(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041703
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】洗浄器
(51)【国際特許分類】
A47K 7/04 20060101AFI20240319BHJP
A61H 23/02 20060101ALN20240319BHJP
【FI】
A47K7/04
A61H23/02 386
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023075395
(22)【出願日】2023-05-01
(31)【優先権主張番号】P 2022146522
(32)【優先日】2022-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000114628
【氏名又は名称】ヤーマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】小杉 知司
(72)【発明者】
【氏名】堀 隆秀
【テーマコード(参考)】
2D134
4C074
【Fターム(参考)】
2D134DA04
4C074AA05
4C074BB01
4C074BB06
4C074CC03
4C074DD05
4C074FF01
4C074FF05
4C074GG01
4C074HH03
4C074HH04
4C074HH09
(57)【要約】
【課題】肌面の皮脂のみならず、毛穴に詰まった角栓をも容易に除去可能な洗浄器を提供する。
【解決手段】本発明の一態様によれば、使用者の肌面の洗浄に使用される洗浄器が提供される。この洗浄器は、洗浄器本体と、振動付与機構と、供給機構とを備える。振動付与機構は、肌面に接触させて、肌面に振動を付与する振動体を有する。供給機構は、液状又はゲル状をなす洗浄剤を肌面に供給する供給口を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の肌面の洗浄に使用される洗浄器であって、
洗浄器本体と、振動付与機構と、供給機構とを備え、
前記振動付与機構は、前記肌面に接触させて、前記肌面に振動を付与する振動体を有し、
前記供給機構は、液状又はゲル状をなす洗浄剤を前記肌面に供給する供給口を有する、洗浄器。
【請求項2】
請求項1に記載の洗浄器において、
さらに、吸引機構を備え、
前記吸引機構は、前記肌面に供給された前記洗浄剤を吸引する吸引口を有する、洗浄器。
【請求項3】
請求項2に記載の洗浄器において、
さらに、シール部材を備え、
前記シール部材は、前記肌面に接触させることにより、前記肌面との間に閉鎖空間を形成するように構成され、
前記閉鎖空間は、前記供給口及び前記吸引口と連通している、洗浄器。
【請求項4】
請求項3に記載の洗浄器において、
前記振動体は、カップ状をなし、前記シール部材の内側に配置されている、洗浄器。
【請求項5】
請求項4に記載の洗浄器において、
前記供給口及び前記吸引口は、前記カップ状の振動体の中央部に開口している、洗浄器。
【請求項6】
請求項3に記載の洗浄器において、
前記振動体は、前記供給口及び前記吸引口が開口する円柱状の突出部を有し、
前記シール部材は、前記突出部の外側に配置されている、洗浄器。
【請求項7】
請求項3に記載の洗浄器において、
前記振動体は、環状をなし、前記シール部材の外側に配置されている、洗浄器。
【請求項8】
請求項7に記載の洗浄器において、
前記振動体は、その周方向に沿って複数のスリットを有する、洗浄器。
【請求項9】
請求項8に記載の洗浄器において、
前記複数のスリットは、前記振動体の周方向に沿って、略等間隔で配置されている、洗浄器。
【請求項10】
請求項3に記載の洗浄器において、
種類の異なる複数の前記シール部材を備え、前記複数のシール部材から選択された1つを前記振動体に装着して使用するように構成されている、洗浄器。
【請求項11】
請求項3に記載の洗浄器において、
前記洗浄器本体は、さらに、前記洗浄剤を収納する洗浄剤収納部を有し、
前記吸引機構は、さらに、前記吸引口と連通する吸引流路と、前記吸引流路を減圧するポンプとを有し、
前記供給機構は、さらに、前記供給口と前記洗浄剤収納部とを連通する供給流路を有し、
前記シール部材を前記肌面に接触させた状態で、前記ポンプを作動させることにより、前記供給機構から前記洗浄剤が前記肌面に供給されるように構成されている、洗浄器。
【請求項12】
請求項1に記載の洗浄器において、
前記振動体は、ブレード状をなし、
前記供給口は、前記振動体に開口している、洗浄器。
【請求項13】
請求項1に記載の洗浄器において、
さらに、帯電機構を備え、
前記帯電機構は、前記振動体を正荷電又は負荷電に帯電させるように構成されている、洗浄器。
【請求項14】
請求項1に記載の洗浄器において、
前記洗浄剤は、洗浄水又はピーリング剤を含む、洗浄器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、超音波で振動する金属製の振動板を皮膚に接触させ且つ振動板と皮膚との間に振動板の振動と同期した脈流電圧を印加した状態で、振動板を皮膚の表面に沿って移動させて使用する超音波美容装置が知られている(特許文献1参照)。
かかる超音波美容装置によれば、水や美容液を併用することにより、皮膚の表面の皮脂を乳化させて除去することができるが、毛穴に詰まった角栓を除去し難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明では上記事情に鑑み、肌面の皮脂のみならず、毛穴に詰まった角栓をも容易に除去可能な洗浄器を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、使用者の肌面の洗浄に使用される洗浄器が提供される。この洗浄器は、洗浄器本体と、振動付与機構と、供給機構とを備える。振動付与機構は、肌面に接触させて、肌面に振動を付与する振動体を有する。供給機構は、液状又はゲル状をなす洗浄剤を肌面に供給する供給口を有する。
