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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041688
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20240319BHJP
   H01L 25/10 20060101ALI20240319BHJP
【FI】
H01L25/08 Z
H01L25/14 Z
H01L25/08 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2022160584
(22)【出願日】2022-09-14
(71)【出願人】
【識別番号】391018662
【氏名又は名称】木本 軍生
(72)【発明者】
【氏名】木本 軍生
(57)【要約】      (修正有)
【課題】三次元積層型半導体装置の提供。
【解決手段】異なるXY座標平面上に電極端子60を有する複数の半導体デバイス511~513、521からなる複数の半導体デバイス群51、52を電気的に接続した半導体装置1は、1つのXY座標平面上に設置した任意の半導体デバイスの電極端子と接続する複数の電気端子212と任意の電気端子間を接続する導電性パターン213とが1つの誘電体シート311上に設置された平面方向配線装置21、22、1つの誘電体シート上に垂直方向Zに開放端を有し任意の半導体デバイスの複数の電極端子と接続する端子配列312と端子配列から継続する複数の導電性パターン313とを有する配線パターン群315、半導体デバイス群の電極端子占有平面外の空間に、少なくとも垂直方向に伸長する複数の導電性パターン314を含む配線パターン群316及び各配線パターン群を電気的に接続した垂直方向配線装置31、32を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
XY座標平面上の任意の座標に電極端子を有する複数の半導体デバイスで構成される第1の半導体デバイス群と、前記第1の半導体デバイス群を有するXY座標平面に対し垂直方向(Z方向)に異なるXY座標平面上の任意の座標に電極端子を有する複数の半導体デバイスで構成される第2の半導体デバイス群とを電気的に接続した半導体装置において、前記第1又は第2の半導体デバイス群における複数の半導体デバイスをXY平面方向に電気的に接続する配線装置であって、1つのXY座標平面上に設置した任意の前記半導体デバイスの電極端子と接続する複数の電気端子と任意の前記電気端子間を接続する導電性パターンとが1つの誘電体シート上に設置された平面方向配線装置と、
前記第1の半導体デバイス群における任意の半導体デバイスと、前記第2の半導体デバイス群における任意の半導体デバイスとを垂直方向(Z方向)に電気的に接続する配線装置であって、1つの誘電体シート上に垂直方向に開放端を有し任意の半導体デバイスの複数の電極端子と接続する端子配列と、前記端子配列から継続する複数の導電性パターンとを有する第1の配線パターン群と、前記半導体デバイス群の電極端子占有平面外の空間に設置し、少なくとも垂直方向に伸長する複数の導電性パターンを含む第2の配線パターン群とから成り、前記第1の配線パターン群と前記第2の配線パターン群とを電気的に接続した1つ又は複数の垂直方向配線装置とで構成されたこと
を特徴とする半導体装置
【請求項2】
前記第1又は第2の半導体デバイス群と、前記第1又は第2の半導体デバイス群を構成するXY座標平面に対し垂直方向(Z方向)にそれぞれ異なるXY座標平面上の任意の座標に電極端子を有する複数の半導体デバイスで構成されるN個(Nは整数)の第3以降の半導体デバイス群とを電気的に接続した半導体装置において、
前記第1若しくは第2若しくは第3以降の何れかの半導体デバイス群における複数の半導体デバイスをXY平面方向に電気的に接続する配線装置であって、1つのXY座標平面上に設置した任意の前記半導体デバイスの電極端子と接続する複数の電気端子と任意の前記電気端子間を接続する導電性パターンとが1つの誘電体シート上に設置された平面方向配線装置と、
