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特開2024-41542検知装置、画像形成装置、及び、プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041542
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】検知装置、画像形成装置、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240319BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240319BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
H04N1/00 Z
B41J29/38 104
G03G21/00 398
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146417
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】立石 直宏
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ06
2C061HK11
2H270LA58
2H270LA66
2H270LA70
2H270LD02
2H270LD03
2H270LD09
2H270LD15
2H270MG03
2H270MH18
2H270ZC03
2H270ZC04
5C062AA02
5C062AA05
5C062AB17
5C062AB40
5C062AB41
5C062AB42
5C062AC22
5C062AC58
5C062AE15
(57)【要約】
【課題】検知範囲に比例して検知される測定対象物が多くなる場合に比べて、検知範囲を広げても測定対象を多くすることを抑制することが可能な検知装置、画像形成装置、及び、プログラムを提供する。
【解決手段】測定対象物との間の距離を検知する音波センサと、プロセッサと、を備え、プロセッサは、音波センサが測定対象物との間の距離を検知可能な検知範囲のうちの一部の第1の検知範囲において測定対象物が検知された場合に、音波センサの検知範囲のうち自装置から見て第1の検知範囲よりも外側に位置する第2の検知範囲の検知感度が、切り替え前の第1の検知感度よりも低い第2の検知感度となるように設定を切り替える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物との間の距離を検知する音波センサと、
プロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、
前記音波センサが測定対象物との間の距離を検知可能な検知範囲のうちの一部の第1の検知範囲において測定対象物が検知された場合に、前記音波センサの検知範囲のうち自装置から見て前記第1の検知範囲よりも外側に位置する第2の検知範囲の検知感度が、切り替え前の第1の検知感度よりも低い第2の検知感度となるように設定を切り替える
検知装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記第1の検知範囲において測定対象物が検知され、かつ、検知された測定対象物が自装置から遠ざかっている場合に、前記第2の検知範囲の検知感度が前記第2の検知感度から前記第1の検知感度となるように設定を切り替える
請求項1に記載の検知装置。
【請求項3】
前記第1の検知範囲のうちの一部の検知範囲であり、かつ、自装置に最も近い第3の検知範囲が設定され、
前記プロセッサは、
前記第1の検知範囲であり、かつ前記第3の検知範囲の外側で検知された測定対象物が自装置から遠ざかっている場合には、前記第2の検知範囲の検知感度が前記第2の検知感度から前記第1の検知感度となるように設定を切り替え、
前記第3の検知範囲で検知された測定対象物があった場合は、検知された測定対象物が自装置から遠ざかっている場合でも、前記第3の検知範囲で検知された測定対象物を検知された測定対象物とする
請求項2に記載の検知装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記第3の検知範囲で検知された測定対象物が動いていない場合は、測定対象物とみなさない
請求項3に記載の検知装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記音波センサにより検出された前記第1の検知範囲における信号の振幅値と、予め設定された前記第1の検知範囲に対応した第1の閾値とを比較することにより、前記第1の検知範囲に測定対象物が存在することを検知し、
前記音波センサにより検出された前記第2の検知範囲における信号の振幅値と、予め設定された前記第2の検知範囲に対応した第2の閾値とを比較することにより、前記第2の検知範囲に測定対象物が存在することを検知し、
前記第1の検知範囲において測定対象物が検知される前は、前記第1の閾値と前記第2の閾値は同じであり、
前記第1の検知範囲において測定対象物が検知された場合に、前記第2の閾値が前記第1の閾値よりも高くなるように設定する
請求項1に記載の検知装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記第1の検知範囲及び前記第2の検知範囲において複数の測定対象物が検知された場合、前記第1の検知範囲において検知された測定対象物のみを検知された測定対象物とする
請求項1に記載の検知装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記第1の検知範囲において測定対象物が検知されておらず、前記第2の検知範囲において複数の測定対象物が検知された場合、自装置に近づいている測定対象物を検知された測定対象物とする
請求項6に記載の検知装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の検知装置と、
前記検知装置による測定対象物の検知結果を用いて、自装置の動作状態を制御する制御部と、を備える
画像形成装置。
【請求項9】
測定対象物との間の距離を検知する音波センサが測定対象物との間の距離を検知可能な検知範囲のうちの一部の第1の検知範囲において測定対象物が検知された場合に、前記音波センサの検知範囲のうち自装置から見て前記第1の検知範囲よりも外側に位置する第2の検知範囲の検知感度が、切り替え前の第1の検知感度よりも低い第2の検知感度となるように設定を切り替えるステップ
