(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041617
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】二重容器、二重容器の内袋の引き抜き方法
(51)【国際特許分類】
B65D 77/04 20060101AFI20240319BHJP
B65D 41/02 20060101ALI20240319BHJP
B65D 41/04 20060101ALI20240319BHJP
B65D 41/34 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
B65D77/04 B
B65D41/02
B65D41/04 500
B65D41/34 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146536
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】室屋 洋輔
【テーマコード(参考)】
3E067
3E084
【Fターム(参考)】
3E067BA03C
3E067BA12B
3E067BB15B
3E067BB15C
3E067BB16B
3E067BB16C
3E067BC07B
3E067BC07C
3E067EA02
3E067EB01
3E067EB15
3E067EB20
3E067EB27
3E067FA04
3E067FC01
3E084AA15
3E084AA26
3E084BA02
3E084DB09
3E084DB13
3E084EA03
3E084EB02
3E084EB03
3E084FA09
3E084FB01
3E084FB03
3E084FD02
3E084GA01
3E084GB01
3E084GB08
3E084KA13
3E084KA20
3E084LA15
3E084LA17
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】内袋を容器本体から引き抜きやすい、二重容器を提供する。
【解決手段】本発明によれば、容器本体と、口部装着部材を備える、二重容器であって、前記口部装着部材は、前記容器本体の口部に装着されており、前記容器本体は、内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を備え、前記内袋は、前記外殻の開口端から突出する突出部を備え、前記突出部には、滑り止め形状を有する把持部が設けられている、二重容器が提供される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と、口部装着部材を備える、二重容器であって、
前記口部装着部材は、前記容器本体の口部に装着されており、
前記容器本体は、内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を備え、
前記内袋は、前記外殻の開口端から突出する突出部を備え、
前記突出部には、滑り止め形状を有する把持部が設けられている、二重容器。
【請求項2】
請求項1に記載の二重容器であって、
前記口部装着部材が前記口部に装着された状態で、前記滑り止め形状は、前記口部装着部材と周方向に係合されておらず、かつ前記把持部は、前記口部装着部材によって覆われていない、二重容器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の二重容器であって、
前記滑り止め形状は、凹凸形状である、二重容器。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の二重容器であって、
前記滑り止め形状は、前記口部装着部材のうち前記口部に装着されている装着部位の外縁よりも径方向に突出する突出部を備える、二重容器。
【請求項5】
容器本体と、口部装着部材を備える、二重容器であって、
前記口部装着部材は、前記容器本体の口部に装着される中栓と、前記中栓に装着されるオーバーキャップを備え、
前記容器本体は、内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を備え、
前記口部装着部材は、前記口部から取り外し可能に構成されており、
前記内袋の口部と前記オーバーキャップのそれぞれには、前記内袋の口部と前記オーバーキャップを周方向に係合可能にする係合凸部が設けられている、二重容器。
【請求項6】
請求項5に記載の二重容器であって、
前記中栓は、前記内袋の口部に装着される、二重容器。
【請求項7】
二重容器の内袋の引き抜き方法であって、
前記二重容器は、容器本体と、口部装着部材を備え、
前記口部装着部材は、前記容器本体の口部に装着されており、
前記容器本体は、内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を備え、
前記方法は、口部装着部材取り外し工程と、内袋引き抜き工程を備え、
前記口部装着部材取り外し工程では、前記口部から前記口部装着部材を取り外し、
前記内袋引き抜き工程では、前記内袋の口部と捻り治具とを周方向に係合させた状態で前記捻り治具を回転させることによって前記内袋を捻りながら又は捻った後に前記内袋の引き抜きを行う、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、