前記第1の半導体デバイス群における任意の半導体デバイスと、前記第2の半導体デバイス群における任意の半導体デバイスと、前記第3以降の複数の半導体デバイス群における任意の半導体デバイスとを垂直方向(Z方向)に電気的に接続する配線装置であって、垂直方向に開放端を有し任意の半導体デバイスの複数の電極端子と接続する端子配列と、前記端子配列から継続する複数の導電性パターンとを有する第1の配線パターン群と、前記半導体デバイス占有平面外の空間に設置し、少なくとも垂直方向に伸長する複数の導電性パターンを含む第2の配線パターン群とから成り、前記第1の配線パターン群と前記第2の配線パターン群と前記第3以降の配線パターン群の何れかを電気的に接続した1つ又は複数の垂直方向配線装置とで構成されたこと
を特徴とする半導体装置
【請求項3】
前記平面方向配線装置又は垂直方向配線装置において、前記電気端子及び前記導電性パターンがメッキ又はエッチング加工により形成されたこと
を特徴とする請求項1又は2の何れか記載の半導体装置
【請求項4】
任意の1つの前記平面方向配線装置又は前記垂直方向配線装置において、2つ以上の前記導電性パターンの一部が段差を有して交差する配線交差部を有し、少なくとも前記配線交差部において各々の前記導電性パターン表面に独立して、又は複数の前記導体パターン表面に共通して誘電体膜を有すること
を特徴とする請求項1乃至3の何れか記載の半導体装置
【請求項5】
任意の1つの前記平面方向配線装置において、前記電気端子の一部又は全部に貫通穴を有すること
を特徴とする請求項1乃至4の何れか記載の半導体装置
【請求項6】
前記平面方向配線装置を、少なくとも、Central Processing Unit(CPU)とメモリーICとの接続に、又は、Graphics Processing Unit(GPU)とメモリーICとの接続に適用したこと
を特徴とする請求項1又は2の何れか記載の半導体装置
【請求項7】
前記垂直方向配線装置を、少なくとも、複数のCPU又は複数のGPUの共通信号バス配線に適用したこと
を特徴とする請求項1又は2の何れか記載の半導体装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の半導体デバイスを接続搭載する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
IoT、AI、5G社会の到来と共に、これらに適用すべき半導体の多機能化、高機能化、小型化、低価格化が要求されている。このような要求を満たすべく、様々な半導体デバイスの実装形態が紹介されている。三次元(3D)積層と呼ばれているThrough-Silicon Via(TSV:シリコン貫通ビア)による垂直配線は、主としてDRAM等の同種のIC間接続に使用されている。一方、異種IC間の接続技術としては、多くは2.5次元(2.5D)積層と呼ばれる方法が一般的で、複数の異種ICを同一パッケージ面に実装してシステム化し、一つのデバイスチップとしたものをSystem In a Package(SiP:システムインパッケージ)と称している。
【0003】
SiPのさらなる高密度化・小型化を実現するパッケージング技術としては、上下間をTSV技術により導通可能にし、微細配線を備えたシリコン等を基材としたインターポーザをICチップ側の微細端子接続・配線手段とし、さらに有機基材によるビルドアップ配線板等で装置PCB側に接続する方法が多く採用されている(特許文献1)。さらに、シリコンブリッジと呼ばれている複数IC相互間の高密度信号接続のみにシリコン基板による高密度配線技術を適用し、それらのシリコン基板を有機材基板に埋め込み、電源・装置インターフェース信号等を有機基板内の配線が担う方法等(特許文献2)が実用化されている。
【0004】
このように、SiPの高密度化・小型化を実現する手段としては、
▲1▼ICチップ側の微細端子接続及び微細な再配線を実現する手段としての薄膜ウェハプロセス、
▲2▼シリコン基板上下の伝達手段としてのTSV技術、
▲3▼配線ピッチを広げ装置PCB端子へ接続する手段としてのビルドアップ有機基板技術
の選択、組合せによるものが主流となっている。
【0005】
しかしながら、特許文献1又は特許文献2に代表される従来の方法の特徴と問題点は、以下に示すようなものとなる。
1つには、搭載すべきIC数が増加し又は入出力(I/O)端子数が増加し高密度になるほど、端子間の配線数を増加させるか、又はより多層化せざるを得ないため、製造コストの増大につながるものである。
又、上記端子間配線数を増やすためには配線の微細化(例えば配線幅2μmクラス)が必要であり、そのためにはウェハプロセスによる製造工程を使用せざるを得ず、又、シリコン基板における表裏面の接続手段としてTSV技術が必須となり、製造コストの増大と歩留まりの低下につながる。
