(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041509
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】真空バルブ
(51)【国際特許分類】
H01H 33/662 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
H01H33/662 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146365
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊池 諒
(72)【発明者】
【氏名】小宮 玄
(72)【発明者】
【氏名】浅利 直紀
(72)【発明者】
【氏名】近藤 淳一
【テーマコード(参考)】
5G026
【Fターム(参考)】
5G026EA04
5G026EB05
(57)【要約】
【課題】 信頼性の良好な真空バルブを得る。
【解決手段】 実施形態に係る真空バルブは、両端に開口端を有する絶縁容器と、前記開口端に接合された一対の封着金具を備えた真空容器と、前記真空容器に切離可能に設けられた一対の電極とを備え、前記絶縁容器は、両端に開口端を有する1またはそれ以上の絶縁筒を備え、前記絶縁筒の少なくとも1つには、前記開口端に接合された前記封着金具または金属部材が設けられ、前記封着金具または前記金属部材と、前記開口端との間の接合部には応力緩衝部材が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端に開口端を有する絶縁容器と、
前記開口端に接合された一対の封着金具を備えた真空容器と、
前記真空容器に切離可能に設けられた一対の電極とを備えた真空バルブであって、
前記絶縁容器は、両端に開口端を有する1またはそれ以上の絶縁筒を備え、
前記絶縁筒の少なくとも1つには、前記開口端に接合された前記封着金具または金属部材が設けられ、
前記封着金具または前記金属部材と、前記開口端との間の接合部には応力緩衝部材が設けられている真空バルブ。
【請求項2】
前記開口端と、前記応力緩衝部材と、前記封着金具または金属部材は、ろう材により接合されている請求項1に記載の真空バルブ。
【請求項3】
前記応力緩衝部材は、前記ろう材の融点よりも高い融点を有する請求項2に記載の真空バルブ。
【請求項4】
前記応力緩衝部材の弾性率は、前記絶縁筒、前記封着金具または前記金属部材の弾性率よりも低い請求項1に記載の真空バルブ。
【請求項5】
前記応力緩衝部材の線膨張率は、前記絶縁筒、前記封着金具または前記金属部材の各線膨張率よりも低い請求項1に記載の真空バルブ。
【請求項6】
前記応力緩衝部材は、銅を主成分とする請求項1に記載の真空バルブ。
【請求項7】
前記応力緩衝部材は、焼きなましされている請求項1に記載の真空バルブ。
【請求項8】
前記応力緩衝部材は、環状であり、その内径は、前記絶縁筒の内径より短い請求項1に記載の真空バルブ。
【請求項9】
前記金属部材は、アークシールドである請求項1に記載の真空バルブ。
【請求項10】
前記ろう材は、銀ロウである請求項2に記載の真空バルブ。
【請求項11】
前記真空容器の表面にモールドされた絶縁層をさらに含む請求項1に記載の真空バルブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、真空バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
真空バルブはスイッチギヤの構成部品であり、真空中で電路開閉を行うことができる。
真空バルブは、絶縁筒の両端に金属フランジをろう付して機密に接合された真空容器と、その内部に設けられた接離可能な一対の電極とを含む。
ろう付けは、ろう材を部材間に置き、真空炉中で加熱することによりろう材のみを溶融させ部材間に広げ、その後室温まで冷却することで接合する手法である。接合後の真空バルブの部材は温度低下に伴う収縮が発生する。そのため、収縮量が異なる絶縁筒と金属フランジには大きなひずみが発生し、これらの部材の接合部分に大きな残留応力が生じる。特に、絶縁筒に使用されるアルミナセラミックスは、限界を超える応力が係ると脆性破壊するという特性がある。このようなことから、真空バルブの絶縁筒に生じる応力を緩和し、真空バルブの信頼性を向上することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4159938号明細書
【特許文献2】特開2000-57913号公報
【特許文献3】特開2020-136004号公報
【特許文献4】特開平3-269923号公報
【特許文献5】特開2003-238268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態は、信頼性の良好な真空バルブを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態によれば、 両端に開口端を有する絶縁容器と、
前記開口端に接合された一対の封着金具を備えた真空容器と、
前記真空容器に切離可能に設けられた一対の電極とを備えた真空バルブであって、
前記絶縁容器は、両端に開口端を有する1またはそれ以上の絶縁筒を備え、
前記絶縁筒の少なくとも1つには、前記開口端に接合された前記封着金具または金属部材が設けられ、
前記封着金具または前記金属部材と、前記開口端との間の接合部には応力緩衝部材が設けられている真空バルブが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態1にかかる真空バルブの構成の一例を表す概略的な断面図である。
【
図4】実施形態1にかかる真空バルブの構成の他の一例を表す概略的な断面図である。
【
図5】実施形態1にかかる真空バルブの構成の他の一例を表す概略的な断面図である。
【
図6】実施形態2にかかる真空バルブの構成の一例を表す概略的な断面図である。
【
図7】実施形態1にかかる真空バルブの構成の他の一例を表す概略的な断面図である。
【
図9】実施形態1にかかる真空バルブの構成の他の一例を表す概略的な断面図である。
【
図10】実施形態1にかかる真空バルブの構成の他の一例を表す概略的な断面図である。
【
図11】実施形態1にかかる真空バルブの構成の他の一例を表す概略的な断面図である。
【
図12】実施形態1にかかる真空バルブの構成の他の一例を表す概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態にかかる真空バルブは、両端に開口端を有する絶縁容器と、開口端に接合された一対の封着金具を備えた真空容器と、真空容器に切離可能に設けられた一対の電極とを備える。絶縁容器は、両端に開口端を有する1またはそれ以上の絶縁筒を有する。少なくとも1つの絶縁筒の開口端には、封着金具または金属部材が設けられている。絶縁筒の開口端と封着金具との間、または絶縁筒の開口端と金属部材との間には、さらに応力緩衝部材が設けられている。
