(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041476
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】制御弁及びこの制御弁を用いた内燃機関のバルブタイミング制御装置
(51)【国際特許分類】
F01L 1/356 20060101AFI20240319BHJP
F16K 15/02 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
F01L1/356 E
F16K15/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146312
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100205682
【弁理士】
【氏名又は名称】高嶋 一彰
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 保英
【テーマコード(参考)】
3G018
3H058
【Fターム(参考)】
3G018AB02
3G018BA33
3G018CA19
3G018DA24
3G018DA52
3G018DA59
3G018DA60
3G018DA77
3G018DA83
3G018FA01
3G018FA07
3G018GA02
3H058AA05
3H058BB01
3H058CD05
3H058EE15
(57)【要約】
【課題】逆止弁のコイルばねによる弁体の開閉作動の安定化を図りつつ導入通路の通路断面積の減少化を抑制できる制御弁を提供する。
【解決手段】バルブボディ27の内周に摺動して軸方向へ移動可能に設けられたスプール弁29と、スプール弁の径方向内側に配置され、内部軸方向に導入ポートに連通する第1油通路38と外部に連通する第2油通路39を有するスリーブ28と、スリーブの内部に形成されたバルブ収容凹部40に配置され、第1油通路へのみ流体の流動を許容する逆止弁44と、を備え、逆止弁は、弁体45と、弁体を閉弁方向に付勢するチェックスプリング47と、弁体の開弁方向の最大移動位置を規制するストッパ突部48と、を有し、ストッパ突部は、チェックスプリングの内周縁をガイドする外周面48aと、この外周面に軸方向に沿って切り欠かれて、第1油通路の開口孔38aに向けて設けられた一対の通路溝48bと、を有している。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
径方向に複数の作動ポートが形成され、軸方向の一端部に導入ポートが開口形成された筒状のバルブボディと、
前記バルブボディの内周に摺動して軸方向へ移動可能に設けられたスプール弁と、
前記スプール弁の径方向内側に配置され、内部軸方向に前記導入ポートに連通する導入通路と外部に連通する排出通路の2系統の通路を有するスリーブと、
前記スプール弁または前記スリーブの内部に形成されたバルブ収容凹部に配置され、前記導入ポートから前記導入通路へのみ流体の流動を許容する逆止弁と、
を備え、
前記逆止弁は、
バルブシートに離着座する有底円筒状の弁体と、
前記弁体をバルブシートに着座する方向に付勢するコイルばねと、
前記バルブ収容凹部に設けられて、前記弁体が軸方向から当接して該弁体の開弁方向の最大移動位置を規制するストッパ突部であって、前記コイルばねの内周縁をガイドするガイド部と、該ガイド部の外周面に軸方向に沿って切り欠かれて、前記バルブ収容凹部の底壁面に開口した前記導入通路の開口孔に向けて設けられた通路溝と、を有する前記ストッパ突部と、
を有していることを特徴とする制御弁。
【請求項2】
請求項1に記載の制御弁であって、
前記排出通路は、軸方向の前記バルブ収容凹部側の一端部が閉止され、他端部が外部に連通し、
前記ガイド部は、前記排出通路と軸方向でオーバーラップしていることを特徴とする制御弁。
【請求項3】
請求項1に記載の制御弁であって、
前記弁体は、前記バルブシートの離着座する先端部と、該先端部の外周縁から軸方向に延びて前記バルブ収容凹部の内周面に摺動可能な周壁部と、を有し、
前記弁体が前記コイルばねのばね力に抗して開弁方向へ移動して前記先端部の内底面が前記ストッパ突部の先端に当接した際に、前記周壁部の軸方向の後端縁と該後端縁に軸方向から対向する前記バルブ収容凹部の底壁面が軸方向で離間していることを特徴とする制御弁。
【請求項4】
請求項1に記載の制御弁であって、
前記スリーブの内部に有する前記導入通路は、軸方向に沿って並行に2つ設けられ、
該2つの導入通路は、前記スリーブの径方向の中心を挟んだ対称位置に設けられ、それぞれの軸方向の各一端が前記バルブ収容凹部の底壁面に開口している一方、各他端が閉止され、
前記ストッパ突部の外周面に形成された前記通路溝は、前記2つの導入通路のそれぞれの一端に有する各開口孔に対応して2つ形成され、
該2つの通路溝は、前記ストッパ突部の径方向の中心を挟んで対称位置に有することを特徴とする制御弁。
【請求項5】
請求項1に記載の制御弁であって、
前記弁体は、周壁部の内周面が前記コイルばねの外周縁によってガイド可能に設けられていることを特徴とする制御弁。
【請求項6】
請求項5に記載の制御弁であって、
前記弁体の周壁部の外周面と前記バルブ収容凹部の内周面との間に、前記導入ポートから前記バルブシートの通路孔を介して導入された流体を前記導入通路に供給する円筒状の通路部が設けられていることを特徴とする制御弁。
【請求項7】
請求項1に記載の制御弁であって、
前記ストッパ突部は、先端面が平面状に形成されている一方、
前記弁体の先端部の内底面も平面状に形成されていることを特徴とする制御弁。
【請求項8】
請求項1に記載の制御弁であって、
前記ストッパ突部の少なくとも一部は、合成樹脂材によって成形され、
前記ストッパ突部の先端面を含めた先端部が前記合成樹脂材よりも硬度または強度の高い部材によって形成されていることを特徴とする制御弁。
【請求項9】
請求項4に記載の制御弁であって、
前記ストッパ突部のガイド部は、外周面の直径が前記2つの導入通路を隔てる仕切壁の中心軸の肉厚よりも大きく形成されていることを特徴とする制御弁。
【請求項10】
請求項1に記載された制御弁を用いた内燃機関のバルブタイミング制御装置であって、
クランクシャフトからの回転力が伝達されるハウジングと、
前記ハウジングの内部に前記ハウジングと相対可能に収容配置されて、カムシャフトに固定されるベーンロータと、
を備え、
前記制御弁のバルブボディは、外周に形成された雄ねじ部が前記カムシャフトの内部軸方向に形成された雌ねじ孔に螺着して、前記カムシャフトに固定されることを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
【請求項11】
径方向に一つの導入ポートと複数の作動ポートが形成された筒状のバルブボディと、
前記バルブボディの内周に摺動して軸方向へ移動可能に設けられ、移動位置に応じて前記作動ポートを開閉するスプール弁と、
前記スプール弁の径方向内側に配置され、内部軸方向に前記導入ポートに連通する導入通路を有する通路構成部と、
前記スプール弁の内部に通路構成部と軸方向の側部に形成されたバルブ収容凹部と、
前記バルブ収容凹部の内部に配置され、前記導入ポートから前記導入通路へのみ流体の流動を許容する逆止弁と、
を備え、
前記逆止弁は、
前記導入通路の開口部に形成されたバルブシートに離着座する有底円筒状の弁体と、
