(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041728
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】ドリルパイプ要素を締め付けるための締付けヘッドアセンブリ
(51)【国際特許分類】
E21B 10/62 20060101AFI20240319BHJP
【FI】
E21B10/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023146719
(22)【出願日】2023-09-11
(31)【優先権主張番号】22195706
(32)【優先日】2022-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】514066712
【氏名又は名称】ユーロドリル ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】EURODRILL GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トビアス モスカリトロ
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129BA18
2D129GA02
(57)【要約】
【課題】ドリルパイプ要素を締め付けるための締付けヘッドアセンブリを提供する。
【解決手段】締付けヘッドアセンブリ10は、締付けヘッドベース12と、ドリルパイプ要素に関する締付け位置と解放位置との間で半径方向に調整可能な締付けジョーベースボディ20と、締め付ける対象であるドリルパイプ要素の形状に適合されており、締付け位置においてドリルパイプ要素に当接するように、および締付け位置においてドリルパイプ要素を締め付けるように構成された、アダプタ要素30と、を含む。アダプタ要素30は、締付けジョーベースボディ20にロックされたロック位置と、締付けジョーベースボディ20から解放された解放位置とで作動可能であり、解放位置で締付けジョーベースボディ20から取外し可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドリルパイプ要素を締め付けるための締付けヘッドアセンブリであって、
締付けヘッドベースと、
前記締付けヘッドベースのところで前記ドリルパイプ要素に関する締付け位置と解放位置との間で半径方向に調整可能な少なくとも1つの締付けジョーベースボディと、
前記締付けジョーベースボディ上の少なくとも1つのアダプタ要素と
を備え、前記アダプタ要素が、締め付ける対象である前記ドリルパイプ要素の形状に適合されており、前記アダプタ要素が、前記締付け位置において前記ドリルパイプ要素に当接するように、および前記締付け位置において前記ドリルパイプ要素を締め付けるように構成され、
前記アダプタ要素が、前記締付けジョーベースボディ上に解放可能に配置されており、前記アダプタ要素を、作動可能なロック装置によってロックすることができ、
前記ロック装置が、少なくとも1つのラッチ要素を備え、前記少なくとも1つのラッチ要素が、前記アダプタ要素が前記締付けジョーベースボディにロックおよび固定されたロック位置と、前記アダプタ要素が前記締付けジョーベースボディから解放された解放位置であり、前記アダプタ要素が前記締付けジョーベースボディから取外し可能である前記解放位置との間で調整可能である
ことを特徴とする締付けヘッドアセンブリ。
【請求項2】
請求項1に記載の締付けヘッドアセンブリであって、
前記締付けヘッドベースが実質的に円筒状または管状の設計のものである
ことを特徴とする締付けヘッドアセンブリ。
【請求項3】
請求項1に記載の締付けヘッドアセンブリであって、
締め付ける対象である前記ドリルパイプ要素の外周上に分散するように複数の締付けジョーベースボディが配置されている
ことを特徴とする締付けヘッドアセンブリ。
【請求項4】
請求項1に記載の締付けヘッドアセンブリであって、
少なくとも1つのラッチ要素が、付勢装置によって前記ロック位置に付勢および保持されている
ことを特徴とする締付けヘッドアセンブリ。
【請求項5】
請求項1に記載の締付けヘッドアセンブリであって、
前記少なくとも1つのラッチ要素が、前記ラッチ要素を前記ロック位置から前記解放位置に調整するための作動部分を備える
ことを特徴とする締付けヘッドアセンブリ。
【請求項6】
請求項1に記載の締付けヘッドアセンブリであって、
前記少なくとも1つのラッチ要素が、締付けジョーベースボディ上または締付けジョーベースボディ内に変位可能に装着されており、
前記ロック位置では、前記ラッチ要素の作動部分が、前記締付けジョーベースボディに関して突き出ている
ことを特徴とする締付けヘッドアセンブリ。
【請求項7】
