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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041506
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】部品実装機
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20240319BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
H05K13/04 A
B25J13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146361
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡 博充
【テーマコード(参考)】
3C707
5E353
【Fターム(参考)】
3C707AS08
3C707BS02
3C707FS01
3C707LV15
3C707LV22
3C707NS02
3C707NS17
5E353JJ45
5E353JJ48
5E353JJ60
5E353QQ01
5E353QQ08
(57)【要約】
【課題】部品実装機の生産効率を向上させるための技術を提供する。
【解決手段】部品実装機は、負圧により電子部品を吸着して基板に実装する実装ヘッドを備える。実装ヘッドは、実装ヘッドに着脱可能に保持され、負圧を供給されて電子部品を吸着するノズルと、ノズルに負圧を供給する負圧流路と、ノズルに正圧を供給する正圧流路と、ノズルを負圧流路に接続する第1位置と、ノズルを正圧流路に接続する第2位置と、に切替える切替部と、切替部を第1位置と第2位置との間で切り替える切替え動作を行う駆動部と、駆動部による切替え動作の完了を検出する検出部と、を備えている。部品実装機は、ノズルが電子部品を吸着していない状態で、検出部が駆動部による切替え動作の完了を検出しなかった場合に、駆動部に切替え動作を再度実行させる制御部を備えている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負圧により電子部品を吸着して基板に実装する実装ヘッドを備える部品実装機であって、
前記実装ヘッドは、
前記実装ヘッドに着脱可能に保持され、前記負圧を供給されて前記電子部品を吸着するノズルと、
前記ノズルに負圧を供給する負圧流路と、
前記ノズルに正圧を供給する正圧流路と、
前記ノズルを前記負圧流路に接続する第1位置と、前記ノズルを前記正圧流路に接続する第2位置と、に切替える切替部と、
前記切替部を前記第1位置と前記第2位置との間で切り替える切替え動作を行う駆動部と、
前記駆動部による切替え動作の完了を検出する検出部と、を備えており、
前記ノズルが前記電子部品を吸着していない状態で、前記検出部が前記駆動部による前記切替え動作の完了を検出しなかった場合に、前記駆動部に前記切替え動作を再度実行させる制御部を備えている、部品実装機。
【請求項2】
前記制御部は、
第1の出力で前記切替え動作を実行するように前記駆動部を駆動させ、
前記第1の出力で前記検出部が切替え動作の完了を検出しなかった場合に、前記第1の出力より大きい第2の出力で再度切替え動作を実行するように前記駆動部を駆動させる、請求項1に記載の部品実装機。
【請求項3】
前記実装ヘッドは、複数の前記ノズルと前記複数のノズルのそれぞれに対応する複数の前記切替部とが円周上に配置され、前記複数のノズル及び前記複数の切替部を一体的に回転させる回転体を有しており、
前記駆動部は、前記切替部が前記回転体の回転によって前記円周上の所定の位置に位置したときに当該切替部の前記切替え動作を実行する、請求項2に記載の部品実装機。
【請求項4】
前記制御部は、
前記回転体が1回転する間に、前記所定の位置に位置する前記複数の切替部のそれぞれについて、前記第1の出力で前記切替え動作を実行する第1切替え動作実行処理と、
前記第1切替え動作実行処理において、各切替部の前記切替え動作の完了を検出する検出処理と、
前記検出処理において前記切替え動作の完了を検出しなかった切替部に対して、前記第2の出力で前記切替え動作を実行する第2切替え動作実行処理と、を実行可能に構成されている、請求項3に記載の部品実装機。
【請求項5】
前記制御部は、前記実装ヘッドに電力が供給されていない状態から電力が供給される状態になったあとの初回の稼働において前記駆動部を駆動原点に移動する復帰動作を実行させ、前記検出部が前記復帰動作の完了を検出しなかった場合に、前記復帰動作を再度実行する、請求項1に記載の部品実装機。
【請求項6】
前記切替え動作を再度実行する回数を入力可能な入力部をさらに備えており、
