IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社北電子の特許一覧

<>
  • 特開-折丁検査装置 図1
  • 特開-折丁検査装置 図2
  • 特開-折丁検査装置 図3
  • 特開-折丁検査装置 図4
  • 特開-折丁検査装置 図5
  • 特開-折丁検査装置 図6
  • 特開-折丁検査装置 図7
  • 特開-折丁検査装置 図8
  • 特開-折丁検査装置 図9
  • 特開-折丁検査装置 図10
  • 特開-折丁検査装置 図11
  • 特開-折丁検査装置 図12
  • 特開-折丁検査装置 図13
  • 特開-折丁検査装置 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041653
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】折丁検査装置
(51)【国際特許分類】
   B42C 1/00 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
B42C1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146577
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】591142507
【氏名又は名称】株式会社北電子
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 元孝
(57)【要約】
【課題】丁合工程前の準備工程において、適切な基準画像、検査領域を設定できる丁合検査装置を提供する。
【解決手段】検査装置230は、カメラ231が取得した折丁の撮像画像を基準画像としてタッチパネル232に表示し、タッチパネル232の操作に応じて基準画像の一部領域を選択領域として設定する選択領域設定処理と、選択領域のエッジスコアとして算出するスコア算出処理と、検査領域関連情報として、基準画像と、選択領域と、エッジスコアとを、同時にタッチパネル232に表示し、選択領域を基準画像内における区分けを識別可能な態様で表示する検査領域情報表示処理と、検査領域情報表示処理で表示された選択領域を、タッチパネル232の操作に応じて検査領域に設定する検査領域設定処理と、を実行する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
丁合機を備える丁合システムに設けられ、丁合工程前において予め基準画像の検査領域を設定する折丁検査装置であって、
操作者の操作を受け付ける操作部と、
丁合機によって取り出された折丁の撮像画像を取得する撮像部と、
検査領域の設定に関する情報を表示する表示部と、
制御部とを備え、
前記制御部は、
前記撮像部が取得した折丁の撮像画像を基準画像として前記表示部に表示し、前記操作部の操作に応じて基準画像の一部領域を選択領域として設定する選択領域設定処理と、
前記選択領域の検査領域としての適正度合いをスコアとして算出するスコア算出処理と、
検査領域関連情報として、前記基準画像と、前記選択領域と、前記スコアとを、同時に前記表示部に表示し、前記選択領域を前記基準画像内における区分けを識別可能な態様で表示する検査領域情報表示処理と、
前記検査領域情報表示処理で表示された前記選択領域を、前記操作部の操作に応じて検査領域に設定する検査領域設定処理と、を実行する
ことを特徴とする折丁検査装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記検査領域情報表示処理において、スコアの算出要素を強調した算出要素強調画像を、前記選択領域に表示する算出要素強調表示処理を実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の折丁検査装置。
【請求項3】
前記制御部は、
算出要素強調表示処理において、前記算出要素強調画像を、前記選択領域に加えて前記選択領域の周辺部に表示する
ことを特徴とする請求項2に記載の折丁検査装置。
【請求項4】
前記撮像部は、移動している折丁を連続して撮像することにより、撮像範囲が異なる複数の撮像画像を取得し、
前記制御部は、
各撮像画像について、算出領域を順次移動してスコアを算出する各画像スコア算出処理と、
複数の撮像画像のなかから各画像スコア算出処理において最も高いスコアが算出された撮像画像を、基準画像に選択する基準画像選択処理と、
前記基準画像選択処理で選択した基準画像について、前記選択領域設定処理、前記スコア算出処理、前記検査領域情報表示処理、前記検査領域設定処理を実行する
ことを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の折丁検査装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記基準画像選択処理では、最も高いスコアを有する撮像画像が複数存在する場合には、撮像時において前記撮像部及び折丁の撮像範囲の位置関係が最も安定する撮像画像を、基準画像に選択する
ことを特徴とする請求項4に記載の折丁検査装置。
【請求項6】
前記制御部は、
各画像スコア算出処理において画像中央部の算出範囲で最も高いスコアが算出される撮像画像である高スコア中央画像が存在する場合には、前記基準画像選択処理に関わらず、前記操作部の操作に応じて前記高スコア中央画像を基準画像に設定する
ことを特徴とする請求項4に記載の折丁検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折丁の丁合に利用される折丁検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、製本工場等の施設に設置され、丁合される折丁の検査に用いられる乱丁検査装置があった(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-240130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の乱丁検査装置は、改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一形態は、丁合機を備える丁合システムに設けられ、丁合工程前において予め基準画像の検査領域を設定する折丁検査装置であって、操作者の操作を受け付ける操作部と、丁合機によって取り出された折丁の撮像画像を取得する撮像部と、検査領域の設定に関する情報を表示する表示部と、制御部とを備え、前記制御部は、前記撮像部が取得した折丁の撮像画像を基準画像として前記表示部に表示し、前記操作部の操作に応じて基準画像の一部領域を選択領域として設定する選択領域設定処理と、前記選択領域の検査領域としての適正度合いをスコアとして算出するスコア算出処理と、検査領域関連情報として、前記基準画像と、前記選択領域と、前記スコアとを、同時に前記表示部に表示し、前記選択領域を前記基準画像内における区分けを識別可能な態様で表示する検査領域情報表示処理と、前記検査領域情報表示処理で表示された前記選択領域を、前記操作部の操作に応じて検査領域に設定する検査領域設定処理と、を実行することを特徴とする折丁検査装置である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の丁合システム1の構成を説明する図である。
図2】第1実施形態の検査装置30、対応装置40の処理の流れを説明する図である。
図3】第1実施形態の管理装置60の記憶部65に記憶した格納ファイルを説明する図である。
図4】第1実施形態の管理装置60を利用して、丁合体の工程を確認する例を説明する図である。
図5】第1実施形態の丁合システム1のカウント情報リセット処理を説明する図である。
図6】第2実施形態の丁合システム201の構成を説明する図である。
