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特開2024-41559シャットオフノズル、射出装置、および射出成形機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041559
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】シャットオフノズル、射出装置、および射出成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/23 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
B29C45/23
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146437
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100097696
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 嘉昭
(74)【代理人】
【識別番号】100147072
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 裕通
(72)【発明者】
【氏名】中山 清貴
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206JA07
4F206JF01
4F206JL02
4F206JM04
4F206JM14
4F206JN15
4F206JQ55
4F206JQ57
4F206JQ63
4F206JT27
(57)【要約】
【課題】ドルーリングを防止することができるシャットオフノズルを提供する。
【解決手段】内部にノズル内流路(27)が形成されているノズル本体部(28)と、ノズル本体部(28)にノズル本体部(28)と同軸に入れられてノズル内流路(27)の出口を開閉するニードル弁(30)とからなるシャットオフノズル(24)を対象とする。ニードル弁(30)の先端部近傍に円柱部(46)を形成する。そして、ノズル内流路(27)の先端部近傍に円柱状の穴である円柱穴部(45)を形成する。ニードル弁(30)を前進させると円柱部(46)が円柱穴部(45)に嵌合する。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にノズル内流路が形成されているノズル本体部と、
前記ノズル本体部に前記ノズル本体部と同軸に入れられて前記ノズル内流路の出口を開閉するようになっているニードル弁と、を備え、
前記ニードル弁の先端部近傍には円柱部が形成され、
前記ノズル内流路の先端部近傍には円柱状の穴である円柱穴部が形成され、
前記ニードル弁を前進方向に駆動すると前記円柱部が前記円柱穴部に嵌合する、シャットオフノズル。
【請求項2】
前記ニードル弁において前記円柱部より先端側には先端方向に向かって縮径するガイド部が形成されている、請求項1に記載のシャットオフノズル。
【請求項3】
前記ニードル弁において、前記円柱部は複数個が軸方向に形成され、複数個の前記円柱部は先端側に位置する方が小径になっており、
前記ノズル内流路において前記円柱穴部は軸方向に複数形成され、複数の前記円柱穴部は先端側に位置する方が小径になっており、
前記ニードル弁を前進させると、複数個の前記円柱部のそれぞれが複数の前記円柱穴部に嵌合する、請求項1または2に記載のシャットオフノズル。
【請求項4】
加熱シリンダと、
前記加熱シリンダに入れられたスクリュと、
前記加熱シリンダに設けられているシャットオフノズルと、を備え、
前記シャットオフノズルは内部にノズル内流路が形成されているノズル本体部と、
前記ノズル本体部に前記ノズル本体部と同軸に入れられて前記ノズル内流路の出口を開閉するようになっているニードル弁と、を備え、
前記ニードル弁の先端部近傍には円柱部が形成され、
前記ノズル内流路の先端部近傍には円柱状の穴である円柱穴部が形成され、
前記ニードル弁を前進方向に駆動すると前記円柱部が前記円柱穴部に嵌合する、射出装置。
【請求項5】
前記ニードル弁において前記円柱部より先端側には先端方向に向かって縮径するガイド部が形成されている、請求項4に記載の射出装置。
【請求項6】
前記ニードル弁において、前記円柱部は複数個が軸方向に形成され、複数個の前記円柱部は先端側に位置する方が小径になっており、
前記ノズル内流路において前記円柱穴部は軸方向に複数形成され、複数の前記円柱穴部は先端側に位置する方が小径になっており、
前記ニードル弁を前進させると、複数個の前記円柱部のそれぞれが複数の前記円柱穴部に嵌合する、請求項4または5に記載の射出装置。
【請求項7】
樹脂を射出する射出装置と、
金型を型締めする型締装置と、を備え、
前記射出装置は加熱シリンダと、
前記加熱シリンダに入れられたスクリュと、
前記加熱シリンダに設けられているシャットオフノズルと、を備え、
前記シャットオフノズルは内部にノズル内流路が形成されているノズル本体部と、
