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特開2024-41504バッテリ管理方法、バッテリ管理プログラム、記憶制御装置および移動体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041504
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】バッテリ管理方法、バッテリ管理プログラム、記憶制御装置および移動体
(51)【国際特許分類】
   B60L 3/00 20190101AFI20240319BHJP
   B60L 53/80 20190101ALI20240319BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240319BHJP
   H01M 10/42 20060101ALI20240319BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240319BHJP
   G16Y 40/40 20200101ALI20240319BHJP
【FI】
B60L3/00 S
B60L53/80
H01M10/48 P
H01M10/48 301
H01M10/42 P
G16Y10/40
G16Y40/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146359
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 義基
【テーマコード(参考)】
5H030
5H125
【Fターム(参考)】
5H030AS08
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
5H125AA01
5H125AB03
5H125AC13
5H125BC18
5H125EE22
5H125EE25
5H125EE27
5H125EE55
(57)【要約】
【課題】バッテリの状態を記憶するためのメモリ容量の大型化を防ぐ。
【解決手段】本開示の一態様に係るバッテリ管理方法は、少なくとも1つのセンサにより、車体に搭載されたバッテリの状態に関連する情報を検出し、少なくとも1つのセンサにより検出された情報に基づき、バッテリの状態を、予め定められた複数の状態カテゴリのいずれかに分類し、状態カテゴリに対応するバッテリの状態が生じた頻度をメモリに記憶する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのセンサにより、車体に搭載されたバッテリの状態に関連する情報を検出し、
前記少なくとも1つのセンサにより検出された情報に基づき、前記バッテリの状態を、予め定められた複数の状態カテゴリのいずれかに分類し、
前記状態カテゴリに対応する前記バッテリの状態が生じた頻度をメモリに記憶する、バッテリ管理方法。
【請求項2】
前記頻度は、前記状態カテゴリに対応する前記バッテリの状態で前記バッテリが使用された時間であるカテゴリ毎使用時間、または、前記バッテリの総使用時間に対する前記カテゴリ毎使用時間の割合である、請求項1に記載のバッテリ管理方法。
【請求項3】
前記状態カテゴリは、前記バッテリの充電率、前記バッテリの放電電流、前記バッテリの温度、または、前記バッテリの充電率、前記バッテリの放電電流および前記バッテリの温度のうちの2つ以上の組合せにより区分されたカテゴリである、請求項1または2に記載のバッテリ管理方法。
【請求項4】
前記複数の状態カテゴリは、第1カテゴリと、前記第1カテゴリに対応する前記バッテリの状態に比べて前記バッテリの劣化を引き起こしやすい前記バッテリの状態のカテゴリである第2カテゴリとを含み、
前記第2カテゴリに対応する前記バッテリの状態に関連する情報の範囲は、前記第1カテゴリに対応する前記バッテリの状態に関連する情報の範囲より小さい、請求項1または2に記載のバッテリ管理方法。
【請求項5】
前記複数の状態カテゴリは、少なくとも前記バッテリの充電率により区分されており、
前記複数の状態カテゴリは、前記バッテリの充電率が50%である前記バッテリの状態を含む第1カテゴリと、それ以外の複数の第2カテゴリを含み、
各前記第2カテゴリに対応する前記充電率の幅は、前記第1カテゴリに対応する前記充電率の幅より狭い、請求項1または2に記載のバッテリ管理方法。
【請求項6】
各前記状態カテゴリに対応する前記頻度とともに、前記バッテリが搭載される前記車体を識別するための車体識別情報を、前記メモリに記憶する、請求項1または2に記載のバッテリ管理方法。
【請求項7】
各前記状態カテゴリに対応する前記頻度とともに、前記バッテリを識別するためのバッテリ識別情報を、前記メモリに記憶する、請求項1または2に記載のバッテリ管理方法。
【請求項8】
各前記状態カテゴリに対応する前記頻度とともに、前記車体の存在地域を識別するための位置識別情報を、前記メモリに記憶する、請求項1または2に記載のバッテリ管理方法。
【請求項9】
請求項1または2に記載のバッテリ管理方法を実行するための命令を含む、少なくとも1つのプロセッサにより実行されるためのバッテリ管理プログラム。
【請求項10】
車体に搭載されたバッテリの状態に関連する情報を受信するインターフェースと、
メモリと、
処理回路と、を備え、
前記処理回路は、
受信した前記情報に基づき、前記バッテリの状態を、予め定められた複数の状態カテゴリのいずれかに分類し、
前記状態カテゴリに対応する前記バッテリの状態が生じた頻度をメモリに記憶する、記憶制御装置。
【請求項11】
車体と、
前記車体に搭載されたバッテリの状態に関連する情報を検出する少なくとも1つのセンサと、
メモリと、
前記少なくとも1つのセンサにより検出された情報に基づき、前記バッテリの状態を、予め定められた複数の状態カテゴリのいずれかに分類し、前記状態カテゴリに対応する前記バッテリの状態が生じた頻度を前記メモリに記憶する処理回路と、を備える、移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バッテリ管理方法、バッテリ管理プログラム、記憶制御装置および移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バッテリを含むバッテリパック(バッテリユニット)を搭載した電動車両が開示されている。バッテリパックは、バッテリの状態を監視するバッテリ監視装置を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5898778号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バッテリの状態を示す時系列データは、時間の経過とともに増大するため、容量の大きなメモリが必要となる。
【0005】
そこで、本開示は、バッテリの状態を記憶するためのメモリ容量の大型化を防ぐことができるバッテリ管理方法、バッテリ管理プログラム、記憶制御装置および移動体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るバッテリ管理方法は、少なくとも1つのセンサにより、車体に搭載されたバッテリの状態に関連する情報を検出し、前記少なくとも1つのセンサにより検出された情報に基づき、前記バッテリの状態を、予め定められた複数の状態カテゴリのいずれかに分類し、前記状態カテゴリに対応する前記バッテリの状態が生じた頻度をメモリに記憶する。
【0007】
本開示の一態様に係る記憶制御装置は、バッテリ管理プログラムは、前記バッテリ管理方法を実行するための命令を含む、少なくとも1つのプロセッサにより実行されるためのプログラムである。
【0008】
本開示の一態様に係る記憶制御装置は、車体に搭載されたバッテリの状態に関連する情報を受信する通信インターフェースと、メモリと、処理回路と、を備え、前記処理回路は、受信した前記情報に基づき、前記バッテリの状態を、予め定められた複数の状態カテゴリのいずれかに分類し、前記状態カテゴリに対応する前記バッテリの状態が生じた頻度をメモリに記憶する。
【0009】
本開示の一態様に係る移動体は、車体と、前記車体に搭載されたバッテリの状態に関連する情報を検出する少なくとも1つのセンサと、メモリと、前記少なくとも1つのセンサにより検出された情報に基づき、前記バッテリの状態を、予め定められた複数の状態カテゴリのいずれかに分類し、前記状態カテゴリに対応する前記バッテリの状態が生じた頻度を前記メモリに記憶する処理回路と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示の一態様によれば、バッテリの状態を記憶するためのメモリ容量の大型化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係るバッテリ管理方法を実施するためのバッテリ管理システムの概略的な構成を示す模式図である。
図2図1の電動二輪車の右側面図の一例である。
図3図1の電動二輪車の電気系統の一例を示すブロック図である。
図4図1の携帯端末およびサーバの構成を示すブロック図である。
図5図1のバッテリ管理システムにおけるバッテリ管理方法の流れを示すフローチャートである。
図6】バッテリの放電電流とバッテリの充電率とで示される各状態カテゴリに属した頻度の一例を示す表である。
図7】バッテリの温度とバッテリの充電率とで示される各状態カテゴリに属した頻度の一例を示す表である。
図8】車体側電子機器からサーバに送られるデータの構成例を示す図である。
図9】状態カテゴリに属した頻度を示すヒストグラムの一例である。
図10】バッテリの充電率で示される状態カテゴリに属した頻度の一例を示す表である。
図11】バッテリの放電電流で示される状態カテゴリに属した頻度の一例を示す表である。
図12】バッテリの温度で示される状態カテゴリに属した頻度の一例を示す表である。