【0006】
かかる態様によれば、肌面の皮脂のみならず、毛穴に詰まった角栓をも容易に除去可能な洗浄器を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の洗浄器の第1実施形態を示す正面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の洗浄器のブロック図である。
【
図4】
図4は、ヘッド部の他の構成を示す斜視図(a)、平面図(b)及び断面図(c)である。
【
図5】
図5は、ヘッド部の他の構成を示す断面図である。
【
図6】
図6は、小径シール部材の先端部の構成を示す斜視図(a)及び断面図(b)である。
【
図7】
図7は、ヘッド部の他の構成を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図7のヘッド部を装置本体に固定した状態を示す断面図である。
【
図9】
図9は、吸引機構の他の構成を示す断面図である。
【
図10】
図10は、本発明の洗浄器の第2実施形態を示す平面斜視図である。
【
図11】
図11は、第2実施形態の洗浄器の底面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。
【0009】
ところで、本実施形態に登場するソフトウェアを実現するためのプログラムは、コンピュ-タが読み取り可能な非一時的な記録媒体(Non-Transitory Computer-Readable Medium)として提供されてもよいし、外部のサ-バからダウンロ-ド可能に提供されてもよいし、外部のコンピュ-タで当該プログラムを起動させてクライアント端末でその機能を実現(いわゆるクラウドコンピュ-ティング)するように提供されてもよい。
【0010】
また、本実施形態において「部」とは、例えば、広義の回路によって実施されるハ-ドウェア資源と、これらのハ-ドウェア資源によって具体的に実現されうるソフトウェアの情報処理とを合わせたものも含みうる。また、本実施形態においては様々な情報を取り扱うが、これら情報は、例えば電圧・電流を表す信号値の物理的な値、0又は1で構成される2進数のビット集合体としての信号値の高低、又は量子的な重ね合わせ(いわゆる量子ビット)によって表され、広義の回路上で通信・演算が実行されうる。
【0011】
また、広義の回路とは、回路(Circuit)、回路類(Circuitry)、プロセッサ(Processor)、及びメモリ(Memory)等を少なくとも適当に組み合わせることによって実現される回路である。すなわち、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィ-ルドプログラマブルゲ-トアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等を含むものである。
【0012】
<第1実施形態>
まず、本発明の洗浄器の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の洗浄器の第1実施形態を示す正面図である。
図2は、
図1中のA-A線断面図である。
図3は、第1実施形態の洗浄器のブロック図である。
なお、以下の説明では、
図1中の紙面手前側を「表」又は「前」と、
図1中の紙面奥側を「裏」又は「後」とも記載し、
図2中の左側を「表」又は「前」と、
図2中の右側を「裏」又は「後」とも記載する。また、
図1及び
図2中の上側を「上」又は「上方」と、下側を「下」又は「下方」とも記載する。
【0013】
図1等に示す洗浄器1は、使用者の肌面の洗浄に使用される。この洗浄器1は、洗浄器本体2と、洗浄器本体2に着脱自在に装着されるヘッド部3とを備えている。
本実施形態では、ヘッド部3として、比較的大きな面積を有する肌面(例えば、頬)に使用するヘッド部3Aと、比較的小さな面積を有する肌面(例えば、鼻)に使用するヘッド部3Bとを有している。すなわち、
図1等に示す洗浄器1は、サイズの異なる2つ(複数)のヘッド部3A、3Bを備え、2つのヘッド部3A、3Bから選択された1つを洗浄器本体2に装着して使用するように構成されている。かかる構成によれば、肌面の領域に応じて適切な処理を行うことができる。
なお、ヘッド部3は、ヘッド部3A、3Bともサイズが異なる1つ以上の他のヘッド部を有していてもよい。また、複数のヘッド部3は、それらの形状が使用すべき肌面に応じて形状が異なっていてもよい。
【0014】
以下の説明では、ヘッド部3Aとヘッド部3Bとを特に区別する必要がない場合、これら総称して、単に「ヘッド部3」と記載する。
図1及び
図2に示すヘッド部3は、円環状をなすシール部材31と、シール部材31の内側に配置されたカップ状(有底筒状)をなす振動体32とを有し、これらが一体化された組立体である。振動体32の内側面は、半球状をなす湾曲凹面で構成されている。
シール部材31は、例えば、アクリロニトリル・ブタジエンゴム(NBR)、シリコ-ンゴム、アクリルゴム、エチレンプロピレンゴムのようなゴム材料で構成することができる。
シール部材31は、その開口部を塞ぐように肌面に接触させることにより、肌面との間に閉鎖空間を形成するように構成されている。この閉鎖空間は、後述する供給口611及び吸引口711と連通する。
【0015】
振動体32は、例えば、ステンレス鋼、銅、アルミニウム又はアルミニウム合金、チタン合金、ダイス鋼のような金属材料で構成することができる。
