば、ホテル又は複数の部屋がある家屋のように使用することができる。しかし、縁側及び屋根は、扉の上下部を開いて形成するため、2台のトレーラーハウスを並列に横付けして下部扉及び上部扉同士を連結するしかなく、ホテルや家屋のように使用するには可能なバリエーションが少なく、単調な居住空間しか形成できない。
【特許文献1】特許第5490947号公報
【特許文献2】特許第7085782号公報
【特許文献3】実用新案登録第3107648号公報
【特許文献4】実用新案登録第3193633号公報
【特許文献5】特開2018-16223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、トラックやトレーラーにより運搬できると共に、これらに載せたまま使用でき、単体でキャンプ場のキャンピングカーなどに使用でき、複数個の開閉式ムービングハウスを連結させた連結式集合ハウスを形成して、多彩なバリエーションの住居、災害用の仮設住宅、別荘、パーティー会場、ホテルなどの居住空間を構成することができる、開閉式ムービングハウス及びこれを複数連結した連結式集合ハウスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)開閉式ムービングハウス
本発明に係る開閉式ムービングハウスは、前板と後板、天板と床板、左右の側板から構成される直方体状の函体からなり、車台に載せて移動可能な、ムービングハウスであって、
共に、高さ方向の長さがH、前後方向の長さがLの左右の側板が、それぞれ、高さhの位置で屋根板とデッキ板とに分離されており、
前記屋根板は、ヒンジにより天板と開閉可能に接続され、該ヒンジを軸にして上方向に開いて、該天板と面一の位置で支持機構により支持可能であり、
前記デッキ板は、ヒンジにより床板と開閉可能に接続され、該ヒンジを軸にして下方向に開いて、該床板と面一の位置で支持機構により支持可能であり、
前記屋根板と前記デッキ板を共に閉じた状態で、該屋根板の下端と該デッキ板の上端とを当接させて接続することができる。
【0006】
本発明に係る開閉式ムービングハウスにおいて、前記支持機構は、天板と略平行に開かれた前記屋根板と、床板と略平行に開かれた前記デッキ板とに上端と下端を当接させる棒状体であり得る。
【0007】
(2)連結式集合ハウス
本発明に係る連結式集合ハウスは、上記開閉式ムービングハウスを複数個接続して構成する集合ハウスであって、各開閉式ムービングハウスの開いたデッキ板を接続して通路として用い、各開閉式ムービングハウスの開いた屋根板を接続して屋根として用いることができ、複数の前記開閉式ムービングハウスの個数、配置を自在に変更することにより、好みの居住空間を得ることができる。
【0008】
本発明に係る連結式集合ハウスは、一の開閉式ムービングハウスの開いたデッキ板の先端又は後端に、他の開閉式ムービングハウスの開いたデッキ板の先端又は後端を当接して、複数の開閉式ムービングハウスを、その前後方向に連結して構成し得る。
【0009】
本発明に係る連結式集合ハウスは、一の開閉式ムービングハウスの開いたデッキ板の側部に、他の開閉式ムービングハウスの開いたデッキ板の側部を当接して、複数の開閉式ムービングハウスを、その左右方向に連結して構成してもよい。
【0010】
本発明に係る連結式集合ハウスは、一の開閉式ムービングハウスの開いたデッキ板の側部に、他の開閉式ムービングハウスの開いたデッキ板の先端又は後端を当接して、複数の開閉式ムービングハウスを、その直角方向に連結して構成してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る開閉式ムービングハウスは、左右の側板が、それぞれ、高さhの位置で屋根板とデッキ板とに分離されており、屋根板を上方向に開いて、天板と面一の位置で支持し、デッキ板を下方向に開いて、床板と面一の位置で支持することができる。したがって、本発明の開閉式ムービングハウスは、左右の側板の一方又は両方を上下に開けば、開いた屋根板とデッキ板を、夫々屋根とデッキのように使用することができ、開放的な居住空間を得ることができる。
【0012】
このような本発明の開閉式ムービングハウスは、調理場、各種店舗、応接室、ベッドルーム、リビング、各種事務所、簡易宿泊設備などとして使用することができる。
【0013】
また、本発明の開閉式ムービングハウスは、トラックに載せ、あるいはトレーラーで牽引して運搬することができ、これを載せる車台に応じて適宜その大きさ、形状等も変更可能である。トレーラーで牽引するトレーラーハウスより小さいサイズの開閉式ムービングハウスであれば、例えば2トントラックの車台に合わせた小サイズとなるが、上記のように左右の側板の一方又は両方を上下に開けば、広々とした開放的な居住空間を得ることができる。
【0014】
また、本発明の開閉式ムービングハウスは、到着地でトラックやトレーラーの車台から降ろして使用してもよいが、これらの車台に載せたまま使用することもできる。到着地で組み立てる必要はなく、トラックやトレーラーの運転中に使用してもよい。したがって、本発明の開閉式ムービングハウスは、キッチンカー、サウナカー、リビングカー、ベットカー、ドミトリーカー、などとして用いることもできる。
【0015】
本発明に係る連結式集合ハウスは、一の開閉式ムービングハウスの開いたデッキ板の先端又は後端に、他の開閉式ムービングハウスの開いたデッキ板の先端又は後端を当接して、複数の開閉式ムービングハウスを、その前後方向に連結して構成することができる。
