(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024041736
(43)【公開日】2024-03-27
(54)【発明の名称】包材発注管理装置、包材発注管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0601 20230101AFI20240319BHJP
【FI】
G06Q30/0601
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023148421
(22)【出願日】2023-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2022146277
(32)【優先日】2022-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100212026
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真生
(72)【発明者】
【氏名】南 浩紀
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼木 徹
(72)【発明者】
【氏名】八城 順平
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB58
(57)【要約】
【課題】ユーザの利便性を向上させる。
【解決手段】本開示の一側面に係る包材発注管理装置は、発注者が操作する発注者端末からの包材の作成に係る注文を、インターネットを介して受け付ける装置である。この包材発注管理装置は、発注者端末から、注文の内容を示す注文情報を取得する注文受付部と、発注者による操作に基づいて、注文受付部が取得した注文情報により特定される包材に対して印刷するデザインが含まれたデザインデータを取得する印刷データ取得部と、注文受付部が取得した注文情報と印刷データ取得部が取得したデザインデータとに基づく包材作成指示を、印刷機が含まれる製造部門に対して送信する包材作成指示部と、印刷データ取得部が取得したデザインデータに基づいて、当該デザインデータに含まれるデザインによる人への影響を予測するデザイン診断部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発注者が操作する発注者端末からの包材の作成に係る注文を、インターネットを介して受け付ける包材発注管理装置であって、
前記発注者端末から、前記注文の内容を示す注文情報を取得する注文受付部と、
前記発注者による操作に基づいて、前記注文受付部が取得した前記注文情報により特定される包材に対して印刷するデザインが含まれたデザインデータを取得する印刷データ取得部と、
前記注文受付部が取得した前記注文情報と前記印刷データ取得部が取得した前記デザインデータとに基づく包材作成指示を、印刷機が含まれる製造部門に対して送信する包材作成指示部と、
前記印刷データ取得部が取得した前記デザインデータに基づいて、当該デザインデータに含まれる前記デザインによる人への影響を予測するデザイン診断部と、を備える包材発注管理装置。
【請求項2】
前記デザイン診断部は、前記印刷データ取得部が取得した前記デザインデータに基づいて、前記影響の予測結果を表す指標値を算出する、請求項1に記載の包材発注管理装置。
【請求項3】
前記デザイン診断部は、前記デザインデータの入力に応じて前記指標値の算出結果を出力するように予め機械学習により構築された診断モデルと、前記印刷データ取得部が取得した前記デザインデータとに基づいて、前記指標値を算出する、請求項2に記載の包材発注管理装置。
【請求項4】
前記デザイン診断部は、前記印刷データ取得部が取得した前記デザインデータに含まれる前記デザインを構成するデザイン要素の色、明るさ、包材上の位置、及び、包材上の大きさ、のうちの少なくとも1つに基づいて、前記影響を予測する、請求項1~3のいずれか一項に記載の包材発注管理装置。
【請求項5】
発注者が操作する発注者端末からの包材の作成に係る注文を、インターネットを介して受け付ける包材発注管理装置であって、
メッセージアプリケーションを介して、前記発注者端末との間でテキストメッセージ及びデータの送受信を行う送受信部と、
前記注文の内容を示す注文情報を取得する注文受付部と、
前記注文受付部が取得した前記注文情報により特定される包材に対して印刷するデザインが含まれたデザインデータを取得する印刷データ取得部と、
前記注文受付部が取得した前記注文情報と前記印刷データ取得部が取得した前記デザインデータとに基づく包材作成指示を、印刷機が含まれる製造部門に対して送信する包材作成指示部と、
前記印刷データ取得部が取得した前記デザインデータに基づいて、当該デザインデータに含まれる前記デザインによる人への影響を予測するデザイン診断部と、を備える包材発注管理装置。
【請求項6】
発注者が操作する発注者端末からの包材の作成に係る注文を、インターネットを介して受け付ける包材発注管理方法であって、
前記発注者端末から、前記注文の内容を示す注文情報を取得する第1取得ステップと、
前記発注者による操作に基づいて、前記第1取得ステップで取得された前記注文情報により特定される包材に対して印刷するデザインが含まれたデザインデータを取得する第2取得ステップと、
前記第1取得ステップで取得された前記注文情報と前記第2取得ステップで取得された前記デザインデータとに基づく包材作成指示を、印刷機が含まれる製造部門に対して送信する指示ステップと、
前記第2取得ステップで取得された前記デザインデータに基づいて、当該デザインデータに含まれる前記デザインによる人への影響を予測する診断ステップと、を含む包材発注管理方法。
【請求項7】
発注者が操作する発注者端末からの包材の作成に係る注文を、インターネットを介して受け付ける包材発注管理方法であって、
メッセージアプリケーションを介して、前記発注者端末との間でテキストメッセージ及びデータの送受信を行う送受信ステップと、
前記注文の内容を示す注文情報を取得する第1取得ステップと、
前記第1取得ステップで取得された前記注文情報により特定される包材に対して印刷するデザインが含まれたデザインデータを取得する第2取得ステップと、
前記第1取得ステップで取得された前記注文情報と前記第2取得ステップで取得された前記デザインデータとに基づく包材作成指示を、印刷機が含まれる製造部門に対して送信する指示ステップと、
前記第2取得ステップで取得された前記デザインデータに基づいて、当該デザインデータに含まれる前記デザインによる人への影響を予測する診断ステップと、を含む包材発注管理方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の包材発注管理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包材発注管理装置、包材発注管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットを介した発注者端末からの発注信号に基づいて、受注、印刷、納品手配を行うオンラインプリントシステムが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、ECサイト等を利用したオンラインによる商取引(オンライン取引)が広がっており、ユーザが指定するデザインが印刷された包材もオンラインによる注文の対象とすることが検討されている。本開示は、ユーザの利便性を向上させることが可能な包材発注管理装置、包材発注管理方法、及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1]本開示の一側面に係る包材発注管理装置は、発注者が操作する発注者端末からの包材の作成に係る注文を、インターネットを介して受け付ける装置である。この包材発注管理装置は、発注者端末から、注文の内容を示す注文情報を取得する注文受付部と、発注者による操作に基づいて、注文受付部が取得した注文情報により特定される包材に対して印刷するデザインが含まれたデザインデータを取得する印刷データ取得部と、注文受付部が取得した注文情報と印刷データ取得部が取得したデザインデータとに基づく包材作成指示を、印刷機が含まれる製造部門に対して送信する包材作成指示部と、印刷データ取得部が取得したデザインデータに基づいて、当該デザインデータに含まれるデザインによる人への影響を予測するデザイン診断部と、を備える。
【0006】
[2]上記[1]に記載の包材発注管理装置において、デザイン診断部は、印刷データ取得部が取得したデザインデータに基づいて、上記影響の予測結果を表す指標値を算出してもよい。
【0007】
[3]上記[2]に記載の包材発注管理装置において、デザイン診断部は、デザインデータの入力に応じて、指標値の算出結果を出力するように予め機械学習により構築された診断モデルと、印刷データ取得部が取得したデザインデータとに基づいて、上記指標値を算出してもよい。
【0008】
[4]上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の包材発注管理装置において、デザイン診断部は、印刷データ取得部が取得したデザインデータに含まれるデザインを構成するデザイン要素の色、明るさ、包材上の位置、及び、包材上の大きさ、のうちの少なくとも1つに基づいて、上記影響を予測してもよい。
【0009】
[5]本開示の一側面に係る包材発注管理装置は、発注者が操作する発注者端末からの包材の作成に係る注文を、インターネットを介して受け付ける装置である。この包材発注管理装置は、メッセージアプリケーションを介して、発注者端末との間でテキストメッセージ及びデータの送受信を行う送受信部と、注文の内容を示す注文情報を取得する注文受付部と、注文受付部が取得した注文情報により特定される包材に対して印刷するデザインが含まれたデザインデータを取得する印刷データ取得部と、注文受付部が取得した注文情報と印刷データ取得部が取得したデザインデータとに基づく包材作成指示を、印刷機が含まれる製造部門に対して送信する包材作成指示部と、印刷データ取得部が取得したデザインデータに基づいて、当該デザインデータに含まれるデザインによる人への影響を予測するデザイン診断部と、を備える。
【0010】
[6]本開示の一側面に係る包材発注管理方法は、発注者が操作する発注者端末からの包材の作成に係る注文を、インターネットを介して受け付ける方法である。この包材発注管理方法は、発注者端末から、注文の内容を示す注文情報を取得する第1取得ステップと、発注者による操作に基づいて、第1取得ステップで取得された注文情報により特定される包材に対して印刷するデザインが含まれたデザインデータを取得する第2取得ステップと、第1取得ステップで取得された注文情報と第2取得ステップで取得されたデザインデータとに基づく包材作成指示を、印刷機が含まれる製造部門に対して送信する指示ステップと、第2取得ステップで取得されたデザインデータに基づいて、デザインデータに含まれるデザインによる人への影響を予測する診断ステップと、を含む。