ヘッド部3Aの振動体32の外径は16mm以上25mm以下程度であることが好ましい。
一方、ヘッド部3Bの振動体32の外径は10mm以上15mm以下程度であることが好ましい。
かかるヘッド部3及び洗浄器本体2の一方又は双方は、これらを互いに固定するための図示しない固定機構を有していることが好ましい。
【0016】
洗浄器本体2は、上側ケース21と、下側ケース22とを有している。
上側ケース21は、有底筒状の部材(天井部を有する筒体)で構成され、その前面には、2つの操作ボタン211、212が設けられている。例えば、操作ボタン211は、電源のオン/オフを行うためのボタンであり、操作ボタン212は、ヘッド部3の動作モードを選択及び決定するためのボタンである。なお、操作ボタン211、212は、それぞれその他の機能を有していてもよい。
また、上側ケース21の天井部には、上側開口部213が形成され、その内側には、上側開口部213を塞ぐように超音波振動子4が配置されている。ヘッド部3を洗浄器本体2に装着した状態で、ヘッド部3の振動体32が超音波振動子4に接触するように構成されている。これにより、超音波振動子4により振動体32に超音波振動を付与することができる。
さらに、上側ケース21の天井部には、上側開口部213の周縁に光源を配置するようにしてもよい。かかる光源は、装飾用途、又は洗浄器1の使用状態(施術状態)を視覚的に表示する用途として使用することができる。また、光源として青色LEDを配置することにより、肌面に対する殺菌効果、炎症の鎮静効果等を期待することができる。
【0017】
また、上側ケース21の後面には、長尺の手元電極5が上側ケース21の高さ方向に沿って設けられている。かかる構成より、使用者が洗浄器本体2を把持した際に、手元電極5に使用者の持ち手を確実に接触させることができる。
上側ケース21の高さ方向の途中には、内部空間を上下に区画する隔壁部214が設けられている。この隔壁部214により、上側の内部空間の液密性が確保されている。この上側ケース21の上側の内部空間に、各種の電気的な機構が配置されている。
このような上側ケース21の下側開口部210を塞ぐように、下側ケース22が着脱自在に装着されている。
【0018】
下側ケース22は、
図2に示すように、円盤状をなす底部221と、底部221から立設された円筒状をなす挿入部222とを有している。挿入部222を上側ケース21の下側開口部210に挿入し、上側ケース21の内周部に嵌合させることにより、下側ケース22を上側ケース21に装着することができる。
かかる挿入部222は、底部221の外縁より内側に配置されている。このため、挿入部222を上側ケース21の下側開口部210に挿入すると、底部221の外周部が上側ケース21の下端に当接することにより、下側ケース22の上側ケース21に対する位置決めがなされる。
また、洗浄器本体2には、この状態で下側ケース22が上側ケース21から離脱するのを阻止する離脱阻止機構を設けるようにしてもよい。かかる離脱阻止機構は、例えば、上側ケース21及び下側ケース22の一方に設けられた爪部(凸部)と、他方に設けられた爪部に係合する凹部又は凹溝とで構成することができる。
【0019】
下側ケース22の挿入部222の内側には、肌面に供給すべき洗浄剤を収納する第1の収納容器(洗浄剤収納部)231と、肌面から回収された洗浄剤を収納する第2の収納容器232とが併設されている。
第1の収納容器231及び第2の収納容器232は、それぞれ有底筒状の部材で構成されている。下側ケース22を上側ケース21に装着した状態で、第1の収納容器231及び第2の収納容器232の上側開口部は、それぞれ隔壁部214により塞がれるように構成されている。第1の収納容器231及び第2の収納容器232の上側開口部と隔壁部214との液密性を確保する観点から、隔壁部214の構成材料としてはゴム材料が好適である。
なお、第1の収納容器231及び第2の収納容器232の外形形状は、それぞれ特に限定されないが、本実施形態では、半円状であることが好ましい。この場合、第1の収納容器231及び第2の収納容器232のそれぞれの容量を十分に大きくすることができる。
【0020】
また、少なくとも第1の収納容器231は、下側ケース22に着脱可能なカートリッジ式として構成するようにしてもよい。
第1の収納容器231には、液状又はゲル状をなす洗浄剤(本実施形態では、好ましくは液状をなす洗浄剤)が収納される。洗浄剤は、洗浄水又はピーリング剤を含むことが好ましい。
洗浄水に用いる水としては、特に限定されないが、例えば、水道水、純水、超純水、蒸留水、イオン交換水、RO水等が挙げられる。
ピーリング剤としては、特に限定されないが、例えば、α-ヒドロキシ酸(乳酸、グリコール酸等)、β-ヒドロキシ酸(サリチル酸等)、タンパク質加水分解酵素(プロテアーゼ)のうちの少なくとも1種を含む水溶液が挙げられる。
【0021】
α-ヒドロキシ酸及びβ-ヒドロキシ酸は、それぞれ角層の接着成分となるデスモソームを分解し、角層を除去することにより毛穴から角栓を排出し易くする作用を有する。
また、タンパク質加水分解酵素は、角栓を分解することにより、毛穴からの排出を促す作用を有する。
これらの成分は、上記作用が発現し、肌面への刺激性も考慮して、ピーリング剤中の含有量が調整される。
なお、洗浄剤をゲル状とする場合、液状をなす洗浄剤にゲル化剤を添加するようにすればよい。ゲル化剤としては、例えば、ペクチン、カラギーナン、キサンタンガム、グアガム、アラビアガム、メチルセルロース、ゼラチン等が挙げられる。
洗浄器本体2の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂のような硬質の樹脂材料が挙げられる。
【0022】
洗浄器1は、
図2に示すように、さらに供給機構6と、吸引機構7とを備えている。