ここでいう応力緩衝部材とは、真空バルブに用いられる絶縁筒、封着金具または金属部材における温度変化に伴う線膨張の違いにより生じる残留応力を緩和するための部材である。
【0008】
実施形態によれば、少なくとも絶縁筒の開口端と封着金具との間、または絶縁筒の開口端と金属部材との間に応力緩衝部材が用いられていることにより、真空バルブの絶縁筒に生じる残留応力を緩和することができる。
絶縁筒の開口端と、応力緩衝部材と、封着金具または金属部材とは、ろう材により接合することができる。ろう材として銀ロウを用いることができる。銀ロウとしては、例えば銀と銅の二元系共晶合金などを使用することができる。
【0009】
応力緩衝部材は、ろう材の融点よりも高い融点を有することができる。応力緩衝部材は、絶縁筒、前記封着金具または前記金属部材の弾性率よりも低い弾性率を有することができる。また、応力緩衝部材は、絶縁筒、封着金具または金属部材の各線膨張率よりも低い線膨張率を有することができる。弾性率として、例えば引張弾性率を用いることができる。応力緩衝部材として、銅を主成分とする材料を使用することができる。このような材料として例えば無酸素銅があげられる。
金属部材としては、例えばアークシールドがあげられる。
【0010】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更であって容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0011】
実施形態1
図1は、実施形態1にかかる真空バルブの構成の一例を表す概略的な断面図を示す。
図1に示す真空バルブ1-1は、絶縁筒3-1、3-2の開口端3-1a、3-2aと封着金具4a、4bとの間に応力緩衝部材9-1、9-2が設けられた例である。
【0012】
図示するように、真空バルブ1-1は、真空容器2と真空容器2に切離可能に設けられた一対の接点5b、6bを有する。真空容器2は、両端に開口部を有し、例えばアルミナセラミックス等よりなる筒状のセラミックス容器3と、金属フランジとして、一方の開口部3-1aに封着された固定側封着金具4aと、他方の開口部3-2bに封着された可動側封着金具4bとを備えており、真空容器2内は真空が維持されている。固定側封着金具4a及び可動側封着金具4bは、各々、導電体であり、例えばステンレス鋼等の金属材料により形成することができる。ステンレス鋼としてはSUS304などが使用できる。真空バルブ1-1において、真空容器2の固定側封着金具4aには中央開口部が設けられ、固定側通電軸6aが貫通固定されている。固定側通電軸6aのセラミックス容器3内の端部に固定側接点6bが固着されている。固定側接点6bに対向し、切離自在の一対の接点となる可動側接点5bは、真空容器2の可動側封着金具4bに設けられた中央開口部を移動自在に貫通する可動側通電軸5aの端部に固着されている。この可動側通電軸5aでは、中央部分より可動側封着金具4b側の部分がセラミックス容器3の外に導出される部分となっており、その部分に、気密封止のための伸縮自在の筒状のベローズ7が配設されている。ベローズ7の自由端7-2は可動側通電軸5aの中央部分に封着され、固定端7-1は可動側封着金具4bの中央開口部に封着されている。固定側接点6bと可動側接点5bの周囲には、筒状のアークシールド8が設けられている。
【0013】
アークシールド8は、筒状のアークシールド本体8-1と、アークシールド本体8-1の外側面を支持するリング状などの環状の支持部8-2とを備えている。アークシールドは導電体であり、例えばステンレス鋼のような金属材料により形成することができる。ステンレス鋼としてはSUS304などが使用できる。
【0014】
セラミックス容器3は、2室型の絶縁容器であり、第1開口端3-1a及び第2開口端3-1bを有する固定側の第1絶縁筒3-1と、両端に第3開口端3-2b及び第4開口端3-2aを有する可動側の第2絶縁筒3-2とに分かれている。第1絶縁筒3-1と第2絶縁筒3-2との間にアークシールド8を固定する支持部8-2が設けられ、第2開口端3-1b及び第3開口端3-2bは支持部8-2に、各々接合して固着されている。
【0015】
また、固定側封着金具4aと第1絶縁筒3-1の第1開口端3-1aとの間の接合部11aには例えばリング形状の応力緩衝部材9-1がさらに設けられている。接合部11aにおいて応力緩衝部材9-1は固定側封着金具4a及び第1絶縁筒3-1に接合して封着されている。可動側封着金具4bと第2絶縁筒3-2の第4開口端3-2aとの間の接合部11bには、応力緩衝部材9-1と同様の例えばリング状の応力緩衝部材9-2が設けられている。接合部11bにおいて応力緩衝部材9-2は可動側封着金具4b及び第2絶縁筒3-2に接合して封着されている。応力緩衝部材9-1、9-2は、接合部の残留応力を低減する効果を有する部材であり、例えば無酸素銅を使用することができる。
なお、ここでは、絶縁容器として、第1の絶縁筒と第2の絶縁筒とを用いた2室型を用いたが、第1絶縁筒だけの1室型、または3以上の数の絶縁筒を組み合わせて使用することもできる。
【0016】
図2に、
図1の接合部11aを拡大した図を示す。
図示するように、接合部11aには、固定側封着金具4aと応力緩衝部材9-1と第1絶縁筒3-1は、ろう材13によりろう付けして接合されている。ここでは、ろう材13は、固定側封着金具4aと応力緩衝部材9-1を接合するろう材13aと、応力緩衝部材9-1と第1絶縁筒3-1を接合するろう材13bとに分かれている。
【0017】
図3に、
図2の接合部11aの変形例を表す図を示す。
図3に示すように、例えばろう材13は、応力緩衝部材9-1の外側面9-1a上、及び内側面9-1b上の表面を被覆するように設けることも可能であり、固定側封着金具4aと応力緩衝部材9-1を接合するろう材13aと、応力緩衝部材9-1と第1絶縁筒3-1を接合するろう材13bとに分かれることなく一体化することができる。また、ろう材13は、応力緩衝部材9-1の外側面9-1a上、内側面9-1b上の一方を被覆するように設けることも可能である。少なくとも応力緩衝部材9-1の外側面9-1a上をろう材13で被覆することができる。
ろう材として例えば銀ロウを使用することができる。銀ロウとしては、銀と銅の二元系共晶合金を使用することができる。
【0018】
応力緩衝部材9-1が外気にさらされると、酸素や水分との反応を起こし弾性率や線膨張係数などの物性が変化して、応力緩衝部材9-1の効果が低下する傾向があるけれども、
図3に示すように、応力緩衝部材9-1の外側面9-1aが薄い膜状のろう材13により覆われていると、応力緩衝部材9-1の効果の低下を避けることができる。また応力緩衝部材9-1を覆っている膜状のろう材13は薄いため、絶縁筒3-1、固定側封着金具4aの外側の応力にはほとんど影響を与えない。また、応力緩衝部材9-1の内側面9-1bは真空バルブ内側であり高真空であるため、