前記弁体をバルブシートに着座する方向に付勢するコイルばねと、
前記バルブ収容凹部に設けられて、前記弁体が軸方向から当接して該弁体の開弁方向の最大移動位置を規制するストッパ突部であって、前記コイルばねの内周縁をガイドするガイド部と、前記ガイド部の外周面に軸方向に沿って切り欠かれて、前記導入通路の開口部に向けて設けられた通路溝と、を有する前記ストッパ突部と、
を備えていることを特徴とする制御弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御弁及びこの制御弁を用いた内燃機関のバルブタイミング制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載された従来の制御弁としては、本出願人が先に出願した特許文献1に記載した内燃機関のバルブタイミング制御装置に適用したものが知られている。
【0003】
この制御弁は、径方向に複数のポートが貫通形成された筒状のバルブボディと、前記バルブボディの内部に配置されて、内部軸方向に仕切壁を介して作動油の導入通路と排出通路の2系統の通路を有するスリーブと、前記バルブボディの内周とスリーブの外周との間に配置され、内周面が前記スリーブの外周面を軸方向へ摺動可能に設けられて、前記内周面の前記スリーブの外周面に対する軸方向の移動位置に応じて前記2系統の通路と前記複数のポートのいずれかと連通させるかあるいは連通を遮断するスプール弁と、を有している。
【0004】
前記スリーブの軸方向の一端部には、バルブボディの軸方向の一端部に形成された導入ポートから前記導入通路へのみオイルの流入を許容する逆止弁が形成されている。この逆止弁は、スリーブの一端部内に有するバルブ収容凹部の内部に設けられたボール弁体と、該ボール弁体を閉弁方向(バルブシート方向)に付勢するチェックスプリングと、スリーブの一端部内に設けられて、前記チェックスプリングの内周をガイドしつつボール弁体の最大開弁位置を規制するストッパ突部と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6775032号の特許公報(
図4、
図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記逆止弁のストッパ突部は、外径が前記仕切壁の中央軸部の肉厚よりも同等あるいはそれよりも小さく形成されて、チェックスプリングの内径よりも十分に小さく設定されている。このため、ストッパ突部とチェックスプリングとの間に比較的大きな円筒状の隙間が形成されている。したがって、チェックスプリングが伸縮変形した際に、該チェックスプリングが径方向に撓み変形し易くなってボール弁体の開閉作動が不安的になるおそれがある。この結果、バルブタイミング制御装置の応答速度のバラツキが発生するおそれがある。
【0007】
そこで、ストッパ突部の外径を大きくして、チェックスプリングの内周縁を安定にガイドすることも考えられるが、このようにすると、前記導入通路の通路断面積が小さくなってしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、逆止弁のコイルばねによる弁体の開閉作動の安定化を図りつつ導入通路の通路断面積の減少化を抑制できる制御弁を提供することを一つの目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の好ましい態様によれば、とりわけ、バルブボディの内周に摺動して軸方向へ移動可能に設けられたスプール弁と、前記スプール弁の径方向内側に配置され、内部軸方向に前記導入ポートに連通する導入通路と外部に連通する排出通路の2系統の通路を有するスリーブと、前記スリーブの内部に形成されたバルブ収容凹部に配置され、バルブボディに有する導入ポートから前記導入通路へのみ流体の流動を許容する逆止弁と、を備え、
前記逆止弁は、バルブシートに離着座する有底円筒状の弁体と、前記弁体をバルブシートに着座する方向に付勢するコイルばねと、前記バルブ収容凹部に設けられて、前記弁体が軸方向から当接して該弁体の開弁方向の最大移動位置を規制するストッパ突部であって、前記コイルばねの内周縁をガイドするガイド部と、該ガイド部の外周面に軸方向に沿って切り欠かれて、前記バルブ収容凹部の底壁面に開口した前記導入通路の開口孔に向けて設けられた通路溝と、を有する前記ストッパ突部と、を有していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、逆止弁のコイルばねによる弁体の開閉作動の安定化を図りつつ導入通路の通路断面積の減少化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置の縦断面図である。
【
図2】本実施形態のバルブタイミング制御装置の油圧回路を示す全体概略図である。
【
図3】フロントカバーを外したバルブタイミング制御装置を示し、ベーンロータが最遅角側に相対回転した状態を示す正面図である。
【
図4】はフロントカバーを外したバルブタイミング制御装置を示し、ベーンロータが最進角側に相対回転した状態を示す正面図である。
【
図5】本実施形態に供される制御弁の制御弁の分解斜視図である。
【
図6】本実施形態に供される制御弁に縦断面図である。
【
図7】同制御弁に供されるスリーブの一部を断面して示す斜視図である。
【
図9】本実施形態の逆止弁の弁体がバルブシートに着座した閉弁状態を示す要部断面図である。
【
図10】同逆止弁の弁体がバルブシートから離間した開弁状態を示す要部断面図である。
【
図11】本発明の第2実施形態に供される制御弁の縦断面図である。
【
図12】本実施形態の制御弁の弁体が閉弁方向に移動した状態を示す要部断面図である。
【
図13】同弁体が開弁方向に移動した状態を示す要部断面図である。
【
図14】本発明の第3実施形態に供される制御弁の弁体が閉弁方向に移動した状態を示す縦断面図である。
【
図15】同制御弁の弁体が開弁方向に移動した状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る制御弁を内燃機関のバルブタイミング制御装置に適用した実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、内燃機関のバルブタイミング制御装置を吸気弁側に適用したものを示しているが、排気弁側に適用することも可能である。
【0013】
図1は本発明の第1実施形態に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置を断面して示す全体構成図、
図2は本実施形態のバルブタイミング制御装置の油圧回路を示す全体概略図、
図3はフロントカバーを外したバルブタイミング制御装置を示し、ベーンロータが最遅角側に相対回転した状態を示す正面図、
図4は同じくベーンロータが最進角側に相対回転した状態を示す正面図である。
【0014】
バルブタイミング制御装置は、
図1~
図4に示すように、機関のクランクシャフトにより図外のタイミングチェーンを介して回転駆動される駆動回転体であるタイミングスプロケット(以下、スプロケットという。)1と、該スプロケット1に対して相対回転可能に設けられた吸気側のカムシャフト2と、スプロケット1とカムシャフト2との間に配置されて、該両者1,2の相対回転位相を変更する位相変更機構3と、該位相変更機構3を最遅角側の相対回転位置でロックさせるロック機構4と、位相変更機構3とロック機構4を作動させる油圧回路5と、を備えている。なお、駆動回転体としては、タイミングベルトによって回転力が伝達されるタイミングプーリであっても良い。