供給機構6は、振動体32の底部を厚さ方向に沿って貫通して設けられた貫通孔61と、例えば、ポリ塩化ビニル製の供給チューブ(供給流路)62とを有している。
貫通孔61は、振動体32の底面の中央部に開口して、洗浄剤を肌面に供給する供給口611を形成している。すなわち、供給機構6は、洗浄剤を肌面に供給する供給口611を有している。
供給チューブ62は、その上端部が超音波振動子4を貫通した状態で固定されている。
図2に示すように、ヘッド部3を洗浄器本体2に装着した状態で、貫通孔61と供給チューブ62とが連通する。また、供給チューブ62は、隔壁部214を貫通して設けられ、下側ケース22を上側ケース21に装着した状態で、その下端部が第1の収納容器231に収納された洗浄剤に浸漬されるように構成されている。かかる構成により、供給チューブ62は、供給口611と第1の収納容器231とを連通する。
【0023】
一方、吸引機構7は、振動体32の底部を厚さ方向に沿って貫通して設けられた貫通孔71と、例えば、ポリ塩化ビニル製の吸引チューブ(吸引流路)72と、吸引チューブ72を減圧するポンプ73とを有している。本実施形態では、ポンプ73は、吸引チューブ72の途中に設けられている。
貫通孔71は、振動体32の底面の中央部に開口して、肌面に供給された洗浄剤を吸引する吸引口711を形成している。すなわち、吸引機構7は、肌面に供給された洗浄剤を吸引する吸引口711を有している。
吸引チューブ72は、その上端部が超音波振動子4を貫通した状態で固定されている。
図2に示すように、ヘッド部3を洗浄器本体2に装着した状態で、貫通孔71と吸引チューブ72とが連通する。また、吸引チューブ72は、隔壁部214を貫通して設けられ、下側ケース22を上側ケース21に装着した状態で、その下端部が第2の収納容器232の内側に位置するように構成されている。かかる構成により、吸引チューブ72は、吸引口711と第2の収納容器232とを連通する。
したがって、本実施形態では、シール部材31は、供給口611及び吸引口711を囲むように設けられている。
【0024】
以上のような構成によれば、シール部材31を肌面に接触させた状態とすることにより、シール部材31と肌面とで画成される閉鎖空間(密閉空間)を介して、供給チューブ62と吸引チューブ72とが連通する。この状態で、ポンプ73を作動させることにより、供給チューブ62、貫通孔61及び供給口611を順次通過して(すなわち、供給機構6から)、洗浄剤が肌面に供給される。
また、肌面に供給された洗浄剤は、吸引口711、貫通孔71、吸引チューブ72を順次通過して、第2の収納容器232に回収される。
【0025】
次に、洗浄器1の電気的構成(電源装置8)について説明する。
図3に示す電源装置8は、電源部80と、電源回路81と、CPU82と、発信回路83と、可変抵抗器84と、駆動回路85と、トランス86と、制御回路87と、出力回路88とを有している。
電源部80は、例えば、乾電池、太陽電池、燃料電池のような一次電池、リチウムイオン電池のような二次電池の他、外部電源に接続するためのアダプタ等で構成することができる。
CPU82は、演算素子と、記憶素子とを内蔵している。
【0026】
演算素子は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等で構成される。演算素子は、記憶素子に記憶された所定のプログラムを読み出すことによって、洗浄器1に係る種々の機能を実現する。すなわち、記憶素子に記憶されているソフトウェアによる情報処理が演算素子によって具体的に実現される。
なお、演算素子は、単一であることに限定されず、機能ごとに複数の演算素子を設けるようにしてもよい。また、それらの組合せであってもよい。特に、超音波振動子4の作動制御に関する演算素子と別異に、振動体32の帯電制御のための演算素子が備えられるとよい。
【0027】
記憶素子は、前述の記載により定義される様々な情報を記憶する。これは、例えば、演算素子によって実行される洗浄器1に係る種々のプログラム等を記憶するソリッドステートドライブ(Solid State Drive:SSD)等のストレージデバイスとして、あるいは、プログラムの演算に係る一時的に必要な情報(引数、配列等)を記憶するランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)等のメモリとして実施することができる。
また、記憶素子は、演算素子によって実行される洗浄器1に係る種々のプログラムや変数等を記憶している。
【0028】
超音波振動子4へは、発信回路83、駆動回路85、トランス86からなる振動電源回路を介して電源回路81より電圧が供給される。この電圧の発振周波数は発信回路83からの発信信号により制御する。この発信回路83には、可変抵抗器84が取り付けられており、この可変抵抗器84により、発信回路83の発信周波数が超音波振動子4の固有振動と合うようにそれぞれの超音波振動子4について調整することができる。
本実施形態では、振動体32、超音波振動子4、電源回路81、発信回路83、駆動回路85及びトランス86により振動付与機構が構成されている。すなわち、洗浄器1は、さらに振動付与機構を備え、この振動付与機構は、肌面に接触させて、肌面に振動を付与する振動体32を有している。
【0029】
また、電源回路81は、出力回路88を介して、振動体32及び手元電極5へ電圧を供給する。この出力回路88の出力周期及び極性(正荷電又は負荷電)は、制御回路87によって調整される。
本実施形態では、振動体32、手元電極5、電源回路81,出力回路88及び制御回路87により帯電機構が構成されている。すなわち、洗浄器1は、さらに帯電機構を備え、この帯電機構は、振動体32を正荷電又は負荷電に帯電させるように構成されている。なお、手元電極5の位置は、図示の位置に限定されない。また、帯電機構全体の構成も、振動体32を正荷電又は負荷電に帯電させることができれば、図示の構成に限定されない。