図7】第2実施形態の送り装置222の模式的な断面図である。
図8】第2実施形態の準備工程における折丁W1の撮像範囲を説明する図である。
図9】第2実施形態の準備工程における折丁W1の取得画像を説明する図である。
図10】第2実施形態の準備工程におけるスコア算出処理を説明する図である。
図11】第2実施形態の準備工程における検査領域の再設定処理を説明する図である。
図12】第2実施形態の丁合工程の検査画面281の一例を示す図である。
図13】第2実施形態の準備工程において、折丁W1の他の撮像画像291~295を取得する例を説明する図である。
図14】第2実施形態の他の撮像画像291~295を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態では、丁合システムの基本構成について説明する。
図1は、第1実施形態の丁合システム1の構成を説明する図である。
丁合システム1は、例えば、製本工場等の施設に設けられたシステムである。
丁合システム1は、折丁Wを上側から落とすように順次重ね合わせて、中間丁合体(丁合過程の丁合体)を順次作成し、全ての折丁を重ね合わせた丁合体Fを、無線綴機(図示せず)で綴じることにより、製本するシステムである。折丁Wは、製本するために刷り本を折ったもの(折られていなくてもよい)で、製本上の1単位となる。
図1の例では、中間丁合体は、搬送装置2(コンベア等)によって、右側から左側に向けて送られる。つまり、右側が上流側、左側が下流側である。搬送方向の最上流の折丁W6は、中間丁合体の最下端を構成し、下流側に向かうに従って、折丁Wが中間丁合体の上側に順次重ね合わされる。
実施形態では、最下流側の丁合駒10の構成には、適宜、番号1を付し、上流側に至るに従って番号を1ずつ増やし、最上流側の丁合駒10の構成には、番号6を付して表す。
【0008】
[丁合システム1の構成]
丁合システム1は、6つの丁合駒10(1~6)、管理装置60を備える。なお、図1は、丁合駒10(2~4)の図示を省略した。
また、実施形態において、コンピュータとは、記憶装置、制御装置、演算装置等を備えた電子計算機をいい、丁合機20、検査装置30、対応装置40、管理装置60の各装置は、記憶部、制御部等を備え、コンピュータの概念に含まれる。また、各装置は、単体の電子計算機によって構成される形態に限定されず、必要に応じて複数の電子計算機から構成されていてもよい。
記憶部は、各装置の動作に必要なプログラム、情報等を記憶するためのハードディスク、半導体メモリ素子等の記憶装置である。
制御部は、各装置の動作に必要な演算処理をしたり、各装置を統括的に制御するための装置である。制御部は、例えば、CPU(中央処理装置)等から構成される。制御部は、記憶部に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、実施形態の各種機能を実現している。
【0009】
(丁合駒10)
各丁合駒10は、丁合機20、検査装置30、対応装置40(丁合情報処理装置)を備える。
検査装置30及び対応装置40間は、通信ケーブルによって通信可能に接続されている。対応装置40及び管理装置60間は、施設内のLAN等の通信網5(一部に無線を含んでいてもよい)によって通信可能に接続されている。
【0010】
丁合駒10は、搬送装置2が流す中間丁合体に対して、1枚ずつ折丁Wを重ね合わせ、また、その折丁Wの検査をするユニット(単位丁合装置)である。なお、最上流の丁合駒10(6)は、重ね合わせる対象の中間丁合体が存在しないので、折丁W6が最初の中間丁合体となる。
丁合駒10は、各折丁W1~W6の種別毎に設けられている。丁合システム1は、6つの丁合駒10(1~6)を備えるので、6種の折丁W1~W6を上限として重ね合わせ、丁合できる。丁合駒10は、単に駒等とも称される。
【0011】
(丁合機20)
各丁合機20は、実際に、各丁合機20に対応した種別の折丁Wを、丁合体Fの中間丁合体に対して重ね合わせる装置である。
各丁合機20は、ストック部21、送り装置22を備える。
ストック部21は、複数枚の折丁Wを積層するテーブル21aを備える。
送り装置22は、ドラム22a、回転軸22b、回転位置検出部22cを備える。
ドラム22aは、円柱状の部材である。ドラム22aは、テーブル21aよりも下側に設けられている。ドラム22aは、中心軸回りの回転可能に支持される。
【0012】
回転軸22bは、ドラム22aを回転駆動させる軸体である。
回転位置検出部22cは、ドラム22aの回転位置を検出する検出部である。
回転位置検出部22cは、ドラム22aの回転位置を検出するセンサである。回転位置検出部22cは、例えば、回転軸22bと一体で回転する円盤の回転位置を、近接センサ等で検出する。これにより、回転位置検出部22cは、回転軸22bの回転位置を検出することにより、ドラム22aの回転位置を検出できる。
図1に示すように、回転軸22b、回転位置検出部22cは、複数の丁合機20が兼用してもよい。
つまり、1つの回転軸22bは、複数の丁合機20のドラム22aに接続されており、回転位置検出部22cは、回転軸22bの回転位置を検出することにより、複数の丁合機20のドラム22aの回転位置を検出するようにしてもよい。
【0013】
上記構成により、各丁合機20は、ストック部21のうち最下段に配置された折丁Wを、送り装置22で取り出して、搬送装置2に向けて落とすように構成される。
【0014】
(検査装置30)
各検査装置30は、各検査装置30に対応する丁合機20の近傍(直上等)に設けられている。各検査装置30は、各丁合機20が落とす折丁Wが適正か否かを検査する装置である。なお、検査装置30は、対応装置40との通信機能を有しているが、通信網5を介した通信機能を有していない。
各検査装置30は、カメラ31(撮像部)、記憶部35、制御部36(検査部)を備える。
カメラ31は、丁合機20によって落とされる折丁Wを撮像する装置である。カメラ31は、折丁Wの印刷面のうち、予め設定された撮像範囲の撮像画像を取得する。撮像範囲は、例えば、丁合機20が落とす折丁Wのうち下面の一部分である。制御部36は、回転位置検出部22cの出力に基づいて撮像タイミングを判定し、カメラ31に対して撮像トリガを発行するにより、カメラ31を制御する。
【0015】
記憶部35は、良否判定の判定基準となる基準画像等を記憶する。丁合システム1の管理者等(単に管理者等ともいう)は、検査装置30を操作することにより、この基準画像を記憶部35に記憶しておく。
制御部36は、カウント部36b(計数部)、良否判定部36aを備える。
良否判定部36aは、カメラ31が取得した撮像画像を画像解析することにより、例えば、撮像画像のCP(チェックポイント)の印刷位置及び傾き等の情報を取得する(図2等には、X、Y、θの数値で示す)。
また、良否判定部36aは、各丁合機20が落下する折丁Wの良否(適切なものであるか否か)を判定する。この判定処理は、基準画像に基づいて、基準画像及び撮像画像(検査画像)を、正規化相関法を用いた画像処理をすることによりスコアを算出する。そして、このスコアが基準点以上である場合には良品と判定し、基準点未満である場合には不良品と判定する。
実施形態では、これら印刷位置、傾き、スコアをまとめて検査情報72ともいう。
【0016】
カウント部36bは、丁合機20が落とした折丁Wの枚数に関する情報をカウントする。カウント部36bは、カウント情報として、総カウント値(総計数値)、NGカウント値(良否計数値)をカウント(計数)する。
総カウント値は、丁合機20が落とした折丁Wの総数(丁合総数に関する情報)である。詳細な説明を省略するが、総カウント値は、丁合機20の機械軸に取り付けたセンサの動作に基づいてカウント(インクリメント)される。このセンサは、例えば、光学センサ、磁気センサ等のエンコーダ等を用いることができ、この場合、機械軸の動作は、パルス信号(エンコーダパルス)として出力される。
【0017】
