(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041679
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】バスダクトの支持構造
(51)【国際特許分類】
E04B 9/00 20060101AFI20240319BHJP
E04B 9/18 20060101ALI20240319BHJP
H02G 5/02 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
E04B9/00 G
E04B9/18 F
H02G5/02
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022146622
(22)【出願日】2022-09-14
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-12-05
(71)【出願人】
【識別番号】391036921
【氏名又は名称】川北電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100223907
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 静夫
(72)【発明者】
【氏名】上田 透
【テーマコード(参考)】
5G365
【Fターム(参考)】
5G365AB01
(57)【要約】
【課題】他の設備や構造物と干渉しにくいバスダクトの支持構造を提供する。
【解決手段】バスダクト910が、バスダクト910の長手方向に所定間隔をおいて配置された吊り下げ部材111によって吊り下げ支持されているバスダクトの支持構造100であって、第3板部800cに取り付けられた支持部材200を有し、支持部材200は、第3板部800cに取り付けられ、バスダクト910の長手方向に延在する第1部材201と、上端が第1部材201の前端に接続し、この接続部から鉛直に延在する第2部材202と、上端が第1部材201の後端に接続するとともに、下端が第2部材202の下端に接続し、鉛直方向から傾いた第3部材203とを備え、バスダクト910は、第2部材に取り付けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バスダクト(910)が前記バスダクトの長手方向に所定間隔をおいて配置された吊り下げ部材(111)によって吊り下げ支持されているバスダクトの支持構造であって、
構造物に取り付けられ、前記バスダクトが取り付けられた支持部材(200)を有し、
前記支持部材は、
前記構造物に取り付けられ、前記長手方向に延在する第1部材(201)と、
上端が前記第1部材の一方の端部に接続し、この接続部から下方に延在する第2部材(202)と、
上端が前記第1部材の他方の端部に接続するとともに、他端が前記第2部材の下端に接続する第3部材(203)と、を備え、
前記第2部材及び前記第3部材の少なくともいずれか一方は、鉛直方向から傾いており、
前記バスダクトは、前記第2部材又は前記第3部材に取り付けられていることを特徴とするバスダクトの支持構造。
【請求項2】
前記第2部材は、鉛直方向に延在し、
前記第3部材は、鉛直方向から傾いていることを特徴とする請求項1に記載のバスダクトの支持構造。
【請求項3】
前記第1部材は、前記長手方向と直行する上下方向及び前記長手方向を含む面と延在方向が一致する板状の第1側板(201a)と、この第1側板の外縁から前記第1側板の延在方向と直行する方向に延在する板状の第1外周板(201b)と、を備え、
前記第2部材は、前記上下方向及び前記長手方向を含む面と延在方向が一致する板状の第2側板(202a)と、この第2側板の外縁から前記第2側板の延在方向と直行する方向に延在する板状の第2外周板(202b)と、を備え、
前記第3部材は、前記上下方向及び前記長手方向を含む面と延在方向が一致する板状の第3側板(203a)と、この第3側板の外縁から前記第3側板の延在方向と直行する方向に延在する板状の第3外周板(203b)と、を備え、
前記第2外周板の上端は、前記第1外周板の一端と接続し、
前記第3外周板の上端は、前記第1外周板の他端と接続し、
前記第3外周板の下端は、前記第2外周板の下端と接続していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のバスダクトの支持構造。
【請求項4】
前記第1外周板は、前記第1側板との接続部から前記バスダクト側に延在し、
前記第2外周板は、前記第2側板との接続部から前記バスダクト側に延在し、
前記第3外周板は、前記第3側板との接続部から前記バスダクト側に延在していることを特徴とする請求項3に記載のバスダクトの支持構造。
【請求項5】
前記支持部材が取り付けられる前記構造物は、水平方向に延在する板状の板部(800c)を有し、
前記板部の前記長手方向の一端側と他端側の両方の上面のそれぞれに一対の挟持部材(251)が載置され、
一対の前記挟持部材は、前記第1部材の上方にまで延出しており、
一対の前記挟持部材に形成された第1連通穴(251d)及び前記第1部材に形成された第2連通穴(201b1)に挿通する第1ボルト(254)と、前記第1ボルトにねじ込まれた第1ナット(255)によって、一対の前記挟持部材と前記第1部材が締結されて、前記板部が一対の前記挟持部材と前記第1部材で挟持されることにより、前記支持部材の前記第1部材が前記板部に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のバスダクトの支持構造。
【請求項6】
一対の前記挟持部材と前記第1部材の間のそれぞれには、一対の板状の位置決め部材(253)がそれぞれ配置され、
前記位置決め部材には、前記第1ボルトが挿通する第3連通穴(253a)が形成され、
一対の前記位置決め部材の端部がそれぞれ前記板部の前記長手方向の端部に当接していることを特徴とする請求項5に記載のバスダクトの支持構造。
【請求項7】
前記挟持部材には、第4連通穴(251c)が形成され、
前記挟持部材の前記第4連通穴と同じ位置に第2ナット(252)が溶接され、
前記第2ナットに、第2ボルト(258)がねじ込まれ、
前記第2ボルトの先端が、前記第4連通穴に挿通したうえで、前記板部を押圧していることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のバスダクトの支持構造。
【請求項8】
前記構造物には、前記長手方向と直行する幅方向に間隔をおいて、一対の前記支持部材が互いに対向するように配置されて取り付けられ、
一対の前記支持部材の下部を接続する支持梁(230)と、
