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  • 特開-フィルム包装体 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041599
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】フィルム包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20240319BHJP
   A47K 10/16 20060101ALN20240319BHJP
   A47K 10/20 20060101ALN20240319BHJP
   A47K 10/42 20060101ALN20240319BHJP
【FI】
B65D83/08 B
A47K10/16 C
A47K10/20 Z
A47K10/42 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146511
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小坂 亜弓
【テーマコード(参考)】
2D135
3E014
【Fターム(参考)】
2D135AB03
2D135AB11
3E014LB07
(57)【要約】
【課題】使い始めのティシュペーパーの最初の取り出し時に最上位のティシュペーパーの折り返し縁を的確に摘まんで取り出すことができるフィルム包装体を提供する。
【解決手段】本発明は、ティシュペーパー2をポップアップ式に取り出し可能に折り畳み収納したフィルム包装体1であって、天面12に細長環状の取出口12oを有し、当該取出口12oの全幅に亘って最上位のティシュペーパー2の折り返し縁2eが露出するものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ティシュペーパーをポップアップ式に取り出し可能に折り畳み収納したフィルム包装体であって、天面に細長環状の取出口を有し、当該取出口の全幅に亘って最上位の前記ティシュペーパーの折り返し縁が露出することを特徴とするフィルム包装体。
【請求項2】
前記取出口が奥行き方向片側に偏倚して形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルム包装体。
【請求項3】
前記取出口の位置に対応して前記最上位の前記ティシュペーパーが奥行き方向片側に偏倚した位置で折り返されていることを特徴とする請求項2に記載のフィルム包装体。
【請求項4】
前記取出口が前記ティシュペーパーの端縁に対して傾いて形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルム包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ティシュペーパーをポップアップ式に取り出し可能に折り畳み収納したカートンでは、天面にスリット状あるいは細長環状の取出口が形成され、当該取出口を通してティシュペーパーを2枚又は3枚1組として取り出し可能となっている。
【0003】
このような構成のカートンにおいて、使い始めのティシュペーパーが不用意に破断しないように、最上位のティシュペーパーを折り返し、使い始めのティシュペーパーの最初の取り出し時にその折り返し縁を摘まんで引き出すことを可能にしたものが、例えば、特許文献1および2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4909757号公報
【特許文献2】特開2014-050619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来のカートンのように、ティシュペーパーの取出口として、単に、スリット状あるいは細長環状の取出口としただけでは、取出口に最上位のティシュペーパーの折り返し縁が露出されなかったり、最上位のティシュペーパーの折り返し縁が取出口に露出されたとしても、それが取出口のほんの一部分のみであったり等すると、最上位のティシュペーパーの折り返し縁を明瞭に視認できず、使い始めのティシュペーパーの最初の取り出し時に最上位のティシュペーパーの折り返し縁を的確に摘まんで取り出すことが困難であった。
【0006】
また、本発明者は、ティシュペーパーをポップアップ式に取り出し可能に折り畳み収納したフィルム包装体について、外装フィルムの伸縮性が高いという構造上、ティシュペーパーを密に充填可能であり、そのような場合にティシュペーパーの引き出し抵抗が大きくなることに鑑み、特に、フィルム包装体において、使い始めのティシュペーパーの不用意な破断の抑制が必要であることに着目した。
【0007】