前記制御部は、前記入力部に入力された前記回数だけ前記切替え動作を再度実行する、請求項1に記載の部品実装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示する技術は、電子部品を基板に実装する部品実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品を基板に実装する部品実装機には、電子部品をノズルに吸着させて基板まで移動させるものがある。例えば、特許文献1の部品実装機は、負圧により電子部品を吸着して基板に実装する実装ヘッドを備えている。実装ヘッドは、ノズルと、ノズルに負圧を供給する負圧流路と、ノズルに正圧を供給する正圧流路を備えている。特許文献1の部品実装機では、ノズルの先端を電子部品に当接させた状態でノズルに負圧を供給することで、ノズルの先端に電子部品を吸着している。また、ノズルの先端に電子部品を吸着した状態で、ノズルに正圧を供給することによって、電子部品をノズルの先端から離間させている。このために、特許文献1の部品実装機は、ノズルを負圧流路に接続する第1位置と正圧流路に接続する第2位置とに切替える切替部と、切替部を駆動する駆動部を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/179076号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような部品実装機には、切替部を第1位置(ノズルが負圧流路に接続される位置)と第2位置(ノズルが正圧流路に接続される位置)との間で切替える切替え動作が正常に実行されたか否かを検出するために、切替部の切替え動作の完了を検出する検出部が設けられることがある。そして、駆動部によって切替部に切替え動作を実行させたときに、検出部で切替え動作の完了が検出されないと、切替部にメンテナンスや修理が必要な異常が生じたとしてエラーとして停止する。しかしながら、切替部にメンテナンスや修理が必要な異常が発生していない状態であっても、切替部の動作が不安定となって切替え動作が正常に実行されないことがある。このような場合は、切替部に切替え動作を繰り返し実行させることで、切替部の動作が安定して切替え動作が正常に実行されることがある。従来の部品実装機では、駆動部によって切替部に切替え動作を実行させたときに、検出部で切替え動作の完了が検出されないと、直ちにエラーが生じたとして部品実装機を停止させていた。このため、修理が必要となる異常が発生していないにも関わらず、作業者等による作業が発生してしまい、生産性が低下するという問題があった。
【0005】
本明細書は、部品実装機の生産効率を向上させるための技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示する部品実装機は、負圧により電子部品を吸着して基板に実装する実装ヘッドを備える。実装ヘッドは、実装ヘッドに着脱可能に保持され、負圧を供給されて電子部品を吸着するノズルと、ノズルに負圧を供給する負圧流路と、ノズルに正圧を供給する正圧流路と、ノズルを負圧流路に接続する第1位置と、ノズルを正圧流路に接続する第2位置と、に切替える切替部と、切替部を第1位置と第2位置との間で切り替える切替え動作を行う駆動部と、駆動部による切替え動作の完了を検出する検出部と、を備えている。部品実装機は、ノズルが電子部品を吸着していない状態で、検出部が駆動部による切替え動作の完了を検出しなかった場合に、駆動部に切替え動作を再度実行させる制御部を備えている。
【0007】
上記の部品実装機では、切替部の切替え動作が失敗した場合に、切替部の切替え動作が再度実行される。これにより、切替部の切替え動作が失敗した場合に、直ちにエラーとして部品実装機が停止されることが回避される。切替部の切替え動作が失敗した場合であっても、切替え動作を再度実行することによって成功することがある。このため、切替部の切替え動作を再度実行することによって、部品実装機の動作(生産)が停止する回数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例に係る部品実装機の概略構成を示す図。
図2図1のII-II線における断面図。
図3】ヘッドのノズルの装着面を示す底面図。
図4図3のIV-IV線における断面図。
図5】駆動装置とスプールを示す図。
図6】スプールによりノズルに負圧を供給する状態と正圧を供給する状態とを切替える構成を説明するための図であり、(a)はスプールが下方に位置した状態を示し、(b)はスプールが上方に位置した状態を示す。
図7】実施例に係る部品実装機の制御系を示すブロック図。
図8】ヘッドに電力が供給されたときに駆動装置を駆動原点に復帰させる処理の一例を示すフローチャート。
図9】復帰動作の処理の一例を示すフローチャート。
図10】復帰動作について説明するための図であり、(a)は第2アームがストッパに当接するまで回転軸を第1方向に回転させた状態を示しており、(b)は(a)の状態から第1の所定量だけ第2方向に回転軸を回転させた状態を示しており、(c)は(b)の状態から第2の所定量だけ第1方向に回転軸を回転させた状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。
【0010】
本明細書に開示する部品実装機では、制御部は、第1の出力で切替え動作を実行するように駆動部を駆動させ、第1の出力で検出部が切替え動作の完了を検出しなかった場合に、第1の出力より大きい第2の出力で再度切替え動作を実行するように駆動部を駆動させてもよい。このような構成によると、切替え動作を再度実行する際には、切替え動作が失敗したときよりも大きい出力で切替え動作が実行される。このため、切替え動作を再度実行する際に、切替え動作がより成功し易くなる。