請求項1に記載の締付けヘッドアセンブリであって、
前記少なくとも1つの締付けジョーベースボディが、軸方向に変位可能であるように装着されており、
前記締付けヘッドベース上にウェッジ仕切弁機構が形成されており、前記ウェッジ仕切弁機構によって、前記少なくとも1つの締付けジョーベースボディの軸方向移動を半径方向締付け移動に変換することができる
ことを特徴とする締付けヘッドアセンブリ。
【請求項8】
請求項1に記載の締付けヘッドアセンブリであって、
前記締付けヘッドベース上に少なくとも1つの止め具が配置されており、前記ラッチ要素の作動部分が、前記少なくとも1つの止め具に当接した状態で移動可能であり、前記ラッチ要素が、そのロック位置から前記解放位置に調整可能である
ことを特徴とする締付けヘッドアセンブリ。
【請求項9】
請求項1に記載の締付けヘッドアセンブリであって、
前記アダプタ要素が、前記締付けジョーベースボディの凹みの中に突き出た少なくとも1つの保持部分を備え、
前記少なくとも1つの保持部分が、前記締付けジョーベースボディの前記少なくとも1つのラッチ要素と協働して、前記アダプタ要素を前記締付けジョーベースボディに少なくとも確実に固定するように構成されている
ことを特徴とする締付けヘッドアセンブリ。
【請求項10】
請求項9に記載の締付けヘッドアセンブリであって、
前記保持部分が、その上にロック凹みが形成された保持ピンを備え、前記ロック凹みにおいて、前記ラッチ要素が、ロック位置に確実にロックするためのラッチ部分と係合する
ことを特徴とする締付けヘッドアセンブリ。
【請求項11】
請求項10に記載の締付けヘッドアセンブリであって、
前記ラッチ要素が解放部分を備え、前記解放部分が、前記保持部分を備える前記アダプタ要素が前記締付けジョーベースボディから取外し可能となるように、前記解放位置において前記ロック凹み上に配置される
ことを特徴とする締付けヘッドアセンブリ。
【請求項12】
請求項1に記載の締付けヘッドアセンブリであって、
調整装置、特に少なくとも1つの調整シリンダを有する調整装置が配置されており、前記調整装置によって、前記少なくとも1つの締付けジョーベースボディが調整可能である
ことを特徴とする締付けヘッドアセンブリ。
【請求項13】
ボアホールを形成するための掘削装置、特に地面にボアホールを形成するための掘削装置において、少なくとも1つのドリルパイプ要素を備える掘削装置であって、
請求項1に記載の締付けヘッドアセンブリが提供されている
ことを特徴とする掘削装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドリルパイプ要素を締め付けるための締付けヘッドアセンブリであって、締付けヘッドベースと、締付けヘッドベースのところでドリルパイプ要素に関する締付け位置と解放位置との間で半径方向に調整可能な少なくとも1つの締付けジョーベースボディと、締付けジョーベースボディ上の少なくとも1つのアダプタ要素とを備え、アダプタ要素が、締め付ける対象であるドリルパイプ要素の形状に適合されており、アダプタ要素が、締付け位置においてドリルパイプ要素に当接するように、および締付け位置においてドリルパイプ要素を締め付けるように構成された、請求項1のプリアンブルに記載の締付けヘッドアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
知られている締付けヘッドアセンブリは、例えば、特許文献1に記載されている。この知られているアセンブリでは、互いに120°ずらして配置された3つの締付けジョーによってドリルパイプ要素を締め付け、保持することができる。このような締付けヘッドアセンブリは特に、ドリルパイプがいくつかのドリルパイプ要素、特にねじ接続されたいくつかのドリルパイプ要素からなる掘削装置上で使用される。特に、追加のドリルパイプ要素をねじ接続するとき、またはボアホールからの引出し中にドリルパイプ要素をゆるめるときに、このような締付けヘッドアセンブリを使用することができ、例えば、ボアホールからの引出し中に既存のドリルパイプが滑ってボアホールの中に戻らないように既存のドリルパイプを保持するためにこのような締付けヘッドアセンブリを使用することができる。締め付けられた状態では摩擦力によって締付けジョーが高いトルクを伝達することができるため、ここでは、ドリルパイプ内のねじ接続をゆるめることおよび締めることも重要な態様である。掘削装置のタイプに応じて、このような締付けヘッドアセンブリは、軸方向に移動可能とすることまたは半径方向に移動可能とすることもできる。
【0003】
締付けヘッドアセンブリは、それによって締付けジョーがドリルパイプの外周と可能な限り大きな面積にわたって接触する接触面を有する締付けジョーを備える。このことは、可能な限り高い接着力および摩擦力を可能にし、したがってドリルパイプに対する可能な限り良好な保持力を可能にする。
