(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041550
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】目標捜索追随装置、撮像装置
(51)【国際特許分類】
H04N 23/695 20230101AFI20240319BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20240319BHJP
H04N 23/55 20230101ALI20240319BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240319BHJP
【FI】
H04N5/232 990
H04N5/222 100
H04N5/225 400
G03B15/00 P
G03B15/00 S
G03B15/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146426
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】近藤 宗輝
【テーマコード(参考)】
5C122
【Fターム(参考)】
5C122EA52
5C122EA65
5C122EA66
5C122FA01
5C122FB11
5C122FH11
5C122GD04
5C122GD06
5C122GD11
5C122HA82
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】消費電力を増大させることなく、俊敏に目標を捜索追随することが可能な目標捜索追随装置、撮像装置を提供すること。
【解決手段】実施形態によれば、目標捜索追随装置は、反射ミラー部、センサ部、回転駆動部、制御部を有する。反射ミラー部は、円錐形、円柱形または球面形に形成される。センサ部は、前記反射ミラー部に対する撮影方向を変更可能とし、前記反射ミラー部に反射した光を撮像する。回転駆動部は、前記反射ミラー部の中心軸から均等な距離において、前記センサ部を前記反射ミラー部の周囲で移動させる。制御部は、前記センサ部と前記回転駆動部の動作を制御する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円錐形、円柱形または球面形に形成された反射ミラー部と、
前記反射ミラー部に対する撮影方向を変更可能とし、前記反射ミラー部に反射した光を撮像するセンサ部と、
前記反射ミラー部の中心軸から均等な距離において、前記センサ部を前記反射ミラー部の周囲で移動させる回転駆動部と、
前記センサ部と前記回転駆動部の動作を制御する制御部と
を有する目標捜索追随装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記センサ部により撮像された画像を補正して周囲画像を生成し、前記周囲画像から目標を検出するセンサ処理部と、
前記センサ処理部による前記目標の検出結果、前記センサ部の撮影方向、及び前記回転駆動部により移動される前記センサ部の位置に基づいて、前記センサ部の撮影方向及び前記回転駆動部による回転駆動を制御する指令生成部とを有する、請求項1記載の目標捜索追随装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記センサ部による撮影方向の変更と前記センサ部の位置の変更を繰り返して撮影範囲を移動させながら撮影した画像をもとにした前記周囲画像から目標の有無を確認する捜索動作と、
前記捜索動作によって目標が確認された場合に、前記センサ部により撮影される画像に前記目標が含まれるように前記センサ部による撮影方向の変更と前記センサ部の位置の変更を制御する追随動作を実行する、請求項2記載の目標捜索追随装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記捜索動作において、前記回転駆動部により前記センサ部を前記反射ミラー部の周囲で周回させることで前記センサ部の位置を移動させて、前記センサ部による撮影範囲を移動させる、請求項3記載の目標捜索追随装置。
【請求項5】
複数のセンサ部を設けて、それぞれの前記センサ部により撮像させる、請求項1~4の何れかに記載の目標捜索追随装置。
【請求項6】