【0011】
本明細書に開示する部品実装機では、実装ヘッドは、複数のノズルと複数のノズルのそれぞれに対応する複数の切替部とが円周上に配置され、複数のノズル及び複数の切替部を一体的に回転させる回転体を有していてもよい。駆動部は、切替部が回転体の回転によって円周上の所定の位置に位置したときに当該切替部の切替え動作を実行してもよい。このような構成によると、複数のノズルを装着可能なヘッドにおいて、各切替部の切替え動作を適切に実行することができる。
【0012】
本明細書に開示する部品実装機では、制御部は、回転体が1回転する間に、所定の位置に位置する複数の切替部のそれぞれについて、第1の出力で複数の切替部のそれぞれの切替え動作を実行する第1切替え動作実行処理と、第1切替え動作実行処理において、各切替部の切替え動作の完了を検出する検出処理と、検出処理において切替え動作の完了を検出しなかった切替部に対して、第2の出力で切替え動作を実行する第2切替え動作実行処理と、を実行可能に構成されていてもよい。このような構成によると、複数の切替部のうち切替え動作が失敗した切替部に対して、切替え動作を適切に再度実行することができる。
【0013】
本明細書に開示する部品実装機では、制御部は、実装ヘッドに電力が供給されていない状態から電力が供給される状態になったあとの初回の稼働において第1駆動部を駆動原点に移動する復帰動作を実行させ、検出部が復帰動作の完了を検出しなかった場合に、復帰動作を再度実行してもよい。例えば、部品実装機に電源が入れられたとき(実装ヘッドに電力供給が開始されたとき)には、ノズルが第1位置にあるのか第2位置にあるのかがわからないことがある。実装ヘッドに電力供給が開始されたときに駆動部を駆動原点に移動させることによって、部品実装機に電源供給する前のノズルの位置に関わらず、駆動部を駆動原点に位置する状態にすることができる。また、復帰動作が成功しなかったときに復帰動作を再度実行することによって、部品実装機を不要に停止することを回避することができる。
【0014】
本明細書に開示する部品実装機は、切替え動作を再度実行する回数を入力可能な入力部をさらに備えていてもよい。制御部は、入力部に入力された回数だけ切替え動作を再度実行してもよい。切替え動作の異常は、修理が必要となる異常、例えば切替部の不良等によって生じることもある。切替え動作を再度実行する回数を設定可能とすることによって、部品実装機に修理が必要となる異常が発生しているときに適切に部品実装機を停止させることができる。
【実施例0015】
図面を参照して、実施例に係る部品実装機10について説明する。部品実装機10は、回路基板2に電子部品4を実装する装置である。部品実装機10は、電子部品装着装置やチップマウンタとも称される。通常、部品実装機10は、はんだ印刷機及び基板検査機といった他の基板作業機と共に併設され、一連の実装ラインを構成する。
【0016】
図1及び図2に示すように、部品実装機10は、複数の部品フィーダ12と、フィーダ保持部14と、ヘッド16と、ヘッド移動装置18と、基板コンベア20と、制御装置26と、タッチパネル24を備える。部品実装機10の外部には、部品実装機10と通信可能に構成された管理装置8が配置されている。
【0017】
各々の部品フィーダ12は、複数の電子部品4を収容している。部品フィーダ12は、フィーダ保持部14に着脱可能に取り付けられ、ヘッド16へ電子部品4を供給する。フィーダ保持部14は、複数のスロットを備えており、複数のスロットのそれぞれには部品フィーダ12を着脱可能に設置することができる。フィーダ保持部14は、部品実装機10の本体に固定されたものであってもよいし、部品実装機10の本体に対して着脱可能なものであってもよい。
【0018】
ヘッド16は、回転体28と、ノズル6と、スプール50と、駆動装置60を備えている。図1及び図3に示すように、回転体28は、円筒状であり、ノズル6は、回転体28に着脱可能に取り付けられ、負圧によって電子部品4を吸着する。ヘッド16には、複数のノズル6が回転体28を介して着脱可能に装着される。図3及び図4に示すように、回転体28は、複数のノズル6を装着する装着面16aを有し、円周上に複数のノズル6に対応するようにスプール50(後に詳述)を備える。ノズル6を装着する装着面16a(回転体28の-Z方向の面16a)は円形であり、装着面16aの外周に沿って等間隔に複数(図3では、12個)のノズル6を装着することができる。回転体28は、ノズル6の装着面16aの中心を通り、装着面16aに直交する軸線の周りに回転可能に構成されており、ヘッド16で装着した12個のノズル6を回転することができる。また、ヘッド16は、ヘッド16に設けられる図示しない駆動部によって所定の回転位置において各ノズル6を装着面16aに対してZ方向(ここでは鉛直方向)に移動可能であり、部品フィーダ12や回路基板2に対して、所定の回転位置に位置するノズル6を接近及び離間させる。ヘッド16は、部品フィーダ12から電子部品4をノズル6によって吸着すると共に、ノズル6に吸着された電子部品4を回路基板2上に載置することができる。