一対の筋交い部材(210)を更に有し、
一方の前記筋交い部材は、一対の前記第2部材のうち一方の前記第2部材の上端部と一対の前記第2部材のうち他方の前記第2部材の下端部とを斜めに接続し、
他方の前記筋交い部材は、一対の前記第2部材のうち他方の前記第2部材の上端部と一対の前記第2部材のうち一方の前記第2部材の下端部とを斜めに接続していることを特徴とする請求項1に記載のバスダクトの支持構造。
【請求項9】
前記支持梁には、前記バスダクトが取り付けられていることを特徴とする請求項8に記載のバスダクトの支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスダクトの支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、非特許文献1に示されるように、板状の金属導体を金属製のケースで収容したバスダクトが構造物に吊り下げ支持されたバスダクトの支持構造が有る。非特許文献1に示されるバスダクトの支持構造は、
図9に示されるような構造である。なお、
図9の(A)は、バスダクトの支持構造の側面図であり、
図9の(B)は、
図9の(A)のX視断面図である。
図9の(A)、(B)に示すように、バスダクト910は、バスダクト910の長手方向と直行する幅方向に沿って配置された桁部材921上に載置されて取り付けられている。この桁部材921は、長手方向に一定間隔をおいて配置されている。桁部材921は、構造物923に取り付けられた吊りボルト922によって吊り下げられて支持されている。
【0003】
桁部材921が吊りボルト922で吊り下げられただけの構造では、バスダクト910の支持構造の長手方向及び幅方向の剛性が低く、地震が発生した場合に、バスダクト910が長手方向及び幅方向に揺れるおそれがあるだけでなく、バスダクトの支持構造やバスダクト910が破損するおそれがある。このため、長手方向に一定間隔をおいて、桁部材921は、構造物923に取り付けられた支持部材924で支持されている。
【0004】
この支持部材924は、アングル材やチャンネル材等で構成されている。更に、
図9の(A)に示すように、支持部材924の下端部が、構造物923に取り付けられた第1ブレース925によって支持されている。この第1ブレース925は、上方に位置するに従って、長手方向に関して、支持部材924から離れるように、斜めに配置されている。この第1ブレース925によって、バスダクトの取付構造の長手方向の剛性が高まり、バスダクト910の長手方向の揺れが抑制される。
【0005】
また、
図9の(B)に示すように、桁部材921の両端が、構造物923に取り付けられた第2ブレース926によって支持されている。この第2ブレース926は、上方に位置するに従って、幅方向に関して、支持部材924から離れるように、斜めに配置されている。この第2ブレース926によって、バスダクトの取付構造の幅方向の剛性が高まり、バスダクト910の幅方向の揺れが抑制される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】建築設備耐震設計・施工指針2014年版
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来のバスダクトの支持構造では、第1ブレース925や第2ブレース926が長手方向や幅方向に大きく張り出しているため、第1ブレース925や第2ブレース926が他の設備や他の構造物と干渉する場合が有り、第1ブレース925や第2ブレース926の施工が困難であった。
【0008】
本発明は、他の設備や構造物と干渉しにくいバスダクトの支持構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためになされた、請求項1に記載の発明であるバスダクトの支持構造は、
バスダクト(910)が前記バスダクトの長手方向に所定間隔をおいて配置された吊り下げ部材(111)によって吊り下げ支持されているバスダクトの支持構造であって、
構造物に取り付けられ、前記バスダクトが取り付けられた支持部材(200)を有し、
前記支持部材は、
前記構造物に取り付けられ、前記長手方向に延在する第1部材(201)と、
上端が前記第1部材の一方の端部に接続し、この接続部から下方に延在する第2部材(202)と、
上端が前記第1部材の他方の端部に接続するとともに、他端が前記第2部材の下端に接続する第3部材(203)と、を備え、
前記第2部材及び前記第3部材の少なくともいずれか一方は、鉛直方向から傾いており、
前記バスダクトは、前記第2部材又は前記第3部材に取り付けられていることを特徴とする。
【0010】
これによれば、支持部材は、三角形状であり、第2部材及び第3部材の少なくともいずれか一方が、鉛直方向から傾いていることから、支持部材の前記長手方向の剛性を確保することができる。このため、バスダクトに長手方向の力が作用したとしても、バスダクトが長手方向に移動することが抑制される。また、第1部材の長さを長くしなくても、支持部材の前記長手方向の剛性を確保することができるので、支持部材が他の設備や構造物と干渉しにくい。このため、他の設備や構造物と干渉しにくいバスダクトの支持構造を提供することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記第2部材は、鉛直方向に延在し、
前記第3部材は、鉛直方向から傾いていることを特徴とする。
【0012】
これによれば、第2部材は、鉛直方向に延在し、鉛直方向から傾いていないため、バスダクトをブラケットを介して第2部材へ取り付けることが容易となる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、
前記第1部材は、前記長手方向と直行する上下方向及び前記長手方向を含む面と延在方向が一致する板状の第1側板(201a)と、この第1側板の外縁から前記第1側板の延在方向と直行する方向に延在する板状の第1外周板(201b)と、を備え、
前記第2部材は、前記上下方向及び前記長手方向を含む面と延在方向が一致する板状の第2側板(202a)と、この第2側板の外縁から前記第2側板の延在方向と直行する方向に延在する板状の第2外周板(202b)と、を備え、
前記第3部材は、前記上下方向及び前記長手方向を含む面と延在方向が一致する板状の第3側板(203a)と、この第3側板の外縁から前記第3側板の延在方向と直行する方向に延在する板状の第3外周板(203b)と、を備え、
前記第2外周板の上端は、前記第1外周板の一端と接続し、
前記第3外周板の上端は、前記第1外周板の他端と接続し、
前記第3外周板の下端は、前記第2外周板の下端と接続していることを特徴とする。
【0014】
