(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041517
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/04 20230101AFI20240319BHJP
【FI】
G06Q10/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146382
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】大森 健次
(72)【発明者】
【氏名】武井 正和
(72)【発明者】
【氏名】西谷 早百合
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA04
(57)【要約】
【課題】オフィスにおけるカーボンニュートラルの実現に効果的なエネルギーマネジメントを提供することが可能な情報処理方法等を提供する。
【解決手段】コンピュータは、オフィスの電源調達における炭素排出量の予測量を取得する。そして、コンピュータは、取得した、オフィスの電源調達における炭素排出量の予測量に基づき、前記オフィスの利用条件を特定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オフィスの電源調達における炭素排出量の予測量を取得し、
取得した予測量に基づき、前記オフィスの利用条件を特定する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項2】
前記オフィスは、複数種類の利用目的での利用が可能であり、
前記予測量に基づき、前記利用目的毎に利用条件を特定する
処理を前記コンピュータが実行する請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記予測量に基づき、前記オフィスの利用可能人数を特定する
処理を前記コンピュータが実行する請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記オフィスは、前記オフィスに設けられた自家発電設備、前記オフィスに設けられた蓄電池、及び、電力系統の少なくとも1つから電力を調達する
請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項5】
日本卸電力取引所(JEPX:Japan Electric Power Exchange)における電力取引価格に基づき、電力系統から供給される電力における太陽光発電の割合を予測し、
予測した前記太陽光発電の割合に基づき、前記炭素排出量の予測量を算出する
処理を前記コンピュータが実行する請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項6】
特定した前記利用目的毎の利用条件に基づき、前記利用目的毎に利用可能エリア及び利用可能座席を特定し、
特定した前記利用可能エリア及び利用可能座席を出力する
処理を前記コンピュータが実行する請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項7】
ユーザの前記オフィスの利用目的を受け付け、
受け付けた前記利用目的に基づき、前記ユーザが利用可能なエリア及び座席を特定する
処理を前記コンピュータが実行する請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記オフィスの利用に関するユーザの希望条件を受け付け、
受け付けた前記希望条件に基づき、前記ユーザが利用可能なエリア及び座席を特定する
処理を前記コンピュータが実行する請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項9】
特定した前記利用可能なエリア及び座席と、前記ユーザの希望条件との適合度合に応じたポイントを、前記利用可能なエリア及び座席に対応付けて出力する
処理を前記コンピュータが実行する請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記ユーザの利用予定日について特定した前記ユーザが利用可能な座席の数が所定数以下の場合、前記ユーザに通知する
処理を前記コンピュータが実行する請求項7に記載の情報処理方法。
【請求項11】
特定した前記ユーザが利用可能なエリア又は座席に対する前記ユーザの評価情報を受け付ける
処理を前記コンピュータが実行する請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記ユーザの利用目的及び希望条件、前記評価情報、及び、前記ユーザが利用した前記オフィスにおける前記炭素排出量を対応付けて記憶する
処理を前記コンピュータが実行する請求項11に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記炭素排出量の予測量が入力された場合に前記オフィスの利用条件に関する情報を出力するように学習された学習モデルに、取得した前記炭素排出量の予測量を入力し、前記学習モデルから出力された情報に基づいて、前記オフィスの利用条件を特定する
処理を前記コンピュータが実行する請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項14】
オフィスの電源調達における炭素排出量の予測量を取得する取得部と、
取得した予測量に基づき、前記オフィスの利用条件を特定する特定部と
を備える情報処理装置。
【請求項15】
オフィスの電源調達における炭素排出量の予測量を取得し、
取得した予測量に基づき、前記オフィスの利用条件を特定する
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理方法、情報処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィス等における省エネルギー化の実現には、照明機器及び空調機器の動作を抑制することによる消費エネルギーの削減が効果的である。特許文献1では、エリア内の人の分布に応じて照明機器の明るさを制御することにより、空間の快適性を保ちつつ省エネルギー化を実現するシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、オフィス等においてもカーボンニュートラルの実現が推進されており、カーボンニュートラルを実現するためのエネルギーマネジメントが検討されている。しかし、特許文献1のように省エネルギー化を実現するためのシステムでは、使用されていないエリアの照明機器及び空調機器の使用を抑制することを主な制御としており、このような制御は、カーボンニュートラルの実現にとっては必ずしも効果的な制御とは言えない。
【0005】
本開示は、オフィスにおけるカーボンニュートラルの実現に効果的なエネルギーマネジメントを提供することが可能な情報処理方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る情報処理方法は、オフィスの電源調達における炭素排出量の予測量を取得し、取得した予測量に基づき、前記オフィスの利用条件を特定する処理をコンピュータが実行する。
【発明の効果】
【0007】
本開示にあっては、オフィスにおけるカーボンニュートラルの実現に効果的なエネルギーマネジメントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】情報処理システムの構成例を示す説明図である。
【
図2】情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
【
図3】オフィスDB及び利用形態DBの構成例を示す説明図である。
【
図6】利用座席の特定処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図7】座席の予約処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図9】評価情報の収集処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図11】実施形態2の座席の予約処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図13】実施形態3の座席の予約処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の情報処理方法、情報処理装置及びプログラムについて、その実施形態を示す図面に基づいて詳述する。
【0010】
(実施形態1)
オフィスの電源調達における炭素排出量を予測し、予測した炭素排出量に応じてオフィス内の利用エリア及び利用座席等の利用条件を変更する情報処理システムについて説明する。