図2のように応力緩衝部材9-1が露出していても、応力緩衝部材9-1と酸素や水分との反応が起こらず、その物性が変化し難い。さらに、応力緩衝部材9-1が露出していることにより、封着金具4aと応力緩衝部材9-1の間、絶縁筒3-1と応力緩衝部材9-1の間を接合するろう材13が完全に離れている。内側面9-1bでは封着金具4aと絶縁筒3-1の間には、応力緩衝部材9-1が介在し、直接接合されないため、応力緩衝部材9-1の効果を最大限享受することができる。
図3では、接合部11aについて説明したが、接合部11bの応力緩衝部材9-2とろう材についても応力緩衝部材9-1とろう材13と同様の構成を有することができ、同様の効果が得られる。
【0019】
このように真空容器としての真空バルブ1-1が構成されている。真空バルブ1-1は真空の優れた絶縁耐力と電流遮断性能を利用している。真空容器2内を高真空に保つため、絶縁筒3には空気などのガスを通さないことが、絶縁筒3と封着金具4a、4bは気密に接合されることが必要である。
【0020】
応力緩衝部材の融点について
ろう付けは、金属部材、絶縁部材などの部材間にろう材を置き、真空炉中で加熱することによりろう材のみを溶融させて部材間に広げ、その後冷却することで接合する手法である。例えば、絶縁筒3-1、3-2と封着金具4a、4bを各々銀ロウで接合する際は、絶縁筒3-1と封着金具4aの間に、銀ロウ、応力緩衝部材9-1、銀ロウを順に配置し、及び絶縁筒3-2と封着金具4bの間に、銀ロウ、応力緩衝部材9-2、銀ロウを順に配置し、また、絶縁筒3-1とアークシールド8の間、絶縁筒3-2とアークシールド8の間に、薄板状や線状の銀ロウをそれぞれ配置し、真空炉中で銀ロウの融点約780℃以上まで昇温した後室温まで徐々に冷却することができる。銀ロウとしては薄板状や線状のものを使用できる。実施形態では、応力緩衝部材9-1,9-2には融点1080℃の無酸素銅、絶縁筒3に融点約2030℃のアルミナセラミックス、封着金具4a、4bやアークシールド8には融点約1400℃のSUS304を使用することができる。応力緩衝部材の融点は銀ロウの融点より高い。また、他の部材、絶縁筒3、封着金具4a、4bやアークシールド8の融点は銀ロウの融点より高い。これにより、真空バルブ内を高真空に保ったまま、銀ロウのみを溶融し部品を接合することができる。また、ろう付けの工程では、絶縁筒3-1、3-2と封着金具4a、4bの間に、銀ロウのみを配置する代わりに、銀ロウ、応力緩衝部材、銀ロウを順に配置するだけで,加熱回数や加熱温度等を特に変更する必要がない。このように、実施形態によれば、製造時間や製造コストを大幅に増加させることなく真空バルブの絶縁筒3-1、3-2の残量応力を低く抑えることが可能となる。
【0021】
ろう材として使用する銀ロウには、チタンなどの活性金属を少量添加することができる。活性金属を少量添加することで、通常金属と接合困難なアルミナなどの表面の濡れ性を良くし金属部材と直接接合することができる。
銀ロウに活性金属を添加しない場合は、銀ロウによる接合の前にスパッタや蒸着、メッキなどの方法でメタライズ処理を施してもよい。メタライズ処理により、セラミックスなどの非金属の表面に金属膜を形成し、金属材料と接合しやすくすることができる。メタライズ処理として、例えば絶縁筒の銀ロウ接合面にモリブデンとマンガンの混合物を焼結し、その表面をニッケルでメッキすることなどがあげられる。また、封着金具及びアークシールドの支持部などの金属部品にもニッケルメッキを行うことで、絶縁筒と金属部品を銀ロウで接合し易くすることができる。
【0022】
応力緩衝部材の熱処理について
実施形態によれば、応力緩衝部材9-1,9-2は、真空バルブ1の製造における真空気密なろう付けの工程では、ろう材を溶融させるために真空バルブ1をろう材の融点以上の温度になるまで加熱したのち、長い時間をかけた冷却が行われる。この工程において応力緩衝部材9-1,9-2も焼なましされ得る。焼なましは金属に対して行われる熱処理で、例えば金属のひずみを取り除き残留応力を低減するために行われる。応力緩衝部材9-1,9-2は加工によって残留応力が生じることが考えられ、残留応力は接合部の信頼性に影響を与える場合があるため取り除く必要がある。そのため、応力緩衝部材9-1,9-2を焼きなましすることで、絶縁筒3-1、3-2などのセラミックスと、封着金具4a、4bなどの金属部材との接合における信頼性を向上することができる。
【0023】
応力緩衝部材の大きさについて
図1に示す真空バルブでは、応力緩衝部材9-1を、SUS304の封着金具4aとアルミナセラミックスの絶縁筒3-1との接合部11aに、応力緩衝部材9-2を、SUS304の封着金具4bとアルミナセラミックスの絶縁筒3-2との接合部11bに各々設置する。応力緩衝部材9-1、9-2は例えば円筒形状をしており、その外径d1は絶縁筒の接合面の外径d3より小さくすることができる。また、その内径d2は絶縁筒の接合面の内径d4以上にすることができる。なお、応力緩衝部材の形状は、
図1に示す円筒形状に限定するものではない。また、その外径d1及び内径d2と、絶縁筒の外径d3及びd4との大きさの関係は、
図1に示す大きさの関係に限定するものではなく、例えば内径d2は絶縁筒の接合面の内径d4よりも短くすることができる。
【0024】
応力緩衝部材9-1、9-2は、アルミナセラミックスの絶縁筒3-1、3-2とSUS304の封着金具4a、4bとを気密に接合するため、銀ロウを使用してろう付けされる。封着金具4a、4bと絶縁筒3-1、3-2は冷却に伴う収縮量に違いがあるため、その接合部11a、11bでは収縮量の違いによるひずみが発生し、残留応力が生じる。これに対し、接合部11aにおいて、封着金具4aと絶縁筒3-1の間に応力緩衝部材9-1、及び接合部11bにおいて、封着金具4bと絶縁筒3-2との間に応力緩衝部材9-2を設けることにより接合部11a、11bにおける残留応力を低減することができる。絶縁筒3-1、3-2に使用されるセラミックスは限界を超える応力がかかると脆性破壊が起こる傾向があるけれども、応力緩衝部材9-1、9-2を用いることで、セラミックスにかかる応力を低減させることができるため、真空バルブの信頼性が向上する。
【0025】
図1に示す真空バルブの効果を確認するため、リング状の応力緩衝部材について、その厚さを0.5mmずつ変化させて、応力緩衝部材9-1、9-2を各々用意した。絶縁筒3-1、3-2と、封着金具4a、4bとの間に、各応力緩衝部材9-1、9-2を設けて、銀ロウを用いてろう付けして真空バルブ1-1を作製した。真空バルブ1-1の絶縁筒3-1、3-2はアルミナセラミックス製、封着金具4a、4bとアークシールド8はSUS304製である。応力緩衝部材9-1、9-2は無酸素銅でできている。ろう材には銀と銅の共晶合金を使用した。応力緩衝部材9-1、9-2はリング状をしており、その外径d1は絶縁筒3-1、3-2の外径d3よりも小さい。また、比較として応力緩衝部材を設置しない真空バルブの作製も同様に行った。
【0026】
