(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024004158
(43)【公開日】2024-01-16
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01F 12/60 20060101AFI20240109BHJP
【FI】
A01F12/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022103664
(22)【出願日】2022-06-28
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】平田 哲
【テーマコード(参考)】
2B396
【Fターム(参考)】
2B396JA04
2B396JC08
2B396MA02
2B396MC02
2B396MC07
2B396MC13
2B396ME04
2B396ME10
(57)【要約】
【課題】機体の耐久性を向上させたコンバインを提供する。
【解決手段】コンバイン1は、機体フレーム1aと、穀粒タンク6と、ロック機構30とを備える。穀粒タンク6は、機体フレーム1aの上に収納された第1状態と、縦向き軸芯周りで回動して機体フレーム1aの外方へ張り出した第2状態とに変更可能である。ロック機構30は、穀粒タンク6を第1状態に固定する。ロック機構30は、第1規制部材33と、第2規制部材42とを備える。第1規制部材33は、穀粒タンク6の水平方向への移動を規制する。第2規制部材42は、穀粒タンク6の上下方向への移動を規制する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体フレームと、
前記機体フレームの上に収納された第1状態と、縦向き軸芯周りで回動して前記機体フレームの外方へ張り出した第2状態とに変更可能な穀粒タンクと、
前記穀粒タンクを前記第1状態に固定するロック機構と
を備え、
前記ロック機構は、
前記穀粒タンクの水平方向への移動を規制する第1規制部材と、
前記穀粒タンクの上下方向への移動を規制する第2規制部材と
を有するコンバイン。
【請求項2】
前記第2規制部材は、前記第1規制部材の近傍に配置された、請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記第2規制部材は、前記第1規制部材の下方側に配置された、請求項1又は請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
前記第1規制部材は、前記穀粒タンクから水平方向に突出した第1部材と、前記第1部材を貫通して上下方向に延びる第1ロックピンとを含み、
前記第2規制部材は、前記穀粒タンクから下方向に突出した第2部材と、前記第2部材から突出して水平方向に延びる第2ロックピンとを含み、
前記ロック機構は、前記機体フレームに固定された単一の受止部材を含み、
前記受止部材は、前記第1ロックピンの水平方向への移動を規制し、かつ前記第2ロックピンの上下方向への移動を規制する、請求項1に記載のコンバイン。
【請求項5】
前記受止部材は、前記機体フレームの側端部に配置された、請求項4に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のコンバインは、機体フレームと、穀粒タンクと、ロック機構とを備える。穀粒タンクは、機体フレームの上に収納された第1状態と、縦向き軸芯周りで揺動して機体フレームの外方へ張り出した第2状態とに変更可能である。ロック機構は、穀粒タンクを第1状態に固定するように、穀粒タンクの水平方向への移動を規制するロックピンを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のコンバインでは、穀粒タンクの機外への移動を阻止することはできても、上下の振動及びバタツキには対応できていないため、機体フレームや穀粒タンクが損傷するといった問題が起こっていた。
【0005】
本発明は、機体の耐久性を向上させたコンバインを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のコンバインは、機体フレームと、穀粒タンクと、ロック機構とを備える。前記穀粒タンクは、前記機体フレームの上に収納された第1状態と、縦向き軸芯周りで回動して前記機体フレームの外方へ張り出した第2状態とに変更可能である。前記ロック機構は、前記穀粒タンクを前記第1状態に固定する。前記ロック機構は、第1規制部材と、第2規制部材とを備える。前記第1規制部材は、前記穀粒タンクの水平方向への移動を規制する。前記第2規制部材は、前記穀粒タンクの上下方向への移動を規制する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、機体の耐久性を向上させたコンバインが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係るコンバインの左側面図である。