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知装置、画像形成装置、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、音波センサを用いて人を検知する装置であって、誤検知の要因となるような外来ノイズが発生していたり、検知エリア内に温度差があるような環境下でも、超音波センサによる誤検知を防ぐ装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-019361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば省エネルギー化のため、音波センサを備えた検知装置を電子機器に搭載し、電子機器に対して人等の測定対象物が近づいてきたことを検知して、電子機器の動作状態を制御することが行われている。
【0005】
音波センサを備えた検知装置は、例えば反射型光センサを備えた検知装置よりも検知範囲が広いため、早期に電子機器の動作状態を制御することが可能である。一方で、検知範囲が広いために、検知範囲において複数の測定対象物が検出されやすくなる。
【0006】
音波センサを備えた検知装置は、例えば反射型光センサを備えた検知装置よりも検知範囲が広いため、早期に電子機器の動作状態を制御することが可能である。一方で、検知範囲が広いために、検知範囲に複数の測定対象物が存在する場合に、電子機器の動作状態の制御に対して影響を及ぼす可能性が低い測定対象物まで検知してしまうおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、検知範囲に比例して検知される測定対象物が多くなる場合に比べて、検知範囲を広げても測定対象を多くすることを抑制することが可能な検知装置、この検知装置を備えた画像形成装置、及び、プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様の検知装置は、測定対象物との間の距離を検知する音波センサと、プロセッサと、を備え、前記プロセッサは、前記音波センサが測定対象物との間の距離を検知可能な検知範囲のうちの一部の第1の検知範囲において測定対象物が検知された場合に、前記音波センサの検知範囲のうち自装置から見て前記第1の検知範囲よりも外側に位置する第2の検知範囲の検知感度が、切り替え前の第1の検知感度よりも低い第2の検知感度となるように設定を切り替える。
【0009】
第2態様の検知装置は、第1態様の検知装置において、前記プロセッサは、前記第1の検知範囲において測定対象物が検知され、かつ、検知された測定対象物が自装置から遠ざかっている場合に、前記第2の検知範囲の検知感度が前記第2の検知感度から前記第1の検知感度となるように設定を切り替える。
【0010】
第3態様の検知装置は、第2態様の検知装置において、前記第1の検知範囲のうちの一部の検知範囲であり、かつ、自装置に最も近い第3の検知範囲が設定され、前記プロセッサは、前記第1の検知範囲であり、かつ前記第3の検知範囲の外側で検知された測定対象物が自装置から遠ざかっている場合には、前記第2の検知範囲の検知感度が前記第2の検知感度から前記第1の検知感度となるように設定を切り替え、前記第3の検知範囲で検知された測定対象物があった場合は、検知された測定対象物が自装置から遠ざかっている場合でも、前記第3の検知範囲で検知された測定対象物を検知された測定対象物とする。
【0011】
第4態様の検知装置は、第3態様の検知装置において、前記プロセッサは、前記第3の検知範囲で検知された測定対象物が動いていない場合は、測定対象物とみなさない。
【0012】
第5態様の検知装置は、第1態様の検知装置において、前記プロセッサは、前記音波センサにより検出された前記第1の検知範囲における信号の振幅値と、予め設定された前記第1の検知範囲に対応した第1の閾値とを比較することにより、前記第1の検知範囲に測定対象物が存在することを検知し、前記音波センサにより検出された前記第2の検知範囲における信号の振幅値と、予め設定された前記第2の検知範囲に対応した第2の閾値とを比較することにより、前記第2の検知範囲に測定対象物が存在することを検知し、前記第1の検知範囲において測定対象物が検知される前は、前記第1の閾値と前記第2の閾値は同じであり、前記第1の検知範囲において測定対象物が検知された場合に、前記第2の閾値が前記第1の閾値よりも高くなるように設定する。
【0013】
第6態様の検知装置は、第1態様の検知装置において、前記プロセッサは、前記第1の検知範囲及び前記第2の検知範囲において複数の測定対象物が検知された場合、前記第1の検知範囲において検知された測定対象物のみを検知された測定対象物とする。
【0014】
第7態様の検知装置は、第6態様の検知装置において、前記プロセッサは、前記第1の検知範囲において測定対象物が検知されておらず、前記第2の検知範囲において複数の測定対象物が検知された場合、自装置に近づいている測定対象物を検知された測定対象物とする。
【0015】
第8態様の画像形成装置は、第1態様から第7態様のいずれか1項に記載の検知装置と、前記検知装置による測定対象物の検知結果を用いて、自装置の動作状態を制御する制御部と、を備える。
【0016】
第9態様のプログラムは、測定対象物との間の距離を検知する音波センサが測定対象物との間の距離を検知可能な検知範囲のうちの一部の第1の検知範囲において測定対象物が検知された場合に、前記音波センサの検知範囲のうち自装置から見て前記第1の検知範囲よりも外側に位置する第2の検知範囲の検知感度が、切り替え前の第1の検知感度よりも低い第2の検知感度となるように設定を切り替えるステップをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0017】
第1態様の検知装置によれば、検知範囲に比例して検知される測定対象物が多くなる場合に比べて、検知範囲を広げても測定対象を多くすることを抑制することができる。
【0018】
第2態様の検知装置によれば、第1の検知範囲において測定対象物が検知されている場合に、常に第2の検知範囲の検知感度を低くしたままとする場合と比較して、第2の検知範囲に存在する測定対象物を検知し易くできる。
【0019】
第3態様の検知装置によれば、自装置に最も近い第3の検知範囲において測定対象物が検知されている場合、測定対象物の移動状況に関わらず、第3の検知範囲において測定対象物が存在するとみなすことができる。