【0019】
図4に示すように、ヘッド16は、ノズル6に負圧を供給する負圧供給機構30を備えている。負圧供給機構30は、回転体28内に設けられるノズル接続流路32、負圧供給流路34、正圧供給流路36、切替流路38、負圧接続流路40及び正圧接続流路44と、スプール50を備えている。負圧供給機構30は、装着面16aに装着される複数(本実施例では、12個)のノズル6のそれぞれに対して設けられている。
【0020】
ノズル接続流路32は、装着面16aのノズル6を装着する部分で回転体28の外部と連通している。ノズル6には、ノズル6の内部を軸方向に伸びる連通通路7が設けられている。ヘッド16にノズル6を装着すると、ノズル接続流路32の下端が、ノズル6の連通通路7と連通する。ノズル接続流路32は、鉛直方向に伸びており、上端が回転体28の内部で負圧供給流路34と接続している。また、ノズル接続流路32は、中間部分で正圧供給流路36と接続している。
【0021】
負圧供給流路34は、水平方向に伸びており、一端がノズル接続流路32の上端と接続しており、他端が切替流路38と接続している。負圧供給流路34は、ノズル接続流路32より回転体28の外周側に配置されていると共に、切替流路38より回転体28の内周側に配置されている。
【0022】
正圧供給流路36は、負圧供給流路34の下方に配置されている。正圧供給流路36は、水平方向(すなわち、負圧供給流路34と平行)に伸びている。正圧供給流路36は、一端がノズル接続流路32の中間部分に接続しており、他端が切替流路38と接続している。正圧供給流路36は、ノズル接続流路32より回転体28の外周側に配置されていると共に、切替流路38より回転体28の内周側に配置されている
【0023】
切替流路38は、ノズル接続流路32より回転体28の外周側に配置されており、鉛直方向に伸びている。切替流路38は、円筒状であり、回転体28の上面から下面まで貫通している。具体的には、切替流路38は、回転体28の上面から下面まで貫通する貫通孔と、貫通孔内に配置されたスプール50により形成されている。すなわち、スプール50の径は貫通孔の径より小さくされており、貫通孔の内壁面とスプール50の外周面の間に円筒状の切替流路38が形成されている。後述するように、スプール50には複数の摺動部56が軸方向に間隔を空けて設けられている。複数の摺動部56が貫通孔の内壁面に当接することで、切替流路38は複数の流路に分割されている。
【0024】
負圧接続流路40は、切替流路38より回転体28の外周側に配置されており、水平方向に伸びている。負圧接続流路40は、一端が切替流路38に接続されており、他端が回転体28の側面で外部と連通している。負圧接続流路40の他端は、図示しないヘッド16内の流路及び部品実装機10内の流路を介して、負圧発生装置42に接続されている。本実施例では、負圧発生装置42は、真空ポンプである。負圧接続流路40は、負圧発生装置42から供給される負圧を切替流路38に供給する。
【0025】
正圧接続流路44は、切替流路38より回転体28の外周側、かつ、負圧接続流路40の下方に配置されている。正圧接続流路44は、水平方向(すなわち、負圧接続流路40と平行)に伸びている。正圧接続流路44は、一端が切替流路38に接続されており、他端が回転体28の側面で外部と連通している。正圧接続流路44の他端は、正圧発生装置46に接続されている。本実施例では、正圧発生装置46は、コンプレッサである。正圧接続流路44は、正圧発生装置46から供給される正圧を切替流路38に供給する。
【0026】
上述したようにスプール50は、回転体28の貫通孔内に配置されている。複数のスプール50は、駆動装置60よって上下方向に移動するように構成されている。すなわち、回転体28が回転し、各スプール50が所定の位置(駆動装置60が設けられた位置)に位置決めされると、所定の位置に位置決めされたスプール50を駆動装置60が上下方向に移動させる。スプール50が上下方向に移動することによって、ノズル6に負圧が供給される負圧状態と、正圧が供給される正圧状態と、に切替えられる。なお、スプール50の移動によりノズル6が負圧状態と正圧状態とに切替えられる構成については、後に詳述する。図4に示すように、スプール50は、軸部52と、突起部54、複数の摺動部56を備えている。
【0027】
軸部52は、円筒状であり、切替流路38(詳細には、切替流路38を形成するために設けられた回転体28の貫通孔)の内径より小さくされている。軸部52は、切替流路38内に配置されており、上端が切替流路38から突出している。突起部54は、軸部52の上端に設けられており、軸部52から側方に突出している。複数の摺動部56は、弾性部材で形成されており、本実施例ではОリングである。摺動部56は、軸部52の外周に取り付けられている。複数(本実施例では、4個)の摺動部56は、軸部52の軸方向に間隔を空けて配置されている。摺動部56は、軸部52と切替流路38の内壁に接触している。スプール50が上下方向に移動すると、摺動部56は切替流路38の内壁に対して摺動する。
【0028】