【0011】
[7]本開示の一側面に係る包材発注管理方法は、発注者が操作する発注者端末からの包材の作成に係る注文を、インターネットを介して受け付ける方法である。この包材発注管理方法は、メッセージアプリケーションを介して、発注者端末との間でテキストメッセージ及びデータの送受信を行う送受信ステップと、注文の内容を示す注文情報を取得する第1取得ステップと、第1取得ステップで取得された注文情報により特定される包材に対して印刷するデザインが含まれたデザインデータを取得する第2取得ステップと、第1取得ステップで取得された注文情報と第2取得ステップで取得されたデザインデータとに基づく包材作成指示を、印刷機が含まれる製造部門に対して送信する指示ステップと、第2取得ステップで取得されたデザインデータに基づいて、当該デザインデータに含まれるデザインによる人への影響を予測する診断ステップと、を含む。
【0012】
[8]本開示の一側面に係るプログラムは、上記[6]又は[7]に記載の包材発注管理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、ユーザの利便性を向上させることが可能な包材発注管理装置、包材発注管理方法、及びプログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、包材発注システムの概略構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、資材情報保持部によって保持される情報の一例を示す図である。
【
図3】
図3(a)は、軟包材の材質構成の一例を示す模式図である。
図3(b)は、軟包材の仕様に関する情報の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、販売情報保持部によって保持される情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、フォーマットデータ保持部によって保持される情報の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、デザインデータの一例を示す模式図である。
【
図7】
図7(a)及び
図7(b)は、デザインによる影響の予測結果を表す指標値の一例を示すグラフである。
【
図8】
図8は、包材発注管理装置及び包材製造管理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、包材発注システムによる発注管理方法の一例を示すフロー図である。
【
図10】
図10は、包材発注管理装置と発注者端末との間での情報の送受方法の一例を示す模式図である。
【
図11】
図11は、メッセージアプリケーションで情報を送受する際に、発注者端末に表示される画面の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して一実施形態について説明する。説明において、同一要素または同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
[第1実施形態:包材発注システム]
最初に、
図1~
図9を参照しながら、第1実施形態に係る包材発注システムについて説明する。
図1は、一実施形態に係る包材発注システム1を模式的に示す図である。包材発注システム1は、発注者によって操作される発注者端末90との間で通信を行い、発注者端末90からの注文指示に基づいて包材を製造し提供するシステムである。包材発注システム1が、発注者端末90からの注文指示に基づいて包材を製造及び提供することで、発注者に対する包材の販売が行われる。発注者は、包材発注システム1を介して購入した包材に内容物を収容して、内容物入りの包材を商品として消費者、卸売業者(問屋)、小売業者等に販売してもよい。発注者は、内容物入りの包材をサンプルとして潜在的な顧客に対して配布してもよい。包材発注システム1は、包材発注管理装置10と、包材製造管理装置30と、を備える。
【0017】
包材発注システム1は、発注者が操作する発注者端末90からの注文を受け付けて、製造部門と連携して動作する包材製造管理装置30に対して注文に基づく製品の製造及び納品を指示する機能を有する。包材発注システム1で取り扱う製品とは「包材」である。包材は、内容物(商品)を包むための部材である。包材は、内容物を包むものであれば、その種類は限定されず、例えば、軟包材、鮮度保持剤(脱酸素剤)に用いられる包装材、及び、紙器が挙げられる。本開示において、包材には、商品のパッケージに使用される袋または容器だけでなく、容器等に装着されるラベルも含まれ得る。
【0018】
包材の一例である軟包材は、紙、プラスチックフィルム、アルミニウム箔、布などの柔軟性に富む材料で構成した包装に使用される包材である。このなかでもプラスチックフィルムが主材料として用いられることが多い。また、軟包材は、複数の素材を組み合わせた複合材料を用いることで、バリア性、耐熱性等の所望の性能を発揮するための工夫が行われる。軟包材等の包材は、商品のパッケージ等に使用されることが多いため、包材の印刷面への印刷内容は、注文に応じて異なる場合が想定される。また、包材の印刷面への印刷内容を決定する際に、人に対して印刷内容が与える影響を発注者が考慮することが想定される。例えば、発注者は、印刷内容が、商品を購入する消費者等に対して与える影響を考慮する。以上のように、包材を発注者から受注する場合、包材に使用する材料を指定する情報、印刷するためのデザインデータ等を発注者から取得する必要があり、さらにこれらの情報を製造部門へ適切に提供することが求められる。
【0019】
軟包材に使用される材料としては、単層フィルムと、多層フィルムと、が挙げられる。このうち、多層フィルムは、一般的には基材、中間層、及びシーラント層を、接着剤を用いて貼り合わせる(ラミネートする)ことによって作成される。デザインデータの印刷は基材に対して行われる。また、中間層は、軟包材の用途によっては省略される場合もあるが、例えば、バリア材として機能する材料が選択される場合もある。特定の用途に使用する軟包材を作成する場合、当該用途に適した資材を組み合わせることで材料(多層フィルム)が作成される。軟包材は用途に応じてその材料(フィルム、インク等)が異なるため、その製造に用いられる資材も多種多様となる。紙器、及び、ラベルについても、用途に応じてその材料が異なるものになり得るので、その製造に用いられる資材も多種多様となる場合がある。一方、発注者は、発注する包材の用途に基づいて、多種類の包材の中から選択して注文を行うことになる。上記の包材発注システム1では、上記のように多様な資材を用いて作成される多種類の包材の作成に係る発注者からの注文を一元的に管理すると共に、注文を受けた包材の製造を管理する。
【0020】
包材発注システム1において、包材発注管理装置10は、発注者端末90からの包材の作成に係る注文を受け付ける装置である。包材発注管理装置10は、インターネットを介して発注者端末90からの注文を受け付ける、所謂オンラインによる受注を行う装置である。包材発注管理装置10は、発注者端末90が閲覧可能なWebサイト等を有していて、このWebサイトに対して発注者が入力した情報を取得する。また、包材発注管理装置10は、発注者端末90からの注文を受け付けるとその情報を管理すると共に、包材製造管理装置30に対して製品の製造に係る情報を提供する。
【0021】
包材製造管理装置30は、包材製造工場等の包材の製造に係る部門(
図1では「包材製造部門」としている)において、製造に関する各種機器の管理を行う機能を有する。包材製造管理装置30は、包材発注管理装置10からの指示に基づいて印刷機31、ラミネート機32及び製袋機33等の包材の製造に係る機器を制御する機能を有していてもよい。さらに、包材製造管理装置30は、資材の発注や在庫管理等を行う機能を有していてもよい。包材発注管理装置10と包材製造管理装置30とは、例えば、無線通信、または、有線通信が可能な構成とされていて、包材発注管理装置10において受注した包材の作成が包材製造管理装置30に対して適宜指示される。包材製造管理装置30は、この指示に基づいて、包材製造部門における各機器について、注文を受けた包材の作成に関する工程の管理を開始する。なお、包材製造管理装置30による包材の作成の工程に関する管理には、例えば、注文を受けた包材に応じた製造工程(例えば、資材の貼り合わせ、印刷等)の把握、この製造工程を進めるための各機器における作業のスケジューリング、包材に使用する資材の調達(発注)等の一部が含まれていてもよい。
【0022】
発注者端末90は、例えば、発注者であるユーザによって使用される端末装置であり、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ等の装置が挙げられる。発注者端末90は、インターネットに対して接続可能である。インターネットへの接続に際して、例えばインターネット以外の通信網を経由してもよい。発注者端末90は、後述の印刷用のデザインデータを編集する機能を有していてもよい。
【0023】
なお、特定のユーザが使用する発注者端末90は、1つには限定されない。すなわち、一のユーザが複数の発注者端末90を利用してもよい。したがって、例えば、ユーザが注文情報の送信に利用する発注者端末90と、デザインデータの送信に利用する発注者端末90とが互いに異なっていてもよい。複数の発注者端末90がそれぞれインターネットに接続して情報の送受信を行うことができる場合、ユーザは各発注者端末90を個別に取り扱うことができる。ユーザ(発注者)は、個人であってもよく、会社等の法人であってもよい。以下、包材発注管理装置10及び包材製造管理装置30について、包材発注システム1が包材の一例である軟包材を取り扱う場合を例に説明する。
【0024】
(包材発注管理装置)
図1に示すように、包材発注管理装置10は、機能上の構成(以下、「機能モジュール」という。)として、情報提供部12、注文受付部14、印刷データ取得部15、包材作成指示部16、納品管理部17、決済処理部18、ユーザ情報保持部21、受注情報保持部22、資材情報保持部23、販売情報保持部24、フォーマットデータ保持部25、及び、デザイン診断部27を有する。これらの機能モジュールが実行する処理は、包材発注管理装置10が実行する処理に相当する。また、包材発注管理装置10は、発注者端末90及び包材製造管理装置30との間で通信を行い情報の送受信を行う。包材発注管理装置10と発注者端末90または包材製造管理装置30との通信は、有線または無線で行われ得る。
【0025】
情報提供部12は、発注者端末90に対して各種の情報を提供する機能を有する。情報提供部12によって提供される情報には、発注者が包材を注文する際に必要となる各種の情報が含まれる。情報提供部12は、例えば、発注者端末90において閲覧可能なWebサイトを準備する。これにより、発注者端末90からのリクエスト(例えばURLの指定)によって、発注者端末90においてWebサイトが閲覧可能となる。