本発明は、使い始めのティシュペーパーの最初の取り出し時に最上位のティシュペーパーの折り返し縁を的確に摘まんで取り出すことができるフィルム包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1形態に係るフィルム包装体は、ティシュペーパーをポップアップ式に取り出し可能に折り畳み収納したフィルム包装体であって、天面に細長環状の取出口を有し、当該取出口の全幅に亘って最上位の前記ティシュペーパーの折り返し縁が露出することを特徴とするものである。
【0009】
この構成により、最上位のティシュペーパーの折り返し縁が細長環状の取出口にその全幅に亘って露出されるので、使い始めのティシュペーパーの最初の取り出し時に最上位のティシュペーパーの折り返し縁を的確に摘まんで取り出すことができる。
【0010】
また、本発明の第2形態に係るフィルム包装体は、前記取出口が奥行き方向片側に偏倚して形成されていることを特徴とする第1形態として記載のものである。
【0011】
この構成により、文字や図柄等の表示領域の自由度が向上し、デザインの自由度が向上する。
【0012】
さらに、本発明の第3形態に係るフィルム包装体は、前記取出口の位置に対応して前記最上位の前記ティシュペーパーが奥行き方向片側に偏倚した位置で折り返されていることを特徴とする第2形態として記載のものである。
【0013】
この構成により、使い始めのティシュペーパーの最初の取り出し時の取り出し性が損なわれることがない。
【0014】
本発明の第4形態に係るフィルム包装体は、前記取出口が前記ティシュペーパーの端縁に対して傾いて形成されていることを特徴とする第1形態として記載のものである。
【0015】
この構成により、ティシュペーパーの残量が少なくなったときのドロップバックを防止できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、最上位のティシュペーパーの折り返し縁が細長環状の取出口の全幅に亘って露出するので、使い始めのティシュペーパーの最初の取り出し時に最上位のティシュペーパーの折り返し縁を的確に摘まんで取り出すことができ、フィルム包装体内のティシュペーパーを無駄なく使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係るフィルム包装体の全体斜視図である。
図2図1に示すフィルム包装体の平面図であり、(a)は天面側の平面図、(b)は(a)のIIb-IIb方向の模式的な断面図である。
図3】本発明の第2実施形態に係るフィルム包装体を示す図であり、(a)は全体斜視図であり、(b)は(a)に示すフィルム包装体の天面側の平面図である。
図4】本発明の第2実施形態およびその変形例に係る、フィルム包装体における図3(b)のIVa-IVa方向の模式的な断面図であり、(a)は第2実施形態に係る断面図、(b)は第2実施形態の変形例に係る断面図である。
図5】本発明の第3実施形態に係るフィルム包装体を示す図であり、(a)は全体斜視図であり、(b)は(a)に示すフィルム包装体の天面側の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1から図5を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。但し、本発明は本形態の態様に限定されるものではない。
【0019】
本発明に係るフィルム包装体は、2枚のティシュペーパーを1組として、複数組のティシュペーパーを交互に折り畳み積層した積層体をフィルムによってピロー包装またはキャラメル包装したものである。
【0020】
なお、本明細書および特許請求の範囲の記載において、「天面」および「底面」とは、フィルム包装袋の面自体を指すものとして参照される。但し、これらの用語はあくまで便宜上のものであり、重力方向における絶対的な位置を規定するものではないことは勿論である。また、「上」、「下」などの用語についても同様である。
【0021】
さらに、本明細書、特許請求の範囲、および図面の記載において、フィルム包装体の長手方向を「幅方向」とし、当該「幅方向」、「高さ方向」、および「奥行き方向」はそれぞれ直交するものとする。
【0022】
また、本明細書の記載において、「矩形」とは、長方形のほか正方形を含むだけでなく、略長方形や略正方形を含むものである。
【0023】
本明細書および特許請求の範囲の記載において、「細長環状」とは、全体として細長い環状のものをいい、角丸長方形や略矩形や波形なども含むものである。以下の各実施形態やその変形例での「細長環状」は、一対の半円弧の両端を当該半円弧と比較して長い一対の直線または曲線で繋いだものとして説明する。
【0024】
