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  • 特開-コーン貫入装置及びコーン貫入方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041507
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】コーン貫入装置及びコーン貫入方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 1/02 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
E02D1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146362
(22)【出願日】2022-09-14
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000222668
【氏名又は名称】東洋建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】鶴ケ崎 和博
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 友哉
(72)【発明者】
【氏名】河田 晃靖
【テーマコード(参考)】
2D043
【Fターム(参考)】
2D043AA01
2D043AB01
2D043BB05
(57)【要約】
【課題】地盤の強弱に関係なく、簡易な構成でコーンロッドの貫入に対する反力を適切に抑えることができ、効率良く地盤の物質特性を調査することができるコーン貫入装置を提供する。
【解決手段】コーン貫入装置1は、水底地盤内に貫入される、天面部11を有する円筒状の基礎架台4と、該基礎架台4内から注排水する各注排水手段5と、基礎架台4に連結され、水底地盤内に貫入されて地盤の物質特性に係る情報を検出するコーンロッド13を有する貫入装置6と、を備えている。そして、地盤の強弱に関係なく、簡易な構成により、貫入装置6のコーンロッド13の貫入に対する反力を適切に抑えることができ、効率良く地盤の物質特性を調査することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水底地盤の物質特性を調査するためのコーン貫入装置であって、
水底地盤内に貫入される、天面部を有する筒状の基礎架台と、
該基礎架台内から注排水する注排水手段と、
前記基礎架台に連結され、水底地盤内に貫入されて地盤の物質特性に係る情報を検出するコーンロッドを有する貫入装置と、
を備えることを特徴とするコーン貫入装置。
【請求項2】
前記注排水手段による前記基礎架台からの単位時間当たりの排水流量を制御する制御装置を備えることを特徴とする請求項1に記載のコーン貫入装置。
【請求項3】
前記基礎架台は複数備えられることを特徴とする請求項1に記載のコーン貫入装置。
【請求項4】
水底地盤の物質特性を調査するためのコーン貫入方法であって、
コーンロッドを備えた貫入装置が連結される、天面部を有する筒状の基礎架台の下端を水底地盤に貫入する架台初期貫入ステップと、
該架台初期貫入ステップの後、前記基礎架台内から排水して、該基礎架台内にサクション圧力を発生させることで、当該基礎架台を所定深さまで貫入させる架台設置ステップと、
該架台設置ステップの後、前記コーンロッドを水底地盤内に貫入して、地盤の物質特性に係る情報を検出する特性検出ステップと、
を含むことを特徴とするコーン貫入方法。
【請求項5】
前記架台設置ステップでは、前記基礎架台内からの単位時間当たりの排水流量を制御することで、前記基礎架台の貫入速度を調整することを特徴とする請求項4に記載のコーン貫入方法。
【請求項6】
前記架台設置ステップでは、前記基礎架台内からの単位時間当たりの排水流量を制御することで、前記基礎架台の貫入方向が鉛直方向に一致するように調整することを特徴とする請求項4に記載のコーン貫入方法。
【請求項7】
前記特性検出ステップの後、
前記基礎架台内に注水することで、前記基礎架台を浮き上がらせる架台浮上ステップを含むことを特徴とする請求項4に記載のコーン貫入方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水底地盤の強度や間隙水圧等の物質特性を調査するためのコーン貫入装置及びコーン貫入方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、水底地盤におけるコーン貫入試験では、コーンロッドを水底地盤に貫入させる必要があるが、従来の貫入方式は、図6に示すような、油圧装置50を搭載したSEP台船51によるコーンロッド13の貫入方式、また、図7に示すような、水底地盤にあらかじめ複数のアンカー53、53により固定されたボーリングマシン54からのコーンロッド13の貫入方式、さらに、水底地盤が軟らかい場合には、図8に示すような、複数のダイバー56、56によるコーンロッド13の貫入方式が採用されている。