【0026】
注文受付部14は、発注者端末90から、包材の作成に係る注文の内容を示す情報(以下、「注文情報」という。)を取得する機能を有する。例えば、発注者のリクエストに応じて、情報提供部12によって注文用の入力フォームが発注者端末90の画面上に表示される。発注者は、入力フォームへ情報を入力すること等によって、注文に必要な情報を入力する。入力された情報が、インターネットを介してWebサイトを提供する包材発注管理装置10に対して送信されることで、注文受付部14が注文に必要な情報(上記注文情報)を取得する。これにより、注文受付部14は注文を受け付けることができる。
【0027】
注文受付部14が注文を受け付ける際に取得する注文情報とは、注文者を特定する情報(氏名、住所等)、注文する製品に関する情報、納品先を特定する情報(氏名、住所等)、費用の支払いに関する情報等が挙げられる。このうち、注文する製品に関する情報としては、軟包材の場合、例えば、包材の種類(例えば、使用する資材)を特定する情報及び注文数が挙げられる。包材を指定する情報には、包材に使用される資材を特定する情報(複数種類の資材を積層したフィルムである場合、各層の情報等)と、包材の形状、大きさを特定する情報(形状とは、例えば、三方平袋、スタンディングパウチ等)と、が挙げられる。本実施形態の包材発注管理装置10では、上記の包材を構成する材料(資材)を特定する情報と、包材の形状及び大きさを特定する情報に対応付けて、型番が割り当てられている。そのため、発注者は、型番を指定することで、包材の材料を特定する情報と、包材の形状及び大きさを特定する情報と、を包材発注管理装置10に対して送信することが可能となる。
【0028】
発注者(ユーザ)が発注者端末90を操作して特定の包材を選択して注文を行うことが可能となるように、情報提供部12によって、発注者端末90においてユーザに対して提示される情報が調整され得る。例えば、ユーザが購入可能な軟包材のそれぞれについて、包材の種類(例えば、使用する資材)、大きさ、形状、収容可能な容量の目安等を示すことは、ユーザが軟包材を選択する際に重要な情報となり得る。また、軟包材の用途(レトルト対応、ボイル対応、電子レンジ対応、収容可能な内容物の例等)、特性(遮光性、帯電防止性、透明性等)などの情報は、包材の種類を直接表示する場合と比較して、ユーザによる包材の選択において重要な情報となる可能性がある。したがって、ユーザの利便性を高めること等を目的として、情報提供部12によって、ユーザが使用する注文画面にこれらの情報が組み合わされて表示されてもよい。本開示において、ユーザが会社等の法人である場合、法人に所属する個人が発注者端末90等に対して行う行為(例えば、操作)が、ユーザが行う行為に相当する。
【0029】
印刷データ取得部15は、ユーザによる操作に基づいて、印刷に使用するデザインデータを取得する機能を有する。印刷データ取得部15は、例えば、発注者端末90においてユーザにより作成されたデザインデータを、ユーザによる送信指示に基づいて発注者端末90から取得する。印刷に使用するデザインデータとは、注文情報で特定される包材に対して印刷するデザインが含まれたデータである。なお、軟包材に対する印刷の種類としては、基本的にデザインデータから直接印刷を行うデジタル印刷と、製版及び色合わせを行った上で印刷を行う非デジタル印刷と、が挙げられる。非デジタル印刷としては、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、EBオフセット印刷等が挙げられる。ただし、これらの印刷方法とは異なる非デジタル印刷方法が用いられてもよい。包材発注管理装置10は、いずれの印刷にも対応可能である。ただし、デジタル印刷の場合には、製版を行わず発注者から取得した印刷データをそのまま印刷に使用してもよい。そのため、包材発注管理装置10では、フォーマットデータをユーザに対して提供することによって、ユーザから所定の包材に適したデザインデータ(印刷用データ)を取得する構成とされる。この点については後述する。注文受付部14が取得した情報及び印刷データ取得部15が取得した情報は、受注情報保持部22において保持される。
【0030】
印刷データ取得部15は、ユーザから送信されたデザインデータがPDFデータである場合、予め設定したチェック項目に基づいてデータチェックを行う、プリフライトチェックを行ってもよい。また、印刷データ取得部15は、プリフライトチェックの結果と、最終的に印刷に使用する予定のデザインデータとを、ユーザに対して通知する構成としてもよい。この場合、ユーザは、例えばメール等で通知されたURLに基づいて所定サイトにアクセスすることで、通知内容を確認する構成としてもよい。なお、プリフライトチェックはPDFデータに対して行われるものであるが、デザインデータとしてPDFデータ以外のデータを取り扱う場合にも、同種のチェックを行う構成としてもよい。最終的に印刷に使用する予定のデザインデータは、ユーザから送信された当初のデザインデータに対して校正が行われた後のデータであってもよい。校正後のデザインデータに対するユーザの承認が得られた後、承認が得られた校正後のデザインデータが、最終的に印刷に使用するデータとして受注情報保持部22において保持されてもよい。
【0031】
ユーザ(発注者端末90)からのデザインデータの送信に代えて、第三者が作成したデザインの案を含むデータを発注者端末90の操作によりユーザが承認することで、印刷データ取得部15が、そのデータをデザインデータとして取得してもよい。第三者が作成したデザインの案を含むデータは、包材発注管理装置10に保持されていてもよい。第三者が作成したデザインの案を含むデータは、包材発注管理装置10において作成されたデータであってもよく、他のコンピュータ装置において作成された後に、包材発注管理装置10に送信されたデータであってもよい。本開示において、印刷データ取得部15が取得するデザインデータには、デザインデータの候補(ユーザが検討中のデザインデータ)、校正後のデザインデータ、及び、最終的に印刷に使用されるデザインデータ(ユーザが承認した後のデザインデータ)が含まれる。
【0032】
包材作成指示部16は、注文受付部14が取得した注文情報と印刷データ取得部15によって取得されたデザインデータとに基づく包材作成指示を、包材製造管理装置30に対して送信する機能を有する。包材作成指示部16は、注文受付部14及び印刷データ取得部15によって取得した情報と、自装置(包材発注管理装置10)で保持している情報とに基づいて、包材製造管理装置30への指示に必要な情報を準備する。準備した情報を包材製造管理装置30(印刷機31が含まれる製造部門)に対して送信することで、包材発注管理装置10から包材製造管理装置30への包材作成の指示が行われる。包材発注管理装置10から包材製造管理装置30への包材作成の指示には、注文情報の少なくとも一部と、最終的に印刷に使用する予定のデザインデータとが含まれてもよい。
【0033】
納品管理部17は、包材作成指示部16によって作成を指示した包材についての納品等の管理を行う機能を有する。包材作成指示部16によって作成が指示された包材は、完成すると包材製造部門(例えば、工場等)から納品先へ送付され得る。納品管理部17は、包材製造管理装置30から送信される納期情報や納品の通知等に基づいて、発注者に対して注文を受け付けた製品に関する制作状況や納品状況を通知する機能を有する。
【0034】
決済処理部18は、注文受付部14が受け付けた注文に関する決済を行う機能を有する。決済を行うための仕組みは特に限定されず、既存の決済手法を組み合わせて使用することができる。決済に関する履歴(決済を行ったことを示す情報等)は、注文に関する情報等と対応付けて、受注情報保持部22において保持されてもよい。決済に関する情報は、受注情報保持部22に保持される情報とは別に保持されてもよい。この場合、注文毎に決済が行われたことを確認できるように、例えば注文番号を利用した対応付け等が行われていてもよい。
【0035】
ユーザ情報保持部21は、包材発注管理装置10を使用するユーザ(包材発注管理装置10が提供するサービスを利用する利用者)に関する情報を保持する機能を有する。ユーザは、事前または初回の注文時に、包材発注管理装置10に対して登録に必要な情報を提供することで、包材発注管理装置10を利用するユーザとしてユーザ登録をする構成とすることができる。ユーザ登録の際にユーザから提供された情報は、ユーザ情報保持部21に保持される。また、ユーザ毎にユーザを特定する情報(例えば、ユーザID)が割り振られ、この情報を用いて特定のユーザに係る情報を取得することができる。このように、ユーザ情報保持部21にユーザの情報を登録しておくことで、ユーザが再び注文を行うときには、ユーザとして登録した情報を利用することができる。なお、ユーザ登録自体は包材発注管理装置10において必須の構成ではない。例えば、ユーザ管理を行わない場合には、包材発注管理装置10はユーザ情報保持部21を有していなくてもよい。また、後述の受注情報保持部22との対応付けを行わない構成としてもよい。または、ユーザ情報保持部21は、包材発注管理装置10を利用するユーザの一部のみを管理してもよい。すなわち、全てのユーザではなく、一部のユーザだけをユーザ登録の対象とする構成としてもよい。
【0036】
受注情報保持部22は、ユーザから受け付けた注文の情報を保持する機能を有する。受注情報保持部22では、ユーザからの一度の注文に対応付けて、注文受付部14が取得した情報と、印刷データ取得部15が取得したデザイン(印刷用データ)とが、保持され得る。さらに、受注情報保持部22では、各注文に対して、ユーザ情報保持部21において保持されているユーザの情報を対応付けて保持しておくことで、ユーザが過去の注文履歴の探索をすることが可能となる。ユーザ登録をしているユーザが発注者となる場合には、ユーザ登録された情報が発注者の情報になるので、ログインした状態で注文を行うことで、紐付けが可能となる。また、初回の注文時にユーザ登録を行う場合には、初回注文時に発注者として入力した情報がユーザ情報として使用され得る。そしてユーザを特定する情報として割り振られたユーザID等を利用して注文後でもデータの紐付けを行うことができる。
【0037】
資材情報保持部23は、型番と資材との対応関係に係る情報を保持する機能を有する。資材情報保持部23において保持される情報の例を
図2に示す。
図2では、注文時に使用される型番に、仕様書(例えば、製造部門で使用される仕様書を特定する情報)、材質構成が対応付けられている。材質構成とは、各型番に対応する包材を構成する各層の構成を示している。この情報を用いて、一つの型番から、当該型番の包材に使用される資材を特定することができる。
図2に示す例では、「材質構成」として軟包材に使用する、基材、中間層、シーラント層、及びこれらの層に使用する資材の厚さを指定する情報が含まれている。また、「材質構成」には、層間で使用する接着剤や、印刷に使用するインク等を指定する情報が含まれていてもよい。「材質構成」に含まれる情報は、軟包材の種類に応じて適宜変更され得る。