その結果、厚さが0.5mm以上の厚さをもつ応力緩衝部材9-1、9-2を使用した真空バルブ1-1については、アルミナセラミックスの絶縁筒3-1、3-2は破壊しなかった。一方、応力緩衝部材を設置しない比較の真空バルブでは、封着金具と絶縁筒の接着面においてアルミナセラミックスの絶縁筒が割れていた。応力緩衝部材の効果により絶縁筒の割れを防ぎ、真空バルブの信頼性を向上したと考えられる。
【0027】
また、応力緩衝部材を設置しない真空バルブでは、応力緩衝部材を使用せずに残留応力を低減するため、セラミックス部材との接合部近傍でアークシールドや封着金具の幅を小さくし接合面積を減らす傾向がある。これに対し、実施形態によれば、封着金具4aとセラミックス部材の絶縁筒3-1との間に設けられた応力緩衝部材9-1、及び封着金具44bと絶縁筒3-2との間に設けられた応力緩衝部材9-2による残留応力緩和効果により、封着金具4a、4bの幅を狭くして接合面積を小さくすることなく、残留応力を低減することができる。この残留応力緩和効果は応力緩衝部材9-1、9-2が厚いほど大きくなる。一対の接点5b、6bを含む開閉機器の動作時、真空バルブ1-1には電路の開閉動作に伴う大きな衝撃が生じる。この衝撃は電路の開閉速度が速いほど大きくなる。真空バルブ1-1では、この衝撃が、絶縁筒3-1と封着金具4aの接合部11a、絶縁筒3-2と封着金具4bの接合部11b、絶縁筒3-1とアークシールドの支持部8-2の接合部、絶縁筒3-2とアークシールド8の支持部8-2の接合部に集中する。実施形態に係る真空バルブ1-1では、応力緩衝部材9-1、応力緩衝部材9-2を使用することにより、アルミナセラミックスの絶縁筒3-1と封着金具4aの接合面積、及び絶縁筒3-2と封着金具4bの接合面積を大きくすることが可能となるので、真空バルブ1-1の開閉動作に伴う衝撃をより大きな面積で受けることができ、衝撃を分散することができる。そのため、真空バルブ1-1の信頼性が向上する。さらに、この構造により真空バルブ1-1の開閉速度をより高速にすることができるため、真空バルブ1-1の電流遮断性能を向上させることができる。このように、応力緩衝部材9-1、9-2を使用することにより、真空バルブ1-1の設計が容易になり製造にかかる時間を削減でき、製造コストを下げることができる。
【0028】
応力緩衝部材の弾性率について
応力緩衝部材9-1、9-2の弾性率は、絶縁筒3-1、3-2、アークシールド8の支持部8-2などの金属部材のいずれよりも小さくすることができる。弾性率が低い材料ではひずみによって生じる応力が小さくなる。弾性率の小さい材料を応力緩衝部材として使用することで、セラミックスと金属部材の接合部で生じる残留応力を低減することができる。例えば応力緩衝部材に銅を、絶縁筒にアルミナセラミックスを、金属部材にSUS304を使用することを考えるとき、銅、アルミナセラミックス、及びSUS304の典型的な弾性率はそれぞれ128GPa、360GPa、及び193GPaである。接合部では温度変化によってひずみが生じるが、弾性率が低い銅を材料とした応力緩衝部材の効果によりアルミナセラミックスとSUS304を直接接合した場合と比較して真空バルブの銀ロウ接合部の残留応力を低く抑えることができる。
【0029】
応力緩衝部材の線膨張率について
応力緩衝部材9-1、9-2の線膨張率は、絶縁筒3-1、3-2の線膨張率と、封着金具4a、4b、及びアークシールド8を構成する部材の線膨張率の中間にすることができる。例えば、絶縁筒3-1、3-2がアルミナセラミックスで、とアークシールドがSUS304でそれぞれ構成されとき、応力緩衝部材の材料を、SUS304の線膨張率17.3 ×10-6/Kとアルミナセラミックスの線膨張率7.2 ×10-6/Kの間の線膨張率をとるものにすることができる。
【0030】
真空バルブの各部材間の接合部に生じる残留応力は、接合過程の冷却によって生じ、部材の線膨張率の差により応力の大きさが決まる。応力緩衝部材の線膨張率をアルミナセラミックスとSUS304の中間にすることにより、従来の真空バルブと比べて絶縁筒に生じる残留応力を低減することができる。特に絶縁筒の材料であるアルミナセラミックスは金属部材と比べ残留応力の影響が大きく、許容応力を超えた応力が生じると脆性破壊に至る。応力緩衝部材の線膨張率をアルミナセラミックスとSUS304の中間にすることによりアルミナセラミックスの脆性破壊を防ぎ真空バルブの信頼性を向上することができる。また、応力緩衝部材の線膨張率がアルミナセラミックスの線膨張率に近いほど、応力緩衝部材の効果が大きくなる傾向がある。
【0031】
図4は、実施形態1にかかる真空バルブの構成の他の一例を表す概略的な断面図を示す。
図4は、絶縁筒3-1、3-2の開口端3-1b、3-2bとアークシールド8の支持部8-2との間に応力緩衝部材9-3、9-4が設けられた真空バルブ1-2を示す。
図4に示すように、真空バルブ1-2は、固定側封着金具4aと第1絶縁筒3-1の第1開口端3-1aとの間の接合部11aに応力緩衝部材9-1が設けられていないこと、可動側封着金具4bと第2絶縁筒3-2の第4開口端3-2aとの間の接合部11bに、応力緩衝部材9-1と同様の例えばリング状の応力緩衝部材9-2が設けられていないこと、第1絶縁筒3-1の第2開口端3-1bとアークシールド8の支持部8-2との接合部11cに応力緩衝部材9-3が設けられていること、及び第2絶縁筒3-2の第3開口端3-2bとアークシールド8の支持部8-2との接合部11dに応力緩衝部材9-4が設けられていること以外は、
図1に示す真空バルブ1と同様の構造を有する。
【0032】
実施形態によれば、第1絶縁筒3-1の第2開口端3-1bとアークシールド8の支持部8-2との接合部11cに設けられた応力緩衝部材9-3、及び第2絶縁筒3-2の第3開口端3-2bとアークシールド8の支持部8-2との接合部11dに設けられた応力緩衝部材9-4の残留応力緩和効果により、アークシールド8やアークシールド8の支持部8-2の幅を狭くして接合面積を小さくすることなく、残留応力を低減することができる。この残留応力緩和効果は応力緩衝部材9-3、9-4が厚いほど大きくなる。一対の接点5b、6bを含む開閉機器の動作時、真空バルブ1には電路の開閉動作に伴う大きな衝撃が生じる。この衝撃は電路の開閉速度が速いほど大きくなる。真空バルブ1では、この衝撃が、絶縁筒3-1と封着金具4aの接合部11a、絶縁筒3-2と封着金具4bの接合部11b、絶縁筒3-1とアークシールドの支持部8-2の接合部11c、絶縁筒3-2とアークシールド8の支持部8-2の接合部11dに集中する。
【0033】
実施形態に係る真空バルブ1では、応力緩衝部材9-3、応力緩衝部材9-4を使用することにより、アルミナセラミックスの絶縁筒3-1とアークシールド8の支持部8-2、及び絶縁筒3-2とアークシールド8の支持部8-2の接合面積を大きくすることが可能となるので、真空バルブ1の開閉動作に伴う衝撃をより大きな面積で受けることができ、衝撃を分散することができる。そのため、真空バルブ1の信頼性が向上する。さらに、この構造により真空バルブ1の開閉速度をより高速にすることができるため、真空バルブ1の電流遮断性能を向上させることができる。このように、応力緩衝部材9-3、9-4を使用することにより、真空バルブ1の設計が容易になり製造にかかる時間を削減でき、製造コストを下げることができる。