【
図4】穀粒タンク及び縦送りオーガの周辺構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。図中に、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸が示される。X軸及びY軸は水平面に平行であり、Z軸は鉛直方向に平行である。
【0010】
まず、
図1~
図4を参照して、実施形態に係るコンバイン1の基本構造について説明する。
図1は、コンバイン1の左側面図である。
図2は、コンバイン1の右側面図である。
図3は、コンバイン1の平面図である。
図4は、穀粒タンク6及び縦送りオーガ62の周辺構造を示す斜視図である。
【0011】
コンバイン1は、ゴムクローラ製の左右一対の履帯2にて支持された機体フレーム1aを備える。
【0012】
機体フレーム1aの前部には、稲等の穀稈を刈取りながら取り込む刈取部3が連結されている。刈取部3の刈取り対象は、稲に限定されず、麦、大豆、及びトウモロコシ等である。
【0013】
機体フレーム1aの左側には、刈取部3から供給された刈取り穀稈を脱穀処理するための脱穀部9が搭載されている。
【0014】
機体フレーム1aの前部右側には、作業者が搭乗する運転操作部5が搭載されている。機体フレーム1aの右側かつ運転操作部5の後方には、脱穀部9により脱穀された穀粒を貯留する穀粒タンク6が搭載されている。穀粒タンク6の前部下端には、ハンドル6aと、ロック機構30とが設けられている。
【0015】
穀粒タンク6の後方では、穀粒タンク6の底部に縦送りオーガ62が連結されている。縦送りオーガ62は、Z軸方向に沿って延びる。
【0016】
穀粒タンク6及び脱穀部9の上側には、縦送りオーガ62によって送給された穀粒を外部へ排出する穀粒排出コンベヤ8が設けられている。
【0017】
図4に示すように、穀粒タンク6の後部が、機体フレーム1aと縦送りオーガ62とによって、上下2箇所で支持される。具体的には、穀粒タンク6は、第1支持部621と、第2支持部622とを有する。
【0018】
第1支持部621は、穀粒タンク6の後壁61の下部に設けられる。第1支持部621は、例えば、エルボユニットである。第1支持部621には、機体フレーム1aに設けられたピン(図示せず)が差し込まれ、回転可能に機体フレーム1aに載置されている。
【0019】
図4に示すように、第2支持部622は、第1支持部621よりも上方に配置される。第2支持部622は、第1支持部621と同様に、穀粒タンク6の後壁61に設けられる。第2支持部622は、縦送りオーガ62の筒ケース62aを挟み持つ円環部を有する。縦送りオーガ62の筒ケース62aと第2支持部622の円環部とが対応する形状であるので、縦送りオーガ62の筒ケース62aに沿って第2支持部622が回転可能となり、その結果、穀粒タンク6が縦送りオーガ62を中心に回転可能となる。
【0020】
次に、
図3~
図9を参照して、ロック機構30について説明する。
図5は、ロック機構30の拡大図である。
図6は、穀粒タンク6の拡大斜視図である。
図7は、穀粒タンク6の別の拡大斜視図である。
図8は、機体フレーム1aの拡大斜視図である。
図9は、ロック機構30の別の拡大図である。
【0021】
図6に示されるように、穀粒タンク6の下面には、ローラー6bが設けられている。作業者は、ハンドル6aを手前に引くことにより、穀粒タンク6の一部を外方へ張り出させることができる。つまり、
図3に示されるように、穀粒タンク6は、機体フレーム1aの上に収納された第1状態と、縦送りオーガ62の軸芯周りで回動して機体フレーム1aの外方へ張り出した第2状態とに変更可能である。
図3において、第1状態の穀粒タンク6は実線で示されている。第2状態の穀粒タンク6は、二点鎖線で示されている。なお、縦送りオーガ62の軸芯周りは、「縦向き軸芯周り」の一例である。
【0022】
ロック機構30は、穀粒タンク6を第1状態に固定するため、第1突出部材31と、筒状部材32と、第1ロックピン33と、第2突出部材41と、第2ロックピン42とを有する。第1突出部材31、筒状部材32、及び第1ロックピン33は、「第1規制部材」の一例に相当する。第2突出部材41及び第2ロックピン42は、「第2規制部材」の一例に相当する。
【0023】
第1突出部材31は、穀粒タンク6の右側面の前方下端部からY軸方向の正側に突出する水平部と、水平部の先端から斜め下方に延びる垂下部とを含む。第1突出部材31は、「第1部材」の一例に相当する。
【0024】
筒状部材32は、第1突出部材31の上側においてZ軸方向に沿って延びる円筒形の部材である。
【0025】
第1ロックピン33は、筒状部材32の孔と、第1突出部材31の水平部に設けられた孔31a(
図7)とを貫通してZ軸方向に沿って延びるL形のピンである。作業者は、筒状部材32から第1ロックピン33を抜き出すことができる。
【0026】