【0038】
また、
図2に示すように、資材情報保持部23において保持される情報には、型番に対応付けて、形状、サイズ、容量の目安、特徴(各軟包材の素材の特徴、用途などを説明する情報)等の情報が含まれていてもよい。資材情報保持部23において保持される種々の情報は、例えば、発注者が包材の注文を行う際に使用してもよい。具体的には、例えば、情報提供部12が、形状、サイズ、容量の目安、特徴等の情報を、Webサイト等においてユーザに対して提示し、当該情報に基づいて注文する包材の型番をユーザが選択する態様としてもよい。
【0039】
図3(a)及び
図3(b)を参照しながら、
図2に示す情報に含まれる、軟包材の構成例について説明する。
図3(a)は、軟包材に使用される包材フィルム200を模式的に示す図であり、第1基材フィルム201、接着剤層204、第2基材フィルム202、接着剤層206及び第3基材フィルム203がこの順に積層されている。第1基材フィルム201の一対の主面のうち第2基材フィルム202寄りの一主面にはプライマー層(図示せず)が設けられていてもよい。また、接着剤層204の第1基材フィルム201寄りの一主面に静電インク層205が設けられる。プライマー層が設けられている場合、プライマー層の一対の主面のうち第2基材フィルム202寄りの一主面に静電インク層205が設けられる。この包材フィルム200は、例えば、電子レンジによって加熱される食品等の軟包材に使用されるフィルムである。
【0040】
図3(a)に示すように、第1基材フィルム201は蒸着層がアルミナの透明無機酸化物蒸着2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム12μm(凸版印刷株式会社製:GLARH)であり、第2基材フィルム202はナイロンフィルム15μmであり、第3基材フィルム203は無延伸ポリプロピレンフィルム60μmであるとする。この場合、
図3(b)に示すように、材質構成は例えば、「GLARH12/NY15/CPP60」と、材質の略号と厚さ(数字)との組み合わせによって記述され得る。さらに、
図3(b)では、蒸着層がアルミナの透明無機酸化物蒸着2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(GLARH)に代えて、メカニカルリサイクルPETを使用したフィルム(GLARNF)を採用可能であることが記載されている。このように、「材質構成」は軟包材に求められる機能を実現するための包材フィルムを構成する材質の構成を規定したものであり、
図2に示す例でも同様に材質が略語によって記載されている。
【0041】
なお、
図3(b)では、材質構成の他、用途及び袋の形状の指定(電子レンジ用スクエア型スタンディングパウチ)、接着剤層の指定、サイズ、容量の目安、絵柄(絵柄を追加可能な場所の指定)、及び、底テープの指定に係る情報も示されている。
図3(b)に示す情報の一部は、
図2に示す情報に含まれていてもよいし、
図3(b)に示すように、本システムで取り扱う軟包材毎に個別にデータ管理されてもよい。
【0042】
図1に戻り、販売情報保持部24は、発注者端末90において注文可能な包材の販売に関連する情報(以下、「販売情報」という。)を保持する。販売情報は、発注者まで包材を納品することが可能な期間を示す情報、包材の販売価格を示す情報、及び、包材の注文単位を示す情報のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
図4には、販売情報の一例が示されている。販売情報には、例えば、型番に対応付けて、販売価格、注文単位である1ロットあたりの個数(枚数)が含まれてもよい。一例では、1ロットが100枚である場合、発注者は、100枚単位で包材を注文することが可能であり、最小注文数は100枚となる。販売価格は、ロット数に応じて変動するように設定されていてもよい。この場合、ロット数が多くなるに従い、1枚あたりの単価が安くなるように、販売価格が設定されてもよい。ロット数に関係なく、1枚あたりの単価が定められることで、販売価格が設定されてもよい。販売情報保持部24が保持する販売情報には、型番に対応付けて、発注者まで包材を納品することが可能な期間(以下、「納品可能な期間」という。)が含まれてもよい。納品可能な期間は、幅を持たせた期間(例えば、4~6日のような期間)であってもよく、注文の受け付けから、包材製造部門が出荷できると予測される日までの期間(日数)であってもよい。販売情報において、販売価格の値引きが設定されていてもよい。販売価格の値引きは、ユーザごとに設定されていてもよく、ある型番において、ユーザの間で値引きの大きさが異なっていてもよい。販売情報は、発注者端末90において閲覧可能な情報(例えば、Webサイト)を情報提供部12が準備する際に用いられる。
【0043】
図1に戻り、フォーマットデータ保持部25は、ユーザに対して提供されて、ユーザにおける印刷用のデザインデータの作成に使用されるフォーマットデータ一式に関する情報を保持する機能を有する。フォーマットデータ保持部25において保持される情報の一例を
図5に示す。
図5では、注文時に使用される型番に対応付けて、ユーザ(発注者端末90)に対して送信するデータを特定する情報(例えば、ファイル名)が対応付けられている。発注者端末90に対して送信されるフォーマットデータとは、ユーザが発注者端末90またはそのほかの装置を利用してデザインの作成(データの加工)が可能であるデータである。また、ユーザによる加工後のデータ(印刷用のデータ)は、予め定められた様式で返送されることが好ましく、特に、デジタル印刷の場合、例えば印刷機31において使用可能な体裁で発注者端末90から包材発注管理装置10へ送信されることが求められる。そこで、例えば、
図5に示すように、1つの型番に対して、1つのフォーマットデータと、1つの設定ファイルと、1つのマニュアルデータと、がフォーマットデータ一式として準備されていてもよい。このフォーマットデータ一式とは、発注者端末90に対して提供されるデータのパッケージとなり得る。
【0044】
なお、フォーマットデータとは、印刷に使用されるデザインデータの元となるデータである。
図6には、デザインデータの一例が示されている。デザインデータD0は、フォーマットデータであるデータD1と、データD1上に加工されるデザインを表すデータD2と、を含む。
図6に示すように、データD1では、型番に対応した包材に対応した描画エリアA1と非描画エリアA2とが規定され得る。また、描画エリアA1には、印字推奨エリアを区切るための枠線A3が設けられていてもよい。さらに、ファスナー等のように印刷に制限がある領域がある場合には、制限エリアA4が規定されていてもよい。このように、データD1には、ユーザが包材に応じた適切なデザインの印刷データを作成することが可能となるような情報が含まれ得る。
【0045】
図5に戻り、型番毎に対応付けられている設定ファイルとは、例えば、ユーザが使用するアプリケーション等において、印刷に使用されるデザインデータを適切な状態で出力するための各種設定を記述したファイルである。また、マニュアルデータとは、フォーマットデータ及び設定ファイルの使用方法が記載されたデータである。このようなデータセットを「フォーマットデータ一式」として、1つの型番に対応付けて保持していてもよい。なお、フォーマットデータ保持部25では、上記のデータD1のほか、設定ファイル及びマニュアルデータについても保持している。フォーマットデータ一式を発注者端末90に対して送信する場合には、型番に基づいて、3つのデータ(フォーマットデータ、設定ファイル及びマニュアルデータ)が選択される。そして、これらのデータを1つのパッケージとした上で、情報提供部12によって包材発注管理装置10から発注者端末90に対して送信される。
【0046】
データD1(フォーマットデータ)上に、デザインを表すデータD2が加えられることで、デザインデータD0が作成される(
図6参照)。例えば、ユーザが、発注者端末90を操作して、フォーマットデータを加工及び編集することで、デザインが追加されたデザインデータを作成する。フォーマットデータに対して追加されるデザインには、例えば、文字、図形、ロゴ、イラスト、模様、写真等のデザイン要素が含まれ得る。なお、デザインを構成するデザイン要素には、描画エリアA1に作成される背景も含まれ得る。デザインに含まれる文字によって、発注者が販売する予定の商品の名称(商品名)、当該商品に関する説明(容量等)、当該商品の販売者名等が表されてもよい。図形、ロゴ等によって、ブランドが表されてもよい。ユーザは、発注者端末90において、デザイン要素を作成しつつ、デザイン要素の大きさ、位置、色、明るさ(輝度、明度)をデータ上で任意に変更しながら、デザインデータを作成及び編集してもよい。
【0047】
図1に戻り、デザイン診断部27は、印刷データ取得部15が取得したデザインデータに基づいて、当該デザインデータに含まれるデザインによる人への影響を予測する機能を有する。デザイン診断部27は、デザインによる人(例えば、消費者、潜在的な顧客等)への影響を予測することで、そのデザインを診断する。デザイン診断部27は、発注者端末90を介したユーザからの診断要求に応じて、印刷データ取得部15が取得したデザインデータに含まれるデザインを診断してもよい。デザインによる人への影響を予測することには、例えば、そのデザインが人にどのような印象を与えるかを評価することが含まれる。また、デザインによる人への影響を予測することには、例えば、そのデザインが印刷された軟包材に内容物を詰めて商品として販売すると想定したときに、そのデザインが、商品の売れ行きに直接又は間接的に与える影響を予測することが含まれる。以下、デザイン診断部27による診断対象のデザインを単に「デザイン」と表記する場合がある。
【0048】
デザイン診断部27は、印刷データ取得部15が取得したデザインデータに基づいて、デザインによる人への影響の予測結果を表す指標値を算出してもよい。デザイン診断部27は、例えば、デザインから受ける印象の程度を指標化した数値を、指標値として算出する。印象の程度に関する指標値は、対象のデザインから、当該デザインを見た人がその印象をどの程度受けるか(どの程度受けるかの予測)を数値として表したものである。デザインから受ける印象の例としては、美しい、醜い、都会的、田舎的、可愛い、気持ち悪い、高級、安い、男性的、女性的、陽気、陰気、現代的、伝統的、シンプル、複雑、暖かい、涼しい、繊細、大胆、知的、滑稽、穏やか、躍動的、人間的、機械的、清潔、不潔、静か、及び、騒がしい等が挙げられる。デザインから受ける印象の他の例として、美味しい、なめらか、暖かい、リッチ、及び、ナチュラル等が挙げられる。デザイン診断部27は、これらの印象のうちの1以上の印象それぞれの程度を表す指標値を算出してもよい。一例では、デザイン診断部27は、デザインから人が美しいとの印象を受ける度合いが強いと予測される場合には、数値が高くなるように「美しい」に関する指標値を算出する。デザイン診断部27は、デザインから人が美しいとの印象を受ける度合いが弱いと予測される場合には、数値が低くなるように「美しい」に関する指標値を算出する。