さらに、ウェハプロセスやTSV技術による配線基板と、有機基板技術による基板とを組み合わせることにより、特性の劣化や製造コストの増加、及び異種製造工程の混在による開発及び製造の長納期化にもつながっている。
【0006】
一方、電鋳、いわゆるメッキ手法による微細形状形成技術は、近年では広範囲の分野への応用が開発されている。多数の半導体デバイス端子間を接続する手段として、半導体デバイス端子配列平面に対し、垂直方向に突出した端子及び配線を有する配線パターンシートと、半導体デバイス外部の共通配線を有する配線パターンシートとを接続することにより、複数の半導体デバイス間を水平方向又は垂直方向のいずれにも接続可能とする方法が報告されている(特許文献3,特許文献4)。当該発明は微細配線を可能としながら配線基板の多層化を排除する利点を有するものである。しかしながら、本方式によれば、同一平面上で交差する配線に対応し難いという問題があった。
【0007】
さらに、1つの平面上に設置した半導体デバイス端子に接続する複数の電気端子と、それらの電気端子間を接続する導電性パターンとが電鋳又はエッチング加工により形成された配線装置において、2つ以上の導電性パターンの一部がZ方向に段差を有して交差する交差部を有することにより、シリコンプロセスに依存しない微細配線を可能としながら複数の半導体デバイスの接続における配線基板の多層化を排除することにより、高密度な配線装置を低コストで提供するものが紹介されている。(特許文献5)しかしながら、本方式によれば、垂直方向に配線する半導体デバイスには対応し難いという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009-110983号公報
【特許文献2】特開2014-179613号公報
【特許文献3】特開2021-1118341号公報
【特許文献4】特開2021-121011号公報
【特許文献5】特願2022-109339号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来の微細配線の多層基板化の問題点を解決するものであり、垂直方向(Z方向)に異なるXY座標平面上の座標に電極端子を有する複数の半導体デバイスで構成される半導体デバイス群どうしを、平面方向かつ垂直方向に電気的に接続する半導体装置において、複数の半導体デバイスを平面方向に配線接続する手段として、半導体デバイスの電極端子と接続する複数の電気端子と任意の前記電気端子間を接続する導電性パターンとが、電鋳又はエッチング加工により1つの誘電体シート上に形成され、単一の誘電体シート上で複数の交差配線部を含む配線パターンを構成した平面方向配線装置と、複数の半導体デバイスを垂直方向に配線接続する手段として、垂直方向に開放端を有し任意の半導体デバイスの複数の電極端子と接続する端子配列と、前記端子配列から継続する複数の導電性パターンとを有する第1の配線パターン群と、前記半導体デバイス群の電極端子占有平面外の空間に設置し、少なくとも垂直方向に伸長する複数の導電性パターンを含む第2の配線パターン群とから成り、前記第1の配線パターン群と前記第2の配線パターン群とを電気的に接続した構成による垂直方向配線装置とを組み合わせることにより、シリコンプロセスに依存しない微細配線を可能としながら複数の半導体デバイスの接続における配線基板の多層化を排除することにより、高密度な配線装置を低コストで提供することができる。
本発明により、例えば、Central Processing Unit(CPU)、Graphics Processing Unit(GPU)、メモリー等の半導体デバイスを同時に、かつ垂直方向に多段に、すなわち三次元(3D)積層搭載することが可能となり、コンピュータ等のシステム構成において、小型化・低コスト化を実現することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、XY座標平面上の任意の座標に電極端子を有する複数の半導体デバイスで構成される第1の半導体デバイス群と、前記第1の半導体デバイス群を有するXY座標平面に対し垂直方向(Z方向)に異なるXY座標平面上の任意の座標に電極端子を有する複数の半導体デバイスで構成される第2の半導体デバイス群とを電気的に接続した半導体装置において、
前記第1又は第2の半導体デバイス群における複数の半導体デバイスをXY平面方向に電気的に接続する配線装置であって、1つのXY座標平面上に設置した任意の前記半導体デバイスの電極端子と接続する複数の電気端子と任意の前記電気端子間を接続する導電性パターンとが1つの誘電体シート上に設置された平面方向配線装置と、