駆動装置60は、スプール50を駆動するように構成されており、本実施例では、ステッピングモータである。図5に示すように、駆動装置60は、駆動源からの駆動力を伝達する回転軸62と、移動部64と、アーム70と、ストッパ72と、センサ74を備えている。
【0029】
移動部64は、回転軸62の軸方向から見たときに矩形であり、回転軸62の周方向の一部(図5では-X方向側)に取り付けられている。移動部64は、回転軸62が回転すると回転軸62と共に回転する。移動部64の回転軸62の軸方向に直交する面は平坦になっており、この面には第1突起66と第2突起68が取り付けられている。第1突起66と第2突起68は上下に間隔を空けて配置されており、第1突起66は第2突起68の上方に位置している。第1突起66と第2突起68の間には、複数のスプール50のうち、所定の位置にあるスプール50の突起部54が配置される。具体的には、複数のノズル6のうち図3のAの位置にあるノズル6に対応するスプール50の突起部54が、第1突起66と第2突起68の間に配置される。すなわち、回転体28を回転させると、異なるノズル6に対応するスプール50の突起部54が、第1突起66と第2突起68の間に配置される。例えば、図3のAの位置にあるノズル6に対応するスプール50の突起部54が第1突起66と第2突起68の間に配置される。回転体28を図3の矢印の方向(図3の時計回り)に回転させると、Bの位置にあったノズル6がAの位置に移動し、回転前にBの位置にあったノズル6に対応するスプール50の突起部54が第1突起66と第2突起68の間に配置される。
【0030】
回転軸62を一方の方向(図5では時計回り)に回転させると、移動部64も同一方向(図5では時計回り)に回転して第1突起66がスプール50の突起部54の上面を押圧する。これにより、スプール50が下方に移動する。回転軸62を他方の方向(図5では反時計回り)に回転させると、移動部64も同一方向(図5では反時計回り)に回転して第2突起68がスプール50の突起部54の下面を押圧する。これにより、スプール50が上方に移動する。
【0031】
ここで、スプール50の移動によりノズル6が負圧状態と正圧状態に切替えられる構成について説明する。図6(a)及び図6(b)では、4個の摺動部56を区別するために、上から順に摺動部56a~56dと称する。
【0032】
図6(a)は、スプール50を下方に移動した状態を示しており、図6(b)は、スプール50を上方に移動した状態を示している。図6(a)及び図6(b)のいずれにおいても、摺動部56aは、負圧接続流路40の上方に位置しており、負圧接続流路40から供給された負圧が切替流路38の上方から外部に放出されることを抑制している。同様に、図6(a)及び図6(b)のいずれにおいても、摺動部56dは、正圧接続流路44の下方に位置しており、正圧接続流路44から供給された正圧が切替流路38の下方から外部に放出されることを抑制している。
【0033】
図6(a)に示すように、駆動装置60によってスプール50を下方に移動させると、複数の摺動部56も下方に移動する。すると、摺動部56bは、負圧供給流路34と正圧供給流路36との間に配置される。これにより、負圧接続流路40から供給された負圧は、切替流路38を介して負圧供給流路34に供給される。一方、摺動部56cは、正圧供給流路36と正圧接続流路44との間に配置される。これにより、正圧接続流路44から供給された正圧は、摺動部56cで遮断され、正圧供給流路36に供給されない。このため、負圧供給流路34に供給された負圧がノズル接続流路32に供給され、ノズル6には負圧が供給される(図4参照)。
【0034】
図6(b)に示すように、駆動装置60によってスプール50を上方に移動させると、複数の摺動部56も上方に移動する。すると、摺動部56bは、負圧接続流路40と負圧供給流路34との間に配置される。これにより、負圧接続流路40から供給された負圧は、摺動部56bで遮断され、負圧供給流路34に供給されない。一方、摺動部56cは、負圧供給流路34と正圧供給流路36との間に配置される。これにより、正圧接続流路44から供給された正圧は、切替流路38を介して正圧供給流路36に供給される。このため、正圧供給流路36に供給された正圧がノズル接続流路32に供給され、ノズル6には正圧が供給される(図4参照)。
【0035】
図5に示すアーム70、ストッパ72及びセンサ74は、駆動装置60を駆動原点に移動させる動作(以下、復帰動作ともいう)に使用される。部品実装機10による実装処理を開始するとき(例えば、部品実装機10を起動したとき)には、スプール50が上方に位置しているのか下方に位置しているのかが不明である。このため、ヘッド16に電力が供給されたとき(具体的には、ヘッド16に電力が供給されたあとであって最初に実装処理を開始する前)に、駆動装置60を駆動原点に移動させる。これにより、ヘッド16に電力が供給される前にスプール50がどの位置にあったかに関わらず、スプール50は駆動装置60を駆動原点に移動したときに対応する位置に移動される。なお、復帰動作については、後に詳述する。
【0036】