前記口部装着部材は、前記容器本体の口部に装着される中栓と、前記中栓に装着されるオーバーキャップを備え、
前記捻り治具は、前記オーバーキャップである、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記中栓は、前記内袋の口部に装着される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重容器、及び二重容器の内袋の引き抜き方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外殻と内袋とを有する容器本体を備える二重容器が知られている。例えば、特許文献1には、外殻プリフォームと内袋プリフォームとを重ねた状態で二軸延伸ブロー成形を行うことによって形成した二重容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような二重容器の外殻と内袋とが別素材で成形されている場合や、使用後の内袋内に内容物が付着している場合等において、当該二重容器をリサイクルする際には、外殻と内袋とを分離することが望まれる。
【0005】
外殻と内袋は、内袋を容器本体から引き抜くことによって分離することが想定されており、内袋を容器本体から引き抜きやすくすることが望まれている。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、内袋を容器本体から引き抜きやすい、二重容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1](第1観点)容器本体と、口部装着部材を備える、二重容器であって、前記口部装着部材は、前記容器本体の口部に装着されており、前記容器本体は、内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を備え、前記内袋は、前記外殻の開口端から突出する突出部を備え、前記突出部には、滑り止め形状を有する把持部が設けられている、二重容器。
【0008】
本発明の二重容器では、内袋の突出部の周面に滑り止め形状が設けられているので、内袋を把持して内袋を引き抜きやすい。
【0009】
[2][1]に記載の二重容器であって、前記口部装着部材が前記口部に装着された状態で、前記滑り止め形状は、前記口部装着部材と周方向に係合されておらず、かつ前記把持部は、前記口部装着部材によって覆われていない、二重容器。
[3][1]又は[2]に記載の二重容器であって、前記滑り止め形状は、凹凸形状である、二重容器。
[4][1]又は[2]に記載の二重容器であって、前記滑り止め形状は、前記口部装着部材のうち前記口部に装着されている装着部位の外縁よりも径方向に突出する突出部を備える、二重容器。
[5](第2観点)容器本体と、口部装着部材を備える、二重容器であって、前記口部装着部材は、前記容器本体の口部に装着される中栓と、前記中栓に装着されるオーバーキャップを備え、前記容器本体は、内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を備え、前記口部装着部材は、前記口部から取り外し可能に構成されており、前記内袋の口部と前記オーバーキャップのそれぞれには、前記内袋の口部と前記オーバーキャップを周方向に係合可能にする係合凸部が設けられている、二重容器。
[6][5]に記載の二重容器であって、前記中栓は、前記内袋の口部に装着される、二重容器。
[7](第3観点)二重容器の内袋の引き抜き方法であって、前記二重容器は、容器本体と、口部装着部材を備え、前記口部装着部材は、前記容器本体の口部に装着されており、前記容器本体は、内袋と、前記内袋を覆うように配置された外殻を備え、前記方法は、口部装着部材取り外し工程と、内袋引き抜き工程を備え、前記口部装着部材取り外し工程では、前記口部から前記口部装着部材を取り外し、前記内袋引き抜き工程では、前記内袋の口部と捻り治具とを周方向に係合させた状態で前記捻り治具を回転させることによって前記内袋を捻りながら又は捻った後に前記内袋の引き抜きを行う、方法。
[8][7]に記載の方法であって、前記口部装着部材は、前記容器本体の口部に装着される中栓と、前記中栓に装着されるオーバーキャップを備え、前記捻り治具は、前記オーバーキャップである、方法。
[9][8]に記載の方法であって、前記中栓は、前記内袋の口部に装着される、方法。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施形態の二重容器1の斜視図である。図中の一点鎖線は、表面形状を構成する面の曲率が変化する境界線を表す。他の図についても同様である。
【
図6】オーバーキャップ27及び中栓26を斜め下側から見た斜視図である。
【
図7】
図7Aは、中栓26が内袋4に装着された状態を示す。内袋4は、口部5近傍を示す斜視図であり、中栓26は、縦断面斜視図である。
図7Bは、中栓26の縦断面斜視図である。
【
図8】口部装着部材8を開封する前の時点での、
図1に示す二重容器1の、口部5の中心を通る縦断面図である。
【
図9】内プリフォーム14及び外プリフォーム13が分離されている状態を示す斜視図である。
【
図10】内プリフォーム14に外プリフォーム13を被せることによって構成されたプリフォーム15を示す斜視図である。
【
図11】本発明の第2実施形態の二重容器1の斜視図である。
【
図13】