本明細書および特許請求の範囲の記載において、「取出口の全幅」とは、取出口において、取出口の奥行方向長さの中心点を通るフィルム包装体の幅方向と平行な直線の長さをいう。これは、後述の本発明の第3実施形態に係るフィルム包装体1’’のようにティシュペーパー2の折り返し縁2eに対して取出口12oが傾斜している場合であっても同様であり、図5(b)ではL3に相当する。
【0025】
<第1実施形態>
図1は本発明の第1実施形態に係るフィルム包装体1の全体斜視図であり、図2図1に示すフィルム包装体1の平面図であり、図2(a)は天面12側の平面図、図2(b)は図2(a)のIIb-IIb方向の模式的な断面図である。
【0026】
本発明では、図1および図2(a)に示すように、ティシュペーパー2をポップアップ式に取り出し可能に折り畳み収納したフィルム包装体1であって、天面12に細長環状の取出口12oを有し、当該取出口12oの全幅に亘って最上位のティシュペーパー2の折り返し縁2eが露出する。この構成により、最上位のティシュペーパー2の折り返し縁2eが細長環状の取出口12oにその全幅に亘って露出されるので、使い始めのティシュペーパー2の最初の取り出し時に最上位のティシュペーパー2の折り返し縁を的確に摘まんで取り出すことができる。
【0027】
なお、「ポップアップ式に取り出し可能に折り畳」まれた状態とは、矩形に形成されたそれぞれのティシュペーパー2のシートが2つに折り畳まれ、2つに折り畳まれたシート片の相互間に、下方に積層されたシートのシート片と上方に積層されたシートのシート片とが内挿された状態で、多数のシートが積層された状態である。これにより、1枚(又は1組)のティシュペーパー2をフィルム包装体1の取出口12oから取り出すと、下方に積層されたシートのシート片の一部が開口から突出して順次ポップアップ方式で取り出される。
【0028】
フィルム包装体1は、図1に示すように、フィルム包装袋1p内にティシュペーパー2の束が収納されている状態で、一対の天面・底面12と、一対の長側面13と、一対の短側面14との6面を有して略直方体を呈しているものであり、フィルム包装袋1pには、図1に示すように、当該ティシュペーパーの取出口12oが形成されるミシン目12dが天面12に細長環状に形成されている。すなわち、本実施形態では、取出口12oを形成可能な細長環状のミシン目12dは、天面12の中央を通って幅方向に延在しており、最上位のティシュペーパー2の折り返し縁2eは、天面12の中心を通って幅方向に延在している。
【0029】
本実施形態では、図2(b)に示すように、最上位のティシュペーパー2の一部が外側に折り返され折り返し縁2eが形成されている。
【0030】
本発明に係るフィルム包装袋に収納されるティシュペーパー2の束は、ティシュペーパー2の一のプライが折り返され、その折り返されたプライの間に他のプライが挟み込まれ、更に、当該他のプライが折り返されるという繰り返し構造を有するとともに、最上層のプライが、その直下に位置するプライを挟み込んだ後、更にもう一度折り返されて、当該直下に位置するプライの上面側に折り返し縁2eを形成しているものである。
【0031】
「繰り返し構造」としては、例えば、2つ折り繰り返し構造(Cホールド)の他、3つ折り繰り返し構造(Z折り構造)又はこれらを組み合わせた繰り返し構造等を挙げることができる。
【0032】
2つ折り繰り返し構造(Cホールド)の例としては、側面から見てV字型(C字型)に折り返されたプライが互いに対向するように交互に挟み込まれることによって、複数のプライが連続的に折り畳まれた繰り返し構造を挙げることができる。3つ折り繰り返し構造の例としては、側面から見てZ字型に折り返されたプライが互いに対向するように交互に挟み込まれることによって、複数のプライが連続的に折り畳まれた繰り返し構造を挙げることができる。これらを組み合わせた繰り返し構造としては、側面から見てV字型(C字型)に折り返されたプライとZ字型に折り返されたプライが交互に挟み込まれることによって、複数のプライが連続的に折り畳まれた繰り返し構造を挙げることができる。
【0033】
本実施形態に係るフィルム包装袋1pに収納されるティシュペーパー2の束は、フィルム包装袋1pの内部空間に、V字型(C字型)に折り返されたプライが互いに対向するように交互に挟み込まれることによって、複数のプライが連続的に折り畳まれた2つ折り繰り返し構造を有するものである。
【0034】
本発明に係るフィルム包装袋に収納されるティシュペーパー2の束の製造工程では、例えば、特許文献2に記載されているようなインターフォルダと称される既知の折畳み設備が用いられうる。
【0035】