【0015】
スプロケット1は、圧粉金属を焼結して成形されたいわゆる焼結金属材によって円環状に形成されて、外周にタイミングチェーンが巻回される歯車部1aが設けられている。また、スプロケット1は、後述するハウジング本体6aと一体に設けられている。
【0016】
カムシャフト2は、シリンダヘッド01上に複数のカム軸受02を介して回転自在に支持されている。このカムシャフト2は、外周面の回転軸方向の所定位置に図外の吸気弁をバルブスプリングのばね力に抗して開作動させる回転カムが気筒毎に設けられている。また、カムシャフト2の軸方向の一端部2aの内部軸心方向には、後述するバルブボディ27の雄ねじ部27fが螺着される雌ねじ孔2bが形成されている。
【0017】
位相変更機構3は、
図1~
図4に示すように、スプロケット1と一体に設けられ、内部に作動室を有するハウジング6と、ハウジング6内に相対回転可能に収容された従動回転体であるベーンロータ7と、ハウジング6の作動室内に形成された複数(本実施形態ではそれぞれ4つ)の第1油圧室である遅角作動室9及び第2油圧室である進角作動室10と、を備えている。
【0018】
ハウジング6は、スプロケット1と一体に形成されたハウジング本体6aと、ハウジング本体6aの軸方向の一端開口を閉塞するフロントカバー11と、ハウジング本体6aの軸方向の他端開口を閉塞するリアカバー12と、を有している。
【0019】
ハウジング本体6aは、ほぼ円筒状に形成されて、内周面に複数(本実施形態では4つ)のシュー8a~8dが突設されている。この各シュー8a~8dの内部軸方向には、複数(本実施形態では4つ)のボルト挿入孔8eがそれぞれ貫通形成されている。
【0020】
フロントカバー11は、例えば鉄系金属によって円盤状に形成されて、中央に比較的大径な挿入孔11aが貫通形成されている。フロントカバー11は、外周部の周方向のほぼ等間隔位置に、複数(本実施形態では4本)のボルト13が挿入される4つのボルト挿入孔(図示せず)が貫通形成されている。
【0021】
リアカバー12は、鉄系金属によって円盤状に形成され、中央にカムシャフト2の一端部2aが軸方向から摺動可能に挿入されるボルト挿入孔12aが貫通形成されている。リアカバー12は、外周部の周方向のほぼ等間隔位置にそれぞれボルト13の軸部先端に形成された雄ねじ部が螺着締結される4つの雌ねじ孔(図示せず)が貫通形成されている。
【0022】
ハウジング本体6a(スプロケット1)とフロントカバー11及びリアカバー12は、前記各ボルト挿入孔を挿入して先端部が雌ねじ孔に螺着する4本のボルト13によって回転軸方向から結合されている。
【0023】
ベーンロータ7は、ハウジング本体6aと同じく焼結金属材によって一体に形成されている。ベーンロータ7は、
図1~
図4に示すように、ロータ部14と、該ロータ部14の外周面に円周方向のほぼ90°等間隔位置に放射状に突設された複数(本実施形態では4つ)のベーン15a~15dと、を有している。
【0024】
ロータ部14は、比較的大径な円筒状に形成され、中央の内部軸方向にカムシャフト2の雌ねじ孔2bと連続するボルト挿入孔14aが貫通形成されている。また、ロータ部14は、回転軸方向の一端面(カムシャフト2側の後端面)に円形状の嵌合溝14bが形成されている。
【0025】
ボルト挿入孔14aは、
図1に示すように、バルブボディ27の軸部27cが挿入されるようになっていると共に、内周面に2つの第1、第2環状油路32、33が軸方向に並列に設けられている。また、このロータ部14は、バルブボディ27の締結トルクによってカムシャフト2の一端部2aに固定されている。
【0026】
フロントカバー11側の第1環状油路32は、後述する遅角通路孔17の径方向内側の一端開口と4つの遅角ポート34とを連通している。リアカバー12側の第2環状油路33(環状油路)は、後述する進角通路孔18の径方向内側の一端開口と4つの進角ポート35とを連通している。また、第2環状油路33は、ロータ部14の内部軸方向に形成された後述するロック解除油路24の径方向内側の一端開口と、一つのロックポート36に連通している。
【0027】
嵌合溝14bには、カムシャフト2の回転軸方向の一端部2aの先端部が回転軸方向の外側から嵌合するようになっている。
【0028】
各ベーン15a~15dは、その径方向の突出長さが比較的短く形成されて、それぞれが各シュー8a~8dの間に配置されている。第1ベーン15aは、他のベーン15b~15dに比較して周方向の幅が大きく形成されて内部にロック機構4の一部が設けられている。
【0029】
各ベーン15a~15dは、外周面にそれぞれ形成されたシール溝にハウジング本体6aの内周面との間をシールするシール部材16がそれぞれ設けられている。また、ハウジング本体6aの各シュー8a~8dの円弧状の各先端面8fは、該ロータ部14の外周面との間を摺接しながらメタルシールするようになっている。
【0030】
また、ベーンロータ7は、
図3に示すように、遅角側(反時計方向)へ相対回転すると、第1ベーン15aの一側面が対向する一つのシュー8aの対向側面8gに当接して、最大遅角側の回転位置が機械的に規制されるようになっている。また、ベーンロータ7は、
図4に示すように、進角側(時計方向)へ相対回転すると、同じく第1ベーン15aの他側面が対向する他のシュー8の対向側面8hに当接して、最大進角側の回転位置が機械的に規制されるようになっている。
【0031】
各ベーン15a~15dの正逆回転方向の両側面と各シュー8a~8dの両側面との間には、前述した各遅角作動室9と各進角作動室10が設けられている。各遅角作動室9と各進角作動室10は、ロータ部14の内部に第1、第2環状油路32,33からほぼ径方向外側に向かってそれぞれ4つの遅角通路孔17と進角通路孔18が形成されている。この各遅角通路孔17と各進角通路孔18は、後述するそれぞれ4つの作動ポートである遅角ポート34及び進角ポート35を介して油圧回路5にそれぞれに連通している。
【0032】
ロック機構4は、ハウジング6に対してベーンロータ7を最遅角側の回転位置(
図3に示す位置)に保持するものであって、
図1に示すように、リアカバー12の内側面の所定位置に形成されたロック穴19と、ベーンロータ7の第1ベーン15aの内部軸方向に形成されたピン収容孔20に進退動可能に設けられたロックピン21と、該ロックピン21をロック穴19方向へ付勢するコイルスプリング22と、供給された油圧によってロックピン21をコイルスプリング22のばね力に抗してロック穴19から後退移動させて挿入を解除するロック油圧室である解除用受圧室23と、該解除用受圧室23に油圧を供給するロック解除油路24と、から主として構成されている。
【0033】
解除用受圧室23は、ロックピン21の小径な先端部の外周面とピン収容孔20との間の筒状空間によって形成されている。
【0034】
ロックピン21は、コイルスプリング22のばね力によって先端部がロック穴19の内部に挿入してベーンロータ7をリアカバー12に対してロックする。ロックピン21は、段差部21aに解除用受圧室23内に供給された所定以上の油圧が流入すると、その油圧によって後退移動してロック穴19から抜け出してベーンロータ7に対するロックが解除されるようになっている。ロック解除油路24は、径方向内側の一端部が第1環状油路32に開口している一方、径方向外側の他端部が解除用受圧室23に開口している。