図1は、情報処理システムの構成例を示す説明図である。本実施形態の情報処理システムは、サーバ10(情報処理装置)及びユーザ端末20を含み、サーバ10及びユーザ端末20は、インターネット、公衆通信回線又はLAN(Local Area Network)等のネットワークNを介して通信接続されている。サーバ10は、種々の情報処理、情報の送受信が可能な情報処理装置であり、例えばサーバコンピュータ又はパーソナルコンピュータ等である。サーバ10は、オフィスにおける電源調達状況を予測する処理、予測した電源調達状況に基づいて、オフィス内の利用エリア及び利用座席を決定する処理、決定した利用エリア及び利用座席をユーザに割り当てる処理等、種々の情報処理を行う。なお、電源調達状況は、オフィスで消費される電力及び燃料の消費量によって示される。ユーザ端末20は、オフィスを利用するユーザが使用する端末であり、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等である。ユーザ端末20は、サーバ10が決定した利用エリア及び利用座席の情報をサーバ10から取得してユーザに提示する処理、ユーザが希望する利用エリア及び利用座席をサーバ10へ送信して座席予約を行う処理等、種々の情報処理を行う。
【0011】
図2は、情報処理システムの構成例を示すブロック図である。ユーザ端末20は、制御部21、記憶部22、通信部23、入力部24、表示部25等を含み、これらの各部はバスを介して相互に接続されている。制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)等の1又は複数のプロセッサを含む。制御部21は、記憶部22に記憶してあるプログラム22Pを適宜実行することにより、ユーザ端末20が行うべき種々の情報処理、制御処理等を行う。記憶部22は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等を含む。記憶部22は、制御部21が実行するプログラム22P(プログラム製品)及びプログラム22Pの実行に必要な各種のデータ等を予め記憶している。また記憶部22は、制御部21がプログラム22Pを実行する際に発生するデータ等を一時的に記憶する。また記憶部22は、ユーザがオフィスを利用する際に座席を割り当てる処理(座席の予約処理)を実現するためのアプリケーションプログラム(以下では座席割アプリ22APという)を記憶する。記憶部22に記憶されるプログラム22P及び座席割アプリ22APは、ユーザ端末20の製造段階において書き込まれてもよく、制御部21が通信部23を介して他の装置からダウンロードして記憶部22に記憶してもよい。
【0012】
通信部23は、無線通信又は有線通信によってネットワークNに接続するためのインタフェースであり、ネットワークNを介して他の装置との間で情報の送受信を行う。入力部24は、ユーザによる操作入力を受け付け、操作内容に対応した制御信号を制御部21へ送出する。表示部25は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等であり、制御部21からの指示に従って各種の情報を表示する。入力部24及び表示部25は一体として構成されたタッチパネルであってもよい。
【0013】
サーバ10は、制御部11、記憶部12、通信部13、入力部14、表示部15、読み取り部16等を含み、これらの各部はバスを介して相互に接続されている。制御部11、記憶部12、通信部13、入力部14、及び表示部15のそれぞれは、ユーザ端末20の制御部21、記憶部22、通信部23、入力部24、表示部25と同様の構成を有するので、詳細な説明は省略する。なお、サーバ10の記憶部12は、プログラム12P(プログラム製品)のほかに、後述するオフィスDB12a、利用形態DB12b、調達実績DB12c、及び座席予約DB12dを記憶する。オフィスDB12a、利用形態DB12b、調達実績DB12c、及び座席予約DB12dの少なくとも1つは、サーバ10に接続された他の記憶装置に記憶されてもよく、サーバ10が通信可能な他の記憶装置に記憶されてもよい。また、本実施形態の情報処理システムが、オフィスを利用するユーザがサーバ10からオフィスの空き状況の提供を受けてオフィスの座席を予約するためにユーザ登録を必要とする場合、ユーザ登録したユーザに関する情報を記憶するユーザDBが記憶部12に記憶される。
【0014】
読み取り部16は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SDカード、マイクロSDカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)等の可搬型記憶媒体10aに記憶された情報を読み取る。記憶部12に記憶されるプログラム12P及び各種のデータは、制御部11が読み取り部16を介して可搬型記憶媒体10aから読み取って記憶部12に記憶してもよい。
【0015】
サーバ10は、複数のコンピュータを含んで構成されるマルチコンピュータであってもよく、1台の装置内にソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシンであってもよく、クラウドサーバであってもよい。また、プログラム12Pは単一のコンピュータ上で実行されてもよく、ネットワークNを介して相互に接続された複数のコンピュータ上で実行されてもよい。更に、サーバ10は、入力部14及び表示部15は必須ではなく、接続されたコンピュータを通じて操作を受け付ける構成でもよく、表示すべき情報を外部の表示装置へ出力する構成でもよい。
【0016】
図3は、オフィスDB12a及び利用形態DB12bの構成例を示す説明図である。オフィスDB12aは、サーバ10がオフィスの電源調達状況に応じてオフィス内の利用エリア及び利用座席を制御する制御対象のオフィスに関する情報を記憶する。
図3Aに示すオフィスDB12aは、オフィスID列、オフィス情報列、エリアID列、エリア情報列、座席ID列、座席情報列等を含み、オフィスIDに対応付けてオフィスに関する情報を記憶する。オフィスID列は、制御対象のオフィス毎に割り当てられた識別情報(オフィスID)を記憶する。オフィス情報列は、オフィスの住所、建物の名称、自家発電設備の有無、蓄電池の有無、電気事業者と個別に契約している契約内容等を記憶する。自家発電設備は、太陽光発電、風力発電、地熱発電、バイオマス発電、水力発電等の再生可能エネルギーの発電設備であり、オフィスで使用する電力を発電する設備である。なお、自家発電設備の種類はこれらに限定されない。蓄電池は、オフィスで使用する電力を供給する蓄電池であり、例えば自家発電設備で発電された再生可能エネルギーが充電されている。電気事業者との個別契約内容は、所定期間(例えば1カ月、3カ月等)に購入する電力量、単価、電力量に対する発電の種類毎の供給量割合等を含んでもよい。発電の種類毎の供給量割合は、例えば、個別契約している電気事業者から購入する電力量に対して、当該電力量に含まれる再生可能エネルギー、原子力発電によるエネルギー、石炭を用いた火力発電によるエネルギー、LNG(Liquified Natural Gas:液化天然ガス)を用いた火力発電によるエネルギー、石油を用いた火力発電によるエネルギー等の供給量割合を含んでもよい。エリアID列は、オフィス内に設けられた作業エリア毎に割り当てられた識別情報(エリアID)を記憶する。エリア情報列は、建物内の階数、面積、外光が入る窓の有無、空調設備に対する温度及び風量の設定内容(例えば冷房時の出力を他のエリアよりも弱く設定してある弱冷房エリアか否か)等、作業エリアの特徴を示す情報を記憶する。座席ID列は、オフィス内の各作業エリアに設けられた座席毎に割り当てられた識別情報(座席ID)を記憶する。座席情報列は、作業エリア内における各座席の位置情報、隣接された他の座席の有無、外光が届くか否か、空調設備の設定内容(弱冷房エリアか否か)等、座席の特徴を示す情報を記憶する。各座席の位置情報は、例えば作業エリア内の1点を原点とし、原点から水平面上の一方向をX軸とし、水平面上で原点から、X軸に直交する方向をY軸としたX,Y座標値で表すことができる。オフィスDB12aの記憶内容は
図3Aに示す例に限定されず、オフィスの電源調達に関する情報、オフィス内のエリア及び座席に関する情報が記憶されてもよい。
【0017】
利用形態DB12bは、オフィス毎に設けられており、各オフィスのオフィスIDに対応付けて記憶部12に記憶される。
図3Bに示す利用形態DB12bは、利用形態列、利用エリア列、利用座席列等を含み、オフィスに対して予め設定された利用形態に対応付けて、各利用形態において利用可能とするオフィス内のエリア及び座席を記憶する。利用形態列は、オフィス内で利用されるエリア及び座席の割合に応じた情報を記憶し、利用エリアの割合が少ない順に「限定モード」(例えば利用エリアの割合が70%未満の利用形態)、「通常モード」(例えば利用エリアの割合が70%以上90%未満の利用形態)、「開放モード」(例えば利用エリアの割合が90%以上の利用形態)が記憶される。利用形態の種類及び個数は、オフィス毎に変更可能であってもよい。利用エリア列及び利用座席列は、利用形態に応じて利用可能となるエリアのエリアID及び座席の座席IDを記憶する。利用形態DB12bの記憶内容は