複数のセンサ部を同じ種類とし、複数のセンサ部による撮影範囲がそれぞれ異なるようにする、請求項5記載の目標捜索追随装置。
【請求項7】
複数のセンサ部を異なる種類とする、請求項5記載の目標捜索追随装置。
【請求項8】
円錐形、円柱形または球面形に形成された反射ミラー部と、
前記反射ミラー部に反射した光を撮像する、前記反射ミラー部に対する撮影方向を変更可能なセンサ部と、
前記反射ミラー部の中心軸から均等な距離において、前記センサ部を前記反射ミラー部の周囲で移動させる回転駆動部とを有する撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、目標捜索追随装置、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飛しょう体システムにおいて、一般に地上装置は飛来する目標の捜索、追随を行う機能が求められる。こうした地上装置は、光波を検出対象として実現しようと考える場合、カメラで周囲を撮像して目標の有無を検出する方法が一般的に考えられる。この場合、遠方の目標の位置を検出するために、高い解像度で画像を撮像することが求められる。
【0003】
こうしたシステムを検討する際、従来はカメラを撮像したい方向に回転させるようなジンバル機構を用いることが従来より検討されてきた手法である。
【0004】
図11には、一般的なジンバル機構の一例を示している。
【0005】
図11に示すジンバル機構は、エレベーション軸(EL軸)及びアジマス軸(AZ軸)の2つの軸周りに回動可能なジンバル(回転部85、86)を有する2軸ジンバル構造を示している。AZ軸、EL軸が一点において直交する2軸ジンバル構造により、所望の位置にカメラセンサ81の視軸方向(撮影方向)を変更する。
【0006】
ジンバル機構は、ベース部84と、アジマス軸回転部(AZ回転部)87と、一対の支持部材82と、エレベーション軸回転部(EL回転部)83を有する。AZ回転部87の回転に伴って、一対の支持部材82、及びEL回転部83がAZ軸周りに回転する。AZ回転部87の上面には、一対の支持部材82が固定された状態で立設される。AZ回転部87は、シャフトの中心軸(AZ軸)により回転自在になっている。
【0007】
EL回転部83は、内部にカメラセンサ81を搭載し、両側面部が一対の支持部材82に軸受けされる。EL回転部83は、内部に、モータ軸であるシャフトと、このシャフトを駆動する駆動機構とをさらに備え、シャフトの中心軸(EL軸)により回動可能となっている。
【0008】
AZ軸周りとEL軸周りとの2つの駆動機構によって、カメラセンサ81を搭載するEL回転部83が、EL軸周りに回動し、また、AZ回転部87が、AZ軸周りに回動する。これによりカメラセンサ81による撮像方向が変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ジンバル機構では、カメラセンサ81を搭載したEL回転部83、EL回転部83を支持する一対の支持部材82と共にAZ回転部87を軸回転させて撮影方向を変更させる必要がある。また、各構造材の他に、ジンバル駆動用モータや周辺回路などを搭載している。このため、ジンバルの搭載物の質量によって、カメラの撮影方向を変化させて画像の撮像を行う際に、慣性モーメントが大きく、俊敏に駆動させることは困難になるという問題があった。また、ジンバルの搭載物の質量が大きくなるにつれて、消費電力が増大するおそれがある。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、消費電力を増大させることなく、俊敏に目標を捜索追随することが可能な目標捜索追随装置、撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
実施形態によれば、目標捜索追随装置は、反射ミラー部、センサ部、回転駆動部、制御部を有する。反射ミラー部は、円錐形、円柱形または球面形に形成される。センサ部は、前記反射ミラー部に対する撮影方向を変更可能とし、前記反射ミラー部に反射した光を撮像する。回転駆動部は、前記反射ミラー部の中心軸から均等な距離において、前記センサ部を前記反射ミラー部の周囲で移動させる。制御部は、前記センサ部と前記回転駆動部の動作を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態における目標捜索追随装置に実装される撮像装置の構成を示す外観図。