アーム70は、回転軸62に取り付けられており、回転軸62が回転すると回転軸62と共に回転する。アーム70は、第1アーム70aと第2アーム70bを備えている。第1アーム70aは、駆動装置60が駆動原点に位置するとき(図5に示す状態のとき)に回転軸62から下方に向かって伸びるように配置されている。第2アーム70bは、第1アーム70aに直交する方向に伸びている。ストッパ72は、駆動装置60が駆動原点から所定量だけずれたときに第2アーム70bに当接する位置に配置されている。センサ74は、駆動装置60が駆動原点に位置するときに第1アーム70aを検出するように配置されている。
【0037】
図1に示すように、ヘッド移動装置18は、部品フィーダ12と回路基板2との間でヘッド16を移動させる。一例ではあるが、本実施例のヘッド移動装置18は、移動ベース18aをX方向及びY方向に移動させるXYロボットであり、移動ベース18aに対してヘッド16が固定されている。ヘッド移動装置18は、ノズル6を回路基板2の表面と平行な平面(XY平面)で平行移動可能である。なお、ヘッド16は、移動ベース18aに固定されるものに限られず、移動ベース18aに着脱可能に取り付けられるものであってもよい。
【0038】
基板コンベア20は、回路基板2の搬入、位置決め及び搬出を行う装置である。一例ではあるが、本実施例の基板コンベア20は、一対のベルトコンベアと、回路基板2を下方から支持する支持装置(図示省略)とを有する。
【0039】
制御装置26は、CPU及び記憶装置を備えるコンピュータを用いて構成されている。制御装置26は、管理装置8から送信される生産プログラムに基づいて、部品実装機10の各部の動作を制御する。図7に示すように、制御装置26は、ヘッド移動装置18、ヘッド16、基板コンベア20、タッチパネル24及び駆動装置60と接続しており、ヘッド移動装置18、ヘッド16、基板コンベア20、タッチパネル24及び駆動装置60の各部を制御している。タッチパネル24は、作業者に部品実装機10の各種の情報を提供する表示装置であると共に、作業者からの指示や情報を受け付ける入力装置である。タッチパネル24は、例えば、部品実装機10による実装処理の開始の指示や、上記の復帰動作(後に詳述)を再度実行する回数の入力を受け付ける。タッチパネル24で入力された復帰動作を再度実行する回数は、制御装置26のメモリ(図示省略)に記憶される。
【0040】
次に、ヘッド16に電力が供給されたときに駆動装置60を駆動原点に復帰させる処理について説明する。上述したように、ヘッド16に電力が供給されたときには、スプール50が上方に位置しているのか下方に位置しているのかが不明である。このため、実装処理を開始する前に復帰動作を実行して、スプール50を所定の位置に移動させる。具体的には、ヘッド16に電力が供給されていない状態から電力が供給される状態になったあと、最初に実装処理を実行する際に、駆動装置60を駆動原点に移動させる復帰動作を実行する。
【0041】
図8に示すように、まず、制御装置26は、タッチパネル24に実装処理を開始する指示が入力されたか否かを判断する(S12)。実装処理を開始する指示が入力されていない場合(ステップS12でNO)、実装処理を開始する指示が入力されるまで待機する。
【0042】
実装処理を開始する指示が入力されると(ステップS12でYES)、制御装置26は、駆動装置60を駆動原点に移動させる復帰動作を実行する(S14)。
【0043】
ここで、復帰動作について説明する。復帰動作は、所定の位置にあるスプール50(すなわち、図3のAの位置にあるノズル6に対応するスプール50)に対して実行される。図9に示すように、まず、制御装置26は、駆動装置60の回転軸62を回転させる(S100)。このとき、図10(a)に示すように、制御装置26は、第2アーム70bがストッパ72に当接する方向に回転軸62を回転させる。図10(a)では、第2アーム70bがストッパ72に当接する回転方向は、時計回りであり、以下、この回転方向を「第1方向」ともいう。また、制御装置26は、第2アーム70bがストッパ72に当接することによって、駆動装置60が脱調するように、十分な回転量だけ回転軸62を第1方向に回転させる。すなわち、復帰動作前にスプール50がどの位置にあっても(すなわち、スプール50が下方に位置していても上方に位置していても)、回転軸62を第1方向に回転させるとストッパ72によって駆動装置60が脱調するような回転量で、回転軸62を第1方向に回転させる。ステップS100では、駆動装置60は、第2アーム70bがストッパ72に当接するまで回転軸62を回転させるため、駆動原点からずれた位置に移動される。
【0044】
次いで、制御装置26は、回転軸62を第1方向とは反対方向(以下、第2方向ともいう)に所定量だけ回転させる(S110)。ここで、第2方向に回転させる所定量(以下、第1の所定量ともいう)は、第2アーム70bがストッパ72に当接している状態にある駆動装置60が、第2方向に回転することによって駆動原点に位置するより僅かに多い回転量である。第2アーム70bがストッパ72に当接している状態から第1の所定量だけ第2方向に回転軸62を回転させると、駆動装置60は、図10(a)に示す状態から図10(b)に示す状態になる。すなわち、第1アーム70aは、下方に向かって伸びる位置(駆動装置60が駆動原点に位置している状態)に対して左側にずれた位置から、下方に向かって伸びる位置を通過して、右側に僅かにずれた位置に移動する。