図3Bに示す例に限定されず、また、オフィスDB12a及び利用形態DB12bは1つのDBで構成されてもよい。
【0018】
図4は、調達実績DB12cの構成例を示す説明図である。調達実績DB12cは、オフィス内の電源調達に関する実績情報を記憶する。調達実績DB12cは、予めオフィス毎に生成され、各オフィスのオフィスIDに対応付けて記憶部12に記憶される。
図4に示す調達実績DB12cは、月列、天気列、消費量列等を含み、各月及び天気に対応付けて、オフィスで使用されるエネルギーの消費量の予測値(予測量)を記憶する。天気列は、気温、湿度、日射量、雲量等の天気に関する情報を記憶する。天気の情報は、例えばオフィスが利用される時間帯(例えばユーザの勤務時間帯)の情報が記憶されてもよい。消費量列は、月及び天気毎に、オフィスでのエネルギーの消費量の実績値から算出された1日の消費量を記憶する。消費量は、エネルギーの種類毎の消費量であり、例えば、再生可能エネルギー、原子力発電によるエネルギー、石炭を用いた火力発電によるエネルギー、LNGを用いた火力発電によるエネルギー、石油を用いた火力発電によるエネルギー、及び都市ガス等の燃料の消費量を含む。調達実績DB12cの記憶内容は
図4に示す例に限定されない。
【0019】
図5は、座席予約DB12dの構成例を示す説明図である。座席予約DB12dは、オフィス内の座席の予約状況に関する情報を記憶する。座席予約DB12dは、オフィス毎に設けられており、各オフィスのオフィスIDに対応付けて記憶部12に記憶される。
図5に示す座席予約DB12dは、日付列、天気予報列、炭素排出量の予測値列、利用形態列、エリアID列、座席ID列、作業内容列、予約情報列等を含み、日付に対応付けて座席の予約内容に関する情報を記憶する。天気予報列は、気温及び湿度等の天気予報の情報を記憶する。炭素排出量の予測値列は、前日等に予測されたオフィスでのエネルギー消費による炭素排出量の予測値を記憶する。利用形態列は、オフィス内で利用可能とされたエリア及び座席の割合を示す情報を記憶し、具体的には限定モード、通常モード、開放モードのいずれかが記憶される。エリアID列は、オフィス内のエリアに割り当てられたエリアIDを記憶し、座席ID列は、各エリア内の座席に割り当てられた座席IDを記憶し、作業内容列は、各座席を利用するユーザが実施可能な作業内容(利用目的)を記憶する。作業内容は、集中した作業又はウェブ会議等を利用目的とする「音なし作業」、コワーク等のように1人で行う作業を利用目的とする「個人作業」、対話、アイデア出し、ミーティング等のように複数人で行う作業を利用目的とする「複数人作業」を含む。なお、作業内容はこれらに限定されず、作業の種類は3つに限定されない。予約情報列は、各座席を予約したユーザの情報を記憶し、例えばユーザID列、時間帯列、作業内容列、希望条件列、評価情報列を含む。ユーザID列は、座席の利用を予約したユーザに割り当てられた識別情報(ユーザID)を記憶し、時間帯列は、ユーザが予約した時間帯を記憶し、作業内容列は、ユーザが指定した作業内容(利用目的)を記憶し、希望条件列は、ユーザが指定した座席に関する希望条件を記憶し、評価情報列は、ユーザが座席に対して回答した評価情報を記憶する。希望条件は、ユーザが座席に対して希望する条件であり、例えば作業エリア内の場所に関する条件(例えば窓に近い座席、出入り口に近い座席)、隣接された他の座席との位置関係に関する条件(例えば隣又は正面の座席までの距離の長短)、空調設備に関する条件(例えば弱冷房エリアか否か)等を含む。評価情報は、例えば、オフィスの利用後にユーザが、1~10の10段階(例えば1が最低、10が最高)で回答した評価値である。座席予約DB12dの記憶内容は
図5に示す例に限定されず、各エリア及び各座席に関する各種の情報が記憶されてもよい。
【0020】
以下に、本実施形態の情報処理システムにおける各装置が行う処理について説明する。まず、オフィスの電源調達における炭素排出量の予測内容に基づいてオフィス内で利用可能とするエリア及び座席を特定する処理について説明する。
図6は利用座席の特定処理手順の一例を示すフローチャートである。以下の処理は、サーバ10の制御部11が、記憶部12に記憶してあるプログラム12Pに従って実行する。以下の処理の一部を専用のハードウェア回路で実現してもよい。
【0021】
本実施形態の情報処理システムにおいて、サーバ10は、例えば1日に1回、翌日のオフィスでの電源調達状況を予測し、予測結果に基づいて、翌日に利用するエリア及び座席を特定する処理を行う。よって、サーバ10の制御部11は、所定時刻が到来した場合に以下の処理を実行し、翌日の利用エリア及び利用座席を特定する。なお、以下の処理では、処理対象の日の前日に、処理対象の日の利用エリア及び利用座席の特定処理を行うが、利用エリア及び利用座席の特定処理は、数日前又は1週間前等の任意のタイミングで行われてもよい。
【0022】
サーバ10の制御部11は、まず、処理対象のオフィスがある場所の翌日の天気予報情報を取得する(S11)。例えば制御部11は、天気予報の提供サイトから天気予報情報を取得する。次に、制御部11は、処理対象のオフィスの調達実績DB12cから、翌日の月と、取得した天気予報情報が示す天気とに対応する各エネルギーの消費量を取得する(S12)。なお、天気予報情報が示す天気が調達実績DB12cに登録されていない場合、制御部11は、翌日の月と、天気予報情報が示す天気に近似する天気とに対応するエネルギー消費量を取得する。また、エネルギーの消費量は、入力部14を介したユーザ操作によって入力される構成でもよい。
【0023】
制御部11は、取得した翌日の各エネルギーの消費量に基づいて、各エネルギーの消費による炭素排出量を算出する(S13)。具体的には、エネルギーの種類毎に単位量当たりの炭素排出量(CO2排出係数)が、例えば記憶部12に予め登録されており、制御部11(取得部)は、翌日の各エネルギーの消費量に、記憶部12から読み出した各エネルギーのCO2排出係数を乗算することによって、各エネルギーに対する炭素排出量を算出する。なお、再生可能エネルギーに対するCO2排出係数は0であるので、制御部11は、再生可能エネルギー以外のエネルギーについてのみ炭素排出量を算出すればよい。また、オフィスにおける消費電力に対して再生可能エネルギーの割合が100%である場合、炭素排出量は0であるので、制御部11は、ステップS13の処理をスキップしてもよい。また、燃料については、単位体積当たりの炭素排出量が予め登録されており、制御部11は、燃料の消費量を体積に変換した後に、燃料に対するCO2排出係数を乗算することによって炭素排出量を算出する。制御部11は、算出した各エネルギーに対する炭素排出量を合計し、翌日の炭素排出量の予測値とする。
【0024】
制御部11(特定部)は、算出した炭素排出量に基づいて、翌日のオフィスの利用形態を特定する(S14)。例えば制御部11は、炭素排出量が第1閾値以上である場合、限定モードの利用形態を特定し、第2閾値(第2閾値<第1閾値)以上であり第1閾値未満である場合、通常モードの利用形態を特定し、第2閾値未満である場合、開放モードの利用形態を特定する。即ち、炭素排出量が多いほど、オフィス内の利用可能エリアを狭くすることにより、オフィスの利用人数を少なく制限することによって炭素排出量の抑制を図ることができる。なお、例えば、算出した翌日の炭素排出量と、利用予定のエリアの面積とに基づいて、エリアの単位面積(例えば5000m2)当たりの炭素排出量を算出し、単位面積当たりの炭素排出量によって翌日の利用形態を特定してもよい。また、算出した翌日の炭素排出量と、利用予定の人数とに基づいて、利用者の単位人数(例えば200人)当たりの炭素排出量を算出し、単位人数当たりの炭素排出量によって翌日の利用形態を特定してもよい。また、算出した翌日の炭素排出量と、利用予定のユーザの延べ利用時間とに基づいて、利用者の単位延べ利用時間(例えば1500時間)当たりの炭素排出量を算出し、単位延べ利用時間当たりの炭素排出量によって翌日の利用形態を特定してもよい。このように、単位面積当たり、単位人数当たり、又は単位延べ利用時間当たりの炭素排出量によって利用形態を特定することにより、オフィス毎にエリアの面積、利用人数、利用時間が異なる状況において、各オフィスにおける炭素排出量の多少を適切に評価することができる。
【0025】
なお、利用予定のエリアの面積、利用予定のユーザの人数、利用予定のユーザの延べ利用時間は、過去の実績値から算出することができる。また、オフィスを利用したユーザの人数及び各ユーザの利用時間(労働時間、勤務時間)は、オフィスの各エリアに設けた人検知センサ又はビーコンの検知結果から算出することもできる。人検知センサは、例えば赤外線、超音波、可視光線等を出射してその反射波を検知することにより人の動きを検知するセンサであり、各エリア内のユーザの有無、あるいは、各座席の在席又は不在状態を検知する。ビーコンは、例えばユーザが携帯している携帯端末との間で無線通信によって情報の送受信を行うことにより所定エリア内にユーザの有無を検知し、各座席の在席又は不在状態を検知する。このような人検知センサ又はビーコンを用いることにより、オフィスを利用したユーザの人数及び各ユーザの利用時間の実績値を取得することができる。