図13】使用モードで示される状態カテゴリに属した頻度の一例を示す表である。
図14】状態カテゴリに属した頻度を示すヒストグラムの別の例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
【0013】
(システムの概要)
図1は、一実施形態に係るバッテリ管理方法を実施するためのバッテリ管理システム1の概略的な構成を示す模式図である。バッテリ管理システム1は、複数の移動体10の車体11にそれぞれ着脱可能に搭載される複数のバッテリパック30をサーバ50で管理するためのシステムである。本実施形態では、移動体10の一例として、電動二輪車10が説明される。
【0014】
電動二輪車10は、車体11とバッテリパック30とを備える。バッテリパック30は車体11に対して着脱可能に組み付けられる。
【0015】
本実施形態において、バッテリパック30は、様々な車体11に対して着脱され得る。例えば、バッテリ管理システム1において、走行中の電動二輪車10に搭載されたあるバッテリパック30の電池残量が残り僅かとなった場合、車体11のユーザは、所定のバッテリパックステーション2などで、電池残量が少ないバッテリパック30を、充電済みの別のバッテリパック30に交換することが可能となっている。
【0016】
本実施形態のバッテリ管理システム1では、バッテリパック30の使用履歴がサーバ50に保存される。具体的には、バッテリパック30が車体11に搭載されているときのバッテリパック30の状態の履歴を示す状態履歴情報が、一旦、車体11側の電子機器のメモリ19b(図3参照)に記憶される。その後、車体11側の電子機器とユーザが有する携帯端末40とが通信接続したときに、状態履歴情報を含む各種情報が、電動二輪車10から携帯端末40を介してサーバ50に送られる。サーバ50では、受信した状態履歴情報が、バッテリ識別情報と紐づけて記憶される。例えばサーバ50に記憶された状態履歴情報は、バッテリパックの状態を分析したり、バッテリパックの使用傾向を把握したりするために利用される。例えばサーバ50に記憶された情報には、インターネットなどを介してサーバ50外の情報端末装置60からアクセス可能である。以下、バッテリ管理システム1の構成要素について順次説明する。
【0017】
(電動二輪車)
図2は、図1に示す電動二輪車10の右側面図の一例である。図2に示すように、電動二輪車10は、車体11とバッテリパック30とを備える。バッテリパック30は車体11に対して着脱可能である。
【0018】
車体11は、従動輪である前輪12と、駆動輪である後輪13により支持されている。車体11には、走行駆動源である電気モータ14が支持されている。電気モータ14は、駆動輪である後輪13に伝達される走行駆動力を発生させる。電気モータ14により発生された走行駆動力は、動力伝達機構15を介して後輪13に伝達される。動力伝達機構15には、電気モータ14の回転を変速する変速機15aや、変速機15aから出力された回転動力を後輪13の車軸に伝達する機構15b(例えば、チェーン伝動機構やベルト伝動機構など)が含まれる。
【0019】
車体11は、車体フレームを有し、車体フレームは、ヘッドパイプ11aと、ヘッドパイプ11aから後方に延びた左右一対のメインフレーム11bとを有する。ヘッドパイプ11aは、ステアリングシャフト11cを回転自在に支持する。ステアリングシャフト11cには、略上下方向に延びるフロントフォーク11dが接続されており、フロントフォーク11dの下端部にて前輪12が回転自在に支持されている。ステアリングシャフト11cの上端部には、左右へ延びるバー型のハンドル11eが接続されている。ハンドル11eの右グリップは、電気モータ14により発生される走行動力を調整するためのアクセルグリップである。アクセルグリップが回動操作されると、その操作量がアクセルセンサ18(図3を参照)で検出される。
【0020】
ハンドル11eの前側にメータ装置19が配置されている。メータ装置19は、走行速度、モータ回転数およびバッテリ残量などを表示する表示器19cを有する。メータ装置19は、ブラケット16を介してヘッドパイプ11aに支持されている。
【0021】
車体11は、バッテリパック30を収容するためのバッテリ収容空間を有する。バッテリ収容空間は、例えば、左右方向における一対のメインフレーム11bの間に位置する。具体的には、バッテリ収容空間を有するバッテリケース17が、左右方向における一対のメインフレーム11bの間に配置され、一対のメインフレーム11bに対し固定されている。バッテリパック30をバッテリケース17に対し、例えば上下方向に相対移動させることで、バッテリケース17の上方からバッテリパック30をバッテリ収容空間内に挿入したりバッテリ収容空間から抜き取ったりすることが可能となっている。
【0022】
図3は、図1に示す電動二輪車10の電気系統の一例を示すブロック図である。電動二輪車10の車体11には、上述したメータ装置19に加え、車両制御装置(Electronic Control Unit。以下、ECUと称する)21およびインバータ装置22が固定されている。メータ装置19、ECU21およびインバータ装置22は、互いにCAN(Controller Area Network)20により通信可能に接続される。また、後述するように、バッテリパック30がバッテリ収容空間に収容された状態では、バッテリパック30に内蔵された機器が、車体11側のメータ装置19、ECU21およびインバータ装置22などに電気的に接続されている。
【0023】
メータ装置19は、走行速度、モータ回転数およびバッテリ残量などを表示する。メータ装置19は、CPU(中央処理装置:Central Processing Unit)19a、メモリ19b、表示器19cおよび通信器19dを含む。これら各構成物19a、19b、19c、19dが相互に通信可能に接続されている。CPU19aは、メータ装置19の動作を制御する。メモリ19bは、メータ装置19の動作に必要な各種プログラムおよびデータを記憶する。例えばメモリ19bは、後述のバッテリ管理方法を実行するための命令を含むバッテリ管理プログラムを記憶する。メモリ19bは、単一の記憶装置である必要はなく、複数の記憶装置により構成されてもよい。例えばメモリ19bは、RAM、ROM、ハードディスク、フラッシュメモリなどの複数種類の記憶装置のうちの1つでもよいし、2つ以上の組み合わせにより構成されてもよい。例えばメータ装置19の各種動作は、CPU19aがメモリ19bに記憶されたプログラムを実行することで実現される。
【0024】
また、後述するように、メモリ19bには、バッテリパック30の状態の履歴を示す状態履歴情報が上書き可能なデータとして記憶される。CPU19aは、メータ装置19が受信する後述のバッテリ状態情報に基づき、メモリ19bに記憶された状態履歴情報を更新し記憶する。
【0025】
CPU19aは、CAN20を通じて受信したデータに基づき、メータ装置19の表示器19cに、走行速度、モータ回転数およびバッテリ残量などを表示させる。本実施形態では、表示器19cは、例えば走行速度、モータ回転数およびバッテリ残量などをデジタル形式で表示する液晶表示装置である。ただし、メータ装置19は、表示器19cとして、液晶表示装置の代わりにまたは液晶表示装置に加えて、走行速度などをアナログ形式で表示する計器を含んでもよい。
【0026】
通信器19dは、携帯端末40と無線通信を行うための通信回路を有するモジュールである。例えば通信器19dは、アンテナやRF(Radio Frequency)回路等から構成される。本実施形態では、通信器19dと、当該通信器19dと通信する携帯端末40の第1通信器44とが行う無線通信は、ブルートゥース(登録商標)通信のような近距離無線通信であり、ペアリングされることにより無線通信可能となる。なお、通信器19dと第1通信器44とは、有線で互いに通信を行うものであってもよい。なお、通信機19dは、携帯端末40を介することなく、公衆無線回線を介してサーバに通信可能な機能を有してもよい。
【0027】
メータ装置19におけるCPU19a、通信器19dなどは、処理回路の一例である。メモリ19bは、車体側メモリの一例である。メータ装置19は、記憶制御装置の一例である。
【0028】
ECU21は、ユーザの操作により生成される操作指令や車両状態に応じて、電動二輪車10の走行動力を決定するコントロールユニットである。ECU21は、ユーザの操作により生成される操作指令や車両状態に応じて、インバータ装置22を制御し、ユーザ要求および車両状態に応じた走行制御を実行する。例えばECU21は、アクセルセンサ18により検出されるアクセル操作量を受信し、受信した信号に基づき、電気モータ14の回転数指令を生成する。ECU21は、CAN20を通じて回転数指令をインバータ装置22に送ることで、インバータ装置22のスイッチング動作を制御する。
【0029】
ECU21は、CPU21aおよびメモリ21bを含む。これらCPU21aおよびメモリ21bが相互に通信可能に接続されている。CPU21aは、ECU21の動作を制御する。メモリ21bは、ECU21の動作に必要な各種プログラムおよびデータを記憶する。メモリ21bは、単一の記憶装置である必要はなく、複数の記憶装置により構成されてもよい。例えばメモリ21bは、RAM、ROM、ハードディスク、フラッシュメモリなどの複数種類の記憶装置のうちの1つでもよいし、2つ以上の組み合わせにより構成されてもよい。例えばECU21の各種動作は、CPU21aがメモリ21bに記憶されたプログラムを実行することで実現される。
【0030】
インバータ装置22は、バッテリ収容空間に収容されたバッテリパック30のバッテリ31と電気的に接続される。インバータ装置22は、バッテリパック30から放電された直流電力を交流電力に変換する。インバータ装置22は、ECU21から受信した指令に基づき、出力する電圧および周波数を調整する。インバータ装置22から出力される電力は、電気モータ14に送られ、電気モータ14は、インバータ装置22からの交流電力により動作し、走行駆動力を発生させる。