【0020】
第4態様の検知装置によれば、動きがない測定対象物が誤って検知されるのを防ぐことができる。
【0021】
第5態様の検知装置によれば、音波センサにより検出された信号の振幅値に基づいて測定対象物の検知を行う場合において、第2の検知範囲に位置する測定対象物の検知を抑制するようにすることができる。
【0022】
第6態様の検知装置によれば、第1の検知範囲及び第2の検知範囲において複数の測定対象物が検知された場合、第2の検知範囲より自装置に近い第1の検知範囲の測定対象物を検知することができる。
【0023】
第7態様の検知装置によれば、第1の検知範囲において測定対象物が検知されておらず、第2の検知範囲において複数の測定対象物が検知された場合、自装置に近づいている測定対象物を検知することができる。
【0024】
第8態様の画像形成装置によれば、動作状態を早めに制御させることができる。
【0025】
第9態様のプログラムによれば、検知範囲に比例して検知される測定対象物が多くなる場合に比べて、検知範囲を広げても測定対象を多くすることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本実施形態の画像形成装置の概略構成を説明するための外観図である。
図2】画像形成装置及び検知装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】画像形成装置及び検知装置の機能構成を示すブロック図である。
図4】検知装置における検知範囲を説明するための図であり、検知範囲に測定対象物が存在しない状態を示した図である。
図5図4の状態における超音波センサの検出信号の状態を示すグラフである。
図6】検知装置の第2の検知範囲に測定対象物Aが移動してきた状態を示した図である。
図7図6の状態における超音波センサの検出信号の状態を示すグラフである。
図8】検知装置の第1の検知範囲に測定対象物Aが移動してきた状態を示した図である。
図9図8の状態における超音波センサの検出信号の状態を示すグラフである。
図10】検知装置の第2の検知範囲に測定対象物Bが移動してきた状態を示した図である。
図11図10の状態における超音波センサの検出信号の状態を示すグラフである。
図12】検知装置の第2の検知範囲に測定対象物Aが移動してきた状態を示した図である。
図13図12の状態における超音波センサの検出信号の状態を示すグラフである。
図14】検知装置の第1の検知範囲に測定対象物Aが存在し、第2の検知範囲に測定対象物Bが存在し、かつ、測定対象物Aが検知装置から遠ざかっている状態を示した図である。
図15図14の状態における超音波センサの検出信号の状態を示すグラフである。
図16】検知装置の第1の検知範囲及び第2の検知範囲の両方で測定対象物が存在する状態を示した図である。
図17図16の状態における超音波センサの検出信号の状態を示すグラフである。
図18】検知装置の第1の検知範囲において複数の測定対象物が存在する状態を示した図である。
図19図18の状態における超音波センサの検出信号の状態を示すグラフである。
図20】検知装置の第2の検知範囲において複数の測定対象物が存在する状態を示した図である。
図21図20の状態における超音波センサの検出信号の状態を示すグラフである。
図22】検知装置の第1の検知範囲に測定対象物Aが存在し、第2の検知範囲に測定対象物Bが存在し、かつ、測定対象物Aが検知装置から遠ざかっている状態を示した図である。
図23図22の状態における超音波センサの検出信号の状態を示すグラフである。
図24】検知装置の第1aの検知範囲に測定対象物Aが存在し、第2の検知範囲に測定対象物Bが存在し、かつ、測定対象物Aが検知装置から遠ざかっている状態を示した図である。
図25図24の状態における超音波センサの検出信号の状態を示すグラフである。
図26】本実施形態の検知装置における測定対象物の検知時の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態の画像形成装置10の概略構成を説明するための外観図である。図1におけるX軸、Y軸、及び、Z軸は、画像形成装置10における座標軸を示している。X軸方向は水平方向であって装置幅方向を示し、Y軸方向は水平方向であって装置奥行方向を示し、Z軸方向は垂直方向であって装置上下方向を示している。
【0028】
図1に示されるように、画像形成装置10は、印刷機能、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を有するいわゆる複合機と呼ばれる装置である。
【0029】
画像形成装置10は、自装置を利用する利用者を検知する検知装置20を備えている。画像形成装置10の正面には、利用者を検知する人感センサとして、検知装置20が備える超音波センサ21が設けられている。利用者は一般的に画像形成装置10が設置されている位置に向かって近づいてくるため、検知装置20が備える超音波センサ21は、このような利用者を検知するように設定される。超音波センサ21は、本開示の技術における音波センサの一例である。
【0030】
本実施形態の画像形成装置10では、例えば、この検知装置20を用いて自装置を利用する利用者を検知することにより、自装置を省電力状態から通常動作状態に復帰させるような、動作状態の制御が行われる。
【0031】
次に、本実施形態の画像形成装置10及び検知装置20のハードウェア構成について説明する。図2は、画像形成装置10及び検知装置20のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0032】
画像形成装置10は、検知装置20を含み、図2に示されるように、CPU(Central Processing Unit)11、RAM(Random Access Memory)12、ハードディスクドライブ等の記憶装置13、通信インタフェース(IFと略す。)14、タッチパネル又は液晶ディスプレイ並びにキーボードを含むユーザインタフェース(UIと略す。)装置15、スキャナ16、プリントエンジン17、及び、超音波センサ21を有する。これらの構成要素は、制御バス18を介して互いに接続されている。
【0033】
通信IF14は、外部の装置等との間でデータの送信及び受信を行う。UI装置15は、ユーザからの指示入力を受け付ける。スキャナ16は、画像形成装置10に装填された原稿を、画像データとして読み取る。プリントエンジン17は、帯電、露光、現像、転写、定着などの工程を経て印刷用紙等の記録媒体上に画像を印刷する。