【0003】
しかしながら、従来のコーン貫入方式において、水深がさほど深くない場合、油圧装置50を搭載したSEP台船51による貫入方式(図6参照)は、設備が非常に大掛かりなものとなり、効率が非常に悪い。また、複数のアンカー53、53にて水底地盤に固定されたボーリングマシン64による貫入方式(図7参照)でも、アンカー53、53の設置などの事前準備作業を要し、一方、アンカー53、53などを必要とせずにボーリングマシン64の自重を反力(コーンロッドの貫入に対する反力を抑える力)に利用する場合でも、ボーリングマシン64の機材重量により原地盤面を乱してしまう可能性があり、問題であった。さらに、複数のダイバー56、56による貫入方式(図8参照)では、水中におけるダイバー56、56の自重を反力に利用するために、かなり軟弱な地盤での調査しかできず、貫入深度、貫入速度及び傾斜貫入など、貫入に際して不安定性を有していた。
【0004】
なお、特許文献1には、サクションバケットを基礎とする杭打ち装置が開示されている。詳しくは、特許文献1には、サクションバケット式モノパイルパイルグリッパ本体、杭把持機構を備えるサクションバケット式モノパイルパイルグリッパ施工機構であって、前記サクションバケット式モノパイルパイルグリッパ本体の底部にはサクションバケットが設置され、サクションバケットの上方にはサクションバケット台座が設置され、前記サクションバケット台座はボルトによりサクションバケットの上方に取り付けられ、隣り合うサクションバケット台座の間には接続ブラケットが設置され、前記サクションバケット台座の上方には杭が設置され、杭とサクションバケット台座は溶接によって接続されており、前記サクションバケット式モノパイルパイルグリッパ本体上には杭打ちプラットフォームが設置され、杭打ちプラットフォームは杭の上方又は下方の近くに取り付けられ、前記杭の上方に近い杭打ちプラットフォームの最上部には杭打設用架台が設置され、杭打設用架台の一方側底部と最上部には何れも調節ロッド機構が設置され、調節ロッド機構の一端と杭打設用架台は固定的に接続されているサクションバケット式モノパイルパイルグリッパ施工機構が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3234544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1には、杭打設時の杭への反力を抑制する力が不足した場合の対応について記載がなく、上述した従来のSEP台船による貫入方式、アンカー固定したボーリングマシンからの貫入方式、及びダイバーによる直接の貫入方式による、コーンロッドの貫入に対する反力を抑える力への対応についての問題点を解消することができない。しかも、特許文献1の発明では、振動によるバケット基礎の引き抜きが提案されているが、振動供給装置等を備える必要があり、コストアップが懸念される。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、地盤の強弱に関係なく、簡易な構成で、コーンロッドの貫入に対する反力を適切に抑えることができ、効率良く地盤の物質特性を調査することができるコーン貫入装置及びコーン貫入方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段として、請求項1のコーン貫入装置に係る発明は、水底地盤の物質特性を調査するためのコーン貫入装置であって、水底地盤内に貫入される、天面部を有する筒状の基礎架台と、該基礎架台内から注排水する注排水手段と、前記基礎架台に連結され、水底地盤内に貫入されて地盤の物質特性に係る情報を検出するコーンロッドを有する貫入装置と、を備えることを特徴とするものである。
請求項1の発明では、まず、基礎架台を水底まで自沈させ、その下端を水底地盤に若干貫入させた後、注排水手段により、基礎架台内から排水する。すると、基礎架台内に静水圧よりも低い圧力(サクション圧力)が発生し、そのサクション圧力により基礎架台がさらに水底地盤内に貫入される。続いて、基礎架台が水底地盤内に所定深さまで貫入されると、注排水手段による基礎架台内からの排水を停止する。続いて、貫入装置のコーンロッドを水底地盤に貫入することで、地盤の物質特性を調査することができる。そして、貫入装置のコーンロッドの貫入に対する反力を抑える力に、貫入装置及び基礎架台の自重、基礎架台と地盤との間の摩擦抵抗、及び基礎架台内のサクション圧力を利用することで、地盤の強弱に関係なく、簡易な構成で、貫入装置のコーンロッドの貫入に対する反力を適切に抑えることができ、効率良く地盤の物質特性を調査することができる。
【0009】
請求項2のコーン貫入装置に係る発明は、請求項1に記載した発明において、前記注排水手段による前記基礎架台からの単位時間当たりの排水流量を制御する制御装置を備えることを特徴とするものである。