【0031】
インバータ装置22は、CPU22a、メモリ22bおよびインバータ回路22cを含む。CPU22aは、インバータ装置22の動作を制御する。すなわち、CPU22aは、インバータ回路22cのスイッチング動作を制御する制御回路の一部として機能する。メモリ22bは、インバータ装置22の動作に必要な各種プログラムおよびデータを記憶する。メモリ22bは、単一の記憶装置である必要はなく、複数の記憶装置により構成されてもよい。例えばメモリ19bは、RAM、ROM、ハードディスク、フラッシュメモリなどの複数種類の記憶装置のうちの1つでもよいし、2つ以上の組み合わせにより構成されてもよい。インバータ装置22の各種動作は、例えばCPU22aがメモリ22bに記憶されたプログラムを実行することで実現される。
【0032】
また、車体11には、ECU21以外の1以上の他の制御装置24も固定されている。なお、図3では、図の簡単化のため、1以上の他の制御装置24をまとめて1つのブロックで示す。1以上の他の制御装置24は、CAN20に接続されている。すなわち、1以上の他の制御装置24は、メータ装置19、ECU21およびインバータ装置22並びにバッテリ収容空間に収容されたバッテリパック30に対し、CAN20により通信可能である。
【0033】
1以上の他の制御装置24が行う制御としては、例えば、オートクルーズ制御、トラクション制御、ABS制御、サスペンション制御、ステアリング制御、コーナリングライトなどが例示される。なお、コーナリングライトとは、電動二輪車10が旋回する際に、旋回方向奥側を自動的にライトで照らす機能である。また、電動二輪車10が、当該電動二輪車10の周りに存在する障害物や物体を検知するセンサ(例えばレーザレーダ、ミリ波レーダ、超音波センサ、またはカメラなど)を備える場合、制御装置24は、当該センサを制御する装置であり得る。各制御装置24は、各種プログラムおよびデータを記憶するメモリと、当該メモリに記憶されたプログラムを実行するCPUを備える。
【0034】
バッテリパック30は、バッテリ31、バッテリ管理ユニット(BMU:Battery Management Unit)32、ケーシング33、電圧センサ34、温度センサ35および電流センサ36を有する。バッテリ31、バッテリ管理ユニット32、電圧センサ34、温度センサ35および電流センサ36は、ケーシング33に収容されている。バッテリパック30がバッテリ収容空間に収容された状態では、バッテリパック30のバッテリ31およびバッテリ管理ユニット32は、車体11側の機器と電気的に接続されている。
【0035】
具体的には、バッテリパック30のケーシング33は、バッテリ側給電コネクタ33aを有する。バッテリ側給電コネクタ33aは、バッテリ31に電気的に接続されている。また、車体11には、車体側給電コネクタ23aが固定されている。車体側給電コネクタ23aは、インバータ装置22に電気的に接続されている。例えば車体側給電コネクタ23aは、バッテリケース17の一部である。バッテリ収容空間にバッテリパック30が収容された状態において、バッテリ側給電コネクタ33aは、車体側給電コネクタ23aと機械的且つ電気的に接続される。これにより、バッテリ31からインバータ装置22に、電気モータ14(駆動モータとも称し得る)を駆動するための駆動電力を給電可能となる。
【0036】
また、バッテリパック30のケーシング33は、バッテリ側通信コネクタ33bを有する。バッテリ側通信コネクタ33bは、バッテリ管理ユニット32に電気的に接続されている。また、車体11には、車体側通信コネクタ23bが固定されている。車体側通信コネクタ23bは、CAN20に接続されている。例えば車体側通信コネクタ23bは、バッテリケース17の一部である。バッテリ収容空間にバッテリパック30が収容された状態において、バッテリ側通信コネクタ33bは、車体側通信コネクタ23bと機械的且つ電気的に接続される。これにより、バッテリ管理ユニット32は、メータ装置19、ECU21およびインバータ装置22などの各種車体側電子機器とCAN20を通じて通信可能となる。すなわち、CAN20や車体側通信コネクタ23bは、車体11に搭載されたバッテリパック30と通信可能な通信インターフェースの一部である。
【0037】
バッテリ31は、複数のバッテリセルが直列に接続されて構成されている。
【0038】
バッテリ管理ユニット32は、CPU32aおよびメモリ32bを含む。CPU32aは、バッテリ管理ユニット32の動作を制御する。メモリ32bは、バッテリ管理ユニット32の動作に必要な各種プログラムおよびデータを記憶する。メモリ32bは、単一の記憶装置である必要はなく、複数の記憶装置により構成されてもよい。例えばメモリ32bは、RAM、ROM、ハードディスク、フラッシュメモリなどの複数種類の記憶装置のうちの1つでもよいし、2つ以上の組み合わせにより構成されてもよい。メモリ32bは、例えば、RAM、ROM、ハードディスク、または、フラッシュメモリを含む。バッテリ管理ユニット32の各種動作は、例えばCPU32aがメモリ32bに記憶されたプログラムを実行することで実現される。
【0039】
メモリ32bには、バッテリパック30を識別するための(すなわちバッテリ31を識別するための)バッテリ識別情報が記憶されている。
【0040】
バッテリ管理ユニット32は、電圧センサ34、温度センサ35および電流センサ36の各々に電気的に接続されている。電圧センサ34は、バッテリ31の各バッテリセルの電圧値を検出する。温度センサ35は、バッテリ31の温度を検出する。電流センサ36は、バッテリ31への充電電流やバッテリ31からの放電電流を検出する。バッテリ管理ユニット32は、電圧センサ34、温度センサ35および電流センサ36の各センサにより検出した情報に基づき、バッテリ31の状態を監視する。
【0041】
例えば、バッテリ管理ユニット32は、バッテリ31に蓄えられている電気量、すなわちバッテリ31の充電率(SOC:state of charge)を推定する。バッテリ管理ユニット32は、例えば電圧センサ34により検出された各バッテリセルの電圧値、電流センサ36により検出された充放電される電流量などから推定する。すなわち、バッテリ管理ユニット32は、車体11に搭載されたバッテリ31の状態に関連する情報を検出するセンサの1つとして機能している。
【0042】
例えばバッテリ管理ユニット32は、温度センサ35による検出値から、バッテリ31の温度が正常な範囲にあるかなどを判断する。
【0043】
例えばバッテリ管理ユニット32は、電流センサ36による検出値から、バッテリ31からの放電電流が正常な範囲にあるかなどを判断する。
【0044】
これらバッテリ31の充電率、バッテリ31の温度およびバッテリ31の放電電流は、バッテリ31の状態を示すバッテリ状態情報に含まれる。バッテリ状態情報は、バッテリ識別情報とともに、バッテリ管理ユニット32から常時(所定時間間隔で)CAN20に出力される。こうしてCAN20に出力されたバッテリ状態情報は、後述するように、車体11側の記憶装置(本例では、メータ装置19のメモリ19b)に記憶される状態履歴情報の生成に用いられる。
【0045】
(携帯端末)
図4は、図1に示す携帯端末40およびサーバ50の構成を示すブロック図である。携帯端末40は、電動二輪車10やサーバ50と通信可能な情報通信端末である。携帯端末40としては、例えばユーザが携帯するスマートフォンなどが例示される。携帯端末40は、CPU41、メモリ42、タッチスクリーン43、第1通信器44、および第2通信器45を含む。これら各構成物41、42、43、44、45が相互に通信可能に接続されている。
【0046】
CPU41は、携帯端末40の動作を制御する。メモリ42は、携帯端末40の動作に必要な各種プログラムおよびデータを記憶する。メモリ42は、単一の記憶装置である必要はなく、複数の記憶装置により構成されてもよい。例えばメモリ52は、RAM、ROM、フラッシュメモリなどの複数種類の記憶装置のうちの1つでもよいし、2つ以上の組み合わせにより構成されてもよい。携帯端末40の各種動作は、例えばCPU41がメモリ42に記憶されたプログラムを実行することで実現される。
【0047】
タッチスクリーン43は、ユーザからの操作入力を受け付ける入力器、およびユーザに視認可能な画面を表示する表示器を兼ねている。具体的に、タッチスクリーン43は、半透過型のディスプレイおよびバックライトLED(表示器)と、ディスプレイ上に配設されたタッチパネル(入力器)とを含む。なお、携帯端末40の入力器および表示器は、一体的でなくてもよく、別体であってもよい。
【0048】
第1通信器44は、電動二輪車10と無線通信を行うための通信回路を有するモジュールである。第1通信器44は、通信器19dと同様の構成であるため、説明を省略する。
【0049】
第2通信器45は、インターネットに接続するための通信回路を有するモジュールである。例えば第2通信器45は、無線LANモジュールである。例えば第2通信器45は、公衆無線回線を介してインターネットに接続する。第2通信器45は、接続したインターネットを介してサーバ50と通信する。
【0050】
(サーバ)
サーバ50は、CPU51、メモリ52、通信器53を含む。これら各構成物51、52、53が相互に通信可能に接続されている。
【0051】
CPU51は、サーバ50の動作を制御する。メモリ52は、サーバ50の動作に必要な各種プログラムおよびデータを記憶する。メモリ52は、単一の記憶装置である必要はなく、複数の記憶装置により構成されてもよい。例えばメモリ52は、RAM、ROM、ハードディスク、フラッシュメモリなどの複数種類の記憶装置のうちの1つでもよいし、2つ以上の組み合わせにより構成されてもよい。サーバ50の各種動作は、例えばCPU51がメモリ52に記憶されたプログラムを実行することで実現される。
【0052】