これによれば、第1~第3外周板が第1~第3側板と直行する方向に延在し、第1~第3外周板が環状に接続されているので、支持部材自体の剛性が向上し、支持部材の前記長手方向に対する剛性が向上する。このため、支持部材の前記長手方向に対する剛性を確保しつつ、第1部材の長さをより短くすることができる。このため、より一層他の設備や構造物と干渉しにくいバスダクトの支持構造を提供することができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、
前記第1外周板は、前記第1側板との接続部から前記バスダクト側に延在し、
前記第2外周板は、前記第2側板との接続部から前記バスダクト側に延在し、
前記第3外周板は、前記第3側板との接続部から前記バスダクト側に延在していることを特徴とする。
【0016】
これによれば、第1~第3外周板が、第1~第3側板から幅方向の外側に張り出していないので、支持部材が他の設備や構造物と干渉しにくく、他の設備や構造物と干渉しにくいバスダクトの支持構造を提供することができる。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記支持部材が取り付けられる前記構造物は、水平方向に延在する板状の板部(800c)を有し、
前記板部の前記長手方向の一端側と他端側の両方の上面のそれぞれに一対の挟持部材(251)が載置され、
一対の前記挟持部材は、前記第1部材の上方にまで延出しており、
一対の前記挟持部材に形成された第1連通穴(251d)及び前記第1部材に形成された第2連通穴(201b1)に挿通する第1ボルト(254)と、前記第1ボルトにねじ込まれた第1ナット(255)によって、一対の前記挟持部材と前記第1部材が締結されて、前記板部が一対の前記挟持部材と前記第1部材で挟持されることにより、前記支持部材の前記第1部材が前記板部に取り付けられていることを特徴とする。
【0018】
これによれば、構造物である板部に穴等の加工を施すこと無く、支持部材を構造物に取り付けることができる。このため、構造物に加工を施すことに起因する構造物の強度の低下を防止することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、
一対の前記挟持部材と前記第1部材の間のそれぞれには、一対の板状の位置決め部材(253)がそれぞれ配置され、
前記位置決め部材には、前記第1ボルトが挿通する第3連通穴(253a)が形成され、
一対の前記位置決め部材の端部がそれぞれ前記板部の前記長手方向の端部に当接していることを特徴とする。
【0020】
これによれば、一対の位置決め部材の端部がそれぞれ板部の前記長手方向の端部に当接しているので、支持部材の板部に対する前記長手方向の移動が阻止される。このため、より強固に支持部材を板部に取り付けることができ、バスダクトの支持構造の剛性をより向上させることができる。
【0021】
請求項7に記載の発明は、請求項5又は請求項6に記載の発明において、
前記挟持部材には、第4連通穴(251c)が形成され、
前記挟持部材の前記第4連通穴と同じ位置に第2ナット(252)が溶接され、
前記第2ナットに、第2ボルト(258)がねじ込まれ、
前記第2ボルトの先端が、前記第4連通穴に挿通したうえで、前記板部を押圧していることを特徴とする。
【0022】
これによれば、第2ボルトの先端が板部を押圧しているので、支持部材が板部に対してぐらつかず、支持部材を板部に強固に取り付けることができ、バスダクトの支持構造の剛性をより向上させることができる。
【0023】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記構造物には、前記長手方向と直行する幅方向に間隔をおいて、一対の前記支持部材が互いに対向するように配置されて取り付けられ、
一対の前記支持部材の下部を接続する支持梁(230)と、
一対の筋交い部材(210)を更に有し、
一方の前記筋交い部材は、一対の前記第2部材のうち一方の前記第2部材の上端部と一対の前記第2部材のうち他方の前記第2部材の下端部とを斜めに接続し、
他方の前記筋交い部材は、一対の前記第2部材のうち他方の前記第2部材の上端部と一対の前記第2部材のうち一方の前記第2部材の下端部とを斜めに接続していることを特徴とする。
【0024】
これによれば、支持梁及び一対の筋交い部材によって、支持部材の幅方向の剛性を向上させることができ、ひいては、バスダクトの取付構造の幅方向の剛性を向上させることができる。また、一対の筋交い部材は、一対の支持部材から幅方向に関して外側に突出していないので、バスダクトの取付構造の幅方向の剛性を確保しつつ、他の設備や構造物と干渉しにくいバスダクトの支持構造を提供することができる。
【0025】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の発明において、
前記支持梁には、前記バスダクトが取り付けられていることを特徴とする。
【0026】
これによれば、バスダクトの取付構造の幅方向の剛性を向上させる部材である支持梁にバスダクトを取り付けているので、バスダクトの取付構造の部材の点数を削減することができ、バスダクトの支持構造の製造コストを低減させることが可能となる。
【0027】
なお、この欄及び特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態のバスダクトの支持構造の全体図である。
【
図2】
図1の一点鎖線で示す部分の詳細図であり、支持部材の側面図である。
【
図4】
図1のB視矢視図であり、吊りボルトによってバスダクトが支持されている構造の説明図である。
【
図5】
図4のC視矢視図であり、吊りボルトが第2梁部材に取り付けられている部分の詳細図である。
【
図6】
図2の一点鎖線で示す部分の詳細図であり、支持部材が第1梁部材に取り付けられている部分の詳細図である。
【
図9】従来のバスダクトの支持構造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(バスダクトの支持構造の説明)
以下に、
図1~
図8を用いて、本発明の一実施形態であるバスダクトの支持構造100について説明する。
図1、
図2において、紙面左右方向をバスダクトの支持構造100及びバスダクトの支持構造100を構成する部品の長手方向とし、紙面上下方向を支持構造100及びバスダクトの支持構造100を構成する部品の上下方向とする。
図3、
