IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 北京科技大学の特許一覧

特開2024-41725ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法及び装置
<>
  • 特開-ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法及び装置 図1
  • 特開-ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法及び装置 図2
  • 特開-ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法及び装置 図3
  • 特開-ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法及び装置 図4
  • 特開-ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法及び装置 図5
  • 特開-ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法及び装置 図6
  • 特開-ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法及び装置 図7
  • 特開-ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法及び装置 図8
  • 特開-ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法及び装置 図9
  • 特開-ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法及び装置 図10
  • 特開-ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法及び装置 図11
  • 特開-ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法及び装置 図12
  • 特開-ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法及び装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041725
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   C21D 9/00 20060101AFI20240319BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20240319BHJP
   C21D 11/00 20060101ALI20240319BHJP
   G06N 5/00 20230101ALI20240319BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20240319BHJP
【FI】
C21D9/00 101U
G05B19/418 Z
C21D11/00
G06N5/00
G06N20/00
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023144974
(22)【出願日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】202211115824.4
(32)【優先日】2022-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TENSORFLOW
(71)【出願人】
【識別番号】516265780
【氏名又は名称】北京科技大学
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】李▲チン▼
(72)【発明者】
【氏名】藺鳳琴
(72)【発明者】
【氏名】王莉
(72)【発明者】
【氏名】栗輝
(72)【発明者】
【氏名】楊旭
(72)【発明者】
【氏名】劉艶
(72)【発明者】
【氏名】王麗君
(72)【発明者】
【氏名】肖成勇
(72)【発明者】
【氏名】郭金
(72)【発明者】
【氏名】崔家瑞
(72)【発明者】
【氏名】張博▲ユ▼
(72)【発明者】
【氏名】奚亜鳴
(72)【発明者】
【氏名】黄晨
(72)【発明者】
【氏名】林語▲シゥアン▼
(72)【発明者】
【氏名】姜天軼
(72)【発明者】
【氏名】鐘祚棟
【テーマコード(参考)】
3C100
4K038
【Fターム(参考)】
3C100AA22
3C100AA57
3C100AA59
3C100BB13
3C100BB15
3C100EE10
4K038AA05
4K038CA01
4K038DA02
4K038DA04
4K038EA02
4K038FA02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】加熱炉燃焼知能制御システムを構築し、加熱炉の炉温の自動制御レベル、スラブ加熱温度の均一性や、炉気温度の制御精度等を向上させ、加熱炉生産の正確な制御を実現し、エネルギー消費と焼損を減少するとともに、加熱製品の品質の安定性を向上させる、加熱炉燃焼知能制御方法を提供する。
【解決手段】ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法は、加熱炉生産運転パラメータに基づいてビッグデータクラウドプラットフォームを構築することと、ビッグデータマイニング技術を採用して、加熱炉生産過程に重要な要素を識別し、完全な相関性データ知識ベースを作成することと、メカニズムモデルに基づいて伝統的な加熱炉燃焼制御システムの独立配置を行うことと、クラウドプラットフォームビッグデータ専門家知識ベースの加熱炉燃焼知能制御システムを融合することとを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱炉生産運転パラメータに基づいてビッグデータクラウドプラットフォームを構築するステップS1と、
前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づいて、ビッグデータマイニング技術を採用して、加熱炉生産過程に重要な要素の識別と分析を行い、相関性データ知識ベース及びビッグデータ意思決定知識ベースを取得するステップS2と、
メカニズムモデルに基づいて加熱炉燃焼制御システムの独立配置を行うステップS3と、
メカニズムモデルに基づく前記加熱炉燃焼制御システムと前記ビッグデータクラウドプラットフォームを融合し、前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御を行うステップS4とを含み、
前記ステップS2では、前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づいて、ビッグデータマイニング技術を採用して、前記加熱炉生産過程に重要な要素の識別と分析を行い、相関性データ知識ベース及びビッグデータ意思決定知識ベースを取得するステップは、
前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づいて、前記ビッグデータマイニング技術を採用して、前記加熱炉生産過程に重要な要素を識別して、前記相関性データ知識ベースを取得するステップS21と、
加熱炉運転時にパラメータデータセンターが予め設定した人工知能、機械学習、及びパターン学習方法に基づいて、ビッグデータに対する知能分析により、加熱炉生産運転時のパラメータの関連マップを探し出して、前記ビッグデータ知識意思決定ベースを取得するステップS22とを含み、
前記ステップS21では、前記相関性データ知識ベースを取得するステップは、
各種の計画混載に対して、加熱セグメントごとに、鋼種、位置重み値、アイドルステーションのレイアウト、目標温度、現在温度、予測セグメント搬出温度から、さまざまなスラブの加熱システムを評価し、加熱炉の炉況及び運転状況の状態パラメータを検知して統一的に計画し、複雑な運転状況・炉況知識ベースを取得することと、
知能燃焼モデルが適応的に調節するために、各規格の炉内温度の予報精度を動的に評価して、前記予報精度データを総合してスラブ温度予報モデル精度評価知識ベースを取得することと、
生産データ、エネルギーデータ及び炉況に基づいて、加熱炉に対する客観的評価を作成し、前記客観的評価データを総合して、加熱炉エネルギー効率評価知識ベースを取得することと、
炉圧制御の優先度が炉温制御よりも高い基準に従って、出炉側を微正圧状態に制御し、制御基準データ及び微正圧状態データを総合して、炉圧判別知識ベースを取得することと、
合理的な空燃比を設定し、各セグメントの炉温の制御精度及び炉内雰囲気の制御精度を決定し、空燃比最適化知識ベースを取得することとを含み、
前記ステップS22では、前記ビッグデータ知識意思決定ベースを取得するステップは、
出炉温度、圧延機出口温度RDTにより、各加熱炉製品について規定される加熱目標を記述して、加熱目標意思決定知識ベースを取得することと、
各運転状況での加熱曲線を統計して、加熱システム意思決定知識ベースを取得することとを含む、ことを特徴とするビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法。
【請求項2】
前記ステップS1では、加熱炉生産運転パラメータに基づいて前記ビッグデータクラウドプラットフォームを構築するステップは、
データ記憶量、同時アクセス数、加熱炉専門家知識ベース、及びモデルベース研究開発過程における計算需要量関連要素を分析することにより、前記ビッグデータクラウドプラットフォームのハードウェア装置、パラメータ及び分業を設計することを含み、
前記ビッグデータクラウドプラットフォームは、三層構造を採用し、底層はビッグデータクラウドプラットフォームインフラ層であり、中間層はビッグデータクラウドプラットフォームサポート層であり、最上層は知識ベースサービス層である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ビッグデータクラウドプラットフォームインフラ層は、前記ビッグデータクラウドプラットフォームのハードウェアリソースの仮想化と管理サービスに使用され、
前記ビッグデータクラウドプラットフォームサポート層は、加熱炉生産運転過程におけるパラメータの収集、記憶、マイニング分析及び可視化の研究開発をサポートすることに使用され、
前記知識ベースサービス層は、加熱炉生産過程の重要な生産要素を記憶することに使用される、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップS3では、メカニズムモデルに基づいて加熱炉燃焼制御システムの独立配置を行うステップは、
加熱炉材料を追跡して修正し、圧延計画を実際のスラブと1対1で対応させ、追跡位置を決定し、前記スラブの搬送方向を遍歴して、追跡・修正を行うステップS31と、
炉内での前記スラブの昇温過程を予測し、数学モデルを採用して炉内の各時刻における前記スラブの温度分布を予報するステップS32であって、
スラブ温度制御方程は、下記式(1)に示され、
ここで、ρ(t)は前記スラブの密度を示し、Cp(t)は前記スラブの比熱を示し、λ(t)は前記スラブの熱伝導率を示す、前記ステップS32と、
前記スラブ温度制御方程に従って、炉温最適化モデルを作成するステップS33とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップS33では、前記スラブ温度制御方程に従って、前記炉温最適化モデルを作成するステップは、
前記スラブ温度制御方程に従ってオフライン最適化を行い、基礎炉温テーブル、即ち炉温カーペットプロットを作成するステップS331と、
前記スラブ温度制御方程に従ってオンライン動的最適化を行い、加熱プロセスと生産リズムに応じて、スラブ昇温過程をシミュレーションし、目標加熱プロセスに達するために必要な必須炉温を逆算するステップS332と、
総合炉温、炉のセグメント内の各スラブの位置、目標温度要素がすべて異なると、各スラブのセグメント内の重み値も異なり、各スラブ炉温オンライン最適化に基づいて、各スラブに異なる重み値を与え、前記炉温最適化モデルを取得するステップS333とを含む、ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ステップS4では、前記メカニズムモデルに基づく前記加熱炉燃焼制御システムと前記ビッグデータクラウドプラットフォームを融合し、前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく前記加熱炉燃焼知能制御を行うステップは、
前記メカニズムモデルに基づく前記加熱炉燃焼制御システムと前記ビッグデータクラウドプラットフォームを融合し、前記ビッグデータクラウドプラットフォームはデータ収集情報に基づいて同期炉内データ映像を作成し、相関性データ知識ベース及びビッグデータ意思決定知識ベースを繰り返し更新し、前記相関性データ知識ベース及びビッグデータ意思決定知識ベースの情報を総合して、API関数により前記加熱炉燃焼制御システムにプロセス、時間制御パラメータをリアルタイムで送信し、前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく前記加熱炉燃焼知能制御を行うことを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記請求項1~6のいずれか1項に記載の方法に適用される前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御装置であって、
加熱炉生産運転パラメータに基づいて前記ビッグデータクラウドプラットフォームを構築するプラットフォーム構築モジュールと、
前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づいて、前記ビッグデータマイニング技術を採用して、加熱炉生産過程に重要な要素の識別と分析を行い、前記相関性データ知識ベース及び前記ビッグデータ意思決定知識ベースを取得する知識ベース構築モジュールと、
前記メカニズムモデルに基づいて前記加熱炉燃焼制御システムの独立配置を行うモデル配置モジュールと、
前記メカニズムモデルに基づく前記加熱炉燃焼制御システムと前記ビッグデータクラウドプラットフォームを融合し、前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく前記加熱炉燃焼知能制御を行う知能制御モジュールとを備える、ことを特徴とする前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく前記加熱炉燃焼知能制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工知能制御の技術分野に関し、特に、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
知能製造が鉄鋼業界に進むにつれて、各プロセスは技術革新の春を迎え、最先端の概念や技術の導入は鉄鋼製造業の新時代を創造するに違いない。加熱炉は鉄鋼プロセス産業における重要な一環として、上流の原料に加熱と均熱を行い、下流の生産プロセスの要件を満たすためにより良い熱特性を付与することを主な目的とする。長期以来、加熱炉の環境が高温・多塵であり、かつその制御効果に影響する要素が多くて緊密に結合されているため、加熱炉制御システムの自動化レベルは生産ラインの他の段階より低い。また、加熱炉は生産ラインにおいてエネルギーを消費する主の部品でもあり、このため、加熱炉制御システムの知能化レベルを高めることは巨大な経済と社会的利益をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
