(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041677
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24D 17/00 20220101AFI20240319BHJP
F24H 15/219 20220101ALI20240319BHJP
F24H 1/14 20220101ALI20240319BHJP
F24D 3/08 20060101ALI20240319BHJP
F24H 15/104 20220101ALI20240319BHJP
F24H 1/52 20220101ALI20240319BHJP
F24H 15/215 20220101ALI20240319BHJP
F24H 15/269 20220101ALI20240319BHJP
【FI】
F24D17/00 P
F24H15/219
F24H1/14 C
F24D3/08 E
F24H15/104
F24H1/52
F24H15/215
F24H15/269
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146617
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(72)【発明者】
【氏名】小田 雄一
【テーマコード(参考)】
3L034
3L070
3L073
【Fターム(参考)】
3L034BA26
3L034EA07
3L070BB03
3L070BC02
3L070DE09
3L070DF10
3L073AA02
3L073AA14
3L073AC07
3L073AD05
(57)【要約】
【課題】即湯機能と暖房機能とを搭載した給湯装置(1)で、即湯開閉弁(84)の開故障を検出する。
【解決手段】暖房運転を行いながら即湯開閉弁(84)を開いて熱媒の一部を即湯熱交換器(54)に供給しつつ、即湯ポンプ(51)で循環温水を循環させることで即湯運転を実行可能な給湯装置で、即湯ポンプのメンテナンス動作または凍結予防動作を実行する際に、暖房運転が実行中であった場合は即湯開閉弁を閉弁状態に制御した後、メンテナンス動作中または凍結予防動作中に即湯熱交換器の上流側と下流側で循環温水の温度を検出する。そして、即湯熱交換器での循環温水の温度上昇量を算出して、温度上昇量が所定の閾値温度を超える状態が継続時間以上続く場合は、即湯開閉弁が開故障していると判断する。こうすれば、給湯装置で暖房運転中にメンテナンス動作または凍結予防動作を実行する際に、即湯開閉弁の開故障の有無を判断することができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水通路から供給された水を加熱することによって温水を生成し、前記温水を出湯通路を介して給湯栓に供給することによって給湯運転を行い、加熱された熱媒を暖房往通路および暖房戻通路を介して暖房端末に循環させることによって暖房運転を行う給湯装置において、
前記給湯栓の上流の分岐位置で前記出湯通路から分岐して、前記分岐位置よりも上流の合流位置で前記出湯通路に接続された還流通路と、
前記還流通路に搭載されて、前記出湯通路内の温水を前記分岐位置から前記還流通路に吸い込んで前記合流位置から前記出湯通路内に還流させることにより、前記出湯通路および前記還流通路内の前記温水を循環温水として循環させる即湯ポンプと、
前記還流通路に搭載されて、前記即湯ポンプによって前記循環温水が通過する即湯熱交換器と、
前記暖房往通路から分岐して、前記暖房端末に供給される前記熱媒の一部を前記即湯熱交換器に供給する即湯分岐通路と、
前記即湯分岐通路を開閉する即湯開閉弁と、
前記即湯熱交換器の上流で前記循環温水の温度を検出する上流側温度センサと、
前記即湯熱交換器の下流で前記循環温水の温度を検出する下流側温度センサと、
前記給湯運転や、前記暖房運転や、前記即湯ポンプおよび前記即湯開閉弁の動作を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記暖房運転を実行しながら前記即湯開閉弁を開弁させて前記熱媒の一部を前記即湯熱交換器に供給すると共に、前記即湯ポンプを動作させて前記循環温水を循環させることによって、前記熱媒で前記循環温水を加熱する即湯運転を実行する即湯運転実行部と、
所定のメンテナンス条件が成立した場合には、前記即湯開閉弁を閉弁状態に制御すると共に前記即湯ポンプを動作させることによってメンテナンス動作を実行するメンテナンス動作実行部と、
前記メンテナンス動作の実行に際して、前記暖房運転が実行中か否かを検出して、前記暖房運転が実行中であった場合は、前記即湯開閉弁の開故障の検出可能条件が成立したものと判断する検出可能条件判断部と、
前記開故障の検出可能条件が成立した場合には、前記上流側温度センサで検出した前記循環温水の温度と、前記下流側温度センサで検出した前記循環温水の温度とに基づいて、前記即湯熱交換器での前記循環温水の温度上昇量を算出する温度上昇量算出部と、
前記温度上昇量が所定の閾値温度に達していないか、前記閾値温度に達した状態で所定の継続時間が経過していない場合は、前記即湯開閉弁は開故障していないと判断し、前記温度上昇量が前記閾値温度に達した状態で前記継続時間が経過していた場合には、前記即湯開閉弁は開故障していると判断する開故障検出部と
を備えることを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
給水通路から供給された水を加熱することによって温水を生成し、前記温水を出湯通路を介して給湯栓に供給することによって給湯運転を行い、加熱された熱媒を暖房往通路および暖房戻通路を介して暖房端末に循環させることによって暖房運転を行う給湯装置において、
前記給湯栓の上流の分岐位置で前記出湯通路から分岐して、前記分岐位置よりも上流の合流位置で前記出湯通路に接続された還流通路と、
前記還流通路に搭載されて、前記出湯通路内の温水を前記分岐位置から前記還流通路に吸い込んで前記合流位置から前記出湯通路内に還流させることにより、前記出湯通路および前記還流通路内の前記温水を循環温水として循環させる即湯ポンプと、
前記還流通路に搭載されて、前記即湯ポンプによって前記循環温水が通過する即湯熱交換器と、
前記暖房往通路から分岐して、前記暖房端末に供給される前記熱媒の一部を前記即湯熱交換器に供給する即湯分岐通路と、
前記即湯分岐通路を開閉する即湯開閉弁と、
前記即湯熱交換器の上流で前記循環温水の温度を検出する上流側温度センサと、
前記即湯熱交換器の下流で前記循環温水の温度を検出する下流側温度センサと、
前記給湯運転や、前記暖房運転や、前記即湯ポンプおよび前記即湯開閉弁の動作を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記暖房運転を実行しながら前記即湯開閉弁を開弁させて前記熱媒の一部を前記即湯熱交換器に供給すると共に、前記即湯ポンプを動作させて前記循環温水を循環させることによって、前記熱媒で前記循環温水を加熱する即湯運転を実行する即湯運転実行部と、
所定の凍結防止条件が成立した場合には、前記即湯開閉弁を閉弁状態に制御すると共に前記即湯ポンプを動作させることによって凍結予防動作を実行する凍結予防動作実行部と、
前記凍結予防動作の実行に際して、前記暖房運転が実行中か否かを検出して、前記暖房運転が実行中であった場合は、前記即湯開閉弁の開故障の検出可能条件が成立したものと判断する検出可能条件判断部と、
前記開故障の検出可能条件が成立した場合には、前記上流側温度センサで検出した前記循環温水の温度と、前記下流側温度センサで検出した前記循環温水の温度とに基づいて、前記即湯熱交換器での前記循環温水の温度上昇量を算出する温度上昇量算出部と、
