(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041478
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】ライン判定装置、ライン判定プログラムおよびライン判定方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/34 20120101AFI20240319BHJP
H04N 21/234 20110101ALI20240319BHJP
H04N 5/77 20060101ALI20240319BHJP
G06T 7/60 20170101ALI20240319BHJP
【FI】
G06Q50/34
H04N21/234
H04N5/77
G06T7/60 180B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146315
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 純
(72)【発明者】
【氏名】萩原 一史
(72)【発明者】
【氏名】寺林 渉
(72)【発明者】
【氏名】本多 忠光
(72)【発明者】
【氏名】阿部 勝栄
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 準
【テーマコード(参考)】
5C164
5L049
5L096
【Fターム(参考)】
5C164SA25S
5C164SB01P
5C164SB36S
5L049CC55
5L096AA06
5L096BA08
5L096BA18
5L096CA02
5L096DA02
5L096FA64
5L096FA66
5L096FA69
5L096GA51
(57)【要約】
【課題】競輪競技の予想に用いる情報の提供を容易にすることができる。
【解決手段】ライン判定装置10は、競輪競技において、複数の撮影時刻に走行中の選手1a,1b,1c,・・・を撮影した11a-1,11a-2,・・・に基づいて、選手1a,1b,1c,・・・それぞれについて複数の撮影時刻それぞれにおける前後の選手との間の距離を特定する。ライン判定装置10は、距離に基づいて、選手1a,1b,1c,・・・それぞれが属するラインを特定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
競輪競技において、複数の撮影時刻に走行中の複数の選手を撮影した複数の撮影画像を記憶する記憶部と、
前記複数の撮影画像に基づいて、前記複数の選手それぞれについて前記複数の撮影時刻それぞれにおける前後の選手との間の距離を特定し、前記距離に基づいて、前記複数の選手それぞれが属するラインを特定する処理部と、
を有するライン判定装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記距離に基づいて、前記複数の撮影時刻それぞれにおいて前記複数の選手それぞれが属する暫定ライン候補を特定し、前記暫定ライン候補それぞれが特定された頻度に基づいて、前記ラインを特定する、
請求項1記載のライン判定装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記距離が第1閾値未満であるか否かに基づいて、前記暫定ライン候補を特定し、前記暫定ライン候補それぞれが特定された頻度に基づいて前記複数の選手それぞれが属する暫定ラインを特定し、前記暫定ラインに属する選手それぞれについて、前記距離が前記第1閾値より小さい第2閾値未満であるか否かに基づいて、前記ラインを特定する、
請求項2記載のライン判定装置。
【請求項4】
コンピュータに、
競輪競技において、複数の撮影時刻に走行中の複数の選手を撮影した複数の撮影画像に基づいて、前記複数の選手それぞれについて前記複数の撮影時刻それぞれにおける前後の選手との間の距離を特定し、
前記距離に基づいて、前記複数の選手それぞれが属するラインを特定する、
処理を実行させるライン判定プログラム。
【請求項5】
コンピュータが、
競輪競技において、複数の撮影時刻に走行中の複数の選手を撮影した複数の撮影画像に基づいて、前記複数の選手それぞれについて前記複数の撮影時刻それぞれにおける前後の選手との間の距離を特定し、
前記距離に基づいて、前記複数の選手それぞれが属するラインを特定する、
ライン判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライン判定装置、ライン判定プログラムおよびライン判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
競輪競技等の公営競技では、利用者の利便性を向上させるためのシステムが導入されている。例えば、公営競技の利用者が競技の状況を把握しやすくするためのシステムが導入されている。
【0003】
公営競技のシステムに関する技術としては、例えば、配信サーバが競技を撮影した映像情報から抽出した競技者の位置を特定する位置データを配信し、携帯機器が位置データを模式化して時系列にして表示する競技情報の配信システムが提案されている。また、例えば、画面に表示された映像の中の特定の競走馬または競技者の位置を指し示すことにより、視聴者が画面上で容易に所望の競走馬や競技者を認識できるようにする画像処理システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-089648号公報
【特許文献2】特開2006-003965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
競輪競技では、レース前に選手が走行する脚見せが行われ、利用者は、脚見せで組まれるラインを加味して投票の予想をする。ラインの情報を提供するには、例えば、判定者が目視によってラインを判定することが考えられるが、判定者の手間がかかる。
【0006】
1つの側面では、本件は、競輪競技の予想に用いる情報の提供を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの案では、記憶部と処理部とを有するライン判定装置が提供される。記憶部は、競輪競技において、複数の撮影時刻に走行中の複数の選手を撮影した複数の撮影画像を記憶する。処理部は、複数の撮影画像に基づいて、複数の選手それぞれについて複数の撮影時刻それぞれにおける前後の選手との間の距離を特定し、距離に基づいて、複数の選手それぞれが属するラインを特定する。
【発明の効果】
【0008】
1態様によれば、競輪競技の予想に用いる情報の提供を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態に係るライン判定装置の一例を示す図である。
【
図2】第2の実施の形態に係る情報処理システムの一例を示す図である。
【
図3】ライン判定サーバのハードウェアの一構成例を示す図である。
【
図4】ライン判定サーバの機能例を示すブロック図である。
【