【0026】
制御部11は、特定した利用形態に応じて、オフィス内の利用可能エリア及び利用可能座席(利用可能人数)を特定する(S15)。利用形態DB12bには、限定モード、通常モード、開放モードの各利用形態に対して、利用可能とするエリア及び座席が登録されており、制御部11は、利用形態DB12bの登録内容に基づいて、特定した利用形態に応じた利用可能エリア及び利用可能座席を特定する。なお、作業内容として音なし作業、個人作業、又は、複数人作業のいずれかの選択が可能であり、利用形態DB12bに利用形態毎に、各作業内容での利用が可能なエリア及び座席(利用条件)が登録してある場合、制御部11は、特定した利用形態に対する登録内容に基づいて、各作業内容での利用可能エリア及び利用可能座席を特定してもよい。また、利用形態DB12bに利用形態毎に、各作業内容での利用が可能なエリアの割合が登録してある場合、制御部11は、特定した利用形態に対応する利用可能エリアの割合を利用形態DB12bの登録内容から特定し、特定した割合に基づいて、各作業内容での利用可能エリア及び座席を特定してもよい。この場合、各作業内容で利用されるエリアの割合を一定に維持しつつ、各作業内容で利用されるエリア及び座席を柔軟に変更することができる。
【0027】
制御部11は、特定した利用可能エリア及び利用可能座席に対する予約管理を行うための座席予約DB12dを生成する(S16)。ここでは、制御部11は、日付(例えば翌日の日付)、ステップS11で取得した天気予報情報、ステップS13で算出した炭素排出量(炭素排出量の予測値)、ステップS14で特定した利用形態、ステップS15で特定した利用可能エリアのエリアID及び利用可能座席の座席ID、各座席に設定された作業内容(利用目的)を対応付けて記憶した座席予約DB12dを生成して記憶部12に記憶する。上述した処理により、本実施形態では、過去のエネルギー消費量の実績値に基づいて、将来のオフィス内でのエネルギー消費による炭素排出量を予測し、予測した炭素排出量に基づいて、オフィスの利用形態(利用条件)を変更することができる。なお、制御部11は、ステップS12で取得したエネルギー消費量を座席予約DB12dに記憶してもよい。
【0028】
上述した処理では、予め過去の実績値に基づいて月及び天気毎に算出されたエネルギーの消費量を用いて、翌日のエネルギーの消費量を予測したが、この構成に限定されない。例えば、電力系統から供給されるエネルギーのうちで太陽光発電によるエネルギーの割合は、例えば日本卸電力取引所(JEPX:Japan Electric Power Exchange)における電力取引価格に基づいて予測することができる。例えばJEPXのスポット市場(1日前市場)の取引価格において、前日の昼間の平均単価と夜間の平均単価との単価差と、太陽光エネルギーの供給量割合とは相関関係を有しており、制御部11は、予め導出された計算式(相関関係を表す近似式)を用いて、前日の昼夜の単価差から、翌日の太陽光エネルギーの供給量割合を予測することができる。このように予測した太陽光エネルギーの供給量割合を用いることにより、翌日に電力系統から供給される電力のうちの太陽光エネルギーの消費量の予測値を算出できる。電力系統から供給される他のエネルギーについても供給量割合を予測することができる場合、予測された供給量割合を用いて、電力系統からの各エネルギーの供給量の予測値を算出でき、各エネルギーの供給量の予測値に基づいて翌日の各エネルギーの消費電力量の予測値を算出できる。このように算出された各エネルギーの消費電力量の予測値から、各エネルギーにおける炭素排出量の予測値を算出できる。また、電力取引価格に基づいて翌日の太陽光エネルギーの供給量割合を予測する処理を学習モデルを用いて行ってもよい。この場合、電力取引価格及び翌日の太陽光エネルギーの供給量割合を訓練データに用いて、電力取引価格を入力した場合に電力取引価格に基づいて翌日の太陽光エネルギーの供給量割合を予測し、予測結果を出力するように学習してある学習モデルを用いることができる。
【0029】
次に、上述した処理によって決定されたオフィス内の利用可能座席に対して、サーバ10が、ユーザからの要求に応じて予約を行う処理について説明する。
図7は座席の予約処理手順の一例を示すフローチャート、
図8はユーザ端末20の画面例を示す説明図である。
図7では左側にユーザ端末20が行う処理を、右側にサーバ10が行う処理をそれぞれ示す。以下の処理は、ユーザ端末20の制御部21が、記憶部22に記憶してあるプログラム22P及び座席割アプリ22APに従って行うと共に、サーバ10の制御部11が、記憶部12に記憶してあるプログラム12Pに従って行う。
【0030】
本実施形態の情報処理システムにおいて、オフィス内の座席に対して利用予約を行いたいユーザは、ユーザ端末20に座席割アプリ22APを起動させる。ユーザ端末20の制御部21は、座席割アプリ22APを起動した場合、
図8Aに示すような希望入力画面を表示部25に表示する(S21)。
図8Aに示す希望入力画面は、座席の利用予約を行う日付及び時間帯(利用開始時刻及び利用終了時刻)、座席を利用して行う作業内容、座席に対する希望条件、希望エリア等を入力するための入力欄を有する。日付及び時間帯、並びに希望エリアの入力欄は、
図8Aに示すように複数の選択肢の中から任意の1つを選択できるプルダウンメニューが設けられていてもよく、任意の日付、時刻、エリアの階数を入力できる構成でもよい。作業内容の入力欄は、音なし作業、個人作業、複数人作業のいずれかを選択するためのラジオボタンが設けられており、ユーザが希望する作業内容の入力(選択)が可能である。希望条件の入力欄は、座席に対する条件を選択するためのチェックボックスが設けられており、ユーザが座席に対して希望する条件の入力(選択)が可能である。
【0031】
ユーザは、入力部24を介して希望入力画面中の各入力欄に各情報を入力し、OKボタンを操作することにより、入力した内容での座席予約の実行を指示する。なお、希望条件及び希望エリアは入力されていなくてもよい。ユーザ端末20の制御部21は、入力部24を介して予約条件に関する各情報の入力を受け付け、受け付けた各情報を希望入力画面中の各入力欄に表示する(S22)。制御部21は、入力部24を介してOKボタンが操作されたか否かを判断しており(S23)、OKボタンが操作されていないと判断した場合(S23:NO)、ステップS22の処理に戻り、予約条件の入力受付を継続する。OKボタンが操作されたと判断した場合(S23:YES)、制御部21は、希望入力画面を介して入力された予約条件をサーバ10へ送信し(S24)、予約条件を満たす座席の予約実行をサーバ10に要求する。これにより、サーバ10の制御部11は、オフィスを利用するユーザの利用目的(作業内容)及び希望条件を含む予約条件を取得する。
【0032】
サーバ10の制御部11は、ユーザ端末20から座席の予約実行を要求された場合、ユーザ端末20から受信した予約条件に基づいて、ユーザに割り当て可能な座席を特定し、ユーザに提示する。具体的には、制御部11は、ユーザが座席を予約したいオフィスの座席予約DB12dを記憶部12から読み出す(S25)。そして、制御部11は、座席予約DB12dに記憶してある予約情報に基づいて、予約条件に沿った座席を特定する(S26)。まず制御部11は、各座席の予約情報に基づいて、ユーザが希望する利用日及び利用時間帯に他のユーザによって予約されていない空き状態の座席であって、ユーザが希望する作業内容が割り当てられている座席を特定する。そして、制御部11は、特定した空き状態の各座席について、座席情報をオフィスDB12aから読み出し、各座席の座席情報と予約条件とを比較し、ユーザの希望条件及び希望エリアに合致する座席を抽出する。これにより、ユーザの希望に適合する座席を特定することができる。なお、予約条件に完全に適合する座席がない場合、制御部11は、予約条件により適合する座席を特定する。例えば、希望条件として3つの項目が選択されており、3つの項目に適合する座席がない場合、制御部11は、2つの項目に適合する座席を特定する。また、2つの項目に適合する座席がない場合、制御部11は、1つの項目に適合する座席を特定する。制御部11は、所定数(例えば3か所、5か所等)の座席を特定するまで上述した処理を行う。また、例えばユーザが希望条件の各項目に対して優先度を設定する場合、制御部11は、優先度の高い項目から順に適合する座席の有無を判定してもよい。
【0033】
制御部11は、予約条件に沿った座席を特定した後、