【
図2】本実施形態における目標捜索追随装置の構成を示すブロック図。
【
図3】本実施形態における目標捜索追随装置による目標の捜索を説明するための図。
【
図4】本実施形態の目標捜索追随装置による捜索動作を説明するためのフローチャート。
【
図5】捜索動作時の撮像装置の動作を説明するための図。
【
図6】本実施形態の目標捜索追随装置による追随動作を説明するためのフローチャート。
【
図7】追随動作時の撮像装置の動作を説明するための図。
【
図8】本実施形態における複数のセンサ部を設けた構成の一例を示す図。
【
図9】本実施形態における反射ミラー部の変更例を示す図。
【
図10】本実施形態における反射ミラー部の変更例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
本実施形態における目標捜索追随装置は、屋外環境下で周囲を撮影した画像から目標(飛しょう体等)を捜索し、捜索により検出された目標に追随して画像撮影を継続する装置である。目標の侵入してくる方向が不明である場合、目標捜索追随装置は、周囲を全周撮影し、目標の有無を確認する必要がある。撮像装置に搭載されたセンサ部(カメラ)の視野角にすべての捜索範囲が入らない場合、センサ部(カメラ)による撮影範囲を複数に区分して周囲を撮像し、撮像された画像の中から目標を探し出す。
【0016】
図1は、本実施形態における目標捜索追随装置に実装される撮像装置10の構成を示す外観図である。撮像装置10は、全周囲に渡って目標をカメラ等のセンサで捜索し、発見した目標を追随するための装置である。
【0017】
撮像装置10は、外側を覆うきょう体部21と、きょう体部21の内部に収容される反射ミラー部22、回転駆動部23、及びセンサ部24を備える。
【0018】
きょう体部21は、例えば円柱形状に形成され、上部に外界からの光を内部へ取り込む光学窓211が設けられる。きょう体部21の光学窓211以外の部分は、光が透過しないように形成される。これにより、センサ部24による撮影対象としない不要な光を遮蔽することができる。
【0019】
反射ミラー部22は、例えば円錐形に形成され、外表面が光学窓211から取り込まれた光を反射するミラーに形成される。なお、
図1に示す反射ミラー部22は、円錐形の先端部の一部を水平に切断して除去した構成としている。
【0020】
回転駆動部23は、反射ミラー部22の中心軸から均等な距離において、センサ部24を反射ミラー部22の周囲で移動させる。回転駆動部23は、センサ部24を反射ミラー部22の回りで周回させる回転駆動装置231と、回転駆動装置231によりセンサ部24を移動させる回転角度を計測する角度センサ232を含む(
図2参照)。
【0021】
センサ部24は、きょう体部21の光学窓211から取り込まれ、反射ミラー部22により反射された光を撮像する。センサ部24は、センサ25、センサ駆動装置26、角度センサ27を備える。
【0022】
センサ25は、例えば光学カメラにより構成され、反射ミラー部22により反射された光を撮影する。センサ駆動装置26は、センサ25の撮影方向軸を反射ミラー部22の中心軸を向くように回転駆動部23の上部に装着すると共に、センサ25の反射ミラー部22に対する撮影方向を上下方向に変更させる。
【0023】
角度センサ27は、センサ駆動装置26により変更されるセンサ25の撮影方向の角度を計測する。
【0024】
撮像装置10は、きょう体部21内に、全ての構成を収納することによって、防水・防塵性に有利な構造となっている。
【0025】
図2は、本実施形態における目標捜索追随装置の構成を示すブロック図である。
【0026】
制御部30は、センサ部24と回転駆動部23の動作を制御する。制御部30は、例えばコンピュータなどの電子機器により実現され、例えばプロセッサ、メモリ、記憶装置などのデバイスを有する。制御部30は、例えばメモリに記憶されたプログラムをプロセッサにより実行することで、制御処理部32(センサ処理部321、指令生成部322)の機能を実現することができる。また、制御処理部32は、プログラムに基づいて実現されるだけでなく、専用の制御モジュールデバイスとして実現することも可能である。
【0027】
制御部30は、制御処理部32及び記憶部34を有する。