【0034】
図5は、実施形態1にかかる真空バルブの構成の他の一例を表す概略的な断面図を示す。
図5は、絶縁筒3-1、3-2の開口端3-1a、3-2aと封着金具4a、4bとの間に応力緩衝部材9-1、9-2が設けられ、絶縁筒3-1、3-2の開口端3-1b、3-2bとアークシールド8の支持部8-2との間に応力緩衝部材9-3、9-4が設けられた真空バルブ1-3を示す。
【0035】
図5に示すように、真空バルブ1-3は、第1絶縁筒3-1の第2開口端3-1bとアークシールド8の支持部8-2との接合部11cに応力緩衝部材9-3がさらに設けられていること、及び第2絶縁筒3-2の第3開口端3-2bとアークシールド8の支持部8-2との接合部11dに応力緩衝部材9-4がさらに設けられていること、以外は、
図1に示す真空バルブ1と同様の構造を有する。
【0036】
実施形態によれば、封着金具4aとセラミックス部材の絶縁筒3-1との間に設けられた応力緩衝部材9-1、封着金具44bと絶縁筒3-2との間に設けられた応力緩衝部材9-2、第1絶縁筒3-1の第2開口端3-1bとアークシールド8の支持部8-2との接合部11cに設けられた応力緩衝部材9-3、及び第2絶縁筒3-2の第3開口端3-2bとアークシールド8の支持部8-2との接合部11dに設けられた応力緩衝部材9-4による残留応力緩和効果により、アークシールド8や封着金具4a、4bの幅を狭くして接合面積を小さくすることなく、残留応力を低減することができる。この残留応力緩和効果は応力緩衝部材9-1、9-2、9-3、9-4が厚いほど大きくなる。一対の接点5b、6bを含む開閉機器の動作時、真空バルブ1には電路の開閉動作に伴う大きな衝撃が生じる。この衝撃は電路の開閉速度が速いほど大きくなる。真空バルブ1では、この衝撃が、絶縁筒3-1と封着金具4aの接合部11a、絶縁筒3-2と封着金具4bの接合部11b、絶縁筒3-1とアークシールドの支持部8-2の接合部11c、絶縁筒3-2とアークシールド8の支持部8-2の接合部11dに集中する。実施形態に係る真空バルブ1では、応力緩衝部材9-1、応力緩衝部材9-2、応力緩衝部材9-3、及び応力緩衝部材9-4を使用することにより、アルミナセラミックスの絶縁筒3-1と封着金具4aの接合面積、及び絶縁筒3-2と封着金具4bの接合面積、絶縁筒3-2とアークシールドの支持部8-2の接合面積、及び絶縁筒3-1とアークシールドの支持部8-2の接合面積を大きくすることが可能となるので、真空バルブ1の開閉動作に伴う衝撃をより大きな面積で受けることができ、衝撃を分散することができる。そのため、真空バルブ1の信頼性が向上する。さらに、この構造により真空バルブ1の開閉速度をより高速にすることができるため、真空バルブ1の電流遮断性能を向上させることができる。このように、応力緩衝部材9-1、9-2、9-3、及び9-4を使用することにより、真空バルブ1の設計が容易になり製造にかかる時間を削減でき、製造コストを下げることができる。
【0037】
実施形態2
図6は、実施形態2にかかる真空バルブの構成の一例を表す概略的な断面図を示す。
図6は、
図5の真空バルブを用いたモールド真空バルブを示す。
図6に示すように、モールド真空バルブ1-4は、真空バルブ1-2と、真空バルブ1-2の周りに設けられた絶縁層10を有する。絶縁層10は真空バルブと外部との絶縁を図っている。絶縁材料として例えばエポキシ樹脂を用いることができる。
絶縁層10の外周には、図示しない接地層をさらに設けることができる。また、絶縁層10の固定側通電軸6a側の端部、絶縁層21の可動側通電軸5aの端部には、各々、図示しない界面接続部を設けることが可能であり、同様の界面接続部と接続可能にすることができる。
モールド真空バルブ1-4は、真空バルブ1-2を絶縁層10で覆うことで絶縁に必要な距離を短くすることができ、スイッチギヤ全体を小型化することができる。
【0038】
実施形態1の変形例
図7は、実施形態1にかかる真空バルブの構成の他の一例を表す概略的な断面図を示す。
図7に示す真空バルブ1-5は、
図1の真空バルブ1-1の応力緩衝部材9-1、応力緩衝部材9-2の変形例を有する。
図7に示すように、真空バルブ1-5は、絶縁筒3-1の開口端3-1aと封着金具4aとの間の接合部11a’に、リング形状の応力緩衝部材9-1の代わりにリングの内側が変形した形状を持つ応力緩衝部材9-1cを用い、絶縁筒3-2の開口端3-2aと封着金具4bとの間の接合部11b’に、リング形状の応力緩衝部材9-2の代わりにリングの内側が変形した形状を持つ応力緩衝部材9-2cを用いること以外は、
図1と同様の構成を有する。応力緩衝部材9-1c、9-2cを使用しても
図1と同様の効果が得られる。
【0039】
図8に、
図7の接合部11a’を拡大した図を示す。
図7及び
図8に示すように、封着金具4a端部との接合による熱応力を低減するために応力緩衝部材9-1c、9-2cの外径d7は封着金具4a、4bの外径d5より大きくすることができる。応力緩衝部材9-1c、9-2cの外径d7は、絶縁筒3-1、3-2の外径d3よりも小さい。応力緩衝部材9-1cの真空バルブ外側端部は薄い膜状の銀ロウ13により覆われている。応力緩衝部材9-2cの真空バルブ外側端部は図示しない薄い膜状の銀ロウにより同様に覆われている。これは、応力緩衝部材9-1c、9-2cが外気にさらされることにより酸素や水分との反応を起こし、弾性率や線膨張係数などの物性が変化し、応力緩衝部材の効果を失うことを避けるためである。また、応力緩衝部材9-1cを覆っている膜状の銀ロウ13は薄いため、絶縁筒3-1、封着金具4aの外側の応力にはほとんど影響を与えない。応力緩衝部材9-2cを覆っている図示しない膜状の銀ロウも薄いため、絶縁筒3-2、封着金具4bの外側の応力にはほとんど影響を与えない。
【0040】
応力緩衝部材9-1cの内側(真空側)9-1dが封着金具4a方向に曲げることができるようになっている。応力緩衝部材9-2cの内側(真空側)9-2dが封着金具4b方向に曲げることができるようになっている。応力緩衝部材9-1cの内側9-1dは銀ロウ13から露出している。応力緩衝部材9-2cの内側9-2dは図示しない銀ロウから露出している。真空バルブ1-5の内側は外側と異なり高真空になっているため、酸素や水分との反応が起こらないため応力緩衝部材9-1c、9-2cの物性が変化しない。さらに、応力緩衝部材9-1cの内側9-1dで応力緩衝部材9-1cが露出していることにより、封着金具4aと応力緩衝部材9-1cとの間を接合する銀ロウ13cと、絶縁筒3-1と応力緩衝部材9-1cとの間を接合する銀ロウ13dとが離れている。応力緩衝部材9-2cの内側9-2dで応力緩衝部材9-2cが露出していることにより、封着金具4bと応力緩衝部材9-2cとの間を接合する銀ロウと、絶縁筒3-2と応力緩衝部材9-2cとの間を接合する銀ロウ13dとが離れている。応力緩衝部材9-1c、9-2cの内側9-1d、9-2dでは、封着金具4a、4bと絶縁筒3-1、3-2が応力緩衝部材9-1c、9-2cを介さずに直接接合されないため、応力緩衝部材の効果を最大限享受することができる。