【0016】
複数の開閉式ムービングハウスを連結する方法は各種あり、開閉式ムービングハウスの個数や連結方法を変えることにより、本発明に係る連結式集合ハウスは、バラエティーに富んだ居住空間を創出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】(a)本発明に係る開閉式ムービングハウスを構成する直方体状の函体の斜視図、(b)運搬車の車台に載せた本発明に係る開閉式ムービングハウスの側面図。
【
図2】左右の側板を構成する屋根板とデッキ板を全て開いた状態における本発明に係る開閉式ムービングハウスの(a)正面断面図、(b)側面図。
【
図3】実施例に係る連結式集合ハウスの平面模式図であり、(a)開閉式ムービングハウスを前後方向に連結した平面模式図、(b)開閉式ムービングハウスを横方向に連結した平面模式図。
【
図4】他の実施例に係る連結式集合ハウスの平面模式図であり、(a)開閉式ムービングハウスを連結して閉じた形状とした連結式集合ハウスの平面模式図、(b)開閉式ムービングハウスを連結して、別の閉じた形状とした連結式集合ハウスの平面模式図。
【
図5】機能の異なる開閉式ムービングハウスを連結して閉じた形状とした連結式集合ハウスの平面斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明に係る開閉式ムービングハウスの実施形態及び実施例について説明する。なお、以下各図面を通して同一の構成要素には同一の符号を使用するものとする。
(1)開閉式ムービングハウス
【0019】
図1(a)に示すように、本発明に係る開閉式ムービングハウス1は、前板10fと後板10b、天板10uと床板10d、左右の側板10l、10rから構成される直方体状の函体10からなり、
図1(b)のように、トラック、トレーラーなど運搬車100の車台104に載せて移動可能である。
【0020】
函体10は、
図2(a)、(b)に示すように、共に、高さ方向の長さがH、前後方向の長さがLの左右の側板10l、10rが、それぞれ、高さhの位置で屋根板20nとデッキ板20mとに分離されている。そして、屋根板20nは、ヒンジ32により天板10uと開閉可能に接続され、ヒンジ32を軸にして上方向に開いて、天板10uと面一の位置で支持機構30により支持可能である。また、デッキ板20mは、ヒンジ32により床板10dと開閉可能に接続され、ヒンジ32を軸にして下方向に開いて、床板10dと面一の位置で支持機構30により支持可能である。
【0021】
函体10は、屋根板20nとデッキ板20mを共に閉じた状態で、屋根板20nの下端とデッキ板20mの上端とを当接させて接続することができる。また、支持機構30を用いて、屋根板20nとデッキ板20mを共に開いた状態に維持することができる。支持機構30は、例えば、 天板10uと略平行に開かれた屋根板20nと、床板10dと略平行に開かれたデッキ板20mとに上端と下端を当接させる棒状体34である。
【0022】
したがって、本発明に係る開閉式ムービングハウス1は、屋根板20nとデッキ板20mを開閉することにより、閉じた空間と開放された空間を創出することができる。このような本発明の開閉式ムービングハウスは、調理場、各種店舗、応接室、ベッドルーム、リビング、各種事務所、簡易宿泊設備などとして使用することができる。また、運搬車100の車台104に載せたまま使用することもでき、キッチンカー、サウナカー、リビングカー、ベットカー、ドミトリーカー、などとして用いることもできる。
(2)連結式集合ハウス
【0023】
本発明に係る連結式集合ハウス2は、
図3,
図4のように、上記開閉式ムービングハウス1を複数個接続して構成することができる。複数の開閉式ムービングハウス1は、それぞれ、各開閉式ムービングハウス1の開いたデッキ板20mを接続して通路として用い、各開閉式ムービングハウス1の開いた屋根板20nを接続して屋根として用いることができる。本発明の連結式集合ハウス2は、複数の開閉式ムービングハウス1の個数、配置を自在に変更することにより、好みの居住空間を創出することができる。
【実施例0024】
実施例1に係る連結式集合ハウス2は、
図3(a)のように、一の開いたデッキ板20mの先端又は後端に、他の開閉式ムービングハウス1の開いたデッキ板20mの先端又は後端を当接して、複数の開閉式ムービングハウス1を、その前後方向に連結して構成し得る。
【0025】
図3(a)は、屋根板20nとデッキ板20mを開いた2台の開閉式ムービングハウス1を前後方向に連結した例である。2台の開閉式ムービングハウス1の屋根板20n同士、デッキ板20m同士を接続して、夫々屋根と通路として使用することができ、1つの居住空間を形成することができる。2台の運搬車100の車台104に、夫々開閉式ムービングハウス1を載せ、運転室102が逆方向を向くように、2台の開閉式ムービングハウス1を前後方向に連結してもよい。
側面方向に隣り合う2台の開閉式ムービングハウス1の屋根板20n同士、デッキ板20m同士を接続して、夫々屋根と通路として使用することができ、1つの居住空間を形成することができる。並列に並べた2台の運搬車100の車台104に、夫々開閉式ムービングハウス1を載せ、上述のように、2台の開閉式ムービングハウス1を左右方向に連結してもよい。