【0035】
油圧回路5は、
図1及び
図2に示すように、カムシャフト2の軸受ジャーナル部やカムシャフト2の内部軸方向に形成された供給通路25bと、該供給通路25bの下流側に設けられて、吐出通路25aから供給通路25bに作動油圧を吐出するオイルポンプ25と、ロータ部14の内部軸方向に設けられて、機関運転状態に応じて各遅角通路孔17と各進角通路孔18の流路を切り換える制御弁26と、該制御弁26の流路の切り換えによって、各遅角作動室9と進角作動室10のいずれか一方の作動油をオイルパン64に排出するドレン通路43と、を備えている。
【0036】
供給通路25bは、上流部がオイルポンプ25の吐出通路25aと連通している一方、下流側がカムシャフト2の雌ねじ孔2bの先端部に形成された油室2cに連通している。
【0037】
オイルポンプ25は、一般的な例えばベーンタイプあるいはトロコイドタイプのものが用いられている。
【0038】
図5は本実施形態に供される制御弁の分解斜視図、
図6は制御弁の縦断面図である。
【0039】
制御弁26は、
図1及び
図2、
図5、
図6に示すように、ベーンロータ7をカムシャフト2の一端部2aに軸方向から固定するカムボルトであるバルブボディ27と、該バルブボディ27の内部軸方向に貫通形成されたバルブ孔27a内に収容配置されたスリーブ28と、該スリーブ28の外周面とバルブ孔27aの内周面との間に配置されたスプール弁29と、該スプール弁29を
図1及び
図6の左方向へ付勢するバルブスプリング30と、スプール弁29をバルブスプリング30のばね力に抗して他方向へ押し出す電磁アクチュエータ31と、から主として構成されている。
【0040】
バルブボディ27は、例えば鉄系金属材によって内部中空状の円筒状に形成されており、内部軸方向に貫通形成された前記バルブ孔27aと、外周面が六角面に形成された頭部27bと、ロータ部14のボルト挿入孔14aに挿通する軸部27cと、を有している。
【0041】
バルブ孔27aは、軸部27cの軸方向のカムシャフト2側の一端部内に、カムシャフト2の油室2cに連通する導入ポート27hが形成されている。
【0042】
頭部27bは、軸部27cの付け根部にフランジ部27dを有し、バルブボディ27がカムシャフト2に締結された状態では、フランジ部27dがフロントカバー11の挿入孔11a内に配置されている。また、フランジ部27dは、カムシャフト2への締結時に着座面がロータ部14のボルト挿入孔14aの一端孔縁側の周面に着座している。
【0043】
軸部27cは、頭部27b側の基端部27eから先端部(雄ねじ部27f)までの軸方向の全体の外径がほぼ均一に形成されていると共に、先端部の外周面にカムシャフト2の雌ねじ孔2bに螺着する雄ねじ部27fが形成されている。また、雄ねじ部27fの先端には小径な円筒部27gが形成されている。
【0044】
軸部27cは、基端部27eの軸方向のほぼ頭部27b寄りの位置に遅角ポート34が周壁の十字径方向へ4つ貫通形成され、雄ねじ部27f側に進角ポート35が周壁の十字径方向へ4つ貫通形成されている。また、2つの進角ポート35、35の周方向の間には、第2環状油路33に臨む一つのロックポート36が径方向に貫通形成されている。
【0045】
円筒部27gは、基端部27eや雄ねじ部27fよりも薄肉に形成されて、内径がバルブ孔27aの内径とほぼ同じ大きさに形成されていると共に、内側に後述するバルブシート46や濾過フィルタ49などが収容配置されている。
【0046】
各遅角ポート34と各進角ポート35は、
図1及び
図6に示すように、それぞれの内側開口がバルブ孔27aに臨み、外側開口が各遅角通路孔17と各進角通路孔18にそれぞれ第1、第2環状油路32,33を介して径方向から連通している。
【0047】
なお、ロックポート36は、内側開口がバルブ孔27aに臨み、外側開口がロック解除油路24に径方向から連通している。
【0048】
図7は本実施形態の制御弁に供されるスリーブの一部を断面して示す斜視図、
図8は
図7のA矢視図である。
【0049】
スリーブ28は、例えば、合成樹脂材によって一体に形成され、
図5~
図8に示すように、円柱状のスリーブ本体28aと、該スリーブ本体28aの軸方向の一端部に一体に有するフランジ部28bと、を有している。
【0050】
スリーブ本体28aは、内部に一体に設けられた仕切壁37によって導入通路である一対の第1油通路38と排出通路である一対の第2油通路39とが仕切られている。つまり、スリーブ本体28aの中実な内部を軸方向に沿って切り欠いて各一対の第1、第2油通路38,39が軸方向に沿って形成されている。
【0051】
仕切壁37は、軸直角方向の断面が十字形状に形成されて、中心軸部37aを中心として円周方向の90度の位置に配置された薄板な4つの仕切片によって構成されている。
【0052】
第1油通路38と第2油通路39は、それぞれ十字状の仕切壁37を介してスリーブ本体28aの軸方向に沿って並行に形成されていると共に、仕切壁37の各仕切片を介して互いに径方向の対称位置、つまり180°の対称位置に2つずつ形成されている。また、第1油通路38、38と第2油通路39、39は、仕切壁37によってそれぞれが横断面扇状に形成されている。
【0053】
スリーブ本体28aの前記フランジ部28bと軸方向で反対側の位置には、各第1油通路38、38の軸方向端部を閉塞する扇状の第1端壁28d、28dが一体に設けられている。また、前記フランジ部28b側の位置には、各第2油通路39、39の軸方向端部を閉塞する正面から視て扇状の第2端壁28e、28eが一体に設けられている。
【0054】
各第1油通路38、38は、後述するバルブ収容凹部40に開口形成されて導入ポート27hと連通する第1開口孔38a、38aが形成されていると共に、スリーブ本体28aの各第1端壁28d、28d付近に矩形状の第2開口孔38b、38bが径方向に貫通形成されている。第2開口孔38b、38bは、スプール弁29の後述する連通孔29eを介して各遅角ポート34あるいは各進角ポート35及びロックポート36に適宜連通するようになっている。
【0055】
各第2油通路39、39は、後述する排出用孔50cを介して外部に連通する第1開口孔39a、39aを有していると共に、スリーブ本体28aの各第2端壁28e、28e付近に矩形状の第2開口孔39b、39bが径方向に貫通形成されている。この第2開口孔39b、39bは、スプール弁29の後述する他の連通孔29eを介して各遅角ポート34あるいは各進角ポート35及びロックポート36に適宜連通するようになっている。また、第2油通路39の第1開口孔39aは、後述する筒状部材50の各排出用孔50cを介してドレン通路43に連通している。
【0056】
スリーブ本体28aのフランジ部28b側の内部には、バルブ収容凹部40が形成されている。このバルブ収容凹部40は、ほぼ円柱状に形成されて、内部には後述する逆止弁44が設けられている。
【0057】
各遅角ポート34は、スプール弁29がバルブスプリング30のばね力で
図1、
図6に示す最大左方向の移動位置に保持されている状態では、スプール弁29のいずれかの各連通孔29eと後述する筒状部材50の各排出用孔50cを介してドレン通路43に連通している。
【0058】
フランジ部28bは、
図1及び