NGカウント値は、良否判定部36aが不良と判定した折丁Wの枚数である。カウント部36bは、良否判定部36aから判定結果に関する情報を取得して、NGカウント値をカウントする。
また、カウント部36bは、総カウント値、NGカウント値に加えて、検査カウント値をカウントする機能を有する。検査カウント値は、各丁合駒10が検査した折丁Wの検査数に関する情報である。カウント部36bは、回転位置検出部22cの出力に基づいてカメラ31が折丁Wを撮像する毎に、検査カウント値をカウント(インクリメント)する。 なお、検査装置30は、搬送装置2に落とされる折丁Wを検出するフォトセンサ等を備えていてもよい。この場合には、カウント部36bは、このフォトセンサ等の出力に基づいて、検査カウント値をカウントできる。
【0018】
(対応装置40)
対応装置40は、通信部41、記憶部45、制御部46(抽出処理部、合成画像作成処理部、ファイル送信処理部、計数値リセット処理部)を備える。
【0019】
通信部41は、検査装置30及び管理装置60と通信するための装置である。通信部41は、各種端子を備えるインターフェース等を備える。通信部41は、例えば、検査装置30から検査画像及びカウント情報を受信するための装置(コンポジット端子、シリアル通信用の端子等)、管理装置60との間で通信するための装置(LANポート等)を備える。
【0020】
制御部46は、検査装置30及び管理装置60の間に配置されることにより、検査装置30から取得した検査画像及びカウント情報に対して各種処理を行ったり、検査装置30の検査結果に関する情報を管理装置60に対して送信する処理等を行う。
制御部46の詳細な処理は、後述する。
【0021】
(管理装置60)
管理装置60は、丁合システム1を統括管理するためのサーバ、パーソナルコンピュータ等のコンピュータ等である。
管理装置60は、記憶部65、制御部66を備える。
記憶部65は、6つの丁合駒10(1~6)の対応装置40からそれぞれ受信した格納ファイル78を記憶し、検査履歴の情報として記憶する(図3等参照)。
制御部66は、記憶部65に記憶した格納ファイル78の管理、後述するカウント情報リセット処理等を行う。
【0022】
[丁合システム1の動作]
丁合システム1の動作について説明する。
図2は、第1実施形態の検査装置30、対応装置40の処理の流れを説明する図である。
図3は、第1実施形態の管理装置60の記憶部65に記憶した格納ファイル78を説明する図である。
以下、一例として、2020年1月1日の1番ロット(Lot1ともいう)の丁合の工程を説明する。また、以下、主に丁合駒10(6)の動作に関して説明する。なお、他丁合駒10(1~5)も、それぞれ、折丁W1~W5の落とし動作等を行う。この場合、全ての丁合駒10(1~6)が正確に同期して折丁W1~W6の落とし動作等を行うとは限らない。但し、各丁合駒10は、搬送装置2によって送られる中間丁合体に対して折丁Wを順次落とすのであるから、複数の丁合駒10(1~6)間において、落とし動作を行う期間が大きくずれることはない。例えば、各丁合駒10において、n枚目(nは自然数)の折丁Wの落とし動作をしている場合には、基本的には、他丁合駒10においても、n枚目の折丁Wの落とし動作をしている。実施形態では、複数の丁合駒10(1~6)において、同じ枚目の折丁Wに関する動作がこのようにほぼ同じ期間であることを、適宜「同時期」等ともいう。
後述するように、総カウント値が同一である格納ファイル78は、丁合駒10(1~6)による同時期の工程に関するものである。このため、管理者等は、総カウント値が同一の格納ファイル78同士を参照することにより、各丁合駒10及び他丁合駒10の同時期の工程を検証できる。
【0023】
丁合駒10(6)は、以下の工程に従う。
(丁合機20の処理)
(♯1)折丁W6の落とし工程(丁合工程)
丁合機20は、折丁W6を落とすタイミングが到達することに応じて、ストック部21の最下部に配置された折丁W6を、搬送装置2に向けて落とす。
なお、丁合機20(6)の折丁W6は、最初の中間丁合体を構成する。丁合機20(1~5)の折丁W1~W5は、搬送されてきた中間丁合体に積層されるように落とされる。
【0024】
(検査装置30の処理)
(♯2)撮像処理
検査装置30のカメラ31は、丁合機20から落とされる折丁W6の撮像画像71を取得する。
(♯3)検査情報取得処理
検査装置30の良否判定部36aは、カメラ31が取得した撮像画像71を検査することにより、検査情報72を取得する。この処理では、良否判定部36aは、カメラ31が取得した撮像画像71、記憶部35に記憶した基準画像等に基づいて、検査情報72として、「印刷位置、傾き、良否判定結果(OK又はNG)」を取得する。図2の検査情報72は、撮像画像71の良否判定処理することにより、「判定:OK、スコア:86、X:251、Y:222、θ:3」が取得された例である。
【0025】
(♯4)検査画像作成処理
検査装置30の制御部36は、カメラ31が取得した撮像画像71と、良否判定部36aが取得した検査情報72とを合成することにより、検査画像73を作成する。なお、検査画像73は、検査装置30に設けられた液晶表示装置等の表示装置(図示せず)に表示される。
【0026】
(♯5)カウント処理
検査装置30のカウント部36bは、カウント情報74を取得する。
この処理では、カウント部36bは、上記♯1における丁合機20の機械軸の動作をエンコーダが検出することに基づいて、総カウント値を1つ加算処理(インクリメント)する。また、上記♯3の処理で、検査情報72の判定が「NG」であった場合には、NGカウント値を1つ加算する。
図2は、総カウント値が1つ加算されることにより「12345」と算出され、また、検査情報72の判定が「OK」であるので、NGカウント値が加算されずに「0046」が維持された例である。
なお、後述するように、全ての丁合駒10(1~6)において、同時期の工程における総カウント値は、同期している。
【0027】
(♯6)検査情報出力処理
検査装置30の制御部36は、♯4で作成した検査画像73と、♯5で取得したカウント情報74を、対応装置40に出力(送信)する。
【0028】
(対応装置40の処理)
(♯7:合成画像作成処理)
対応装置40の制御部46は、検査装置30が出力した検査画像73、カウント情報74を画像処理することにより合成画像75を作成する。
合成処理では、検査画像73に対して、カウント情報74を「NGカウント値/総カウント値」の表示態様で、OSD(on-screen display)等の手法を用いて画像合成する。
図2の合成画像75は、検査画像73に対して、カウント情報74である「0046/12345」が合成された例である。
そして、制御部46は、合成画像75を、合成画像ファイル76にファイル化し、かつ、ファイル化の際に識別可能なファイル名を付して一時記憶する。実施形態では、ファイル名を、加工日、ロット番号、丁合駒10の番号、総カウント値の情報及び画像ファイルの拡張子を用いて、「20220101_Lot1_M6_12345.bmp」の名称とする。このため、合成画像ファイル76は、同じ名称のファイルが存在しないため識別可能であり、かつ、ファイル名に基づいて上記情報(加工日、ロット番号、丁合駒10の番号、総カウント値)を確認できる。
【0029】
(♯8:文字抽出処理)
対応装置40の制御部46は、合成画像75を抽出対象画像として、OCR(optical character reader)等の画像処理を行って文字抽出処理を行う。
これにより、合成画像75に含まれる検査情報72、カウント情報74(総カウント値、良否カウント値)が抽出情報として抽出される。なお、実施形態では、文字情報は、英数字の例を示すが、これに限定されず、各種記号を含む形態でもよい。
そして、制御部46は、抽出した文字情報を、合成画像75と同様に「20220101_Lot1_M6_12345.txt」の名称を付して、テキストファイル77(抽出テキストファイル)として一時記憶する。
【0030】
(♯9:格納処理)