肌面に当接させた振動体32と洗浄器本体2の持ち手に接触する手元電極5とに電圧を印加することにより、振動体32を帯電させることができる。そして、振動体32を正荷電に帯電させた場合、毛穴内に存在するタンパク質等を排出させる作用(イオン導出作用)を発揮することができる。一方、振動体32を負荷電に帯電させた場合、毛穴内にイオンを注入する作用(イオン導入作用)を発揮することができる。
【0030】
次に、洗浄器1の使用方法(作用)について説明する。
[1]まず、洗浄器本体2の操作ボタン211を押圧して電源をオンする。これにより、振動付与機構の作動により振動体32が超音波振動を開始する。また、ポンプ73も作動を開始するが、シール部材31の内側空間が開放空間であるため、この状態では、洗浄剤を第1の収納容器231から吸い出す吸引力が作用しない。
[2]次に、ヘッド部3の動作モードを決定する。動作モードには、例えば、超音波振動モード、超音波振動・振動体正帯電モード、超音波振動・振動体負帯電モード等を設定することができる。この動作モードの選択は、例えば、操作ボタン212の押圧回数、押圧時間等の違いにより行うように構成することができる。
【0031】
[3]その後、ヘッド部3のシール部材31の端部を所望の肌面に接触させる。これにより、シール部材31と肌面との間に閉鎖空間が形成される。すなわち、シール部材31の内側空間が閉鎖空間(密閉空間)となる。このため、この閉鎖空間を介して、供給チューブ62と吸引チューブ72とが連通する。その結果、ポンプ73の作動により、洗浄剤が第1の収納容器231から吸い出され、供給チューブ62内を移送され、供給口611から肌面に供給される。
また、この状態で、振動体32も肌面に接触しているので、肌面に対して超音波振動を付与している。
ここで、超音波振動の周波数は、特に限定されないが、10kHz以上100kHz以下程度であることが好ましく、20kHz以上90kHz以下程度であることがより好ましい。なお、超音波振動の周波数は、振動体32の形状を工夫することにより調整可能である。
【0032】
洗浄剤と超音波振動により、肌面に存在する皮脂を乳化して除去することができる。洗浄剤としてピーリング剤を使用すれば、毛穴に詰まった角栓を円滑に除去することができ、毛穴の奥の皮脂や汚れ(老廃物)も効果的に除去することができる。また、振動体32を正荷電に帯電させれば、毛穴からの汚れ等の排出を促進する作用が得られる。
そして、皮脂や汚れが移行した洗浄剤は、吸引機構により吸引口711から吸引され、第2の収納容器232に回収される。
このようにして、洗浄器1によれば、肌面の皮脂のみならず、毛穴に詰まった角栓、皮脂や汚れをも容易に除去することができる。
肌面の洗浄後、振動体32を負電荷に帯電させて、マイナスイオンを肌面に導入するイオン導入を行うようにしてもよい。このとき、肌面に美容液を供給しておけば、美容液の肌面への浸透効果を高めることができる。
【0033】
また、上側ケース21の隔壁部214より下側の部分は、透明(無色透明、着色透明又は半透明)としてもよい。これにより、第2の収納容器232に回収された洗浄剤の状態及び色を洗浄器本体2の外部から視認することができる。
さらに、上側ケース21の内側には、隔壁部214付近に光源(例えば、白色LED)を配置してもよい。この場合、第2の収納容器232に回収された洗浄剤の状態及び色を洗浄器本体2の外部からより明確に視認することができる。
【0034】
ヘッド部3は、次のような構成とすることもできる。
図4は、ヘッド部の他の構成を示す斜視図(a)、平面図(b)及び断面図(c)である。
図4に示すヘッド部3Cは、有底円筒状(ボトルキャップ状)をなすシール部材31と、シール部材31の外側に配置された円環状をなす振動体32とを有している。
シール部材31の底部には、供給口611を有する貫通孔61と、吸引口711を有する貫通孔71とが厚さ方向に沿って形成されている。
かかるヘッド部3Cによっても、上記ヘッド部3A、3Bと同様の作用・効果が得られる。また、ヘッド部3Aとヘッド部3Bとの関係のように、洗浄すべき肌面の領域(部位)に応じて、ヘッド部3Cとサイズの異なるヘッド部を用意することができる。
【0035】
洗浄器本体2の前面には、選択した動作モードを示すために点灯するモードランプを設けるようにしてもよい。なお、洗浄器1の電源がオフの場合、モードランプは、好ましくは消灯するように構成される。
また、電源部80が二次電池(充電池)で構成される場合、洗浄器本体2の前面には、二次電池が充電状態にあるとき点灯し、充電が完了すると消灯する充電ランプを設けるようにしてもよい。
さらに、この場合、好ましくは洗浄器本体2の後面の下部に、充電端子部が設けられる。
【0036】
また、ヘッド部3は、次のような構成とすることもできる。
図5は、ヘッド部の他の構成を示す断面図である。
図6は、小径シール部材の先端部の構成を示す斜視図(a)及び断面図(b)である。
図5に示すヘッド部3は、種類の異なる2つ(複数)のシール部材31、31aを備えている。そして、
図5に示す構成では、振動体32は、超音波振動子4に対して固定されている。また、振動体32の中央部には、円柱状の突出部320が設けられ、この突出部320に貫通孔61、71が形成されている。すなわち、振動体32は、その端面に供給口611及び吸引口711が開口する円柱状の突出部320を有している。なお、貫通孔61は、突出部320の中心軸と略一致して位置し、貫通孔71は、突出部320の中心軸からズレて位置している。
【0037】