図11の二重容器1から口部装着部材8を外した状態を示す。
【
図15】本発明の第3実施形態の二重容器1の斜視図である。
【
図18】第3実施形態のオーバーキャップ27及び中栓26を斜め下側から見た斜視図である。
【
図19】
図18の中栓26の、口部5の中心を通る縦断面図である。
【
図20】口部装着部材8を開封する前の時点での、
図1に示す二重容器1の、口部5の中心を通る縦断面図である。
【
図21】口部装着部材8を取り外した後に、オーバーキャップ27を内袋4の口部5に係合させた後の状態を示す、
図20に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0012】
以下の示す実施形態では、第1~第3観点の発明が開示される。第1及び第2実施形態は、第1観点に関連する。第3実施形態は、第2~第3観点に関連する。第1~第3実施形態で述べた事項は、その趣旨に反しない限り、相互に適用可能である。従って、例えば、第1実施形態に記載された構造と、第3実施形態に記載された構造を組み合わせてもよい。
【0013】
1.第1実施形態
1-1.二重容器1の構成
<基本構成>
図1に示すように、本発明の第1実施形態の二重容器1は、容器本体2と、口部装着部材8を備える。
【0014】
図2~
図3に示すように、容器本体2は、口部5と、胴部6と、底部7を備える。口部5は、開口端5cを有する筒状(好ましくは円筒状)部位である。口部5は、キャップやポンプなどの口部装着部材8を装着可能な係合部4mを備える。係合部4mの詳細は、後述する。口部5には、フランジ5bが設けられている。フランジ5bは、口部5に口部装着部材8を装着する際に口部5を支持するために利用可能である。
【0015】
胴部6は、口部5よりも開口端5cから離れた側に口部5に隣接して配置される。胴部6は、口部5よりも外径(本明細書において、「外径」は、断面が円形でない場合は、円相当径を意味する。)が大きい。胴部6は筒状であり、底部7は、胴部6の下端に設けられ、胴部6の下端を閉塞する。胴部6は、口部5から離れるにつれて外径が大きくなる肩部6bを備える。また、胴部6は、肩部6bよりも底部7側に、胴部本体6cを備える。胴部本体6cは、例えば、底部7に向かって外径が略一定である形状であるか、又は底部7に向かって縮径する形状である。
【0016】
図4に示すように、容器本体2は、内袋4と、内袋4を覆うように配置された外殻3を備える。内袋4は、突出部4c以外の内袋本体4dが外殻3内に収容されている。以下の説明では、内袋4のうち、容器本体2の口部5、胴部6、及び底部7に相当する部位をそれぞれ、内袋4の口部5、胴部6、及び底部7のように称する。外殻3についても同様である。
【0017】
胴部6の高さ方向の中央での外殻3の平均肉厚は、例えば、200~800μmであり、250~500μmが好ましいこの肉厚は、具体的には例えば、具体的には例えば、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800μmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0018】
胴部6の高さ方向の中央での内袋4の平均肉厚は、例えば、50~250μmであり、50~100μmが好ましい。この肉厚は、具体的には例えば、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250μmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内又は何れか以下であってもよい。本明細書において、所定の高さ位置での平均肉厚は、その高さ位置で周方向に等間隔に設定した8つの測定点での測定値の平均値を意味する。
【0019】
口部装着部材8に逆止弁が設けられていない場合は、内袋4の内容物を吐出した後にも内袋4が収縮しないので、外殻3の口部5を通じて、内袋4を引き出すことが容易でない。本発明は、内袋4を外殻3の口部5を通じて引き出すことを容易にするものであるので、口部装着部材8に逆止弁が設けられていない場合に、本発明を適用する意義が特に顕著である。一方、口部装着部材8に逆止弁を設け、且つ外殻3と内袋4の間に外気を導入する外気導入部を設けた場合、内袋4内に内容物の吐出に伴って内袋4が収縮する。本発明は、このような形態にも適用可能である。
【0020】
外殻3の口部5の内径は、例えば20~50mmであり、25~40mmが好ましい。外殻3の口部5の内径は、具体的には例えば、20、25、30、35、40、45、50mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲内であってもよい。
【0021】
<外殻3と内袋4の詳細構造>
図3~
図4に示すように、内袋4は、外殻3の開口端3aから突出する突出部4cを備える。突出部4cは、係合凸部4c2と、環状凸部4c5と、当接フランジ4c4と、先端筒部4c9と、把持部4c10を備える。環状凸部4c5及び係合凸部4c2によって、口部装着部材8と係合させるための係合部4mが構成される。先端筒部4c9は、係合部4mよりも開口端4l側に配置される。把持部4c10は、係合部4mよりも開口端4lから離れた側に(より具体的には、係合部4mと当接フランジ4c4の間に)配置される。
【0022】