前記第1の半導体デバイス群における任意の半導体デバイスと、前記第2の半導体デバイス群における任意の半導体デバイスとを垂直方向(Z方向)に電気的に接続する配線装置であって、1つの誘電体シート上に垂直方向に開放端を有し任意の半導体デバイスの複数の電極端子と接続する端子配列と、前記端子配列から継続する複数の導電性パターンとを有する第1の配線パターン群と、前記半導体デバイス群の電極端子占有平面外の空間に設置し、少なくとも垂直方向に伸長する複数の導電性パターンを含む第2の配線パターン群とから成り、前記第1の配線パターン群と前記第2の配線パターン群とを電気的に接続した1つ又は複数の垂直方向配線装置とで構成される手段を有するため、
垂直方向(Z方向)に異なるXY座標平面上の座標に電極端子を有する複数の半導体デバイスで構成される半導体デバイス群どうしを、垂直方向に実装し、かつ、平面方向及び垂直方向に電気的に接続することが可能となる。
【0011】
又、前記第1又は第2の半導体デバイス群と、第1又は第2の半導体デバイス群を構成するXY座標平面に対し垂直方向(Z方向)にそれぞれ異なるXY座標平面上の任意の座標に電極端子を有する複数の半導体デバイスで構成されるN個(Nは整数)の第3以降の半導体デバイス群とを電気的に接続した半導体装置において、
前記第1若しくは第2若しくは第3以降の何れかの半導体デバイス群における複数の半導体デバイスをXY平面方向に電気的に接続する配線装置であって、1つのXY座標平面上に設置した任意の前記半導体デバイスの電極端子と接続する複数の電気端子と任意の前記電気端子間を接続する導電性パターンとが1つの誘電体シート上に設置された平面方向配線装置と、
前記第1の半導体デバイス群における任意の半導体デバイスと、前記第2の半導体デバイス群における任意の半導体デバイスと、前記第3以降の複数の半導体デバイス群における任意の半導体デバイスとを垂直方向(Z方向)に電気的に接続する配線装置であって、垂直方向に開放端を有し任意の半導体デバイスの複数の電極端子と接続する端子配列と、前記端子配列から継続する複数の導電性パターンとを有する第1の配線パターン群と、前記半導体デバイス占有平面外の空間に設置し、少なくとも垂直方向に伸長する複数の導電性パターンを含む第2の配線パターン群とから成り、前記第1の配線パターン群と前記第2の配線パターン群と前記第3以降の配線パターン群の何れかを電気的に接続した1つ又は複数の垂直方向配線装置とで構成される手段を有するため、
垂直方向(Z方向)に異なるXY座標平面上の座標に電極端子を有する複数の半導体デバイスで構成される半導体デバイス群どうしを、垂直方向に多段に実装し、かつ、平面方向及び垂直方向に電気的に接続することができるため、例えば、CPU、GPU、メモリー等の半導体デバイスを同時に搭載することが可能となり、高機能コンピュータ等のシステム構成において、小型化・低コスト化を実現することができる。
【0012】
又、前記平面方向配線装置又は垂直方向配線装置において、前記電気端子及び前記導電性パターンがメッキ又はエッチング加工により形成される手段を有するため、シリコンプロセスに依存しない微細配線を可能としながら高密度な配線装置を低コストで提供することができる。
【0013】
又、任意の1つの前記平面方向配線装置又は前記垂直方向配線装置において、2つ以上の前記導電性パターンの一部が段差を有して交差する配線交差部を有し、少なくとも前記配線交差部において各々の前記導電性パターン表面に独立して、又は複数の前記導体パターン表面に共通して誘電体膜を有する手段を有するため、単一の誘電体シート上での複数の交差配線が可能となり、従来の基板の多層化を排除できるものである。
【0014】
さらに、任意の1つの前記平面方向配線装置において、前記電気端子の一部又は全部に貫通穴を有する手段を有するため、端子ポストを設置した半導体デバイスの電極端子に挿入できるため、接続が容易になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の配線装置によれば、垂直方向(Z方向)に異なるXY座標平面上の座標に電極端子を有する複数の半導体デバイスで構成される半導体デバイス群どうしを平面方向かつ垂直方向に電気的に接続する半導体装置において、複数の半導体デバイスを平面方向に配線接続する手段として、半導体デバイスの電極端子と接続する複数の電気端子と任意の前記電気端子間を接続する導電性パターンとが、電鋳又はエッチング加工により1つの誘電体シート上に形成され、