前記ノズル本体部に前記ノズル本体部と同軸に入れられて前記ノズル内流路の出口を開閉するようになっているニードル弁と、を備え、
前記ニードル弁の先端部近傍には円柱部が形成され、
前記ノズル内流路の先端部近傍には円柱状の穴である円柱穴部が形成され、
前記ニードル弁を前進方向に駆動すると前記円柱部が前記円柱穴部に嵌合する、射出成形機。
【請求項8】
前記ニードル弁において前記円柱部より先端側には先端方向に向かって縮径するガイド部が形成されている、請求項7に記載の射出成形機。
【請求項9】
前記ニードル弁において、前記円柱部は複数個が軸方向に形成され、複数個の前記円柱部は先端側に位置する方が小径になっており、
前記ノズル内流路において前記円柱穴部は軸方向に複数形成され、複数の前記円柱穴部は先端側に位置する方が小径になっており、
前記ニードル弁を前進させると、複数個の前記円柱部のそれぞれが複数の前記円柱穴部に嵌合する、請求項7または8に記載の射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル本体部にニードル弁が同軸に設けられて樹脂流路を開閉するシャットオフノズル、そのようなシャットオフノズルが設けられている射出装置、および射出成形機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
射出成形機の射出装置に設けられるシャットオフノズルは、射出ノズルの樹脂が流れる射出流路を開閉していわゆるハナタレを防止することができるようになっている。シャットオフノズルには、例えば特許文献1に記載されているようなタイプがある。このタイプのシャットオフノズルは、ノズル本体と、このノズル本体に対して斜めに設けられたニードル弁とからなる。ニードル弁は、ノズル本体においてその外周面から内部の射出流路に達するように空けられた斜めニードル穴に挿入されている。ニードル弁を前進させると射出流路が閉鎖され、後退させると射出流路が開くようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3-274125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ニードル弁がノズル本体に対して同軸に設けられているタイプのシャットオフノズルもある。このようなタイプのシャットオフノズルではニードル弁がノズル本体に形成されている射出流路内に入れられて進退自在になっている。ニードル弁は先端が縮径してテーパ面に形成されている。ニードル弁が前進すると先端がノズル本体内に形成されている射出流路の先端部に挿入される。そうするとテーパ面が射出流路の内周面に接触し、射出流路が閉鎖される。しかしながら、ニードル弁によって射出流路を閉鎖しても、テーパ面と射出流路の内周面との接触による射出流路の閉鎖が必ずしも十分でなく樹脂漏れが発生してドルーリングし易いという課題がある。
【0005】
本開示において、ドルーリングを防止することができるシャットオフノズルを提供する。
【0006】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、内部にノズル内流路が形成されているノズル本体部と、ノズル本体部にノズル本体部と同軸に入れられてノズル内流路の出口を開閉するニードル弁とからなるシャットオフノズルを対象とする。ニードル弁の先端部近傍に円柱部を形成する。そして、ノズル内流路の先端部近傍に円柱状の穴である円柱穴部を形成する。本開示は、ニードル弁を前進方向に駆動すると円柱部が円柱穴部に嵌合するように構成する。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、ドルーリングを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る射出成形機を示す正面図である。
図2】第1の実施形態に係るシャットオフノズルを示す正面断面図である。
図3A】第1の実施形態に係るシャットオフノズルの一部を拡大して示す正面断面図である。
図3B】第1の実施形態に係るシャットオフノズルの一部を拡大して示す正面断面図である。
図4】第1の実施形態に係るシャットオフノズルの一部を拡大して示す正面断面図である。
図5A】比較例に係るシャットオフノズルの一部を拡大して示す正面断面図である。
図5B】比較例に係るシャットオフノズルの一部を拡大して示す正面断面図である。
図6】第1の実施形態の変形例に係るシャットオフノズルの一部を拡大して示す正面断面図である。
図7A】第2の実施形態に係るシャットオフノズルの一部を拡大して示す正面断面図である。
図7B】第2の実施形態に係るシャットオフノズルの一部を拡大して示す正面断面図である。
図8】第1、第2の実施形態の変形例に係るシャットオフノズルを示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下の実施の形態に限定される訳ではない。説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜簡略化されている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。また、図面が煩雑にならないように、ハッチングが省略されている部分がある。