環状凸部4c5は、口部装着部材8と軸方向に係合する。係合凸部4c2は、口部装着部材8と周方向に係合する。本明細書において、「軸方向」とは、口部5の中心軸Cが延びる方向であり、言い換えると、容器本体2から内袋4を引き抜く方向である。「周方向」とは、口部5の中心軸Cを中心として回転させる方向であり、言い換えると、口部5において内袋4を外殻3に対して、回転させる方向である。また、「上方向」は、軸方向上向きを意味し、「下方向」は、軸方向下向きを意味する。
【0023】
係合凸部4c2は、周方向に離間されて複数箇所(本実施形態では8箇所)に設けられることが好ましい。係合凸部4c2は、環状凸部4c5上に配置され、環状凸部4c5から径方向外側に向かって突出するように設けられる。環状凸部4c5及び係合凸部4c2は、上面にテーパー面4c8,4c3が設けられている。これによって、後述するように、口部装着部材8の環状凸部28c(
図7Aに図示)が環状凸部4c5及び係合凸部4c2を乗り越えやすくなっている。
【0024】
また、
図7Aに示すように、係合凸部4c2の下面4c6は、環状凸部4c5の下面4c7と面一であるか、環状凸部4c5の下面4c7よりも内袋4の開口端に近い位置に設けられている。このような構成によれば、環状凸部4c5と口部装着部材8の軸方向の係合が、係合凸部4c2によって補強されるので、口部装着部材8と内袋4との係合が強固になる。
【0025】
当接フランジ4c4は、開口端3aに当接する位置に配置されている。当接フランジ4c4は、把持部4c10よりも拡径された環状部位である。当接フランジ4c4が開口端3aに当接することによって、内袋4が外殻3内に脱落することが回避される。
【0026】
把持部4c10には、滑り止め形状4c11として、凹凸形状4c12が形成されている。これによって、把持部4c10を把持して内袋4を回転させたり、引っ張ったりしやすくなっている。また、口部装着部材8が口部5に装着された状態で、滑り止め形状4c11は、口部装着部材8と周方向に係合しておらず、かつ把持部4c10が口部装着部材8によって覆われていないことが好ましく、これによって、口部装着部材8を装着した状態で、把持部4c10を把持することが可能になる。凹凸形状4c12は、例えばローレットである。ローレットは、平目であっても、アヤ目であってもよい。把持部4c10は、ユーザーが手で把持しやすい長さを有することが好ましい。把持部4c10の長さは、例えば、15mm以上であり、15~100mmが好ましく、30~70mmがさらに好ましい。この長さは、具体的には例えば、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲又は何れか以上であってもよい。
【0027】
図4に示すように、内袋本体4dの外周面には、カム凸部4gと、係合凸部4hが設けられている。係合凸部4hは、カム凸部4g上に設けられている。カム凸部4gと係合凸部4hのそれぞれの下面は、それぞれ、口部5の開口端5c側から見て、反時計周りに進むにつれて開口端5cに近づくように傾斜している。
【0028】
図5に示すように、外殻3の内周面には、カムレール3lと、係合凹部3mと、係合凸部3nが設けられている。係合凹部3mは、係合凹部3mの下面がカムレール3lの上面と連続するように設けられている。カムレール3lの上面及び係合凹部3mの下面は、開口端3a側から見て、反時計周りに進むにつれて開口端3aに近づくように傾斜している。係合凸部3nは、係合凹部3mに隣接した位置に配置されている。
【0029】
内袋4を容器本体2から引き抜く前の状態では、係合凸部4hが係合凹部3m内に配置されており、カム凸部4gの下面がカムレール3lの上面に当接している。カム凸部4gとカムレール3lによって、カム機構31が構成される。本実施形態では、係合凹部3mは貫通孔であるが、非貫通孔であってもよい。
【0030】
内袋4を反時計回りに回転させようとすると、係合凸部4hが係合凸部3nに当接して、回転が規制される。この規制は強固ではなく、強めのトルクを内袋4に加えると、係合凸部4hが係合凸部3nを乗り越え、内袋4が外殻3に対して自由に回転可能となる。そして、内袋4を反時計回りにさらに回転させると、内袋4がカム機構31の作用によって容器本体2から抜け出す方向に移動する。この際に、内袋4が捻られて縮径される。
【0031】
内袋4の開口端4lには、拡径構造4kが設けられている。拡径構造4kによって、内袋4の口部5の剛性が高まり、内袋4の口部5の変形が抑制される。
【0032】
<内袋4の引き抜き>
本実施形態の二重容器1は、内袋4と外殻3の間に設けられたカム機構31の作用により、内袋4の回転に伴って内袋4が容器本体2から抜け出す方向に移動するように構成される。
【0033】
このため、把持部4c10を把持して回転させるだけで、内袋4を容器本体2から抜け出る方向に移動させることができ、その後は、把持部4c10を把持して引っ張ることによって、内袋4を容器本体2から引き抜くことができる。つまり、把持部4c10を回して引っ張るだけで、内袋4の引き抜きができるので、内袋4の引き抜きに必要な操作が非常に単純になる。把持部4c10には、滑り止め形状4c11が設けられているので、把持部4c10を把持して内袋4を回転させたり、引っ張ったりしやすい。また、この際の把持部4c10の回転は、正ネジ緩め方向(つまり、二重容器1の上側から見て反時計回り方向)の回転であることが好ましい。この場合、内袋4が容器本体2から抜け出る方向に移動することが感覚的に理解しやすいという利点がある。