シール部材31は、円環状をなし、振動体32の外周面に着脱自在に装着される。一方、小径シール部材31aは、シール部材31より小径で円環状をなし、突出部320の外周面に着脱自在に装着される(突出部320の外側に配置される)。すなわち、2つのシール部材31、31aから選択された1つを振動体32に装着して使用するように構成されている。
また、小径シール部材31aを突出部320の外周面に装着した状態で、供給口611及び吸引口711は、小径シール部材31aから外部に露出している。この状態で、小径シール部材31aの先端部は、振動体32から若干突出している。
【0038】
また、小径シール部材31aの先端部には、
図6に示すように、複数の突起310aを備えるブラシ構造体310を設けるようにしてもよい。かかるブラシ構造体310を設けることにより、角質や角栓の除去効率を高めることができる。
ブラシ構造体310は、その中心軸に略一致して形成された貫通孔311と、この貫通孔311を中心として周方向に沿って配置された複数の貫通孔312とを有している。小径シール部材31aを突出部320の外周面に装着した状態で、貫通孔311と供給口611(貫通孔61)とが連通し、複数の貫通孔312と吸引口711(貫通孔71)とが連通するように構成されている。
【0039】
さらに、ヘッド部は、次のような構成とすることもできる。
図7は、ヘッド部の他の構成を示す斜視図である。
図8は、
図7のヘッド部を装置本体に固定した状態を示す断面図である。なお、以下の説明では、
図8中の上側を「上」又は「上方」と、下側を「下」又は「下方」とも記載する。
図7に示すヘッド部30は、その中央部に設けられたシール部材31bを有している。このシール部材31bは、円筒部311bと、円筒部311bの高さ方向の途中に設けられた隔壁部312bとを備えている。
なお、シール部材31bの全体形状は、円筒状に限らず、角筒状であってもよく、肌面との間に密閉空間(閉鎖空間)を形成できるような形状であればよい。
【0040】
図8に示すように、隔壁部312bは、その上面から上方に向かって突出形成された複数の突起310bを有している。また、隔壁部312bは、その中心軸に略一致して形成された貫通孔311と、この貫通孔311を介して対向配置された一対の貫通孔312とを有している。したがって、シール部材31bの上側の部分は、上記ブラシ構造体310と同様の構成であると言うことができる。
さらに、隔壁部312bは、その下面の中央部から下方に向かって突出形成された円管状の嵌合部313bを有している。なお、この嵌合部313bの内腔部と貫通孔311とは連通している。
【0041】
シール部材31bの外周側には、所定間隔を空けて、円環状の振動体32bが設けられている。そして、本構成例では、振動体32bは、その周方向に沿って複数のスリット321bを有している。かかるスリット321bを設けることにより、振動体32bの振幅を大きくすることができる。
複数のスリット321bは、振動体32bの周方向に沿って、偏在して配置されてもよいが、略等間隔で配置されていることが好ましい。この場合、振動体32bの振幅を周方向で均一にすることができる。
スリット321bの配置数は、振動体32bの径に応じて適宜設定されるため、特に限定されないが、3個以上10個以下が好ましく、5個以上8個以下がより好ましい。
なお、振動体32bは、上記構成に限定されず、例えば、円弧状をなす複数の板材を所定間隔空けて配置し、隣り合う板材同士の間をスリットとして機能させる構成としてもよい。
【0042】
また、複数の振動体32bを2重又は3重に同心的に配置するようにしてもよい。
この振動体32bの下端部には、側方(径方向外側)に向かって突出する円盤状の支持部33bが振動体32bと一体的に形成されている。
本構成例では、この支持部33bの下面に、超音波振動子4が固定されている。そして、ヘッド部30を洗浄器本体2に装着すると、超音波振動子4が電源装置8に電気的に接続されるように構成されている。
【0043】
本構成例では、上側ケース21の天井部には、上側開口部213を塞ぐように装着部26が固定されている。なお、
図8では、上側ケース21が省略されている。
ヘッド部30を装着部26に装着した状態で、固定カバー27を上側ケース21に装着することにより、ヘッド部30が洗浄器本体2に固定される。また、この状態で、固定カバー27とヘッド部30の支持部33bとの間に、Oリング28が配置され、洗浄器1の内部の液密性が確保されている。
【0044】
装着部26は、円盤状の部材で構成されている。装着部26の中央部には、上側に向かって突出する突出部261が設けられている。この突出部261から装着部26に連続して、貫通孔61が形成されている。そして、突出部261の上端で貫通孔61が開口して、供給口611が構成されている。
また、装着部26の突出部261から径方向外側にズレた位置には、貫通孔71が形成され、その上端開口により吸引口711が形成されている。
さらに、装着部26の突出部261(貫通孔61)及び貫通孔71の外周側には、下側に向かって凹没する円環状の凹部262が形成されている。
【0045】
ヘッド部30を装着部26に装着した状態で、突出部261は、嵌合部313bに挿入及び嵌合され、超音波振動子4は、凹部262に収容される。
したがって、本構成例では、洗浄剤は、洗浄器本体2の中央部に形成された貫通孔61及び供給口611、さらにヘッド部30(シール部材31b)の中央部に形成された貫通孔311を介して、肌面に供給される。
一方、皮脂や汚れが移行した洗浄剤は、ヘッド部30(シール部材31b)の中央部から径方向外側にズレた貫通孔312、さらに洗浄器本体2の中央部から径方向外側にズレた吸引口711及び貫通孔71を介して、洗浄器本体2内に吸引される。
【0046】