フィルム包装体1の外装を構成する柔軟性のある樹脂製のフィルム包装袋1pの材料の具体例としては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム、塩化ビニリデンフィルム、エチレンビニルアルコール共重合体の単層フィルム、または、それらのフィルムを含む適宜積層されたラミネートフィルムや、それらのフィルムにアルミ蒸着などの表面処理を施したガスバリアフィルムが挙げられる。また、環境保護の観点から、サトウキビ、芋(デンプン)、トウモロコシといった植物原料に由来するバイオマスフィルムを用いることが望ましい。コストの観点からはポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルムが好ましい。
【0036】
また、フィルム包装体1の外装を構成するフィルム包装袋1pのフィルムは、意匠性や手触り性に優れる梨地フィルムであってもよいし、さらに、香り付きのティシュペーパーなど臭気のあるものを包装するのであれば、保香性に優れるエチレンビニルアルコール共重合体樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを用いることができる。エチレンビニルアルコール共重合体樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムの一方面または両面に、ポリエチレン樹脂製フィルムやポリプロピレン樹脂製フィルムを積層して熱融着性が高められた複層の樹脂フィルムを用いてもよい。
【0037】
従来、ティシュペーパーを2枚又は3枚1組としてポップアップ式に取り出し可能に、天面にスリット状あるいは細長環状の取出口が形成されたカートンにおいて、使い始めのティシュペーパーが不用意に破断し易いことに鑑み、最上位のティシュペーパーを折り返し、使い始めのティシュペーパーの最初の取り出し時にその折り返し縁を摘まんで引き出すことを可能にしたものが、例えば、特許文献1および2に記載されている。
【0038】
ところが、上記従来のカートンのように、ティシュペーパーの取出口として、単に、スリット状あるいは細長環状の取出口としただけでは、取出口に最上位のティシュペーパーの折り返し縁が露出されなかったり、最上位のティシュペーパーの折り返し縁が取出口に露出されたとしても、それが取出口のほんの一部分のみであったり等すると、最上位のティシュペーパーの折り返し縁を明瞭に視認できず、使い始めのティシュペーパーの最初の取り出し時に最上位のティシュペーパーの折り返し縁を的確に摘まんで取り出すことが困難であった。
【0039】
これは、外装フィルムの伸縮性が高いという構造上、ティシュペーパーを密に充填可能であるが、ティシュペーパーの引き出し抵抗が大きくなるフィルム包装体において顕著であると考えられる。
【0040】
本実施形態によれば、最上位のティシュペーパー2の折り返し縁2eが細長環状の取出口12oの全幅に亘って露出するので、使い始めのティシュペーパー2の最初の取り出し時に最上位のティシュペーパー2の折り返し縁を的確に摘まんで取り出すことができ、フィルム包装体1内のティシュペーパー2を無駄なく使用することが可能となる。
【0041】
本発明では、本発明の効果を奏する上で、取出口12oの短手方向(奥行き方向)における長さ(幅)Lは3mm~12mmであることが好ましい(図2(a)を参照)。長さLが3mm未満では、使い始めのティシュペーパー2の最初の取り出し時に最上位のティシュペーパー2の折り返し縁2eを的確に摘むことができなく、12mmを超えると、ティシュペーパー2の残量が少なくなったときにドロップバックの可能性がある。
【0042】
また、本発明では、本発明の効果を奏する上で、取出口12oの長手方向(図2(a)では幅方向)における長さW1/ティシュペーパー2の束の長手方向(図2(a)では幅方向)における長さW2は、60%~90%であることが好ましい。W1/W2が60%未満では、ティシュペーパー2の取出し抵抗が高くなり、ティシュペーパー2の取出し時にティシュペーパー2が不用意に破断する可能性があり、W1/W2が90%を超えると、ティシュペーパー2の残量が少なくなったときにドロップバックの可能性がある。
【0043】
さらに、本発明では、本発明の効果を奏する上で、フィルム包装袋1pにティシュペーパー2の束を収納したとき、ティシュペーパー2の束の高さ方向における圧縮率は、80%~98%であることが好ましい。当該圧縮率が80%未満では、取り出し性が損なわれ、当該圧縮率が98%を超えると、ティシュペーパー2を効率よく収納できない。
【0044】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態では、第1実施形態と異なり、取出口12oが奥行き方向片側に偏倚して形成されている。この構成により、文字や図柄等の表示領域の自由度が向上し、デザインの自由度が向上する。ここで「偏倚」とは、天面12の中心を通り幅方向と平行な直線X(図3(b)参照)を基準にして、オフセットされている(ずれている)ことを表す。
【0045】
