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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041687
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】イカが傘針を開く餌木
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/00 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
A01K85/00 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022160583
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】504019386
【氏名又は名称】山下 博之
(72)【発明者】
【氏名】山下 博之
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA14
2B307BA18
2B307BA30
(57)【要約】
【課題】イカが傘針を開く餌木を提供する。
【解決手段】本発明の餌木1は、頭部本体2と後部胴体20から構成され、連結係止部30が係止状態のとき、頭部本体2と後部胴体20は一体化し、傘針開閉盤23は傘針6を閉じるため、海中における餌木1の操作では海藻又は岩を掛けること無く。一転、イカが捕食しようと腕で餌木1を抱いたとき、弾性部材から成る胴体21の変形により連結係止部30の係止が外れ、このときラインが引かれと、頭部本体2はライン側に引かれ、後部胴体20は本体シャフト4に対し後方に摺動し、傘針開閉盤23が傘針6を鋭角に放射状に拡開するため、傘針6は抱いているイカを刺し、釣りあげることを可能とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
餌木は、頭部本体と後部胴体から構成され、
該頭部本体は、頭部と本体シャフト及び傘針部から構成され、
該本体シャフトは、該頭部の後端から長手方向後方に延出しており、
該傘針部は、該本体シャフト後端にあって、先端は尖がり後端は略球体の複数本の針から成る傘針と該傘針を放射状に拡開自在に遊嵌する傘針留蓋を備え、
該後部胴体は、胴体と後部胴体シャフト及び傘針開閉盤から構成され、
該胴体は、弾性部材から成り、
該後部胴体シャフトは、該本体シャフトの外周を包み、該本体シャフトに対し摺動自在、かつ周方向に回転不能な構造とし、
該傘針開閉盤は、該後部胴体シャフトの後端にあって、該傘針の各針を遊挿する各孔を有し、該各孔において中心からみて内側を内側壁及び外側を外側壁と定義し、
該頭部の後端及び該胴体の前端のそれぞれに、互いに係止することで連結となる連結係止部を備え、
該連結係止部は、該胴体が弾性変形したとき係止が外れる構造とし、
該連結係止部が係止状態のとき、該頭部本体と該後部胴体は連結し、該傘針の各針は該傘針開閉盤の各孔の該外側壁により内側に押さえ閉じられ、該傘針の各針の先端は該胴体の後端面の内側を指示する構造とし、
該胴体の一部に押圧が掛かったとき、該胴体が弾性変形することにより連結係止部の係止は外れ、該後部胴体は該頭部本体と離間し長手方向後方に摺動可能となり、
該後部胴体が該頭部本体に対し後方に摺動したとき、該傘針の各針は該傘針開閉盤の各孔の該内側壁により外側に押し拡げられ放射状に拡開し、
該傘針の各針が該傘針開閉盤の各孔の該内側壁及び該外側壁の両方に接した時点で、拡開は停止し、同時に該後部胴体の摺動も停止し、該傘針の各針は該本体シャフトの軸線に対し鋭角にして、かつ該胴体の後端面の外側を指示する構造である
ことを特徴とする餌木。
【請求項2】
請求項1において、傘針の各針の先端にモドシを備えたことを特徴とする魚用擬餌餌。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エギングにおいて目視できない海中操作で海藻または岩を掛けること無く、イカを釣りあげることが出来る餌木に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からイカ釣の釣法の一種であるエギングは、餌となる子魚等を模し、後端部に傘状に開いた傘針を備えた餌木を竿からのラインをラインアイに結束し、竿を使って海に投入し、ウエイトの重さによる沈降と竿からラインを引き上げて餌木を飛び跳ねさせるシャクリ操作を繰り返すことで、イカに餌木を生きている子魚等に誤認識させ、イカが捕獲しようと腕を使い餌木を抱いているときにラインを引くことができれば、餌木の後端に備えた傘針がイカを刺し、ラインを緩めず引くことでイカを釣りあげる釣法である。