図6に示すように、円筒部27gの内部に配置されて、スプール弁29側の内端面にバルブスプリング30の一端部を軸方向から弾持している一方、外端面がバルブシート46の外周部の一端面に前記バルブスプリング30のばね力で弾接している。またフランジ部28bは、外周面と円筒部27gの内周面との間に僅かなクリアランスが形成されている。したがって、スリーブ28は、フランジ部28bを介してバルブシート46に軸方向から押付けられているが、わずかながらも軸方向へ移動可能になっている。
【0059】
円筒部27gの内部に収容された第2ストッパリング65は、
図5及び
図6に示すように、金属材でCリング状に形成されており、円筒部27gの内周に形成された環状溝に嵌着固定されている。
【0060】
バルブシート46は、円筒部27g内に収容されているが、逆止弁44の一部であるから後述する。
【0061】
バルブ収容凹部40内には、逆止弁44が収容配置されている。この逆止弁44は、
図1及び
図5、
図6に示すように、弁体45と、該弁体45が離着座するバルブシート46と、弁体45をバルブシート46方向へ付勢するコイルばねであるチェックスプリング47と、弁体45の開弁方向の最大移動位置を規制するストッパ突部48と、を有している。
【0062】
弁体45は、プレート状の金属材を縦断面U字形のカップ状に加工成形されて、球面状の先端部45aがバルブシート46の通路孔46aの孔縁に離着座して通路孔46aを開閉するようになっている。弁体45は、先端部45aの外周縁から軸方向に延びて円筒状に形成された周壁部45bの外径がバルブ収容凹部40の内周面の内径よりも僅かに小さく形成されて、周壁部45bの外周面とバルブ収容凹部40の内周面の間に摺動可能な微小隙間が形成されている。また、周壁部45bには、周方向の等間隔位置に軸方向に沿った4つの切欠部45cが形成されている。周壁部45bは、各切欠部45cによって径方向へ撓み変形可能になることから、弁体45のバルブ収容凹部40内での良好な摺動性が確保される。
【0063】
また、周壁部45bは、弁体45が開弁方向へ最大に移動した際に、軸方向の端縁とバルブ収容凹部40の底壁面40aとの間に隙間が形成されるようになっている。
【0064】
バルブシート46は、金属材によって円板状に形成されて、弁体45の方向へ膨出変形した中央部に通路孔46aが貫通形成されている。バルブシート46の外周部46bは、円筒部27gの内周側に軸方向から挿入配置されている。
【0065】
チェックスプリング47は、軸方向の一端部47aがバルブ収容凹部40の仕切壁37側の底壁面40aに弾接している一方、他端部47bが弁体45の先端部45aの内底面45dに弾接して、弁体45を通路孔46aの孔縁部(着座面)に着座する方向(閉弁方向)へ付勢している。そのばね力は、導入ポート27hから通路孔46aを介して弁体45に作用する所定の作動油圧によって圧縮変形して弁体45を後退移動させて通路孔46aを開く程度の大きさに設定されている。
【0066】
ストッパ突部48は、
図7及び
図8にも示すように、棒軸状に形成されて、仕切壁37の中心軸部37aのバルブ収容凹部40側の端縁から弁体45の先端部45aの背面方向に向かって突出している。このストッパ突部48は、ガイド部である外周面48aの外径Dがチェックスプリング47の内径よりも僅かに小さく形成されて、外周面48aでチェックスプリング47の内周縁47cをガイドするようになっている。また、ストッパ突部48は、外周面48aの前記一対の第1油通路38,38に対応した位置に一対の通路溝48b、48bが軸方向に沿って切り欠き形成されている。
【0067】
この各通路溝48b、48bは、前記各第1油通路38,38のバルブ収容凹部40の底部に開口したそれぞれの第1開口孔38a、38aの内周面に沿って円弧状に切り欠かれている。したがって、この各通路溝48b、48bと各第1油通路38,38とは各第1開口孔38a、38aを介して連続した形になっている。
【0068】
なお、ストッパ突部48の先端面48cは、平面状に形成されて、開弁時における弁体45の先端部45aの内底面45dとの間には弁体45の開方向への移動可能な隙間が形成されている。
【0069】
また、バルブシート46と第2ストッパリング65との間には、濾過フィルタ49の外周部が挟圧状態で固定されている。この濾過フィルタ49は、中央部のフィルタ部49aを通過する作動油内の塵等を捕集するようになっている。
【0070】
スプール弁29は、
図1及び
図5、
図6に示すように、ほぼ円筒状に形成されて、バルブボディ27の基端部27eの内周面とスリーブ本体28aの外周面との間を軸方向へ摺動可能に設けられている。スプール弁29は、軸方向の両端部の間に所定間隔で4つの第1ランド部29a~第4ランド部29dが設けられている。またこの各ランド部29a~29dのそれぞれの間には、遅角ポート34と第1油通路38、並びに進角ポート35やロックポート36と第2油通路39を適宜連通させる複数の連通孔29eが径方向に貫通形成されている。
【0071】
各連通孔29eは、スプール弁29の周壁を径方向からほぼクロス状に貫通して形成されている。また、この各連通孔29eが位置するスプール弁29の外周面には、3つの第1~第3グルーブ溝29f~29hが形成されている。この第1~第3グルーブ溝29f~29hは、各連通孔29eの外側開口に臨んで形成されている。
【0072】
バルブスプリング30は、軸方向の長さが比較的短く形成され、軸方向の一端部が前述したように、内周凸部51の一端面51aに弾接している。一方、軸方向の他端部は、スプール弁29の第3ランド部29c側の軸方向の一端面に弾接して、スプール弁29を電磁アクチュエータ31方向へ付勢している。
【0073】
スプール弁29の第4ランド部29d側の軸方向端面には、
図1中、電磁アクチュエータ31から右方向への押圧力を受けてこれをスプール弁29に伝達する筒状部材50が設けられている。
【0074】
この筒状部材50は、
図5及び
図6に示すように、外径が軸方向で大小径状に形成されており、スプール弁29側の大径筒部50aと、電磁アクチュエータ31側の小径筒部50bと、を有している。大径筒部50aは、軸方向の一端部がスプール弁29の軸方向端面に軸方向から当接し、他端縁がバルブ孔27aに固定された第1ストッパリング52に軸方向から弾接している。これによって、スプール弁29は、筒状部材50によって
図1及び
図6中、最大左方向の移動が規制されている。小径筒部50bは、有底状に形成されて、先端壁50dに電磁アクチュエータ31のプッシュロッド61が軸方向から当接している。また、小径筒部50bは、先端部の周壁に第2油通路39内を通った作動油を外部に排出する複数の排出用孔50cが径方向に沿って貫通形成されている。この各排出用孔50cは、小径筒部50bの円周方向の90°位置に等間隔で4つ設けられている。
【0075】
第1ストッパリング52は、Cリング状に形成されて外周部52aが頭部27bの内周面に形成された嵌着溝に拡径方向の弾性力によって嵌着固定されている。
【0076】
電磁アクチュエータ31は、
図1に示すように、合成樹脂材のケーシング53と、該ケーシング53の内部に磁性材のボビン54を介して収容された環状のコイル55と、該コイル55の外周を取り囲むように配置された磁性材の筒状部材56と、ボビン54の内周側に配置固定された磁性材の一対の第1、第2固定鉄心57、58と、を備えている。
【0077】
また、電磁アクチュエータ31は、両固定鉄心57、58の内周面に当接配置された非磁性材のスリーブ59と、該スリーブ59の内部に軸方向へ摺動可能に有する円柱状の可動鉄心60と、該可動鉄心60の先端部に取り付けられたプッシュロッド61と、前側の第1固定鉄心57の前端側に固定された磁性材である保持プレート62と、を備えている。