図4において、紙面左右方向をバスダクトの支持構造100及びバスダクトの支持構造100を構成する部品の幅方向とし、紙面上下方向を支持構造100及びバスダクトの支持構造100を構成する部品の上下方向とする。本明細書において、単に「長手方向」と記載した場合には、上述のバスダクトの支持構造100及びバスダクトの支持構造100を構成する部品の長手方向とする。また、本明細書において、単に「幅方向」と記載した場合には、上述のバスダクトの支持構造100及びバスダクトの支持構造100を構成する部品の幅方向とする。
【0030】
本実施形態では、バスダクトの支持構造100は、バスダクト910とともにケーブルラック950(
図3示)も支持している。
【0031】
図1に示すように、本実施形態では、長手方向に一定間隔をおいて、幅方向に延在する第1梁部材800が設けられている。本実施形態では、第1梁部材800は、H型鋼である。
【0032】
長手方向において、第1梁部材800の間には、長手方向に一定間隔をおいて、幅方向に延在する第2梁部材850が設けられている。第2梁部材850は、本実施形態では、Cチャンネル鋼材であるが、角型鋼管や、アングル鋼材、鉄筋コンクリート等であってもよい。第1梁部材800及び第2梁部材850は、建物等の構造物を構成する部材である。
【0033】
第2梁部材850には、吊りボルト111が取り付けられている。吊りボルト111は、断面が円形状の丸棒鋼の外周面にねじ山が形成されたボルトである。以下、
図4を用いて、吊りボルト111が第2梁部材850に取り付けられている構造及び吊りボルト111によってバスダクト910及びケーブルラック950が吊り下げ支持されている構造について説明する。
図4に示すように、2本で一対の吊りボルト111が、幅方向に所定間隔をおいて、第2梁部材850に取り付けられ、その長手方向が鉛直方向の一致するように、第2梁部材850の下方に配置されている。
【0034】
図5に示すように、吊りボルト111の上端は、接続部材112によって、第2梁部材850に取り付けられている。接続部材112は、断面形状がコ字形状であり、第1片112a、第2片112b、第3片112cとから構成されている。第1片112aは、上下方向に延在する板状の部材である。第2片112bは、第1片112aの上端に接続し、長手方向の前側に延在している。つまり、第1片112aの延在方向と直行する方向に延在する板状の部材である。第3片112cは、第1片112aの下端に接続し、長手方向の前側に延在している。つまり、第1片112aの延在方向と直行する方向に延在する板状の部材である。第2片112bと第3片112cとは対向している。第2片112bの先端(前端)には、連通穴112b1が形成されている。同様に、第3片112cの先端(前端)には、連通穴112c1が形成されている。第2片112bに形成された連通穴112b1と第3片112cに形成された連通穴112c1の水平方向の位置は一致している。
【0035】
第2片112bと第3片112cで第2梁部材850を挟み込んで、接続部材112が第2梁部材850に配置されている。本実施形態では、Cチャンネル鋼材の開口部が第1片112a側を向いている。
【0036】
吊りボルト111の上端部が連通穴112b1、112c1に挿通され、吊りボルト111に2つのナット113が取り付けられ、これらのナット113が第2片112b及び第3片112c側に締め付けられている。なお、ナット113と第2片112bの間と、ナット113と第3片112cの間には、それぞれ、ワッシャー114及びスプリングワッシャー118が取り付けられている。このような構造によって、吊りボルト111が接続部材112に取り付けられて、吊りボルト11が第2梁部材850に取り付けられている。このように、第2梁部材850に吊りボルト111を取り付けるための穴等の加工を施していないので、第2梁部材850の強度が低下しない。
【0037】
なお、連通穴112b1や連通穴112c1にネジ穴を形成したり、連通穴112b1や連通穴112c1が形成されている部分の第2片112bや第3片112cにナットを溶接して、ネジ穴や上記ナットに吊りボルト111をねじ込むことによって、吊りボルト111を接続部材112に取り付ける構造であってもよい。
【0038】
図4に示すように、一対の吊りボルト111の下部には、第1桁部材115と第2桁部材116が取り付けられている。第1桁部材115及び第2桁部材116は、幅方向に沿って配置された長尺な部材である。一対の吊りボルト111の下端部に第2桁部材116が取り付けられ、一対の吊りボルト111の下端部よりも上側の位置に第1桁部材115が取り付けられている。つまり、第1桁部材115と第2桁部材116は、互いに対向し、第1桁部材115は第2桁部材116の上方に配置されている。
【0039】
本実施形態では、第1桁部材115と第2桁部材116は、ダクターチャンネルであるが、アングル材であってもよい。
図4に示される例では、ダクターチャンネルである第1桁部材115及び第2桁部材116の開口部は、長手方向の後側を向いている。
【0040】
第1桁部材115の幅方向の両端部の上板115a及び下板115bには、連通穴115cが形成されている。これら上板115a及び下板115bに形成された連通穴115cに吊りボルト111が挿通している。そして、吊りボルト111には、上板115a側に締め付けられるナット117と、下板115b側に締め付けられるナット117が締め込まれている。なお、ナット117と上板115aや下板115bとの間には、ワッシャー及びスプリングワッシャーが取り付けられている。このような構造によって、第1桁部材115が一対の吊りボルト111に取り付けられている。
【0041】
第1桁部材115の上板115a上には、長手方向に沿って延在するバスダクト910が載置されて取り付けられている。本実施形態では、4本のバスダクト910が幅方向に一定間隔をあけて、上板115a上に取り付けられている。なお、幅方向の両端側に位置している2本のバスダクト910の高さは、幅方向の中央部側に位置している2本のバスダクト910よりも上下方向の高さが低くなっている。
【0042】
第2桁部材116の幅方向の両端部の上板116a及び下板116bには、連通穴116cが形成されている。これら上板116a及び下板116bに形成された連通穴116cに吊りボルト111が挿通している。そして、吊りボルト111には、上板116a側に締め付けられるナット117と、下板116b側に締め付けられるナット117が締め込まれている。なお、ナット117と上板115aや下板115bとの間には、ワッシャー及びスプリングワッシャーが取り付けられている。このような構造によって、第2桁部材116が一対の吊りボルト111に取り付けられている。
【0043】
第2桁部材116上には、長手方向に沿って延在するケーブルラック950が載置されて取り付けられている。ケーブルラック950は、水平方向に延在する底板950aと、この底板950aの幅方向の両端に接続し垂直方向に延在する側板950bとから構成されている。ケーブルラック950の底板950a上は、電力ケーブル等のケーブルが載置されて収納されている。