図8】ライン情報提供処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図9】画像収集処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図10】解析情報生成処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図11】暫定ライン特定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図12】ライン特定処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。なお各実施の形態は、矛盾のない範囲で複数の実施の形態を組み合わせて実施することができる。
〔第1の実施の形態〕
まず、第1の実施の形態について説明する。
【0011】
図1は、第1の実施の形態に係るライン判定装置の一例を示す図である。第1の実施の形態のライン判定装置10は、競輪競技の脚見せにおいて、選手1a,1b,1c,・・・が組むラインを判定する。
【0012】
競輪競技の脚見せは、レースに出場する選手1a,1b,1c,・・・がレース前に走行するものである。脚見せにおいて、選手1a,1b,1c,・・・は、ラインを組んで走行することがある。ラインは、連携した選手同士がまとまって走行することで形成される集団である。例えば、ラインを組んでいる選手同士は、前後の選手との間隔を狭くして一列になって走行する。なお、選手が他の選手と広い間隔を開けて1人で走行している場合、選手1人のラインが形成されているものとする。
【0013】
選手1a,1b,1c,・・・は、レースにおいても脚見せにおいて組んだラインと同様のラインを組んで走行することが多いため、競輪競技の投票をする利用者は、脚見せで組まれたラインを加味して投票の予想をする。そこで、ライン判定装置10は、脚見せにおいて、選手1a,1b,1c,・・・それぞれがいずれのラインに属するか特定する。
【0014】
ライン判定装置10は、選手1a,1b,1c,・・・が組むラインを判定するコンピュータである。ライン判定装置10は、カメラ2に接続されている。カメラ2は、競輪競技において走行中の選手1a,1b,1c,・・・を撮影可能なカメラである。例えば、カメラ2は、選手1a,1b,1c,・・・が走行するバンク全体が撮影範囲となるよう設置される。また、例えば、カメラ2は、バンク内からバンク全体を撮影できるよう設置された360°カメラであってもよい。また、例えば、カメラ2は、各カメラの撮影範囲を組み合わせるとバンク全体が含まれるように設置された複数のカメラであってもよい。
【0015】
ライン判定装置10は、記憶部11と処理部12とを有する。記憶部11は、ライン判定装置10が実行する処理に用いられるデータを記憶する。記憶部11は、例えば、ライン判定装置10が有するメモリまたはストレージ装置である。記憶部11は、撮影画像11a-1,11a-2,・・・を記憶する。撮影画像11a-1,11a-2,・・・は、競輪競技において、複数の撮影時刻に走行中の選手1a,1b,1c,・・・を撮影した画像である。例えば、撮影画像11a-1,11a-2,・・・それぞれは、脚見せが開始してから脚見せが終了するまでの間、一定の時間間隔でカメラ2によって撮影された画像である。なお、撮影画像11a-1,11a-2,・・・それぞれは、同じ時刻に複数のカメラであるカメラ2によって撮影された複数の画像を組み合わせたものであってもよい。
【0016】
処理部12は、ライン判定装置10を制御し、所要の処理を実行可能である。処理部12は、例えば、ライン判定装置10が有するプロセッサまたは演算回路である。まず、処理部12は、撮影画像11a-1,11a-2,・・・に基づいて、選手1a,1b,1c,・・・それぞれについて複数の撮影時刻それぞれにおける前後の選手との間の距離を特定する。例えば、処理部12は、ある撮影時刻に撮影された撮影画像から選手1a,1b,1c,・・・それぞれのバンク上の位置座標を算出し、前後の位置座標同士の距離を当該撮影時刻における各選手間の距離として特定する。なお、処理部12は、ある撮影時刻に撮影された撮影画像から各選手と車輪とを検出し、各選手について、前の選手の後輪と後ろの選手の前輪との距離を車輪数で示したものを当該撮影時刻における各選手間の距離として特定してもよい。
【0017】
処理部12は、選手間の距離を特定すると、特定した距離に基づいて、複数の撮影時刻それぞれにおいて選手1a,1b,1c,・・・それぞれが属する暫定ライン候補を特定する。暫定ライン候補は、各撮影時刻の時点で、まとまって走行していた選手の集団である。ここで、処理部12は、距離が第1閾値未満であるか否かに基づいて、暫定ライン候補を特定する。例えば、処理部12は、ある撮影時刻における前後の2選手間の距離が第1閾値未満である場合、当該2選手が当該撮影時刻において同じ暫定ライン候補に属すると判定する。また、処理部12は、ある撮影時刻における前後の2選手間の距離が第1閾値以上である場合、当該2選手が当該撮影時刻において異なる暫定ライン候補に属すると判定する。
【0018】
処理部12は、暫定ライン候補それぞれが特定された頻度に基づいて選手1a,1b,1c,・・・それぞれが属する暫定ラインを特定する。暫定ラインは、選手1a,1b,1c,・・・それぞれが属するラインを暫定的に特定したものである。例えば、処理部12は、暫定ライン候補ごとに特定された回数を算出する。そして、処理部12は、各選手が複数の暫定ラインに属さないようにして、特定された回数の多い暫定ライン候補を優先して暫定ラインとして特定する。
【0019】
そして、処理部12は、暫定ラインに基づいて、選手1a,1b,1c,・・・それぞれが属するラインを特定する。ここで、処理部12は、暫定ラインに属する選手それぞれについて、距離が第1閾値より小さい第2閾値未満であるか否かに基づいて、ラインを特定する。例えば、処理部12は、各暫定ラインについて、以下の処理を実行してラインを確定させる。
【0020】
処理部12は、処理対象の暫定ラインが暫定ライン候補として特定された撮影画像のうち、処理対象の暫定ラインに属する選手の列の長さ(ライン長)が最も短い撮影画像を選択する。処理部12は、処理対象の暫定ラインに属する各選手について、選択した撮影画像に基づいて特定した前後の2選手間の距離が第2閾値未満である場合、当該2選手が同じラインに属すると判定する。また、処理部12は、選択した撮影画像に基づいて特定した前後の2選手間の距離が第2閾値以上である場合、当該2選手が異なるラインに属すると判定する。
【0021】
第1の実施の形態によれば、記憶部11は、競輪競技において、複数の撮影時刻に走行中の選手1a,1b,1c,・・・を撮影した撮影画像11a-1,11a-2,・・・を記憶する。処理部12は、撮影画像11a-1,11a-2,・・・に基づいて、選手1a,1b,1c,・・・それぞれについて複数の撮影時刻それぞれにおける前後の選手との間の距離を特定する。そして、処理部12は、距離に基づいて、選手1a,1b,1c,・・・それぞれが属するラインを特定する。