【0045】
次いで、制御装置26は、回転軸62を第1方向に所定量だけ回転させる(S120)。ここで、第1方向に回転させる所定量(以下、第2の所定量ともいう)は、ステップS110の処理の実行した状態(すなわち、第1アーム70aが右側に僅かにずれた位置にある状態)から、駆動装置60を駆動原点に移動させる(すなわち、第1アーム70aを下方に向かって伸びる位置まで移動させる)回転量である。ステップS110~ステップS120の処理を実行することによって、駆動装置60をより正確に駆動原点に移動させることができる。なお、ステップS100の処理の後、駆動装置60が駆動原点に位置するように回転軸62を回転させてもよい。
【0046】
次いで、制御装置26は、センサ74から検出信号を取得する(S130)。センサ74は、駆動装置60が駆動原点に位置するときに第1アーム70aを検出する。ステップS120の処理の後、センサ74が第1アーム70aを検出することによって、駆動装置60が駆動原点に移動(復帰)したことが検出される。
【0047】
図8に示すように、S14で復帰動作が完了すると、制御装置26は、ステップS130で取得したセンサ74の検出結果を制御装置26のメモリ(図示省略)に記憶させる(S16)。上述したように、復帰動作では、ステップS100の処理において駆動装置60を脱調させるように回転軸62を回転させている。しかしながら、ヘッド16に電力が供給されていない状態から電力が供給される状態になったときには、スプール50の動作が不安定になることがあり、ステップS100の処理を実行したときに駆動装置60が脱調しないことがある。例えば、しばらく部品実装機10を作動していなかった場合、ヘッド16に電力が供給されてからしばらくの間は駆動装置60が正常に作動し難くなることがある。また、しばらく部品実装機10を作動していなかった場合、スプール50の摺動部56が切替流路38の内壁に固着し、摺動部56が摺動し難くなることがある。このような場合には、ステップS100の処理において駆動装置60が回転軸62を第1方向に回転させた際にアーム70bがストッパ72に当接する前に脱調するため、復帰動作が正常に実行されない。また、駆動装置60やスプール50に異常が発生している場合にも、復帰動作が正常に実行されない。復帰動作が正常に実行されると、センサ74は、第1アーム70aを検出する。一方、復帰動作が正常に実行されないと、センサ74は、第1アーム70aを検出しない。センサ74の検出結果から、復帰動作が正常に実行されたか否かを判定することができる。
【0048】
次いで、制御装置26は、ヘッド16に装着された複数のノズル6に対応する全てのスプール50に対して復帰動作を実行したか否かを判断する(S18)。復帰動作は、所定の位置にあるスプール50(すなわち、図3のAの位置にあるノズル6に対応するスプール50)に対して実行されるため、ヘッド16に装着された複数のノズル6に対応する全てのスプール50に対して、それぞれ復帰動作を実行する必要がある。全てのスプール50に対して復帰動作を実行していない場合(ステップS18でNO)、制御装置26は、回転体28を回転させる(S20)。具体的には、回転体28を図3の矢印の方向(図3の時計回り)に回転させて、Bの位置にあったノズル6をAの位置に移動させる。すると、回転前にBの位置にあったノズル6に対応するスプール50の突起部54が第1突起66と第2突起68の間に配置される。次いで、制御装置26は、ステップS14~ステップS18の処理を繰り返す。すると、復帰動作を実行していないスプール50に対して復帰動作が実行される。
【0049】
全てのスプール50に対して復帰動作を実行すると(ステップS18でYES)、制御装置26は、ステップS16で記憶したセンサ74の検出結果に基づいて、全ての復帰動作が正常に実行されたか否かを判断する(S22)。上述したように、復帰動作は、駆動装置60やスプール50に異常が発生している場合だけでなく、駆動装置60やスプール50に異常が発生していない場合にも、スプール50の動作が不安定になることによって正常に実行されないことがある。駆動装置60やスプール50に異常が発生していないにも関わらず復帰動作が成功しなかった場合には、復帰動作を何度か繰り返し実行することにより、スプール50の動作が安定化して復帰動作を正常に実行することがある。そこで、復帰動作が正常に実行されなかったスプール50がある場合(ステップS22でNO)、復帰動作が正常に実行されなかったスプール50に対して、復帰動作を再度実行する。具体的には、制御装置26は、回転体28を回転させて、復帰動作が正常に実行されなかったスプール50に対応するノズル6を図3のAの位置に移動させる(S24)。
【0050】