【0034】
また、容器本体2の胴部6は、口部5よりも外径が大きいので、単に、内袋4を引っ張るだけでは、外殻3の口部5を通じて内袋4を引き出すことは容易ではないが、内袋4の口部5を回転させて内袋4を捻って内袋4の胴部6を縮径させることによって、内袋4の胴部6が外殻3の口部5を通過しやすくなり、容器本体2から内袋4を容易に引き出すことができる。
【0035】
<口部装着部材8の詳細構造>
口部装着部材8は、打栓式で容器本体2の口部5に装着可能に構成されており、口部装着部材8を口部5に被せた状態で、口部装着部材8を底部7の方向に押圧することによって、口部装着部材8を口部5に係合させて装着することができる。打栓式の口部装着部材8は、押圧するだけで装着可能であるので、内容物の充填ラインでの口部装着部材8の装着工程の単純化が可能であるという利点がある。
【0036】
図2に示すように、本実施形態では、口部装着部材8は、キャップ8aであり、中栓26と、オーバーキャップ27を備える。中栓26は、打栓式で内袋4の口部5に周方向及び軸方向に係合されている。オーバーキャップ27は、中栓26に対して螺合されている。
【0037】
図2、
図6及び
図8に示すように、オーバーキャップ27は、外筒27aと、中間筒27bと、内筒27cと、天板27dを備える。
【0038】
外筒27aの外周面には、ローレット27eが設けられており、オーバーキャップ27を把持して回転させやすくなっている。この場合、内袋4の把持部4c10と外筒27aの外周面の両方を把持して内袋4を回転させることによって、内袋4の回転がより一層容易になる。また、把持部4c10と、外筒27aの外周面の間には段差があるので、把持部4c10を把持しつつ、この段差に指を引っ掛けて内袋4を引っ張ることができる。外筒27aの内周面には、雌ネジ部27fが設けられている。天板27dは、外筒27aの上面に設けられている。天板27dの下面には中間筒27b及び内筒27cが設けられている。中間筒27bは、外筒27aよりも直径が小さく、外筒27aの内部に配置される、いわゆるインナーリングである。内筒27cは、中間筒27bよりも直径が小さく、中間筒27bの内部に配置される。
【0039】
図2及び
図6~
図8に示すように、中栓26は、本体部28と、開栓部32を備える。本体部28と開栓部32は、易引裂性の連結部30を介して互いに連結されている。
【0040】
本体部28は、外筒28aと、内筒28bと、環状凸部28cと、係合凸部28dと、天板28eと、吐出筒28fと、取付筒28gを備える。開栓部32及び連結部30は、吐出筒28f及び内筒28bの内側に配置されている。開栓部32には、不図示の係合部が設けられた係合筒32aが設けられており、内筒27cと係合筒32aが周方向及び軸方向に係合している。このような構成によれば、オーバーキャップ27を本体部28に対して回転させることによって、係合筒32aを本体部に対して回転させて、連結部30を破断させることが可能になる。連結部30を破断させることによって、開栓部32が本体部28から分離され、吐出筒28f及び内筒28bの内側に流通孔が形成される。内袋4内の内容物は、この流通孔を通じて吐出することができる。
【0041】
外筒27aの外周面には、ローレット28iが設けられており、中栓26を把持して回転させやすくなっている。天板28eは、外筒28aの上面に設けられる。天板28eの下面には内筒28bが設けられている。内筒28bは、外筒28aよりも直径が小さく、外筒28aの内部に配置される、いわゆるインナーリングである。中栓26を口部5に装着すると、内筒28bが内袋4内に挿入され、内筒28bの外周面が内袋4の内周面に密着する。
【0042】
天板28eの上面には、吐出筒28fと取付筒28gが設けられている。内袋4内の内容物は、吐出筒28fを通って吐出される。
図2に示すように、取付筒28gの外周面には、雄ネジ部28hが設けられており、雄ネジ部28hが、オーバーキャップ27の外筒27aの内周面に設けられた雌ネジ部27fと係合することによって、オーバーキャップ27が中栓26に螺合される。この場合、オーバーキャップ27を中栓26に対して相対回転させることによって、オーバーキャップ27を中栓26に対して着脱させることができる。オーバーキャップ27を中栓26に装着すると、中間筒27bが吐出筒28f内に挿入され、中間筒27bの外周面が吐出筒28fの内周面に密着する。吐出筒28fの上側がオーバーキャップ27によって閉塞される。
【0043】
環状凸部28cは、外筒28aの内周面に周方向に延びるように設けられる環状の凸部である。環状凸部28cが係合凸部4c2と軸方向に係合することによって、本体部28が内袋4の口部5に軸方向に係合する。係合凸部28dは、周方向に離間されて複数箇所(本実施形態では8箇所)に設けられることが好ましい。係合凸部28dは、環状凸部28c上に配置され、環状凸部28cから径方向内側に向かって突出するように設けられる。係合凸部28dは、隣接する係合凸部4c2の間に配置され、これによって、本体部28が内袋4の口部5に周方向に係合する。
【0044】
<オーバーキャップ27と内袋4の回転方向>