【0022】
これにより、ライン判定装置10は、選手1a,1b,1c,・・・によって組まれるラインを自動で判定できる。よって、ライン判定装置10は、競輪競技の予想に用いる情報の提供を容易にすることができる。
【0023】
また、処理部12は、距離に基づいて、複数の撮影時刻それぞれにおいて選手1a,1b,1c,・・・それぞれが属する暫定ライン候補を特定し、暫定ライン候補それぞれが特定された頻度に基づいて、ラインを特定する。
【0024】
ここで、同じラインに属する選手は、レースや脚見せの間、近くで走っていることが多いため、各ラインは、多くの撮影時刻において暫定ライン候補として特定される。よって、ライン判定装置10は、暫定ライン候補それぞれが特定された頻度に基づいて、ラインを特定することで、ラインの判定精度を向上させることができる。
【0025】
処理部12は、距離が第1閾値未満であるか否かに基づいて、暫定ライン候補を特定し、暫定ライン候補それぞれが特定された頻度に基づいて選手1a,1b,1c,・・・それぞれが属する暫定ラインを特定する。処理部12は、暫定ラインに属する選手それぞれについて、距離が第1閾値より小さい第2閾値未満であるか否かに基づいて、ラインを特定する。
【0026】
ここで、同じラインに属する選手同士であっても、一時的に離れて走行することがある。そこで、ライン判定装置10は、前後の選手の距離が第1閾値未満であれば暫定ライン候補として特定しておく。そして、ライン判定装置10は、暫定ラインから、第1閾値より小さい第2閾値を用いてラインを確定する。これにより、ライン判定装置10は、ラインの判定精度を向上させることができる。
【0027】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は、競輪競技の脚見せにおいて選手が組んだラインを示す情報を提供するものである。
【0028】
図2は、第2の実施の形態に係る情報処理システムの一例を示す図である。第2の実施の形態の情報処理システムは、ライン判定サーバ100、表示サーバ200および外部サーバ300を有する。ライン判定サーバ100および表示サーバ200は、競輪場20に設置される。ライン判定サーバ100および表示サーバ200は、ネットワーク30を介してネットワーク40に接続されている。外部サーバ300は、ネットワーク40に接続されている。ネットワーク30は、例えば、競輪場20のLAN(Local Area Network)である。また、ネットワーク40は、例えば、インターネット等の広域ネットワークである。
【0029】
競輪場20は、競輪競技が行われる競技場である。競輪場20には、バンク21が設置されている。バンク21は、競輪競技において、選手22a,22b,22c,・・・が走行するコースである。選手22a,22b,22c,・・・は、競輪競技のレースに出場する選手である。選手22a,22b,22c,・・・は、レース前の脚見せでバンク21を走行する。選手22a,22b,22c,・・・は、脚見せにおいて、レースと同様のラインを組んで走行する。
【0030】
また、競輪場20には、カメラ23およびモニタ24が設置されている。カメラ23およびモニタ24は、ネットワーク30に接続されている。カメラ23は、脚見せにおいて走行する選手22a,22b,22c,・・・を撮影するカメラである。カメラ23は、バンク21全体が撮影範囲となるように設置される。カメラ23は、脚見せ開始から脚見せ終了までの間、一定時間間隔で撮影範囲を撮影し、撮影した撮影画像をライン判定サーバ100に送信する。
【0031】
モニタ24は、表示サーバ200からの制御によって、競輪競技の投票をする利用者が投票の予想に用いる情報を表示する。例えば、モニタ24は、選手22a,22b,22c,・・・の選手名、オッズ、ライン判定サーバ100によって特定された選手22a,22b,22c,・・・が脚見せにおいて組んだラインの情報等を含む表示画像を表示する。
【0032】
ライン判定サーバ100は、選手22a,22b,22c,・・・が脚見せにおいて組んだラインを特定するサーバコンピュータである。ライン判定サーバ100は、カメラ23が脚見せのときに一定時間間隔で撮影した撮影画像を、カメラ23から取得する。ライン判定サーバ100は、取得した撮影画像から、前後の選手間の距離を特定する。ライン判定サーバ100は、選手間の距離に基づいて、選手22a,22b,22c,・・・それぞれが属するラインを特定する。ライン判定サーバ100は、特定したラインを示す情報を外部サーバ300に送信する。
【0033】
表示サーバ200は、モニタ24を制御するサーバコンピュータである。表示サーバ200は、外部サーバ300から表示画像を取得し、取得した表示画像をモニタ24に表示させる。外部サーバ300は、利用者が投票の予想に用いる情報を表示するための表示画像を生成するサーバコンピュータである。外部サーバ300は、ライン判定サーバ100が特定した脚見せにおけるラインを、ライン判定サーバ100から取得する。外部サーバ300は、選手名、オッズ、脚見せにおけるラインの情報等を含む表示画像を生成し、生成した表示画像を表示サーバ200に送信する。
【0034】
図3は、ライン判定サーバのハードウェアの一構成例を示す図である。ライン判定サーバ100は、プロセッサ101によって装置全体が制御されている。プロセッサ101には、バス109を介してメモリ102と複数の周辺機器が接続されている。プロセッサ101は、マルチプロセッサであってもよい。プロセッサ101は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、またはDSP(Digital Signal Processor)である。プロセッサ101がプログラムを実行することで実現する機能の少なくとも一部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)等の電子回路で実現してもよい。
【0035】
メモリ102は、ライン判定サーバ100の主記憶装置として使用される。メモリ102には、プロセッサ101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、メモリ102には、プロセッサ101による処理に利用する各種データが格納される。メモリ102としては、例えばRAM(Random Access Memory)等の揮発性の半導体記憶装置が使用される。
【0036】
バス109に接続されている周辺機器としては、ストレージ装置103、GPU(Graphics Processing Unit)104、入力インタフェース105、光学ドライブ装置106、機器接続インタフェース107およびネットワークインタフェース108がある。
【0037】