【0044】
バスダクト910やケーブルラック950が一対の吊りボルト111によって吊り下げ支持されている構造では、バスダクトの支持構造100の長手方向や幅方向の剛性が弱く、地震が発生した場合に、バスダクト910やケーブルラック950が長手方向や幅方向に揺れてしまう。そこで、本実施形態では、第1梁部材800に支持部材200を取り付け、この支持部材200で、バスダクト910及びケーブルラック950を支持して、バスダクトの支持構造100の長手方向の剛性を上げている。また、支持部材200に筋交い部材210(
図3示)を取り付けて、バスダクトの支持構造100の幅方向の剛性を上げている。以下に詳細に説明する。
【0045】
図3に示すように、一対の(2つの)支持部材200が、幅方向所定間隔をおいて、互いに対向するように配置されて、第1梁部材800の第3板部800cに取り付けられている。この取付構造については、後で詳細に説明する。
【0046】
図2に示すように、支持部材200は、側面視した場合に、直角三角形形状の部材である。支持部材200は、第1部材201、第2部材202、第3部材203から構成されている。第1部材201、第2部材202、第3部材203は、本実施形態では、断面形状がL字形状のアングル材である。
【0047】
第1部材201は、その長手方向がバスダクト910の長手方向に一致するするように配置されている。第1部材201は、後述するように、第1梁部材800に取り付けられている。第1部材201は、第1側板201aと第1外周板201bとから構成されている。第1側板201aは、上下方向及び長手方向を含む面と延在方向が一致する板状である。第1外周板201bは、幅方向及び長手方向を含む面(水平面)と延在方向が一致し、第1側板201aの上端(外縁)と接続し、この接続部から幅方向の内側に延在している。つまり、第1側板201aと第1外周板201bとは直行している。
【0048】
第2部材202は、その長手方向が上下方向に一致するするように配置されている。第2部材202の上端は、第1部材201の長手方向の前端に接続している。第2部材202の長さは、第1部材201の長さよりも長くなっている。本実施形態では、第2部材202の長さは、第1部材201の長さよりも3倍程度長くなっている。第2部材202は、第2側板202aと第2外周板202bとから構成されている。第2側板202aは、上下方向及び長手方向を含む面と延在方向が一致する板状である。第2外周板202bは、上下方向及び幅方向を含む面と延在方向が一致し、第2側板202aの前端(外縁)と接続し、この接続部から幅方向の内側に延在している。つまり、第2側板202aと第2外周板202bとは直行している。
【0049】
第3部材203は、その上端が第1部材201の長手方向の後端に接続し、その下端が第2部材202の下端に接続している。第3部材203は、上方に位置するに従って、後側に位置するように傾いている。つまり、第3部材203は、その延在方向が垂直方向から傾いている。第3部材203は、第3側板203aと第3外周板203bとから構成されている。第3側板203aは、上下方向及び長手方向を含む面と延在方向が一致する板状である。第3外周板203bは、第3側板203aの後端(外縁)と接続し、この接続部から幅方向の内側に延在している。つまり、第3側板203aと第3外周板203bとは直行している。このように、第1外周板203b~第3外周板203bが、第1側板201a~第3側板203aと直行する方向に形成され、環状に接合されているので、支持部材200の長手方向及び幅方向の剛性が高くなっている。
【0050】
図3に示すように、筋交い部材210は、棒状の部材であり、一対の(2本)の筋交い部材210が、第2部材202に取り付けられている。より詳細に説明すると、一方の筋交い部材210は、一対の第2部材202の第2外周板202bのうち一方の第2外周板202bの上端部と他方の第2外周板202bの下端部とを斜めに接続している。そして、他方の筋交い部材210は、一対の第2部材202の第2外周板202bのうち他方の第2外周板202bの上端部と一方の第2外周板202bの下端部とを斜めに接続している。つまり、一対の筋交い部材210は、X状に配置され、その中間部分が交差している。筋交い部材210は、棒状部材210aと、この棒状部材210aの両端に取り付けられた接続部材210bとから構成されている。棒状部材210aは、少なくとも両端部の断面形状が円形状の鋼棒であり、少なくとも両端部にネジ山が形成されている。
【0051】
接続部材210bには、棒状部材210aの端部に形成されたネジ山がねじ込まれるネジ穴210b1と、連通穴210b2が形成されている。第2部材202の第2外周板202bの上端部及び下部には、取付穴202b1(
図2示)が形成されている。
図2に示すように、第2外周板202bの取付穴202b1及び接続部材210bの連通穴210b2にボルト211が挿通し、ボルト211のネジ部211aの先端にナット212が締め付けられている。なお、ボルト211の頭部211bと第2部材202の第2外周板202bの間及びナット212と接続部材210bとの間には、ワッシャー及びスプリングワッシャーが配置されている。このような構造によって、接続部材210bが、第2部材202の第2外周板202bの上端部や下端部に取り付けられている。
【0052】
筋交い部材210の棒状部材210aを一方向側に回転させると、棒状部材210aの端部が接続部材210bのネジ穴210b1にねじ込まれるようになっている。一方で、筋交い部材210の棒状部材210aを他方向側に回転させると、接続部材210bのネジ穴210b1にねじ込まれている棒状部材210aの端部が緩むようになっている。棒状部材210aを一方向側に回転させることによって、棒状部材210aの端部を接続部材210bのネジ穴210b1にねじ込んで、棒状部材210aに張力が発生するようにしている。
【0053】
図2や
図3に示すように、一対の第2部材202の第2外周板202bの下部には、第1支持梁230と第2支持梁240が取付ブラケット250を介して取り付けられている。第1支持梁230と第2支持梁240は、幅方向に沿って配置された長尺な部材である。一対の第2外周板202bの下端部に第2支持梁240が取り付けられ、一対の第2外周板202bの下端部よりも上側の位置に第1支持梁230が取り付けられている。つまり、第1支持梁230と第2支持梁240は、互いに対向し、第1支持梁230は第2支持梁240の上方に配置されている。
【0054】