通信器53は、インターネットに接続するための通信回路を有するモジュールである。例えば通信器53は、無線LANモジュールやLANモジュールなどである。通信器53を介して受信した情報は、メモリに53に記憶される。通信器53は、接続したインターネットを介して電動二輪車10のユーザの携帯端末40と通信する。
【0053】
(バッテリ管理方法)
図5は、バッテリ管理システム1におけるバッテリ管理方法の流れを示すフローチャートである。バッテリパック30を車体11に搭載することで、バッテリ管理ユニット32と、車体11側のメータ装置19等の機器とがCAN20を介して互いに電気的に接続される(ステップS1)。すなわち、バッテリ管理ユニット32とメータ装置19との間で通信可能な状態となる。また、バッテリ31からインバータ装置22を介して電気モータ14に給電可能な状態となる。
【0054】
バッテリ管理ユニット32は、バッテリ31から電気モータ14に電力供給されている間、メモリ32bに記憶されたバッテリ識別情報、および、バッテリ状態情報を、CAN20に常時出力する(ステップS2,S3)。具体的には、電動二輪車10を走行可能な状態にするためのメインスイッチ(パワースイッチあるいはイグニッションスイッチとも称し得る)をオンにしている場合、バッテリパック30からCAN20にバッテリ識別情報およびバッテリ状態情報が出力され続ける。なお、メインスイッチをオフにしている場合、バッテリパック30からCAN20にバッテリ識別情報およびバッテリ状態情報が出力されない。
【0055】
メータ装置19は、バッテリ管理ユニット32から出力されたバッテリ識別情報およびバッテリ状態情報を受信する。メータ装置19では、CPU19aが、受信したバッテリ状態情報から、バッテリ状態情報に比べてデータ量の少ない、車体11に搭載されている間のバッテリ31の状態の履歴を示す状態履歴情報を生成する。そして、CPU19aが、生成した状態履歴情報をメモリ19bに記憶する(ステップS4)。メモリ19bには、状態履歴情報が、バッテリ識別情報と紐づけられて記憶される。
【0056】
なお、後述のステップS5の通信接続のタイミングに到達するまで、状態履歴情報の更新および記憶は継続される。また、後述のステップS5の前に、メモリ19bへの電力供給が停止した場合(すなわちメインスイッチがオフにされた場合)にも、メモリ19bにおける状態履歴情報の記憶は維持される。
【0057】
ステップS4における状態履歴情報の記憶について、具体的に説明する。上述の通り、BMU32、電圧センサ34、温度センサ35および電流センサ36などにより検出されたバッテリ状態情報が常時出力され続ける。出力される情報を全てメモリに記憶する、つまりバッテリ状態情報の時系列データをメモリに記憶し続けることは、メモリ容量の圧迫につながる。
【0058】
そこで、本実施形態では、メータ装置19において、CPU19aが、バッテリパック30から受信したバッテリ状態情報に基づき、バッテリの状態を、予め定められた複数の状態カテゴリのいずれかに分類する。そして、CPU19aが、当該状態カテゴリに対応するバッテリ31の状態が生じた頻度をメモリ19bに記憶する。頻度情報として状態履歴情報を記憶する方法について、図6および7を参照して、詳しく説明する。
【0059】
図6は、バッテリ31の放電電流とバッテリ31の充電率(SOC)とで示される各状態カテゴリに属した頻度の一例を示す表である。メータ装置19のCPU19aは、受信したバッテリ状態情報が含むバッテリ31の充電率とバッテリ31の放電電流の各値に基づき、受信したバッテリ状態情報に対応するバッテリ31の状態を、複数の状態カテゴリのいずれかに分類する。
【0060】
図6の例では、放電電流の値の範囲として、A1未満の範囲、A1以上で且つA2未満の範囲、A2以上で且つA3未満の範囲、A3以上で且つA4未満の範囲、A4以上の範囲の5つの範囲に区分されている。また、充電率の値の観点から、0%以上で且つ15%未満の範囲、15%以上で且つ30%未満の範囲、30%以上で且つ70%未満の範囲、70%以上で且つ85%未満の範囲、85%以上で且つ100%以下の5つの範囲に区分されている。すなわち、バッテリ31の放電電流とバッテリ31の充電率(SOC)との組合せは、5×5の25個の状態カテゴリのいずれかに分類される。
【0061】
状態カテゴリに分類した後、CPU19aは、当該状態カテゴリに対応するバッテリ31の状態が生じた頻度として、当該状態カテゴリに対応するバッテリ31の状態でバッテリ31が使用された時間(以下、カテゴリ毎使用時間とも称する)をメモリ19bに記憶する。図6の表において、状態カテゴリに対応する各マスの値(X1~X25)の単位は、時間(hour)である。
【0062】
具体的には、メモリ19bに、25個の状態カテゴリの各々に対応するカテゴリ毎使用時間が、バッテリ識別情報と紐づけて記憶されている。CPU19aは、受信したバッテリ状態情報に基づき、各状態カテゴリに属している頻度(本例では時間)をカウントして、メモリ19bに記憶された各状態カテゴリに対応するカテゴリ毎使用時間を更新する。例えば、充電率が85%以上で且つ100%以下の状態で、バッテリ31からA2以上で且つA3未満の範囲の電流が1時間、放電され続けたと仮定する。この場合、充電率が85%以上で且つ100%以下、且つ、放電電流値がA2以上で且つA3未満に対応する状態カテゴリのカテゴリ毎使用時間に対して、1時間が加算される。
【0063】
また、図7は、バッテリ31の温度とバッテリ31の充電率(SOC)とで示される各状態カテゴリに属した頻度の一例を示す表である。メータ装置19のCPU19aは、受信したバッテリ状態情報が含むバッテリ31の充電率とバッテリ31の温度の各値に基づき、受信したバッテリ状態情報に対応するバッテリ31の状態を、図6に示した状態カテゴリとは異なる種類の複数の状態カテゴリのいずれかに分類する。
【0064】
図7の例では、バッテリ31の温度の値の範囲として、B1未満の範囲、B1以上で且つB2未満の範囲、B2以上で且つB3未満の範囲、B3以上で且つB4未満の範囲、B4以上で且つB5未満の範囲、B5以上の範囲の6つの範囲に区分されている。また、充電率の値の観点から、0%以上で且つ15%未満の範囲、15%以上で且つ30%未満の範囲、30%以上で且つ70%未満の範囲、70%以上で且つ85%未満の範囲、85%以上で且つ100%以下の5つの範囲に区分されている。すなわち、バッテリ31の温度とバッテリ31の充電率(SOC)との組合せは、6×5の30個の状態カテゴリのいずれかに分類される。
【0065】
状態カテゴリに分類した後、CPU19aは、当該状態カテゴリに対応するバッテリ31の状態が生じた頻度として、カテゴリ毎使用時間をメモリ19bに記憶する。図7の表において、図6同様、状態カテゴリに対応する各マスの値(Y1~Y30)の単位は、時間(hour)である。
【0066】
具体的には、メモリ19bに、30個の状態カテゴリの各々に対応するカテゴリ毎使用時間が、バッテリ識別情報と紐づけて記憶されている。CPU19aは、受信したバッテリ状態情報に基づき、各状態カテゴリに属している頻度(本例では時間)をカウントして、メモリ19bに記憶された各状態カテゴリに対応するカテゴリ毎使用時間を更新する。例えば、充電率が85%以上で且つ100%以下で、バッテリ31の温度がB3以上で且つB4未満の範囲にある状態が1時間続いたと仮定する。この場合、充電率が85%以上で且つ100%以下、且つ、バッテリ31の温度がB3以上で且つB4未満に対応する状態カテゴリのカテゴリ毎使用時間に対して、1時間が加算される。
【0067】
このように、バッテリ31の状態の履歴を示す状態履歴情報は、バッテリ31の予め定められた状態に属した頻度(本例では時間)の累積を示す情報として記憶されるため、データ量の少ない形でバッテリ31の状態の履歴の記憶が可能である。
【0068】
図6および7の例では、状態カテゴリにおける充電率の範囲の幅は均等ではない。つまり、充電率により区分される充電率が30%以上で且つ70%未満という範囲の幅は、約40%であるが、それ以外の範囲の幅は約15%である。すなわち、充電率が0%や100%に近いカテゴリの充電率の範囲の幅は、比較的小さい。このように、バッテリ31の状態に関連する情報の範囲(言い換えれば、その状態カテゴリに属するためのセンサ検出値の範囲)を状態カテゴリごとに変えているのは、バッテリの劣化状況を評価しやすくするためである。
【0069】
より詳しく説明すれば、バッテリ管理システム1のシステム構築者等は、鋭意研究の結果、バッテリ31の充電率、バッテリ31の放電電流、バッテリ31の温度は、バッテリ31の劣化を把握するのに特に有用な情報であるという考えに至った。さらに、システム構築者等は、充電率が100%近傍または0%近傍にある状態が長いほど、バッテリ31の劣化が早いという考えに至った。さらに、充電率が100%近傍または0%近傍にある状態で、バッテリ31の温度が常温から離れた状態で使用されたり、放電電流が大きかったりすると、更にバッテリ劣化を早めるという考えに至った。例えばバッテリの充電率が50%であるバッテリ31の状態を含む範囲、本例では、充電率が30%以上で且つ70%未満という範囲では、それ以外の範囲と比べて、バッテリ劣化が起こりにくい。そこで、バッテリ31の劣化を引き起こしやすいカテゴリを細分化することで、バッテリの劣化状況を評価しやすくしている。言い換えれば、劣化に影響しやすい領域の情報量を多くすることで、バッテリの劣化状況を評価しやすくしている。
【0070】
例えば、放電電流の値の範囲についても、状態カテゴリごとに変えてもよい。例えば、バッテリの劣化を引き起こしやすい大電流を示す範囲であるA3以上で且つA4未満の範囲の幅(即ち、|A4-A3|)は、A3以上で且つA4未満の範囲より低電流であるA2以上で且つA3未満の範囲の幅(即ち、|A3-A2|)より狭くしてもよい。例えば、バッテリの劣化を引き起こしやすい高温状態を示す範囲であるB4以上で且つB5未満の範囲の幅(即ち、|B4-B3|)は、B4以上で且つB5未満の範囲未満の範囲より低温であるB2以上で且つB3未満の範囲の幅(即ち、|B3-B2|)より狭くしてもよい。