【0011】
[第1の実施形態]
<射出成形機>
第1の実施形態に係る射出成形機1は、図1に示されているように、型締装置2、射出装置3を備えている。射出成形機1はコントローラつまり制御装置4を備えており、型締装置2、射出装置3等は、制御装置4によって制御されるようになっている。射出装置3には、後で詳しく説明するが、特徴的な構造を備えたシャットオフノズル24が設けられている。
【0012】
<型締装置>
型締装置2は、ベッドBに固定されている固定盤7と、ベッドB上をスライド自在に設けられている可動盤8と、型締ハウジング9と、を備えている。固定盤7と型締ハウジング9は複数本のタイバー11、11、…により連結されており、可動盤8は固定盤7と型締ハウジング9の間でスライド自在になっている。型締ハウジング9と可動盤8の間には型締機構が、すなわち本実施の形態においてはトグル機構13が設けられている。固定盤7と可動盤8には、それぞれ固定側金型15、可動側金型16が設けられている。従って、トグル機構13を駆動すると金型15、16が型開閉される。
【0013】
<射出装置>
射出装置3は、加熱シリンダ19と、加熱シリンダ19内に設けられているスクリュ20と、スクリュ駆動装置22と、を備えている。加熱シリンダ19はスクリュ駆動装置22に支持されており、スクリュ20はスクリュ駆動装置22によって回転方向と軸方向とに駆動されるようになっている。加熱シリンダ19にはホッパ23と、次に詳しく説明する第1の実施形態に係るシャットオフノズル24とが設けられている。
【0014】
<シャットオフノズル>
第1の実施形態に係るシャットオフノズル24が図2に示されている。シャットオフノズル24は、内部にノズル内流路26、27を備えたノズル本体部28と、このノズル本体部28に入れられているニードル弁30と、ニードル弁30を駆動するニードル駆動機構32と、を備えている。水平に設けられている加熱シリンダ19の中心軸を基準にして見ると、ノズル本体部28は加熱シリンダ19と略同軸に設けられている。そしてニードル弁30はノズル本体部28に対して同軸に設けられ、ノズル内流路27内に入れられている。
【0015】
ノズル本体部28には、ノズル内流路26、27を連通する連通孔34、34が空けられている。したがって加熱シリンダ19から送られる樹脂はノズル内流路26、連通孔34、34、ノズル内流路27を通って出口、すなわち射出口35から射出されるようになっている。ノズル本体部28には、内部の部材にニードル穴36が空けられており、ニードル弁30はその後端部がニードル穴36に入れられ、前後進自在になっている。
【0016】
ニードル駆動機構32は、ノズル本体部28の外周を囲むように設けられている環状を呈するシリンダ機構38と、このシリンダ機構38によって駆動されるバネウケ39とから構成されている。バネウケ39は、ノズル本体部28において軸と垂直方向に貫通しているバネウケ収納孔41に入れられており、バネウケ収納孔41内で前後にスライド自在になっている。ニードル弁30の後端部はこのようなバネウケ39に接続されている。したがって、エア供給管43から圧縮空気を供給するとシリンダ機構38が駆動され、バネウケ39を介してニードル弁30が前進あるいは後進する。これによって、ノズル内流路27が開閉されるようになっている。
【0017】
第1の実施形態に係るシャットオフノズル24は、ノズル本体部28の先端部近傍においてその形状に特徴がある。具体的には、ノズル内流路27の先端部の形状である。図3Aに拡大して示されているように、ノズル内流路27には長さLに渡って円柱状の穴である円柱穴部45が形成されている。円柱穴部45の内径は、第1の実施形態においてニードル弁30の外径よりわずかに大きくなっている。後で説明するように、ニードル弁30の先端部近傍の同じ長さの部分、つまり円柱部46が、この円柱穴部45に嵌合されるようになっている。円柱穴部45は、例えば穴あけ加工が可能なエンドミルを使用して加工することができる。エンドミルによって円柱穴部45を形成すると、仕上げ加工せずに精度良く所望の内径に加工することができる。つまり、低コストで加工することができると共に必要な精度が得られる。
【0018】
第1の実施形態に係るシャットオフノズル24は、ニードル弁30にも特徴がある。ニードル弁30において円柱部46から先端の部分は先端に向かって縮径したガイド部47になっている。縮径しているので、ニードル弁30はスムーズに円柱穴部45に挿入されるようになっている。
【0019】
<シャットオフノズルの作用>
第1の実施形態に係るシャットオフノズル24の作用を説明する。ニードル駆動機構32(図2参照)のシリンダ機構38に圧縮空気を供給し、バネウケ39を介してニードル弁30を後退させる。そうすると、図3Aに示されているように、ニードル弁30は円柱穴部45から離間してノズル内流路27は開放される。射出装置3(図1参照)においてスクリュ20を前進方向に駆動する。そうすると樹脂が前方に送り出されシャットオフノズル24のノズル内流路27(図3A参照)を通って射出口35から射出される。