請求項2の発明では、制御装置により、注排水手段による基礎架台からの単位時間当たりの排水流量を制御することで、基礎架台の貫入速度を調整することができる。また、制御装置により、注排水手段による基礎架台からの単位時間当たりの排水流量を制御することで、基礎架台の貫入方向、ひいてはコーンロッドの軸方向が鉛直方向に一致するように調整することができる。
【0010】
請求項3のコーン貫入装置に係る発明は、請求項1に記載した発明において、前記基礎架台は複数備えられることを特徴とするものである。
請求項3の発明では、貫入装置のコーンロッドを鉛直方向に沿って安定して貫入させることができると共に、コーンロッドの貫入に対する反力を抑える力を、複数の基礎架台内のサクション圧力により増加させることができる。
【0011】
請求項4のコーン貫入方法に係る発明は、水底地盤の物質特性を調査するためのコーン貫入方法であって、コーンロッドを備えた貫入装置が連結される、天面部を有する筒状の基礎架台の下端を水底地盤に貫入する架台初期貫入ステップと、該架台初期貫入ステップの後、前記基礎架台内から排水して、該基礎架台内にサクション圧力を発生させることで、当該基礎架台を所定深さまで貫入させる架台設置ステップと、該架台設置ステップの後、前記コーンロッドを水底地盤内に貫入して、地盤の物質特性に係る情報を検出する特性検出ステップと、を含むことを特徴とするものである。
請求項4の発明では、特に、基礎架台内から排水して、該基礎架台内にサクション圧力を発生させることで、当該基礎架台を所定深さまで貫入させる架台設置ステップを備えることによって、大掛かりな作業工程や前準備等を必要とせず、効率良く地盤の物質特性を調査することができる。
【0012】
請求項5のコーン貫入方法に係る発明は、請求項4に記載した発明において、前記架台設置ステップでは、前記基礎架台内からの単位時間当たりの排水流量を制御することで、前記基礎架台の貫入速度を調整することを特徴とするものである。
請求項5の発明では、基礎架台からの単位時間当たりの排水流量を制御することで、基礎架台の貫入速度を適切に調整することができる。
【0013】
請求項6のコーン貫入方法に係る発明は、請求項4に記載した発明において、前記架台設置ステップでは、前記基礎架台内からの単位時間当たりの排水流量を制御することで、前記基礎架台の貫入方向が鉛直方向に一致するように調整することを特徴とするものである。
請求項6の発明では、基礎架台からの単位時間当たりの排水流量を制御することで、基礎架台の貫入方向、ひいてはコーンロッドの軸方向が鉛直方向に一致するように適切に調整することができる。
【0014】
請求項7のコーン貫入方法に係る発明は、請求項4に記載した発明において、前記特性検出ステップの後、前記基礎架台内に注水することで、前記基礎架台を浮き上がらせる架台浮上ステップを含むことを特徴とするものである。
請求項7の発明では、架台浮上ステップにより、コーンロッドにより地盤の物質特性を調査後、速やかに基礎架台を浮上させることができ、基礎架台を浮上させるための新たな設備を備える必要はなく、装置が簡易な構成となり、コストアップを抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るコーン貫入装置及びコーン貫入方法によれば、地盤の強弱に関係なく、簡易な構成で、コーンロッドの貫入に対する反力を適切に抑えることができ、効率良く地盤の物質特性を調査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施形態に係るコーン貫入装置に係る概略図である。
図2図2は、図1に示す基礎架台の拡大図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係るコーン貫入方法において、架台初期貫入ステップを説明するための概略図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係るコーン貫入方法において、架台設置ステップ及び特性検出ステップを説明するための概略図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係るコーン貫入方法において、架台浮上ステップを説明するための概略図である。
図6図6は、従来の、油圧装置を搭載したSEP台船によるコーンロッドの貫入方式を示す概略図である。
図7図7は、従来の、水底地盤に複数のアンカーにて固定されたボーリングマシンからのコーンロッドの貫入方式を示す概略図である。
図8図8は、従来の、ダイバーによるコーンロッドの貫入方式を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態を図1図5に基づいて詳細に説明する。
本実施形態に係るコーン貫入装置1は、水底地盤の強度や間隙水圧等の物質特性を調査するためのものである。詳しくは、図1及び図2を参照して、本実施形態に係るコーン貫入装置1は、水底地盤内に貫入される、天面部11を有する円筒状の基礎架台4と、該基礎架台4内から注排水する注排水手段5と、基礎架台4に連結され、水底地盤内に貫入されて地盤の物質特性に係る情報を検出するコーンロッド13を有する貫入装置6と、注排水手段5による基礎架台4内からの単位時間当たりの排水流量を制御する制御装置7と、を備えている。