【0071】
図5に戻って、メータ装置19は、メモリ19bに記憶された状態履歴情報を、電動二輪車10のユーザが携帯する携帯端末40を介して、電動二輪車10からサーバ50に定期的または不定期に送信する。具体的には、メータ装置19と、ユーザが所有する携帯端末40とが互いに通信接続すると(ステップS5)、メータ装置19のCPU19aは、通信器19dを介して、状態履歴情報およびバッテリ識別情報を含む各種情報を携帯端末40に送信する(ステップS6)。携帯端末40は、第2通信器45を介して、受信した各種情報をサーバ50に送信する(ステップS7)。
【0072】
図8に、車体側電子機器の一例であるメータ装置19からサーバ50に送られるデータの構成例を示す。サーバ50には、状態履歴情報(本実施形態では、各状態カテゴリの頻度を示す情報)およびバッテリ識別情報(バッテリIDとも称する)の他、車体識別情報(車体IDとも称する)、ユーザ識別情報(ユーザIDとも称する)、利用業種情報、検出期間情報、バッテリ使用時間情報、送信日時情報、位置識別情報(位置IDとも称する)などが含まれる。これらサーバ50に送られる各種情報は、互いに関連付けられている。
【0073】
車体識別情報は、車体11を識別するための情報である。車体識別情報は、車体11の種類を示す車種タイプ情報を含む。ただし、サーバ50に送られる各種情報は、車体識別情報とは別に車種タイプ情報を含んでもよい。
【0074】
ユーザ識別情報は、車体11のユーザを識別するための情報である。利用業種情報は、電動二輪車10の利用される方法を分類するための情報である。利用業種情報は、例えば趣味やレジャー目的でユーザに利用されているか、電動二輪車10を使用した宅配業者など、仕事のために利用されているか、レンタル業者が電動二輪車10を使用したいユーザに貸し出すことで使用されているかなどを識別可能にする。ユーザ識別情報は、ユーザの特徴やユーザが住む国や地域を示す情報などを含んでもよい。ユーザ識別情報が、利用業種情報を含んでもよい。
【0075】
本実施形態では、車体識別情報、ユーザ識別情報および利用業種情報は、メータ装置19のメモリ19bに記憶されている。ただし、車体識別情報、ユーザ識別情報および利用業種情報は、ECU21など、車体11に固定された別の電子機器のメモリに記憶されてもいてもよい。また、メモリに記憶されたユーザ識別情報および利用業種情報などを、ユーザがメータ装置19や携帯端末40などを操作することにより変更可能でもよい。
【0076】
検出期間情報は、ともにサーバ50に送られる状態履歴情報を生成するために使用された元データ(即ち、バッテリ状態情報)の検出期間を示す情報である。つまり、検出期間情報は、ともにサーバ50に送られる状態履歴情報が何時から何時までのバッテリの状態の履歴であるかを示す。例えば検出期間情報は、バッテリ状態情報の取得を開始した日時および終了した日時を示す情報を含み得る。
【0077】
バッテリ使用時間情報は、バッテリパック30の使用時間を示す情報である。例えばバッテリ使用時間情報は、バッテリパック30の製造日から現在までの時間を示す情報でもよい。例えばバッテリ使用時間情報は、ユーザがバッテリパック30を使用し始めてからの経過期間を示す情報でもよい。バッテリ使用時間情報は、車体側電子機器に電力供給している間の時間を示す情報でもよい。
【0078】
送信日時情報は、状態履歴情報を含む各種情報が携帯端末40またはサーバ5に送信された日時を示す情報である。
【0079】
位置識別情報は、車体11の存在地域を識別するための情報である。例えば、位置識別情報は、情報が送信されたとき、または、バッテリ状態情報が取得されたときの電動二輪車10の地理的な位置を示す情報である。例えば位置識別情報は、電動二輪車10が備えるGPS(Global Positioning System)により取得される、情報送信時における電動二輪車10の位置情報でもよい。例えば位置識別情報は、情報送信時に情報を中継した基地局の位置を示す情報でもよい。位置識別情報は、車体に付与される国別の識別情報でもよい。位置識別情報は、電動二輪車10のユーザなどにより予め登録された存在地域情報であってもよいし、センサなどにより取得された情報でもよい。
【0080】
図5のステップS5,S6において、電動二輪車10は、予め定めるタイミングで携帯端末40と通信してもよい。例えば電動二輪車10は、当該電動二輪車10の始動操作があったタイミング、すなわちメインスイッチをオンにしたタイミングで定期的に携帯端末40に通信接続し得る。他の例として、運転者が、電動二輪車10または携帯端末40に対して、電動二輪車10と携帯端末40との通信接続を命令する操作を行った不定期のタイミングで通信接続してもよい。また他の例として、電動二輪車10の整備タイミングで、整備者の所有する携帯端末と通信接続してもよい。
【0081】
サーバ50では、受信した状態履歴情報およびバッテリ識別情報が互いに紐づけられてメモリに52に記憶される(ステップS8)。サーバ50は、状態履歴情報等の車体11側から送信される情報を記憶すると、記憶が完了したことを示す記憶完了情報を携帯端末40に送信する(ステップS9)。
【0082】
携帯端末40は、サーバ50から記憶完了情報を受信すると、車体11側の電子機器であるメータ装置19に記憶完了情報を送信する(ステップS10)。メータ装置19は、記憶完了情報を取得すると、送信した状態履歴情報を消去する(ステップS11)。
【0083】
このようにして、サーバ50には、状態履歴情報が蓄積される。サーバ50に記憶された情報へのアクセスを許可された情報端末装置60では、サーバ50に記憶された状態履歴情報から、バッテリパック30の状態をヒストグラムや表などに視覚化して表示可能である。例えば、図9に、状態カテゴリに属した頻度を示すヒストグラムの一例を示す。このように、各状態カテゴリの頻度をヒストグラムとして、情報端末装置60のディスプレイに出力することにより、バッテリパック30の使用履歴の把握が容易となる。情報端末装置60は、バッテリパックの開発者やバッテリ整備業者などが使用する装置でもよいし、ユーザが所有する携帯端末40でもよい。
【0084】
ところで、バッテリパック30が車体11から取り外されて、別の車体11に載せ替えられる場合がある。この場合でも、サーバ50は、バッテリパック30が載せ替えられた別の車体11から新たに状態履歴情報を受信して、蓄積する。サーバ50は、バッテリパック30のバッテリ識別情報毎に状態履歴情報を集約することで、バッテリパック30の状態の時間経過を集約管理することができる。
【0085】
より詳しく説明すれば、バッテリパック30が以前に搭載されていた車体から得た状態履歴情報も、バッテリパック30が現在搭載されている車体から得た状態履歴情報も、同じバッテリ識別情報に紐づいた情報である。このため、サーバ50では、バッテリパック30が以前に搭載されていた車体から得た状態履歴情報に対し、バッテリパック30が現在搭載されている車体から得た状態履歴情報を合算することも可能である。このように、現在の車体11に搭載される間の状態履歴情報だけでなく、以前の車体11に搭載されている間の状態履歴情報も利用して、バッテリの状態を分析できるため、精度よくバッテリの状態を把握することができる。
【0086】
そのほか、サーバ50は、集約した情報に基づいて、車体識別情報毎に状態履歴情報を集約したり、ユーザ識別情報毎に状態履歴情報を集約したりすることができる。また、サーバ50は、車種タイプ、利用業種または利用地域に応じて、バッテリパック30の利用可否の条件を異ならせて診断してもよい。
【0087】
例えばサーバ50に記憶された状態履歴情報のうち、ある車体Aを示す車体識別情報に関連付けられた状態履歴情報と、別の車体Bを示す車体識別情報に関連付けられた状態履歴情報とを比較することも容易に行うことが可能である。このように、車体識別情報毎に状態履歴情報を集約できるため、バッテリパック30に異常があったときに、どの車体に搭載されていたときに異常が発生し始めたかなどを分析しやすい。
【0088】
また、サーバ50外の端末からサーバ50にアクセスして、サーバ50に集約された情報を、サーバ50からサーバ50外の端末に送ることも可能である。これにより、サーバ50外の端末において、バッテリパック30の利用可否に関する診断を行うことができる。サーバ50外の端末は、例えばサーバ50に記憶された情報へのアクセスを許可された情報端末装置60、ユーザが所有する携帯端末40などが例示される。また、サーバ50外の端末は、サーバ50において行われたバッテリパック30の診断結果を受信できもよい。
【0089】
サーバ50のCPU51は、集約した情報に基づいて、バッテリパック30の利用可否に関する診断を行うことができる。サーバ50でバッテリパック30を診断する場合には、例えば、サーバ50では、CPU51が、同じバッテリ識別情報に紐づけられてメモリ52に記憶された状態履歴情報から、バッテリ31の劣化の程度を判定する。たとえば、CPU51が、劣化が促進する因子の頻度に基づいて、劣化判断や利用可否を判断する。より具体的には、CPU51は、SOCが低い又は高い状態カテゴリ(例えば、0%以上で且つ15%未満の範囲や、85%以上で且つ100%以下の範囲など)に属している時間が予め定める所定期間を超えている場合には、劣化の程度が大きいと判断してもよい。同様に、CPU51は、温度が所定範囲外にある時間や、電流が過剰に流れる時間が所定期間を超えている場合に、バッテリ31の劣化の程度が大きいと判断してもよい。バッテリパックの開発者やバッテリ整備業者は、バッテリ31の劣化の程度が大きいバッテリパック30を回収して、詳細に診断して、バッテリ31に異常がないかどうかを評価したりしてもよい。
【0090】