【0020】
射出が完了したら、ニードル駆動機構32(図2参照)のシリンダ機構38に圧縮空気を供給し、バネウケ39を介してニードル弁30を前進させる。そうすると、図3Bに示されているように、ニードル弁30の円柱部46がノズル本体部28の円柱穴部45に嵌合する。この様子が、図4に拡大して示されている。前記したように円柱穴部45の内径は、ニードル弁30の円柱部46の外径よりわずかに大きい。すなわち嵌合は隙間嵌めになり、メカニカルシール部49が形成される。
【0021】
メカニカルシール部49は長さLの環状の隙間になっていて樹脂が入り込む。しかしながら隙間はわずかであるので樹脂の粘度により高い流動抵抗が発生する。メカニカルシール部49の長さだけ、つまり円柱穴部45の長さLだけ、流動抵抗が発生する。長さLに渡って薄い円筒からなるので、メカニカルシール部49は表面積が比較的大きい。したがって流動抵抗によって樹脂は流動できない。つまりノズル内流路27は実質的に完全に閉鎖される。ドルーリングが防止される。
【0022】
なお、長期間の運転を経ると、円柱穴部45の内径がわずかに拡大し、あるいは円柱部46の外径がわずかに小さくなり、それによって隙間が若干大きくなる。しかしながらメカニカルシール部49全体に作用する樹脂の流動抵抗は依然として十分に大きい。したがって長期間ドルーリングは防止される。また、加工精度により円柱穴部45の内径がわずかに大きくても、あるいは円柱部46の外径がわずかに小さくても、同様にメカニカルシール部49全体に作用する樹脂の流動抵抗は十分に大きい。薄い円筒からなるメカニカルシール部49は長さLに渡って流動抵抗を受けるからである。つまりドルーリングは防止される。要求される加工精度は、比較的緩やかである。
【0023】
<比較例>
図5A図5Bによって、比較例に係るシャットオフノズル101を説明する。比較例に係るシャットオフノズル101も図1に示されているような射出成形機1に取り付けることができ、そして図2に示されているようなニードル駆動機構32によって駆動されるようになっている。したがって、これらの説明は省略する。図5A図5Bには比較例に係るシャットオフノズル101のノズル本体部102の先端部近傍と、ニードル弁103の先端部近傍が示されている。ノズル本体部102にはノズル内流路105が形成されており、ニードル弁103はノズル本体部102と同軸に、このノズル内流路105に入れられている。ニードル弁103の先端部は円錐状に形成されている。そしてノズル内流路105は、ノズル本体部102の先端部近傍において円錐面106に形成されている。
【0024】
ニードル弁103が前進すると、ニードル弁103の先端部がこの円錐面106に着座して、ノズル内流路105が閉鎖されるようになっている。しかしながら円錐面106とニードル弁103の先端部の形状を完全に一致させることは加工精度上困難である。したがって、ニードル弁103の先端部は円錐面106に面接触せず、図5Aにおいて符号108で示されているように線状に接触する。あるいは円錐面106の形状によって、図5Bにおいて符号109で示されているように、線状に接触する。接触部分が線状の部分だけあってもノズル内流路105は閉鎖されることになる。しかしながら長期間の運転を経て摩耗等により円錐面106が変形したり、あるいはニードル弁103の先端部が欠けたりすると、シールが破られる。そうするとドルーリングが発生する。
【0025】
比較例に係るシャットオフノズル101は、ノズル内流路105において樹脂圧力が高まったときにもドルーリングが発生し易いという問題がある。図5Aにおいて符号110で示されているように、そして図5Bにおいて符号111で示されているように、ニードル弁30がノズル内流路105を閉鎖した状態において、ニードル弁30の先端の円錐部分の一部がノズル内流路105において露出している。ノズル内流路105における樹脂の圧力は符号110、111の部分に作用して、ニードル弁103に後退方向の力が作用する。これによってドルーリングが発生し易くなる。
【0026】
これに対して第1の実施形態に係るシャットオフノズル24は、図4に示されているように、円柱穴部45にニードル弁30の円柱部46が嵌合するとき、ノズル内流路27において露出する円錐状の構造はない。したがってノズル内流路27の樹脂圧力が高まってもニードル弁30に後退方向の力は作用しない。すなわち、ノズル内流路27における樹脂圧力が上昇してもドルーリングが発生することはない。
【0027】
ところで比較例に係るシャットオフノズル101は、ノズル本体部102における円錐面106の加工にコストが嵩むという問題もある。なぜならば、このような円錐面106を形成するには、例えばエンドミルによって穴あけ加工した後に先端がテーパに形成されているテーパリーマによって仕上げ加工をする必要があるからである。テーパリーマは、円錐面106の円錐の頂角に適合するようにオーダーメイドする必要もあるからである。これに対して第1の実施形態に係るシャットオフノズル24では、ノズル本体部28における円柱穴部45は、前記したようにエンドミルを使用して加工することができる。したがって加工に要するコストは小さい。