加熱炉のエネルギー消費量が高く、加熱炉制御システムの知能化レベルを高めることは巨大な経済と社会的利益をもたらすという従来技術の課題に対して、本発明は、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法及び装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、電子装置に適用されるビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法であって、
加熱炉生産運転パラメータに基づいてビッグデータクラウドプラットフォームを構築するステップS1と、
前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づいて、ビッグデータマイニング技術を採用して、加熱炉生産過程に重要な要素の識別と分析を行い、相関性データ知識ベース及びビッグデータ意思決定知識ベースを取得するステップS2と、
メカニズムモデルに基づいて加熱炉燃焼制御システムの独立配置を行うステップS3と、
メカニズムモデルに基づく加熱炉燃焼制御システムと前記ビッグデータクラウドプラットフォームを融合し、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御を行うステップS4とを含む、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法を提供する。
【0005】
好ましくは、前記ステップS1では、加熱炉生産運転パラメータに基づいてビッグデータクラウドプラットフォームを構築するステップは、
データ記憶量、同時アクセス数、加熱炉専門家知識ベース、及びモデルベース研究開発過程における計算需要量関連要素を分析することにより、ビッグデータクラウドプラットフォームのハードウェア装置、パラメータ及び分業を設計することを含み、
前記ビッグデータクラウドプラットフォームは、三層構造を採用し、底層はビッグデータクラウドプラットフォームインフラ層であり、中間層はビッグデータクラウドプラットフォームサポート層であり、最上層は知識ベースサービス層である。
【0006】
好ましくは、インフラ層は、ビッグデータクラウドプラットフォームのハードウェアリソースの仮想化と管理サービスに使用され、
前記ビッグデータクラウドプラットフォームサポート層は、加熱炉生産運転過程におけるパラメータの収集、記憶、マイニング分析及び可視化の研究開発をサポートすることに使用され、
前記知識ベースサービス層は、加熱炉生産過程の重要な生産要素を記憶することに使用される。
【0007】
好ましくは、前記ステップS2では、前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づいて、ビッグデータマイニング技術を採用して、加熱炉生産過程に重要な要素の識別と分析を行い、相関性データ知識ベース及びビッグデータ意思決定知識ベースを取得するステップは、
前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づいて、ビッグデータマイニング技術を採用して、加熱炉生産過程に重要な要素を識別して、相関性データ知識ベースを取得するステップS21と、
加熱炉運転時にパラメータデータセンターが予め設定した人工知能、機械学習、及びパターン学習方法に基づいて、ビッグデータに対する知能分析により、加熱炉生産運転時のパラメータの関連マップを探し出して、ビッグデータ知識意思決定ベースを取得するステップS22とを含む。
【0008】
好ましくは、前記ステップS21では、前記相関性データ知識ベースを取得するステップは、
各種の計画混載に対して、加熱セグメントごとに、鋼種、位置重み値、アイドルステーションのレイアウト、目標温度、現在温度、予測セグメント搬出温度から、さまざまなスラブの加熱システムを評価し、加熱炉の炉況及び運転状況の状態パラメータを検知して統一的に計画し、複雑な運転状況・炉況知識ベースを取得することと、
知能燃焼モデルが適応的に調節するために、各規格の炉内温度の予報精度を動的に評価して、前記予報精度データを総合してスラブ温度予報モデル精度評価知識ベースを取得することと、
生産データ、エネルギーデータ及び炉況に基づいて、加熱炉に対する客観的評価を作成し、前記客観的評価データを総合して、加熱炉エネルギー効率評価知識ベースを取得することと、
炉圧制御の優先度が炉温制御よりも高い基準に従って、出炉側を微正圧状態に制御し、制御基準データ及び微正圧状態データを総合して、炉圧判別知識ベースを取得することと、
合理的な空燃比を設定し、各セグメントの炉温の制御精度及び炉内雰囲気の制御精度を決定し、空燃比最適化知識ベースを取得することとを含む。
【0009】
好ましくは、前記ステップS22では、ビッグデータ知識意思決定ベースを取得するステップは、
出炉温度、圧延機出口温度RDTにより、各加熱炉製品について規定される加熱目標を記述して、加熱目標意思決定知識ベースを取得することと、
各運転状況での加熱曲線を統計して、加熱システム意思決定知識ベースを取得することとを含む。
【0010】
好ましくは、前記ステップS3では、メカニズムモデルに基づいて加熱炉燃焼制御システムの独立配置を行うステップは、
加熱炉材料を追跡して修正し、圧延計画を実際スラブと1対1で対応させ、追跡位置を決定し、スラブの搬送方向を遍歴(Traversal)して追跡・修正を行うステップS31と、
炉内でのスラブの昇温過程を予測し、数学モデルを採用して炉内の各時刻におけるスラブの温度分布を予報するステップS32であって、
スラブ温度制御方程は、下記式(1)に示され、
ここで、ρ(t)はスラブの密度を示し、Cp(t)はスラブの比熱を示し、λ(t)はスラブの熱伝導率を示す、ステップS32と、
前記スラブ温度制御方程に従って、炉温最適化モデルを作成するステップS33とを含む。
【0011】
好ましくは、前記ステップS33では、前記スラブ温度制御方程に従って、炉温最適化モデルを作成するステップは、
前記スラブ温度制御方程に従ってオフライン最適化を行い、基礎炉温テーブル、即ち炉温カーペットプロットを作成するステップS331と、
前記スラブ温度制御方程に従ってオンライン動的最適化を行い、加熱プロセスと生産リズムに応じて、スラブ昇温過程をシミュレーションし、目標加熱プロセスに達するために必要な必須炉温を逆算するステップS332と、
総合炉温、炉のセグメント内の各スラブの位置、目標温度要素がすべて異なると、各スラブのセグメント内の重み値も異なり、各スラブ炉温オンライン最適化に基づいて、各スラブに異なる重み値を与え、炉温最適化モデルを取得するステップS333とを含む。
【0012】
好ましくは、前記ステップS4では、メカニズムモデルに基づく加熱炉燃焼制御システムと前記ビッグデータクラウドプラットフォームを融合し、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御を行うステップは、
メカニズムモデルに基づく加熱炉燃焼制御システムと前記ビッグデータクラウドプラットフォームを融合し、ビッグデータクラウドプラットフォームはデータ収集情報に基づいて同期炉内データ映像を作成し、各知識意思決定ベースを繰り返し更新し、前記各知識ベースの情報を総合して、API関数により加熱炉燃焼制御システムにプロセス、時間制御パラメータをリアルタイムで送信し、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御を行うことを含む。
【0013】
一態様では、電子装置に適用されるビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御装置であって、
加熱炉生産運転パラメータに基づいてビッグデータクラウドプラットフォームを構築するプラットフォーム構築モジュールと、
前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づいて、ビッグデータマイニング技術を採用して、加熱炉生産過程に重要な要素の識別と分析を行い、相関性データ知識ベース及びビッグデータ意思決定知識ベースを取得する知識ベース構築モジュールと、
メカニズムモデルに基づいて加熱炉燃焼制御システムの独立配置を行うモデル配置モジュールと、
メカニズムモデルに基づく加熱炉燃焼制御システムと前記ビッグデータクラウドプラットフォームを融合し、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御を行う知能制御モジュールとを備える、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御装置を提供する。
【0014】
一態様では、プロセッサとメモリを備え、前記メモリには、前記プロセッサによってロードされ実行されると、前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法を実現するための少なくとも1つの命令が記憶されている、電子装置を提供する。
【0015】
一態様では、プロセッサによってロードされ実行されると、前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法を実現するための少なくとも1つの命令が記憶されている、コンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施形態による上記技術的手段は、少なくとも以下のような有益な効果を有する。
上記の形態では、本発明により提供されたビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法は、成熟した人工知能、ビッグデータ技術により、完全で独立した生産相関性データ知識ベースを作成する。知能燃焼モデルはこの知識ベースに基づいて、メカニズムモデルを用いて、現在の炉況、作業状況でのスラブの最適な加熱曲線及びスラブの品質を確保するために必要な炉温、ひいては空燃比を計算し、それらを元の加熱炉システムにリアルタイムに配信することにより、加熱炉燃焼の知能制御を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の実施例による技術的手段をより明確に説明するために、以下に、実施例の説明において使用する必要がある図面を簡単に説明する。明らかに、以下の説明における図面は本発明のいくつかの実施例にすぎず、当業者にとっては、創造的な労働を払わずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【0018】
図1】本発明の実施例により提供されるビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法のフローチャートである。
図2】本発明の実施例により提供されるビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法のフローチャートである。
図3】本発明の実施例により提供されるビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法のビッグデータクラウドプラットフォームのアーキテクチャ図である。
図4】本発明の実施例により提供されるビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法のスラブ温度予報モデル精度評価知識ベースのパラメータマップである。
図5】本発明の実施例により提供されるビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法の加熱炉エネルギー効率評価知識ベースのパラメータマップである。
図6】本発明の実施例により提供されるビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法の炉圧判別知識ベースのパラメータマップである。
図7】本発明の実施例により提供されるビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法の空燃比最適化知識ベースのパラメータマップである。
図8】本発明の実施例により提供されるビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法の加熱目標意思決定知識ベースのパラメータマップである。
図9】本発明の実施例により提供されるビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法の加熱システム意思決定知識ベースのパラメータマップである。
図10】本発明の実施例により提供されるビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法の伝統的な加熱炉燃焼制御システムの機能モジュール図である。
図11】本発明の実施例により提供されるビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法の各セグメントの重み値の分配図である。
図12】本発明の実施例により提供されるビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御装置のブロック図である。
図13】本発明の実施例により提供される電子装置の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明が解決しようとする技術的課題、技術的手段及び利点をより明確にするために、以下、図面及び具体的な実施例を参照して詳細に説明する。
【0020】
本発明の実施例は、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法を提供し、この方法は、電子装置により実現されてもよく、この電子装置は、端末やサーバーであってもよい。図1は、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法のフローチャートを示し、この方法の処理流れは、
加熱炉生産運転パラメータに基づいてビッグデータクラウドプラットフォームを構築するステップS101と、
前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づいて、ビッグデータマイニング技術を採用して、加熱炉生産過程に重要な要素の識別と分析を行い、相関性データ知識ベース及びビッグデータ意思決定知識ベースを取得するステップS102と、
メカニズムモデルに基づいて加熱炉燃焼制御システムの独立配置を行うステップS103と、
メカニズムモデルに基づく加熱炉燃焼制御システムと前記ビッグデータクラウドプラットフォームを融合し、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御を行うステップS104とを含む。
【0021】
好ましくは、ステップS101では、加熱炉生産運転パラメータに基づいてビッグデータクラウドプラットフォームを構築するステップは、
データ記憶量、同時アクセス数、加熱炉専門家知識ベース、及びモデルベース研究開発過程における計算需要量等の関連要素を分析することによって、クラウドプラットフォームの主なハードウェア装置、パラメータ、及び分業を設計することを含み、
前記クラウドプラットフォームは、三層構造を採用し、底層はクラウドプラットフォームインフラ層であり、中間層はビッグデータクラウドプラットフォームサポート層であり、最上層は知識ベースサービス層である。
【0022】
好ましくは、インフラ層は、クラウドプラットフォームのハードウェアリソースの仮想化と管理サービスに使用され、前記ビッグデータプラットフォームサポート層は、加熱炉生産運転過程におけるパラメータの収集、記憶、マイニング分析及び可視化などの研究開発をサポートするプラットフォームに使用され、前記知識ベースサービス層は、加熱炉生産過程の重要な生産要素を記憶する相関性データ知識ベースに使用される。
【0023】