【0003】
しかし、このエギングにおいてより大物のイカ、あるいはより多くのイカを釣る釣果を上げるためには、イカの棲息域といわれる海底近くの岩礁附近まで餌木を沈降させてシャクリ操作することが望ましいとされるが、同時に釣り人が目視出来ない海中において、常に開いている傘針は海藻又は岩礁を掛けてしまう、いわゆる根掛かりする可能性を常に秘めている。
【0004】
ひとたび傘針が海藻あるいは岩礁を掛けてしまうと、餌木を回収するためラインを引いたときに、運良く海藻の方が切れる、又は傘針が岩礁から外れて餌木を回収できることもあるが、傘針が掛けた海藻又は岩を掛けた強度がラインの引っ張り強度を超えているとき、ラインは破断し餌木を回収することができず遺失することになる。遺失は釣り人にとって経済的損失なるものであり、かつ仕掛けを作り直す時間的損失にもなるものである。また、遺失となった餌木は海の環境汚染にも繋がるものであり、多くの釣り人は根掛かりしないよう細心の注意を払いながらエギングを行っている。また、根掛かりの心配から海底近くを攻めづらくしている。
【0005】
エギングにおいて、根掛かりを避ける従来からの主な手法の一つに、目視できない海中を周辺地域の地形、釣雑誌等の海況情報、又は釣り人自身の経験値などから海藻又は岩礁があると思われる水深を推測し、餌木が海に着水後の秒数をカウントすることで沈降している深度をイメージして、根掛かりの恐れのある水深に達する前に竿を使い餌木を上に引き上げることで、根掛かりを避ける操作方法がある。
【0006】
他に従来からの手法として、餌木と結束しているラインを根掛かりしても回収できる可能性を高めるため、引っ張り強度の高いラインを使用する方法がある。
【0007】
他に公知である特許文献1は、餌木の後端から延出する軸体に係止された傘針が、根掛かりしたときの係止力が静荷重1.5~2.5kgを超えた場合には、傘針と軸体が餌木本体から滑り抜けることで、餌木本体のみを回収できるようにする餌木である。
【0008】
他に公知である特許文献2は、餌木の後端に備える半球殻状の受水体がバネ仕掛けにより、餌木本体側に引っ張られ傘針の針先を覆い隠すもので、ラインを急に引いたとき、受水体は水圧を受けバネが伸びて後方に離間することで、傘針の針先を露出させることでイカを釣ろうとする餌木である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010-207136広報
【0010】
【特許文献2】特開2022-74202広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、根掛かりを回避するために行われている従来からの主な手法である餌木が着水後、カウントすることで沈降している深度をイメージし、推定した海藻又は岩礁の水深に達する前に、ラインを引き上げることで根掛かりを回避しようとする操作方法は、海中の根掛かりしない安全な水深はあくまでも知り得る情報からの推定であり、更に目視できない海底の岩礁の起伏の状況まで把握することは不可能である。また、カウントにより沈降している餌木の深度を測ろうとするものであるが、潮流の速さや方向及び海上の風など、多くの要素が複合して沈降のスピードとなるため、正確な餌木の深度を測ることは難しく、カウントにより根掛かりを回避するには多くの課題がある。
【0012】
また、従来からの根掛かりの他の対策として、引っ張り強度の強いラインを使う方法は、引っ張り強度の強いラインは糸径が太くなり、糸径を太くすることは、竿を利用して餌木を投げたときの空気抵抗を大きくし、飛距離を犠牲することとなる。釣り人は良い釣果を得るため、出来るだけ遠投し広範囲を探りたい釣り人にとって、飛距離を犠牲にする太いラインを選択することは悩ましい対策となっている。
【0013】
他に公知である特許文献1は、傘針に掛かる静荷重1.5~2.5kgを超えた場合には傘針が餌木本体から滑り抜けることで餌木本体のみを回収を可能にしようとするものであるが、エギングでは1.5kgを超えるイカもターゲットに成りうるものであり、より大きなイカを釣りたい釣り人にとって折角の大物を掛けたにもかかわらず、傘針が抜け本体だけが回収できたとしても、本来の目的であるイカを逃すことは大きな失意である。また、1.5kg未満のイカであっても、竿を利用して素早くラインを引いたとき、餌木とイカに掛かる海水の抵抗が重量として加わるため、瞬間的に全体として荷重1.5kgを超える可能性が大いにあり、やはり折角に掛けたイカを釣りあげることができない可能性があるという課題がある。