前記温度上昇量が所定の閾値温度に達していないか、前記閾値温度に達した状態で所定の継続時間が経過していない場合は、前記即湯開閉弁は開故障していないと判断し、前記温度上昇量が前記閾値温度に達した状態で前記継続時間が経過していた場合には、前記即湯開閉弁は開故障していると判断する開故障検出部と
を備えることを特徴とする給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水通路から供給された水を加熱することによって温水を生成し、生成した温水を給湯栓に供給することが可能であり、更に、加熱された熱媒を暖房往通路および暖房戻通路を介して暖房端末に循環させることによって部屋を暖房することが可能な給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給水通路から供給される水を加熱することによって温水を生成し、生成した温水を、出湯通路を介して給湯栓に供給可能な給湯装置が知られている。この給湯装置では、使用者が給湯栓を開栓すると、給水通路から給湯装置に供給された上水が、給湯装置内で加熱されることによって温水が生成され、その温水が出湯通路を通って給湯栓から出湯するようになっている。ユーザが給湯栓を開栓しないままで長時間が経過した場合は、出湯通路内の温水が冷めて水になっていることがあり、この場合は、ユーザが給湯栓を開栓した後、給湯栓から流出する水が温水になるまでに、ある程度の時間が必要となる。
【0003】
そこで、ユーザが給湯栓を開栓した直後から温水が出湯する機能(いわゆる即湯機能)を搭載した給湯装置も知られている。即湯機能を搭載した給湯装置では、給湯栓の上流の位置で出湯通路が分岐しており、分岐した通路(以下、還流通路)がより上流の出湯通路に接続されることによって循環回路(以下、即湯循環回路)が形成されている。また、還流通路には循環ポンプ(以下、即湯ポンプ)や加熱手段(以下、即湯加熱手段)が搭載されている。そして、即湯ポンプを動作させると、給湯栓の上流付近まで供給されていた温水が即湯循環回路を循環する。この時、循環する温水を即湯加熱手段で加熱してやれば、即湯循環回路を循環する温水(以下、循環温水)を温めておくことができるので、ユーザが給湯栓を開栓すると直ちに温水を流出させることができる。
【0004】
また、循環温水を加熱する即湯加熱手段には電気ヒータなどを用いることも可能であるが、給湯装置が暖房機能を搭載している場合は、部屋を暖房するために、加熱された熱媒(例えば、暖房用の温水)の一部を利用して、循環温水を加熱することが一般的である。このような給湯装置には、即湯循環回路に液液熱交換器(以下、即湯熱交換器)が搭載されている。また、暖房機能を有する給湯装置には、熱媒を各部屋の暖房端末に供給する暖房往通路と、暖房端末で放熱して冷えた熱媒を給湯装置に還流させる暖房戻通路とが形成されている。そこで、暖房往通路から通路を分岐させて即湯熱交換器に接続することによって、暖房端末に供給される熱媒の一部を即湯熱交換器に導いて循環温水を加熱するようになっている。更に、暖房往通路から即湯熱交換器に向けて分岐した通路(以下、即湯分岐通路)には開閉弁(以下、即湯開閉弁)が搭載されている。このため、ユーザが即湯機能を使用しない場合は、即湯開閉弁を閉じることによって即湯熱交換器に熱媒が供給されないようにし、また、ユーザが即湯機能を使用する場合は、即湯開閉弁を開くことによって即湯熱交換器に熱媒が供給されるようにすることができる。
【0005】
このように、暖房往通路から即湯分岐通路を分岐させることによって熱媒を即湯熱交換器に導く場合、即湯分岐通路に搭載された即湯開閉弁が確実に開閉することが重要となる。例えば、ユーザに即湯機能を提供するために即湯開閉弁を開弁させようとしたにも拘わらず閉じたままとなっていた場合(いわゆる閉故障が発生した場合)は、ユーザに即湯機能を提供することができなくなる。また、ユーザが即湯機能を停止させるために即湯開閉弁を閉弁させたにも拘わらず、即湯開閉弁が完全には閉弁しなかった場合(いわゆる開故障が発生した場合)は、熱媒が即湯熱交換器に供給されて循環温水が加熱されてしまうので、ユーザが給湯栓を開いた時にいきなり熱い温水が流出してユーザを驚かせてしまう虞がある。
【0006】
そこで、即湯熱交換器の上流側と下流側とで循環温水の温度を検出して、検出した温度差に基づいて、即湯開閉弁の故障の有無を判断する技術が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した提案されている従来の技術では、即湯開閉弁の開故障を検知することができないという問題があった。この理由は次のようなものである。先ず、開閉弁の開故障とは、開閉弁を閉弁させても完全には閉弁しない故障であるから、開故障を検知するためには、開閉弁を閉弁させる必要がある。ところが、即湯機能を搭載した給湯装置では、即湯開閉弁を閉弁させると即湯機能が停止されてしまうため、即湯ポンプが動作を停止して、循環温水が即湯循環回路を循環しなくなる。この状態で、即湯ポンプが動作していた時に即湯熱交換器の上流側であった位置、および下流側であった位置での循環温水の温度を検出して、それら温度の温度差を算出しても、無意味な値しか得ることができず、即湯開閉弁の開故障を検知することができないためである。そして、即湯開閉弁の開故障を検知することができなければ、ユーザが即湯機能を停止させたにも拘わらず、給湯栓を開いた時にいきなり熱い温水が流出して、ユーザを驚かせてしまう虞があった。
【0009】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題を解決するために成されたものであり、即湯機能と暖房機能とを搭載した給湯装置で、即湯開閉弁の開故障を検出することが可能な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明の給湯装置は次の構成を採用した。すなわち、
給水通路から供給された水を加熱することによって温水を生成し、前記温水を出湯通路を介して給湯栓に供給することによって給湯運転を行い、加熱された熱媒を暖房往通路および暖房戻通路を介して暖房端末に循環させることによって暖房運転を行う給湯装置において、
前記給湯栓の上流の分岐位置で前記出湯通路から分岐して、前記分岐位置よりも上流の合流位置で前記出湯通路に接続された還流通路と、
前記還流通路に搭載されて、前記出湯通路内の温水を前記分岐位置から前記還流通路に吸い込んで前記合流位置から前記出湯通路内に還流させることにより、前記出湯通路および前記還流通路内の前記温水を循環温水として循環させる即湯ポンプと、
前記還流通路に搭載されて、前記即湯ポンプによって前記循環温水が通過する即湯熱交換器と、
前記暖房往通路から分岐して、前記暖房端末に供給される前記熱媒の一部を前記即湯熱交換器に供給する即湯分岐通路と、
前記即湯分岐通路を開閉する即湯開閉弁と、
前記即湯熱交換器の上流で前記循環温水の温度を検出する上流側温度センサと、
前記即湯熱交換器の下流で前記循環温水の温度を検出する下流側温度センサと、
前記給湯運転や、前記暖房運転や、前記即湯ポンプおよび前記即湯開閉弁の動作を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記暖房運転を実行しながら前記即湯開閉弁を開弁させて前記熱媒の一部を前記即湯熱交換器に供給すると共に、前記即湯ポンプを動作させて前記循環温水を循環させることによって、前記熱媒で前記循環温水を加熱する即湯運転を実行する即湯運転実行部と、
所定のメンテナンス条件が成立した場合には、前記即湯開閉弁を閉弁状態に制御すると共に前記即湯ポンプを動作させることによってメンテナンス動作を実行するメンテナンス動作実行部と、