【0041】
また、応力緩衝部材9-1c、9-2cの内側9-1d、9-2dを、各々封着金具4a、4b側へ曲げる角度により、封着金具4a、4bと応力緩衝部材9-1c、9-2c)の間、および絶縁筒3-1、3-2と応力緩衝部材9-1c、9-2cの間の銀ロウフィレットの半径Rを変えることができるようになる。熱応力解析により、銀ロウの半径Rを大きくすることで接合部11a’、11b’の応力が低減されることが確認されている。絶縁筒3-1、3-2、封着金具4a,4bの許容応力に応じて曲げ角度を決定し銀ロウフィレットの半径を制御することで、応力緩衝の効果を高めることができる。
【0042】
図9は、実施形態1にかかる真空バルブの構成の他の一例を表す概略的な断面図を示す。
図9に示す真空バルブ1-6は、
図4の真空バルブ1-1の応力緩衝部材9-3、応力緩衝部材9-4の変形例を有する。
図9に示すように、真空バルブ1-5は、絶縁筒3-1の開口端3-1bとアークシールド8の支持部8-2との間の接合部11c’に、リング形状の応力緩衝部材9-1の代わりにリングの内側が変形した形状を持つ応力緩衝部材9-3c、及び絶縁筒3-2の開口端3-2bと、アークシールド8の支持部8-2との間の接合部11d’に、リング形状の応力緩衝部材9-2の代わりにリングの内側が変形した形状を持つ応力緩衝部材9-4cを各々用いること以外は、
図4と同様の構成を有する。応力緩衝部材9-3c及び応力緩衝部材9-4cを用いても
図4と同様の効果が得られる。
【0043】
また、応力緩衝部材9-3c、9-4cの外径d7は、絶縁筒3-1、3-2の外径d3よりも小さい。応力緩衝部材9-3c、9-4cの真空バルブ外側端部は薄い膜状の銀ロウ13により覆われている。これは、応力緩衝部材9-3c、9-4cが外気にさらされることにより酸素や水分との反応を起こし、弾性率や線膨張係数などの物性が変化し、応力緩衝部材の効果を失うことを避けるためである。また応力緩衝部材9-3c、9-4cを覆っている膜状の銀ロウ13は薄いため、絶縁筒3-1、3-2、封着金具4a、4bの外側の応力にはほとんど影響を与えない。
【0044】
応力緩衝部材9-3cの内側(真空側)9-3dは封着金具4a方向に、応力緩衝部材9-4cの内側(真空側)9-4dは、封着金具4b方向に、各々曲げることができるようになっている。応力緩衝部材9-3cの内側9-3d、及び応力緩衝部材9-4cの内側9-4dは、それぞれ銀ロウ13から露出している。真空バルブ1-6の内側は外側と異なり高真空になっているため、酸素や水分との反応が起こらないため応力緩衝部材9-3c、9-4cの物性が変化しない。さらに、応力緩衝部材9-3cの内側9-3dでは、銀ロウから応力緩衝部材9-3cが露出していることにより、アークシールド8の支持部8-2と応力緩衝部材9-3cの間を接合する銀ロウと、絶縁筒3-1と応力緩衝部材9-3cの間を接合する銀ロウとが離れている。また、応力緩衝部材9-4cの内側9-4dでは、銀ロウから応力緩衝部材9-4cが露出していることにより、アークシールド8の支持部8-2と応力緩衝部材9-4cの間を接合する銀ロウと、絶縁筒3-2と応力緩衝部材9-4cの間を接合する銀ロウとが離れている。応力緩衝部材9-3cの内側9-3dでは、アークシールド8の支持部8-2と絶縁筒3-1が応力緩衝部材9-3cを介さずに直接接合されないため、応力緩衝部材9-4cの内側9-4dでは、アークシールド8の支持部8-2と絶縁筒3-2が応力緩衝部材9-4cを介さずに直接接合されないため、応力緩衝部材の効果を最大限享受することができる。
【0045】
また、応力緩衝部材9-3cの内側9-3dを封着金具4a側へ曲げる角度により、アークシールド8の支持部8-2と応力緩衝部材9-3cの間、および絶縁筒3-1と応力緩衝部材9-3cの間の銀ロウフィレットの半径Rを変えることができるようになる。同様に、応力緩衝部材9-4cの内側9-3dを封着金具4b側へ曲げる角度により、アークシールド8の支持部8-2と応力緩衝部材9-4cの間、および絶縁筒3-2と応力緩衝部材9-4cの間の銀ロウフィレットの半径Rを変えることができるようになる。熱応力解析により、銀ロウの半径Rを大きくすることで接合部11c’、11d’の応力が低減されることが確認されている。絶縁筒3-1、絶縁筒3-2、アークシールド8の支持部8-2の許容応力に応じて曲げ角度を決定し銀ロウフィレットの半径を制御することで、応力緩衝の効果を高めることができる。
【0046】
図10は、実施形態1にかかる真空バルブの構成の他の一例を表す概略的な断面図を示す。
図10に示す真空バルブ1-7は、
図5の真空バルブ1-3の応力緩衝部材9-1、応力緩衝部材9-2、応力緩衝部材9-3、応力緩衝部材9-4の変形例を有する。
図10に示すように、真空バルブ1-7は、絶縁筒3-1の開口端3-1aと封着金具4aとの間の接合部11a’に、リング形状の応力緩衝部材9-1の代わりにリングの内側が変形した形状を持つ応力緩衝部材9-1c、絶縁筒3-2の開口端3-2aと封着金具4bとの間の接合部11b’に、リング形状の応力緩衝部材9-2の代わりにリングの内側が変形した形状を持つ応力緩衝部材9-2c、絶縁筒3-1の開口端3-1bとアークシールド8の支持部8-2との間の接合部11c’に、リング形状の応力緩衝部材9-3の代わりにリングの内側が変形した形状を持つ応力緩衝部材9-3c、及び絶縁筒3-2の開口端3-2bとアークシールド8の支持部8-2との間の接合部11d’に、リング形状の応力緩衝部材9-4の代わりにリングの内側が変形した形状を持つ応力緩衝部材9-4cを用いること以外は、
図5と同様の構成を有する。応力緩衝部材9-1c、9-2c、9-3c、9-4cを用いても
図5と同様の効果が得られる。
【0047】
また、封着金具4a端部との接合による熱応力を低減するために応力緩衝部材9-1c、9-2cの外径d7は封着金具4a、4bの外径d5より大きくすることができる。応力緩衝部材9-1c、9-2c、9-3c、9-4cの外径d7は、絶縁筒3-1、3-2の外径d3よりも小さい。応力緩衝部材9-1c、9-2c、9-3c、9-4cの真空バルブ外側端部は薄い膜状の銀ロウ13により覆われている。これは、応力緩衝部材9-1c、9-2c、9-3c、9-4cが外気にさらされることにより酸素や水分との反応を起こし、弾性率や線膨張係数などの物性が変化し、応力緩衝部材の効果を失うことを避けるためである。また応力緩衝部材9-1c、9-2c、9-3c、9-4cを覆っている膜状の銀ロウ13は薄いため、絶縁筒3-1、3-2、封着金具4a、4b、及びアークシールド8の支持部8-2の外側の応力にはほとんど影響を与えない。
【0048】