【0078】
ケーシング53は、筒状部53aと、該筒状部53aの後端部に一体に有し、コントロールユニットであるECU63に電気的に接続されるコネクタ部53bと、を備えている。
【0079】
筒状部53aは、有底の薄肉円筒状に形成されて、前端が開口形成されていると共に、内周面に筒状部材56が固定されている。
【0080】
コネクタ部53bは、ほぼ全体がケーシング53内に埋設された一対の端子片の各一端部がコイル55に接続されている。一方、外部に露出した各他端部53eが、ECU63側の雄コネクタの端子に接続されている。
【0081】
プッシュロッド61は、円柱軸状に形成されて、軸方向の先端部にインサート成型された鋼球状の押圧部が筒状部材50の小径筒部50bの先端壁50dに軸方向から当接するようになっている。また、このプッシュロッド61は、後端部から先端部の内部軸心方向に図外の空気抜き孔が貫通形成されている。
【0082】
保持プレート62は、円盤状に形成されて、内周部に可動鉄心60方向へ凹んだ円環凹部を有し、この円環凹部の中央には、プッシュロッド61の先端部が摺動可能に挿入される挿入孔が貫通形成されている。
【0083】
コイル55は、ECU63からの通電により励磁され、この励磁によって可動鉄心60とプッシュロッド61を、
図1の右方向へ移動させる。これによって、プッシュロッド61は、スプール弁29をバルブスプリング30のばね力に抗して右方向へ移動させるようになっている。
【0084】
なお、スプール弁29は、コイル55への非通電時にはバルブスプリング30のばね力で
図1及び
図6に示す最大左方向位置(第1移動位置)に移動制御される。
【0085】
また、スプール弁29は、コイル55への通電中における通電量に応じて、
図1中、右方向の中間移動位置(第2移動位置、保持位置)と最大右方向位置(第3移動位置)に移動制御される。
【0086】
ECU63は、内部のコンピュータが図外のクランク角センサ(機関回転数検出)やエアーフローメータ、機関水温センサ、機関温度センサ、スロットルバルブ開度センサおよびカムシャフト2の現在の回転位相を検出するカム角センサなどの各種センサ類からの情報信号を入力して現在の機関運転状態を検出している。
【0087】
また、ECU63は、前述のように、電磁アクチュエータ31のコイル55への通電を遮断してスプール弁29をバルブスプリング30のばね力によって最大左方向の移動位置に制御する。あるいは、コイル55へパルス信号を出力して通電量(デューティ比)を制御して、最大右方向の移動位置となるように連続的に可変制御するようになっている。
〔本実施形態のバルブタイミング制御装置の作用効果〕
以下、本実施形態に供されるバルブタイミング制御装置の作用を説明する。
図9は本実施形態の逆止弁の弁体がバルブシートに着座した閉弁状態を示す要部断面図、
図10は同逆止弁の弁体がバルブシートから離間した開弁状態を示す要部断面図である。
【0088】
機関停止状態になると、オイルポンプ25も停止されて吐出通路25aから作動油が供給されないと共に、ECU63からコイル55への通電もなく非通電状態となる。
【0089】
したがって、スプール弁29は、
図6に示すように、バルブスプリング30のばね力で最大左方向の第1移動位置に保持されている。このとき、逆止弁44は、
図9に示すように、弁体45がチェックスプリング47のばね力によってバルブシート46に着座して通路孔46aを閉じている。
【0090】
次に、機関が始動されると、オイルポンプ25も駆動して吐出通路25aから作動油を圧送する。この始動初期の作動油圧が、油室2dから導入ポート27h及び通路孔46aを介して弁体45の先端部45aに作用する。このため、弁体45は、
図10に示すように、チェックスプリング47のばね力に抗して左方向へ後退移動して、バルブシート46から離間しつつ通路孔46aを開くと共に、先端部45aの内底面45dがストッパ突部48の先端面48cに当接して最大左方向へ移動位置が規制される。つまり、弁体45が、通路孔46aを最大に開いた状態になる。
【0091】
このため、吐出通路25aから供給通路25b内に流入した作動油は、濾過フィルタ49を通って各第1油通路38に流入する。さらに、ここから第2開口孔38bとスプール弁29の第1グルーブ溝29fと連通孔29e、第1環状油路32を通って各遅角ポート34に流入し、各遅角通路孔17から各遅角作動室9内に供給される。
【0092】
同時に、スプール弁29は、各進角ポート35と第2グルーブ溝29gを連通させている。このため、各進角作動室10の作動油は、各進角通路孔18と第2環状油路33、各進角ポート35を通って第2開口孔39bから第2油通路39に流入する。さらに、ここから筒状部材50内を通って各排出用孔50cからドレン通路43を介してオイルパン64内に排出される。
【0093】
したがって、ベーンロータ7は、
図3に示す最遅角の相対回転位置に維持されていることから、吸気弁のバルブタイミングが遅角側に制御された状態になる。これによって、機関の始動性が良好になる。
【0094】
また、この時点では、ロック解除油路24が、第2環状油路33と第2開口孔39bを介して第2油通路39に連通した状態になっている。このため、先端部がロック穴19内に挿入したロックピン21によって、ベーンロータ7がロックされた状態となる。したがって、カムシャフト2に発生する交番トルクによるベーンロータ7のばたつきなどを抑制できる。
【0095】
次に、機関運転状態の変化に伴って、ECU63からコイル55への通電量が大きくなると、スプール弁29は、例えば最大右方向の位置まで移動する。この状態では、スプール弁29は、遅角ポート34を開いて、該遅角ポート34が第1グルーブ溝29fと連通孔29eを介して第2油通路39とを連通させる。
【0096】
このため、各遅角作動室9内の作動油は、各遅角通路孔17から各遅角ポート34を通って第1グルーブ溝29fと連通孔29eを通って筒状部材50の内部に流入する。ここに流入した作動油は、さらに筒状部材50の各排出用孔50cを通ってドレン通路43からオイルパン64内へ速やかに排出される。同時に、スプール弁29は、第2グルーブ溝29gと連通孔29eを介して第1油通路38と各進角ポート35とを連通させる。
【0097】
したがって、オイルポンプ25から圧送された作動油は、供給通路25bの油圧によって予め押し開かれた逆止弁44を介して各第1油通路38に流入する。この作動油は、スプール弁29の第2グルーブ溝29gと各連通孔29eから各進角ポート35及び第2環状油路33を通って各進角通路孔18に流入し、ここから各進角作動室10に供給される。これにより、各遅角作動室9の内圧が低下すると共に、各進角作動室10の内圧が上昇する。
【0098】
また、第1油通路38に供給された作動油は、ロックポート36から第2環状油路33を介してロック解除油路24に流入し、ここから解除用受圧室23に供給されて、解除用受圧室23内の油圧が高くなる。これにより、ロックピン21が、コイルスプリングのばね力に抗して後退移動してロック穴19とのロック状態が解除される。これによって、ベーンロータ7は、回転規制が解除されてフリーな状態になって相対回転可能な状態になる。
【0099】
したがって、ベーンロータ7は、各進角作動室10の油圧の上昇に伴って
図3に示す位置から、時計方向へ回転して