また、サーバ50に集約した情報に基づくことで、劣化が生じる原因を分析しやすくすることができる。また、サーバ50に集約した情報から、劣化の程度が大きい運転者のグループを特定して、バッテリ1の劣化に影響する電動二輪車10の使用環境や運転操作を分析してもよい。また、サーバ50に集約した情報に基づいて、要求されるバッテリの性能を分析してもよい。このようにサーバ50に履歴情報を集約することで、多様な観点からの分析が可能となる。
【0091】
また、ステップS11において、メータ装置19では、メモリ19bから状態履歴情報が消去される。本実施例では、メモリ19bから状態履歴情報の全部が消去されるが、メモリ19bから状態履歴情報の一部が消去されてもよい。また、メモリ19bから状態履歴情報が消去されなくてもよい。つまり、ステップS11がなくてもよい。
【0092】
例えば、メモリ19bには、状態履歴情報が、バッテリ識別情報と紐づけられて記憶される。車体11に搭載されるバッテリパック30が変更されると、メモリ19bには、以前搭載されていたバッテリパック30のバッテリ識別情報と紐づけて記憶された状態履歴情報とは別に、新たに搭載されたバッテリパック30の状態履歴情報が、新たに搭載されたバッテリパック30のバッテリ識別情報と紐づけられて記憶されることとなる。車体11に搭載されるバッテリパック30の交換が繰り返されるたびに、メモリ19bでは、バッテリパック30ごとに状態履歴情報を記憶するための記憶領域が確保されるため、状態履歴情報がメモリ容量を圧迫することになり得る。一方で、既にサーバ50へと送られた状態履歴情報は、メモリ19bに記憶しておく必要がない。このため、メータ装置19では、例えば以前搭載されていたバッテリパック30のバッテリ識別情報と紐づけて記憶された状態履歴情報など、不要な状態履歴情報を消去する。不要な状態履歴情報の消去は、例えばバッテリパック30の交換が行われた後に実行され得る。
【0093】
例えばステップS5のメータ装置19と携帯端末40との通信接続は、例えば携帯端末40のユーザが、携帯端末40のメモリ42に記憶された所定のアプリケーションプログラムを起動することで実現され得る。この場合、ユーザが当該アプリケーションプログラムを起動しない限り、サーバ50に、バッテリパック30の状態履歴情報が集まらない。そこで、車体11側の電子機器には、携帯端末40により車体11の電子機器と通信することをユーザに促す機能が備えられていてもよい。
【0094】
例えば、メータ装置19と携帯端末40との通信接続が所定の日数の間、実行されなかった場合、メータ装置19では、CPU19aは、表示器19cに、メータ装置19と携帯端末40との通信接続を促すメッセージや警告を表示させる。
【0095】
あるいは、ユーザが電動二輪車10に乗車する際に、メータ装置19と携帯端末40との通信接続が行われない限り、走行しないように電動二輪車10が構成されていてもよい。例えば、ECU21のCPU21aは、メータ装置19と携帯端末40との通信接続があったか否かを判定する。メータ装置19と携帯端末40との通信接続がないと判定した場合には、ECU21のCPU21aは、アクセルセンサ18がユーザによるアクセル操作を検出したとしても、電気モータ14へ給電するための指令をインバータ装置22に送らない。
【0096】
このように車体11側の電子機器に、携帯端末40により車体11の電子機器と通信することをユーザに促す機能が備えられることで、携帯端末40と車体側電子機器との通信にユーザの操作が必要となる場合でも、サーバ50にバッテリパック30の状態履歴情報を集約しやすくなる。
【0097】
(作用効果)
以上に説明したように、本実施形態によれば、バッテリ31の状態を状態カテゴリに分類し、状態カテゴリに対応するバッテリ31の状態が生じた頻度をメモリ19dに記憶する。このため、BMU32、電圧センサ34、温度センサ35および電流センサ36により検出されたバッテリ状態情報をそのままメモリ19dに蓄積する場合に比べて(言い換えれば各種センサにより検出された値を時系列データとして記憶する場合に比べて)、バッテリ31の状態を記憶するためのメモリ容量の大型化を防ぐことができる。
【0098】
また、本実施形態では、状態カテゴリに対応するバッテリ31の状態が生じた頻度を、状態カテゴリに対応するバッテリ31の状態でバッテリ31が使用された時間であるカテゴリ毎使用時間として記憶するため、バッテリ31がどのような状態にあったかを把握しやすい。
【0099】
また、本実施形態では、状態カテゴリが、バッテリの充電率とバッテリの放電電流との組合せにより区分されたカテゴリや、バッテリの充電率とバッテリの温度との組合せにより区分されたカテゴリであるため、バッテリの使用履歴として最低限の情報を抽出でき、メモリ容量を削減しやすい。
【0100】
また、本実施形態では、バッテリ31の劣化が起こりにくい、充電率が30%以上で且つ70%未満のカテゴリ(第1カテゴリ)と比べて、バッテリ31の劣化が起こりやすい充電率が30%以上で且つ70%未満以外のカテゴリ(第2カテゴリ)を細分化することで、バッテリ31の劣化状況を評価しやすい。
【0101】
また、本実施形態では、メモリ19bには、状態履歴情報が、車体識別情報と紐づけられて記憶されるため、バッテリ状態の履歴として活用しやすい。
【0102】
また、本実施形態では、メモリ19bには、状態履歴情報が、バッテリ識別情報と紐づけられて記憶されるため、バッテリ状態の履歴として活用しやすい。
【0103】
(その他の実施形態)
本開示は上述した実施形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0104】
上記実施形態では、バッテリパックが着脱可能な車体を有する移動体の一例として、電動二輪車を例示したが、移動体は、電気自動車などの別の種類の移動体であってもよい。移動体は、例えば走行動力源として内燃機関および電気モータを備えたハイブリッド車両であってもよい。移動体は、自動二輪車のほか、自転車や、四輪車などでもよい。なお、本開示のバッテリ管理方法は、四輪車に比べて、大きいメモリを搭載する収容スペースの余裕が少ない鞍乗車両にさらに好適に用いられる。バッテリパックは、異なる形態の移動体の間で共通に用いられるものでもよい。例えばバッテリパックが、二輪車に搭載された後に、別の車両である四輪車に搭載されてもよい。バッテリパックが搭載される移動体は、草刈り機、電動工具、掃除機などの電動作業機などの非乗物でもよい。移動体は、ユーザが搭乗する乗物でなくてもよく、ユーザが搭乗しない無人移動体であってもよい。
【0105】
上記実施形態では、メータ装置19のメモリ19bに、状態履歴情報が記憶されたが、状態履歴情報が記憶されるメモリは、これに限定されない。例えば、状態履歴情報は、メータ装置19のメモリ19bに記憶される代わりに、ECU21のメモリ21bに記憶されてもよいし、インバータ装置22のメモリ22bに記憶されてもよいし、他の制御装置24のメモリに記憶されてもよい。状態履歴情報は、車体に固定された、バッテリパック以外の電装品であるパック外電装品に搭載されるメモリ、言い換えると車体側メモリに記憶されていてもよい。車体側メモリは、記憶以外の機能も有するパック外電装品に搭載されることが好ましい。
【0106】
パック外電装品に設けられるメモリの記憶機能を利用することで、新たに記憶装置を設ける必要がなく、部品点数の削減を図ることができる。またパック外電装品の記憶以外の機能は、制御対象であるアクチュエータを制御する制御機能が想定されてもよい。この場合、状態履歴情報は、制御機能を実施するためのプログラムを記憶したり、プログラムを実行するための演算情報を記憶したりする記憶領域に記憶される。例えば、制御機能は、メータ制御、エンジン制御およびバッテリ制御のほか、ブレーキ制御、サスペンション制御、ランプ制御、レーダやカメラの制御、ソレノイドバルブ制御など、車体に設けられるアクチュエータやセンサの制御が想定される。状態履歴情報は、制御機能のための記憶領域の一部に記憶される。
【0107】
また、上述したようにメモリに記憶される状態履歴情報は、バッテリ状態情報を、頻度の情報としてデータ容量が抑えられた情報に加工することで生成される。これによって、パック外電装品のメモリの容量を超えないように状態履歴情報を記憶しやすい。また上述したように、パック外電装品のメモリからサーバに向けて状態履歴情報の送信が終了した後に、送信した状態履歴情報の少なくとも一部がメモリから消去される。これによってパック外電装品のメモリの容量を超えないように状態履歴情報を記憶しやすい。また状態履歴情報の記憶に用いられるパック外電装品は、1つに限らずに、複数の電装品が用いられてもよい。これによって、システム全体として、状態履歴情報を記憶するための容量を大きくすることができる。なお、上述の記載では、車体側メモリは、記憶以外の機能を有するとしたが、これに限られず、記憶機能だけを有する電装品であってもよい。
【0108】
また、例えば車体11に着脱可能なバイク用携帯端末ホルダーなどにより、車体11に対して携帯端末40を固定する場合には、状態履歴情報は、車体11に対して固定した携帯端末40のメモリ42に記憶され得る。すなわち、車体に固定された携帯端末40のメモリも、「車体に固定された車体側メモリ」であり得る。
【0109】
状態履歴情報が記憶される車体側メモリには、フラッシュメモリのような、処理回路の指令に基づいて記憶内容を消去可能であるとともに、電源供給が停止されても記憶内容を保持する機能を有することが好ましい。
【0110】
そのほか、上述する状態履歴情報を記憶するメモリとして、バッテリパック内の電装部品のメモリが用いられてもよい。そのほか、運転時に運転者が携帯している携帯端末や、整備時に作業者が所持する整備端末は、車体に対して固定されていないが、例えば携帯端末または整備端末が車両と通信可能でかつ、サーバへの情報の送信が可能でありさえすれば、車体に対して固定されていない携帯端末または整備端末のメモリに状態履歴情報が記憶されてもよい。
【0111】