【0004】
したがって、ドリルパイプの直径を変更するときには、アダプタ要素と呼ぶこともできる実際の締付けジョーを交換すること、および実際の締付けジョーを、ドリルパイプの変更後の外周に適合した輪郭を有する他の締付けジョーと交換することが一般的な慣行である、
【0005】
この目的のため、締付けジョー上の接続装置をゆるめ、既存の締付けジョーを取り外し、既存の締付けジョーを新たな締付けジョーと交換することが知られている。次いで、締付けヘッドアセンブリを再び使用することができるように、この接続装置を再び閉じなければならない。これらの変更は手動で実施しなければならず、かなりな量の時間および労力を必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の根底にある目的は、変更されたドリルパイプ要素に対する適合を効率的に実施することができる締付けヘッドアセンブリを明細に記すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この目的は、請求項1に記載の特徴を有する締付けヘッドアセンブリによって達成される。本発明の好ましい実施形態が従属請求項に記載されている。
【0009】
本発明による締付けヘッドアセンブリは、アダプタ要素が、締付けジョーベースボディ上に解放可能に配置されており、アダプタ要素を、作動可能なロック装置によってロックすることができること、ならびにロック装置が、少なくとも1つのラッチ要素を備え、少なくとも1つのラッチ要素が、アダプタ要素が締付けジョーベースボディにロックおよび固定されたロック位置と、アダプタ要素が締付けジョーベースボディから解放された解放位置であり、アダプタ要素が締付けジョーベースボディから取外し可能である解放位置との間で調整可能であることを特徴とする。
【0010】
本発明の基本的着想は、実際の締付けジョーであるアダプタ要素を締付けジョーベースボディ上に解放可能に装着すること、およびアダプタ要素を、作動可能なロック装置によってロックすることである。それによって、複雑な接続装置、特にねじを含む複雑な接続装置を省くことができる。その代わりに、ラッチ要素を備える操作しやすいロック装置、好ましくは、ラッチ要素を備える自動的にまたは半自動的に作動する操作しやすいロック装置が提供される。このラッチ要素は、単純なラッチ移動、特に直線的または円弧移動によって、ロック位置と解放位置との間で調整可能である。したがって、締付けジョーベースボディ上のこのロック装置を使用して、アダプタ要素を迅速に解放およびロックすること、したがってアダプタ要素を効率的に交換することができる。
【0011】
本発明の好ましい一実施形態は、締付けヘッドベースが実質的に円筒状または管状の設計のものであることである。締付けヘッドベースは、その上に締付けジョーベースボディが装着されたベースボディまたはフレームを表す。締付けヘッドベースは環状またはスリーブ形とすることができ、ドリルパイプ要素の外面を取り囲むものとすることができる。その代わりにまたはそれに加えて、管状ロッド要素の内側に締付けヘッドベースを配置することができるように、締付けヘッドベースをロッド形にすることまたは同様の形状に設計することもできる。したがって、締付けヘッドベースの設計に応じて、ドリルパイプ要素の外側および/またはドリルパイプ要素の内側で締付けを実施することができる。
【0012】
単純な実施形態では、締付けジョーまたはアダプタ要素によってドリルパイプ要素上に供給することができる単一の締付けジョーベースボディを配置するだけで十分なことがある。本発明の追加の発展形態によれば、締め付ける対象であるドリルパイプ要素の外周上に分散するように複数の締付けジョーベースボディが配置されていると特に有利である。特に、対応するアダプタ要素を備える2つ、3つもしくは4つまたは他の適当な数の締付けジョーベースボディを、ドリルパイプエレメントの外周上に一平面内で分散するように配置することができる。特に、互いの当接力を相殺することができるように、アダプタ要素は、半径方向において互いの反対側に配置される。
【0013】
本発明の別の実施形態によれば、少なくとも1つのラッチ要素が付勢装置によって付勢されており、ロック位置に保持されていると有利である。締付けヘッドアセンブリの全てのラッチ要素は、ロック位置に付勢されて保持されることが好ましい。このことはフェイルセイフ動作を保証する。この場合、この付勢装置を特に、ばね力によってラッチ要素をロック位置に保持する引張りばねとすることができる。したがって、アダプタ要素を解放するためには、付勢装置に逆らう力によって、ラッチ要素を解放位置に能動的に移動させなければならない。この力が除かれた後、ラッチ要素はロック位置に戻る。
【0014】
