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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041463
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】エンジニアリング装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 9/50 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
G06F9/50 120Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146295
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】胡 天翔
(57)【要約】
【課題】デバイスのリソースの利用状況を見積もることが可能なエンジニアリング装置を提供する。
【解決手段】本発明の実施形態では、エンジニアリング装置は、変更予定の制御システムに関するデバイス情報およびタグ情報の入力を受け付ける入力部を備える。前記エンジニアリング装置はさらに、前記デバイス情報およびタグ情報に基づいて、前記制御システムが変更された場合の前記制御システム内のデバイスにおけるリソースの利用状況を算出し、前記リソースの利用状況の算出結果を出力する算出部を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変更予定の制御システムに関する変更予定のデバイス情報およびタグ情報の入力を受け付ける入力部と、
前記変更予定のデバイス情報およびタグ情報に基づいて、前記制御システムが変更された場合の前記制御システム内のデバイスにおけるリソースの利用状況を算出し、前記リソースの利用状況の算出結果を出力する算出部と、
を備えるエンジニアリング装置。
【請求項2】
前記リソースの利用状況の算出結果は、前記エンジニアリング装置以外の装置の画面に出力される、請求項1に記載のエンジニアリング装置。
【請求項3】
前記リソースは、前記制御システム内のデバイスにおける演算装置、主記憶装置および補助記憶装置のうちの少なくともいずれかを含み、
前記算出部は、前記リソースの利用状況として、前記演算装置、前記主記憶装置および前記補助記憶装置のうちの少なくともいずれかの負荷状況を算出する、
請求項1に記載のエンジニアリング装置。
【請求項4】
前記制御システムに関する参考用のデバイス情報およびタグ情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記算出部は、前記変更予定のデバイス情報およびタグ情報に基づいて、前記参考用のデバイス情報およびタグ情報を前記記憶部から読み出し、
前記算出部は、前記リソースの利用状況を、前記参考用のデバイス情報およびタグ情報に基づいて算出する、
請求項1に記載のエンジニアリング装置。
【請求項5】
前記参考用のデバイス情報は、前記制御システム内のデバイスにおける演算装置、主記憶装置および補助記憶装置のうちの少なくともいずれかの性能に関する情報を含む、
請求項4に記載のエンジニアリング装置。
【請求項6】
前記参考用のタグ情報は、前記制御システム内のデバイスがタグに基づいて動作する際の演算装置、主記憶装置および補助記憶装置のうち少なくともいずれかの負荷に関する情報を含む、
請求項4に記載のエンジニアリング装置。
【請求項7】
前記算出部は、前記変更予定のデバイス情報およびタグ情報と、前記参考用のデバイス情報およびタグ情報とを比較して、前記リソースの利用状況を算出する、
請求項4に記載のエンジニアリング装置。
【請求項8】
前記制御システムに関する既存のデバイス情報およびタグ情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記算出部は、前記リソースの利用状況を、前記変更予定のデバイス情報およびタグ情報と、前記既存のデバイス情報およびタグ情報とに基づいて算出する、請求項1に記載のエンジニアリング装置。
【請求項9】
前記リソースの利用状況は、前記リソースの利用状況を表す値と閾値との比較により複数の階級に分類される、請求項1に記載のエンジニアリング装置。
【請求項10】