【0018】
図2を参照して、基礎架台4は、天面部11を有し、下端が開放された円筒状に形成される。図1を参照して、基礎架台4は複数備えられる。本実施形態では、基礎架台4、4は2台備えられる。基礎架台4を3台以上備えてもよい。基礎架台4内は、注排水手段5と連通している。注排水手段5は、注排水ポンプで構成される。注排水手段5は、基礎架台4の天面部11上に配置される。注排水手段5により、基礎架台4内から排水する一方、基礎架台4内へ注水することが可能になる。本実施形態では、注排水手段5、5は、各基礎架台4、4に対応して2台備えられる。各注排水手段5、5は、制御装置7と電気的に接続される。制御装置7は、特に、各注排水手段5、5による基礎架台4、4内からの単位時間当たりの排水流量を制御するものである。
【0019】
貫入装置6は、水底地盤内に貫入されるコーンロッド13と、コーンロッド13を軸方向に沿って移動自在に支持するロッド支持本体14と、コーンロッド13をロッド支持本体14から伸長させて水底地盤内に貫入させる油圧ポンプ15と、を備えている。ロッド支持本体14は、2台の基礎架台4、4の間で各基礎架台4、4に支持される。その結果、コーンロッド13は、2台の基礎架台4、4の間の略中央に配置される。なお、基礎架台4が3台以上備えられる場合には、各基礎架台4からコーンロッド13の距離が略同じになるように、コーンロッド13を各基礎架台4により支持した方がよい。ロッド支持本体14は、油圧ポンプ15からの油圧によりコーンロッド13を伸縮自在に支持するシリンダ部18と、該シリンダ部18の下端に一体的に接続される支持本体部19と、を備えている。
【0020】
コーンロッド13がシリンダ部18内に軸方向に沿って移動自在に支持される。油圧ポンプ15とシリンダ部18内とは互いに連通される。ロッド支持本体14の支持本体部19が、2台の基礎架台4、4の天面部11にそれぞれ連結される。その結果、ロッド支持本体14は、各基礎架台4と共に昇降自在となる。また、油圧ポンプ15を作動させることによって、コーンロッド13は、ロッド支持本体14(シリンダ部18)に対して相対的に昇降(伸縮)する。コーンロッド13は、水底地盤内に貫入されることで、地盤からの先端抵抗(地盤強度)、周面摩擦及び間隙水圧等を検出するものであり、その検出結果から地盤の物質特性に関する多くの情報を取得することが可能になる。
【0021】
次に、以上説明した本実施形態に係るコーン貫入装置1を使用したコーン貫入方法を説明する。
まず、架台初期貫入ステップが実行される。図3を参照して、当該架台初期貫入ステップでは、各基礎架台4、4を水底まで自沈させ、各基礎架台4、4の下端を水底地盤内に若干貫入させる。
次に、架台設置ステップが実行される。図3及び図4を参照して、当該架台設置ステップでは、各注排水手段5、5により、各基礎架台4、4内から排水する。すると、各基礎架台4、4内に静水圧よりも低い圧力(サクション圧力)が発生する。その結果、各基礎架台4、4は、図3の状態から、サクション圧力により、さらに水底地盤内に貫入されると共に、貫入装置6のロッド支持本体14も下降する。
【0022】
また、当該架台設置ステップでは、制御装置7にて、各注排水手段5、5による各基礎架台4、4内からの単位時間当たりの排水流量を制御することができる。そして、制御装置7にて、各注排水手段5、5による各基礎架台4、4内からの単位時間当たりの排水流量を制御することで、各基礎架台4、4の貫入速度を調整することができる。これにより、原地盤面を乱すことなく、静かに基礎架台4、4の天面部11を原地盤面にセットすることができる。
【0023】
さらに、制御装置7にて、各注排水手段5、5による各基礎架台4、4内からの単位時間当たりの排水流量を制御することで、各基礎架台4、4の貫入方向、ひいては貫入装置6のコーンロッド13の軸方向が鉛直方向に一致するように調整することができる。これにより、コーンロッド13によって検出される地盤の物質特性を高い精度で取得することができる。なお、貫入装置6のコーンロッド13の軸方向が鉛直方向に一致するように、制御装置7によって、一方の注排水手段5による一方の基礎架台4からの単位時間当たりの排水流量と、他方の注排水手段5による他方の基礎架台4からの単位時間当たりの排水流量とを相違させることもできる。
【0024】
次に、各基礎架台4、4が水底地盤内に所定深さまで貫入されると、特性検出ステップが実行される。図4を参照して、当該特性検出ステップでは、各基礎架台4、4が水底地盤内に所定深さまで貫入されると、まず、制御装置7からの信号により、各注排水手段5、5による各基礎架台4、4内からの排水が停止される。続いて、貫入装置6の油圧ポンプ15が作動され、コーンロッド13がロッド支持本体14から伸長されて水底地盤内に貫入される。このとき、貫入装置6のコーンロッド13の貫入に対する反力を抑える力は、ロッド支持本体14及び各基礎架台4、4の自重、各基礎架台4、4と地盤との間の摩擦抵抗、及び各基礎架台4、4内のサクション圧力となる。