【0034】
CPU11は、RAM12または記憶装置13に格納された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行して、画像形成装置10の動作を制御するプロセッサである。なお、本実施形態では、CPU11は、RAM12または記憶装置13内に格納された制御プログラムを読み出して実行するものとして説明したが、これに限定されるものではない。この制御プログラムをコンピュータ読取可能な記録媒体に記録した形態で提供してもよい。例えば、このプログラムをCD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)及びDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等の光ディスクに記録した形態、若しくは、USB(Universal Serial Bus)メモリ及びメモリカード等の半導体メモリに記録した形態で提供してもよい。また、この制御プログラムを、通信インタフェース14に接続された通信回線を介して外部装置から取得するようにしてもよい。
【0035】
検知装置20は、CPU11、RAM12、記憶装置13、及び、超音波センサ21を有する。超音波センサ21は、超音波を照射し、かつ、測定対象物に当たって反射して戻ってきた超音波を検出することにより、測定対象物との間の距離を検知するセンサである。
【0036】
CPU11、RAM12、及び、記憶装置13は、検知装置20の構成要素としても機能する。また、上記の制御プログラムは、画像形成装置10の動作の制御だけでなく、超音波センサ21の動作も制御し、画像形成装置10と検知装置20とが連携して動作するように制御する。
【0037】
次に、本実施形態の画像形成装置10及び検知装置20の機能構成について説明する。図3は、画像形成装置10及び検知装置20の機能構成を示すブロック図である。
【0038】
本実施形態の画像形成装置10は、図3に示されるように、制御部31、記憶部32、操作入力部33、表示部34、データ送受信部35、認証部36、画像読取部37、画像出力部38、及び、超音波センサ21を備えている。この内、検知装置20は、制御部31、記憶部32、及び、超音波センサ21を備えている。
【0039】
制御部31は、画像形成装置10及び検知装置20の全体動作を制御しており、ユーザからの指示入力に基づいて、画像読取部37によって原稿画像を読み取る制御、印刷データを画像出力部38から出力する制御等を行う。また、制御部31は、超音波センサ21を制御して、測定対象物を検知する制御等を行う。記憶部32は、制御プログラム等のデータを記憶する。
【0040】
操作入力部33は、ユーザにより行われた各種操作の情報を入力する。表示部34は、制御部31により制御され、ユーザに各種情報を表示する。データ送受信部35は、外部の装置との間でデータの送受信を行う。認証部36は、画像形成装置10を利用しようとするユーザに対する認証処理を実行する。
【0041】
画像読取部37は、制御部31による制御に基づいて、装填された原稿から原稿画像を読み取る。画像出力部38は、制御部31による制御に基づいて、印刷用紙等の記録媒体上に画像を出力する。
【0042】
また、制御部31は、画像形成装置10から予め設定された範囲(後述の第1の検知範囲R1)内に利用者が存在する場合に画像形成装置10を通常動作状態とし、予め設定された範囲内に利用者が存在しない場合に画像形成装置10を省電力状態とするように、画像形成装置10の動作状態の制御を行う。
【0043】
以下、画像形成装置10が備える検知装置20における測定対象物の検知について詳細に説明する。図4は、本実施形態の検知装置20における検知範囲を説明するための図であり、検知範囲に測定対象物が存在しない状態を示した図である。また、図5は、図4の状態における超音波センサ21の検出信号の状態を示すグラフである。
【0044】
図4に示されるように、制御部31は、超音波センサ21が測定対象物との間の距離を検知可能な検知範囲のうちの一部の第1の検知範囲R1において測定対象物が検知された場合に、超音波センサ21の検知範囲のうち自装置から見て第1の検知範囲R1よりも外側に位置する第2の検知範囲R2の検知感度が、切り替え前の第1の検知感度よりも低い第2の検知感度となるように設定を切り替える。
【0045】
なお、制御部31は、第1の検知範囲R1において測定対象物が検知され、かつ、検知された測定対象物が自装置から遠ざかっている場合に、第2の検知範囲R2の検知感度が第2の検知感度から第1の検知感度となるように設定を切り替えるようにしてもよい。
【0046】
本実施形態では、検知感度の切り替えについて、一例として下記の通り行う。図5に示されるように、制御部31は、超音波センサ21により検出された第1の検知範囲R1における信号の振幅値と、予め設定された第1の検知範囲R1に対応した第1の閾値とを比較することにより、第1の検知範囲R1に測定対象物が存在することを検知し、超音波センサ21により検出された第2の検知範囲R2における信号の振幅値と、予め設定された第2の検知範囲に対応した第2の閾値とを比較することにより、第2の検知範囲R2に測定対象物が存在することを検知し、第1の検知範囲R1において測定対象物が検知される前は、第1の閾値と第2の閾値は同じであり、第1の検知範囲R1において測定対象物が検知された場合に、第2の閾値が第1の閾値よりも高くなるように設定する。
【0047】
ここで、検知装置20における複数の検知範囲、及び、各検知範囲で測定対象物が検出された場合の超音波センサ21の検出信号について詳細に説明する。
【0048】
図4に示されるように、第1の検知範囲R1は、超音波センサ21が測定対象物との間の距離を検知可能な検知範囲のうち、検知装置20から距離D1までの間の範囲である。また、第2の検知範囲R2は、超音波センサ21が測定対象物との間の距離を検知可能な検知範囲のうち、距離D1よりも遠く距離D2までの間の範囲である。
【0049】
図5に示されるように、超音波センサ21により検出された信号は、横軸を検知装置20からの距離D(m)、縦軸を電圧の振幅V(V)とするグラフにおいて、パルス状の信号として表される。
【0050】