前記デバイスは、前記エンジニアリング装置とコントローラとの間に介在するエッジデバイスである、請求項1に記載のエンジニアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エンジニアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製造現場等では、クラウドサーバを用いたクラウド制御システムが広く使用されている。しかし、データ処理が集中すると、クラウドサーバおよびネットワークは高負荷状態となり、処理や通信の遅延の原因となる。製造現場等では、迅速なデータ処理およびリアルタイム制御が必要となるため、近年、エッジコンピューティング技術を用いたエッジクラウド制御システムが採用されている。
【0003】
エッジコンピューティング技術では、製造現場等の付近にデータ蓄積、処理、分析等を行うエッジデバイスが設置される。エッジデバイスは制御システムにおける一部の処理を行い、必要なデータだけをクラウドサーバに送信する。エッジデバイデバイスによって、クラウドサーバおよびネットワークの負荷が分散され、処理や通信の遅延を回避することができる。
【0004】
また、エッジクラウド制御システムでは、製造現場等の継続的な稼働のため、ユーザは各エッジデバイスにおける演算装置、主記憶装置および補助記憶装置といったリソースの負荷状態を把握する必要がある。例えば、演算装置における負荷率が常に高い場合や補助記憶装置の容量が上限に達している場合、ユーザはエッジデバイスの更新や増設等を検討する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方で、エッジクラウド制御システムは、システム構成が複雑であるため、エッジデバイスの更新時や増設時等において、システムの稼働状況がどのように変化するかを把握するのは難しい。
【0006】
例えば、エッジデバイスは、その更新や増設等によって、その上位のサーバやネットワーク等の負荷状況に影響を与える。エッジクラウド制御システムの更新や増設等をスムーズに行うため、エッジデバイスの更新や増設等に伴う影響を事前に把握できる手段が必要となる。
【0007】
本発明の実施形態は、デバイスのリソースの利用状況を見積もることが可能なエンジニアリング装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一つの実施形態によれば、エンジニアリング装置は、変更予定の制御システムに関するデバイス情報およびタグ情報の入力を受け付ける入力部を備える。前記エンジニアリング装置はさらに、前記デバイス情報およびタグ情報に基づいて、前記制御システムが変更された場合の前記制御システム内のデバイスにおけるリソースの利用状況を算出し、前記リソースの利用状況の算出結果を出力する算出部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態におけるエッジクラウド制御システムのシステム構成図の例を示す図である。
図2】第1実施形態におけるエンジニアリング装置1のシステムブロック図の例を示す図である。
図3】第1実施形態における変更予定情報13の入力画面の例を示す図である。
図4】第1実施形態における変更予定のタグ情報の入力画面の例を示す図である。
図5】第1実施形態における変更予定のシステム構成情報の例を示す図である。
図6】第1実施形態における変更予定情報13の入力後の例を示す図である。
図7】第1実施形態における既存情報14の例を示す図である。
図8】第1実施形態における参考用情報15に格納される参考用のデバイス情報の例を示す図である。
図9】第1実施形態における参考用情報15に格納される参考用のタグ情報の例を示す図である。
図10】第1実施形態におけるリソースの利用状況の見積もり結果の例を示す図である。
図11】第1実施形態における見積もりのフローチャートの例を示す図である。
図12】第2実施形態におけるエンジニアリング装置1におけるハードウェア構成図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1図12では、同一の構成に同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態におけるエッジクラウド制御システムのシステム構成図の例である。
【0012】
この制御システムは、複数の製造ライン100を有する製造現場200と、製造現場200を管理する管理所400とにわたって構築される。具体的には、この制御システムは、図1に示すエンジニアリング装置1、エッジデバイス2、コントローラ3、グローバルネットワーク40およびローカルネットワーク50や、後述する制御対象装置などを含む。