図8Bに示すような座席選択画面を生成する(S27)。座席選択画面は、ユーザの希望に沿った座席を提示し、提示された座席の中から予約対象の座席の選択を受け付けるための画面である。
図8Bに示す画面は、ステップS26で特定した座席が設けられているエリアのフロアマップを表示し、各座席が、予約済みであるか空き状態であるかを識別できるように表示されている。また、座席選択画面は、ユーザの希望に沿った座席に対応付けて、おすすめマークを表示している。これにより、ユーザは、エリア内の各座席の配置状態、空き状態の座席の位置、自身の希望に沿った座席の位置を容易に把握でき、好みの座席を容易に選択できる。なお、座席選択画面は、表示中の日における炭素排出量の予測値と、当該炭素排出量の予測値から決定された利用形態及び利用可能エリアの割合とを表示しており、ユーザは、座席予約を行う日の炭素排出量の予測値を把握でき、オフィスに出社するか在宅勤務を行うかの判断材料とすることができる。
【0034】
制御部11は、生成した座席選択画面をユーザ端末20へ送信し(S28)、ユーザ端末20の制御部21は、サーバ10が送信した座席選択画面を受信して表示部25に表示する(S29)。これにより、サーバ10は、ユーザの作業内容(利用目的)及び希望条件に基づいて、ユーザが利用可能なエリア及び座席を特定し、ユーザに提示することができる。なお、予約条件に沿った座席がない場合、制御部11は、ユーザ端末20から取得した予約条件での予約ができないと判断し、入力された予約条件での予約はできないことを通知する通知画面をユーザ端末20へ送信してもよい。この場合、ユーザ端末20の制御部21は、サーバ10が送信した通知画面を受信して表示部25に表示することにより、ユーザの希望に沿った座席の予約ができないことをユーザに通知できる。
【0035】
座席選択画面において、ユーザは、画面中のいずれかの座席を選択し、予約ボタンを操作することにより、選択した座席に対する予約の実行を指示する。ユーザ端末20の制御部21は、入力部24を介していずれかの座席に対する選択を受け付け、選択された座席を、選択中であることを示す態様で表示する(S30)。
図8Bに示す例では、左上の座席が選択された状態であることを示している。制御部21は、入力部24を介して予約ボタンが操作されたか否かを判断しており(S31)、予約ボタンが操作されていないと判断した場合(S31:NO)、ステップS30の処理に戻り、いずれかの座席に対する選択受付を継続する。なお、座席選択画面中のキャンセルボタンが操作されたと判断した場合、制御部21は、座席予約に関する一連の処理を終了する。予約ボタンが操作されたと判断した場合(S31:YES)、制御部21は、選択された座席を特定する情報(例えば座席ID)をサーバ10へ送信し、選択された座席に対する予約の実行をサーバ10に要求する(S32)。
【0036】
サーバ10の制御部11は、ユーザ端末20から予約の実行を要求された場合、予約対象の日付及び座席の座席IDに対応付けて、ユーザのユーザID、ユーザが指定した利用時間帯、作業内容、及び希望条件を予約情報として座席予約DB12dに記憶し(S33)、一連の処理を終了する。なお、制御部11は、ステップS33の処理後、予約完了を通知するメッセージをユーザ端末20へ送信してもよく、この場合、ユーザ端末20の制御部21は、サーバ10が送信したメッセージを受信して、表示中の座席選択画面に表示してもよい。これにより、ユーザは、自身が選択した座席に対して予約が完了したことを把握できる。上述した処理により、本実施形態では、予測した翌日のオフィス内でのエネルギー消費量に基づく炭素排出量に応じて特定された利用可能座席に対して予約を行うことができ、その際、ユーザの希望に沿った座席を提示することができる。
【0037】
上述した処理によって座席を予約したユーザは、予約した日時にオフィスに出社し、予約した座席を利用して作業を行う。本実施形態の情報処理システムは、ユーザがオフィスの利用後に、利用した座席に対する評価を行い、サーバ10が、ユーザによる評価を収集するように構成されている。以下に、サーバ10が、ユーザが回答した評価情報を収集する処理について説明する。
図9は評価情報の収集処理手順の一例を示すフローチャート、
図10はユーザ端末20の画面例を示す説明図である。
図9では左側にユーザ端末20が行う処理を、右側にサーバ10が行う処理をそれぞれ示す。
【0038】
本実施形態の情報処理システムにおいて、ユーザは、オフィスの利用後、例えば予約した利用時間(勤務時間)が終了した後、ユーザ端末20に座席割アプリ22APを起動させ、座席に対する評価の入力画面を表示させるための所定の操作を行う。ユーザ端末20の制御部21は、座席割アプリ22APを起動し、所定の操作を受け付けた場合、
図10に示すような評価入力画面を表示部25に表示する(S41)。
図10に示す評価入力画面は、ユーザID、オフィスを利用した日時、ユーザが指定した作業内容を表示し、1~10の10段階で評価を入力するための入力欄を有する。評価の入力欄は、1~10のいずれかの評価値を選択するためのラジオボタンが設けられている。
【0039】
ユーザは、評価入力画面において1~10のいずれかの評価値を入力(選択)し、OKボタンを操作することにより、入力した評価値を含む評価情報の送信を指示する。ユーザ端末20の制御部21は、入力部24を介して評価値の入力を受け付け(S42)、OKボタンが操作されたか否かを判断する(S43)。OKボタンが操作されていないと判断した場合(S43:NO)、制御部21は、ステップS42の処理に戻り、評価値の入力受付を継続する。OKボタンが操作されたと判断した場合(S43:YES)、制御部21は、評価入力画面に表示されていたユーザID及び利用日時と、評価入力画面を介して入力された評価値とを含む評価情報をサーバ10へ送信する(S44)。
【0040】
サーバ10の制御部11は、ユーザ端末20が送信した評価情報を取得し、取得した評価情報に含まれるユーザID及び利用日時(日付及び時間帯)に対応付けて、評価情報に含まれる評価値を座席予約DB12dに記憶する(S45)。これにより、サーバ10は、座席予約DB12dにおいて、各ユーザの利用目的(作業内容)及び利用条件(希望条件)、評価情報、並びに、利用日におけるオフィスの炭素排出量の予測値を対応付けて記憶することができる。
【0041】
本実施形態では、オフィスでのエネルギーの消費量を予測し、エネルギー消費量の予測値に応じて炭素排出量を予測し、炭素排出量の予測値に応じて、オフィス内で利用可能とするエリア及び座席が特定される。具体的には、炭素排出量の予測値が小さいほど利用エリアを広げて利用人数を増やし、炭素排出量の予測値が大きいほど利用エリアを狭めて利用人数を減らす。これにより、電源調達における炭素排出量の増加を抑制することができ、オフィスにおけるカーボンニュートラルの実現に効果的なエネルギーマネジメントを提供することができ、カーボンニュートラルの実現に寄与することが期待できる。オフィスでのカーボンニュートラルを実現するために、オフィスで使用される設備を炭素排出量の少ない設備に切り替えることが考えられる。しかし、本実施形態では、オフィスの利用エリア及び利用座席を制限することによって利用者の行動(利用するエリア及び座席)をコントロールすることで、既存の設備を使用した状態で炭素排出量を抑制することができる。よって、新たな設備の設置が難しいオフィスであっても、費用負担を増大させることなく、カーボンニュートラルの実現に寄与することができる。また、ユーザは、利用可能な座席の中から所望の座席を選択することができるので、作業場所(座席)の自由度を確保することができる。
【0042】
本実施形態では、1日に1回、翌日のオフィスにおける電源調達による炭素排出量を予測し、予測結果に基づいて、翌日に利用するエリア及び座席を特定したが、この構成に限定されない。例えば、午前中にJEPXで公表される取引価格に基づいて、翌日の太陽光発電量等各エネルギーの消費電力量の予測値を算出し、予測結果に基づいて、翌日に利用するエリア及び座席を特定し、午後にJEPXで公表される取引価格に基づいて再度、各エネルギーの消費電力量の予測値を算出して翌日に利用するエリア及び座席を特定してもよい。また、JEPXで取引価格が公表される都度、公表された取引価格に基づいて、各エネルギーの消費電力量を予測し直し、予測結果に基づいて、利用可能とするエリア及び座席を特定し直してもよい。この場合、時々刻々と変化する取引価格及び各エネルギーの供給量割合に応じて、利用可能とするエリア及び座席を適宜切り替えることができ、カーボンニュートラルの実現により寄与できる。また、例えば前日の夕方に電力需給が逼迫する可能性が予測された場合に、炭素排出量の抑制が可能な利用形態から、エネルギー消費量の抑制が可能な利用形態に切り替えることが可能であり、電力需給が逼迫する状況における省エネルギー(節電)にも対応できる。
【0043】
また、本実施形態では、