対応装置40の制御部46は、上記工程♯7で作成した合成画像ファイル76と、上記工程♯8で作成したテキストファイル77とを1フォルダ内に格納後、zip方式等により圧縮処理した格納ファイル78(単ファイル)を作成する。この場合、制御部46は、この格納ファイル78に、合成画像75と同様に、識別可能な「20220101_Lot1_M6_12345.zip」の名称を付す。なお、実施形態において、フォルダとは、合成画像ファイル76、テキストファイル77等の複数のファイルをグループ化するディレクトリ構造をいい、ファイルの概念に含まれる。
この処理によって、各丁合駒10の1工程の詳細が、1つの格納ファイル78に格納される。
(♯10:ファイル送信処理)
対応装置40の制御部46は、上記工程♯9で作成した格納ファイル78を、管理装置60に送信する。
【0031】
以上の処理により、丁合駒10の1つの折丁W6の重ね工程が終了する。
6つの丁合駒10(1~6)は、これらの工程を、同時期に行い、かつ、独立して行う。6つの丁合駒10(1~6)は、1回のLotの丁合工程が開始されてから終了するまで、これらの工程を継続する。
【0032】
(管理装置60の処理)
(♯11:格納ファイル78の記憶処理)
図3に示すように、管理装置60の制御部66は、6つの丁合駒10(1~6)が送信した各格納ファイル78を受信すると、記憶部65に記憶する。これにより、記憶部65は、各丁合駒10から送信された格納ファイル78が、識別可能な態様で記憶されていく。
また、複数の格納ファイル78のうちファイル名の総カウント値等が同じものは、複数の丁合駒10において同時期に落とし工程が行われ、複数の丁合駒10から送信されたものである。例えば、ファイル名「20220101_Lot1_M6_12345.zip」の格納ファイル78は、丁合駒10(6)の総カウント値12345の工程であり、また、ファイル名「20220101_Lot1_M5_12345.zip」の格納ファイル78は、丁合駒10(5)の総カウント値12345の工程である。これらの格納ファイル78は、丁合駒10(5)、丁合駒10(6)において同時期に落とし工程が行われた際に作成されたものである。
【0033】
(丁合体Fのトレーサビリティ)
図4は、第1実施形態の管理装置60を利用して、丁合体Fの工程を確認する例を説明する図である。
管理者等は、例えば、丁合体F(書籍等)の出荷後に、万が一、市場において不良品等が見つかった際には、その不良品等がどのような工程を経て出荷されたのか等を調査する場合がある。この場合には、丁合体Fの出荷日等、識別番号等に基づいて、製造日、Lot番号等を特定し、その不良品等に関わった丁合駒10、及びその近隣の丁合駒10の工程を確認することが有効である。
【0034】
例えば、丁合駒10(5)は、本来、折丁W5を重ねる装置であるが、折丁W6が混入していた場合には、丁合駒10(5)、丁合駒10(6)が同時期に、2つの折丁W6を落とすことになる。
図4に示すように、ファイル名「20220101_Lot1_M5_12345.zip」、ファイル名「20220101_Lot1_M6_12345.zip」は、カウント値「12345」が同じであるので、丁合駒10(5)の工程と、丁合駒10(6)の工程とは、同時期であることを示す。管理者等は、これらの格納ファイル78を、管理装置60の表示装置等で確認することにより、丁合機20(5)が、本来の折丁W5ではなく、隣の丁合機20(5)が扱う折丁W6を落としたことを確認できる。
また、総カウント値が「12346」である「20220101_Lot1_M5_12346.zip」の格納ファイル78には、丁合駒10(5)で本来落とす折丁W5の「20220101_Lot1_M5_12346.bmp」の合成画像ファイル76が格納されている。このため、管理者等は、カウント値「12346」以降の工程は、適正であろうと推測できる。
なお、丁合システム1は、フォルダ圧縮にzip方式を用いるため、格納フォルダ内の合成画像ファイル76、テキストファイル77を解凍することなく確認できるので、利便性がよい。
【0035】
このように、丁合駒10(1~6)の検査装置30の総カウント値は、同時期の工程において同期しているので、格納ファイル78のなかから同一の総カウント値の格納ファイル78を参照することにより、6つの丁合機20が同時期に行った加工を確認できる。このため、例えば、不良等が発生した際には、同一の総カウント値の格納ファイル78を参照することにより、その丁合工程のトレーサビリティを確保できる。
【0036】
また、丁合システム1は、上記構成、処理により、以下の作用、効果を奏する。
(1)合成画像75と、検査情報72(判定スコア等)とを格納ファイル78に格納し、識別情報を付して管理装置60で管理する。このため、各丁合機20の各工程で扱った折丁Wの合成画像75及び検査情報72を、一体化し、ばらばらにならずに管理できる。また、製本不良等が発生した際には、識別情報に基づいて、折丁Wの合成画像75及び検査情報72(つまり過去の加工内容)を読み出すことができるので、トレーサビリティを向上できる。
【0037】
(2)テキストファイル77の情報は、総カウント値及びNGカウント値を含むので、不良等が発生した際には、管理者等は、管理装置60に記憶した格納ファイル78を識別情報に基づいて参照することにより、加工時における各折丁Wの良否を確認できる。
(3)管理装置60は、格納ファイル78を記憶するので、複数の丁合機20の加工内容(合成画像75、検査情報72)を統括して管理できる。また、管理装置60としてサーバ、パーソナルコンピュータ等を用いることにより、これらの格納ファイル78を1又は少数台のストレージで管理できるので、管理が容易であるし、また低コストである。
すなわち、実施形態とは異なり各検査装置30、又は対応装置40にそれぞれストレージを備える形態であると、管理が煩雑となってしまうし、また用意するストレージの台数が膨大になってしまう。また、検査装置30にDVR(Digital Video Recorder)等のレコーダを接続する形態であると、これらのレコーダは、残記憶容量が少なくなった場合に、補充、交換等する必要があるため、手間が掛かり、また、高コストであるという問題がある。
【0038】
(4)複数の対応装置40は、全て同じ仕様にする必要がなく、各検査装置30に対応したものを用意できる。
すなわち、一般的に、丁合システムは、丁合機、検査装置等を同時に導入するのではなく、既存のシステムに対して逐次追加して補強する場合がある。このため、丁合システムの複数の丁合機は、機種、仕様等が異なる場合がある。複数の検査装置も、同様である。このような事情のため、複数の検査装置から出力される検査画像等の信号の規格が互いに異なり、従来の丁合システムは、検査情報の統括管理が困難であるという問題があった。
本実施形態の丁合システム1は、各検査装置30に対応した対応装置40を用意することにより、全対応装置40から同一の仕様の格納ファイル78を、管理装置60に出力できる。これにより、管理装置60は、検査装置30の仕様等が異なっていても、検査情報72等を統括管理できる。
【0039】
(リセット処理)
図5は、第1実施形態の丁合システム1のカウント情報リセット処理を説明する図である。
図5に示すように、丁合駒10(1~6)の各検査装置30は、それぞれ表示部32(1~6)を備える。表示部32は、液晶表示装置等の表示装置である。表示部32(1~6)は、総カウント値を表示する。
カウント情報リセット処理は、検査装置30のカウント情報74(総カウント値、NGカウント値)を、ゼロにリセットする処理である。この場合、総カウント値、NGカウント値に加えて、検査カウント値をリセットしてもよい。
管理者等は、例えば、当日の最初のLotの開始時、Lotの切替時等に、管理装置60のキーボード、スイッチ等の操作部(図示せず)を操作することにより、カウント情報リセット処理を実行できる。