応力緩衝部材9-1cの内側(真空側)9-1dが封着金具4a方向に、応力緩衝部材9-2cの内側(真空側)9-2dが封着金具4b方向に、応力緩衝部材9-3cの内側(真空側)9-3dは封着金具4a方向に、応力緩衝部材9-4cの内側(真空側)9-4dは、封着金具4b方向に、各々曲げることができるようになっている。応力緩衝部材9-1cの内側9-1d、応力緩衝部材9-2cの内側9-2d、応力緩衝部材9-3cの内側9-3d、及び応力緩衝部材9-4cの内側9-4dは、それぞれ銀ロウ13から露出している。真空バルブ1-7の内側は外側と異なり高真空になっているため、酸素や水分との反応が起こらないため応力緩衝部材9-1c、9-2c、9-3c、9-4cの物性が変化しない。
【0049】
さらに、応力緩衝部材9-1cの内側9-1dで応力緩衝部材9-1cが露出していることにより、封着金具4aと応力緩衝部材9-1cとの間を接合する銀ロウと、絶縁筒3-1と応力緩衝部材9-1cとの間を接合する銀ロウとが離れている。また、応力緩衝部材9-2cの内側9-2dで応力緩衝部材9-2cが露出していることにより、封着金具4bと応力緩衝部材9-2cとの間を接合する銀ロウと、絶縁筒3-2と応力緩衝部材9-2cとの間を接合する銀ロウとが離れている。同様に、応力緩衝部材9-3cの内側9-3dでは、銀ロウから応力緩衝部材9-3cが露出していることにより、アークシールド8の支持部8-2と応力緩衝部材9-3cの間を接合する銀ロウと、絶縁筒3-1と応力緩衝部材9-3cの間を接合する銀ロウとが離れている。さらにまた、応力緩衝部材9-4cの内側9-4dでは、銀ロウから応力緩衝部材9-4cが露出していることにより、アークシールド8の支持部8-2と応力緩衝部材9-4cの間を接合する銀ロウと、絶縁筒3-2と応力緩衝部材9-4cの間を接合する銀ロウとが離れている。
【0050】
応力緩衝部材9-1cの内側9-1dでは、封着金具4aと絶縁筒3-1が応力緩衝部材9-1cを介さずに直接接合されないため、応力緩衝部材9-2cの内側9-2dでは、封着金具4bと絶縁筒3-2が応力緩衝部材9-2cを介さずに直接接合されないため、応力緩衝部材9-3cの内側9-3dでは、アークシールド8の支持部8-2と絶縁筒3-1が応力緩衝部材9-3cを介さずに直接接合されないため、応力緩衝部材9-4cの内側9-4dでは、アークシールド8の支持部8-2と絶縁筒3-2が応力緩衝部材9-4cを介さずに直接接合されないため、各々応力緩衝部材の効果を最大限享受することができる。
【0051】
また、応力緩衝部材9-1cの内側9-1dを封着金具4a側へ曲げる角度により、封着金具4aと応力緩衝部材9-1cとの間、および絶縁筒3-1と応力緩衝部材9-1cとの間の銀ロウフィレットの半径Rを変えることができるようになる。応力緩衝部材9-2cの内側9-2dを封着金具4b側へ曲げる角度により、封着金具4bと応力緩衝部材9-2cとの間、および絶縁筒3-2と応力緩衝部9-2cとの間の銀ロウフィレットの半径Rを変えることができるようになる。応力緩衝部材9-3cの内側9-3dを封着金具4a側へ曲げる角度により、アークシールド8の支持部8-2と応力緩衝部材9-3cの間、および絶縁筒3-1と応力緩衝部材9-3cの間の銀ロウフィレットの半径Rを変えることができるようになる。同様に、応力緩衝部材9-4cの内側9-3dを封着金具4b側へ曲げる角度により、アークシールド8の支持部8-2と応力緩衝部材9-4cの間、および絶縁筒3-2と応力緩衝部材9-4cの間の銀ロウフィレットの半径Rを変えることができるようになる。熱応力解析により、銀ロウの半径Rを大きくすることで接合部11a’、11b’、11c’、11d’の応力が低減されることが確認されている。封着金具4a、封着金具4b、絶縁筒3-1、絶縁筒3-2、アークシールド8の支持部8-2の許容応力に応じて曲げ角度を決定し銀ロウフィレットの半径を制御することで、応力緩衝の効果を高めることができる。
【0052】
図11は、実施形態1にかかる真空バルブの構成の他の一例を表す概略的な断面図を示す。
図11は、
図5の絶縁筒3-1と、絶縁筒3-2と、その間に設けられたアークシールド8-3の変形例を示す。
図11に示すように、真空バルブ1-8は、絶縁筒3-1と絶縁筒3-2との代わりに絶縁筒3-1と絶縁筒3-2よりも軸方向の長さが各々短い絶縁筒3-3と絶縁筒3-4が用いられていること、及び支持部8-2を有するアークシールド8の代わりに、支持部を持たないアークシールド8-3が設けられていること以外は
図5と同様の構成を有する。
【0053】
絶縁筒3-3は、開口端3-3aと開口端3-3bを有し、開口端3-3aは封着金具4aと接合されている。封着金具4aと開口端3-3aとの間の接合部11eには応力緩衝部材9-1がさらに設けられ、応力緩衝部材9-1は、封着金具4a及び開口端3-3aと接合して封着されている。一方、開口端3-3bは、支持部を持たないアークシールド8-3の開口端8-3aと接合されている。開口端3-3bと開口端8-3aの間の接合部11gには、応力緩衝部材9-3がさらに設けられ、応力緩衝部材9-3は、開口端3-3b及び開口端8-3aと接合して固着されている。
【0054】
絶縁筒3-4は、開口端3-4aと開口端3-4bを有し、開口端3-4aは封着金具4bと接合されている。封着金具4bと開口端3-4aとの間の接合部11fには応力緩衝部材9-2が設けられ、応力緩衝部材9-2は封着金具4a及び開口端3-3aと接合して封着されている。一方、開口端3-4bは、支持部を持たないアークシールド8-3の開口端8-3bと接合されている。開口端3-4bと開口端8-3bの間の接合部11hには、応力緩衝部材9-4がさらに設けられ、応力緩衝部材9-4は、開口端3-4b及び開口端8-3bと接合して固着されている。それ以外の構成は
図5と同様である。
【0055】
実施形態によれば、応力緩衝部材9-1、9-2、9-3、及び9-4による残留応力緩和効果により、アークシールド8-3や封着金具4a、4bの幅を狭くして接合面積を小さくすることなく、残留応力を低減することができる。この残留応力緩和効果は応力緩衝部材9-1、9-2、9-3、9-4が厚いほど大きくなる。一対の接点5b、6bを含む開閉機器の動作時、真空バルブ1には電路の開閉動作に伴う大きな衝撃が生じる。この衝撃は電路の開閉速度が速いほど大きくなる。真空バルブ1-8では、この衝撃が、絶縁筒3-3と封着金具4aの接合部11e、絶縁筒3-4と封着金具4bの接合部11f、絶縁筒3-3とアークシールド8-3の接合部11g、絶縁筒3-4とアークシールド8-3の接合部11hに集中する。実施形態に係る真空バルブ1-8では、応力緩衝部材9-1、応力緩衝部材9-2、応力緩衝部材9-3、及び応力緩衝部材9-4を使用することにより、アルミナセラミックスの絶縁筒3-3と封着金具4aの接合面積、及び絶縁筒3-4と封着金具4bの接合面積、絶縁筒3-3とアークシールド8-3の接合面積、及び絶縁筒3-4とアークシールド8-3の接合面積を大きくすることが可能となるので、真空バルブ1-8の開閉動作に伴う衝撃をより大きな面積で受けることができ、衝撃を分散することができる。そのため、真空バルブ1の信頼性が向上する。さらに、この構造により真空バルブ1-8の開閉速度をより高速にすることができるため、真空バルブ1-8の電流遮断性能を向上させることができる。このように、応力緩衝部材9-1、9-2、9-3、及び9-4を使用することにより、真空バルブ1-8の設計が容易になり製造にかかる時間を削減でき、製造コストを下げることができる。