ストレージ装置103は、内蔵した記録媒体に対して、電気的または磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。ストレージ装置103は、コンピュータの補助記憶装置として使用される。ストレージ装置103には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、ストレージ装置103としては、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)を使用することができる。
【0038】
GPU104には、モニタ31が接続されている。GPU104は、プロセッサ101からの命令に従って、画像をモニタ31の画面に表示させる。モニタ31としては、有機EL(Electro Luminescence)を用いた表示装置や液晶表示装置等がある。
【0039】
入力インタフェース105には、キーボード32とマウス33とが接続されている。入力インタフェース105は、キーボード32やマウス33から送られてくる信号をプロセッサ101に送信する。なお、マウス33は、ポインティングデバイスの一例であり、他のポインティングデバイスを使用することもできる。他のポインティングデバイスとしては、タッチパネル、タブレット、タッチパッド、トラックボール等がある。
【0040】
光学ドライブ装置106は、レーザ光等を利用して、光ディスク34に記録されたデータの読み取りを行う。光ディスク34は、光の反射によって読み取り可能なようにデータが記録された可搬型の記録媒体である。光ディスク34には、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD-RAM、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD-R(Recordable)/RW(ReWritable)等がある。
【0041】
機器接続インタフェース107は、ライン判定サーバ100に周辺機器を接続するための通信インタフェースである。例えば機器接続インタフェース107には、メモリ装置35やメモリリーダライタ36を接続することができる。メモリ装置35は、機器接続インタフェース107との通信機能を搭載した記録媒体である。メモリリーダライタ36は、メモリカード37へのデータの書き込み、またはメモリカード37からのデータの読み出しを行う装置である。メモリカード37は、カード型の記録媒体である。
【0042】
ネットワークインタフェース108は、ネットワーク30に接続されている。ネットワークインタフェース108は、ネットワーク30を介して、他のコンピュータまたは通信機器との間でデータの送受信を行う。
【0043】
ライン判定サーバ100は、以上のようなハードウェア構成によって、第2の実施の形態の処理機能を実現することができる。なお、第1の実施の形態に示したライン判定装置10も、
図3に示したライン判定サーバ100と同様のハードウェアにより実現することができる。また、表示サーバ200および外部サーバ300もライン判定サーバ100と同様のハードウェアにより実現することができる。また、プロセッサ101は、第1の実施の形態に示した処理部12の一例である。また、メモリ102またはストレージ装置103は、第1の実施の形態に示した記憶部11の一例である。
【0044】
ライン判定サーバ100は、例えばコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを実行することにより、第2の実施の形態の処理機能を実現する。ライン判定サーバ100に実行させる処理内容を記述したプログラムは、様々な記録媒体に記録しておくことができる。例えば、ライン判定サーバ100に実行させるプログラムをストレージ装置103に格納しておくことができる。プロセッサ101は、ストレージ装置103内のプログラムの少なくとも一部をメモリ102にロードし、プログラムを実行する。またライン判定サーバ100に実行させるプログラムを、光ディスク34、メモリ装置35、メモリカード37等の可搬型記録媒体に記録しておくこともできる。可搬型記録媒体に格納されたプログラムは、例えばプロセッサ101からの制御により、ストレージ装置103にインストールされた後、実行可能となる。またプロセッサ101が、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み出して実行することもできる。
【0045】
次に、ライン判定サーバ100の機能について詳細に説明する。
図4は、ライン判定サーバの機能例を示すブロック図である。ライン判定サーバ100は、記憶部110、画像収集部120、解析部130、暫定ライン特定部140、ライン特定部150および送信部160を有する。記憶部110は、メモリ102またはストレージ装置103の記憶領域を用いて実現される。画像収集部120、解析部130、暫定ライン特定部140、ライン特定部150および送信部160は、メモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101が実行することで実現される。
【0046】
記憶部110は、撮影画像111-1,111-2,・・・、解析情報112および集計情報113を記憶する。撮影画像111-1,111-2,・・・は、脚見せのときにカメラ23が一定時間間隔で撮影した走行している選手22a,22b,22c,・・・の画像である。解析情報112は、撮影画像111-1,111-2,・・・それぞれの撮影時刻の時点で、まとまって走行していた選手の集団である暫定ライン候補の特定結果を記録した情報である。集計情報113は、暫定ライン候補それぞれの特定回数を集計した情報である。
【0047】
画像収集部120は、脚見せのときに走行している選手22a,22b,22c,・・・の画像をカメラ23から収集する。画像収集部120は、一定時間間隔で、カメラ23に撮影範囲の画像を撮影させ、カメラ23が撮影した画像を取得する。画像収集部120は、取得した撮影画像を撮影画像111-1,111-2,・・・として記憶部110に保存する。
【0048】
解析部130は、画像収集部120が収集した撮影画像111-1,111-2,・・・それぞれから暫定ライン候補を特定し、特定した暫定ライン候補を解析情報112に記録する。解析部130は、撮影画像111-1,111-2,・・・のうちの処理対象の撮影画像(例えば、撮影画像111-1)から各選手の位置情報を特定する。例えば、解析部130は、撮影画像111-1から人物を検出する。解析部130は、検出した人物それぞれの帽子の色を特定し、各人物を帽子の色に対応する車番の選手と特定する。解析部130は、撮影画像111-1に写るバンク21と各人物の検出位置とから、各選手のバンク21上の位置座標を算出する。
【0049】
解析部130は、各選手について、前後の選手との距離が閾値x未満であるか否かを判定する。解析部130は、距離が閾値x未満である前後の選手を同じ暫定ライン候補に属すると設定する。また、解析部130は、距離が閾値x以上である前後の選手を異なる暫定ライン候補に属すると設定する。そして、解析部130は、特定した暫定ライン候補を解析情報112に記録する。また、解析部130は、暫定ライン候補に属する選手のうち、最も前の選手の位置と最も後ろの選手の位置との距離(ライン長)を算出し、算出したライン長を解析情報112に記録する。