管理装置60の制御部66は、操作部の操作に応じて、リセット信号(計数値リセット命令)を6つの対応装置40に対して一斉に送信する。
【0040】
丁合駒10(6)の対応装置40(6)は、リセット信号を受信すると、検査装置30のカウント部36bに対して、カウント情報74を、ゼロにリセットするように命令する。
これに応じて、検査装置30のカウント部36bは、カウント情報74を、ゼロにリセットする。また、表示部32(6)の総カウント値の表示が、ゼロにリセットされる。
同様に、他の丁合駒10(1~5)においても、各検査装置30(1~5)のカウント情報74がリセットされる。また、表示部32(1~5)の総カウント値の表示が、ゼロにリセットされる。
【0041】
以上の処理により、丁合工程では、全ての検査装置30の総カウント値は、同時期の工程において同期する。このため、複数の丁合駒10において同時期に行った落とし工程の総カウント値が、複数の丁合駒10間で一致する。
【0042】
また、複数の丁合駒10において、NGカウント値も、各検査装置30(1~6)でリセットされる。これにより、各丁合駒10は、各丁合駒10におけるNGカウント値を、他の丁合駒10から独立してゼロからカウントできる。
このように、丁合システム1は、全丁合駒10のカウント情報74を容易にリセットして、同時期の工程において同期できる。これにより、前述したように、ファイル名に総カウント値を付すことにより、製本工程のトレーサビリティを確保できる。
【0043】
さらに、丁合システム1は、カウント情報74のリセット処理等を行うことにより、以下の作用、効果を奏する。
(1)管理装置60を操作等することにより、複数の検査装置30を個別に操作することなく、複数の検査装置30のカウント情報74を、対応装置40を介してリセットできる。これにより、リセットするための操作が煩雑にならず、容易である。
【0044】
ここで、6つの丁合駒10(1~6)は、丁合体Fの仕様(折丁Wの枚数)に応じて、全部が利用される場合もあれば、一部のみが利用される場合もある。6つの丁合駒10(1~6)のうち使用されないものは、丁合工程が進行しても、カウント情報74が更新されない。このため、複数のLotを重ねていくと、通常は、6つの丁合駒10(1~6)の総カウント値は、不一致となる。
実施形態では、管理者等は、Lotの切替時等において、6つの丁合駒10(1~6)のカウント情報を、簡単な操作でリセットできる。これにより、丁合システム1は、カウント情報に基づく工程の管理を促進できる。
【0045】
(2)丁合システム1内の全検査装置30の総カウント値を、同時にリセットできるので、生産ロットの区切りを明確にできるし、また、総カウント値をLot切替後等の丁合体Fの生産カウンタとしてそのまま扱うことができる。
【0046】
ここで、従来の丁合システムは、検査装置がカウント情報のリセット機能を有していても、全丁合駒に対するリセット作業が煩雑である等の理由から、カウント情報を十分に活用できていなかった。また、従来は、複数の検査装置30の時計を同期させて、検査画像のファイルの記憶日時に基づいて、各工程をトレースする手法が用いられることもあった。
しかし、記憶日時に基づく管理手法は、不良品発生時刻(検査画像の記憶日時)が不明確であると、検索範囲が広くなってしまう。このため、この管理手法は、不良品の検査画像を発見するまでに、時間を要するケースがあった。
また、時間経過に応じて、複数の検査装置の時計の時刻が不一致となるし、また、製本工場等の施設は、高温であるため、検査装置の時計は、精度が低下して、くるいやすいという問題もあった。
【0047】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面において、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、適宜、同様な名称を付し、同一の符号又は末尾(下2桁)に同一の符号を適宜付して、重複する説明を適宜省略する。
第2実施形態では、実際の丁合工程の前に予め行われる基本画像、検査領域(図2に示すCP参照)の設定に関する構成等について説明する。
図6は、第2実施形態の丁合システム201の構成を説明する図である。
図7は、第2実施形態の送り装置222の模式的な断面図である。
図6に示すように、丁合システム201の丁合駒210の検査装置230は、第1実施形態の検査装置230及び対応装置が一体となった装置である。但し、これに限定されず、検査装置230は、複数の装置から構成されたシステムであってもよい。
検査装置230は、第1実施形態の検査装置の機能及び対応装置の機能を有する装置である。
【0048】
丁合駒210の構成を、丁合駒210(1)を例に説明する。
図7(A)に示すように、丁合機20は、送り装置222を備える。
送り装置222は、ストック部21のテーブル21aに積層された複数の折丁W1を、搬送装置2に向けて送る装置である。
送り装置222のドラム222aは、クリップ222bを備える。
クリップ222bは、ドラム222aの外周面に設けられている。
【0049】
クリップ222bは、テーブル21aの最下部に積層された折丁W1の先端部(回転方向θ222aである搬出方向の先端の縁部)を把持する。ドラム222aは、回転駆動されることにより、クリップ222bに把持された折丁W1を、外周面に巻き掛けるようにして、ストック部21から取り出す。
クリップ222bは、設定されたタイミングで折丁W1の把持を解除する。これにより、折丁W1は、搬送装置2に向けて下側に落下する。
【0050】
検査装置230は、カメラ231(撮像部)、タッチパネル232、記憶部235、制御部236を備える。また、検査装置230は、フォトセンサ33等を備える。
カメラ231は、送り装置222によって取り出された折丁W1の撮像画像を取得する。カメラ231の光軸と、ドラム222aの径方向とは、一致している。これにより、カメラ231は、ドラム222aの外周面に巻き掛けられた状態の折丁W1を、折丁W1の表面の法線方向から撮像する(図7(A)参照)。
【0051】
タッチパネル232は、作業者(操作者)の操作を受け付ける操作部、及び各種情報を表示する表示部を兼用した装置である。タッチパネル232は、例えば、タッチ入力式の入力装置、液晶表示装置等の表示装置を備える。なお、操作部及び表示部は、別々の装置でもよい。この場合、操作部は、例えば、マウス、キーボード、ボタン等の入力装置を備えていてもよい。
タッチパネル232は、準備工程では検査領域の設定に関する情報等、丁合工程では検査結果に関する情報等を表示する。
【0052】
記憶部235は、第1実施形態の検査装置及び対応装置の両方の機能を満たすための情報等を記憶する。また、制御部236は、第1実施形態の検査装置及び対応装置の両方の機能を満たすための制御等を行ってもよく、検査装置のみの機能を満たすための制御等を行ってもよい。
【0053】
[準備工程]
図8は、第2実施形態の準備工程における折丁W1の撮像範囲を説明する図である。
図9は、第2実施形態の準備工程における折丁W1の取得画像を説明する図である。
図10は、第2実施形態の準備工程におけるスコア算出処理を説明する図である。
図11は、第2実施形態の準備工程における検査領域の再設定処理を説明する図である。
準備工程は、丁合工程の前に行われる工程である。
以下説明するように、準備工程では、検査装置230の制御部236は、基準画像の設定処理、基準画像内での検査領域の設定処理等を行う。準備工程では、各丁合機20を稼働することにより、例えば1枚の折丁W1を搬出する。
準備工程は、以下の工程に従って行われる。以下、主に丁合駒210(1)に関する処理について説明する。
【0054】
[基準画像選択処理]
(♯201)撮像画像取得処理
図7(A)に示すように、制御部236は、回転位置検出部22cの出力に基づいて、カメラ231を制御することにより、ドラム222aで搬出される折丁W1を連続して撮像する。カメラ231は、一定の期間毎に連続して撮像を実行する。