【0013】
図1では、製造ライン100ごとに制御対象装置(不図示)が存在し、制御対象装置は、コントローラ3およびエッジデバイス2によって自動制御される。コントローラ3は、例えばプログラマブルコントロ-ラ(PLC(Programmable Logic Controller)とも言う)である。エッジデバイス2は、例えばエッジコントローラである。また、管理所400には、クラウドサーバとして、エンジニアリング装置1が設置される。このエンジニアリング装置1により、コントローラ3およびエッジデバイス2を遠隔で監視する。本実施形態では、エッジデバイス2は、エッジコンピューティングのために必要なタグに関する統計データを収集し、他のエッジデバイス2に送信する。この図では、エッジデバイス2はコントローラ3の上位に配置される構成図となっているが、コントローラ3がエッジデイバス2の上位に配置される構成であってもよい。
【0014】
エンジニアリング装置1およびエッジデバイス2は、グローバルネットワーク40で接続される。また、エッジデバイス2およびコントローラ3は、ローカルネットワーク50で接続される。グローバルネットワーク40の例は、インターネットであり、ローカルネットワーク50の例は、イントラネットである。これらのネットワークにより、エンジニアリング装置1と、エッジデバイス2と、コントローラ3との通信を可能にする。これらのネットワークは、有線回線であっても無線回線であってもよい。また、グローバルネットワーク40の代わりにローカルネットワーク50を用いてもよく、ローカルネットワーク50の代わりにグローバルネットワーク40を用いてもよく、制御システムを実現するために、必要なネットワークが構築される。
【0015】
図2は、第1実施形態におけるエンジニアリング装置1のシステムブロック図である。
【0016】
エンジニアリング装置1は、例えば、PC(Personal Computer)にエンジニアリング装置1用プログラム(エンジニアリングツール)をインストールすることで実現することができる。本実施形態では、エンジニアリング装置1は、コントローラ3等の監視機能の他、制御システムが変更された場合の前記制御システム内のエッジデバイス2におけるリソースの利用状況の見積もり機能を備える。ここで、エッジデバイス2の変更とは、エッジデバイス2の更新、増設および削除を含む。リソースの例は、エッジデバイス2のCPU(Central Processing Unit)などの演算装置や、RAM(Random Access Memory)などの主記憶装置や、HDD(Hard Disc Drive)などの補助記憶装置である。例えば、上記のPC内のCPUが、エンジニアリング装置1のプログラムを実行することにより、見積もりのための入力部10、記憶部11および算出部12の機能が実現される。
【0017】
また、記憶部11は、変更予定情報13、既存情報14、参考用情報15を記憶する領域を備える。記憶部11は、例えば、HDD等の補助記憶装置上に構築される。
【0018】
また、エンジニアリング装置1には、入力装置20および表示装置30が電気的に接続される。入力装置20の例は、キーボードやマウスである。表示装置30の例はLCD(Liquid Crystal Display)モニタである。以下では、エンジニアリング装置1の各機能ブロックの詳細について説明する。
【0019】
入力部10は、変更予定情報13等の入力を受け付ける入力画面等のユーザインターフェースを提供する。この入力画面は、例えば、表示装置30に表示され、ユーザは、入力装置20を用いて、変更予定情報13等を入力する。
【0020】
記憶部11は、種々の情報を格納するデータベースを備える。変更予定情報13は、変更予定のデバイス情報、タグ情報およびシステム構成情報を格納するデータベースである。また、既存情報14は、既存のデバイス情報、タグ情報およびシステム構成情報を格納するデータベースである。また、参考用情報15は、参考用のデバイス情報およびタグ情報を格納するデータベースである。これらのデータベースについては、以下で図面を用いて説明する。
【0021】
算出部12は、ユーザから入力された変更予定のデバイス情報およびタグ情報に基づいて、制御システムが変更された場合の前記制御システム内のエッジデバイス2におけるリソースの利用状況を見積もりとして算出する。算出されたリソースの利用状況は、例えば、表示装置30に出力し、ユーザに提示することができる。
【0022】
図3は、第1実施形態における変更予定情報13の入力画面の例である。