図4に示す最大進角側へ相対回転する。これによって、吸気弁は、開閉タイミングが最進角位相特性になって排気弁とのバルブオーバーラップが大きくなり、吸気充填効率が高くなって機関の出力トルクの向上が図れる。
【0100】
そして、本実施形態によれば、ストッパ突部48は、ガイド部である外周面48aによってチェックスプリング47の内周縁47cをガイドするようになっていることから、特に、圧縮変形時におけるチェックスプリング47の径方向への撓み変形による倒れなどを抑制することが可能になる。このため、弁体45の開閉作動の安定化を図ることができる。
【0101】
また、ストッパ突部48の外周面48aには、一対の通路溝48b、48bが切欠形成されていることから、バルブ収容凹部40内での各通路溝48b、48から各第1油通路38,38の第1開口孔38a、38aまでの通路断面積を大きく取ることができる。これによって、通路孔46aを通って弁体45の周壁部45bの各切欠部45cから各第1油通路38,38の各第1開口部38a、38aに流入する作動油の過度な流動抵抗が抑制されてスムーズな流動が得られる。これにより、各遅角作動室9や各進角作動室10への作動油の供給性が良好になり、この結果、バルブタイミングの制御応答性が向上する。
【0102】
しかも、ストッパ突部48は、第2油通路39と軸方向でオーバーラップする位置に形成されていることから、外周面48aの外径Dを前記第1油通路38と第2油通路39との間を仕切る仕切壁37の中心軸部37aの肉厚よりも大きくすることができる。このため、外周面48aの外径Dをチェックスプリング47の内径に合わせることができるので、圧縮変形時におけるコイルばねの径方向の倒れを抑制して安定した姿勢を保持することが可能になる。
【0103】
また、このように、ストッパ突部48の外周面48aの外径Dを大きく形成したとしても、この外周面48aに各通路溝48b、48bが形成されていることから、作動油の流動抵抗とはならず、該作動油を各第1油通路38,38方向へ速やかに流入させることができる。
【0104】
また、ストッパ突部48の外周面48aの外径Dを大きく取ることによって、これに合わせてチェックスプリング47のコイル径も大きくすることができることから、該チェックスプリング47を小径化した場合に比較して圧縮変形時の径方向への撓み変形(倒れ変形)の発生を抑制できる。
【0105】
また、弁体45が開弁方向へ後退移動した際における移動規制方法の一つとしては、例えば、弁体45の周壁部45bの後端縁をバルブ収容凹部40の底壁となる第2端壁28e、28eの端面に当接させて移動規制を行うことも可能であるが、このようにすると、前記周壁部45bの各第2端壁28e、28eの端面に対する当接位置が径方向で大きくなることから、弁体45がバルブ収容凹部40内で傾いてしまうおそれがある。そこで、本実施形態のように、弁体45の先端部45aの内底面45dをストッパ突部48の先端面48cに当接させて移動位置を規制することから、弁体45の異常な傾きを抑制できる。
【0106】
さらに、本実施形態では、スリーブ28の内部に有する2つの第1油通路38,38を対称位置に配置すると共に、ストッパ突部48の外周面48aにも第1油通路38,38の第1開口孔38a、38aに対応して2つの通路溝48b、48bを設けたことから、全体の重量バランスが図れる。
【0107】
さらに本実施形態によれば、バルブボディ27の軸部27cに有する円筒部27gには、外周に雄ねじ部が形成されておらず、雌ねじ孔2bとの締結トルクが掛かることがない。したがって、円筒部27gの内側に配置されたバルブシート46や濾過フィルタ49などの各部材には、バルブボディ27の締結トルクの影響を受けることがないので、これらの無用な変形などの発生を抑制できる。
【0108】
なお、ストッパ突部48は、先端面48c側の先端部を合成樹脂材よりも硬度あるいは強度が高い例えば金属材によって形成することも可能であり、このようにすれば、長期にわたる使用でもストッパ突部48の先端部の摩耗の発生を十分に抑制できる。
【0109】
[第2実施形態]
図11~
図13は本発明の第2実施形態を示し、
図11は本実施形態の制御弁の縦断面図、
図12は本実施形態の逆止弁の弁体がバルブシートに着座した閉弁状態を示す要部断面図、
図13は同逆止弁の弁体がバルブシートから離間した開弁状態を示す要部断面図である。
【0110】
この第2実施形態の制御弁は、
図11~
図12に示すように、ストッパ突部48や、このストッパ突部48の外周面48aに形成された2つの通路溝48b、48b及びチェックスプリング47などの構造は第1実施形態のものと同じであるが、逆止弁44の弁体45自体の構造を変更したものである。
【0111】
すなわち、弁体45は、有底円筒状の縦断面ほぼカップ状に形成され、平坦状の先端部45aと、該先端部45aの外周縁から軸方向に沿って延びる円筒状の周壁部45bと、を有している。
【0112】
先端部45aは、内底面45dがストッパ突部48の先端面48cと同じく平面状に形成されていると共に、円弧状に折曲された外周縁45eがバルブシート46の通路孔46aの孔縁部に離着座するようになっている。
【0113】
周壁部45bは、
図12に示すように、内径D1がチェックスプリング47の外径よりも僅かに大きく形成されて、このチェックスプリング47の外周縁によって摺動可能にガイドされている。周壁部45bは、外径がスリーブ本体28aの内径よりも十分に小さく形成されて、周壁部45bの外周面とスリーブ本体28aの内周面との間に円筒状の通路部66が形成されている。この通路部66は、バルブ収容凹部40内においてバルブシート46の通路孔46aと各第1油通路38,38との連通する連通路として機能し、大きな通路断面積が確保されている。また、周壁部45bには、第1実施形態と同じく周方向の等間隔位置に軸方向に沿った4つの切欠部45cが形成されている。
【0114】
この第2実施形態の制御弁26の作用を簡単に説明すれば、第1実施形態と同じく、導入ポート27hから通路孔46aを介して弁体45の先端部45aに作動油圧が作用しない場合は、
図11及び
図12に示すように、弁体45の先端部45aがチェックスプリング47のばね力によってバルブシート46の通路孔46aの孔縁部にある着座面に着座して通路孔46aを閉止している。
【0115】
一方、導入ポート27hから弁体45の先端部45aに作動油圧が作用した場合は、
図13に示すように、弁体45がチェックスプリング47のばね力に抗して後退移動してバルブシート46から離間して通路孔46aを開く。これにより、作動油は、円筒状の通路部66から各第1油通路38、38内へ直接流入すると共に、各切欠部45cから各通路溝48b、48bを介して各第1油通路38,38内に流入する。これによって、前述したようなバルブタイミングの制御に供される。
【0116】
そして、本実施形態によれば、前記弁体45が開弁方向あるいは閉弁方向へ移動した際には、周壁部45bの内周面がチェックスプリング47の外周縁によってガイドされることから、弁体45の開閉方向の直線移動の安定化が図れる。
【0117】
また、ストッパ突部48の先端面48cと弁体45の内底面45dが互いに平面状に形成されていることから、当接面積が大きくなって面圧を低く抑えることができる。この結果、ストッパ突部48の先端面48cと弁体45の内底面45dとの間の摩耗の発生を抑制でき、耐久性の向上が図れる。
【0118】
第2実施形態の制御弁26の他の構造は、第1実施形態と同じであるから同じ作用効果が得られる。