前記メンテナンス動作の実行に際して、前記暖房運転が実行中か否かを検出して、前記暖房運転が実行中であった場合は、前記即湯開閉弁の開故障の検出可能条件が成立したものと判断する検出可能条件判断部と、
前記開故障の検出可能条件が成立した場合には、前記上流側温度センサで検出した前記循環温水の温度と、前記下流側温度センサで検出した前記循環温水の温度とに基づいて、前記即湯熱交換器での前記循環温水の温度上昇量を算出する温度上昇量算出部と、
前記温度上昇量が所定の閾値温度に達していないか、前記閾値温度に達した状態で所定の継続時間が経過していない場合は、前記即湯開閉弁は開故障していないと判断し、前記温度上昇量が前記閾値温度に達した状態で前記継続時間が経過していた場合には、前記即湯開閉弁は開故障していると判断する開故障検出部と
を備えることを特徴とする。
【0011】
このような本発明の給湯装置では、暖房運転を実行しながら即湯開閉弁を開弁させて,熱媒の一部を即湯熱交換器に供給すると共に、即湯ポンプを動作させて循環温水を循環させることによって、即湯運転を実行することができる。また、即湯運転を実行しない場合は、即湯開閉弁を閉弁させると共に即湯ポンプを停止させる。更に、所定のメンテナンス条件が成立した場合には、即湯ポンプを動作させることによってメンテナンス動作を実行する。尚、メンテナンス条件が成立する場合としては、たとえば、即湯ポンプが動作を連続して所定の制限時間以上停止していた場合とすることができる。そして、メンテナンス動作の実行に際しては、暖房運転が実行中か否かを検出して、暖房運転が実行中であった場合は、即湯熱交換器の上流側で検出した循環温水の温度と、即湯熱交換器の下流側で検出した循環温水の温度に基づいて、即湯熱交換器での循環温水の温度上昇量を算出する。そして、温度上昇量が所定の閾値温度に達した状態で所定の継続時間が経過した場合には、即湯開閉弁が開故障していると判断するが、それ以外の場合は、即湯開閉弁は開故障していないと判断する。
【0012】
こうすれば、給湯装置で暖房運転中にメンテナンス動作を実行する際に、即湯開閉弁の開故障の有無を判断することができる。その結果、ユーザが即湯機能を停止させてたにも拘わらず、即湯開閉弁が開故障していたために、給湯栓を開いた時にいきなり熱い温水が流出してユーザを驚かせてしまう事態を防止することが可能となる。
【0013】
また、上述した課題を解決するために、本発明の給湯装置は次の構成を採用することもできる。すなわち、
給水通路から供給された水を加熱することによって温水を生成し、前記温水を出湯通路を介して給湯栓に供給することによって給湯運転を行い、加熱された熱媒を暖房往通路および暖房戻通路を介して暖房端末に循環させることによって暖房運転を行う給湯装置において、
前記給湯栓の上流の分岐位置で前記出湯通路から分岐して、前記分岐位置よりも上流の合流位置で前記出湯通路に接続された還流通路と、
前記還流通路に搭載されて、前記出湯通路内の温水を前記分岐位置から前記還流通路に吸い込んで前記合流位置から前記出湯通路内に還流させることにより、前記出湯通路および前記還流通路内の前記温水を循環温水として循環させる即湯ポンプと、
前記還流通路に搭載されて、前記即湯ポンプによって前記循環温水が通過する即湯熱交換器と、
前記暖房往通路から分岐して、前記暖房端末に供給される前記熱媒の一部を前記即湯熱交換器に供給する即湯分岐通路と、
前記即湯分岐通路を開閉する即湯開閉弁と、
前記即湯熱交換器の上流で前記循環温水の温度を検出する上流側温度センサと、
前記即湯熱交換器の下流で前記循環温水の温度を検出する下流側温度センサと、
前記給湯運転や、前記暖房運転や、前記即湯ポンプおよび前記即湯開閉弁の動作を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記暖房運転を実行しながら前記即湯開閉弁を開弁させて前記熱媒の一部を前記即湯熱交換器に供給すると共に、前記即湯ポンプを動作させて前記循環温水を循環させることによって、前記熱媒で前記循環温水を加熱する即湯運転を実行する即湯運転実行部と、
所定の凍結防止条件が成立した場合には、前記即湯開閉弁を閉弁状態に制御すると共に前記即湯ポンプを動作させることによって凍結予防動作を実行する凍結予防動作実行部と、
前記凍結予防動作の実行に際して、前記暖房運転が実行中か否かを検出して、前記暖房運転が実行中であった場合は、前記即湯開閉弁の開故障の検出可能条件が成立したものと判断する検出可能条件判断部と、
前記開故障の検出可能条件が成立した場合には、前記上流側温度センサで検出した前記循環温水の温度と、前記下流側温度センサで検出した前記循環温水の温度とに基づいて、前記即湯熱交換器での前記循環温水の温度上昇量を算出する温度上昇量算出部と、
前記温度上昇量が所定の閾値温度に達していないか、前記閾値温度に達した状態で所定の継続時間が経過していない場合は、前記即湯開閉弁は開故障していないと判断し、前記温度上昇量が前記閾値温度に達した状態で前記継続時間が経過していた場合には、前記即湯開閉弁は開故障していると判断する開故障検出部と
を備えることを特徴とする。
【0014】
このような本発明の給湯装置でも、暖房運転を実行しながら即湯開閉弁を開弁させると共に、即湯ポンプを動作させて循環温水を循環させることによって、即湯運転を実行することができる。また、即湯運転を実行しない場合は、即湯開閉弁を閉弁させると共に即湯ポンプを停止させる。更に、所定の凍結防止条件が成立した場合には、即湯開閉弁を閉弁状態に制御すると共に即湯ポンプを動作させることによって凍結予防動作を実行する。尚、凍結防止条件が成立する場合としては、たとえば、外気温度が所定の凍結予防温度以下となった場合とすることができる。そして、凍結予防動作の実行に際して、暖房運転が実行中か否かを検出して、暖房運転が実行中であった場合には、即湯熱交換器の上流側で検出した循環温水の温度と、即湯熱交換器の下流側で検出した循環温水の温度に基づいて、即湯熱交換器での循環温水の温度上昇量を算出する。そして、温度上昇量が所定の閾値温度に達した状態で所定の継続時間が経過した場合には、即湯開閉弁が開故障していると判断するが、それ以外の場合は、即湯開閉弁は開故障していないと判断する。
【0015】
こうすれば、暖房運転中に凍結予防動作を開始する場合に、即湯開閉弁の開故障の有無を判断することができる。このため、ユーザが即湯機能を停止させてたにも拘わらず、即湯開閉弁が開故障していたために、給湯栓を開いた時にいきなり熱い温水が流出してユーザを驚かせる事態を、より確実に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施例の給湯装置1の全体構成を示す説明図である。
【
図2】本実施例の制御部100の内部構造を示したブロック図である。
【
図3】本実施例の制御部100が実行する開故障判断処理の前半部分を示したフローチャートである。
【
図4】開故障判断処理の後半部分を示すフローチャートである。
【
図5】開故障判断処理の中で実行される開故障検出処理のフローチャートである。
【
図6】変形例の開故障検出処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本実施例の給湯装置1の全体構成を示す説明図である。この給湯装置1は、上水を加熱して温水を給湯栓に供給する給湯運転を実行可能であると共に、各部屋に設置された暖房端末に熱媒(温水)を循環させて暖房を行う暖房運転を実行することも可能である。図示されるように給湯装置1は、上水を加熱して温水を生成する給湯加熱部10と、暖房端末に循環させる熱媒を加熱する暖房加熱部20とを備えている。
【0018】