第1支持梁230及び第2支持梁240は、断面形状がL字形成のアングル材であるが、角型鋼管等であってもよい。第1支持梁230は、第1垂直板230aと、第1水平板230bとから構成されている。第1垂直板230aは、上下方向と幅方向を含む面と一致する方向に延在している板状である。第1水平板230bは、長手方向と幅方向を含む面(水平面)と一致する方向に板状であり、第1垂直板230aの上端から長手方向の前側に延在している。第1垂直板230aの両端部には連通穴230a1が形成されている。
【0055】
第2外周板202bの下端部よりも、上方位置には、2つの取付穴202b2が上下方向に並んで形成されている。
【0056】
取付ブラケット250は、板状であり、上記した連通穴230a1又は後述する連通穴240a1及び、2つの取付穴202b2又は後述する取付穴202b3に対応する連通穴250aが3つ形成されている。
【0057】
取付ブラケット250は、第2部材202の第2外周板202bと第1支持梁230の第1垂直板230aのと間に重ね合わせれて配置されている。そして、取付ブラケット250の3つの連通穴250aの位置が、それぞれ第2外周板202bの2つの取付穴202b2と第1垂直板230aの連通穴230a1の位置に一致され、これらの穴250a、202b2、230aにボルト261が挿通され、このボルト261のネジ部261aの先端にナット262が締め付けられている。なお、ボルト261の頭部261bと第2外周板202bとの間及びナット262と第2外周板202bとの間には、ワッシャー及びスプリングナットが配置されている。このような構造によって、第1支持梁230の両端部が、取付ブラケット250を介して一対の第2部材202の第2外周板202bの下端部よりも上方の位置に取り付けられている。
【0058】
図3に示すように、第1支持梁230の第1水平板230b上には、4本のバスダクト910が載置されて取り付けられている。上述したように、幅方向の両端側に位置している2本のバスダクト910の高さは、幅方向の中央部側に位置している2本のバスダクト910よりも上下方向の高さが低くなっている。このため、幅方向の両端側に位置している2本のバスダクト910が、筋交い部材210に干渉しないようになっている。
【0059】
第2支持梁240は、第2垂直板240aと、第2水平板240bとから構成されている。第2垂直板240aは、上下方向と幅方向を含む面と一致する方向に延在している板状である。第2水平板240bは、長手方向と幅方向を含む面(水平面)と一致する方向に板状であり、第2垂直板240aの上端から長手方向の前側に延在している。第2垂直板240aの両端部には連通穴240a1が形成されている。
【0060】
第2外周板202bの下端部には、2つの取付穴202b3が上下方向に並んで形成されている。
【0061】
取付ブラケット250は、第2部材202の第2外周板202bと第2支持梁240の第2垂直板240aのと間に重ね合わせれて配置されている。そして、取付ブラケット250の3つの連通穴250aの位置が、それぞれ第2外周板202bの2つの取付穴202b3と第2垂直板240aの連通穴240a1の位置に一致され、これらの穴250a、202b3、240aにボルト261が挿通され、このボルト261のネジ部261aの先端にナット262が締め付けられている。なお、ボルト261の頭部261bと第2外周板202bとの間及びナット262と第2外周板202bとの間には、ワッシャー及びスプリングナットが配置されている。このような構造によって、第2支持梁240の両端部が、取付ブラケット250を介して一対の第2部材202の第2外周板202bの下端部に取り付けられている。
【0062】
図3に示すように、第2支持梁240上には、ケーブルラック950が載置されて取り付けられている。
【0063】
次に、第1梁部材800について説明する。
図1や
図2に示すように、第1梁部材800は、それぞれ幅方向に延在する長尺の板状の第1板部800a、第2板部800b、第3板部800cから構成されている。第1板部800aは、水平方向に延在している。第2板部800bは、鉛直方向及びバスダクトの支持構造100の幅方向に延在し、第1板部800aの幅方向の中央部から下方に突出している。第3板部800cは、水平方向に延在し、その幅の中央部が第2板部800bの下端に接続し、第1板部800aと対向している。
【0064】
次に、
図6~
図8を用いて、支持部材200が第1梁部材800の第3板部800cに取り付けられている構造について説明する。
図6に示すように、第1部材201の第1外周板201bの上面は、第1梁部材800の第3板部800cの下面に当接している。第1梁部材800の第3板部800cの第2板部800bとの接続部分の前側及び後側の両方の上面のそれぞれには、一対の挟持部材251が載置されている。本実施形態では、挟持部材251は、断面形状がコ字形状のCチャンネル鋼材である。
図7に示すように、挟持部材251は、水平方向に延在する底板251aと、この底板251aの両端から上方に突出する側板251bとから構成されている。挟持部材251の底板251aが、第3板部800cの上面に当接している。
【0065】
図6に示すように、前側の挟持部材251は、第3板部800cの前端よりも前側に突出しており、第1部材201の前端まで突出している。同様に、後側の挟持部材251は、第3板部800cの後端よりも後側に突出しており、第1部材201の後端まで突出している。
【0066】
図6や
図8に示すように、前側の挟持部材251の底板251aの第2板部800b側の端部(後端部)には、第2ナット252が溶接されている。この第2ナット252のネジ穴と同じ位置の底板251aには、第4連通穴251cが形成されている。同様に、後側の挟持部材251の底板251aの第2板部800b側の端部(前端部)には、第2ナット252が溶接されている。この第2ナット252のネジ穴と同じ位置の底板251aには、第4連通穴251cが形成されている。
【0067】
前側の挟持部材251の底板251aの第2板部800b側と反対側の端部(前端部)には、2つ第1連通穴251dが長手方向に並んで形成されている。同様に、後側の挟持部材251の底板251aの第2板部800b側と反対側の端部(後端部)には、2つ第1連通穴251dが長手方向に並んで形成されている。
【0068】
前側の挟持部材251と第1部材201の第1外周板201bとの間には、板状の位置決め部材253が配置されている。同様に、後側の挟持部材251と第1部材201の第1外周板201bとの間には、板状の位置決め部材253が配置されている。位置決め部材253の板厚は、第3板部800cの板厚と同一となっている。前後の位置決め部材253には、それぞれ、挟持部材251に形成された第1連通穴251dと同じ水平方向の位置に、連通穴253aが2つ形成されている。