図6に示す処理において特定された利用可能エリア及び利用可能座席に対して各ユーザが予約する際に、各ユーザの希望に沿った座席を提示する構成であるが、この構成に限定されない。例えば、オフィス内の利用可能エリア及び利用可能座席の一覧画面をユーザに提示し、ユーザが、空き状態の座席から所望の座席を選択して予約するように構成されていてもよい。この場合にも、利用可能な各座席に対応付けて、各座席に割り当てられた作業内容を表示することにより、ユーザは、所望の作業内容を実施できる座席を容易に選択できる。
【0044】
(実施形態2)
オフィスの電源調達における炭素排出量の予測量に応じて決定されたオフィス内の利用エリア及び利用座席を、ユーザの利用状況に応じて段階的に開放する情報処理システムについて説明する。本実施形態の情報処理システムは、
図1及び
図2に示す実施形態1の情報処理システムと同様の装置を用いて実現されるので、各装置の構成についての説明は省略する。
【0045】
図11は実施形態2の座席の予約処理手順の一例を示すフローチャート、
図12はユーザ端末20の画面例を示す説明図である。
図11に示す処理は、
図7に示す処理において、ステップS26,S27の間にステップS51~S57を追加したものである。
図7と同じステップについては説明を省略する。なお、
図11では
図7中のステップS30~S33の図示を省略している。
【0046】
本実施形態の情報処理システムにおいて、ユーザ端末20及びサーバ10は、
図7中のステップS21~S26の処理を実行する。なお、本実施形態では、利用可能エリアを段階的に開放(利用)するように構成されている。即ち、制御部11は、利用可能エリアにおいて1つのエリア内の座席に対して予約を行い、当該エリアが満席となった場合又はユーザの希望に沿った座席が無くなった場合に、開放されていないエリア(未開放エリア)を開放し、開放したエリア内の座席に対して予約を行うように構成されている。よって、サーバ10の制御部11は、ステップS26で、あるエリアについてユーザの希望(予約条件)に沿った座席を特定し、特定した座席数が所定数以下であるか否かを判断する(S51)。特定した座席数が所定数以下でないと判断した場合(S51:NO)、即ち、所定数よりも多い場合、制御部11は、ステップS27の処理に移行する。この場合、サーバ10及びユーザ端末20は、実施形態1と同様の処理を実行する。
【0047】
特定した座席数が所定数以下であると判断した場合(S51:YES)、制御部11は、
図6中のステップS15で特定した利用可能エリアのうちで未開放エリアがあるか否かを判断する(S52)。未開放エリアがあると判断した場合(S52:YES)、制御部11は、未開放の利用可能エリアを開放し、開放したエリアに対して、座席予約DB12dに記憶してある各座席の予約情報に基づいて、予約条件に沿った座席を特定する(S53)。ステップS53の処理は、ステップS26と同様の処理である。その後、制御部11は、ステップS27の処理に移行し、
図8Bに示すような座席選択画面を生成し(S27)、制御部11及びユーザ端末20の制御部21はステップS28以降の処理を行う。
【0048】
一方、未開放エリアがないと判断した場合(S52:NO)、制御部11は、在宅勤務を推奨するメッセージをユーザ端末20へ送信する(S54)。ユーザ端末20の制御部21は、サーバ10が送信したメッセージを受信し、
図12に示すように表示部25に表示する(S55)。
図12に示す画面では、ユーザの希望に沿った座席の残りが少ないこと、在宅勤務を推奨することを通知するメッセージが表示されている。また、
図12に示す画面には、座席予約のキャンセルを指示するためのキャンセルボタンと、座席予約の続行を指示するための続行ボタンとが設けられている。なお、会社及び事業者が本社オフィスに加えて、サテライトオフィスを有する場合、在宅勤務を推奨するほかに、サテライトオフィスの利用を推奨してもよい。よって、この場合、制御部11は、在宅勤務又はサテライトオフィスの利用を推奨するメッセージをユーザ端末20へ送信する。
【0049】
制御部21は、
図12に示す画面において続行ボタンが操作されたか否かを判断しており(S56)、続行ボタンが操作されていないと判断した場合(S56:NO)、即ち、キャンセルボタンが操作された場合、一連の処理を終了する。続行ボタンが操作されたと判断した場合(S56:YES)、制御部21は、座席予約の続行をサーバ10に要求する(S57)。
【0050】
サーバ10の制御部11は、ユーザ端末20から座席予約の続行を要求された場合、
図8Bに示すように、ステップS26で特定した座席を提示し、予約対象の座席の選択を受け付ける座席選択画面を生成する(S27)。なお、この時点で、ステップS26で特定した座標がない場合、即ち、ユーザの希望(予約条件)に沿った座席がない場合、制御部11は、空き状態の座席が提示された座席選択画面を生成する。更に、空き状態の座席もない場合、制御部11は、選択可能な座席がないことを通知するメッセージを表示した座席選択画面を生成する。その後、サーバ10の制御部11及びユーザ端末20の制御部21はステップS28以降の処理を行う。上述した処理により、本実施形態では、炭素排出量の予測量に基づいて決定された利用可能エリアを、ユーザの利用状況に応じて段階的に開放することができる。よって、利用者が少ない場合には少ないエリアのみを利用することにより、多くの利用エリアを開放した場合に発生するエネルギー消費量を削減することができ、更に、当該エネルギー消費量による炭素排出量を削減することができる。
【0051】
本実施形態では、上述した実施形態1と同様の効果が得られる。また本実施形態では、ユーザの利用状況に応じてオフィス内で利用するエリアを段階的に開放することにより、オフィスの電源調達における炭素排出量の増加を更に抑制できる。また、炭素排出量の予測量に基づいて決定された利用可能エリア内が満席となった場合又は残りの座席が少なくなった場合に、在宅勤務又はサテライトオフィスでの勤務を推奨することにより、炭素排出量の予測量に基づいて決定されたエリア以上のエリアの利用を制限できる。このように利用エリアを制限することにより、カーボンニュートラルの実現に寄与できることが期待される。
【0052】
なお、本実施形態において、
図11に示す処理中のステップS52で、未開放エリアがあると判断した場合(S52:YES)、制御部11は、未開放エリアを開放する前に、未開放エリアを開放してユーザがオフィスで勤務した場合と、当該ユーザが在宅勤務を行った場合とにおける炭素排出量の予測量を比較してもよい。具体的には、制御部11は、当該ユーザが在宅勤務を行った場合の炭素排出量の予測値と、未開放エリアを開放した場合の炭素排出量の予測値とを取得する。例えば、各ユーザが在宅勤務に使用する部屋の大きさ及び使用する電気機器に対応付けて、1時間当たりのエネルギー消費量を登録しておき、制御部11は、ユーザの部屋の大きさ及び使用する電気機器、並びに勤務時間に基づいて、当該ユーザが在宅勤務した場合のエネルギー消費量の予測値を算出する。そして、制御部11は、エネルギー消費量の予測値と、ここでの消費エネルギーのCO2排出係数とに基づいて、ユーザが在宅勤務を行った場合の炭素排出量の予測値を算出する。また、例えば、オフィス内の各エリアを開放した場合に増加するエネルギー消費量を登録しておくことにより、制御部11は、未開放エリアを開放した場合に増加するエネルギー消費量を予測でき、予測量から炭素排出量の予測値を算出できる。そして、制御部11は、ユーザが在宅勤務を行った場合の炭素排出量の予測値と、未開放エリアを開放した場合の炭素排出量の予測値とを比較し、未開放エリアを開放した場合の炭素排出量の予測値が少ない場合に、ステップS53の処理に移行し、未開放エリアを開放してもよい。なお、ユーザが在宅勤務を行った場合の炭素排出量の予測値が少ない場合に、制御部11は、ステップS54の処理に移行し、在宅勤務の推奨メッセージをユーザ端末20へ送信してもよい。また、サテライトオフィスでの勤務についても、未開放エリアを開放してユーザがオフィス(例えば本社オフィス)で勤務した場合と、当該ユーザがサテライトオフィスで勤務した場合とにおける炭素排出量の予測量を比較し、未開放エリアを開放した場合の炭素排出量の予測値が少ない場合に、ステップS53の処理に移行して未開放エリアを開放し、サテライトオフィスで勤務した場合の炭素排出量の予測値が少ない場合に、ステップS54の処理に移行し、サテライトオフィスでの勤務の推奨メッセージをユーザ端末20へ送信してもよい。
【0053】
上述した構成とした場合、ユーザがオフィスを利用した場合と、在宅勤務又はサテライトオフィスでの勤務を行った場合とにおける炭素排出量の予測値に基づいて、未開放エリアを開放すべきか、在宅勤務又はサテライトオフィスでの勤務を推奨すべきかを決定できる。また、ユーザ毎に、オフィスで勤務した場合の炭素排出量と、在宅勤務した場合の炭素排出量と、サテライトオフィスで勤務した場合の炭素排出量とを算出できるので、例えば各ユーザについて、1カ月毎の炭素排出量及び1年毎の炭素排出量等の算出が可能となる。この場合、ユーザ毎に炭素排出量に対する評価を行うことができるので、ユーザ毎に、炭素排出量の抑制の観点からの働き方の改善指導が可能となる。