【0028】
制御処理部32は、センサ処理部321及び指令生成部322の機能を有する。
【0029】
センサ処理部321は、センサ部24(センサ25)により撮影された画像(撮影画像)を取得し、センサ部24により撮像された画像を補正して周囲画像を生成し、周囲画像から目標を検出するための処理を実行する。例えば、センサ処理部321は、反射ミラー部22の外表面が曲面になっていることによる、センサ部24により撮影された画像の歪みを補正して、歪みを無くした周囲画像を生成する。センサ処理部321は、周囲画像に含まれる物体を目標と推定して、例えばAI(Artificial Intelligence)技術を利用して捜索対象とする目標であるか(目標の有無)を確認する。センサ処理部321は、周囲画像から目標が検出された場合に、この目標の位置等を示す目標情報を指令生成部322に通知する。
【0030】
なお、画像から目標を捜索(検出)する方法は、AI技術を利用した方法に限らず、パターンマッチングや移動物体検出などの各種の画像処理の手法を用いることが可能である。
【0031】
指令生成部322は、センサ処理部321による目標の検出結果、角度センサ27により検出されるセンサ部24(センサ25)の撮影方向(上下方向を示す角度情報)、及び角度センサ232により検出される回転駆動部23により移動されるセンサ部24の位置(回転駆動部23による移動される周回位置を示す角度情報)に基づいて、センサ部24の撮影方向を変更するためのセンサ駆動装置26の駆動及び回転駆動部23による回転駆動を制御する。指令生成部322は、回転駆動部23,27からの角度情報が示すセンサ部24の現在の撮影方向及び位置、及びセンサ処理部321からの目標情報をもとに、センサ駆動装置26及び回転駆動装置231への駆動指令を生成して、それぞれに送信する。
【0032】
記憶部34は、例えば記憶装置により実現され、センサ部24によって撮影された画像や、この画像を補正した周囲画像IMを記憶する。
【0033】
制御部30(制御処理部32)は、センサ部24による撮影方向の変更とセンサ部24の位置の変更を繰り返して撮影範囲を移動させながら撮影した画像をもとにした周囲画像から目標の有無を確認する捜索動作と、捜索動作によって目標が確認された場合に、センサ部24により撮影される画像に目標が含まれるようにセンサ部24による撮影方向の変更とセンサ部24の位置の変更を制御する追随動作を実行する。
【0034】
図3は、本実施形態における目標捜索追随装置による目標の捜索を説明するための図である。
【0035】
図3には、目標捜索追随装置による捜索動作時の目標の捜索対象範囲([M1-4]×[N1-5])の周囲画像を示している。捜索対象範囲は、全周囲もしくは、全周囲のうち予め決められた範囲とすることができる。
図3に示すように、センサ部24により撮影可能な一枚の画像範囲を小さい枠によって表している。
【0036】
目標捜索追随装置は、例えばセンサ部24(センサ25)による撮影範囲を、M1N1,M1N2,…,M1N5,M2N5,M2N4,…,M2N1,M3N1,M3N2,…,M4N1のように変更することで、捜索対象範囲の周囲画像を取得して、目標の捜索をすることができる(第1の撮影方法)。
【0037】
すなわち、センサ駆動装置26によりセンサ25の撮影方向を上から下方向に移動させて各行(N1→N5)の画像を撮影した後、回転駆動装置231によりセンサ25の位置を1撮影範囲分だけ移動させ、センサ25の撮影方向を下から上方向に移動させて各行(N5→N1)の画像を撮影することを繰り返す。
【0038】
センサ部24(センサ25)は、反射ミラー部22により反射された周囲からの光を撮影することで、反射ミラー部22に対する限られた範囲内で撮影範囲を変更するだけで、捜索対象範囲の全体の周囲画像を取得することができる。すなわち、センサ部24(センサ25)によって反射ミラー部22を介さずに捜索対象範囲の画像を撮影する場合より、センサ25による撮影方向(上下左右)の変更量が少なくて良い。
【0039】