【0050】
暫定ライン特定部140は、解析部130が特定した暫定ライン候補に基づいて、暫定的なラインである暫定ラインを特定する。暫定ライン特定部140は、各暫定ライン候補の特定回数を集計情報113に集計する。暫定ライン特定部140は、集計情報113を参照し、特定回数が最も多い暫定ライン候補を順に暫定ラインとして特定する。なお、暫定ライン特定部140は、特定回数が最も多い暫定ライン候補同士で同じ選手が属している場合、属する選手数が多い暫定ライン候補および若番の車番の選手が属する暫定ライン候補を優先して暫定ラインとして特定する。
【0051】
ライン特定部150は、暫定ライン特定部140が特定した暫定ラインに基づいて、ラインを特定する。ライン特定部150は、各暫定ラインについて、以下の処理を実行することでラインを特定する。ライン特定部150は、処理対象の暫定ラインが暫定ライン候補として解析情報112に記録された撮影画像のうち、ライン長が最短の撮影画像を選択する。ライン特定部150は、選択した撮影画像から処理対象の暫定ラインに属する各選手の位置情報を特定する。
【0052】
ライン特定部150は、処理対象の暫定ラインに属する各選手について、前後の選手との距離が閾値xより小さい閾値y未満であるか否かを判定する。ライン特定部150は、距離が閾値y未満である前後の選手を同じラインに属すると設定する。また、ライン特定部150は、距離が閾値y以上である前後の選手を異なるラインに属すると設定する。ライン特定部150は、処理対象の暫定ラインに属する各選手について、同じラインに属すると判定された選手ごとにまとめたラインを確定させる。そして、ライン特定部150は、確定したラインを示すライン情報を出力する。
【0053】
送信部160は、ライン特定部150によって出力されたライン情報を外部サーバ300に送信する。例えば、送信部160は、ライン判定サーバ100と外部サーバ300とであらかじめ設定されたTCP(Transmission Control Protocol)/IP(Internet Protocol)のデータ形式のルールによって変換したライン情報を外部サーバ300に送信する。
【0054】
なお、
図4に示した各要素間を接続する線は通信経路の一部を示すものであり、図示した通信経路以外の通信経路も設定可能である。次に、記憶部110に記憶される情報について詳細に説明する。
【0055】
図5は、解析情報の一例を示す図である。解析情報112は、暫定ライン候補の特定結果を記録した情報である。解析情報112は、撮影画像111-1,111-2,・・・それぞれに基づいて特定された暫定ライン候補とライン長とが記録される。
【0056】
図5の例では、撮影画像111-1,111-2,・・・は5枚であり、解析情報112は、1枚目~5枚目の撮影画像それぞれに対応する暫定ライン候補およびライン長の項目を有する。暫定ライン候補の項目には、特定された暫定ライン候補に属する選手の車番が設定される。ライン長の項目には、特定された暫定ライン候補のライン長が設定される。
【0057】
図6は、集計情報の一例を示す図である。集計情報113は、暫定ライン候補それぞれの特定回数を集計した情報である。集計情報113は、暫定ライン候補および特定回数の項目を有する。暫定ライン候補の項目には、特定された暫定ライン候補に属する選手の車番が設定される。特定回数の項目には、暫定ライン候補が特定された回数が設定される。
【0058】
次に、暫定ラインの特定について説明する。
図7は、暫定ライン特定処理の一例を示す図である。解析部130は、撮影画像111-1,111-2,・・・に基づいて、撮影画像111-1,111-2,・・・それぞれの撮影時刻における前後の選手間の距離を算出し、距離が閾値x未満の選手同士を同じ暫定ライン候補に属すると特定する。そして、暫定ライン特定部140は、暫定ライン候補それぞれの特定回数を集計し、特定回数が多い暫定ライン候補を暫定ラインとして特定する。
図7の例では、車番が1~9の選手(1~9番の選手)が走行した脚見せのときに5枚の撮影画像が撮影された場合について説明する。
【0059】
解析部130は、1枚目の撮影画像から1番の選手と、1番の選手の後ろの2番の選手との距離を算出し、算出した距離が閾値x以上であったものとする。すると、解析部130は、1枚目の撮影画像の撮影時刻において、1番の選手と2番の選手とが異なる暫定ライン候補に属すると判定する。
【0060】
また、解析部130は、1枚目の撮影画像から2番の選手と3番の選手との距離が閾値x未満であるため、2番の選手と3番の選手とが同じ暫定ライン候補に属すると判定する。また、解析部130は、1枚目の撮影画像から3番の選手と4番の選手との距離が閾値x以上であるため、3番の選手と4番の選手とが異なる暫定ライン候補に属すると判定する。また、解析部130は、1枚目の撮影画像から4番の選手と5番の選手との距離が閾値x未満であるため、4番の選手と5番の選手とが同じ暫定ライン候補に属すると判定する。また、解析部130は、1枚目の撮影画像から5番の選手と6番の選手との距離が閾値x未満であるため、5番の選手と6番の選手とが同じ暫定ライン候補に属すると判定する。
【0061】
また、解析部130は、1枚目の撮影画像から6番の選手と7番の選手との距離が閾値x以上であるため、6番の選手と7番の選手とが異なる暫定ライン候補に属すると判定する。また、解析部130は、1枚目の撮影画像から7番の選手と8番の選手との距離が閾値x未満であるため、7番の選手と8番の選手とが同じ暫定ライン候補に属すると判定する。また、解析部130は、1枚目の撮影画像から8番の選手と9番の選手との距離が閾値x以上であるため、8番の選手と9番の選手とが異なる暫定ライン候補に属すると判定する。
【0062】
これにより、解析部130は、1枚目の撮影画像の撮影時刻における暫定ライン候補として、1番の選手が属する暫定ライン候補と、2番、3番の選手が属する暫定ライン候補と、4番、5番、6番の選手が属する暫定ライン候補とを特定する。また、解析部130は、1枚目の撮影画像の撮影時刻における暫定ライン候補として、7番、8番の選手が属する暫定ライン候補と、9番の選手が属する暫定ライン候補とを特定する。
【0063】
また、解析部130は、2枚目の撮影画像から、1番の選手の暫定ライン候補と、2番、3番の選手の暫定ライン候補と、4番、5番、6番の選手の暫定ライン候補と、7番、8番、9番の選手の暫定ライン候補とを特定する。また、解析部130は、3枚目の撮影画像から、1番、2番、3番の選手の暫定ライン候補と、4番、5番、6番の選手の暫定ライン候補と、7番、8番、9番の選手の暫定ライン候補とを特定する。
【0064】