【0025】
なお、コーンロッド13が水底地盤内に貫入される際、特に、各注排水手段5、5により各基礎架台4、4から排水する必要はないが、コーンロッド13の貫入に対する反力を抑える力が不足して、コーンロッド13が貫入不能になり、貫入装置6のロッド支持本体14が上昇する場合には、注排水手段5、5により各基礎架台4、4から排水して、各基礎架台4、4内のサクション圧力を付加するように対処してもよい。そして、当該特性検出ステップにおいて、貫入装置6のコーンロッド13が水底地盤内に貫入されることで、コーンロッド13の先端部により、地盤からの先端抵抗(地盤強度)、周面摩擦及び間隙水圧等を検出して、その検出結果から地盤の物質特性に関する多くの情報を取得する。貫入装置6のコーンロッド13によって、地盤の物質特性が調査された後は、貫入装置6の油圧ポンプ15が作動され、コーンロッド13が水底地盤内から引き抜かれ、ロッド支持本体14内の初期位置に戻る。
【0026】
次に、架台浮上ステップが実行される。図5を参照して、当該架台浮上ステップでは、各注排水手段5、5により各基礎架台4、4内に注水する。すると、各基礎架台4、4内に静水圧よりも高い水圧が発生することで、各基礎架台4、4がロッド支持本体14と共に、速やかに浮き上がって初期位置に至る。
【0027】
以上説明した本実施形態に係るコーン貫入装置1では、水底地盤内に貫入される、天面部11を有する複数の円筒状の基礎架台4、4と、該各基礎架台4、4内から注排水する各注排水手段5、5と、各基礎架台4、4に連結され、水底地盤内に貫入されて地盤の物質特性に係る情報を検出するコーンロッド13を有する貫入装置6と、を備えている。そして、地盤の強弱に関係なく、各基礎架台4、4内のサクション圧力、すなわち簡易な構成により、貫入装置6のコーンロッド13の貫入に対する反力を適切に抑えることができ、効率良く地盤の物質特性を調査することができる。また、貫入装置6のコーンロッド13により地盤の物質特性を調査後は、各注排水手段5、5により、各基礎架台4、4内に注水することで、各基礎架台4、4を速やかに浮上させることができ、基礎架台4、4を浮上させるための新たな設備を備える必要はなく、装置全体をさらに簡素化することができる。
【0028】
また、本実施形態に係るコーン貫入装置1では、各注排水手段5、5による各基礎架台4、4からの単位時間当たりの排水流量を制御する制御装置7を備えているので、各基礎架台4、4の貫入速度を調整することができる。その結果、原地盤面を乱すことなく、静かに基礎架台4、4の天面部11を地盤にセットすることができる。また、各注排水手段5、5による各基礎架台4、4からの単位時間当たりの排水流量を制御する制御装置7を備えているので、各基礎架台4、4の貫入方向、ひいてはコーンロッド13の軸方向が鉛直方向に一致するように調整することができる。その結果、コーンロッド13によって検出される地盤の物質特性を高い精度で取得することができる。
【0029】
さらに、本実施形態に係るコーン貫入装置1では、2台の基礎架台4、4の間の中央に貫入装置6のコーンロッド13が配置され、貫入装置6のロッド支持本体14は2台の基礎架台4、4に支持されている。なお、基礎架台4が3台以上備えられる場合には、各基礎架台4からコーンロッド13の距離が略同じになるように、コーンロッド13が各基礎架台4により支持される。これにより、貫入装置6のコーンロッド13を鉛直方向に沿って安定して水底地盤内に貫入することができると共に、貫入装置6のコーンロッド13の貫入に対する反力を抑える力を、複数の基礎架台4、4内のサクション圧力により増加させることができる。
【0030】
さらにまた、本実施形態に係るコーン貫入方法では、特に、各基礎架台4、4内から排水して、各基礎架台4、4内にサクション圧力を発生させることで、各基礎架台4、4を所定深さまで貫入させる架台設置ステップを備えている。これにより、大掛かりな作業工程や前準備等を必要とせず、煩雑な作業工程が無く、効率良く水底地盤の物質特性を調査することができる。
【0031】
さらにまた、本実施形態に係るコーン貫入方法は、各基礎架台4、4内に注水することで、各基礎架台4、4を浮き上がらせる架台浮上ステップを含む。そして、コーンロッド13により地盤の物質特性を調査後、速やかに各基礎架台4、4を浮上させることができる。これにより、各基礎架台4、4を浮上させるための新たな設備を備える必要はなく、コストアップを抑制でき、しかも、各基礎架台4、4を浮上させる際に、煩雑な作業はなく、その作業が極めて容易となる。
【符号の説明】
【0032】
1 コーン貫入装置,4 基礎架台,5 注排水手段,6 貫入装置,7 制御装置,13 コーンロッド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8