好ましくは、ステップS102では、前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づいて、ビッグデータマイニング技術を採用して、加熱炉生産過程に重要な要素の識別と分析を行い、相関性データ知識ベース及びビッグデータ意思決定知識ベースを取得するステップは、
前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づいて、ビッグデータマイニング技術を採用して、加熱炉生産過程に重要な要素を識別して、相関性データ知識ベースを取得するステップS121と、
加熱炉運転時のパラメータデータセンターの人工知能、機械学習、及びパターン学習方法に基づいて、ビッグデータに対する知能分析により、運転時刻ごとのパラメータの関連マップを探し出して、ビッグデータ知識意思決定ベースを取得するステップS122とを含む。
【0024】
好ましくは、ステップS121では、相関性データ知識ベースを取得するステップは、
各種の計画混載に対して、加熱セグメントごとに、鋼種、位置重み値、アイドルステーションのレイアウト、目標温度、現在温度、予測セグメント搬出温度から、さまざまなスラブの加熱システムを評価し、加熱炉の炉況及び運転状況の状態パラメータを検知して統一的に計画し、複雑な運転状況・炉況知識ベースを取得することと、
知能燃焼モデルが適応的に調節するために、各規格の炉内温度の予報精度を動的に評価して、スラブ温度予報モデル精度評価知識ベースを取得することと、
生産データ、エネルギーデータ及び炉況に基づいて、加熱炉に対する客観的評価を作成し、加熱炉エネルギー効率評価知識ベースを取得することと、
炉圧制御の優先度が炉温制御よりも高い基準に従って、出炉側を微正圧状態に制御し、炉圧判別知識ベースを取得することと、
合理的な空燃比を設定し、各セグメントの炉温の制御精度及び炉内雰囲気の制御精度を決定し、空燃比最適化知識ベースを取得することとを含む。
【0025】
好ましくは、ステップS122では、ビッグデータ知識意思決定ベースを取得するステップは、
出炉温度、RDTにより、各加熱炉製品について規定される加熱目標を記述して、加熱目標意思決定知識ベースを取得することと、
各運転状況での加熱曲線を統計して、加熱システム意思決定知識ベースを取得することとを含む。
【0026】
好ましくは、前記ステップS103では、メカニズムモデルに基づいて加熱炉燃焼制御システムの独立配置を行うステップは、
加熱炉材料を追跡して修正し、圧延計画を実際スラブと1対1で対応させ、追跡位置を決定し、スラブの搬送方向を遍歴して、追跡・修正を行うステップS131と、
炉内でのスラブの昇温過程を予測し、数学モデルを採用して炉内の各時刻におけるスラブの温度分布を予報するステップS132であって、
スラブ温度制御方程は、下記式(1)に示され、
ここで、ρ(t)はスラブの密度を示し、Cp(t)はスラブの比熱を示し、λ(t)はスラブの熱伝導率を示す、ステップS132と、
前記制御方程に従って、炉温最適化モデルを作成するステップS133とを含む。
【0027】
好ましくは、ステップS133では、炉温最適化モデルを作成するステップは、
オフライン最適化を行い、基礎炉温テーブル、即ち炉温カーペットプロットを作成するステップS1331と、
オンライン動的最適化を行い、加熱プロセスと生産リズムに応じて、スラブ昇温過程をシミュレーションし、目標加熱プロセスに達するために必要な必須炉温を逆算するステップS1332と、
総合炉温、炉のセグメント内の各スラブの位置、目標温度要素がすべて異なると、各スラブのセグメント内の重み値も異なり、各スラブ炉温オンライン最適化に基づいて、異なる重み値を与えるステップS1333とを含む。
【0028】
好ましくは、ステップS104では、メカニズムモデルに基づく加熱炉燃焼制御システムと前記ビッグデータクラウドプラットフォームを融合し、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御を行うステップは、
メカニズムモデルに基づく加熱炉燃焼制御システムと前記ビッグデータクラウドプラットフォームを融合し、ビッグデータクラウドプラットフォームはデータ収集情報に基づいて同期炉内データ映像を作成し、各知識意思決定ベースを繰り返し更新し、前記各知識ベースの情報を総合して、API関数により加熱炉燃焼制御システムにプロセス、時間制御パラメータをリアルタイムで送信し、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御を行うことを含む。
【0029】
本発明の実施例において、本発明により提供されたビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法は、成熟した人工知能、ビッグデータ技術により、完全で独立した生産相関性データ知識ベースを作成する。知能燃焼モデルはこの知識ベースに基づいて、メカニズムモデルを用いて、現在の炉況、作業状況でのスラブの最適な加熱曲線及びスラブの品質を確保するために必要な炉温、ひいては空燃比を計算し、それらを元の加熱炉システムにリアルタイムで配信することにより、加熱炉燃焼の知能制御を実現する。
【0030】
本発明の実施例は、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法を提供し、この方法は、電子装置により実現されてもよく、この電子装置は、端末やサーバーであってもよい。図2は、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法のフローチャートを示し、この方法の処理流れは、下記のステップS201~S207を含む。
S201:加熱炉生産運転パラメータに基づいてビッグデータクラウドプラットフォームを構築する。
実行可能な実施形態では、加熱炉生産運転パラメータに基づいてビッグデータクラウドプラットフォームを構築する。データ記憶量、同時アクセス数、加熱炉専門家知識ベース、及びモデルベース研究開発過程における計算需要量等の関連要素を分析することによって、クラウドプラットフォームの主なハードウェア装置、パラメータ、及び分業を設計し、ビッグデータクラウドプラットフォームのハードウェア構成は表1に示される。
【0031】
【表1】
【0032】
ビッグデータクラウドプラットフォームは、三層構造を採用し、底層はクラウドプラットフォームインフラ層であり、クラウドプラットフォームのハードウェアリソースの仮想化と管理サービスを実現する。中間層はビッグデータプラットフォームサポート層であり、加熱炉生産運転過程におけるパラメータの収集、記憶、マイニング分析、可視化などの研究開発をサポートするプラットフォームである。最上層は加熱炉生産過程の重要な生産要素の相関性データ知識ベースである。具体的な構造は図3に示される。
【0033】
実行可能な実施形態では、インフラ層は、クラウドプラットフォームのハードウェアリソースの仮想化と管理サービスに使用され、前記ビッグデータプラットフォームサポート層は、加熱炉生産運転過程におけるパラメータの収集、記憶、マイニング分析、可視化などの研究開発をサポートするプラットフォームに使用され、前記知識ベースサービス層は、加熱炉生産過程の重要な生産要素を記憶する相関性データ知識ベースに使用される。
【0034】
実行可能な実施形態では、クラウドプラットフォームのインフラ層は、OpenStackオープンソースプラットフォームに基づいて構築され、ハードウェアリソースの仮想化管理、仮想ローカルエリアネットワーク、ミラー管理、分散型記憶管理、安全認証管理等のサービスを提供する。
【0035】
ビッグデータプラットフォームサポート層は、主にHadoopオープンソースプラットフォームに基づいて構築され、HDFS分散型記憶により品質管理産業用ビッグデータの記憶管理を実現し、YARNによりリソースのスケジューリング管理を実現する。データ管理ツールは、HBASE、HIVE、HCatalogなどのコンポーネントを採用して、非リレーショナルデータベース、データウェアハウス、及びメタデータ管理サービスを実現するとともに、これに基づいて関連するデータアクセスインタフェースを開発する。ビッグデータプラットフォームサポート層には、データ収集(Sqoop、Falcon等)、マイニング分析(Mahout、Spark MLib、TensorFlow等)、知識ベース管理ツール、シミュレーションと最適化計算ツール(ANYSY、DEFORM等)、可視化ツールも集積されている。
【0036】
加熱炉生産サービス層は、主にAPIインタフェース技術により、生産過程に重要な要素の知識照会と共有サービスを行い、クラウドプラットフォームで研究開発された知識ベースとツールセットに対しては、Docker容器技術によりダウンロードを行う。
【0037】
S202:前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づいて、ビッグデータマイニング技術を採用して、加熱炉生産過程に重要な要素を識別して、相関性データ知識ベースを取得する。
【0038】
実行可能な実施形態では、ビッグデータマイニング技術を採用して、加熱炉生産過程に重要な要素を識別して、完全な相関性データ知識ベースを作成する。加熱炉運転時のパラメータデータセンターの人工知能、機械学習、パターン学習等に基づいて、ビッグデータに対する知能分析により、運転時刻ごとのパラメータの関連マップを探し出して、独立且つ完全なビッグデータ知識意思決定ベースを作成する。
【0039】
実行可能な実施形態では、加熱炉システムの関連データは、主にPLC制御システム及びオリジナルのL2レベルの制御システムからのものであり、多種のプロトコルを採用して、データ収集システムを上記システムにそれぞれ接続して、元のデータを順調に伝送することを実現する。
収集内容には、以下のものが含まれている。
炉況データ:弁開口度、弁調整方式(手動/自動)、弁状態(制御に関与するかどうか)、熱電対状態(制御に関与するかどうか)、炉圧、排煙温度等。
【0040】
運転状況データ:ガス/空気圧力、ガス/空気流量、ガス発熱量、空燃比、生産状態(ロール交換、故障、加熱待ち、圧延待ち)等。
【0041】
生産データ:スラブ原料情報(長さ、幅、厚さ、重さ、鋼種、成分等)、炉内でのスラブの加熱曲線、炉内でのスラブの炉温履歴曲線、スラブの出炉時刻、スラブの各セグメントへの出入り時刻、スラブの炉内停留時間、RDT全長温度曲線等。
【0042】
プロセスデータ:各規格、各運転状況で実行される加熱プロセスシステム等。
【0043】
実行可能な実施形態では、相関性データ知識ベースを取得するステップは、
各種の計画混載に対して、加熱セグメントごとに、鋼種、位置重み値、アイドルステーションのレイアウト、目標温度、現在温度、予測セグメント搬出温度から、さまざまなスラブの加熱システムを評価し、加熱炉の炉況及び運転状況の状態パラメータを検知して統一的に計画し、複雑な運転状況・炉況知識ベースを取得することを含み、運転時のすべてのパラメータは、現在の炉況、運転状況に関与しており、具体的には、以下のものを含む。
交換対象ロールブランクの識別:計画番号の変更、圧延キロ数が閾値より大きいこと、ロール交換前後にロールブランクを焼く必要があること、鋼種コードが変化したこと、ロール交換前に圧延ロールに摩耗が生じたことや、圧延幅が徐々に低下していることにより、一般的には、ロール交換後の新計画鋼コイルの幅は前の計画以上である。
【0044】
遷移材識別:圧延前後製品の鋼種、規格が変化するとスラブの目標出炉温度も一般的に変化する。ロールブランク焼き:3枚、1炉あたり1枚である。圧延遷移材:9~12枚、1炉あたり3~4枚である。温度遷移材:出炉目標温度遷移、1バッチ可能、大量。
【0045】
品規混載:各制御セグメント内のスラブ(一部のセグメントは1~2本のスラブだけ進んだ)の鋼種と規格を識別することにより、前後のスラブの出炉温度により要求される変化の幅と方向を判断し、さまざまなレベルを設定する。切替スラブのセグメント内の相対位置(例えば、進み、セグメント前部、セグメント中部、セグメント後部など)に応じて、各スラブに異なる加熱重み係数を与える。
【0046】
冷温混載:各制御セグメント内のスラブ(一部のセグメントは1~2本のスラブだけ進んだ)の入炉温度を識別し、冷温切替スラブの位置と切替モード(冷-温切り替えと温-冷切り替え)を判断し、切替スラブのセグメント内の相対位置(例えば、進み、段前、段中、段後など)に応じて、各スラブの加熱重み係数を与える。
【0047】
生産リズム予報:正確な生産リズム予報知識ベースはスラブの余剰在炉時間を予測する鍵であり、主な関連要素は、圧延ラインの異なる鋼種規格、圧延パス、圧延速度に基づいて、その最速生産リズムを確定する圧延能力と、最小在炉時間に対するプロセス要件がある鋼種に対しては、一旦在炉時間が不足すると、早めに出鋼リズムを下げたり、炉待ち温度を止めたりする必要がある最小在炉時間とを含む。
【0048】
実行可能な実施形態では、スラブ温度予報モデル精度評価知識ベースを取得するステップは、知能燃焼モデルが適応的に調節するために、各規格の炉内温度の予報精度を動的に評価することを含み、スラブ温度予報モデルの熱交換係数などのパラメータは、炉況の変化に伴い、経時的にドリフトが発生し、モデルの精度が低下した。モデル精度評価知識ベースは、知能燃焼モデルが適応的に調節するために各規格の炉内温度の予報精度を動的に評価し、スラブ温度予報精度を保証する。パラメータマップを図4に示す。
【0049】
実行可能な実施形態では、加熱炉エネルギー効率評価知識ベースを取得するステップは、生産データ、エネルギーデータ及び炉況に基づいて、加熱炉に対する客観的評価を形成することを含む。パラメータマップを図5に示す。
【0050】
実行可能な実施形態では、炉圧判別知識ベースを取得するステップは、炉圧制御の優先度が炉温制御よりも高い基準に従って、出炉側を微正圧状態に制御することを含む。パラメータマップを図6に示す。
【0051】
実行可能な実施形態では、空燃比最適化知識ベースを取得するステップは、合理的な空燃比を設定し、各セグメントの炉温の制御精度及び炉内雰囲気の制御精度を決定することを含む。パラメータマップを図7に示す。
【0052】
S203:加熱炉運転時にパラメータデータセンターが予め設定した人工知能、機械学習、及びパターン学習方法に基づいて、ビッグデータに対する知能分析により、加熱炉生産運転時のパラメータの関連マップを探し出して、ビッグデータ知識意思決定ベースを取得する。
【0053】
実行可能な実施形態では、ビッグデータ知識意思決定ベースは、
出炉温度、RDTにより、各加熱炉製品について規定される加熱目標を記述することを含む、加熱目標意思決定知識ベースを取得することを含み、スラブの加熱目標は、通常、出炉温度、RDTによって記述されるが、測定手段が限られているため、出炉目標温度は、RDTによって推定されることが多い。この知識ベースは、各規格の加熱目標を明確にする。パラメータマップを図8に示す。
【0054】
加熱システム意思決定知識ベースを取得するステップは、各運転状況での加熱曲線を含む。各規格の最適加熱曲線は多くの要素と関連しており、最適加熱曲線を確定することは炉温の知能制御を実現する前提である。各運転状況での各規格の加熱曲線の合理性は、スラブの加熱品質に直接表れている。パラメータマップを図9に示す。
【0055】
S204:加熱炉材料を追跡して修正し、圧延計画を実際スラブと1対1で対応させ、追跡位置を決定し、スラブの搬送方向を遍歴して、追跡・修正を行う。
【0056】
本発明の実施例において、加熱炉過程制御システムの主な機能は、スラブ物流追跡、温度追跡、炉温最適化設定等のモジュールにより、スラブ温度を制御目標とする最適化制御を実現し、スラブを最適な昇温曲線で目標出炉温度に加熱しつつ、エネルギー消費と焼損を低減する。システムの機能モジュールを図10に示す。
【0057】