【0049】
デザイン診断部27は、デザインデータの入力に応じて指標値の算出結果を出力するように予め構築された診断モデルと、印刷データ取得部15が取得したデザインデータとに基づいて、上記指標値を算出してもよい。診断モデルは、例えば、包材発注管理装置10を提供する提供者が予め作成することで構築されたモデルである。診断モデルは、学習データに基づく機械学習が行われることで構築されたモデルであってもよい。診断モデルは、フォーマットデータに追加されたデザイン要素の軟包材上での大きさ、軟包材上の位置、色、及び、明るさ(輝度、明度)の少なくとも1つに基づいて、指標値を算出するモデルであってもよい。診断モデルは、デザイン要素の大きさ、位置、色、及び、明るさ等の評価対象値と種々の閾値との比較結果に基づき、指標値を算出するモデルであってもよい。診断モデルは、1種類又は複数種類の評価対象値と指標値との関係を表す関係式であってもよい。
【0050】
デザイン診断部27は、フォーマットデータに追加された各種のデザイン要素のうちの一部を評価することで指標値を算出してもよい。デザインを見た人への影響を評価する前に、デザイン診断部27が診断の際に利用する診断モデルが、デザインのうち、消費者等の人の注意を最も引くと予測されるデザイン要素(又は、領域)を抽出可能であってもよい。診断モデルは、抽出されたデザイン要素の軟包材上での大きさ、軟包材上の位置、色、及び、明るさ(輝度、明度)の少なくとも1種類以上の情報を総合的に考慮して、指標値を算出するように構築されていてもよい。
【0051】
診断モデルが機械学習により構築される場合、学習データとして各種デザインのサンプルデータと、デザインを見る人(例えば、消費者)となり得る多数のモニタからのアンケート結果に基づく指標値の正解データとが準備されてもよい。機械学習とは、機械(コンピュータ)が与えられた情報に基づいて反復的に学習することで、法則又はルールを自律的に見つけ出す手法をいう。上記診断モデルは、アルゴリズム及びデータ構造を用いて構築することができる。診断モデルは、例えば、人間の脳神経の仕組みを模した情報処理のモデルであるニューラルネットワークを用いて実現される。診断モデルを構築する際に行われる機械学習の具体的なアルゴリズムは特に限定されない。機械学習の入力として与えられる種々の入力データ(デザインのサンプルデータ)と、入力データに対応付けられた機械学習の出力の正解データ(アンケート結果に基づく指標値)とを用いて機械学習が行われることで、診断モデルが自律的に構築されてもよい。
【0052】
デザイン診断部27は、人の属性により分けられた複数のグループそれぞれについて、上記指標値を算出してもよい。この場合、同じ属性を有するグループごとに、そのグループに属するモニタから得られたアンケート結果等に基づいて、診断モデルが構築されてもよい。複数のグループは、性別、及び、年齢層の少なくとも一方によって分けられてもよい。
【0053】
デザイン診断部27は、包材発注管理装置10において発注可能な複数の型番において、共通の診断モデルを用いて、上記指標値を算出してもよい。デザイン診断部27は、発注可能な型番ごとに、その型番に対応する診断モデルを用いて、上記指標値を算出してもよい。発注可能な複数の型番のうちの一部の型番において、共通の診断モデルが対応付けられていてもよい。包材発注管理装置10では、一部の型番について、デザイン診断部27によるデザインの診断が可能であってもよい。包材発注管理装置10が、1又は複数の診断モデルを記憶していてもよく、包材発注管理装置10とは異なるコンピュータが、1又は複数の診断モデルを記憶していてもよい。包材発注管理装置10では、ユーザ登録を行ったユーザのみが、デザイン診断の要求を行うことが可能であってもよく、ユーザ登録を行ったユーザのうちの一部のユーザのみが、デザイン診断の要求を行うことが可能であってもよい。
【0054】
指標値の例は、印象の程度を表す数値(印象度)に限られない。デザイン診断部27により算出される指標値の例として、印象度に加えて、自身の好み(嗜好)に合う程度を指標化した値、デザインから受ける好感の度合いを指標化した値、広告効果を指標化した値(例えば、クリック率)、試してみようとする度合いを指標化した値、記憶定着の程度を指標化した値、購入してみようとする度合いを指標化した値、及び、継続して購入しようとする度合いを指標化した値が挙げられる。デザイン診断部27は、2種類以上の指標値を算出してもよい。2種類以上の指標値が算出される場合、指標値の種類ごとに、診断モデルが構築されていてもよく、1つの診断モデルが2種類以上の指標値を算出可能であってもよい。
【0055】
図7(a)には、印象度(美しい)に関する指標値の算出結果が例示されており、
図7(b)には、デザインから受ける好感の度合いを指標化した値(好感度)に関する指標値の算出結果が例示されている。
図7(a)及び
図7(b)に示される例において、「全体」は全てのグループを含む全体への影響の評価結果であり、「男性」及び「女性」はそれぞれ、男性全体及び女性全体への影響の評価結果である。「F2層」は、35~49歳の女性の層(グループ)への影響の評価結果である。全体、男性全体、及び、女性全体についての評価結果は、F2層を含む複数のセグメント層それぞれの評価結果から平均を求めることで得られてもよい。
図7(a)に示されるグラフにおいて、縦軸の値が、印象度(美しいとの印象を受ける程度)を表す指標値であり、数値が大きいほど、対象のデザインから美しいとの印象を受ける程度が大きいと予測されている。
図7(b)に示されるグラフにおいて、縦軸の値が、好感度を表す指標値であり、数値が大きいほど、対象のデザインに対して好感を抱く程度が大きいと予測されている。
【0056】
包材発注管理装置10のユーザは、対象のデザインでの狙い(例えば、好感度を持たせたいとの狙い)が達成できそうか否かを指標値の算出結果から確認することができる。あるいは、包材発注管理装置10のユーザは、対象のデザインに対する複数種類の指標値の算出結果を総合的に判断して、対象のデザインの採用可否を決定することができる。なお、デザイン診断部27は、指標値の算出に代えて、デザインによる影響が良いものか否かの2段階で評価してもよい。デザイン診断部27は、例えば、デザインを構成するデザイン要素の特徴(例えば、色、明るさ、大きさ、位置)を表す評価対象値に基づいて、そのデザインが人に良い印象を与えるか否かを判定してもよい。デザイン診断部27は、評価対象値と所定の閾値との比較結果に基づき、デザインを見た人に良い印象を与えるか、悪い印象を与えるか否かを判定してもよい。
【0057】
包材発注管理装置10では、注文の受け付けによって発生する決済処理を管理する機能をさらに有していてもよい。包材発注管理装置10では、デザイン診断部27によるデザイン診断が行われ、ユーザが、発注者端末90の操作により、デザイン診断が行われたデザインデータを承認した後に、決済処理が行われてもよい。決済処理において、デザイン診断の利用の有無が決済情報(例えば、ユーザが支払う料金)に反映されてもよい。決済処理の管理については、既存の処理を適用することが可能となるため、詳細な説明は省略する。
【0058】
(包材製造管理装置)
包材製造管理装置30は、包材発注管理装置10と連携して動作可能な装置である。また、包材製造管理装置30は、自装置が管理する部門(
図1では、「包材製造部門」としている)における包材製造に関係する各装置を管理する機能を有する。各装置の一例として、
図1では、印刷機31、ラミネート機32及び製袋機33を示している。印刷機31としては、印刷の種類に応じた印刷機として、デジタル印刷機または非デジタル印刷機(グラビア印刷機、EBオフセット印刷機、フレキソ印刷機等)が選択され得る。ラミネート機32としては、ドライラミネート機、エクストルージョンラミネート機等が挙げられる。なお、
図1に示すこれらの機械は一例であって、包材製造管理装置30による管理対象は、これらに限定されない。また、包材製造管理装置30は、管理対象の機器(印刷機31等)を個別に制御可能であってもよいし、動作状況または運転予定(稼働スケジュール)のみを管理する構成であってもよい。
【0059】
さらに、包材製造管理装置30は、自装置が管理する部門において製造する各製品の資材管理、工程管理等を一括して行う構成であってもよい。このように、包材製造管理装置30における管理対象は、管理対象の部門における包材の製造に関する全般の業務とすることができる。ただし、包材製造管理装置30は、これらの業務に係る管理を全て行っていなくてもよく、その一部のみを管理する構成であってもよい。一例として、本実施形態では、包材製造管理装置30は、包材発注管理装置10からの指示に基づいた包材の製造に係る管理の一部として、少なくとも、包材発注管理装置10からの包材の作成指示の受信と、受信したデータの管理と、作成指示を受けた包材の作成状況の管理(工程管理)を行う。なお、これらの管理は、1つの包材製造管理装置30において行う必要はなく、複数の装置で分散して管理する構成であってもよい。
【0060】
(包材発注管理装置及び包材製造管理装置のハードウェア構成)
図8は、包材発注管理装置10または包材製造管理装置30に用いられるコンピュータ110のハードウェア構成の一例を示す図である。例えば、コンピュータ110は制御回路100を有する。一例では、制御回路100は、一つまたは複数のプロセッサ101と、メモリ102と、ストレージ103と、通信ポート104と、入出力ポート105とを有する。プロセッサ101はオペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを実行する。ストレージ103はハードディスク、不揮発性の半導体メモリ、または取り出し可能な媒体(例えば、磁気ディスク、光ディスクなど)の記憶媒体で構成され、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを記憶する。メモリ102は、ストレージ103からロードされたプログラム、またはプロセッサ101による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ101は、メモリ102と協働してプログラムを実行することで、個々の機能モジュールとして機能する。ストレージ103は、上述した各機能モジュール(包材発注管理装置10が有する機能モジュール)を構成するためのプログラムを記憶してもよい。通信ポート104は、プロセッサ101からの指令に従って、通信ネットワークNWを介して他の装置との間でデータ通信を行う。入出力ポート105は、プロセッサ101からの指令に従って、キーボード、マウス、モニタ、タッチパネルなどの入出力装置(ユーザインタフェース)との間で電気信号の入出力を実行する。