単一の誘電体シート上で複数の交差配線部を含む配線パターンを構成した平面方向配線装置と、複数の半導体デバイスを垂直方向に配線接続する手段として、垂直方向に開放端を有し任意の半導体デバイスの複数の電極端子と接続する端子配列と、前記端子配列から継続する複数の導電性パターンとを有する第1の配線パターン群と、前記半導体デバイス群の電極端子占有平面外の空間に設置し、少なくとも垂直方向に伸長する複数の導電性パターンを含む第2の配線パターン群とから成り、前記第1の配線パターン群と前記第2の配線パターン群とを電気的に接続した構成による垂直方向配線装置とを組み合わせることにより、シリコンプロセスに依存しない微細配線を可能としながら複数の半導体デバイスの接続における配線基板の多層化を排除することにより、高密度な配線装置を低コストで提供することができる。
又、本発明による半導体装置により、例えば、Central Processing Unit(CPU)、Graphics Processing Unit(GPU)、メモリー等の半導体デバイスを同時に、かつ垂直方向に多段に、すなわち三次元(3D)積層搭載することが可能となり、コンピュータ等のシステム構成において、小型化・低コスト化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明による半導体装置の基本構成を示す図
図2】本発明による平面方向配線装置の構造を示す斜視図
図3】本発明の垂直方向配線装置の基本構造を示す図
図4】本発明の平面方向配線装置における配線交差部の構造を示す図
図5】本発明の垂直方向配線装置における配線交差部の構造を示す図
図6】本発明の配線交差部の構造における他の実施例を示す図
図7】本発明の実施例による半導体装置を示す斜視図
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の半導体装置について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明による半導体装置の基本構成を示す図である。
図1において、1は本発明による半導体装置であり、XY座標平面上の任意の座標に電極端子60を有する複数の半導体デバイス511、512、513で構成される第1の半導体デバイス群51と、前記第1の半導体デバイス群51を有するXY座標平面に対し垂直方向(Z方向)に異なるXY座標平面上の任意の座標に電極端子60を有する複数の半導体デバイス521等で構成される第2の半導体デバイス群52とを電気的に接続する手段において、前記第1又は第2の半導体デバイス群51、52における複数の半導体デバイスをXY平面方向に電気的に接続する配線装置であって、1つのXY座標平面上に設置した任意の前記半導体デバイスの前記電極端子60と接続する複数の電気端子212と、任意の前記電気端子212間を接続する導電性パターン213とが、それぞれ1つの誘電体シート211上に設置された2つの平面方向配線装置21、22と、前記第1の半導体デバイス群51における任意の半導体デバイスと、前記第2の半導体デバイス群52における任意の半導体デバイスとを垂直方向(Z方向)に電気的に接続する配線装置であって、1つの誘電体シート311上に垂直方向に開放端を有し任意の半導体デバイスの複数の電極端子と接続する端子配列312と、前記端子配列312から継続する複数の導電性パターン313とを有する第1の配線パターン群315と、前記半導体デバイス群51、52の占有平面外の空間に設置し、少なくとも垂直方向に伸長する複数の導電性パターン314を含む第2の配線パターン群316とから成り、前記第1の配線パターン群315と前記第2の配線パターン群316とを電気的に接続した1つ又は複数の(本図では2つの)垂直方向配線装置31、32とで構成されている。
本図では、前記半導体デバイス511及び512の電極端子間を接続する例を示したが、対象とする半導体デバイス、電極端子はこれに限らない。
【0018】
前記平面方向配線装置21、22及び前記垂直方向配線装置31、32について、図2乃至図4にてさらに詳細に説明する。
【0019】
図2は、本発明による平面方向配線装置の構造を示す斜視図であり、前記半導体デバイス群51との関係を示すものでもある。1つのXY座標平面上に設置した前記半導体デバイス群51の3つの前記半導体デバイス511、512、513に設置された前記電極端子60のXY座標と一致した複数の前記電気端子212と、任意の前記電気端子212間を接続する導電性パターン213とが1つの誘電体シート211上に設置されている。