給湯加熱部10には、燃料ガスを燃焼させる給湯バーナ11が搭載されており、給湯バーナ11の上方には給湯第1熱交換器12が搭載され、更に、給湯第1熱交換器12の上方には給湯第2熱交換器13が搭載されている。給湯第1熱交換器12は、給湯バーナ11での燃料ガスの燃焼によって生じた燃焼排気から顕熱を回収し、給湯第2熱交換器13は、燃焼排気から潜熱を回収する。また、給湯バーナ11の下方には燃焼ファン14が搭載されており、給湯バーナ11に燃焼用空気を供給する。
【0019】
暖房加熱部20にも、燃料ガスを燃焼させる暖房バーナ21が搭載されており、暖房バーナ21の上方には顕熱回収用の暖房第1熱交換器22が搭載され、更に、暖房第1熱交換器22の上方には潜熱回収用の暖房第2熱交換器23が搭載されている。暖房バーナ21に供給される燃焼用空気は、燃焼ファン14から供給される。
【0020】
給湯バーナ11および暖房バーナ21にはガス通路30から燃料ガスが供給される。ガス通路30には、ガス通路30を開閉する元弁31と、ガス通路30を流れる燃料ガスの流量を調節する比例弁32とが設けられている。また、ガス通路30は、比例弁32の下流側で2つに分岐して、分岐した一方の通路は給湯バーナ11に接続され、分岐した他方の通路は暖房バーナ21に接続されている。そして、給湯バーナ11に接続された通路の途中には通路を開閉する給湯電磁弁33が搭載されており、暖房バーナ21に接続された通路の途中には通路を開閉する暖房電磁弁34が搭載されている。
【0021】
給湯装置1に上水を供給する給水通路40は、給湯第2熱交換器13に接続されており、給水通路40から給湯第2熱交換器13に上水が供給されるようになっている。給水通路40の途中には、給湯第2熱交換器13に給水される上水の流量(給水流量)を制御する流量制御弁42や、給水流量を検知する流量センサ41が搭載されている。また、給湯第2熱交換器13の下流側は、給湯連絡通路43を介して給湯第1熱交換器12の上流側と接続されており、給湯第1熱交換器12の下流側には出湯通路44が接続されている。
【0022】
出湯通路44には給湯栓2が接続されており、給湯栓2を開栓すると給水通路40内の上水が給湯栓2から流出し、流出した分の上水が給水通路40から給湯第2熱交換器13に補充される。そして、給水通路40を流れる給水流量が所定の点火流量以上になると、給湯バーナ11で燃料ガスの燃焼が開始され、給水流量に応じて給湯バーナ11での燃焼が制御される。給水通路40を通じて給湯加熱部10に供給される上水は、給湯第2熱交換器13で予備加熱された後に給湯第1熱交換器12で加熱され、温水となって出湯通路44に流出する。出湯通路44には、給湯第1熱交換器12から流出した直後の温水の温度を検知する缶体温度センサ45が取り付けられている。
【0023】
また、本実施例の給湯装置1の給水通路40は、流量制御弁42よりも下流側の位置でバイパス通路46が分岐しており、バイパス通路46は、缶体温度センサ45よりも下流側の接続位置44aで出湯通路44に接続されている。このため、給水通路40から給湯加熱部10に供給される上水の一部を、バイパス通路46を介して出湯通路44に供給して、出湯通路44を流れる温水と混合させることが可能である。また、給水通路40からバイパス通路46が分岐する位置には、バイパス制御弁47が搭載されており、バイパス制御弁47の開度を制御することによって、上水と温水との混合比を変更することが可能となっている。更に、出湯通路44には、バイパス通路46の接続位置44aよりも下流側に出湯温度センサ48が搭載されており、バイパス通路46からの上水と、出湯通路44の温水とが混合した後の温水の温度(出湯温度)を検出することができる。
【0024】
加えて、本実施例の給湯装置1の出湯通路44は、給湯栓2のすぐ上流側の分岐位置44bで還流通路50が分岐しており、分岐した還流通路50は分岐位置44bよりも上流側(但し、バイパス通路46の接続位置44aよりは下流側)の合流位置44cで出湯通路44に接続されている。
図1では、還流通路50を目立たせる目的で、還流通路50を給水通路40や出湯通路44よりも太い線で表示してある。還流通路50の途中には、即湯ポンプ51や逆止弁52が搭載されており、即湯ポンプ51を動作させると、出湯通路44内の温水が分岐位置44bから吸い出されて、還流通路50を通過した後、合流位置44cから出湯通路44に還流する。このため、即湯ポンプ51が動作している間は、合流位置44cから分岐位置44bまでの出湯通路44および還流通路50によって形成される循環回路内を、温水が一方向に循環することになる。尚、以下では、循環回路内を循環する温水を「循環温水」と称する。
図1では循環温水が流れる方向が矢印によって表示されている。
【0025】
また、還流通路50の途中(
図1に示した例では即湯ポンプ51の上流側)には即湯流量センサ53が搭載されており、循環温水の流量を検出することができる。更に、還流通路50の途中(
図1に示した例では即湯ポンプ51の下流側)には即湯熱交換器54が搭載されている。このため、循環回路を循環している間に循環温水の温度が低下した場合でも、即湯熱交換器54で循環温水を加熱することが可能となっている。このことと対応して、即湯熱交換器54の上流側の還流通路50には、即湯熱交換器54で加熱される前の循環温水の温度を検出する即湯戻温度センサ56が搭載され、即湯熱交換器54の下流側で、合流位置44cと分岐位置44bとの間の出湯通路44には、即湯熱交換器54で加熱された後の循環温水の温度を検出する即湯往温度センサ57が搭載されている。尚、本実施例の即湯戻温度センサ56は本発明における「上流側温度センサ」に対応し、本実施例の即湯往温度センサ57は本発明における「下流側温度センサ」に対応する。
【0026】
また、出湯通路44からは、出湯温度センサ48よりも下流側で、且つ還流通路50の合流位置44cよりも上流側の位置で湯張通路60が分岐しており、湯張通路60を介して図示しない浴槽に温水を供給することが可能となっている。湯張通路60には、湯張通路60を開閉する湯張電磁弁61や、浴槽側からの温水の逆流を阻止する逆止弁62や、湯張通路60を流れる温水の流量を検知する湯張水量センサ63が搭載されている。
【0027】
以上では、給湯装置1の給湯加熱部10で生成された温水が給湯栓2や図示しない浴槽に供給される経路について説明した。一方、給湯装置1の暖房加熱部20で加熱された熱媒(温水)は、各部屋の暖房や、浴槽内の温水の追い焚きなどに使用される。このことに対応して、暖房加熱部20の暖房第1熱交換器22の下流側には暖房往通路70が接続されており、暖房第1熱交換器22で加熱された熱媒は、暖房往通路70を介して、図示しない暖房端末(床暖房パネルなど)に供給されるようになっている。暖房端末に供給された熱媒は放熱することによって温度が低下した後、暖房戻通路71を通って暖房第2熱交換器23に還流する。また、暖房第2熱交換器23の下流側と、暖房第1熱交換器22の上流側とは暖房連絡通路72によって接続されており、暖房連絡通路72の途中には、熱媒を貯留するシスターン73や、暖房ポンプ74が設けられている。
【0028】
暖房戻通路71を通って暖房第2熱交換器23に戻された熱媒は、暖房第2熱交換器23で潜熱を回収することによって加熱された後、シスターン73に流入する。そして、暖房ポンプ74によって暖房第1熱交換器22に供給され、暖房第1熱交換器22で更に加熱された後に暖房往通路70を介して再び暖房端末に供給される。また、暖房往通路70には、暖房端末に供給される熱媒の温度を検知する暖房高温度センサ76が搭載されている。更に、暖房ポンプ74と暖房第2熱交換器23との間の暖房連絡通路72には、暖房ポンプ74から暖房第2熱交換器23に供給される熱媒の温度を検出する暖房低温度センサ75が搭載されている。