【0028】
<第1の実施形態の変形例>
第1の実施形態に係るシャットオフノズル24(図3A図3B図4参照)は色々な変形が可能である。例えば、ニードル弁30の先端のガイド部47(図4参照)を無くすことができる。ニードル弁30‘の先端が平面状の端面51に変形された、変形例に係るシャットオフノズル24‘が図6に示されている。このシャットオフノズル24’ではノズル本体部28‘におけるノズル内流路27の先端部近傍も変形されており、円柱穴部45の先端は段部52に形成されている。変形例に係るシャットオフノズル24’も、図1に示されている射出成形機1に設けられ、そしてニードル弁30‘の先端の形状と、ノズル本体部28’の先端部における形状を除いて図2に示されているように構成されている。したがって、これらの説明は省略する。
【0029】
<第2の実施形態>
図7A図7Bによって第2の実施形態を説明する。第2の実施形態に係る射出成形機の構成は、第1の実施形態に係る射出成形機1(図1参照)の構成と基本的に同じである。そしてシャットオフノズル24Aの構成も、図2に示されている第1の実施形態に係るシャットオフノズル24の構成と基本的に同じである。第1の実施形態と相違しているのは、シャットオフノズル24Aの一部だけ、つまりニードル弁30Aとノズル本体部28Aの構成だけである。したがって、射出成形機の構成、シャットオフノズル24Aの全体の構成についての説明は省略する。
【0030】
図7Aに示されているように、第2の実施形態に係るシャットオフノズル24Aにおいて、ノズル本体部28Aの先端部には、複数の円柱穴部53、54が形成されている。すなわち第1の円柱穴部53と第2の円柱穴部54である。第2の円柱穴部54は、第1の円柱穴部53より先端側に形成され、小径になっている。それぞれの長さはL1、L2である。
【0031】
これらの第1、第2の円柱穴部53、54に対応するように、ニードル弁30Aは、その先端部に第1の円柱部56と、第2の円柱部57とを備えている。第1の円柱穴部53の内径は第1の円柱部56の外径よりわずかに大きく、第2の円柱穴部54の内径は第2の円柱部57の外径よりわずかに大きい。ニードル弁30Aを前進させると、図7Bに示されているように、第1の円柱穴部53に第1の円柱部56が、そして第2の円柱穴部54に第2の円柱部57が、それぞれ嵌合し、第1、第2のメカニカルシール部58、59が構成される。第1、第2のメカニカルシール部58、59によって樹脂の流れが阻害され、ドルーリングが防止される。
【0032】
<他の変形例>
第1の実施形態に係る射出成形機1は他にも変形が可能である。例えばシャットオフノズル24(図2参照)において、ニードル弁30を駆動するニードル駆動機構32を変形することができる。図8には、変形されたニードル駆動機構32Bを備えたシャットオフノズル24Bが示されている。このシャットオフノズル24Bにおいて、ノズル本体部28Bには、レバー60が入れられており、レバー60はニードル弁30に連結されていると共に、回転軸61を中心に首振りするようになっている。レバー60は、エア駆動されるシリンダユニット62に接続されている。したがって、シリンダユニット62に圧縮空気を供給するとレバー60が首振りし、ニードル弁30が前進する。あるいは後退する。これによってノズル内流路27が開閉するようになっている。
【0033】
他にも変形することができる。第2の実施形態に係るシャットオフノズル24A(図7A参照)は、ノズル本体部28Aにおいて2個の円柱穴部53、54が形成されているように説明した。しかしながら、円柱穴部53、54、…は3個以上としてもよい。この場合、ニードル弁30Aに設ける円柱部56、57、…も同数にする必要がある。
【0034】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。以上で説明した複数の例は、適宜組み合わせて実施されることもできる。
【符号の説明】
【0035】
1 射出成形機 2 型締装置
3 射出装置 4 制御装置
7 固定盤 8 可動盤
9 型締ハウジング 11 タイバー
13 トグル機構 15 固定側金型
16 可動側金型 19 加熱シリンダ
20 スクリュ 22 スクリュ駆動装置
23 ホッパ 24 シャットオフノズル
26 ノズル内流路 27 ノズル内流路
28 ノズル本体部 30 ニードル弁
32 ニードル駆動機構 34 連通孔
35 射出口 36 ニードル穴
38 シリンダ機構 39 バネウケ
41 バネウケ収納孔 43 エア供給管
45 円柱穴部 46 円柱部
47 ガイド部 49 メカニカルシール部
51 端面 52 段部
53 第1の円柱穴部 54 第2の円柱穴部
56 第1の円柱部 57 第2の円柱部
58 第1のメカニカルシール部
59 第2のメカニカルシール部
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8