少なくとも1つのラッチ要素が、ラッチ要素をロック位置から解放位置に調整するための作動部分を備えるとさらに好ましい。特に、この作動部分はピンまたはボルトとすることができ、このピンまたはボルトは、締付けジョーのベースボディに関して突き出ていることが好ましい。作動部分を作動させることによって、特に、作動部分に圧縮力を加えることによって、ラッチ要素をロック位置から解放位置に調整することができる。
【0015】
特に、本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つのラッチ要素が、締付けジョーベースボディ上または締付けジョーベースボディ内に変位可能に装着されており、ロック位置では、ラッチ要素の作動部分が、締付けジョーベースボディに関して突き出ていると有利である。ラッチ要素は、締付けジョーベースボディ上または締付けジョーベースボディ内の対応するレセプタクルの中に調節可能に装着することができることが好ましい。作動部分を単純な方式で作動させることができるように、ラッチ要素の作動部分はこのレセプタクルから突き出ていることが好ましい。
【0016】
本発明の追加の実施形態によれば、少なくとも1つの締付けジョーベースボディが、軸方向に変位可能であるように装着されていること、および締付けヘッドベース上にウェッジ仕切弁機構が形成されており、このウェッジ仕切弁機構によって、少なくとも1つの締付けジョーベースボディの軸方向移動を半径方向締付け移動に変換することができることが好ましい。締付けジョーベースボディの縦方向の軸方向変位がさらに、締付けジョーベースボディの半径方向の調整および締付け移動に帰着するように、案内バー、特に、ドリルパイプの縦軸に対して斜めに向けられた案内バーを締付けヘッドベース上に配置することができ、または、締付けヘッドベースを全体として円錐設計とすることができる。
【0017】
追加の発展形態によれば、締付けヘッドベース上に少なくとも1つの止め具が配置されており、ラッチ要素の作動部分が、この少なくとも1つの止め具に当接した状態で移動可能であり、ラッチ要素を、そのロック位置から解放位置に調整することができると特に有利である。特に、締付けジョーベースボディのある調整移動の後に止め具に当接した状態で作動要素が軸方向に押されるように、軸方向移動の間、作動要素は、移動方向前方に突き出すことができる。止め具は、ドリルパイプを締め付けるための通常の軸方向締付け移動の間は作動部分が止め具と接触しないように配置される。むしろ、作動部分と止め具との接触は、ドリルパイプ要素の締付けが提供されておらず、したがって締付けヘッドアセンブリ内にドリルパイプが配置されていない場合にのみ可能である。したがって止め具を使用して、作動要素によってラッチ要素をロック位置から解放位置に調整することができる。次いで、この位置において、ロックされていないアダプタ要素を締付けジョーベースボディから取り外し、適合した新たなアダプタ要素を挿入することができる。この構成を使用することによって、この作動ドライブをロック解除またはロックために使用することができ、このロック解除またはロックは、掘削動作中に締付け移動を実行するためにも提供される。
【0018】
本発明の好ましい一実施形態は、特に、調整装置、特に少なくとも1つの調整シリンダを有する調整装置が配置されており、この調整装置によって、少なくとも1つの締付けジョーベースボディが調整可能であることである。この調整装置は、特に、1つまたは複数の液圧シリンダを備えることができ、この1つまたは複数の液圧シリンダは、締め付ける対象であるドリルパイプ要素の縦軸に対して平行に整列していることが好ましい。
【0019】
本発明の別の適切な実施形態は、アダプタ要素が、締付けジョーのベースボディの凹みの中に突き出た少なくとも1つの保持部分を備え、この少なくとも1つの保持部分が、締付けジョーベースボディの少なくとも1つのラッチ要素と協働して、アダプタ要素を締付けジョーベースボディに少なくとも確実に固定するように構成されていることである。固定は、確実に実施することができるだけでなく、不確実に実施することもできることが好ましい。
【0020】
特に、保持部分が、その上にロック凹みが形成された保持ピンを備え、このロック凹みにおいて、ラッチ要素が、ロック位置に確実にロックするためのラッチ部分と係合すると有利である。保持部分上に、その中でラッチ要素が少なくとも1つのラッチ部分と確実に係合する貫通穴、または好ましくは外面の凹み、特に環状の凹みを配置することができる。このことは、締付けジョーベースボディ上にアダプタ要素を確実に保持することを保証する。
【0021】