【0014】
次の公知である特許文献2は、ラインを急に引いたとき餌木の後端に備える半球殻状の受水体が、水圧を受けバネが伸びて後方に離間し、傘針の針先を露出させることでイカを釣ろうとする餌木であるが、エギングにおいて根掛かりするタイミングで多いのは、イカに対し餌木を生きたエサとしてアピールする効果を演出のため、ラインを急に上方向に引いて餌木を上に跳ね上げるシャクリ操作のときである、シャクリ操作したとき餌木の受水体は水圧を受け傘針が露出され、頭部を上に、後端の傘針は下に位置するため根掛かりの可能性が高まる。エギングはこのシャクリ操作の良し悪しによっても、釣果が左右される釣りであり、シャクリ操作を行う限りは根掛かりする可能性があるという課題がある。
【0015】
本発明は、海中における餌木のシャクリなどの操作時においては傘針が閉じていることで根掛かりすること無く。一転、イカが捕食行動として餌木を腕等で抱いたときに閉じていた傘針が拡開することで、抱いたイカを刺し、釣りあげることができる餌木を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前述した課題を解決するための請求項1の本発明の餌木は、大きくは頭部本体と後部胴体から構成され、全体的には略紡錘形を成している。
【0017】
頭部本体は、頭部と本体シャフト及び傘針部から構成されている。
頭部は、前端にラインと結束するラインアイ、両側中段に目と繊維状部材、下部には海中における姿勢安定と沈降するためのウエイトを備えている。後端に長手方向後方に頭部外周縁が延出しているのが好ましい。
【0018】
本体シャフトは、頭部の後端から長手方向後方に延出している。
頭部が位置する方向を長手方向の前方とし、ウエイトが位置する方向を下方と定義する。
【0019】
傘針部は、本体シャフトの後端に先端は尖がり後端は略球体の複数本の針から成る傘針と、この傘針の各針を放射状に拡開自在に遊嵌する傘針留蓋を備えている。傘針の各針を360度放射状に配置するのが好ましいが、上方略半分の配置であってもよい。
【0020】
傘針の各針の略球体部分を遊嵌している本体シャフトの後端と傘針留蓋との間にできる空間は、傘針の各針が本体シャフトに対し放射状に鋭角に拡開可能となる適宜な遊びを有している。かつ、本体シャフトの円形後端面の縁と傘針留蓋の前面の内側縁との空隙は、傘針の各針の略球体が抜け出ない適宜な間隔を有している。
【0021】
傘針の各針を放射状に拡開自在にする他の手段として、雨傘の上ロクロ、または各針の後端部にヒンジの構成としてもよい。
【0022】
後部胴体は、胴体と後部胴体シャフト及び傘針開閉盤から構成されている。
【0023】
胴体は、弾性変形するシリコン、合成樹脂、合成ゴム、発泡樹脂、ウレタン等の弾性部材から成る。弾性変形を容易にするため、胴体の上部の略半分に空洞部を設けることが好ましい。
【0024】
後部胴体シャフトは、本体シャフトの外周を包み、本体シャフトに対して摺動自在であり、かつ周方向に回転不能な構造である。
【0025】
この周方向に回転不能にする手段として、図8のとおり本体シャフトには回転不能ガイドピン、後部胴体シャフトには回転不能ガイドピンと係合する回転不能ガイド溝をそれぞれ備えている。
【0026】
後部胴体シャフトが本体シャフトに対して周方向に回転不能にする他の手段として、本体シャフト及び胴体シャフトの断面を非円形としてもよい。
【0027】
傘針開閉盤は、後部胴体シャフトの後端にあって、傘針の各針を遊挿する各孔を有している。
各孔において、中心からみて外側を外側壁及び内側を内側壁と定義する。
【0028】
連結係止部の係止の手段は、頭部の後端上部の下向き突起の前面となる頭部係止部と、胴体の前端上部の上向き突起の後面となる胴体係止部の当接により係止するものである。
【0029】
係止する他の手段として、頭部の後端上部と胴体の前端上部のいずれか一方に設けた凸部と、頭部の後端上部と胴体の前端上部のいずれか他方に設けた凸部が挿入可能な凹部による係止の手段、または、頭部の後端上部と胴体の前端上部のいずれか一方に磁石、他方に磁性体または磁石による磁力を利用した係止の手段であってもよい。
いずれの係止手段においても、連結係止部の上下の位置として、上部が好ましいが、下部の位置としてもよい。