次いで、制御装置26は、復帰動作が正常に実行されなかったスプール50に対して復帰動作を再度実行する(S26)。ステップS26の復帰動作は、ステップS14の復帰動作と同一であるため、詳細な説明は省略する。ただし、復帰動作を再度実行するときには、先に復帰動作を実行したときより、回転軸62を回転させる出力(トルク)を大きくする。具体的には、制御装置26は、復帰動作を再度実行するときには、先に復帰動作を実行したときより回転軸62を遅い速度で回転させる。回転軸62の回転速度を遅くすることにより、駆動装置60(本実施例では、ステッピングモータ)の出力を大きくすることができる。なお、制御装置26は、電流値を大きくして回転軸62の回転出力(トルク)を大きくしてもよい。復帰動作を再度実行する際に回転軸62の回転出力を大きくすることによって、復帰動作を成功し易くすることができる。復帰動作を再度実行すると、制御装置26は、ステップS130で取得したセンサ74の検出結果を制御装置26のメモリ(図示省略)に記憶させる(S28)。
【0051】
次いで、制御装置26は、復帰動作が正常に実行されなかった全てのスプール50に対して復帰動作を再度実行したか否かを判断する(S30)。復帰動作を正常に実行されなかったスプール50のうち、復帰動作を再度実行していないスプール50がある場合(ステップS30でNO)、制御装置26は、回転体28を回転させて、復帰動作が正常に実行されなかったスプール50であって、復帰動作を再度実行していないスプール50に対応するノズル6を図3のAの位置に移動させる(S32)。そして、制御装置26は、ステップS26~ステップS30の処理を繰り返す。すると、復帰動作が正常に実行されなかったスプール50であって、復帰動作を再度実行していないスプール50に対して復帰動作が実行される。
【0052】
復帰動作が正常に実行されなかった全てのスプール50に対して復帰動作を再度実行すると(ステップS30でYES)、制御装置26は、復帰動作を再度実行した回数が、制御装置26のメモリ(図示省略)に記憶されている回数(以下、所定数ともいう)より少ないか否かを判断する(S34)。上述したように、復帰動作を再度実行する回数は、タッチパネル24から入力することができる。例えば、スプール50の動作が不安定になっているために復帰動作が成功しなかった場合には、スプール50の動作が安定化すれば復帰動作は正常に実行される。このため、復帰動作を複数回実行すれば、復帰動作は正常に実行されることがある。一方で、駆動装置60やスプール50に異常が発生している場合には、復帰動作を何度繰り返しても、復帰動作は正常に実行されない。予め入力された所定数だけ復帰動作を繰り返しても復帰動作が正常に実行されない場合には、スプール50の動作とは別の異常が発生している可能性がある。そこで、復帰動作を再度実行した回数が所定数と一致した場合(ステップS34でNO)、制御装置26は、異常が発生した旨をタッチパネル24に表示させ(S36)、復帰動作を再度実行せずに処理を終了する。一方、復帰動作を再度実行した回数が所定数より少ない場合(ステップS34でYES)、ステップS22の処理に戻る。そして、全ての復帰動作が正常に実行されるか(ステップS22でYES)、復帰動作を再度実行した回数が所定数に達するまで(ステップS34でNO)、ステップS22~ステップS34の処理を繰り返す。
【0053】
本実施例では、復帰動作が成功しなかった場合であっても、所定数までは復帰動作を繰り返して実行する。これにより、スプール50の動作が不安定になっていることにより復帰動作が成功しなかった場合に、部品実装機10に異常が発生したとして部品実装機10の作動が停止することを抑制することができる。一方で、作業者による作業が必要な異常が発生している場合には、復帰動作を何度繰り返しても復帰動作を成功させることができない。復帰動作を繰り返す回数を設定することにより、異常が発生している場合に復帰動作を不要に繰り返すことを回避することができる。
【0054】
実施例で説明した部品実装機10に関する留意点を述べる。実施例のヘッド16は、「実装ヘッド」の一例であり、タッチパネル24は「入力部」の一例であり、制御装置26は、「制御部」の一例であり、負圧供給流路34は、「負圧流路」の一例であり、正圧供給流路36は、「正圧流路」の一例であり、スプール50は、「切替部」の一例であり、駆動装置60は、「駆動部」の一例であり、センサ74は、「検出部」の一例である。
【0055】
以上、本明細書に開示の技術の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0056】
本明細書では、請求項5において「請求項1に記載の装置」を「請求項1~4のいずれか一項に記載の装置」に変更した技術思想や、請求項6において「請求項1に記載の装置」を「請求項1~5のいずれか一項に記載の装置」に変更した技術思想も開示されている。
【符号の説明】
【0057】
2:回路基板
4:電子部品
6:ノズル
10:部品実装機
12:部品フィーダ
14:フィーダ保持部
16:ヘッド
16a:装着面
18:ヘッド移動装置
18a:移動ベース
20:基板コンベア
24:タッチパネル
26:制御装置
28:回転体
30:負圧供給機構
32:ノズル接続流路
34:負圧供給流路
36:正圧供給流路
38:切替流路
42:負圧発生装置
46:正圧発生装置
50:スプール
60:駆動装置
62:回転軸
70:アーム
72:ストッパ
74:センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10