オーバーキャップ27は、好ましくは、正ネジによって中栓26に螺合されている。このため、中栓26に対してオーバーキャップ27を正ネジ緩め方向に回転させることによって、オーバーキャップ27と中栓26の螺合を解除することができる。また、外殻3に対して内袋4を正ネジ緩め方向に回転させることによって、内袋4が容器本体2から抜け出す方向に移動するように構成される。このように、正ネジ緩め方向にオーバーキャップ27を回転させることによって、オーバーキャップ27を取り外すことができ、正ネジ緩め方向に内袋4を回転させることによって、内袋4を浮き上がらせることができる。どちらも同じ回転方向の操作であるので、操作が単純であるという利点がある。
【0045】
1-2.二重容器1の製造方法
図9~
図10に示すように、容器本体2は、プリフォーム15を加熱して二軸延伸ブロー成形することによって形成することができる。
【0046】
<内プリフォーム14、外プリフォーム13,プリフォーム15の構成>
プリフォーム15は、一例では、内袋4となる内プリフォーム14に、外殻3となる外プリフォーム13を被せて構成することができる。
【0047】
図9に示すように、内プリフォーム14は、有底筒状であり、口部14aと、胴部14bと、底部14cを備える。口部14aの開口端には、突出部14dが設けられている。突出部14dは、成形時に変形せずにそのままの形状で突出部4cとなる。従って、突出部4cについて述べた事項は、突出部14dにも当てはまる。突出部14dには、係合部14mが設けられて。係合部14mは、成形後に係合部4mとなる。底部14cは、胴部14bの下端を閉じるように設けられる。底部14cには、位置決めピン(不図示)を設けてもよい。
【0048】
図9に示すように、外プリフォーム13は、有底筒状であり、口部13aと、胴部13bと、底部13cを備える。底部13cは、胴部13bの下端を閉じるように設けられる。底部13cには、環状凸部13d及び位置決め孔(不図示)が設けられている。
【0049】
図10に示すように、内プリフォーム14に外プリフォーム13を被せることによって、プリフォーム15を形成することができる。内プリフォーム14に位置決めピンが設けられている場合には、この位置決めピンを外プリフォーム13の位置決め孔に挿入して、内プリフォーム14と外プリフォーム13を互いに位置決めすることができる。プリフォーム15では、口部14aと口部13aが対向し、胴部14bと胴部13bが対向する。
【0050】
口部13a,14aがプリフォーム15の口部15aとなり、胴部13b,14bがプリフォーム15の胴部15bとなり、底部13c,14cがプリフォーム15の底部15cとなる。胴部15b及び底部15cが、二軸延伸ブロー成形において主に延伸される。
【0051】
<内プリフォーム14、外プリフォーム13、プリフォーム15の材料・製造方法>
内プリフォーム14及び外プリフォーム13は、ポリエステル(例:PET)やポリオレフィン(例:ポリプロピレン、ポリエチレン)等の熱可塑性樹脂のダイレクトブロー成形や射出成形等によって形成可能である。一例では、内プリフォーム14がポリオレフィン(例:ポリプロピレン)で構成され、外プリフォーム13はPETで構成される。内プリフォーム14に用いられるポリオレフィンは、ポリエチレンよりもポリプロピレンが好ましい。ポリプロピレンの方が、ポリエチレンよりも、二軸延伸ブロー成形に適した温度がPETに近いからである。
【0052】
プリフォーム15は、内プリフォーム14と外プリフォーム13を別々に製造した後に、内プリフォーム14に外プリフォーム13を被せて構成してもおく、多層射出成形や二色成形によって製造してもよい。何れの方法によっても、内プリフォーム14と外プリフォーム13が積層されて構成されたプリフォーム15が得られる。
【0053】
多層射出成形では、内プリフォーム14と外プリフォーム13のそれぞれに対応する層を有する多層のプリフォーム15を一度の射出成形で製造することができる。
【0054】
二色成形では、第1成形工程で内プリフォーム14と外プリフォーム13の一方を成形し、第2成形工程で内プリフォーム14と外プリフォーム13の他方を成形する。第1成形工程は、ダイレクトブロー成形であっても射出成形であってもよい。第2成形工程は、射出成形が好ましい。
【0055】
<ダイレクトブロー成形による内プリフォーム14の製造>
内プリフォーム14は、溶融状態の筒状パリソンを用いたダイレクトブロー成形で形成することが好ましい。ダイレクトブロー成形では、射出成形に比べて、薄肉化及び多層化が容易であるので、ダイレクトブロー成形で内プリフォーム14を形成することによって、内袋4の薄肉化が可能であり、多層構造の内袋4を形成しやすい。
<突出シール部42>
筒状パリソンの内面同士が溶着して構成されるシール部は、強度が不十分である場合があり、
図9に示すように、シール部43を内プリフォーム14の本体部14qから突出させて突出シール部42とすることが好ましい。突出シール部42は、筒状パリソンの内面同士が溶着して構成され且つ内プリフォーム14の本体部14qから突出する。本体部14qは、内プリフォーム14のうち突出シール部42以外の部位を指す。
図9に示すように、シール部43を突出させて突出シール部42とすることによって、シール面の面積が大きくなり、シール部43でのシール強度が高められる。
【0056】
1-3.変形例
本発明は、以下の形態でも実施することができる。
・上記実施形態では、口部装着部材8が口部5に装着された状態で内袋4の引き抜きを行っているが、内袋4の引き抜きは、口部装着部材8を取り外してから行ってもよい。取り外し可能な口部装着部材8の例としては、第3実施形態に示すような、取り外し可能なバンド部を有する構造の中栓26を有するものが挙げられる。