図3は、本実施形態に係るフィルム包装体1’を示す図であり、図3(a)は全体斜視図であり、図3(b)は図3(a)に示すフィルム包装体1’の天面12側の平面図である。本実施形態に係るフィルム包装体1’を構成する各要素のうち、同様の機能を有するものについては、第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0046】
本実施形態に係るフィルム包装体1’では、より具体的には、取出口12oの位置に対応して最上位のティシュペーパー2が奥行き方向片側(図3(b)では下側)に偏倚した位置で折り返されている。この構成により、使い始めのティシュペーパー2の最初の取り出し時の取り出し性が損なわれることがない。なお、本発明では、これに限られず、例えば、取出口12oが奥行き方向片側に偏倚して形成されている一方、最上位のティシュペーパー2が奥行き方向片側に偏倚しない位置(例えば上視して天面12の中心を通る直線Xと重なる位置)で折り返されており、且つ、取出口12oの全幅に亘って最上位のティシュペーパー2の折り返し縁2eが露出する態様も許容されうる。
【0047】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏するほか、取出口12oが形成されるミシン目12dが天面12の中央に対して偏倚しているので、第1実施形態と比較して、天面12のうち自由に使用できる領域が広くなり、文字や図柄等の表示領域の自由度が向上し、デザインの自由度が向上するだけでなく、使い始めのティシュペーパー2の最初の取り出し時の取り出し性が損なわれることがない。
【0048】
図4は、本実施形態およびその変形例に係る、フィルム包装体1’における図3(b)のIVa-IVa方向の模式的な断面図であり、図4(a)は本実施形態に係る断面図、図4(b)は本実施形態の変形例に係る断面図である。
【0049】
本実施形態では、図4(a)に示すように、第1実施形態と同様に、最上位のティシュペーパー2の一部が外側に折り返され折り返し縁2eが形成されている。しかしながら、本発明では、図4(b)に示すように、最上位のティシュペーパー2の一部が内側に折り返され折り返し縁2eが形成されている変形例も採用されうる。この変形例によっても、第2実施形態と同様の効果を奏することが可能となる。
【0050】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態では、第1実施形態と異なり、取出口12oがティシュペーパー2の折り返し縁2eに対して傾いて形成されている。この構成により、ティシュペーパー2の残量が少なくなったときのドロップバックを防止できる。
【0051】
図5は、本実施形態に係るフィルム包装体1’’を示す図であり、図5(a)は全体斜視図であり、図5(b)は図5(a)に示すフィルム包装体1’’の天面12側の平面図である。本実施形態に係るフィルム包装体1’’を構成する各要素のうち、同様の機能を有するものについては、第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0052】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、天面12に形成された細長環状の取出口12oの全幅に亘って最上位のティシュペーパー2の折り返し縁2eが露出する構成を有するので、第1実施形態と同様の効果を奏し、加えて、ティシュペーパー2の残量が少なくなったときのドロップバックを防止できる。
【0053】
本発明では、本発明の効果を奏する上で、取出口12oの傾斜角度(ティシュペーパー2の端縁2eに対する取出口12oの長手方向軸12xの傾きの大きさ)θは、6度~20度であることが好ましい。傾斜角度θが6度未満では、ドロップバックをより効果的に防止できなく、傾斜角度θが20度を超えると、ティシュペーパー2の取出し抵抗が高くなり、ティシュペーパー2の取出し時にティシュペーパー2が不用意に破断する可能性がある。例えば、ティシュペーパー2の幅方向の長さが197mmであり、取出口12oの幅方向長さL1が160mmであるときには、取出口12oの幅Lを3mm~10mmとするとともに、取出口12oの奥行き方向長さL2を20mm~40mmとすることがより好ましい。
【0054】
なお、本発明ではこれに限られず、取出口12oに対して折り返し縁2eを傾斜させる態様も許容されうる。
【0055】
<その他>
本発明は、上述した各実施形態や、随所に述べた変形例に限られることなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で、適宜の変更や変形が可能である。
【符号の説明】
【0056】
1、1’、1’’ フィルム包装体
1p、1’p、1’’p フィルム包装袋
12 天面
12d ミシン目
12o 取出口
13 長側面
14 短側面
2 ティシュペーパー
2e 折り返し縁
図1
図2
図3
図4
図5