【0069】
第1部材201の第1外周板201bの長手方向の前側には、上述した連通穴251d、253aと同じ水平方向の位置に、第2連通穴201b1が長手方向に2つ並んで形成されている。
【0070】
それぞれの連通穴251d、253a、201b1に、第1ボルト254が挿通され、この第1ボルト254に第1ナット255が締め付けられている。なお、第1ボルト254の頭部254aと第1外周板201bとの間と、第1ナット255と挟持部材251の底板251aとの間には、ワッシャー256及びスプリングワッシャー257が取り付けられている。このような構造によって、第1梁部材800の第3板部800cが挟持部材251と第1部材201の第1外周板201bに挟まれて、支持部材200が第1梁部材800の第3板部800cに取り付けられている。
【0071】
図6に示すように、前側の位置決め部材253の後端は、第3板部800cの前端と当接している。同様に、後側の位置決め部材253の前端は、第3板部800cの後端と当接している。このため、支持部材200の第3板部800cに対する長手方向の移動が阻止される。
【0072】
挟持部材251の底板251aに溶接されている第2ナット252には、第2ボルト258がねじ込まれている。この第2ボルト258のネジ部258aの先端は、第4連通穴251cに挿通し、第1梁部材800の第3板部800cの上面を押圧している。ボルトのネジ部258aには、ナット259が取り付けられ、このナット259が第2ナット252側に締め付けられている。このようなダブルナット構造によって、第2ボルト258が第2ナット252から緩まないようになっている。
図8に示すように、ナット259と第2ナット252の間には、ワッシャー256及びスプリングワッシャー257が配置されている。このように、第2ボルト258のネジ部258aの先端が第1梁部材800の第3板部800cを押圧しているので、支持部材200が第1梁部材800の第3板部800cに対してぐらつかず、支持部材200が第1梁部材800の第3板部800cに強固に取り付けられている。
【0073】
このように、第1梁部材800の第3板部800cに穴をあける等の加工を全く施すこと無く、支持部材200が第1梁部材800の第3板部800cを取り付けているので、第1梁部材800の強度が低下しない。
【0074】
(本実施形態の効果)
以下に、本実施形態のバスダクトの支持構造100の効果について説明する。
本実施形態のバスダクトの支持構造100は、バスダクト910が長手方向に一定間隔をおいて配置された吊りボルト111によって吊り下げ支持されているバスダクトの支持構造100であって、構造物である第1梁部材800に取り付けられ、前記バスダクトが取り付けられた支持部材200を有する。そして、支持部材200は、第1梁部材800に取り付けられ、バスダクト910の長手方向に延在する第1部材201と、上端が第1部材201の一方の端部に接続し、この接続部から下方に延在する第2部材202と、上端が第1部材201の他方の端部に接続するとともに、他端が第2部材202の下端に接続する第3部材203と、を備えている。そして、第3部材203は、鉛直方向から傾いており、バスダクト910は、第2部材202に取り付けられている。
【0075】
これによれば、
図2に示すように、支持部材200は、側面視した場合に三角形状であり、第3部材203が、鉛直方向から傾いていることから、支持部材200の長手方向の剛性を確保することができる。このため、バスダクト910に長手方向の力が作用したとしても、バスダクト910が長手方向に移動することが抑制される。また、第1部材201の長さを長くしなくても、支持部材200の前長手方向の剛性を確保することができるので、支持部材200が他の設備や構造物と干渉しにくい。このため、他の設備や構造物と干渉しにくいバスダクトの支持構造100を提供することができる。
【0076】
また、第2部材202は、鉛直方向に延在し、第3部材203は、鉛直方向から傾いている。
【0077】
これによれば、第2部材202は、鉛直方向に延在し、鉛直方向から傾いていないため、バスダクト910を第1支持梁230を介して第2部材202に取り付けることが容易となる。
【0078】
また、第1部材201は、上下方向及び長手方向を含む面と延在方向が一致する板状の第1側板201aと、この第1側板201aの外縁から第1側板201aの延在方向と直行する方向に延在する板状の第1外周板201bを備えている。そして、第2部材202は、上下方向及び長手方向を含む面と延在方向が一致する板状の第2側板202aと、この第2側板202aの外縁から第2側板202aの延在方向と直行する方向に延在する板状の第2外周板202bを備えている。そして、第3部材203は、上下方向及び長手方向を含む面と延在方向が一致する板状の第3側板203aと、この第3側板203aの外縁から第3側板203aの延在方向と直行する方向に延在する板状の第3外周板203bを備えている。そして、第2外周板202bの上端は、第1外周板201bの一端と接続し、第3外周板203bの上端は、第1外周板201bの他端と接続し、第3外周板203bの下端は、第2外周板202bの下端と接続している。
【0079】
これによれば、第1~第3外周板201b~203bが第1~第3側板201a~203aと直行する方向に延在し、第1~第3外周板201b~203bが環状に接続されているので、支持部材200自体の剛性が向上し、支持部材200の長手方向に対する剛性が向上する。このため、支持部材200の長手方向に対する剛性を確保しつつ、第1部材201の長さをより短くすることができる。このため、より一層他の設備や構造物と干渉しにくいバスダクトの支持構造100を提供することができる。
【0080】
また、第1外周板201bは、第1側板201aとの接続部からバスダクト910側に延在している。そして、第2外周板202bは、第2側板202aとの接続部からバスダクト910側に延在している。そして、第3外周板203bは、第3側板203aとの接続部からバスダクト910側に延在している。
【0081】
これによれば、第1~第3外周板201b~203bが、第1~第3側板201a~203aから幅方向の外側に張り出していないので、支持部材200が他の設備や構造物と干渉しにくく、他の設備や構造物と干渉しにくいバスダクトの支持構造100を提供することができる。
【0082】