さらに、本発明の一実施形態によれば、ラッチ要素が解放部分を備え、この解放部分が、保持部分を備えるアダプタ要素が締付けジョーのベースボディから取外し可能となるように、解放位置においてロック凹み上に配置されることを提供することができる。特に、ラッチ要素を、凹みによって解放部分が形成されたピンまたはボルト形のラッチ要素とすることができる。したがって、解放部分のこの凹みを、アダプタ要素の保持部分のロック凹みの領域内に移動させた場合、確実なロックを解放することができる。この解放位置では、保持部分を備えるアダプタ要素を締付けジョーベースボディから解放し、取り外すことができる。
【0022】
本発明はさらに、ボアホールを形成するための掘削装置、特に地面にボアホールを形成するための掘削装置において、少なくとも1つのドリルパイプ要素を備える掘削装置であって、本発明による上述の締付けヘッドアセンブリが提供された掘削装置を含む。このような掘削装置を使用することによって、特にドリルパイプを外径の異なるドリルパイプと交換する場合に、上述の利点を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明による締付けヘッドアセンブリの断面図である。
【
図2】アダプタ要素がロック位置に挿入されている締付けジョーベースボディの透視図である。
【
図3】関連ラッチ要素がロック位置にあるアダプタ要素の透視図である。締付けジョーベースボディは示されていない。
【
図4】
図3の透視図に対応しているが、ラッチ要素が解放位置にある、アダプタ要素およびラッチ要素の透視図である。
【
図5】解放位置においてアダプタ要素が取り外されるときの、
図2による締付けジョーベースボディの透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、図面に概略的に示されている好ましい例示的な実施形態を参照して、本発明をさらに説明する。
【0025】
図1は、スリーブ形締付けヘッドベース12を備える本発明による締付けヘッドアセンブリ10を概略的に示している。締付けヘッドアセンブリ10は、雄ねじ84を有する接続部品によって、部分的に示された回転ドライブ80、特に、回転駆動式出力要素82にしっかりと取り付けることができる。したがって、締付けヘッドベース12は、回転ドライブ80の出力要素82と一緒に回転することができる。出力要素82の雄ねじ84によって、対応する雌ねじを有するドリルパイプをねじ止めすることができる。ドリルパイプは、スリーブ形締付けヘッドベース12の内側に配置され、
図1には示されていない。
【0026】
スリーブ形締付けヘッドベース12の外側には締付けヘッドキャリッジ14が、軸方向に変位可能に装着されている。軸方向に変位させるために、やはり
図1に概略的に示されているように、1つまたは複数の調整シリンダ72を有する調整装置70を配置することができる。調整装置70は、掘削装置などのベースボディ(図示せず)に固定されて取り付けることができ、回転駆動要素82に対して静止することができる。この少なくとも1つの調整シリンダ72によってアクチュエータ74を変位させることができ、アクチュエータ74は、軸方向に移動可能な締付けキャリッジ14に、ピボット軸受76によって接続されている。このようにすると、相対的に固定された調整装置70から、締付けヘッドベース12において縦および/または回転軸の周りを回転している締付けキャリッジ14に、軸方向作動移動を伝達することができる。
【0027】
締付けキャリッジ14の前面において、環状ホルダ22によって、締付けキャリッジ14に1つまたは複数の締付けジョーベースボディ20を接続することができる。ホルダ22は、少なくとも1つの締付けジョーベースボディ20と軸方向に固定された接続を形成するが、締付けヘッドベース12に対する締付けジョーベースボディ20の縦または回転軸に関する半径方向移動は可能にするように構成されたものとすることができる。
【0028】
締付けジョーベースボディ20が、締付けヘッドベース12の外面に固定されて取り付けられた対応する傾斜または円錐案内要素17とウェッジ仕切弁機構18を形成するように、締付けジョーベースボディ20の外面は傾斜している、または、締付けジョーベースボディ20の外面にテーパが付けられている。ウェッジ仕切弁機構18は、締付けキャリッジ14の軸方向前進移動中に、締付けジョーベースボディ20が軸方向に調整されるだけでなく、規定された方式で半径方向、特に半径方向内側にも調整されるように構成されている。
【0029】
板状アダプタ要素30、好ましくは内面が円弧状で、締め付ける対象であるドリルパイプ要素に対して適合された板状アダプタ要素30が、締付けジョーベースボディ20上の半径方向内側に配置されている。アダプタ要素30は、締付けヘッドベース12の窓状通路16を通って、半径方向外側に取り付けられた締付けジョーベースボディ20から、スリーブ形締付けヘッドベース12の内側空間内に延びている。アダプタ要素30が取り付けられた締付けジョーベースボディ20の引き起こされた半径方向移動は、締付けヘッドベース12内に配置された円筒状ドリルパイプ要素の半径方向の圧力嵌め締付けを可能にする。調整装置70によって締付けキャリッジ14を戻すことによって、アダプタ要素30を備える締付けジョーベースボディ20は再び半径方向に戻され、ドリルパイプ要素の締付けは解放される。