【0030】
連結係止部は、胴体が弾性変形したとき胴体係止部の位置がずれることにより係止が外れる構造としている。
【0031】
連結係止部を係止したとき、頭部本体と後部胴体は連結し、餌木として一体化され、傘針の各針は傘針開閉盤の各孔の外側壁により内側に押さえ込まれ閉じた状態となり、傘針の各針の先端は胴体の後端面に近接し、かつ胴体の後端面の内側を指示する構造としている。
【0032】
胴体の一部に押圧が掛かったとき、弾性部材から成る胴体は弾性変形するため連結係止部の係止は外れる。
係止が外れた後部胴体は、頭部本体と離間し、頭部本体に対し長手方向後方に摺動可能となり、後方への摺動に応動して、傘針の各針は傘針開閉盤の各孔の内側壁により外側に押し拡げられ放射状に拡開する。
【0033】
傘針の各針が、傘針開閉盤の各孔の内側壁及び外側壁の両方に接した時点で、拡開は停止する。同時に、後部胴体の後方への摺動も停止する。このとき、傘針の各針は本体シャフトの軸線に対し鋭角にして、かつ傘針の各針の先端は胴体の後端面の外側を指示することを特徴とする餌木である。
【0034】
請求項2の本発明は、請求項1における傘針の各針の針先にモドシを備えたことで、魚が口で銜えたとき逃げるために前後左右に暴れても刺さった傘針が外れることが無いことを特徴とする魚用擬餌餌。
【発明の効果】
【0035】
請求項1の本発明の餌木は、傘針を閉じた状態から拡開させるに必要な連結係止部の係止を外す操作に、イカ自身の餌木を抱く捕食行動を利用している点が大きな特徴である。
【0036】
そのため、イカが餌木を抱く前までは、傘針は閉じた状態を保持し、根掛かりすること無く、海底付近まで沈めて操作することを可能とする。
一転、イカが餌木を抱いたとき、連結係止部の係止が外れ、傘針は拡開するため、抱いたイカを刺し釣り上げることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】第1実施事例で、連結係止部の係止が外れ、傘針が拡開している斜視図である。
図2】第1実施事例で、連結係止部が係止状態で傘針が閉じている斜視図である。
図3】第1実施事例で、連結係止部が係止状態で傘針が閉じている断面図である。
図4】第1実施事例で、連結係止部の係止が外れ、傘針が拡開している断面図である。
図5】第1実施事例で、頭部本体と後部胴体を分離したイメージ図である。
図6】第1実施事例で、傘針が傘針開閉盤の各孔の内側壁及び外側壁に接し拡開が停止している傘針部分の拡大断面図及び拡大イメージ図である。
図7】第1実施事例で、後部胴体の一部に外圧が加わり弾性変形し、連結係止部の係止が外れ、傘針が拡開している斜め前からのイメージ図である。
図8】第1実施事例で、後部シャフトに回転不能溝と本体シャフト回転不能溝ピンの拡大イメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0038】
以下、請求項1の本発明について、適宜図面を参照されつつ、上述した課題を解決するために、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0039】
請求項1にかかる図1の餌木1は、大きくは図5のとおり頭部本体2と後部胴体20から構成され、全体的には略紡錘形を成している。
【0040】
頭部本体2は、頭部3と本体シャフト4及び傘針部5から構成されている。
【0041】
頭部3は、前端にラインを結束するラインアイ11、両側中段に目13と繊維状部材14、下部には海中における姿勢安定と沈降するためのウエイト12を備え、後端に長手方向後方に頭部外周縁15が延出している。
【0042】
頭部が位置する方向を長手方向の前方とし、ウエイト12が位置する方向を下方と定義する。
【0043】
本体シャフト4は、頭部3の後端から長手方向後方に延出している。
【0044】
傘針部5は、本体シャフト4の後端に先端は尖がり後端は略球体の複数本の針から成る傘針6と、この傘針6の各針を放射状に拡開自在に遊嵌する傘針留蓋8を備えている。
【0045】
図6のとおり、傘針6の各針の略球体部分を遊嵌している本体シャフトの後端と傘針留蓋8との間にできる空間は、傘針の各針が本体シャフト4に対し放射状に鋭角に拡開可能となる適宜な遊びを有している。かつ、本体シャフト4の後端面の縁7と傘針留蓋8の前面の内側縁9との空隙は、傘針6の各針の略球体が抜け出ない適宜な間隔を有している。
【0046】
後部胴体20は、胴体21と後部胴体シャフト22及び傘針開閉盤23から構成されている。