図8図9に示すように、カメラ231は、1度の撮影では、折丁W1の一部範囲の撮像画像を取得する。これにより、カメラ231は、送り方向に細長い範囲において、5個の撮像範囲L271~L275の撮像画像271~275を取得する。なお、取得される撮像画像の数は、実施形態では5個である例を示すが、4個以下、6個以上でもよい。また、図8図9の例では、隣り合う撮像画像271~275は、重複している例を示すが、重複していなくてもよい。
【0055】
(♯202)不安定画像排除処理
制御部236は、以降の処理で基準画像を選定する上で、基準画像として適さない撮像画像を、予め排除する。実施形態では、一例として、撮像画像271~275を画像解析することにより、ピンぼけした画像、つまりピントが合っていないためにぼけた画像を排除する。図9の例では、ピンぼけした撮像画像275は、排除される。
【0056】
ピンぼけの発生要因の一つは、カメラ231と、折丁W1の撮像位置(被写体)との位置関係が安定しないことである。
図7(A)に示すように、折丁W1は、送り方向の先端をクリップ222bに把持された状態で、ドラム222aに巻き掛けられるようにして、搬出される。このため、折丁W1は、送り方向の後端側に至る程、クリップ222bからの距離が長くなるため、カメラ231との位置関係が不安定となる。
図7(B)は、折丁W1の後端部が、ドラム222aから浮いた状態を示す。このような状態では、後端部は、予め設定されたピントと合わないために、折丁W1の後端側であって後ろのタイミングで撮像される撮像画像である程、ピンぼけになりやすい。
【0057】
なお、折丁の後端部である程、撮像位置が不安定となる構成は、一例である。カメラ231と、折丁W1の撮像位置との安定度合いは、折丁W1の搬出方法によって異なる。折丁W1の撮像位置の安定度合いは、例えば、折丁の咬え装置の種別(万力式、ロータリ式等)によっても異なる場合があり、また、折丁W1を搬出する際のガイドの有無等によって異なる場合がある。
【0058】
(♯203)エッジスコア算出処理(各画像スコア算出処理)
制御部236は、エッジスコア算出処理を実行する。
エッジスコア算出処理では、各画像について、エッジスコアの最高スコアを算出する処理である。
図10を参照し、撮像画像273に関するエッジスコア算出処理について説明する。
制御部236は、エッジスコア算出処理を、以下の工程に従って行う。
(♯203a)エッジ強調画像作成処理
制御部236は、撮像画像取得処理で取得した撮像画像273を画像処理することにより、画像内部のエッジ、境界線を強調したエッジ強調画像273aを作成する。
(♯203b)エッジスコアの算出
制御部236は、エッジ強調画像273aを、正方形の一定範囲の算出領域でスキャンすることにより、エッジスコアを算出する。なお、撮像画像273に対して、エッジスコアを算定する処理と、エッジ強調画像273aを作成する処理とは、互いに独立した処理でもよい。
図10の例では、エッジ強調画像273aの左上コーナ部の位置P1からスキャンを開始する。
制御部236は、位置P1の算出領域内を画像解析することにより、エッジスコアを算出する。
なお、実施形態において、エッジ強調画像273aのエッジ部分は、エッジスコアの算出要素であり、エッジスコアは、解析画像内の画像のエッジの数量の度合い示すパラメータである。基本的には、エッジスコアが高い算出領域である程、丁合工程時において折丁W1の良否判定の精度が高いため、検査領域として適している。つまり、エッジスコアは、検査領域としての適正度合いを示す。
【0059】
制御部236は、位置P1のエッジスコアの算出が終了したら、算出領域を一定間隔で右側に移動した位置P2におけるエッジスコアを算出する。制御部236は、算出領域を一定間隔で右側に順次移動しながら各位置におけるエッジスコアを算出する。そして、制御部236は、算出領域が右上端部に到達したら、算出領域を位置P1よりも下側の位置に移動した後、同様に、算出領域を一定間隔で右側に順次移動する。
制御部236は、右下コーナ部の位置P30におけるエッジスコアを算出するまで、これらのスキャンを順次行う。なお、隣合う算出領域は、縁部が重なるように、スキャンされてもよい。
【0060】
(♯203c)最高スコア選択処理
制御部236は、位置P1~P30のなかから、最もエッジスコアの高い位置及びエッジスコアを判定する。制御部236は、図10の撮像画像273のエッジ強調画像273aにおいては、位置P5のエッジスコア120点が最も高いと判定する。制御部236は、位置P5及びこの最高スコア120点を対応付けて、記憶部235に記憶する。
【0061】
(♯204)基準画像選択処理
制御部236は、5個の撮像画像271~275の全てについて、エッジスコア算出処理が終了すると、基準画像選択処理を実行する。制御部236は、基準画像として、5個の撮像画像271~275のなかから最も高い最高スコアを有する撮像画像を選択する。なお、撮像画像275は、不安定画像排除処理において排除されているので、基準画像の選択対象から除外される。
図9の例では、撮像画像271~274の最高スコアは、それぞれ20点、90点、120点、120点である。この例では、2つの撮像画像273,274が、最も高い最高スコア120点である。
【0062】
このように、最も高い最高スコアを有する撮像画像が複数存在する場合には、制御部236は、撮像時においてカメラ231及び折丁W1の撮像範囲の位置関係が最も安定する撮像画像を、基準画像に選択する。
前述したように、実施形態では、折丁W1は、送り方向の後端側に至る程、クリップ222bからの距離が長くなるため、カメラ231との位置関係が不安定となる。つまり、撮像タイミングが早い撮像画像である程、この位置関係が安定する。
このため、制御部236は、撮像画像274よりも撮像タイミングが早い撮像画像273を、基準画像として選択する。また、制御部236は、丁合工程における検査領域として、撮像画像273のうち最高スコアが算出された位置P5を、設定する。これにより、丁合工程における検査精度を向上できる。
【0063】
但し、前述したように、カメラ231と、折丁W1の撮像位置との安定度合いは、丁合機の種別、具体的には折丁の咥え装置の種別等によって異なる場合がある。このため、検査装置230は、エッジスコアが同点である場合、何れの撮像画像を選択するかの選択条件、優先順位の条件等を、予め、作業者の操作に応じて設定できるようにしてもよい。例えば、上記とは異なり折丁W1の後端である程(つまり、撮像タイミングが遅い程)、安定度合いが高い構成である場合には、より後端側の撮像画像を選択するように設定されていてもよい。
【0064】
以上の処理によって、折丁W1を丁合する丁合駒210(1)の基準画像、検査領域に関する設定処理が終了する。
作業者は、丁合駒210(1~6)の設定処理が終了したら、設定情報を各丁合駒210のタッチパネル232等で確認し、設定情報に問題がなければ、丁合システム201を操作することにより、丁合工程に進めばよい。
【0065】
[検査領域の再設定処理]
一方で、作業者は、設定情報に問題があると判断した場合には、設定情報の再設定を行うことができる。
設定情報に問題がある場合とは、2以上の丁合駒210の設定情報が類似している場合である。一例として、2種の折丁Wが類似した印刷面を有する場合等には、2以上の丁合駒210において、設定情報が類似する場合がある。このような場合には、一の丁合駒210に、他の丁合駒210の折丁Wが混入しても、適正として判定されてしまう可能性が高い。
作業者は、設定情報に問題がある場合には、検査装置230を操作することにより、検査領域の再設定を行うことができる。
【0066】
図11に示すように、検査装置230の制御部236は、検査領域の再設定の操作を受け付けることにより、検査領域の再設定処理を開始する。
以下、一例として、丁合駒210(1)の検査領域の再設定処理を説明する。