【0056】
図12は、実施形態1にかかる真空バルブの構成の他の一例を表す概略的な断面図を示す。
図12に示す真空バルブ1-9は、
図11の真空バルブ1-8の応力緩衝部材9-1、応力緩衝部材9-2、応力緩衝部材9-3、応力緩衝部材9-4の代わりに
図10の応力緩衝部材9-1c、応力緩衝部材9-2c、応力緩衝部材9-3c、応力緩衝部材9-4cが用いられる。
【0057】
図12に示すように、真空バルブ1-9は、絶縁筒3-3の開口端3-3aと封着金具4aとの間の接合部11e’に、リング形状の応力緩衝部材9-1の代わりにリングの内側が変形した形状を持つ応力緩衝部材9-1c、絶縁筒3-4の開口端3-4aと封着金具4bとの間の接合部11g’に、リング形状の応力緩衝部材9-2の代わりにリングの内側が変形した形状を持つ応力緩衝部材9-2c、絶縁筒3-3の開口端3-3bとアークシールド8-3との間の接合部11h’に、リング形状の応力緩衝部材9-3の代わりにリングの内側が変形した形状を持つ応力緩衝部材9-3c、及び絶縁筒3-4の開口端3-4bとアークシールド8-3との間の接合部11f’に、リング形状の応力緩衝部材9-4の代わりにリングの内側が変形した形状を持つ応力緩衝部材9-4cを用いること以外は、
図11と同様の構成を有する。応力緩衝部材9-1c、9-2c、9-3c、9-4cを用いても
図11と同様の効果が得られる。
【0058】
また、封着金具4a端部との接合による熱応力を低減するために応力緩衝部材9-1c、9-2cの外径d7は封着金具4a、4bの外径d5より大きくすることができる。応力緩衝部材9-1c、9-2c、9-3c、9-4cの外径d7は、絶縁筒3-3、3-4の外径よりも小さい。応力緩衝部材9-1c、9-2c、9-3c、9-4cの真空バルブ外側端部は薄い膜状の銀ロウにより覆われている。これは、応力緩衝部材9-1c、9-2c、9-3c、9-4cが外気にさらされることにより酸素や水分との反応を起こし、弾性率や線膨張係数などの物性が変化し、応力緩衝部材の効果を失うことを避けるためである。また応力緩衝部材9-1c、9-2c、9-3c、9-4cを覆っている膜状の銀ロウは薄いため、絶縁筒3-3、3-4、封着金具4a、4b、及びアークシールド8-3の外側の応力にはほとんど影響を与えない。
【0059】
応力緩衝部材9-1cの内側(真空側)9-1dが封着金具4a方向に、応力緩衝部材9-2cの内側(真空側)9-2dが封着金具4b方向に、応力緩衝部材9-3cの内側(真空側)9-3dは封着金具4a方向に、応力緩衝部材9-4cの内側(真空側)9-4dは、封着金具4b方向に、各々曲げることができるようになっている。応力緩衝部材9-1cの内側9-1d、応力緩衝部材9-2cの内側9-2d、応力緩衝部材9-3cの内側9-3d、及び応力緩衝部材9-4cの内側9-4dは、それぞれ銀ロウから露出している。真空バルブ1-8の内側は外側と異なり高真空になっているため、酸素や水分との反応が起こらないため応力緩衝部材9-1c、9-2c、9-3c、9-4cの物性が変化しない。
【0060】
さらに、応力緩衝部材9-1cの内側9-1dで応力緩衝部材9-1cが露出していることにより、封着金具4aと応力緩衝部材9-1cとの間を接合する銀ロウと、絶縁筒3-3と応力緩衝部材9-1cとの間を接合する銀ロウとが離れている。また、応力緩衝部材9-2cの内側9-2dで応力緩衝部材9-2cが露出していることにより、封着金具4bと応力緩衝部材9-2cとの間を接合する銀ロウと、絶縁筒3-4と応力緩衝部材9-2cとの間を接合する銀ロウとが離れている。同様に、応力緩衝部材9-3cの内側9-3dでは、銀ロウから応力緩衝部材9-3cが露出していることにより、アークシールド8-3と応力緩衝部材9-3cの間を接合する銀ロウと、絶縁筒3-3と応力緩衝部材9-3cの間を接合する銀ロウとが離れている。さらにまた、応力緩衝部材9-4cの内側9-4dでは、銀ロウから応力緩衝部材9-4cが露出していることにより、アークシールド8-3と応力緩衝部材9-4cの間を接合する銀ロウと、絶縁筒3-4と応力緩衝部材9-4cの間を接合する銀ロウとが離れている。
【0061】
応力緩衝部材9-1cの内側9-1dでは、封着金具4aと絶縁筒3-3が応力緩衝部材9-1cを介さずに直接接合されないため、応力緩衝部材9-2cの内側9-2dでは、封着金具4bと絶縁筒3-4が応力緩衝部材9-2cを介さずに直接接合されないため、応力緩衝部材9-3cの内側9-3dでは、アークシールド8-3と絶縁筒3-3が応力緩衝部材9-3cを介さずに直接接合されないため、応力緩衝部材9-4cの内側9-4dでは、アークシールド8-3と絶縁筒3-4が応力緩衝部材9-4cを介さずに直接接合されないため、各々応力緩衝部材の効果を最大限享受することができる。
【0062】
また、応力緩衝部材9-1cの内側9-1dを封着金具4a側へ曲げる角度により、封着金具4aと応力緩衝部材9-1cとの間、および絶縁筒3-3と応力緩衝部材9-1cとの間の銀ロウフィレットの半径Rを変えることができるようになる。応力緩衝部材9-2cの内側9-2dを封着金具4b側へ曲げる角度により、封着金具4bと応力緩衝部材9-2cとの間、および絶縁筒3-4と応力緩衝部9-2cとの間の銀ロウフィレットの半径Rを変えることができるようになる。応力緩衝部材9-3cの内側9-3dを封着金具4a側へ曲げる角度により、アークシールド8-3と応力緩衝部材9-3cの間、および絶縁筒3-3と応力緩衝部材9-3cの間の銀ロウフィレットの半径Rを変えることができるようになる。同様に、応力緩衝部材9-4cの内側9-3dを封着金具4b側へ曲げる角度により、アークシールド8-3と応力緩衝部材9-4cの間、および絶縁筒3-4と応力緩衝部材9-4cの間の銀ロウフィレットの半径Rを変えることができるようになる。熱応力解析により、銀ロウの半径Rを大きくすることで各接合部11e’、11f’、11g’、11h’の応力が低減されることが確認されている。封着金具4a、封着金具4b、絶縁筒3-3、絶縁筒3-4、アークシールド8-3の許容応力に応じて曲げ角度を決定し銀ロウフィレットの半径を制御することで、応力緩衝の効果を高めることができる。
【0063】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1-1,1-2,1-3,1-4,1-5,1-6,1-7,1-8,1-9…真空バルブ、2…真空容器、3…絶縁容器、3-1,3-2,3-3,3-4…絶縁筒、3-1a,3-1b,3-2a,3-2b,3-3,a,3-3b,3-4a,3-4b…開口端、4a,4b…封着金具、5b,6b…電極、8…アークシールド、8-2…金属部材、11a,11a’,11b,11b’,11c,11c’11d,11d’,11e,11e’,11f,11f’,11g,11g’,11h,11h’…接合部、9-1,9-1c,9-2,9-2c,9-3,9-3c,9-4,9-4c…応力緩衝部材、10…絶縁層