【0020】
本発明では、前記半導体デバイスの接続する全ての前記電極端子60には、端子ポスト61が設置されており、前記平面方向配線装置21の前記電気端子212に設けられた貫通穴214に挿入され固着するものである。これにより、前記半導体デバイス511、512、513相互間の電気的接続が可能となる。
【0021】
前記平面方向配線装置は、前記電気端子及び前記導電性パターンをメッキ(電鋳)又はエッチング加工により形成することが可能である。
【0022】
図3は、本発明の垂直方向配線装置の基本構造を示す図である。図3において、5は1つの半導体デバイスの断面の一部を示すもので、電気回路上に形成された電極端子6に、端子ポスト61a~61dが設置されている。30は、垂直方向配線装置で、前記半導体デバイスの電極端子6に設けられた前記端子ポスト61a~61dと接する位置に、垂直方向に開放端を有する端子配列302a~302dと、それぞれの前記端子配列302a~302dから継続する複数の導電性パターン303a~303dとを有する第1の配線パターン群305と、前記半導体デバイス5が占有する平面外の空間に、少なくとも垂直方向に伸長する複数の導電性パターン304a~304dを含む第2の配線パターン群306とから成り、前記第1の配線パターン群305と前記第2の配線パターン群306とを電気的に接続し、1つの誘電体シート301上に形成されたものである。
【0023】
例えば、前記半導体デバイスの前記端子ポスト61aの先端に前記端子配列が接続されると、前記端子配列302aから継続した前記導体パターン303a及び304aを経由し、他の半導体デバイスの電極端子又は他の外部装置(図示せず)に電気的に接続される。
【0024】
前記垂直方向配線装置は、前記電気端子及び前記導電性パターンをメッキ(電鋳)又はエッチング加工により形成することが可能である。
【0025】
図4は、本発明の平面方向配線装置における配線交差部の構造を示す図である。図4で示す配線交差構造は、本発明の半導体装置において、主として前記平面方向配線装置における配線交差に適しているが、これに限らない。図4において、20は、平面方向配線装置であり、一つの配線交差部205を示す。1つの誘電体シート201上に導電性パターン203aと203bとが交差している。前記導電性パターン203bは、断面A-Aで示すように前記配線交差部205において、前記導電性パターン203aと同一面(表面)を通る導電性パターン203b1から、貫通部203b2を介し、前記誘電体シート201の裏面を通る導電性パターン203b3となり、再び貫通部203b4を介し、表面を通る導電性パターン203b5となる。これにより、前記導電性パターン203aとの接触が回避されることになる。
【0026】
図5は、本発明の垂直方向配線装置における配線交差部の構造を示す図であり、図3における前記第1の配線パターン群305と前記第2の配線パターン群306との接続方法を示すものである。図5で示す配線交差構造は、本発明の半導体装置において、主として前記垂直方向配線装置における配線交差に適しているが、これに限らない。図5において、半導体デバイスの電極端子に接続された前記第1の配線パターン群305における前記導電性パターン303a~303dと、前記第2の配線パターン群306における前記導電性パターン304a~304dとが、1つの誘電体シート301上に形成され、電気的に接続されたものである。前記導電性パターン303a~303dと前記導電性パターン304a~304dとの接続部において、誘電体膜307を設置したことを特徴とするものである。断面B-Bに示すように、例えば前記導電性パターン303aと前記導電性パターン304aとの接続において、前記誘電体膜307を設置することにより、前記導電性パターン303aが、前記導電性パターン304b~304dとの接触を回避することができる。
【0027】
本方法により、例えば前記第2の配線パターン群306を、複数のCPU又はGPU等の共通信号線(バス配線)に適用することにより、複数の半導体デバイスの接続に使用することができる。
【0028】
図6は、本発明の配線交差部の構造における他の実施例を示す図である。図6(a)において、誘電体シート201上に設置した複数の電気端子列2a~24と2e~2hとの間を、導電性パターン3a~3dで接続した例を示すものである。図6(a)の如く接続された場合、前記導電性パターン3aは前記導電性パターン3c及び3dと、前記導電性パターン3bは同様に、前記導電性パターン3c及び3dと交差することになる。図6(b)に示す断面C-Cにおいて、前記導電性パターン3a及び3bの導体形成後に導体表面に誘電体膜206が形成されている。これにより、前記導電性パターン3a及び3bの上部を交差する前記導電性パターン3c及び3dは、電気的に独立して配線することが可能となる。