また、回転駆動部23及びセンサ部24は、きょう体21の内部に搭載されていることから屋外環境に暴露されることはない。よって、回転駆動部23及びセンサ部24は、要求される環境条件(降雨や防塵への配慮が不要で)が軽減され、簡易な構造で軽量に作成することが可能となる。従って、センサ駆動装置26及び回転駆動装置231に対する駆動を俊敏に実行することができる。また、センサ25の撮影方向の変更量、センサ25の位置の変更が僅かで良く、回転駆動部23及びセンサ部24を軽量に作成できるため、センサ駆動装置26及び回転駆動装置231に対する駆動に要する電力を少なくすることができる。
【0040】
なお、前述した第1の撮影方法では、縦方向(M1→M4)に撮影方向を変更しながら各行(N1→N5)の範囲を撮影するとしているが、横方向(N1→N5)に撮影方向を変更しながら各列(M1→M4)の範囲を撮影するようにしても良い(第2の撮影方法)。
【0041】
第2の撮影方法の場合、捜索対象範囲が全周囲であれば、回転駆動装置231により同じ方向に、例えば一定速度でセンサ部24を移動させるだけで良い。センサ部24が反射ミラー部22を1周する毎に、センサ駆動装置26によりセンサ25の撮影方向を次の行方向(下方向あるいは上方向)に変更して撮影することで、捜索対象範囲を全周囲とした周囲画像を取得することができる。
【0042】
回転駆動装置231により同じ方向にセンサ部24を移動(周回)させる駆動では、第1の撮影方法のように移動/停止の繰り返しがなく、さらに消費電力の低下を図ることができる。
【0043】
次に、本実施形態における目標捜索追随装置の動作について説明する。
【0044】
本実施形態における目標捜索追随装置は、例えば、第1に捜索動作によって、センサ部24によって撮影された画像をもとに目標(飛しょう体等)を捜索し、第2に追随動作によって、捜索動作によって捜索(検出)された目標に追随してセンサ部24による撮影を継続する。
【0045】
まず、捜索動作について説明する。
図4は、本実施形態の目標捜索追随装置による捜索動作を説明するためのフローチャート、
図5は、捜索動作時の撮像装置10の動作を説明するための図である。
【0046】
制御処理部32の指令生成部322は、センサ25により撮影対象とする所定の範囲を撮影させるために、回転駆動装置231を駆動するための駆動指令、及びセンサ駆動装置26を駆動するための駆動指令を生成し、それぞれの駆動指令を送信して回転駆動装置231とセンサ駆動装置26を動作させる(ステップA1)。
【0047】
撮像装置10の光学窓211を透過した光は、反射ミラー部22に反射し、回転駆動装置231及びセンサ駆動装置26により撮影範囲が定められたセンサ25に入射する。センサ25は、反射ミラー部22により反射された光を撮影し、撮影画像をセンサ処理部321に出力する。
【0048】
センサ処理部321は、センサ25により撮影された画像を取得し、この画像を補正して周囲画像を生成する。センサ処理部321は、周囲画像に含まれる物体を目標と推定する(ステップA2)。そして、周囲画像に対して推定された物体が捜索対象とする目標(例えば、特定の飛しょう体)であるかを確認する(ステップA3)。
【0049】
この結果、周囲画像から目標が検出されなかった場合(ステップA4、No)、センサ処理部321は、指令生成部322に目標検出なしを通知する。
【0050】
指令生成部322は、前述した第1の撮影方法、あるいは第2の撮影方法に応じて撮影範囲を変更するために、同様にして、回転駆動装置231とセンサ駆動装置26を駆動するための駆動指令を生成して、回転駆動装置231とセンサ駆動装置26に送信して駆動させる(ステップA1)。
【0051】
こうして、目標の有無をセンサ処理部321で確認した後に、指令生成部322からの指令に基づいて、次の撮影範囲をセンサ25により撮影可能となるように、
図5に示すように、センサ25の撮影方向をR2方向(上方向または下方向)に変更すると共に、センサ部24(センサ25)の位置を回転駆動部23によってR1方向に移動させる。この動作を繰り返すことで周囲の画像を順次撮影していく。
【0052】
図5では、センサ25により反射ミラー部22に対する撮影範囲RNnを撮影することで、光学窓211を透過した周囲画像Nnを取得することができ、例えばセンサ25による撮影方向を下方向に移動させて次の撮影範囲RNn+1を撮影することで、光学窓211を透過した周囲画像Nn+1を取得することができる。
【0053】