【0029】
また、暖房往通路70の途中からは、追焚分岐通路80が分岐して暖房戻通路71に接続されており、追焚分岐通路80の途中には、風呂用流量制御弁81や風呂用熱交換器82が搭載されている。このため、熱媒が暖房往通路70を流れている状態で風呂用流量制御弁81を開弁することにより、熱媒の一部を追焚分岐通路80に導いて、風呂用熱交換器82を通過させた後に暖房戻通路71に還流させることができる。また、風呂用熱交換器82を通過する熱媒の流量は、風呂用流量制御弁81の弁開度を変更することで調節することができる。
【0030】
風呂用熱交換器82は、図示しない浴槽内の温水を加熱するために用いられる。すなわち、風呂用熱交換器82には風呂戻通路90と風呂往通路91とが接続されており、風呂戻通路90には風呂ポンプ92が搭載されている。そして、風呂ポンプ92を動作させると浴槽内の温水が風呂戻通路90を介して風呂用熱交換器82に供給されて、風呂用熱交換器82内を通過した後、風呂往通路91を介して浴槽に戻される。このため、暖房往通路70の風呂用流量制御弁81を開いて風呂用熱交換器82に熱媒を循環させながら、風呂ポンプ92を動作させて浴槽内の温水を風呂用熱交換器82に循環させることで、風呂用熱交換器82内で浴槽内の温水を加熱することができる。
【0031】
更に、暖房往通路70の途中からは、即湯分岐通路83も分岐しており、即湯分岐通路83も暖房戻通路71に接続されている。そして、即湯分岐通路83の途中には、即湯流量制御弁84や、前述した即湯熱交換器54が搭載されている。このため、暖房往通路70に熱媒が供給されている場合(例えば、図示しない暖房端末で暖房が行われている場合や、図示しない風呂の追い焚きが行われている場合)には、即湯流量制御弁84を開弁させることによって、暖房往通路70を流れる熱媒の一部を即湯熱交換器54に供給することができる。このため、前述したように、即湯ポンプ51を動作させることで即湯熱交換器54に熱媒を循環させながら、即湯流量制御弁84を開弁させて暖房往通路70の熱媒の一部を即湯熱交換器54に循環させることによって、即湯熱交換器54で循環温水を加熱することができる。尚、以下では、即湯ポンプ51を動作させながら即湯熱交換器54で循環温水を加熱する動作を「即湯運転」と称する。
【0032】
また、本実施例の即湯流量制御弁84はステッピングモータ式の流量制御弁が採用されており、弁開度を変更することで即湯熱交換器54に供給される熱媒の流量を変更することができるので、即湯ポンプ51によって循環する循環温水の加熱量を調節することができる。更に、即湯運転中に、循環温水の温度が高すぎると判断した場合は即湯流量制御弁84を閉弁させることによって、循環温水の加熱を停止することもできる。このように即湯運転を行うことで、給湯装置1のユーザが給湯栓2を開栓すると、直ちに温水を出湯させることができる。もちろん、ユーザによって即湯機能が停止された場合は、即湯ポンプ51を停止させ、更に、即湯流量制御弁84を閉弁させることで、循環温水の加熱を停止することができる。このような制御は、給湯装置1に搭載された制御部100によって実現されている。尚、本実施例の即湯流量制御弁84は、本発明における「即湯開閉弁」に対応する。
【0033】
制御部100には、マイクロコンピュータやメモリなどが内蔵されており、メモリには各種のプログラムが記憶されている。更に、制御部100には、前述した燃焼ファン14や、各種の電磁弁や制御弁、各種のセンサ類、即湯ポンプ51などの各種ポンプ類などが接続されている。また、制御部100には、給湯装置1の外部の気温を検出する外気温センサ100aも接続されている。そして、制御部100は、メモリに記憶されたプログラムを実行することによって、各種のセンサ類の出力に応じて、燃焼ファン14や各種の電磁弁や制御弁、各種ポンプ類などの動作を制御することにより、給湯栓2が開栓された場合に給湯栓2から温水を出湯させる給湯運転や、暖房端末に熱媒を供給して部屋を暖房する暖房運転や、浴槽に温水を供給する湯張り運転や、浴槽の温水を追い焚きする追い焚き運転や、ユーザの設定によって即湯機能を実現する即湯運転を実行する。
【0034】
もっとも、制御部100が即湯流量制御弁84を閉弁させているにも拘わらず、即湯流量制御弁84が完全には閉弁しない開故障が発生することがある。即湯流量制御弁84で開故障が発生すると、暖房往通路70を流れる熱媒が即湯熱交換器54に供給されてしまうため、給湯栓2が開栓された時に、ユーザの意図に反して給湯栓2から加熱された温水が流出する虞がある。そこで、即湯流量制御弁84の開故障を検出可能とするために、本実施例の制御部100は次のような内部構造を備えている。
【0035】
図2は、本実施例の給湯装置1に搭載された制御部100の内部構造を概念的に示したブロック図である。図示したように、制御部100の内部には、給湯運転実行部101や、暖房運転実行部102や、即湯運転実行部103や、メンテナンス動作実行部104や、凍結予防動作実行部105や、検出可能条件判断部106や、温度上昇量算出部107や、開故障検出部108などが搭載されている。尚、これらの「部」は、即湯流量制御弁84の開故障を検出する目的で制御部100が備える機能を表した抽象的な概念であり、制御部100の内部がこれらの「部」に区分されていることや、これらの「部」に対応する部品などが制御部100の内部に搭載されていることを示すわけではない。これらの「部」は、制御部100に内蔵されたマイクロコンピュータで実行されるソフトウェアプログラムとして実現することもできるし、制御部100に搭載されたLSIやICなどによるハードウェアとして実現することもできる。更には、ソフトウェアプログラムとハードウェアとを組み合わせることによって実現しても良い。
【0036】
給湯運転実行部101は、給湯装置1が給湯運転を実行するための各種制御を実行し、暖房運転実行部102は、給湯装置1が暖房運転を実行するための各種制御を実行する。即湯運転実行部103は、ユーザの設定に応じて即湯運転を実行するための各種制御を実行する。尚、即湯運転は給湯栓2の出湯中(すなわち給湯運転中)には行われないから、即湯運転実行部103は給湯運転中であるか否かの情報を給湯運転実行部101から取得して、給湯運転中は即湯運転を停止している。
図2中で給湯運転実行部101から即湯運転実行部103に向かって矢印が表示されているのは、即湯運転実行部103が給湯運転実行部101から給湯運転中であるか否かの情報を取得していることを表している。
【0037】
また、メンテナンス動作実行部104は、即湯ポンプ51のメンテナンス動作を実行するための各種制御を実行する。ここで、即湯ポンプ51のメンテナンス動作とは、即湯ポンプ51が長時間回転しなかった場合に、即湯ポンプ51の内部の摺動部分が固着するなどの問題が生じることがあるため、このような事態の発生を防止するために、定期的に即湯ポンプ51を回転させる動作である。また、凍結予防動作実行部105は、出湯通路44や還流通路50の凍結予防動作を実行するための各種制御を実行する。ここで、出湯通路44や還流通路50の凍結予防動作とは、給湯装置1の外気温が低下して出湯通路44や還流通路50の内部の水が凍結することを防止するために、外気温が所定の設定温度(以下、凍結予防温度)以下に低下した場合には、定期的に即湯ポンプ51を回転させて、出湯通路44および還流通路50内の水を循環させる動作である。
【0038】
更に、検出可能条件判断部106は、即湯流量制御弁84の開故障を検出することが可能な条件(検出可能条件)が成立したか否かを判断する制御を実行する。検出可能条件が成立したか否かの判断には、暖房運転中であるか否かについての情報や、即湯ポンプ51の動作中であるか否か、メンテナンス動作中であるか否か、凍結予防動作中であるか否かについての情報を使用する。検出可能条件判断部106は、暖房運転実行部102や、即湯運転実行部103や、メンテナンス動作実行部104や、凍結予防動作実行部105からこれらの情報を取得する。