また、解析部130は、4枚目の撮影画像から、1番、2番、3番の選手の暫定ライン候補と、4番、5番、6番の選手の暫定ライン候補と、7番、8番、9番の選手の暫定ライン候補とを特定する。また、解析部130は、5枚目の撮影画像から、1番、2番、3番の選手の暫定ライン候補と、6番の選手の暫定ライン候補と、4番、5番の選手の暫定ライン候補と、7番の選手の暫定ライン候補と、8番、9番の選手の暫定ライン候補とを特定する。
【0065】
暫定ライン特定部140は、暫定ライン候補それぞれの特定回数を集計情報113に集計する。そして、暫定ライン特定部140は、特定回数が多い暫定ライン候補を暫定ラインとして特定する。
図7の例では、1番、2番、3番の選手の暫定ライン候補の特定回数が3回、4番、5番、6番の選手の暫定ライン候補の特定回数が4回、7番、8番、9番の選手の暫定ライン候補の特定回数が3回である。よって、暫定ライン特定部140は、1番、2番、3番の選手が属する暫定ラインと、4番、5番、6番の選手が属する暫定ラインと、7番、8番、9番の選手が属する暫定ラインとを特定する。
【0066】
このように、解析部130は、各撮影画像の撮影時刻における暫定ライン候補を特定し、暫定ライン特定部140は、暫定ライン候補の特定回数に基づいて暫定ラインを特定する。ここで、同じラインに属する選手は、脚見せのときに近くで走っていることが多い。そこで、暫定ライン特定部140は、多くの撮影時刻において暫定ライン候補として特定された暫定ライン候補を暫定ラインとして特定する。これにより、暫定ライン特定部140は、ラインの判定精度を向上させることができる。
【0067】
次に、ライン判定サーバ100による外部サーバ300へラインの情報を提供する処理の手順について説明する。
図8は、ライン情報提供処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、
図8に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
【0068】
[ステップS11]画像収集部120は、脚見せが開始すると、画像収集処理を実行する。画像収集処理の詳細については後述する(
図9参照)。
[ステップS12]解析部130は、解析情報生成処理を実行する。解析情報生成処理の詳細については後述する(
図10参照)。
【0069】
[ステップS13]暫定ライン特定部140は、暫定ライン特定処理を実行する。暫定ライン特定処理の詳細については後述する(
図11参照)。
[ステップS14]ライン特定部150は、ライン特定処理を実行する。ライン特定処理の詳細については後述する(
図12参照)。
【0070】
[ステップS15]送信部160は、ライン情報を外部サーバ300に送信する。例えば、送信部160は、ライン判定サーバ100と外部サーバ300とであらかじめ設定されたTCP/IPのデータ形式のルールによって変換したライン情報を外部サーバ300に送信する。
【0071】
このような手順で、ライン判定サーバ100は、ラインを特定し、特定したラインの情報を外部サーバ300に送信する。次に、ライン判定サーバ100による各処理の詳細について説明する。まず、画像収集部120による画像収集処理について説明する。
【0072】
図9は、画像収集処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、
図9に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS21]画像収集部120は、カメラ23に撮影範囲の画像を撮影させ、カメラ23が撮影した画像を取得する。
【0073】
[ステップS22]画像収集部120は、ステップS21で取得した撮影画像を撮影画像111-1,111-2,・・・として記憶部110に保存する。
[ステップS23]画像収集部120は、一定時間待機する。
【0074】
[ステップS24]画像収集部120は、脚見せが終了したか否かを判定する。画像収集部120は、脚見せが終了したと判定した場合、処理を終了する。また、画像収集部120は、脚見せが終了していないと判定した場合、処理をステップS21に進める。
【0075】
このようにして、画像収集部120は、脚見せのときに走行している選手22a,22b,22c,・・・の画像をカメラ23から収集できる。次に、解析部130による解析情報生成処理について説明する。
【0076】
図10は、解析情報生成処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、
図10に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS31]解析部130は、変数iに1を代入(i=1)する。
【0077】
[ステップS32]解析部130は、撮影画像111-1,111-2,・・・のi枚目の撮影画像(例えば、撮影画像111-1)から各選手の位置情報を特定する。例えば、解析部130は、撮影画像111-1から人物を検出する。解析部130は、検出した人物それぞれの帽子の色を特定し、各人物を帽子の色に対応する車番の選手と特定する。そして、解析部130は、撮影画像111-1に写るバンク21と各人物の検出位置とから、各選手のバンク21上の位置座標を算出する。
【0078】
[ステップS33]解析部130は、変数jに1を代入(j=1)する。
[ステップS34]解析部130は、前からj番目を走る選手(j番手の選手)と、j+1番手の選手との距離が閾値x未満であるか否かを判定する。例えば、解析部130は、ステップS32で算出されたj番手の選手の位置座標と、j+1番手の選手の位置座標との距離を算出し、算出した距離が閾値x未満であるか否かを判定する。解析部130は、j番手の選手とj+1番手の選手との距離が閾値x未満であると判定した場合、処理をステップS35に進める。解析部130は、j番手の選手とj+1番手の選手との距離が閾値x以上であると判定した場合、処理をステップS36に進める。
【0079】
[ステップS35]解析部130は、j番手の選手とj+1番手の選手とが同じ暫定ライン候補に属すると設定する。そして、処理がステップS38に進む。
[ステップS36]解析部130は、j番手の選手とj+1番手の選手とが異なる暫定ライン候補に属すると設定する。
【0080】
[ステップS37]解析部130は、j番手の選手が属する暫定ライン候補を解析情報112に記録する。例えば、解析部130は、i枚目の撮影画像に対応する暫定ライン候補の項目に、j番手の選手と同じ暫定ライン候補に属する選手の車番を設定する。また、解析部130は、j番手の選手と同じ暫定ライン候補に属する選手のうち、最も前の選手の位置と最も後ろの選手の位置との距離をライン長として算出し、算出したライン長を解析情報112のライン長の項目に設定する。
【0081】
[ステップS38]解析部130は、j+1が選手22a,22b,22c,・・・の数未満(j+1<選手数)であるか否かを判定する。解析部130は、j+1が選手22a,22b,22c,・・・の数未満であると判定した場合、処理をステップS39に進める。また、解析部130は、j+1が選手22a,22b,22c,・・・の数以上であると判定した場合、処理をステップS40に進める。