第2突出部材41は、第1突出部材31の近傍において、穀粒タンク6の前面の下端部から斜め下方に突出する斜め部分と、斜め部分の先端からZ軸方向の負側に向って延びる鉛直部とを含む。第2突出部材41は、「第2部材」の一例に相当する。
【0027】
第2ロックピン42は、第2突出部材41の先端部近傍から突出してX軸方向の正側に向って延びる。第2ロックピン42の基端部は、第2突出部材41に固定されている。第2ロックピン42は、第1ロックピン33の下方側に位置する。
【0028】
図8に示されるように、ロック機構30は、機体フレーム1aの側端部に配置された単一の第1受止部材50を更に有する。第1受止部材50は、第1ロックピン33の水平方向への移動を規制し、かつ第2ロックピン42の上下方向への移動を規制するように、機体フレーム1aの右側面に固定されている。本実施形態において、機体フレーム1aは、左右支持部材11と、右側支持部材12とを有する。左右支持部材11は、Y軸方向に延びる。右側支持部材12は、X軸方向に延びる。右側支持部材12は、機体フレーム1aの右側端部を構成する。よって、右側支持部材12は、機体フレーム1aの右側面を構成する。左右支持部材11の右側端は、右側支持部材12に連結している。本実施形態において、第1受止部材50は、左右支持部材11の外側(Y方向の正側)に配置される。換言すると、ロック機構30は、左右支持部材11の外側(Y方向の正側)に配置される。
【0029】
第1受止部材50は、断面コの字形の板材であって、機体フレーム1aの右側面からY軸方向の正側に向って突出する本体部51と、フラップ部52とを含む。本体部51は、第1壁部51aと、第2壁部51bと、第3壁部51cとを含む。第1壁部51aは、本体部51を構成する板材のうち、X軸方向負側の板材である。第2壁部51bは、本体部51を構成する板材のうち、Z軸方向正側の板材であり、本体部51の上面を構成する。第3壁部51cは、本体部51を構成する板材のうち、X軸方向正側の板材である。フラップ部52は、第2壁部51bの先端から斜め下方に延びる。本体部51の上面(第2壁部51b)には、第1ロックピン33の挿通を受ける貫通孔53が設けられている。第1壁部51aには、第2ロックピン42を受け入れる切り欠き511が設けられている。ロック機構30は、本体部51で区画された内部空間の中に設けられた第2受止部材54を更に含む。本実施形態において、第2受止部材54はブロック体であり、その形状は直方体状である。
【0030】
図5及び
図9に示されるように、穀粒タンク6のロック状態では、第1ロックピン33が筒状部材32、第1突出部材31、及び第1受止部材50を貫通する。これにより、穀粒タンク6の水平方向への移動が規制される。また、穀粒タンク6のロック状態では、第2ロックピン42の上面が、第1受止部材50の切り欠き511と、第2受止部材54の下面とに当接する。これにより、穀粒タンク6の上下方向への移動が規制される。なお、第2受止部材54は省略されてもよい。
【0031】
実施形態によれば、機体の耐久性を向上させたコンバイン1が提供される。
【0032】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。また、上記の実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明の形成が可能である。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の個数等は、図面作成の都合から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0033】
例えば、
図1~
図9を参照して説明した実施形態では、第2ロックピン42(第2規制部材)が第1ロックピン33(第1規制部材)の近傍に配置されたが、第2ロックピン42(第2規制部材)は、第1ロックピン33(第1規制部材)の近傍に配置されていなくてもよい。
【0034】
また、
図1~
図9を参照して説明した実施形態では、第2ロックピン42(第2規制部材)が第1ロックピン33(第1規制部材)の下方側に配置されたが、第2ロックピン42(第2規制部材)は、第1ロックピン33(第1規制部材)の下方側に配置されていなくてもよい。
【0035】
また、
図1~
図9を参照して説明した実施形態では、第1受止部材50が機体フレーム1aの側端部に配置されたが、第1受止部材50は機体フレーム1aの側端部に配置されていなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、コンバインの分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 コンバイン
1a 機体フレーム
6 穀粒タンク
30 ロック機構
31 第1突出部材(第1部材)
32 筒状部材
33 第1ロックピン(第1規制部材)
41 第2突出部材(第2部材)
42 第2ロックピン(第2規制部材)
50 第1受止部材
52 フラップ部
53 貫通孔
54 第2受止部材