・上記実施形態では、口部装着部材8は、内袋4のみに係合されているが、口部装着部材8は、外殻3のみ、又は外殻3と内袋4の両方に係合させるようにしてもよい。
・口部装着部材8は、内袋4の口部5に周方向のみに係合させてもよい。
・口部装着部材8は、ネジ式で口部5に装着されるものであってもよい。
・カム機構31は、省略可能である。この場合でも、内袋4を捻ることによって内袋4が縮径されて引き抜きやすくなる。
・内袋4は、捻らずに引き抜いてもよい。
【0057】
2.第2実施形態
図11~
図14を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、内袋4の把持部4c10の構成が第1実施形態とは異なっているが、その他の構成については、第1実施形態と同様である。
【0058】
本実施形態では、
図11~
図14に示すように、把持部4c10は、滑り止め形状4c11として、口部装着部材8のうち口部5に装着されている装着部位8b(本実施形態では中栓26)の外縁8b1よりも径方向に突出する突出部4c13を備える。突出部4c13の数は、本実施形態では2つであるが、1つであっても、3つ以上であってもよい。突出部4c13の数は、例えば1~20であり、具体的には例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。複数の突出部4c13は、等間隔で配置されることが好ましい。突出部4c13は、先細りであることが好ましい。突出部4c13は、先端が丸まっていることが好ましい。
【0059】
把持部4c10に突出部4c13を設けることによって、突出部4c13に指を引っ掛けて、内袋4を回転させたり、内袋4を引っ張ったりしやすくなる。このため、把持部4c10を把持して、内袋4を捻ったり、引き抜いたりしやすくなる。
【0060】
本実施形態の内袋4には、当接フランジ4c4が設けられておらず、把持部4c10の下面が、外殻3の開口端3aに当接することによって、内袋4が外殻3に対して軸方向に位置決めされる。言い換えると、把持部4c10は、第1実施形態の当接フランジ4c4の機能も備える。
【0061】
口部5の中心軸Cから外縁8b1までの距離をRcとし、突出部4c13の外縁までの距離をRaとすると、Ra/Rcは、例えば1.1以上であり、1.1~3が好ましく、1.2~1.8がさらに好ましく、具体的には例えば、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.5、3.0であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0062】
また、隣接する突出部4c13の間であって、中心軸Cからの距離が最も短い部位を最小径部位4c14とし、中心軸Cから最小径部位4c14の外縁までの距離をRbとすると、(Ra-Rb)/Rcは、例えば0.1以上であり、0.1~2.0が好ましく、0.2~0.8がさらに好ましく、具体的には例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、2.0であり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0063】
さらに、(Ra-Rc)の値及び(Ra-Rb)の値は、それぞれ、例えば3mm以上であり、5mm以上が好ましく、10mm以上がさらに好ましい。この値は、例えば、3~50mmであり、15~40mmが好ましく、具体的には例えば、3、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50mmであり、ここで例示した数値の何れか2つの間の範囲であってもよい。
【0064】
3.第3実施形態
図15~
図20を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、口部装着部材8及び内袋4の構成が第1実施形態とは異なっているが、その他の構成については、第1実施形態と同様である。
【0065】
本実施形態では、
図15~
図17に示すように、内袋4には、滑り止め形状4c11を有する把持部4c10が設けられておらず、係合部4mと当接フランジ4c4の間の距離が、第1実施形態に比べて短くなっている。
【0066】
図15~
図16及び
図18~
図20に示すように、口部装着部材8は、中栓26と、オーバーキャップ27を備えるキャップ8aである点は、第1実施形態と同様であるが、中栓26と、オーバーキャップ27の構造が、それぞれ、第1実施形態とは相違している。
【0067】
本実施形態では、中栓26は、本体部28と、バンド部29と、開栓部32を備える。本体部28とバンド部29は、易引裂性の連結部47を介して互いに連結されている。本体部28と開栓部32は、易引裂性の連結部30を介して互いに連結されている。
【0068】
バンド部29は、内袋4の口部5に軸方向に係合する。このため、バンド部29は、内袋4の口部5に対して軸方向の移動が規制される。バンド部29は、内袋4の口部5に周方向に係合していてもいなくてもよい。バンド部29が内袋4の口部5に周方向に係合している場合、バンド部29は、内袋4の口部5に対して周方向の移動が規制される。
【0069】
連結部47は、本体部28とバンド部29の間に力(せん断力、回転方向の力など)を加えることによって引き裂くことができるように構成されている。連結部47は、本体部28及びバンド部29よりも薄肉であることが好ましい。