【0023】
エンジニアリング装置1は、ユーザからの変更予定情報13の入力を受け付けるためのユーザインターフェースを提供する。このユーザインターフェースは、入力部10により提供される。変更予定のエッジデバイス2とは、変更後として導入が予定されているエッジデバイス2を指す。ここでは、「デバイス(a)」という名称のエッジデバイス2に変更(更新)する例を取り上げて説明する。また、本実施形態では、エッジデバイス2またはコントローラ3は、タグと呼ばれるデータの集まりに基づいて、制御対象装置の制御を行う。制御対象装置を制御するために必要なセンサデータの読み出しや、制御対象装置に値を書き込む等、1つの制御対象装置を制御するための様々な処理は1種類のタグに対応付けられる。本実施形態では、各エッジデバイス2は、タグに基づく制御対象装置の監視または制御の他、複数の下位のコントローラ3を監視または制御するために、所定のタグに関する統計データの収集および送信を行っている例を挙げて説明する。エッジデバイス2が取り扱うデータは、タグに限定されず、リソースの利用状況を見積もるために必要なデータを取り扱うこととしてよい。
【0024】
図3の入力画面において、ユーザは、変更予定のデバイス情報の行に、変更予定のエッジデバイス2を入力する。ユーザは、「デバイス1」の列に、「デバイス(a)」の情報を登録する。ここでは、ユーザがプルダウンメニューから、「デバイス(a)」を選択した例を示している。ここで入力される情報は、エッジデバイス2の名称に限定されない。番号やアルファベット等、変更予定のエッジデバイス2を識別するための他の識別情報を採用することができる。また、変更予定のデバイス情報の入力は、プルダウンメニューによる選択に限定されない。ユーザは、キーボード等の入力装置20を用いて、直接入力デバイス情報の入力を行ってもよい。
【0025】
ユーザは、変更予定のタグ情報の行に、「デバイス(a)」が取り扱うタグについての情報を入力する。変更予定のエッジデバイス2が複数のタグを取り扱う場合もあるため、この例では、変更予定のタグ情報は、別画面で入力することとしている。変更予定のシステム構成情報は、入力された変更予定のデバイス情報およびのタグ情報に基づいて、自動で更新される。これらの詳細については後述する。
【0026】
図4は、第1実施形態における変更予定のタグ情報の入力画面の例である。
【0027】
この例は、図3の変更予定のタグ情報の「詳細入力」を押下した際に遷移する入力画面を示している。この入力画面では、ユーザは、変更予定のエッジデバイス2ごとに、取り扱うタグの処理に関する内容を入力する。この例では、「デバイス1」つまり「デバイス(a)」は、「タグ(a)」および「タグ(b)」を取り扱う。ユーザは、「タグ(a)」の欄に、「タグ(a)」に基づく「デバイス(a)」の処理に関する内容である「処理1」を入力し、「タグ(b)」の欄に、「タグ(b)」に基づく「デバイス(a)」の処理に関する内容である「処理2」を入力する。例えば、ユーザは、タグの処理の回数等、タグの処理に関する内容を入力する。また、変更予定のタグ情報は、タグの処理の内容以外でも、リソースの利用状況を算出するためのデータであれば、任意の入力を採用することができる。入力部10は、また、ユーザによる手入力の他、また、プルダウンメニューから選択する等の方法によって入力を受け付けてもよい。また、エンジニアリング装置1は、CSV(Comma Separated Value)ファイル等の設定ファイルのアップロードを受け付けてもよい。ユーザによるタグの処理についての入力が完了し、決定ボタンを押下することで、タグ情報入力部への入力が完了する。
【0028】
ユーザが、変更予定のデバイス情報およびタグ情報を入力すると、エンジニアリング装置1は、変更予定のシステム構成情報を更新する。
【0029】
図5は、第1実施形態における変更予定のシステム構成情報の例である。
【0030】
図5は、図3の変更予定のシステム構成情報の「詳細確認」を押下した際に遷移する画面の例を示している。この例では、入力部10は、図3および図4において、ユーザが入力した変更予定のデバイス情報およびタグ情報に基づいて、収集データおよび送信データに関する一覧表である変更予定のシステム構成情報を生成する。例えば、入力部10は、変更予定のタグ情報から、収集や送信が必要なデータを判断し、変更予定のシステム構成情報を生成することが考えられる。これにより、ユーザは、各エッジデバイス2における統計データ用の収集データおよび送信データを確認することができる。