なお、センサ25(カメラ)へズーム機能を付与することで、ズームで反射ミラー部22を撮影することができ、遠方の目標を高い解像度で撮像することも可能となる。この場合、ズームに応じて撮影可能な一枚の画像範囲が変更されるため、ズームに伴って変更される撮影範囲に応じて、センサ駆動装置26と回転駆動装置231に対する撮影範囲を変更する際の駆動指令(駆動量)が変更されるものとする。
【0054】
こうして、捜索動作において、周囲画像から目標が検出された場合(ステップA4、Yes)、制御処理部32(センサ処理部321、指令生成部322)は、追随動作に移行する(ステップA5)。例えば、
図3において、捜索対象範囲において、目標(飛しょう体)がT0の位置からT1の位置に移動した時に、撮影範囲M2N2の周囲画像において検出されたものとする。
【0055】
次に、追随動作について説明する。
図6は、本実施形態の目標捜索追随装置による追随動作を説明するためのフローチャート、
図7は、追随動作時の撮像装置10の動作を説明するための図である。追随動作では、捜索動作で発見した目標を追随して撮像し続ける動作形態である。
【0056】
センサ処理部321は、捜索動作において目標を検出すると、目標の位置等を示す目標情報を指令生成部322に通知する。
【0057】
指令生成部322は、センサ処理部321からの目標情報をもとに目標が移動する目標位置を推定し、推定した目標位置をセンサ25による撮影範囲とするために、回転駆動装置231を駆動するための駆動指令、及びセンサ駆動装置26を駆動するための駆動指令を生成し(ステップB1)、それぞれの駆動指令を送信して回転駆動装置231とセンサ駆動装置26を動作させる(ステップB2)。
【0058】
センサ25は、反射ミラー部22により反射された光を撮影し、撮影画像をセンサ処理部321に出力する(ステップB3)。
【0059】
センサ処理部321は、センサ25により撮影された画像を取得し、この画像を補正して周囲画像を生成する。センサ処理部321は、周囲画像に含まれる目標の位置をもとに、目標が移動する目標位置を推定する。例えば、前回に撮影された周囲画像における目標の位置から今回の周囲画像における目標の位置への変化をもとに目標位置を推定する。
【0060】
この結果、捜索対象範囲に目標位置がない場合(ステップB4、目標なし)、目標が移動することで捜索対象範囲から外れたものとして、制御処理部32(センサ処理部321、指令生成部322)は、前述した捜索動作に移行する(ステップB5)。
【0061】
一方、捜索対象範囲に目標位置がある場合(ステップB4、目標あり)、指令生成部322は、前述と同様にして、推定した目標位置をセンサ25による撮影範囲とするために、回転駆動装置231とセンサ駆動装置26に対する駆動指令を生成し(ステップB1)、それぞれの駆動指令を送信して回転駆動装置231とセンサ駆動装置26を動作させる(ステップB2)。
【0062】
こうして、目標位置をセンサ処理部321で推定した後に、指令生成部322からの指令に基づいて、次の推定した目標位置を含む撮影範囲をセンサ25により撮影可能となるように、
図7に示すように、センサ25の撮影方向をR2方向(上方向または下方向)に変更すると共に、センサ部24(センサ25)の位置を回転駆動部23によってR1方向に移動させる。この動作を繰り返すことで、移動する目標に追随して画像を順次撮影していく。
【0063】
図7では、センサ25により反射ミラー部22に対する撮影範囲RNMを撮影することで、光学窓211を透過した、目標Tを含む周囲画像NMを取得することができる。
【0064】
こうして、本実施形態における目標捜索追随装置の追随動作では、周囲画像から目標位置を推定して、目標位置を含む撮影範囲をセンサ25により撮影できるように、センサ駆動装置26及び回転駆動装置231を駆動する。周囲画像における目標の移動量は大きくないため、センサ駆動装置26及び回転駆動装置231に対する駆動量も僅かで済み、センサ部24、回転駆動部23を軽量に作成できることから消費電力も少なくなる。
【0065】
このようにして、本実施形態における目標捜索追随装置では、消費電力を増大させることなく、俊敏に目標を捜索追随することが可能となる。
【0066】
なお、前述した説明では、撮像装置10には1つのセンサ部24を実装するものとしているが、2つ以上のセンサ部24を実装して、それぞれのセンサ部24により撮影することも可能である。
【0067】