図2中で、暖房運転実行部102や、即湯運転実行部103や、メンテナンス動作実行部104や、凍結予防動作実行部105から検出可能条件判断部106に向かって矢印が表示されているのは、即湯運転実行部103がこれらの情報を取得することを表している。
【0039】
そして、検出可能条件判断部106は、検出可能条件が成立したと判断すると、その旨の情報を温度上昇量算出部107に出力する。すると、温度上昇量算出部107は、即湯戻温度センサ56および即湯往温度センサ57で検出した循環温水の温度を取得して、循環温水が即湯熱交換器54を通過したことによる温度上昇量を算出し、得られた温度上昇量を開故障検出部108に出力する。そして、開故障検出部108は、温度上昇量算出部107から出力された温度上昇量に基づいて、即湯分岐通路83が開故障しているか否かを判断する。
図2中で、検出可能条件判断部106から温度上昇量算出部107に向かって表示された矢印は、検出可能条件が成立した旨の情報が出力されることを表しており、温度上昇量算出部107から開故障検出部108に向かって表示された矢印は、温度上昇量が出力されることを表している。
【0040】
図3は、即湯分岐通路83の開故障を検出するために、本実施例の制御部100で実行される開故障判断処理の前半部分を示すフローチャートである。また、
図4は、開故障判断処理の後半部分を示すフローチャートである。
図3に示すように、開故障判断処理では、先ず初めに、給湯装置1が即湯運転中か否かを判断する(STEP1)。即湯分岐通路83の開故障とは、即湯分岐通路83を閉弁させたにも拘わらず完全には閉弁しない故障であるから、即湯分岐通路83の開故障を検出するためには、その前提として即湯分岐通路83を閉弁させておく必要があり、そのためには給湯装置1が即湯運転中でないことが必要となる。そこで、開故障判断処理を開始すると、先ず初めに即湯運転中か否かを判断するのである。
【0041】
その結果、給湯装置1が即湯運転中であった場合は(STEP1:yes)、即湯分岐通路83の開故障を検出することはできないので、STEP1の判断を繰り返すことによって待機状態となる。そして、即湯運転が停止されたら、即湯運転中ではないと判断して(STEP1:no)、今度は、即湯ポンプ51が連続して所定の制限時間以上、停止しているか否かを判断する(STEP2)。即湯ポンプ51は長時間に亘って停止したままにしておくと内部で固着などが生じて故障する虞があるため、本実施例の給湯装置1は、即湯ポンプ51が所定の制限時間以上、連続して停止している場合は、即湯ポンプ51を回転させるメンテナンス動作を行う。そこで、STEP2では、即湯ポンプ51が連続して所定の制限時間以上、停止しているか否かを判断する。尚、本実施例の制限時間は、720時間に設定されている。
【0042】
その結果、即湯ポンプ51が連続して制限時間以上、停止していない場合は(STEP2:no)、今度は、給湯装置1の外気温度が所定の凍結予防温度よりも低いか否かを判断する(STEP3)。本実施例の給湯装置1は、外気温度が所定の凍結予防温度よりも低くなると、出湯通路44や還流通路50の内部で水が凍結することを予防するために、即湯ポンプ51を回転させて出湯通路44および還流通路50内の水を循環させる凍結予防動作を行う。そこで、STEP2で「no」と判断した場合は、今度は、給湯装置1の外気温度が凍結予防温度よりも低いか否かを判断する(STEP3)。尚、給湯装置1の外気温度は外気温センサ100a(
図1参照)で検出することができる。また、本実施例の凍結予防温度は3℃に設定されている。
【0043】
その結果、外気温度が凍結予防温度以下ではないと判断した場合は(STEP3:no)、処理の先頭に戻って、即湯運転中か否かを判断する(STEP1)。このように、開故障判断処理では、即湯運転中に場合(STEP1:yes)や、即湯運転が停止中でも、即湯ポンプ51が連続して停止している時間が制限時間に達するか(STEP2:yes)、外気温度が凍結予防温度以下になるまでは(STEP3:yes)、上述したSTEP1~STEP3の判断を繰り返す。
【0044】
そして、こうした判断を繰り返しているうちに、即湯ポンプ51が連続して停止している時間が制限時間に達したら(STEP2:yes)、即湯ポンプ51を回転させることによってメンテナンス動作を開始する(STEP4)。また、外気温度が凍結予防温度以下となった場合は(STEP3:yes)、即湯ポンプ51を回転させることによって凍結予防動作を開始する(STEP5)。尚、出湯通路44や還流通路50に電気ヒータを装着しておき、凍結予防動作を行う際には即湯ポンプ51を回転させると共に、電気ヒータに通電することによって、出湯通路44や還流通路50内の水を加熱するようにしても良い。
【0045】
こうして、即湯ポンプ51を回転させてメンテナンス動作あるいは凍結予防動作を開始したら(STEP4またはSTEP5)、給湯装置1が暖房運転中か否かを判断する(STEP6)。その結果、給湯装置1が暖房運転中ではなかった場合は(STEP6:no)、即湯流量制御弁84の開故障の検出可能条件が成立していないと判断できるので、処理の先頭に戻って、再び、即湯運転中か否かを判断する(STEP1)。
【0046】
これに対して、給湯装置1が暖房運転中であった場合は(STEP6:yes)、即湯流量制御弁84の開故障の検出可能条件が成立したと判断できるので、即湯流量制御弁84の開故障を検出するための処理(開故障検出処理)を開始する(STEP20)。このように、開故障検出処理(STEP20)は、即湯運転中ではなく(STEP1:no)、メンテナンス動作中(STEP4)か、凍結予防動作中(STEP5)であり、尚且つ、暖房運転中である(STEP6:yes)という検出可能条件が成立した場合に開始されることになる。開故障検出処理の詳細な内容については後述する。
【0047】
開故障検出処理(STEP20)を終了すると、再び開故障判断処理に復帰した後、メンテナンス動作中か否かを判断する(
図4のSTEP7)。その結果、メンテナンス動作中であった場合は(STEP7:yes)、即湯ポンプ51の回転開始後から所定のメンテナンス動作時間が経過したか否かを判断する(STEP8)。本実施例のメンテナンス動作時間は5分間に設定されている。そして、メンテナンス動作時間が経過していない場合は(STEP8:no)、暖房運転が継続中であるか否かを確認し(STEP10)、依然として暖房運転中であることが確認できたら(STEP10:yes)、後述する開故障検出処理を開始する(STEP20)。
【0048】
これに対して、メンテナンス動作時間は未だ経過していないが(STEP8:no)、暖房運転が終了していた場合は(STEP10:no)、即湯流量制御弁84の開故障の有無を判断できないので、
図3および
図4に示した開故障判断処理を終了する。また、STEP8の判断で、メンテナンス動作時間が経過したと判断した場合は(STEP8:yes)、即湯ポンプ51を停止させることによってメンテナンス動作を終了した後(STEP9)、開故障判断処理を終了する。
【0049】
また、
図3を用いて前述したように、開故障検出処理(STEP20)が開始されるのは、メンテナンス動作中または凍結予防動作中の何れかであるから、開故障検出処理(STEP20)から復帰した後のSTEP7で、メンテナンス動作中でないと判断された場合(STEP7:no)は、凍結予防動作中であると考えられる。そこで、STEP7で「no」と判断した場合は、今度は、即湯ポンプ51の回転開始後、所定の凍結予防動作時間が経過したか否かを判断する(STEP11)。本実施例の凍結予防動作時間は15分間に設定されている。