【0031】
図6は、第1実施形態における変更予定情報13の入力後の例である。
【0032】
図3および4における入力の後、ユーザが入力確認ボタンを押下することで、入力部10は、変更予定のデバイス情報、タグ情報およびシステム構成情報を変更予定情報13のデータベースに格納することができる。図6は、「デバイス1」について「デバイス(a)」に変更を予定し、「デバイス2」について「デバイス(b)」に変更を予定する例を示している。
【0033】
図7は、第1実施形態における既存情報14の例である。
【0034】
既存情報14では、既存のデバイス情報、タグ情報およびシステム構成情報が格納されている。既存のデバイス情報とは、制御システム内にある既存のエッジデバイス2の情報である。また、既存のタグ情報およびシステム構成情報とは、それぞれ既存のエッジデバイス2のタグ情報およびシステム構成情報である。図7は、既存のエッジデバイス2として、「デバイス1」に「デバイス(b)」が登録されており、「デバイス2」に「デバイス(c)」が登録されている例を示している。また、既存のタグ情報および既存のシステム構成情報については、図4または5と同様のユーザインターフェースであるため省略する。既存情報14は見積もりの前にあらかじめ、ユーザが手入力で入力部10に登録する方法や、CSV(Comma Separated Value)ファイル等の設定ファイルをエンジニアリング装置1にアップロードする方法が考えられる。また、エンジニアリング装置1が各エッジデバイス2から自動で既存情報14を収集する機能を備えてもよい。
【0035】
図8は、第1実施形態における参考用情報15に格納される参考用のデバイス情報の例である。
【0036】
参考用のデバイス情報は、制御システム内の各エッジデバイス2における演算装置、主記憶装置および補助記憶装置の性能に関する情報が格納されている。参考用のデバイス情報は、各エッジデバイス2におけるリソースの性能に関する一覧表としての役割を有する。この例では、「デバイス(a)」は、CPU種別Aを搭載しており、メモリ及びHDDの容量はそれぞれ、4GBおよび500GBであることを表している。参考用のデバイス情報は、CPU種別以外にも、見積もりが必要なリソースに応じて、例えばGPUといった他の参考用のデバイス情報を格納してもよい。また、参考用のデバイス情報は、ユーザが手入力で入力部10に登録する方法や、CSV(Comma Separated Value)ファイル等の設定ファイルをエンジニアリング装置1にアップロードする方法が考えられる。エンジニアリング装置1が各エッジデバイス2等からデバイス情報を収集する機能を備えてもよい。
【0037】
図9は、第1実施形態における参考用情報15に格納される参考用のタグ情報の例である。
【0038】
参考用のタグ情報は、エッジデバイス2がタグに基づいて動作する際の演算装置、主記憶装置および補助記憶装置の負荷に関する情報が格納されている。参考用のタグ情報は、各タグの負荷に関する一覧表としての役割を有する。この例では、エッジデバイス2が取り扱う「タグ(a)」ついて、「CPU種別A」を搭載したエッジデバイス2は、1日で「60,000個」処理できることを表している。また、括弧内の値は、推薦タグ処理数を表している。この場合、CPU種別Aにおける「推薦タグ処理数」は、1日で「30,000個」であることを表している。また、「CPU種別B」を搭載したエッジデバイス2は、同様に、「タグ(a)」を1日で「30,000個」処理できることを表している。また、推薦タグ処理数は、1日で「15,000個」であることを表している。
【0039】
また、「メモリ利用状況」によると、この例では、エッジデバイス2が取り扱う「タグ(a)」について、1タグが動作するにあたり、エッジデバイス2は、「1KB」のメモリ容量が必要であることを表している。
【0040】
また、「HDD利用状況」によると、この例では、エッジデバイス2が取り扱う「タグ(a)」について、1タグが動作するにあたり、エッジデバイス2は、「1MB」のHDDの容量が必要であることを表している。
【0041】
参考用のタグ情報には、CPU種別以外にも見積もりが必要なリソースに応じて、例えばGPUといった他の演算装置の負荷の状況を格納してもよい。また、メモリやHDD以外にも見積もりが必要なリソースに応じて、他の主記憶装置や補助記憶装置に関するリソースの負荷の状況を格納してもよい。
【0042】