【0082】
[ステップS39]解析部130は、jに1を加算(j++)する。そして、処理がステップS34に進む。
[ステップS40]解析部130は、j+1番手の選手が属する暫定ライン候補を解析情報112に記録する。例えば、解析部130は、i枚目の撮影画像に対応する暫定ライン候補の項目に、j+1番手の選手と同じ暫定ライン候補に属する選手の車番を設定する。また、解析部130は、j+1番手の選手と同じ暫定ライン候補のライン長を算出し、算出したライン長を解析情報112のライン長の項目に設定する。
【0083】
[ステップS41]解析部130は、iが撮影画像111-1,111-2,・・・の数未満(i<撮影画像数)であるか否かを判定する。解析部130は、iが撮影画像111-1,111-2,・・・の数未満であると判定した場合、処理をステップS42に進める。また、解析部130は、iが撮影画像111-1,111-2,・・・の数以上であると判定した場合、処理を終了する。
【0084】
[ステップS42]解析部130は、iに1を加算(i++)する。そして、処理がステップS32に進む。
このようにして、解析部130は、撮影画像111-1,111-2,・・・それぞれから選手22a,22b,22c,・・・の位置を特定し、距離が閾値x未満の前後の選手同士を同じ暫定ライン候補に設定する。これにより、解析部130は、撮影画像111-1,111-2,・・・それぞれの撮影時刻の時点でまとまって走行している選手の集団を暫定ライン候補として特定することができる。次に、暫定ライン特定部140による暫定ライン特定処理について説明する。
【0085】
図11は、暫定ライン特定処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、
図11に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS51]暫定ライン特定部140は、暫定ライン候補の特定回数を集計情報113に集計する。例えば、暫定ライン特定部140は、集計情報113の暫定ライン候補の項目に、解析情報112に記録された暫定ライン候補に属する選手の車番を設定し、特定回数の項目に、当該暫定ライン候補が解析情報112に記録されている数を設定する。
【0086】
[ステップS52]暫定ライン特定部140は、集計情報113から、未選択の暫定ライン候補のうち、特定回数が最多の暫定ライン候補を選択する。なお、暫定ライン特定部140は、特定回数が最多の暫定ライン候補が複数ある場合、複数の暫定ライン候補を選択する。
【0087】
[ステップS53]暫定ライン特定部140は、特定した暫定ラインに含まれる車番を含む暫定ライン候補を、ステップS52で選択した暫定ライン候補(選択暫定ライン候補)から除外する。
【0088】
[ステップS54]暫定ライン特定部140は、ステップS53ですべての選択暫定ライン候補を除外したか否かを判定する。暫定ライン特定部140は、すべての選択暫定ライン候補を除外したと判定した場合、処理をステップS52に進める。また、暫定ライン特定部140は、すべての選択暫定ライン候補を除外していないと判定した場合、処理をステップS55に進める。
【0089】
[ステップS55]暫定ライン特定部140は、選択暫定ライン候補が複数あるか否かを判定する。暫定ライン特定部140は、選択暫定ライン候補が複数あると判定した場合、処理をステップS56に進める。また、暫定ライン特定部140は、選択暫定ライン候補が1つであると判定した場合、処理をステップS60に進める。
【0090】
[ステップS56]暫定ライン特定部140は、選択暫定ライン候補同士で車番が重複しているか否かを判定する。例えば、暫定ライン特定部140は、ある選択暫定ライン候補に属する選手が別の選択暫定ライン候補にも属している場合、選択暫定ライン候補同士で車番が重複していると判定する。暫定ライン特定部140は、選択暫定ライン候補同士で車番が重複していると判定した場合、処理をステップS57に進める。また、暫定ライン特定部140は、選択暫定ライン候補同士で車番が重複していないと判定した場合、処理をステップS60に進める。
【0091】
[ステップS57]暫定ライン特定部140は、属する選手が最多の暫定ライン候補以外の、車番が重複した選択暫定ライン候補を選択暫定ライン候補から除外する。
[ステップS58]暫定ライン特定部140は、選択暫定ライン候補同士で車番が重複しているか否かを判定する。暫定ライン特定部140は、選択暫定ライン候補同士で車番が重複していると判定した場合、処理をステップS59に進める。また、暫定ライン特定部140は、選択暫定ライン候補同士で車番が重複していないと判定した場合、処理をステップS60に進める。
【0092】
[ステップS59]暫定ライン特定部140は、最も若番の車番の選手が属する暫定ライン候補以外の、車番が重複した選択暫定ライン候補を選択暫定ライン候補から除外する。例えば、暫定ライン特定部140は、車番が重複した選択暫定ライン候補それぞれに含まれる車番を若番の順に比較し、最も若番の車番が含まれる選択暫定ライン候補以外を選択暫定ライン候補から除外する。
【0093】
[ステップS60]暫定ライン特定部140は、選択暫定ライン候補を暫定ラインに決定する。
[ステップS61]暫定ライン特定部140は、すべての選手がいずれかの暫定ラインに属するか否かを判定する。暫定ライン特定部140は、すべての選手がいずれかの暫定ラインに属すると判定した場合、処理を終了する。暫定ライン特定部140は、暫定ラインに属していない選手が残っていると判定した場合、処理をステップS52に進める。
【0094】
このようにして、暫定ライン特定部140は、特定回数が多い暫定ライン候補を優先して暫定ラインとして特定する。これにより、暫定ライン特定部140は、近くで走っていることが多かった選手同士を同じ暫定ラインに属すると特定できる。よって、暫定ライン特定部140は、ラインの判定精度を向上させることができる。なお、暫定ライン特定部140は、特定回数が最も多い暫定ライン候補同士で車番が重複する場合、属する選手数が多い暫定ライン候補や若番の車番の選手が属する暫定ライン候補を優先して暫定ラインとして特定する。これにより、暫定ライン特定部140は、各選手が複数の暫定ラインに属さないように、暫定ラインを特定できる。次に、ライン特定部150によるライン特定処理について説明する。
【0095】
図12は、ライン特定処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、
図12に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS71]ライン特定部150は、未選択の暫定ラインを選択する。
【0096】
[ステップS72]ライン特定部150は、ステップS71で選択された暫定ライン(選択暫定ライン)が暫定ライン候補として記録された撮影画像のうち、ライン長が最短の撮影画像を選択する。例えば、ライン特定部150は、解析情報112の暫定ライン候補の項目に、選択暫定ラインが設定されたレコードを抽出する。ライン特定部150は、抽出したレコードのうち、ライン長の項目に設定されたライン長が最も短いレコードに対応する撮影画像を選択する。