例えば、撮影対象とする光の波長帯の異なるセンサ(カメラ)を2つ配置すれば、波長帯の異なる光により撮影した複数の異なる周囲画像を取得することができる。
【0068】
また、複数のセンサ部24を異なる種類とすることも可能である。例えば、
図8に示すように、1つのセンサ部241は光学カメラで、もう1つのセンサ部242はレーザ距離計とする。センサ部241は、光学カメラ251、センサ駆動装置261、角度センサ271を有する。センサ部242は、レーザ距離計252、センサ駆動装置262、角度センサ272を有する。センサ駆動装置261,262、角度センサ271,272は、前述したセンサ駆動装置26、角度センサ27と同様に動作するものとする。
【0069】
光学カメラ251は、前述したセンサ25と同様に画像を撮影して、撮影画像をセンサ処理部321に送信する。制御処理部32には、レーザ距離計252により測定された距離情報を処理する機能部を設ける。この機能部は、例えば撮影範囲を示す情報(例えば、角度センサ27,232の角度情報)と対応づけて、距離情報を記憶部34に記憶させる。
【0070】
図8では、センサ部241とセンサ部245の撮影(測定)範囲が異なっているが、
図8に示すように、センサ部241とセンサ部245とを個別に異なる範囲を対象にして使用しても良いし、センサ部241による撮影範囲と同じ範囲でセンサ部242による測定を実行しても良い。
【0071】
複数の異なる種類のセンサ251,252を実装した場合であっても、第2の撮影方法により回転駆動部23を駆動して、複数のセンサ251,252を反射ミラー部22の回りで周回させながら複数のセンサ251,252による撮影(測定)を同時に実行することができる。
【0072】
よって、複数のセンサ251,252を個別に制御する場合と比較して消費電力の低下を図ることができる。
【0073】
また、複数のセンサ部24を同じ種類とすることも可能である。例えば、センサ25を光学カメラとする複数のセンサ部24を実装して、それぞれ異なる撮影方向で画像を撮影させる。すなわち、撮影対象範囲を複数のセンサ部24によって分担して撮影することで、回転駆動部23の駆動を少なくして、撮影対象範囲全体の周囲画像を取得することができる。
【0074】
例えば、5つのセンサ部24を設けて、
図3に示すN1~N5のそれぞれの行位置を撮影範囲とすることで、各センサ部24の位置が列位置M1~M4の範囲で移動させるように回転駆動部23を駆動させることで、捜索対象範囲の全体の周囲画像を取得できる。この場合、センサ25の撮影方向を変更する駆動も不要あり、回転駆動部23の駆動により複数のセンサ部24の位置を同時に変更可能であるので、センサ部24の撮影範囲を変更するために要する消費電力の低下を図ると共に撮影時間に要する時間を短縮することができる。
【0075】
なお、前述した説明では、反射ミラー部22を円錐形に形成するとしているが、他の形状とすることも可能である。
【0076】
図9は、円柱形に形成した反射ミラー部221の例を示している。反射ミラー部221は、円錐形の反射ミラー部22と比較して、センサ部24により撮影される画像の歪みを少なくすることができるので、周囲画像を生成するための歪み補正を容易にすることができる。
【0077】
図10は、球面形に形成した反射ミラー部222の例を示している。反射ミラー部222は、反射ミラー部22あるいは反射ミラー部221と比較して画像の歪みは大きくなるが、センサ駆動装置26の駆動角度が小さいことから高速に撮像できる利点がある。また、球面形に形成した反射ミラー部222であれば、上方の画像の撮影も可能となる。
【0078】
なお、
図1に示す撮像装置10のきょう体部21では、側面にのみ光学窓211を設けているが、きょう体部21の上面も光学窓211として上方についても画像を撮影できるようにしても良い。この場合、センサ部24に上方からの光が入射するように、円錐形の反射ミラー部22の角度が調整されるものとする。
【0079】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
10…撮像装置、21…きょう体部21、22…反射ミラー部、23…回転駆動部、231…回転駆動装置、232…角度センサ、24…センサ部、25…センサ、26…センサ駆動装置、27…角度センサ、30…制御部、32…制御処理部、321…センサ処理部、322…指令生成部、34…記憶部。