参考用のタグ情報は、見積もりの前にあらかじめ、ユーザが手入力で入力部10に登録する方法や、CSV(Comma Separated Value)ファイル等の設定ファイルをエンジニアリング装置1にアップロードする方法が考えられる。また、エンジニアリング装置1は、各エッジデバイス2から自動で参考用のデバイス情報を収集する機能を備えてもよい。
【0043】
図10は、第1実施形態におけるリソースの利用状況の見積もり結果の例である。
【0044】
この例では、算出部12は、各エッジデバイス2のデバイス情報、タグ情報およびシステム構成情報に係る変更の有無に基づいて、「CPU負荷」、「メモリ負荷」および「HDD負荷」の利用状況について見積もりとして算出する。例えば、見積もり結果は、変更予定情報13における「見積もり出力」ボタンを押下することによって算出される。また、算出された結果は、表示装置30等に出力される。
【0045】
この例では、デバイス情報の項目には、変更前後におけるエッジデバイス2の名称が表示される。図10は、「デバイス1」が、「デバイス(b)」から「デバイス(a)」に変更になったことを示している。これに伴い、タグ情報およびシステム構成情報は、「変更あり」となったことを示している。タグ情報について、算出部12は、変更予定情報13における変更予定のタグ情報と、既存情報14における既存のタグ情報とを比較することにより、変更の有無を確認することができる。また、システム構成情報について、算出部12は、変更予定情報13における変更予定のシステム構成情報と、既存情報14における既存のシステム構成情報とを比較することにより、変更の有無を確認することができる。図10は、「デバイス2」についても同様に、エッジデバイス2が、「デバイス(c)」から「デバイス(d)」に変更になったことを示しており、タグ情報およびシステム構成情報が「変更あり」となったことを示している。また、図10は、「デバイス3」について、変更前は登録がなかったことを示しており、変更後は、「デバイス(e)」が追加されていることを示している。これに伴い、図10は、「タグ情報」および「システム構成情報」が「変更あり」となったことを示している。
【0046】
続いて、変更後の「デバイス1」を例に挙げて、算出部12が見積もり結果を算出する方法を説明する。算出部12は、変更予定情報13に格納される「デバイス1」の情報を取得する。ここで取得する情報から、変更予定のエッジデバイス2は、「デバイス(a)」であることが分かる。算出部12は、参考用のデバイス情報から、変更予定のエッジデバイス2である「デバイス(a)」に関する「CPU種別」、「メモリ容量」および「HDD容量」を読み出す。図8に示すとおり、算出部12は、「デバイス(a)」についての「CPU種別」は「CPU種別A」であり、「メモリ容量」は「4GB」であり、「HDD容量」は「500GB」であることを読み出す。
【0047】
また、算出部12は、変更予定情報13から、「デバイス(a)」における「タグ情報」を読み出す。ここで取得する情報から、算出部12は、「デバイス(a)」が取り扱うタグが「タグ(a)」および「タグ(b)」であることを読み出す。算出部12は、参考用のタグ情報から、「タグ(a)」および「タグ(b)」について、「デバイス(a)」の性能に関する情報を読み出す。具体的には、算出部12は、「タグ(a)」について、「CPU種別A」は1日で「60,000個」処理できることを読み出す。また、算出部12は、「タグ(a)」が1タグ動作するにあたり、メモリ容量について「1KB」必要であることを読み出す。また、算出部12は、「タグ(a)」が1タグ動作するにあたり、HDD容量について「1MB」必要であることを読み出す。同様に、算出部12は、「タグ(b)」について、「CPU種別A」は1日で「30,000個」処理できることを読み出す。また、算出部12は、「タグ(b)」が1タグ動作するにあたり、メモリ容量について「1.5KB」必要であることを読み出す。また、算出部12は、「タグ(b)」が1タグ動作する場合、HDD容量について、「500KB」必要であることを読み出す。
【0048】
このように、算出部12は、変更予定のエッジデバイス2におけるデバイス情報に対応する参考用のデバイス情報を読み出すことができる。また、算出部12は、変更予定のエッジデバイス2におけるタグ情報に対応する参考用のタグ情報を読み出すことができる。
【0049】