なお、本実施形態では、制御部31は、超音波センサ21の検知可能範囲において移動している測定対象物のみを検知対象とし、検知可能範囲の中にあっても静止している測定対象物は検知対象としない。そのため、検出信号を示すグラフにおいて、横軸方向に移動している信号(すなわち、動的データ)のみが、グラフに現れる形となる。これは、画像形成装置10における動作状態の制御のために検知する必要がある人等の測定対象物のみを検知し、動作状態の制御のために検知する必要がない書棚、ごみ箱、及び、観賞用植物等の不動の測定対象物を検知しないようにするためである。
【0051】
図4の状態では、超音波センサ21の検知可能範囲に測定対象物が存在しないため、検出信号を示すグラフにおいて、測定対象物を示す信号は表れない。
【0052】
また、検出信号を示すグラフにおいて、第1の検知範囲R1に対応する領域には、第1の閾値としてVTh1が設定されている。第1の検知範囲R1に対応する領域において、第1の閾値であるVTh1以上の振幅Vの信号が現れた際に、制御部31は、第1の検知範囲R1に測定対象物が存在するとみなす。
【0053】
なお、閾値VTh1は、第1の検知範囲R1において、測定対象物として想定している人を検出した場合に現れる信号の振幅Vよりも低い値に設定されている。閾値VTh1は、一例として、第1の検知範囲R1における人の検出信号の標準的な振幅Vの値の30%の値としてもよい。
【0054】
また、検出信号を示すグラフにおいて、第2の検知範囲R2に対応する領域には、第2の閾値が設定されている。第2の検知範囲R2に対応する領域において、第2の閾値以上の振幅Vの信号が現れた際に、制御部31は、第2の検知範囲R2に測定対象物が存在するとみなす。
【0055】
図4の状態、すなわち、第1の検知範囲R1において測定対象物が検知される前の状態では、制御部31は、第1の閾値と第2の閾値とを同じ閾値VTh1に設定する。
【0056】
次に、図4の状態から、新たに第2の検知範囲R2に測定対象物Aが移動してきた場合について説明する。図6は、検知装置20の第2の検知範囲R2に測定対象物Aが移動してきた状態を示した図である。また、図7は、図6の状態における超音波センサ21の検出信号の状態を示すグラフである。
【0057】
図6に示されるように、利用者である測定対象物Aが、第2の検知範囲R2の外から新たに第2の検知範囲R2の中に移動してきたものとする。
【0058】
この場合、図7に示されるように、検出信号を示すグラフにおいて、第2の検知範囲R2に対応する領域に、測定対象物Aを示す信号SAが現れる。
【0059】
制御部31は、第2の検知範囲R2に対応する領域に現れた信号SAの振幅Vが第2の閾値であるVTh1以上の値であるため、第2の検知範囲R2に測定対象物が存在するとみなす。
【0060】
次に、図6の状態から、新たに第1の検知範囲R1に測定対象物Aが移動してきた場合について説明する。図8は、検知装置20の第1の検知範囲R1に測定対象物Aが移動してきた状態を示した図である。また、図9は、図8の状態における超音波センサ21の検出信号の状態を示すグラフである。
【0061】
図8に示されるように、利用者である測定対象物Aが、第2の検知範囲R2から新たに第1の検知範囲R1に移動してきたものとする。
【0062】
この場合、図9に示されるように、検出信号を示すグラフにおいて、第1の検知範囲R1に対応する領域に、測定対象物Aを示す信号SAが現れる。
【0063】
制御部31は、第1の検知範囲R1に対応する領域に現れた信号SAの振幅Vが第1の閾値であるVTh1以上の値であるため、第1の検知範囲R1に測定対象物が存在するとみなす。さらに、制御部31は、第1の検知範囲R1において測定対象物が検知されたため、第2の閾値を第1の閾値であるVTh1よりも高い閾値VTh2となるように設定する。
【0064】
なお、閾値VTh2は、第2の検知範囲R2において、測定対象物として想定している人を検出した場合に現れる信号の振幅Vよりも高い値に設定されている。閾値VTh2は、一例として、第2の検知範囲R2における人の検出信号の標準的な振幅Vの値の130%の値としてもよい。
【0065】
次に、図8の状態から、新たに第2の検知範囲R2に測定対象物Bが移動してきた場合について説明する。図10は、検知装置20の第2の検知範囲R2に測定対象物Bが移動してきた状態を示した図である。また、図11は、図10の状態における超音波センサ21の検出信号の状態を示すグラフである。
【0066】
図10に示されるように、利用者である測定対象物Aが画像形成装置10の前で静止し、非利用者である測定対象物Bが、第2の検知範囲R2の外から新たに第2の検知範囲R2の中に移動してきたものとする。
【0067】
この場合、図11に示されるように、検出信号を示すグラフにおいて、第1の検知範囲R1に対応する領域に現れていた測定対象物Aを示す信号SAが消えるとともに、第2の検知範囲R2に対応する領域に、測定対象物Bを示す信号SBが現れる。
【0068】
制御部31は、第1の検知範囲R1に対応する領域に現れた信号SAが第2の検知範囲R2に移動せずに消えたため、第1の検知範囲R1に測定対象物が存在するとみなす。また、制御部31は、第2の検知範囲R2に対応する領域に現れた信号SBの振幅Vが第2の閾値であるVTh2未満の値であるため、第2の検知範囲R2に測定対象物が存在しないとみなす。
【0069】
次に、図10の状態から、第2の検知範囲R2に測定対象物Aが移動してきた場合について説明する。図12は、検知装置20の第2の検知範囲R2に測定対象物Aが移動してきた状態を示した図である。また、図13は、図12の状態における超音波センサ21の検出信号の状態を示すグラフである。
【0070】
図12に示されるように、利用者である測定対象物Aが第1の検知範囲R1から第2の検知範囲R2に移動し、非利用者である測定対象物Bが、第2の検知範囲R2の外に移動したものとする。
【0071】
この場合、図13に示されるように、検出信号を示すグラフにおいて、第2の検知範囲R2に対応する領域に、測定対象物Aを示す信号SAが現れる。
【0072】
制御部31は、第1の検知範囲R1において検知されていた測定対象物が第2の検知範囲R2に移動したため、第1の閾値と第2の閾値とを同じ閾値VTh1に設定する。さらに、制御部31は、第2の検知範囲R2に対応する領域に現れた信号SAの振幅Vが第2の閾値であるVTh1以上の値であるため、第2の検知範囲R2に測定対象物が存在するとみなす。
【0073】
このような構成とすることにより、制御部31が画像形成装置10の動作状態の制御を行うための基準となる第1の検知範囲R1よりも広い検知範囲において、測定対象物が検知されることになる。また、測定対象物が第1の検知範囲R1に存在する場合には、制御部31が画像形成装置10の動作状態の制御を行うために検知することが不要な第2の検知範囲R2に存在する測定対象物が検知されなくなる。