【0029】
さらに、前記導電性パターン3c及び3dにおいて導体形成後に導体表面に誘電体膜を形成することにより、前記導電性パターン3c及び3dの上部にも他の配線(図示せず)を交差することができる。
【0030】
図7は、本発明の実施例による半導体装置を示す斜視図であり、垂直方向(Z方向)に異なる位置に配置した4つの半導体デバイス群から構成する半導体装置の例である。図7において、51は、半導体デバイス511~516で構成される第1の半導体デバイス群、52は、前記第1の半導体デバイス群51を構成するXY座標平面に対しZ方向に異なるXY座標平面上の座標に電極端子を有する複数の半導体デバイス521及び524等で構成される第2の半導体デバイス群、53は、前記第1の半導体デバイス群51若しくは前記第2の半導体デバイス群52を構成するXY座標平面に対し、Z方向に異なるXY座標平面上の座標に電極端子を有する複数の半導体デバイス531及び534等で構成される第3の半導体デバイス群、54は、前記第1の半導体デバイス群51若しくは前記第2の半導体デバイス群52若しくは前記第3の半導体デバイス群53を構成するXY座標平面に対し、Z方向に異なるXY座標平面上の座標に電極端子を有する複数の半導体デバイス541及び544等で構成される第4の半導体デバイス群を示す。
【0031】
21は、前記第1の半導体デバイス群51における複数の前記半導体デバイス511~516をXY平面方向に電気的に接続する平面方向配線装置であり、1つのXY座標平面上に、前記半導体デバイスの電極端子60と接続する複数の電気端子212と、任意の前記電気端子212間を接続する導電性パターン213とが1つの誘電体シート211上に設置されている。
【0032】
22は、前記第2の半導体デバイス群52における複数の前記半導体デバイス521及び524等をXY平面方向に電気的に接続する平面方向配線装置であり、1つのXY座標平面上に、前記半導体デバイスの電極端子60と接続する複数の電気端子222と、任意の前記電気端子222間を接続する導電性パターン(図示せず)とが1つの誘電体シート221上に設置されている。
【0033】
23は、前記第3の半導体デバイス群53における複数の前記半導体デバイス531及び534等をXY平面方向に電気的に接続する平面方向配線装置であり、1つのXY座標平面上に、前記半導体デバイスの電極端子60と接続する複数の電気端子232と、任意の前記電気端子232間を接続する導電性パターン(図示せず)とが1つの誘電体シート231上に設置されている。
【0034】
同様に、24は、前記第4の半導体デバイス群54における複数の前記半導体デバイス541及び544等をXY平面方向に電気的に接続する平面方向配線装置であり、1つのXY座標平面上に、前記半導体デバイスの電極端子60と接続する複数の電気端子242と、任意の前記電気端子242間を接続する導電性パターン(図示せず)とが1つの誘電体シート241上に設置されている。
【0035】
一方、31~38は垂直方向配線装置であり、前記第1の半導体デバイス群における任意の半導体デバイスと、前記第2の半導体デバイス群における任意の半導体デバイスと、前記第3の半導体デバイス群における任意の半導体デバイスと、前記第4の半導体デバイス群における任意の半導体デバイスとを、垂直方向(Z方向)に電気的に接続する配線装置であって、垂直方向に開放端を有し任意の半導体デバイスの複数の電極端子と接続する端子配列312と前記端子配列312から継続する複数の導電性パターン313とを有する第1の配線パターン群315と、前記半導体デバイス占有平面外の空間に設置し、少なくとも垂直方向に伸長する複数の導電性パターン314を含む第2の配線パターン群316とから成り、前記第1の配線パターン群315と前記第2の配線パターン群316とを電気的に接続したものである。
【0036】