また、支持部材200が取り付けられる構造物は、水平方向に延在する板状の第3板部800cを有し、第3板部800cの長手方向の一端側と他端側の両方の上面のそれぞれに一対の挟持部材251が載置され、これら一対の挟持部材251は、第1部材201の上方にまで延出している。そして、一対の挟持部材251に形成された第1連通穴251d及び第1部材201に形成された第2連通穴201b1に挿通する第1ボルト254と、第1ボルト254にねじ込まれた第1ナット255によって、一対の挟持部材251と第1部材201が締結されて、第3板部800cが一対の挟持部材251と第1部材201で挟持されることにより、支持部材200が第3板部800cに取り付けられている。
【0083】
これによれば、構造物である第3板部800cに穴等の加工を施すこと無く、支持部材200を第3板部800cに取り付けることができる。このため、第3板部800cに加工を施すことに起因する第1梁部材800の強度の低下を防止することができる。
【0084】
また、一対の挟持部材251と第1部材201の間のそれぞれには、一対の板状の位置決め部材253がそれぞれ配置されている。そして、位置決め部材253には、第1ボルト254が挿通する第3連通穴253aが形成されている。そして、一対の位置決め部材253の端部がそれぞれ第3板部800cの前端及び後端に当接している。
【0085】
これによれば、一対の位置決め部材253の端部がそれぞれ第3板部803の前端及び後端に当接しているので、支持部材200の第3板部800cに対する長手方向の移動が阻止される。このため、より強固に支持部材200を第3板部800cに取り付けることができ、バスダクトの支持構造100の剛性をより向上させることができる。
【0086】
挟持部材251には、第4連通穴251cが形成されている。そして、挟持部材251の第4連通穴251cと同じ位置に第2ナット252が溶接されている。そして、第2ナット252に、第2ボルト258がねじ込まれ、第2ボルト258の先端が、第4連通穴251cに挿通したうえで、第3板部800cを押圧している。
【0087】
これによれば、第2ボルト258の先端が第3板部800cを押圧しているので、支持部材200が第3板部800cに対してぐらつかず、支持部材200を第3板部800cに強固に取り付けることができ、バスダクトの支持構造100の剛性をより向上させることができる。
【0088】
また、
図3に示すように、構造物である第3板部800cには、長手方向と直行する幅方向に間隔をおいて、一対の支持部材200が互いに対向するように配置されて取り付けられている。そして、バスダクトの支持構造100は、一対の支持部材200の下部を接続する第1支持梁230と、一対の筋交い部材210を更に有する。そして、一方の筋交い部材210は、一対の第2部材202のうち一方の第2部材202の上端部と一対の第2部材202のうち他方の第2部材202の下端部とを斜めに接続している。そして、他方の筋交い部材210は、一対の第2部材202のうち他方の第2部材202の上端部と一対の第2部材202のうち一方の第2部材202の下端部とを斜めに接続している。
【0089】
これによれば、第1支持梁230及び一対の筋交い部材210によって、支持部材200の幅方向の剛性を向上させることができ、ひいては、バスダクトの支持構造100の幅方向の剛性を向上させることができる。また、一対の筋交い部材210は、一対の支持部材200から幅方向に関して外側に突出していないので、バスダクトの支持構造100の幅方向の剛性を確保しつつ、他の設備や構造物と干渉しにくいバスダクトの支持構造100を提供することができる。
【0090】
また、第1支持梁230には、バスダクト910が取り付けられている。
【0091】
これによれば、バスダクトの支持構造100の幅方向の剛性を向上させる部材である第1支持梁230にバスダクト910を取り付けているので、バスダクトの支持構造100の部材の点数を削減することができ、バスダクトの支持構造100の製造コストを低減させることが可能となる。
【0092】
(他の実施形態)
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うバスダクトの支持構造100もまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【0093】
以上説明した実施形態では、第1桁部材115及び第2桁部材116を吊り下げ支持する吊り下げ部材は、吊りボルト111である。吊り下げ部材は、アングル鋼材、チャンネル材、角型鋼管、H型鋼、棒材等であってもよい。
【0094】
筋交い部材210は、棒状部材210aの両端が接続部材210bに固定され、棒状部材210aの中間部分に、棒状部材210aの長さや張力を調整するターンバックルが設けられている実施形態であってもよい。
【0095】
以上説明した実施形態では、バスダクト901やケーブルラック950は、第1支持梁230や第2支持梁240を介して、第2部材202に取り付けられて支持されている。バスダクト901やケーブルラック950が、第1支持梁230や第2支持梁240を介して、第3部材203に取り付けられて支持されている実施形態であってもよい。
【0096】
一方の筋交い部材210が、一対の第3部材203の第3外周板203bの一方の上端部と他方の下端部とを斜めに接続し、他方の筋交い部材210が、一対の第3部材203の第3外周板203bの他方の上端部と一方の下端部とを斜めに接続している実施形態であってもよい。
【0097】
以上説明した実施形態では、吊りボルト111の上端は、接続部材112によって、第2梁部材850に取り付けられている。第2梁部材850が鉄筋コンクリートである場合には、吊りボルト111の上端が、鉄筋コンクリートである第2梁部材850に直接取り付けられている構造であってもよい。この実施形態では、鉄筋コンクリートである第2梁部材850にドリルで下穴を開け、この下穴にアンカーを挿入し、アンカーを下穴に固定した後に、アンカーに吊りボルト111の上端を取り付ける。なお、アンカーには、打込みアンカー、締付けアンカー、ケミカルアンカー(登録商標)が含まれる。
【符号の説明】
【0098】
100:バスダクトの支持構造
200:支持部材
201:第1部材
201a:第1側板
201b:第1外周板
201b1:第2連通穴
202:第2部材
202a:第2側板
202b:第2外周板
203:第3部材
203a:第3側板
203b:第3外周板
230:第1支持梁(支持梁)
251:挟持部材
251c:第4連通穴
251d:第1連通穴
252:第2ナット
253:位置決め部材
253a:第3連通穴
254:第1ボルト
255:第1ナット
258:第2ボルト
115:第1桁部材(桁部材)
111:吊りボルト(吊り下げ部材)
800:第1梁部材(構造物)
800c:第3板部(板部)
910:バスダクト