【0050】
そして、即湯ポンプ51の回転を開始してから、凍結予防動作時間が経過していない場合は(STEP11:no)、暖房運転が継続中であるか否かを確認し(STEP13)、依然として暖房運転中であることが確認できたら(STEP13:yes)、後述する開故障検出処理を開始する(STEP20)。これに対して、凍結予防動作時間は未だ経過していないが(STEP11:no)、暖房運転が終了していた場合は(STEP13:no)、即湯流量制御弁84の開故障の有無を判断できないので、
図3および
図4に示した開故障判断処理を終了する。
【0051】
図5は、開故障判断処理の中で即湯流量制御弁84の開故障の有無を検出するために実行される開故障検出処理のフローチャートである。
図3を用いて前述したように、この処理は、開故障判断処理の中で、即湯流量制御弁84の開故障の検出可能条件が成立したと判断された場合に開始される。
【0052】
図5に示されるように、開故障検出処理(STEP20)を開始すると、先ず初めに、即湯流量制御弁84が閉弁状態に設定されているか否かを確認する(STEP21)。すなわち、即湯流量制御弁84の開故障を検出するためには、即湯流量制御弁84を閉弁状態に設定しておく必要があるので、先ず初めに、即湯流量制御弁84が閉弁状態に設定されているか否かを判断して(STEP21)、閉弁状態に設定されていない場合は(STEP21:no)、即湯流量制御弁84の開故障を検出できないので、
図5の開故障検出処理を終了して、
図3の開故障判断処理のSTEP7に復帰する。
【0053】
尚、
図5の開故障検出処理は、
図3および
図4に示した開故障判断処理の中で、即湯流量制御弁84の開故障の検出可能条件が成立したと判断された場合に開始される処理であり、開故障の検出可能条件が成立するためには、即湯運転が停止中でなければならない。従って、
図5の開故障検出処理を開始する時点では、通常は、即湯流量制御弁84が閉弁状態に設定されている筈であるが、何らかの理由で即湯運転などが開始されている事態も考えられるので、STEP21では、念のために、即湯流量制御弁84が閉弁状態に設定されていることを確認する。
【0054】
続いて、即湯ポンプ51が回転を開始してから所定時間が経過したか否かを判断する(STEP22)。すなわち、
図5の開故障検出処理が開始される前に、
図3のSTEP4またはSTEP5の何れかで即湯ポンプ51の回転が開始されているので、回転が開始されてから所定時間が経過したか否かを判断する。尚、所定時間は、出湯通路44および還流通路50内の水が、出湯通路44および還流通路50を安定して循環するまでに要する時間(例えば1分間)に設定されている。そして、まだ所定時間が経過していない場合は(STEP22:no)、STEP22の判断を繰り返すことによって待機状態となる。
【0055】
その結果、所定時間が経過したと判断したら(STEP22:yes)、即湯熱交換器54の上流側での温水の温度と、下流側での温水の温度とを検出する(STEP23)。即湯熱交換器54の上流側および下流側での温水の温度は、それぞれ即湯戻温度センサ56および即湯往温度センサ57を用いて検出することができる(
図1参照)。
【0056】
そして、即湯熱交換器54の下流側で検出した温水の温度から、上流側で検出した温水の温度を減算することによって、即湯熱交換器54での温度上昇量を算出し(STEP24)、温度上昇量が所定の閾値温度よりも大きい状態で所定の継続時間が経過したか否かを判断する(STEP25)。継続時間の長さは適宜に設定することができる。迅速な判断を優先する場合には、短い時間(例えば3~5秒)に設定し、誤判断の回避を優先する場合には、長い時間(例えば60秒)に設定してもよい。その結果、即湯熱交換器54での温度上昇量が閾値温度よりも大きい状態が継続時間に達している場合は(STEP25:yes)、即湯流量制御弁84の開故障が発生したものと判断する(STEP26)。温度上昇量が閾値温度よりも大きかった場合に、即湯流量制御弁84が開故障していると判断する理由は次のようなものである。
【0057】
先ず、即湯流量制御弁84は閉弁状態に設定されているから、即湯熱交換器54には暖房往通路70の熱媒は供給されない筈である。即湯熱交換器54に暖房往通路70の熱媒が供給されていなければ、即湯ポンプ51で出湯通路44および還流通路50内の水を循環させても、即湯熱交換器54で水が加熱されることはない。ところが、即湯熱交換器54の通過する水の温度が閾値温度以上、上昇していた場合、そのことは、暖房往通路70の熱媒が即湯熱交換器54に供給されていることを示している。即湯流量制御弁84が閉弁状態に設定されているにも拘わらず、暖房往通路70の熱媒が即湯熱交換器54に供給されているということは、即湯流量制御弁84が開故障していることに他ならない。このような理由から、
図5のSTEP24で算出した温度上昇量が閾値温度よりも大きい状態が、予め設定しておいた継続時間に亘って維持されていた場合には、即湯流量制御弁84が開故障していると判断することができる。
【0058】
これに対して、即湯熱交換器54での温度上昇量が閾値温度に達していないか、閾値温度に達していても、その状態で継続時間が経過していないと判断した場合は(STEP25:no)、即湯流量制御弁84は開故障していないと考えてよい。以上のようにして、即湯流量制御弁84での開故障の有無を検出したら、
図5の開故障検出処理を終了して、
図3の開故障判断処理のSTEP7に復帰する。
【0059】
以上のように、本実施例の給湯装置1は、即湯熱交換器54の上流側および下流側での温水の温度上昇量に基づいて、即湯流量制御弁84の開故障を検出することができる。即湯流量制御弁84の開故障を検出するためには、即湯流量制御弁84を閉弁状態にする必要があるが、即湯流量制御弁84の開閉状態と即湯ポンプ51の動作状態とは連動しており、即湯流量制御弁84を閉弁状態にすると即湯ポンプ51が停止してしまう。このため、即湯流量制御弁84の開故障を検出することは原理的に不可能と考えられてきた。しかし、給湯装置1が暖房運転中にメンテナンス動作を行う場合、あるいは暖房運転中に凍結予防動作を行う場合には、即湯流量制御弁84が閉弁状態で即湯ポンプ51が回転することがある。そこで、本実施例の給湯装置1は、このような条件が成立し、尚且つ暖房運転中でもあるという条件が成立することを検出して、即湯流量制御弁84の開故障の有無を判断する。こうすれば、即湯流量制御弁84の開故障の有無を、給湯装置1の通常の制御の中で判断することが可能となる。
【0060】
尚、
図1に示したように、本実施例の給湯装置1では、即湯熱交換器54の上流側で温水の温度を検出する即湯戻温度センサ56は、即湯ポンプ51と即湯熱交換器54との間に位置、すなわち即湯熱交換器54の比較的近くの位置に搭載されている。これに対して、即湯熱交換器54の下流側で温水の温度を検出する即湯往温度センサ57は、還流通路50が出湯通路44に合流した合流位置44cの下流の位置、すなわち即湯熱交換器54から離れた位置に搭載されている。即湯往温度センサ57をこのような位置に搭載する理由は、即湯往温度センサ57から給湯栓2までの距離を短くすることで、ユーザが給湯栓2を開いた時に給湯栓2から流出する温水の実際の温度を正確に検出するためである。しかし、その反面で、即湯熱交換器54から即湯往温度センサ57までの距離が長くなってしまうので、即湯熱交換器54で加熱された温水が即湯往温度センサ57に届くまでに温度が低下する可能性がある。
【0061】