図11に示すように、制御部236は、検査領域再設定画面280をタッチパネル232に表示する。
検査領域再設定画面280は、基準画像270(図11の例では撮像画像273)、選択領域280a、サーチ領域280b及び選択領域スコア280cを含む再設定時における検査領域に関する情報(検査領域関連情報)と、検査領域確定ボタン280dとを表示する(検査領域情報表示処理)。
基準画像270は、上記基準画像選択処理(♯204)によって選択された画像である。
また、選択領域280a、サーチ領域280b、選択領域スコア280cは、以下の処理によって表示される。
【0067】
(♯211)選択領域設定処理
選択領域280a、サーチ領域280bは、作業者からタッチパネル232のタッチ操作を受け付けることにより、表示される。選択領域280a、サーチ領域280bは、タッチ操作された位置(座標)を中心とした正方形の領域である。選択領域280a、サーチ領域280bは、仕切り線である外形枠が表示されることにより、基準画像270内における区分けを識別可能な態様で表示される。なお、選択領域280a、サーチ領域280bは、区分けが識別可能であれば何れの表示態様でもよく、例えば、四隅のコーナ部のみに鍵状のマークを表示してもよい。
選択領域280aは、新たに検査領域として再設定可能な領域であり、図10の算出領域と同じ大きさ、外形である。
サーチ領域280bは、選択領域280aの周辺部を含む領域であり、選択領域280aよりも一回り大きな外形を有する。サーチ領域280bは、丁合工程において、検査領域の位置ずれ、回転ずれの許容範囲としてもよい(図12に示す検査画像71のサーチ領域280bを参照)。
【0068】
(♯212)エッジ強調画像表示処理(算出要素強調表示処理)
制御部236は、基準画像270のうち、選択領域280aを含むサーチ領域280b内の画像を、エッジ強調画像280e(算出要素強調画像)に置き換えて、タッチパネル232に表示する。エッジ強調画像280eは、上記エッジ強調画像作成処理(♯203a)で作成したエッジ強調画像273aをトリミングしたものでもよい。
このように、検査領域再設定画面280は、エッジ強調画像280eを選択領域280aに表示するので、エッジスコアの算出要素を分かりやすく表示できる。また、エッジ強調画像280eは、サーチ領域280bまで拡張して表示されるので、作業者は、選択領域280aの周辺のエッジの状態(エッジ数量等)を確認できる。
【0069】
(♯213)選択領域スコア算出処理
選択領域スコア280cは、選択領域280a内のエッジスコアを含む情報である。
すなわち、制御部236は、選択領域280a内のエッジスコアを算出し(スコア算出処理)、このエッジスコアを含む選択領域スコア280cを表示する。
【0070】
作業者は、検査領域再設定画面280において、現時点で選択している選択領域280aを移動したい場合には、タッチパネル232に表示された基準画像270のタッチ位置をそのまま上下左右にスライドしてもよく、また、基準画像270の別の位置をタッチしてもよい。
これに応じて、制御部236は、選択領域280a、サーチ領域280bを移動後、移動後のエッジ強調画像280e、選択領域スコア280cを更新して、検査領域再設定画面280に表示する。
【0071】
上記処理により、作業者は、選択した選択領域280aと、そのエッジスコアを、同時に確認できる。選択領域280aを移動したい場合には、検査領域再設定画面280内のタッチ位置を変更すればよい。これにより、作業者は、選択領域280aを変更しながら、選択領域280a及びエッジスコアをリアルタイムで参照しながら、検査領域として適切な領域(エッジスコアが高い領域等)を設定でき、また設定する際の作業性がよい。
また、エッジ強調画像280eは、サーチ領域280bまで拡張して表示されるので、作業者は、選択領域280aを微調整する際には、選択領域280aの周辺のエッジの状態を参照できる。作業者は、例えば、選択領域280aをエッジスコアがより高い領域に移動したい際には、現時点で選択した領域の周辺のうち、エッジが多い方向へとドラッグして移動すればよい(図10に示す十字の矢印参照)。
【0072】
作業者は、全ての丁合駒210の設定情報を勘案した結果、丁合駒210の検査装置230において現時点で選択された選択領域280aを、検査領域として確定する際には、検査領域確定ボタン280dを操作すればよい。
制御部236は、検査領域確定ボタン280dの操作を受け付けることにより、検査領域情報表示処理で表示された選択領域280aを、検査領域に設定する(検査領域設定処理)。
そして、作業者は、再度、丁合駒210(1~6)の設定処理を確認し、設定情報に問題がなければ、丁合システム201を操作することにより、丁合工程に進めばよい。
【0073】
[丁合工程]
図12は、第2実施形態の丁合工程の検査画面281の一例を示す図である。
丁合システム201は、作業者の操作を受け付けることに応じて、丁合工程の処理を開始する。
丁合工程の処理は、第1実施形態の処理と同様である。例えば、各丁合駒210の検査装置230は、丁合工程において取得された検査画像71と、設定された基準画像270とを比較することにより、撮像画像71内に検査領域280fと一致する領域が存在するか否かに基づいて、丁合される折丁Wの良否を判定する。そして、各検査装置230は、判定結果に関する情報を、管理装置60に送信する。
なお、検査画像71及び基準画像270を比較して良否を判定する手法としては、例えば、特開2009-66979公報に記載の方法等を用いることができる。
【0074】
[作業者による基準画像の選択]
図13は、第2実施形態の準備工程において、折丁W1の他の撮像画像291~295を取得する例を説明する図である。
図14は、第2実施形態の他の撮像画像291~295を説明する図である。
作業者は、上記処理により基準画像を設定できるが、種々の事情に応じて、上記処理によって選択された撮像画像とは異なる撮像画像を、基準画像に選択することを要する場合がある。すなわち、準備工程において、十分に高いエッジスコアを有する撮像画像を基準画像に設定しても、丁合工程においては、適切に良否判定できない場合が有り得る。
【0075】
図13に示すように、検査装置230は、準備工程において、例えば折丁W1の左側ページを撮像した場合には(撮像範囲L291~L295参照)、図14に示す撮像画像291~295が取得される。また、検査装置230は、これらの撮像画像291~295を画像処理することにより、エッジ強調画像291a~295aを作成する。
【0076】
図14に示すように、この例では、不安定画像排除処理(♯202)において、ピンぼけした撮像画像295を除外した上で、基準画像選択処理(♯204)において、最も高い最高スコアを有する撮像画像293が基準画像として選択されることになる。
しかし、撮像画像293は、同様なパターンを同じピッチで繰りかえす市松模様を有する画像である。このような画像を基準画像に設定してしまうと、丁合工程において、制御部236は、ピッチ分だけ印刷ずれをした折丁W1を検査したときに、本来はNGであると判定すべきところを、OKであると誤判定する可能性がある。
【0077】
なお、このような模様は、誤判定されやすい基準画像の一例である。丁合工程における誤判定は、種々の要因による。
例えば、下側の範囲にページ番号のみが印刷され他の範囲が空白である折丁W1である場合や、下側の範囲にページ番号が印刷され他の範囲がエッジを判定しにくい図柄(例えば濃淡の薄い写真等)である場合等には、十分なエッジスコアを有する撮像画像を取得できないために、誤判定がされやすい。すなわち、これらの他の範囲の撮像画像が基準画像に設定されてしまうと、位置ずれ等した折丁W1を検査する場合に、エッジスコアに基づいて検査しても、閾値内(判定基準内)となって、誤判定がされやすい。
【0078】
作業者は、設定された撮像画像293が、上記理由等によって基準画像として不適切であると判断した場合には、検査装置230を操作することにより、自分で任意に選択した他の撮像画像を基準画像に選択できる。