実行可能な実施形態では、加熱炉材料の追跡ロジックが複雑であり、スラブの搬送方向が多様であるため、検出信号が正確で確実であり、必要な追跡修正機能を支援することが必要とされる。圧延計画を実際のスラブと1対1で対応させ、その位置を正確に追跡し、数学モデルにエントリパラメータを提供する。連続鋳造、MESのスラブデータを引き継ぎ、下流工程に伝達する。L1レベル検出信号を総合的に検証し、確実なロジックトリガ信号を生成する。豊富な修正機能を提供して、スラブの搬送方向のすべての可能性を遍歴する。
【0058】
S205:炉内でのスラブの昇温過程を予測し、数学モデルを採用して炉内の各時刻におけるスラブの温度分布を予報し、スラブ温度制御方程は、下記式(1)に示され、
ここで、ρ(t)はスラブの密度を示し、単位はKg/mであり、Cp(t)はスラブの比熱を示し、単位はKJ/Kg℃であり、λ(t)はスラブの熱伝導率を示し、単位はKJ/Kg℃である。
【0059】
実行可能な実施形態では、スラブ温度予報モデルでは、スラブ温度予報機能はスラブの出炉が終了するまで炉内のスラブの温度場分布をリアルタイムで計算する。スラブ加熱過程は、複雑であり、燃料の燃焼、気体の流動、熱や物質の移動等の複雑な物理化学過程に関する。スラブ加熱制限要素は、炉のサイズ、炉壁の熱特性、スラブのサイズ、スラブの熱物性、燃料の種類及び熱供給量、空気、燃料予熱温度及び空燃比、炉ガスの熱特性、炉ガスの運動、スラブの運動など、多くある。スラブ温度検出が困難であり、スラブの加熱過程及び出炉温度と均一性を正確に制御するために、炉内でのスラブの昇温過程を予測する、即ち、数学モデルを採用して炉内の各時刻におけるスラブの温度分布を予報する必要がある。
【0060】
S206:スラブ温度制御方程に従って、炉温最適化モデルを作成する。
【0061】
好ましくは、炉温最適化モデルを作成するステップS206は、
オフライン最適化を行い、基礎炉温テーブル、即ち炉温カーペットプロットを作成するステップS261と、
オンライン動的最適化を行い、加熱プロセスと生産リズムに応じて、スラブ昇温過程をシミュレーションし、目標加熱プロセスに達するために必要な必須炉温を逆算するステップS262と、
総合炉温、炉のセグメント内の各スラブの位置、目標温度要素がすべて異なると、各スラブのセグメント内の重み値も異なり、各スラブ炉温オンライン最適化に基づいて、各スラブに異なる重み値を与えるステップS263とを含む。
【0062】
実行可能な実施形態では、炉温最適化制御の前提は、L1レベルで炉温閉ループを実現し、モデルは、炉内スラブの鋼種と規格に基づいて各ゾーンの炉温を動的に調整することである。第1ステップでは、オフライン最適化を行い、基礎炉温計、すなわち炉温カーペットプロットを作成する。鋼種、スラブの厚さ、幅、コイルの幅、厚さ、装入温度、目標温度、在炉時間などの要素を総合的に考慮し、オフライン最適化により最適な昇温過程と最適な炉温を得る。第2ステップでは、オンライン動的最適化を行い、加熱プロセスと生産リズムに応じて、スラブの昇温プロセスをシミュレーションし、目標加熱プロセスに達するために必要な必須炉温を逆算し、この炉温は、各単一スラブの昇温に必要な炉温である。第3ステップでは、総合炉温、炉のセグメント内の各スラブの位置、目標温度要素がすべて異なると、各スラブのセグメント内の重み値も異なり、各スラブ炉温オンライン最適化に基づいて、各スラブに異なる重み値を与える。図11に示すとおりである。
【0063】
S207:メカニズムモデルに基づく加熱炉燃焼制御システムと前記ビッグデータクラウドプラットフォームを融合し、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御を行う。
【0064】
実行可能な実施形態では、伝統的な加熱炉燃焼制御システムのボトルネックを打破するために、複雑な生産運転状況と炉況の変化に対応するために、メカニズムモデルとクラウドプラットフォームビッグデータ知識意思決定ベースを融合する。システムは、スイッチを設置することで、ビッグデータ専門家知識ベースがオンライン制御に関与するかどうかを制御する。
【0065】
本発明の実施形態において、メカニズムモデルは、データ駆動型モデルに対するものであり、一般的には、伝統的なメカニズムに基づいて作成されたモデルを指し、本発明の実施例におけるメカニズムモデルは、スラブ加熱温度場モデルを指す。
【0066】
ビッグデータプラットフォームは、データ収集情報に基づいて同期炉内データ映像を作成し、各知識意思決定ベースを繰り返し更新し、各知識ベース情報を総合し、API関数により加熱炉燃焼制御システムにプロセス、時間制御パラメータをリアルタイムで送信する。炉内スラブのデータ構造は、以下の通りである。本発明の実施例において、本発明により提供されるビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法は、成熟した人工知能、ビッグデータ技術により、完全で独立した生産相関性データ知識ベースを作成する。知能燃焼モデルはこの知識ベースに基づいて、メカニズムモデルを用いて、現在の炉況、運転状況でのスラブの最適な加熱曲線及びスラブの品質を確保するために必要な炉温、ひいては空燃比を計算し、それらを元の加熱炉システムにリアルタイムで配信することにより、加熱炉燃焼の知能制御を実現する。
【0067】
炉内スラブのデータ構造は以下の通りである。
#define FCEZONE_MAX 5
// 加熱炉のセグメント数
#define SLABNO_LEN 16
// スラブ番号の文字列長さ
#define SCHNUMBER_LEN 15
// 計画号の文字列長さ
#define STEELGRADE_LEN24
// 鋼種の文字列長さ
#define CUSTOMER_STEELGRADE_LEN 12
// カスタマー鋼種の文字列長さ
#define QUATYPE_LEN 20
// 材質タイプ長さ
struct SLAB_TRACK
{
// 基本情報
char SlabNo[SLABNO_LEN + 1]; // スラブ番号
char RPNo[SCHNUMBER_LEN + 1]; // 計画号
char SteelGrade[STEELGRADE_LEN + 1]; // 鋼種
char CustomerSteelGrade[STEELGRADE_LEN + 1]; // カスタマー鋼種
char CUSTOM_SGC_UPD[STEELGRADE_LEN + 1]; // 改判鋼種
int Series; // 鋼種系列

short FCENo; // 炉番号
short FCERow; // 列番号 0:ロングスラブ;1:近圧延機側;2:遠圧延機側
int Disch_Sequ; // 出炉番号
short IsSingle; //シングルスラブか 0:いいえ 1:はい
long RollSequ; // 圧延順序&&計画番号
short SlabPos; // スラブ位置
float SlabExitDis; // スラブの前縁の出炉ドアからの距離(出炉側は原点) [mm]
float SlabChargeDisX; // スラブの後縁の装入ドアからの距離(装入側は原点) [mm]
float DisFromWall; // スラブの側壁からの距離 [mm]
short HearthDis; // ロングスラブセンター位置 0:炉の真中;1:近圧延機側;2:遠圧延機側
short HeatSect; // 所在加熱セグメントの番号 1:熱回收;2:予熱;3:1回目加熱;4: 2回目加熱;5:均熱
short HGFlag; // 冷温スラブフラグ 0:冷スラブ; 1:温スラブ; 2:熱スラブ
// 原料データ
float SlabLen; // スラブ長さ [mm]
float SlabWid; // スラブ幅 [mm]
float SlabThk; // スラブ厚さ [mm]
float SlabWet; // スラブ重さ [ton]
float SlabTrgTemp; // スラブ目標温度 [´C]
// コイルテ゛ータ
float CoilThk; // コイル厚さ
float CoilWid; // コイル幅
short IsNarrow; //狭いか 0: 狭くない 1: 狭い
short SteelGradeType; // 鋼種タイプ 0: 普通炭素 1: 品種
// クラス組情報
short Crew; //組(1-甲;2-乙;3-丙;4-丁) [--]
short Shift; //クラス(1-朝;2-昼;3-夜) [--]
POS_INFO SlabPosInfo; // スラブ位置追跡情報
TEMP_INFO SlabTempInfo; // スラブ温度追跡情報
KNLDGE_BASE KnldgeInfo; // ビッグデータ知識意思決定ベース情報
STATISTIC_INFO StatisticInfo; // スラブ統計情報
}
//
// ビッグデータ知識ベース
//
struct KNLDGE_BASE
{
float EndTempInZoneTrg[FCEZONE_MAX]; // セグメント搬出スラブ温度目標 [´C]
float AirFuelRatioTrg[FCEZONE_MAX]; // 各セグメントの空燃比目標 [--]
float FCETempUP[FCEZONE_MAX]; // 各セグメントの炉温(上) [´C]
float FCETempDN[FCEZONE_MAX]; // 各セグメントの炉温(下) [´C]
float InZoneTime[FCEZONE_MAX]; // セグメント停留時間 [min]
【0068】
本発明の実施例において、本発明により提供されたビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法は、成熟した人工知能、ビッグデータ技術により、完全で独立した生産相関性データ知識ベースを作成する。知能燃焼モデルはこの知識ベースに基づいて、メカニズムモデルを用いて、現在の炉況、運転状況でのスラブの最適な加熱曲線及びスラブの品質を確保するために必要な炉温、ひいては空燃比を計算し、それらを元の加熱炉システムにリアルタイムで配信することにより、加熱炉燃焼の知能制御を実現する。
【0069】
図12は、例示的な実施例に係るビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御装置を示すブロック図である。図12に示されたように、この装置300は、
加熱炉生産運転パラメータに基づいてビッグデータクラウドプラットフォームを構築するプラットフォーム構築モジュール310と、
前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づいて、ビッグデータマイニング技術を採用して、加熱炉生産過程に重要な要素の識別と分析を行い、相関性データ知識ベース及びビッグデータ意思決定知識ベースを取得する知識ベース構築モジュール320と、
メカニズムモデルに基づいて加熱炉燃焼制御システムの独立配置を行うモデル配置モジュール330と、
メカニズムモデルに基づく加熱炉燃焼制御システムと前記ビッグデータクラウドプラットフォームを融合し、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御を行う知能制御モジュール340とを備える。
【0070】
好ましくは、プラットフォーム構築モジュール310は、データ記憶量、同時アクセス数、加熱炉専門家知識ベース、及びモデルベース研究開発過程における計算需要量関連要素を分析することにより、ビッグデータクラウドプラットフォームのハードウェア装置、パラメータ及び分業を設計する。
前記ビッグデータクラウドプラットフォームは、三層構造を採用し、底層はビッグデータクラウドプラットフォームインフラ層であり、中間層はビッグデータクラウドプラットフォームサポート層であり、最上層は知識ベースサービス層である。
【0071】
好ましくは、インフラ層は、ビッグデータクラウドプラットフォームのハードウェアリソースの仮想化と管理サービスに使用され、前記ビッグデータクラウドプラットフォームサポート層は、加熱炉生産過程においてパラメータの収集、記憶、マイニング分析及び可視化の研究開発をサポートするラットフォームに使用され、前記知識ベースサービス層は、加熱炉生産過程の重要な生産要素を記憶する相関性データ知識ベースに使用される。
【0072】
好ましくは、知識ベース構築モジュール320は、前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づいて、ビッグデータマイニング技術を採用して、加熱炉生産過程に重要な要素を識別して、相関性データ知識ベースを取得する。
加熱炉運転時にパラメータデータセンターが予め設定した人工知能、機械学習、及びパターン学習方法に基づいて、ビッグデータに対する知能分析により、加熱炉生産運転時のパラメータの関連マップを探し出して、ビッグデータ知識意思決定ベースを取得する。
【0073】
好ましくは、知識ベース構築モジュール320は、各種の計画混載に対して、加熱セグメントごとに、鋼種、位置重み値、アイドルステーションのレイアウト、目標温度、現在温度、予測セグメント搬出温度から、さまざまなスラブの加熱システムを評価し、加熱炉の炉況と運転状況の状態パラメータを検知して統一的に計画し、複雑な運転状況・炉況知識ベースを取得する。
スラブ温度予報モデル精度評価知識ベースを取得することは、知能燃焼モデルが適応的に調節するために、各規格の炉内温度の予報精度を動的に評価することを含む。
加熱炉エネルギー効率評価知識ベースを取得することは、生産データ、エネルギーデータ及び炉況に基づいて、加熱炉に対する客観的評価を形成することを含む。
炉圧判別知識ベースを取得することは、炉圧制御の優先度が炉温制御よりも高い基準に従って、出炉側を微正圧状態に制御することを含む。
空燃比最適化知識ベースを取得することは、合理的な空燃比を設定し、各セグメントの炉温の制御精度及び炉内雰囲気の制御精度を決定することを含む。
【0074】
好ましくは、知識ベース構築モジュール320は、出炉温度、RDTにより、各加熱炉製品について規定される加熱目標を記述して、加熱目標意思決定知識ベースを取得する。
各運転状況での加熱曲線を統計して、加熱システム意思決定知識ベースを取得する。
【0075】
好ましくは、モデル配置モジュール330は、加熱炉材料を追跡して修正し、圧延計画を実際スラブと1対1で対応させ、追跡位置を決定し、スラブの搬送方向を遍歴して、追跡・修正を行う。
炉内でのスラブの昇温過程を予測し、数学モデルを採用して炉内の各時刻におけるスラブの温度分布を予報し、スラブ温度制御方程は、下記式(1)に示され、
ここで、ρ(t)はスラブの密度を示し、Cp(t)はスラブの比熱を示し、λ(t)はスラブの熱伝導率を示し、
前記制御方程に従って、炉温最適化モデルを作成する。
【0076】
好ましくは、モデル配置モジュール330は、オフライン最適化を行い、基礎炉温テーブル、即ち炉温カーペットプロットを作成する。
オンライン動的最適化を行い、加熱プロセスと生産リズムに応じて、スラブ昇温過程をシミュレーションし、目標加熱プロセスに達するために必要な必須炉温を逆算する。
総合炉温、炉のセグメント内の各スラブの位置、目標温度要素がすべて異なると、各スラブのセグメント内の重み値も異なり、各スラブ炉温オンライン最適化に基づいて、各スラブに異なる重み値を与える。
【0077】
好ましくは、知能制御モジュール340は、メカニズムモデルに基づく加熱炉燃焼制御システムと前記ビッグデータクラウドプラットフォームを融合し、ビッグデータクラウドプラットフォームはデータ収集情報に基づいて同期炉内データ映像を作成し、各知識意思決定ベースを繰り返し更新し、前記各知識ベースの情報を総合して、API関数により加熱炉燃焼制御システムにプロセス、時間制御パラメータをリアルタイムで送信し、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御を行う。
【0078】