【0030】
本発明によれば、アダプタ要素30はそれぞれ、ロック装置40によって、締付けジョーベースボディ20上に解放可能および交換可能に保持されており、ロック装置40は、縦または回転軸に対して平行に配置されたボルト状ラッチ要素42であって、関連する締付けジョーベースボディ20の端面に関して軸方向に突き出たピン状作動部分44を有するボルト状ラッチ要素42を有する。
【0031】
ロック装置40を解放するために、締付けジョーベースボディ20を、ラッチ要素42の作動部分44が軸方向止め具60に押し付けられた前方端位置まで移動させることができる。ロック装置40の動作については、残りの図に関して後により詳細に説明する。
【0032】
図2は、締付けジョーベースボディ20の拡大図を示している。締付けジョーベースボディ20は、保持部分36を備えるアダプタ要素30がぴったりと挿入された凹み26を有する。
図2はさらに、アダプタ要素30がその上面に円弧状締付け面32を有すること、および円弧状締付け面32の輪郭が、締め付ける対象である円筒状ドリルパイプ要素の外側輪郭に適合されていることを示している。
【0033】
ボルト形ラッチ要素42を有するロック装置40は、締付けジョーベースボディ20の内側に配置されている。ラッチ要素42は、締付けジョーベースボディ20の受取りボアの中に、ねじ止めされた留め板24によって変位可能に装着および保持されており、ラッチ要素42から締付けジョーベースボディ20の外側に、ドーム形ヘッドを有するピン状作動部分44が規定された方式で突き出ている。
【0034】
図3および
図4の概略図に関して、ロック装置40の設計および動作をより詳細に説明する。明瞭にするため、アダプタ要素30およびロック装置40だけが示されており、取り囲む締付けジョーベースボディ20は示されていない。
【0035】
図3は、そのロックされた位置にあるロック装置40を示している。ボルト形ラッチ要素42は付勢装置50によってロック位置に保持され、示された例示的な実施形態によれば、付勢装置50は、コイルばね52として構成されたものとすることができる。この過程で、ラッチ要素42のラッチ部分46は、アダプタ要素30の保持部分36の下側に形成された保持ピン37の環状溝形ロック凹み38と係合する。それによって保持ピン37は、締付けジョーベースボディ20内の対応する受取りボアの中に受け取られる。したがって、この配置では、保持ピン37が、ロック凹み38と係合したラッチ部分46によって確実に保持される。このロック位置では、ラッチ要素42の前方作動部分44が、締付けジョーベースボディ20に取り付けられた留め板24に関して規定された方式で軸方向に突き出す。
【0036】
締付けジョーベースボディ20を、
図1に示された止め具60に当接した状態で軸方向に移動させた場合、作動部分44およびしたがってラッチ要素42は内側へ押されて、
図4に概略的に示された解放位置に移動する。この作動移動中に、より大径のラッチ部分46はロック凹み38から外れる。さらに、ラッチ要素42が、保持ピン37上のロック凹み38のエリア内に変位すると、ラッチ要素42の解放部分48が押される。解放部分48は隣り合うラッチ部分46よりも直径が小さい。解放部分48は、保持ピン37がもはや確実に妨げられないように構成されており、したがって、
図5に示されているように、アダプタ要素30を、締付けジョーベースボディ20上の凹み26の外へ上方に引き出すことができる。この解放位置では、次いで、締付けジョーベースボディ20に新たなアダプタ要素30を挿入することができる。新たなアダプタ要素30は、異なる円弧状輪郭の締付け面32を有することが好ましい。
【0037】
新たなアダプタ要素30を挿入した後、
図1に示されている調整装置70を用いて締付けジョーベースボディ20を押して、止め具60から再び引き離すことができ、ボルト形ラッチ要素42が調整される。この過程で、ラッチ要素42は、コイルばね52によって解放位置に圧縮された付勢装置50によってロック位置に戻される。ラッチ要素42は再び
図3による位置に戻る。
【0038】
図5は、締付けジョーベースボディ20上のほぼ長方形の凹み26からのアダプタ要素30の取外しを概略的に示している。さらに、
図5から、
図4によるこの解放位置では、ラッチ要素42が、作動部分44によって締付けジョーベースボディ20の受取りボアに押し込まれ、作動部分44が、留め板24を有する締付けジョーベースボディ20の表面に関して突き出ないことが明らかである。