【0061】
なお、包材発注管理装置10及び包材製造管理装置30は、それぞれ複数のコンピュータ110によって構成されていてもよい。また、包材発注管理装置10及び包材製造管理装置30のいずれかが複数のコンピュータ110から構成されている場合、複数のコンピュータ110は、分散配置していてもよく、これらが相互に通信ネットワークNWを介して接続されていてもよい。
【0062】
(包材発注管理方法)
次に、
図9を参照しながら、包材発注管理装置10及び包材製造管理装置30を含む包材発注システム1による包材発注管理方法について説明する。この包材発注管理方法は、少なくとも、発注者端末90から、注文の内容を示す注文情報を取得する第1取得ステップと、ユーザによる操作に基づいて、第1取得ステップで取得された注文情報により特定される包材に対して印刷するデザインが含まれたデザインデータを取得する第2取得ステップと、を含む。また、上記包材発注管理方法は、第1取得ステップで取得された注文情報と第2取得ステップで取得されたデザインデータとに基づく包材作成指示を、印刷機31が含まれる製造部門に対して送信する指示ステップと、第2取得ステップで取得されたデザインデータに基づいて、デザインデータに含まれるデザインによる人への影響を予測する診断ステップと、を含む。
【0063】
図9は、包材発注システム1による発注方法及び納品方法を示すフロー図である。
図9に示すように、発注者端末90と包材発注管理装置10の間で、まず、ステップS01及びステップS02が行われる。ステップS01では、例えば、ユーザ(発注者)が発注者端末90を操作することで、包材発注管理装置10の情報提供部12が提供するWebサイトを参照し、当該Webサイトに必要情報を入力して、ユーザ登録要求を送信する。一方、ステップS02では、例えば、包材発注管理装置10が発注者端末90からのユーザ登録要求を受信し、包材発注管理装置10のユーザ情報保持部21にユーザの情報を登録すると共に、発注者端末90に対してユーザ登録が完了したことを通知する。これにより、発注者端末90のユーザが発注者となることが可能となる。なお、ステップS01及びステップS02は、事前にユーザ登録を行う場合の例であり、ユーザ登録を行うタイミングに応じてこの処理は変更され得る。また、包材発注管理装置10においてユーザ管理を行わない場合には、この処理は省略され、発注者端末90のユーザがそのまま発注者となる。
【0064】
次に、包材発注管理装置10は、発注者端末90からの要求に基づいてステップS03を実行する。発注者端末90のユーザが包材発注管理装置10に対して包材の発注を行おうとする場合、ユーザは発注者端末90を操作して注文用のフォームの提示を要求する。この要求に対応して、情報提供部12は注文用フォームを提示する。注文用フォームの形式は特に限定されず、例えば、Webサイトにおいて提供可能な包材を複数表示することでユーザがその中から選択可能であってもよいし、ユーザが型番を入力する構成であってもよい。このように、ユーザが注文を行う際の情報を入力する形式、インタフェース等は適宜変更され得る。例えば、初期画面では、提供可能な包材をすべて表示する態様とし、ユーザが抽出条件を設定し検索することで、当該抽出条件に合致する特定の包材に係る情報のみを抽出して表示することとしてもよい。Webサイトにおいて提供可能な包材を複数表示する際に、各包材に関する販売情報(例えば、販売価格、注文単位、納品までの期間の目安)が表示されてもよい。情報提供部12は、注文用フォーム、または、他の画面において、販売情報保持部24によって保持されている販売情報を表示させてもよい。
【0065】
次に、注文用フォームを取得した発注者端末90では、ステップS04を実行する。ステップS04では、発注者端末90のユーザが注文に必要な各種情報の少なくとも一部を入力する。このとき、ユーザが入力する情報には、包材の型番を指定する情報が含まれてもよい。なお、ユーザは包材の型番を直接指定してもよいが、例えば、Webサイトに掲載されている包材の中から1つの包材を選択した場合に、当該包材に対応する型番が自動的に選択される構成であってもよい。
【0066】
次に、発注者端末90では、ステップS05を実行する。ステップS05では、例えば、入力後の注文フォームに記載された情報、すなわち注文情報が発注者端末90から包材発注管理装置10へ送信される。この注文情報には、包材の材質、形状及び大きさを指定する型番情報が含まれ得る。発注者端末90から注文情報が送信されると、包材発注管理装置10は、ステップS06を実行する。ステップS06では、例えば、注文受付部14が、注文を受け付ける処理を開始するプロセスとして、注文情報を取得し、受注情報保持部22に保持する。また、注文受付部14が、必要に応じてユーザ情報保持部21との対応付け(例えばユーザIDを利用した情報の紐付け)を行う。
【0067】
次に、包材発注管理装置10は、ステップS07を実行する。ステップS07では、例えば、印刷データ取得部15が、フォーマットデータ保持部25を参照して、注文情報に含まれる型番に対応したフォーマットデータ一式を準備する。次に、包材発注管理装置10は、ステップS08を実行する。ステップS08では、例えば、印刷データ取得部15が、準備したフォーマットデータ一式を発注者端末90に対して送信する。一例として、印刷データ取得部15は、フォーマットデータ一式を、発注者端末90からの操作によってデータをダウンロード可能なWebサイト等にアップロードしてもよい。この場合、発注者端末90の操作によって当該データをダウンロードすることで、フォーマットデータ一式を取得する構成としてもよい。各型番に対応したフォーマットデータ一式が、それぞれ特定のWebサイトにおいてダウンロード可能な状態で設けられていてもよく、発注者端末90が特定の型番に対応したフォーマットデータ一式をダウンロードすることによって、フォーマットデータ一式を取得してもよい。
【0068】
これに対して、発注者端末90は、ステップS09を実行する。ステップS09では、例えば、ユーザが、フォーマットデータ一式を取得した発注者端末90において、データD1を加工することで、印刷用のデザインデータを作成する。データD1に対して、種々のデザイン要素(例えば、文字、図形)が追加されることで、印刷用のデザインデータが作成される。
【0069】
作成後のデータについて、発注者端末90は、ステップS10を実行する。ステップS10では、発注者端末90から包材発注管理装置10に対して、加工後の印刷用のデザインデータが送信される。送信されたデータは包材発注管理装置10の印刷データ取得部15において取得される。なお、発注者端末90から包材発注管理装置10へのデザインデータの送付は、例えば、特定のWebサイトへのデータのアップロードによって行われてもよい。包材発注管理装置10に送信された当初のデザインデータに対して校正が行われてもよい。校正後のデザインデータに対するユーザの承認が得られた後、印刷データ取得部15は、承認が得られた校正後のデザインデータを取得して、デザインデータを新しいデータに更新してもよい。ステップS10において取得されるデザインデータは、最終的に印刷に使用するデザインデータの候補であってもよい。
【0070】
次に、発注者端末90は、ステップS11を実行する。ステップS11では、例えば、ユーザによる操作に基づいて、発注者端末90が、ステップS10で送信したデザインデータに含まれるデザインの診断を要求する。ステップS11の要求に対して、包材発注管理装置10は、ステップS12を実行する。ステップS12では、例えば、デザイン診断部27が、デザインデータに基づいて、当該デザインデータに含まれるデザインが人(当該デザインを視る人)に対して与える影響を予測する。デザイン診断部27は、デザインデータに基づいて、デザインが人に対して与える影響の予測結果を表す1種類又は複数種類の指標値を算出してもよい。デザイン診断部27は、算出可能な複数種類の指標値のうちのユーザによって指定された種類の指標値を算出してもよい。デザイン診断部27は、ステップS05で送信される注文情報により特定される包材に対応付けられた診断モデルを利用して、上記指標値を算出してもよい。
【0071】
デザインの診断が行われた後、包材発注管理装置10は、ステップS13を実行する。ステップS13では、例えば、情報提供部12が、ステップS12で実行したデザイン診断の結果を発注者端末90において提示する。情報提供部12は、メールによる通知によって、デザイン診断の結果をユーザに提示してもよい。デザイン診断の結果をユーザが確認した後に、発注者端末90は、ステップS14を実行する。ステップS14では、例えば、発注者端末90が、ユーザによる操作に基づいて、ステップS04から開始した注文を確定する指示を送信する。ステップS14での注文の確定の指示には、デザインデータの候補を、最終的に印刷に使用するデータとすることの承認が含まれてもよい。ステップS14の実行に合わせて、ユーザが、注文に必要な各種情報の一部を発注者端末90に更に入力してもよい。ユーザは、デザイン診断の結果が期待した内容と異なる場合に、デザインデータ(デザイン要素)を修正してもよい。ユーザによる修正後に、再度、ステップS11~S13の一連の処理が実行されてもよい。ステップS14が実行されるまで、又は、所定の制限回数だけ、ステップS11~S13の一連の処理が繰り返されてもよい。
【0072】
ステップS14までの手順が終わると、包材発注管理装置10はステップS15を実行する。ステップS15では、例えば、決済処理部18が、発注者からの注文を確定させて、決済処理を行う。決済処理部18により決済が行われたことを示す情報は、例えば、上述のように受注情報保持部22に記録される。ここまでの処理により、注文の受付に係る一連の処理が完了する。なお、注文の受付に係る一連の処理において、ユーザがデザイン診断を要求しない場合には、ステップS11~S13は実行されない。
【0073】
次に、包材発注管理装置10は、ステップS16を実行する。ステップS16では、例えば、包材作成指示部16が、注文情報に含まれる型番を参照し、資材情報保持部23を参照して、包材製造管理装置30への送信が必要な情報が準備される。すなわち、型番で指定される包材で使用される資材を特定する情報(資材指定情報)が準備される。包材作成指示部16では、資材情報保持部23に保存されている情報から、型番に対応する資材の情報を取得する。これにより、包材製造管理装置30へ送信するデータが整うことになる。
【0074】
次に、包材発注管理装置10は、ステップS17を実行する。ステップS17では、例えば、包材作成指示部16が、包材製造管理装置30に対して包材の作成指示を送信する。送信される作成指示には、注文情報の少なくとも一部(例えば、包材を特定する情報、包材の納品先に係る情報)と、当該包材の作成に使用される資材を指定する情報と、包材への印刷に使用されるデザインデータとが含まれてもよい。
【0075】