また、算出部12は、変更予定のタグ情報より、該当の変更予定のデバイスが取り扱う各タグの処理に関する内容を読み出す。算出部12は、読み出した処理に関する内容と、参考用のデバイス情報およびタグ情報とを比較して、リソースの負荷の状況を算出する。例えば、「処理1」より、1日で処理される「タグ(a)」の数が、6,000個であると判断される場合には、CPU種別AにおけるCPU負荷は10パーセントとして算出することが考えられる。また、算出部12は、メモリやHDDについて、処理される「タグ(a)」の数に基づいて、必要な容量を算出することができる。このように、算出部12は、変更予定のデバイス情報およびタグ情報と、参考用のデバイス情報およびタグ情報とを比較して、リソースの利用状況を算出することができる。
【0050】
図10は、算出されたリソースの利用状況について、「低」、「中」および「高」の3段階の階級で表示している。例えば、算出部12は、各リソースについて、負荷の割合が20パーセント未満であれば「低」、20パーセント以上でかつ80パーセント未満であれば「中」、80パーセント以上であれば「高」に分類する等、それぞれの値を閾値によって分類することが考えられる。この閾値は、上述した値に限定されず、任意の値を採用することができる。例えば、この閾値は、エンジニアリング装置1の設定部(不図示)において、ユーザが設定することが考えられる。
【0051】
このように、算出部12は、変更予定のデバイス情報およびタグ情報に基づいて、制御システムが変更された場合の前記制御システム内のエッジデバイス2におけるリソースの利用状況を算出し、その結果を出力することができる。
【0052】
また、図10では、算出部12は、前記既存のデバイス情報およびタグ情報に基づいて、制御システム内の既存のエッジデバイス2におけるリソースの利用状況を併せて算出する。これらの利用状況は、変更後のエッジデバイス2の利用状況の算出方法と同様に算出することができる。例えば、既存のデバイス情報およびタグ情報に基づいて、参考用のデバイス情報およびタグ情報を読み出す。また、既存のタグ情報における処理に関する内容に基づいて、各リソースの利用状況を算出し、その結果を出力することができる。
【0053】
本実施形態では、エッジデバイス2の更新や追加を伴う場合の例を用いて、算出部12がリソースの利用状況の見積もりを算出する例を説明した。しかし、エッジデバイス2の更新等を伴わず、システムの構成変更等により、タグ情報のみが変更になる場合も同様に、算出部12は、リソースの利用状況の見積もりを算出しその結果を出力することができる。また、エッジデバイス2の削除を行う場合も同様に、算出部12はリソースの利用状況を算出し、その結果を出力することができる。
【0054】
また、算出部12は、見積もりの算出において、「システム構成情報」を含めることができる。各エッジデバイス2がタグに関する統計データを収集および送信するにあたり、リソースの利用状況が大きく変更となるような場合には、これらの情報を見積もりに含めることが考えられる。例えば、参考用のタグ情報に、タグに関する統計データの送受信時に伴う演算装置、主記憶装置および補助記憶装置の負荷に関する情報を追加する。算出部12が、変更予定システム情報と参考用のタグ情報を用いて、リソースの利用状況を算出し、その結果を出力することができる。
【0055】
また、上述と同様の方法で、算出部12は、エッジデバイス2の代わりに、コントローラ3のリソースの利用状況を算出することができる。例えば、参考用のデバイス情報およびタグ情報に、あらかじめコントローラ3に関する情報を格納する。ユーザの入力による変更予定のコントローラ3のデバイス情報およびタグ情報と、参考用のデバイス情報およびタグ情報とに基づいて、算出部12は、コントローラ3のリソースの利用状況を算出し、その結果を出力することが考えられる。
【0056】
図11は、第1実施形態における見積もりのフローチャートの例である。
【0057】
ステップS10では、入力部10は、変更予定情報13の入力画面において、ユーザから、変更予定のデバイス情報の入力を受け付ける。ステップS11では、入力部10は、変更予定情報13の入力画面において、ユーザから、変更予定のタグ情報の入力を受け付ける。ステップS12では、算出部12は、参考用のデバイス情報から、入力された変更予定のデバイス情報に対応する演算装置、主記憶装置および補助記憶装置の性能に関する情報を読み出す。ステップS13では、算出部12は、参考用のタグ情報から、入力された変更予定のタグ情報に対応する演算装置、主記憶装置および補助記憶装置の負荷に関する情報を読み出す。ステップS14では、算出部12は、読み出した参考用のデバイス情報およびタグ情報に基づいてリソースの利用状況を算出する。
【0058】