また、処理回路は、メータ装置19の回路に限られない。車両に搭載される各種の制御装置の処理回路を利用することができる。たとえば、ECUの回路でもよいし、インバータ装置の回路でもよいし、車体に対して携帯端末を固定する場合には携帯端末の回路でもよい。処理回路は、車体に固定された複数の電子機器が含む回路により構成されてもよい。
【0112】
車体に搭載される複数の電装部品において、状態履歴情報を生成する電装品と、生成された状態履歴情報を記憶する電装品とが同じであってもよいし、異なってもよい。例えば、上記実施形態では、メータ装置19のCPU19aが、受信したバッテリ状態情報から、頻度情報としての状態履歴情報を生成し、メモリ19bに記憶したが、別の電装品の回路が状態履歴情報を生成してもよいし、別の電装品のメモリに状態履歴情報が記憶されてもよい。状態履歴情報を生成する電装品の回路が、状態履歴情報を記憶する電装品のメモリに過去に記憶された状態履歴情報(頻度情報)を読み込んで、当該読み込んだ頻度情報に、バッテリ状態情報から今回生成した状態履歴情報を加算してもよく、これにより、過去からの累積の頻度を示す状態履歴情報を生成してもよい。こうして生成された状態履歴情報が、状態履歴情報を記憶する電装品のメモリに記憶されることで、当該メモリに記憶される情報が更新されてもよい。
【0113】
また、バッテリパックが搭載された移動体における記憶制御装置の一例として、上記実施形態では、メータ装置が説明されたが、記憶制御装置は、これに限定されない。記憶制御装置は、ECUでもよいし、インバータ装置でもよいし、それら以外の車体に搭載される電装部品でもよい。記憶制御装置は、車体に固定されたバッテリパック以外の1つまたは複数の機器により構成されてもよい。また、記憶制御装置は、状態履歴情報を記憶するメモリを備える携帯端末でもよい。
【0114】
上記実施形態では、携帯端末40に状態履歴情報を送る通信器が、メータ装置19の一部であったが、携帯端末に状態履歴情報を送る通信器は、メータ装置とは別体であってもよいし、車体に固定された他の機器の一部であってもよい。
【0115】
上記実施形態では、状態履歴情報が、ユーザが携帯する携帯端末を介して、移動体である電動二輪車からサーバ50に送信されたが、状態履歴情報は、移動体からサーバにユーザが携帯する携帯端末を介さずに送信されてもよい。例えば移動体の車体には、公衆無線回線に接続可能なアンテナを含む通信回路が搭載されていてもよい。この場合、運転者の携帯端末の有無に拘らずに、状態履歴情報が車体からサーバに送信されてもよい。移動体からサーバに、情報が無線で送られてもよいし、有線で送られてもよい。
【0116】
図6および7に示したカテゴリは、状態カテゴリの例として示したにすぎない。状態カテゴリの区分方法はこれに限定されない。例えば状態カテゴリにおける充電率の範囲の幅は均等でもよい。例えば、状態カテゴリは、図10、11、12にそれぞれ示すように、バッテリ31の充電率、バッテリ31の放電電流、バッテリ31の温度のいずれか1つのみにより区分されたカテゴリであってもよい。また、状態カテゴリは、バッテリ31の充電率、バッテリ31の放電電流およびバッテリ31の温度のうちの2つ以上の組合せにより区分されたカテゴリであってもよい。CPUなどの処理回路が、バッテリ状態情報に基づき、バッテリの状態を、1種類の状態カテゴリに分類してもよいし、複数種類(例えば図6、7、10、11、12などに示した状態カテゴリのうち2つ以上)の状態カテゴリに分類してもよい。
【0117】
ところで、バッテリの放電電流が大きいほど、バッテリの温度が高くなる傾向にある。また、温度が高い状態でのバッテリの使用は、バッテリ劣化を早め得る。このため、上述したように、充電率が100%近傍または0%近傍にある状態で、バッテリ31の温度が常温から離れた状態で使用されたり、放電電流が大きかったりすると、更にバッテリ劣化が早まると考えられる。このため、図6および7のように、充電率(SOC)と、バッテリの温度またはバッテリの温度に影響を及ぼすパラメータ(例えばバッテリの放電電流)を示す温度関連情報との関係で状態カテゴリを区分することは、バッテリの劣化度合いを把握するのに有用であり得る。
【0118】
また、複数の状態カテゴリは、少なくともバッテリの充電率により区分された、第1カテゴリと、第1カテゴリに対応するバッテリの状態に比べて前記バッテリの劣化を引き起こしやすい第2カテゴリを含み、各第2カテゴリに対応する充電率の幅を、第1カテゴリに対応する充電率の幅よりより狭くすることは、バッテリの劣化状況の評価のしやすさの観点から好ましい。
【0119】
例えば、状態カテゴリは、バッテリ31の充電率、バッテリ31の放電電流、バッテリ31の温度以外の項目で区分されたものであってもよい。例えば図13に、走行動力源として内燃機関および電気モータを備えたハイブリッド車両における制御モードで示される状態カテゴリに属した頻度の一例を示す表である。図13に示すように、制御モードに属した頻度を、状態履歴情報として記憶することも可能である。すなわち、状態カテゴリを区分する1以上のパラメータは、バッテリ31の充電率、バッテリ31の放電電流、バッテリ31の温度のいずれでもなくてもよいし、バッテリ31の充電率、バッテリ31の放電電流、バッテリ31の温度の1以上を含んでもよい。
【0120】
図9には、バッテリ31の温度とバッテリ31の充電率(SOC)とで示される各状態カテゴリに属した頻度を示すヒストグラムが示されたが、これは一例にすぎない。例えば情報端末装置60のディスプレイに表示される状態履歴情報は、図14に示すように、1つのパラメータにより区分された状態カテゴリに属した頻度を示すヒストグラムでもよい。
【0121】
車体側の電子機器において、CPUは、状態カテゴリに対応するバッテリ31の状態が生じた頻度として、状態カテゴリに対応するバッテリ31の状態でバッテリ31が使用された時間(カテゴリ毎使用時間)をメモリ19bに記憶したが、状態カテゴリに対応するバッテリ31の状態が生じた頻度は、時間でカウントされなくてもよい。例えば、CPUは、状態カテゴリに対応するバッテリ31の状態が生じた頻度として、バッテリの総使用時間に対するカテゴリ毎使用時間の割合をメモリ19bに記憶してもよい。つまり、図6、7の例では、単位が時間であったが、単位は百分率(%)であってもよい。この場合、車体側の電子機器において、CPUは、バッテリの総使用時間もメモリに記憶してもよい。車体側の電子機器からサーバに、状態履歴情報とともに、バッテリの総使用時間も送られてもよい。
【0122】
また、状態カテゴリに属した頻度は、状態カテゴリに属してから脱するまでの回数で算出してもよいし、状態カテゴリに予め定める時間(例えば10分)だけ継続して属していた場合に加算するように算出してもよい。状態カテゴリがSOCの範囲で示される場合、バッテリの充電または放電を開始したときのSOCの値が状態カテゴリに属した回数を、その状態カテゴリの頻度情報としてカウントしてもよい。
【0123】
移動体からサーバに送られる各種情報は、上記実施形態で説明されたものに限定されない。例えばサーバに送られる各種情報は、車体識別情報(車体ID)、ユーザ識別情報(ユーザID)、利用業種情報、検出期間情報、バッテリ使用時間情報、送信日時情報、位置識別情報のうちの一部または全部を含まなくてもよい。サーバに送られる各種情報に、トータルの充電回数など別の情報が含まれてもよい。サーバに総充放電量やSOCもサーバに送られてもよい。
【0124】
上記実施形態では、バッテリ31の状態の履歴を示す状態履歴情報は、バッテリ31の予め定められた状態に属した時間の累積を示す情報として記憶されたが、状態履歴情報の記憶方法はこれに限定されない。例えば、センサの検出値の時系列データ(つまり、生データ、バッテリ状態情報)が、状態履歴情報としてメモリに記憶されてもよい。言い換えれば、メモリに記憶される状態履歴情報は、バッテリ状態情報から頻度情報として生成されたものでもよいし、バッテリ状態情報自体であってもよいし、バッテリ状態情報から頻度情報以外の別の形式に加工された情報であってもよい。
【0125】
上記実施形態では、バッテリ31の状態を示すバッテリ状態情報として、バッテリ31の充電率、バッテリ31の温度、バッテリ31の放電電流が例示されたが、これを検出するための測定方法や演算方法などは特に限定されない。例えばインバータ装置22が、当該インバータ装置22に入力される電流を検出する電流センサを含んでいてもよく、この場合、インバータ装置22の電流センサによる検出値をバッテリ31に放電電流としてもよい。
【0126】
バッテリ状態情報は、バッテリ31の充電率、バッテリ31の温度、バッテリ31の放電電流に限定されない。バッテリ状態情報には、バッテリ31の充電率、バッテリ31の温度、バッテリ31の放電電流のうちの一部または全部が含まれなくてもよい。例えば、バッテリ31の状態を示すバッテリ状態情報には、バッテリ31の姿勢(例えば傾き)を示す情報、バッテリ31の加速度を示す情報、またはバッテリ31の地理的な位置を示す情報(言い換えれば車体がどこを移動しているかを示す情報)などが含まれ得る。すなわち、バッテリ31の状態を示す情報(バッテリ状態情報)を検出するセンサには、バッテリ管理ユニット、温度センサ、電流センサ、ジャイロセンサ、加速度センサ、または、GPS、ECUなどが含まれ得る。
【0127】
バッテリ31の状態を示すバッテリ状態情報を検出するセンサは、バッテリパックに内蔵されていてもよいし、バッテリパックが取り付けられる車体に固定されていてもよい。
【0128】
上記実施形態で説明されたステップS2,S3では、バッテリ31から電気モータ14に電力供給されている間、バッテリ管理ユニット32が、バッテリ状態情報およびバッテリ識別情報をCAN20に常時出力したが、バッテリ管理ユニット32は、バッテリ状態情報およびバッテリ識別情報をCAN20に常時出力しなくてもよい。例えば、バッテリ管理ユニット32は、電動二輪車10を走行可能な状態にするためのメインスイッチをオンにしたときに、バッテリ識別情報を、CAN20に出力し、メインスイッチをオフにするまでバッテリ識別情報をCAN20に出力しなくてもよい。また、例えば、バッテリ管理ユニット32は、メインスイッチをオンにしている間、定期的にバッテリ状態情報をCAN20に出力してもよい。