次に、包材の作成指示を受けた包材製造管理装置30は、ステップS18を実行する。ステップS18では、包材製造管理装置30は、作成指示に基づいて、包材の作成に係る工程の管理及び作成を開始する。包材製造管理装置30における工程管理の対象とは、例えば、資材の調達、印刷機31、ラミネート機32及び製袋機33等の包材の作成に使用する各装置の使用時間帯の確保等が挙げられる。ステップS18において、デザインデータに対して、印刷機31での使用を可能にするための調整(データの校正等)が行われてもよい。
【0076】
製品の作成と並行して、包材製造管理装置30がステップS19を実行し、これに対応して包材発注管理装置10がステップS20を実行する。ステップS19では、例えば、包材製造管理装置30が、包材の納期の予定を包材発注管理装置10に対して通知する。納期の予定は、例えば工程管理(ステップS18)の結果特定され得る。包材製造管理装置30は、納期が見込めた段階で包材発注管理装置10に対して通知する。通知される包材の納期の予定は、販売情報に含まれ得る納品可能な期間に対応するものであってもよく、販売情報を提供した時点からの状況の変化等により、納品可能な期間に対してずれていてもよい。ステップS20では、例えば、包材製造管理装置30から納期予定の情報を受信した包材発注管理装置10が、納品管理部17によって納期の情報を発注者端末90に対して通知する。発注者端末90への通知の方法は特に限定されず、例えば、Webサイト(例えば、ユーザ毎に割り当てられるユーザページ等)での通知、メールによる通知等が挙げられる。このとき、納品管理部17では、受注情報保持部22に保持されている受注情報において納期の情報を更新することとしてもよい。
【0077】
製品が完成すると、包材製造管理装置30がステップS21を実行する。また、ステップS21の実行に伴い、ステップS22~ステップS24が実行される。ステップS21では、例えば、包材製造管理装置30が、完成した製品を作成指示に含まれる納品先に対して製品を発送する。製品の発送と共に、ステップS22として発送通知が包材製造管理装置30から包材発注管理装置10へ送信される。また、ステップS23では、例えば、発送通知を受信した包材発注管理装置10が、発送が完了した旨の報告を発注者端末90に対して行う。発注者端末90への通知の方法は特に限定されず、例えば、Webサイト(例えば、ユーザ毎に割り当てられるユーザページ等)での通知、メールによる通知等が挙げられる。また、ステップS24に示すように、商品は別途、包材製造管理装置30(製造部門)から納品先へ送付される。なお、
図9では納品先が発注者端末90のユーザである場合の例として、発注者端末90に対して商品が送られる状態を示している。納品先は、注文情報に基づいて設定されるので、発注者端末90のユーザがいる場所とは異なる場所に納品される場合もある。
【0078】
上記によって、一つの包材の作成に係る一連の処理が終了する。なお、同一のユーザが2回目以降に包材の注文を行う場合には、
図9に示す手順の一部を省略することができる。例えば、包材発注管理装置10において、ユーザ管理を行っている場合には、2回目以降はユーザ登録が完了しているため、ユーザ登録に係る手順(S11~S12)は省略され、これに対してユーザID等を利用したログイン処理が行われる。また、上述のように、包材発注管理装置10においてユーザ管理を行っている場合には、ユーザ登録に使用された情報を利用して注文情報を作成することができるため、例えば、注文情報の入力(S04)における情報の入力等を簡略化することができる。包材が軽包材以外の部材(例えば、紙器等)である場合、または、包材発注システム1が取り扱う包材の種類に軟包材以外の部材が含まれる場合であっても、
図9に示す手順が実行されてもよい。
【0079】
(第1実施形態に係る変形例)
以上、本開示は必ずしも上述した例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0080】
図9に示す注文に係る一連の処理において、注文情報の取得、及び、デザインデータの取得は、どのような順で行われてもよい。注文情報の入力の前に、ユーザ(発注者)は、発注者端末90の操作によりデザインデータを送付して、そのデザインデータのデザインの診断を要求してもよい。注文情報の入力の前に、発注者端末90は、ユーザによる操作に基づいて、包材発注管理装置10からフォーマットデータを取得してもよい。注文情報の入力の前に、デザイン診断部27が、デザインの診断を行ってもよい。この場合、ユーザは、デザイン診断部27による診断結果を確認した後に、注文情報の入力等を行って、包材の注文を継続してもよい。包材発注管理装置10は、包材の注文が継続される過程において、注文情報の入力前に送付されたデザインデータと、注文情報とを対応付けてもよい。この対応付けが行われることで、注文情報の入力前に送付されたデザインデータは、注文情報により特定される包材に対して印刷するデザインが含まれたデータとなる。
【0081】
発注者端末90は、ユーザによる操作に基づいて、複数のデザインデータの候補を包材発注管理装置10に送付してもよい。デザイン診断を要求された場合に、デザイン診断部27は、複数のデザインデータそれぞれについて、デザイン診断を行ってもよい。ユーザは、複数のデザインデータそれぞれの診断結果を確認して、複数のデザインデータの中から、最終的に印刷に使用するデザインデータを選択(決定)してもよい。印刷データ取得部15は、ユーザによって選択されたデザインデータを、最終的に印刷に使用するデータとして取得してもよい。
【0082】
(第1実施形態の効果)
以上に説明した包材発注管理装置10は、発注者が操作する発注者端末90からの包材の作成に係る注文を、インターネットを介して受け付ける装置である。この包材発注管理装置10は、発注者端末90から、注文の内容を示す注文情報を取得する注文受付部14と、発注者による操作に基づいて、注文情報により特定される包材に対して印刷するデザインが含まれたデザインデータを取得する印刷データ取得部15と、注文受付部14が取得した注文情報と印刷データ取得部15が取得したデザインデータとに基づく包材作成指示を、印刷機31が含まれる製造部門に対して送信する包材作成指示部16と、印刷データ取得部15が取得したデザインデータに基づいて、当該デザインデータに含まれるデザインによる人への影響を予測するデザイン診断部27と、を備える。
【0083】
この包材発注管理装置10では、包材の発注を管理する際に、包材に対して印刷するデザインを含むデザインデータが取得され、そのデザインデータに基づき包材の作成指示が行われる。また、包材発注管理装置10では、デザインデータに含まれるデザインが診断されて、そのデザインによる人への影響が予測される。発注者となるユーザは、準備したデザインデータのデザインによる人への影響の予測結果を、そのデザインを印刷した包材を発注しようとする際に把握することできる。これにより、デザインを将来的に見る人への影響を考慮しながら、デザインを決定しつつ、包材の発注を行うことができる。従って、ユーザの利便性を向上させることが可能である。
【0084】
以上に説明した包材発注管理装置10において、デザイン診断部27は、印刷データ取得部15が取得したデザインデータに基づいて、上記影響の予測結果を表す指標値を算出してもよい。この場合、ユーザは、デザインによる影響の予測を数値で把握することができる。そのため、デザインを将来的に見る人への影響を定量的に考慮して、デザインを決定することができる。従って、ユーザの利便性を更に向上させることが可能である。
【0085】
以上に説明した包材発注管理装置10において、デザイン診断部27は、デザインデータの入力に応じて指標値の算出結果を出力するように予め機械学習により構築された診断モデルと、印刷データ取得部15が取得したデザインデータとに基づいて、上記指標値を算出してもよい。この場合、機械学習により構築された診断モデルが利用されて、指標値が算出されるので、予測される影響を、人が実際にデザインを見た際の影響により近づけることができる。これにより、ユーザは、より精度高く予測した結果を考慮して、デザインを決定することができる。従って、ユーザの利便性を更に向上させることが可能である。
【0086】
以上に説明した包材発注管理装置10において、デザイン診断部27は、印刷データ取得部15が取得したデザインデータに含まれるデザインを構成するデザイン要素の色、明るさ、包材上の位置、及び、包材上の大きさ、のうちの少なくとも1つに基づいて、上記影響を予測してもよい。デザイン要素の色、明るさ、包材上の位置、及び、包材上の大きさは、デザインが印刷された包材を含む商品等を販売又は配布する際に、そのデザインを見る人に影響を与える。上記構成では、デザイン要素のこれらの特徴が評価されることで、デザイン要素が将来的にデザインを見る人に与える影響を考慮しつつ、デザイン要素を決定することができる。従って、ユーザの利便性を更に向上させることが可能である。
【0087】
[第2実施形態]
続いて、
図10及び
図11を参照しながら、第2実施形態に係る包材発注システムについて説明する。第2実施形態に係る包材発注システム1においては、包材発注管理装置10が、インターネットを介した注文の受け付けとして、メッセージアプリケーション(以下、「メッセージアプリ」と称する。)を介した注文の受け付けを行うように構成されている。包材発注管理装置10は、登録(ユーザ登録)されたユーザとの間でテキストメッセージ、及びデータの送受信が可能なメッセージアプリを介して、発注者端末90との間で包材の注文に関する情報を送受信するように構成されている。包材発注管理装置10は、登録されたユーザから、メッセージアプリを介して、テキストメッセージ及びデータを受信可能である。また、包材発注管理装置10は、登録されたユーザへ、メッセージアプリを介して、テキストメッセージ及びデータを送信可能である。包材発注管理装置10からの情報の少なくとも一部は、その包材発注管理装置10を操作可能なオペレータ(以下、「管理者」と称する。)の操作によって送信されてもよい。包材発注管理装置10は、当該包材発注管理装置10からの情報の少なくとも一部を自律的に送信してもよい。
【0088】
包材発注管理装置10において包材の注文を受け付けるために利用されるメッセージアプリは、利用者同士の間でメッセージを送信するためのアプリケーションであり、利用者同士の間でデータの送受信も可能なものである。メッセージアプリは、メッセージングアプリ、チャットアプリ、メッセンジャーアプリ、コミュニケーションアプリ、インスタントメッセージングアプリ、又はチャットプラットフォームと称される場合もある。メッセージアプリ上で送受信されるテキストメッセージは、テキストに加えて、数字、記号、及び絵文字を含んでもよい。
【0089】
包材発注管理装置10において包材の注文を受け付けるために利用されるメッセージアプリは、既存のメッセージアプリであってもよく、既存のメッセージアプリがビジネス用にカスタマイズされたアプリであってもよく、既存のメッセージアプリにおいて包材の注文用にカスタマイズされたアプリであってもよい。一例では、