【0054】
本実施形態の構成は、上述した実施形態1の情報処理システムに適用可能であり、実施形態1の情報処理システムに適用した場合、本実施形態で説明した処理以外は、実施形態1と同様の処理の実行が可能であり、同様の効果が得られる。また、本実施形態においても、上述した実施形態1で適宜説明した変形例の適用が可能である。
【0055】
(実施形態3)
ユーザの希望(予約条件)に従って特定した座席に対して、ユーザの希望の適合度合に応じたポイントを付与する情報処理システムについて説明する。本実施形態の情報処理システムは、
図1及び
図2に示す実施形態1の情報処理システムと同様の装置を用いて実現されるので、各装置の構成についての説明は省略する。
【0056】
図13は実施形態3の座席の予約処理手順の一例を示すフローチャート、
図14はユーザ端末20の画面例を示す説明図である。
図13に示す処理は、
図7に示す処理において、ステップS26,S27の間にステップS61~S63を追加したものである。
図7と同じステップについては説明を省略する。
【0057】
本実施形態の情報処理システムにおいて、ユーザ端末20及びサーバ10は、
図7中のステップS21~S26の処理を実行する。なお、本実施形態では、ユーザの希望(予約条件)に完全には適合しない座席をユーザが予約(利用)した場合に、ユーザに対してポイントを付与するように構成されている。また、カーボンニュートラル実現の観点から優先して予約を埋めたい座席をユーザが予約(利用)した場合にも、ユーザに対してポイントを付与するように構成されている。
【0058】
サーバ10の制御部11は、ステップS26で特定した各座席に対して、ユーザの希望(予約条件)の適合度合に応じたポイントを特定する(S61)。例えば、希望条件として3つの項目が選択されている場合、制御部11は、3つの項目に合致する座席に対して0ポイント、2つの項目に合致する座席に対して1ポイント、1つの項目に合致する座席に対して2ポイントを特定する。なお、合致する項目数に応じたポイント、又は、合致する項目数の割合に応じたポイントは任意に設定可能であり、設定内容は予め記憶部12に登録される。
【0059】
次に制御部11は、ステップS26で特定した各座席に対して、各座席に割り当てられたポイントを特定する(S62)。例えば、予約を埋めたいエリアがある場合、制御部11は、特定した座席のうちで、予約を埋めたいエリア内の座席に対して1ポイントを特定する。また、同じエリア内でも予約を埋めたい座席がある場合、制御部11は、特定した座席のうちで、予約を埋めたい座席に対して1ポイントを特定する。なお、予約を埋めたい座席とは、例えば、両隣の座席に予約が入っている座席、ユーザに人気のない座席、周辺の人通りが多い座席、端の座席等を含み、座席位置に応じて設定される座席である。
【0060】
制御部11は、ステップS26で特定した各座席に対して、ステップS61で算出した適合度合に応じたポイントと、ステップS62で特定した座席毎のポイントとを加算し、各座席のポイントを算出する(S63)。そして、制御部11は、ステップS27の処理に移行し、
図14に示すような座席選択画面を生成する(S27)。
図14に示す座席選択画面は、
図8Bに示す画面と同様の構成を有し、更に、ユーザの希望に沿った座席に対応付けて表示される「おすすめマーク」に、当該座席を利用した場合に付与されるポイント数を表示している。また、
図14に示す画面では、おすすめマークは、ポイント数に応じた形態で表示され、ポイント0の座席はユーザの希望通りの座席であるので「最もおすすめマーク」が表示され、ポイント1又は2の座席はユーザの希望の一部が適合しない座席であるので「おすすめマーク」が表示される。このようにユーザの希望に沿った座席に対してポイントを表示することにより、ユーザの希望にどの程度適合した座席であるかを容易に把握できる。よって、ユーザは、座席の位置と、各座席に付与されるポイント数とを考慮して、予約対象の座席を決定することができる。
【0061】
その後、サーバ10の制御部11及びユーザ端末20の制御部21は、ステップS28以降の処理を行う。これにより、本実施形態では、ユーザが利用する座席に対して、ユーザの希望に対する適合度合に応じたポイントが付与される。よって、ユーザが自身の希望に沿わない座席を利用する場合にポイントが付与されるので、ユーザの希望条件を全て満たす座席がない場合であっても、ユーザの満足度が低下することが抑制される。また、システムの運用側で予約を埋めたい座席がある場合に、当該座席をユーザが利用した場合にポイントが付与されるので、カーボンニュートラルの実現に寄与できる座席の利用を誘導することができると共にユーザの満足度の向上が期待できる。また、このように付与されたポイントは、カーボンニュートラルの実現に対する貢献度合を示すことができ、カーボンニュートラルの実現に対する意識改革が期待できる。なお、本実施形態で付与されるポイントは、例えばオフィス内での商品購入に使用できるポイント、各種の商品への交換使用できるポイント等どのような特典であってもよい。
【0062】
本実施形態では、上述した実施形態1~2と同様の効果が得られる。また本実施形態では、ユーザが自身の希望に沿わない座席等を利用する場合にポイントが付与されるので、ユーザの満足度の低下を抑制できる。
【0063】
本実施形態の構成は、上述した実施形態1~2の情報処理システムに適用可能であり、実施形態1~2の情報処理システムに適用した場合、本実施形態で説明した処理以外は、実施形態1~2と同様の処理の実行が可能であり、同様の効果が得られる。また、本実施形態においても、上述した実施形態1~2で適宜説明した変形例の適用が可能である。
【0064】
(実施形態4)
上述した実施形態1~3では、各日について、天気予報情報、炭素排出量の予測値、利用形態、オフィスを利用した各ユーザの利用目的(作業内容)、希望条件(周囲の他人との距離、空調の設定温度等)、利用した座席に対する評価値が収集されて座席予約DB12dに記憶される。本実施形態では、このように収集した情報を用いて、将来のある日の天気予報及び炭素排出量の予測値から、この日のオフィスの利用条件(例えば利用可能エリアの割合、利用可能座席数)を推定する情報処理システムについて説明する。
【0065】
本実施形態の情報処理システムは、
図1及び
図2に示す実施形態1の情報処理システムと同様の装置を用いて実現されるので、各装置の構成についての説明は省略する。なお、本実施形態のサーバ10は、
図2に示す実施形態1の構成に加えて、記憶部12に学習モデルを記憶している。学習モデルは、所定の訓練データを学習済みの機械学習モデルであり、人工知能ソフトウェアを構成するプログラムモジュールとしての利用が想定される。学習モデルは、入力値に対して所定の演算を行い、演算結果を出力するものであり、記憶部12には、学習モデルが備える層の情報、各層を構成するノードの情報、ノード間の重み(結合係数)等の情報が、学習モデルを定義する情報として記憶される。
【0066】
図15は学習モデルの構成例を示す説明図である。
図15Aに示す学習モデルM1は、ある日の天気予報情報及びオフィスにおける炭素排出量の予測値を入力とし、入力された情報に基づいて、この日のオフィス内の利用条件(具体的には利用形態)を推定する演算を行い、演算した結果(オフィスの利用条件に関する情報)を出力するように学習してある。学習モデルM1は、例えばCNN(Convolution Neural Network)、SVM(Support Vector Machine)、Transformer等のアルゴリズムを用いて構成されてもよく、複数のアルゴリズムを組み合わせて構成されてもよい。
【0067】
学習モデルM1は、ある日の天気予報情報及び炭素排出量の予測値が入力される入力層と、入力された情報に基づく演算を行う中間層と、中間層の演算結果を基にオフィスの利用形態に関する情報を出力する出力層とを有する。入力層は、天気予報情報に含まれる各情報及び炭素排出量の予測値が入力される入力ノードを有する。中間層は、各種の関数及び閾値等を用いて、入力層から入力された各情報に基づいて出力値を算出する。出力層は、オフィスの利用形態として予め登録されている限定モード、通常モード、開放モードのそれぞれに対応付けられた3つの出力ノードを有し、それぞれの出力ノードから、各利用形態が適切であると判別すべき確率(確信度)を出力する。各出力ノードからの出力値は、例えば0~1の値であり、各出力ノードから出力された確率の合計が1.0(100%)となる。上述した構成により、学習モデルM1は、ある日の天気予報情報及び炭素排出量の予測値が入力された場合に、各利用形態が適切である可能性を出力する。
【0068】