そして、即湯流量制御弁84の開故障の有無を判断する際には、即湯流量制御弁84は閉弁状態に設定されているので(
図5のSTEP21参照)、即湯流量制御弁84が開故障していたとしても、暖房往通路70から即湯熱交換器54に供給される熱媒の流量は少ないと考えられる。このため、即湯ポンプ51によって循環する温水が即湯熱交換器54で加熱されたとしても、即湯往温度センサ57に達するまでに温度が低下してしまい、即湯流量制御弁84の開故障を検出できなくなる可能性がある。そこで、
図5の開故障検出処理の代わりに、次のような開故障検出処理を行っても良い。
【0062】
図6は、給湯装置1が実行する変形例の開故障検出処理のフローチャートである。この処理は、
図3および
図4に示した開故障判断処理の中で、開故障検出処理(STEP20)の代わりに実行される処理である。
【0063】
図示されるように、変形例の開故障検出処理(STEP30)を開始すると、先ず初めに、即湯流量制御弁84を開弁状態に設定する(STEP31)。すなわち、
図5を用いて前述した開故障検出処理では、処理を開始するとまず初めに即湯流量制御弁84が閉弁状態であることを確認したが、変形例の開故障検出処理では、即湯流量制御弁84を開弁させる。このため、暖房往通路70の熱媒が即湯熱交換器54に供給されて、即湯熱交換器54内の循環温水を加熱し、その循環温水を即湯ポンプ51が循環させるので、出湯通路44および還流通路50が加熱されることになる。
【0064】
こうして即湯流量制御弁84を開弁させたら(STEP31)、所定の加熱時間が経過したか否かを判断する(STEP32)。本実施例の加熱時間は、30秒から1分程度の短い時間に設定されている。その結果、加熱時間が経過していないと判断した場合は(STEP32:no)、STEP32の判断を繰り返すことによって待機状態となり、加熱時間が経過したと判断した場合は(STEP32:yes)、即湯流量制御弁84を閉弁状態に設定する(STEP33)。
【0065】
続いて、所定の安定化時間が経過したか否かを判断する(STEP34)。そして、安定化時間が経過していないと判断した場合は(STEP34:no)、STEP34の判断を繰り返すことによって待機状態となるが、安定化時間が経過したと判断したら(STEP34:yes)、即湯熱交換器54の上流側での温水の温度と、下流側での温水の温度とを検出する(STEP35)。すなわち、変形例の開故障検出処理では、即湯流量制御弁84を閉弁状態とした後、安定化時間が経過するのを待って、温水の温度を検出することになる。このようなことをするのは、次の理由による。
【0066】
上述したように変形例の開故障検出処理では、処理を開始すると即湯流量制御弁84を開弁させて、暖房往通路70の熱媒の一部を即湯熱交換器54に供給する(STEP31)。このため、STEP33で即湯流量制御弁84を閉弁させても、暫くの間は即湯熱交換器54が加熱された状態となっているので、即湯熱交換器54を通過する際に循環温水の温度が上昇する。そして、即湯熱交換器54から流出した循環温水は、下流の還流通路50や出湯通路44を暖めた後、再び、即湯熱交換器54に還流する。このため、即湯ポンプ51を回転させていると、即湯熱交換器54や還流通路50や出湯通路44や即湯ポンプ51の温度が均一化していき、やがては安定する。安定化時間とは、即湯熱交換器54や還流通路50や出湯通路44や即湯ポンプ51の温度が安定化するまでに要する時間である。本実施例の安定化時間は5分間に設定されている。
【0067】
こうして安定化時間が経過した後は(STEP34:yes)、即湯熱交換器54の上流側および下流側で温水の温度を検出する(STEP35)。そして、その後は、前述した本実施例の開故障検出処理と同様にして、即湯流量制御弁84での開故障の有無を検出する。以下、簡単に説明すると、即湯熱交換器54の下流側で検出した温水の温度から、上流側で検出した温水の温度を減算することによって、即湯熱交換器54での温度上昇量を算出し(STEP36)、温度上昇量が所定の閾値温度よりも大きい状態で所定の継続時間が経過したか否かを判断する(STEP37)。継続時間の長さは適宜に設定することができる。
【0068】
その結果、即湯熱交換器54での温度上昇量が閾値温度よりも大きい状態で継続時間が経過している場合は(STEP37:yes)、即湯流量制御弁84の開故障が発生したものと判断して(STEP38)、変形例の開故障検出処理を終了する。これに対して、即湯熱交換器54での温度上昇量が閾値温度に達していないか、閾値温度に達していても、その状態で継続時間が経過していないと判断した場合は(STEP37:no)、即湯流量制御弁84は開故障していないと考えられるので、そのまま開故障検出処理を終了して、
図3の開故障判断処理に復帰する。
【0069】
上述した変形例の開故障検出処理では、即湯熱交換器54で加熱された温水が即湯往温度センサ57に達するまでに冷やされることを抑制することができるので、即湯流量制御弁84の開故障を精度よく検出することが可能性となる。
【0070】
尚、上述した変形例の開故障検出処理では、メンテナンス動作中あるいは凍結予防動作中の何れで開始された場合でも、同じ加熱時間および同じ安定化時間を使用するものとして説明した。しかし、開故障検出処理が凍結予防動作中に開始された場合には、メンテナンス動作中に開始された場合よりも、長い時間に設定された加熱時間および安定化時間を使用することとしても良い。
【0071】
また、上述した変形例の開故障検出処理を実行する代わりに、即湯熱交換器54の直ぐ下流側の位置に、即湯往温度センサ57とは別に追加の温度センサを装着しても良い。こうすれば、還流通路50や出湯通路44が冷たくなっている場合でも、その影響を受けることなく、即湯熱交換器54での循環温水の温度上昇量を検出することができるので、即湯流量制御弁84の開故障の有無を正確に検出することが可能となる。
【0072】
以上、本実施例および変形例の給湯装置1について説明したが、本発明は上記の実施例および変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【符号の説明】
【0073】
1…給湯装置、 2…給湯栓、 10…給湯加熱部、 11…給湯バーナ、
12…給湯第1熱交換器、 13…給湯第2熱交換器、 14…燃焼ファン、
20…暖房加熱部、 21…暖房バーナ、 22…暖房第1熱交換器、
23…暖房第2熱交換器、 30…ガス通路、 31…元弁、
32…比例弁、 33…給湯電磁弁、 34…暖房電磁弁、
40…給水通路、 41…流量センサ、 42…流量制御弁、
43…給湯連絡通路、 44…出湯通路、 44a…接続位置、
44b…分岐位置、 44c…合流位置、 45…缶体温度センサ、
46…バイパス通路、 47…バイパス制御弁、 48…出湯温度センサ、
50…還流通路、 51…即湯ポンプ、 52…逆止弁、
53…即湯流量センサ、 54…即湯熱交換器、 56…即湯戻温度センサ、
57…即湯往温度センサ、 60…湯張通路、 61…湯張電磁弁、
62…逆止弁、 63…湯張水量センサ、 70…暖房往通路、
71…暖房戻通路、 72…暖房連絡通路、 73…シスターン、
74…暖房ポンプ、 75…暖房低温度センサ、 76…暖房高温度センサ、
80…追焚分岐通路、 81…風呂用流量制御弁、 82…風呂用熱交換器、
83…即湯分岐通路、 84…即湯流量制御弁、 90…風呂戻通路、
91…風呂往通路、 92…風呂ポンプ、 100…制御部、
100a…外気温センサ、 101…給湯運転実行部、
102…暖房運転実行部、 103…即湯運転実行部、
104…メンテナンス動作実行部、 105…凍結予防動作実行部、
106…検出可能条件判断部、 107…温度上昇量算出部、
108…開故障検出部。