本発明の実施例において、本発明により提供されたビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法は、成熟した人工知能、ビッグデータ技術により、完全で独立した生産相関性データ知識ベースを作成する。知能燃焼モデルはこの知識ベースに基づいて、メカニズムモデルを用いて、現在の炉況、作業状況でのスラブの最適な加熱曲線及びスラブの品質を確保するために必要な炉温、ひいては空燃比を計算し、それらを元の加熱炉システムにリアルタイムで配信することにより、加熱炉燃焼の知能制御を実現する。
【0079】
図13は、本発明の実施例により提供される電子装置400の構造概略図であり、この電子装置400は、構成または性能によって大きく異なってもよく、1つまたは複数のプロセッサ(central processing units、CPU)401と1つまたは複数のメモリ402を含むことができ、その中、前記メモリ402には、前記プロセッサ401によってロードされ、実行されると、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法の下記ステップを実現するための少なくとも1つの命令が記憶されている。
S1:加熱炉生産運転パラメータに基づいてビッグデータクラウドプラットフォームを構築する。
S2:前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づいて、ビッグデータマイニング技術を採用して、加熱炉生産過程に重要な要素の識別と分析を行い、相関性データ知識ベース及びビッグデータ意思決定知識ベースを取得する。
S3:メカニズムモデルに基づいて加熱炉燃焼制御システムの独立配置を行う。
S4:メカニズムモデルに基づく加熱炉燃焼制御システムと前記ビッグデータクラウドプラットフォームを融合し、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御を行う。
【0080】
例示的な実施例では、端末のプロセッサによって実行されて、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法を実現するための命令を含むコンピュータ可読記憶媒体も提供する。例えば、前記コンピュータ可読記憶媒体は、ROM、ランダムアクセスメモリ(RAM)、CD-ROM、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスク、光データ記憶装置などであってもよい。
【0081】
当業者は、上述の実施形態を実現するためのすべてまたは一部のステップはハードウェアによって実行することができ、または関連するハードウェアに対してプログラムによって実行を指示することができ、前記プログラムはコンピュータ可読記憶媒体に記憶することができ、上述の記憶媒体は読み取り専用メモリ、磁気ディスク、またはコンパクトディスクなどであってもよいことを理解することができる。
【0082】
上記は本発明の好適な実施例にすぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の精神と原則内で行われたいかなる補正、等価置換、改良などは、本発明の保護範囲に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2024-03-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱炉生産運転パラメータに基づいてビッグデータクラウドプラットフォームを構築するステップS1と、
前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づいて、ビッグデータマイニング技術を採用して、加熱炉生産過程に複数の要素の識別と分析を行い、相関性データ知識ベース及びビッグデータ意思決定知識ベースを取得するステップS2と、
メカニズムモデルに基づいて加熱炉燃焼制御システムの独立配置を行うステップS3と、
メカニズムモデルに基づく前記加熱炉燃焼制御システムと前記ビッグデータクラウドプラットフォームを融合し、融合した加熱炉燃焼制御システムにより、前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御を行うステップS4とを含み、
前記ステップS2は、
前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づいて、前記ビッグデータマイニング技術を採用して、前記加熱炉生産過程に複数の要素を識別して、前記相関性データ知識ベースを取得するステップS21と、
加熱炉運転時にパラメータデータセンターが予め設定した機械学習方法に基づいて、ビッグデータに対する知能分析により、加熱炉生産運転時のパラメータの関連マップを探し出して、前記ビッグデータ意思決定知識ベースを取得するステップS22とを含み、
前記ステップS21では、前記相関性データ知識ベースを取得するステップは、
各種の計画のスラブ混載に対して、加熱セグメントごとに、前記加熱セグメントにおける各スラブの鋼種、各スラブが前記加熱セグメント内の各位置においての重み値、アイドルステーションのレイアウト、目標温度、現在温度、予測されたスラブのセグメント搬出温度、さまざまなスラブの加熱システム、感知した加熱炉の炉況及び運転状況の状態パラメータに基づいて、複雑な運転状況・炉況知識ベースを構築することと、
知能燃焼モデルが適応的に調節するために、各規格の炉内温度の予報精度を動的に評価して、予報精度データを得、前記予報精度データを総合してスラブ温度予報モデル精度評価知識ベースを取得することと、
生産データ、エネルギーデータ及び炉況に基づいて、加熱炉に対する客観的評価データを作成し、前記客観的評価データを総合して、加熱炉エネルギー効率評価知識ベースを取得することと、
炉圧制御の優先度が炉温制御よりも高い基準に従って、出炉側を微正圧状態に制御し、制御基準データ及び微正圧状態データを総合して、炉圧判別知識ベースを取得することと、
空燃比を設定し、前記設定した空燃比による各セグメントの炉温の制御精度及び炉内雰囲気の制御精度を決定し、前記炉温の制御精度及び炉内雰囲気の制御精度を高めるように前記設定した空燃比を調整し、最適化された空燃比を得、空燃比最適化知識ベースを取得することとを含み、
前記ステップS22では、前記ビッグデータ意思決定知識ベースを取得するステップは、
出炉温度、または圧延機出口温度RDTにより、各加熱炉製品について規定される加熱目標を記述して、加熱目標意思決定知識ベースを取得することと、
各運転状況での加熱曲線を統計して、加熱システム意思決定知識ベースを取得することとを含む、ことを特徴とするビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法。
【請求項2】
前記ステップS1では、加熱炉生産運転パラメータに基づいて前記ビッグデータクラウドプラットフォームを構築するステップは、
データ記憶量、同時アクセス数、加熱炉専門家知識ベース、及びモデルベース研究開発過程における計算需要量関連要素を分析することにより、前記ビッグデータクラウドプラットフォームのハードウェア装置、前記ハードウェア装置のパラメータ及び分業を設計することを含み、
前記ビッグデータクラウドプラットフォームは、三層構造を採用し、底層はビッグデータクラウドプラットフォームインフラ層であり、中間層はビッグデータクラウドプラットフォームサポート層であり、最上層は知識ベースサービス層である、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ビッグデータクラウドプラットフォームインフラ層は、前記ビッグデータクラウドプラットフォームのハードウェアリソースの仮想化と管理サービスに使用され、
前記ビッグデータクラウドプラットフォームサポート層は、加熱炉生産運転過程におけるパラメータの収集、記憶、マイニング分析及び可視化の研究開発をサポートすることに使用され、
前記知識ベースサービス層は、加熱炉生産過程の重要な生産要素を記憶することに使用される、ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップS3では、メカニズムモデルに基づいて加熱炉燃焼制御システムの独立配置を行うステップは、
加熱炉材料を追跡して修正し、圧延計画を実際のスラブと1対1で対応させ、追跡位置を決定し、前記スラブの搬送方向を遍歴して、追跡・修正を行うステップS31と、
炉内での前記スラブの昇温過程を予測し、数学モデルを採用して炉内の各時刻における前記スラブの温度分布を予報するステップS32であって、
スラブ温度制御方程は、下記式(1)に示され、
ここで、ρ(t)は前記スラブの密度を示し、Cp(t)は前記スラブの比熱を示し、λ(t)は前記スラブの熱伝導率を示す、前記ステップS32と、
前記スラブ温度制御方程に従って、炉温最適化モデルを作成するステップS33とを含み、
前記ステップS33は、
前記スラブ温度制御方程に従ってオフライン最適化を行い、基礎炉温テーブル、即ち炉温カーペットプロットを作成するステップS331と、
前記スラブ温度制御方程に従ってオンライン動的最適化を行い、加熱プロセスと生産ペースタイムに応じて、スラブ昇温過程をシミュレーションし、目標加熱プロセスに達するために必要な必須炉温を逆算するステップS332と、
総合炉温、炉のセグメント内の各スラブの位置、目標温度要素がすべて異なると、各スラブのセグメント内の重み値も異なり、各スラブ炉温オンライン最適化に基づいて、各スラブに異なる重み値を与え、前記炉温最適化モデルを取得するステップS333とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ステップS4では、前記メカニズムモデルに基づく前記加熱炉燃焼制御システムと前記ビッグデータクラウドプラットフォームを融合し、前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく前記加熱炉燃焼知能制御を行うステップは、
前記メカニズムモデルに基づく前記加熱炉燃焼制御システムと前記ビッグデータクラウドプラットフォームを融合し、前記ビッグデータクラウドプラットフォームはデータ収集情報に基づいて同期炉内データ映像を作成し、相関性データ知識ベース及びビッグデータ意思決定知識ベースを繰り返し更新し、前記相関性データ知識ベース及びビッグデータ意思決定知識ベースの情報を総合して、API関数により前記加熱炉燃焼制御システムにプロセス、時間制御パラメータをリアルタイムで送信し、融合した加熱炉燃焼制御システムにより、前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく前記加熱炉燃焼知能制御を行うことを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記請求項1~のいずれか1項に記載の方法に適用される前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御装置であって、
加熱炉生産運転パラメータに基づいて前記ビッグデータクラウドプラットフォームを構築するプラットフォーム構築モジュールと、
前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づいて、前記ビッグデータマイニング技術を採用して、加熱炉生産過程に複数の要素の識別と分析を行い、前記相関性データ知識ベース及び前記ビッグデータ意思決定知識ベースを取得する知識ベース構築モジュールと、
前記メカニズムモデルに基づいて前記加熱炉燃焼制御システムの独立配置を行うモデル配置モジュールと、
前記メカニズムモデルに基づく前記加熱炉燃焼制御システムと前記ビッグデータクラウドプラットフォームを融合し、融合した加熱炉燃焼制御システムにより、前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく前記加熱炉燃焼知能制御を行う知能制御モジュールとを備える、ことを特徴とする前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく前記加熱炉燃焼知能制御装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工知能制御の技術分野に関し、特に、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
知能製造が鉄鋼業界に進むにつれて、各プロセスは技術革新の春を迎え、最先端の概念や技術の導入は鉄鋼製造業の新時代を創造するに違いない。加熱炉は鉄鋼プロセス産業における重要な一環として、上流の原料に加熱と均熱を行い、下流の生産プロセスの要件を満たすためにより良い熱特性を付与することを主な目的とする。長期以来、加熱炉の環境が高温・多塵であり、かつその制御効果に影響する要素が多くて緊密に結合されているため、加熱炉制御システムの自動化レベルは生産ラインの他の段階より低い。また、加熱炉は生産ラインにおいてエネルギーを消費する主の部品でもあり、このため、加熱炉制御システムの知能化レベルを高めることは巨大な経済と社会的利益をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
加熱炉のエネルギー消費量が高く、加熱炉制御システムの知能化レベルを高めることは巨大な経済と社会的利益をもたらすという従来技術の課題に対して、本発明は、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法及び装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、電子装置に適用されるビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法であって、
加熱炉生産運転パラメータに基づいてビッグデータクラウドプラットフォームを構築するステップS1と、
前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づいて、ビッグデータマイニング技術を採用して、加熱炉生産過程に重要な要素の識別と分析を行い、相関性データ知識ベース及びビッグデータ意思決定知識ベースを取得するステップS2と、
メカニズムモデルに基づいて加熱炉燃焼制御システムの独立配置を行うステップS3と、
メカニズムモデルに基づく加熱炉燃焼制御システムと前記ビッグデータクラウドプラットフォームを融合し、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御を行うステップS4とを含む、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法を提供する。
【0005】
好ましくは、前記ステップS1では、加熱炉生産運転パラメータに基づいてビッグデータクラウドプラットフォームを構築するステップは、
データ記憶量、同時アクセス数、加熱炉専門家知識ベース、及びモデルベース研究開発過程における計算需要量関連要素を分析することにより、ビッグデータクラウドプラットフォームのハードウェア装置、パラメータ及び分業を設計することを含み、
前記ビッグデータクラウドプラットフォームは、三層構造を採用し、底層はビッグデータクラウドプラットフォームインフラ層であり、中間層はビッグデータクラウドプラットフォームサポート層であり、最上層は知識ベースサービス層である。
【0006】
好ましくは、インフラ層は、ビッグデータクラウドプラットフォームのハードウェアリソースの仮想化と管理サービスに使用され、
前記ビッグデータクラウドプラットフォームサポート層は、加熱炉生産運転過程におけるパラメータの収集、記憶、マイニング分析及び可視化の研究開発をサポートすることに使用され、
前記知識ベースサービス層は、加熱炉生産過程の重要な生産要素を記憶することに使用される。
【0007】
好ましくは、前記ステップS2では、前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づいて、ビッグデータマイニング技術を採用して、加熱炉生産過程に重要な要素の識別と分析を行い、相関性データ知識ベース及びビッグデータ意思決定知識ベースを取得するステップは、