図10に示されるように、包材発注管理装置10及び発注者端末90は、メッセージアプリサーバ300を介して、テキストメッセージ及びデータの送受信を行う。
【0090】
包材発注管理装置10とメッセージアプリサーバ300との間は、インターネット(通信ネットワークNW)を介して、情報の送受信が行われる。包材発注管理装置10は、機能モジュールとして、メッセージアプリサーバ300との間で情報の送受信を行う送受信部11を有してもよい。
図10においては、包材発注管理装置10が有する送受信部11以外の機能モジュールについては省略されている。発注者端末90は、機能モジュールとして、メッセージアプリサーバ300との間で情報の送受信を行う送受信部191を有してもよい。
【0091】
メッセージアプリサーバ300は、例えば、メッセージアプリを提供する会社が管理するサーバコンピュータである。メッセージアプリサーバ300に用いられるコンピュータも、
図8に例示されるコンピュータ110と同様のハードウェア構成を有してもよい。メッセージアプリサーバ300は、機能モジュールとして、送受信部301と、ファイル保持部302と、を有してもよい。
【0092】
送受信部301は、包材発注管理装置10の送受信部11との間、及び、発注者端末90の送受信部191との間のそれぞれで、テキストメッセージ及びデータの送受信を行う。ファイル保持部302は、包材発注管理装置10の送受信部11から送信されたデータ(具体的には、ファイル)を保持し、発注者端末90の送受信部191から送信されたデータ(具体的には、ファイル)を保持する。例えば、包材発注管理装置10(包材発注管理装置10の管理者)と発注者端末90(発注者端末90を操作する発注者)との間でメッセージのやり取りが行われる場合には、送受信部301は、メッセージの中継等の処理を行う。メッセージアプリ上で発注者端末90又は包材発注管理装置10からファイルのアップロードが行われると、ファイル保持部302は、そのファイルを記憶する。メッセージアプリ上で発注者端末90又は包材発注管理装置10から特定のファイルのダウンロード要求があると、送受信部301は、ファイル保持部302に記憶された当該ファイルを、ダウンロード要求があった装置に対して送信する。
【0093】
以上のように、包材発注管理装置10の送受信部11は、メッセージアプリケーションを介して、発注者端末90との間でテキストメッセージ及びデータの送受信を行う。第2実施形態に係る包材発注システム1においては、注文受付部14は、発注者端末90からの包材の作成に係る注文を示す注文情報を取得する。注文受付部14は、例えば、発注者端末90からのテキストメッセージを確認した管理者の操作に基づいて注文情報を取得する。包材発注管理装置10によるメッセージアプリを介した包材の注文の受け付けには、管理者による操作が含まれていてもよい。管理者の操作に代えて、注文受付部14は、発注者端末90からのテキストメッセージ等の情報に基づいて(例えば、テキストメッセージの内容を認識することで)、注文情報を取得してもよい。この場合、メッセージアプリ上で包材の注文を行うためのメッセージのテンプレート(フォーマット)が、管理者から発注者端末90に提示されてもよい。
【0094】
第2実施形態に係る包材発注システム1においては、印刷データ取得部15は、注文受付部14が取得した注文情報により特定される包材に対して印刷するデザインが含まれたデザインデータを取得する。印刷データ取得部15は、例えば、発注者端末90からのテキストメッセージ及び送付されたデータを確認した管理者の操作に基づいて、デザインデータを取得する。管理者の操作に代えて、印刷データ取得部15は、発注者端末90からのテキストメッセージ及び送付されたデータに基づいて(例えば、テキストメッセージの内容を認識して、データ送信の有無を確認することで)、デザインデータを取得してもよい。第2実施形態に係る包材発注システム1において、その他の機能モジュールである包材作成指示部16及びデザイン診断部27等は、第1実施形態に係る包材発注システム1における包材発注管理装置10と同様に機能してもよい。
【0095】
図11は、メッセージアプリ上において、発注者と管理者との間の情報のやり取りの一例を示す模式図である。
図11には、スマートフォン等の発注者端末90に表示されている画面、具体的には、メッセージアプリにおけるチャット画面99が例示されている。
図11に例示されるチャット画面99のやり取りでは、管理者からフォーマットデータが送信されており、発注者(ユーザA)からデザインデータが送信されている。また、発注者からデザイン診断の要求があり、その診断結果を示すデータが管理者から発注者に送信されている。さらに、発注者から、包材製造部門における状況を踏まえた注文に関する情報(納品可能な日数)が提示されている。その他、図では示されていないが、メッセージアプリを介して、発注者と管理者との間で、納品日数及び数量の調整、デザインデータの調整(管理者からの提案も含む)、又は納品場所の調整等が行われてもよい。
【0096】
第2実施形態に係る包材発注システム1において、包材発注管理装置10が、機能モジュールとして販売情報管理部を有してもよい。販売情報管理部は、製造部門における包材の作成に係る状況に基づいて、発注者端末90に対して送信される販売情報を変更する。そして、販売情報管理部28によって管理されている販売情報が、メッセージアプリを介して発注者端末90に提供されてもよい。販売情報は、発注者まで包材を納品することが可能な期間を示す情報、包材の販売価格を示す情報、及び、包材の注文単位を示す情報のうちの少なくとも1つを含んでもよい。情報提供部12は、管理者の操作に基づいて、販売情報管理部28によって管理されている販売情報をメッセージアプリ(例えば、チャット画面)により発注者端末90に提供してもよい。あるいは、情報提供部12は、販売情報を提供するために予め定められた条件が満たされた場合に、販売情報管理部28によって管理されている販売情報をメッセージアプリ(例えば、チャット画面)により発注者端末90に提供してもよい。なお、
図10に示される例とは異なり、包材発注管理装置10が、メッセージアプリサーバ300の機能を有してもよい。この場合、メッセージアプリは、包材の注文を受け付けるための専用のアプリケーションであってもよい。
【0097】
第2実施形態に係る包材発注システム1の包材発注管理装置10において実行される包材発注管理方法は、少なくとも、メッセージアプリを介して、発注者端末90との間でテキストメッセージ及びデータの送受信を行う送受信ステップと、包材の作成に係る注文の内容を示す注文情報を取得する第1取得ステップと、注文情報により特定される包材に対して印刷するデザインが含まれたデザインデータを取得する第2取得ステップと、を含む。また、上記包材発注管理方法は、第1取得ステップで取得された注文情報と第2取得ステップで取得されたデザインデータとに基づく包材作成指示を、印刷機31が含まれる製造部門に対して送信する指示ステップと、第2取得ステップで取得されたデザインデータに基づいて、当該デザインデータに含まれるデザインによる人への影響を予測する診断ステップと、を含む。
【0098】
(第2実施形態の効果)
以上に説明した包材発注管理装置10は、発注者が操作する発注者端末90からの包材の作成に係る注文を、インターネットを介して受け付ける装置である。包材発注管理装置10は、メッセージアプリを介して、発注者端末90との間でテキストメッセージ及びデータの送受信を行う送受信部11と、上記注文の内容を示す注文情報を取得する注文受付部14と、注文受付部14が取得した注文情報により特定される包材に対して印刷するデザインが含まれたデザインデータを取得する印刷データ取得部15と、注文受付部14が取得した注文情報と印刷データ取得部15が取得したデザインデータとに基づく包材作成指示を、印刷機31が含まれる製造部門に対して送信する包材作成指示部16と、印刷データ取得部15が取得したデザインデータに基づいて、当該デザインデータに含まれるデザインによる人への影響を予測するデザイン診断部27と、を備える。
【0099】
この包材発注管理装置10では、デザイン診断部27が備えられるので、第1実施形態に係る包材発注システム1と同様に、デザインを将来的に見る人への影響を考慮しながら、デザインを決定しつつ、包材の発注を行うことができる。従って、ユーザの利便性を向上させることが可能である。また、包材の注文では、包材作成指示部16が包材作成指示を製造部門に対して送信できるようになるまでに、発注者との間で調整すべき事項が多い。例えば、調整すべき事項として、デザインデータに含まれるデザインが包材の印刷に適しているか否か、そのデザインにより消費者等にどのような影響を与えたいのか、包材の注文数量、及び納品日数等が挙げられる。上記包材発注管理装置10では、メッセージアプリを介して、発注者端末90と包材発注管理装置10との間で情報の送受信が行われることで、例えば、Webブラウザ及び電子メールを介して注文を受け付ける場合に比べて、発注者との間のやり取りをタイムリーに行うことができる。例えば、発注者が包材発注管理装置10からの情報を見逃す可能性が低減され、発注者は、現在の注文に関する過去の履歴を確認しやすくなる。これにより、発注者が包材の注文を行うための準備を開始してから、注文に係る包材の納品を受けるまでの時間を短縮することできる。特に、包材発注管理装置10を利用して、小ロット且つ短納期で包材の発注を受けるサービスを提供する場合に、メッセージアプリを介して注文を受けることが有用である。
【0100】
[その他の変形例]
第1実施形態、又は第2実施形態において、包材発注管理装置10の一部の機能は、包材発注管理装置10とは別の装置で管理する構成としてもよい。例えば、ユーザ情報の管理は包材発注管理装置10とは別の装置で行う構成であってもよい。また、決済関係についても、包材発注管理装置10とは別の装置で管理する構成であってもよい。また、注文情報又は販売情報に含まれる情報は、上記実施形態で説明したものには限定されず、種々の情報を組み合わせることができる。また、注文用の入力フォーム、デザインデータの構成等も適宜変更され得る。
【0101】
第1実施形態において、Webブラウザに代えて、又は加えて、包材の注文に関する情報の送受信が可能なアプリケーションを介して、包材発注管理装置10と発注者端末90との間で各種情報のやり取りが行われてもよい。以上に説明した種々の例のうちのいずれかの例で説明した内容の少なくとも一部が、他の例に組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1…包材発注システム、10…包材発注管理装置、11…送受信部、14…注文受付部、15…印刷データ取得部、16…包材作成指示部、27…デザイン診断部、30…包材製造管理装置、31…印刷機、90…発注者端末。