【0070】
バンド部29は、外筒29aと、内筒29bを備える。内筒29bは、外筒29aの内側に配置される。外筒29aと内筒29bは、バンド部29の下端でつながっており、内筒29bは、連結部47を介して本体部28に連結されている。内筒29bは、環状凸部4c5を取り囲むように配置される。内筒29bの内周面には周方向に延びる環状凸部29cが設けられている。環状凸部29cが環状凸部4c5に軸方向に係合することによってバンド部29が、内袋4の口部5に軸方向に係合する。環状凸部29cの下側にはテーパー面が設けられており、環状凸部29cが環状凸部4c5を乗り越えるのに必要な力が低減されている。
【0071】
バンド部29の外筒29aには、引裂開始部(不図示)が設けられている。引裂開始部は、薄肉部、ノッチ、切込みなどで構成される。引裂開始部で引き裂きを開始した後に連結部47を引き裂くことによって、バンド部29を取り外すことが可能になっている。そして、バンド部29を取り外すことによって、口部装着部材8を口部から取り外すことができる。
【0072】
本実施形態の本体部28は、第1実施形態の本体部28と比べて、環状凸部28c、係合凸部28d、及びローレット28iが設けられていない点で相違するが、それ以外の点は、同様である。本実施形態の開栓部32の構成は、第1実施形態の開栓部32と同様である。
【0073】
オーバーキャップ27は、外筒27aの内周面に係合凸部27gが設けられている点が第1実施形態との相違点である。係合凸部27gは、周方向に離間されて複数箇所(本実施形態では8箇所)に設けられることが好ましい。係合凸部27gは、内袋4の係合凸部4c2と周方向に係合可能になっている。このように、本実施形態では、内袋4の口部5とオーバーキャップ27のそれぞれに、内袋4の口部5とオーバーキャップ27を周方向に係合可能にする係合凸部4c2,27gが設けられている。
【0074】
<内袋4の引き抜き>
本実施形態では、内袋4の引き抜きは、口部装着部材取り外し工程と、内袋引き抜き工程を備える方法によって行うことができる。
【0075】
まず、口部装着部材取り外し工程では、口部5から口部装着部材8を取り外す。この工程は、例えば、バンド部29を取り外すことによって実行することができる。
【0076】
次に、
図21に示すように、内袋引き抜き工程では、内袋4の口部5と捻り治具46とを周方向に係合させた状態で捻り治具46を回転させることによって内袋4を捻りながら又は捻った後に内袋4の引き抜きを行う。
【0077】
捻り治具46は、内袋4を捻るために用いられる治具であり、内袋4の口部5の係合凸部4c2と係合可能な構成であることが好ましい。捻り治具46としては、オーバーキャップ27を用いることができる。オーバーキャップ27は、係合凸部27gを備えるので、オーバーキャップ27の係合凸部27gを、内袋4の係合凸部4c2に係合させてオーバーキャップ27を回転させることによって、内袋4を捻ることができる。
【0078】
内袋4を捻ることによって、内袋4が縮径されて、内袋4を引き抜きやすくなる。捻り治具46は、内袋4の口部5と周方向に係合すればよく、軸方向に係合していてもいなくてもよい。軸方向に係合している場合、捻り治具46を引っ張って、内袋4を引き抜くことができる。軸方向に係合していない場合、内袋4を捻った後は、捻り治具46を内袋4から外して、別の内袋4を捻るために用いたり、内袋4とは別にリサイクル処理を行ったりしてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 :二重容器
2 :容器本体
3 :外殻
3a :開口端
3l :カムレール
3m :係合凹部
3n :係合凸部
4 :内袋
4c :突出部
4c10 :把持部
4c11 :滑り止め形状
4c12 :凹凸形状
4c13 :突出部
4c14 :最小径部位
4c2 :係合凸部
4c3 :テーパー面
4c4 :当接フランジ
4c5 :環状凸部
4c6 :下面
4c7 :下面
4c8 :テーパー面
4c9 :先端筒部
4d :内袋本体
4g :カム凸部
4h :係合凸部
4k :拡径構造
4l :開口端
4m :係合部
5 :口部
5b :フランジ
5c :開口端
6 :胴部
6b :肩部
6c :胴部本体
7 :底部
8 :口部装着部材
8a :キャップ
8b :装着部位
8b1 :外縁
13 :外プリフォーム
13a :口部
13b :胴部
13c :底部
13d :環状凸部
14 :内プリフォーム
14a :口部
14b :胴部
14c :底部
14d :突出部
14m :係合部
14q :本体部
15 :プリフォーム
15a :口部
15b :胴部
15c :底部
26 :中栓
27 :オーバーキャップ
27a :外筒
27b :中間筒
27c :内筒
27d :天板
27e :ローレット
27f :雌ネジ部
27g :係合凸部
28 :本体部
28a :外筒
28b :内筒
28c :環状凸部
28d :係合凸部
28e :天板
28f :吐出筒
28g :取付筒
28h :雄ネジ部
28i :ローレット
29 :バンド部
29a :外筒
29b :内筒
29c :環状凸部
30 :連結部
31 :カム機構
32 :開栓部
32a :係合筒
42 :突出シール部
43 :シール部
46 :治具
47 :連結部
C :中心軸