なお、本構成例では、ヘッド部30は、洗浄器本体2に対して着脱不能に固定されているが、かかる構成において、シール部材31bは、同一の構成のものや、異なる構成の複数種類のものと交換可能に構成することもできる。これにより、シール部材31bが消耗した場合に、新たなシール部材31bと交換したり、シール部材31bを用途に合わせて使い分けることができる。
この場合、複数のシール部材31bは、例えば、サイズ(外径)、構成材料(柔軟性)、突起310bの形状、突起310bの数、突起310bのサイズ(外径)及びその長手方向に沿った変化率、貫通孔311の数、及び貫通孔312の数のうちの少なくとも1つが異なる構成とすることができる。
【0047】
吸引機構7は、次のような構成とすることもできる。
図9は、吸引機構の他の構成を示す断面図である。
なお、以下の説明では、
図9中の左側を「表」又は「前」と、
図9中の右側を「裏」又は「後」とも記載する。
図9に示す吸引機構7では、ポンプ73が吸引チューブ72から離間した箇所に配置されている。そして、ポンプ73には、2本のチューブ74、76が接続されている。
チューブ74は、隔壁部214を貫通して設けられ、下側ケース22を上側ケース21に装着した状態で、その下端部が第2の収納容器232の内側に位置するように構成されている。一方、チューブ76は、上側ケース21を貫通して外部と連通している。
【0048】
以上のような構成によれば、シール部材31を肌面に接触させた状態とすることにより、シール部材31と肌面とで画成される閉鎖空間(密閉空間)を介して、供給チューブ62、吸引チューブ72及びチューブ74が連通する。この状態で、ポンプ73を作動させることにより、供給チューブ62、貫通孔61及び供給口611を順次通過して(すなわち、供給機構6から)、洗浄剤が肌面に供給される。
また、肌面に供給された洗浄剤は、吸引口711、貫通孔71、吸引チューブ72を順次通過して、第2の収納容器232に回収される。
かかる構成によれば、皮脂や角栓を含む洗浄剤がポンプ73を通過しないため、ポンプの洗浄等の洗浄器1のメンテナンスの回数を低減することができる。
【0049】
図9に示す構成では、チューブ74のポンプ73と反対側の端部がフィルタ75で覆われている。このフィルタ75は、気体の通過を許容するが、液体の通過を阻止する機能を有している。フィルタ75を設けることにより、第2の収納容器232からの洗浄剤の流出を好適に防止することができる。
なお、フィルタ75は、省略するようにしてもよい。
【0050】
<第2実施形態>
次に、本発明の洗浄器の第2実施形態について説明する。
以下、第2実施形態の洗浄器1'について、上記第1実施形態の洗浄器1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
図10は、本発明の洗浄器の第2実施形態を示す平面斜視図である。
図11は、第2実施形態の洗浄器の底面斜視図である。
なお、以下の説明では、
図10中の紙面手前側を「表」又は「前」と、
図10中の紙面奥側を「裏」又は「後」とも記載する。また、
図11中の紙面奥側を「表」又は「前」と、
図11中の紙面手前側を「裏」又は「後」とも記載する。
【0051】
第2実施形態の洗浄器1'は、その全体形状(特に、振動体32'の形状)が異なり、且つ吸引機構7が省略され、それ以外は、第1実施形態の洗浄器1と同様である。
図10に示すように、洗浄器本体2'の前面には、操作ボタン211、212の他、3つのモードランプ24及び充電ランプ25が設けられている。
第2実施形態の振動体32'は、ブレード状(平板状)をなしている。ブレード状の振動体32'の厚さは、0.2mm以上0.8mm以下程度であることが好ましく、0.4mm以上0.6mm以下程度であることがより好ましい。
この振動体32'の先端部は、10°以上20°以下程度で屈曲し、その先端面321は、肌面への接触面積を確保するために湾曲凹面で構成されている。さらに、振動体32'の先端角部は、丸みを帯びており(R付けされており)、使用者の安全性を高めている。
また、手元電極5'は、
図11に示すように、洗浄器本体2'の側面側から裏面側の縁部にわたって設けられている。
【0052】
第2実施形態の洗浄器1'では、
図11に示すように、洗浄器本体2'の裏面にカートリッジ式の第1の収納容器231'が着脱自在に装着可能に構成されている。
また、供給機構6として、例えば金属製又は硬質の樹脂製の供給チューブ62が、洗浄器本体2からヘッド部3'にわたって設けられている。この供給チューブ62の一端の供給口611は、振動体32'の屈曲部近傍で開口している。一方、供給チューブ62の他端には、第1の収納容器231'に設けられた栓体を刺通するための穿刺針(びん針等)621が設けられている。
第2実施形態の第1の収納容器231'は、例えば柔軟性を有する部材で構成されている。この場合、容器自体を指等で押圧することにより、洗浄剤を供給口611から振動体32'の表面及び肌面に供給することができる。
【0053】
また、かかる構成の第2実施形態によれば、肌面の目的の部位からの早期の洗浄剤の散逸を防止又は抑制するため、ゲル状の洗浄剤が好適に使用される。
以上のような第2実施形態の洗浄器1'によっても、上記第1実施形態の洗浄器1と同様の作用・効果を生じる。
また、洗浄剤においてタンパク質加水分解酵素を使用する場合、タンパク質加水分解酵素は、その変質・劣化を防止する観点から、使用直前まで洗浄剤(水等)と分離しておくことが好ましい。カートリッジ式の第1の収納容器231'においては、その内部空間を易破断性の隔壁で区画し、一方の空間にタンパク質加水分解酵素を、他方の空間に洗浄剤を収納するように構成することができる。そして、例えば第1の収納容器231'(栓体)と供給チューブ62(穿刺針)との接続を契機として、隔壁を破断する構成とすることができる。
【0054】