【0074】
なお、上記の例では、閾値VTh2は、第2の検知範囲R2において、測定対象物として想定している人を検出した場合に現れる信号の振幅Vよりも高い一律の値に設定されていた。
【0075】
このような態様に代わり、第2の検知範囲R2において検知された測定対象物の移動状況が特定の移動状況である場合には、特定の移動状況でない場合と比較して、閾値VTh2の値を低くするようにしてもよい。
【0076】
例えば、下記の態様としてもよい。第2の検知範囲R2において検知された測定対象物の移動速度が設定された閾値未満の場合は、閾値VTh2は第2の検知範囲R2における人の検出信号の標準的な振幅Vの値の130%の値とする。第2の検知範囲R2において検知された測定対象物の移動速度が設定された閾値以上の場合は、閾値VTh2は第2の検知範囲R2における人の検出信号の標準的な振幅Vの値の80%の値とする。
【0077】
また、下記の態様としてもよい。第2の検知範囲R2において検知された測定対象物が自装置に対して直線的に近づいている場合は、閾値VTh2は第2の検知範囲R2における人の検出信号の標準的な振幅Vの値の130%の値とする。第2の検知範囲R2において検知された測定対象物が自装置に対して直線的に近づいていない場合は、閾値VTh2は第2の検知範囲R2における人の検出信号の標準的な振幅Vの値の80%の値とする。
【0078】
これらのような態様とすることにより、測定対象物が第1の検知範囲R1に存在する場合であっても、第2の検知範囲R2において検知された測定対象物の移動状況が特定の移動状況である場合には、閾値VTh2の値を一律とする態様と比較して、測定対象物が検知され易くなる。
【0079】
また、上記の例では、制御部31は、第1の検知範囲R1において検知されていた測定対象物が第2の検知範囲R2に移動した際に、第1の閾値と第2の閾値とを同じ閾値VTh1に設定している。
【0080】
このような態様に代わり、第1の検知範囲R1において検知されていた測定対象物が第2の検知範囲R2に移動する前でも、第1の検知範囲R1において検知されていた測定対象物が第2の検知範囲R2に向けて移動したことを検知した段階で、第1の閾値と第2の閾値とを同じ閾値VTh1に設定してもよい。
【0081】
このような状況について図面を参照して説明する。図14は、検知装置20の第1の検知範囲R1に測定対象物Aが存在し、第2の検知範囲R2に測定対象物Bが存在し、かつ、測定対象物Aが検知装置20から遠ざかっている状態を示した図である。また、図15は、図14の状態における超音波センサ21の検出信号の状態を示すグラフである。
【0082】
図14に示されるように、利用者である測定対象物Aが第1の検知範囲R1から第2の検知範囲R2に向けて移動し、新たな利用者になる可能性がある測定対象物Bが、第2の検知範囲R2に移動してきたものとする。
【0083】
この場合、図15に示されるように、検出信号を示すグラフにおいて、第1の検知範囲R1に対応する領域中の測定対象物Aを示す信号SAが第2の検知範囲R2側に移動し、第2の検知範囲R2に対応する領域に測定対象物Bを示す信号SBが現れる。
【0084】
制御部31は、第1の検知範囲R1において検知されていた測定対象物が第2の検知範囲R2側に移動したため、第1の閾値と第2の閾値とを同じ閾値VTh1に設定する。さらに、制御部31は、第2の検知範囲R2に対応する領域に現れた信号SBの振幅Vが第2の閾値であるVTh1以上の値であるため、第2の検知範囲R2に測定対象物が存在するとみなす。
【0085】
また、制御部31は、第1の検知範囲R1及び第2の検知範囲R2において複数の測定対象物が検知された場合、第1の検知範囲R1において検知された測定対象物のみを検知された測定対象物とするようにしてもよい。
【0086】
このような状況について図面を参照して説明する。図16は、検知装置20の第1の検知範囲R1及び第2の検知範囲R2の両方で測定対象物が存在する状態を示した図である。また、図17は、図16の状態における超音波センサ21の検出信号の状態を示すグラフである。
【0087】
図16に示されるように、検知装置20の第1の検知範囲R1及び第2の検知範囲R2の両方で測定対象物が存在するものとする。
【0088】
この場合、上記で説明した通り、第2の閾値であるVTh2が第1の閾値であるVTh1よりも高くなるように設定されているため、通常であれば、第2の検知範囲R2に対応する領域に現れた信号SBの振幅Vが第2の閾値VTh2未満の値となり、第2の検知範囲R2に測定対象物が存在しないとみなされる。
【0089】
しかしながら、例外的に、測定対象物Bにおける超音波の反射強度が高くなっている場合、図17に示されるように、検出信号を示すグラフにおいて、第1の検知範囲R1の信号SAの振幅Vが第1の閾値であるVTh1以上の値となるだけでなく、第2の検知範囲R2の信号SBの振幅Vも第2の閾値であるVTh2以上の値となる。この場合、制御部31は、第1の検知範囲R1のみに測定対象物が存在するとみなす。
【0090】
また、制御部31は、第1の検知範囲R1において複数の測定対象物が検知された場合、検知装置20に最も近い位置で検知された測定対象物を検知された測定対象物とするようにしてもよい。
【0091】
このような状況について図面を参照して説明する。図18は、検知装置20の第1の検知範囲R1において複数の測定対象物が存在する状態を示した図である。また、図19は、図18の状態における超音波センサ21の検出信号の状態を示すグラフである。
【0092】
図18に示されるように、検知装置20の第1の検知範囲R1において測定対象物A及び測定対象物Bの複数の測定対象物が存在するものとする。
【0093】
この場合、図19に示されるように、第1の検知範囲R1に対応する領域に現れた信号SA及び信号SBの振幅Vが共に第1の閾値であるVTh1以上の値となるが、制御部31は、第1の検知範囲R1の中で検知装置20に最も近い位置で検知された信号SAのみを測定対象物とみなす。
【0094】
また、制御部31は、第1の検知範囲R1において測定対象物が検知されておらず、第2の検知範囲R2において複数の測定対象物が検知された場合、検知装置20に近づいている測定対象物を検知された測定対象物とするようにしてもよい。
【0095】