前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づいて、ビッグデータマイニング技術を採用して、加熱炉生産過程に重要な要素を識別して、相関性データ知識ベースを取得するステップS21と、
加熱炉運転時にパラメータデータセンターが予め設定した人工知能、機械学習、及びパターン学習方法に基づいて、ビッグデータに対する知能分析により、加熱炉生産運転時のパラメータの関連マップを探し出して、ビッグデータ意思決定知識ベースを取得するステップS22とを含む。
【0008】
好ましくは、前記ステップS21では、前記相関性データ知識ベースを取得するステップは、
各種の計画混載に対して、加熱セグメントごとに、鋼種、位置重み値、アイドルステーションのレイアウト、目標温度、現在温度、予測セグメント搬出温度から、さまざまなスラブの加熱システムを評価し、加熱炉の炉況及び運転状況の状態パラメータを検知して統一的に計画し、複雑な運転状況・炉況知識ベースを取得することと、
知能燃焼モデルが適応的に調節するために、各規格の炉内温度の予報精度を動的に評価して、前記予報精度データを総合してスラブ温度予報モデル精度評価知識ベースを取得することと、
生産データ、エネルギーデータ及び炉況に基づいて、加熱炉に対する客観的評価データを作成し、前記客観的評価データを総合して、加熱炉エネルギー効率評価知識ベースを取得することと、
炉圧制御の優先度が炉温制御よりも高い基準に従って、出炉側を微正圧状態に制御し、制御基準データ及び微正圧状態データを総合して、炉圧判別知識ベースを取得することと、
合理的な空燃比を設定し、各セグメントの炉温の制御精度及び炉内雰囲気の制御精度を決定し、空燃比最適化知識ベースを取得することとを含む。
【0009】
好ましくは、前記ステップS22では、ビッグデータ意思決定知識ベースを取得するステップは、
出炉温度、圧延機出口温度RDTにより、各加熱炉製品について規定される加熱目標を記述して、加熱目標意思決定知識ベースを取得することと、
各運転状況での加熱曲線を統計して、加熱システム意思決定知識ベースを取得することとを含む。
【0010】
好ましくは、前記ステップS3では、メカニズムモデルに基づいて加熱炉燃焼制御システムの独立配置を行うステップは、
加熱炉材料を追跡して修正し、圧延計画を実際スラブと1対1で対応させ、追跡位置を決定し、スラブの搬送方向を遍歴(Traversal)して追跡・修正を行うステップS31と、
炉内でのスラブの昇温過程を予測し、数学モデルを採用して炉内の各時刻におけるスラブの温度分布を予報するステップS32であって、
スラブ温度制御方程は、下記式(1)に示され、
ここで、ρ(t)はスラブの密度を示し、Cp(t)はスラブの比熱を示し、λ(t)はスラブの熱伝導率を示す、ステップS32と、
前記スラブ温度制御方程に従って、炉温最適化モデルを作成するステップS33とを含む。
【0011】
好ましくは、前記ステップS33では、前記スラブ温度制御方程に従って、炉温最適化モデルを作成するステップは、
前記スラブ温度制御方程に従ってオフライン最適化を行い、基礎炉温テーブル、即ち炉温カーペットプロットを作成するステップS331と、
前記スラブ温度制御方程に従ってオンライン動的最適化を行い、加熱プロセスと生産ペースタイムに応じて、スラブ昇温過程をシミュレーションし、目標加熱プロセスに達するために必要な必須炉温を逆算するステップS332と、
総合炉温、炉のセグメント内の各スラブの位置、目標温度要素がすべて異なると、各スラブのセグメント内の重み値も異なり、各スラブ炉温オンライン最適化に基づいて、各スラブに異なる重み値を与え、炉温最適化モデルを取得するステップS333とを含む。
【0012】
好ましくは、前記ステップS4では、メカニズムモデルに基づく加熱炉燃焼制御システムと前記ビッグデータクラウドプラットフォームを融合し、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御を行うステップは、
メカニズムモデルに基づく加熱炉燃焼制御システムと前記ビッグデータクラウドプラットフォームを融合し、ビッグデータクラウドプラットフォームはデータ収集情報に基づいて同期炉内データ映像を作成し、各意思決定知識ベースを繰り返し更新し、前記各知識ベースの情報を総合して、API関数により加熱炉燃焼制御システムにプロセス、時間制御パラメータをリアルタイムで送信し、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御を行うことを含む。
【0013】
一態様では、電子装置に適用されるビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御装置であって、
加熱炉生産運転パラメータに基づいてビッグデータクラウドプラットフォームを構築するプラットフォーム構築モジュールと、
前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づいて、ビッグデータマイニング技術を採用して、加熱炉生産過程に重要な要素の識別と分析を行い、相関性データ知識ベース及びビッグデータ意思決定知識ベースを取得する知識ベース構築モジュールと、
メカニズムモデルに基づいて加熱炉燃焼制御システムの独立配置を行うモデル配置モジュールと、
メカニズムモデルに基づく加熱炉燃焼制御システムと前記ビッグデータクラウドプラットフォームを融合し、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御を行う知能制御モジュールとを備える、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御装置を提供する。
【0014】
一態様では、プロセッサとメモリを備え、前記メモリには、前記プロセッサによってロードされ実行されると、前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法を実現するための少なくとも1つの命令が記憶されている、電子装置を提供する。
【0015】
一態様では、プロセッサによってロードされ実行されると、前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法を実現するための少なくとも1つの命令が記憶されている、コンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の実施形態による上記技術的手段は、少なくとも以下のような有益な効果を有する。
上記の形態では、本発明により提供されたビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法は、成熟した人工知能、ビッグデータ技術により、完全で独立した生産相関性データ知識ベースを作成する。知能燃焼モデルはこの知識ベースに基づいて、メカニズムモデルを用いて、現在の炉況、作業状況でのスラブの最適な加熱曲線及びスラブの品質を確保するために必要な炉温、ひいては空燃比を計算し、それらを元の加熱炉システムにリアルタイムに配信することにより、加熱炉燃焼の知能制御を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の実施例による技術的手段をより明確に説明するために、以下に、実施例の説明において使用する必要がある図面を簡単に説明する。明らかに、以下の説明における図面は本発明のいくつかの実施例にすぎず、当業者にとっては、創造的な労働を払わずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【0018】
図1】本発明の実施例により提供されるビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法のフローチャートである。
図2】本発明の実施例により提供されるビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法のフローチャートである。
図3】本発明の実施例により提供されるビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法のビッグデータクラウドプラットフォームのアーキテクチャ図である。
図4】本発明の実施例により提供されるビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法のスラブ温度予報モデル精度評価知識ベースのパラメータマップである。
図5】本発明の実施例により提供されるビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法の加熱炉エネルギー効率評価知識ベースのパラメータマップである。
図6】本発明の実施例により提供されるビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法の炉圧判別知識ベースのパラメータマップである。
図7】本発明の実施例により提供されるビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法の空燃比最適化知識ベースのパラメータマップである。
図8】本発明の実施例により提供されるビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法の加熱目標意思決定知識ベースのパラメータマップである。
図9】本発明の実施例により提供されるビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法の加熱システム意思決定知識ベースのパラメータマップである。
図10】本発明の実施例により提供されるビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法の伝統的な加熱炉燃焼制御システムの機能モジュール図である。
図11】本発明の実施例により提供されるビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法の各セグメントの重み値の分配図である。
図12】本発明の実施例により提供されるビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御装置のブロック図である。
図13】本発明の実施例により提供される電子装置の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明が解決しようとする技術的課題、技術的手段及び利点をより明確にするために、以下、図面及び具体的な実施例を参照して詳細に説明する。
【0020】
本発明の実施例は、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法を提供し、この方法は、電子装置により実現されてもよく、この電子装置は、端末やサーバーであってもよい。図1は、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法のフローチャートを示し、この方法の処理流れは、
加熱炉生産運転パラメータに基づいてビッグデータクラウドプラットフォームを構築するステップS101と、
前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づいて、ビッグデータマイニング技術を採用して、加熱炉生産過程に重要な要素の識別と分析を行い、相関性データ知識ベース及びビッグデータ意思決定知識ベースを取得するステップS102と、
メカニズムモデルに基づいて加熱炉燃焼制御システムの独立配置を行うステップS103と、
メカニズムモデルに基づく加熱炉燃焼制御システムと前記ビッグデータクラウドプラットフォームを融合し、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御を行うステップS104とを含む。
【0021】
好ましくは、ステップS101では、加熱炉生産運転パラメータに基づいてビッグデータクラウドプラットフォームを構築するステップは、
データ記憶量、同時アクセス数、加熱炉専門家知識ベース、及びモデルベース研究開発過程における計算需要量等の関連要素を分析することによって、クラウドプラットフォームの主なハードウェア装置、パラメータ、及び分業を設計することを含み、
前記クラウドプラットフォームは、三層構造を採用し、底層はクラウドプラットフォームインフラ層であり、中間層はビッグデータクラウドプラットフォームサポート層であり、最上層は知識ベースサービス層である。
【0022】
好ましくは、インフラ層は、クラウドプラットフォームのハードウェアリソースの仮想化と管理サービスに使用され、前記ビッグデータプラットフォームサポート層は、加熱炉生産運転過程におけるパラメータの収集、記憶、マイニング分析及び可視化などの研究開発をサポートするプラットフォームに使用され、前記知識ベースサービス層は、加熱炉生産過程の重要な生産要素を記憶する相関性データ知識ベースに使用される。
【0023】
好ましくは、ステップS102では、前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づいて、ビッグデータマイニング技術を採用して、加熱炉生産過程に重要な要素の識別と分析を行い、相関性データ知識ベース及びビッグデータ意思決定知識ベースを取得するステップは、
前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づいて、ビッグデータマイニング技術を採用して、加熱炉生産過程に重要な要素を識別して、相関性データ知識ベースを取得するステップS121と、
加熱炉運転時のパラメータデータセンターの人工知能、機械学習、及びパターン学習方法に基づいて、ビッグデータに対する知能分析により、運転時刻ごとのパラメータの関連マップを探し出して、ビッグデータ意思決定知識ベースを取得するステップS122とを含む。
【0024】
好ましくは、ステップS121では、相関性データ知識ベースを取得するステップは、
各種の計画混載に対して、加熱セグメントごとに、鋼種、位置重み値、アイドルステーションのレイアウト、目標温度、現在温度、予測セグメント搬出温度から、さまざまなスラブの加熱システムを評価し、加熱炉の炉況及び運転状況の状態パラメータを検知して統一的に計画し、複雑な運転状況・炉況知識ベースを取得することと、
知能燃焼モデルが適応的に調節するために、各規格の炉内温度の予報精度を動的に評価して、スラブ温度予報モデル精度評価知識ベースを取得することと、
生産データ、エネルギーデータ及び炉況に基づいて、加熱炉に対する客観的評価データを作成し、加熱炉エネルギー効率評価知識ベースを取得することと、
炉圧制御の優先度が炉温制御よりも高い基準に従って、出炉側を微正圧状態に制御し、炉圧判別知識ベースを取得することと、
合理的な空燃比を設定し、各セグメントの炉温の制御精度及び炉内雰囲気の制御精度を決定し、空燃比最適化知識ベースを取得することとを含む。
【0025】
好ましくは、ステップS122では、ビッグデータ意思決定知識ベースを取得するステップは、
出炉温度、RDTにより、各加熱炉製品について規定される加熱目標を記述して、加熱目標意思決定知識ベースを取得することと、
各運転状況での加熱曲線を統計して、加熱システム意思決定知識ベースを取得することとを含む。
【0026】
好ましくは、前記ステップS103では、メカニズムモデルに基づいて加熱炉燃焼制御システムの独立配置を行うステップは、
加熱炉材料を追跡して修正し、圧延計画を実際スラブと1対1で対応させ、追跡位置を決定し、スラブの搬送方向を遍歴して、追跡・修正を行うステップS131と、
炉内でのスラブの昇温過程を予測し、数学モデルを採用して炉内の各時刻におけるスラブの温度分布を予報するステップS132であって、
スラブ温度制御方程は、下記式(1)に示され、