【0129】
また、例えば、バッテリ管理ユニット32は、バッテリ状態情報の代わりに、上述した頻度情報としての状態履歴情報を、CAN20に出力してもよい。すなわち、バッテリ管理ユニット32のCPU32aが、バッテリ状態情報から、頻度情報である状態履歴情報を生成し、生成した状態履歴情報をCAN20に出力してもよい。バッテリパック30が携帯端末40やサーバ50と通信するための通信回路を備える場合、バッテリ管理ユニット32のCPU32aは、バッテリ状態情報から、頻度情報である状態履歴情報を生成し、生成した状態履歴情報を、当該通信回路を介して直接携帯端末40やサーバ50に送信してもよい。
【0130】
上記実施形態で説明されたステップS8,S9は、サーバ50ではなく、携帯端末40にて実行可能である。例えば、ステップS6の後、携帯端末40が、受信した状態履歴情報、バッテリ識別情報および車体識別情報を互いに紐づけてメモリ42に記憶し得る。携帯端末40では、CPU41が、同じバッテリ識別情報に紐づけられてメモリ42に記憶された状態履歴情報から、当該バッテリ識別情報に対応するバッテリ31の状態を診断し得る。すなわち、ユーザが所有する移動体10に搭載されたことがある複数のバッテリパック30について、ユーザの携帯端末40で管理可能である。
【0131】
上記実施形態では、メータ装置19のCPU19aが、通信器19dを介して、状態履歴情報およびバッテリ識別情報とともに、車体識別情報も携帯端末40に送信したが、車体識別情報は、車体11側の機器から携帯端末40およびサーバ50に送られなくてもよい。車体のユーザを識別するためのユーザ識別情報が、状態履歴情報およびバッテリ識別情報とともに、車体11側の機器から携帯端末40およびサーバ50に送られてもよい。車体のユーザを識別するためのユーザ識別情報は、例えば、車体を購入した購入者情報またはレンタル業者から車体をレンタルした利用者情報であってもよい。
【0132】
サーバのメモリに集約されたバッテリパックの状態履歴情報は、様々な用途に利用可能である。例えば、サーバのメモリに集約されたバッテリパックの状態履歴情報は、バッテリパック30のバッテリの劣化度合いの判定に用いることができる他、バッテリパックの開発者にとっては、バッテリパックの耐久条件を最適化するために用いることができる。例えば、サーバのメモリに集約されたバッテリパックの状態履歴情報は、バッテリパックの状態をユーザへ開示するために用いることができる。
【0133】
本明細書で開示する要素の機能は、開示された機能を実行するよう構成またはプログラムされた汎用プロセッサ、専用プロセッサ、集積回路、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、従来の回路、または、それらの任意の組み合わせ、を含む回路または処理回路を使用して実行できる。プロセッサは、トランジスタやその他の回路を含むため、処理回路または回路と見なされる。本開示において、回路、ユニット、または手段は、列挙された機能を実行するハードウェアであるか、または、列挙された機能を実行するようにプログラムされたハードウェアである。ハードウェアは、本明細書に開示されているハードウェアであってもよいし、あるいは、列挙された機能を実行するようにプログラムまたは構成されているその他の既知のハードウェアであってもよい。ハードウェアが回路の一種と考えられるプロセッサである場合、回路、手段、またはユニットはハードウェアとソフトウェアの組み合わせであり、ソフトウェアはハードウェアまたはプロセッサの構成に使用される。
【0134】
[開示項目]
以下の項目のそれぞれは、好ましい実施形態の開示である。
【0135】
[項目1]
少なくとも1つのセンサにより、車体に搭載されたバッテリの状態に関連する情報を検出し、
前記少なくとも1つのセンサにより検出された情報に基づき、前記バッテリの状態を、予め定められた複数の状態カテゴリのいずれかに分類し、
前記状態カテゴリに対応する前記バッテリの状態が生じた頻度をメモリに記憶する、バッテリ管理方法。
【0136】
前記方法によれば、バッテリの状態を状態カテゴリに分類し、状態カテゴリに対応するバッテリの状態が生じた頻度を記憶するため、センサにより検出されたデータをメモリに蓄積する場合に比べて、バッテリの状態を記憶するためのメモリ容量の大型化を防ぐことができる。
【0137】
[項目2]
前記頻度は、前記状態カテゴリに対応する前記バッテリの状態で前記バッテリが使用された時間であるカテゴリ毎使用時間、または、前記バッテリの総使用時間に対する前記カテゴリ毎使用時間の割合である、項目1に記載のバッテリ管理方法。
【0138】
前記方法によれば、バッテリがどのような状態にあったかを把握しやすい。
【0139】
[項目3]
前記状態カテゴリは、前記バッテリの充電率、前記バッテリの放電電流、前記バッテリの温度、または、前記バッテリの充電率、前記バッテリの放電電流および前記バッテリの温度のうちの2つ以上の組合せにより区分されたカテゴリである、項目1または2に記載のバッテリ管理方法。
【0140】
前記方法によれば、バッテリの使用履歴として最低限の情報を抽出でき、メモリ容量を削減しやすい。
【0141】
[項目4]
前記複数の状態カテゴリは、第1カテゴリと、前記第1カテゴリに対応する前記バッテリの状態に比べて前記バッテリの劣化を引き起こしやすい前記バッテリの状態のカテゴリである第2カテゴリとを含み、
前記第2カテゴリに対応する前記バッテリの状態に関連する情報の範囲は、前記第1カテゴリに対応する前記バッテリの状態に関連する情報の範囲より小さい、項目1乃至3のいずれかに記載のバッテリ管理方法。
【0142】
前記方法によれば、バッテリの劣化を引き起こしやすいカテゴリを細分化することで、バッテリの劣化状況を評価しやすい。
【0143】
[項目5]
前記複数の状態カテゴリは、少なくとも前記バッテリの充電率により区分されており、
前記複数の状態カテゴリは、前記バッテリの充電率が50%である前記バッテリの状態を含む第1カテゴリと、それ以外の複数の第2カテゴリを含み、
各前記第2カテゴリに対応する前記充電率の幅は、前記第1カテゴリに対応する前記充電率の幅より狭い、項目1乃至4のいずれかに記載のバッテリ管理方法。
【0144】
前記方法によれば、バッテリの劣化が早まる充電率が0%または100%に近いカテゴリを細分化することで、バッテリの劣化状況を評価しやすい。
【0145】
[項目6]
各前記状態カテゴリに対応する前記頻度とともに、前記バッテリが搭載される前記車体を識別するための車体識別情報を、前記メモリに記憶する、項目1乃至5のいずれかに記載のバッテリ管理方法。
【0146】
前記方法によれば、バッテリ状態の履歴として活用しやすい。
【0147】
[項目7]
各前記状態カテゴリに対応する前記頻度とともに、前記バッテリを識別するためのバッテリ識別情報を、前記メモリに記憶する、項目1乃至6のいずれかに記載のバッテリ管理方法。
【0148】
前記方法によれば、バッテリ状態の履歴として活用しやすい。
【0149】
[項目8]
各前記状態カテゴリに対応する前記頻度とともに、前記車体の存在地域を識別するための位置識別情報を、前記メモリに記憶する、項目1乃至7のいずれかに記載のバッテリ管理方法。
【0150】
前記方法によれば、バッテリ状態の履歴として活用しやすい。
【0151】
[項目9]
項目1乃至8のいずれかに記載のバッテリ管理方法を実行するための命令を含む、少なくとも1つのプロセッサにより実行されるためのバッテリ管理プログラム。
【0152】
[項目10]
車体に搭載されたバッテリの状態に関連する情報を受信する通信インターフェースと、
メモリと、
処理回路と、を備え、
前記処理回路は、
受信した前記情報に基づき、前記バッテリの状態を、予め定められた複数の状態カテゴリのいずれかに分類し、
前記状態カテゴリに対応する前記バッテリの状態が生じた頻度をメモリに記憶する、記憶制御装置。
【0153】
前記構成によれば、バッテリの状態を記憶するためのメモリ容量の大型化を防ぐことができる。
【0154】
[項目11]
車体と、
前記車体に搭載されたバッテリの状態に関連する情報を検出する少なくとも1つのセンサと、
メモリと、
前記少なくとも1つのセンサにより検出された情報に基づき、前記バッテリの状態を、予め定められた複数の状態カテゴリのいずれかに分類し、前記状態カテゴリに対応する前記バッテリの状態が生じた頻度を前記メモリに記憶する処理回路と、を備える、移動体。
【0155】
前記構成によれば、バッテリの状態を記憶するためのメモリ容量の大型化を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0156】
1 :バッテリ管理システム
10 :電動二輪車(移動体)
11 :車体
14 :電気モータ
19 :メータ装置
19a :CPU
19b :メモリ
19c :表示器
19d :通信器
21 :ECU
21a :CPU
21b :メモリ
22 :インバータ装置
22a :CPU
22b :メモリ
22c :インバータ回路
23a :車体側給電コネクタ
23b :車体側通信コネクタ
30 :バッテリパック
30 :サーバ
31 :バッテリ
32 :バッテリ管理ユニット
32a :CPU
32b :メモリ
33a :バッテリ側給電コネクタ
33b :バッテリ側通信コネクタ
34 :温度センサ
35 :電流センサ
40 :携帯端末
41 :CPU
42 :メモリ
43 :タッチスクリーン
44 :第1通信器
45 :第2通信器
50 :サーバ
51 :CPU
52 :メモリ
53 :通信器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14