本実施形態によれば、変更予定システム情報およびタグ情報に基づいて、算出部12は、エッジデバイス2のリソースの利用状況を見積もることができる。これにより、ユーザは、変更予定のエッジデバイス2のリソースの利用状況について、システムの事前に確認することができる。
【0059】
また、ユーザは、見積もりによって、エッジデバイス2の変更作業に伴う、上位のエンジニアリング装置1や下位のコントローラ3等への影響について、事前に確認することができ、スムーズに変更作業を行うことができる。
【0060】
また、事前にリソースの利用状況を見積もることができるため、ユーザは、リソースの利用状況を最適化することができる。
【0061】
また、既存のエッジデバイス2のリソースの利用状況と変更後のエッジデバイス2の利用状況を一覧化することで、ユーザは、エッジデバイス2の変更前後におけるリソースの利用状況が容易に比較できる。
【0062】
また、見積もられたリソースの利用状況の値を複数の階級として表示することで、ユーザは、利用状況を直感的に把握できる。
【0063】
(第2実施形態)
図12は、第2実施形態におけるエンジニアリング装置1におけるハードウェア構成図である。
【0064】
図12のエンジニアリング装置1は、CPU等の演算装置52と、RAM等の主記憶装置53と、HDD等の補助記憶装置54と、LAN(Local Area Network)ボード等のネットワークインタフェース55と、メモリスロットやメモリポート等のデバイスインタフェース56と、これらの機器を互いに接続するバス57とを備えている。エンジニアリング装置1は例えば、PC等のコンピュータであり、キーボードやマウス等の入力装置20や、LCDモニタ等の表示装置30を備えている。
【0065】
本実施形態においては、エンジニアリング装置1の情報処理をコンピュータに実行させるためのプログラムが、補助記憶装置54内にインストールされている。エンジニアリング装置1は、このプログラムを主記憶装置53に展開して、演算装置52により実行する。これにより、図2に示す各ブロックの機能をエンジニアリング装置1内で実現し、上述した見積もりが可能となる。なお、この情報処理により生成されたデータは、主記憶装置53に一時的に保持されるか、補助記憶装置54内に格納され保存される。
【0066】
このプログラムは例えば、このプログラムを記録した外部装置58をデバイスインタフェース56に装着し、このプログラムを外部装置58から補助記憶装置54に格納することでインストール可能である。外部装置58の例は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体や、このような記録媒体を内蔵する記録装置である。記録媒体の例はCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、CD-R(Compact Disk Recordable)、フレキシブルディスク、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、DVD-R (Digital Versatile Disk Recordable)であり、記録装置の例はHDDである。また、このプログラムは例えば、このプログラムをネットワークインタフェース55を介してダウンロードすることでインストール可能である。
【0067】
これにより、エンジニアリング装置1の機能をソフトウェアにより実現することが可能となる。
【0068】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明したエンジニアリング装置1は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明したエンジニアリング装置1の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0069】
1:エンジニアリング装置、2:エッジデバイス、3:コントローラ、
10:入力部、11:記憶部、12:算出部、13:変更予定情報、14:既存情報、
15:参考用情報、20:入力装置、30:表示装置、
40:グローバルネットワーク、50:ローカルネットワーク、
52:演算装置、53:主記憶装置、54:補助記憶装置、
55:ネットワークインタフェース、56:デバイスインタフェース、58:外部装置、
100:製造ライン、200:製造現場、400:管理所
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12