ここで、ρ(t)はスラブの密度を示し、Cp(t)はスラブの比熱を示し、λ(t)はスラブの熱伝導率を示す、ステップS132と、
前記制御方程に従って、炉温最適化モデルを作成するステップS133とを含む。
【0027】
好ましくは、ステップS133では、炉温最適化モデルを作成するステップは、
オフライン最適化を行い、基礎炉温テーブル、即ち炉温カーペットプロットを作成するステップS1331と、
オンライン動的最適化を行い、加熱プロセスと生産ペースタイムに応じて、スラブ昇温過程をシミュレーションし、目標加熱プロセスに達するために必要な必須炉温を逆算するステップS1332と、
総合炉温、炉のセグメント内の各スラブの位置、目標温度要素がすべて異なると、各スラブのセグメント内の重み値も異なり、各スラブ炉温オンライン最適化に基づいて、異なる重み値を与えるステップS1333とを含む。
【0028】
好ましくは、ステップS104では、メカニズムモデルに基づく加熱炉燃焼制御システムと前記ビッグデータクラウドプラットフォームを融合し、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御を行うステップは、
メカニズムモデルに基づく加熱炉燃焼制御システムと前記ビッグデータクラウドプラットフォームを融合し、ビッグデータクラウドプラットフォームはデータ収集情報に基づいて同期炉内データ映像を作成し、各意思決定知識ベースを繰り返し更新し、前記各知識ベースの情報を総合して、API関数により加熱炉燃焼制御システムにプロセス、時間制御パラメータをリアルタイムで送信し、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御を行うことを含む。
【0029】
本発明の実施例において、本発明により提供されたビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法は、成熟した人工知能、ビッグデータ技術により、完全で独立した生産相関性データ知識ベースを作成する。知能燃焼モデルはこの知識ベースに基づいて、メカニズムモデルを用いて、現在の炉況、作業状況でのスラブの最適な加熱曲線及びスラブの品質を確保するために必要な炉温、ひいては空燃比を計算し、それらを元の加熱炉システムにリアルタイムで配信することにより、加熱炉燃焼の知能制御を実現する。
【0030】
本発明の実施例は、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法を提供し、この方法は、電子装置により実現されてもよく、この電子装置は、端末やサーバーであってもよい。図2は、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法のフローチャートを示し、この方法の処理流れは、下記のステップS201~S207を含む。
S201:加熱炉生産運転パラメータに基づいてビッグデータクラウドプラットフォームを構築する。
実行可能な実施形態では、加熱炉生産運転パラメータに基づいてビッグデータクラウドプラットフォームを構築する。データ記憶量、同時アクセス数、加熱炉専門家知識ベース、及びモデルベース研究開発過程における計算需要量等の関連要素を分析することによって、クラウドプラットフォームの主なハードウェア装置、パラメータ、及び分業を設計し、ビッグデータクラウドプラットフォームのハードウェア構成は表1に示される。
【0031】
【表1】
【0032】
ビッグデータクラウドプラットフォームは、三層構造を採用し、底層はクラウドプラットフォームインフラ層であり、クラウドプラットフォームのハードウェアリソースの仮想化と管理サービスを実現する。中間層はビッグデータプラットフォームサポート層であり、加熱炉生産運転過程におけるパラメータの収集、記憶、マイニング分析、可視化などの研究開発をサポートするプラットフォームである。最上層は加熱炉生産過程の重要な生産要素の相関性データ知識ベースである。具体的な構造は図3に示される。
【0033】
実行可能な実施形態では、インフラ層は、クラウドプラットフォームのハードウェアリソースの仮想化と管理サービスに使用され、前記ビッグデータプラットフォームサポート層は、加熱炉生産運転過程におけるパラメータの収集、記憶、マイニング分析、可視化などの研究開発をサポートするプラットフォームに使用され、前記知識ベースサービス層は、加熱炉生産過程の重要な生産要素を記憶する相関性データ知識ベースに使用される。
【0034】
実行可能な実施形態では、クラウドプラットフォームのインフラ層は、OpenStackオープンソースプラットフォームに基づいて構築され、ハードウェアリソースの仮想化管理、仮想ローカルエリアネットワーク、ミラー管理、分散型記憶管理、安全認証管理等のサービスを提供する。
【0035】
ビッグデータプラットフォームサポート層は、主にHadoopオープンソースプラットフォームに基づいて構築され、HDFS分散型記憶により品質管理産業用ビッグデータの記憶管理を実現し、YARNによりリソースのスケジューリング管理を実現する。データ管理ツールは、HBASE、HIVE、HCatalogなどのコンポーネントを採用して、非リレーショナルデータベース、データウェアハウス、及びメタデータ管理サービスを実現するとともに、これに基づいて関連するデータアクセスインタフェースを開発する。ビッグデータプラットフォームサポート層には、データ収集(Sqoop、Falcon等)、マイニング分析(Mahout、Spark MLib、TensorFlow等)、知識ベース管理ツール、シミュレーションと最適化計算ツール(ANYSY、DEFORM等)、可視化ツールも集積されている。
【0036】
加熱炉生産サービス層は、主にAPIインタフェース技術により、生産過程に重要な要素の知識照会と共有サービスを行い、クラウドプラットフォームで研究開発された知識ベースとツールセットに対しては、Docker容器技術によりダウンロードを行う。
【0037】
S202:前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づいて、ビッグデータマイニング技術を採用して、加熱炉生産過程に重要な要素を識別して、相関性データ知識ベースを取得する。
【0038】
実行可能な実施形態では、ビッグデータマイニング技術を採用して、加熱炉生産過程に重要な要素を識別して、完全な相関性データ知識ベースを作成する。加熱炉運転時のパラメータデータセンターの人工知能、機械学習、パターン学習等に基づいて、ビッグデータに対する知能分析により、運転時刻ごとのパラメータの関連マップを探し出して、独立且つ完全なビッグデータ意思決定知識ベースを作成する。
【0039】
実行可能な実施形態では、加熱炉システムの関連データは、主にPLC制御システム及びオリジナルのL2レベルの制御システムからのものであり、多種のプロトコルを採用して、データ収集システムを上記システムにそれぞれ接続して、元のデータを順調に伝送することを実現する。
収集内容には、以下のものが含まれている。
炉況データ:弁開口度、弁調整方式(手動/自動)、弁状態(制御に関与するかどうか)、熱電対状態(制御に関与するかどうか)、炉圧、排煙温度等。
【0040】
運転状況データ:ガス/空気圧力、ガス/空気流量、ガス発熱量、空燃比、生産状態(ロール交換、故障、加熱待ち、圧延待ち)等。
【0041】
生産データ:スラブ原料情報(長さ、幅、厚さ、重さ、鋼種、成分等)、炉内でのスラブの加熱曲線、炉内でのスラブの炉温履歴曲線、スラブの出炉時刻、スラブの各セグメントへの出入り時刻、スラブの炉内停留時間、RDT全長温度曲線等。
【0042】
プロセスデータ:各規格、各運転状況で実行される加熱プロセスシステム等。
【0043】
実行可能な実施形態では、相関性データ知識ベースを取得するステップは、
各種の計画混載に対して、加熱セグメントごとに、鋼種、位置重み値、アイドルステーションのレイアウト、目標温度、現在温度、予測セグメント搬出温度から、さまざまなスラブの加熱システムを評価し、加熱炉の炉況及び運転状況の状態パラメータを検知して統一的に計画し、複雑な運転状況・炉況知識ベースを取得することを含み、運転時のすべてのパラメータは、現在の炉況、運転状況に関与しており、具体的には、以下のものを含む。
交換対象ロールブランクの識別:計画番号の変更、圧延キロ数が閾値より大きいこと、ロール交換前後にロールブランクを焼く必要があること、鋼種コードが変化したこと、ロール交換前に圧延ロールに摩耗が生じたことや、圧延幅が徐々に低下していることにより、一般的には、ロール交換後の新計画鋼コイルの幅は前の計画以上である。
【0044】
遷移材識別:圧延前後製品の鋼種、規格が変化するとスラブの目標出炉温度も一般的に変化する。ロールブランク焼き:3枚、1炉あたり1枚である。圧延遷移材:9~12枚、1炉あたり3~4枚である。温度遷移材:出炉目標温度遷移、1バッチ可能、大量。
【0045】
品規混載:各制御セグメント内のスラブ(一部のセグメントは1~2本のスラブだけ進んだ)の鋼種と規格を識別することにより、前後のスラブの出炉温度により要求される変化の幅と方向を判断し、さまざまなレベルを設定する。切替スラブのセグメント内の相対位置(例えば、進み、セグメント前部、セグメント中部、セグメント後部など)に応じて、各スラブに異なる加熱重み係数を与える。
【0046】
冷温混載:各制御セグメント内のスラブ(一部のセグメントは1~2本のスラブだけ進んだ)の入炉温度を識別し、冷温切替スラブの位置と切替モード(冷-温切り替えと温-冷切り替え)を判断し、切替スラブのセグメント内の相対位置(例えば、進み、段前、段中、段後など)に応じて、各スラブの加熱重み係数を与える。
【0047】
生産ペースタイム予報:正確な生産ペースタイム予報知識ベースはスラブの余剰在炉時間を予測する鍵であり、主な関連要素は、圧延ラインの異なる鋼種規格、圧延パス、圧延速度に基づいて、その最速生産ペースタイムを確定する圧延能力と、最小在炉時間に対するプロセス要件がある鋼種に対しては、一旦在炉時間が不足すると、早めに出鋼ペースタイムを下げたり、炉待ち温度を止めたりする必要がある最小在炉時間とを含む。
【0048】
実行可能な実施形態では、スラブ温度予報モデル精度評価知識ベースを取得するステップは、知能燃焼モデルが適応的に調節するために、各規格の炉内温度の予報精度を動的に評価することを含み、スラブ温度予報モデルの熱交換係数などのパラメータは、炉況の変化に伴い、経時的にドリフトが発生し、モデルの精度が低下した。モデル精度評価知識ベースは、知能燃焼モデルが適応的に調節するために各規格の炉内温度の予報精度を動的に評価し、スラブ温度予報精度を保証する。パラメータマップを図4に示す。
【0049】
実行可能な実施形態では、加熱炉エネルギー効率評価知識ベースを取得するステップは、生産データ、エネルギーデータ及び炉況に基づいて、加熱炉に対する客観的評価を形成することを含む。パラメータマップを図5に示す。
【0050】
実行可能な実施形態では、炉圧判別知識ベースを取得するステップは、炉圧制御の優先度が炉温制御よりも高い基準に従って、出炉側を微正圧状態に制御することを含む。パラメータマップを図6に示す。
【0051】
実行可能な実施形態では、空燃比最適化知識ベースを取得するステップは、合理的な空燃比を設定し、各セグメントの炉温の制御精度及び炉内雰囲気の制御精度を決定することを含む。パラメータマップを図7に示す。
【0052】
S203:加熱炉運転時にパラメータデータセンターが予め設定した人工知能、機械学習、及びパターン学習方法に基づいて、ビッグデータに対する知能分析により、加熱炉生産運転時のパラメータの関連マップを探し出して、ビッグデータ意思決定知識ベースを取得する。
【0053】
実行可能な実施形態では、ビッグデータ意思決定知識ベースは、
出炉温度、RDTにより、各加熱炉製品について規定される加熱目標を記述することを含む、加熱目標意思決定知識ベースを取得することを含み、スラブの加熱目標は、通常、出炉温度、RDTによって記述されるが、測定手段が限られているため、出炉目標温度は、RDTによって推定されることが多い。この知識ベースは、各規格の加熱目標を明確にする。パラメータマップを図8に示す。
【0054】
加熱システム意思決定知識ベースを取得するステップは、各運転状況での加熱曲線を含む。各規格の最適加熱曲線は多くの要素と関連しており、最適加熱曲線を確定することは炉温の知能制御を実現する前提である。各運転状況での各規格の加熱曲線の合理性は、スラブの加熱品質に直接表れている。パラメータマップを図9に示す。
【0055】
S204:加熱炉材料を追跡して修正し、圧延計画を実際スラブと1対1で対応させ、追跡位置を決定し、スラブの搬送方向を遍歴して、追跡・修正を行う。
【0056】
本発明の実施例において、加熱炉過程制御システムの主な機能は、スラブ物流追跡、温度追跡、炉温最適化設定等のモジュールにより、スラブ温度を制御目標とする最適化制御を実現し、スラブを最適な昇温曲線で目標出炉温度に加熱しつつ、エネルギー消費と焼損を低減する。システムの機能モジュールを図10に示す。
【0057】
実行可能な実施形態では、加熱炉材料の追跡ロジックが複雑であり、スラブの搬送方向が多様であるため、検出信号が正確で確実であり、必要な追跡修正機能を支援することが必要とされる。圧延計画を実際のスラブと1対1で対応させ、その位置を正確に追跡し、数学モデルにエントリパラメータを提供する。連続鋳造、MESのスラブデータを引き継ぎ、下流工程に伝達する。L1レベル検出信号を総合的に検証し、確実なロジックトリガ信号を生成する。豊富な修正機能を提供して、スラブの搬送方向のすべての可能性を遍歴する。
【0058】
S205:炉内でのスラブの昇温過程を予測し、数学モデルを採用して炉内の各時刻におけるスラブの温度分布を予報し、スラブ温度制御方程は、下記式(1)に示され、
ここで、ρ(t)はスラブの密度を示し、単位はKg/mであり、Cp(t)はスラブの比熱を示し、単位はKJ/Kg℃であり、λ(t)はスラブの熱伝導率を示し、単位はKJ/Kg℃である。
【0059】
実行可能な実施形態では、スラブ温度予報モデルでは、スラブ温度予報機能はスラブの出炉が終了するまで炉内のスラブの温度場分布をリアルタイムで計算する。スラブ加熱過程は、複雑であり、燃料の燃焼、気体の流動、熱や物質の移動等の複雑な物理化学過程に関する。スラブ加熱制限要素は、炉のサイズ、炉壁の熱特性、スラブのサイズ、スラブの熱物性、燃料の種類及び熱供給量、空気、燃料予熱温度及び空燃比、炉ガスの熱特性、炉ガスの運動、スラブの運動など、多くある。スラブ温度検出が困難であり、スラブの加熱過程及び出炉温度と均一性を正確に制御するために、炉内でのスラブの昇温過程を予測する、即ち、数学モデルを採用して炉内の各時刻におけるスラブの温度分布を予報する必要がある。
【0060】
S206:スラブ温度制御方程に従って、炉温最適化モデルを作成する。
【0061】
好ましくは、炉温最適化モデルを作成するステップS206は、
オフライン最適化を行い、基礎炉温テーブル、即ち炉温カーペットプロットを作成するステップS261と、
オンライン動的最適化を行い、加熱プロセスと生産ペースタイムに応じて、スラブ昇温過程をシミュレーションし、目標加熱プロセスに達するために必要な必須炉温を逆算するステップS262と、
総合炉温、炉のセグメント内の各スラブの位置、目標温度要素がすべて異なると、各スラブのセグメント内の重み値も異なり、各スラブ炉温オンライン最適化に基づいて、各スラブに異なる重み値を与えるステップS263とを含む。
【0062】
実行可能な実施形態では、炉温最適化制御の前提は、L1レベルで炉温閉ループを実現し、モデルは、炉内スラブの鋼種と規格に基づいて各ゾーンの炉温を動的に調整することである。第1ステップでは、オフライン最適化を行い、基礎炉温計、すなわち炉温カーペットプロットを作成する。鋼種、スラブの厚さ、幅、コイルの幅、厚さ、装入温度、目標温度、在炉時間などの要素を総合的に考慮し、オフライン最適化により最適な昇温過程と最適な炉温を得る。第2ステップでは、オンライン動的最適化を行い、加熱プロセスと生産ペースタイムに応じて、スラブの昇温プロセスをシミュレーションし、目標加熱プロセスに達するために必要な必須炉温を逆算し、この炉温は、各単一スラブの昇温に必要な炉温である。第3ステップでは、総合炉温、炉のセグメント内の各スラブの位置、目標温度要素がすべて異なると、各スラブのセグメント内の重み値も異なり、各スラブ炉温オンライン最適化に基づいて、各スラブに異なる重み値を与える。図11に示すとおりである。