【0097】
[ステップS73]ライン特定部150は、ステップS72で選択した撮影画像(選択撮影画像)から選択暫定ラインに属する各選手の位置情報を特定する。例えば、ライン特定部150は、解析情報生成処理において、選択撮影画像から特定された選手の位置座標のうち、選択暫定ラインに属する各選手の位置座標を特定する。
【0098】
[ステップS74]ライン特定部150は、変数kに1を代入(k=1)する。
[ステップS75]ライン特定部150は、暫定ラインに属する選手のなかでk番手の選手と、暫定ラインに属する選手のなかでk+1番手の選手との距離が閾値xより小さい閾値y(y<x)未満であるか否かを判定する。例えば、ライン特定部150は、ステップS73で特定したk番手の選手の位置座標と、k+1番手の選手の位置座標との距離を算出し、算出した距離が閾値y未満であるか否かを判定する。ライン特定部150は、k番手の選手とk+1番手の選手との距離が閾値y未満であると判定した場合、処理をステップS76に進める。ライン特定部150は、k番手の選手とk+1番手の選手との距離が閾値y以上であると判定した場合、処理をステップS77に進める。
【0099】
[ステップS76]ライン特定部150は、k番手の選手とk+1番手の選手とが同じラインに属すると設定する。そして、処理がステップS78に進む。
[ステップS77]ライン特定部150は、k番手の選手とk+1番手の選手とが異なるラインに属すると設定する。
【0100】
[ステップS78]ライン特定部150は、k+1が選択暫定ラインに属する選手の数未満(k+1<選択暫定ラインの選手数)であるか否かを判定する。ライン特定部150は、k+1が選択暫定ラインに属する選手の数未満であると判定した場合、処理をステップS79に進める。また、ライン特定部150は、k+1が選択暫定ラインに属する選手の数以上であると判定した場合、処理をステップS80に進める。
【0101】
[ステップS79]ライン特定部150は、kに1を加算(k++)する。そして、処理がステップS75に進む。
[ステップS80]ライン特定部150は、選択暫定ラインに属する各選手のラインを確定する。ライン特定部150は、同じラインに属すると判定された選手ごとにまとめたラインを確定させる。
【0102】
[ステップS81]ライン特定部150は、暫定ラインをすべて選択したか否かを判定する。ライン特定部150は、暫定ラインをすべて選択したと判定した場合、処理をステップS82に進める。また、ライン特定部150は、選択していない暫定ラインが残っていると判定した場合、処理をステップS71に進める。
【0103】
[ステップS82]ライン特定部150は、確定したラインを示すライン情報を出力する。
このようにして、ライン特定部150は、各暫定ラインについて、最短のライン長の暫定ライン候補として記録された撮影画像に基づいて、前後の選手の距離が閾値y未満であるか否かを判定する。そして、ライン特定部150は、距離が閾値y未満である前後の選手同士を同じラインに属すると判定し、ラインを確定させる。これにより、ライン特定部150は、ラインを自動で判定し、競輪競技の予想に用いる情報の提供を容易にすることができる。
【0104】
また、解析情報生成処理において、解析部130は、大きめに設定された閾値x未満の距離である前後の選手を同じ暫定ライン候補に属すると判定することで、一時的に離れて走行する同じラインに属する選手を、同じ暫定ライン候補と判定することができる。ここで、解析部130は、一時的に閾値x未満の距離になった異なるラインに属する選手同士を、同じ暫定ライン候補と判定することもある。そこで、ライン特定部150は、最短のライン長の暫定ライン候補として記録された撮影画像に基づいて、距離が閾値xより小さい閾値y未満である前後の選手同士を、同じラインと判定する。これにより、ライン特定部150は、一時的に閾値x未満の距離になった異なるラインに属する選手同士を、異なるラインと判定することができる。よって、ライン特定部150は、ラインの判定精度を向上させることができる。
【0105】
次に、ライン判定サーバ100によって出力されたライン情報の利用方法について説明する。ライン判定サーバ100は、出力したライン情報を外部サーバ300に送信する。すると、外部サーバ300は、取得したライン情報を含む表示画像を生成し、生成した表示画像を表示サーバ200に送信する。表示サーバ200は、外部サーバ300から表示画像を取得し、取得した表示画像をモニタ24に表示させる。
【0106】
図13は、表示画像の一例を示す図である。表示画像50は、競輪競技の投票をする利用者にレースの情報を提供するためにモニタ24に表示される画像である。表示画像50は、外部サーバ300によって生成され、表示サーバ200によってモニタ24に表示される。表示画像50は、表示内容を示す情報と、出場選手を示す情報と、オッズを示す情報と、ライン表示領域51とを含む。
【0107】
表示内容を示す情報は、表示画像50が表示している内容であり、例えば、レースが行われる場名、レース番号、レース名、オッズの種類、投票締切までの時間が含まれる。出場選手を示す情報は、レースに出場する選手を一覧表示したものであり、例えば、車番と選手名とが含まれる。オッズを示す情報は、レースのオッズを一覧表示したものであり、例えば、2車単の組み合わせそれぞれに対応するオッズを含む。
【0108】
ライン表示領域51には、ライン判定サーバ100によって出力された、レースの脚見せにおけるライン情報が表示される。例えば、ライン表示領域51には、「2」、「5」、「6」と「8」、「1」、「7」と、「3」、「9」、「4」とが間隔を開けて配置されている。ライン表示領域51は、2番、5番、6番の選手が同じラインであり、8番、1番、7番の選手が同じラインであり、3番、9番、4番の選手が同じラインであることを示す。
【0109】
このように、表示画像50は、レースの情報とレースの脚見せにおけるラインとを並べて表示する。ここで、選手22a,22b,22c,・・・は、レースにおいて脚見せと同様のラインを組んで走行することが多い。表示画像50がモニタ24に表示されることで、利用者は、レースにおいて組まれる可能性が高いラインとオッズとを見ながら投票先を検討することができる。よって、ライン判定サーバ100は、ライン情報を出力することで、競輪競技の予想に用いる情報を利用者に提供することができる。
【0110】
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。さらに、前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0111】
1a,1b,1c,・・・ 選手
2 カメラ
10 ライン判定装置
11 記憶部
11a-1,11a-2,・・・ 撮影画像
12 処理部