以上説明したような構成によれば、肌面に対する振動と洗浄剤とを併用することにより、肌面の皮脂のみならず、毛穴に詰まった角栓をも容易に除去可能な洗浄器を提供することができる。また、強制的な吸引により角栓を除去する構成でないため、肌面にダメージが生じることを防止又は低減することができる。さらに、使用者が自身の肌面の状況に応じて、洗浄剤として洗浄水とピーリング剤とを交換して使用することができるため、肌面のダメージの発生をより防止し易い。
また、上記第1及び第2実施形態で示した任意の構成を、互いに組み合わせるようにしてもよい。
さらに、次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0055】
(1)使用者の肌面の洗浄に使用される洗浄器であって、洗浄器本体と、振動付与機構と、供給機構とを備え、前記振動付与機構は、前記肌面に接触させて、前記肌面に振動を付与する振動体を有し、前記供給機構は、液状又はゲル状をなす洗浄剤を前記肌面に供給する供給口を有する、洗浄器。
【0056】
(2)上記(1)に記載の洗浄器において、さらに、吸引機構を備え、前記吸引機構は、前記肌面に供給された前記洗浄剤を吸引する吸引口を有する、洗浄器。
【0057】
(3)上記(2)に記載の洗浄器において、さらに、シール部材を備え、前記シール部材は、前記肌面に接触させることにより、前記肌面との間に閉鎖空間を形成するように構成され、前記閉鎖空間は、前記供給口及び前記吸引口と連通している、洗浄器。
【0058】
(4)上記(3)に記載の洗浄器において、前記振動体は、カップ状をなし、前記シール部材の内側に配置されている、洗浄器。
【0059】
(5)上記(4)に記載の洗浄器において、前記供給口及び前記吸引口は、前記カップ状の振動体の中央部に開口している、洗浄器。
【0060】
(6)上記(3)に記載の洗浄器において、前記振動体は、前記供給口及び前記吸引口が開口する円柱状の突出部を有し、前記シール部材は、前記突出部の外側に配置されている、洗浄器。
【0061】
(7)上記(3)に記載の洗浄器において、前記振動体は、環状をなし、前記シール部材の外側に配置されている、洗浄器。
【0062】
(8)上記(7)に記載の洗浄器において、前記振動体は、その周方向に沿って複数のスリットを有する、洗浄器。
【0063】
(9)上記(8)に記載の洗浄器において、前記複数のスリットは、前記振動体の周方向に沿って、略等間隔で配置されている、洗浄器。
【0064】
(10)上記(3)~(9)のいずれか1つに記載の洗浄器において、種類の異なる複数の前記シール部材を備え、前記複数のシール部材から選択された1つを前記振動体に装着して使用するように構成されている、洗浄器。
【0065】
(11)上記(3)~(10)のいずれか1つに記載の洗浄器において、前記洗浄器本体は、さらに、前記洗浄剤を収納する洗浄剤収納部を有し、前記吸引機構は、さらに、前記吸引口と連通する吸引流路と、前記吸引流路を減圧するポンプとを有し、前記供給機構は、さらに、前記供給口と前記洗浄剤収納部とを連通する供給流路を有し、前記シール部材を前記肌面に接触させた状態で、前記ポンプを作動させることにより、前記供給機構から前記洗浄剤が前記肌面に供給されるように構成されている、洗浄器。
【0066】
(12)上記(1)に記載の洗浄器において、前記振動体は、ブレード状をなし、前記供給口は、前記振動体に開口している、洗浄器。
【0067】
(13)上記(1)~(12)のいずれか1つに記載の洗浄器において、さらに、帯電機構を備え、前記帯電機構は、前記振動体を正荷電又は負荷電に帯電させるように構成されている、洗浄器。
【0068】
(14)上記(1)~(13)のいずれか1つに記載の洗浄器において、前記洗浄剤は、洗浄水又はピーリング剤を含む、洗浄器。
もちろん、この限りではない。
【0069】
既述のとおり、本発明に係る種々の実施形態を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を何ら限定するものではない。当該新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。当該実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0070】
1 :洗浄器
1' :洗浄器
2 :洗浄器本体
2' :洗浄器本体
21 :上側ケース
210 :下側開口部
211 :操作ボタン
212 :操作ボタン
213 :上側開口部
214 :隔壁部
22 :下側ケース
221 :底部
222 :挿入部
231 :第1の収納容器
231' :第1の収納容器
232 :第2の収納容器
24 :モードランプ
25 :充電ランプ
26 :装着部
261 :突出部
262 :凹部
27 :固定カバー
28 :Oリング
3 :ヘッド部
3' :ヘッド部
3A :ヘッド部
3B :ヘッド部
3C :ヘッド部
30 :ヘッド部
31 :シール部材
31a :小径シール部材
31b :シール部材
311b :円筒部
312b :隔壁部
313b :嵌合部
310 :ブラシ構造体
310a :突起
310b :突起
311 :貫通孔
312 :貫通孔
32 :振動体
320 :突出部
32' :振動体
321 :先端面
32b :振動体
321b :スリット
33b :支持部
4 :超音波振動子
5 :手元電極
5' :手元電極
6 :供給機構
61 :貫通孔
611 :供給口
62 :供給チューブ
621 :穿刺針
7 :吸引機構
71 :貫通孔
711 :吸引口
72 :吸引チューブ
73 :ポンプ
74 :チューブ
75 :フィルタ
76 :チューブ
8 :電源装置
80 :電源部
81 :電源回路
82 :CPU
83 :発信回路
84 :可変抵抗器
85 :駆動回路
86 :トランス
87 :制御回路
88 :出力回路