【0063】
S207:メカニズムモデルに基づく加熱炉燃焼制御システムと前記ビッグデータクラウドプラットフォームを融合し、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御を行う。
【0064】
実行可能な実施形態では、伝統的な加熱炉燃焼制御システムのボトルネックを打破するために、複雑な生産運転状況と炉況の変化に対応するために、メカニズムモデルとクラウドプラットフォームビッグデータ意思決定知識ベースを融合する。システムは、スイッチを設置することで、ビッグデータ専門家知識ベースがオンライン制御に関与するかどうかを制御する。
【0065】
本発明の実施形態において、メカニズムモデルは、データ駆動型モデルに対するものであり、一般的には、伝統的なメカニズムに基づいて作成されたモデルを指し、本発明の実施例におけるメカニズムモデルは、スラブ加熱温度場モデルを指す。
【0066】
ビッグデータプラットフォームは、データ収集情報に基づいて同期炉内データ映像を作成し、各意思決定知識ベースを繰り返し更新し、各知識ベース情報を総合し、API関数により加熱炉燃焼制御システムにプロセス、時間制御パラメータをリアルタイムで送信する。炉内スラブのデータ構造は、以下の通りである。本発明の実施例において、本発明により提供されるビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法は、成熟した人工知能、ビッグデータ技術により、完全で独立した生産相関性データ知識ベースを作成する。知能燃焼モデルはこの知識ベースに基づいて、メカニズムモデルを用いて、現在の炉況、運転状況でのスラブの最適な加熱曲線及びスラブの品質を確保するために必要な炉温、ひいては空燃比を計算し、それらを元の加熱炉システムにリアルタイムで配信することにより、加熱炉燃焼の知能制御を実現する。
【0067】
炉内スラブのデータ構造は以下の通りである。
#define FCEZONE_MAX 5
// 加熱炉のセグメント数
#define SLABNO_LEN 16
// スラブ番号の文字列長さ
#define SCHNUMBER_LEN 15
// 計画号の文字列長さ
#define STEELGRADE_LEN24
// 鋼種の文字列長さ
#define CUSTOMER_STEELGRADE_LEN 12
// カスタマー鋼種の文字列長さ
#define QUATYPE_LEN 20
// 材質タイプ長さ
struct SLAB_TRACK
{
// 基本情報
char SlabNo[SLABNO_LEN + 1]; // スラブ番号
char RPNo[SCHNUMBER_LEN + 1]; // 計画号
char SteelGrade[STEELGRADE_LEN + 1]; // 鋼種
char CustomerSteelGrade[STEELGRADE_LEN + 1]; // カスタマー鋼種
char CUSTOM_SGC_UPD[STEELGRADE_LEN + 1]; // 改判鋼種
int Series; // 鋼種系列

short FCENo; // 炉番号
short FCERow; // 列番号 0:ロングスラブ;1:近圧延機側;2:遠圧延機側
int Disch_Sequ; // 出炉番号
short IsSingle; //シングルスラブか 0:いいえ 1:はい
long RollSequ; // 圧延順序&&計画番号
short SlabPos; // スラブ位置
float SlabExitDis; // スラブの前縁の出炉ドアからの距離(出炉側は原点) [mm]
float SlabChargeDisX; // スラブの後縁の装入ドアからの距離(装入側は原点) [mm]
float DisFromWall; // スラブの側壁からの距離 [mm]
short HearthDis; // ロングスラブセンター位置 0:炉の真中;1:近圧延機側;2:遠圧延機側
short HeatSect; // 所在加熱セグメントの番号 1:熱回收;2:予熱;3:1回目加熱;4: 2回目加熱;5:均熱
short HGFlag; // 冷温スラブフラグ 0:冷スラブ; 1:温スラブ; 2:熱スラブ
// 原料データ
float SlabLen; // スラブ長さ [mm]
float SlabWid; // スラブ幅 [mm]
float SlabThk; // スラブ厚さ [mm]
float SlabWet; // スラブ重さ [ton]
float SlabTrgTemp; // スラブ目標温度 [´C]
// コイルテ゛ータ
float CoilThk; // コイル厚さ
float CoilWid; // コイル幅
short IsNarrow; //狭いか 0: 狭くない 1: 狭い
short SteelGradeType; // 鋼種タイプ 0: 普通炭素 1: 品種
// クラス組情報
short Crew; //組(1-甲;2-乙;3-丙;4-丁) [--]
short Shift; //クラス(1-朝;2-昼;3-夜) [--]
POS_INFO SlabPosInfo; // スラブ位置追跡情報
TEMP_INFO SlabTempInfo; // スラブ温度追跡情報
KNLDGE_BASE KnldgeInfo; // ビッグデータ意思決定知識ベース情報
STATISTIC_INFO StatisticInfo; // スラブ統計情報
}
//
// ビッグデータ知識ベース
//
struct KNLDGE_BASE
{
float EndTempInZoneTrg[FCEZONE_MAX]; // セグメント搬出スラブ温度目標 [´C]
float AirFuelRatioTrg[FCEZONE_MAX]; // 各セグメントの空燃比目標 [--]
float FCETempUP[FCEZONE_MAX]; // 各セグメントの炉温(上) [´C]
float FCETempDN[FCEZONE_MAX]; // 各セグメントの炉温(下) [´C]
float InZoneTime[FCEZONE_MAX]; // セグメント停留時間 [min]
【0068】
本発明の実施例において、本発明により提供されたビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法は、成熟した人工知能、ビッグデータ技術により、完全で独立した生産相関性データ知識ベースを作成する。知能燃焼モデルはこの知識ベースに基づいて、メカニズムモデルを用いて、現在の炉況、運転状況でのスラブの最適な加熱曲線及びスラブの品質を確保するために必要な炉温、ひいては空燃比を計算し、それらを元の加熱炉システムにリアルタイムで配信することにより、加熱炉燃焼の知能制御を実現する。
【0069】
図12は、例示的な実施例に係るビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御装置を示すブロック図である。図12に示されたように、この装置300は、
加熱炉生産運転パラメータに基づいてビッグデータクラウドプラットフォームを構築するプラットフォーム構築モジュール310と、
前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づいて、ビッグデータマイニング技術を採用して、加熱炉生産過程に重要な要素の識別と分析を行い、相関性データ知識ベース及びビッグデータ意思決定知識ベースを取得する知識ベース構築モジュール320と、
メカニズムモデルに基づいて加熱炉燃焼制御システムの独立配置を行うモデル配置モジュール330と、
メカニズムモデルに基づく加熱炉燃焼制御システムと前記ビッグデータクラウドプラットフォームを融合し、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御を行う知能制御モジュール340とを備える。
【0070】
好ましくは、プラットフォーム構築モジュール310は、データ記憶量、同時アクセス数、加熱炉専門家知識ベース、及びモデルベース研究開発過程における計算需要量関連要素を分析することにより、ビッグデータクラウドプラットフォームのハードウェア装置、パラメータ及び分業を設計する。
前記ビッグデータクラウドプラットフォームは、三層構造を採用し、底層はビッグデータクラウドプラットフォームインフラ層であり、中間層はビッグデータクラウドプラットフォームサポート層であり、最上層は知識ベースサービス層である。
【0071】
好ましくは、インフラ層は、ビッグデータクラウドプラットフォームのハードウェアリソースの仮想化と管理サービスに使用され、前記ビッグデータクラウドプラットフォームサポート層は、加熱炉生産過程においてパラメータの収集、記憶、マイニング分析及び可視化の研究開発をサポートするラットフォームに使用され、前記知識ベースサービス層は、加熱炉生産過程の重要な生産要素を記憶する相関性データ知識ベースに使用される。
【0072】
好ましくは、知識ベース構築モジュール320は、前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づいて、ビッグデータマイニング技術を採用して、加熱炉生産過程に重要な要素を識別して、相関性データ知識ベースを取得する。
加熱炉運転時にパラメータデータセンターが予め設定した人工知能、機械学習、及びパターン学習方法に基づいて、ビッグデータに対する知能分析により、加熱炉生産運転時のパラメータの関連マップを探し出して、ビッグデータ意思決定知識ベースを取得する。
【0073】
好ましくは、知識ベース構築モジュール320は、各種の計画混載に対して、加熱セグメントごとに、鋼種、位置重み値、アイドルステーションのレイアウト、目標温度、現在温度、予測セグメント搬出温度から、さまざまなスラブの加熱システムを評価し、加熱炉の炉況と運転状況の状態パラメータを検知して統一的に計画し、複雑な運転状況・炉況知識ベースを取得する。
スラブ温度予報モデル精度評価知識ベースを取得することは、知能燃焼モデルが適応的に調節するために、各規格の炉内温度の予報精度を動的に評価することを含む。
加熱炉エネルギー効率評価知識ベースを取得することは、生産データ、エネルギーデータ及び炉況に基づいて、加熱炉に対する客観的評価を形成することを含む。
炉圧判別知識ベースを取得することは、炉圧制御の優先度が炉温制御よりも高い基準に従って、出炉側を微正圧状態に制御することを含む。
空燃比最適化知識ベースを取得することは、合理的な空燃比を設定し、各セグメントの炉温の制御精度及び炉内雰囲気の制御精度を決定することを含む。
【0074】
好ましくは、知識ベース構築モジュール320は、出炉温度、RDTにより、各加熱炉製品について規定される加熱目標を記述して、加熱目標意思決定知識ベースを取得する。
各運転状況での加熱曲線を統計して、加熱システム意思決定知識ベースを取得する。
【0075】
好ましくは、モデル配置モジュール330は、加熱炉材料を追跡して修正し、圧延計画を実際スラブと1対1で対応させ、追跡位置を決定し、スラブの搬送方向を遍歴して、追跡・修正を行う。
炉内でのスラブの昇温過程を予測し、数学モデルを採用して炉内の各時刻におけるスラブの温度分布を予報し、スラブ温度制御方程は、下記式(1)に示され、
ここで、ρ(t)はスラブの密度を示し、Cp(t)はスラブの比熱を示し、λ(t)はスラブの熱伝導率を示し、
前記制御方程に従って、炉温最適化モデルを作成する。
【0076】
好ましくは、モデル配置モジュール330は、オフライン最適化を行い、基礎炉温テーブル、即ち炉温カーペットプロットを作成する。
オンライン動的最適化を行い、加熱プロセスと生産ペースタイムに応じて、スラブ昇温過程をシミュレーションし、目標加熱プロセスに達するために必要な必須炉温を逆算する。
総合炉温、炉のセグメント内の各スラブの位置、目標温度要素がすべて異なると、各スラブのセグメント内の重み値も異なり、各スラブ炉温オンライン最適化に基づいて、各スラブに異なる重み値を与える。
【0077】
好ましくは、知能制御モジュール340は、メカニズムモデルに基づく加熱炉燃焼制御システムと前記ビッグデータクラウドプラットフォームを融合し、ビッグデータクラウドプラットフォームはデータ収集情報に基づいて同期炉内データ映像を作成し、各意思決定知識ベースを繰り返し更新し、前記各知識ベースの情報を総合して、API関数により加熱炉燃焼制御システムにプロセス、時間制御パラメータをリアルタイムで送信し、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御を行う。
【0078】
本発明の実施例において、本発明により提供されたビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法は、成熟した人工知能、ビッグデータ技術により、完全で独立した生産相関性データ知識ベースを作成する。知能燃焼モデルはこの知識ベースに基づいて、メカニズムモデルを用いて、現在の炉況、作業状況でのスラブの最適な加熱曲線及びスラブの品質を確保するために必要な炉温、ひいては空燃比を計算し、それらを元の加熱炉システムにリアルタイムで配信することにより、加熱炉燃焼の知能制御を実現する。
【0079】
図13は、本発明の実施例により提供される電子装置400の構造概略図であり、この電子装置400は、構成または性能によって大きく異なってもよく、1つまたは複数のプロセッサ(central processing units、CPU)401と1つまたは複数のメモリ402を含むことができ、その中、前記メモリ402には、前記プロセッサ401によってロードされ、実行されると、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法の下記ステップを実現するための少なくとも1つの命令が記憶されている。
S1:加熱炉生産運転パラメータに基づいてビッグデータクラウドプラットフォームを構築する。
S2:前記ビッグデータクラウドプラットフォームに基づいて、ビッグデータマイニング技術を採用して、加熱炉生産過程に重要な要素の識別と分析を行い、相関性データ知識ベース及びビッグデータ意思決定知識ベースを取得する。
S3:メカニズムモデルに基づいて加熱炉燃焼制御システムの独立配置を行う。
S4:メカニズムモデルに基づく加熱炉燃焼制御システムと前記ビッグデータクラウドプラットフォームを融合し、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御を行う。
【0080】
例示的な実施例では、端末のプロセッサによって実行されて、ビッグデータクラウドプラットフォームに基づく加熱炉燃焼知能制御方法を実現するための命令を含むコンピュータ可読記憶媒体も提供する。例えば、前記コンピュータ可読記憶媒体は、ROM、ランダムアクセスメモリ(RAM)、CD-ROM、磁気テープ、フロッピー(登録商標)ディスク、光データ記憶装置などであってもよい。
【0081】
当業者は、上述の実施形態を実現するためのすべてまたは一部のステップはハードウェアによって実行することができ、または関連するハードウェアに対してプログラムによって実行を指示することができ、前記プログラムはコンピュータ可読記憶媒体に記憶することができ、上述の記憶媒体は読み取り専用メモリ、磁気ディスク、またはコンパクトディスクなどであってもよいことを理解することができる。
【0082】
上記は本発明の好適な実施例にすぎず、本発明を限定するものではなく、本発明の精神と原則内で行われたいかなる補正、等価置換、改良などは、本発明の保護範囲に含まれるべきである。