この場合、図14(A)に示すように、撮像画像291,292,294は、無地の画像でありエッジスコアが明らかに低いので、基準画像として不適切である。このため、作業者は、撮像画像295を選択できる。
検査装置230の制御部236は、作業者から操作を受け付けると、上記処理によって設定した基準画像を、作業者が選択した撮像画像295に変更する。これにより、制御部236は、上記処理(基準画像選択処理、及び再設定した基準画像選択処理)に関わらず、基準画像を変更することになる。
この場合、制御部236は、基準画像を作業者が選択した撮像画像295に変更する条件として、「撮像画像295は、中央部の算出範囲に、最高スコアが算出される高スコア中央画像295cが存在すること」としてもよい。
【0079】
すなわち、前述したように、送り方向の後端側の撮像画像295は、ピンぼけの可能性があること等に理由によって、本来は、基準画像としては、不適切である場合が多い。これは、照明の照度は、画像中央部の方が、画像周辺部(画像のコーナ部近傍、縁部近傍等)よりも、安定するためである。
つまり、画像周辺部の照度は、撮像条件として低過ぎる場合があったり、逆に高過ぎする場合がある。このように照度が低過ぎたり、高過ぎる場合には、画像のコントラストが低くなってしまう場合がある。コントラストが低い撮像画像は、基準画像として適さない。
また、撮像画像の周辺部は、中央部よりも像の歪みが大きいといった性質も有する。
【0080】
これに対して、画像中央部は、撮像条件が良好であるため、仮りにピンぼけした撮像画像295を基準画像に設定しても、丁合工程の検査が安定する可能性が高い。
すなわち、検査装置230は、作業者が選択した撮像画像295を基準画像に設定しても、丁合工程における検査が安定するように、基準画像を変更する条件を課しているわけである。
【0081】
さらに、高スコア中央画像295cは、画像中央部に位置するため、丁合工程における検査を短時間で行うことができる等(サーチ時間短縮)のメリットがある。
なお、検査装置230は、作業者による基準画像の選択においては、検査領域の再設定処理と同様に、撮像画像295をタッチパネル232に表示することにより、作業者から検査領域の選択操作を受け付けてもよい(図8参照)。この場合には、検査装置230は、作業者が選択した検査領域が、撮像画像295の中央部に位置することを条件に、基準画像を変更するようにしてもよい。この場合には、検査装置230は、作業者が選択した検査領域が、閾値(許容範囲)内に存在するか否かを判定してもよい。
【0082】
このように、検査装置230は、基準画像選択処理において設定された基準画像では丁合工程において誤判定される可能性が高い場合等において、作業者による基準画像の選択を受け付けることにより、誤判定を抑制できる。
【0083】
以上説明したように、本実施形態の検査装置230は、作業者が基準画像、検査領域を設定する場合に、撮像画像内の選択領域の選択を受け付け、選択領域及びそのエッジスコアを同時に表示する。このため、作業者は、エッジスコアを参照しながら、検査領域として適切な選択領域を設定できる。また、検査装置230は、選択領域内にエッジ強調画像を表示するので、選択領域内のエッジの特徴を、分かりやすく表示できる。
【0084】
これに対して、従来の乱丁検査装置は、カメラの撮像画像を表示するのみであった。このため、作業者は、撮像画像の表示のみに基づいて、経験等を頼りに、エッジスコアが高いと思われる領域を検査領域に設定する必要があった。このため、従来の乱丁検査装置は、適切な検査領域を設定できない場合があった。
【0085】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能である。なお、前述した実施形態の各構成及び後述する変形形態の各構成は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0086】
(変形形態)
(1)実施形態において、丁合システムの全ての丁合駒が対応装置を備える例を示したが、これに限定されない。検査装置自体が管理装置との間の通信機能を有し、また、格納ファイルを出力可能な仕様である場合には、その丁合駒は、対応装置を備えていなくてもよい。
【0087】
(2)実施形態において、対応装置の検査対象は、カウント情報を含む合成画像ファイルである例を示したが、これに限定されない。合成画像ファイルは、カウント情報を含まなくてもよい。この場合には、テキストファイルは、検査情報として、カウント情報を有さずに、印刷位置情報、スコア等の情報のみを有していればよい。
【0088】
(3)実施形態において、丁合システムは、1つの丁合ラインを構成する例を示したが、これに限定されない。丁合システムは、複数の丁合ラインから構成されていてもよい。この場合には、管理装置は、各ラインに1つの設けてもよい。この場合には、これらの管理装置を管理するサーバ等の上位コンピュータを設けて、この上位コンピュータが格納ファイルを管理できるようにしてもよい。
【0089】
(4)実施形態において、カウント情報が総カウント値の情報を有し、システムは、総カウント値に基づいて格納ファイルを管理等する例等を示したが、これに限定されない。例えば、検査カウント値は、総カウント値とは完全に一致しない可能性があるものの、リセット処理後の丁合総数に関する情報を示す。このため、カウント情報を、総カウント値の代わりに又はこれに加えて検査カウント値を含む情報とすることにより、検査カウント値に基づいて格納ファイルを管理等してもよい。
【0090】
(5)実施形態において、対応装置の制御部は、OCR等の処理によりカウント情報(総カウント値、NGカウント値)を抽出し、抽出したカウント情報に基づいてテキストファイルを作成する例を示したが、これに限定されない。対応装置の制御部は、カウント処理(♯5)で取得したカウント情報(総カウント値、NGカウント値)をそのまま利用して、テキストファイルを作成してもよい。
【0091】
(6)実施形態において、対応装置の制御部は、OCR等の処理により検査情報(スコア、X、Y、θ)を抽出し、検査情報を含むテキストファイルを作成する例を示したが、これに限定されない。対応装置の制御部は、検査情報を抽出することなく、かつ、検査情報を含まないテキストファイルを作成してもよい。
この場合には、丁合体のトレーサビリティの作業時には、合成画像を参照することにより、検査情報を確認すればよい。また、この場合にも、対応装置の制御部は、前述したように、カウント処理(♯5)で取得したカウント情報を利用して、テキストファイルを作成してもよい。
【0092】
(7)実施形態において、丁合システムは、無線綴じ丁合機に関するものである例を示したが、これに限定されない。実施形態の丁合システムの各構成は、例えば、中綴じ丁合機のシステムに、適宜適用してもよい。
【0093】
(8)第2実施形態において、検査領域の再設定処理では、検査領域、サーチ領域内にエッジ強調画像を表示する例を示したが、これに限定されない。これらの領域内には、撮像画像をそのまま表示してもよい。この場合でも、作業者は、検査領域内のエッジスコアを、選択領域スコア280cの表示で確認できる。
【0094】
(9)第2実施形態において、基準画像としての適性は、エッジスコアに基づいて判定される例を示したが、これに限定されない。基準画像としての適性は、他の画像特性を用いて判定してもよい。
【符号の説明】
【0095】
1,201:丁合システム
10,10(1~6),210,210(1~6):丁合駒
20:丁合機
30,230:検査装置
40:対応装置
60:管理装置
222:送り装置
222a:ドラム
222b:クリップ
231:カメラ
232:タッチパネル
235:記憶部
236:制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14