上述した学習モデルM1を用いる場合、サーバ10は、例えば、各出力ノードからの出力値のうちで最大の出力値(確信度)を出力した出力ノードに対応付けられている利用形態を、推定すべき利用形態に特定する。なお、学習モデルM1は、それぞれの利用形態に対する確信度を出力する複数の出力ノードを有する代わりに、確信度が最も高い利用形態を示す情報を出力する1個の出力ノードを有する構成でもよい。
【0069】
学習モデルM1は、訓練用の天気予報情報及び炭素排出量の予測値と、これらの情報に対して最適な利用形態を示す情報(正解ラベル)とを含む訓練データを用いて機械学習することにより生成できる。訓練データは、天気予報情報及び炭素排出量の予測値に対して、実際に実施された利用形態、又は実施された利用形態からより適切であると判断された利用形態を示す正解ラベルを付与して生成される。
【0070】
学習モデルM1は、訓練データに含まれる天気予報情報及び炭素排出量の予測値が入力された場合に、訓練データに含まれる正解ラベルが示す利用形態に対応する出力ノードからの出力値が1.0に近づき、他の出力ノードからの出力値が0.0に近づくように学習する。学習処理において学習モデルM1は、入力された天気予報情報及び炭素排出量の予測値に基づいて中間層及び出力層での演算を行い、各出力ノードからの出力値を算出する。そして学習モデルM1は、算出した各出力ノードからの出力値と、正解ラベルに応じた値(正解ラベルが示す利用形態に対応する出力ノードに対しては1、それ以外の出力ノードに対しては0)とを比較し、両者が近似するように、中間層及び出力層での演算処理に用いるパラメータを最適化する。当該パラメータは、中間層及び出力層におけるノード間の重み(結合係数)等である。パラメータの最適化の方法は特に限定されないが、誤差逆伝播法、最急降下法等を用いることができる。これにより、天気予報情報及び炭素排出量の予測値が入力された場合に、最適な利用形態を予測し、予測結果を出力する学習モデルM1が得られる。
【0071】
学習モデルM1の学習は他の学習装置で行われてもよい。他の学習装置で学習が行われて生成された学習済みの学習モデルM1は、例えばネットワークN経由又は可搬型記憶媒体10a経由で学習装置からサーバ10にダウンロードされて記憶部12に記憶される。
【0072】
学習モデルM1は、
図15Aに示す構成に限定されない。例えば、学習モデルM1の出力層は、利用形態が対応付けられた出力ノードの代わりに、オフィスの利用エリアの割合として複数の割合がそれぞれ対応付けられた出力ノードを有する構成でもよい。この場合、天気予報情報及び炭素排出量の予測値に応じた利用エリアの割合を予測する学習モデルを構成できる。また、学習モデルM1は、オフィスの利用可能エリアの面積として複数の面積がそれぞれ対応付けられた出力ノードを有する構成でもよく、オフィスの利用可能座席数として複数の座席数がそれぞれ対応付けられた出力ノードを有する構成でもよい。このような構成の場合、天気予報情報及び炭素排出量の予測値に応じた利用可能エリアの面積、又は利用可能座席数を予測する学習モデルを構成できる。
【0073】
また、
図15Bに示す学習モデルM2のように、ある日の天気予報情報及び炭素排出量の予測値に加えて、作業内容が入力される構成としてもよい。
図15Bに示す学習モデルM2は、作業内容毎にオフィスの利用条件(利用形態)を推定することができる。なお、学習モデルM2に入力される炭素排出量の予測値は、入力される作業内容で利用されるエリアにおける炭素排出量の予測値とすることができる。即ち、学習モデルM2は、ある日の天気予報情報、作業内容、及び当該作業内容で利用されるエリアにおける炭素排出量の予測値が入力された場合に、当該作業内容に対して適切な利用条件(利用形態)を出力する構成とすることができる。
【0074】
また、学習モデルは、例えばDQN(Deep Q-Network)モデルで構成され、強化学習によって学習したモデルであってもよい。例えば、学習モデルは、ある日の天気予報情報及びオフィスにおける炭素排出量の予測値が入力された場合に、炭素排出量の実績値が少なく、ユーザの評価値が高くなるようなオフィスの利用条件(利用形態)を出力するように学習してもよい。具体的には、学習モデルは、入力された天気予報情報及び炭素排出量の予測値に基づいて利用条件(利用形態に関する情報)を出力した場合に、出力した利用条件での炭素排出量の実績値が所定値未満であった場合、又は、出力した利用条件での利用に対するユーザの評価値が所定値以上であった場合に正の報酬を割り当て、炭素排出量の実績値が所定値以上であり、かつ、評価値が所定値未満であった場合に負の報酬を割り当てて学習する。また、出力した利用条件での炭素排出量の実績値と、入力された炭素排出量の予測値との差異が所定値未満であった場合に正の報酬を割り当て学習し、前記差異が所定値以上であった場合に負の報酬を割り当てて学習してもよい。また、出力した利用条件での電力消費量の実績値と、入力された炭素排出量の予測値の算出に利用された電力消費量の予測値との差異が所定値未満であった場合に正の報酬を割り当て学習し、前記差異が所定値以上であった場合に負の報酬を割り当てて学習してもよい。このような強化学習によって、上述した学習モデルM1~M2に対してファインチューニングや転移学習することにより、より精度の高いモデルを生成できる。このように学習した学習モデルを用いることにより、サーバ10は、ある日の天気予報情報及び炭素排出量の予測値を入力した場合に、炭素排出量がより少なく、評価値がより高くなる利用形態を推定できる。なお、各利用条件(利用形態)に応じた炭素排出量を予め対応付けておくことにより、学習モデルが推定した利用条件に応じた炭素排出量に基づく報酬を割り当てることができる。また、座席予約DB12dに記憶された各ユーザの評価情報(評価値)の平均値を算出することにより、各利用形態に応じた評価情報(評価値の平均値)を対応付けておくことができ、学習モデルが推定した利用条件に応じた評価情報に基づく報酬を割り当てることができる。
【0075】
上述したような学習モデルM1~M2は、例えば
図6中のステップS14で利用できる。具体的には、ステップS14で、制御部11は、ステップS11で取得した天気予報情報と、ステップS13で算出した炭素排出量の予測値とを学習モデルM1に入力し、学習モデルM1からの出力情報に基づいて、翌日のオフィスの利用形態を特定する。学習モデルM2を用いる場合、制御部11は、天気予報情報及び炭素排出量の予測値に加えて、利用条件を推定したい作業内容を学習モデルM2に入力し、学習モデルM2からの出力情報に基づいて、当該作業内容について、翌日のオフィスの利用形態を特定する。
【0076】
本実施形態では、上述した実施形態1~3と同様の効果が得られる。また本実施形態では、オフィスにおける利用条件(利用形態)を学習モデルを用いて特定することにより、炭素排出量をより抑制しつつユーザの評価が高い利用条件を特定できる。本実施形態の構成は、上述した実施形態1~3の情報処理システムに適用可能であり、実施形態1~3の情報処理システムに適用した場合、本実施形態で説明した処理以外は、実施形態1~3と同様の処理の実行が可能であり、同様の効果が得られる。
【0077】
本実施形態の学習モデルM1~M2において、入力される情報は適宜変更可能である。例えばオフィス毎、作業内容毎、又はユーザ毎に、炭素排出量の低減、ユーザの満足度の増加、利用エリアの割合の増加、利用座席数の増加等の項目に対して優先順位が設定可能である場合、優先度の高い項目を入力データに含めてもよい。また、ある日の天気予報情報及びオフィスにおける炭素排出量の予測値等に基づいて、この日のオフィス内の利用条件を推定する処理は、学習モデルM1~M2を用いる構成に限定されず、ある日の天気予報情報及びオフィスにおける炭素排出量の予測値等のパラメータによって予め設定された演算式を用いてもよい。この場合、ある日の天気予報情報及びオフィスにおける炭素排出量の予測値等を演算式に入力することにより、利用条件を示す出力データ(例えばいずれかの利用形態に対応付けられたデータ)を取得することができる。この場合にも、オフィス内で最適な利用条件を推定することができる。また、本実施形態においても、上述した実施形態1~3で適宜説明した変形例の適用が可能である。
【0078】
各実施形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載しても良い。
【0079】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものでは無いと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した意味では無く、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0080】
10 サーバ
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
20 ユーザ端末
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
25 表示部
M1 学習モデル
M2 学習モデル