このような状況について図面を参照して説明する。図20は、検知装置20の第2の検知範囲R2において複数の測定対象物が存在する状態を示した図である。また、図21は、図20の状態における超音波センサ21の検出信号の状態を示すグラフである。
【0096】
図20に示されるように、検知装置20の第2の検知範囲R2において測定対象物A及び測定対象物Bの複数の測定対象物が存在するものとする。
【0097】
この場合、図21に示されるように、第2の検知範囲R2に対応する領域に現れた信号SA及び信号SBの振幅Vが共に例外的に第2の閾値であるVTh2以上の値となった場合、制御部31は、第2の検知範囲R2の中で検知装置20に近づいている信号SBのみを測定対象物とみなす。
【0098】
また、第1の検知範囲R1のうちの一部の検知範囲であり、かつ、検知装置20に最も近い第1aの検知範囲R1aが設定され、制御部31は、第1の検知範囲R1であり、かつ第1aの検知範囲R1aの外側で検知された測定対象物が検知装置20から遠ざかっている場合には、前記第2の検知範囲の検知感度が前記第2の検知感度から前記第1の検知感度となるように設定を切り替え、第1aの検知範囲R1aで検知された測定対象物があった場合は、検知された測定対象物が検知装置20から遠ざかっている場合でも、第1aの検知範囲R1aで検知された測定対象物を検知された測定対象物とするようにしてもよい。なお、第1aの検知範囲R1aは、本開示の技術における第3の検知範囲の一例である。
【0099】
このような状況について図面を参照して説明する。図22は、検知装置20の第1の検知範囲R1であり、かつ第1aの検知範囲R1aの外側に測定対象物Aが存在し、第2の検知範囲R2に測定対象物Bが存在し、かつ、測定対象物Aが検知装置20から遠ざかっている状態を示した図である。また、図23は、図22の状態における超音波センサ21の検出信号の状態を示すグラフである。
【0100】
図22に示されるように、第1aの検知範囲R1aは、超音波センサ21が測定対象物との間の距離を検知可能な検知範囲のうち、検知装置20から距離D1aまでの間の範囲である。検知装置20からの距離D1aは、検知装置20からの距離D1よりも短い距離である。
【0101】
図22に示されるように、利用者である測定対象物Aが第1の検知範囲R1から第2の検知範囲R2に向けて移動し、新たな利用者になる可能性がある測定対象物Bが、第2の検知範囲R2に移動してきたものとする。
【0102】
この場合、図23に示されるように、検出信号を示すグラフにおいて、第1の検知範囲R1に対応する領域中の測定対象物Aを示す信号SAが第2の検知範囲R2側に移動し、第2の検知範囲R2に対応する領域に測定対象物Bを示す信号SBが現れる。
【0103】
制御部31は、第1の検知範囲R1において検知されていた測定対象物が第2の検知範囲R2側に移動したため、第1の閾値と第2の閾値とを同じ閾値VTh1に設定する。さらに、制御部31は、第2の検知範囲R2に対応する領域に現れた信号SBの振幅Vが第2の閾値であるVTh1以上の値であるため、第2の検知範囲R2に測定対象物が存在するとみなす。
【0104】
図24は、検知装置20の第1aの検知範囲R1aに測定対象物Aが存在し、第2の検知範囲R2に測定対象物Bが存在し、かつ、測定対象物Aが検知装置20から遠ざかっている状態を示した図である。また、図25は、図24の状態における超音波センサ21の検出信号の状態を示すグラフである。
【0105】
図24に示されるように、利用者である測定対象物Aが第1aの検知範囲R1aから第2の検知範囲R2に向けて移動し、新たな利用者になる可能性がある測定対象物Bが、第2の検知範囲R2に移動してきたものとする。
【0106】
この場合、図25に示されるように、検出信号を示すグラフにおいて、第1aの検知範囲R1aに対応する領域中の測定対象物Aを示す信号SAが第2の検知範囲R2側に移動し、第2の検知範囲R2に対応する領域に測定対象物Bを示す信号SBが現れる。
【0107】
制御部31は、測定対象物Aが第1の検知範囲R1の中の検知装置20に近い第1aの検知範囲R1aに存在するため、第2の閾値はVTh2のままとする。そのため、第2の検知範囲R2に対応する領域に現れた信号SBは、測定対象物の信号としてみなされなくなる。
【0108】
なお、この場合、制御部31は、第1aの検知範囲R1aで検知された測定対象物が動いていない場合は、測定対象物とみなさないようにしてもよい。
【0109】
次に、本実施形態の検知装置20における測定対象物の検知時の処理の流れについて、図26のフローチャートを参照して説明する。
【0110】
先ず、制御部31は、測定を開始し、ステップS11において、測定データを取得する。
【0111】
次に、制御部31は、ステップS12において、測定データ中に動的データがあるか否かの判定を行う。
【0112】
ステップS12において、動的データがないと判定された場合、制御部31は、ステップS11に戻り、測定データの取得から処理をやり直す。
【0113】
ステップS12において、動的データがあると判定された場合、制御部31は、ステップS13において、検知装置20の検知範囲全体の動的データの中に閾値以上の信号があるか否かの判定を行う。ここで、検知範囲全体とは、第1の検知範囲R1と第2の検知範囲R2を合わせた範囲である。
【0114】
ステップS13において、閾値以上の信号がないと判定された場合、制御部31は、ステップS11に戻り、測定データの取得から処理をやり直す。
【0115】
ステップS13において、閾値以上の信号があると判定された場合、制御部31は、ステップS14において、第1の検知範囲R1に信号があるか否かの判定を行う。
【0116】
ステップS14において、第1の検知範囲R1に信号があると判定された場合、制御部31は、ステップS15において、第1の閾値をVTh1とし、第2の閾値を第1の閾値であるVTh1よりも高いVTh2とする設定を行う。
【0117】
ステップS14において、第1の検知範囲R1に信号がないと判定された場合、制御部31は、ステップS16において、第1の閾値と第2の閾値とを同じ閾値VTh1に設定する。
【0118】
[変形例]
上記実施形態では、画像形成装置10に検知装置20を搭載した例について説明したが、本発明はこのような場合に限定されるものではなく、ATM(Automatic Teller Machine)装置又は券売機等のユーザが近づいてきて操作を行うような情報処理装置、あるいは、自走式の無人搬送車又はロボット掃除機等の障害物の検知を行う装置に対しても同様に本発明を適用することができるものである。