【0047】
胴体21は、弾性変形するシリコン、合成樹脂、合成ゴム、発泡樹脂、ウレタン等の弾性部材から成る。弾性変形を容易にするため、胴体21の上部の略半分に空洞部を設けている。
上部の略半分に空洞部を設けている。
【0048】
後部胴体シャフト22は、本体シャフト4の外周を包み、本体シャフト4に対して摺動自在であり、かつ周方向に回転不能な構造である。
【0049】
この周方向に回転不能にする手段として、図8のとおり、本体シャフトには回転不能ガイドピン10、後部胴体シャフトには回転不能ガイドピン10と係合する回転不能ガイド溝26をそれぞれ備えている。
【0050】
傘針開閉盤23は、後部胴体シャフト22の後端にあって、傘針6の各針を遊挿する各孔25を備えている。
この各孔25において、中心からみて内側を内側壁25a及び外側を外側壁25bと定義する。
【0051】
連結係止部30の係止の手段は、頭部の後端上部の下向き突起の前面となる頭部係止部30aと、胴体の前端上部の上向き突起の後面となる胴体係止部30bの当接により係止するものである。
【0052】
連結係止部30は、胴体21が弾性変形したとき胴体係止部30bの位置がずれることにより係止が外れる構造としている。
【0053】
釣り人が餌木1を海に投入する準備として、連結係止部30を係止したとき、頭部本体2と後部胴体20は連結し、餌木として一体化を成し、傘針6の各針は傘針開閉盤23の各孔25の外側壁25bにより、内側に押さえ込まれ閉じた状態となる。このとき、傘針6の各針の先端は胴体21の後端面に近接し、かつ胴体21の後端面の内側を指示する。
【0054】
この状態は、胴体21の後端面と傘針6の各針の先端の間に海藻または岩が入ることが無いため、根がかりすることは無い。
また、釣り人がイカに餌木1を生きている子魚等に誤認識させ、かつ存在をアピールするため、よく使う方法としてウエイトの重さによる沈降と竿からラインを引き上げて餌木1を急上昇させる、いわゆるシャクリ操作であるが、これを繰り返し行っても、胴体21に掛かる水圧が均一であるため、胴体21は成形を保持するので、連結係止部30の係止は外れることが無い。
【0055】
釣り人は根掛かりの心配が無いため、餌木1をより大型のイカの棲息域といわれる海底付近まで大胆に沈め、操作することができる。
【0056】
一転、釣り人のイカに対するシャクリ操作等のアピールが功を奏し、イカが捕食行動として腕を使い餌木1の胴体21を抱いたとき、胴体21の一部に押圧が掛かることとなり、弾性部材から成る胴体21は図7のとおり弾性変形し、後部胴体係止部30bの位置がずれるため、連結係止部30の係止は外れる。
【0057】
連結係止部30の係止が外れた後部胴体20は、頭部本体2と離間し、頭部本体2に対し長手方向後方に摺動可能となり、後方への摺動に応動して、傘針6の各針は傘針開閉盤23の各孔の内側壁25aにより、外側に押し拡げられ放射状に拡開する。
【0058】
後部胴体20の長手方向後方への摺動が更に進み、傘針6の各針が、傘針開閉盤23の各孔の内側壁25a及び外側壁25bの両方に接した時点で、拡開は停止する。同時に、後部胴体20の後方への摺動も停止する。このとき、傘針6の各針は本体シャフト4の軸線に対し鋭角にして、かつ傘針6の各針の先端は胴体21の後端面の外側を指示し、イカを刺すことが可能となっている。
【0059】
この状態において、釣り人がラインを引いたとき、傘針6はイカの腕等を刺すこととなる。釣り人はラインを通して、イカの重さとイカによる水の抵抗が増したことを感じ取ることで、傘針6がイカの腕等を刺したことを認知できる。
認知できたとき、ラインを緩めることなく巻き上げれば、イカはラインが引かれる反対方向に逃げようとする習性があるため、鋭角な角度を保持する傘針6から外れることは無く、釣り人はイカを釣りあげることができる。
【符号の説明】
【0060】
1 餌木
2 頭部本体
3 頭部
4 本体シャフト
5 傘針部
6 傘針
7 本体シャフト後端面の縁
8 傘針留蓋
9 傘針留蓋の前面内側の縁
10 回転不能ガイドピン
11 ラインアイ
12 ウエイト
13 目
14 繊維状部材
15 頭部外周縁
20 後部胴体
21 胴体
22 後部胴体シャフト
23 傘針開閉盤
25 傘針開閉盤の各孔
25a 傘針開閉盤各孔の内側壁
25b 傘針開閉盤各孔の外側壁
26 回転不能ガイド溝
30 連結係止部
30a 頭部係止部
30b 胴体係止部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8