[第3実施形態]
図14及び
図15は第3実施形態を示し、制御弁26の構造の一部が第1、第2実施形態のものとは異なっている。
【0119】
すなわち、制御弁26は、
図14及び
図15に示すように、ボルト型のバルブボディ67と、該バルブボディ67の内部に有するバルブ孔67a内に軸方向へ摺動可能に配置されたスプール弁68と、該スプール弁68の軸方向の一端部内に配置固定された通路構成部69と、スプール弁68の軸方向の他端部内に有するバルブ収容凹部70の内部に設けられた逆止弁71と、を備えている。
【0120】
バルブボディ67は、鉄系金属材によって一体に形成され、軸方向の一端部に有する六角形の頭部67bと、該頭部67bに一体に設けられた軸部67cと、を有している。軸部67cは、頭部67b側の軸方向の一端部に作動油を導入する導入ポート67dが径方向に貫通形成されていると共に、該導入ポート67dよりも軸方向の他端部に作動ポートである遅角ポート67eと進角ポート67f及びロックポート67gが径方向に貫通形成されている。
【0121】
スプール弁68は、外周に4つのランド部68a~68dが形成されていると共に、第1、第2ランド部68a、68bの間にバルブボディ67の導入ポート67dに対応した供給ポート68eが径方向に貫通形成されている。また、バルブボディ67の導入ポート67dや遅角ポート67e、進角ポート67fに対応した位置に第1~第3グルーブ溝68f~68hが形成されていると共に、第3グルーブ溝68hに対応した位置に連通ポート68iが径方向に貫通形成されている。
【0122】
通路構成部69は、ほぼ円柱状に形成されて、内部の径方向には供給ポート68eに連通する第1連通孔69aが4つ形成され、内部軸方向には第1連通孔69aに連通する第2連通孔69bが形成されている。また、この第2連通孔69bのバルブ収容凹部70側の開口縁には、バルブシート69cが形成されている。なお、第1連通孔69aと第2連通孔69bによって導入通路が構成されている。
【0123】
逆止弁71は、前記バルブシート69cに軸方向から離着座する弁体72と、該弁体72を閉弁方向(図中左方向)へ付勢するコイルばねであるチェックスプリング73と、該チェックスプリング73の軸方向の一端部を支持するスプリングリテーナ74と、該スプリングリテーナ74の通路構成部69側の一端面から軸方向に突設されたストッパ突部75と、を有している。
【0124】
前記弁体72は、第2実施形態のものとほぼ同じ構造であって、有底円筒状の縦断面ほぼカップ状に形成され、平坦状の先端部72aと、該先端部72aの外周縁から軸方向に沿って延びる円筒状の周壁部72bと、を有している。先端部72aは、内底面72cが平面状に形成されていると共に、円弧状に折曲された外周縁がバルブシート69cの第2連通孔69bの開口縁に離着座するようになっている。
【0125】
また、周壁部72bは、内径がチェックスプリング73の外径よりも僅かに大きく形成されて、該チェックスプリング73の外周縁によって摺動可能にガイドされている。また、周壁部72bは、外径がスプール弁68の内径よりも十分に小さく形成されて、周壁部72bの外周面とスプール弁68の内周面との間に円筒状の通路部76が形成されている。この通路部76は、バルブ収容凹部70内において第2連通孔69bとスプール弁68の連通ポート68iに連通するようになっている。また、周壁部72bには、図示しないが、周方向の等間隔位置に軸方向に沿った4つの切欠部が形成されている。
【0126】
スプリングリテーナ74は、ほぼ円柱状に形成されて外周面がスプール弁68の内周面に圧入固定されている。
【0127】
ストッパ突部75は、基本構造が第2実施形態のものとほぼ同じであって、ガイド部である外周面75aの外径がチェックスプリング73の内周縁の内径よりも僅かに大きく形成されて、この外周面75aでチェックスプリング73の伸縮変形をガイドするようになっている。また、ストッパ突部75の外周面75aには、一対の通路溝75bが軸方向に沿って形成されている。この各通路溝75bは、第1、第2実施形態のものと同じく横断面形状がほぼ円弧状に切り欠かれており、第2連通孔69bから弁体72を介して通路部76やバルブ収容凹部70内に流入した作動油を連通ポート68iの方向へ案内するようになっている。
【0128】
弁体72は、第2連通孔69bに作動油圧が作用しない場合は、
図14に示すように、チェックスプリング73のばね力でバルブシート69cに着座して第2連通孔69bの開口端を閉止している。一方、導入ポート67dや供給ポート68e、第1連通孔69aを通って第2連通孔69bに流入した作動油圧が弁体72の先端部72aに作用すると、
図15に示すように、弁体72がチェックスプリング73のばね力に抗して開弁方向へ後退移動して、弁体72の先端部72aの内底面72cがストッパ突部75の先端部75cに当接することにより開弁方向の最大移動位置が規制される。
【0129】
そして、本実施形態によれば、前記弁体72が開弁、閉弁方向へ移動した際には、周壁部72bの内周面がチェックスプリング73の外周縁によってガイドされることから、弁体72の開閉方向の直線移動の安定化が図れる。
【0130】
また、第2実施形態と同じく、ストッパ突部75の先端部75cの先端面と弁体72の内底面72cが互いに平面状に形成されていることから、当接面積が大きくなって面圧を低く抑えることができる。この結果、ストッパ突部75の先端部75cと弁体72の内底面72cとの間の摩耗の発生を抑制でき、耐久性の向上が図れる。
【0131】
本実施形態のストッパ突部75や通路溝75bなどの構成は、第2実施形態と同じあるから、第2実施形態と同じ作用効果が得られる。
【0132】
本発明は、前記各実施形態の構成に限定されるものではなく、制御弁を、他の装置や機器類に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0133】
1…タイミングスプロケット(駆動回転体)、2…カムシャフト、2a…一端部、2b…雌ねじ孔、3…位相変更機構、5…油圧回路、6…ハウジング、6a…ハウジング本体、7…ベーンロータ、8a~8d…シュー、9…遅角作動室、10…進角油圧室、14…ロータ部、15a~15d…ベーン、17…遅角通路孔、18…進角通路孔、26…制御弁、27…バルブボディ、27a…バルブ孔、27b…頭部、27c…軸部、27d…フランジ部、27f…雄ねじ部、27g…円筒部、27f…雄ねじ部、27h…導入ポート、28…スリーブ、28a…スリーブ本体、28b…フランジ部、29…スプール弁、30…バルブスプリング(付勢部材)、34…遅角ポート(作動ポート)、35…進角ポート(作動ポート)、38…第1油通路(導入通路)、38a…第1開口孔、39…第2油通路(排出通路)39a…第2開口孔、44…逆止弁、45…弁体、45a…先端部、45b…周壁部、45c…切欠部、45d…内底面、46…バルブシート、46a…通路孔、47…チェックスプリング(コイルばね)、48…ストッパ突部、48a…外周面、48b…通路溝、66…通路部、67…バルブボディ、68…スプール弁、69…通路構成部、69a…第1連通孔(導入通路)、69b…第2連通孔(導入通路)、70…バルブ収容凹部、71…逆止弁、72…弁体、72a…先端部、72b…周壁部、73…チェックスプリング(コイルばね)、74…スプリングリテーナ、75…ストッパ突部、75a…外周面(ガイド部)75b…通路溝、75c…先端部。