【0119】
[付記]
以下に、本開示の好ましい形態について付記する。
【0120】
(((1)))
測定対象物との間の距離を検知する音波センサと、
プロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、
前記音波センサが測定対象物との間の距離を検知可能な検知範囲のうちの一部の第1の検知範囲において測定対象物が検知された場合に、前記音波センサの検知範囲のうち自装置から見て前記第1の検知範囲よりも外側に位置する第2の検知範囲の検知感度が、切り替え前の第1の検知感度よりも低い第2の検知感度となるように設定を切り替える
検知装置。
【0121】
(((2)))
前記プロセッサは、
前記第1の検知範囲において測定対象物が検知され、かつ、検知された測定対象物が自装置から遠ざかっている場合に、前記第2の検知範囲の検知感度が前記第2の検知感度から前記第1の検知感度となるように設定を切り替える
(((1)))に記載の検知装置。
【0122】
(((3)))
前記第1の検知範囲のうちの一部の検知範囲であり、かつ、自装置に最も近い第3の検知範囲が設定され、
前記プロセッサは、
前記第1の検知範囲であり、かつ前記第3の検知範囲の外側で検知された測定対象物が自装置から遠ざかっている場合には、前記第2の検知範囲の検知感度が前記第2の検知感度から前記第1の検知感度となるように設定を切り替え、
前記第3の検知範囲で検知された測定対象物があった場合は、検知された測定対象物が自装置から遠ざかっている場合でも、前記第3の検知範囲で検知された測定対象物を検知された測定対象物とする
(((2)))に記載の検知装置。
【0123】
(((4)))
前記プロセッサは、
前記第3の検知範囲で検知された測定対象物が動いていない場合は、測定対象物とみなさない
(((3)))に記載の検知装置。
【0124】
(((5)))
前記プロセッサは、
前記音波センサにより検出された前記第1の検知範囲における信号の振幅値と、予め設定された前記第1の検知範囲に対応した第1の閾値とを比較することにより、前記第1の検知範囲に測定対象物が存在することを検知し、
前記音波センサにより検出された前記第2の検知範囲における信号の振幅値と、予め設定された前記第2の検知範囲に対応した第2の閾値とを比較することにより、前記第2の検知範囲に測定対象物が存在することを検知し、
前記第1の検知範囲において測定対象物が検知される前は、前記第1の閾値と前記第2の閾値は同じであり、
前記第1の検知範囲において測定対象物が検知された場合に、前記第2の閾値が前記第1の閾値よりも高くなるように設定する
(((1)))から(((4)))のいずれか1項に記載の検知装置。
【0125】
(((6)))
前記プロセッサは、
前記第1の検知範囲及び前記第2の検知範囲において複数の測定対象物が検知された場合、前記第1の検知範囲において検知された測定対象物のみを検知された測定対象物とする
(((1)))から(((5)))のいずれか1項に記載の検知装置。
【0126】
(((7)))
前記プロセッサは、
前記第1の検知範囲において測定対象物が検知されておらず、前記第2の検知範囲において複数の測定対象物が検知された場合、自装置に近づいている測定対象物を検知された測定対象物とする
(((6)))に記載の検知装置。
【0127】
(((8)))
(((1)))から(((7)))のいずれか1項に記載の検知装置と、
前記検知装置による測定対象物の検知結果を用いて、自装置の動作状態を制御する制御部と、を備える
画像形成装置。
【0128】
(((9)))
測定対象物との間の距離を検知する音波センサが測定対象物との間の距離を検知可能な検知範囲のうちの一部の第1の検知範囲において測定対象物が検知された場合に、前記音波センサの検知範囲のうち自装置から見て前記第1の検知範囲よりも外側に位置する第2の検知範囲の検知感度が、切り替え前の第1の検知感度よりも低い第2の検知感度となるように設定を切り替えるステップ
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0129】
以下に、付記の構成による効果について記載する。
【0130】
(((1)))の検知装置によれば、検知範囲を広げつつ、検知される測定対象物が多くなりすぎることを抑制することができる。
【0131】
(((2)))の検知装置によれば、第1の検知範囲において測定対象物が検知されている場合に、常に第2の検知範囲の検知感度を低くしたままとする場合と比較して、第2の検知範囲に存在する測定対象物を検知し易くできる。
【0132】
(((3)))の検知装置によれば、自装置に最も近い第3の検知範囲において測定対象物が検知されている場合、測定対象物の移動状況に関わらず、第3の検知範囲において測定対象物が存在するとみなすことができる。
【0133】
(((4)))の検知装置によれば、動きがない測定対象物が誤って検知されるのを防ぐことができる。
【0134】
(((5)))の検知装置によれば、音波センサにより検出された信号の振幅値に基づいて測定対象物の検知を行う場合において、第2の検知範囲に位置する測定対象物の検知を抑制するようにすることができる。
【0135】
(((6)))の検知装置によれば、第1の検知範囲及び第2の検知範囲において複数の測定対象物が検知された場合、第2の検知範囲より自装置に近い第1の検知範囲の測定対象物を検知することができる。
【0136】
(((7)))の検知装置によれば、第1の検知範囲において測定対象物が検知されておらず、第2の検知範囲において複数の測定対象物が検知された場合、自装置に近づいている測定対象物を検知することができる。
【0137】
(((8)))の画像形成装置によれば、動作状態を早めに制御させることができる。
【0138】
(((9)))のプログラムによれば、検知範囲を広げつつ、検知される測定対象物が多くなりすぎることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0139】
10 画像形成装置
11 CPU
12 RAM
13 記憶装置
14 通信インタフェース
15 ユーザインタフェース装置
16 スキャナ
17 プリントエンジン
18 制御バス
20 検知装置
21 超音波センサ
31 制御部
32 記憶部
33 操作入力部
34 表示部
35 データ送受信部
36 認証部
37 画像読取部
38 画像出力部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26