本実施例では、前記垂直方向配線装置31、32、33、34は、前記半導体デバイス群51の半導体デバイス511と、前記半導体デバイス群52の半導体デバイス521と、前記半導体デバイス群53の半導体デバイス531と、前記半導体デバイス群54の半導体デバイス541におけるそれぞれのXY座標値が同一の電極端子間を接続し、前記垂直方向配線装置35、36、37、38は、前記半導体デバイス群51の半導体デバイス514と、前記半導体デバイス群52の半導体デバイス524と、前記半導体デバイス群53の半導体デバイス534と、前記半導体デバイス群54の半導体デバイス544におけるそれぞれのXY座標値が同一の電極端子間を接続するものであるが、対象とする半導体デバイス、電極端子はこれに限らない。
【0037】
又、本実施例では、前記垂直方向配線装置を設置する「半導体デバイス占有平面外の空間」を前記平面方向配線装置の中央部に共通に開口部217を設けることにより実現している。
【0038】
本実施例によれば、例えば、前記半導体デバイス群51における前記半導体デバイス511をCPUに、前記半導体デバイス512及び513をCPU用メモリーICに、前記半導体デバイス514をGPUに、前記半導体デバイス515及び516をGPU用メモリーICとすることにより、画像処理用コンピュータシステムを構成することができ、前記平面方向配線装置をCPUとメモリーICとの接続、又はGPUとメモリーICとの接続に適用し、又、前記垂直方向配線装置を、複数のCPU間、又は複数のGPU間における共通信号バス配線に適用することが可能であり、前記半導体デバイス群52~54においても前記半導体デバイス群51同様の構成にすることにより、高機能、大容量のコンピュータシステムを省スペースで構築できる。
【0039】
又、前記半導体デバイス群51乃至54は、それぞれ異種の半導体デバイスで構成してもよい。又、本実施例は、垂直方向(Z方向)に異なる位置に配置した4つの半導体デバイス群から構成する半導体装置の例であるが、Z方向に積層する半導体デバイス群の数はこれに限らない。
【0040】
以上説明したように、本発明の半導体装置によれば、垂直方向(Z方向)に異なるXY座標平面上の座標に電極端子を有する複数の半導体デバイスで構成される半導体デバイス群どうしを、平面方向かつ垂直方向に電気的に接続する半導体装置において、複数の半導体デバイスを平面方向に配線接続する手段として、半導体デバイスの電極端子と接続する複数の電気端子と任意の前記電気端子間を接続する導電性パターンとが、電鋳又はエッチング加工により1つの誘電体シート上に形成され、単一の誘電体シート上で複数の交差配線部を含む配線パターンを構成した平面方向配線装置と、複数の半導体デバイスを垂直方向に配線接続する手段として、垂直方向に開放端を有し任意の半導体デバイスの複数の電極端子と接続する端子配列と、前記端子配列から継続する複数の導電性パターンとを有する第1の配線パターン群と、前記半導体デバイス群の電極端子占有平面外の空間に設置し、少なくとも垂直方向に伸長する複数の導電性パターンを含む第2の配線パターン群とから成り、前記第1の配線パターン群と前記第2の配線パターン群とを電気的に接続した構成による垂直方向配線装置とを組み合わせることにより、シリコンプロセスに依存しない微細配線を可能としながら複数の半導体デバイスの接続における配線基板の多層化を排除することにより、高密度な配線装置を低コストで提供することができる。
【0041】
又、本発明による半導体装置により、例えば、CPU、GPU、メモリー等の半導体デバイスを同時に、垂直方向に多段に、すなわち三次元(3D)積層搭載することが可能となり、コンピュータ等のシステム構成において、小型化・低コスト化を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
複数の半導体デバイスを水平方向又は垂直方向に積層する半導体装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1,10 半導体装置
20~24 平面方向配線装置
201、211、221、231、241 誘電体シート
202、212、222、232、242、2a~2h 電気端子
203、213 導電性パターン
204,214 貫通穴
205、215 配線交差部
206 誘電体膜
217 開口部
30~38 垂直方向配線装置
301、311 誘電体シート
302、312 端子配列
303、304、313、314、3a~3d 導電性パターン
305~307、315、316 配線パターン群
5、511~516、521、524、531、534、541、544 半導体デバイス
51~54 半導体デバイス群
6、60 電極端子
61 端子ポスト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7